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ばね指の治療法まとめ|原因から手術の判断基準まで徹底解説

「指がカクッとなる」「朝、指が動かしづらい」「曲げ伸ばしが痛い」
指の不快な状態は「ばね指」かもしれません。家事やパソコン作業など、手をよく使う人に多く見られるのは、ばね指です。軽く見て放置してしまう人もいますが、症状が進行すると手術が必要になる場合があります。
本記事では、ばね指の症状や原因をはじめ、保存療法や注射、手術といった治療法をわかりやすく解説します。
「今の自分の症状にはどんな治療が合っているのか」「病院に行くべきなのか」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
ばね指の治療法|一覧表
ばね指の治療には、大きく分けて保存治療・注射治療・手術治療・再生医療の4つがあります。
治療法 | 概要 | 効果 | 適応 |
---|---|---|---|
保存治療 | 指の安静、テーピング、装具固定、消炎鎮痛薬の内服や湿布などで炎症を抑える方法 | 症状の軽減や自然治癒を促す | 軽症〜中等症、発症初期 |
注射治療 | 炎症部位にステロイド薬を注射して腱鞘の腫れを抑える | 即効性があり、痛みや動きの改善が期待できる | 保存療法で改善がない場合 |
手術治療 | 腱の通り道(腱鞘)を切開して動きを改善する外科的治療 | 高い改善率。再発が少ない | 重症例、長期間改善がない場合 |
再生医療 | 自分の血液や細胞から抽出した成分を患部に注入し、組織の修復を促す | 根本的な回復を目指せる可能性 | 他の治療で改善が乏しい場合 |
症状の進行度や日常生活への支障度、既往歴や合併症の有無によって、選択する治療法が異なります。
軽症の場合はまず保存治療から始め、改善が見られない場合に注射や手術を検討するのが一般的です。自己の細胞を利用した再生医療も選択肢の1つになっています。
ばね指の保存治療
ばね指の治療は、症状が軽い場合や発症初期には保存治療から始めるのが一般的です。
保存治療とは、手術を行わずに日常生活での工夫や物理的なケアによって症状の改善を目指す方法です。ここからは、保存治療の方法と特徴を詳しくご紹介します。
安静
ばね指の初期段階では、指をできるだけ使わないようにして安静を保つのが重要です。
指の使い過ぎは腱や腱鞘に負担をかけ、炎症を悪化させます。パソコン作業やスマートフォン操作、手芸やスポーツなど、指を酷使する動作はできる限り控えましょう。
急性期には「RICE療法(安静・冷却・圧迫・挙上)」が有効で、安静の意識が改善につながります。
安静期間中は手全体の血流を妨げないよう注意し、無理に動かさないことがポイントです。
装具療法
装具療法では、サポーターを装着し、指を固定して腱の動きを制限します。
指を休ませることで炎症が鎮まりやすくなり、痛みや引っかかりが軽減されます。市販のサポーターもありますが、医療機関で作成する装具はフィット感が高く、症状に合わせて調整可能です。
就寝中のみ装着する場合や、日中の作業時に使用する場合など、使用時間は症状や生活習慣によって異なります。
自己判断で長時間固定すると関節が硬くなることがあるため、必ず医師の指示を守りましょう。
ストレッチ
ストレッチは、関節の柔軟性を保ち、腱の動きをスムーズにするための大切なケアです。痛みのない範囲で指を曲げ伸ばししたり、反対の手で優しく伸ばすことで、動かしにくさの改善や再発予防が期待できます。
安静や装具療法で一定期間指を使わなかった後は、関節や腱が硬くなりやすいため、医師やリハビリスタッフの指導を受けて正しい方法を行いましょう。
無理に強く伸ばすと炎症を悪化させることがあるため、回数や強さは少しずつ増やしていきます。
冷却・温熱療法
冷却療法(アイシング)は、炎症や腫れが強いときに有効です。氷や冷却パックをタオルで包み、患部に当てることで痛みを和らげます。
温熱療法は血流を促し、組織の修復を促します。温かいタオルや温熱パックを使って手全体を温めると、こわばりが取れやすくなります。
急性期は冷却を優先し、炎症が落ち着いてから温熱へ移行するのが一般的です。どちらも長時間行うと逆効果になるため、適切な時間と頻度を守ることが大切です。
薬物療法
薬物療法では、炎症や痛みを抑えるための薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を飲み薬や塗り薬として使用するのが一般的です。急性期の痛みや腫れを軽減し、日常生活が送りやすくなります。
薬の使用は短期間で効果を発揮することが多いですが、長期使用による胃腸障害や副作用のリスクがあるため、医師の指示に従って適切に使用しましょう。
薬はあくまで症状を抑えるものであり、原因そのものを取り除く治療ではないことも理解しておくことが大切です。
リハビリ
リハビリは、指の可動域を回復し、再発を予防するための重要な治療です。手術後や長期間固定を行った後は、指や手首の関節が硬くなっている場合が多く、専門的な可動域訓練が必要となります。
リハビリでは、ストレッチやマッサージ、筋力トレーニングを組み合わせて行い、腱の動きを滑らかにします。
自己流で無理に動かすと炎症が再発する場合があるため、理学療法士や作業療法士の指導を受けながら進めることが望ましいです。
再生医療
再生医療は、患者様自身から採取した幹細胞を培養し、患部に投与する治療法です。幹細胞が持つ、他の細胞に変化する能力「分化能」を利用します。
再生医療では、ご自身の幹細胞を活用するため副作用のリスクが少なく、手術や入院も必要としません。「手術は避けたい」とお考えの方にとって、新たな選択肢となる可能性があります。
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ばね指の注射治療
注射治療は、炎症を起こしている腱鞘にステロイド薬を直接注入し、腫れや痛みを抑える方法です。即効性が高く、1回の注射で約60〜90%の方に症状改善がみられます。(文献1)とくに、保存治療で改善が乏しい場合や、早く日常生活に復帰したい場合の選択肢です。
ただし、効果は永続的ではなく、半年後の再発率は約30%、1年後では約50%と報告されています。(文献1)繰り返し注射することで効果が薄れやすく、副作用のリスクもあるため回数には制限があります。
注射はあくまで症状を抑える治療であり、根本的な原因を解消するものではありません。再発を防ぐには生活習慣の見直しや、必要に応じたほかの治療との併用が重要です。
ばね指の手術治療
ばね指が重症化している場合や、保存治療や注射治療でも改善がみられない場合は、手術治療が検討されます。
手術では、腱の通り道である腱鞘を切開して指の動きを改善します。この方法は高い改善率が期待でき、再発も少ないのが特徴です。
代表的な方法には、皮膚を切開して行う「腱鞘切開術」と、皮膚を大きく切らずに行う「経皮的腱鞘切開術」の2つがあります。それぞれメリット・デメリットがあるため、症状や生活スタイルに合わせて医師と相談し、自分に合った方法を選びましょう。
腱鞘切開術
腱鞘切開術は、ばね指の手術治療でもっとも一般的な方法です。局所麻酔を行い、指の付け根部分の皮膚を切開します。
次に、腱が通るトンネル状の組織である腱鞘の一部を切開し、腱の動きを妨げている圧迫を取り除くと、指の引っかかりや痛みが改善され、スムーズに動かせるようになります。
手術は日帰りで行えることがほとんどです。術後は縫合部が治るまで安静を保ち、その後リハビリで可動域を回復させます。再発の少ないのが特徴です。
経皮的腱鞘切開術
経皮的腱鞘切開術は、皮膚を大きく切らずに行う低侵襲の手術方法です。
局所麻酔のもと、エコー(超音波)で腱と腱鞘の位置を確認しながら、針のような細い器具で皮膚の上から腱鞘を切開します。手術時間も短く、術後の痛みや腫れが軽減されやすいのがメリットです。
経皮的腱鞘切開術も日帰りで行えることがほとんどです。適応は症状や医師の判断によって異なります。
ばね指を治療する上でやってはいけないこと
ばね指の改善には、治療だけでなく日常生活での注意も重要です。次のような行為は症状を悪化させる原因となるため避けましょう。
やってはいけないこと | 理由 |
---|---|
無理な伸縮 | 痛みや炎症がある状態で指を強く伸ばしたり曲げたりすると、腱や腱鞘を傷つけ悪化する |
必要以上のマッサージ | 自己流で長時間揉むと炎症が助長され、腫れや痛みが強くなる場合がある |
放置 | 症状を放っておくと進行し、最終的に手術が必要になる可能性がある |
詳しい注意点や改善のポイントは下記の記事をご覧ください。
ばね指になったら適切な治療方法を選択しよう
ばね指は、症状の進行度や生活への支障度に応じて、保存治療・注射治療・手術治療など複数の選択肢があります。早期に適切な方法を選べば、悪化を防ぎ、回復を早めることが可能です。しかし、自分にはどの治療が合っているのかわからない方も少なくありません。
リペアセルクリニックでは、受診前でも情報を得られるよう、LINEで再生医療に関する情報や、ばね指の簡易オンライン診断のご案内を行っています。まずは専門的な知識を得ることが、納得のいく治療の選択につながります。治療に迷ったら、ぜひLINEからお気軽にご相談ください。
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ばね指の治療に関するよくある質問
ゴルフのやりすぎでばね指になりますか
手や指を酷使するスイングや練習を繰り返すと、腱や腱鞘に負担がかかり、ばね指になる可能性があります。長時間の練習や、握力を強く使うショットが多い場合は要注意です。
痛みや違和感があるときは無理をせず、安静やストレッチでケアし、早めに医療機関で相談しましょう。
授乳中でもばね指の治療はできますか
授乳中は薬の使用に制限がありますが、固定や軽い指の運動、温めによる血流改善などで対応できます。症状によっては、装具療法やストレッチ、物理療法を中心に治療を進めます。
痛みが強い場合でも、母乳への影響を避けつつ安全な治療法を選べますので、必ず医師に相談してください。
ばね指を自分で治すストレッチ法を教えてください
腱鞘ストレッチや親指の腱鞘ストレッチ、指全体のストレッチが有効です。関節や腱の柔軟性を保つことで、症状の改善や再発予防につながります。痛みのない範囲で行い、無理に伸ばさないことが重要です。
正しい方法や回数は医師や理学療法士の指導を受けるとより効果的です。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
ばね指の手術はどのような状態だと選択されますか
痛みで仕事や家事に常に支障がある場合や、弾発現象(カクンと跳ねるような現象)が強く自力で指が伸ばせない場合、固定療法や注射でも改善しない場合に検討されます。症状が長期化して関節が硬くなってきたケースでも、早めに手術を行うことで回復がスムーズになることがあります。
ばね指の原因はビタミン不足ですか?
直接の原因ではありませんが、栄養不足が炎症や回復力に影響し、症状が悪化しやすくなる可能性はあります。ビタミンB群、C、Eなどは腱や神経の健康に関わります。偏った食生活が続くと改善が遅れることがあるため、日常的にバランスの取れた食事を心がけることが大切です。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
参考文献