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膝関節におけるプロテオグリカンの重要性を解説|効果や副作用など紹介

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公開日: 2025.02.28

プロテオグリカンが膝関節痛に効果があるのかを知りたい

プロテオグリカンのサプリメントを試したいけれど副作用が気になる

本記事では、以下について解説します。

  • 膝関節におけるプロテオグリカンの重要性
  • プロテオグリカンと膝関節痛の関係
  • プロテオグリカンが膝関節に与える影響
  • プロテオグリカンの副作用とアレルギー反応
  • プロテオグリカンサプリメントが膝関節痛に与える効果

プロテオグリカンと膝関節痛に関するよくある質問も紹介していますので、膝関節痛やプロテオグリカンについて知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

膝関節におけるプロテオグリカンの重要性

プロテオグリカンとは、コアたんぱく質に糖鎖がブラシ状に結合した糖タンパク質のことです。(文献1)

コアタンパク質が木の幹とすると、糖鎖がブラシ状の枝というイメージになります。

プロテオグリカンの役割は、ヒアルロン酸やコラーゲンなどと協力して、肌や軟骨を支えることです。

プロテオグリカンが多く含まれている場所を以下に示しました。(文献2)

  • 軟骨
  • 皮膚
  • 靭帯
  • 体の内側を覆う膜

プロテオグリカンは、スポンジのように水分をたくさん抱える性質があり、関節の動きをスムーズにしたり、肌の水分を保ったりするはたらきがあります。

プロテオグリカンは関節軟骨成分の約10%を占めているもので、水分を抱え込みクッション性を高める成分です。(文献3)

軟骨のクッション性が高まると、衝撃吸収力も高まります。逆に、軟骨のクッション性が低下すると、衝撃を吸収しやすくなり、関節の痛みや動きにくさにつながります。

プロテオグリカンは軟骨、ひいては関節を守る重要な役割を果たしている成分です。

プロテオグリカンと膝関節痛の関係

この章では、膝関節痛の主な原因と、プロテオグリカンが膝関節に与える影響を解説します。

膝関節痛の主な原因

膝関節痛の主な原因になる疾患としてあげられるのは、以下の3つです。

  • 変形性膝関節症
  • 急性関節炎
  • 関節リウマチ

ここでは、それぞれの疾患について解説します。

変形性膝関節症

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ったり、変形したりすることが原因で、痛みや腫れ、動かしにくさといった症状が出るものです。初期症状としてあげられるものが、立ち上がりや歩き始めでの痛み、正座のしにくさなどです。進行すると、O脚が進行して、平地を歩くことも難しくなります。

膝を押したときの痛みや、曲げ伸ばしの制限といった症状も現れます。

\まずは当院にお問い合わせください/

急性関節炎

急性関節炎は、急に膝が腫れて熱を持ち、痛みが生じている状況です。

急性関節炎の原因として、主に以下の3つが考えられます。

  • 偽痛風
  • 痛風
  • 化膿性膝関節炎

偽痛風は、ピロリン酸カルシウムという結晶が膝関節に付着して起こるもので、原因としては、加齢や脱水などがあります。(文献4)

痛風とよく似た関節炎の症状がありますが、痛風とは異なり、血液中の尿酸値は高くなっていません。(文献5)

偽痛風の半数以上は膝関節痛を起こすとされています。

痛風は、血液中の尿酸値が高くなり、尿酸が結晶化したことにより痛みを生じるものです。足の親指が痛むことで有名ですが、膝関節痛を生じることもあります。

化膿性関節炎は、歯周病や肺炎などの感染症を引き起こした細菌が、血流により関節に炎症を起こすものです。皮膚や脂肪、骨への感染が、関節に影響を及ぼす場合もあります。

関節リウマチ

関節リウマチは、免疫の異常のために関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、機能低下を引き起こすものです。(文献6)

進行すると関節が変形する場合もあります。

手足の指や手首に症状が出ることも多いのですが、膝関節痛を引き起こすケースもあります。40代から60代での発症が多い関節リウマチですが、最近は高齢者の発症も増えてきている状況です。

プロテオグリカンが膝関節に与える影響

プロテオグリカンが膝関節に与える主な影響は、以下のとおりです。

  • 膝の軟骨を守り痛みを和らげる
  • 炎症を抑えて腫れを改善させる
  • 軟骨細胞の再生をサポートする
  • 膝関節の潤滑力を高める

膝の軟骨を守り痛みを和らげる

イギリスの出版社サイトに掲載された論文では、以下のような結果が示されました。(文献7)

「サケの鼻軟骨由来プロテオグリカンを1日10mg摂取することは、膝に不快感がある人たちの軟骨の健康を改善する可能性がある」

「サケの鼻軟骨由来プロテオグリカンを1日10mg摂取により、軟骨に多く含まれているII型コラーゲンの分解を抑制し、合成を促進することで、軟骨を守る効果が期待できる」

引用:Evaluation of the effect of salmon nasal proteoglycan on biomarkers for cartilage metabolism in individuals with knee joint discomfort: A randomized double‑blind placebo‑controlled clinical study

この結果からも、プロテオグリカンに軟骨保護作用や関節の健康維持・改善効果が期待されていることがわかります。

炎症を抑えて腫れを改善させる

プロテオグリカンには抗炎症作用もあることが、複数の研究により明らかにされています。(文献8)(文献9)

消化されにくいプロテオグリカンの構造は、腸内細菌バランスの変化や腸内環境改善と関係しています。(文献8)

腸内環境が改善されると、特定の脂肪酸が作られやすくなり、それが抗炎症作用を発揮しているメカニズムです。

軟骨細胞の再生をサポートする

プロテオグリカンは軟骨細胞の1つですが、それだけではありません。軟骨細胞そのものを活性化させるはたらきもあります。軟骨成分のもとになる軟骨前駆細胞を増やし、軟骨の減少を押さえるはたらきが確認されています。

このことからプロテオグリカンは、軟骨細胞の再生をサポートする成分といえるのです。

膝関節の潤滑力を高める

プロテオグリカンがとくに活躍するのは、時速0.3mm以下のゆっくりとした速度で関節が動くときや、関節に強い力がかかるときです。プロテオグリカンは、ヒアルロン酸と協力して、関節の表面同士が接触しないように摩擦を最小限に抑えるはたらきがあります。

アメリカの医療従事者向けサイトでは、「人工的に作ったプロテオグリカン(rhPRG4)を関節に注入することで、関節の潤滑力改善や、軟骨の保護効果が期待されている」と記載されています。(文献10)

プロテオグリカンの副作用とアレルギー反応

ここでは、プロテオグリカンの副作用とアレルギー反応について、詳しく解説していきます。

プロテオグリカンの副作用

プロテオグリカンは、サケの鼻軟骨から抽出される成分です。

2025年2月27日現在、消費者庁および、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所から、プロテオグリカンに関する副作用は報告されていません。

日本食品化学学会誌に掲載された研究論文においても、プロテオグリカン複合体80というサプリメントを摂取しても、副作用は見られなかったとの報告があります。(文献11)

プロテオグリカンによるアレルギー反応

プロテオグリカンはサケの鼻骨由来の成分であるため、魚介アレルギーを引き起こす可能性もあります。魚介アレルギーのある方は、プロテオグリカンを使用する前に医師に相談しましょう。

魚介アレルギーの症状としては、口腔内の違和感、じんましん、急速なアレルギー症状である「アナフィラキシーショック」などがあります。(文献12)

プロテオグリカンサプリメントが膝関節痛に与える効果

プロテオグリカンのサプリメントを摂取しても、膝痛に直接の効果があるとは考えにくいでしょう。

プロテオグリカンの主成分はタンパク質です。タンパク質は、食事やサプリメントで口から摂取したあと消化吸収されて、身体を作る要素の1つ、アミノ酸に分解されます。

分解されたアミノ酸が、再度プロテオグリカンとして生成されるかどうかは断言できません。もしプロテオグリカンが生成された場合でも、膝の軟骨部分は血管組織が少ないため、膝に直接届く可能性は低いものです。

プラシーボ効果により、「サプリメントで膝がよくなった」ケースも考えられますが、摂取した方全員に効くとは限りません。

プラシーボ効果とは、効果がない薬の内服、もしくはサプリメント摂取でも実際に効果が認められる現象で、自己暗示の影響が大きいとされるものです。(文献13)

まとめ|プロテオグリカンで膝関節痛が改善しないときは医療機関を受診しよう

プロテオグリカンは、関節や軟骨を守るはたらきがあり、一定の効果を示す有効な成分です。

プロテオグリカンはサケの鼻軟骨から抽出される天然成分であるため、副作用がないといわれています。魚介アレルギーの方は、念のため使用する前に医師へ相談しましょう。

膝関節痛に一定の効果があるとされるプロテオグリカンですが、サプリメント摂取による直接の効果があるとは考えられにくいものです。

プロテオグリカンを摂取しても膝関節痛が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。医療機関で行われる膝関節痛の治療としては、薬物療法や手術療法、再生医療などがあります。

当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症や急性関節炎、関節リウマチなどによる膝関節痛を和らげる再生医療を行っています。

メール相談オンラインカウンセリングも実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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プロテオグリカンと膝痛に関するよくある質問

ここでは、プロテオグリカンと膝痛に関するよくある質問を3つご紹介します。

プロテオグリカンと他の膝用サプリメントを併用しても問題ありませんか?

プロテオグリカンと、グルコサミンやコンドロイチンといった関節成分の併用で相乗効果が期待できるとされています。

しかし、本文でも述べたように、サプリメントによる膝痛改善効果は薄いものです。

サプリメント併用により、特定成分の過剰摂取につながる可能性もあるため、心配な場合は使用前に医師に相談しましょう。

膝関節におけるプロテオグリカン以外のセルフケアはありますか?

膝関節痛における、プロテオグリカン以外のセルフケアは、主に以下の4つです。

  • 食生活の見直し
  • 姿勢の改善
  • 適度な運動
  • 体重管理

食生活を見直すときには、タンパク質やカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを積極的にとりましょう。タンパク質やカルシウムは、筋肉や骨を作る材料でもあり、関節を守り支える役割を果たします。ビタミンDやビタミンKは骨づくりを助けます。

姿勢の改善も大切なセルフケアです。膝を伸ばして歩く、立っているときや座っているときは背筋を伸ばすなどを意識しましょう。

適度な運動は、筋肉量の維持につながり、膝関節痛の悪化防止になります。毎日少しずつでも筋トレやウォーキングなどの運動を続けましょう。

体重管理も大切なポイントです。

体重を2kg減らすと、歩くときの負担が4〜6kg減少し、階段の上り下りでは10~14kgもの負担が減少するとされています。(文献14)

日頃の運動や食事管理などで、適正体重を保つように心がけましょう。

プロテオグリカンを摂取すると癌になるというのは本当ですか?

「プロテオグリカン=癌になる」ではありません。

がん細胞は、プロテオグリカンを利用して成長したり、他の場所に移動したりします。(文献15)

しかし、プロテオグリカンの種類や構造によって、がん細胞に与える影響は異なります。がんを促進するものもあれば、抑制するものもあるのです。

参考文献

(文献1) 日本応用糖質科学会「食べてキレイを守る“新習慣”サプリメント SUNVS (サンブイエス)」『日本応用糖質科学会誌』7(2), pp113, 2017 (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献2) 高橋達治.「サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン摂取による関節保護効果」『Functional Food Research』14, pp.36-43, 2018 (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献3) 高橋謙治.「関節軟骨細胞の老化とストレス応答を利用した変形性関節症治療」『日本医科大学医学会雑誌』7(4), pp.150-155,2011  (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献4) 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「膝関節の痛みと治療について」 国立研究開発法人国立長寿医療研究センターホームページ (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献5) 一般社団法人日本リウマチ学会「偽痛風」一般社団法人日本リウマチ学会, 2022年5月22日 (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献6) 一般社団法人日本リウマチ学会「関節リウマチ(RA)」一般社団法人日本リウマチ学会, 2022年5月22日 (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献7) SPANDIDOS PUBLICATIONS「Evaluation of the effect of salmon nasal proteoglycan on biomarkers for cartilage metabolism in individuals with knee joint discomfort: A randomized double‑blind placebo‑controlled clinical study」Experimental and Therapeutic Medicine, 2017年5月11日 (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献8) 後藤昌史ほか.「サケ鼻軟骨熱水抽出物の経口摂取による日焼け抑制効果―無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験―」『応用糖質科学』6(2), pp.138-146, 2016 (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献9) 工藤重光ほか.「プロテオグリカンを主成分とするサケ鼻軟骨粉末の安全性評価」『日本食品科学工学会誌』58(11), pp.542(26)-547(31), 2011 (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献10) HCP LIVE 「Lubricin: New Promise for Joint-Preserving Therapy」, 2013年7月31日 (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献11) Tatsuya Wada, et al.(2023).Safety evaluation of excessive intake of Proteoglycan Complex 80 from salmon nasal cartilage―a randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group study―.日本食品化学学会誌,30(3)pp.165-177. (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献12) 長崎大学病院皮膚科・アレルギー科「魚介アレルギー」長崎大学病院皮膚科・アレルギー科 (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献13) 井澤美苗ほか.「脳が決める効果: プラセボ効果の要因解析からわかること」『日本香粧品学会誌』37(3), pp.197-200ページ, 発行年(2013) (最終アクセス:2024年2月20日)

(文献14) 東京医科大学病院「東京医科大学病院市民公開講座 変形性膝関節症~予防と治療~」 東京医科大学病院, 2018年6月 (最終アクセス:2024年2月17日)

(文献15) Glyco forum「がん生物学から見たコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの機能 コンドロイチン硫酸の糖鎖構造依存的な細胞内シグナルの制御とがん化」 Glyco forum, 2019年8月1日 (最終アクセス:2024年2月17日)

監修者

坂本 貞範(医療法人美喜有会 理事長)

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)

Sadanori Sakamoto

再生医療抗加齢学会 理事

再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。

「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。

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