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関節リウマチとは?初期症状・原因・診断・治療・生活上の注意

関節の腫れや痛み、朝のこわばりが続いて「もしかしてリウマチ?」と、不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
関節リウマチは自己免疫の異常によって関節に炎症が起こる慢性疾患で、進行すると関節の破壊や変形につながるケースがあるため注意が必要です。
本記事では、関節リウマチの特徴や原因、診断方法、治療の選択肢などをわかりやすく解説します。
症状の悪化を防ぎながら生活の質を維持したい方、予防したい方は参考にしてみてください。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、治療の選択肢の一つ「再生医療」の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。
目次
関節リウマチとは
関節リウマチとは、自己免疫の異常によって関節の滑膜(関節を包む薄い膜)に炎症が起こり、腫れや痛み、こわばりを生じる慢性疾患です。
炎症が続くと軟骨や骨が破壊され、関節の変形や機能障害が進行します。
手指や手首、足首など小さな関節から症状が現れるケースが多く、全身の倦怠感や微熱を伴うことも少なくありません。
とくに女性に多く、30〜50歳代での発症が目立つのが特徴です。
関節リウマチの治療には長い期間を要する場合があるものの、早期に診断・治療を開始すれば、関節の破壊を予防して日常生活の質を維持できる可能性があります。
なお、似ている言葉に「リウマチ熱」がありますが、リウマチ熱は溶連菌感染が原因で起こる病気であり、関節リウマチとの関係性はありません。
関節リウマチの初期症状
関節リウマチは、発症初期から指の関節のこわばりや関節の腫れといった、体に特徴的なサインが現れます。
もっとも多いのが指の関節のこわばりで、とくに朝起きた直後に手指が動かしにくくなる「朝のこわばり」が典型的な初期症状です。
こわばりは30分以上続く場合もあり、症状が進むと日常動作に支障をきたします。
また、関節の腫れも初期からよく見られる症状です。
手指や手首、足首などの小関節が赤く腫れて押すと痛みを伴うほか、倦怠感や微熱、食欲低下など全身症状が併発するケースもあります。
炎症によって関節が熱を持ち、左右対称に症状が出るのも特徴です。
指や手首の違和感や腫れが数週間以上続く場合は、早めにリウマチ専門医を受診しましょう。
初期段階で適切な治療を開始すれば、関節破壊や変形の進行防止を目指せます。
以下の記事では、関節リウマチの初期症状についてさらに詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
関節リウマチの原因・メカニズム
関節リウマチを発症する原因には、おもに以下3つの要因が考えられています。
- 自己免疫疾患
- 滑膜(かつまく)の炎症
- 遺伝的な素因
関節リウマチは自己免疫疾患の一種であり、本来は体を守る免疫が誤って自分自身の組織を攻撃し、発症します。
関節を覆う滑膜が標的となり、炎症が持続するのが特徴です。
滑膜は関節の動きを滑らかに保つ役割を持ちますが、炎症によって厚く腫れると関節内に炎症細胞や異常な組織が増殖します。
炎症が続くと組織が軟骨や骨を破壊し、関節の破壊や変形を引き起こすのです。
さらに、炎症物質が血流を介して全身に広がると、倦怠感や微熱、貧血などの全身症状を伴うケースもあります。
発症には遺伝的な素因も関与しており、特定のHLA遺伝子型を持つ人では発症リスクが高いことが知られています。
ただし、遺伝だけでなく喫煙や感染症、ホルモンバランスの変化など環境要因も複雑に関係している点も見逃せません。
また、やや専門的になりますが、体内で炎症が起こると「IL-6」や「TNFα」などのサイトカインという物質が過剰に分泌され、さらに炎症を悪化させる点も押さえておきましょう。
なお、関節リウマチの原因については以下の記事でも詳しく解説しています。
関節リウマチになりやすい人
関節リウマチは誰にでも発症の可能性がありますが、特定の年齢層や生活習慣を持つ人で発症率が高いことが知られています。
遺伝的素因と環境要因の組み合わせが影響しており、生活習慣や性別、年齢によってリスクが異なるのです。
ここでは、関節リウマチになりやすい人の特徴を解説します。
30~50代の女性
関節リウマチを発症する男女比は約1:4と女性に多く、とくに30〜50代の発症が目立ちます。(文献1)
女性が多い背景には、女性ホルモンの変動が関係していると考えられています。
女性ホルモンのエストロゲンには免疫調整作用がありますが、分泌が減少すると免疫異常が起こりやすくなるのです。
妊娠や出産、更年期などでホルモンバランスが変化する時期には、関節リウマチの早期発見に敏感になることも対策の一つといえるでしょう。
喫煙している人
喫煙は、関節リウマチの発症リスクを高める重要な要因の一つと考えられています。
タバコの煙に含まれる有害物質が免疫細胞を刺激し、自己抗体の産生を促進するとされているのです。
また、喫煙は発症後の病状悪化や治療効果の低下とも関連します。
禁煙すればリスクを低下させる効果が期待できるため、予防や症状管理の観点からも有効です。
喫煙が関節リウマチに与える影響については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関節リウマチの診断基準
関節リウマチの診断には、米国リウマチ学会(ACR)と欧州リウマチ学会(EULAR)が2010年に策定した分類基準が用いられます。(文献2)
診断は以下の表のように臨床所見と血液検査、症状の持続期間を点数化し、合計6点以上で関節リウマチと診断されます。
項目 | 内容 | 点数 |
---|---|---|
関節の腫脹 | 1関節〜10関節以上で加点 | 0〜5 |
血清学検査 | RFや抗CCP抗体の有無・値 | 0〜3 |
炎症反応 | CRPや赤沈(ESR)の異常 | 0〜1 |
症状の持続期間 | 6週間以上で加点 | 0〜1 |
ただし、上記の診断基準は、あくまで早期から治療を開始するための目安であり、必ずしもすべての症例に当てはまるわけではありません。
実際には、医師による総合的な判断によって診断されます。
関節リウマチの検査
関節リウマチの検査では、症状の確認に加えて複数の検査を組み合わせます。(文献1)
早期発見・治療のためには、血液検査や画像検査などを総合的に評価することが重要であるのが理由です。
ここでは、関節リウマチのおもな検査方法を紹介します。
血液検査
血液検査は、炎症の有無や自己抗体の存在を調べるために行われます。
代表的な検査項目は以下の通りです。
検査項目 | 目的 |
---|---|
リウマトイド因子 | 自己抗体の値を確認するため |
抗CCP抗体 | 免疫異常の有無をチェックするため |
CRP(C反応性タンパク) | 関節リウマチによる関節炎の度合いを確認するため |
赤沈 | 慢性炎症の有無を評価するため |
以下の記事では、関節リウマチにおける血液検査の種類や数値について医師が詳しく解説しています。
尿検査
尿検査は関節リウマチそのものの診断よりも、病気や治療による腎機能への影響を確認する目的で行われ、蛋白尿や潜血の有無を調べて腎臓の健康状態を評価します。
とくに、抗リウマチ薬や生物学的製剤を使用している場合は、副作用の早期発見に有用です。
画像検査
画像検査は、関節や骨の状態を直接評価する方法です。
X線やCT検査は、おもに治療開始後の関節破壊を評価するために行われます。
MRIは、より早期の炎症や骨の損傷を捉えられるのに役立ち、超音波検査は滑膜の炎症や関節液の貯留をリアルタイムで観察可能です。
上記のさまざまな画像検査の組み合わせにより、発症初期から進行度までを的確に把握し、治療方針を決定します。
関節リウマチの治療
関節リウマチの治療は、日常生活の質を維持しながら関節の破壊を防ぐことが主な目的です。薬による治療が中心ですが、生活習慣の改善や自然療法、さらには再生医療まで選択肢は広がっています。
ここでは、「薬物療法」「自然療法」「再生医療」について見ていきましょう。
薬物療法
関節リウマチの治療は、炎症を抑えて関節破壊を防ぐのが目的であり、薬物療法が基本です。
以下のような薬を用います。
- 抗リウマチ薬:免疫の異常を根本的に抑える
- 非ステロイド性抗炎症薬:炎症や痛みを軽減する
- 副腎皮質ステロイド:急性期の症状緩和に用いる
また、近年は生物学的製剤やJAK阻害薬など、特定の炎症物質に作用する治療薬も選択肢となっています。
関節機能を長く保つには、これらの薬を症状や進行度に応じて組み合わせ、早期に治療を開始することが必須です。
関節リウマチの薬については、以下の記事でも取り上げています。
「薬を飲まないとどうなのか」なども詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
自然療法
関節リウマチの治療には、以下の3つの方法による自然療法もあります。
方法 | 内容 |
---|---|
炎症コントロール | 抗炎症食材(青魚、野菜など)を積極摂取し、炎症を悪化させる赤身肉、加工食品は控える |
腸内環境の改善 | 免疫細胞の約7割が集まる腸を整えることで、免疫システム全体の正常化を図る。プロバイオティクスや消化酵素の補充が有効。 |
免疫システムの調整 | ホルモンバランスの調整、デトックス、薬用キノコ(椎茸など)による免疫バランスの正常化を行う。 |
これらのアプローチは数ヶ月単位の継続が必要ですが、体質改善を目指せます。
再生医療
再生医療では、患者様自身の幹細胞や血液を利用する治療法です。
治療法 | 内容 |
---|---|
幹細胞治療 |
|
PRP療法 |
|
PRP療法は炎症に対するアプローチであり、根本的な原因に対する治療ではないという点には注意が必要です。
以下では関節リウマチに対する再生医療について紹介しています。あわせてご覧ください。
関節リウマチのしてはいけない10項目
関節リウマチでは、日常生活での工夫が症状の悪化や関節破壊の進行を防ぐうえで重要です。
とくに以下に挙げた10項目は、関節に負担をかけたり、炎症を悪化させたりする可能性があります。
1.激しい運動を避ける
2.関節を冷やさない
3.和式トイレを使わない
4.高さのある枕を使用しない
5.体重増加に気を付ける
6.正座しない
7.重い物を持たない
8.ストレスを溜めない
9.喫煙しない
10.加工食品の摂取を控える
激しい運動や重い物を持つ動作は、関節に大きな負担をかけます。
また、冷えや過剰な体重は炎症を悪化させる要因となるため、十分に注意しなければなりません。
日々の生活習慣においては喫煙や加工食品の摂取を避け、ストレスをためないように心がけることも大切です。
避けるべき生活習慣を見直すことは、結果的に炎症や関節破壊の進行を抑え、日常生活の質を維持しやすくなります。
とくに症状が不安定な時期は、無理をせず関節をいたわる生活を心がけましょう。
関節リウマチのしてはいけない生活習慣については、以下の記事でも詳しく解説しています。
より理解を深めたい方はチェックしてみてください。
まとめ|関節リウマチは早期に対処しよう
関節リウマチは自己免疫の異常で関節に炎症が起こり、進行すると関節破壊や変形を引き起こします。
しかし、早期診断と適切な治療により、症状の改善や進行抑制を目指すことも可能です。
指や手首のこわばり、腫れが続く場合には放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。
また、関節の機能を守るための生活習慣の見直しも欠かせません。
当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEにて再生医療に関する情報発信や簡易オンライン診断を実施しています。
再生医療についての疑問や気になる症状があれば、以下のLINEボタンからお気軽にお問い合わせください。
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関節リウマチに関するよくある質問
何科を受診すれば良いですか?
関節リウマチが疑われる場合は、専門的に診療できるリウマチ科を受診しましょう。
また、整形外科や内科から専門医を紹介してもらう方法もあります。
関節リウマチに市販薬はありますか?
薬局では痛み止めを購入できますが、長期的な症状緩和を目的に市販薬を使い続けることは避けてください。
かえって症状を悪化させる恐れもあるため、必ず医師の診断と治療を受けましょう。
関節リウマチは発熱しますか?
関節リウマチでは、炎症の影響で微熱や発熱を伴う場合があります。
発熱が続くなら感染症の可能性も考慮し、早めに受診し医師の診断を受けましょう。
参考文献
(文献1)
関節リウマチ|大正製薬
(文献2)
関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)|慶應義塾大学病院 健康情報ひろば・KOMPAS