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心筋梗塞の入院期間はどれくらい?治療法・重症度別の目安や費用についても解説

心筋梗塞と診断され、「いつ退院できるのか」「仕事にはいつ戻れるのか」と不安を感じている患者さまやご家族も多いのではないでしょうか。
心筋梗塞の入院期間は、行われた治療や発症時の重症度によって数日から1カ月以上まで幅があります。入院中の見通しや退院後の生活をイメージしておくことは、治療に向き合う上でも大切です。
本記事では、治療法・重症度別の入院期間の目安から、治療費・高額療養費制度の活用法、退院後の仕事復帰や日常生活の注意点まで詳しく解説します。この記事を読めば、心筋梗塞の入院期間と退院後に必要な準備が具体的にわかるようになるので、ぜひ最後までお読みください。
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目次
心筋梗塞の入院期間は「治療法」と「重症度」で大きく変わる
心筋梗塞の入院期間を左右する最大の要因は、実施された治療の種類と、入院時の重症度・合併症の有無です。
一口に「心筋梗塞」と言っても、軽症でカテーテル治療が成功した症例と、心臓のポンプ機能が著しく低下する「心原性ショック」を合併した重症例とでは、入院日数に大きな差が生じます。
治療法別の入院期間の目安は以下のとおりです。
| 治療アプローチ・病態 | 標準的な入院期間 |
|---|---|
| カテーテル治療(PCI)(軽症・予定治療) | 3日〜7日程度 |
| 急性心筋梗塞への緊急PCI(合併症のない標準的な症例) | 7〜14日間(平均10日前後) |
| 冠動脈バイパス手術(CABG)(多枝病変・カテーテル困難例) | 12〜21日間(2〜3週間) |
| 心原性ショック・重症合併症あり(重篤な心不全・心破裂・致死的不整脈) | 1カ月以上 |
それぞれ治療法別に詳しく解説します。
以下の記事では、心筋梗塞の後遺症について詳しく解説しています。
カテーテル治療(PCI)の場合:3日〜2週間程度
カテーテル治療(PCI)は、腕や足の付け根から細い管を血管に通し、詰まった冠動脈を内側から広げる治療法です。正式名称は経皮的冠動脈インターベンションといいます。
全身麻酔が不要で体への負担が少ないため、回復が早いのが特徴です。症状が安定している方や、あらかじめ日程を決めて受ける場合は、2日〜4日程度で退院できるケースもあります。(文献1)
発作後に緊急カテーテル治療を受けた場合、術後はCCU(心臓専門の集中治療室)に移り、心臓の状態を24時間体制で観察します。問題がないことを確認しながらリハビリを進め、10〜14日間での退院が一般的です。(文献2)
冠動脈バイパス手術(CABG)の場合:2〜3週間程度
複数の血管が詰まっていてカテーテル治療では対応が難しい場合、胸を開く手術(冠動脈バイパス手術/CABG)が選択されます。全身麻酔で行われ、体への負担が大きいため回復に時間がかかります。なお、近年は人工心肺を使わない術式(OPCAB)も増えています。
一般的な入院期間は術式にかかわらず約2〜4週間程度です。(文献3)術後は集中治療室で体の状態を観察したのち一般病棟へ移り、傷の回復と段階的なリハビリを並行しながら退院を目指します。
合併症がある重症例:1カ月以上になることも
心臓がほとんど血液を送り出せない状態や重篤な心不全、危険な不整脈などを合併した重症例では2週間から1カ月、場合によってはそれ以上の入院になるケースも少なくありません。(文献1)
このような場合、心臓の働きを機械で補助する装置を一時的に使うことがあり、その装置を安全に取り外せるまでに時間がかかります。また、全身の臓器へのダメージの回復や、長期安静で低下した体力の回復にも時間が必要です。
以下の記事では、心不全について詳しく解説しています。
【関連記事】
厚生労働省データが示す在院日数の推移
厚生労働省の調査(令和2年患者調査)によると、心疾患全体の平均在院日数は24.6日となっています。(文献4)
かつて(1998〜2002年)の日本では急性心筋梗塞患者の平均在院日数は31.2日と、欧米の約1週間と比べてかなり長い傾向がありました。その後、治療技術の進歩や医療制度の変化により、近年は大幅に短縮されています。(文献5)
心筋梗塞の入院後はどう進む?治療の流れと退院までの期間目安
心筋梗塞で入院した後、治療から退院までの流れは「緊急処置→経過観察→リハビリ→退院」という流れで進み、症状の重さによって入院期間が変わります。
- ①搬送直後:詰まった血管を通す緊急処置(数時間〜1日)
- ②治療後:心臓の状態を24時間見守る(3〜7日)
- ③状態が落ち着いたら:一般病棟でリハビリ開始
- ④退院が認められる条件
それぞれの段階で何が行われるのか、順に見ていきましょう。
①搬送直後:詰まった血管を通す緊急処置(数時間〜1日)
病院に到着後、まず詰まった冠動脈にカテーテル治療などで血流を回復させる緊急処置が行われます。
心筋へのダメージを最小限に抑えるため、到着からできる限り早い処置が重要とされています。
②治療後:心臓の状態を24時間見守る(3〜7日)
緊急処置が終わると、心臓の動きを集中管理できる専用の病室(心臓集中治療室)に移ります。不整脈や心臓の働きに問題が起きていないかを継続して確認しながら、体の回復を待ちます。
この期間はおおむね3〜7日程度です。
③状態が落ち着いたら:一般病棟でリハビリ開始
心臓の状態が安定したら一般病棟に移り、少しずつ体を動かすリハビリが始まります。
かつては長期安静が基本でしたが、現在は早期から動いた方が回復に良いとされており、医師が心拍数・血圧・体温などを確認しながら、安全を見極めたうえで段階的に活動量を増やしていきます。
④退院が認められる条件
以下がすべて整って初めて自宅退院が認められます。
- 胸痛・息切れなど、心臓に関係する症状がない
- 足のむくみや急な体重増加など、心臓の負担を示すサインがない
- 日常の動作に支障がない程度まで体力が回復している
- 薬の飲み方や退院後の生活について、患者さまとご家族への説明が完了している
退院までの目安は、軽症(カテーテル治療がうまくいったケース)なら3〜4日、心臓の働きが低下していたり合併症があったりする場合は2〜4週間以上かかることもあります。症状の重さや体の回復ペースによって個人差が大きいため、あくまでも目安としてご参照ください。
心筋梗塞の入院費用はいくらかかる?
心筋梗塞の治療は高度な医療を要するため、医療費は高額です。ただし、日本の公的医療保険制度を活用することで、実際の自己負担額はかなり抑えられます。
- カテーテル治療(PCI)の場合
- バイパス手術(CABG)の場合
それぞれの費用目安と入院費用を抑えるために使える制度について解説します。
カテーテル治療(PCI)の場合
1〜2週間の入院とカテーテル治療を行った場合、保険適用前の医療費の総額はおよそ100万〜180万円になります。
通常の3割負担だと30万〜54万円ですが、後述の高額療養費制度を使うと、一般的な所得水準であれば最終的な自己負担は8万〜9万円前後に収まります。
バイパス手術(CABG)の場合
全身麻酔・長期入院を伴うバイパス手術では、保険適用前の医療費の総額が300万円前後に達することもあります。
3割負担の単純計算では100万円になりますが、高額療養費制度を適用すると自己負担はカテーテル治療とほぼ同水準の8万〜10万円前後に抑えられます。
入院費用を抑えるために使える制度
心筋梗塞の入院は費用が高くなりがちですが、以下の公的制度を活用することで自己負担を抑えられます。
| 制度名 | 対象者 | 内容 |
|---|---|---|
| 高額療養費制度 | 公的医療保険に加入している方 | 月の医療費自己負担が一定額を超えた分が戻ってくる。事前に「限度額適用認定証」を取得すると窓口での支払いを最初から抑えられる |
| 傷病手当金 | 会社員・公務員など社会保険加入者 | 病気で働けない期間、給与のおよそ3分の2が最長1年6カ月間支給される |
| 障害年金 | 重度の心不全・ペースメーカー装着など | 日常生活に大きな支障がある場合に受給できる可能性がある |
| 医療費控除 | 年間医療費が10万円を超えた方 | 確定申告で所得税・住民税が軽減される(保険給付金は差し引いて申告) |
(文献6)
手続きの方法や受給要件は各制度によって異なるため、加入している保険の窓口や病院のソーシャルワーカーに相談することをおすすめします。
心筋梗塞退院後の生活と社会復帰について
カテーテル治療で血流が回復しても、心筋梗塞の根本原因である動脈硬化が治ったわけではありません。退院後は再発を防ぐための生活管理が重要です。
仕事復帰はデスクワークであれば退院直後から可能なケースもありますが、体を使う仕事や夜勤は2〜3カ月かけて段階的に戻すことが推奨されます。自動車の運転は退院後最低1週間は控え、入浴は38〜40℃のぬるめのお湯で短時間にとどめます。また、処方された薬(抗血小板薬・血圧の薬・コレステロールの薬など)は自己判断で中止せず、継続することが再発予防の基本です。
仕事復帰の時期・運動・飲酒・禁煙・薬の飲み方など、退院後の生活について詳しくは以下の記事をご参照ください。
心筋梗塞の入院期間を正しく知り、退院後の生活に備えよう
心筋梗塞の入院期間は、カテーテル治療(PCI)の標準的な症例で7〜14日程度、バイパス手術(CABG)では2〜3週間、重症合併症を伴う場合は1カ月以上になることがあります。一方で、PAMI-II基準などの適切なリスク評価のもとでは早期退院が医学的に安全であることが、複数の大規模臨床研究によって示されています。
治療費については高額療養費制度を活用することで自己負担を大幅に軽減でき、傷病手当金や医療費控除との組み合わせでさらに経済的な負担を和らげることが可能です。
退院後は自己判断による服薬中止を避け、主治医の指示に従った生活管理と定期的な外来受診を続けることが、再発を防ぎ長期的な回復を実現するうえで何より大切です。
心筋梗塞後も心機能の低下が続いている方や、再発リスクが気になる方は、専門の医療機関へのご相談をお勧めします。
\再生医療という選択肢/
慢性的でつらい心筋梗塞後の心機能低下に対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。再生医療とは、患者さまご自身の血液や細胞が持つ自然治癒力を活用する治療法です。
【こんな方は再生医療をご検討ください】
- 心筋梗塞後、息切れや動悸が続いている
- 少し動いただけで疲れやすくなった
- 薬を続けているが心機能の回復が思わしくない
- 心筋梗塞後の心機能低下(心不全)と診断されている
心筋梗塞の入院期間に関するよくある質問
軽い心筋梗塞でも入院が必要ですか?
心筋梗塞になると、程度にかかわらず入院が必要です。「軽い」と感じられる場合でも、急性心筋梗塞の急性期には致死的不整脈や心機能の急激な低下が突然起こるリスクがあり、24時間体制での監視が欠かせません。
合併症のない軽症例では入院期間が3〜7日程度と短くなることはありますが、自宅での経過観察は推奨されていません。
カテーテル手術後、いつから仕事に戻れますか?
職種によって大きく異なります。デスクワークなど体への負担が少ない仕事であれば退院直後から可能なケースもありますが、力仕事・立ち仕事・夜勤が伴う場合は2〜3カ月程度かけて段階的に復帰することが推奨されます。
具体的な復帰時期は心機能の回復状況をふまえた担当医の判断が必要ですので、退院前に必ず確認してください。
心筋梗塞の治療費はどのくらいかかりますか?
カテーテル治療(PCI)の保険適用前の医療費総額は約100万〜180万円程度ですが、保険適用かつ高額療養費制度を適用することで、一般的な所得水準の世帯(年収約400万円)の自己負担額は約8万〜9万円前後に抑えられます。
バイパス手術(CABG)では医療費総額が300万円前後になることもありますが、同制度適用後の自己負担額はPCIとほぼ同水準になります。「限度額適用認定証」やマイナ保険証を活用することで、窓口での支払いを最初から上限額に抑えることが可能です。
参考文献
OPCABとCABGの手術後ADL獲得および心肺運動負荷試験結果の比較|CiNii
Predictors of length of hospital stay after acute myocardial infarction in Japan|PubMed





















