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「恥骨結合炎に効果的なストレッチはある?」「ストレッチで恥骨結合炎の痛みを和らげたいけれど、どこを伸ばせばいいかわ分からない……。」と悩んでいませんか。 恥骨結合炎は、腹筋と内ももの筋肉を伸ばすようにストレッチを行うと症状が楽になる場合があります。また、お尻のトレーニングや水中歩行などの簡単な運動も効果的です。 本記事では、恥骨結合炎の症状を緩和してくれるストレッチを部位別にご紹介します。家でできるものも多いので、恥骨結合炎で悩んでいる方はぜひ最後までチェックして、ご自宅で実践してみてください。 恥骨結合炎では腹筋と内ももの筋肉をストレッチしよう! 恥骨はちょうど下着で隠れるところにあり、陰毛の生え際あたりに触れる骨です。左右に1つずつある恥骨は、真ん中で軟骨をはさむように結合しており、これを恥骨結合といいます。そしてその恥骨結合に起きる炎症が恥骨結合炎です。 腹筋や内転筋はこの恥骨結合についている筋肉なため、筋肉の固さが恥骨結合に悪影響となります。そのため、恥骨結合炎には腹筋や内転筋のストレッチが有効です。 恥骨結合炎の多くは、ランニングなどのスポーツによる腹筋や太ももの内側にある筋肉(内転筋)のオーバーユース(使いすぎ)が原因です。 腹筋や内転筋が恥骨結合に大きな負荷がかかることで発症するため、これらの筋肉を伸ばすように意識してストレッチを行いましょう。 ちなみに、恥骨結合炎の詳細は以下の記事で詳しく解説しています。ストレッチだけでなく恥骨結合炎についてもっと知りたいという方は要チェックです。 恥骨結合炎に効く腹筋のストレッチ2選 腹筋(腹直筋)は恥骨結合についている筋肉であり、骨盤や背骨の動きをコントロールする筋肉です。スポーツをはじめ、あらゆる日常生活動作で力が入る部位であり、腹筋に固さがあると少しの動作でも恥骨に負担がかかります。 この章ではうつ伏せと四つ這いでできる腹筋のストレッチをご紹介します。2つとも自宅で簡単にできるので、ぜひ実践してみてください。 うつ伏せでする腹筋(腹直筋)のストレッチ 1.手のひらをついた状態でうつ伏せになる 2.手で床を押しゆっくり体を起こす 3.体を起こしきったところで30秒ほど深呼吸する このストレッチのポイントはみぞおちをできるだけ床につけながら体を起こしていくことです。みぞおちを意識せずに思い切り体を起こすと腰を反りすぎてしまい、腰の痛みにつながります。 みぞおちをつけながらゆっくり体を起こしていき、腹部の伸びを感じてください。 四つ這いでする腹筋(腹直筋)のストレッチ 1.四つ這いの姿勢になる 2.両手を肩のまっすぐ下につき、膝を腰幅に開く 3.息を吸いながらお腹をのぞきこむように背中をまるめる 4.息を吐きながらななめ上を見るように背中を反らす 5.呼吸しながら5回ほど繰り返す このストレッチのポイントは腹筋と背筋に力を入れて動かすことです。肩や脚に力が入ると肩・骨盤の位置が前後に動きやすく、十分に腹直筋が伸びません。 腹筋と背筋にしっかりと力を入れて背骨を大きく動かすことで腹直筋にストレッチがかかりやすくなります。 恥骨結合炎に効く内転筋のストレッチ3選 内転筋は太ももの内側につき、脚を閉じたり立っているときに脚と骨盤を支える働きをする筋肉です。 脚を動かした時に骨盤と脚の支えをコントロールする筋肉であり、とくにランニングやサッカーで強く働きます。 オーバーユースにより内転筋が固くなると恥骨に負担がかかるため、恥骨結合炎の痛みに悩んでいる方は意識的にストレッチを行いましょう。 この章では3つの姿勢で内転筋をストレッチする方法をご紹介します。 内転筋が柔らかくなるとスポーツのパフォーマンスも向上しやすいので、スポーツをする方は必見です。 あぐらでする内転筋のストレッチ 1.あぐらの姿勢から両方の足裏をぴったりとあわせて座る 2.あぐらのままおへそをぐっと引き上げるようにして骨盤を立てる 3.背筋をのばし、ゆっくり前へ倒れる 4.呼吸しながら内転筋を伸ばし、30秒持続する ポイントは骨盤を立ててしっかりと背筋を伸ばすことです。 内転筋は骨盤が後ろに倒れると縮みやすいため、姿勢を正してストレッチを行いましょう。 また、前に倒れる時に背中が丸くなりやすいため、前に倒す時も骨盤を立てて背筋を伸ばすよう意識して行ってみてください。 開脚でする内転筋のストレッチ 1.床に座って膝を伸ばしたまま開脚する 2.骨盤を立てて背筋を伸ばす 3.背筋を伸ばしたまま骨盤から前に倒れる 4.呼吸をしながら内転筋を伸ばし、30秒持続する ポイントはストレッチしているときに膝・背筋を伸ばしたままにすることです。膝や背筋が曲がると内転筋のストレッチの効果が弱くなってしまうため、注意しましょう。 また、体を前に倒した時に膝のお皿やつま先が内側を向いていても内転筋の伸びが悪くなります。そのため、膝とつま先を上に向けるよう意識してください。 立ってする内転筋のストレッチ 1.立って脚を大きく開く 2.膝を曲げて四股の姿勢になり、膝の上に両手を乗せる 3.肘を伸ばしたまま伸ばしたい側の肩を内側に入れていく 4.片側を30秒ほど伸ばしたら、反対側も同様に伸ばしていく 肩を内側に入れるときに、膝が内側に向かないようしっかりと手で抑えることが大切です。 肩が内側に入るときに膝も内側に捻られると、内転筋のストレッチが弱くなってしまうため、膝をしっかり手で押さえましょう。 恥骨結合炎には簡単な運動もおすすめ!効果的なトレーニング4選 恥骨結合炎には腹直筋と内転筋のストレッチだけでなく簡単な運動も有効です。とくにおすすめなのは、腹直筋と内転筋をほぐす効果がある以下4つの運動です。 横のお尻のトレーニング 後ろのお尻のトレーニング 水中歩行 ジョギング 負担がかからない程度の運動によって恥骨結合炎の症状が軽減できるでしょう。 どれも簡単で実践しやすいため、ぜひ毎日の運動として取り入れてみてください。 横のお尻のトレーニング 横のお尻には中臀筋(ちゅうでんきん)という筋肉があります。中臀筋は内転筋とともに、外側と内側から骨盤と脚を支える筋肉です。中臀筋を鍛えることで内転筋の働きを助け、結果的に恥骨結合にかかる負担が軽減されるでしょう。 中臀筋を鍛えるトレーニングは以下のとおりです。 1.肩から脚がまっすぐなるよう横向きに寝る 2.4秒かけて上の脚を斜め後ろに引きながら持ち上げる 3.8秒かけてゆっくり戻す 4.10回繰り返し、反対側の脚も同様におこなう ポイントは、脚を持ち上げるときにつま先が上を向かないように脚を持ち上げることです。 つま先が上を向くと脚全体が捻られてしまい、中臀筋よりも太ももの前側に力が入ってしまいます。中臀筋にしっかりと力を入れるためにも、つま先が上を向かない意識を持ってください。 後ろのお尻のトレーニング 後ろのお尻には大臀筋(だいでんきん)という筋肉があります。大臀筋は恥骨結合に直接付着してはいませんが、骨盤と脚の支えに関わる重要な筋肉です。 大臀筋を鍛えることで骨盤と脚が安定し、恥骨結合炎の症状軽減につながります。 大臀筋を鍛えるトレーニングは以下のとおりです。 1.仰向けに寝て膝を90度に曲げる 2.肩・お尻・膝が一直線になるまでお尻を持ち上げる 3.10回ほど繰り返す。 ポイントはお尻を持ち上げたときに肩から膝までが一直線になるように持ち上げることです。 お尻が持ち上がらなかったり、腰を反ったりしてしまうと、大臀筋に力が入らず他の筋肉に頼った動作になるので注意しましょう。 水中歩行 水の中は浮力があり、自分の重さが軽減されるため負荷をかけずに運動できます。 ただし、バタ足は細かいキックを繰り返し恥骨に負担がかかるため、泳ぐのではなく水中歩行をしましょう。 歩くと水圧で全身にほどよく負荷がかかり、さまざまな筋肉をバランスよく鍛えられますし、10分ほどの運動で効果が得られます。慣れたら20分を週2回ほどおこないましょう。距離は10分あたり300m~500mほどが目安ですが、身長や水深によって負荷が変わるため、距離よりも時間を重視して歩いてください。 前歩きや横歩き、後ろ歩きなどさまざまな歩き方ができますが、とくに横歩きは内ももにある内転筋など股関節まわりの筋肉を鍛えられます。 3つの歩き方を組み合わせて、無理なく実践してください。 ジョギング ジョギングは運動強度が競歩と同レベルで、歩行よりも負荷のある運動かつ、ランニングほどの負担がなく運動療法として最適です。 ランニングよりも小幅で、息切れせず隣の人と話せるくらいのスピードで走ります。はじめは歩行とジョギングをくみあわせて10分程度から、すこしずつ歩行を減らしジョギングのみにしていき、時間も増やしていきましょう。 恥骨結合炎でストレッチ・トレーニングが効かなければ整形外科を受診しよう ここまでご紹介した恥骨結合炎に効果的なストレッチやトレーニングを実施しても痛みが続く場合、早めに整形外科を受診しましょう。 恥骨結合炎の炎症が強い場合は医師の指示にしたがって抗炎症薬などを使い、炎症が落ち着いてからストレッチ・トレーニングを再開してください。 また、婦人科や泌尿器科系の疾患など、恥骨結合炎以外の病気が隠れているケースもあります。適切な治療を受けるためにも、早めに医療機関を受診するようにしましょう。恥骨結合炎を含めた恥骨の痛みについて以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方はぜひ一度ご覧ください。 なお当院リペアセルクリニックでは、恥骨結合炎にも適応可能なPRP療法などの再生療法に取り組んでいます。 恥骨結合炎で傷ついた軟骨組織の再生が可能であり、炎症や痛みの軽減につながる可能性があります。興味がある方は当院のメール相談もしくはオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。 まとめ|恥骨結合炎には腹筋と内もものストレッチが有効!強い痛みがあれば受診も検討しよう 恥骨結合炎には腹直筋と内転筋のストレッチが有効です。これらの筋肉がオーバーユース(使い過ぎ)で固くなると恥骨結合炎の症状を強めるため、ぜひ習慣的にストレッチでほぐすようにしましょう。 ただしストレッチでも恥骨結合炎の痛みが緩和されないときは、無理せず整形外科で医師の判断を仰いでください。 ちなみに、当院リペアセルクリニックでは、恥骨結合炎の治療にも適用できる再生医療に取り組んでいます。傷ついた軟骨組織の修復も期待できるため、気になる人はぜひメール相談、もしくはオンラインカウンセリングでお問い合わせください。 この記事が少しでもお役に立てれば光栄です。 恥骨結合炎のストレッチに関するよくある質問 恥骨結合炎でもランニングは可能ですか? 炎症が強かったり、痛みがある場合はランニングはできません。 再発しやすい病気のため、治ったと思っても息が弾むようなランニングをすぐはじめるのはやめましょう。ただし、隣にいる人と会話できる程度のジョギングは、リハビリとしても推奨されており、痛みのない範囲で可能です。 しばらくはジョギングを続け、すこしずつペースをあげていくとランニングができるまでに回復します。 痛みが強かったり、大会など控えている場合はスポーツ専門医に相談しながらリハビリ計画を立てましょう。 恥骨結合炎は何科を受診しますか? 恥骨結合炎かなと思ったら、整形外科を受診しましょう。 整形外科医は骨や軟骨・靭帯・神経など、からだを動かすのに必要な器官を診る専門家です。診察の結果、恥骨結合炎と診断されるとはかぎりませんが、運動器官のスペシャリストなので痛みの原因をしっかり調べてくれます。 なお、妊娠中や出産後の恥骨痛はまず産婦人科や助産師に相談しましょう。 恥骨結合炎になったらどのくらい安静にすべきですか? 痛みが強い場合は2週間の安静が必要です。 安静中はスポーツや、走ったり重いものを持つといった負担のかかる日常生活の動作もやめ、患部を冷やしてください。そのあとは痛みの具合をみながらストレッチを開始しましょう。 恥骨結合炎はどのくらいで完治しますか? 2か月前後が目安ですが、再発を繰り返す場合はもっとかかる可能性があります。 恥骨結合炎は再発しやすいため、はやく完治させるには再発予防が重要です。痛みがひいても安静期間は十分にとってください。また、すぐにスポーツを開始せずストレッチをしながら少しずつ負荷をかけていきましょう。
2024.06.28 -
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減圧症とは、潜水や高圧環境から急に浮上・減圧した際に、体内のガスが気泡化して起こる疾患です。 潜水からの急浮上に伴うものが代表的であるため、「潜水病」と呼ばれることもあります。減圧症の症状は、軽い関節痛から、神経障害・麻痺などの重症例までさまざまです。 本記事では、減圧症の治し方や応急処置の手順、再圧治療(高気圧酸素療法)などの基本的な治療法を医師がわかりやすく解説します。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 減圧症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 減圧症の治し方|応急処置の基本 減圧症が疑われたときに大切なのは、焦らずにできる範囲で正しい応急処置を行うことです。 専門的な治療ができる医療機関へ搬送されるまでの対応で、その後の回復にも大きな差が出ます。 ここでは、意識や呼吸の状態に応じた基本の対処法を紹介します。 意識なし・呼吸なしの場合 意識も呼吸もない場合は、すぐに心肺蘇生(CPR)を始めます。 胸の中央を押す胸骨圧迫と人工呼吸を繰り返し、AED(自動体外式除細動器)があればすぐに使いましょう。脳の障害を防ぐため、頭を下げた姿勢にはしないよう注意します。 救助者が複数いる場合は、圧迫と呼吸を交代しながら続けましょう。 意識なし・呼吸ありの場合 呼吸はあるけれど意識がない場合は、回復体位(上図参照)をとらせます。 これは、舌が喉をふさいだり嘔吐物で窒息したりしないようにする体勢です。下あごを少し前に出し、顔を横に向けて寝かせましょう。 呼吸のリズムや顔色を観察し、変化があればすぐに知らせるようにします。体温が下がらないようにブランケットなどで保温することも大切です。 意識がある場合 意識がある場合は、まず安静にさせます。 頭を下げず、仰向けで横になりましょう。可能であれば酸素を吸わせてください。酸素は体の中に残った窒素を外に出す働きがあり、症状の悪化を防ぎます。 意識がしっかりしていれば、少しずつ水分をとるのも良いですが、むせ込みそうなときは控えます。 応急処置に関する注意点 応急処置の際は、設備がある場合に限り、高濃度の酸素を投与します。 ただし、呼吸がない場合は心肺蘇生を最優先で行います。酸素には体内の窒素を洗い出す働きがあるため、早めの対応が回復に役立ちます。 また、頭を下げる体勢は脳圧を上げる原因になるため避けましょう。体を冷やさず、毛布などでしっかり保温することも大切です。 なお、再度潜水をして症状軽減をはかる「ふかし」は絶対に行ってはいけません。ふかしは窒素の排出効率が悪く、再浮上時に症状が悪化するおそれがあります。 必ず潜水を中止し、救急搬送を優先してください。 減圧症の治療法|医療機関での対応 減圧症の疑いがある場合は、できるだけ早く高気圧治療を行える医療機関を受診することが大切です。 応急処置で症状を落ち着かせても、体の中にはまだ気泡が残っていることがあります。 医療機関では、症状の程度に応じて「再圧治療」や「酸素投与」などの治療が行われます。 ここでは主な治療法を紹介します。 再圧治療(高気圧酸素療法) 減圧症の治療の原則は「再圧治療」です。(文献1) 再圧治療の主な流れは以下の通りです。 1.治療を受ける人は、専用の治療タンク内に入ります 2.タンク内の気圧を水中で受けるほどの高い圧まで上げます 3.純酸素を吸入し、体内の気泡を圧縮して再び血液や組織中に溶かします 4.その結果、血流が改善し、組織への酸素供給が効率的に行われます 高気圧環境で純酸素を吸入すると、血液中の酸素濃度が高まり、体のすみずみまで効率よく酸素が行き渡ります。 酸素が十分に届くことで、体内に残っていた窒素が少しずつ洗い出され、肺を通して体の外へ排出されていきます。 治療では、一定時間高い気圧を維持したあと、ゆっくりと減圧していきます。これは、再び気泡ができるのを防ぐためです。 治療時間や減圧については、世界的に標準治療として使用されている「米海軍酸素再圧治療表6」に従って行うことが原則です。 1回の治療で症状が軽くなることを目指しますが、回復の程度によっては複数回にわたって再圧治療を行うこともあります。 その他の補助療法(酸素投与・輸液など) 再圧治療がすぐに行えない場合や、治療の補助として行われるのが酸素投与と輸液です。 酸素投与は、高濃度の酸素を吸入することで体内の窒素を洗い出し、気泡の縮小や血流の改善を助けます。 特別な装置がなくても、できるだけ早く酸素吸入を始めることが重要です。 また、輸液(点滴)は脱水を防ぎ、血液の流れを保つ目的で行われます。これにより、気泡が血管内で詰まるリスクを軽減し、再圧治療の効果を高めることが期待されます。 そのほかにも、体を温かく保ち、安静を維持することが回復を助ける基本的なケアになります。 減圧症の後遺症と治し方 減圧症では、早期に治療を行えば多くの場合は後遺症を残さず回復できますが、治療が遅れたり重症化したりすると、神経や関節などに障害が残ることがあります。 後遺症は症状の出た部位によって異なり、感覚の鈍さや手足の動かしづらさ、耳鳴り、めまいなどが代表的です。 これらの後遺症は、適切な治療とリハビリを行うことで少しずつ改善が期待できます。再圧治療をはじめ、酸素療法や薬物療法を組み合わせて、損傷した組織の回復を促します。 また、体の状態に合わせた運動療法や生活の見直しも、回復に向けて大切なステップです。 主要な後遺症の種類 減圧症による後遺症は、障害を受けた部位によって症状が大きく異なります。 以下は代表的な5つの後遺症です。 後遺症の種類 特徴 内耳障害 耳鳴りやめまい、平衡感覚の乱れが起こる。 対麻痺 下半身が動かしにくくなる。脊髄の障害による運動機能低下。 膀胱直腸障害 排尿・排便のコントロールが難しくなる。 感覚障害 手足のしびれや感覚の鈍化がみられる。 片麻痺 体の片側に力が入らない、動かしにくいなどの症状。 減圧症後のリハビリと生活管理 減圧症の治療が終わったあとも、体に残る影響を少しずつ回復させるためにリハビリが欠かせません。 筋力低下や感覚の鈍化が残る場合は、医師や理学療法士の指導のもと、関節を動かす訓練や筋力を維持する運動を続けることが大切です。 また、十分な睡眠と栄養、水分補給を意識し、体の回復をサポートしましょう。 潜水を再開する際は、再発を防ぐために無理のない計画を立て、浮上速度や休憩時間を十分にとるよう心がけてください。 さらに、減圧症の急性期を乗り越えても、時間が経ってから骨壊死(とくに大腿骨頭壊死)を発症することがあります。これは、骨の血流障害が原因で一部の骨が壊死し、股関節痛や歩行障害を引き起こすものです。 初期は無症状のことも多く、発見が遅れるケースもあります。 治療後もしばらくは定期的に検査を受け、違和感や痛みを感じたら早めに医療機関を受診しましょう。 後遺症の悪化を防ぐには、適切な経過観察と生活管理が大切です。 減圧症(潜水病)の後遺症は治せるのか?再生医療の可能性について 近年、医療分野では「再生医療」という新しい治療法が進んでいます。 減圧症によって神経や関節などに後遺症が残った場合にも、この再生医療が選択肢のひとつとして検討されるようになってきました。 再生医療では、「幹細胞」と呼ばれる細胞を利用します。 幹細胞には、体内でさまざまな細胞へと変化する「分化能」という能力があり、研究分野ではこの性質を活かして損傷した組織をサポートする取り組みが行われています。 当院で扱う「自己脂肪由来幹細胞治療」は、患者様自身の脂肪から幹細胞を採取・培養し、点滴で体内に戻す方法です。自分の細胞を用いるため、アレルギーや免疫反応を起こしにくいのが特徴です。 また、「PRP(多血小板血漿)療法」という方法もあります。これは、患者様の血液から血小板を抽出し、濃縮して使用するものです。血小板に含まれる成長因子には、炎症を抑える働きがあるとされています。 どちらの治療も入院や手術を必要とせず、日帰りで行うことが可能です。これらの治療法は、減圧症の後遺症によって日常生活に支障がある方にとって、医療の選択肢となります。 実際に適応できるかどうかは、医師による診察と検査の上で判断されます。 ▼脊髄損傷に対する幹細胞治療についてはこちらの動画をご覧ください。 まとめ|減圧症を正しく理解し早期対応で後遺症を防ごう 減圧症は、症状の出方が人によって違い、軽い痛みやしびれから始まることもあります。放っておくと後遺症につながるおそれがあるため、早めの対応がとても大切です。 潜水後に少しでも体の異変を感じたら、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。 また、再発を防ぐためには、潜水の前後で十分な休息と水分補給を心がけることも重要です。正しい知識を持ち、早期に対応することで、後遺症のリスクを大きく減らすことができます。 安全な潜水を続けるためにも、体のサインを見逃さず、適切に対処する意識を持ちましょう。 以下の減圧症の後遺症についての記事もあわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 潜水による障害,再圧治療|高気圧酸素治療法入門第6版
2024.01.22 -
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「水中世界を楽しみたいけれど、ダイビング後の体調不良が心配……」 「高地登山は魅力的だけど、体調が悪くなったらどのように対処したら良いの?」 ダイビングや登山などのレジャーに伴う体調変化について、不安や疑問を感じている方もいるでしょう。 減圧症は、潜水や高地登山などで急激な気圧変化が起きた際に発症する場合があり、放置すると深刻な後遺症を残すケースも珍しくありません。 本記事では、減圧症を発症する仕組みや症状について解説します。誰にでもできる予防法も紹介するので、正しい知識を身につけ、安心してアウトドアを楽しみましょう。 減圧症とは?発症する仕組み 減圧症とは、周囲の気圧が急激に低下する環境において、体内に吸収されていた窒素などの不活性ガスが気泡となり、体内組織や血管内で問題を引き起こす現象です。 急激な気圧変化が起こる状況としてよく挙げられるのは、スキューバダイビングや急激に18,000ft(約5,500m)以上まで上昇する高地登山などです。 私たちの体は呼吸を通じて空気中の窒素ガスを取り込みますが、気圧や水圧が高い場所では、通常よりも多くの窒素ガスが血液や体組織に溶け込みます。 急激に気圧や水圧が低い場所へ移動すると、体内に溶け込んでいた窒素を気体の状態に戻し、気泡を発生させる原因へとつながります。 気圧変化によって発生した気泡は、血管を塞いだり神経を圧迫したりするため、しびれやめまいなどの症状を引き起こすケースも少なくありません。 気圧変化の大きいスキューバダイビングや高地登山をする際には、適切な知識と慎重な行動が求められます。減圧症を予防できるよう、発症のメカニズムを理解しておきましょう。 減圧症の症状と分類をわかりやすく解説 軽度の減圧症で発症する症状は、以下のとおりです。 関節や筋肉の痛み 皮膚の湿疹やかゆみ 疲労感 吐き気や頭痛 注意力散漫 ただし、減圧症は症状の現れ方や重症度によってⅠ型とⅡ型に分類されます。重症度で影響を受ける部位や対処法が異なるため、症状の特徴を理解するのが重要です。 ここでは「Ⅰ型減圧症」と「Ⅱ型減圧症」について、具体的な症状を交えながら詳しくみていきましょう。 減圧症の症状については、こちらの記事も参考にしてください。 Ⅰ型減圧症 Ⅰ型減圧症は比較的軽度の症状が中心で、主に筋肉や関節、皮膚およびリンパ管に異常が現れます。典型的な症状は、以下のとおりです。 関節の痛みや筋肉痛 かゆみ 皮膚の斑点や発疹 腕のむくみ 胸部や腹部の腫れ 極度の疲労 Ⅰ型減圧症の場合、腕や脚の関節・背中・筋肉に痛みを感じます。痛みが出る部位をはっきりと特定できないケースも珍しくありません。 初期段階での痛みは軽く断続的ですが、徐々に強く感じるようになり、動かすと悪化します。また、リンパ系が影響を受けると、腕や脚の腫れが見られるケースがあるのも事実です。 Ⅰ型は一見すると疲労や打撲に似た軽い違和感から始まるため、見逃されやすい傾向がありますが、早期に発見すれば大きな後遺症は残りません。 症状が軽度であっても放置せず、潜水・登山歴や行動内容と照らし合わせて慎重に評価する必要があります。 Ⅱ型減圧症 Ⅱ型減圧症はⅠ型よりも重篤で、神経系や呼吸器系、循環器系に深刻な影響を及ぼす可能性がある危険な状態です。具体的な症状は以下のとおりです。 めまい ろれつが回らない 手足のしびれや麻痺 視覚障害 聴覚障害 記憶障害 胸の痛みや咳と 不整脈 ショック状態 上記をはじめとするII型減圧症の症状は、脊髄や脳、心臓、肺などの重要な器官の血管が気泡によって閉塞したり、組織が圧迫されたりすると引き起こされます。 また、減圧症の長期的な影響として、減圧性骨壊死という骨の障害を引き起こすケースもあります。骨障害は、肩関節や股関節に起こる症例が多いのも事実です。なかでも、大腿骨頭壊死が起こると歩行障害などの影響が出るだけでなく、重症な場合には手術が必要となるケースも珍しくありません。 Ⅱ型減圧症は、迅速かつ専門的な治療を必要とする病気です。後遺症が出るリスクもあるため、疑わしい場合は直ちに医療機関を受診しましょう。 減圧症の治し方 減圧症を発症した場合、体内で生じた気泡を縮小させ、組織への酸素供給を改善する治療が基本です。症状の重症度や種類に応じて治療法は異なりますが、主に専門的な医療機関での処置が必要です。 ここでは、減圧症の代表的な治療法である「高気圧酸素療法」と「再圧治療」について、特徴と効果を詳しく解説します。 減圧症の応急処置や治療方法については、こちらの記事も参考にしてください。 また、後遺症でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。 高気圧酸素療法 高気圧酸素療法は、患者様を「高気圧酸素治療装置(チャンパー)」と呼ばれる装置内に入れ、大気圧よりも高い気圧環境下で高濃度の酸素を吸入させる治療方法です。 高い気圧によって、体内の気泡は物理的に圧縮され小さくなります。また、高濃度の酸素を吸入すると血液中に溶け込む酸素量が増加し、気泡によって酸素不足に陥った組織への酸素供給を促進します。 高気圧酸素療法は、Ⅰ型減圧症からⅡ型減圧症まで、幅広い症状に対して有効性が認められており、多くの医療機関で採用されている治療方法です。治療は早期に実施するほど効果が高く、神経症状の改善や回復時間の短縮が期待できるでしょう。 再圧治療 再圧治療は、とくに重症なⅡ型減圧症や高気圧酸素療法だけでは十分な改善が見られない場合に選択される、より強力な治療方法です。 症状が消失するか大幅に軽減する気圧を「再圧チャンパー」と呼ばれる治療装置内で再現し、ゆっくりとした速度で慎重に減圧していきます。徐々に減圧すると、体内に残る気泡を確実に縮小させ、再度溶解させる効果が期待できます。 再圧治療を実施できる施設は限られていますが、重篤な神経症状や意識障害を伴うケースでは、救命や後遺症軽減のために重要な治療方法です。 減圧症の予防ポイント6つ 減圧症は正しい知識と行動で十分に予防できる疾患です。とくに、ダイビングや高地登山などの気圧差の大きな環境下では、事前準備と行動の工夫が減圧症発症のリスクを大きく左右します。 ここでは、減圧症を予防するためのポイントを6つに分けて解説するので、ダイビングや登山の予定がある方はぜひチェックしてください。 ①潜水前の注意 潜水前には体調を整え、十分な睡眠を取るのが大切です。前日はアルコールを控え、疲労を残さないように注意してください。 風邪や鼻づまりがあると、周囲の水圧と体の圧力を同じに保つための耳ぬきをはじめとする圧平衡(あつへいこう)が上手くできず、気圧変化の影響を強く受けるため、無理な潜水は避けることをおすすめします。 また、以下のリスクがある方は、医師に事前に潜水をして良いか、確認しましょう。 卵円孔開存(らんえんこうかいぞん)や心房中隔欠損などの心臓の病気 疲労 肥満 高齢 経験やスキルレベルに見合った無理のない深度や潜水時間で潜水を計画するのが大切です。 ②潜水時の注意 急激な深さへの潜水や長時間の潜水は避け、適切な休憩を取りましょう。 潜水中はゆっくりとした下降と浮上を心がけ、急激な圧力変化を防ぐのが重要です。浮上する際は、ダイビングの種類によって1分間に9~18メートルを最大浮上速度とします。さらに、水深3~4m地点で3~5分間の安全停止時間を設けるのも、水圧の平衡を保つために推奨されています。 深く長く潜るほどリスクは高まるため、無理のない計画が必要です。体調に異変を感じたら、無理せず速やかに安全な方法で潜水を中止し、バディやインストラクターに知らせてください。 ③潜水後の注意 潜水直後は激しい運動や高所への移動を避け、身体を休ませる時間を確保します。 潜水回数や深度によって異なりますが、潜水後12〜24時間以内に飛行機に乗ると、減圧症のリスクが高まるといわれています。潜水後、飛行機に乗る予定がある場合は、12〜24時間ほど海抜0mの場所にとどまり、一定期間の休息が取れるようにしましょう。 潜水後は体調変化に十分注意を払い、万が一、関節痛や皮膚のかゆみ、しびれ、めまいなどの減圧症を疑う症状が現れた場合は、速やかに専門の医療機関に相談してください。 ④高地登山の適切な計画 登山前には、適切な標高への適応期間を確保し、急激な標高の変化を避けるよう計画しましょう。 登山中に急激な標高の変化があると、大気中の酸素濃度が減少し、減圧症が引き起こされるケースがあります。急激に標高を上げるのではなく、数日かけて徐々に体を高地の気圧に慣らしましょう。 登山中も、常にゆっくりとしたペースを心がけ、呼吸が乱れないように注意しましょう。十分な睡眠と休息も、高所での体調管理には欠かせません。 万が一、頭痛や吐き気、めまい、息切れなどの高山病の初期症状や、減圧症を疑う症状が現れた場合は、無理をせず直ちに下山を開始するのも重要な対処法です。 ⑤十分な水分摂取 十分な水分摂取は、体内の水分バランスを整えるだけでなく、減圧症の予防において重要です。 脱水状態に陥ると、血液のねばり気が高まります。血液がドロドロになると血流が悪化し、体内に溶け込んだ窒素ガスが気泡となった際に体外へ排出されにくくなったり、血管内で詰まりやすくなったりする減圧症のリスクが高まります。 活動中だけでなく、活動前後も意識的に水分を摂取するのが大切です。とくに、活動中はこまめに水分補給を行い、喉の渇きを感じる前に飲むように心がけましょう。 摂取する飲み物は、水やスポーツドリンクがおすすめです。アルコールやカフェインを多く含む飲料は利尿作用があり、かえって脱水を引き起こす可能性があるため、控えるようにしてください。 ⑥専門家のアドバイスを仰ぐ 潜水や高地登山などの活動前には、専門の医師や指導者・ガイドなどに相談し、適切なアドバイスを受けましょう。個人の体調や経験値に応じたアドバイスを受けられるため、より確実な予防が可能です。 以下の条件に当てはまる方は、潜水や高地登山前に潜水医学や高山医学に詳しい医師の診察を受けるのをおすすめします。 健康状態に不安がある方 循環器系や呼吸器系に持病がある方 過去に減圧症を発症した経験がある方 また、経験豊富な指導者やガイドは、個々のスキルレベルや経験に応じた安全な計画と、現地状況や特有のリスクに関する情報を提供してくれます。 自己判断に頼らず、専門家のアドバイスを受ける行動が重要です。 まとめ|減圧症の予防ポイントを押さえて安全なダイビング・登山をしよう 減圧症は、体内に溶け込んだ窒素が急激な気圧変化で気泡化することで起こる病気です。 Ⅰ型は関節痛や皮膚の異常など比較的軽度な症状が多く、Ⅱ型は神経や呼吸器に深刻な影響を及ぼします。治療には高気圧酸素療法や再圧治療が用いられますが、いずれも早期対応が重要です。 減圧症予防には、活動前後の体調管理や水分補給、安全な活動計画などを徹底しましょう。 しかし、適切な予防法を心がけても、減圧症による脊髄障害や脳障害によって麻痺などの症状が残ってしまう場合もあります。 減圧症による脊髄損傷に対しては、リハビリテーションやステロイドなどの薬物治療が一般的ですが、根本的な治療方法はありませんでした。 当院では、幹細胞治療として、ご自身の脂肪から培養した脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。 減圧症などで脊髄損傷を起こしてしまった方で、再生医療にご興味のある方は、ぜひ1度当院までご相談ください。
2024.01.17 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
急に関節が痛み出したり、歩くと違和感を覚えたりしていませんか? それは「急性骨壊死」のサインかもしれません。 急性骨壊死は、骨への血流が急に途絶えることで起こる病気で、放置すると関節の変形や可動域の制限につながることがあります。 この記事では、急性骨壊死と骨壊死の違い、発症の仕組み、主な症状や進行の流れ、そして治療法までをわかりやすく解説します。 さらに、再生医療による新しい治療の選択肢についても紹介しています。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 急性骨壊死について気になる症状がある方は、ぜひ公式LINEよりお問い合わせください。 急性骨壊死とは? 急性骨壊死とは、骨への血流が急に途絶えることで、短期間のうちに骨組織が死んでしまう病気です。 数日から数週間で痛みや違和感が現れ、放置すると骨が変形して関節の動きが悪くなることもあります。 早期に発見し治療を始めることで、進行を抑えられる場合があります。 骨壊死との違いと特徴 骨壊死は、症状の現れ方の違いから「急性」と「慢性」という言葉で説明されることがあります。 急性骨壊死は、外傷や血流障害などで突然血の流れが止まることで起こり、数日〜数週間で痛みや腫れが出てきます。 一方、慢性骨壊死は時間をかけて徐々に進行し、初期は無症状のことが多いです。 急性骨壊死は発症スピードが早いぶん、早期発見と治療がとくに重要になります。 病名 特徴 原因 症状 骨壊死 血液の供給が妨げられることで骨の一部が死んでしまう状態 けがが原因となることが多いが、けががなくても起こることがある 痛み、関節可動域の制限など 急性骨壊死 骨壊死の進行が速く、突然症状が現れるタイプの骨壊死 主に血流の途絶が原因で、とくに骨折などが誘因となることがある 突然の激しい痛みで発症し、とくに関節を動かしたり、体重をかけたりすると痛みが増す 「歩くと痛い」「関節を動かすと違和感がある」と感じた場合は、できるだけ早く受診しましょう。 骨壊死の原因 骨壊死は、骨への血液供給が途絶えることで起こります。 原因は大きく「外傷性」と「非外傷性」に分けられ、交通事故や骨折などのケガによるもののほか、薬の影響や血管障害など、外傷を伴わずに発症するケースもあります。 また、明確な原因が見つからない「特発性骨壊死」もあります。 外傷性骨壊死 外傷性骨壊死は、骨折や脱臼などのケガによって骨への血流が遮断されることで発症します。 とくに股関節(大腿骨頭)や膝関節など、血管が細く繊細な部位で起こりやすいです。 事故やスポーツ外傷の直後は、痛みや腫れが「ケガの影響」と思われ見過ごされることもありますが、時間の経過とともに骨の壊死が進む場合があります。 外傷後に痛みが長引く、または関節の動きが悪くなるときは、早めに受診することが重要です。 非外傷性骨壊死 非外傷性骨壊死は、外傷を伴わずに起こるタイプで、血管や代謝の異常が関係していると考えられています。 代表的な原因には、ステロイド薬の長期使用、過度なアルコール摂取、自己免疫疾患、血液循環の障害などがあります。 これらの要因により、骨に栄養を運ぶ血流が阻害され、組織が壊死してしまうのです。 初期は無症状もしくは痛みが軽く、発見が遅れやすいため、長期治療を行っている方や生活習慣に不安がある方は、定期的な検査を受けておくと安心です。 特発性骨壊死 特発性骨壊死は、明確な原因が特定できないまま発症するタイプです。 中高年の女性に多く、とくに膝関節の内側(大腿骨内顆)で発生しやすい傾向があります。 日常生活の中で関節に負担がかかり続けたり、加齢により血流が低下したりすることが関与していると考えられているのです。 初期は「少し歩くと痛い」「階段の上り下りがつらい」など軽い違和感で始まり、放置すると痛みが強くなります。 原因が特定できないぶん、早期診断と経過観察がとても大切です。 骨壊死が発症しやすい部位 骨壊死は体のどこにでも起こる可能性がありますが、とくに血流が限られた関節部位に多く見られます。 中でも代表的なのは、股関節(大腿骨頭)・膝関節(大腿骨内顆)・肩関節(上腕骨頭)の3か所です。 これらの部位は常に体重や動作の負荷がかかるため、血流が途絶えると壊死や痛みが進行しやすくなります。 股関節(大腿骨頭) 股関節に起こる骨壊死は、大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)と呼ばれます。 体重を支える重要な関節であり、壊死が進むと歩行や立ち上がり動作に大きな支障をきたします。 原因として多いのは、ステロイド薬の長期使用やアルコール摂取、血流障害などです。 初期段階では痛みが軽く、レントゲンでは異常が見つからないこともありますが、進行すると骨頭がつぶれ、関節の変形や可動域の制限が起こります。 早期にMRIなどで診断し、適切な治療を受けることが、進行を防ぐために重要です。 膝関節(大腿骨内顆) 膝に発生する骨壊死は、大腿骨内顆壊死(だいたいこつないかえし)と呼ばれます。 とくに中高年の女性に多く見られ、特発性骨壊死として知られています。 初期は歩いたときや階段の上り下りで違和感を覚える程度ですが、進行すると安静時にも痛むようになり、とくに膝の内側に痛みを感じるのが特徴です。 原因は明確でないことが多いものの、加齢や血流の低下、骨への負担の蓄積が関係していると考えられています。 早期であれば安静や装具による保存療法で改善が期待できるため、痛みを感じたら放置せず早めに受診しましょう。 肩関節(上腕骨頭) 肩に起こる骨壊死は、上腕骨頭壊死(じょうわんこっとうえし)と呼ばれます。 発症する原因は、外傷(骨折・脱臼)やステロイド薬の影響、血管障害などです。 初期は腕を上げたときに軽い痛みを感じる程度ですが、進行すると可動域が制限され、服を着る、髪を結ぶといった動作が困難になります。 肩関節は血流が比較的少ないため、一度壊死が起こると回復しにくい特徴があります。 痛みや動かしにくさを感じたら、早めに整形外科で検査を受けることが大切です。 骨壊死の進行の流れと症状 骨壊死は、血流の途絶えた骨組織が少しずつ壊れ、周囲の関節や軟骨にも影響を及ぼす病気です。 初期はほとんど痛みがありませんが、進行すると骨が変形し、関節の動きが制限されていきます。 発症から進行までの過程を理解することで、早期発見や適切な治療につなげることができます。 初期段階|骨壊死の発生(無症状期) 骨壊死の初期段階では、血流が途絶えた部分の骨細胞が死んでいても、自覚症状はほとんどありません。 レントゲンでは異常が映らないことも多く、この時期はMRIなどの画像検査でしか判断できない場合があります。 患者様自身が気づかないうちに壊死が進行しているケースもありますが、負荷のかかる関節では軽い違和感や疲労感を感じることがあります。 この段階で発見できれば、安静や保存療法で進行を抑えられる可能性があります。 初期症状|違和感や軽い痛み 壊死した骨に亀裂が入り始めると、歩行時や立ち上がりの動作で違和感や軽い痛みを感じるようになります。 この痛みは一時的で治まることもあり、「疲れ」や「加齢のせい」と勘違いされやすいのが特徴です。 しかし、この時期に治療を始めることで、骨の変形や関節の破壊を防ぐことができます。 軽い痛みが数日以上続く場合は、早めに受診して検査を受けましょう。 中期症状|動くと痛い・歩きづらい 中期になると、壊死した部分の骨が徐々に崩れ、関節面にひずみが生じます。 その結果、動かしたときに強い痛みが出たり、歩行が困難になったりします。 膝や股関節では階段の上り下りがつらくなり、肩関節では腕が上がりにくくなることもあります。 この段階では骨の変形が進みやすく、放置すると関節の機能が低下します。 痛み止めや装具などで一時的に症状を緩和できますが、根本的な治療には医師の判断が必要です。 後期症状|変形や可動域の制限 後期になると、壊死した骨が完全に潰れ、関節面が変形します。 軟骨もすり減り、関節がこすれることで強い痛みを生じるのが特徴です。 歩行や階段の昇降が困難になるだけでなく、関節を動かす範囲(可動域)も大きく制限されます。 この段階では保存療法だけでは改善が難しく、骨切り術や人工関節置換術などの外科的治療が検討されます。 後遺症を残さないためには、早期に発見し、進行を防ぐことが重要です。 骨壊死の診断方法 骨壊死の診断には、まずレントゲン検査が行われます。 骨のつぶれや関節の変形を確認できますが、初期の段階では異常が映らないこともあります。 そのため、早期の診断にはMRI検査が有効です。(文献1) MRIでは、壊死した部分を囲むように新しい血管が増えた帯状の影(リム)が確認できます。 また、一か所で骨壊死が見つかった場合、他の部位にも発症している可能性があるため、骨シンチグラフィー(骨シンチ)と呼ばれる全身の画像検査を行うこともあります。(文献2) 症状のある部位だけでなく、全身の骨の状態を把握することで、適切な治療方針を立てられます。 骨壊死の治療法 現在の医学では、一度壊死した骨を完全に元の状態に戻すことは難しいとされています。 壊死の範囲が限られている場合は、鎮痛薬による痛みの緩和や生活指導、安静の維持などで経過を観察することもあります。 また、骨の内部に穴をあけて圧力を下げる骨穿孔術(こつせんこうじゅつ)や、血流を補うために血管柄付き骨移植を行うこともあります。 ただし、壊死が広範囲に及ぶ場合や、関節が変形している進行例では、骨切り術や人工関節置換術などの外科的治療が検討されます。 骨切り術 骨切り術とは、壊死した骨にかかる負担を減らすための手術です。 骨を一部切り、角度を調整することで体重がかかる位置をずらし、壊死部への圧力を軽くします。 これにより、痛みの軽減や関節の変形進行を防ぐことが目的です。 比較的若い方や壊死範囲が限られている場合に検討されることが多く、関節を温存できる点が特徴です。 ただし、骨が再び固まるまでには時間がかかるため、術後は一定期間の安静とリハビリが必要になります。 進行が進んでいない段階で行うことで、人工関節手術を先延ばしにできる場合もあります。 人工関節置換術 人工関節置換術とは、壊死によって損傷した関節部分を人工の関節に置き換える手術です。 骨の壊死が広範囲に及び、関節の変形や痛みが強い場合に選択されます。 人工関節には金属やセラミックなどの素材が使われ、関節の動きを滑らかに保つことができます。 手術後は痛みが大きく改善することが多く、日常生活動作の回復を目指すことが可能です。 ただし、人工関節には寿命があるため、若年層では長期的な再手術のリスクも考慮する必要があります。 骨壊死に対する再生医療とは?治療の新たな選択肢 骨壊死の治療では、手術以外の選択肢として再生医療が検討されることがあります。 再生医療とは、患者様自身の幹細胞や血液を用い、体の自然な修復機能を支えることを目的とした医療分野です。 当院「リペアセルクリニック」では、自己脂肪由来幹細胞を用いた治療を行っています。 幹細胞には、さまざまな細胞へと変化できる「分化能」という性質があります。 また、再生医療の一つ、PRP(多血小板血漿)療法では、血小板に含まれる成分の働きによって炎症を抑える作用が知られています。 これらの治療はいずれも入院や手術を必要とせず、日帰りで実施可能です。 当院の骨壊死に対する再生医療については、以下の症例をご覧ください。 まとめ|急性骨壊死は早期発見と適切な治療で進行を防ぐ 急性骨壊死は、血流の障害によって骨の一部が壊死し、進行すると関節の変形や強い痛みを引き起こす病気です。 しかし、早期に発見して適切な治療を行えば、進行を抑えることができます。 初期のうちは違和感や軽い痛みだけのことも多いため、「疲れかな」と放置せず、早めに受診しましょう。 症状や進行度に応じて、安静や薬物療法、骨切り術・人工関節置換術などが選択されます。 また、手術前の段階であれば、自己脂肪由来幹細胞やPRPを用いた再生医療という選択肢も検討できます。 適切なタイミングで受診し、状態に合った治療を受けることが大切です。 参考文献 (文献1) 大腿骨頭壊死症におけるMRIの治療方針への有用性 -治療法選択に関して-|整形外科と災害外科 (文献2) 特発性大腿骨頭壊死症に対する SPECT/CT 所見の特徴|厚生労働科学研究成果データベース
2024.01.11 -
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大腿骨頭壊死の治療方針は、壊死の範囲や進行具合によって異なり、リハビリテーションは社会復帰を果たすための重要なケアです。 本記事では、大腿骨頭壊死のリハビリメニューと期間について解説します。 しかし、リハビリテーションは症状を悪化させないようにする目的のため、手術療法を検討するケースも少なくありません。 近年の治療では、手術せずに骨壊死の改善を目指せる再生医療による治療も選択肢の一つです。 \骨壊死の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、、手術せずに大腿骨頭壊死の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 以下の動画では、骨壊死に対する再生医療の治療について詳細を解説しているため、合わせて参考にしてください。 https://www.youtube.com/watch?v=ic_6QaEU5NU 大腿骨頭壊死の治療・リハビリテーション 大腿骨頭壊死は診断されたら即手術が必要になる疾患ではありません。「壊死」と聞くと、どんどん骨が腐ってしまう恐ろしい病気のようなイメージを持つ方もいるでしょう。 しかし、実際には適切な治療をおこなうことで、壊死の進行を止めたり、壊死部を修復させたりできます。 大腿骨頭壊死は、診断時の病型(Type分類:大腿骨頭のどのあたりが壊死しているか)と病期(Stage分類:壊死と圧壊がどのくらい進んでいるか)によって治療方針が決まります。 病型(Type分類):大腿骨頭のどのあたりが壊死しているか 病期(Stage分類):壊死と圧壊がどのくらい進んでいるか 壊死範囲が広い場合や、すでに圧壊が進行してしまっている場合にはすぐに手術をするケースも少なくありません。 一方、壊死範囲が限定的な場合や、体重のかかりづらい部位にあるときは、保存療法を基本として治療を進めます。 保存療法ではリハビリテーションが欠かせない 保存療法の目標は、壊死部を圧壊させないことです。長期的には、軟骨がすり減り、変形性の関節症になってしまうリスクも防ぐ必要があります。 保存療法の基本的な方針は、股関節への直接の負担を減らすことです。そのためには、リハビリテーションを通して、股関節周囲の筋肉や下肢の筋力アップを図る必要があります。 ほかにも、松葉杖などを使用したり、股関節に負荷がかかる動作を避けたりして、股関節への負担を減らすことも大切です。 大腿骨頭壊死の初期症状や原因について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 大腿骨頭壊死のリハビリプログラム 大腿骨頭壊死のリハビリテーションでは、股関節の動きを良くすること、股関節周りの筋肉を鍛えることを目標とします。 以下のような症状を繰り返さないためにもリハビリテーションが大きな役割を担います。 しかし、大腿骨頭壊死はリハビリテーションだけで治る病気ではありません。 近年の治療では、壊死・損傷した骨に対してアプローチし、手術せずに大腿骨頭壊死の改善が期待できる再生医療が注目されています。 「大腿骨頭壊死を根本的に治療したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックへご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死のリハビリメニュー ここからは、実際にどのようなリハビリプログラムをおこなうのか、メニューの一例を紹介します。 ストレッチ 大腿骨頭壊死のリハビリテーションにおいて、ストレッチは股関節の柔軟性を良くするために欠かせません。 大腿骨頭壊死のリハビリテーションで取り組むストレッチは、主に以下の通りです。 股関節の屈曲 仰向けの状態で膝を立て、股関節を曲げていく 曲げている方の足の太ももを持ち、体の方にできるだけ引き寄せる タオルやゴムバンドなどの補助を使いながら、徐々に動かす範囲を広くする 股関節の外転 仰向けの状態になる 膝のお皿が上を向くように気をつけながら、股関節を外側に開く 股関節の外旋 仰向けまたは座って胡坐の姿勢をとる 痛みのない範囲で曲げた膝を床の方向へ押していく うつ伏せ うつ伏せの体勢をとって、股関節を曲げる筋肉を伸ばす 腰の曲げ伸ばし 座った状態で腰を丸めたり、伸ばしたりする ただし、痛みやつらさを感じる強さのストレッチは逆効果になるため注意が必要です。ストレッチをする際は、呼吸を止めずにゆっくりとおこないます。 筋力トレーニング 大腿骨頭壊死のリハビリテーションでは、股関節への負担をなるべくかけないようにするため、過度なトレーニングは避けます。 トレーニング内容は、主に以下の通りです。 メニュー 部位 トレーニング内容 腰上げ(ブリッジング) お尻の後ろの筋肉 仰向けになり両膝を立てる お尻を地面から離すように上げていき、体が一直線になるようにする 足上げ(座位) 大腿四頭筋 仰向けで寝た状態になる 膝をのばしたまま片足ずつ地面から20㎝ほど上げる 足上げ(横向き) 中殿筋 横向きの状態になる 上になった足を伸ばしたままゆっくりと真上に上げる 足上げ(うつ伏せ) ハムストリング うつぶせの状態になる 片足ずつ膝を伸ばしたまま、太ももが床から少し浮くくらい持ち上げる ほかにも、痛みの程度や個々の運動能力などに応じて、水中ウォーキングやエアロバイクといったメニューを追加していきます。 なお、トレーニングメニューは、数回おこなっただけでは効果が現れません。定期的に通うことはもちろん、自宅でもできるトレーニングも多いので、時間を見つけて日頃から取り組む必要があります。 大腿骨頭壊死のリハビリ期間 大腿骨頭壊死のリハビリテーションは、一般的に医療保険でのリハビリが可能な150日を目安に行うことが多いです。 ただし、経過中は医師の診察やレントゲンによるチェックを行い、壊死が進行していないか、どの程度改善しているのかを判断しながらリハビリ期間を決定します。 患者様一人ひとりの状態によってリハビリメニューや期間は変わるものの、続けていかないと効果が出ない点は共通しています。 また、近年では、大腿骨頭壊死の根本治療やリハビリ効果を高めるための再生医療が注目されています。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、リハビリ効果を高めることに期待できます。 「リハビリ効果を高めて早く治したい」「大腿骨頭壊死を根本的に治したい」という方は、当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死の手術療法 リハビリテーションによる保存療法で改善が見込めない場合には、手術を検討するケースも少なくありません。 大腿骨頭壊死の手術には、主に骨切り術と人工関節(人工骨頭)置換術があります。 どちらもメリット・デメリットがあるほか、場合によっては適応しないため、主治医とよく相談する必要があります。 骨切り術 骨切り術は、骨を切って大腿骨頭を回転させ、壊死した部分に体重がかからないようにする手術です。 自分の骨を温存でき、将来的に人工関節の手術もできる利点があります。ただし、難易度が高く、限られた施設でしかおこなわれていない手術です。 また、手術をしたとしても、骨頭の圧壊が進んでしまったり、疼痛が残ったりする可能性がある点もデメリットです。 なお、骨切り術をおこなった場合は、平均して6週間程度の入院期間が必要になります。 人工関節置換術 人工関節置換術は、壊死した骨頭を除去して、人工関節を埋め込む手術です。 人工関節置換術の場合は、入院期間が10日ほどで退院できる場合がほとんどです。ただし、人工関節の耐用年数の問題から、若年層は避けるべきとされています。また、人工関節は脱臼してしまうリスクもあります。 このようなメリット・デメリットを含め、病型や病期、個々の状態を考慮して術式が決定されます。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことには、以下の2つがあります。 股関節に負担がかかる動作 飲酒と喫煙 症状の進行を防ぐためにも、気をつけて生活を送りましょう。 大腿骨頭壊死を悪化させない理想の生活については、以下の記事で詳しく解説しています。 股関節に負担がかかる動作 大腿骨頭壊死になったら、できるだけ股関節に負担がかかる動作を避けましょう。具体的には、以下のような行動や姿勢に気をつけてください。 激しい運動 階段昇降 重量物の運搬 長時間の立ち仕事 しゃがみこむ動作 など なお、股関節への負担を軽減するためには、体重の増加にも注意が必要です。体重が増加すると、その分、股関節への負担が大きくなってしまいます。 飲酒と喫煙 大腿骨頭壊死になったら、飲酒と喫煙もやめましょう。アルコールは大腿骨頭壊死の原因の一つであるとされています。また、アルコールによって骨密度が低下する可能性も指摘されており、壊死した骨をさらに弱くするリスクがあります。 喫煙も血行を悪化させ、骨の壊死を加速させる可能性があるため注意が必要です。大腿骨頭壊死の治療効果を高めるためにも、飲酒と喫煙はやめましょう。 【体験談】大腿骨頭壊死に対する再生医療の可能性 大腿骨頭壊死を発症後、リハビリテーションによる保存療法で症状が改善しない場合には、再生医療を選択する方法もあります。 リペアセルクリニックでは、大腿骨頭壊死の再生医療・幹細胞治療をおこなっています。 以下で、当院における大腿骨頭壊死の症例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。 症例1.40代男性|大腿骨頭壊死による痛みが激減 こちらの症例は、数カ月前から両股関節痛があり、海外から当院リペアセルクリニックにご来院いただいた男性(40代)の方です。 自国の整形外科では骨切り術を勧められていましたがが、大がかりな手術になるだけでなく術後の荷重制限が長期に及ぶため手術に踏み切れずにいました。 レントゲンで確認すると、骨壊死部の圧壊は認めておらず、両股関節ともに痛みは「10段階の4」ということでした。 【主な治療内容】 両股関節:1億個の幹細胞を計3回投与 【治療後の状態】 初回投与後3カ月で両股関節の痛みが半分まで軽減した また、術後1年のレントゲンでも両股関節ともに骨壊死部の圧壊はなく関節裂隙も維持できている ※効果には個人差があります こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 >>「大腿骨頭壊死による痛みが激減!40代男性」の症例ページはこちら 「再生医療について詳しく知りたい」「再生医療の治療を検討したい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 症例2.30代女性|大腿骨頭壊死部分が縮小して痛みも消失 こちらの症例は、当院リペアセルクリニックを受診する半年前に両大腿骨頭壊死症と診断された女性(30代)の方です。 すでに左大腿骨頭の圧壊と疼痛があり、骨切り術の適応ではあったものの不妊治療中で手術を受けられない状況でした。 また、股関節に疼痛や可動域制限があり、分娩時に不安があるとのことで、手術せずに治療できる「再生医療」に希望を持った状態でご来院いただきました。 【主な治療内容】 圧壊を認めていない右股関節:2000万個の幹細胞を計2回投与 圧壊を認めて疼痛がある左股関節:8000万個の幹細胞を計2回投与 【治療後の状態】 2回目の投与から1年経過した時点で、両股関節の痛み症状が改善した ※効果には個人差があります こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 >>「大腿骨頭壊死部分が縮小し痛みも消失!30代⼥性」の症例ページはこちら また、「再生医療について詳しく知りたい」「再生医療の治療を検討したい」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる まとめ|大腿骨頭壊死になったら適切なリハビリを継続しましょう 大腿骨頭壊死のリハビリテーションでは、股関節周辺の柔軟性や筋力向上を目的としたプログラムが行われます。 生活習慣を見直し、適切なリハビリテーションを継続しながら無理なく仕事復帰を目指しましょう。 しかし、リハビリテーションだけでは壊死した骨は治らないため、従来の治療では手術療法が検討されるケースもあります。 近年の治療では、手術せずに大腿骨頭壊死の改善を目指せる再生医療も選択肢の一つです。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も改善が期待できるケースがあります。 「具体的な治療法を知りたい」「大腿骨頭壊死を根本的に治したい」という方は、当院リペアセルクリニックにご相談ください。 ▼骨壊死の根治を目指したい方はぜひご連絡ください! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死についてよくある質問 大腿骨頭壊死と診断されたらスポーツはもうできない? スポーツができるかどうかは、大腿骨頭壊死の病期と病型によって決まります。壊死範囲が小さく圧壊の危険性が少ない場合は、ほとんど制限されないケースもあります。 しかし、壊死範囲が中程度になると、ゴルフなどの軽いスポーツはできても、股関節への負担が大きいジャンプ運動などは望ましくありません。 大腿骨頭壊死の発症を防ぐ食べ物やサプリなどはある? 現状では、明らかな発症予防効果が認められている食べ物やサプリメントなどはありません。 ただし、研究段階ではあるものの、ビタミンEが大腿骨頭壊死の発症を予防するといった報告もあります。(文献1) 今後さらに研究が進んでいくことが期待されます。 参考文献 (文献1) 栗林正明、藤岡幹浩「ビタミン E の骨壊死抑制効果の検討 」京都府立医大大学院医学研究科 運動器機能再生外科学)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2008/083141/200834009A/200834009A0007.pdf (最終アクセス:2025年3月18日)
2023.10.23 -
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「大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)」と診断され、先の見えない不安や股関節の痛みに悩んでいませんか? とくに働き盛りの世代に多いこの病気は、今後の仕事や生活に大きな影響を与えかねません。(文献1) 「手術は避けたいけれど、何もしないで悪化するのは怖い」「保存療法とは言うけれど、具体的に何をすればいいの?」 この記事では、そんな疑問や不安に寄り添い、手術をせずに股関節の機能を温存する「保存療法」についてわかりやすく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは大腿骨頭壊死の治療法の一つ、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腿骨頭壊死でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録いただき再生医療についてご確認ください。 大腿骨頭壊死の保存療法とは 大腿骨頭壊死とは、股関節にある大腿骨頭が壊死してしまい潰れることで痛みを生じる疾患です。 一度壊死が起こってしまうと、壊死した骨組織そのものを元の状態に戻すことは極めて困難です。 発症原因は明確ではありませんが、大腿骨頭を栄養している血管が障害されることや、免疫を抑えるステロイドやアルコールが危険因子とされています。(文献2) 骨頭壊死の治療法は、保存療法と手術療法に大きく分けられます。 大腿骨頭壊死の保存療法とは、手術以外で股関節への負担を減らしながら、痛みや進行の様子を見ていく治療のことです。 壊死の範囲が小さい場合や、痛みなどの症状がほとんどないときには、まずこの方法が選ばれます。 日常生活では、股関節にかかる重さを減らす工夫として以下のことを意識します。 杖で体重を分散する 体重を大きく増やさない 長く歩き続けない、 重い荷物は持たない 痛みが強い時期は、無理に動かず休む 痛みや炎症に対しては、医師と相談のうえで鎮痛薬を使います。 ただし、これらの対処だけで骨のつぶれ(圧潰)の進行を強く止められるとは限りません。 圧潰が進みそうなタイプでは、骨頭の形を保つことを目的に、手術に切り替える時期を逃さないことが大切です。 大腿骨頭壊死の病期(ステージ)分類 保存療法の方針を決める上で重要なのが、壊死がどのくらい進行しているかを示す「病期(ステージ)」です。 国際的によく使われる「ARCO分類」では、MRIやX線(レントゲン)の画像所見から、Stage1~4までの4つのステージに分類します。 この分類は、病気の進行度や治療方針を決定するための重要な指標です。 (文献3) ここでは、病期(ステージ)別に画像所見の特徴と主な症状について解説します。 Stage 1 MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 X線では異常なし MRIで初めて壊死が確認できる 症状がないことが多い 軽い違和感を感じる程度 X線ではまだ変化が見られず、MRIで初めて骨内部の壊死が確認される段階です。 痛みは軽度〜中等度で、長距離歩行や階段の上り下りなどに違和感を覚えることがあります。 Stage 2 MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 X線で骨硬化像(骨が白く見える) 骨頭の丸みは保たれている。 軽い痛み だるさを感じ始めることがある 骨内部の構造変化が進み、X線で骨密度の不均一や境界線が現れます。 この段階では骨頭の形はまだ保たれていますが、放置すると次の圧潰期に移行するリスクが高まります。 Stage 3A、3B MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 骨頭の圧潰(あっかい:つぶれること)が始まる 圧潰が2mm未満が「3A」 圧潰が2mm以上が「3B」 痛みが強くなる 歩行に支障が出始める 骨頭が部分的につぶれ(圧潰)、関節の形が少しずつ変わっていきます。 X線でも明確な扁平化が確認でき、歩行時の痛みが強くなることが多いです。 症状が続く場合や圧潰の進行が見られる場合は、骨切り術(骨頭の壊死した部分へかかる負荷を抑えるため、骨の一部を切って角度を変える手術)を専門医と検討します。 Stage 4 MRIやX線(レントゲン) 画像所見の特徴 主な症状 骨頭の圧潰が進行 関節の隙間が狭くなる 痛みが強くなる 日常生活が大きく制限される 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている 関節軟骨のすり減りや関節の変形が生じる時期とされ、骨頭のつぶれがさらに進み、股関節全体に変形が及びます。(文献4) 軟骨のすり減りによって骨同士が直接触れ合うようになり、強い痛みや可動域の制限が生じます。 【病期別】保存療法で「やるべきこと」「避けるべきこと」 大腿骨頭壊死の保存療法の目的は、骨頭の圧潰を防ぎ、痛みをコントロールすることです。 特に圧潰が起きていない、あるいは軽度なStage 1〜3Aが保存療法の主な対象となります。 Stage 1〜2 (圧潰前) やるべきこと 避けるべきこと 手術への切り替えを 検討する目安 免荷(めんか)※ 薬物療法(消炎鎮痛剤) 筋力維持、可動域訓練 薬物療法 衝撃の強い動作 ランニング ジャンプ 重い物を持つ作業 長時間の歩行・立ち仕事 股関節に大きな負担がかかる姿勢 あぐら しゃがみこむ 飲酒、喫煙 痛みが改善しない 圧潰が進行(Stage 3Bへ移行)した場合 ※免荷とは、杖などを使って患部への体重負担を減らすこと。 圧潰前は、骨頭の形が保たれており、早期の保存療法が有効とされます。 痛みや炎症がある患者様には、症状を緩和させるために、消炎鎮痛薬(内服薬や外用薬)を使用することもあります。 運動では、痛みが出ない範囲で関節可動域を維持し、股関節に体重をかけない方法で筋力維持に努めます。 股関節の負担が少ない運動として、エルゴメーター(自転車こぎ)や、横になった状態での足上げ、水中ウォーキングなどがあります。無理のない範囲で毎日運動を続けましょう。 また、アルコール摂取と喫煙にも注意が必要です。 アルコールの過剰摂取は骨の代謝や血流に悪影響を与え、骨密度の低下を招きます。喫煙は血管を収縮させ、骨への酸素・栄養供給を阻害します。 どちらも壊死の進行に関わる要因とされているため、控えましょう。 Stage 3A 〜4 (圧潰初期〜圧潰進行期) やるべきこと 避けるべきこと 手術への切り替えを 検討する目安 免荷(めんか) 薬物療法(消炎鎮痛剤) 手術に向けた相談 自己判断でのリハビリ 痛みを我慢しての運動 圧潰を助長する危険性があり 体重増加 股関節への負担が増える 飲酒、喫煙 痛みが日常生活に支障をきたす 圧潰が進行(Stage 3Bへ移行)した場合 この段階では、更なる圧潰を防ぐためにも体重管理を徹底します。ただし、痛みを我慢しての自己判断による運動は、かえって圧潰を進行させる危険性があるため避けてください。 骨頭の圧潰が始まっている場合や、保存療法でも症状の改善がみられない場合には、手術による治療へ移行する判断がなされます。 関節軟骨が残っており、関節の隙間が保たれている段階では、骨切り術が選択肢となります。 一方で、壊死の範囲が広い場合や圧潰が進行している場合には、人工関節置換術(股関節を人工関節に置き換える手術)が行われることがあります。 他、運動方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事も合わせてご確認ください。 痛みを悪化させない日常生活のコツ 痛みを悪化させず、圧潰の進行を防ぐためには、日常生活での工夫が欠かせません。 日常生活の工夫 ポイント 杖をつかう 患肢と反対側で杖を持つと、痛みが軽減できます 股関節を曲げる動作を避ける 長距離を歩く、しゃがむ、階段昇降などの動作を避けます 重い荷物を持つのを避ける 患肢と反対側で荷物持つと、関節を保護できます 生活様式を洋式に変更する 床座りやふとん、和式トイレは避けます。 椅子やベッド、洋式トイレを使用しましょう。 高い椅子を使用 台所などでの立ち仕事では高い椅子を使用し、腰掛けることで股関節への負荷を減らすことができます これらの工夫を日常生活に取り入れることで、股関節への負担を軽減できます。ご自身の病期や症状に応じて、担当医と相談しながら実践してください。 再生医療という選択肢 大腿骨頭壊死の治療の選択肢の一つに、再生医療の選択肢もあります。 当院「リペアセルクリニック」では、大腿骨頭壊死に直接注射で幹細胞を届ける治療を行っております。患者様自身の幹細胞を採取・培養して用いるため、拒否反応のリスクが低い治療法です。 手術以外の治療法をお探しの方、人工関節にすることに抵抗がある方は、ぜひ当院へご相談ください。 当院では、検査結果や生活状況を踏まえ、再生医療を含む複数の選択肢を説明した上で治療計画をご提案いたします。 当院の大腿骨頭壊死に対する再生医療について詳しくは、以下の記事も合わせてご確認ください。 まとめ|痛みをコントロールしながら前向きな一歩を 大腿骨頭壊死の保存療法では、病期(Stage 1〜4)に応じた適切な対応が必要です。 圧潰前(Stage 1〜2)では、免荷や体重管理、股関節に負担をかけない運動により、圧潰の進行を防ぐことが目標となります。 圧潰初期以降(Stage 3A〜4)では、より厳格な免荷と体重管理を徹底し、保存療法で改善が見られない場合は、骨切り術や人工関節置換術などの手術療法への移行を検討します。 日常生活では、杖の使用、股関節を深く曲げる動作の回避、生活様式の洋式化などの工夫により、股関節への負担を軽減できます。また、アルコールと喫煙は壊死の進行に関わる要因とされているため、控えることが推奨されます。 保存療法は、ご自身の体の状態を正しく理解し、痛みをコントロールしながら、今後の治療方針を考えるための重要な期間です。 一人で抱え込まず、定期的な検診を受けながら専門医と相談し、ご自身に合った治療計画を立てていきましょう。 大腿骨頭壊死の保存療法に関するよくある質問 保存療法で壊死は治りますか? 一度壊死した骨組織が保存療法で元通りになることはないといえるでしょう。 保存療法の目的は、壊死した部分が潰れてしまう「圧潰」を防ぎ、痛みをコントロールして、自分の関節をできるだけ長く温存することにあります。 自転車に乗っていいですか? 自転車の利用自体は可能ですが、転倒しないこと、そして転びそうになった際に無理に踏ん張らないことが前提になります。 走行するなら、平坦で人通りが少なく、接触の危険が少ない道を選びましょう。 一方で、坂道で立ちこぎが必要な場面や、人や車が多く衝突のリスクが高い場所では自転車の使用は控えた方がいいでしょう。 食生活で気をつけることはありますか? 食べ物の規制は特にありませんが、股関節の負担を減らす上で体重管理は非常に効果的です。 栄養バランスを考えた食事を意識しながら、適正体重を心がけましょう。 また、危険因子としてアルコール飲料は骨頭壊死の進行リスクを高めるといわれており、国際的な基準も定められています。過剰な摂取は避けてください。 参考文献 (文献1) 特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)|難病情報センター (文献2) Osteonecrosis of the Femoral Head: an Updated Review of ARCO on Pathogenesis, Staging and Treatment|PMC (文献3) Guidelines for clinical diagnosis and treatment of osteonecrosis of the femoral head in adults (2019 version)|PMC. (文献4) 71 特発性大腿骨頭壊死症|厚生労働省
2023.10.19 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
「病院で大腿骨頭壊死症と診断されたが、思い当たる原因がない」 このような悩みを抱える人は、少なくありません。 大腿骨頭壊死症は指定難病にもなっている病気です。 大腿骨頭壊死症は普段よく聞く病名ではないため、病気の全貌が見えず不安になってしまうこともあるでしょう。 この記事では、大腿骨頭壊死症が起こる原因や、治療法について解説します。 大腿骨頭壊死症を予防する方法や悪化させないよう気を付けるべき点も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腿骨頭壊死症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腿骨頭壊死症の原因を種類別に解説 大腿骨頭壊死症の原因は、「特発性大腿骨頭壊死症」と「症候性大腿骨頭壊死症」の場合で異なります。 大きく分けると、明確な原因がある場合が「症候性大腿骨頭壊死症」、明確な原因はないもののさまざまな危険因子が重なり起こったのが「特発性大腿骨頭壊死症」です。 それぞれの原因を詳しく解説します。 特発性大腿骨頭壊死の原因 特発性大腿骨頭壊死症の場合、科学的根拠に基づいたはっきりとした原因はわかっていません。 特発性大腿骨頭壊死症を引き起こす危険因子として、下記が関連していると考えられています。 SLEなどの免疫異常の疾患(膠原病)や臓器移植などによるステロイド投与 アルコールの過剰摂取 喫煙 中でも、ステロイドやアルコールについては、国際的に基準が定められています。 (1)ステロイド関連の基準 3か月以内に累積2gを超えるプレドニゾロン投与、または、同等力価の糖質コルチコイド投与歴 糖質コルチコイド投与から2年以内に特発性大腿骨頭壊死症と診断 (2)アルコール関連の基準 あらゆる種類のアルコール飲料のアルコール量400 mL/週(もしくは320 g/週)を超えるアルコール摂取を6カ月以上継続している この用量のアルコール摂取から1年以内に特発性大腿骨頭壊死症と診断 このような基準を満たす場合には、ステロイドあるいはアルコールの関連が疑われます。 しかしながら、なぜ大腿骨の壊死が起こるのか、その機序についてはまだはっきりとはわかっていません。(文献1) 症候性大腿骨頭壊死症の原因 大腿骨頭壊死を引き起こした原因がはっきりしている場合、症候性大腿骨頭壊死症と診断されます。 症候性大腿骨頭壊死症と診断された場合のおもな原因は以下の通りです。 骨折などの外傷 放射線照射 ダイビングなど、高圧から低圧に移行する状況で発生するガス泡による血管の閉塞 大腿骨頭壊死症とは 大腿骨頭壊死症とは、股関節にある大腿骨頭の一部が血流の低下によって壊死してしまい、圧潰(あっかい:つぶれて変形)し股関節の機能が損なわれてしまう病気のことです。特発性大腿骨頭壊死症は難病に指定されています。(指定難病71) 大腿骨頭壊死症の中でも、脱臼や骨折など、血流低下の明らかな原因がない場合に「特発性」大腿骨頭壊死症と呼びます。 日本では、毎年2,000〜3,000人の方が新たに特発性大腿骨頭壊死症になっており、好発年齢は30〜50歳代です。 働き盛りの方に起こりやすいと言えるでしょう。 大腿骨頭壊死症の症状 大腿骨頭壊死症のおもな症状は以下の通りです。 腰痛 膝の痛み お尻、股関節の痛み 歩行困難 歩行困難は壊死が進行し痛みが悪化した場合に起こることがあります。 特発性大腿骨頭壊死では、ただ大腿骨に壊死が起こっただけでは症状はありません。 しかし、壊死が進行し、骨頭の圧潰つまり変形が進んだときには症状が現れます。大腿骨頭壊死症が発生してから、症状が出るまでの間には、数カ月から数年の時間差があるということに注意が必要です。 大腿骨頭壊死症の治療法 大腿骨頭壊死症の治療法は、患者の年齢や合併症の有無、症状の進行度などを考慮して決められます。 大きく分けると症状が軽度〜中度の場合は保存療法、重度の場合は手術療法が検討されることが多いです。 また、近年は研究が進み、大腿骨頭壊死症の治療の1つとして再生医療も注目を集めています。 それぞれの治療の方法と注意点について解説します。 保存療法 病型分類で、骨頭の圧潰がそれほどひどくない場合、手術を行わず保存療法で経過を見ていきます。行う治療は以下の通りです。 鎮痛剤などを使用する 痛みに対しては鎮痛薬の内服などで対処していきます。主に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用し、痛みや腫れに対して湿布薬も併用します。 薬による治療はあくまで痛みの緩和が目的であるため、壊死が完治するわけではありません。股関節への負担を軽減する工夫が必要です。 日常生活を工夫する 股関節は上半身を支え、歩く・座るといった動作を担う大切な役割を担っています。 大腿骨頭壊死症を改善するには、股関節に負担をかけないことが重要です。 移動の際は杖を使用して股関節にかかる負荷を軽減する 重い荷物を持たないようにする 長距離歩行を避ける 急にしゃがみ込むなど、股関節に負担がかかる姿勢を取らない 上記の項目を心がけて、症状の改善を目指しましょう。 足のトレーニング 大腿骨頭壊死症の改善には運動も欠かせません。 足に筋肉がつくと股関節への負担も減り、症状の改善につながります。 【大腿四頭筋のトレーニング】 椅子に深く座る 片足ずつゆっくりと膝の曲げ伸ばしを行う 足首の力は抜き、太ももは座面につけたままにする 【中殿筋の筋肉トレーニング(横向き)】 横向きに寝転がる 天井側になった足を伸ばした状態でゆっくりと真上に上げる 上げきったらゆっくりと下ろす 【中殿筋の筋肉トレーニング(仰向け)】 仰向けに寝転がる 足を伸ばしたままゆっくりと足全体を横に開き、また閉じる 余裕のある方はゴムバンドやヒモを足首に通し、負荷を増やして行う 運動をする前はかかりつけの医師に相談し、無理のない範囲で行ってください。 いきなり高負荷の運動をすると悪化する恐れもあります。負荷は徐々に増やしていきましょう。 手術療法 痛みの症状が強く、今後も大腿骨頭の圧潰が進行すると予想される場合には、手術療法が検討されます。 若い方の場合は、自身の股関節を温存する「骨切り術」を用いるケースが多いです。 壊死範囲の大きい場合や骨頭圧潰が進んでいる場合、高齢者の場合は「人工関節置換術」が必要となることもあります。 人工関節置換術は壊死部分を取り除き、取り除いた箇所に人工関節を入れる手術です。 人工関節のメリットとして、以下の点が挙げられます。 ほかの関節への負担が軽減される。 関節が安定することにより歩行も安定する。 一方で、人工関節のデメリットを理解しておくことも重要です。 細菌感染に弱い。 下肢に血栓ができるリスクが上がる。 手術療法については下記の記事でも詳しく解説しています。手術療法を検討する際の参考にしてみてください。 リハビリテーション 大腿骨頭壊死症の改善にはリハビリテーションも欠かせません。 リハビリは股関節の可動域を増やすことや、股関節周辺の筋肉を鍛えることを目的として行います。 股関節周辺のストレッチや無理のない範囲での筋力トレーニングをしましょう。 リハビリの期間は症状の進行度によって変わるため、医師と相談のもと進めましょう。 大腿骨頭壊死症のリハビリテーションについては、下記の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてお読みください。 再生医療 大腿骨頭壊死症に対しては、再生医療という治療法もあります。 再生医療の幹細胞治療は、他の細胞に変化する「分化能」を持つ幹細胞を用いた治療です。幹細胞は患者様の脂肪から採取し、1カ月ほどかけて培養したものを壊死した部位に投与します。 患者様自身の幹細胞を使用するため、拒否反応のリスクが低い点が特徴で、手術や入院は不要です。 当院では、再生医療を用いて大腿骨頭壊死症の治療をされた方の症例を紹介しています。具体的な治療法や術後の経過など、参考にしてみてください。 大腿骨頭壊死症を予防するには 大腿骨頭壊死症を防ぐには、股関節への負担を軽減することが重要です。 大腿骨は壊死していても潰れていなければ症状が出ることはあまりありません。そのため、症状が出た後に予防しても大きな効果を得られないことが多いです。 以下の内容を日常的に心がけ、大腿骨頭壊死症のリスクを減らしましょう。 正座やあぐらはなるべくしない。 肥満気味の人は体重管理を行う。 長時間歩行はなるべくしない。 過剰なアルコール摂取は避け、喫煙者は禁煙する。 ステロイド剤の使用に注意する。 健康な生活を心がけ、骨を丈夫にするカルシウムやビタミンを積極的に摂取する。 症状が出た後でも、股関節の負担を軽減するよう保存療法を行うことで痛みが和らぐこともあります。 症状が出たからとあきらめず、日常生活での工夫は続けましょう。 また、早期に治療を始めることは大腿骨頭壊死症の進行を遅らせることにつながります。 違和感を感じたらすぐに医療機関を受診し、適切な治療を始めましょう。 まとめ|大腿骨頭壊死症はアルコールやステロイドが原因になることも!早期発見、予防が重要 大腿骨頭壊死症の原因は、骨折などの外傷による場合と、明確な原因がないまま発症する場合があります。 明確な原因がないまま発症した際は「特発性大腿骨頭壊死症」と診断されます。 特発性大腿骨頭壊死症が発症する危険因子としてステロイドやアルコールの過剰摂取などが指摘されていますが、科学的にはいまだ解明されていません。 大腿骨頭壊死症の治療は保存療法が基本です。症状が悪化して歩行困難などを引き起こしている場合、手術療法も検討されます。 股関節への負担を減らすことが大腿骨頭壊死症の早期回復、予防につながります。 急にしゃがみ込む、あぐらや正座で長時間座る、長時間歩行を続けるといった行為は股関節への負担を増やしてしまうためなるべく避けましょう。 当院では、大腿骨頭壊死症に対し、培養した幹細胞を投与する再生医療を行っています。 再生医療について詳しくは、以下のページもご覧ください。 大腿骨頭壊死症についてよくある質問 Q1.大腿骨頭壊死症の原因は何ですか? 大腿骨頭壊死症は原因が明確にわかっている場合と、原因が不明な場合があります。 明確な場合とは、骨折などの外傷、放射線照射、ダイビングなどの高圧から低圧に移行する状況で発生するガス泡が血管を塞ぐなど、直接的に大腿骨頭へのダメージが起きている場合です。 一方で、直接的なダメージが見受けられなくても大腿骨頭壊死を引き起こすことがあります。科学的な根拠に基づいた原因は明確になっていませんが、ステロイドの投与、アルコールの過剰摂取、喫煙などが要因になっている可能性が指摘されています。 Q2.大腿骨頭壊死症はどんな痛みが起こりますか? 急に生じる股関節痛や、腰痛や膝の痛み、お尻の痛みなどが見られることがあります。 大腿骨頭の壊死が進行し、症状がひどくなると歩行困難を引き起こすことがあります。 Q3.大腿骨頭壊死症になったらやってはいけないことはありますか? 大腿骨、股関節への負担をかけないことが重要です。 重い荷物を持たないようにする 長距離歩行を避ける 正座やあぐらなど股関節に負荷がかかる姿勢を取らない アルコールの過剰摂取や喫煙を控える などを意識しましょう。 参考文献 (文献1) 特発性大腿骨頭壊死症(指定難病71)│難病情報センター
2023.10.16 -
- 幹細胞治療
- PRP治療
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
- 再生治療
大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)は、太ももの先端部分である大腿骨頭と呼ばれる部位の血流が悪くなり骨が壊死してしまう病気です。 大腿骨頭壊死は、再生医療の治療対象です。再生医療は手術や入院をせずに治療できる可能性があるため、人工関節の置換を避けたい方にも選ばれています。 この記事では、大腿骨頭壊死の再生医療について詳しく知りたい方に向けて、治療の特徴や流れなどを解説します。 大腿骨頭壊死の治療法をお探しの方は参考にしてください。 大腿骨頭壊死の治療と再生医療について 大腿骨頭壊死は、太ももの付け根にある骨の先端部分である大腿骨頭の血流が滞ることで、骨の組織が壊死する疾患です。 初期症状がほとんど現れず静かに進行する場合が多く、突然の強い痛みや歩行困難をもたらし、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。そのため、大腿骨頭壊死は早期に発見し適切な治療を受けるのが重要です。 大腿骨頭壊死の治療は、保存療法や手術、再生医療などが挙げられ、患者様の症状や年齢、生活状況に応じて選択されます。とくに、再生医療は手術や入院を必要とせず、通院のみで治療できる場合もあるため、身体への負担が少ない点が特徴です。 大腿骨頭壊死に対する再生医療の可能性 大腿骨頭壊死の再生医療は、薬物療法や手術などの一般的な治療法とは異なるアプローチが可能です。 壊死した部位は、自然に回復することは難しいとされていますが、再生医療は患者様の細胞や血液を利用して、損傷した組織にアプローチします。また、治療には少量の細胞の採取や採血、点滴によって行われることが多く、手術や入院が不要で身体の負担が少ないのが特徴です。 手術に抵抗がある方や、できるだけ日常生活への影響を抑えたい方にとって、再生医療は有力な選択肢です。 再生医療の詳細については、上記の動画をご覧ください。 再生医療の治療法|幹細胞治療とは? 再生医療の一つである幹細胞治療は、他の細胞に変化する「分化能」という幹細胞の働きを活かした治療法です。 当院「リペアセルクリニック」における、大腿骨頭壊死に対する幹細胞治療の一例を紹介します。 1.患者様から米粒2~3粒程度の脂肪組織を採取する 2.脂肪から幹細胞を抽出し、培養によって数を増やす 3.培養した幹細胞を股関節の損傷部位に注射で投与する 幹細胞治療では、患者様自身の細胞を使用するので、アレルギーのリスクが低い点も特徴です。 手術以外の治療法をお探しの方や、再生医療に関心をお持ちの方は、当院へご相談ください。 大腿骨頭壊死の一般的な治療法 大腿骨頭壊死の一般的な治療法は、主に以下の2つです。 保存療法 手術 治療方法は、患者様の症状や生活スタイルなどに応じて検討されます。 順番にみていきましょう。 保存療法 大腿骨頭壊死が初期段階で発見された場合、保存療法が用いられます。 保存療法の主な内容は、以下の通りです。 杖や歩行器などを使用して股関節に体重をかけないようにする 鎮痛剤を服用して痛みをコントロールする ストレッチや軽い筋力トレーニングなどのリハビリを行い、股関節への負担を和らげる 大腿骨頭壊死の保存療法では、日常生活を送る中で症状が進行しないように股関節の負担を軽減するのが重要です。 大腿骨頭壊死のリハビリについて詳細は、以下の記事をご覧ください。 手術 大腿骨頭壊死が進行し、大腿骨頭の形が潰れて本来の球形が失われている場合は、手術が検討されます。患者様の年齢や症状の進行によって手術の方法は異なります。 大腿骨頭壊死に対する主な手術は、以下の通りです。 対象の方 手術名 内容 中等症の方 若年~中年の方 大腿骨内反骨切り術 股関節の骨を一部切除して角度を変え、痛みの少ない部分に体重がかかるようにする 大腿骨頭回転骨切術 股関節の骨を一部切り、大腿骨頭を回転させて、まだ傷んでいない部分で体重を支えるように調整する 血管柄付き骨移植 血流を促すために、血管がついた自分の骨を別の場所から取り、大腿骨に移植する 症状が重い方 高齢の方 人工関節置換術 損傷や変形した股関節の骨を取り除き、人工の関節に置き換える 症状が中程度の方や中年までの方は、自身の関節を残した手術を行うのが一般的です。一方、高齢の方や重症の方は、損傷した部位を切除して人工関節に置き換える方法が検討されます。 大腿骨頭壊死の手術について詳細は、以下の記事をご覧ください。 まとめ|大腿骨頭壊死に対しては再生医療も治療の選択肢 大腿骨頭壊死に対しては、再生医療も治療の選択肢の一つです。再生医療の幹細胞治療は、患者様自身の細胞を用いて、損傷した組織にアプローチする治療法です。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療について以下のような方にご相談いただいております。 股関節の症状があり、手術を検討されている方 入院や手術以外の選択肢をお探しの方 人工関節以外の治療をご希望の方 保存療法や手術とは異なる治療法をお考えの方 再生医療について詳しく知りたい方は、当院までお気軽にお問い合わせください。 大腿骨頭壊死の治療法についてよくある質問 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことは? 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことは、以下の通りです。 ジョギングやジャンプなどの激しい運動 重量物の運搬 長時間の立ち仕事 喫煙 飲酒 大腿骨頭壊死と診断された場合、症状の進行を防ぐため、股関節に負担をかけないことが重要です。 日常生活では、しゃがみ込む動作や深く前かがみになる動きなどが股関節に負担がかかりやすいので注意が必要です。また、喫煙や飲酒は血流を悪化させるため、大腿骨頭壊死のリスク要因の一つと考えられています。禁煙・禁酒を心掛けましょう。 以下の記事では、大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことについてまとめていますので参考にしてください。 大腿骨頭壊死になってしまったら、必ず手術が必要? 大腿骨頭壊死には、手術が必要とは限りません。症状の程度や進行具合によって、手術以外の治療法が選ばれることもあります。 手術しない治療法は、以下の通りです 痛み止めの服用やリハビリなどの保存療法 損傷した組織に幹細胞を投与する再生医療 保存療法は、大腿骨頭壊死が早期に発見された場合に用いられます。一方、再生医療は、大腿骨頭壊死の症状が進行しても受けられる可能性があるため、再生医療クリニックへご相談ください。 症状の程度やライフスタイルによって、最適な治療法は異なるので、医師に相談して自分に合った治療方法を見つけましょう。 大腿骨頭壊死に対する再生医療にはどのようなものがありますか? 大腿骨頭壊死に対する主な再生医療は、以下の2つです。 治療法 特徴 当院(リペアセルクリニック)の治療手順 幹細胞治療 様々な細胞に分化する能力を持つ幹細胞を用いた治療法 患者様から採取した幹細胞を注射で投与する PRP療法 成長因子を含む血小板を用いた治療法 患者様自身の血液から血小板を多く含む血漿を抽出し、患部に注射する 再生医療は、手術に抵抗がある方や回復を早めたい方にとって新たな治療の選択肢となります。どちらの治療が適しているかは症状や年齢などによって異なるため、専門医にご相談ください。
2023.10.12 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
「大腿骨頭壊死の手術ってどんな内容?」 「手術にかかる費用や入院期間も知りたい」 このような不安を抱える方は多いでしょう。 大腿骨頭壊死の手術には、関節を温存する「骨切り術」や、人工関節に置き換える「人工関節置換術」などの選択肢があります。 入院期間や費用、リスクは手術の種類によって異なるため、症状や生活スタイルに応じて、適切な治療法を選ぶのが大切です。 本記事では、大腿骨頭壊死の代表的な手術法の内容や入院期間・費用について解説します。 手術をしない治療法も紹介しますので、大腿骨頭壊死の手術を検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。 大腿骨頭壊死の手術内容【入院期間・費用あり】 大腿骨頭壊死の代表的な2つの手術内容を解説します。 骨切り術 人工関節置換術 入院期間や費用も紹介しますので、参考にしてみてください。 骨切り術|壊死した部分の骨を取り除く手術 骨切り術は、大腿骨頭壊死に対して行われる関節温存を目的とした手術です。 壊死していない健康な部分を体重がかかる位置に移動させて、ダメージを受けた部位の負担を減らします。 この方法では人工物を使わず、自分の骨を活かすため、関節を残せるのが大きな特徴です。 入院期間は約1〜2カ月かかり、費用は80万円ほどです。 入院期間 約1〜2カ月 入院費用(3割負担) 約80万円 人工関節置換術|骨を削って人工の部品に取りかえる手術 人工関節置換術は、壊死した骨の部分を人工の部品に置き換える手術です。 この手術には2つのタイプがあります。 人工骨頭置換術 ・壊死した骨頭だけを人工パーツに置き換える方法 ・骨盤側(臼蓋)はそのまま残す 人工股関節全置換術 ・壊死した骨頭に加えて、骨盤側の臼蓋部分も人工物に置き換える方法 ・丸い人工のボールと、半球状のカップ(ポリエチレン製)を組み合わせて関節を再構築する 多くの場合、手術の翌週には歩行練習の実施が可能です。 リハビリ期間も比較的短いため、高齢の方にも適しています。 入院期間は約2〜4週間かかり、費用は60〜80万円ほどです。 入院期間 約2〜4週間 入院費用(3割負担) 60〜80万円ほど 大腿骨頭壊死を手術しないで治療する方法 ここでは、大腿骨頭壊死を手術しないで治療する方法を4つ紹介します。 装具療法 物理療法 薬物療法 再生医療 症状が軽く保存療法に適している場合は、手術以外の治療方法も検討してみてください。 装具療法 装具療法は、松葉づえやロフストランドクラッチ(前腕部支持型杖)といった補助具を使い、患部にかかる体重を減らして、歩行の安定を目指す治療法です。 支えがあることで、日常生活の動作にかかる負担を軽減できます。 ただし、骨の変形を防いだり、手術を回避したりするのは期待しにくいとされています。(文献1) 手術を避けたい場合の一時的な対応策としては有効ですが、根本的な改善には限界があると理解しておきましょう。 物理療法 物理療法は、電気刺激や温熱、超音波などを利用して血流の改善を図る方法です。 ただし、大腿骨頭壊死の治療としては、骨の圧壊を防ぐ効果について、十分な科学的根拠(エビデンス)が確認されていません。 実際に行われているのは主に海外であり、現時点では日本で一般的な治療法とはいえず、補助的な位置づけにとどまっています。 薬物療法 薬物療法は、アレンドロネートやゾレドロネートといった「ビスホスホネート系製剤」が用いられます。 これらの薬は、骨がつぶれるのを防いだり、症状の悪化を抑えたりする目的で処方されます。 しかし、近年の調査では明確な効果は認められなかった結果も出ており、確実な治療法とは言い切れないのが現状です。 そのため、薬物療法はあくまで補助的な治療と考えられ、状態に応じて他の治療法と併用が一般的です。 再生医療 大腿骨頭壊死の治療法には再生医療も選択肢として挙げられます。 再生医療は、患者自身の血液から採取した幹細胞を培養・増殖させ、それを壊死した骨の部分に注入する治療法です。 当院では、専用の細胞加工施設と連携し、通常は難しいとされる股関節への幹細胞注入にも対応しています。 ご自身の血液・細胞を使用するので、拒絶反応が起こりにくい点が特徴です。 再生医療について詳しく知りたい方は、メール相談やオンラインカウンセリングで当院へお気軽にお問い合わせください。 関連記事:大腿骨頭壊死を手術しない治療法!放置するリスクや人工関節を避けるために重要なことを解説 大腿骨頭壊死の手術内容を把握して適切な治療を実施しよう 大腿骨頭壊死に対する代表的な手術法には「骨切り術」と「人工股関節置換術」の2つがあります。 それぞれの手術には特徴や適応条件があり、どちらを選ぶかによって治療の流れや生活への影響も変わってきます。 治療効果だけでなく、手術後の生活や職場復帰のタイミングを含めて、総合的に判断していく必要があるでしょう。 なお、手術以外にも、保存療法(薬物療法・装具療法・物理療法)や再生医療などの選択肢もあります。 再生医療の幹細胞を使った治療では、体のさまざまな組織に分化をする幹細胞を損傷した患部に投与します。 再生医療をご検討中の方や治療方法を詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。 大腿骨頭壊死の手術についてよくある質問 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことは? 大腿骨頭壊死を悪化させないためには、股関節にかかる負担を減らす行動が大切です。 以下の動作は進行を早める恐れがある行為です。 激しい運動(ランニング・ジャンプなど) 階段の上り下り 重い物の持ち運び 長時間の立ちっぱなし 深くしゃがむ 前かがみになる さらに、体重の増加やアルコールとタバコも骨の壊死を進行させるリスクがあるため避けるべきです。 大腿骨頭壊死手術をしたらいつぐらいで仕事復帰できますか? 手術後の仕事復帰は、以下の表の通り仕事の種類によって異なります。 職種 手術後の職場復帰までの期間(目安) 事務職 2~4週 立ち仕事(半日) 4~6週 立ち仕事(1日) 6~8週 ドライバー 2~3カ月 激しい肉体労働 3カ月~半年 動きが多い仕事は復帰に時間がかかる傾向があります。 関節を体に慣らすため、急ぎすぎは禁物です。 仕事復帰は必ず医師と相談して判断しましょう。 (文献1) 整形外科と災害外科66「当科における大腿骨頭壊死症に対する大腿骨頭前方回転骨切り術の検討」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/66/4/66_800/_pdf (最終アクセス:2025年5月18日)
2023.10.09 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
- 再生治療
大腿骨頭壊死とは、股関節を構成している大腿骨頭の血流がなんらかの理由で途絶えてしまい、骨が壊死してしまう原因不明の難病です。 主に以下のような初期症状が見られた場合は、要注意です。 骨頭壊死による初期症状は、壊死した骨が潰れることで痛みとして現れるため、痛みを感じた時にはある程度進行している可能性が高いです。 壊死した骨は自然治癒しないため、範囲が今以上に拡大する前に適切な治療を受ける必要があります。 当院リペアセルクリニックでは、手術をせずに大腿骨頭壊死の改善を目指せる再生医療による治療をご提供しています。 壊死した骨の切除や人工関節手術を避けられる治療法として注目されている治療法なので、手術を避けたい方は、ぜひ当院までご相談ください。 ▼再生医療に関するお問い合わせはこちら >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死とは 大腿骨頭壊死とは大腿骨頭の一部が、なんらかの原因で血流が途絶えてしまい、骨組織が壊死してしまう病気です。 大腿骨頭壊死の中でも、脱臼や骨折などで理由が明らかになっていれば「特発性大腿骨頭壊死症」と認められています。 特発性大腿骨頭壊死症に認められると、治療が長期化するだけでなく、働く能力も落ちてしまう症状も出るため、早期発見が推奨されています。 日本でも毎年2,000〜3,000人ほど特発性大腿骨頭壊死症に発症し、中でも30〜50歳の方が起こりやすい病気です。 大腿骨頭壊死の初期症状 大腿骨頭壊死の初期症状は、足の付け根が痛み、股関節の関節可動域が制限される症状が出ます。 それぞれの初期症状について、詳しく解説していきます。 足の付け根が痛む 大腿骨頭壊死の初期症状は、足の付け根が痛みはじめます。 注意点として血流が途絶えて壊死が起きるごく最初の段階では痛みは起こりません。 壊死に陥った部分に負荷が加わり、骨が潰れてくれて、徐々に痛みが出現します。 たとえば、関節に体重を乗せたり動かしたりすると、鋭い痛みを感じるケースがあります。 また、骨頭壊死が起こると痛みが出現するタイミングには時間的に差がある点に注意が必要です。 骨頭壊死はあっても、壊死の範囲が小さい場合などでは痛みを起こさない症例もありえます。 股関節の関節可動域が制限される 大腿骨頭壊死の症状が進行していくと、壊死した部分が潰れて大腿骨頭が変形します。 変形した結果、陥没した部分に関節の不適合や不安定性から軟骨のすり減りが進行してしまいます。 結果として「変形性関節症」を生じ、放置したままだと軟骨がなくなってしまうので注意が必要です。 骨同士がぶつかり、変形性関節症が悪化してしまいます。 変形性関節症が進行すると、痛みだけでなく、股関節の関節可動域が悪くなります。 股関節は曲げ伸ばしだけでなく、内旋、外旋などの動きがあるので、病気が進行すると日常生活で、以下のような困難さを感じるので注意しましょう。 大腿骨頭壊死で困難になる症状 胡座(あぐら) 爪切り 和式トイレ 階段の上り下り 筋力低下による歩行困難 起き上がりなどの起居動作 大腿骨頭壊死は、初期症状である「足の付け根の痛み」がある段階で早めに病院で診察を受けましょう。 「どんな痛みがあるの?」「どこが痛むの?」など、より詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 大腿骨頭壊死が発症する原因 大腿骨頭壊死が発症する原因は、股関節の脱臼や骨折に続いて発症するケースがあります。 他にも以下のような症例から発症するケースもあるので、該当する病名がある方は注意してください。 糖尿病 鎌状赤血球貧血 腎臓病 アルコール依存症 痛風 ステロイド投与による副作用や喫煙が関連する可能性もあるため、強い衝撃による損傷のような痛みから発症するわけではありません。 なお、ステロイド投与やアルコールに関しては、国際的な基準が設けられています。 詳しくは以下の記事でまとめているので、あわせてご覧ください。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと 大腿骨頭壊死が発症した場合、大腿骨頭を圧迫させないのが重要です。 股関節に体重がかからないよう、杖を使ったり長距離の歩行を控えたりするのが大切です。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことを以下にまとめたので、症状を患っている方はチェックしてみてください。 【大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと】 激しい運動 階段の昇り降り 重量物の運搬 長時間の立ち仕事 体重の増加 しゃがみこみ 前屈動作 飲酒 喫煙 とくに飲酒と喫煙は、壊死した骨を弱らせてしまうため、大腿骨頭壊死の進行度を早める原因になってしまいます。 大腿骨頭壊死になったら、股関節への負荷と飲酒・喫煙を控えるのが大切です。 以下の記事では、より詳しく「大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと」をまとめているので、ぜひご一読ください。 大腿骨頭壊死の診断方法 大腿骨頭壊死における画像検査にはレントゲンとMRI検査が有効です。 それぞれの特徴について解説していきます。 レントゲン撮影 大腿骨頭壊死でレントゲン撮影をするのは一般的な診断手法です。 大腿骨頭壊死の評価にも使用される診断方法です。 レントゲンは骨の形状や変化を評価でき、簡便なので最初の検査として行われるケースが多い傾向にあります。 しかし、大腿骨頭壊死の初期の段階ではレントゲンだけでは診断が難しいケースもあるため、医師と相談の上決めていきましょう。 MRI検査 MRI検査は大腿骨頭壊死の診断に役立ちます。 壊死の範囲を評価するだけではなく、骨折や関節炎など別の病気も診断可能になるからです。 大腿骨頭壊死の診断は、早期発見が重要になるものの、レントゲン撮影では変化が見られないケースもあるため、MRI検査が無難でしょう。 手術が必要な場合では、CT検査も必要になります。 なお、レントゲン撮影でも大腿骨頭壊死と判断つくケースもあるため、症状の進行度とともに医師と相談して判断していきましょう。 当院ではメール相談やオンラインカウンセリングも実施しているので、気になる症状がある方は気軽にご連絡ください。 大腿骨頭壊死の治療法 大腿骨頭壊死の治療法は年齢や本人の状態、病気の範囲、部位など総合的に判断して決定されます。 ここからは大腿骨頭壊死の治療法や入院期間について解説していきます。 保存療法 軽度の大腿骨頭壊死では、痛みを緩和するために安静や杖による免荷、身体活動の制限、重量物の運搬禁止などを行います。 初期症状の範囲では、関節症変化へと進まず可動域の制限も比較的保たれるため、生活指導が主な治療法です。 痛みに対しては消炎鎮痛薬の内服や湿布などを行います。 しかし、保存療法で病気の進行は防げません。 進行が考えられる状態や、進行しつつある状態のときには変形が進む前に手術を受ける方が改善する可能性は高くなります。 手術療法 手術は大きく骨を切って関節を温存する骨切り術と、壊死した骨を切除して金属に置き換える人工関節置換術に分けられます。 骨を切る手術では壊死した部分に体重がかからないように大体骨頭を弯曲させたり、回転させる手術が行われます。 骨を切った後は専用の金属で固定をするため、一定期間の安静が必要ですが、病気が進行する可能性はゼロではありません。 人工関節手術では大腿骨頭だけを置き換える人工骨頭置換術、骨盤側にも金属をいれる人工股関節全置換術があります。 基本的には手術翌日から歩行訓練が可能で、リハビリが早いメリットがありますが、人工関節のためスポーツは制限が必要であり、将来的な再手術の可能性もあります。 入院期間 大腿骨頭壊死で手術をした場合、以下の期間入院する必要があります。 手術法 入院期間 骨切り術 1〜2カ月 人工関節 2週間〜1カ月 大腿骨頭壊死は、骨への栄養補給する血流が途絶えて発症する病気ですが、詳しい原因は未だ不明です。 医療が進歩し、原因が判明すれば入院期間も変動する可能性もあるでしょう。 再生医療なら手術をせずに効果が期待できる! 大腿骨頭壊死は、骨切り術や人工関節手術など手術を避けたい方は、先端医療である「再生医療」も選択肢の一つです。 再生医療とは、人間の持つ再生力を活用し、損傷した骨組織の再生・修復を目指す医療技術です。 当院リペアセルクリニックでも、手術をせずに大腿骨頭壊死の改善を目指せる再生医療をご提供しています。 また、当院では患者さまから採取した細胞や血液のみを使用するため、アレルギー反応や拒絶反応のリスクが少ない治療を実施しています。 「手術を避けたい」という方は、ぜひ当院の再生医療をご検討ください。 ▼再生医療に関するお問い合わせはこちら >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる まとめ・大腿骨頭壊死は早期の発見と治療が大切! 大腿骨頭壊死症は骨を栄養している血流が途絶えて発症する、現時点でも原因が不明の難病です。 初期症状は足の付け根の痛みであり、病気が進行すると人工関節手術を受けられなくなってしまうかもしれません。 当院の再生治療は幹細胞を股関節内に投与し、軟骨の修復が可能な治療法です。 痛みでお困りの際にはいつでも気軽にご相談ください。
2023.10.05 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 肩関節、その他疾患
- ひざ関節
- 股関節
- 膝部、その他疾患
「大腿骨頭壊死にはどんなステージ分類がある?」 股関節周辺に痛みを抱えている方の中には、上記のような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。 結論、大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減っていくことです。 ステージ4になると関節同士の隙間がなくなってしまい、激しい痛みを伴います。 本記事では、壊死してしまった骨の根本治療にも期待できる再生医療の選択肢も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。 \骨壊死の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、壊死・損傷した骨に対してアプローチできる治療法で、手術せずに大腿骨頭壊死の改善が期待できます。 以下の動画では、骨壊死に対する再生医療の治療について詳細を解説しています。 https://www.youtube.com/watch?v=ic_6QaEU5NU 【こんな方は再生医療をご検討ください】 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種 大腿骨頭壊死とは「骨頭壊死症」の一種です。 骨頭壊死症とは、骨に栄養を届けている血管が障害されて血液が供給されなくなり、骨の一部分が壊死する病気です。 ただし、原因は血液供給がなくなるだけでなく、以下のような原因も発症に関係していると考えられています。 怪我などの外傷による血管の障害 アルコール摂取 ステロイド使用者 また、骨壊死は全身のあらゆる骨に起こり得ます。 代表的な部位は、股関節の大腿骨頭に起きる「大腿骨頭壊死」、肩関節の上腕骨に起こる「上腕骨頭壊死」、「膝関節骨壊死」などがあります。 股関節と肩関節は、大腿骨頭・上腕骨頭と呼ばれる部位があるため、「骨頭壊死」と病名が付くのが特徴です。 一方で、膝関節は骨頭と呼ばれる部位がないため「骨壊死」が病名となります。 大腿骨頭壊死のステージ分類と原因 大腿骨頭壊死は、1〜4のステージに分類されます。ステージによって、進行度合いが異なり、ステージが上がる度に症状も顕著になっていくのが特徴です。 ここからは、大腿骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく解説していきます。 大腿骨頭壊死から進行・変形性股関節症へのステージの分類 大腿骨頭壊死のステージ分類は、以下の通りです。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 大腿骨頭壊死のステージ分類の特徴は、大腿骨頭の壊死部分が進行し、軟骨がすり減ると「変形性股関節症」を発症する可能性がある点です。 ステージ3までは関節軟骨があり、関節同士に隙間があるものの、さらに進行すると、関節同士の隙間がなくなってしまいます。 大腿骨頭壊死や症状が変形性股関節症まで進行した場合、従来の治療では根治が難しいため、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行した大腿骨頭壊死の根治を目指したい 大腿骨頭壊死や変形性股関節症を早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死の重症度分類 原因不明である「特発性骨頭壊死」は、壊死の範囲によって重症度分類がありType A〜Cに分けられます。 重症になるほど、壊死範囲が大きくなり、大腿骨頭が潰れるリスクは高くなるのが特徴です。大腿骨頭壊死の重症度分類は以下のとおりです。 Type A:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3未満 Type B:壊死範囲が体重のかかる領域の1/3〜2/3 Type C:壊死範囲が体重のかかる領域の2/3以上 Type C-1:壊死の範囲が骨盤の縁の「内側」にあるもの Type C-2:壊死の範囲が骨盤の縁の「外側」にあるもの Type Aが軽症でCになるとより重症となります。さらにTypeCは、より重症なC-1とC-2に分けられるのが特徴です。 大腿骨頭壊死の原因 大腿骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 股関節を構成している大腿骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 放射線治療 潜函病 股関節を形成している大腿骨頭に血液が供給されなくなると、大腿骨頭壊死を発症するケースが多い傾向にあります。 しかし、なかには、原因不明で突発的に大腿骨頭壊死を発症する可能性もあります。 上腕骨頭壊死のステージ分類と原因 上腕骨頭壊死とは、上腕部分にある「上腕骨頭」と呼ばれる部位が壊死してしまう病気です。大腿骨頭壊死のように、他の病気に進行するケースはありません。 ここからは、上腕骨頭壊死のステージ分類と原因を詳しく見ていきましょう。 上腕骨頭壊死の進行・ステージ分類 上腕骨頭壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がなく、CTやMRI検査で壊死がわかる状態 ステージ2:骨透亮像や骨硬化像、限局性の骨溶解像がみられる状態 ステージ3:軟骨下骨に骨折線を認める状態 ステージ4:上腕骨頭に加えて、肩甲骨の関節窩にも骨の変化を生じている状態 ステージが上がり末期になると、薬物療法や保存療法では治せない可能性が高まります。 末期ステージになると、骨切り術や人工関節を挿入する手術療法が行われるケースもあります。 ただし、治療方法はステージ分類だけでなく、症状や年齢などさまざまな要因によって決まるため、一概に治療方法は断言できません。 上腕骨頭壊死の原因 上腕骨頭壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 骨折や脱臼などの外傷 ステロイドの使用 アルコール 鎌状赤血球症・関節リウマチ・全身性エリテマトーデスなどの全身性疾患 骨折や脱臼などの原因は外傷性と呼ばれています。一方でステロイド使用や全身性疾患などは、非外傷性に分類されるのが特徴です。 膝関節骨壊死のステージ分類と原因 膝関節骨壊死は、名前の通り膝関節の骨が壊死してしまう病気です。 膝関節と呼ばれているものの、太ももの内側に壊死が起こる症例が多いため「大腿骨内顆骨壊死」と呼ばれるケースもあります。 また膝関節骨壊死は、60歳以上の女性に多く見られるのが特徴です。 ここからは、膝関節骨壊死のステージ分類と原因を紹介します。 膝関節骨壊死の進行|ステージ分類 膝関節骨壊死のステージ分類は、以下のとおりです。 ステージ1:レントゲンで異常がみられない状態 ステージ2:レントゲンで骨内に壊死領域がみられる状態 ステージ3:レントゲンで軟骨の下に骨折線があり、関節面が凹んでいる状態 ステージ4:関節の隙間が狭くなってしまっている状態 ステージが進むと、膝関節骨同士の隙間が狭くなるのが特徴です。膝関節同士が狭くなる病気として、膝関節骨壊死の他に、変形性膝関節症があげられます。 両病気とも、初期ステージの症状だけで判別するのは難しい傾向にあります。 レントゲン検査で、膝関節骨壊死か変形性膝関節症かを判別できるため、膝に痛みを抱いている方は、速やかに医療機関を受診するのがおすすめです。 膝関節骨壊死の原因 膝関節骨壊死の原因は、主に以下があげられます。 肩関節を構成している上腕骨頭に流れている血管の障害 軽微な骨折 肥満ステロイド薬の使用 大腿骨頭壊死や上腕骨頭壊死と同様に、明確な原因は判明していませんが、上記のような要因によって膝関節骨壊死が起こると考えられています。 肥満体型によって、膝関節に負担がかかるのも、膝関節骨壊死を発症させるリスクがあります。 肥満は、変形性膝関節症のリスクも高めるため、食事管理や運動習慣を身に着け、減量を目指しましょう。 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断方法 大腿骨頭壊死のステージ分類の診断は、主にレントゲン検査やMRI検査で行われます。 基本的レントゲン検査だけで大腿骨頭壊死の患部は確認できますが、早期の骨壊死を確認するには、MRI検査が必要になります。 レントゲン検査やMRI検査では、骨が潰れていたり、壊死が進行していたりするかを確認可能です。変形性股関節症や変形性膝関節症の判断もできます。 また、血液凝固疾患をはじめとした基礎疾患を確認するために、血液検査を行うケースもあります。 大腿骨頭壊死の予防方法 大腿骨頭壊死の予防方法は、以下があげられます。 ステロイド薬の使用に注意する 過度な飲酒や喫煙は控える 股関節への負担を軽減する ステロイド薬を長期的に使用していると、大腿骨頭壊死のリスクが高まると考えられています。 ステロイド薬を使用する際は、自己判断で使用したり、量を調整したりするのは控えましょう。 他にも飲酒や喫煙も大腿骨頭壊死の発症にかかわっているとされているため、できるだけ避けてください。 また、肥満体型の方は、股関節への負担を軽減するため、体重減量を目指しましょう。 長時間の立ち仕事や、重い荷物を持つ仕事も、股関節の負担となるため、注意が必要です。 大腿骨頭壊死(骨壊死)治療法・保存療法 大腿骨頭壊死の治療は、保存療法や手術療法があげられます。 治療方法は、進行ステージやライフスタイル、年齢などを考慮して決められます。 ここからは、大腿骨頭壊死の治療法を4つ見ていきましょう。 保存療法 保存療法とは、リハビリテーションや薬物療法が代表的です。リハビリテーションでは、股関節にかかる負荷を抑えるため、体重管理が行われるケースもあります。 股関節の可動域を維持し、筋力を強化するために、ストレッチや筋力トレーニングも行われます。リハビリテーションの期間は一般的に、医療保険で対応できる150日が目安です。 なお、保存療法は、あくまでも症状を和らげる手段であり、骨壊死を治癒させるのは不可能である点に留意しておきましょう。 骨切り術 骨切り術は、大腿骨頭の壊死した部分へかかる負荷を抑えるため、骨の一部を切って角度を変える手術を指します。 病気の進行を遅らせ、股関節の機能を温存するのが目的であり、比較的若い方や病気の進行が初期から中期の方に適用されます。 ただし、骨切り術は難しい手術方法であり、医師の高いスキルや医療機関の充実した設備が必要です。 術後は、最長6カ月間松葉杖を使用したり、長期間リハビリテーションをしたりしなくてはならない点に留意しておきましょう。 人工関節 人工関節置換術は、壊死した大腿骨頭を人工関節に置き換える手術です。骨壊死により関節の多くが潰れてしまっているケースに適用されます。 人工関節置換術は、痛みを大幅に軽減し、股関節の機能の改善を期待できます。 リハビリテーションは必要ですが、入院期間は10日ほどと短いのが特徴です。ただし耐用年数の問題で、若い方に行うのは避けるべきとされている点に留意が必要です。 人工関節は脱臼リスクもあるため、メリットだけでなくリスクも理解して検討しましょう。 再生医療 大腿骨頭壊死を手術せずに根治を目指したい方は、再生医療も選択肢の一つです。 再生医療は、患者さま自身の細胞を採取・培養し、患部に投与することで損傷した組織の再生・修復を促す医療技術です。 患者さま自身の幹細胞や血液を用いるため、拒絶反応やアレルギー反応などの副作用リスクが少ないのが特徴です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 副作用リスクの少ない治療で根治を目指したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 当院(リペアセルクリニック)では、患者さま一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、ぜひ無料カウンセリングにてご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死でお悩みの方は、再生医療を視野に入れてみてはいかがでしょうか。 まとめ|大腿骨頭壊死のステージ分類とは?治療方法やよくある質問も紹介 大腿骨頭壊死では、1〜4のステージに分類され、それぞれ以下のような状態が目安となります。 ステージ 目安となる状態 ステージ1 レントゲンで異常がなく、MRI検査などで壊死がわかる状態 ステージ2 レントゲンで異常があるものの、骨頭が潰れていない状態 ステージ3 骨頭が潰れているものの、関節軟骨があり関節の隙間が残っている状態 ステージ4 軟骨がすり減り、変形性股関節症となっている状態 ステージが上がると関節軟骨がすり減ってしまう「変形性股関節症」や「変形性膝関節症」につながるため、早期治療が重要です。 悪化を防ぐためにも、痛みや違和感を抱いている方は、早めに医療機関を受診しましょう。 近年の治療では、従来の保存療法や手術療法に加え、患者様の細胞を用いて手術をせずに根治を目指す再生医療も選択肢の一つです。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 進行している大腿骨頭壊死でも手術せずに治したい 大腿骨頭壊死による痛みを早く治したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 再生医療は、早く治療を受けるほど治療成績が良いですが、進行している大腿骨頭壊死も治療できるケースがあります。 具体的な治療法については、患者様一人ひとりの症状やお悩みに合わせてご案内しておりますので、当院(リペアセルクリニック)の無料カウンセリングにて、ぜひご相談ください。 ▼まずは骨壊死の治療について無料相談! >>今すぐ電話してみる 大腿骨頭壊死に関するよくある質問 骨壊死にならないか心配ですが、気を付けることはありますか。 現代医学でも骨壊死の正確な原因はわかっていません。危険因子としてわかっているのは外傷、ステロイドの使用、アルコール多飲です。 ステロイドは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど全身性疾患の治療に必要なため、飲まないことはおすすめしませんが、外傷やアルコールはご自分で気を付けられます。無理な運動は行わず、規則正しい生活習慣を送るのが予防に必要と言えるでしょう。 レントゲンで問題ないと言われましたが、大丈夫でしょうか。 骨壊死は初期の段階ではレントゲンで異常がわからないケースがほとんどです。壊死した領域がレントゲンでわかるまでは時間がかかりますが、MRI検査では早期に病気を見つけられます。 痛みが強く心配な場合は、MRI検査や精密検査について担当の医師と相談するのがおすすめです。 大腿骨頭壊死と診断されたらスポーツはできませんか? 大腿骨頭壊死を発症後、スポーツができるかは、進行度合いによって異なります。 壊死の範囲が小さく、悪化リスクが低ければ、問題なくスポーツができるケースもあります。 しかし、壊死の範囲が広いと、股関節にかかる負担が大きくなるため、スポーツが制限される可能性がある点に注意が必要です。 体への負荷が少ないスポーツは許可されやすいですが、ジャンプをしたり、走ったりするスポーツは制限されやすい傾向にあります。 大腿骨頭壊死は医療費補助の対象になりますか? 明らかな原因がない「特発性大腿骨頭壊死」は、医療費補助の対象となります。特発性大腿骨頭壊死は、指定難病に分類されているためです。 特発性大腿骨頭壊死と診断された場合は、医療機関に医療費補助の手続き方法を相談しましょう。
2023.10.02 -
- 大腿骨骨頭壊死
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大腿骨頭壊死は、股関節のボール部分にあたる「大腿骨頭」が血流障害によって壊死してしまう病気です。 外傷や過度のアルコール、過度のステロイド使用など、さまざまな原因があります。なかには原因のない特発性もあり、指定難病にもなっています。 今回は、大腿骨頭壊死と診断されたら、どのようなことに気を付ければよいのか、またどのような生活を送るべきなのかについて詳しく解説します。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、大腿骨頭壊死の治療法の一つ、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腿骨頭壊死の治療法でお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと 大腿骨頭壊死を進行させる一番のリスクは、大腿骨頭にかかる負荷が増大することです。大腿骨頭は股関節を形成している部分であるため、立ったり歩いたりすると直接体重を受けてしまいます。 そのため、1本杖や松葉杖を使用して、過度な負担がかからないようにすることが必要です。 大腿骨頭壊死を発症した場合、激しい運動や階段昇降、重量物の運搬、長時間の立ち仕事など、股関節に持続的に強い負荷がかかることは避けましょう。 また、体重が増えてしまうことにも注意が必要です。体重が増えると、増えた体重分、股関節にかかる負担が大きくなります。 壊死は股関節の前方に発生することが多いため、しゃがみこむ動作や前屈動作など股関節を曲げる姿勢をとると、壊死部に負担がかかりやすいです。 アルコールとタバコも控えてください。骨密度を低下させる可能性もあるため、壊死で弱った骨をさらに弱くしてしまいます。 アルコールはそれ自体が大腿骨頭壊死の原因となることがわかっています。(文献1) タバコも血流を悪化させ、骨壊死を加速させるリスクが考えられます。 職場・仕事でやってはいけないこと 職場や仕事での動作にも注意が必要です。長時間の立位姿勢は股関節に持続的な負荷をかけるため、立ち仕事は制限が必要です。10kg以上の重量物の運搬や、階段の頻繁な昇降も避けましょう。 デスクワークの場合でも、長時間の座位は股関節の血流を悪化させる可能性があるため、1時間ごとに休憩を取り、軽いストレッチを行うことが推奨されます。 病状を悪化させないように働くためには、職場の理解が欠かせません。診断書を提出し、上司や人事部に相談しましょう。 また、産業医との面談も活用しましょう。職場環境の調整として、椅子の使用、休憩の取り方、作業台の高さ調整などを検討してください。 家事・日常動作でやってはいけないこと 家事や日常動作でも、股関節に負担をかける動作は避ける必要があります。掃除機がけは前かがみの姿勢を避け、軽い掃除機を使用しましょう。 床の雑巾がけは、しゃがむ動作を避けるため、モップなどを活用してください。 重い買い物袋の運搬(5kg以上)は避け、カート付きバッグを使用することをおすすめします。布団の上げ下ろしは股関節に大きな負担をかけるため、ベッド生活への変更を推奨します。 また、和式トイレの使用は深くしゃがむ動作を伴うため、洋式トイレへの変更が望ましいです。正座やあぐらなど、股関節を深く曲げる姿勢も避けましょう。 これらの代替方法を取り入れることで、日常生活での股関節への負担を大幅に軽減できます。 運動・スポーツでやってはいけないこと 大腿骨頭壊死の患者様は、股関節に負荷がかかる運動を避ける必要があります。 ランニングやジャンプ系スポーツは、股関節に強い衝撃を与えるので避けましょう。 重量挙げやスクワットなどの重量トレーニングも、股関節への負荷が大きいため推奨されません。 激しいダンスやエアロビクスなど、股関節を大きく動かす運動も控えてください。 サッカーやテニス、バスケットボールなどの球技は、急な方向転換や衝撃が伴うため、避けるべきです。これらの運動は、壊死部への負担を増大させ、病状の進行を早める可能性があります。 大腿骨頭壊死でやってもよいこと 禁止事項だけでなく、大腿骨頭壊死でやってもよいことも理解するのも大切です。 以下では、大腿骨頭壊死の患者様でも取り組める運動と、推奨される栄養バランスの取れた食事について解説します。 やってもよい運動 大腿骨頭壊死の患者様でも、股関節への負担が少ない運動であれば行えます。 軽いウォーキング(1日20~30分程度)は、杖を使用することで股関節への負担を分散させられます。 また、水中ウォーキングや軽い水泳も、筋力維持にも効果的です。これらの運動は、股関節に体重をかけずに身体を動かせます。 ストレッチは股関節を深く曲げないよう注意が必要です。大腿四頭筋のストレッチなど、股関節への負担が少ないものが適しています。 他にも股関節に負担を書けない上半身の筋トレ(腕立て伏せ、ダンベル運動)や、エアロバイクなど、室内で行える自転車運動もおすすめです。 まずは専門家に相談し、指示に従って適切な運動を取り入れましょう。股関節への負担を最小限に抑えながら、健康的な生活を送ることができます。 栄養バランスの取れた食事 体重増加は股関節への負担を増すため、適正体重の維持が大切です。研究によれば、肥満は骨壊死の血管再生と骨治癒を阻害することが示されています(文献2)。 適正体重を維持する目安としては、BMI 18.5~25未満を目標にすることが挙げられます。 骨や筋肉の健康を保つため、以下の栄養素を意識して摂取しましょう。 カルシウム:1日700~800mg(牛乳、チーズ、小魚など) ビタミンD:1日8.5μg(魚類、きのこ類、卵など) タンパク質:体重1kgあたり1.0~1.2g(肉類、魚類、大豆製品など) 避けるべき食品としては、アルコール、高カロリー食、加工食品が挙げられます。アルコールは大腿骨頭壊死の原因の一つであり、骨密度低下のリスクもあるため、基本的には禁酒が推奨されます(文献1)。 大腿骨頭壊死の進行ステージ別の注意点 大腿骨頭壊死は、病期分類(Stage 1~4)ごとに、注意すべき点や生活制限の程度が異なります。以下に各ステージの特徴と注意点をまとめました。(文献3)(文献4) ステージ 特徴 注意点 治療法 Stage 1(初期) X線では異常が見られないがMRIで壊死が確認される段階 保存療法で進行を抑えられる可能性が高い。荷重制限が重要。 荷重制限、杖の使用、鎮痛剤 Stage 2(進行期) X線で骨硬化像や嚢胞が見られる段階 荷重制限が重要。抗凝固薬やビスフォスフォネート製剤の使用も検討。 保存療法、薬物療法 Stage 3(圧潰期) 骨頭の圧潰が始まる段階 手術を検討する時期。日常生活での制限が厳しくなる。 骨切り術、血管柄付き骨移植 Stage 4(末期) 骨頭が完全に圧潰し、関節症が進行 人工関節置換術が必要になることが多い。 人工関節置換術 早期発見・早期治療が予後を左右するため、定期的に整形外科医の診察を受けることが重要です。 大腿骨頭壊死の治療法 大腿骨頭壊死の治療法は、大きく分けて保存療法、手術療法、再生医療の3つがあります。 保存療法 保存療法は、初期段階の大腿骨頭壊死に対して行われます。 杖の使用や荷重制限により壊死部への負担を減らし、骨の修復を促します。また、鎮痛剤で痛みをコントロールしたり、骨を強化する薬を使用したりすることもあります。 手術療法 手術療法は、保存療法で効果が得られない場合や、壊死が進行している場合に検討されます。 骨切り術、血管柄付き骨移植、人工関節置換術などがあります。 骨切り術:壊死部への荷重を減らすために骨の位置を変える手術 血管柄付き骨移植:血流のある骨を移植して壊死部の修復を促す手術 人工関節置換術:骨頭が完全に圧潰した場合に人工の関節に置き換える手術 ただし、人工関節は15〜20年程度で摩耗するため、若い年齢で手術を受けると将来的に再手術が必要になる可能性があります。そのため、できるだけ人工関節置換術を避けられるよう、病気の進行を遅らせる生活習慣を保つことが重要です。 再生医療 再生医療は、手術を必要としない治療法の一つです。 再生医療では、他の細胞に変化する能力がある幹細胞や、血液に含まれる血小板を濃縮した液体を利用します。血小板には、炎症を抑える働きがある成長因子が含まれます。どちらも施術は注射や点滴で行うため、手術を必要としないのが特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では、これらの再生医療を提供しています。幹細胞治療では、米粒2~3粒ほどの脂肪組織を患者様から採取し、幹細胞を培養して投与します。 再生医療は手術を必要とせず、人工の関節にすることに抵抗がある方でも受けられます。また、幹細胞の投与は日帰りで行えるため、入院も不要です。 大腿骨頭壊死に対する当院「リペアセルクリニック」の再生医療については、以下の症例をご覧ください。 大腿骨頭壊死を進行させない!予防における理想的な生活習慣 大腿骨頭壊死を悪化させないためには、以下の生活習慣を心がけることが大切です。 杖の使用 痛みのある側と反対側に杖を持ち、荷重を分散させることで股関節への負担を軽減できます。杖の長さは、立った状態で手首の高さに合わせるのが適切です。 洋式生活 和式トイレや床座りを避け、椅子やベッドを使用する「洋式生活」を心がけましょう。股関節を深く曲げこむ動作が多い日本式の生活は、股関節に大きな負担を掛けます。 適度な運動 水中運動やストレッチで筋力維持を図りましょう。適度な運動は血行促進につながり、骨の修復を助ける可能性があります。 禁煙 喫煙は血流を悪化させるため、禁煙が推奨されます。タバコは骨壊死を加速させるリスクも指摘されているので控えましょう。(文献5) ストレス管理 ストレスは血流に悪影響を与えるため、リラクゼーションを取り入れることが大切です。深呼吸、瞑想、趣味の時間などを活用しましょう。 体を温める 大腿骨頭壊死は血流障害によって起こります。体を温めることは血行を良くすることにつながるため、お風呂に入るなど体を冷やさないように心がけることも大切です。 これらの生活習慣を工夫しながら、整形外科医の定期的な診察を受けることが、大腿骨頭壊死の進行を防ぐ鍵となります。 まとめ|大腿骨頭壊死になったらやってはいけないこと 今回は大腿骨頭壊死になってしまったら、どのようなことに注意をすべきかに焦点を当てて解説しました。 大腿骨頭壊死は、患者様の生活習慣や行動が、その後の進行や症状を大きく左右する病気のひとつです。 股関節に負担をかける動作を避ける、体重管理を徹底する、飲酒・喫煙を控える、定期的な通院と経過観察を行うことが重要です。早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。 リペアセルクリニックでは、再生医療による治療も提供しています。手術を避けたい方、進行を抑えたい方は、お気軽にご相談ください。 病気に対する理解と自己管理が、大腿骨頭壊死とうまく向き合うポイントとなります。ご自身の病状をしっかりと把握し、進行予防に努めましょう。 大腿骨頭壊死になったらやってはいけないことに関するよくある質問 大腿骨頭壊死でも仕事は続けられる? 職種や病期によって異なります。以下の表にまとめました。 職種 継続可否 注意点 デスクワーク 継続しやすい 1時間ごとに休憩を取り、軽いストレッチを行う 立ち仕事 制限が必要 職場に椅子を用意してもらう、休憩時間を増やすなどの配慮を依頼 重労働 制限が必要 職種転換や休職を検討 職場への配慮依頼としては、診断書を提出し、上司や人事部に相談することが有効です。産業医との面談も活用しましょう。休職・復職のタイミングは、病期や症状に応じて主治医と相談してください。 大腿骨頭壊死は完治する? 壊死した骨は基本的に自然には再生しませんが、小さな壊死であれば消失する可能性があることが報告されています(文献7)。 適切な治療(保存療法、手術療法、再生医療)で症状をコントロールし、日常生活を送ることは可能ですが、完全な元通りに戻す方法は現時点ではありません(文献4)。 ただし、早期発見・早期治療により、進行を抑えられる可能性が高いため、定期的に整形外科医の診察を受けることが重要です。 飲酒は絶対にやめなければいけない? アルコールは大腿骨頭壊死の原因の一つであり、骨密度低下のリスクもあるため、基本的には禁酒が推奨されます(文献1)。 とくにアルコール性大腿骨頭壊死の場合は、必ず避けてください。 それでも飲みたい場合は、主治医と相談することが重要です。少量であれば許容される場合もありますが、自己判断での飲酒は避けましょう。 遺伝的に大腿骨頭壊死になりやすい人はいますか? 現在の研究では、大腿骨頭壊死が遺伝的に引き起こされることは確認されていません。 ただし、ステロイド性の骨頭壊死に関しては、骨頭壊死を引き起こす遺伝子がある可能性までは研究でわかっており、今後さらなる研究が望まれます。 どのくらいのステロイドを使うと大腿骨頭壊死になりやすいですか? 明確な危険量はわかっていませんが、長期間にわたり、一日平均約20mgを超える場合は、骨頭壊死のリスクが高まるといわれています。(文献6) これはプレドニゾロンというステロイドに換算した値ですので、実際に自分がどのような薬をどのくらい使用しているか気になる方は、主治医に確認してみてください。 参考文献 (文献1) Osteonecrosis of the Femoral Head: Etiology, Pathophysiology, and Management|International Journal of Environmental Research and Public Health (文献2) Obesity impairs revascularization and bone healing in a mouse model of osteonecrosis|Journal of Orthopaedic Research (文献3) Idiopathic bone necrosis of the femoral head. Early diagnosis and treatment|The Journal of Bone and Joint Surgery (文献4) 特発性大腿骨頭壊死症|難病情報センター (文献5) Influence of cigarette smoking on osteonecrosis of the femoral head (ONFH): a systematic review and meta-analysis|Hip International (文献6) Risk Factors and Mechanism for Steroid Induced Avascular Necrosis of the Femoral Head|EBM Consult (文献7) Application of biomaterials in treating early osteonecrosis of the femoral head: Research progress and future perspectives|Acta Biomaterialia
2023.09.21







