-
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
- 足部
- スポーツ外傷
シンスプリントと診断されたけど、テーピングの方法がわからない 自分でもできる、テーピング方法を知りたい シンスプリントのテーピング方法でお困りではありませんか。 シンスプリントは、適切な処置をせずに放置しておくと症状が悪化する可能性があります。負担を減らすためには、正しい方法でテーピングを行う必要があります。 そこで、本記事では以下について解説します。 シンスプリントについて テーピングが効果的な理由 テーピングした方が良いのか テーピングの巻き方・貼り方 間違ったテーピングの巻き方・貼り方 治癒と予防策 テーピングについて、正しい知識と手順を身につけ、快適なコンディションを目指しましょう。 シンスプリントとは シンスプリントは、脛骨(けいこつ)の内側下部に炎症を起こすスポーツ障害で、過労性脛骨骨膜炎(かろうせいけいこつこつまくえん)とも呼ばれています。 症状の特徴は、運動時や運動後に脛骨(けいこつ)の内側の中央付近にズキズキとした違和感があることです。 主にランニングやジャンプをよく行うスポーツ選手に見られる症状で、バスケットボール、サッカー選手、陸上選手などが発症しやすいといわれています。 また、発症しやすい年齢としては12〜16歳がピークで、女性の方が男性の約1.5倍多いのも特徴です。 シンスプリントの原因は過度の運動や固いグラウンドなどの練習で発症します。症状のステージは1〜4あり、ステージ3になると運動に支障が出るため、練習の中止が必要です。 以下の記事ではシンスプリントの原因を詳しく解説しています。 テーピングがシンスプリントに効果的な理由 テーピングは、筋肉のサポートや関節の安定性を高める役割があります。効果として、負担の軽減・筋・骨膜のサポート・血流促進などが期待できるでしょう。(文献1) 以下では、テーピングがシンスプリントに効果的な理由を解説します。 筋肉・骨膜の負担を軽減できる テーピングは脛骨(けいこつ)周囲の筋肉を適度に圧迫し、過剰な振動や引っ張りを抑制するため、炎症の進行を防ぐ効果が期待できます。 筋肉の動きをサポートするだけでなく、過度な負担やストレスから守るのも、テーピングの役割です。 また、日本サッカー協会(JFA)が発行した、サッカー医学マニュアルでは、シンスプリントに関する記述があり、テーピングが筋肉や骨膜への負担を軽減し、症状の緩和に寄与する可能性が示唆されています。(文献2) 運動を継続しながらも回復をサポート テーピングは、運動中の患部をサポートし、症状を和らげる効果が期待できます。ただしテーピングはあくまで対症療法であり、根本的な原因の解決にはなりません。(文献2) テーピング中の無理な運動はNGです。違和感が長引くようであれば、自己判断はせずに医師に相談しましょう。 シンスプリントはテーピングした方が良いのか 効果 解説 筋肉・骨膜の負担軽減 筋肉の動きを補助し、脛骨(けいこつ)周囲の負担を軽くする。 運動時の衝撃吸収 筋肉の振動を抑え、地面からの衝撃を和らげる。 足首の安定性向上 首の過度な動きを防ぎ、脛骨(けいこつ)へのストレスを軽減する。 (文献3)(文献4)(文献5) テーピングはシンスプリントの症状に対して、負担を軽減する手段として有効です。テーピングの主な目的は、ふくらはぎの筋肉や骨膜への負担を減らし、衝撃を分散させることです。 適切にテーピングを行うことで、脛骨(けいこつ)周囲の筋肉をサポートし、過度な引っ張りを抑える効果が期待されます。 とくにスポーツ時の地面から衝撃が脚に伝わるのを和らげる効果や筋肉の振動を押さえられ、内側に過剰な負担がかかるオーバープロネーション(過回内)を防ぐ役割も果たします。 ただし、テーピングは補助的な手段のため、根本的な改善には適切な運動やストレッチ、休息が不可欠です。テーピングはあくまで、対症療法であることを念頭に置きましょう。 シンスプリントのテーピングの巻き方・貼り方 テーピングの用途 概要 注意点 日常生活のテーピング 伸縮性テープを使用し、足の甲からすねの内側を通り、膝下まで貼る。 適度な張力をかけ、皮膚にシワができないように注意する。 スポーツ競技時のテーピング 足首を90度に保ち、足の甲の中央からすねの内側を通り、膝下までテープを貼る。踵骨(かかとの骨)をサポートする方向に張力を調整。(文献2) かかとの骨を適切にサポートするように張力を調整。(文献2) シンスプリントのテーピングには、主に日常生活用とスポーツ競技用の2種類があります。日常生活でのテーピングは、患部のサポートと症状の軽減を目的とします。 一方でスポーツ競技時のテーピングは、運動中の負担を軽減するのが目的です。以下では、目的別のテーピング方法を解説します。 日常的生活のテーピング 順番 テーピング方法 注意点 1本目 足の外側から始め、脛骨(けいこつ)の内側に沿って膝下まで貼る。 テープの張力が強すぎないように注意する。皮膚にシワができないように貼る。 2本目 1本目に半分から2/3程度重ねて、同様に貼る。 重ねる際は、均等に張力をかけすぎないよう注意し、重ねすぎないようにする。 3本目 外くるぶしの上から脛骨(けいこつ)の内側へ、少し斜め上に向かって貼る。 斜めに貼る方向を間違えると、サポートが不十分になる。 4本目 1本目とクロスするように貼り、テンションをかけながら固定する。 クロスする位置を適切に調整し、違和感の中心部をサポートするようにする。 5本目以降 症状のある部位を中心に、テープをクロスさせながら貼る。 貼りすぎると圧迫が強すぎる可能性がある。 仕上げ 必要に応じて、バンデージテープを上から巻いて固定する。 バンデージテープがきつすぎると血行が悪くなるため、圧力に注意。 日常生活でのテーピングは、シンスプリントによる症状の軽減と患部のサポートを目的としています。症状を和らげ、患部をサポートするために、足の甲から脛骨(けいこつ)内側を通り、膝下までテーピングします。 テープは適度な張力で、皮膚にシワができないように貼りつつ、過度な圧力を避けることが大切です。血行を保つため、適切な圧力で貼りましょう。 スポーツ競技時のテーピング 順番 テーピング方法 注意点 1本目 足首を90度に保ち、足の甲の中央から、すねの内側を通り、膝下までテープを貼る。 テープの張力が強すぎないように、動きやすさを考慮して貼ること。 2本目 1本目に半分から2/3程度重ねて、同様に貼る。 重ねすぎないように注意し、過度な圧迫を避けること。 3本目 足首を90度に保ち、足の甲の中央からすねの内側を通り、膝下までテープを貼る。 斜めの貼り方で足のアーチを支えるため、適切な方向に貼ることが重要。 4本目 足首の外くるぶしの上から、少し斜め上に向かって脛の内側を通り、膝下まで貼る。 クロスする位置を考慮し、脛骨(けいこつ)への過度な負担を避けるように調整。 5本目以降 足首の安定性をサポートするため、テープをクロスさせながら必要な部位を覆う。 過剰に貼ると足首の動きが制限され、競技中のパフォーマンスに影響が出るため、適度な圧力で貼ること。 仕上げ 必要に応じて、バンデージテープを上から巻いてテープを固定する。 バンデージテープがきつすぎると血行を妨げることがあるため、圧力に注意。 スポーツ競技時のテーピングは、動きやすさを保ちつつ負担の軽減が目的です。日常生活のテーピングとは異なり、運動中の衝撃吸収や足首の安定性を意識して貼るようにしましょう。 シンスプリントにおける間違ったテーピングの巻き方・貼り方 テーピングは正しく行うことで、負担の軽減や患部のサポートができます。間違ったやり方は、効果を得られないだけでなく、逆効果になる可能性もあります。 以下では、間違ったテーピングの巻き方・貼り方と正しい貼り方について解説します。 きつすぎる 問題点 正しい貼り方 テーピングを強く巻きすぎると血流が悪くなり、しびれやむくみの原因となる。 貼る際は適度なテンションをかけ、圧迫しすぎないようにする。 筋肉や関節の動きを妨げ、パフォーマンス低下につながる。 貼った後に指一本が入る程度の余裕を持たせる。 長時間の使用で皮膚に負担がかかり、かゆみやかぶれを引き起こすことがある。 こまめに状態を確認し、違和感があればすぐに貼り直す。 脛骨(けいこつ)やふくらはぎの筋肉に適切なサポートを与えられず、テーピングの効果が半減する。 シンスプリントに適したライン(すねの内側の筋肉)に沿って貼る。 違和感の部位に直接貼るのではなく、筋肉の動きをサポートする位置に貼ることが重要。 テーピングを貼る前に、違和感がある場所を確認し、サポートすべき筋肉を意識する。 テーピングを強く巻きすぎると、血流が悪くなり、違和感やしびれを引き起こす可能性があります。テーピングを巻くときは、適度な圧力を意識するようにしましょう。 緩すぎる 問題点 正しい貼り方 テーピングが緩すぎると、適切なサポートが得られず、症状を軽減する効果が低減する。 適度なテンションをかけて密着させる。 テーピングが緩いと筋肉のブレを抑えられない。 テーピングする際に、筋肉が適切にサポートされるよう意識する。 運動中にズレやすくなり、適切な圧力が維持できない。 テーピング後、指一本が入る程度の圧迫感があるか確認する。 テープが動くことで摩擦が生じ、皮膚トラブルの原因になる。 運動前にテープがズレていないかチェックし、必要に応じて貼り直す。 テーピングが緩すぎると効果が得られず、運動中にズレやすくなります。また、テープが動くことで摩擦が生じ、皮膚トラブルを引き起こす可能性もあります。適度なテンションで密着させてテーピングしましょう。 貼る位置を間違えている 問題点 正しい貼り方 脛骨(けいこつ)やふくらはぎの筋肉に適切なサポートを与えられないため、テーピングの効果が半減する。 シンスプリントに適したライン(すねの内側の筋肉)に沿って貼る。 違和感のある部位に直接貼るだけでは、十分なサポートにならず、根本的な負担軽減につながらない。 テーピングをする前に、違和感のある場所を確認し、サポートすべき筋肉の位置を意識する。 筋肉の動きを考慮せずに貼ると、適切なサポートが得られず、運動時の負担が軽減されない。 貼る位置を確認し、適切な方向にサポートするよう調整する。 間違ったカ所に貼ることで、テープのズレや剥がれが起こりやすくなる。 皮膚に密着させ、動きに対応できるよう貼り方を工夫する。 テーピングは貼る位置が重要であり、間違えると効果が得られません。 シンスプリントに適したライン(すねの内側の筋肉)を確認し、肌に密着させて動きに合わせてフィットさせましょう。 伸縮テープの伸ばしすぎ 問題点 正しい貼り方 伸縮性のあるキネシオテープを強く引っ張りすぎると逆効果。筋肉への負担が増加。 伸縮テープは最大限に引っ張らない。 過度なテンションで貼ると、皮膚に過剰なストレスがかかり、かゆみや炎症の原因になることも 貼った後に皮膚が突っ張りすぎていないか確認する。 強く引っ張ることで血流が悪くなり、むくみや違和感を引き起こす可能性がある。 適度なテンションで貼り、血流を妨げないようにする。 身体の動きに合わせてテープが剥がれやすくなり、効果が持続しにくい。 テープの端は引っ張らずに貼り、密着させる。 伸縮テープを伸ばしすぎるとかえって筋肉への負担が増すリスクがあります。伸縮テープは最大限に引っ張らず、適度なテンションで貼りましょう。 汗や皮脂を拭かずにそのまま貼る 問題点 正しい貼り方 汗や皮脂がついたままテーピングを貼ると、すぐに剥がれてしまう。 テーピングをする前に肌を清潔にし、乾燥させる。 とくに運動中は発汗しやすいため、テープが剥がれやすくなる。 汗をかきやすい人は、スプレー式の粘着剤(プレタップスプレー)を使うと持続時間が長くなる。 剥がれたテープが摩擦を引き起こし、皮膚トラブルの原因になる。 貼る前にタオルやウェットティッシュで汗や皮脂を拭き取る。 テーピングがズレやすく、効果を十分に発揮できない。 テープを貼る際にしっかり押さえ、肌に密着させる。 汗や皮脂がついたままテーピングをすると、すぐに剥がれてしまいます。テーピングを行う前に必ず、肌を水で洗い、タオルで拭いた後に数分乾燥させましょう。 長時間つけっぱなしにする 問題点 正しい貼り方 何日も貼りっぱなしにすると、皮膚かぶれや、汗による蒸れでかゆみが発生する。 1日ごとに貼り替える(運動後は特に剥がす) テーピングの粘着力が弱まり、適切なサポートができなくなる。 使用する際は、しっかりと密着するように貼り、時間が経ったら新しいものに交換する。 皮膚に負担がかかり、炎症やかぶれが悪化する可能性がある。 肌に異常が出た場合はすぐに外し、保湿を行う。 何日もテープを貼りっぱなしにすると、皮膚かぶれや汗による蒸れでかゆみを引き起こす可能性があります。また、テーピングの粘着力も弱まり効果を得られません。 テーピングは1日ごとに張り替え、運動後には剥がして新しいものに取り替えるようにしましょう。 シンスプリントの治療と予防|テーピング以外の対策 シンスプリントの治療には、テーピングに加えて適切な治癒と予防が重要です。以下ではシンスプリントの治癒と予防策について解説します。 安静 シンスプリントを発症し、脚に違和感を感じた場合は、激しい運動を控え安静にしましょう。違和感を抱えたまま運動を続けると、炎症の悪化や、疲労骨折を引き起こす恐れがあります。 無理せず、アイシングや軽いストレッチを行い、改善しない場合は医師に相談しましょう。 アイシング 手順 詳細 1. アイシング用具を準備 氷を袋に入れ、タオルで包むか、冷却パッドを使用する。 2. アイシングの時間 15~20分間、冷却を行う。 3. 休憩時間 1時間以上の間隔をあけ、再度アイシングを行う。 4. 直接肌に氷を当てない 氷が直接肌に触れると凍傷のリスクがあるため、タオルで包む。 5. アイシングの回数 日に数回(最大で4回)繰り返す。運動後や症状を感じたときに行う。 (文献6) シンスプリントに対して、アイシングは炎症などを抑えられる有効な手段です。冷却によって血管が収縮し、炎症を引き起こす物質の流れを抑制します。 アイシングを行う際は、凍傷を避けるためにも氷を肌に直接当てたり、長時間同じカ所を触れさせたりしないようにしましょう。 ストレッチ 無理のないストレッチを行うことで、筋肉の緊張やストレスを軽減できます。シンスプリント時に効果的なストレッチ方法として、後脛骨筋のストレッチやヒラメ筋のストレッチがあります。 どれも一定のスペースがあれば、自宅で行えるストレッチ方法です。ストレッチを行う際は、無理に負荷をかけるのではなく、ゆっくり筋肉を慣らしていく感覚で行うことが大切です。 以下の記事では、シンスプリントに効果的なストレッチの方法を詳しく解説しています。 適切なシューズの選択 項目 ポイント サイズ かかとがフィットし、つま先に約1cmの余裕を確保する。 クッション性 着地時の衝撃を吸収し、関節や筋肉への負担を軽減する。しかし、クッション性と怪我の予防に関する明確なエビデンスはないため、過信は禁物。(文献7)(文献8) アーチサポート 足のアーチ(扁平足・ハイアーチ)に適した設計を選ぶ。 通気性 汗や湿気を逃がし、快適性を維持するメッシュ素材が望ましい。 アウトソールのグリップ スポーツの種類に適した滑りにくいソールを選ぶ。 耐久性 長期間使用できる素材と構造の靴を選ぶ。 シンスプリントを引き起こさないためには、適切なシューズを選ぶことも大切です。クッション性の低いシューズの使用や、かかとのすり減った靴は脛骨(けいこつ)に負荷がかかります。 シューズの寿命は、約400〜800キロメートルとされており、使い古したシューズは買い換えるようにしましょう。 シューズ選びに不安がある方は、専門店でフィッティング(足に合った靴の選定や履き心地の確認など)を受けると良いでしょう。 テーピングで改善しないシンスプリントは当院にご相談ください シンスプリントの症状に対してテーピングは適切に行えば、効果を得られます。しかし、間違えた巻き方・貼り方をすると効果が得られません。それどころか症状を悪化させる可能性があります。 テーピングは正しく行うようにし、貼ったカ所にかゆみやかぶれなどの違和感を感じた場合はすぐに剥がすようにしましょう。 また、テーピングで改善しない場合は、当院「リペアクリニック」にご相談ください。再生医療を活用して組織の回復を助け、シンスプリントの改善を目指した診察を行っています。 テーピングで改善せず、辛いシンスプリントでお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) シンスプリントに対する治療コストの比較 ─テーピングと装具との比較から─JPTA 三浦雅史,川口徹 pp.1-1 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Cb1152/_pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2025年2月24日) (文献2) 財団法人日本サッカー協会「F-MARCサッカー医学マニュアル」2007年 https://www.jfa.jp/medical/pdf/F-MARC_Football_Medicine_Manual.pdf?utm_source=chatgpt.com(最終アクセス:2007年3月30日) (文献3) Urvashi Sharma&AkhouryGourang Kumar Sinha(2010),Comparison of effectiveness of kinesio taping with nonelastic taping and no taping in players with acute shin splints,ResarchGate,11(1)1-10 https://journals.lww.com/iaph/fulltext/2017/11010/comparison_of_effectiveness_of_kinesio_taping_with.6.aspx(Accessed:2025-02-24) (文献4) Mehran Mostafavifar&Jess Wertz,James Borchers(2012),A systematic review of the effectiveness of kinesio taping for musculoskeletal injury - PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23306413/(Accessed:2025-02-24) (文献5) Jae-Hong Kim, et al. (2018),The effects of Kinesiotape on acute lateral ankle sprain: study protocol for a randomized controlled trial - PMC https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5819177/(Accessed:2025-02-24) (文献6) Chris M Bleakley,et al. (2012 ),Should athletes return to sport after applying ice? A systematic review of the effect of local cooling on functional performance - PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22121908/(Accessed:2025-02-24) (文献7) Laurent Malisoux, et al. (2020),Shoe Cushioning Influences the Running Injury Risk According to Body Mass: A Randomized Controlled Trial Involving 848 Recreational Runners - PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31877062/(Accessed:2025-02-24) (文献8) Naoko Aminaka,et al.(2018),NO IMMEDIATE EFFECTS OF HIGHLY CUSHIONED SHOES ON BASIC RUNNING BIOMECHANICS,1-10 https://hrcak.srce.hr/file/283953(Accessed:2025-02-24)
2025.02.28 -
- 足底腱膜炎
- 足部
「起床後の1歩目でかかとが痛む」「長時間同じ体勢でいると足裏が痛い」 上記のような症状は、足底腱膜炎や足底筋膜炎の可能性が考えられます。似たような名前の病気ですが、炎症を起こす部位や原因に違いがあるのです。 本記事では、足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いを詳しく解説しています。足底腱膜炎や足底筋膜炎の予防・治療方法も紹介しています。 足裏の痛みに悩んでいる方や、足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。 足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いは炎症や痛みが起こる部位 足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いは、炎症や痛みが起こる部位にあります。 足の裏に痛みが生じるため、似たような印象を持っている方も多いですが、原因に違いがある点に注意が必要です。 ここからは、足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いを詳しく解説していきます。 炎症が起こる部位 足底腱膜炎は、足裏の指のつけ根からかかとまで伸びる「足底腱膜」が炎症を起こす疾患です。足底腱膜は、歩いたり走ったりする際の衝撃を受け止める役割を持っています。 一方で足底筋膜炎は、足の裏にある筋肉の「膜」が炎症を起こしている状態です。腱膜ではなく筋肉の膜が炎症を起こしている点が足底腱膜炎との違いです。 しかし、両疾患とも足底腱膜に関連した部位に炎症が起こるケースが多いため、同じ疾患として扱う医療機関が多い傾向にあります。 痛む部位 足底腱膜炎と足底筋膜炎は、痛む部位も異なります。両疾患の痛みが生じる部位は以下のとおりです。 足底腱膜炎 足底筋膜炎 痛みが生じる部位 かかと・土踏まず かかと・土踏まず 痛みが生じるタイミング 長時間同じ体勢でいたり、歩いていたりなど慢性的に生じる 起床時や歩き始めなど突発的に生じる 両方とも、かかとや土踏まずなど痛みが生じる部位は共通しています。 しかし、足底腱膜炎は、長時間同じ体勢でいたり、歩いていたりすると、慢性的に痛みが強くなるのが特徴です。 足底筋膜炎は、起床時や歩き始めなど突発的に痛みが生じる点が、足底腱膜炎との違いです。 発生原因 足底腱膜炎は、足底筋膜の微細な断裂や損傷が繰り返されるのが主な発症原因です。 足底腱膜炎は厳密にいうと、腱が炎症を起こしているのではなく「変性」を起こしている状態です。変性とは、組織の構造や機能が変化を起こしている状態を指します。 足底腱膜が炎症を起こす原因は、肥満、過度の回内足、過度なランニングなどがあげられます。 一方で足底筋膜炎は、走ったり歩いたりなどで足底筋膜に負荷がかかると「炎症」を起こし、発症するのが特徴です。 とくにマラソン選手や陸上をしている方は、足底筋膜に負担がかかりやすく、足底筋膜炎を発症しやすい傾向にあります。 足底腱膜炎(足底筋膜炎)の診断 足底腱膜炎を診断するには、まず問診と触診で痛みが生じる部位を確認します。 触診後、以下のような検査を行います。 レントゲン検査 超音波検査 MRI検査 レントゲン検査では、足底筋膜炎で生じる可能性がある、踵の骨棘(こっきょく)の有無を確認します。 骨棘とは、軟骨が肥大化し、次第に硬くなって骨化して棘のようになる状態を指します。 また、必要に応じて血液検査が行われるケースもあり、触診や医療機関の方針などによって診断方法はさまざまです。 足底腱膜炎(足底筋膜炎)の予防方法 足底腱膜炎を予防するには、ストレッチで足裏の柔軟性を高めたり、足に合った靴を履いたりすると予防効果が期待できます。 足底腱膜炎を疑っている方は、日頃からケアを行い、症状を予防しましょう。 ここからは、足底腱膜炎の予防方法を3つ紹介します。 運動は控える 足底腱膜炎の発症を予防するには、痛みが生じた時点で運動は控えるのがおすすめです。 足底腱膜炎は、ランニングや運動などで足裏に負荷がかかることで発症します。 痛みや違和感がある状態で、ランニングや運動を続けていると、炎症が悪化する恐れがあるため、安静に過ごしましょう。 また、痛みが収まり運動を開始する際は、ウォーキングや軽い運動から始めるのがおすすめです。 いきなり激しい運動をしてしまうと、足裏に負荷がかかり、再発する可能性があるためです。徐々に強度をあげていくよう意識しましょう。 ストレッチで柔軟性を高める ストレッチで足裏や足首の柔軟性を高めるのも、足底腱膜炎の予防効果を期待できます。 足裏に痛みがある際は、ランニングやジャンプなどの激しい運動は控えるべきですが、ストレッチや柔軟は続けるのがおすすめです。 体を動かさなくなると、足底筋膜をはじめ、足回りの筋肉や関節が凝り固まってしまいます。 足回りが固くなると、血流が悪くなり、痛みや炎症が悪化したり、治りにくくなったりする恐れがあります。 柔軟性が失われるのを避けるため、ふくらはぎを伸ばすストレッチをしたり、足の指を引っ張ったりして、足裏の柔軟性を維持しましょう。 足に合った靴を履く 足底腱膜炎を予防するには、自分の足に合った靴を履くのも大切です。 自分の足の形に合っていなかったり、底が薄かったりする靴は、足に負担がかかりやすいためおすすめできません。 運動時以外に、かかとが高いヒールや厚底のブーツを履くのも負担が増大するため、できるだけ控えましょう。 足底腱膜炎を予防するには、かかとをサポートしてくれる、クッション性の高い靴を選ぶのがおすすめです。試し履きをしたり、プロに相談したりして、自分に合った靴を選びましょう。 また、靴以外にも、サポーターやテーピングも足底筋膜炎予防が期待できます。 サポーターを日常生活で使用すると、足底腱膜炎予防はもちろん、痛み軽減を期待できるため、積極的に使用してみましょう。 足底腱膜炎(足底筋膜炎)の治療法 足底腱膜炎の治療方法は、保存療法や薬物療法などが代表的です。手術療法を行うケースもありますが、大半が保存療法や薬物療法などで対処できます。 かかとや土踏まずに痛みが生じているにもかかわらず、放置したり、市販の湿布や塗り薬などで自己治療したりするのは控えましょう。 かえって悪化する恐れがあるため、必ず医療機関を受診してください。 ここからは、足底腱膜炎の治療方法を4つ紹介します。 保存療法 足底腱膜炎の治療は、リハビリテーションや装具療法などの保存療法が行われます。 リハビリテーションは、ストレッチや筋力トレーニングを行うのが一般的です。 ふくらはぎや太ももの裏側(ハムストリング)などの柔軟性を高めたり、足の指の使い方を改善したりすると、痛み緩和を期待できます。 一方で装具療法とは、インソールやサポーターなどの装具を用いて、足底腱膜炎を改善する治療方法です。とくに、足の裏のアーチにアプローチできるのが特徴です。 リハビリテーションや装具療法などを、1人ひとりの症状に合わせて行うことで、足底腱膜炎の改善を期待できます。 薬物療法 足底腱膜炎の薬物療法では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。 非ステロイド性抗炎症薬とは、痛みや熱などの炎症を抑える薬であり、ロキソニンやバファリンなど市販薬にも含まれています。 注意点として、薬物療法は一時的な痛みは軽減できるものの、根本的な改善にはつながりません。足底腱膜炎を悪化させないためにも、薬物療法だけでなく保存療法を併用し、完治を目指しましょう。 体外衝撃波治療 体外衝撃波治療とは、患部に音波の一種である衝撃波を照射し、痛み緩和や組織修復を促す治療方法です。 衝撃波で痛みが生じている腱の細胞を刺激し、痛みを緩和させます。一般的に3〜5回を1クールとし、数回繰り返し、治療を行います。 また、体外衝撃波は、6カ月以上保存療法を行っても効果が見られない「難治性足底腱膜炎」の治療のみ、健康保険が適用されているのが特徴です。 足底腱膜炎を発症後、体外衝撃波を受けられるわけではない点に留意しておきましょう。 手術療法 足底腱膜炎の治療は、手術療法が行われる可能性があります。手術療法では、足底腱膜や骨棘(こっきょく)を切除します。 しかし、足底腱膜炎で手術療法を行うケースは非常に稀であり、保存療法や薬物療法で改善を期待できる症例が大半です。 再生医療 足底腱膜炎や足底筋膜炎の治療の選択肢として、幹細胞治療やPRP治療などの再生医療もあげられます。 再生医療における「幹細胞治療」は、自身の幹細胞を使い、損傷した組織や細胞の修復を手助けする方法です。 「PRP療法」も再生医療の1つで、血液に含まれる血小板を用いて治療を行います。 どちらも患者様自身の幹細胞や血液を用いるため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。また、再生医療では手術や入院を必要としません。 「足底腱膜炎が治らない」とお悩みの方は、再生医療も視野に入れてみてはいかがでしょうか。 リペアセルクリニックでは、足底腱膜炎や足底筋膜炎に関する再生医療を行っています。再生医療に興味がある方は、ぜひ一度当院へ症状をご相談ください。 まとめ|足底腱膜炎と足底筋膜炎の違いは炎症や原因にある 足底腱膜炎と足底筋膜炎は、炎症や痛みが発生する部位や、原因に違いがあります。 足底腱膜炎は、慢性的な痛みが生じますが、足底筋膜炎は動き始めなど突発的に痛みが生じるのも大きな違いといえます。 しかし、両疾患とも足底腱膜の周辺に痛みが生じるため、同じ疾患として扱う医療機関も少なくありません。 かかとや土踏まずに痛みを感じる方は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。 放置したり、自己流で治療をしたりすると、症状が悪化したり、慢性化したりする恐れがあるため、医療機関を受診するのが大切です。 また、リペアセルクリニックでは、幹細胞治療やPRP治療などの再生医療を行っています。「足底腱膜炎がなかなか治らない」と悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
2025.02.08 -
- 足部、その他疾患
- 足部
- スポーツ外傷
「シンスプリントの原因を知りたい」 「すねに違和感を抱えたまま、練習を続けても大丈夫なのか」 ランニングや部活動の練習を続けていると、すねの内側に違和感を覚えることがあります。走る習慣のある人に多くみられる代表的なトラブルのひとつがシンスプリントです。 無理な練習量やフォームの乱れ、硬い路面やシューズの状態など、日常のさまざまな負荷がシンスプリントの原因です。シンスプリントの原因を理解することで、改善や再発の予防につながります。 本記事では、現役医師がシンスプリントの原因について詳しく解説します。最後には、シンスプリントの原因に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 シンスプリントについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 シンスプリントの原因 原因 詳細 運動負荷の影響 急激な走行距離や練習量の増加によるすね内側への繰り返されるストレス 不適切なランニングフォーム 過回内や姿勢の乱れによる筋肉と骨膜への不均一な負担 シューズと路面の問題 クッション性の低下した靴や硬い路面での走行による衝撃の増加 筋力・柔軟性の不足 下肢筋群の筋力低下や柔軟性不足による衝撃吸収力の低下 (文献1) シンスプリントは、医学的に脛骨過労性骨膜炎と呼ばれるスポーツ障害です。すねの内側の骨膜が繰り返す衝撃により炎症を起こすことで発症します。主な症状は運動時や運動後の鈍い痛みです。 原因には、過度な練習、不適切なフォーム、シューズや路面の環境、筋力や柔軟性の不足などが複合的に関与します。 以下の記事では、シンスプリントの症状について詳しく解説しています。 運動負荷の影響 原因 詳細 過剰なトレーニング 長時間のランニングやジャンプによるヒラメ筋・後脛骨筋・長趾屈筋の疲労と骨膜への炎症 急激な運動量の増加 運動初心者や再開者に起こりやすい急激な負荷増加による筋肉と骨膜への過度なストレス 不適切なランニングフォームや身体の使い方 過回内足や扁平足による衝撃増大や関節柔軟性の低下による骨膜の微細損傷 足の構造や筋力の問題 扁平足や過回内足などのアライメント異常と筋力不足による骨膜への牽引増加 運動環境の影響 硬い路面やクッション性の乏しいシューズによる衝撃増幅と骨膜への反復ダメージ シンスプリントは、運動量を急激に増やした際に発症しやすいスポーツ障害です。とくに部活動やマラソン練習で短期間に走行距離を伸ばすと、すねの骨膜や周囲の筋肉に繰り返し負担がかかり炎症を生じます。 硬い地面での走行や休養不足により、組織の回復が追いつかず炎症が蓄積することが原因です。予防には、運動量を段階的に増やし、週単位で無理のないペースに調整することが重要です。 不適切なランニングフォーム 原因 詳細 過剰な衝撃がすねに伝わる着地 かかとからの強い着地による骨膜や筋肉への反復負担、オーバープロネーション(過回内)による足首の内倒れ オーバープロネーション(過回内) 足首の過度な内倒れによる骨膜の牽引と筋肉への不均等な負担 筋力や柔軟性のバランスの乱れ 足首やふくらはぎの筋力不足・硬さによる衝撃吸収力の低下 足の指の使い方の問題 足指の機能低下による足の安定性不足と衝撃分散不良 足のアーチ構造の問題 扁平足による足底クッション性低下と着地衝撃の直達 ランニングフォームの乱れは下腿への負担を偏らせ、シンスプリントの原因となります。かかとからの強い着地や体重の偏りは骨膜や筋肉を繰り返し刺激し、とくに足首が内側に過度に傾くオーバープロネーションは代表的な要因です。 予防には、自身の走りを鏡や動画で確認し、必要に応じて専門家の指導を受けることが有効です。正しい姿勢とバランスの取れた動作を習慣化することで、下腿への過剰な負担を軽減できます。 シューズと路面の問題 原因 詳細 シューズのクッション性不足 薄い底や硬い素材による衝撃吸収力の低下と骨膜への直接負担 靴底の摩耗や劣化 片側に偏った荷重による筋肉と骨膜への不均等なストレス 足に合わないシューズの使用 足形に合わない靴による安定性低下と下肢関節への余計な負担 硬い路面での運動 アスファルトやコンクリートによる地面衝撃の直達と負担増加 シンスプリントの発症には、シューズや走行環境も大きく影響します。クッション性の乏しい靴やかかとの摩耗したシューズを使用すると、衝撃が直接すねに伝わりやすくなります。 アスファルトやコンクリートなど硬い路面での長時間走行は骨や筋肉への負担を増大させるため、予防には適切なランニングシューズを定期的に交換し、芝生やトラックなど柔らかい路面を練習に取り入れることが有効です。 筋力・柔軟性の不足 原因 詳細 筋力不足による負担集中 前脛骨筋・腓腹筋・ヒラメ筋のバランス不良による後脛骨筋や長趾屈筋への過剰負担 筋力バランスの乱れと身体連動性の低下 骨盤周囲や背筋の硬直による下肢筋肉への負担集中と衝撃吸収力低下 筋肉の柔軟性不足 ふくらはぎやすね周囲の筋硬直による骨膜への牽引増加 筋力不足が起こりやすい状況 初心者や運動再開者に多い筋力低下と柔軟性不足 筋肉ケアの重要性 後脛骨筋やヒラメ筋のマッサージ・筋トレ・ストレッチによる骨膜負担軽減 下腿の筋力不足は走行時の衝撃吸収を妨げ、骨膜への負担を増加させます。さらに、ふくらはぎや大腿の筋肉が硬く柔軟性が低下すると、動作のたびにすねへ強い張力が加わり、炎症を起こしやすくなります。 予防と改善には、下腿や足部を安定させる筋力トレーニングと、柔軟性を保つストレッチが有効です。とくに運動後のストレッチは筋疲労を和らげ、再発リスクの低減につながります。 シンスプリントの治し方 治し方 詳細 休養とセルフケア 練習量調整と運動制限による負担軽減、アイシングやストレッチによる炎症抑制 シューズ・インソールの見直し 足型に合ったシューズ選択とインソール使用による衝撃分散と負担軽減 医療機関への受診 疲労骨折との鑑別や画像検査による診断、専門的治療による適切な改善 シンスプリントの治療には、まず休養とセルフケアが重要です。練習量を調整し必要に応じて運動を制限することで負担を軽減し、アイシングやストレッチで炎症を抑えます。また、足型に合ったシューズやインソールを使用することで衝撃を分散させ、再発予防につながります。 強い痛みがある場合や疲労骨折が疑われるときは、医療機関を受診して画像検査と専門的治療を受けることが回復への近道です。 以下の記事では、シンスプリントが治らない原因を詳しく解説しています。 休養とセルフケア 内容 詳細 運動の休止・調整による炎症の回復促進 負担軽減による炎症悪化防止と自然治癒促進 冷却ケア(アイシング)による炎症・痛みの緩和 血管収縮による腫れ軽減と症状緩和 ストレッチ・筋トレによる筋肉の柔軟性・筋力強化 下肢筋群の柔軟性向上と衝撃吸収力強化による骨膜負担軽減 シンスプリントを発症した場合は、まず運動を中止して休養を取ることが基本です。無理に続けると炎症が悪化し、治癒が遅れる原因となります。 自宅でのセルフケアとしては、患部のアイシングや軽いマッサージにより炎症や筋緊張を和らげる方法が有効です。痛みが落ち着いた段階では、軽いストレッチを取り入れることで徐々に回復を促せます。ただし、違和感が生じた場合は直ちに中止することが重要です。 以下の記事では、シンスプリントにおける休む期間を詳しく解説しています。 シューズ・インソールの見直し 内容 詳細 足の負担を軽減するクッション性 着地衝撃の吸収による骨膜へのストレス減少 足のアラインメントをサポート 偏平足や過回内の補正による重心バランス改善 個々の足の形状に合わせた調整 カスタムインソールによる効率的な負担分散 適正な靴の選択による姿勢とフォーム改善 足の安定性確保による繰り返し負担の軽減 シンスプリントの再発予防には、シューズとインソールの見直しが重要です。不適切な靴や摩耗したシューズを使用し続けると負担が蓄積し、症状を繰り返す原因となります。 クッション性と安定性のあるランニングシューズを選び、自分の足型に合ったインソールを使用することで衝撃を分散できます。とくに扁平足や過度の内反足がある場合には補正効果が有効です。再発予防には、専門店や医療機関で足型測定を受け、適切なサポートを選ぶことが推奨されます。 以下の記事では、シンスプリントを走りながら治せるかについて詳しく解説しています。 医療機関への受診 シンスプリントは疲労骨折など他疾患と症状が類似するため、医療機関での正確な診断が不可欠です。画像検査により病態を把握し、運動制限や保存療法を含む適切な治療計画を立てます。 医師によるリハビリ指導で再発防止を図り、必要に応じて体外衝撃波治療(患部に衝撃波を当てて治癒を促す治療法)などの治療法も選択できます。自己判断で放置すると慢性化や悪化を招くため、症状が現れた場合は早期の受診が必要です。 シンスプリントの再発予防策 再発予防策 詳細 運動量とコンディション管理 負荷の段階的調整と体調や筋肉状態の観察による回復促進 シューズ・路面・インソール 足型に合ったシューズ選択と路面環境調整、インソールによる衝撃分散 筋トレ・ストレッチ 下肢筋群の筋力強化と柔軟性向上による骨膜負担の軽減 ウォームアップ・クールダウン 始動前の筋温上昇と運動後の血流改善による疲労回復促進 シンスプリントの再発予防には、運動量を段階的に調整し、体調や筋肉の状態を観察しながら負荷を管理することが基本です。加えて、足型に合ったシューズやインソールを用いて衝撃を分散し、硬い路面を避ける工夫も有効です。 さらに、下肢筋群の筋力強化と柔軟性向上により骨膜への負担を軽減できます。運動前のウォームアップで筋温を高め、運動後のクールダウンで血流を改善することで疲労回復を促し、再発防止につながります。 運動量とコンディション管理 内容 詳細 運動量を段階的に増やすことで負担を調整 急激な練習増加を避けた段階的な負荷調整による炎症再発防止 適切なウォームアップとクールダウンによる筋肉の準備・回復 柔軟性向上と疲労除去による衝撃吸収力改善と回復促進 体調や筋肉の柔軟性の維持・管理 ストレッチと筋トレによる下肢柔軟性維持と骨膜負担分散 適切な休息と体重管理による負担軽減 疲労蓄積予防と適正体重維持による下肢負担軽減 シンスプリントの再発予防には、計画的な運動量の調整が不可欠です。練習量は週単位で徐々に増やし、疲労が強い状態でのトレーニングは避けることが推奨されます。 さらに、運動前後のウォームアップとクールダウンを徹底し、下肢の柔軟性と筋力を継続的にケアすることが重要です。十分な休養、適切な睡眠や食事による体調管理、体重コントロールも有効であり、これらを実践することで再発を防ぎつつ競技パフォーマンス向上にもつながります。 以下の記事では、シンスプリントにおけるテーピングの方法を詳しく解説しています。 シューズ・路面・インソール 内容 詳細 衝撃吸収力が予防の要 クッション性シューズやインソールによる地面衝撃の緩和と骨膜への負担軽減 足のアライメント補正による負担軽減 インソールによる扁平足や過回内の補正と重心移動の安定化 適切な路面選びによる負担軽減 土や芝など柔らかい路面による衝撃減少と炎症再発防止 個別のフィット感で疲労軽減 足形に合った靴やカスタムインソールによる安定性確保とフォーム維持 シンスプリントの再発予防には、シューズ・路面・インソールの見直しが重要です。クッション性を確認し摩耗した靴は早めに交換すること、インソールで足のアーチを支えバランスを整えることが局所的な負担軽減につながります。 さらに、芝生や土のトラックなど柔らかい路面を活用することで下腿への衝撃を和らげられます。自分の足に合った用具選びと練習環境の工夫が、再発防止に不可欠なセルフケアであり、専門的アドバイスの活用も推奨されます。 筋トレ・ストレッチ 内容 詳細 筋力強化で衝撃吸収力を向上 後脛骨筋やヒラメ筋の強化による衝撃吸収力改善と骨膜負担軽減 筋肉の柔軟性向上で負担を分散 ストレッチによる筋緊張緩和と骨膜牽引力低下 姿勢とフォームの改善 関節周囲筋群のバランス改善による正しい姿勢と走行フォーム維持 継続的なケアで疲労の蓄積防止 筋耐久性向上によるフォーム乱れ防止と再発リスク低減 シンスプリントの再発予防には、筋力強化とストレッチを継続することが重要です。下腿や足部の筋力を高めることで衝撃を吸収し、骨膜への負担を軽減できます。 予防には、カーフレイズやチューブを用いた足首運動が効果的です。加えて、ふくらはぎや大腿のストレッチで柔軟性を保つことで負荷を分散し、正しいフォーム維持や疲労防止につながります。 以下の記事では、シンスプリントに効くストレッチを詳しく解説しています。 ウォームアップ・クールダウン 内容 詳細 筋肉と関節の準備(ウォームアップ) 筋肉と関節の柔軟性向上と血流促進による負担分散 運動後の筋肉の回復促進(クールダウン) 筋緊張緩和と疲労物質除去による炎症予防と回復促進 正しいフォームを維持しやすくする 筋肉の準備による着地安定化と骨膜への過剰負担防止 継続的な習慣化が身体に良い効果をもたらす 柔軟性維持と疲労回復機能向上による再発リスク低減 シンスプリントの再発防止には、運動前後のケアが欠かせません。ウォームアップで筋肉と関節を温め血流を促すことで、運動中の負担を軽減できます。 運動後はクールダウンを行い、筋肉の疲労回復と柔軟性維持を図ることが重要です。これらを習慣化することで、正しいフォームが維持され過剰な負担を防ぎ、再発リスクを低減できます。医療機関やトレーナーの指導を受けつつ継続することが、スポーツを続けるために有効です 原因不明のシンスプリントは医療機関を受診しよう シンスプリントは原因を理解することで予防が可能なスポーツ障害です。発症すると痛みが落ち着くまで安静が必要となります。そのため、日頃からストレッチや筋力トレーニングを行い、発症を防ぐことが大切です。 また、症状を放置すると回復が遅れ競技復帰にも影響するため、長引く場合は早めに医療機関を受診することが推奨されます。 シンスプリントが改善しない場合は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療を用いて組織の回復を促し、シンスプリントの改善を目指す治療法を選択肢のひとつとして提案しています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 シンスプリントの原因に関するよくある質問 成長期の子どもはシンスプリントになりやすいですか? 成長期の子どもは骨や筋肉、腱が未発達で負担に弱く、シンスプリントを起こしやすい状態です。 とくに練習量の急増、硬い路面、不適切なシューズ、筋力や柔軟性の不足が重なるとリスクが高まります。予防には段階的な練習、休養の確保、シューズや環境の見直しが重要です。 体力があればシンスプリントは防げますか? 体力や筋力があることはシンスプリント予防に一定の効果がありますが、それだけでは防げません。 練習量の急増、硬い路面や不適切なシューズ、扁平足などの足の特徴、柔軟性の低下などが重なると発症することがあります。シンスプリントは運動量・環境・身体特性が複合的に関与するため、休養、シューズの見直し、ストレッチやフォーム改善を含む総合的な対策が必要です。 シンスプリントと疲労骨折はどう違いますか? シンスプリントと疲労骨折はいずれも下腿に起こるランニング障害ですが、病態や重症度に違いがあります。シンスプリントは脛骨内側の骨膜に繰り返しの衝撃や筋肉の牽引が加わり炎症を起こす状態で、運動時に鈍い痛みが出て休むと軽快することが多いのが特徴です。 一方、疲労骨折は骨そのものに微細なひびが入った状態で、安静時にも痛みが続くことがあり、X線やMRIなどの画像検査で診断が必要です。シンスプリントは炎症主体で比較的改善しやすいのに対し、疲労骨折は骨損傷が主体で運動制限や固定を要することがあります。 以下の記事では、疲労骨折について詳しく解説しています。 家族がシンスプリントになったときの対処法や注意点はありますか? 家族がシンスプリントになった場合は、無理に運動を続けさせず休養を確保することが大切です。練習後のアイシングやストレッチを促し、シューズやインソールの状態を確認しましょう。 痛みが強い、長引く場合は医療機関への受診が必要です。とくに成長期の子どもでは症状を軽視しやすいため、家族の早期対応が重要です。 参考文献 (文献1) Shin Splints|Orthoinfo
2024.11.27 -
- 足部、その他疾患
- 足部
- スポーツ外傷
「外反母趾を手術しないで治す方法ってある?」 「自宅でもできる外反母趾の治療方法を知りたい」 このような不安を抱える方は多いでしょう。 外反母趾は、初期段階であれば自宅でのケアや生活習慣の見直しによって進行を抑えられます。 しかし、放置してしまうと症状が悪化し、手術を検討しなければならないケースも少なくありません。 本記事では、外反母趾を手術せずに治す方法から、手術の種類・リハビリまで、医師の知見をもとにわかりやすく解説しています。 外反母趾の治療法を把握できれば、自分の症状に合った適切な選択ができるので、ぜひ最後までご覧ください。 外反母趾の非外科的治療法|手術しないで治す 外反母趾の非外科的(手術しない)治療法を、5つ紹介します。 テーピング・サポーターの活用 インソールの使用 足の運動や体操・ストレッチ 湿布やクリームの併用 日常生活の見直し 非外科的治療法は、外反母趾の程度が軽度から中等度の場合に有効です。 ここでは、5つの非外科的治療法について詳しく解説します。 外反母趾の原因について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 テーピング・サポーターの活用 テーピング・サポーターの活用は、外反母趾の症状を軽減できる可能性があります。 テーピングやサポーターを使うと、内側に入り込む母趾の向きを変えられ、母趾にかかる負担を軽減できるためです。 実際にテーピングを巻く手順を解説します。 ■準備 足の親指と人差し指の間にスポンジなどをはさみ、親指が正しい位置になるように調整する。 ■テーピングの手順 1.親指の付け根(内側)から、かかとの内側に向かってテープ(幅2.5cmの細め)を貼る 2.足裏の親指付け根から内くるぶしへ貼る 3.足の甲の親指付け根から、かかとの裏側まで貼る テーピングにより、親指の位置を安定させ、外反母趾の進行を抑える効果が期待できます。 しかし、無理に親指の位置を直そうとすると、かえって症状が悪くなる場合があります。 テーピング・サポーターはあくまで応急処置程度に考えておきましょう。 インソールの使用 インソールの使用は、外反母趾の予防や症状の改善に有効です。 外反母趾の原因には、足の骨が弓状に並んで形成されたアーチの崩れが関係しているからです。 足のアーチが崩れる要因として加齢や肥満、運動不足や足に合わない靴の使用が挙げられます。 足の縦アーチが崩れると「扁平足」、足の横アーチが崩れると「開張足」となり、それぞれ外反母趾を引き起こす一因です。 インソールの使用で、以下の効果が期待できます。 足のアーチをサポートし崩れを防ぐ 足裏の圧力を分散し母趾への負担軽減 立位や歩行時の痛みを和らげる 足のアーチの崩れを予防する目的であれば、市販のインソールを購入するだけでも足のアーチの崩れ防止効果を実感でき、靴屋またはスポーツショップで数千円で購入できます。 一方で、すでに外反母趾による痛みがある方は、オーダーメイドのインソールの使用が効果的です。 価格は数万円と高額ですが、足にぴったり合うようにインソールを作成するため、市販の物よりも足へのサポート力があり、痛みの軽減につながります。 注意点として、インソールの使用は簡単に行える対策ですが、あくまで症状の緩和や予防の一環であり、根本的な治療法ではないことを理解しておきましょう。 足の運動や体操・ストレッチ 外反母趾の予防や痛み、進行を緩和するためには、以下3つの足の運動やストレッチが有効です。 足ゆびを開く運動 足指でタオルを引き寄せる運動 Hohmann(ホーマン)体操 「足指を開く運動」は、足指で「パー」の形を作ることです。 足指を開くことで「母趾外転筋」を強化できるため、母趾が小指側へ向きにくくなります。 「足指でタオルを引き寄せる運動」は、床に敷いたタオルの上に足を置き、足指でタオルをつまんで離してを繰り返し、タオルを手前に引き寄せる運動です。 「長母趾屈筋」と「長趾屈筋」が強化され、足のアーチの崩れを予防できます。 「Hohmann(ホーマン)体操」は、幅の広いゴムを両足の親指にかけ、かかとを合わせたまま両足のつま先を開き5〜10秒間キープさせ、20回ほど繰り返します。 小指側に曲がった母趾を元の位置に戻す効果があります。 ゴムがない場合は、手で母趾を元の位置に戻すように動かすだけでも同様の効果を得られます。 これらの運動やストレッチは、日常生活の中で簡単に取り入れられますが、すぐに効果が出ないため、日頃からの継続が大切です。 湿布やクリームの併用 外反母趾による炎症を和らげる方法として、湿布やクリームの使用が有効です。 湿布には、冷感タイプと温感タイプがあります。 湿布のタイプ 期待できる効果 冷感湿布 腫れや熱感を伴う感覚への対処に適しており、捻挫や打撲などの初期段階での使用が推奨される 温感湿布 慢性化した症状や血行不良によるこりに効果的で、長期的ケアや肩こり・腰痛などに用いられる 外反母趾の場合、初期段階では冷感湿布を、慢性化した症状には温感湿布を選択すると良いでしょう。 市販の消炎鎮痛クリームは、患部に直接塗って使うため、とくに局所的な対処に適しています。 炎症を抑える成分が直接患部に作用するため、炎症に伴う痛みや腫れを落ち着かせる効果が期待できます。 注意点として、湿布やクリームだけでは外反母趾の進行は防げません。 あくまで他の治療法との併用が前提です。 日常生活の見直し 外反母趾の発症や進行には、以下3つの生活習慣が大きく影響しています。 幅の狭い靴の着用 長時間の立ち仕事 乱れた食生活 幅の狭い靴、とくに革靴やハイヒールを頻繁に履くと、母趾が小指側へ押し付けられ、変形のリスクを高めます。 予防のためには、幅が広く適切な大きさの靴を選びましょう。 ハイヒールの場合は、かかとの低い靴の使用が推奨されています。 長時間の立ち仕事や歩行は足のアーチを崩す原因となるため、適度な休息が必要です。 仕事により長時間の立ち仕事が避けられない場合は、インソールを使用すると足のアーチが支えられ、足にかかる負担が減り、外反母趾の予防につながります。 また、食生活の乱れによる体重増加もリスクの1つです。 肥満になると足への負担が増え足のアーチが崩れ、外反母趾の発症・悪化につながります。 そのため、栄養バランスが取れた食事で体重管理にも気を配りましょう。 外反母趾の外科的治療法|手術で治す 外科的(手術)治療法は、外反母趾の症状が重度である場合や、痛みが強く日常生活に支障が出ている際に選択されます。 ここでは外科的(手術)治療法にかかわる以下4つの事柄について紹介します。 手術の種類 手術のメリット 手術のリスク 手術後に行うリハビリテーション それぞれ詳しく解説していきます。 手術の種類 外反母趾は症状が重くなると手術の適応となります。 具体的には、以下のケースが手術の適応とされます。 母趾の見た目が気になる 母趾の付け根が痛く日常生活が大変になる 母趾の付け根が飛び出し靴が合わない これらに該当する場合、手術適応となりますが、リスクも伴います。 手術を受ける際は、リスクを事前に把握しておきましょう。 外反母趾の外科的(手術)治療法には多くの種類が存在し、大きく分けると以下の3つに分類されます。 遠位骨切り術 骨幹部骨切り術 近位骨切り術 いずれも、母趾の付け根の骨を切りアライメント(角度)を矯正する手術です。 骨を切る場所により上記のように術式が異なります。 一般的に、外反母趾が軽度から中等度の場合には「遠位骨切り術」、重度の場合には「骨幹部骨切り術」または「近位骨切り術」が選択されます。 手術のメリット 外反母趾の手術により、痛みの軽減や見た目の改善が期待できます。 痛みが軽減されることで、日常生活を快適に過ごせるようになり、運動やウォーキングも楽しめます。 また、母趾の付け根の出っ張りが解消されるため、好きな靴を履けるようになり、おしゃれも楽しめるでしょう。 手術のリスク 外反母趾の手術には、以下のリスクがあります。 感染症のリスクは、外反母趾の手術に限らず、手術全般に伴うリスクです。 また、手術後に骨が癒合するまでには個人差があり、とくに骨粗鬆症の方はさらに時間を要します。 手術後に一定の確率で外反母趾が再発する可能性があります。 術式による再発の可能性は以下の通りです。 術式 再発率 遠位骨切り術 2.5〜19% 近位骨切り術 10〜15% このように、外反母趾の手術を行う際には、メリットだけでなくリスクもあるため、医師と十分に話し合い、自分に合った治療法の選択が重要です。 手術後に行うリハビリテーション 外反母趾の手術後は、積極的に母趾を動かしたり体重をかけたりはできません。 そのため、手術後すぐは患部の腫れや痛みを抑えるため、冷却パッドの使用や軽度のストレッチから始めます。 リハビリテーションは理学療法士の指導のもと、横になった状態や座った状態で太ももやふくらはぎの筋力トレーニングを行います。 また、松葉杖を使った歩行練習も行い、自力での移動を目指します。 また、再発予防の一環として、運動療法だけでなく正しい靴の選び方も指導されます。 入院期間は約3週間ですが、退院後も外来でリハビリテーションの継続が必要です。 手術後2〜3カ月ほどで、手術部の腫れが引き骨の癒合も完了するため、靴を履いての歩行が可能ですが、長時間の歩行は難しい時期です。 手術後、約4カ月経過ほどで立ち仕事や長時間の歩行が可能になり、6カ月ほどで運動も再開できるようになり、日常生活への支障がなくなります。 外反母趾の治療法を選択する際のポイント 外反母趾の治療法を選ぶ際は、以下の3つのポイントを意識しましょう。 症状や日常生活への影響 外科的(手術)治療にかかる時間や費用 治療法の効果やリスク 外反母趾の症状が軽度で日常生活への影響が少ない場合は、非外科的(手術しない)治療法を選択します。 非外科的治療法では効果をすぐに実感できない場合もありますが、運動やストレッチの継続で、外反母趾の悪化を予防できます。 外反母趾の程度が重度の場合は、医師から外科的(手術)治療法を勧められます。 手術を検討する際は、治療にかかる時間や費用、手術の効果やリスクも考慮する必要があります。 どの治療法を選ぶかは、医師と相談しながら自分にとって適した方法とタイミングを焦らず検討しましょう。 外反母趾の治療方法を把握して適切に対処しよう 外反母趾の治療法には、非外科的(手術しない)治療と外科的(手術)治療法の2つがあります。 それぞれの特徴を理解し、自分の症状に合った方法を選びましょう。 非外科的治療では、足の運動やストレッチ、インソールなどによって、足のアーチ崩れを予防できます。 さらに、幅の広い靴を履いたり、食生活を整えたりするなど、日常生活の見直しも重要です。 外科的治療法を行う際は、以下の4つの内容を理解しましょう。 手術の種類 手術のメリット 手術のリスク 手術後に行うリハビリテーション 手術には必ずリスクがあるため、手術を行う際は、メリットとリスクを十分に理解した上で医師とよく相談し、自分の症状に合った治療法を選択していきましょう。 もし、足の外側が痛い場合は、ほかの疾患である可能性も考えられます。 以下の記事では足の外側が痛む疾患を紹介しているので、合わせてご覧ください。 監修:医師 黄金 勲矢 参考文献 同友会グループ,ガイドラインに基づいた外反母趾の正しい知識と治し方 外反母趾の痛みは我慢しないで専門医へ 靴選びなどの工夫で緩和されることもあります|人工関節ドットコム整形外科治療専門サイト
2024.11.20 -
- 足部、その他疾患
- 足部
「外反母趾を改善したい」 「ヒールやパンプスを履く機会が多く、足に違和感を覚える」 外反母趾(がいはんぼし)は足の親指が外側に曲がる症状で、歩行や靴選びに支障をきたす代表的な足の疾患です。ヒールやパンプスを履く習慣に加えて、骨格や遺伝の影響も関与するため、多くの女性が不安を抱えやすい症状といえます。 本記事では、外反母趾について現役医師が詳しく解説します。 外反母趾の原因 外反母趾の改善・予防策 最後には、外反母趾についてよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 外反母趾について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 外反母趾とは 項目 内容 病気の特徴 足の親指が小趾側に曲がり、付け根の関節がずれて足の内側が突出する状態 症状 出っ張り部分の痛み・腫れ・炎症、歩行時の疲れやすさ、バランスの崩れ 起こりやすい人 女性に多く、ヒールや先の細い靴を履く習慣がある人、遺伝的な体質を持つ人 原因 靴の形、足の骨格や遺伝、筋力低下や体重増加、生活習慣や加齢の影響 進行した場合 変形が固定し、保存療法(装具・リハビリ)で改善が難しくなることがある 治療の選択肢 症状が軽い場合は靴の工夫や装具・リハビリ、重度の場合は手術が検討される (文献1) 外反母趾(がいはんぼし)は、足の親指(母趾)が小趾側へ傾き、付け根の関節(MTP関節)が外側偏位で生じる足の変形です。母趾が小趾側へ傾き、第1中足骨頭が内側へ突出して出っ張りが目立つようになります。 この部分は靴と擦れやすく、炎症や腫れ、痛みの原因です。さらに、母趾が正常に機能しにくくなることで体重のかかり方が偏り、歩行時の疲労やバランスの不安定さにつながります。 外反母趾は女性に多く、ハイヒールや先の細い靴の影響に加えて遺伝的素因や足の構造も関与し、進行すると変形が固定して保存療法では改善が難しくなり、強い痛みや生活への支障を伴う場合には手術が検討されます。 外反母趾の原因 原因 詳細 遺伝的要因 骨格の形状や関節の柔らかさを受け継ぐ体質 靴の形や履き方 先の細い靴やハイヒールによる足先への圧迫 足の構造に対する筋力低下・体重増加 足裏アーチの崩れや親指付け根への負担増加 年齢・生活習慣による影響 加齢による靭帯の緩みや長時間の立ち仕事による疲労蓄積 外反母趾の発症には、遺伝的素因や履物の影響、足の構造や生活習慣など複数の要因が関与します。 骨格の特徴や関節の柔らかさ、先の細い靴やハイヒールによる圧迫、筋力低下や体重増加による足裏アーチの崩れ、加齢に伴う靭帯の緩み、長時間の立ち仕事などが複合的に作用し、外反母趾の変形や症状の進行を助長します。 遺伝的要因 項目 内容 足の骨格の特徴が受け継がれるため 扁平足や開張足、第1中足骨が長い足の形など家族内で共通する骨格的特徴 関節や靭帯の柔らかさが遺伝するため 生まれつき関節が柔らかく靭帯が伸びやすい体質 家族内発症の多さ 母親や祖母に多い場合、娘や孫にも出現しやすい傾向 遺伝素因と環境因子の相互作用 遺伝的に外反母趾になりやすい足の形に、靴の種類や体重増加、歩行習慣が重なる影響 外反母趾の発症メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、靭帯が緩みやすい性質や足の過回内といった体質が遺伝的に受け継がれることに加え、生活習慣などの環境要因も影響すると考えられています。 さらに、扁平足や足のアーチが弱い骨格、関節や靭帯の柔らかさなども足の親指の付け根に負担をかけ、変形を起こしやすくします。 また、外反母趾は体質だけで発症するのではなく、先の細い靴やハイヒール、歩き方や体重増加といった生活習慣の要因も関与し、とくに女性に多いのは男性に比べてきつい靴を履く機会が多いためです。(文献2) 骨格・関節の遺伝について 外反母趾には、足の骨格や関節・靭帯の遺伝的素因が発症リスクを高めることが明らかになっています。(文献3) 扁平足や足のアーチが低い形態、また第1中足骨が長い・角度が内側に傾きやすい形状といった特徴は、母趾付け根に過剰な力をかけ変形を促進する素因です。さらに、生まれつき関節や靭帯が柔らかく母趾を支える力が弱い体質も遺伝しやすく、これが女性に多く見られる靭帯柔軟性と重なると発症率の上昇要因となります。(文献4) また、足の構造は3種類に分類されます。日本人に多い「エジプト型」は親指が最も長いため、体重がかかった際に小指側に曲がりやすく、外反母趾になりやすいとされています。 ギリシャ型:親指よりも人差し指が長い(全体の25%) エジプト型:親指が人差し指よりも長い(全体の70%) スクエア型:足指全体的に同じ長さ(全体の5%) 性差の影響について 外反母趾は統計的に女性に多く発症し、骨盤の構造や女性ホルモンの影響で関節や靭帯が柔らかく、足の安定性が低下しやすいため、足のアーチが崩れやすい体質を持つことが背景にあるとされています。 実際に、女性は男性に比べて外反母趾の発症リスクが明らかに高く、手術を必要とする症例の約90%を占め、韓国の農村部の調査でも痛みを伴う患者の76.7%が女性であったことが報告されています。これらの知見は、女性特有の身体的要因が外反母趾の発症リスクを高めていることを示しています。 靴の形や履き方 項目 内容 先の細いつま先の靴 親指を小指側に押し付け関節に過度な圧力がかかる状態 ヒールの高さ 体重が前方に集中し母趾付け根に負担が増える状態 靴のサイズの不適合 狭い靴による圧迫や摩擦、広い靴による不安定さ 素材の硬さや靴底の柔軟性 衝撃吸収の不足による足の疲労や負担の増大 長時間の同じ靴の着用 足への負担蓄積による変形や症状の進行 つま先が細い靴やヒールの高い靴は足先を圧迫し、親指を外側へ押し出す形をつくるため、外反母趾の進行を促しやすくなります。とくに長時間の着用や歩行習慣、かかとを踏む癖や片側荷重も変形を助長します。 さらに、サイズの合わない靴やクッション性の乏しい靴は足への衝撃を増やし、症状を悪化させる要因です。加えて、かかとを踏んで履く癖や片側に体重をかける習慣も変形を助長します。そのため、適切な靴選びと正しい履き方を意識することが外反母趾予防の基本となります。 足の構造に対する筋力低下・体重増加 外反母趾の発症には、足の構造的特徴と筋力低下が大きく関与します。日本人の約70%が持つエジプト型の足は親指が最も長く、体重がかかった際に母趾付け根にねじれやすい力が加わり、関節の変形を起こしやすく外反母趾のリスクが高まります。 また、土踏まず(縦アーチ)や横アーチの崩れによる扁平足や開張足、骨格の過可動性や足部不安定性も変形を助長する原因です。さらに、足底筋群や母趾内転筋といった足裏の筋肉が加齢や運動不足、肥満などで低下するとアーチを支えきれずに重心が偏り、変形が進行します。 これらの特徴は遺伝的に受け継がれることも多く、遺伝素因と生活習慣の双方が外反母趾の原因となるため、足の構造を理解し筋力を維持・強化することが予防に重要です。 年齢・生活習慣による影響 外反母趾は女性の割合が多く、その理由として男性より靭帯や関節が柔らかく、妊娠や更年期に関わるホルモン(リラキシンなど)の影響で靭帯が緩みやすいことにあります。加えて、ハイヒールや先の細い靴を履く機会が多いことが要因です。 年齢を重ねると筋力や靭帯の支持力が低下し、足のアーチが崩れやすくなるため、中高年以降では変形の進行が目立ちます。さらに、長時間の立ち仕事や歩行、硬い床での生活、体重増加は母趾に過剰な負担を与え、運動不足による筋力低下も変形を助長します。 【日本における歩数の経年変化】 【6000歩以上歩いている高齢者の割合】 とくに女性では更年期以降に骨密度や筋力が低下しやすく、外反母趾の悪化につながることが少なくありません。 外反母趾の改善・予防策 改善・予防策 詳細 靴と装具の工夫 つま先にゆとりのある靴の選択、衝撃を和らげるインソールの使用、親指の位置を補正する装具の活用 体重・生活習慣の管理 適正体重の維持、長時間のヒール使用を避ける習慣、立ち仕事や歩行環境の見直し 足の運動(筋力・ストレッチ) 足指でタオルをつかむ運動、足裏の筋肉を鍛えるエクササイズ、土踏まずを伸ばすストレッチ 外反母趾の改善・予防には、日常生活での工夫が欠かせません。つま先にゆとりのある靴を選び、衝撃を吸収するインソールや親指の位置を補正する装具を活用することが推奨されます。 適正体重の維持や長時間のヒール使用を避けるなど、生活習慣の調整も重要です。さらに、足指でタオルをつかむ運動や足裏の筋力強化、土踏まずのストレッチを取り入れることで、足のバランスを保ち、変形の進行を予防できます。 以下の記事では、外反母趾の治療法を詳しく解説します。 靴と装具の工夫 項目 内容 足趾への圧迫を軽減できる つま先に余裕があり足幅に合った靴による母趾関節への圧迫回避 体重の分散が可能になる インソールで足裏全体に荷重を分散しアーチを補正する効果 変形の矯正や補助ができる パッドや夜間装具による母趾の外側倒れ込み防止と関節への矯正作用 日常生活で取り入れやすい 靴の変更や装具使用による軽度〜中等度外反母趾の進行予防 外反母趾の予防や進行抑制には、足幅に合った靴を選ぶことが大切です。 研究では、靴幅が狭い靴を履くことが外反母趾の発症と関連することが示され、足幅が母趾角に影響する因子として抽出されています。また、自分の足長サイズを把握していても足幅サイズを理解していない人は多く、実際に適切な靴を選べていない可能性が指摘されています。(文献5) つま先に余裕があり足幅に合った靴を選択し、インソールや装具を併用することが、外反母趾の圧迫軽減と進行予防につながる有効な方法です。 体重・生活習慣の管理 項目 内容 足への負担を減らせる 適正体重の維持による母趾付け根への過剰な圧力軽減 筋力低下やアーチ崩れを防ぐ 適度な運動習慣による足底筋や足趾筋群の維持と足の構造安定 生活習慣病との関連に配慮できる 肥満や糖尿病の予防による足への負担や血流障害の軽減 日常生活での負担を軽減できる 長時間の立ち仕事や無理な歩行習慣の見直しによる関節へのストレス減少 外反母趾の予防や進行抑制には、体重と生活習慣の管理が重要です。体重の増加は足への負担を大きくするため、適正体重を維持することが不可欠です。そのためには、栄養バランスの取れた食事や無理のない範囲での運動習慣が有効です。 また、長時間の立ち仕事や同じ姿勢を続けることは母趾の関節に過度な負荷を与えるため、こまめに休憩を取り入れて足を休める工夫も必要です。日常の小さな取り組みが、足の健康を守り外反母趾の進行抑制につながります。 外足の運動(筋力・ストレッチ) 項目 内容 足のアーチを支える筋力を強化できる 短母趾外転筋や足底筋群を鍛えることで足のアーチを保持し母趾を安定させる効果 関節の柔軟性を保てる 母趾や足趾のストレッチによる関節可動域の維持と外側傾きの防止 血流改善による疲労軽減 運動やストレッチによる足裏や下肢の血流促進と筋肉・関節の負担軽減 セルフケアとして継続しやすい 特別な器具を必要とせず自宅で簡単に取り入れられる長期的な予防策 足の指を広げる運動やタオルを使った足指トレーニングは、足の筋力を高めアーチを維持するのに役立ちます。また、ふくらはぎや足底のストレッチを行うことで柔軟性が保たれ、足への負担を分散できます。 足の運動は自宅で簡単に取り入れられる方法であり、継続することで予防効果が期待できます。筋力強化と柔軟性維持の両面からアプローチすることが重要です。 以下の記事では、外反母趾に対するストレッチ方法について詳しく解説しています。 外反母趾を適切に理解し予防・改善に努めよう 外反母趾は、遺伝や年齢、生活習慣など複数の要因が重なって発症し、放置すると進行して歩行困難や他の関節への影響を引き起こす可能性があります。 外反母趾は靴選びや生活習慣の改善、適度な運動で進行を防げますが、改善がみられない場合は医療機関での適切な治療が重要です。 改善しない外反母趾でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、外反母趾の治療において再生医療を選択肢のひとつとして提案しています。再生医療は外科的な切開を伴わずに実施できるため、手術とは異なる方法を希望される方にも検討いただけます。 また、薬物治療に比べて全身的な副作用の懸念が少ないとされ、関節や周囲組織の環境に働きかける新しいアプローチとして注目されている治療法です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 外反母趾に関するよくある質問 外反母趾の進行度は自分で判断できますか? 外反母趾は母趾の曲がり角度で軽度・中等度・重度に分類されますが、正確な判定にはレントゲン検査が必要です。 外見上の傾きや出っ張りで目安はつきますが、痛みや生活への影響は個人差が大きいため、自己判断は避け、医療機関を受診する必要があります。 受診は整形外科で問題ありませんか? 外反母趾の診療は整形外科で対応可能です。レントゲンでの進行度判定に加え、靴の指導・インソールや装具療法・運動療法から手術まで幅広い治療が行えます。 必要に応じて義肢装具士やリハビリスタッフも関与します。糖尿病や循環障害がある場合は、内科などと連携して治療を進めます。 外反母趾は手術が必要ですか? 外反母趾は手術が必須ではありません。軽度〜中等度では靴の調整やインソール、運動療法など保存療法で進行を抑えられることがあります。 しかし、変形が強く日常生活に支障がある場合や保存療法で効果が得られない場合には手術が検討されます。 外反母趾は手術する後悔しますか? 外反母趾手術は多くの方で改善が期待できますが、術後の対応を誤ると後悔につながることがあります。靴や生活習慣を見直さず再発したり、リハビリを怠って効果が不十分となったり、思った以上に回復に時間がかかるケースもあります。 後悔を避けるためには、手術の適応や方法について医師と十分に相談し、自分の生活スタイルに合った治療法を選ぶことが大切です。さらに、術後も靴の工夫や運動習慣を継続することで満足度を高められます。 参考文献 (文献1) 「外反母趾」|公益社団法人日本整形外科学会 (文献2) Common Foot Disorders|Pubmed CentraI (文献3) What to do about bunions|Harvard Health Publishing (文献4) Hallux Valgus|PubMed (文献5) 女性高齢者の外反母趾に影響を及ぼす因子の検討 Evaluation of factors affecting hallux valgus in elderly females|Japanese Journal of Health Promotion and Physical Therapy Vol. 7, No. 4 : 165–169, 2018
2024.11.18 -
- 足部、その他疾患
- 足部
「足の変形や歩きづらさに悩んでいる」 「外反母趾に効果的なストレッチを知りたい」 外反母趾による足の変形や歩きづらさに悩む人は少なくありません。軽度の症状であれば、自宅で行える運動やストレッチで改善を目指す方は多くいます。 中でもつま先立ち運動は、足の筋力維持に効果的とされ、外反母趾の進行抑制や効果が期待できます。一方で、やり方や頻度を誤ると足に負担をかける恐れがあるため、正しい方法で行うことが大切です。 本記事では、現役医師が外反母趾におけるつま先立ちの効果を詳しく解説します。 外反母趾の改善につながるストレッチ方法 外反母趾に対してつま先立ちとストレッチを組み合わせるメリット 外反母趾のつま先立ち・ストレッチにおける注意点 外反母趾における医療機関を受診すべきサイン 快適な歩行を目指すセルフケアの参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 外反母趾について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 外反母趾におけるつま先立ち運動の効果 効果 詳細 足趾・足裏の筋肉を鍛える 母趾(足指)を支える小さな筋肉群を活性化し、安定性を高める 足部アーチの保持とバランス改善 内側縦アーチや横アーチの維持による変形進行抑制 血流促進と疲労軽減 ふくらはぎから足先への血行改善によるむくみ軽減と回復促進 つま先立ち運動は、外反母趾に伴う足の機能低下や歩行時の不安定さを改善する有効な方法です。母趾や足裏の筋肉を鍛えることで指先まで力が伝わりやすくなり、歩行の安定性が向上します。 また、足部アーチの保持により土踏まずの崩れを防ぎ、体重を分散し、バランスを改善するとともに、血流促進による冷えやむくみの軽減、筋疲労の回復を助け、外反母趾の進行抑制にも有用です。 足趾・足裏の筋肉を鍛える 効果 詳細 足のアーチを支える筋肉の強化 後脛骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋を中心とした足裏の筋肉強化による内側縦アーチの保持 母趾の可動性とバランス維持 母趾筋力の強化による柔軟性向上と歩行時の姿勢安定 衝撃吸収機能の改善 足裏の筋肉によるクッション機能の回復と母趾や足関節への負担軽減 転倒予防と全身の安定性向上 立位や歩行時の足元安定による転倒予防とバランス能力の向上 つま先立ちは母趾(足指)や足底の小さな筋肉を効率的に鍛える運動です。外反母趾では親指の変形により踏ん張る力が弱まり、歩行の安定性が低下します。 つま先立ちは足の筋力を高め、負担を分散します。外反母趾の進行抑制や歩行の安定性、疲労感の軽減にも有用です。 足部アーチの保持とバランス改善 項目 詳細 足部アーチの構造と役割 内側縦アーチ・外側縦アーチ・横アーチによる土踏まず形成、体重分散、衝撃吸収、推進力発生、安定性保持 足部アーチが崩れると起こる問題 扁平足や開張足による負担集中、外反母趾進行、膝・腰への負担増加、全身バランスの破綻 足部アーチ保持とバランス改善の意義 足裏の筋肉強化によるアーチ保持、負担分散、衝撃吸収作用、歩行安定化 バランス改善による転倒予防や歩行の安定性 安定性向上による転倒リスク低減、高齢者の生活の質改善、快適歩行維持 足の縦アーチと横アーチは、歩行時の衝撃吸収と体のバランス保持に欠かせない構造です。外反母趾が進行するとアーチが崩れ、体重の偏りや足の負担増加を招きます。 つま先立ち運動は足裏の筋肉を鍛え、崩れたアーチの保持を助ける有効な方法です。これにより姿勢や歩行の安定性が向上し、足首や膝の負担軽減、長時間歩行での疲労抑制、さらには外反母趾の進行抑制にもつながります。 血流促進と疲労軽減 項目 詳細 血流促進による組織の代謝改善 下腿三頭筋の刺激による血流改善と酸素・栄養供給、老廃物排出促進による回復力向上 筋肉の疲労回復とむくみの軽減 リンパ循環改善による水分滞留の軽減と足の重だるさ解消 血管拡張の一助と動脈硬化予防への寄与 血流改善による血管拡張作用と動脈硬化予防 疲労感軽減による運動継続 疲労物質除去促進によるだるさ軽減と運動継続の動機維持 つま先立ち運動は、ふくらはぎの筋収縮によるポンプ作用で下肢血流を促進し、酸素・栄養供給と老廃物排出を改善して足の疲労を軽減するとともに、外反母趾で低下しやすい足部循環を整えます。 血流改善は筋肉や関節の柔軟性を高め、動きをスムーズにするとともに、運動の習慣化によって足の冷えやむくみの予防にもつながります。 外反母趾の改善につながるストレッチ方法 ストレッチ方法 詳細 母趾のストレッチ 母趾(足指)をゆっくり反らして関節可動域を広げる柔軟性保持 足裏アーチを伸ばすストレッチ タオルやチューブを使い土踏まずからふくらはぎにかけての伸展 足指じゃんけん(グー・パー運動) 母趾を曲げて握る動きと大きく開く動きによる筋力と柔軟性強化 タオルギャザー 母趾でタオルをたぐり寄せる動作による足裏の筋肉の強化 ふくらはぎとアキレス腱のストレッチ 膝を伸ばしてかかとを床につける姿勢による下腿後面の伸展 外反母趾の改善には、足部や下肢の柔軟性と筋力を高めるストレッチが有効です。母趾を反らして関節可動域を保つ母趾のストレッチや、足裏アーチを伸ばして土踏まずからふくらはぎを柔軟にする方法があります。 母趾を握ったり開いたりするじゃんけん運動や、タオルを母趾でたぐり寄せるタオルギャザーは足裏の筋肉強化に有効です。さらに、膝を伸ばしてかかとを床につけるストレッチはふくらはぎからアキレス腱を伸ばし、足全体の動かしやすさに寄与します。 母趾のストレッチ 手順 詳細 1.姿勢を整える 椅子に腰掛け片足を反対の太ももに乗せ、無理のない体勢 2.母趾(足指)を持つ 手で母趾をやさしくつかみ足の甲を軽く支える状態 3.外側に広げる 母趾をゆっくり外側に開き5〜10秒保持する伸展動作 4.元に戻す 母趾をゆっくり元の位置へ戻す動作 5.繰り返し 1セット片足5回程度を目安に左右バランスよく行う 母趾のストレッチは、母趾をゆっくり外側に引き、硬くなった関節をほぐして柔軟性や可動域を高める方法です。身体が温まっている時に行うと効果的です。 無理な角度まで広げると関節や靭帯を痛める恐れがあるため、痛みや強い不快感が出た場合は中止してください。安定した継続が不可欠ですが、症状が進んでいる方や変形が強い方は、自己判断せず医療機関を受診しましょう 足裏アーチを伸ばすストレッチ 手順 内容 1.姿勢を整える 床や椅子に座り、片足を前に伸ばした姿勢 2.タオルをかける 足裏の土踏まずにタオルやチューブをかけ、両手で端を持った状態 3.足先を引き寄せる 膝を伸ばしたまま、つま先を手前にゆっくり引き寄せ、土踏まずからふくらはぎにかけての伸び 4.保持と戻し 5〜10秒間の保持と、ゆっくり元に戻す動作 5.繰り返し 左右の足を交互に、1セット5回程度の実施 足裏アーチを伸ばすストレッチは、足裏を反らして足底の緊張を和らげる方法です。アーチの柔軟性を保つことで外反母趾の進行を抑え、歩行の安定性にもつながります。 反動をつけず、無理のない範囲で行い、痛みが出た場合は中止してください。入浴後や就寝前に実施すると効果的で、継続することで柔軟性が維持され、歩行時の衝撃吸収や母趾(足指)への負担軽減に役立ちます。 足指じゃんけん(グー・パー運動) 手順 詳細 1.姿勢を整える 椅子に腰掛け両足を床に着けた安定した体勢 2.グーの動作 母趾(足指)をしっかり丸め土踏まずが軽く持ち上がる状態 3.パーの動作 母趾を大きく開き足を外側に広げる動作 4.繰り返し グーとパーを交互に1セット10回程度行う反復運動 足指じゃんけん(グー・パー運動)は、母趾を握るグーと大きく開くパーを繰り返す簡単な運動です。母趾の細かな筋肉を刺激し、母趾の動きを滑らかにします。 足指じゃんけんは、反動をつけず指の動きを意識してゆっくり行うことが重要です。最初は動かしにくくても、毎日の継続で次第にスムーズになります。入浴後や就寝前など筋肉が温まった状態で実施すると効果的です。 継続により母趾の協調性と柔軟性が高まり、歩行時の安定性や衝撃吸収が向上し、母趾への負担軽減につながります。強い痛みやしびれを感じた場合は中止し、医療機関を受診しましょう。 タオルギャザー 手順 詳細 1.準備 椅子に腰掛け、床にタオルを広げ裸足で行う体勢 2.母趾(足指)でタオルをたぐる 指先でタオルをつかみかかとを床につけたまま手前に寄せる動作 3.タオルをすべて寄せる タオルを足元まで寄せ切り元に戻して繰り返す流れ 4.回数の目安 片足1〜2セット(約10回)を目安に行う タオルギャザーは、床に敷いたタオルをかかとをつけたまま母趾でたぐり寄せ、足裏の内在筋を鍛える運動です。母趾も意識して動かすことが重要で、継続することで筋力が高まりやりやすくなります。 無理な力を加えると母趾や足裏を痛める恐れがあるため、ゆっくり丁寧に行うのがコツです。足裏の筋力が強化されることで横アーチが整い、歩行の安定性向上や母趾への負担軽減につながります。 ふくらはぎとアキレス腱のストレッチ 手順 詳細 1.姿勢を整える 壁に手をつき両足を前後に開き後ろ足のかかとを床につけた体勢 2.ストレッチを行う 前の膝を軽く曲げ後ろ足のふくらはぎとアキレス腱を伸ばす姿勢 3.保持 伸展を感じた状態で10〜20秒間の姿勢維持 4.繰り返し 左右それぞれ2〜3回を目安とした反復実施 ふくらはぎとアキレス腱のストレッチは、外反母趾で母趾(足指)に集中しやすい力の負担を和らげるのに有効です。柔軟性を高めることで足首から足裏までの動きがスムーズになり、歩行時の衝撃吸収や母趾関節の負担軽減につながります。 壁に両手をつき片足を後ろに引いてふくらはぎを伸ばし、膝を軽く曲げるとアキレス腱まで効果的に伸ばせます。反動はつけず、無理のない範囲で行います。入浴後など筋肉が温まった状態での実施がより効果的です。 外反母趾に対してつま先立ちとストレッチを組み合わせるメリット 組み合わせるメリット 詳細 足の機能を高める 筋肉や腱をバランスよく鍛えることで歩行時の安定性や衝撃吸収力の向上 アーチ保持と進行抑制 足裏のアーチを支える筋力強化による外反母趾の進行抑制と変形予防 生活に取り入れやすい 特別な器具を必要とせず日常生活の合間に無理なく実施可能な利便性 つま先立ちとストレッチを組み合わせると、外反母趾のケアはより効果的になります。筋肉や腱を鍛えることで歩行の安定性や衝撃吸収力が高まり、足裏のアーチ保持によって変形の進行を抑える効果も得られます。 特別な器具を必要とせず日常生活に取り入れやすいため、継続しやすいのも利点です。異なる作用を組み合わせることで相乗効果が期待できます。 足の機能を高める 理由 詳細 足裏のアーチ機能の回復と維持 後脛骨筋や長母趾屈筋など足裏の筋肉強化によるアーチ保持 母趾の筋力強化と柔軟性向上 ストレッチと運動による足趾の柔軟性改善と地面把握力の向上 バランス能力の向上 ふくらはぎ筋群の強化による重心移動の安定と負担分散 血流促進と疲労軽減 下腿三頭筋の刺激による血流改善と代謝促進、疲労回復 継続しやすく日常生活に取り入れやすい 道具不要で自宅実施可能な利便性と継続性 つま先立ちとストレッチを組み合わせることで、足裏のアーチ保持、母趾(足指)の柔軟性向上、ふくらはぎの筋力強化が同時に得られます。 つま先立ちとストレッチの組み合わせによって歩行時の安定性が高まり、重心移動がスムーズになって外反母趾の進行抑制や症状軽減につながります。また血流促進による疲労回復効果も期待でき、道具を必要としないため日常生活に取り入れやすく、継続しやすい点も大きな利点です。 アーチ保持と進行抑制 人間の足には内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチの3つがあり、体重の分散や衝撃吸収に重要な役割を果たしています。これらが正常に機能することで足や膝、腰への負担も軽減されます。 一方で、アーチが崩れると外反母趾の進行により骨配列の乱れや痛み、胼胝を生じやすくなるため、つま先立ちやタオルギャザーで足裏の筋肉を鍛えて支えることが有効です。 補助的にインソールやパッドの使用も役立ちますが、根本には筋力強化が欠かせません。早期から対策を行えば、変形の進行や歩行障害を防ぎやすくなります。 生活に取り入れやすい 自宅や職場で器具を使わずに取り入れられる手軽な運動です。数分の隙間時間でも筋力強化や柔軟性の向上に効果があり、痛みや変形が強い場合には座位での実践など強度を調整できます。 立つ・歩くといった日常動作の合間に取り入れやすく、継続すれば効果を実感しやすいため、モチベーション維持につながり、外反母趾の予防や改善を支える要素となります。 外反母趾のつま先立ち・ストレッチにおける注意点 注意点 詳細 負荷とフォームの調整 回数や姿勢を適切に調整し足部への過度な負担を避ける実施方法 痛みを感じたら無理をしない 運動中に違和感を覚えた場合は中止し症状悪化を防ぐ対応 他の疾患がある場合は医師に相談する 糖尿病や関節疾患など合併症がある場合の事前確認と専門的判断 外反母趾に対するつま先立ちやストレッチは効果的ですが、実施には注意が必要です。回数や姿勢を調整し、足部に過度な負担をかけないことが重要です。 運動中に痛みや違和感を覚えた場合は直ちに中止し、症状悪化を防ぐことが求められます。また、糖尿病や関節疾患などを合併している場合は、実施前に医師へ相談してから行うことが推奨されます。 負荷とフォームの調整 外反母趾のケアとして行うつま先立ちやストレッチは、正しい方法で取り組むことが重要です。過度な負荷や回数は関節や靭帯へのストレスとなり、炎症や変形を悪化させる可能性があります。 体重は足裏全体で支え、母趾(足指)に偏らせないことが効果を高めるポイントです。また、症状の程度に応じて負荷を調整し、無理のない範囲で継続することが、セルフケアの実効性を高め、外反母趾の進行抑制にもつながります。 痛みを感じたら無理をしない 外反母趾では痛みを我慢して運動を続けると、炎症や変形の悪化を招く恐れがあります。痛みを避けることで運動が継続しやすくなり、その結果セルフケアの効果も高まります。 痛みは身体からの重要なサインであり、強い症状が出た場合は中止し医師への相談が適切です。無理をすると歩行姿勢が崩れ、膝や腰など他部位に負担が及ぶ可能性もあるため、痛みを感じたら無理をしないことが外反母趾のケアには不可欠です。 他の疾患がある場合は医師に相談する 外反母趾の方が糖尿病や関節疾患などを合併している場合、自己判断での運動は危険です。糖尿病では感覚障害や血流低下により損傷や潰瘍を招くリスクがあり、膝関節症やリウマチでは通常の運動が負担となる恐れがあります。 医師に相談することで、疾患に応じた運動療法や装具療法を選択でき、早期に適切な治療や生活指導を受けることができます。 外反母趾における医療機関を受診すべきサイン 受診すべきサイン 詳細 生活への影響 歩行や靴選びに支障をきたし日常生活に困難を生じる状態 変形の進行 母趾(足指)の角度が増し外反が進んでいく傾向 合併症や二次的な症状 胼胝・関節痛・足裏の痛みなどの付随症状出現 外反母趾では、受診が必要となる重要なサインがあります。強いこわばりや筋緊張が持続する場合、日常生活での歩行や階段昇降、立ち上がりが困難になる場合は注意が必要です。 また、母趾や足関節の可動域が低下し動きが制限されてきた場合も、進行性の拘縮を防ぐために医療機関の受診が望まれます。これらのサインを見逃さず、早期に対応することが外反母趾の悪化防止につながります。 以下の記事では、外反母趾の治療法について詳しく解説しています。 生活への影響 外反母趾が進行すると、靴が合わない、長時間歩けないといった不便が生じ、歩行姿勢の崩れから膝や腰に二次的な負担を及ぼすことがあります。さらに、タコやウオノメなどの皮膚トラブルは潰瘍や感染に発展する危険があり、糖尿病や血流障害のある方はとくに注意が必要です。 歩行困難や外出制限はQOL(生活の質)を低下させ、全身の健康にも影響します。こうした段階ではセルフケアだけでなく、医師による適切な治療が求められます。 変形の進行 外反母趾の変形は自然には元へ戻らず、進行するとセルフケアだけでは対応ができません。母趾(足指)が隣の指に重なり圧迫や摩擦を生じると、第2趾以降の変形やタコなど二次的な問題が起こり、足全体のバランスが崩れます。 さらに、蹴り出し動作が妨げられて歩行が不安定になり、膝や腰への負担が広がる危険もあります。変形が進んだ場合は保存療法だけでは不十分となり、装具や手術を検討する必要があるため、早期受診が重要です。 合併症や二次的な症状 項目 詳細 母趾(足指)に影響する疾患 関節炎・外反母趾・強剛母趾・母趾種子骨疾患などによる変形や機能障害 手術と合併症の可能性 経験豊富な外科医による手術でも起こり得る合併症発生 合併症の重要性 痛みや変形の残存など生活に影響する難しい問題 早期発見と対応 合併症の特定・定量化・管理・解決に基づく計画的治療 解決策の設計 既存の問題を悪化させないよう配慮された多角的対処 長期的治療の視点 温存手術や長期的視点に立った再建的アプローチ 外科医の判断要素 複数の治療法から適切な方法を選び計画的に実施する重要性 (文献1) 外反母趾が進行すると、関節障害や足の変形に伴うタコ・魚の目の形成によって歩行障害が生じやすくなります。外科的治療には、感染症や骨癒合不全、神経損傷、矯正不良や再発に加え、術後の安静による深部静脈血栓症などの合併症リスクがあります。 とくに糖尿病や関節リウマチなどの全身疾患を併存する場合には、これらの合併症リスクが増大するため、定期的な診断と適切な医療機関での管理が不可欠です。 以下の記事では、合併症について詳しく解説しています。 【関連記事】 糖尿病の初期症状とは?合併症の特徴やセルフチェックリストを紹介 関節リウマチの合併症|主な種類や原因を医師が詳しく解説 つま先立ちとストレッチで改善しない外反母趾は医療機関を受診しよう つま先立ちやストレッチは、外反母趾の進行抑制や軽度の症状緩和に有効です。しかし、根本的な治療法ではありません。 痛みが強い場合やセルフケアで改善が見られない場合には、整形外科を受診し、医師の評価を受けることが重要です。診察によって、装具療法や手術など、症状に応じた適切な治療法が検討されます。 つま先立ちとストレッチで改善しない外反母趾でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、治療法の選択肢として外科的切開を伴わない再生医療を導入しています。手術以外の方法を希望される方にも検討可能であり、症状の程度や生活への影響に応じて、ご提案いたします。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 参考文献 (文献1) 母趾手術後の合併症|PubMed
2024.11.15 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
「足の指の付け根に、ピリピリとした痛みやしびれを感じる」 「病院に行くほどではないけれど、自分でできる対処法があれば知りたい」 モートン病による痛みで、思うように日常生活を送れず、上記のように悩む人もいるでしょう。 モートン病は、足指に痛みやしびれを感じる神経の病気で、放置すると日常生活に支障をきたすケースがあるのも事実です。しかし、ツボ押しやストレッチなどの対処法を知っていれば、症状を緩和する効果が期待できます。 この記事では、モートン病に対してツボの効果はあるのか解説します。ツボ押しと一緒に行うと効果的な治療法や、再発予防のための生活習慣についても紹介するので、ぜひチェックしてください。 モートン病はツボで治る? モートン病は、足の指にしびれ・痛み・焼けるような感覚などの神経症状が現れる病気です。中指と薬指の間に多くみられますが、人差し指と中指、薬指と小指の間に症状が出る場合もあります。 ツボ押しはモートン病の症状を緩和する効果が期待できますが、モートン病自体が完全に治るわけではありません。 ツボ押しは、血行を促進し筋肉の緊張を和らげたり、痛みを軽減したりする効果があります。モートン病の症状が軽いケースでは、ツボ押しで症状が改善する可能性があります。しかし、症状が進行していると、ツボ押しだけでは十分な効果が得られないケースがあるのも事実です。 ツボ押しはあくまで補助的な手段として考え、整形外科での治療と並行して行うと、より効果的です。症状が改善しない人や悪化する人は、早めに専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。 モートン病に関しては、こちらの記事もご参照ください。 モートン病に効果があるツボと押し方 モートン病の症状を緩和させる効果が期待できるツボは、主に4つあります。ツボとは経穴(けいけつ)ともいわれ、身体を流れるエネルギーである「気」が経路に沿って並んでいる体表面のポイントです。押し方は、以下を参考にしてください。 <押し方> 両手の親指を重ねて、ツボを5〜10秒かけてゆっくり押す 痛気持ち良いぐらいの強さで押す 息は止めず、深く呼吸をしながらツボを押す 1セット3〜5回を目安に行う 以下に、各ツボの特徴を解説します。 「承山」の特徴 承山(しょうざん)は、ふくらはぎの中央で、アキレス腱から少し上にあるツボです。つま先立ちをした際、ふくらはぎにできるへこみを探すと見つけやすいでしょう。 承山は足のしびれや痛み・腰痛や頭痛・目のトラブルに効くといわれており、多くの症状に対応できる万能なツボです。押す際は、親指を重ねてツボに当て、ゆっくりと押してください。 「下承山」の特徴 下承山(しもしょうざん)は、承山から指幅3本分下にあるツボです。承山と同様に、ふくらはぎの筋肉とアキレス腱の境目あたりに位置します。 下承山は、足底における痛みやモートン病の症状、足首の痛みに対して用いられます。親指をツボに当て、ゆっくりと押し上げるようにしましょう。 「築賓」の特徴 築賓(ちくひん)は、内くるぶしの1番高い部分から、指幅7本分上にあるツボです。 腰痛や股関節痛、首コリなどの症状に用いられるだけでなく、下半身全体の血流が良くなるといわれ、手足の冷えに対する効果もあります。指で押す以外にも、かかとでアキレス腱から築賓までこするように押すのもおすすめです。 「漏谷」の特徴 漏谷(ろうこく)は、内くるぶしから指幅8本分ほど上に位置するツボです。 腰痛や肩の痛み、足底の痛みに用いられるケースが多くみられます。他にも、下肢の疲れやむくみの緩和にも効果が期待できます。指の腹で円を描くように、優しくマッサージしましょう。 ツボ押しの注意点 正しくツボ押しをするには、力加減やタイミングを守る必要があります。ツボ押しで注意すべきポイントを解説するので、ぜひチェックしてください。 強く押しすぎない ツボを刺激するときは、強く押しすぎないように注意してください。ツボ押しは、強く押せば効果が高まるわけではありません。強く押しすぎると、筋肉や組織を傷つけ、揉み返しを起こす可能性があります。 「痛気持ち良い」と感じるくらいの適度な力で押すと、症状改善につながります。また、長く押すほど効果が出るわけではないため、5〜10秒ほどの時間で刺激しましょう。 ツボ押しは、症状が出ている側と同じ側を刺激するのが基本です。右足に症状がある場合は、右側のツボにゆっくりと圧をかけると、無理なく効果を引き出せます。 避けるべきタイミングに注意する ツボ押しには、以下の避けるべきタイミングがあります。 怪我をしているとき 感染症にかかっているとき 妊娠中 食後 飲酒後 ツボを押す前から痛むとき 上記の状態では、怪我や体調が悪化する可能性があるため、注意してください。入浴後や就寝前などのリラックスしているときにツボ押しを実践しするのがおすすめです。 ツボを押す前から痛みを感じている場合は、炎症を起こしている可能性があります。無理にツボ押しするのではなく、整形外科を受診し相談しましょう。 モートン病の症状 モートン病の主な症状は、以下のとおりです。 足指の痛み しびれ 焼けるような感覚 とくに、中指と薬指の間に多くみられます。他にも、人差し指と中指の間や薬指と小指の間に発症するケースも少なくありません。 歩行時やつま先立ちをした際に、足指の付け根付近に鋭い痛みを感じます。痛み以外には、足の指がしびれたり、熱く感じたりするケースもあります。 人によっては「足の裏に小石があるような感覚」や「靴下の中でシワが寄っているような感覚」といった違和感を訴える場合があるのも事実です。症状の感じ方には個人差があるため、気になる症状がある人は、整形外科を受診しましょう。 些細な違和感でも、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。 モートン病の原因 モートン病の主な原因は、足指の付け根にある神経が圧迫されることです。 具体的な生活習慣は、以下のとおりです。 ハイヒールやつま先が狭い靴を履く機会が多い 長時間の立ち仕事をしている つま先立ちを繰り返す ランニングをやりすぎる モートン病は、ハイヒールを履く機会が多い中年以降の女性に多く発症するといわれています。また、足のアーチ構造が崩れやすい外反母趾(がいはんぼし)や扁平足(へんぺいそく)も足指への負担が大きくなりやすくモートン病のリスクが高まると考えられています。 モートン病でツボ押しにプラスすると効果的な治療 モートン病における症状緩和には、ツボ押しだけではなく、ストレッチと運動・適切な靴の選択・インソール・足底挿板の挿入を補助的に行うのが効果的です。 具体的に解説するので、参考にしてください。 ①ストレッチと運動 モートン病の症状を緩和させるには、ストレッチや運動が効果的です。 足指5本の付け根を結ぶ横アーチは、足裏の血管や神経を守る役割を持つものです。偏平足などでアーチが低下すると、モートン病を発症するリスクが高まります。 偏平足もモートン病も足裏の疲労や痛みが出るため、足裏やふくらはぎのストレッチが症状改善に良いと考えられています。モートン病で重要な横アーチを引き上げるには「タオルギャザーエクササイズ」が効果的です。 <タオルギャザーエクササイズの方法> バスタオルを床に敷き、両足を置く 足指の力でたぐり寄せる すべてたぐり寄せたら戻す タオルギャザーエクササイズは1〜3回を目安に行いましょう。椅子に座った状態でも、立った状態でも可能です。簡単に3回できる人は、タオルの端に1〜2kgの重りや1〜2Lの水が入ったペットボトルを置くと、より運動効果が高まります。 他にも、詳しいマッサージ方法については、こちらも記事をご参照ください。 ②適切な靴の選択 モートン病による痛みを緩和するには、足への負担が少ない靴を履くのが大切です。具体的には、以下のような靴がおすすめです。 中足骨(ちゅうそくこつ)パッドがある靴 クッション性が高い靴 靴底がロッカーソールになっている靴 中足骨パッドとは、靴の中敷きに取り付ける小さなクッションのことです。足裏の横アーチを支える機能を備えており、地面からの衝撃を緩和し神経を圧迫しにくくする効果が期待できます。 歩く際に地面からの衝撃を吸収できるクッション性が高い靴は、神経の圧迫を和らげます。 ロッカーソールとは、つま先部分が上向きに反っている形状をしている靴底を指します。一般的なインソールより歩く際に親指が屈曲しない構造のため、足への負担をかけずに歩けるでしょう。 ③インソール・足底挿板の挿入 モートン病の症状緩和には、靴の中に入れるインソールや足底挿板(そくていそうばん)を活用すると効果的です。インソールには、足裏のアーチを支え、足底にかかる圧力を分散させる効果が期待できます。 整形外科や取り扱いがある専門店でクッション性のあるインソールを購入するか、オーダーメイドで注文すると自分に合ったインソールが作れます。 足底挿板は靴の中敷と似た装具で、義肢装具士に依頼して自分の足に合わせて作成可能です。モートン病は前足部の横アーチ低下に伴って、神経の圧迫がおこるため、アーチをサポートする足底挿板が必要です。整形外科で足底挿板の必要性が認められると、保険で作成できます。 また、代わりとして市販のインソールを購入するのもおすすめです。市販で売られているインソールは手軽に購入できますが、オーダーメイドではない商品が多いため、整形外科医や理学療法士などにどの商品が良いか相談してみましょう。 モートン病の再発を予防するための生活習慣 モートン病は1度改善しても、再発する可能性があります。再発を予防するためにも、日常的な足のケアや定期的な受診などの生活習慣に気を付けましょう。 足のケア モートン病の再発を防ぐには、日常的な足のケアが欠かせません。入浴後など血行が良くなったタイミングで、ふくらはぎや足裏のマッサージを行いましょう。マッサージ方法は以下のとおりです。 <足のマッサージ方法> 足の裏全体を親指で優しく押す 土踏まずや足の付け根を重点的にマッサージする 足の指を広げ、指の付け根を円を描くようにマッサージする 足首を回したりアキレス腱を伸ばしたりするストレッチをする マッサージすると、筋肉の緊張が緩み、神経への圧迫が緩和されます。痛みを感じるようなら、無理せず優しく触れる程度の力で行ってください。 長時間立ち仕事や長時間歩行すると、モートン病の症状は悪化しやすくなります。足が痛かったり疲れていたりするときには、ストレッチやマッサージなどのケアを行いましょう。疲労によりアーチが低下しやすいため、足の疲労を回復させるのが大切です。 定期的な健診を受ける モートン病が良くなってからも、定期的に受診すると再発防止につながります。 保存療法や手術療法で症状が改善しても、モートン病が再発する人は一定数いるため、定期的な受診は大切です。痛みを放置していると悪化してしまうため、定期的に検査を受けましょう。 まとめ|モートン病の症状がツボ押しだけでは緩和しない場合は早めに医療機関へ モートン病は、足の指に痛みやしびれが生じる神経の病気です。 ツボ押しは、モートン病の症状緩和に有効な手段ですが、ツボ押しだけで完治するわけではありません。 とくに、症状が進行している人や、ツボ押しで改善がみられない人は、早めに医療機関を受診しましょう。 モートン病は、保存療法や手術療法など適切な治療により改善する場合が多いですが、再発する人がいるのも事実です。 再発予防のためには、治療後も足のケアを行い、定期的に健診を受けましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、モートン病の治療法として再生医療を提供しています。 再生医療には主に「幹細胞治療」と「PRP療法」があります。 手術と比べて体に傷跡が残らず、リハビリの必要もありません。また、体への負担も少なく治療後の早期社会復帰にも期待ができる治療法です。
2024.10.23 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病は足指の付け根が立位や歩行などで負荷がかかり痛みが生じる疾患です。 足の痛みは日常生活に大きく影響するため、できるだけ症状を減らしたいと困っている方も多いでしょう。 この記事では、モートン病の原因や初期症状、治療法などを詳しく解説しています。セルフチェックも用意していますので、足の状態を把握したい方はご活用ください。 モートン病とは? モートン病は、足指の間のしびれ、痛み、灼熱感などの神経症状が出現する疾患です。症状が出現するのは主に中指と薬指の間が多いですが、人差し指と中指、薬指と小指の間に発症する場合もあります。 モートン病の原因と初期症状について、詳しく見ていきましょう。 モートン病の原因は主に「つま先立ちのような姿勢」 モートン病の原因は、つま先立ちの姿勢を長時間続けることです。つま先立ちの姿勢は、足指につながる神経を圧迫するため神経障害を発症します。 以下はつま先立ちの姿勢を引き起こす要因です。 ヒールの高い靴の着用 外反母趾や扁平足などの足の形態異常 ダンスやバレエなど足を酷使するスポーツ ジョギングやランニングなど前足に繰り返し力がかかる運動 モートン病は中年以降の40代〜60代の女性に多く発症すると言われています。しかし、年代問わずつま先に負担がかかる姿勢が続くと、発症する可能性があります。 モートン病の初期症状は「つま先のしびれ、痛み」など 以下は、モートン病の初期症状です。 靴を脱ぐと痛みやしびれが軽減する 足指の付け根に違和感や軽い痛みが生じる 足の指で握ったり、足の指を広げたりすると痛む 最初は、足指の感覚に対する違和感や軽い痛みからはじまります。初期段階は症状が一時的で、時間が経つと症状がおさまるケースも少なくありません。 悪化してくると、強い痛みやしびれなどが長時間続いたり、突然激痛が走ったりする症状が見られます。 モートン病のセルフチェック方法 以下はモートン病のセルフチェックポイントです。当てはまるものがないか確認してみてください。 足の指の付け根に痛みやしびれを感じる 足の付け根をつまむ、押す、叩くと痛む 歩行時や長時間の立ち仕事で足裏に痛みが走る 足の指を曲げたり広げたりすると痛みが強まる 靴を履いていると痛みが強まり、脱ぐと和らぐ ヒールや先の細い靴を履くと、痛みやしびれが悪化する モートン病を正確に診断するには整形外科の受診が必要です。当てはまる項目があれば、近くの整形外科での診察を検討してみましょう。 モートン病の治療 モートン病は放置すると症状が悪化し、歩行が困難になる場合もあります。 症状の進行を防ぐための治療法としては、主に以下5つがあります。 保存療法(マッサージ・ツボ押し・運動) 薬物療法 手術療法 再生医療 順番に解説します。 保存療法(マッサージ・ツボ押し・運動) モートン病の治療では、マッサージやツボ押しなどの保存治療が行われます。 ツボ押し(指圧療法)は、足の血流を改善し、痛みをやわらげる方法です。とくに、以下4つのツボが症状の緩和に役立つと考えられています。 承山(しょうざん):ふくらはぎの裏面 下承山(げしょうざん):ふくらはぎの裏側 築賓(ちくひん):ふくらはぎの内側 漏谷(ろうこく):すねの内側 ただし、ツボ押しの効果には個人差があり、医学的に確立された治療法ではありません。 筋力を鍛える運動もモートン病の症状緩和につながります。 横アーチ(足の横方向のカーブ)を支えるために、足の裏の筋肉を強化しましょう。 たとえば、タオルギャザーは簡単にできる運動です。床にタオルを敷き、指を使って手前に引き寄せると、足の裏の筋肉が鍛えられます。 意識的に指を広げたり、指を上げたりする運動もモートン病に効果があります。 【関連記事】 モートン病のマッサージ方法とは?痛みに効果的なセルフケアを解説【医師監修】 モートン病に対するツボの効果とは?代替治療を取り入れて症状を改善しましょう 靴の変更・足底挿板の作成 靴の変更・足底挿板の作成も保存療法の1つです。 足に合った靴やインソール(靴の中敷き)を選ぶと、歩くときの痛みを軽減できます。 靴を選ぶ際は、足に優しいデザインを意識しましょう。以下は、モートン病で負担のかかりにくい靴の特徴です。 靴底が柔らかい かかとが低い つま先が広め 自分に合った靴を選べば、歩くときの負担が軽減します。 足底挿板(そくていそうばん)は、足を正しい位置に保つための特別な中敷きです。専門の技術者に依頼して、足の形や状態に合わせて作ってもらいます。 モートン病は、足のアーチ(土踏まずのようなカーブ)が低下することで神経が圧迫され、痛みやしびれを引き起こします。そのため、アーチを支える足底挿板を使うと、負担が減り、症状が楽になりやすいです。 市販のインソールも使えますが、形や厚みがさまざまなので、専門家に相談して選ぶのがおすすめです。足に合っていないものを使うと、逆に痛みが増すリスクがあります。 薬物療法 モートン病の薬物療法では、消炎鎮痛剤によって痛みや炎症を抑えます。 これは、モートン病を治すというより痛みに対処するための治療方法です。 痛みが軽減しない場合は、ステロイド注射や局所神経ブロック注射を行う場合もあります。 手術療法 手術は、運動療法や薬の治療を試しても症状が良くならない場合に選ばれます。 モートン病で代表的なのは、痛みが出ている部位周囲の組織を取り除く手術です。 神経ごと取り除くため、そこから先の感覚はなくなってしまいます。、違和感が残る場合もありますが、術後1週間から2週間で以前と同じように歩けるようになります。 再生医療 モートン病の治療法には「再生医療」の選択肢もあります。 再生医療には、幹細胞治療とPRP(多血小板血漿)療法などがあります。 幹細胞治療では、自身の幹細胞を培養して患部に注射し、損傷している組織の修復と再生を促す治療法です。 PRP療法では、自分の血液を採取して血小板を濃縮し、修復を助ける成分を含んだ液体を患部に注射します。血小板は体の傷を治す働きを持つため、損傷した組織の修復や痛みの軽減が期待できます。 どちらも注射のみの治療なので、手術のように傷跡が残る心配や術後のリハビリの必要がありません。体への負担が少ないため、再生医療は早い回復が期待できる治療法です。 モートン病でやってはいけないこと モートン病では、症状を悪化させないためにやってはいけないことがあります。 長時間同じ姿勢を取らない ハイヒールや幅の狭い靴は避ける 以下で具体的な内容を解説します。 長時間同じ姿勢を取らない 長時間立ったり歩いたりすると、足に負荷がかかり続けるため、症状が悪化する原因になります。 仕事上、そうせざるを得ないことも多いかもしれませんが、少しでも姿勢を変えて足を休められると良いです。 また、自宅で家事をしているといつの間にか立っている時間が長くなるでしょう。そのため、休憩時間を少しずつ挟んで足を休めるのが大切です。 ハイヒールや幅の狭い靴は避ける モートン病は前足部への負荷が原因となりやすいため、ハイヒールや幅の狭い靴は避けましょう。 とくにハイヒールは、常に足趾の付け根が圧迫されている状態であり、モートン病や外反母趾など足の疾患につながります。 まとめ|モートン病の理解を深めて適切な治療を進めよう モートン病は、放置すると痛みが強くなり、歩行が困難になる場合もあります。症状が悪化すると手術が必要になるケースもあるため、早めの対処が大切です。 本記事で紹介したセルフチェックを活用し、万が一、モートン病が疑われれば、整形外科の受診を検討しましょう。 「できるだけ身体に負担の少ない治療を進めたい…」という方に、選択肢の1つとして考えてほしいのが「再生医療」という新しい治療法です。 再生医療は、傷ついた組織の修復と再生を促し、治療期間の短縮が期待できます。 モートン病に関するよくある質問 モートン病は再発のリスクがありますか? モートン病は保存療法や手術療法で治療しても再発する可能性があります。そのため、足へ負担がかかりにくい生活習慣やインソールや靴などをフィットしたものに変更するなど、足へのケアが大切です。 また、定期的に病院を受診すれば、再発したとしても早期発見・早期治療ができるため、症状が改善しやすくなるでしょう。 モートン病は何科を受診すればいいですか? モートン病が疑われる場合は、整形外科を受診しましょう。整形外科では、歩行時の痛みやしびれの原因を詳しく調べ、適切な治療方法を提案します。 参考文献 長田瑞穂ほか「モートン病の足部タイプと足底挿板療法について」『骨・関節系理学療法』 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2005/0/2005_0_C0442/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年2月25日) 梅﨑泰侑ほか「足部形態の違いからとらえた足部内在筋群エクササイズの筋活動に対する即時効果」『理学療法科学』38(6)pp444-450 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/38/6/38_444/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年2月25日) 厚生労働省「市販の解熱鎮痛薬の選び方」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00404.html(最終アクセス:2025年2月25日) 三森 経世「関節リウマチ,抗炎症薬とステロイド薬,内科医が診るべき骨・関節疾患:治療の新展開」『日本内科学会雑誌』第97巻 第10号pp17-22 平成20年10月10日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/10/97_2393/_pdf(最終アクセス:2025年2月25日)
2024.10.21 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病によるつらい痛みで悩んでいませんか。モートン病は自宅でのマッサージにて症状の緩和が期待できます。 モートン病による足の指や足裏の痛みは、自宅でマッサージを行うことで症状の緩和が期待できます。症状を放置すると歩行が難しくなる場合もあるため、早めのケアや専門機関の受診をおすすめします。 この記事では、モートン病に効果的なマッサージやセルフケアについて解説します。 今回紹介しているマッサージを実践して、足の痛みから解放されましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を実施しております。メールやオンラインでの無料カウンセリングも承りますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 モートン病のマッサージ方法3選 モートン病の症状軽減に効果的なマッサージを3つご紹介します。 青竹踏みマッサージ 足指のマッサージ 足首のマッサージ いずれも自宅の隙間時間でできるマッサージ方法です。モートン病の症状でお悩みの方は、上記のマッサージ方法を実践してみてください。 青竹踏みマッサージ 青竹踏みは、縦に半分に割った竹を踏むことで足裏をマッサージする方法です。本物の竹を用意するのが難しい場合、100円ショップにてプラスチック製の青竹の購入が可能です。 実際には、下記の3ステップで行います。 1.裸足になって青竹の上に乗る 2.青竹の上で足踏みをする 3.1.~2.を数分繰り返す 青竹踏みマッサージには、以下のような効果が期待できます。ぜひ青竹踏みマッサージを実践してみてください。 血の巡りを良くする 浮腫みを軽減する 冷え性を軽減する ストレスを解消する モートン病の症状にも効果的なマッサージです。足裏を刺激するため、痛みが強い場合は無理のない範囲で行いましょう。 足指のマッサージ モートン病に効果的な足指のマッサージは、以下の2つです。椅子または床に座りながら行ってみてください。 期待できる効果 方法 指圧マッサージ 足指をほぐす 1.痛みが出ている箇所の足裏と足の甲を手の指で挟める 2.心地良い圧で押す 3.上記を30~50回繰り返す 横アーチのマッサージ つま先立ちで重心がかかっている部分の負担を軽減する 1.足指をぎゅっと強く握る 2.足裏のしわが寄っている部分に両手の親指を当てる 3.親指に強めに圧をかけ、外側に滑らせる 4.上記を数回繰り返す モートン病の症状がつらく、足の指がうまく曲がらない方もいるかもしれません。その場合は、手で足の指を押すようにサポートして曲げると、少し楽に曲げられるでしょう。 また、痛みや熱感がつらい場合は無理して行わないようにしてください。 足首のマッサージ 足首のマッサージも、モートン病の症状緩和におすすめです。以下の5ステップで実践してみてください。 1・立った状態で、手で床を押す 2.右足を後ろに下げ、踵を床につける 3.左足に重心を乗せ、膝を曲げる 4.3.の状態で数秒キープ 5.左右の足を交代し、2.~4.を同様に行う つま先を外に向けると、モートン病が悪化する可能性があります。つま先はまっすぐ前に向けるように意識して行ってみてください。 足首を動かせる範囲が狭いと、モートン病で痛みが出ている部分に負担がかかりやすくなります。そのため、足首のマッサージにて足首の可動域を広げると、足の前側の負担が和らいで痛みの改善が期待できるでしょう。 モートン病の痛みに効果的なマッサージ以外の方法3選 モートン病の症状の緩和に効果的なセルフケアは、以下の3つです。 湿布の貼付 靴の変更 ツボ押し モートン病の症状で悩まれている方は、前述で紹介したマッサージとあわせて実践してみてください。 湿布の貼付 モートン病による痛みがつらい場合は、消炎鎮痛効果のある湿布剤またはテープ剤の使用がおすすめです。痛む場所や足裏の上にあるアーチ部分に直接貼付しましょう。 また、貼り薬のタイプには以下の2種類が存在します。 貼り薬の種類 特徴 メリット 湿布(パップ剤) 外側が布になっているジェル状の張り薬 貼る部分がジェル状になっており、皮膚への負担が少ない テープ剤 ガムテープのようにペラペラな貼り薬 粘着力が強く、関節のような動かす部分にも密着する 靴や靴下を履いて仕事をする方には、テープ剤がおすすめです。その反面、かぶれやすいデメリットも存在するため、気になる方は湿布(パップ剤)を使用しましょう。 消炎鎮痛効果のある貼り薬は、多くの薬局やドラッグストアで販売されています。痛みや炎症がつらい場合は、貼り薬の使用も試してみてください。 靴の変更 モートン病の改善には、いつも使用している靴の見直しも大切です。ソールが柔らかい靴やヒールが低い靴に変えてみましょう。 つま先が狭い靴や高いヒールの靴は前足部が圧迫され、モートン病の症状が悪化しやすくなります。そのため、踵が低くつま先の幅がゆったりしている靴に変えると症状の軽減が期待できます。 また、以下の方法も足に負担をかけないためおすすめです。 スニーカーのような靴の幅を足やベルトで調整できる靴にする クッション性のあるインソールを靴に入れる 市販で売られている靴のインソールは薄いものが多く、衝撃から足を十分に保護できない可能性があります。市販のインソールでも痛みが続く場合はオーダーメイドで注文するのも一つの手です。 ツボ押し ツボ押しは、モートン病の根本的な改善にはつながりません。しかし、痛みを緩和する可能性がはあります。 とくに以下の3つは、モートン病に効果的なツボであるといわれています。 承山(しょうざん) 位置:つま先立ちをしたとき、ふくらはぎにできるくぼみの位置 期待できる効果:足の痛みやしびれ 築賓(ちくひん) 位置:ふくらはぎのふくらみの内側で、内くるぶしから指7本くらい上の位置 期待できる効果:下半身の血行促進 漏谷(ろうこく) 位置:内くるぶしの上部から指8本くらい上のむこうずねの後ろ側にあるへこみ 期待できる効果:足底の痛み モートン病に対するツボの効果を詳しく知りたい方は、下記のコラムを参考にしてください。 つま先立ちが続くとモートン病になりやすい つま先立ちが続くと、足底の前の部分に負担がかかりモートン病になりやすい傾向があります。 つま先立ちにより足指の付け根が圧迫されると、そこに通っている神経も傷ついてしまいます。その結果、モートン病が発症する可能性があるのです。 モートン病になりやすい一因として、下記のような行動があります。 踵の高いハイヒールやパンプスを履く 長時間にわたり中腰の作業を行う バレエのようなつま先立ちが続くスポーツをする 思い当たる方は、上記の行動を避けるようにしてみてください。 モートン病の初期症状は「足指間の痛みやしびれ」 モートン病は、しびれや痛み・灼熱感などの神経症状が足の指の間にあらわれる病気です。 つま先立ちのような姿勢を長時間続けることで、足指につながる神経の圧迫が要因として考えられています。 モートン病は、足の中指や薬指の間に症状があらわれる場合が数多く見られます。ただし、人差し指と中指、薬指と小指の間などに発症することも少なくありません。 モートン病になりやすい人は、ハイヒールをよく履く女性や、長時間にわたる立ち仕事をしている方です。日頃の靴や仕事環境を見直すことで改善につながる可能性が期待できるでしょう。 モートン病を放置すると痛みが足全体に行きわたる モートン病を放置して悪化すると、痛みやしびれが足全体にいきわたり、最悪歩行困難に陥る場合もあります。また、立っているときだけではなく、静止状態のときにも痛みやしびれを強く感じることもあるでしょう。 モートン病を発症した初期は歩行が難しくなるほどではなく、少し違和感がある程度の場合が多くみられます。そのため、ひどくなるまで放置されてしまうことも少なくありません。 症状によっては、痛みがある部分を切開する手術をする可能性もあります。場合によっては神経を取り除いて痛みの緩和を試みます。その結果、取り除いた神経がある指先の感覚がなくなり、日常生活に支障が出るリスクもあるでしょう。 そのため、モートン病の症状が見られた際は、重症化する前に早めの対処が大切です。 マッサージをしても改善しない場合は受診の検討を マッサージやセルフケアをしても症状が改善されない、または何度も繰り返される場合は、受診をおすすめします。 我慢できないほど症状が強くなっている場合は、セルフケアのみでは症状が緩和されにくいほど悪化している可能性があります。また、モートン病以外の病気の疑いも考えられるでしょう。そのため、専門家による診断や治療が適切です。 病院では、以下のようなモートン病の検査が行われます。 マルダーテスト:足指の間の付け根付近で足を横から挟むように圧迫し、痛みがある確認する MRI検査:骨以外にも神経や靭帯の様子まで画像検査できるため、モートン病による障害部分を確認できる モートン病の治療法では以下の記事でも詳しく解説しています。気になる方は、下記のコラムも参考にしてください。 まとめ|モートン病の症状を緩和させて足の痛みから解放されましょう モートン病の症状は、マッサージやセルフケアで早期の緩和が期待できます。しかし、放置すると歩行困難になり手術するリスクも否定できません。 マッサージやセルフケアで改善が見られない場合は、放置せず早めに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を実施しております。メールやオンラインでの無料カウンセリングも承りますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 モートン病についてよくある質問 モートン病のときにやってはいけないことはありますか? モートン病が疑われるときは、長時間の立ちっぱなしや歩行は避けるようにしましょう。足に負担がかかり続けてしまい、痛みがあらわれる要因になります。 とくに、モートン病のときには、足にかかる衝撃を分散させる能力が低下しているため、足裏に負担がかかりやすい状態です。 仕事でやむを得ず長時間立たなければならない場合もあるかもしれません。その際は、ヒールの低い靴へ変えたり、靴の中にインソールを入れたりすると足への負担を減らせるでしょう。 モートン病になったら何科を受診したら良いですか? 整形外科への受診をお勧めします。整形外科では主に足のような運動器官の病気やけがを専門領域としています。そのため、モートン病も整形外科の専門領域のため、適切な処置をしてくれるでしょう。 病院では、モートン病に対して以下のような治療を行います。 足底挿板(インソール)の作成 運動療法 薬物療法(痛みが強いときはブロック注射をする場合もあり) モートン病の治療について詳しく知りたい方は、下記のコラムも参考にしてください。
2024.10.14 -
- 足部、その他疾患
- 足部
足のくるぶしや甲、指の付け根などに「しこり」ができていることに気づき、「もしかしてガングリオン?」と不安に感じていませんか? 痛みはなくても、見た目が気になったり、将来的に悪化しないか心配になったりしますよね。 ガングリオンは多くの場合、良性の腫瘍であり、すぐに治療が必要となるケースは少ないですが放置して大きくなると痛みやしびれの原因になることもあります。 この記事では足にできるガングリオンの症状や原因、治療法を画像付きで詳しく解説し、そして自分でできる予防策について詳しく解説します。 また、できれば手術は避けたいとお考えの方のために、外科的な手術を必要としない再生医療に関する情報をLINEで配信中。 当院「リペアセルクリニック」は、再生医療に関する専門機関として数々の症状に対応しておりますので、ご自身の状況に合った対処法を見つけるためにお役立てください。 ▼再生医療の基礎知識を無料配信中! 足にできるガングリオンの具体例を画像付きで紹介 足にしこりができた場合、脂肪腫や粉瘤の可能性もあるため、自己判断でガングリオンと見分けるのは難しいことです。 また、目視だけでは判断ができないため、医師の判断で画像検査や吸引検査などを受けることをおすすめします。 この章では、足にできたガングリオンの一例をご紹介します。 また、足に発生するガングリオンは、内くるぶしや外くるぶし、足の甲、裏、ゆびの関節に起こりやすいのが特徴です。具体例として以下のようなエピソードがあります。 ガングリオンは関節にできる良性腫瘍 ガングリオンとは、関節周囲に発生する「コブのようにふくらんだ良性腫瘍」です。良性腫瘍のため症状がなく、しこりが気にならない程度なら積極的に治療をしなくても問題ありません。 しかし、ガングリオンの特性として大きくなってくる可能性があるため早めの診断や治療が必要です。また、しこりができた場所によっては、目立つため見た目が気になるという方もいます。 さらに、ガングリオンは20代~50代の女性に発症しやすいですが、足や関節をよく動かす方が発症と関係しているわけではありません。そのため、職業や趣味、生活スタイルは直接的にガングリオンができる原因と関係はないとされています。 また、治療を繰り返しても再発しやすいというのもガングリオンの特徴です。 ガングリオンの2つの検査方法 ガングリオンは医師による診察での視診・触診などで予測が可能です。 加えて、適切な治療のために「画像検査」と「吸引検査」により脂肪腫や粉瘤などの他の疾患との鑑別を行います。 本章では、「画像検査」と「吸引検査」について詳しく解説します。 画像検査 MRIや超音波検査によって、本当にガングリオンなのか、また体の表面からは触れられない隠れたガングリオンがあるかどうかが確認できます。画像検査では、痛みや違和感といった症状を感じていないガングリオンも見つけられます。 液状の内容物が見られるかや、しこりの大きさと周囲の組織との位置関係などから他の疾患との鑑別を行います。 吸引検査 しこりに注射を刺し、内容物がゼリー状であればガングリオンと診断されます。内容物を確認することで、ガングリオンと診断できます。 ガングリオンの原因は主に関節に負担がかかること ガングリオンが形成される原因について、残念ながら詳しくは解明されていません。 関節包(かんせつほう)や靭帯(じんたい)、腱鞘(けんしょう)などの損傷をきっかけにできるのではないかと考えられています。転倒やケガなどで足の関節を痛め、関節に強い負担がかかる場合や、姿勢などの問題で関節に継続的な負担がかかっている場合、足にしこりができやすい状態といえます。 繰り返し足に負荷がかかるのは、以下のような状況です。 ケガ 一部分に負荷がかかる歩き方や姿勢 激しいスポーツ 合わない靴をはき続ける 立ちっぱなしや歩きすぎ これらの状況は、繰り返し足に負荷がかかっているといえますが、だからといって必ずしもしこりができるわけではありません。「しこりができるきっかけになるかもしれない」程度の要因ととらえておきましょう。 また、しこりや関節の痛みで苦しんでいる方は、ガングリオン以外にも何かしらの原因があるかもしれません。 再生医療を専門とする当院(リペアセルクリニック)では、手術を必要としない医療技術における多くの改善症例をLINEにて限定配信中。 しこりや足のしびれに対して長期的な予防を考えている方は、ぜひLINEにご登録ください。 ▼無料のオンライン診断も実施中! >>公式LINEはこちら ガングリオンは進行に伴い痛みが出現 ガングリオンが原因でできたしこりは、基本的に症状はありません。しかし、大きくなることで、違和感や痛み、しびれなどを訴える方が多いです。 しこりが大きくなると関節周囲の神経や血管を圧迫するためです。ガングリオンは進行すると、主に以下のような症状があらわれます。 痛み しびれ 圧迫感 運動障害 また、関節を圧迫するために、違和感や不快感、関節の動かしにくさを感じるでしょう。たとえば、靴が入らなくなる、歩きにくい、しゃがみにくいなど、悪化すると日常生活にも影響を及ぼします。 ガングリオンと似ている症状は内容物や部位で判断する しこりがあらわれる病気は他にもありますが、ガングリオンとほかの病気には症状の違いがあります。 なかでも、紛瘤や脂肪腫はしこりのように皮膚が膨らみ異物感があり、見た目はガングリオンと似ていますが、しこりの内容物やできる部位に違いがあります。 紛瘤 しこりの内容物は垢や皮脂などの老廃物 良性の腫瘍だが放置すると悪化する 炎症を起こし痛みや悪臭がする 脂肪腫 背中や肩、首への発生が多い 痛みはなくゆっくりと大きくなる 内容物は脂肪 まれに悪性のものがある 腱鞘巨細胞腫 手足の腱鞘への発生が多い 良性腫瘍 痛みはない 染色体異常により起こるともいわれている 上記いずれにおいても、治療が必要な場合、一般的には手術で取り除きます。 しこりの存在に気づいていても症状がない場合、「痛くないし平気だろう」と、様子をみて受診を後回しにしてしまうことがあります。しかし、別の病気との鑑別も必要なため、しこりの存在に気づいたら、一度医療機関を受診しておくと安心でしょう。 当クリニックの公式LINEでも無料相談を受け付けておりますので、他の症状も気になる方はご登録ください。 ▼無料のオンライン診断も実施中! >>公式LINEはこちら 足のガングリオンの2つの治療法 ガングリオンの治療は、主に以下の2つの方法でおこなわれます。 非侵襲的治療(保存的療法) 侵襲的治療(手術療法) ここでは、各治療法や、自然治癒の可能性、治療効果や費用について紹介していきます。 非侵襲的治療(保存的療法) まず、保存的療法における自然治癒の可能性や、治療方法、その効果について解説します。 自然治癒の可能性 ガングリオンは、30%~40%は自然に消失するといわれており、治療をしなくても自然治癒の可能性があります。しこりは、大きくなったり小さくなったりを繰り返しますが、その経過の中で自然に治癒するケースがあります。 ガングリオンならば、良性腫瘍のため目立った症状がなければ経過観察でも良いでしょう。 注射治療の方法と効果 ガングリオンの治療は、まず、注射器で内容物の吸引治療がおこなわれます。 <注射器でおこなう吸引治療の特徴> 注射器で穿刺してガングリオンの内容物を吸引し排出する 内容物の排出後は圧迫固定が必要 外来でできる処置のため侵襲が少ない ガングリオンの袋は残るため再発の可能性がある 注射の針程度の傷しかつかないため、比較的痛みも少ない処置といえます。傷跡も残らず痛みも少ないため、外来で処置が可能です。 内容物の吸引をしたあとにステロイドの注入をおこなう場合があります。これは、患部の炎症を抑え、痛みを和らげる効果を期待しておこなう処置です。ステロイドの注入は必ずおこなうわけではなく、医師の診察と判断により実施が検討されます。 一般的に、まずは注射器での内容物の吸引治療をおこない、再発を繰り返す場合には手術療法が検討されます。 侵襲的治療(手術療法) ここでは、手術の詳細や費用について解説します。 手術の詳細と費用 手術療法では、以下の2つの手術方法があります。 腫瘤だけでなく、関節包や腱鞘の一部も一緒に切除する方法 皮膚を小さく切り開き、関節専用の内視鏡で腫瘤につながっている関節包を切除する方法 手術自体は、日帰りでできる場合も多く、手術時間は20分~30分程度で終わります。 ガングリオンができた位置や数が多い場合、神経の奥に入り込んでいるものなど、まれに治療が難しいケースがあります。そのような場合には、日帰り手術ではなく入院治療が必要です。術後2週間後に抜糸をおこない、術後3週間程度は激しい動きは控え安静にしましょう。 手術には以下のようなリスクがあります。 感染を起こす 神経を傷つける 傷跡がのこる 手術といわれると、治療に対して不安が大きくなりますよね。医師からの説明をよく聞き、わからないことは手術の前に確認しておくと安心です。不安な気持ちがあることも伝えておきましょう。 一般的な手術の費用は以下の通りです。 負担割合 負担金額 1割負担 約3,000円前後 3割負担 約9,000円前後 そのほか、診察代や検査代、処方箋代などがかかります。手術部位によっても費用が異なるため、詳しくは手術を受ける病院に確認してください。 ガングリオンは治療後再発の可能性もある ガングリオンは治療法により再発率が変化します。 注射治療では約半数、手術療法では約10%の方が再発するといわれています。 再発を繰り返すと、治療や手術に伴う体への侵襲や医療費がかかる部分も懸念されるため、治療のあとは予防に力を入れていきましょう。 ガングリオンの2つの予防法 ガングリオンの原因ははっきりと解明されていないため、確実な予防策はありません。しかし、対策をすれば、発症のリスクを下げることができます。 ここでは、ガングリオンの発症予防や悪化予防のためにできる日常生活での注意点や、スポーツをするときの注意点について解説します。 日常生活での注意点 足のガングリオンは、合わない靴をはき続けたり、歩き方や姿勢が悪かったりすると、一部の関節に負担がかかります。そのような状態はガングリオンを発症するきっかけになったり、すでにあるガングリオンを悪化させたりする可能性があります。靴はサイズの合った履きやすい靴を選び、歩き方や姿勢にも気をつけましょう。 ガングリオンを強い力でマッサージするのも良くありません。軽くさする程度なら問題ありませんが、力を加えマッサージをおこなうと、痛みが悪化したりしこりが大きくなったりする可能性があります。 また、痛みが出てきた場合には、無理に動かさず安静にしましょう。患部に熱感がある場合には炎症が起きている可能性が考えられます。保冷剤や濡らしたタオルで冷やし、早めに医療機関を受診しましょう。 スポーツ時の注意点 スポーツをするときには、関節に負担をかけないようにし、ケガに気をつけましょう。 ガングリオンは、関節包(かんせつほう)や靭帯(じんたい)、腱鞘(けんしょう)などを損傷した場合にできると考えられています。ケガがきっかけでガングリオンができる可能性があるため、スポーツをする前にはしっかり準備運動やストレッチをしてから始めましょう。 また、ケガをしにくい体作りも大切です。関節の柔軟性を高めるストレッチや筋トレを取り入れ、ケガをしにくい強い関節をつくりましょう。 ガングリオンは早期発見と治療が大切 ガングリオンは良性の腫瘍ですが、早期発見するに越したことはありません。しこりが大きくなる前に治療ができれば、痛みやしびれなどの症状を起こさずに済みます。 また、まれにガングリオンではなく悪性腫瘍だったケースもあります。しこりがあると感じたら、早めに医療機関を受診し、適切な検査や治療を受けましょう。 ガングリオンは、適切な治療と管理をおこなえば再発のリスクを下げられます。ただし、ガングリオンができた位置や数が多い場合、神経の奥に入り込んでいるものなど、治療が難しいケースがあります。 いくつものガングリオンが、ブドウの房のようにできた症例もあり、必ずしもできたガングリオンがひとつとは限りません。 受診する医療機関は、整形外科が一般的です。そのほか、形成外科、皮膚科、外科でも治療が受けられます。適切な治療を受けるためには、医療機関を受診し、担当の医師と治療方針について十分話をしておく必要があるでしょう。 まとめ|足のガングリオンは良性腫瘍だが適切な治療と管理を要する ガングリオンは良性腫瘍ですが、痛みやしびれ、見た目の問題など、気になる症状があれば早めに専門医に相談することが大切です。 また、ご自身の判断だけでなく、他の病気の可能性も考慮して一度は医療機関で診察を受けることをおすすめします。 良性腫瘍のため治療はしなくても問題はありません。しかし、痛みやしびれなどの症状が出てきた場合には、早めに整形外科を受診し適切な検査と処置を受けましょう。 もしガングリオンのようなしこりがあって不安な場合には、当院のオンラインカウンセリングをお気軽にご利用ください。 当院は関節の痛みや機能改善に対して、ご自身の細胞を活用する再生医療(幹細胞治療)を提供しておりますので、ご不安な症状に対してスタッフが丁寧にご回答いたします。 参考文献一覧 日本整形外科学会|「症状・病気をしらべる ガングリオン」 日本手外科学会「手外科シリーズ ガングリオン」 日本医放会誌 第59巻第7号「関節周囲の嚢胞性病変―ガングリオンと滑液包炎―」 メディカルノート「ガングリオン」 徳島県医師会「足のガングリオン」
2024.09.16 -
- 足部、その他疾患
- 足部
スポーツなどで起こりやすいとされるアキレス腱断裂は、足首を動かすことが困難になり、日常生活が大きく制限されてしまいます。 アキレス腱断裂では、保存療法と手術どちらでもリハビリが必要ですが、実際にどんなリハビリをするか気になる人もいるのではないでしょうか。 実はリハビリをすすめていく上で、必ず守らないといけない注意事項や効果的な方法があるため、実際にリハビリを進めていく際には注意が必要です。 そこで本記事では、アキレス腱断裂をした後のリハビリメニューや治療法などを詳しく解説します。アキレス腱断裂をしてその後のリハビリメニューや治療法が気になる方はぜひ最後までチェックしてください。 アキレス腱断裂でのリハビリメニューは「アキレス腱以外の部位も行う」 アキレス腱断裂をした後のリハビリで重要なポイントは以下の3つです。 治療は手術と保存療法がある どちらの場合でもアキレス腱以外の部位を怪我した直後から動かす 患部は装具を使ってゆっくりと動かしていく アキレス腱断裂の治療は、外科的にくっつける手術と自然治癒を待つ保存療法の2択ですがどちらもリハビリが欠かせません。 とくにアキレス腱以外の膝・股関節・足趾(足の指)といった部位は、怪我した直後から積極的に動かすようにしましょう。 手術・保存療法どちらの場合でも、アキレス腱に負担をかけないために、踵を挙げた状態で固定する装具を装着してリハビリを行います。 なお、当院リペアセルクリニックでは手術・保存療法のほか再生医療の提供も可能です。もし気になる方はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングでご相談ください。 また、アキレス腱治療における再生医療については、以下の記事でも解説していますので、ぜひチェックしましょう。 アキレス腱以外のリハビリは「足首以外を弱らせないため」に大切 アキレス腱断裂後のリハビリでは、足首以外の筋力を維持するために、アキレス腱以外の膝・股関節・足趾(足の指)などを積極的に動かします。とくに問題がなければ、怪我した直後から動かしていくメニューが一般的です。 とくにアキレス腱断裂の場合、足首以外の関節を装具で固定するケースも多くあります。関節を保護しすぎて動かす量が減ると、下肢筋力が大きく低下してしまう可能性も考えられます。 社会復帰を早めるためにも、足首以外の筋力強化は積極的におこないましょう。 足首が固まらないことを優先する アキレス腱断裂では、アキレス腱の再生を促す目的で、足首を固定する期間を設けるケースがほとんどです。足首が固まってしまい可動域が制限されることが多いため、リハビリでは足首の可動域を維持することが大切です。 具体的には、装具を使ってアキレス腱に負担がかからないようにしながら体重をかける練習や、足首周囲のマッサージを積極的におこないます。 アキレス腱に負担がかからない範囲で足首のリハビリをおこなうことで、足首の可動域制限を最小限にとどめることが大切です。 アキレス腱断裂後におこなうリハビリメニュー4選【アキレス腱】 アキレス腱断裂後におこなうアキレス腱のリハビリメニューには、以下の4つがあります。 足首を反らして可動域を広げる運動 アキレス腱にかかわる下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋力強化運動 体重を乗せる練習 スポーツや社会復帰に向けた動作練習 これらのリハビリは、アキレス腱への負担を考慮しながら進める必要があります。痛みが出たら即中止し、無理をしないようにこころがけてください。 関節可動域運動足首を反らして可動域を広げる運動 足首の関節が固まらないように、関節可動域運動(かんせつかどういきうんどう:ROM運動)を行います。 つま先を上に持ち上げるような動き(背屈運動:はいくつうんどう)はアキレス腱が伸ばされるため、慎重に始めて再断裂を予防するのが大切です。 アキレス腱の強度が高まれば、立ってアキレス腱を伸ばすようにストレッチをして関節の動きを改善します。 Step1 自分でゆっくり動かす アキレス腱の組織が癒着しているのをはがす Step2 最初はつっぱり感があり、痛みも出やすい 優しく行うのが重要です Step3 徐々に理学療法士によるマッサージやストレッチを加えながら関節を動かす アキレス腱の柔軟性を改善します。 筋力トレーニングアキレス腱にかかわる下腿三頭筋(ふくらはぎ)の筋力強化運動 アキレス腱が十分修復されてくれば、日常の動作やスポーツに必要な筋力を戻すためのトレーニングを実施します。 まずはゴムバンドなどを使用して体重をかけない状態で負荷をかけましょう。筋力や痛みの有無に合わせて、体重をかけた状態でのトレーニングに移行します。最初は無理をせず、徐々に負荷を高めていくことが重要です。 トレーニング 1. 座って踵上げ(座位カーフレイズ)から始める ⇩ 2. 両脚で立っての踵上げ(両脚カーフレイズ) ⇩ 3. 片足で立っての踵上げ(片脚カーフレイズ) 荷重練習体重を乗せる練習 アキレス腱の修復状況に合わせて、体重をかける時期や量を調整します。体重を乗せる練習は装具を使って、アキレス腱が無理に伸ばされないようにこころがけてください。 なお、保存療法に比べ、手術療法の方が早くから体重をかけることができます。 荷重は装具を使用しながら調整します。装具については、後ほど詳しく解説します。 動作練習スポーツや社会復帰に向けた動作練習 アキレス腱の強度や筋力が十分になれば、装具を外してのウォーキングやジョギング、ランニング、ジャンプといった動作を実施していきます。 スポーツ動作は複雑な動きや強い瞬発力を必要とするため、短くても6カ月ヶ月程度の期間が必要です。 アキレス腱断裂後におこなうリハビリメニュー4選【アキレス腱以外】 アキレス腱断裂後におこなうリハビリメニューとして、以下の4つをご紹介します。 足趾の強化(タオルギャザー) 太ももの筋力強化 膝を伸ばす運動 お尻の外側の筋力強化 これらの運動は、体重がかかったときにアキレス腱の働きを補助する筋肉を鍛えるメニューです。これらのリハビリを行うことで、アキレス腱の負担軽減につながります。 いずれもアキレス腱への負担がかかりにくい運動であり、アキレス腱断裂後、早期から実施可能です。 しかし、慣れないうちは足首に力を入れてしまうこともあるかもしれません。もしリハビリの実施中に痛みを感じた場合は、無理せず中止してください。 足趾の強化(タオルギャザー) 用意するもの:フェイスタオル等やや厚手のタオル 1.裸足で立位または椅子に座り、指先でタオルをたぐり寄せる。 2.たぐり寄せたタオルを指先で元の位置に広げる。 3.左右を入れ替えて繰り返し行う。 1セット10回を1日3セット程度から開始して、余裕があれば増やします。実践する際にはタオルを引き寄せるときに指を大きく動かすことが重要です。また、足首を反らしながら指を曲げてしまう人が多いため、つま先を床につけたままおこなう意識を持ってください。 太ももの筋力強化運動 用意するもの:バスタオル(またはクッション) 1.仰向けになり、まっすぐに伸ばした膝裏に丸めたタオルを挟む。 2.膝裏でタオルを力強く押すと同時に、つま先は上に持ち上げる。(5 秒ほど) 3.左右を入れ替えて繰り返し行う。 体重がかかったときに踏ん張って体を支えてくれる太もも(大腿四頭筋)の筋力強化運動です。1セット10回で1日3セット程度を目安に進めていきましょう。 ポイントはしっかりと膝を伸ばしながら足を持ち上げることで、膝を伸ばす意識を持てば太ももの筋肉に大きく刺激が入ります。また、足首に力を入れてしまう人が多いため、足首の力は抜くようにしてください。 膝を伸ばす運動 用意するもの:背もたれのある椅子か机などつかまれるもの 1.立位で椅子の背もたれなどに摑まり、片足を後ろに引き、膝を伸ばす。 2.左右を入れ替えて繰り返し行う。 後ろに引いた足の膝を伸ばして太ももの筋肉(大腿四頭筋)に刺激を入れる運動です。1セット10回で1日3セットを目安におこないます。体重をかけることで太ももの筋肉により強い刺激が入るでしょう。 この練習をするときはアキレス腱保護のため装具を必ず装着してください。体重をかけることで痛みを感じるようであれば、無理をしないように気をつけましょう。 お尻の外側の筋力強化 1.横向きになり、上側の足をゆっくりと持ち上げ、ゆっくりと下ろす。 2.左右を入れ替えて繰り返し行う。 立ったときに骨盤を横から支えてくれるお尻の筋肉(中臀筋)を鍛える運動です。1セット10回を2〜3セットを目安におこないましょう。 ポイントとして足を上げ下ろしする角度が大切です。骨盤より前で足を上げ下ろしすると太ももの筋肉に力が入りやすいので、足を骨盤と同じ角度か少し後ろに引く気持ちで上げ下ろしするとお尻への刺激が入りやすいでしょう。 日常生活やスポーツへの復帰を早めたいなら「手術」も検討する もし早期の社会復帰・スポーツ復帰をしたいと考えているならば、手術を受けることも検討しましょう。 手術ではアキレス腱を縫合するため、再生を早められるほか、保存療法による自然治癒よりも強固に修復できるためです。 アキレス腱断裂後に早く日常生活やスポーツに復帰したい人は、主治医と相談の上、手術も視野に入れても良いかもしれません。 本章ではアキレス腱断裂後のリハビリにかかる経過を、保存療法をおこなったケースと手術をしたケースでそれぞれご紹介します。 保存療法でのリハビリスケジュール 受傷日からの日数 リハビリメニューの例 受傷〜2週間 ・体重はまったくかけてはいけない ・患部以外のトレーニングの実施 2週間〜6週間 ・足首を下に向けた状態で固定 ・床に触れる程度から体重をかけ始める ・4周目以降に全体重をかけ始める ・足首をゆっくり自分で動かす 6週間〜8週間 ・足首をストレッチする 8週間〜12週間 ・徐々に筋力トレーニングを開始 ・ゴムバンドなどを使ったトレーニングを開始 ・筋力が向上すれば座位カーフレイズ開始 ・両脚カーフレイズ、片脚カーフレイズを段階的に実施 3カ月〜4カ月 ・装具を外してウォーキングやジョギングを開始 4カ月〜6カ月 ・ランニングやジャンプ開始 6カ月〜 ・スポーツ復帰 アキレス腱断裂後、保存療法を行う場合は、受傷からアキレス腱の修復状況に合わせて、段階的にリハビリメニューを変更していきます。 アキレス腱の修復状況や痛みの程度、合併症の有無などによって、上記のメニューのようにいかない場合もあるため、都度強度の調整が重要です。 受傷直後はギプス固定をして、足首が完全に動かないようにしばらく固定をする場合もあります。あくまでもアキレス腱の修復や再断裂の予防が最優先ですので、医師や理学療法士としっかり連携をとり、リハビリを進めていくのが大切です。 手術療法でのリハビリスケジュール 受傷日からの日数 リハビリメニューの例 受傷〜4週間 ・体重はまったくかけない。 ・患部以外のトレーニングの実施 ・痛みに合わせて徐々に足首の運動を実施 ・徐々に体重をかける量を増やしながら荷重する 4週間〜6週間 ・つま先を下に向ける ・徐々に戻していき、全体重をかけていく 6週間〜8週間 ・立った状態 ・ストレッチや足首の筋力トレーニングを始める ・筋力がつけば両足カーフレイズを実施(両手支持から始める) 8週間〜3カ月 ・装具を外してのウォーキング開始 ・片脚カーフレイズで筋力を向上させる 3カ月〜5カ月 ・ジョギングやランニング ・ジャンプなどを段階的に実施 5カ月〜 ・スポーツ復帰を目指す アキレス腱断裂後、手術を行う場合は、保存療法よりも早期に体重を乗せるリハビリをはじめます。 手術療法は比較的アキレス腱の修復が早く、体重を早くかけられるようになります。そのため、保存療法よりも早く社会復帰・スポーツ復帰が可能です。 メリットは手術でアキレス腱を強固に修復でき、スポーツ復帰が早いことです。しかし、費用や手術での感染・神経損傷リスクはデメリットといえるでしょう。 なお、当院リペアセルクリニックではアキレス腱断裂に対しても再生治療に取り組んでいます。興味がある人はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングでご相談ください。 また、アキレス腱断裂後の手術については以下の記事でも解説しています。手術を検討している人はぜひチェックしてください。 まとめ|アキレス腱断裂後のリハビリメニューは下肢全体を鍛えよう!治療法で悩んだら受診がおすすめ アキレス腱断裂後のリハビリメニューは、断裂したアキレス腱以外の部位も含めて下肢全体を鍛えるように行う必要があります。 また、アキレス腱断裂後のリハビリ内容や経過は、保存療法か手術療法によって異なります。治療方法は医師としっかり相談して、個人個人のライフスタイルに合わせて選択してください。 いずれの治療方法でも、アキレス腱の修復を待ちながら、段階的にリハビリを進めて、日常生活やスポーツに復帰することが大切です。 ちなみに、当院リペアセルクリニックではアキレス腱断裂に対しても再生医療をおこなっています。保存療法の選択肢として検討してみたい人は、お気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングでご相談ください。 本記事を参考にアキレス腱断裂後のリハビリについての理解を深めて、医師や理学療法士と連携しながら回復を目指しましょう。 アキレス腱断裂についてよくある質問 アキレス腱断裂は手術が必要ですか? A:必ず手術というわけではありません。 アキレス腱断裂では必ずしも手術が必要ではなく、保存療法という選択肢もあります。しかし手術をした方がスポーツ・社会復帰が早くできるため、ライフスタイルに合わせて治療方法を選択してください。 アキレス腱断裂後はどんなリハビリをしますか? A:足首だけでなく、下肢全体で運動を進めていきます。 アキレス腱断裂後はアキレス腱に負担がかからないように、股関節や膝などを動かしていきます。アキレス腱の修復度をみながら、足首も徐々に負荷をかけていき、無理せず動かすことが重要です。なお、リハビリも手術をした方が経過が早く進みます。
2023.06.13 -
- 足部、その他疾患
- 足部
アキレス腱断裂でも手術しない再生医療(PRP)!最新治療の効果と治療法を解説 アキレス腱断裂は中高年の方によく起こる代表的なスポーツ外傷です。 仕事やスポーツへの早期復帰を希望する場合には従来は手術治療がよく選択されてきました。一方で、手術治療を選択してもケガをする前の状態まで戻るには長期間のリハビリが必要であったり、傷や感染症など手術自体の合併症などの問題がありました。 その中で、最近では最新医療である「再生医療」が注目されてきており、アキレス腱断裂でも治癒を促進する治療として「自己多血小板血漿(Platelet-Rich Plasma; PRP)療法」が行われてきています。 再生医療を行うことで、手術をしない場合でも早期に仕事復帰、スポーツ復帰が可能になると期待できますし、手術の合併症のリスクも回避することができます。 この記事では、最新医療として期待されている、アキレス腱断裂に対するPRP療法での再生医療について解説していきます。 アキレス腱断裂に対するPRP治療について PRP療法は、患者さんから採血した血液から抽出した「多血小板血漿(PRP)」を患者さんの傷んでいる場所に注射する再生医療です。 PRPは、採血した血液を特殊な血液分離機器を用いて精製することで、通常の血液に比べて血小板や様々なサイトカインや成長促進因子を含んでいることがわかっています。 再生医療と聞くと、「自分の細胞を培養して投与する複雑な治療?」と想像されるかもしれませんが、PRP療法は精製したPRPを局所に注射するだけですので、身体への負担が少なく、短時間で終わるため、外来で受けることが可能です。 PRP治療のメリット 身体への負担が少ない 治療が短時間で終わる 外来で受けることが可能 簡単かつ、自分の組織のため安全なので、普及しつつある治療法なのです。 PRP療法のメリット、デメリット PRP療法は、入院、手術が不要なばかりか、外来で治療ができるため、とても有効です。 メリット 1.副作用が少ない 自分から採取した組織で治すため、アレルギー症状などの拒絶反応などを引き起こしにくい 副作用もほとんどありません 2.身体を傷つける心配がない 身体への負担は、採血と精製した組織の注射だけ 手術などで身体にメスを入れる必要がありません 3.外来で治療が可能 PRP療法は、通院による治療が可能です。 実施後すぐ日常生活に戻れる 負担が非常に少ない治療法です デメリット 1.効果の個人差 PRP療法の効果には個人差があります ヒトの血液の中には様々な因子が含まれており、その量には個人差があります 精製過程で割合も変化するので、効果に個人差があることは知っておく必要があります。 2.処置部位の痛み 注射をするという医療行為の特性として、注射をした後の数日間は、痛みや腫れ、赤みなどの症状が出ることがある 心配な場合には一度治療された病院を受診されるすることをおすすめします。 アキレス腱断裂に対するPRP療法の有効性 PRP療法は最新の治療のため、現在様々な研究が行われ効果が検証され始めています。 一般的にアキレス腱などの腱は腱自体への血流が乏しいので治りにくく、復帰に時間を要するのですが、PRPを投与することで腱の修復を早くすることができます。複数の研究をまとめたシステマティックレビューというエビデンスレベルの高い論文では、PRP療法を行った場合、足関節の可動域が他の治療と比べて良好であるという報告がなされています。(参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34731144/) PRP療法を行うことで最短で治りつつ、機能的にも良好な成績が得られると考えられています。 再生医療に対するよくある質問 再生医療は、まだまだ馴染みのない治療方法です。そこでよく質問される内容から抜粋して以下に記しましたのでご参考美してください。 Q1.PRP療法は他にどのような疾患に適応がありますか。 A:PRP療法は様々な疾患で受けることができます。アキレス腱断裂のほかに、半月板や膝の靭帯損傷、ジャンパー膝などの腱の炎症、変形性膝関節症や変形性股関節症などの軟骨が摩耗する疾患、五十肩など痛みを伴う整形外科の疾患の多くに適応があります。 飲み薬や注射でも治らず、手術しかないと言われている方で手術をせずに治したい方、はやく痛みを和らげたい方は、適応があるか是非医療機関にご相談してみてください。 Q2.PRP療法はどこで受けることができますか。 回答:2023年5月時点ではPRP療法は自由診療ですので、行っている施設は限られています。当院では最新の再生医療としてPRP療法に加えて、独自の細胞培養技術を用いた自己脂肪由来幹細胞治療も行っています。 治療についてのご相談は、経験豊富な医師、アドバイザーが無料で行っており、内容についてご納得していただいた上で治療を受けることができます。 ご予約は電話、メール、WEBで可能ですので、治療について悩んでいる方は是非お気軽にご相談ください。 ▶リペアセルクリニック「メール・WEBで相談する」 まとめ・アキレス腱断裂でも手術しない再生医療(PRP)!最新治療の効果と治療法を解説 アキレス腱断裂は特に中高年に多く見られるスポーツ外傷で、従来は手術が一般的な治療法とされてきました。しかし、手術には長期間のリハビリが必要であったり、傷や感染症のリスクが伴うために最新医療の一つであるPRP(自己多血小板血漿)療法という再生医療が注目されています。 PRP療法は、患者自身の血液から抽出した「多血小板血漿」を用いる再生医療です。この方法は、血小板や成長因子を多く含むPRPを患部に注射することで、自然治癒力を高め、腱の修復を促進します。手術を避けられるため、体への負担が少なく、入院することなく、短時間で外来で受けられる利便性があります。 PRP療法のメリットには、アレルギーや拒絶反応のリスクが少なく、副作用がほとんどないことが挙げられます。また、注射のみで済むため、入院はもちろん手術の必要がなく、治療後すぐに日常生活に戻れる点も大きな利点です。しかし、効果には個人差があり、注射部位の痛みや腫れが数日続く可能性もあります。 PRP療法はアキレス腱の修復を早め、他の治療法に比べて足関節の可動域の改善が期待できるとされています 。腱の血流が乏しいために治癒が遅れがちなアキレス腱断裂に対して、PRP療法は有効な治療法となり得ます。 再生医療はまだ新しい分野であり、疑問や不安を持つ方も多いかと思ことでしょう。中でもPRP療法はアキレス腱断裂以外にも、膝や肩の靭帯損傷、変形性関節症など、多くの整形外科疾患に適用されています。治療できる医療機関は厚生労働省の認可が必要で限られていますが、再生医療専門クリニックである当院にご相談いただければ詳しくご説明させて頂きます。 アキレス腱断裂の治療法として、手術以外の選択肢を探している方や、早期の回復を望む方は、PRP療法をご検討されてはいかがでしょうか。 手術や入院をせずに早くケガを治したいなど、興味のある方はぜひお気軽に当院にご相談ください。 ▼アキレス腱が切れてしまう前に知るための方法は以下をご覧ください 【アキレス腱断裂】アキレス腱が切れる予兆の症状とその原因
2023.06.08