• HOME
  • トピックス
  • 高次脳機能障害は治るのか|対応方法や治療法を解説します!
  • 頭部

高次脳機能障害は治るのか|対応方法や治療法を解説します!

高次脳機能障害 診察
公開日: 2025.01.15

「高次脳機能障害は治るのか」気になっていませんか。

実は高次脳機能障害の症状は、早期の発見と治療、継続的なリハビリによって症状が改善される結果が出ています。

しかし高次脳機能障害は治るのかどうか気になる方は「具体的に何をすべきか」が把握できていない方もいるでしょう。

そこで今回は、現役医師の立場から高次脳機能障害の対応方法や治療法、自宅でできるリハビリ方法などを解説します。

\クリック\タップで電話できます/

電話をかける

【結論】高次脳機能障害は良くなる!

高次脳機能障害は適切な治療とリハビリを通じて、改善が期待できる障害です。

医療機関での診断と治療計画を策定するのが重要であり、症状に応じたアプローチが求められます。

詳しくは後述しますが、薬物療法やリハビリテーション、さらには再生医療の進展により、症状の改善が見込まれるケースも増えているのです。

しかし、高次脳機能障害が治るかどうかは、早期の発見と治療が鍵となります。

患者様自身や家族が障害に対する正しい理解を持ち、共に取り組んでいけば日常生活の質を向上させられるでしょう。

環境を整え専門機関のサポートを受けながら、持続的なリハビリを進めていき、社会復帰や自立生活の実現につなげていきましょう。

以下の記事では、脳梗塞を例に治療法や入院期間を解説しているので、1つの参考にしてください。

 

そもそも高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、脳の損傷によって生じる記憶や注意、言語、判断力などに影響を及ぼす障害です。

そもそも高次脳機能とは、人間が複雑な思考や行動を行うために欠かせない機能であり、以下のような重要な役割を担っています。

  • 問題解決能力
  • 計画力
  • 感情のコントロール
  • 他者とのコミュニケーション能力など

高次脳機能障害が発症している方だけでなく、家族や周囲の方にも日常生活で大きな影響を与えるケースがある障害です。

たとえば歩行や排せつなど日常生活上の行動では問題なくても、手続きや遠方への移動を含め、普段行わない行動で影響があります。

外的な損傷がないため、周りから気づかれにくいため、本人や家族が高次脳機能障害の症状を理解できるかも重要です。

高次脳機能障害の症状と発症の原因

高次脳機能障害の症状は、脳の損傷によって引き起こされる認知、行動、感情などの機能障害を指します。

脳卒中や外傷性脳損傷、脳腫瘍などの病気や事故によって発生するケースが大半です。

高次脳機能障害の症状は多岐にわたり、個々の症状や程度によって異なります。

主な症状には、記憶障害、注意障害、判断力の低下、言語障害、感情のコントロールの難しさなどがあります。

なお、高次脳機能障害の症状や発症の原因については、以下の記事で詳しく解説しました。

ここからは、高次脳機能障害は治るのかを解説するために「認知症との違い」と、回復過程について解説します。

認知症との違い

高次脳機能障害は、脳の特定領域が損傷を受け、記憶、注意、言語、計画立案などの高度な脳機能に影響を及ぼす疾患です。

たとえば、短期記憶の低下や集中力の欠如、理解力や判断力の低下が見られます。

上記の症状について、認知症と混合して認識している方もいるでしょう。

認知症は加齢によって徐々に進行する症状で、高次脳機能障害は外的要因によって発症する症状です。

交通事故によって脳へダメージを負った際、高次脳機能障害の症状が見られるケースがあります。

つまり、発症時期が明確なのが高次脳機能障害で、不明確なのが認知症なのです。

年齢を重ねるごとに進行する認知症とは異なり、高次脳機能障害は適切な治療やリハビリを実施すれば、回復の可能性があります。

回復過程

高次脳機能障害は脳の損傷が原因になるケースが多いため、すべての患者様が回復するわけではありません。

しかし、脳卒中のような症状が原因で発症した場合、早期の発見と治療次第では、症状が回復する傾向にあるのです。

そもそも高次脳機能障害が発症する過程は、病変や外傷が脳に影響を与え、神経細胞や神経回路が損傷を受けて発症します。

損傷がどの程度・どの範囲に及ぶか、またどの部位に影響を与えるかによって、具体的な症状や障害の度合いが決まります。

高次脳機能障害の症状は、時間とともに変化するため、初期段階での適切な診断と治療が重要です。

つまり、早期に原因を特定し、適切な治療を行えれば、症状の悪化を防ぎ、回復の可能性を高められるのです。

高次脳機能障害への対応方法

ここからは高次脳機能障害の方が家族にいる方に向け、どうサポートしていけば良いのか解説します。

対応方法を理解し、適切な治療へ進められるよう、ぜひ参考にしてください。

症状の理解

高次脳機能障害への対応方法を考える上で、まずは症状の理解が不可欠です。

高次脳機能障害は、記憶、注意、思考、判断、言語など、脳の高次機能に影響を及ぼし、日常生活においてさまざまな困難をもたらします。

症状は患者様によって異なり、記憶障害、集中力の欠如、意思決定の困難、感情の不安定などが見られます。

症状を理解しておかないと「なぜそのような行動を取るのか」とイライラしてしまう方もいるでしょう。

患者様本人も感情のコントロールが上手くいかない症状もあるため、双方がストレスを感じないためにも、まずは症状を理解しておくのが重要です。

環境の整備

高次脳機能障害に対応するために、環境の整備も重要です。

患者様が安心して生活できるようサポートできれば、症状の悪化を防ぎ、改善を促す可能性を高めてくれます。

具体的には、日常生活の流れを明確かつ簡易化させ、必要な手順や情報を視覚的に整理しておくのが有効です。

また、感覚過敏を持つ方には、過度な刺激を避けるために静かな環境を提供するのが望ましいでしょう。

なお、環境整備については厚生労働科学研究が公開している「高次脳機能障害支援マニュアル」も参考になります。

専門機関の利用

高次脳機能障害の方がいる場合、専門機関の利用も考慮すべきです。

医療機関やリハビリテーション施設など、専門の支援を受けられる環境が整っています。

専門機関を利用すれば、適切な診断と治療が可能になり、回復への道筋が明確になります。

専門家による評価を受け、個々の症状に応じたプログラムを導入すると、効果的なリハビリを取り入れられるのが特徴です。

また、身体障害者手帳を取得すれば、医療費負担の軽減や国税・地方税の控除が可能です。

要介護認定を受け、介護保険を取得している方は、訪問介護による介助も受けられます。

高次脳機能障害の治療法

高次脳機能障害の治療法は、大きく分けて薬物療法とリハビリの2種類があります。

それぞれの治療法について詳しく解説していきます。

薬物療法

薬物療法では、主に症状の軽減や日常生活の質を向上させるのを目的として使用されます。

脳の神経伝達物質のバランスを整えられる薬物が多く、抗うつ薬や抗精神病薬、認知機能を改善するための薬が用いられるのが一般的です。

たとえば、抗うつ薬は気分の安定を図るだけでなく、注意力や集中力の向上にも寄与します。

また、抗精神病薬は、衝動性や攻撃性を抑える効果が期待されます。

また、薬物療法はあくまで症状のコントロールを目的としており、根本的な治療法ではないと、理解しておきましょう。

薬物療法のみでの改善を期待するのではなく、リハビリテーションや心理的サポートと組み合わせた多角的アプローチが求められます。

薬物療法を開始する際には、医師と詳細な相談を行い、副作用や薬の相互作用についても十分に理解しておきましょう。

リハビリ

高次脳機能障害におけるリハビリは、患者様の回復をサポートする重要な手段です。

リハビリでは、患者様の症状や障害の程度に応じて個別に計画され、日常生活での機能回復を目指します。

具体的には、作業療法や理学療法、言語療法などが含まれ、それぞれ異なる目的で実施されます。

リハビリ内容

目的

作業療法

日常生活のスキルを再び習得するのが目的。

料理や掃除などの活動を通じて実践的な訓練を行う。

理学療法

身体の運動機能を向上させるために、筋力トレーニングや姿勢改善のエクササイズが行われる。

言語療法

コミュニケーション能力の回復を目的とし、言葉の発音や理解力を高めるための練習を行う。

リハビリを適切に実施し続けていれば、発症から6カ月で74%、1年で97%の方が一定の症状が改善されたという調査結果も出ています。

障害別でみるリハビリ方法一覧

高次脳機能障害の治療法は、個々の症状や患者の状態に応じて多岐にわたります。

以下で障害別にみるリハビリ方法の一覧をまとめたので、ぜひ参考にしてください。

症状例

リハビリ内容

注意障害

作業を小さなステップに分け、集中しやすい環境を整える

遂行機能障害

タスク管理をサポートするデジタルツールの活用(マニュアルやスケジュール帳の作成など)

半側空間無視

視覚的なリマインダーや特定の視覚訓練(塗り絵や折り紙など)

以下の記事では、脳出血を例に寝たきり生活にならないためにも「何をすべきか」解説しているので、あわせてご覧ください。

 

自宅でできるリハビリ

ここからは専門機関を利用せずとも、自宅で実施できる簡易的なリハビリ方法を紹介します。

  • 1日のスケジュールを作る
  • 家事や散歩などで軽く体を動かす
  • 脳トレを実施する
  • リラックスする

順番に具体的な実施方法を解説していきます。

1日のスケジュールを作る

自宅で高次脳機能障害のリハビリを実施する際、まずは1日のスケジュールをしっかりと組み立てるのがおすすめです。

1日のスケジュールを作るのも、高次脳機能障害の患者様は脳疲労が起きやすい傾向にあるからです。

高次脳機能障害の方が疲れやすいと感じた際、1日のスケジュール表があれば、どのタイミングで疲れやすいのかが振り返れます。

何をしても疲れやすい場合、朝起きたら軽いストレッチや呼吸法で体と心を目覚めさせるのも良いでしょう。

1日のスケジュール通り行動できていれば、自分のペースに合ったリハビリを進めるだけでなく、生活のリズムが整います。

家事や散歩などで軽く体を動かす

高次脳機能障害のリハビリは、日常生活の中で無理なく取り入れられるかどうかが重要です。

たとえば家事や散歩のような軽い運動を日常に取り入れると効果的です。

軽く体を動かすと、身体の機能を維持させるだけでなく、精神的にもリフレッシュできるでしょう。

つまり、日々の小さな積み重ねが、高次脳機能障害の改善につながるのです。

脳トレを実施する

自宅でのリハビリで、脳トレと呼ばれる知的活動を取り入れるのも効果的です。

たとえば、パズルやクロスワード、簡単な計算問題などを日常的に実施してみましょう。

脳の活性化を図り、記憶力や注意力の向上を期待できます。

昨今ではインターネットやスマートフォンで無料公開されている脳トレもあるため、お遊び感覚で実施できるでしょう。

高次脳機能障害の改善に特化させたドリルも販売されているため、書店や通販サイトでチェックしてみるのもおすすめです。

リラックスする

リハビリの一環としてリラックスするのは、高次脳機能障害のある方にとって重要なリハビリです。

ストレスや緊張は、脳の回復を妨げる要因となるため、日常生活の中で意識的にリラックスする時間を設けるのが大切です。

リラックスする方法として、深呼吸や瞑想、ヨガなどの軽いエクササイズを取り入れる方法があげられます。

また、音楽を聴いたり、読書をしたりするのも効果的です。

好きな音楽を聴いてリズムに身を委ねていけば、心が落ち着き、気持ちがリフレッシュされるでしょう。

読書は、興味のあるジャンルを選び、集中力を高めつつリラックスするのがおすすめです。

他にもアロマテラピーで好きな香りのエッセンシャルオイルを使って、部屋を心地良い空間にするのも効果的です。

気分が和らぎ、ストレスを軽減する効果が期待できます。

とくにラベンダーやカモミールなどは、リラックス効果の高い香りとして知られており、睡眠の質を向上させるとも言われています。

再生医療なら高次脳機能障害の治療効果に期待できる!

高次脳機能障害の症状を治すのは、早期の発見や治療だけでなく継続的なリハビリによって改善が期待できます。

昨今では医療の進歩により、再生医療を取り入れてさらなる治療効果へアプローチしています。

再生医療において中心的なアプローチ方法が幹細胞治療です。

幹細胞は特定の条件下において細胞を分化させる能力があるため、高次脳機能障害を含めた症状に向けた治療として有効的です。

再生医療のご相談、治療の流れ

まとめ・高次脳機能障害は治るのかは早期発見と対応が重要!

高次脳機能障害は治るのかを決めるのは、早期の発見と治療、家族のサポートが重要です。

認知症とは異なり、発症の時期が比較的明確で、治療の実施により改善がみられる障害です。

しかし、外的損傷がないため周囲からの理解が大切になります。

まずは高次脳機能障害の症状を理解し、環境を整えつつ専門機関を利用して、早期改善へつなげていきましょう。

当院では高次脳機能障害でお困りの方に向け、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しているので、気軽にお問い合わせください。

イメージ画像トップ