アキレス腱を押すと痛いのはなぜ?アキレス腱炎の原因と治療法を解説
公開日: 2023.04.21更新日: 2024.10.28
アキレス腱はふくらはぎの筋肉からかかとの骨につながる腱であり、歩行やランニングにおいて重要な役割を果たしています。
アキレス腱周囲の痛みを起こす病気として、アキレス腱自体に痛みの原因がある「アキレス腱炎」と、腱がかかとの骨に付着する部分に痛みの原因がある「アキレス腱付着部症」があります。どちらも慢性的な負荷や急激な運動量の増加によって引き起こされることが多く、ランニングやジャンプ競技を行うスポーツ愛好家に多く見られますが、どこにどんな痛みがでるのでしょうか。
この記事では、アキレス腱炎の原因や症状や治療方法と対策について詳しく解説していきますので参考にしてみてください。
・アキレス腱付着部症
目次
アキレス腱炎の症状【押すと痛い】
アキレス腱炎の主な症状は、腱部を押すことで生じる痛みです。安静時の痛みはないことが多く、運動時の痛みや、腫れがみられる疾患です。
痛みの部位はアキレス腱がかかと踵の骨に付着している部分から頭側2~6cmがほとんどで、足関節を反らした際に腱が伸びることで痛みが増幅します。
アキレス腱炎の原因
アキレス腱炎の主な原因はスポーツに関連したものが多いです。例えば、自転車などでのオーバーユース(使いすぎ)や、不適切なランニングフォームで行ったランニングなどがあります。誤ったトレーニングによる負担の増加が主な原因です。
また、肉体労働による繰り返し作業で発症する可能性もあります。
上記に当てはまらず原因に心当たりがない場合は、別の病気あるいは合併症の可能性も考えられるため早めの受診が大切です。
アキレス腱炎の診断方法
アキレス腱炎を疑う場合は整形外科を受診しましょう。痛みの部位や症状、発症原因からある程度の診断は可能ですが、補助的に画像検査を行うことがあります。
レントゲン・エコー・MRIによる診断
レントゲン写真ではアキレス腱の内部に石灰化を認めることがあり、エコーではアキレス腱の肥厚と腱周囲の血流の増加を確認できる場合があります。
またMRIが診断に有用であり、アキレス腱の肥厚や、腱の炎症を反映して腱の内部や周囲の異常信号をしめす場合があります。
アキレス腱炎の治療と期間について
初期の治療は基本的に保存治療が行われ、症状が改善しない場合には手術を行うケースもあります。
この項目では、保存療法及び手術療法の内容・期間について詳細に解説します。
保存療法の場合
軽症の場合は全治3ヶ月程度かかります。
治療は整形外科で行うことが多く、以下の療法を用います。
- ・局所安静
- ・アイシング
- ・鎮痛薬の服用や局所への注射
- ・理学療法士によるリハビリ
- ・ストレッチングの指導・マッサージなど
局所の安静についてですが、痛みが強い場合には炎症度が高いため、松葉杖を使用するなどして痛い方の足を無理に使わない行動をします。
局所への注射は、アキレス腱と周囲の組織の癒着を剥離する筋膜リリースや炎症を抑えるステロイドの投与などが行われます。
また整骨院の通院についてもおこなっていただいて構いません。整骨院では電気治療や超音波治療・低周波治療器での治療・温める温熱療法などを行う場合があり、医師の指導のもと治療を受けるようにしてください。
手術療法の場合
保存治療をおこなっても6ヶ月以上痛みが続いて効果が実感できない場合など、保存療法での完治が難しい場合には手術治療の方法もあります。
手術では皮膚を切開して、炎症を起こしている腱の周囲の組織を部分的に切除します。さらに腱自体に異常がある場合には腱の部分切除を行い、腱の切除部分が多くなった場合には他の部位から腱を移植します。
病気の重症度によって治療内容が異なるため、治療費もさまざまです。詳しい治療費の見込みについては担当医師に確認してください。
押すと痛いアキレス腱炎の緩和方法
安静 | 痛み発症後2〜6週間程度の安静処置 |
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ストレッチ | 足関節を反らしてアキレス腱を伸ばす |
運動療法 | かかとを上げる動作によって筋力を強くする |
サポーター・インソールの使用 | 足関節が反りすぎないように制限・アキレス腱への負担を減らす |
お薬の使用 | 安静処置と並行して行い痛みを緩和させる |
整体・整骨院などでの治療 | マッサージやツボを刺激して痛みを軽減させる |
押すと痛いアキレス腱炎の主な緩和方法は上記のとおりです。
具体的な内容は以下の関連記事で紹介しているので確認いただき、現在の症状状況にあわせて実施してみましょう。
アキレス腱炎についてよくある質問
この項目では、アキレス腱炎に関するよくある質問を紹介します。
アキレス腱炎で痛くなる場所はどこ?
アキレス腱がかかとの骨に付着している部分から中枢側で腱自体に痛みがある病気を「アキレス腱炎(別名:アキレス腱周囲炎)」と言います。
アキレス腱とかかとの骨の境界部分の痛みは「アキレス腱付着部症」といい、治療方法が多少変わってきます。
アキレス腱炎に対する注射は効果がある?
炎症を抑える目的で腱内部や周囲にステロイドを注射する方法があります。しかし、腱の脆弱化や断裂を起こす可能性があるので複数回の注射は勧められません。
また、腱の周囲を剥離する目的でヒアルロン酸や生理食塩水などの注射を行う場合もあります。
しかし、病気の状態によってはご本人に適していないケースや、そもそも注射処置を行なっていない施設もあるので事前の確認が望ましいです。
アキレス腱炎に効果的なストレッチはなに?
下腿三頭筋や太ももの裏にあるハムストリングのストレッチは、治療・再発の予防に効果的です。
下腿三頭筋のストレッチは階段や足台などの段差があるところに痛い方の足の先をかけ、かかとをゆっくりと降ろしていきます。我慢できる程度の痛みの範囲で10〜15秒ほど伸ばすのを3回行い、これを朝・夕の1日2回実施してみてください。
夜にストレッチを実施する場合は、入浴後のなど身体が温まっている状態で行うのが効果的です。
まとめ|アキレス腱を押すと痛くなる前に適切なケアを心がけよう
アキレス腱部の痛みはアキレス腱炎のほかに、アキレス腱付着部症と呼ばれるいう病気があります。どちらもオーバーユースや急な運動によって起こります。
また、アキレス腱炎を防ぐためにも適切な靴の選択・正しいフォームの維持・無理のない運動計画・そして運動前後のストレッチが重要です。痛みや異常を感じた場合は、早期に整形外科を受診し、専門的な診断と治療を受けましょう。
▼以下、セルフケアについて記しています。
アキレス腱炎のつらい痛みの治し方!自宅でできるセルフケアのポイントとは?