LINEポップアップ
  • HOME
  • トピックス
  • 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いとは|共通点を含め医師が詳しく解説
  • 頭部
  • 頭部、その他疾患

脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いとは|共通点を含め医師が詳しく解説

脳脊髄液漏出症 脳脊髄液減少症 違い
公開日: 2025.04.30

「けがをしてから頭痛やめまいが続いている」

「ネットで検索してみたところ、脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症といった病名が出てきた」

「この2つの違いは何だろう」

自分の症状を調べる中で、2つの疾患を見つけた方もいらっしゃるでしょう。

結論から申し上げますと、脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症はいくつか違いはあるものの、症状や治療法はほぼ同じです。

本記事では、脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症の違いと共通点を中心に解説します。

異なる2つの病名が存在する理由がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。

脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違い

脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いとして挙げられるのは、主に以下の2点です。

  • 疾患名の違い
  • 病態の違い

疾患名の違い

疾患名が異なる理由として、歴史的背景や診断基準の有無があります。両者を表にまとめました。

  脳脊髄液漏出症 脳脊髄液減少症
歴史的背景

1938年、腰椎穿刺後の頭痛と似た症状を示す病気として初めて報告された。
報告者は、ドイツの神経内科医ゲオルク・シャルテンブランド氏。
脳脊髄液の漏れそのものに焦点を当てたものである。

2006年9月、第65回脳神経外科学会において発表された。
論文発表者は、国際医療福祉大学熱海病院の篠永正道教授。
脳脊髄液の漏れや生産量の低下などにより、「脳脊髄液が減少した状態」に着目したものである。

診断基準の有無

診断基準あり。
画像診断により髄液の漏出が確認できた症例である。(文献1)

診断基準なし。
存在する可能性はあるが、現段階では診断方法が未確立であると理解されている。(文献2)

脳脊髄液漏出症の方が、報告および診断基準の確立が早いことが見てとれます。

病態の違い

脳脊髄液漏出症は、ひとことでいうと、脳脊髄液が硬膜の外に漏れている状態です。

主な原因としては、交通事故やスポーツ時の外傷や、腰椎穿刺検査、整体治療などがあげられます。原因不明のケースも存在します。

脳脊髄液減少症は、脳脊髄液の漏れやそれ以外の原因で、脳脊髄液そのものが減ってしまう状態です。髄液漏れがないにもかかわらず、脳脊髄液が減少する原因としては、以下の2点が考えられます。

  • 脱水状態
  • 髄液が体内へ多量に吸収される状態

脳脊髄液減少症は、従来「低髄液圧症候群」と呼ばれていた疾患とほぼ同じものです。

低髄液圧症候群については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の共通点

この章では、脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の共通点を表形式で紹介します。

共通点 詳細
主な症状
  • 起立性頭痛
  • ふわふわとしためまい
  • 倦怠感
  • 目の奥の痛み
  • 首の痛み
検査方法
  • 病歴の聴き取り
  • 脳脊髄液の検査
  • 頭部MRI検査
  • 脳槽シンチグラフィー検査
治療方法
  • 保存的治療
  • ブラッドパッチ
  • 硬膜外生理食塩水注入療法

検査方法や治療方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

【関連記事】

脳脊髄液減少症のセルフチェック方法を紹介|治療方法もあわせて解説

脳脊髄液減少症の初期症状を紹介|早期発見の必要性もあわせて解説

手術しなくても治療できる時代です。

首の痛みは手術しなくても治療できる時代です。

脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症が患者に与える影響

脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症が患者に与える影響は、主に以下の2点です。

  • 日常生活に支障を及ぼすことが多い
  • 認知度が低く誤解されやすい

日常生活に支障を及ぼすことが多い

脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症は、日常生活に影響を及ぼしやすい疾患です。主な症状としては、以下のようなものがあります。

  • 起立性頭痛
  • ふわふわとしためまい
  • 倦怠感
  • 目の奥の痛み
  • 首の痛み

起立性頭痛とは、起きたり立ち上がったりすると強くなる頭痛です。

これらの症状は天候や気圧に左右されやすく、雨が降る前や台風接近前に悪化する傾向があります。加えて、下痢や発熱、嘔吐などで脱水を起こしたときも悪化しやすいとされています。

発見や治療が遅いと慢性化しやすく、体調が不安定になりがちです。外出も難しく、ときには起き上がれなくなる場合もあります。

脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症は、ともに慢性的な体調不良を引き起こし、日常生活に支障をきたしやすい疾患といえるでしょう。

認知度が低く誤解されやすい

脳脊髄液漏出症、脳脊髄液減少症ともに、認知度が低い疾患とされています。(文献3)

また、他の疾患においても、頭痛やめまい、首の痛みといった症状が見られることがあります。同じような症状がある疾患は、主に以下のとおりです。

  • 起立性調節障害
  • 緊張型頭痛
  • 片頭痛
  • うつ病

もしくは、検査で異常が見つからず「気のせい」と言われるケースもあります。原因がわかるまで病院受診を繰り返す、いわゆるドクターショッピング状態の方も少なくありません。

症状が強く、学校や職場を休みがちになると、「やる気がない」「甘えている」「怠けている」などと誤解される場合があります。(文献3)

頭痛を伴う疾患については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。

脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いと共通点を理解しよう

脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違いは、歴史的背景や診断基準の有無、病態などです。しかし、症状や検査方法、治療法はほぼ同じと考えて差しつかえありません。

2つの病気に共通していえることは、医療面での認知度が低く他の病気と誤解されがちな点です。社会的認知度は高まりつつありますが、まだ十分とは言えません。気のせい、やる気がないなどと誤解されて、二重に苦しむ方もいます。

リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液漏出症や脳脊髄液減少症の症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

 

参考文献

(文献1)日本脳脊髄液漏出症学会「診断基準」日本脳脊髄液漏出症学会ホームページ

https://js-csfl.main.jp/guideline.html

(最終アクセス:2025年4月21日)

(文献2) 長野県「脳脊髄液減少症について」長野県ホームページ, 2024年3月25日https://www.pref.nagano.lg.jp/iryo/kenko/iryo/hoken/nosekizuieki.html

(最終アクセス:2025年4月21日)

(文献3) 脳脊髄液減少症 石川・金沢 患者家族支援の会「脳脊髄液減少症を知っていますか?」

https://www.pref.ishikawa.lg.jp/nanbyou/kanjakai/documents/r6no1.pdf

(最終アクセス:2025年4月21日)

イメージ画像トップ