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アキレス腱炎とは|症状・原因・セルフチェック方法を現役医師が解説

足底腱炎
公開日: 2026.02.16

「朝、起きた直後の1歩が痛い」

「このまま様子をみていても大丈夫か知りたい」

アキレス腱に不調を感じている方のなかには、上記のように不安や悩みを抱える方もいるでしょう。

アキレス腱に炎症が生じる「アキレス腱炎」は、スポーツや日常生活を通して多くの方が経験する疾患ですが「これくらい大丈夫」と自己判断で放置するケースも少なくありません。

本記事では、アキレス腱炎の症状や原因を詳しく解説します。セルフチェック方法や治療法も紹介するので、受診するか悩んでいる方の参考になれば幸いです。

当院リペアセルクリニックでは、公式LINEにて簡易オンライン診断や、再生療法に関する情報を提供しています。アキレス腱炎の症状にお悩みの方は、お気軽にご登録ください。

アキレス腱炎の症状

アキレス腱炎は、ふくらはぎの筋肉とかかとをつなぐ「アキレス腱」に炎症が生じる疾患であり、主な症状は以下のとおりです。

  • 起床時や歩きはじめに痛む
  • 足首を上に曲げると痛む
  • 靴を履くと痛む
  • アキレス腱の痛みや腫れ・圧痛がある

アキレス腱炎の初期段階では、アキレス腱やその周辺へ軽い痛みを感じる程度で、体が温まると痛みが和らぐケースも多く、つい見過ごしがちになるのが特徴です。

しかし、症状が進行すると起床時や1歩を踏み出す際に、かかとの上あたりへ激しい痛みが走ります。さらに悪化した場合、日常動作でも支障をきたすだけでなく、靴を履く際にアキレス腱に触れると痛みを感じるケースもあります。

患部が少し腫れて熱っぽさを感じる、押すと強い痛みを生じるなどのケースも少なくありません。

ほかにも、アキレス腱の疾患にはアキレス腱が部分的または完全に切れて痛みを生じる「アキレス腱断裂」があります。

こちらの記事では、アキレス腱断裂に関して解説していますので、参考にしてください。

坂本 貞範
坂本 貞範
動くと痛みが消えるという症状は、良いサインにも悪いサインにもなり得ます。
どちらであるかをご自身で判断するのは難しいため、痛みが1週間程度続くようであれば、早めに医療機関を受診してください。

アキレス腱炎の原因

アキレス腱炎の根本的な原因は、アキレス腱にかかる過度な負荷であり、具体的には以下のとおりです。

  • アキレス腱に負荷のかかる激しい運動
  • アキレス腱の柔軟性が低下している
  • 合わない靴を無理に履いている

健康なアキレス腱はバネのように機能しますが、ランニングやジャンプなどで繰り返し強い負荷がかかると、腱を構成する線維に微細な傷が蓄積していきます。通常は自己修復されますが、休息不足で負担をかけ続けると修復が追いつかず、炎症や変性が生じて痛みとなって現れます。

原因は1つだけではなく、個人の身体的特徴や運動習慣などの要因が、複雑に絡み合って発症に至るケースも珍しくありません。

アキレス腱炎を起こしやすい人

アキレス腱炎は、以下の特定の身体的特徴を持つ方も発症しやすい傾向にあります。

  • 肥満傾向の人
  • 扁平足(へんぺいそく)の人
  • 高血圧の人
  • フルオロキノロン系およびキノロン系抗生物質を内服している人

アキレス腱は、年齢とともに硬くなり再生力も弱まるため、中高年層はアキレス腱炎を起こしやすい代表的な年代です。

また、肥満傾向のある方は、日常の歩行でも腱に大きな負担がかかりやすくなります。加えて、扁平足や回内足(足首が内側に傾く状態)など足の構造に問題がある方も、アキレス腱炎を発症するリスクが高いです。

ほかにも、フルオロキノロン系・キノロン系抗生物質を内服している方は、稀な副作用としてアキレス腱炎を引き起こす可能性があるといわれています。(文献1

アキレス腱炎を起こしやすい運動習慣

アキレス腱炎を起こしやすい運動習慣の具体例は、以下のとおりです。

  • 陸上競技
  • 剣道
  • ジャンプスポーツ

走る・ジャンプする動作を繰り返すスポーツは、アキレス腱に強い負荷を与えるため、とくに注意が必要です。

また、運動する環境も重要であり、アスファルトのような硬い路面ばかりでトレーニングすると、着地時の衝撃が直接アキレス腱へのダメージにつながります。クッション性が低下した古いシューズを使い続けるのも、アキレス腱炎のリスクを高める要因でしょう。

さらに、運動前のウォーミングアップ不足は、硬い状態の腱にいきなり負荷をかけるため危険です。運動後のクールダウンやストレッチを怠る習慣も、疲労回復を妨げ、アキレス腱の傷を蓄積させる一因となります。

アキレス腱炎の治療法

アキレス腱炎の治療法は、症状の程度や生活背景に応じて選択されます。大半は保存療法で改善しますが、重症化や慢性化すると手術を検討するケースも少なくありません。

当院では、メール相談やオンラインカウンセリングも実施しておりますので、アキレス腱炎の症状にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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保存療法

アキレス腱炎に対して行われる保存療法は、以下のとおりです。

治療方法

治療内容

安静

運動の中止、日常生活でも安静にしてアキレス腱への負荷を軽減させる

アイシング

氷や保冷材などで冷やして、痛みや腫れを軽減させる

薬物療法

湿布や消炎鎮痛剤などの外用薬・内服薬を使用して痛みや炎症を抑える

理学療法

医師や理学療法士によるストレッチやマッサージ、超音波治療などで血流改善と柔軟性を回復させる

装具療法

靴の中にヒールリフト装具を入れ、アキレス腱にかかる張力を減少させる

保存療法では、アキレス腱への負担を減らせるよう安静を心がけ、炎症を抑えるためにアイシングを行います。症状によっては、湿布や消炎鎮痛薬などの外用薬・内服薬を併用する場合も珍しくありません。

理学療法ではストレッチやマッサージ、超音波治療などを取り入れ、血流改善と柔軟性の回復を目指します。適切な靴やヒールリフト装具を使い、足への負担を軽減する工夫もアキレス腱の治療には重要です。

手術療法

保存療法を6カ月以上続けても症状が改善せず、歩行などの日常生活に支障をきたす場合に手術療法が検討されます。

手術は、炎症を起こして厚く変性した腱の傷んだ部分を切除し、健康な部分を縫い合わせて腱本来の滑らかな動きを取り戻します。アキレス腱がかかとの骨に付着する部分で炎症が起きている場合は、骨の出っ張りである骨棘(こつきょく)を削る処置も同時に行うケースがあるのも事実です。

ほかにも、カテーテルを使用して薬剤を注入し、炎症で増えた血管を減らす「血管内療法」を実施する場合もあります。

手術後は一定期間の固定とリハビリを行い、段階的に日常生活や運動に復帰していきます。再発を防ぐには、術後のリハビリを継続し、筋力と柔軟性を取り戻すのが大切です。

アキレス腱炎の治療期間

アキレス腱炎の治療期間は、症状の重さや発症からの経過、治療への取り組み方により大きく異なります。

比較的軽症で、発症後すぐに適切なケアを開始できた場合、数週間から3カ月程度で日常生活における痛みは軽快するでしょう。しかし、重症のケースでは回復するのに半年〜1年など、長期化するケースもあります。

また、症状がなくなっても、腱が運動の負荷に耐えられるかは別問題です。焦って運動を再開すれば容易に再発してしまうため、医師の指示のもと計画的にリハビリを進め、段階的に運動量を戻す工夫が重要です。

坂本 貞範
坂本 貞範
症状が出始めて1〜2週間の段階では炎症反応が主な原因であり、この時期に適切な治療に取り組めば数週間で改善する可能性が高いです。
しかし、3カ月ほど症状が続くと腱の変性が進んだり、負荷への耐性が低下したりするため、治療が半年から1年ほど長引くこともあります。早めの受診と適切な安静が、治療期間を短縮するポイントです。

アキレス腱炎のセルフチェック方法

アキレス腱炎の診断には、触診のほかに超音波やレントゲン・MRIなどの画像診断が行われます。アキレス腱炎の疑いがあるものの、受診するか悩んでいる場合は、以下の方法でセルフチェックしてみましょう。

  • 立ち姿勢からつま先立ちを繰り返す
  • 足首の後ろ側を指先で軽く押して痛みや腫れがないか確認する

まっすぐ立った状態でゆっくりとかかとを持ち上げ、つま先立ちになります。この際、アキレス腱やかかと周囲に痛みや違和感があれば、炎症が疑われます。

次に、足首の後ろ側を指先で軽く押してみて、腫れや圧痛、熱感がないか確認してください。反対側と比較し、腫れや輪郭のぼやけがある場合も注意が必要です。また、朝起きて1歩目に痛みを感じる場合や日常の動作で違和感が続くときは、無理せず整形外科を受診しましょう。

アキレス腱炎は早期に気づくと重症化を防げるため、自宅で行えるセルフチェックを習慣にするのが大切です。

アキレス腱炎のセルフケア方法

アキレス腱炎は1度発症すると長引きやすいため、医師の治療と並行して自宅でのセルフケアを取り入れるのが大切です。代表的な方法として、テーピング方法や湿布の貼り方、ストレッチ方法を紹介するので無理のない範囲で日常生活に取り入れていきましょう。

アキレス腱炎で痛みが出た際の対処法については、こちらの記事も参考にしてください。

坂本 貞範
坂本 貞範
ご自身で調べてセルフケアを行うこともできますが、アキレス腱炎の程度に応じて適切なストレッチやテーピング、安静の度合いは異なります。
まずは医療機関で医師の診察を受け、理学療法士の指導のもとでセルフケアを開始することをおすすめします。また、「症状がどうなったら再度受診すべきか」という目安も確認しておくと安心です。

アキレス腱炎になった際のテーピング方法

テーピングは、アキレス腱の動きを補助し、歩行時の負担を軽減する目的で行います。アキレス腱炎のテーピング方法をみていきましょう。

  1. かかとからふくらはぎまでテープを貼る
  2. くるぶしの内側からふくらはぎの外側へ引っ張りながらテープを貼る
  3. くるぶしの外側からふくらはぎの内側へ引っ張りながらテープを貼る
  4. 足首に1周テープを巻き固定する

テーピングの際は、過度にきつく巻くと血流が妨げられるため、心地良い圧迫感を意識するのが重要です。また、かぶれの原因になるため、強く引っ張りすぎないよう注意し、長時間貼り続けるのは控えてください。

運動時や長時間歩く際は、テーピングでサポートするとアキレス腱への負担を減らせます。ただし、自己流では逆効果になるケースもあるため、医師の指導を受けましょう。

アキレス腱炎の湿布の貼り方

湿布は、痛みの原因である炎症を抑えるのを目的として使用します。

アキレス腱炎の場合、湿布はアキレス腱からかかとにかけて貼るのが基本です。アキレス腱からかかとに向かって、湿布を伸ばしながら貼るとフィットしやすくなります。

湿布には温湿布と冷湿布がありますが、使用する際は以下の症状を目安に選択しましょう。

湿布の種類

使用目安となる症状

冷湿布

アキレス腱の腫れや急な痛みが出た場合(急性期)

温湿布

長引く痛みや筋肉の緊張が続いている場合(慢性期)

湿布は運動後や夜間に貼ると、炎症の広がりを防ぎ、就寝中に筋肉を休ませられるためおすすめです。

アキレス腱炎のストレッチ方法

アキレス腱炎の予防や改善には、ふくらはぎからアキレス腱までの柔軟性を高めるストレッチが欠かせません。代表的なストレッチ方法は、以下のとおりです。

ストレッチ方法

手順

つま先立ち

・壁や手すりにつかまり、階段や段差につま先を乗せて立つ

・かかとをゆっくりと下げ、10秒キープする

・かかとをゆっくりと上げ、つま先立ちで10秒キープする

・2セットを目安に繰り返す

アキレス腱伸ばし

・壁に向かい、まっすぐ立ち壁に両手をつく

・片足を後ろに下げ、かかとを床につける

・ふくらはぎをゆっくり伸ばして20〜30秒キープする

・ゆっくり戻り、足を入れ替えて同様に行う

アキレス腱のストレッチをする際は無理せず、痛みが出ない範囲で行います。痛みが強い場合は中止し、症状が続くようでしたら医師に相談してください。

アキレス腱炎かもしれないと思ったら早めに受診しよう

アキレス腱炎はかかと周辺の痛みや腫れ、朝のこわばりが主な症状であり、原因にはアキレス腱にかかる過度な負荷や腱の柔軟性低下などが挙げられます。

アキレス腱炎の治療は保存療法が中心で、ストレッチやテーピング、湿布などセルフケアも併せて行うと効果的です。

アキレス腱炎の初期症状では、歩き始めの痛みや違和感を覚える程度なため軽視されがちですが、放置すると慢性化やアキレス腱断裂のリスクもあります。痛みが続く場合は自己判断せず、医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。

アキレス腱炎に関するよくある質問

アキレス腱炎をほっとくとどうなる?

アキレス腱炎を放置すると、炎症が慢性化し腱の組織が硬くなるため、痛みが強くなり歩行や階段昇降さえ難しくなる可能性があります。また、症状が一時的に改善しても再発し、痛みが長引くケースもあります。

アキレス腱は立つ・座る・歩くなど、運動以外にも多くの日常動作に関与する部位です。アキレス腱炎を「ただの疲れ」と軽視して放置せず、早めに受診しましょう。

坂本 貞範
坂本 貞範
慢性化すると、病態がアキレス腱炎からアキレス腱症へと変化し、腱の変性や荷重への耐性低下が生じます。
こうなると炎症を抑えるだけでは不十分であり、リハビリテーションを中心とした中長期的な治療が必要になります。「ただの疲れ」と軽視せず、早めに受診することが大切です。

アキレス腱炎は走りながら治すことができる?

アキレス腱の痛みを抱えたまま「走りながら治す」のは原則として困難であり、推奨されません。

アキレス腱炎を抱えたまま走り続けると炎症が悪化し、完治までの期間が延びる恐れがあります。また、無理に走っても患部をかばうため、フォームが崩れ転倒などのリスクが高まる場合もあります。

軽度の症状でも、ランニングなどの強い負荷は控えた方が良いでしょう。

痛みが落ち着いた段階で、医師や理学療法士の指導を受けながら段階的に運動を再開するのがおすすめです。リハビリとしてウォーキングやストレッチを取り入れ、筋力と柔軟性を回復させてからランニングを再開すると、再発防止にもつながります。

坂本 貞範
坂本 貞範
「痛みが良くなってきたから治った」「痛みがまだ残っているから絶対安静」というように、極端に捉えてしまう方は治療が長引く傾向にあります。
アキレス腱炎の治療には適切な運動負荷をかけることも必要ですので、自己判断せずに医師や理学療法士と相談しながら段階的に進めていくことが大切です。

参考文献

(文献1)

フルオロキノロン系及びキノロン系抗菌薬(経口剤及び注射剤)の「使用上の注意」の改訂について|独立行政法人 医薬品医療機器総合機構