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- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
膝の内側にふと感じる違和感。階段を上るたびに走る痛み。忙しい日々の中、つい後回しにしていませんか?その小さな違和感が、あなたの日常生活に大きな影響を及ぼす鵞足炎のサインかもしれません。 鵞足炎(がそくえん)は膝の内側(脛骨の上内側)にある鵞足部に炎症が起こり、歩行や階段動作で痛みを生じる障害です。小さな違和感程度のうちは放置しがちですが、そのままにすると痛みが徐々に悪化し、激痛になるおそれがあります。 そこで、どのような症状が出たら病院に行くべきか、また受診のタイミングについて医師の視点から解説します。早期受診の必要性、具体的な症状や受診のタイミング、治療法まで専門医の視点で詳しく解説します。本記事を読むことで、何をすべきか、どこに相談すればよいかが明確になり、将来の大きな不安を解消するきっかけになるでしょう。 病院に行くべき鵞足炎の症状 鵞足炎の代表的な症状は、膝の内側(膝のお皿の下約5cmあたり)に生じる痛みです。痛みは通常、運動や階段の上り下りで強まり、安静にすると和らぐ傾向があります。患部を指で押すと痛みがあり、症状が進むとその部分に腫れ(膨らみ)や熱感を伴うこともあります。(文献1) 日常生活で次のような症状がみられたら要注意です。 注意すべき症状 解説 歩行や階段昇降時に膝の内側が痛む。 とくに階段を下りるときや立ち上がるときに痛みが走る場合は、鵞足部の炎症が疑われます。 膝を曲げ伸ばしすると内側に違和感や引っかかり感がある。 鵞足部の腱や滑液包の炎症で膝の動きに支障が出ている可能性があります。 膝の内側に触れると局所的な圧痛や軽い腫れを感じる。 痛むカ所に触れてみて、片側だけ明らかな圧痛がある場合は鵞足炎の徴候です。 痛みで正座や膝立ちが困難になる。 膝の曲げ伸ばしが制限されるほどの痛みは重症化のサインで、早めの受診が望まれます。 これらの症状が出るようになったら、我慢せず病院で診断を受けましょう。とくに膝に熱感や腫脹を伴う場合、他の疾患の可能性もあるため放置は禁物です。少し痛む程度だからと様子を見ても悪化していく一方ですので、お早めの受診をおすすめします。 \まずは当院にお問い合わせください/ 鵞足炎における病院に行くべきタイミング 膝の内側に痛みや違和感を覚えたら、できるだけ早めに整形外科を受診するのが理想的です。軽度であれば数日から2・3週間程度の安静で症状が改善するケースが大半です。対して、痛みが2週間以上続く場合や、安静にしても痛みが引かない場合は、自己判断せず医療機関を受診しましょう。一般に鵞足炎などの膝の滑液包炎は、適切な治療を行えば約6〜8週間ほどで完治します。(文献2) 逆に言えば、1〜2か月経っても改善しない場合は治療法の見直しが必要なサインです。また、運動後に膝の違和感や軽い痛みを感じた段階で、一度受診しておくのも有効です。早期に診断を受けて適切な対策(休息の指示やストレッチ指導など)を取れば、症状の悪化を未然に防げます。痛みの程度が中等度以上(例:階段の上り下りが困難、就寝中にも疼く)なら、発症から数日以内に受診するのが望ましいでしょう。放置期間が長くなるほど完治までの時間も延びる傾向があるため、迷ったときは早めに専門医に相談することが鵞足炎完治への近道です。 放置リスクと症状の進行度チェック 鵞足炎を放置すると、症状が「違和感」から「痛み」へ、さらに「激痛」へと段階的に進行してしまうリスクがあります。軽い痛みのうちは運動を続けてしまい、気づけば休まざるを得ないほど悪化して受診するケースも少なくありません。鵞足炎の進行度を自己チェックする目安として、次のようなステージがあります。 重症度 解説 ステージ1(軽度) 膝の内側に違和感があるが、スポーツ中でもさほど気にならないレベル。腫れや熱感はほとんどありません。この段階で対策せず運動を続けると次第に悪化する恐れがあります。 ステージ2(中等度) 運動後に膝の痛みがはっきり自覚できるようになる段階です。階段昇降で痛みを感じ、患部に軽い圧痛が出現。ここで適切に休養を取らないと、さらに重症化していきます。 ステージ3(重度) 膝の痛みが強く、運動を継続できない。日常生活でも膝の曲げ伸ばしに支障が出て、患部に腫れや熱感が見られる場合もある。安静にしていても痛むようならかなり進行している状態です。 ステージ4(最重度) 痛みが激しく、歩行さえ困難になる。膝関節以外(股関節や腰)にまで負担が及び、他の部位まで痛み出すことも。ここまで悪化すると完治まで長期化し、元の状態に戻すのが難しくなります。 ※これらはあくまで参考であり、膝の痛みを感じたら軽度でもすぐに専門医に相談してください。 鵞足炎を放置すると、腱や滑液包周辺の組織に慢性的なダメージが蓄積し、治りにくい状態になるリスクがあります。鵞足炎は早期対応が肝心です。違和感を感じたらテーピングやアイシングなどの対処を行い、痛みが強まるようなら速やかに医療機関へ相談しましょう。 整形外科や再生医療専門クリニックの選び方 鵞足炎が疑われる場合は、まず整形外科を受診しましょう。整形外科で診察と必要な画像検査(レントゲンやMRIなど)を受ければ、他の膝疾患との鑑別も含めて正確な診断が得られます。 とくにスポーツが原因で痛みが出た場合は、スポーツ整形外科を専門とする医師がいる病院を選ぶとより適切な診療を受けられるでしょう。整形外科では一般的な保存療法や必要に応じてステロイド注射などの治療が行われ、症状改善が期待できます。 一方、最近では再生医療専門クリニックで鵞足炎の治療を相談するケースも増えています。再生医療専門クリニックでは、整形外科的な治療に加えてPRP療法(多血小板血漿療法)や幹細胞治療など、組織の修復・再生を促す治療法を提供しているのが特徴です。 病院で受けられる鵞足炎の治療法 鵞足炎の治療はほとんどが手術しない保存治療で行われます(文献1)。症状や原因に応じて、医療機関では次のような治療法を組み合わせて受けられます。 治療法 説明 アイシング(冷却) 痛むカ所に氷や保冷剤を1日3回、各15分程度当てて冷やします。冷却は炎症と腫れを鎮め、痛みの軽減に役立ちます。 薬物療法 痛みや炎症が強い場合は、消炎鎮痛剤の内服が処方されます。ロキソニンなどの市販薬は痛みと腫れを抑える効果がありますが、効果が短期的なため医師の指示に従い使用しましょう。(文献5) 理学療法・リハビリ 理学療法士によるストレッチや筋力トレーニングの指導が行われます。とくに太ももの裏の筋(ハムストリングス)が硬いと鵞足部に負荷がかかりやすいため、ストレッチで柔軟性を高めます。また大腿四頭筋や股関節周囲の筋力強化により膝への負担軽減を図ります。 足底板(インソール)療法 膝のアライメント(配列)に異常がある場合や扁平足の場合、医師が足底板を処方します。(文献2)インソールで膝の角度を適正に保つことで、鵞足部への過剰な負担を減らします。 ステロイド局所注射 症状が強く保存療法で十分な改善が得られない場合、患部にステロイド薬を直接注射する治療があります。(文献2)メリットとしては即効性が挙げられますが、効果は持続しないため、根本治療ではなく迅速な痛みの緩和を目的に使用されます。(文献1) PRP注射(多血小板血しょう療法) 保存療法で繰り返す鵞足炎に対し、再生医療の一環としてPRP療法を受けられる病院もあります。(文献2)患者自身の血液から血小板を豊富に含む血漿成分を抽出し、患部に注射することで組織修復を促進する治療法です。従来の治療で効果不十分な痛みに対し、新たな選択肢として注目されています。 手術療法 非常にまれなケースですが、保存的治療でどうしても改善しない慢性化した鵞足炎や、滑液包に感染が起きて膿がたまった場合などは手術が検討されます。手術では滑液包を切除します。ただし一般的な鵞足炎では手術に至ることはほとんどありません。(文献2) 以上のように、病院では症状の程度に応じた段階的な治療が受けられます。多くの場合、安静・薬物・リハビリなどの保存療法で痛みは改善し、数週間〜数か月で通常の生活に戻れます。とくに早期に適切な処置で治癒期間の短縮が期待できるため、痛みを我慢せず医療機関のサポートを活用しましょう。 病院に行っても改善しない鵞足炎のアプローチ 通常、鵞足炎は保存療法で改善しますが、一部には治療を続けても痛みが長引く難治性のケースもあります。そのような場合には、病院での一般的な治療に加えて別のアプローチを検討します。 治療法 説明 体外衝撃波療法(ESWT) 難治性の腱付着部炎に対して近年注目される物理療法で、鵞足炎に適用されることもあります。高エネルギーの衝撃波を痛みの部位に与えることで血流改善や治癒促進を図る方法です。まだ歴史が浅い治療法のため、できる整形外科は限られており、効果についても個人差が大きいようです。 PRP療法 前述のPRP注射は、慢性化した鵞足炎にも効果を発揮する可能性があります。実際、慢性的な鵞足部痛患者33名にPRP療法を施した臨床研究では、約85%の患者で治療後6か月以内に痛みがほぼなくなるか大幅に軽減したと報告されています。(文献3) PRPに含まれる血小板由来因子が組織修復を促し、難治性の炎症を鎮めたと考えられますが、一般的な治療法で治らない場合は検討する価値はありそうです。 幹細胞治療 患者自身の幹細胞(主に脂肪由来幹細胞)を患部に注入し、損傷組織の再生を図る治療法です。幹細胞は抗炎症作用や組織修復促進作用を持つことから、腱・靭帯付着部の炎症を根本から沈静化させる可能性があります。 ただし幹細胞治療は高度な医療であり、実施している医療機関も限られるため、希望する場合は再生医療認定を受けたクリニックで詳細を問い合わせる必要があります。 このように、病院に行ったが痛みが引かない場合でも諦める必要はありません。再生医療や先進的な理学療法など、従来とは異なるアプローチで症状改善の道が開ける可能性があります。当院リペアセルクリニックは、厚生労働省から再生医療の認定も受けております。PRP療法も幹細胞治療も施術可能な再生医療のプロフェッショナルですので、再生医療に興味があればぜひ一度当院へご相談ください。 関連記事:鵞足炎(がそくえん)の再発を防ぐ3つの方法とは?繰り返す痛みに再生医療という選択肢 \まずは当院にお問い合わせください/ 早期の受診が鵞足炎の改善につながる! 鵞足炎は適切な治療を受ければ改善が期待できる疾患ですが、その鍵となるのが早期の受診です。痛みを我慢して慢性化させてしまうと、治るまでに時間がかかったり、再発を繰り返したりする恐れがあります。鵞足炎には有効な保存療法や再生医療を含む多様な治療オプションが存在し、医師と二人三脚で取り組めば痛みのない生活を取り戻せる可能性が高いため、少しでも違和感があれば、まずは整形外科へ受診しましょう。 痛みが軽いうちに病院へ行くのは大げさでは?と心配になるかもしれません。しかし、膝の違和感や軽い痛みは身体からの重要なサインです。早めに対処して、将来にわたった健康な膝の状態を保ちましょう。 病院では痛みの原因を丁寧に説明し、あなたに合った治療プランを提案してくれます。一日でも早く痛みから解放されて、普段の生活やスポーツを安心して楽しむためにも、鵞足炎かな?と思ったら早期受診を心がけてください。 鵞足炎で病院行くべきかお悩みの方からよくある質問 膝の違和感や痛みで病院に行くべきかどうかお悩みの方は少なくありません。病院に行くのが大事とはわかっていても、つい自分で判断してしまって我慢してしまう方も多くいます。そこで、病院に行くべきかお悩みの方からよく頂く質問をピックアップしましたので、紹介いたします。 鵞足炎を自分で治す方法はありますか? 軽度の鵞足炎であれば、自宅での応急処置と安静で改善を図る場合があります。痛みを感じたら運動や長時間歩行を避けて安静にし、患部を氷で冷やして炎症を抑えましょう。また、市販の消炎鎮痛剤を短期間服用したり、湿布を貼ったりするのも痛みを和らげる手段です。 痛みが落ち着いてきたら、ハムストリングス(太もも裏)や大腿四頭筋のストレッチを無理のない範囲で行いましょう。ただし、自己ケアで対処できるのは軽症の場合に限られます。上記のような方法で1〜2週間試しても痛みが引かない場合や、痛みがむしろ悪化する場合は自分で治そうとせず病院を受診してください。無理に動かし続けるとかえって回復が遅れることもあります。早めに受診して、現在の状態に合った適切な治療やリハビリの指導を受けましょう。 病院に行くべき目安はセルフチェックで判断できますか? 鵞足炎かどうか、また病院に行くべきかを完全にセルフチェックで判断するのは難しいですが、目安はあります。まず、痛みの強さと持続期間が重要な指標です。軽い痛みで、なおかつ数日間の休息で改善傾向にあるなら、もう少し様子を見てもよいでしょう。逆に、痛みが日増しに強くなっていて、1〜2週間経ってもほとんど良くならないといった場合は受診のタイミングです。とくに日常生活に支障が出るレベルなら、迷わず整形外科を受診してください。 膝の内側を触って圧痛のポイントを特定してみるのも有効です。膝の内側から5〜7センチ下あたりに指を当て、左右の膝で痛みを比べてみましょう。(文献5) 明らかに痛みが強いポイントがある場合、その部位の炎症が疑われます。ただし素人判断では鵞足炎と似た症状の別の疾患(半月板損傷や内側側副靭帯の損傷など)を見逃す可能性もあります。膝の痛みには他の原因も多いため、「鵞足炎かも」と思っても素因がはっきりしない場合は医師の診断に委ねましょう。 ロキソニンで症状が抑えられている鵞足炎は病院に行くべきですか? ロキソニン(ロキソプロフェン)などの市販薬で痛みが和らいでいる場合でも、長期的に薬に頼り続けるのは好ましくありません。鎮痛薬はあくまで痛みを一時的に緩和する対症療法であり、根本的な原因である炎症や組織損傷を治すものではないからです。また、薬の効果が切れた後に症状がぶり返すこともあります。薬を飲めば大丈夫と放置するのではなく、症状の経過に応じて病院で診察を受けましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) American Academy of Orthopaedic Surgeons「Pes Anserine (Knee Tendon) Bursitis」OrthoInfo, 2021-09 https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/pes-anserine-knee-tendon-bursitis/ (Accessed:2025-03-22) (文献2) Cleveland Clinic「Pes Anserine Bursitis: What It Is, Symptoms & Treatment」Cleveland Clinic Health Library, 2025-03-05 https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/pes-anserine-bursitis (Accessed: 2025-03-22) (文献3) Rowicki Kほか.「Evaluation of the effectiveness of platelet rich plasma in treatment of chronic pes anserinus pain syndrome.」『Ortop Traumatol Rehabil』16(3), pp.307-318, 2014年https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25058106/ (Accessed: 2025-03-22) (文献4) Lopa S, Colombini A, Moretti M, & de Girolamo L. (2019). Injective mesenchymal stem cell-based treatments for knee osteoarthritis: from mechanisms of action to current clinical evidences. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc, 27(6), pp.2003-2020. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30159741/ (Accessed: 2025-03-22) (文献5) StatPearls:Pes Anserine Bursitis. (2025) StatPearls Publishing, Treasure Island (FL)ncbi.nlm.nih.gov(Accessed 2025-03-22)
2025.03.31 -
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
膝の内側がじわじわと痛み、時には強い痛みにも襲われる鵞足炎(がそくえん)。安静や湿布で痛みが軽減しても、運動再開とともに痛みがぶり返してしまう。このような状態に悩む方は多くいらっしゃいます。特にランナーや球技を楽しむ方に多いイメージですが、加齢による膝周りの筋力低下や姿勢の乱れでも起こりやすい症状です。 実は、鵞足炎の痛みが長期化する背景には、膝周辺だけでなくさまざまな要因が隠れています。足首や股関節の使い方、筋膜の硬化、他の膝疾患との併発など、多くの要因が複雑に絡み合っています。 そのため、治療しても再発してしまったり、痛みの場所を特定できないケースも少なくありません。本記事では、なかなか治らない鵞足炎の原因を医師の視点も交えてわかりやすく解説し、根本的に痛みを改善するための治療法やセルフケア、再発防止策を紹介します。鵞足炎と診断されて諦めかけている方、膝の内側の痛みに苦しむすべての方に有益な情報をお届けできれば幸いです。 【前提知識】鵞足炎とは 鵞足炎とは、膝の内側(膝から5~7cm下)にある鵞足部と呼ばれる部分(縫工筋・薄筋・半腱様筋が集まる付着部)が炎症を起こし、痛みや熱感を生じる疾患です。鵞足部の名前の由来は、これらの筋がガチョウ(鵞鳥)の足のように見えることに由来しています。 鵞足部には滑液包と呼ばれる潤滑液の入った小さな袋が存在し、筋や腱と骨の間でクッションの役割を果たしていますが、鵞足炎はこの鵞足部の滑液包に炎症が起こった状態(滑液包炎)で、膝の内側下部に痛み・腫れ・圧痛(押すと痛い)などの症状が現れます。(文献1) 痛みが顕著な方は、階段の上り下りや椅子からの立ち上がり、長時間の歩行の後などに膝の内側がズキズキしたり、腫れを伴ったりする場合もあります。 原因としては、膝の使いすぎによる慢性的な摩擦ストレスです。スポーツや仕事で膝を酷使した場合や、姿勢や歩行時のクセ、筋力のバランスが悪いなどさまざまな要因が挙げられます。O脚やX脚などの下肢に異常があると、鵞足部に負荷が集中しやすいので注意が必要です。また、加齢に伴い筋力や柔軟性が低下すると、同様に鵞足炎を発症しやすくなります。 多くの場合、炎症を抑える薬やサポーター、適度な休息などで症状が改善しますが、原因となる身体の使い方や関節の不具合を解消できていないと、痛みがぶり返すのも事実です。本来、膝周辺だけでなく、足首や股関節、さらに筋膜の状態まで考慮しないと、なかなか治らないまま慢性化する可能性があります。 \まずは当院にお問い合わせください/ 鵞足炎がなかなか治らない原因 鵞足炎がなかなか治らないと感じる方が多い理由には、膝周辺だけでなく身体全体のバランスや動作パターンに起因する問題が複雑に絡んでいます。具体的には、以下のような要因が挙げられます。 要因 説明 筋膜や腱の問題 膝の内側だけでなく、太もも、股関節、足首に至る広範囲の筋膜が硬化していると、鵞足部への負担が蓄積します。筋膜の問題を放置すると血流が滞り、炎症が長引く原因になります。 フォーム・姿勢の乱れ 歩き方やランニングフォーム、さらには立ち姿勢が乱れていると、膝の内側へ過度なストレスがかかります。特にO脚の人や、足首の可動域が狭い人は、鵞足部に負担が集中しやすく、再発・慢性化を招きがちです。 誤ったケアや対処の遅れ 痛み止め注射やサポーターに頼りすぎる対症療法、あるいは自己流のストレッチ・マッサージで痛みを増幅させてしまうなど、正しいケアが行われていないと炎症は落ち着きにくくなります。 根本原因が解消されていない 鵞足炎を引き起こした原因が、ストレッチ不足による柔軟性低下や急な坂道ダッシュのような不適切なトレーニング方法が原因の場合、炎症がぶり返して治りにくくなります。原因に対処せず運動を続ける限り鵞足炎は自然には良くならず、痛みが一時的に和らいだように感じても治癒が妨げられて損傷が蓄積し、結果的に回復が遅れてしまいます。(文献2) これらの要因を踏まえずに膝の内側だけの治療を続けても、改善するどころか、痛みが断続的に続いたり強くなったりする可能性があります。鵞足炎を本当に治すには、身体全体に対するアプローチが重要です。 鵞足炎と併発した膝疾患によって痛みが続いている 膝の内側が痛む原因は鵞足炎だけとは限りません。内側側副靱帯の損傷や半月板の損傷、変形性膝関節症など、似たような症状を引き起こす疾患は多数存在します。実際には鵞足炎と別の膝疾患が併発しているのに、鵞足炎のみに注目した治療を続けてしまえば、当然痛みはなかなか改善しないままです。 内側側副靱帯損傷が併発すると、膝の安定性が損なわれ、普段の動作で鵞足部への負荷が過度にかかりやすくなります。また、半月板の損傷があった場合、膝をひねる・曲げ伸ばしするときに痛みが増し、鵞足炎による痛みとの区別がつきにくいこともあります。 変形性膝関節症は、関節内の炎症によって内ももの筋肉(内転筋群)が緊張しやすくなり、それが近接する鵞足部への慢性的なストレスとなって炎症を誘発・増悪させる悪循環が生じることがあります。(文献3) このように、膝疾患が併発してしまうと診断も曖昧になり、根本原因を治療できずに鵞足炎が長期化してしまう可能性があります。 鵞足炎と膝疾患が併発しているケースは珍しくなく、ある研究では変形性膝関節症の患者のうち、約20%に鵞足炎も併発していたとの報告があり、しかも関節症の重症度が高いほど鵞足部の滑液包が大きく腫れていることが指摘されています。(文献4) 痛みが続く場合は、早めに整形外科医や理学療法士に相談し、必要な診察を受け併発している疾患がないか見極めることが大切です。早期の診断によって、症状に合った的確な治療プランを提案しやすくなります。 治らない鵞足炎の治療・ケア方法 安静にしたり注射を打ったりしているのに、まったく良くならない方は鵞足炎の根本原因の解消にまで至っていない可能性があります。 ここでは、従来行われている一般的な治療法と、それらを理解した上で取り組むべきアプローチを紹介します。治らない鵞足炎で悩んでいる方ほど、自分の身体のどこに問題があり、どう対処すればよいかを多角的に把握することが重要です。 膝周辺の筋力をバランスよく強化し、歩行フォームを見直すような運動療法を取り入れたり、問題点がわからない場合は医師や理学療法士のような専門家に意見を聞きましょう。以下で示す一般的な鵞足炎の治療法と、より根本的な改善を目指す先進的アプローチの双方を理解し、痛みの再発を繰り返す状態を抜け出す道筋が見えてくるはずです。 一般的な鵞足炎の治療法 保存療法(保存的治療)が鵞足炎治療の基本となります。まず患部を安静に保ち、炎症が治まるまで運動や膝への過度な負荷を軽減します。痛みのある箇所には氷のうなどで冷却し、1日に3回まで、各15分程度のアイシングを行います。腫れや痛みが強い場合には消炎鎮痛剤の内服や湿布など薬物療法で炎症と痛みを和らげます。 一般的に鵞足炎と診断されると、鎮痛薬による炎症の抑制、サポーターやテーピングによる装具療法やアイシングやストレッチによる負担軽減などが提案されます。急性期の強い痛みを和らげる手段としては、これらの方法は一定の効果が期待できます。こうした保存療法でも症状が改善しない場合のみステロイド注射が検討されますが、一定期間を経過すると痛みがぶり返す可能性があるため推奨はされません。(文献1) 痛みが一時的に落ち着いても、膝や股関節、足首を含めた身体全体の機能改善が行われなければ、再発や慢性化のリスクが高くなります。これらの一般的治療法は、あくまで「膝の痛みを抑える」対症的な面が強いといえるでしょう。鵞足炎が治りにくい方ほど、次のステップとして姿勢や筋膜、全身の筋力を考慮した根本的なアプローチが必要になります。 鵞足炎を根本から治療する先進的なアプローチ 一般的な対処法だけでは改善しきれない鵞足炎に対して、近年は保存療法では改善しにくい慢性の鵞足炎に対して再生医療によるアプローチが注目されています。再生医療とは、患者自身の細胞や成分を利用して損傷組織の修復・再生を促す治療法です。代表的なPRP療法と幹細胞治療は、修復促進と炎症抑制効果が期待できます。 PRP療法は、患者自身の血液を用いた再生医療の一種です。少量の血液を採取して血小板を痛みの部位に注射します。血小板には組織の修復を促す成長因子が豊富に含まれており、注入部位の治癒促進や炎症の軽減が期待できます。自分の血液由来の療法なのでアレルギー反応や拒絶反応のリスクがほとんどないのも利点です。 自己脂肪由来幹細胞治療(幹細胞療法)は、患者自身の脂肪組織から採取した幹細胞を用いて損傷部位の組織再生を促す先進医療です。腹部などから脂肪を少量採取し、そこから幹細胞を分離・培養して数千万~2億個規模まで増やしたうえで膝関節内に注射します。 当院リペアセルクリニックでは自己脂肪由来幹細胞を培養して約1億個を関節内に注入し、併せてPRPも施行する独自の治療を行っております。 このような再生医療により、従来の保存療法では改善しなかった慢性的な鵞足炎でも、原因となっている組織そのものの修復・再生が促進され、根本的な痛みの解消につながる可能性があります。再生医療に興味がある方は、ぜひ当院にご相談ください。 関連記事:鵞足炎(がそくえん)の再発を防ぐ3つの方法とは?繰り返す痛みに再生医療という選択肢 \まずは当院にお問い合わせください/ 鵞足炎の再発防止策と生活習慣の見直し 鵞足炎は、治療して痛みが軽減しても、日常生活の動作や習慣を改めないと再発するリスクが高いのが特徴です。とくに膝を酷使するスポーツや仕事に従事している場合、膝への負荷をコントロールする必要があります。 まず重要なのは、ウォーミングアップとクールダウンの徹底です。運動前後に数分のストレッチや関節ほぐしをするだけでも、筋肉や筋膜への過度なストレスを軽減し、鵞足炎の再発リスクを下げられます。さらに、歩行フォームや立ち姿勢のチェックを定期的に行い、必要なら理学療法士やトレーナーに修正指導を受けることも大切です。 また、体重管理や栄養バランス、十分な睡眠も見落とせないポイントです。体重が増えれば膝への負荷が増し、炎症を誘発しやすくなりますし、睡眠不足で回復力が落ちると痛みが慢性化しやすくなります。通院で一時的に痛みを取るだけでなく、ライフスタイル全体を見直すことで、膝にかかる負担を継続的に減らせます。 セルフケア・トレーニングで再発を予防 鵞足炎の再発を防ぐには、医療機関での治療だけに依存するのではなく、自宅やジムなどでできるセルフケアとトレーニングが欠かせません。とくに太ももの筋肉が硬くなると鵞足炎は悪化するため、太ももをほぐすストレッチは効果的です。(文献4)筋肉や関節の温度を上げて、運動時の怪我や炎症リスクを下げましょう。 併せて、膝を支える周囲の筋力強化も再発予防に有効です。大腿四頭筋(太ももの前面)や臀筋などのトレーニングを実施し、膝関節の安定性を高めます。筋力が向上すれば膝への衝撃を和らげ、走ったり階段を降りたりする際の鵞足部への過度な負担を減らせます。 ただし、痛みが強い間は無理をせず、専門家のアドバイスを得ながら少しずつ負荷を調整するのがポイントです。正しいフォームや適切な負荷量で継続していけば、鵞足炎の再発リスクを大幅に低減できます。 \まずは当院にお問い合わせください/ 鵞足炎を再発しないために普段から意識するポイント 日常の中で、ちょっとした意識の変化が鵞足炎の再発リスクを下げられます。まずは日常動作でも膝の内側に痛みを感じる動作は避けましょう。たとえば、長時間のあぐら姿勢(膝を内旋させる座り方)は膝内側に負荷を与えるので控えてください。 また、膝だけでなく足全体にも注意が必要です。偏平足のように足のバランスに異常がある場合、足の骨格の崩れが膝に伝わり内側へのストレスとなることがあります。そのような場合は適切なシューズ選びやインソールで足のアーチをサポートし、下肢のバランスを整えてあげることも再発予防に有効です。(文献4) そして、体重の増加は膝関節への荷重を増やし、鵞足部への圧力も高めます。肥満傾向にある方は適正体重への減量を検討しましょう。体重を減らすことで膝への負担が軽減します。(文献5) 治らない鵞足炎には根本的なアプローチが重要 長引く鵞足炎は、単なる「膝の炎症」だけで語れるものではありません。局所的な注射や安静にとどまらず、身体全体のバランスやライフスタイルを見直す根本的なアプローチが必要です。そのためには、専門医や理学療法士、トレーナーなど多職種の連携、もしくは再生医療技術を活用した治療法を組み合わせるなど、複合的な治療法を検討しましょう。 一度痛みが治まったとしても、膝に負担がかかる姿勢・動作を続ければすぐに再発する可能性があります。だからこそ、再発を防ぎながら快適に日常生活やスポーツを楽しむためには、ウォーミングアップやクールダウン、体重管理などさまざまな悪化要素を日常的にケアする習慣を付けるのが重要です。 もし完治は難しいと諦めかけている方も、セルフケアや再生医療など一般的な保存療法から先進的アプローチまで試すことで、膝の痛みから解放されるケースは少なくありません。痛みの根本原因に着目し、必要な施術やケアを粘り強く継続しましょう。鵞足炎の慢性化を乗り越えるには、正しい知識と行動力が大きな鍵を握っています。 当院では、再生医療のプロフェッショナルとして多くのお悩みを解決してきた実績がございます。長引く膝の痛みにお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1)オクノクリニック.「鵞足炎(がそくえん)|痛みと身体のQ&A」オクノクリニック公式サイトokuno-y-clinic.com(最終アクセス:2025年3月22日) (文献2)Sports Clinic NQ(n.d.)Pes Anserine Bursitis Tendinopathy.sportsclinicnq.com(Accessed:2025-03-22) (文献3)いしがみ整形外科クリニック (2022)「変形性膝関節症と鵞足炎の関係性」ishigami-seikei-cl.com(最終アクセス:2025年3月22日) (文献4)StatPearls:Pes Anserine Bursitis. (2025) StatPearls Publishing, Treasure Island(FL)ncbi.nlm.nih.gov(Accessed:2025-03-22) (文献5)Cleveland Clinic (n.d.)Pes Anserine Bursitis: What It Is, Symptoms & Treatment.my.clevelandclinic.org(Accessed2025-03-22)
2025.03.31 -
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
膝の内側が痛む鵞足炎は、膝の内側下部(脛骨の内側面)にある縫工筋(ほうこうきん)・薄筋(はくきん)・半腱様筋(はんけんようきん)が付着する「鵞足(がそく)」と呼ばれる部分の滑液包に炎症が起こった状態です。(文献1) 鵞足炎は身近な障害で、ランナーやゴルファーなどのスポーツ愛好家だけでなく、日常生活で階段昇降や歩行を繰り返す人も発症します。 とくに筋膜が硬くこわばった部分(トリガーポイント)が形成されると、膝の痛みが慢性化しやすくなります。 鎮痛剤やアイシングなどによる一時的なケアだけでは、深部にある原因へ十分に働きかけられない場合があるため、痛みをくり返さないためにもトリガーポイントは重要な要素です。 本記事では鵞足炎とトリガーポイントの関係を掘り下げることで、膝の痛みを根本から理解できるようになります。長引く膝の内側痛に悩んでいる方は、ぜひ最後までご覧ください。 鵞足炎のトリガーポイント 鵞足炎は、表面的な炎症を軽減しても痛みが消えないこともあり、その背後に隠れているのが「トリガーポイント」です。トリガーポイントとは、筋膜や筋線維の一部が硬くなり、押すと響くような痛みを引き起こす部位を指します。 鵞足部に関わる縫工筋・薄筋・半腱様筋だけでなく、大腿四頭筋や内転筋群、膝周辺の複数の筋肉で硬結が生じる場合もあり、その影響で膝の内側痛が続くことがあります。代表的な筋肉と、そのトリガーポイントが生じやすい具体的部位および分類は次のとおりです。 筋肉名 主なトリガーポイント部位 分類 痛みの関連先 縫工筋(ほうこうきん) 太もも前面内側の筋腹 筋膜内(筋腹) 膝の内側(鵞足部)に刺すような痛みを飛ばすことが多い 薄筋(はくきん) 太もも内側中央の筋腹 脛骨内側(鵞足)付着部 筋膜内(筋腹)腱・骨膜付着部 内もも~膝下内側にヒリヒリとした痛みや関連痛を起こす 半腱様筋(はんけんようきん) 太もも後面中央の筋腹 脛骨内側(鵞足)付着部 筋膜内(筋腹)腱・骨膜付着部 膝裏からふくらはぎ内側にかけてズキズキと痛みが放散 大腿四頭筋(内側広筋・大腿直筋など) 内側広筋の筋腹 大腿直筋の付着部(下前腸骨棘付近) 筋膜内(筋腹)腱付着部 膝のお皿周辺や膝の前内側にうずく痛み、膝折れ感 内転筋群(長内転筋・短内転筋・大内転筋等) 股関節に近い筋腹大腿骨内側上顆付近(骨膜) 筋膜内(筋腹)腱・骨膜付着部 内もも~膝内側への深い痛み・しびれ感が出やすい 膝の内側痛がある場合、これらの筋膜・腱・骨膜付着部で形成されたトリガーポイントを適切にケアしなければ、鵞足炎の炎症が落ち着いても痛みが長引いたり再発をくり返すため注意が必要です。(文献2)(文献3) 「膝の内側の痛み」が長引く理由とトリガーポイントの関係 鵞足炎が慢性化しやすい背景には、筋膜のこわばりが深く絡んでいます。炎症はアイシングや安静である程度落ち着く場合がありますが、筋膜や筋繊維が硬くなった状態を放置していると、膝をかばいながら動かす状態が続いてしまうからです。 鵞足部だけでなく、太もも全体や股関節周辺でトリガーポイントが形成されると、膝を曲げ伸ばしするたびに刺激が伝わり、痛みが抜けにくくなります。 一般的な炎症ケアだけで不十分なケースも多く、痛みの原因が筋膜に潜んでいると意識しないまま過ごすと症状の長期化を招いてしまいます。 専門的な視点でトリガーポイントを捉え、膝を動かしやすい環境へ整えていくことが、痛みの根本解決へ向けた第一歩になります。 鵞足炎のトリガーポイントをセルフチェックする方法 鵞足炎によるトリガーポイントがある場合、レントゲンやMRIでは異常を発見しにくいケースがあります。 ここでは、自身で簡単にトリガーポイントの有無を確認できる方法を紹介します。 チェックポイント 解説 1.膝周辺の筋肉を指で圧してみる まずは太ももの前側、内側、膝のすぐ上あたりをやさしく押してみてください。 圧迫したとき、鋭い痛みがあるか確認しましょう。痛みを感じた場合、筋肉内のトリガーポイントの可能性があります。 2.しこりの有無を探る トリガーポイントは「筋肉にできたしこり」にたとえられます。硬く盛り上がった部分を感じる場合は、関連痛と呼ばれる周辺への痛みの広がりを伴うことがあります。(文献4) 膝の内側だけでなく、大腿四頭筋や内転筋までチェックすると、思わぬ部分が痛みの引き金になっていることがわかるかもしれません。 3.レントゲン・MRIに写りにくいことを認識する トリガーポイントは画像検査で発見が難しいため、整形外科などで異常なしと診断されても、実はトリガーポイントが潜んでいる場合があります。 セルフチェックによって「ここを押すと膝の内側にビリッと響く」部分を見つけたら、トリガーポイントの存在が疑われます。 放置すると鵞足炎の回復を遅らせる一因になるので、必要に応じて専門の医師や治療家へ相談してください。 誤ったセルフケアで悪化させないために トリガーポイントが気になり、自分で強く押してしまいがちです。しかし、強い刺激を与えると筋繊維がさらに損傷してしまい、痛みが増したり炎症を誘発したりするリスクもあります。 自己流のケアはやりすぎると逆効果になりやすいため、以下の点に注意してください。 注意点 解説 過度なマッサージを避ける トリガーポイントは筋肉が敏感な状態になっています。入念に揉みほぐせば良いわけではなく、過剰な刺激が筋線維を痛め、症状を増悪させる可能性があります。 痛みが強いときは安静を優先する ある程度のセルフケアは大切ですが、痛みが強いときは膝や太ももを酷使しないよう安静を心がけましょう。 専門医へ相談する 鵞足炎が慢性化しているときや、セルフケアで改善が見られないときは専門クリニックの受診をおすすめします。 局所へ的確にアプローチする治療法がありますので、早めに適切な処置を受けると回復の見込みが高まります。 セルフチェックでトリガーポイントの疑いがあっても、自己流のケアだけで鵞足炎を根本的に解消することは難しいです。膝の内側痛が気になるときは専門医による正確な診断と、適切な治療プランのもとで対策を進めてみましょう。 なぜ鵞足炎のトリガーポイントができるのか?主な原因とリスク要因 鵞足炎は、膝の内側に集まる筋肉が使いすぎや血流不足によって硬くなりやすく、その結果トリガーポイントが形成されて痛みが長引くケースがあります。鵞足炎のトリガーポイントが生じる主な原因とリスク要因について整理します。(文献5) 主な原因 リスク要因 1.オーバーユースと筋疲労 ストレッチを怠った状態で長距離ランニングや過度な坂道走行など、膝の内側に大きな負荷がかかる運動を反復して行うと、筋肉が微細損傷や疲労を重ねて血行が悪化し、トリガーポイントを生みやすくなります。 2.姿勢の乱れや筋力のアンバランス 内股やO脚のように姿勢が乱れた状態での生活が続くと、膝に不自然な力が集中し、筋肉が過度に緊張してトリガーポイントが形成されやすくなります。 3.肥満 生活習慣が乱れ、肥満になると膝に負担がかかり、トリガーポイントを生み出しやすくなります。 4.鵞足炎以外の炎症 足首や股関節などの不調が膝に波及して鵞足炎を悪化させたり、鵞足炎と混合されやすい膝の変形性関節症を発症すると副次的に膝に負担がかかり、トリガーポイントを生み出す可能性があります。 鵞足炎の症状や原因は下記の記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひご確認ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ トリガーポイントにアプローチする鵞足炎の治療法 鵞足炎による膝の内側痛を根本から改善していくには、炎症の沈静化だけでなく、筋膜や筋肉内部のトリガーポイントへ適切にアプローチする治療法が必要です。ここでは鵞足炎に対して考えられる治療方法を紹介します。 治療法 説明 トリガーポイント注射 トリガーポイント注射は、筋肉のしこりが生じている部分(トリガーポイント)へ直接薬液を注入して痛みや緊張を和らげる施術です。 トリガーポイント注射をすると、凝り固まった筋繊維をリセットし、血流を促しながら筋肉を正常な状態へ近づけられます。(文献6) 薬物療法 鎮痛剤(イブプロフェン、ナプロキセンナトリウム)を内服し、鵞足炎の痛みや腫れを短期的に和らげます。(文献7) 理学療法(フィジカルセラピー) 理学療法(フィジカルセラピー)では、専門の理学療法士の指導のもとで膝周囲の筋肉の柔軟性と筋力を改善する運動をします。 ハムストリング(太もも裏)や大腿四頭筋など膝に関与する筋群のストレッチや筋力強化エクササイズによって関節の可動域や安定性を高め、痛みの軽減と再発予防が期待できます。(文献7) 装具の使用とテーピング 必要に応じて膝関節への負担を軽減するための補助具の利用を推奨されています。 足のアーチや膝の角度の問題が鵞足炎の一因となっている場合には、靴の中にインソールを入れて膝の位置関係を矯正し、鵞足部への過度な負荷を減らせます。また、膝にテーピングを貼って筋肉や腱をサポートする方法は、動作時の痛みを和らげるのに役立ちます。(文献8) 多血小板血漿(PRP)療法 近年、難治性の鵞足炎に対する新たな選択肢としてPRP注射療法が試みられることもあります。 これは患者自身の血液を採取して血小板が濃縮された血漿(けっしょう)部分を抽出し、炎症部位に注入する再生医療です。PRPに含まれる成長因子によって組織の治癒や修復を促すことが期待され、痛みの軽減への効果も認められています。(文献8) 上記の選択肢から、鵞足炎による痛みの強さや生活スタイルに合わせた治療を選ぶと良いでしょう。治療を続けやすい方法や通院ペースを考慮しながら、根本的な改善を目指してみてください。 また、当院では再生医療のスペシャリストとして上記で紹介した多血小板血漿(PRP)療法についても取り扱っておりますので、気になる方は以下の記事をご確認ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 再発を防ぐには?トリガーポイントへの継続的なケアが重要 膝の内側に痛みが生じる鵞足炎は、筋肉や腱が硬くなった状態が長く続くと痛む部分をかばうような歩行や運動フォームがクセになってしまいます。その結果、トリガーポイントが残り一時的に治療しても痛みが再燃しやすくなります。 ハードな運動だけでなく、姿勢が悪いまま過ごすことでも膝へのストレスが繰り返され、症状がぶり返す危険もあります。痛みが軽減してきた段階でも、姿勢や柔軟性を適宜チェックし、股関節や太ももの筋力アップを図るなどのリハビリを続けましょう。 日頃から膝周りを丁寧にほぐすウォーミングアップやクールダウンを行い、ランニングシューズやインソールのサイズを見直してみてください。日常的に膝へ負担をかける動作が多い方は、とくに意識的にセルフケアやストレッチを継続すると良いでしょう。(文献9) 鵞足炎を再発させないポイントとしては、定期的な専門医のフォローや理学療法士などのサポートが挙げられます。専門家によるアドバイスを受けながら運動量を調整し、筋膜や筋肉のこわばりを早めに解消すると、膝の状態を安定させやすくなります。痛みがなくなってからも膝周囲のケアを怠らず、トリガーポイントを常に意識したメンテナンスを心がけましょう。 鵞足炎のトリガーポイントを自分でケアする!効果的なセルフケア法 鵞足炎は膝の内側で炎症が起こる状態ですが、セルフケアで緩和できるようになると、回復の手がかりをつかみやすくなります。そこで、日常生活の中で意識しやすいセルフケアの要点をいくつか挙げます。 まず、膝の内側を押したときに筋肉のこわばりや鋭い痛みがある場合は、無理に動かそうとせず休息を優先しましょう。膝に負担のかかる動作を続けると炎症がぶり返す恐れがあります。痛みが軽く感じられるようになったら、ストレッチを念入りに行い、膝周辺や太ももの内側を適度にほぐすよう心がけてください。 身体が固い方は、ウォーミングアップやクールダウンなど短時間でもこまめに伸ばす工夫をすると、筋肉が緊張しにくくなります。 アイシングも有効です。鵞足炎が疑われるときは患部を冷やして炎症を落ち着かせると楽に動かしやすくなります。ただし皮膚へ直接氷を当てるのは避け、タオルで包んだ保冷剤を1日3回まで、15分程度ずつ当てる方法が望ましいです。炎症が強いときはアイシングを優先し、痛みが落ち着いてきたら温めて血行促進を図るように切り替えると、筋肉や腱の回復を助けやすくなります。 それでも痛みが続くときは、医療機関や整体など専門家の診断を受け、状態に合わせたケア方法を学ぶのを推奨します。鵞足炎の症状を放置すると悪化のリスクがあるため、気になるときは早めの対処を心がけてください。すでに強い痛みがある方は、まずは医師の診断を受けてからセルフケアやリハビリを検討しましょう。 関連記事:鵞足炎とは?なりやすい人とは?セルフケア方法とは 鵞足炎のトリガーポイントを理解して痛みを根本から解消しよう 鵞足炎は膝の内側にある筋肉や腱が炎症を起こしやすい状態ですが、その背後にはトリガーポイントが潜んでいるケースが多いです。単に痛み止めを使用したり、しばらく安静にして炎症を落ち着かせても、根本要因であるトリガーポイントが改善されなければ、再び同じ痛みを繰り返すおそれがあります。 膝に強い負担がかかるスポーツをしている方や、年齢を重ねて筋肉が硬くなっている方こそ、トリガーポイントをほぐして血流を整えてみてください。鵞足炎が継続している方は、ハードな動作やトレーニングを一時的に控え、本記事で紹介した治療法を活用すると膝の健康を長く保てるでしょう。 膝の内側痛が慢性化している方や、従来の治療に限界を感じている方は、当院へ一度相談してみてはいかがでしょうか。症状の程度や生活スタイルに合わせた治療を行い、日々の動作やスポーツをもっと快適に楽しめるよう痛みを根本から解消する提案をいたします。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1)オクノクリニック「痛みと身体のQ&A鵞足炎(がそくえん)」慢性痛治療の専門医による痛みと身体のQ&A(オクノクリニック公式サイト)2021年公開https://okuno-y-clinic.com/itami_qa/pes-anserine-bursitis.html(最終アクセス:2025年3月22日) (文献2)トリガーポイントによる大腿・膝・下腿の痛み(やまだカイロプラクティック・鍼灸院) https://www.yamadachiroshinkyu.com/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%A4%A7%E8%85%BF-%E8%86%9D-%E4%B8%8B%E8%85%BF%E3%81%AE%E7%97%9B%E3%81%BF/(最終アクセス:2025年3月22日) (文献3)<あなたの膝痛はどのタイプ?>膝痛のタイプ別エクササイズ~前面の痛み編~(ひじりボディケアー)https://triggerpoint-therapy.com/20190902-2/(最終アクセス:2025年3月22日) (文献4)木村裕明監修「関連痛とは?痛みの場所と原因となるトリガーポイントは異なる場合が多い」メディカルノート, 2015年9月6日 https://medicalnote.jp/contents/150730-000007-WGTNWS(最終アクセス:2025年3月22日) (文献5) American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS), “Pes Anserine (Knee Tendon) Bursitis” (OrthoInfo), Updated Sept 2021 https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/pes-anserine-knee-tendon-bursitis (Accessed:2025-03-22) (文献6) 井関雅子「当院における疼痛治療 - トリガーポイント注射を中心に」(疼痛治療レポート) Trigger Point .net(ビタカイン製薬医療関係者向けサイト), 2020年 https://triggerpoint-net.vitacain.co.jp/healthcareworkers/pain-treatment/articles/vol1 (最終アクセス:2025年3月22日) (文献7) Mayo Clinic. Knee bursitis – Diagnosis and treatment. Mayo Clinic, 2022. https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/knee-bursitis/diagnosis-treatment/drc-20355506 (Accessed:2025-03-22) (文献8)Cleveland Clinic. Pes Anserine Bursitis: What It Is, Symptoms & Treatment. Cleveland Clinic, 最終更新日 2025年3月5日. https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/pes-anserine-bursitis (Accessed: 2025-03-22) 文献9)大阪平川接骨院/鍼灸治療院グループ『鵞足炎(がそくえん) – ひざの内側が痛い』https://osaka-hirakawa.jp/symptom/knee/gakusokuen/ (最終アクセス日: 2025年3月22日)
2025.03.31 -
- 膝の内側の痛み
- ひざ関節
膝の内側に生じる痛みには、さまざまな原因が隠れています。 その中でも、ももの内側にある筋肉や腱が集まる「鵞足(がそく)」と呼ばれる部位の炎症である鵞足炎は、気づかないまま進行していることも少なくありません。 正確な原因を把握できないまま自己流のケアを続けると、回復が遅れて症状が長引く可能性があります。 そのため、早めに鵞足炎かどうかを確認し、適切に対処していくことが大切です。 この記事では、自分でできる簡単なチェック方法や、鵞足炎を引き起こす原因、さらに自宅で取り組めるセルフケアについて取り上げます。 まずはセルフチェックで膝の内側の痛みを正しく捉え、専門的なケアを組み合わせながら痛みの緩和と再発予防につなげましょう。 鵞足炎のセルフチェック方法 鵞足炎は膝の内側に起こる炎症で、ランニングやジャンプなど運動強度の高い動作だけでなく、長時間の立位やデスクワークでも負担がかかるときがあります。 ただし、膝が痛いといっても別の原因が潜んでいることもあるため、早めに自分の症状が鵞足炎かどうかチェックしましょう。 ここでは、自宅やオフィスでも取り組みやすいチェック方法を2つ紹介します。痛みの位置や動作による違和感を客観的に把握し、適切な対処につなげましょう。 1.痛い方の足を一歩前に出してチェック まずは立位で行う簡単なセルフチェックです。膝の内側に違和感を覚える方は、以下のステップを試してみてください。 ステップ 説明 1.痛みを感じる側の足を前に出す まっすぐ立った状態から、膝に痛みがある側の足を軽く前方へずらします。 このとき、後ろ足に大きく重心を残し、前足には体重をかけすぎないようにするのがポイントです。 2.膝の屈伸 前に出した足の膝を少しだけ曲げ、再び伸ばす動作をゆっくりと繰り返します。膝の内側に違和感や痛みが出るかどうかを確かめてください。もし痛みが出る場合は、その強度や痛むタイミング(曲げ始め、曲げ終わり、伸ばしきったときなど)を意識してみましょう。 3.つま先の向きによる変化を見る 膝の痛みが出るかどうかは、つま先の向きによっても変わる場合があります。 つま先を正面に向ける つま先をやや外側に向ける つま先をやや内側に向ける この3種類の角度で膝の屈伸を行い、それぞれで痛みが変化するかを確認してください。鵞足を形成する筋肉は、下腿が外向きになるときに緊張が高まるため、つま先を外向きにすると痛みが出やすい傾向があります。 痛みが顕著に感じられる場合は、鵞足炎の可能性が高まります。ただし、痛みの原因がすべて鵞足炎とは限りません。もし強い痛みや腫れ、曲げ伸ばしが困難なほどの症状が出ている場合は、早めの受診をおすすめします。 2.可動域と動作の痛みの有無を確認する 膝の痛みが鵞足炎によるものかどうかを把握するには、膝がどの程度曲がるか、あるいは動作時にどのような痛みが出るのかも大切な目安になります。 鵞足炎は膝関節内そのものが腫れるわけではないため、関節自体の可動域が制限されることは比較的少ないといわれています。 チェックポイント 圧痛があるかどうか 膝のお皿(膝蓋骨)の少し下、内側の脛骨上端(膝関節より約5cm下)のあたりを指で押してみて、強い痛みや腫れ(押し返すような膨らみ)がないか確かめます。この部位に圧痛があれば鵞足炎が疑われます。(文献1) 動作時の痛み 普段の動作で、膝の曲げ伸ばしや階段の上り下り、椅子から立ち上がる動作などで膝の内側に痛みが走るか観察します。鵞足炎では運動や動作の開始直後に違和感や痛みが出現し、ウォーミングアップで一時的に和らぐものの、反復するうちに再び痛みが増すことが多いです。症状が進行すると、十分温めても痛みが引かず日常動作でも痛むようになります。 こうした可動域テストや動作チェックによって、鵞足炎をセルフチェックできます。痛みが膝の内側に集中していて、なおかつ膝関節自体の可動範囲が大きく制限されていない場合は、鵞足炎を疑い、早めの対策に取り組むことが大切です。 もし痛みや違和感が長期間続くようであれば、医療機関での診察を検討してください。すべて独力で解決しようとせず、専門家の力を借りることも重要な一歩になります。 鵞足炎の原因 鵞足炎は膝の内側にある縫工筋(ほうこうきん)・薄筋(はっきん)・半腱様筋(はんけんようきん)が集中する部位、いわゆる「鵞足(がそく)」と呼ばれるところで炎症が起こる状態です。 ランニングやジャンプなどの反復動作で膝を曲げ伸ばしし続けると、骨との摩擦が増えて炎症に発展しやすくなります。しかし、必ずしもアスリートだけの問題ではありません。正座・和式トイレの使用・横座りなど、膝を深く曲げる姿勢が長く続く生活習慣もリスクを高めます。 とくに下腿(かたい)が外へねじれるフォームや、膝が内側へ入りやすい姿勢で動作している人は、鵞足部への負担が大きくなります。さらに、足裏のアーチが低い(偏平足)、X脚やO脚といった足の変形、太ももの筋肉(内転筋群)や太もも裏側の筋肉(ハムストリングス)が硬い状態なども、膝の内側に負荷を集中させる原因になります。 このように、鵞足炎はオーバーユース(使いすぎ)だけでなく、足元から膝・股関節へ続く動きの癖や身体の使い方によっても発症しやすくなります。膝の内側に違和感を覚えたら、まずは生活習慣やフォームに問題がないか見直すことが大切です。(文献2) \まずは当院にお問い合わせください/ 鵞足炎の治療法 鵞足炎は軽症のうちに対処すると比較的早期に痛みが落ち着く場合が多いですが、痛みを我慢して運動や仕事を続けると慢性化や再発を招きやすくなります。早めに症状を捉えて、以下のような治療やケアを検討しましょう。 1.理学療法士による施術 身体の固さやフォームのくせが鵞足炎の大きな原因になっている場合は、理学療法士によるストレッチ指導・筋力トレーニングが効果的です。膝まわりだけでなく、股関節や足首を含めた動作全体を調整し、鵞足部への負担を減らすことを目指します。(文献1) 2.薬物療法・ハイドロリリース 痛みや炎症が強いときには、消炎鎮痛薬(内服・外用)や局所注射を用いて症状を抑えます。筋膜が硬くなっていると考えられる場合は、生理食塩水を注入して癒着を剥がす「ハイドロリリース」が有効な例もあります。 3.装具療法(テーピング・サポーター・インソール) サポーターやテーピングを用いると、膝関節のぐらつきを抑えて鵞足部への負担が減り、痛みを軽減できます。足裏のアーチを支えるインソールを作製し、歩行・ランニング時の負担を和らげられる可能性があります。 4.再生医療 難治性の鵞足炎や慢性化した痛みに対しては、幹細胞の培養を用いた再生医療の選択肢もあります。外科手術のように入院の必要がなく、体にメスを入れない点もメリットです。 5.手術の選択 鵞足炎は保存的な治療で改善する例が大半ですが、骨の突出や腱鞘の狭さが原因で炎症が続く場合は、外科的に支帯を切開し、炎症を引き起こす要因を取り除く手術も検討します。 痛みが長引いて日常生活に支障が出る場合は、早めに整形外科や専門クリニックで正確な診断を受けてください。 鵞足炎は単なる膝の使いすぎだけでなく、筋肉の硬さやフォームの問題、足の骨格バランスが影響している場合があり、原因に合わせた適切な治療とリハビリが回復への近道です。リペアセルクリニックは再生医療のプロフェッショナルとして多くの実績があります。膝の再生医療についてもっと知りたい方は以下の記事をご確認ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 鵞足炎のセルフケア方法 鵞足炎の痛みを和らげるために、自宅でもできるいくつかのセルフケア方法があります。ここでは効果的な方法を5つご紹介します。 ストレッチ 鵞足炎の痛みを和らげるには、筋肉の緊張をほぐすことが大切です。仰向けに寝た状態で、痛む側の足にタオルをかけ、膝を伸ばしたままゆっくりと足を上げてください。ももの筋肉が伸びているのを感じながら、反動をつけず15秒間呼吸を止めずに保ちます。 また、座位で行うストレッチも有効です。足の裏を合わせて座り、背筋を伸ばしたまま上体を前方に倒します。膝を左右に開いて内ももが伸びる感覚を感じながら、痛みが出ない範囲で無理のない時間を目安に続けてください。(文献3) アイシング(冷却) 炎症が強く、痛みや腫れがあるときは、氷や保冷剤などをタオルに包んで15分程度患部に当てると、痛みが緩和しやすくなります。 1日に2〜3回をめどに続けますが、眠っているあいだは避け、冷やしすぎに注意してください。 痛みが落ち着いたあとも、違和感や鈍い痛みが出たときはアイシングして痛みを緩和してください。(文献4) テーピング 膝の内側を安定させるには、動作時に鵞足部を保護するテーピングが使えます。膝を少し曲げた状態で、内側下あたりを中心に貼り、強く引っ張りすぎないよう調節しましょう。 圧迫感がきつい場合は貼り直し、皮膚がかぶれたり赤くなったりしたときは使用を中止してください。 テーピングは歩行や運動など、膝への負荷がかかる動作に限定し、長時間の連続使用は控えると良いでしょう。 筋力バランスの改善 痛みが落ち着いたら、膝周辺だけでなく、股関節や体幹を含めた下半身全体の筋力を向上させることが再発予防に役立ちます。 とくに太ももの裏側や内側が弱いと、膝の内側に負荷が集中しがちです。スクワットやヒップリフトなど軽めの筋トレを試し、痛みが出ないよう回数や姿勢を調整しながら続けてみてください。 運動のやり方がわからない場合は医療機関や専門家の指導を受けましょう。 日常生活の注意点 日常の動作や姿勢も鵞足炎の改善・再発防止に大きな影響を与えます。体重が増えると膝にかかる負担も増えるため、食事を見直して適正体重の維持を心がけましょう。 立ち上がる動作では、片足だけに過度な重さがかからないよう注意し、階段を下りるときは手すりを使うと負担を分散できます。正座や横座りなど膝を深く曲げる姿勢を長時間続けるのは避けることが大切です。 靴選びは、足に合ったサイズで衝撃を吸収しやすいものを選ぶと良く、必要に応じてインソールの活用も検討してください。 こうした日常生活での小さな工夫の積み重ねが、膝の痛みを軽減し、長期的な予防にもつながります。 長引く鵞足炎への対策 鵞足炎は、炎症だけを抑えても再発を繰り返しやすい特徴があります。なぜなら、根本的な原因として、走り方や歩き方におけるフォームの崩れ、膝の内側に偏った負荷、筋肉が収縮したまま緩めない状態(筋肉の緊張)が放置されている場合が多いからです。 とくにマラソンやサッカー、水泳などの反復動作があるスポーツでは、過度な負荷が蓄積しやすいだけでなく、瞬間的に大きな負荷がかかることで再び鵞足部を痛めてしまいかねません。 フォーム修正と筋力強化 いったん痛みがおさまっても、もとの動き方やトレーニング法を変えなければ、膝の内側が再び炎症を起こしやすくなります。 そこで、歩行やランニングフォームの修正と、筋肉の緊張を適切にゆるめながら鍛える方法が効果的です。フォーム修正では、膝が内側に入りすぎないよう股関節や足首を合わせて動かす意識を持ち、過度なねじれが起きないかを確認します。 筋力強化では、太ももの前部である大腿四頭筋を鍛える必要があります。大腿四頭筋を鍛えると太ももの骨が内側に捻れる状態を防げるため、鵞足炎の根本原因にアプローチできます。 ステロイド注射や手術 炎症が非常に強いときは、ステロイドの局所注射によって症状が急速に緩和するかもしれません。ただし、注射を繰り返し行うと結果として痛みがぶり返すケースもあるため、最終手段である位置づけが基本です。 注射後に痛みが落ち着いたからといってすぐに運動を再開すると、原因となるフォームや筋肉の緊張状態が変わっていないため、再発リスクは高いままです。 手術に関しても、骨や腱の形状的な問題や、慢性化して他の治療法では改善がみられない場合に限り検討されます。 セルフチェックで早期発見・早期ケアが大切 鵞足炎は軽い痛みから始まっても、動作のクセや筋肉の緊張、フォームの乱れなどがそのままになっていると、いつまでも症状がぶり返して慢性化しがちです。 とくにマラソンやサッカーなど膝を酷使するスポーツを続けている方は、痛みや違和感を覚えたときにセルフチェックを実施し、必要に応じて早めの受診や専門家のアドバイスを受けることが非常に大切になります。 セルフチェックでは、膝の内側を指で軽く押したときの圧痛、膝を曲げ伸ばししたときの違和感や痛み、階段の昇り降りで感じる不快感などをポイントにしてみましょう。 少しでも鵞足炎が疑われる場合は無理を続けず、適切なケアやリハビリを取り入れてください。 炎症が強いときはアイシングや安静で腫れを抑えつつ、痛みが落ち着けばストレッチや筋トレで再発を防ぐためのフォーム修正や筋力強化に移行するのが効果的です。 リペアセルクリニックでは、膝の痛みに対する再生医療を提供しております。もし長引く鵞足炎や再発を繰り返す膝痛でお悩みでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) American Academy of Orthopaedic Surgeons「Pes Anserine (Knee Tendon) Bursitis」OrthoInfo https://orthoinfo.aaos.org/en/diseases--conditions/pes-anserine-knee-tendon-bursitis/ (Accessed: 2025-03-20) (文献2) Cleveland Clinic「Symptoms of pes anserine bursitis」https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/pes-anserine-bursitis(Accessed: 2025-03-20) (文献3) 医療法人社団弘人会中田病院「膝の内側の痛みについて(鷲足炎:がそくえん)」中田病院HP, https://www.nakada-hp.com/publicity/column/archive-20(最終アクセス:2025年3月20日) (文献4) Palmetto Bone and Joint「9 Self-Care Tips for Acute or Chronic Bursitis」Palmetto Bone and Joint https://www.palmettoboneandjoint.com/blog/9-self-care-tips-for-people-with-bursitis/ (Accessed: 2025-03-20)
2025.03.31 -
- 下肢(足の障害)
- ひざ関節
- スポーツ外傷
- 膝部、その他疾患
ジャンパー膝の正しい湿布の貼り方がわからない ジャンパー膝は冷やすべきか温めるべきかわからない ジャンパー膝の湿布の貼り方に悩んでいませんか? 湿布は、ジャンパー膝の症状を改善させるのに効果的なものです。しかし湿布の貼り方や、温める方法を間違えると、適切な効果を得られません。 ジャンパー膝の湿布の貼り方 ジャンパー膝の温めるべきケース・冷やすべきケース ジャンパー膝に対する「冷湿布」の効果 ジャンパー膝に対する「温湿布」の効果 ジャンパー膝における湿布以外のセルフケア ジャンパー膝と湿布の貼り方に関するよくある質問 本記事では、症状を悪化させない適切な貼り方や、冷やす・温めるべきケースをわかりやすく解説します。 最後には、ジャンパー膝と湿布の貼り方に関するよくある質問をまとめておりますので、ぜひ最後まで読み進めていただければと思います。 ジャンパー膝の湿布の貼り方 ステップ 内容 目的 1.患部の洗浄と乾燥 膝周囲の皮膚を洗浄し、乾燥させる 汗や汚れを取り除き、湿布の密着を高める 2.湿布に切れ目を入れる 湿布の中央に縦の切れ目を入れる 膝の動きにフィットさせ、剥がれにくくする 3.湿布の貼り付け 違和感のある箇所(膝蓋骨の下部など)に貼る 患部に薬剤を浸透させる 4.固定 テーピングやサポーターで固定する 湿布の剥がれを防ぎ、効果を持続させる ジャンパー膝の湿布は、膝蓋腱の炎症を抑える目的で使用します。貼り方の手順は、患部の洗浄と乾燥→湿布の切れ目入れる→湿布の貼り付け→固定の流れで行います。 湿布を貼る前に、皮膚の汗を拭き取り、清潔にしておきましょう。また、膝は動きが多い部分なので、湿布が剥がれないように工夫する必要があります。 湿布で症状の改善がみられない場合は、医療機関の受診が必要です。 ジャンパー膝は冷やすべき?温めるべき? ジャンパー膝の症状に対して冷やすべきか、症状の種類とその時点での膝の状態によって異なります。 冷やす・温めるタイミングを間違えると、症状が悪化する可能性があるため注意しましょう。 冷湿布などで冷やすべきケース 温湿布などで温めるべきケース 症状や状況別で、解説します。 冷湿布などで冷やすべきケース ケース 理由 使用方法 急性期(発症0~6週) 炎症が進行しやすいため、冷却し、症状の悪化を防ぐ 20分間冷却し、30-40分間休憩を挟みながら繰り返す 運動直後 運動による筋肉の微細損傷を抑え、炎症を最小限に抑える 運動後すぐに冷湿布を適用し、腫れを予防する 腫れや炎症がある場合 血管を収縮させることで、腫れや違和感を抑える 腫れが引くまで定期的に冷やし、違和感が治まるか様子を見る 急激な違和感がある場合 神経の感受性を低下させ、膝への違和感の伝達を遅らせ、症状を和らげる 氷や冷湿布を布で包み、直接皮膚に触れないよう注意する (文献1) 冷湿布で冷やすべきケースは、違和感が顕著に現れて、炎症を起こした段階です。ジャンパー膝の直後は、冷湿布を使用し血管が収縮させることで、炎症の拡大を抑えます。 冷湿布の効果に関する研究では、急性期の違和感に対して冷却療法が推奨されています。(文献1) 違和感が現れた初期の段階では、冷湿布で冷やすようにしましょう。 温湿布などで温めるべきケース ケース 理由 使用方法 慢性期(発症から12週間以上) 血流を促進し、組織の回復を助けるため、慢性的なこわばりや不調に適している 15~20分程度、温湿布や温めたタオルを使用し、血流を促す 運動前のウォームアップ 筋肉の柔軟性を高め、ケガの予防や動きのスムーズさを向上させる 運動開始前に10~15分ほど温めて、筋肉の柔軟性を向上させる 筋肉のこわばりや違和感がある場合 筋肉が硬くなり、動きが制限されるとパフォーマンスが低下するため、温めることで緊張を緩和する 温めながら軽いストレッチを行い、筋肉をほぐすと効果的 冷やしても症状が改善しない場合 冷却しても症状が改善しない場合、血行を促進し、組織の修復を助ける 冷湿布で改善が見られない場合、温湿布を試して様子を見る 慢性期(発症から12週間)の場合は、血流を促進し、組織の回復力を助けるために、温湿布を使用します。 炎症が落ち着き、膝周囲の筋肉が硬くなっている段階では、冷やすよりも温めることで血流が促進され、柔軟性が向上し膝への負荷が軽減されます。 冷やしても症状が改善しない段階で、温湿布の使用を検討しましょう。 ジャンパー膝に対する「冷湿布」の効果 効果 解説 炎症による腫れや熱感を抑える 冷却効果により、血管が収縮し、炎症物質の放出を抑制 違和感を和らげる 冷たさにより神経の伝達速度が遅くなり、違和感を鈍らせる 炎症の拡大を防ぐ 血管収縮により、炎症が周囲に広がるのを防ぐ 筋肉のこわばりを緩める 冷却により筋肉の緊張が緩和され、柔軟性が向上する 冷湿布は、主に急性期の炎症症状に対して有効です。冷湿布の効果について解説します。 炎症による腫れや熱感を抑える 作用 メカニズム 効果 冷却作用 水分蒸発による患部の冷却、血管収縮、血流抑制 腫れ、熱感の軽減 鎮痛作用 メントールなどの成分による感覚神経刺激 違和感の緩和 冷湿布の冷却効果により、血管を収縮させることで、炎症を抑制させます。 冷湿布に含まれるメントールなどの成分は、皮膚の感覚神経を刺激し、鎮痛効果をもたらします。 違和感を和らげる 作用 メカニズム 効果 冷却作用による感覚麻痺 メントールなどが皮膚の温度感覚を鈍らせる 腫れなどの違和感を一時的に軽減 血管収縮による炎症抑制 患部の血管を収縮させ、炎症物質の放出を抑える 炎症が鎮まり、腫れなどの違和感を軽減 冷湿布は、ジャンパー膝で起こる膝への違和感に対して有効です。 とくに冷湿布に含まれるメントールが皮膚の温度感覚を一時的に鈍らせることで、腫れや違和感を軽減します。 炎症の拡大を防ぐ 炎症が起こると、患部の血管が拡張し、血液中の炎症物質が組織内に漏れ出します。冷湿布は炎症物質の拡大を防ぐための手段として有効です。 ただし、冷湿布は初期段階での炎症を防ぐために使われるため、炎症が落ち着いた慢性期には、冷湿布よりも温湿布が適しています。 筋肉のこわばりを緩める ジャンパー膝で起きた筋肉の強張りに対して、冷湿布の冷却は効果的です。患部を冷却すると、血管が収縮し、患部への血流が抑制されます。 また、冷却は神経の伝達速度を遅らせ、膝にかかる違和感を一時的に鈍らせるため、初期段階の対応として有効です。 冷却で筋肉の過剰な収縮を抑制できるものの、冷やしすぎると筋肉が逆にこわばる可能性があります。 冷湿布は、症状の変化を見ながら使用しましょう。 ジャンパー膝に対する「温湿布」の効果 効果 解説 血行を促進させる 温熱効果により血管を拡張させ、血流を促進させる 慢性的な違和感や筋肉のコリを和らげる 温熱効果に柔軟性の向上、筋肉の緊張緩和を促す リラックス効果 違和感の軽減や悪循環を抑える 温湿布は主に慢性期の違和感や筋肉のこわばりを和らげるために使用されます。 ジャンパー膝に対して、温湿布が有効である理由を解説します。 血行を促進させる メカニズム 効果 血管拡張 血流増加、酸素・栄養素の供給促進 血流速度増加 代謝活性化、疲労物質・発痛物質の排出促進 代謝活性化 違和感の軽減、筋肉の緊張緩和 温湿布を使用し、温まった部位が血管を広げ、血流が改善されます。 血流が改善されると、患部に栄養素や酸素が供給されやすくなり、症状の回復を促します。 ジャンパー膝の初期段階での血行促進は、炎症や違和感を悪化させる可能性があるため、温湿布は落ち着いた慢性期に使用しましょう。 慢性的な違和感や筋肉のコリを和らげる メカニズム 効果 血行促進 筋肉の柔軟性向上、疲労物質の排出促進 神経の鎮静化 違和感の緩和 心理的リラックス 筋肉の緊張緩和、違和感の軽減 温湿布は、慢性的な違和感や筋肉のコリを軽減します。注意点としては、低温やけどに注意し、長時間同じ場所に貼り付けないようにしましょう。特に寝る前に貼る場合は注意が必要です。 また、炎症がひどい状態では、症状を悪化させる可能性があるため、温湿布ではなく、冷湿布を使用しましょう。 リラックス効果 メカニズム 効果 筋肉の緊張緩和 違和感や悪循環を抑える ストレス軽減 違和感を和らげる 睡眠の質の向上 疲労回復を促進する (文献2) 温湿布には、ジャンパー膝に有効なリラックス効果があります。 温熱刺激は副交感神経に対してリラックス効果を与え、交感神経の活動を抑制します。 また、リラックス効果によるストレス軽減は、違和感に対してだけでなく、生活や睡眠の質を上げるためにも有効です。 ジャンパー膝における湿布を貼る際の注意点 項目 注意点 貼る前の準備 湿布を貼る前に、肌を清潔に、関節には目を切れさせて密着させる 貼り方 湿布はフィルムを剥がした後、軽く伸ばし、必要に応じてテープやネット包帯で固定する 剥がし方 湿布は体毛の流れに沿ってゆっくり剥がし、剥がした後は、肌を休めるために時間を空ける 使用上の注意 お風呂上りや汗で濡れている場合や、湿疹や発疹がある部位には使用しない その他 膝への違和感が続く場合は、医療機関を受診する 湿布を貼る際は、正しい使い方や、注意点を守ることが大切です。まず、炎症の状態に応じた湿布を選びます。 急性期には炎症を抑える冷湿布、慢性期には血行を促進する温湿布を選びましょう。 湿布を貼る際は、水や汗で皮膚が濡れていないことを確認し、必要に応じてテープやネットを使用します。湿布は、8~12時間を目安に交換しましょう。 湿布を貼り付けた場所にかゆみや発疹が出た際は、すぐに使用を中止します。かゆみや赤み、ジャンパー膝が続く場合は、医療機関を受診しましょう。 ジャンパー膝における湿布以外のセルフケア セルフケア 重要な理由 アイシング 炎症を抑制し、違和感を軽減する ストレッチ 筋肉の柔軟性を高め、膝への負担を軽減する サポーターの活用 膝を安定させ、負担を軽減する 安静にする 炎症の悪化を防ぎ、組織の修復を促す 湿布はジャンパー膝の症状を一時的に緩和するのに役立ちますが、根本的な改善には、ストレッチや安静などのセルフケアが必要です。 ジャンパー膝におけるセルフケアについて解説します。 アイシング 手順 内容 準備 氷や保冷剤を薄いタオルで包む 実施時間 患部に15 ~20分間程度(凍傷にならないよう注意する) 調整 当てる時間を短くする、タオルの厚さを調整する 冷やす頻度 1日に数回、とくに運動後や違和感がある時 (文献3) ジャンパー膝は、膝蓋腱の炎症によって違和感が生じる疾患です。そのため、発症時は、炎症を拡大させないためにアイシングを行います。 アイシングを行う場合の注意点としては、凍傷を防止するために氷や保冷剤を薄いタオルで包み、患部に15〜20分程度冷やします。 冷やす時間はあくまで目安なので、冷たいと感じた場合は、無理をせずに調節しましょう。 ストレッチ ストレッチ 方法 大腿四頭筋(前もも) 立った状態や横向きに寝た状態で、かかとをお尻に近づけるように膝を曲げ、太もも前側を伸ばす ハムストリングス(肉裏) 立った状態や座った状態で、足を伸ばしてつま先を上げ、太ももの裏側を伸ばす 腸腰筋(股関節付け根) 足を前後に開いて立ち、後ろ足の付け根を伸ばす ストレッチは筋肉の柔軟性向上と負担軽減する手段として有効です。ストレッチは、無理のない範囲で行うことが重要です。 運動前後のウォームアップやクールダウンに取り入れることで、筋肉の緊張をほぐし、ジャンパー膝の防止にできます。 ストレッチは自己判断ではなく、医師の指導のもと行いましょう。 以下の記事では、ジャンパー膝に有効な効果的なストレッチ方法を解説しております。 サポーターの活用 効果 詳細 膝蓋腱の負担軽減 サポーターが膝蓋腱周囲を圧迫し、負担を分散 膝の安定性向上 膝のぐらつきを抑え、関節の安定性を高める。衝撃を和らげ、悪化を防ぐ 動きやすさのサポート 膝のサポートにより、正しい動作を維持しやすくなる サポーターを活用し、膝蓋腱の周囲を適度に圧迫します。 また、サポーターには、関節の安定性を高める効果があり、膝への負担を軽減するために役立ちます。 サポーターを選ぶ際は、サイズ・種類・圧迫の強さを考慮し、自身の症状に合ったものを選ぶことが大切です。 サイズが合わない、圧迫が強すぎるまたは弱すぎるなど、自分に合わないサポーターを選んでしまうと、症状が悪化するリスクがあります。 違和感や不快感がある場合は、無理に使用せずに調整や交換を検討しましょう。 以下の記事では、サポーターの注意点を詳しく解説しております。 安静にする ジャンパー膝は、膝蓋腱に何度も負荷がかかることで炎症や腫れを起こします。そのため、発症初期の段階では、安静が大切です。 しかし、一定期間が経過し、安静にしすぎると、筋力低下を引き起こします。その結果、膝蓋腱への負担が再び増加し、再発する可能性があります。 再発しないためにも、安静だけでなく、適度なリハビリやトレーニングで徐々に膝を慣らしていきましょう。 湿布で改善しないジャンパー膝は早めの受診を ジャンパー膝に対する湿布は、膝にかかる違和感や炎症を一時的に抑える応急処置として有効ですが、根本を解決するものではありません。 ジャンパー膝の症状が湿布で改善しない場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 ジャンパー膝の改善が湿布で見込めないと感じた方は当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 再生医療を活用し、膝の違和感や炎症に対して、回復を促します。 湿布で改善しないジャンパー膝でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 ジャンパー膝と湿布の貼り方に関するよくある質問 湿布は1日に何回張り替えれば良いですか? 湿布の貼り替え回数は、湿布の種類によって異なります。1日1回タイプであれば、8〜10時間程度効果が持続します。 1日2回タイプの湿布の場合の効果持続は、4〜6時間程度です。(文献3) 湿布を貼ったまま運動しても大丈夫ですか? 運動によって湿布がずれたり汚れたりする場合があるため、運動後は患部を確認して新しい湿布に貼り替えるようにしましょう。 湿布とサポーターは併用できますか? 湿布とサポーターは併用できます。併用する際は、皮膚に炎症や圧迫に気をつけ、違和感を感じたら使用を中止しましょう。 湿布は寝るときに貼っても良いですか? 注意するべき点はありますが、基本的に問題ありません。湿布を使用する前に、製品の取扱説明書をよく読み、皮膚のかぶれや湿疹に注意しましょう。 皮膚に異常が現れるようであれば、就寝時は湿布を剥がすなど、工夫する必要があります。 湿布を貼るのと飲み薬(鎮痛剤)ではどちらが効果的ですか? どちらが効果的かは症状や状況によって異なります。症状が軽度であれば、湿布で十分な効果が得られる場合があります。 湿布で症状の改善が見込めない場合は、飲み薬(鎮痛剤)の服用を検討しましょう。 湿布や飲み薬を使用する際は、説明書をよく読み、用法・用量を守り、自己判断はせず、医師や薬剤師の指示に従いましょう。 参考文献 (文献1) 綾田 練ほか,「ジャンパー膝に対する運動後のアイシングの効果」『体力科学(2007)』pp.1-6, (2007) https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/56/1/56_1_125/_pdf(最終アクセス:2025年3月15日) (文献2) 2008年から2019年に発表された温罨法に関する国内文献の検討 武田七海ほか,「〈総説〉2008年から2019年に発表された温罨法に関する国内文献の検討」pp.1-9, 2008年 https://www.thcu.ac.jp/research/pdf/bulletin/bulletin17_09.pdf(最終アクセス:2025年3月15日) (文献3) 宮川,羽毛田「薬の伝言版 湿布薬の使い方」, pp.1-2, 2024年 (最終アクセス:2025年3月15日)
2025.03.31 -
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ジャンパー膝で毎日が辛い ジャンパー膝が治らなかったらどうしよう ジャンパー膝と診断されて、数カ月経過しても症状が良くならず、不安を感じていませんか。ジャンパー膝は適切な治療とケアで改善が見込めます。 ジャンパー膝が治らない理由 ジャンパー膝が治らない際の改善策 ジャンパー膝の予防法 なかなか治らないジャンパー膝に関してよくある質問 記事末にはジャンパー膝に関してよくある質問をまとめています。最後まで読み進めていただくことで、ジャンパー膝への理解が深まるでしょう。 ジャンパー膝が治らない理由 原因 詳細 症状の重さ 腱の損傷が大きく、回復に時間がかかる場合がある オーバーユース 膝への過度な負荷が継続し、回復を妨げる 誤った対処法 不適切なストレッチや運動、休息不足が症状を悪化させる 柔軟性・筋力不足 膝周りの筋肉の柔軟性や筋力不足が、膝への負担を増加させる 安静・休息不足 十分な休息を取らないことで、組織の修復が遅れる ジャンパー膝の症状が重度だと、治るまでに2〜3カ月以上かかります。これから紹介する内容が1つでも当てはまる場合、膝に負担をかけないようにする改善が必要です。 以下の記事では、ジャンパー膝の症状と効果的なストレッチ・テーピングについて詳しく解説しています。 症状が重い 進行度 症状 初期 運動後、運動中に軽度の違和感 中期 運動中、運動後に強い疼痛。日常生活に支障をきたす場合がある 後期 安静時にも疼痛。運動困難 症状の進行が中期〜後期の状態は、運動中にも膝に強い違和感があり、日常生活にも支障をきたします。 膝蓋腱への負担がかかり、炎症や微細な損傷が慢性化すると、治癒力が低下し、症状の改善が困難になります。 中期〜後期の段階は、セルフケアやリハビリだけでなく最悪の場合、手術が必要です。症状が悪化する前に、適切な治療と休息を取り入れるようにしましょう。 オーバーユース(膝の酷使) 項目 詳細 腱の修復遅延 膝蓋腱は負荷を受けると微細な損傷が生じ、適切な休息があれば修復される 炎症悪化と腱の変性 炎症悪化に加え、腱組織の変性を誘発する。変性腱は脆弱化し、再損傷リスクが増加する 疼痛の悪循環 疼痛による庇護動作が膝への負担を増大させ、疼痛を悪化させる 不適切な動作の継続 原因となる不適切な動作(誤った跳躍・着地など)の反復が、症状慢性化を招く スポーツや立ち仕事など、膝の酷使は症状回復を遅らせます。 とくに過度な走り込みやジャンプなど、負荷のかかりやすい行動です。その結果、腱に微細な損傷が蓄積し、炎症や違和感を引き起こします。 膝蓋腱への反復負荷は、修復を阻害し、症状長期化を招きます。膝への負担を減らすためにスポーツや立ち仕事を制限し、改善しない場合は、医療機関への受診を行いましょう。 誤った対処法を実践している 誤った対処法 治癒を妨げる理由 過度な安静 膝周りの筋力低下、腱への負担増大、柔軟性低下、血行不良による修復遅延 疼痛下での運動継続 炎症悪化、損傷拡大、腱の変性 不適切なストレッチ・マッサージ 症状悪化、炎症増強 誤ったアイシング 血行不良による治癒遅延 不適切なサポーター使用 血行不良、筋萎縮 自己判断での薬剤使用 根本的解決の阻害、副作用のリスク 誤った運動フォーム 膝への過剰な負担、症状悪化 誤った対処法を実施すると、回復が遅延する恐れがあります。 自己流で行うリハビリや、医師の許可なく薬の服用を中断してしまうと、回復の遅延だけでなく、症状が重症化するリスクがあります。 症状の改善には、医師の指導に基づく適切な処置が大切です。自己判断での対処法は避けましょう。 柔軟性不足、筋力不足 要因 治りにくい理由 膝蓋腱への過剰な負荷 柔軟性や力が不足すると、ジャンプや着地の際に膝蓋腱への負担が増加し、微細な損傷が生じる 衝撃吸収能力 筋力や柔軟性が不足すると衝撃を分散できず、膝蓋腱に直接負担がかかる 膝関節の不安定性 筋力不足により膝の安定性が低下し、膝蓋腱への負荷が増大する 動作の悪化 筋力が不足すると、正しいフォームでの動作が困難となり、膝蓋腱への負担が増加する 柔軟性が不足すると筋肉や腱の可動域が狭くなり、膝蓋腱への負荷が増加します。筋力が不足すると膝関節の安定性が低下します。 柔軟性と筋力は相互に影響し、一方が不足すると他方も低下し、改善の遅延につながります。柔軟性と筋力を維持するには、適度なストレッチと膝に負担のかからないリハビリが大切です。 安静や休息を怠っている 症状の程度 回復期間の目安 対処法 軽度 2~4週間 安静、アイシング、ストレッチ、セルフケア、筋力トレーニング、リハビリ 中程度 4~8週間 運動制限、物理療法、ストレッチ、筋力トレーニング、段階的な運動再開 重度 3カ月以上 保存療法、手術(必要時)、数カ月のリハビリ 症状の程度によりますが、軽度の場合でも2〜4週間は安静や通院が必要です。これらを怠ると、重症化するケースもあるので、膝に負荷のかかる運動や立ち仕事は控える必要があります。 また、睡眠不足や栄養不足でも、回復を妨げる要因になります。睡眠は組織修復を促し、栄養は、腱の構成要素であるコラーゲンの生成に必要不可欠です。 適切な安静と休息、栄養バランスを考慮した食事を日々取り入れましょう。 ジャンパー膝が治らない際の改善策 改善策 詳細 医療機関での治療 物理療法、薬物療法、手術(重度の場合)など、個々の症状に合わせた治療を行う 正しいリハビリテーション 専門家の指導のもと、適切なストレッチ、筋力トレーニング、運動療法を実施する 焦らずに休息を取る 症状の程度に応じた適切な安静期間を確保する ジャンパー膝を改善するには、膝への負担を減らしながら適切なケアの継続が大切です。また、改善しない場合は専門機関での治療が必要になります。 ジャンパー膝が治らない際の改善策を解説します。 医療機関での治療 ジャンパー膝は、適切なケアなしでは完治しにくい傾向があります。そのため、症状の程度に関わらず、医療機関の受診が必要です。 軽度の症状であれば、保存療法や薬物療法と並行し、医師の指導に基づく運動療法で改善を目指します。重度では、保存療法などに加え、場合によっては手術療法も視野に入れる必要があります。 早期の医療機関受診と適切な治療により、早期回復と再発防止を目指しましょう。 以下の記事では、ジャンパー膝の治療期間について詳しく解説しています。 正しいリハビリテーション リハビリ内容 詳細 目的 ストレッチ 大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋などの柔軟性向上 膝周辺の可動域拡大、柔軟性向上 筋力トレーニング 大腿四頭筋、ハムストリングスなどの筋力強化 膝への負担軽減、膝関節の安定性向上 動作指導 跳躍、着地、膝への負担軽減を目的とした動作の習得 適切な動作パターンの習得、再発予防 段階的運動復帰 膝に抱える違和感に合わせた運動強度の段階的増加 運動復帰、再発リスクの最小化 リハビリでは、大腿四頭筋の筋力改善や柔軟性向上を目指します。ジャンパー膝の症状は安静や休息だけでは、再発予防にはつながりません。 そのため、適切なリハビリを適度に取り入れる必要があります。無理な負荷をかけず、少しずつ症状の改善を目指しましょう。 焦らずに休息を取る 症状の程度 回復期間の目安 主な治療法 軽度 2〜4週間 安静、アイシング、ストレッチ、セルフケア 中程度 4〜8週間 運動制限、物理療法、ストレッチ、筋力トレーニング、段階的な運動再開 重度 3カ月以上 保存療法(効果が見られない場合は手術)、手術後のリハビリ 症状の程度に合わせて、休息を取ることで、ジャンパー膝の重症化を防げます。重度かつ、保存療法で改善が見られない場合が手術を検討する必要があります。 休息期間の終了は自己判断ではなく、医師の指示を仰ぐようにしましょう。 ジャンパー膝の予防法 ジャンパー膝を発症させないためには、適切な予防を行うことが大切です。 運動前後のストレッチ・ウォーミングアップ・クールダウン 適切なトレーニング 炎症を悪化させる食品は避ける 同じ姿勢や無理な姿勢を続けない 正しい予防法を身につけ、発症や再発を防ぎましょう。 運動前後のストレッチ・ウォーミングアップ・クールダウン ケアの種類 効果 具体例 運動前ストレッチ 筋肉・腱の柔軟性向上、可動域拡大、負荷軽減 大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋の静的ストレッチ(各20~30秒保持) ウォーミングアップ 体温上昇、血流増加、筋肉の柔軟性・反応性向上、傷害リスク低減 軽いジョギング、サイクリング、動的ストレッチ(各10~15回) 運動後クールダウン 筋肉の緊張緩和、疲労物質蓄積の抑制、筋肉痛の軽減、疲労回復を促進 軽いジョギング、サイクリング、静的ストレッチ(各20~30秒保持) ジャンパー膝の予防には、運動前後の適切なストレッチ、ウォーミングアップ、クールダウンが不可欠です。 運動の前後でウォーミングアップやストレッチを行うことで、筋肉や腱が温まり、柔軟性が向上し、怪我のリスクを軽減します。 また、運動後のクールダウンは運動によって緊張した筋肉をリラックスさせることで、血液の促進を促し、疲労物質の排出を助けます。 運動前後のケアは、ジャンパー膝の予防につながるため、継続的に行いましょう。 適切なトレーニング トレーニング内容 具体例 目的 フォームの改善 ジャンプ、着地、スクワットなどの動作フォーム確認 膝蓋腱への局所的負荷集中回避、広範囲への負荷分散 筋力トレーニング 大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋の強化 膝関節の安定性、衝撃吸収能力向上、膝蓋腱への負担軽減 柔軟性トレーニング 大腿四頭筋、ハムストリングス、下腿三頭筋のストレッチ 膝関節の安定性、衝撃吸収能力向上、膝蓋腱への負担軽減 バランストレーニング 片足立ち、バランスボール、アジリティトレーニング 膝関節の安定性、動作の正確性向上、再発予防 膝周りの筋肉、とくに大腿四頭筋やハムストリングスを正しく鍛えることで、膝蓋腱にかかるストレスを軽減できます。 急激な負荷増加は、膝蓋腱の組織を傷つけ、症状を誘発させるため、医師の指導のもと適切なトレーニングで改善を図ります。 トレーニング中に膝に違和感や炎症が現れた場合は、すぐに中断しましょう。 炎症を悪化させる食品は避ける 成分 食品例 説明 糖分 菓子類、清涼飲料水、白砂糖、果糖ブドウ糖液糖など 高糖分食品は炎症を促進し、症状を悪化させる可能性がある 飽和脂肪酸、トランス脂肪酸 揚げ物、加工肉、スナック菓子、マーガリン、ショートニングなど 炎症を引き起こす可能性がある オメガ6脂肪酸 コーン油、ひまわり油、マヨネーズなど 過剰摂取は炎症を促進させる可能性がある 加工食品 インスタント食品、レトルト食品、ハム、ソーセージ 精製炭水化物は体内での炎症を引き起こすことがある アルコール 各種アルコール飲料 過剰摂取は炎症の悪化や、組織の修復を阻害する可能性がある 一部の乳製品 牛乳、チーズ、ヨーグルト 人によっては、炎症を誘発する可能性がある (文献1)(文献2) 特定の成分や食品の摂取が、ジャンパー膝を誘発させるわけではないものの、過剰摂取は回復の妨げになる恐れがあります。 糖分や加工食品など、一切食べてはいけないのではなく、偏った食事をしないことが大切です。 炎症を抑えるタンパク質(肉、魚、豆類など)やビタミンC(柑橘類、イチゴ、ブロッコリーなど)を中心とした食事が、ジャンパー膝の改善につながります。 同じ姿勢や無理な姿勢を続けない 同じ姿勢や無理な姿勢は、膝蓋腱に持続的な負荷がかかり、症状を誘発させる可能性があります。猫背や身体の歪みは、膝への負担を増大させ、症状の慢性化を招くため、注意が必要です。 デスクワークや長時間の立ち仕事であれば、姿勢をこまめに変え、ストレッチを取り入れることで、膝への負荷を軽減できます。 ジャンパー膝が治らないときは医療機関を受診しよう! ジャンパー膝は、症状の程度に関わらず、医療機関を受診しましょう。ジャンパー膝は軽度の段階であれば、2~4週間ほどで症状を改善できます。 しかし、自己流などの間違った方法を継続してしまい、重症化してしまうと、手術が必要になるケースもあります。 長引くジャンパー膝でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 再生医療を活用し、治らずに困っているジャンパー膝への回復を促します。症状改善にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 なかなか治らないジャンパー膝に関してよくある質問 ジャンパー膝は治らないですか? 適切な治療とリハビリテーションを行えば、多くの場合は改善が見込めます。しかし改善に時間がかかることや、適切な対策を行わないと再発する可能性もあります。 ジャンパー膝は、自然治癒や自己判断で治る症状ではありません。医師の診断を受け、適切な対応を行いましょう。 ジャンパー膝は後遺症が残りますか? 重症化すると後遺症が出る可能性があります。具体例として、膝機能の低下や膝への違和感が慢性化するなどが挙げられます。 軽度でも自己判断せず、医師の診断を受けることが大切です。 ジャンパー膝になったら運動は完全に中止すべきですか? 症状の程度によります。しかし多くの場合は運動を控える必要があります。ジャンパー膝は膝の使いすぎによって生じるため、膝に違和感を覚えたら、医療機関を受診しましょう。 無理な運動の継続や、放置は重症化につながる可能性があるので、注意が必要です。 参考文献 (文献1) Bhavin Mistry,(2023). 5 Types of Food to Avoid With Tendonitis,CARESPACE https://carespace.health/post/5-types-of-food-to-avoid-with-tendonitis/(Accessed: 2025-03-15) (文献2) Kim Grundy, Andra Picincu. Foods to Avoid for Bursitis & Tendinitis,LIVESTRONG.com https://www.livestrong.com/article/402808-foods-to-avoid-for-bursitis-tendonitis/(Accessed: 2025-03-15)
2025.03.31 -
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ジャンパー膝がどれくらいで治るのか ジャンパー膝でやってはいけないことを知りたい ジャンパー膝と診断されたものの、いつ治るのか、どう治療するべきかを悩んでいませんか。ジャンパー膝が治る期間には、個人差があります。 医療機関での正しい治療とケアを行えば、ジャンパー膝の症状は改善できます。 しかし、症状の放置や誤った方法でのリハビリは、回復を遅らせるだけでなく、再発するリスクがあるため、正しい知識と治療を行うことが大切です。 ジャンパー膝が治る期間 ジャンパー膝でやってはいけないこと ジャンパー膝の改善法 ジャンパー膝を治したい方からよくある質問 ジャンパー膝の治療でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。 【結論】ジャンパー膝が治る期間にはバラつきがある! 症状の程度 回復期間の目安 軽度 1~2カ月程度 重度 2~3カ月以上 ジャンパー膝の回復期間は症状の重さによって異なります。軽度の場合はおおよそ1~2カ月程度、重度の場合は2~3カ月以上、症状が改善するまでに時間がかかります。 症状の程度にかかわらず、自己判断はせず、医療機関への受診を受けることが大切です。 軽度の場合|1~2カ月程度 改善方法 目的 具体的な内容 注意点 安静 膝への負担を軽減 スポーツ活動の一時中止、日常生活での膝への負担軽減 過度な安静は筋力低下を招くため、医師と相談しながら期間を決める アイシング 炎症抑制 1回15~20分、1日数回、患部を冷却 タオルで包む、感覚がなくなったら中止する ストレッチ 膝周りの柔軟性向上 大腿四頭筋、ハムストリングス、大腿筋膜張筋などのストレッチ 違和感のない範囲でゆっくりと行う、反動をつけない 筋肉トレーニング 膝周りの筋力強化 大腿四頭筋、ハムストリングスなどの筋力トレーニング 負担をかけずに軽い負荷から始める、正しいフォームで行う 症状が軽度の場合、改善に1~2カ月程度かかります。主な治療法として、適切な安静とリハビリを行います。 リハビリやストレッチは自己判断せず、医師の指導のもと、段階的に負荷のかからない程度に行いましょう。 重度の場合|2~3カ月以上 対処法 目的 内容 注意点 医師の診察と診断 正確な状態把握と適切な治療計画 整形外科を受診し、MRIや超音波検査などで膝の状態を確認する 自己判断せず、専門家の指示に従う 保存療法 炎症と違和感の軽減、組織の修復促進 安静、アイシング、物理療法(電気治療、超音波治療など)、薬物療法(鎮痛薬、湿布など)、リハビリテーション 自己判断せず、症状に合わせて、医師の指導のもと行う リハビリテーション 膝周りの筋力強化、柔軟性向上、動作改善 ストレッチ、筋力トレーニング、バランス訓練、動作指導 段階的に負荷を上げていく 運動制限 膝への負担軽減、悪化防止 ジャンプ、ランニング、急な方向転換など、膝に負担のかかる運動を避ける 運動再開時期や運動の種類は、医師と相談して決める 手術療法 保存療法で改善しない場合 関節鏡手術などで、炎症を起こしている組織を切除または修復 手術後のリハビリも重要 症状が重度の場合、改善に2~3カ月以上かかります。また保存療法やリハビリを継続しても改善が見込めない場合は、手術を検討するケースもあります。 手術後の回復期間は、手術方法や個人の状態によって異なるため、自己判断はせず、医師の指示に従いましょう。 早く治すためのジャンパー膝でやってはいけないこと やってはいけないこと 理由 具体例 違和感を抱えたまま運動を続ける 炎症が悪化し、回復が遅れる 違和感のある状態で、ジャンプやランニングを続けるなど 自己流でストレッチやマッサージをしてしまう 症状を悪化させる可能性がある 違和感を我慢して無理なストレッチ、炎症部位を強く揉むなど 長時間の立ち仕事や歩行 膝への負担が大きくなり、回復を妨げる 立ちっぱなしの作業、長距離の歩行 治癒を自己判断で中断する 再発のリスクを高める 違和感が引いたからといって、医師の指示なしに運動を再開する 安静期間を守らない 炎症が治まらず、回復が遅れる 医師から指示された安静期間を守らず、運動を行う ジャンパー膝を早く治すために、やってはいけないことを把握しておくことが大切です。 やってはいけないことについて、詳しく紹介します。 違和感を抱えたまま運動を続ける 症状悪化の要因 具体的なリスク 詳細 炎症の悪化 慢性化、治癒遅延 運動による継続的な負荷が膝蓋腱の炎症を悪化させ、違和感が長期間続く状態になる 腱の損傷進行 部分断裂、完全断裂、手術の必要性 炎症の進行により腱の微細な損傷が拡大し、重度の損傷に至るリスクが高まる 違和感の慢性化 日常生活への支障 我慢して運動を続けることで違和感が慢性化し、日常生活にも影響を及ぼす可能性がある 回復の遅延 組織修復の妨げ 安静期間が不足すると、組織の修復が妨げられ、回復が遅れる 膝に違和感を抱えたまま運動を継続すると、炎症が悪化する恐れがあります。 医師の診断後、治療で改善が見られたとしても、自己判断で運動を再開すると、症状が再発する可能性があります。 膝に違和感がある場合は運動を中止し、医療機関を受診しましょう。 自己流でストレッチやマッサージをしてしまう 悪化の要因 具体例 リスク 炎症の悪化 炎症部位への過度な刺激(強いマッサージ、無理なストレッチ) 違和感や炎症の拡大 腱の損傷進行 腱の付着部への強い牽引力や圧迫、無理なストレッチ 腱の断裂、回復遅延 誤った運動方向 正しい運動方向や負荷を無視した自己流ストレッチやマッサージ 症状の悪化、回復遅延 ジャンパー膝の早期回復を目指す際にストレッチやマッサージを自己流で行なってはいけません。 誤った方法でマッサージを行なってしまうと膝に抱える違和感の増大や、炎症の拡大を引き起こす恐れがあります。(文献1) ジャンパー膝のストレッチやマッサージは自己判断ではなく、医師の指導のもと行いましょう。 長時間の立ち仕事や歩行 要因 詳細 リスク 持続的な負荷 立ち仕事、歩行による膝蓋腱への反復負荷 違和感や炎症の拡大 血行不良 長時間同一姿勢による膝周りの血行阻害 組織修復遅延、違和感の慢性化 筋肉疲労 膝周り筋肉の疲労蓄積 腱への負担増大、損傷リスク増加 長時間の立ち仕事や歩行は、症状回復の妨げになります。とくに同じ姿勢で長時間過ごすと、膝への負担が増大し、膝への違和感や炎症が拡大する恐れがあります。 立ち仕事が多い場合は、座れる業務への変更を職場に相談してみましょう。 治癒を自己判断で中断する リスク 詳細 結果 炎症の悪化と慢性化 炎症が治まる前に運動を再開 慢性的な違和感、運動能力低下 腱の損傷の進行 安静期間を守らない 腱の断裂、手術のリスク増加 回復期間の長期化 安静期間を守らずに運動を再開 症状の再発、回復遅延 ジャンパー膝の治療を自己判断で中断すると、症状の再発や回復を遅らせる恐れがあります。 とくに膝蓋腱は、血流が少なく回復に時間がかかる部位であり、医師の指示に従い、継続的な治療とリハビリが行われなければなりません。 違和感や炎症が治ったとしても、一時的なものである可能性が高いため、症状が緩和しても、一度医師に指導を仰ぐようにしましょう。 安静期間を守らない 安静期間を守らないと、症状の悪化や慢性化を引き起こす可能性があります。 膝蓋腱は血流が少なく、回復に時間がかかる部位なので、安静期間を守らず、自己判断で復帰してしまうと、症状が再発する可能性が高いです。 とくに症状が重度の場合、6週間以上の安静が求められることがあります。 また、安静期間を守らずに症状が悪化してしまうと、最終的には手術が必要になる可能性があるので、自己判断での復帰はやめましょう。 ジャンパー膝の改善法 改善法 詳細 目的 注意点 RICE処置 安静(Rest)冷却(Ice)圧迫(Compression)挙上(Elevation) 炎症の抑制、違和感の軽減 冷却は15~20分を目安に行う、冷やしすぎに注意する リハビリテーション ストレッチ、筋力トレーニング、物理療法 膝周りの柔軟性向上、筋力強化、組織修復促進 負荷のかからない範囲で、専門家の指導のもと行う 医療機関での受診 医師の診察、診断、治療 正確な状態把握、適切な治療計画 自己判断せず、専門家の指示に従う ジャンパー膝は正しい改善法を行うのが大切です。これから紹介する内容は、自己判断ではなく、医師の指導のもと実践するようにしましょう。 RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上) 処置 詳細 目的 注意点 安静(Rest) 運動や活動を中止し、膝への負担を軽減 炎症の悪化を防ぎ、組織の修復を促進 過度な安静は筋力低下を招くため、医師と相談しながら期間を決める 冷却(Ice) 1回15~20分、1日数回、患部を冷却 炎症と違和感を抑制 冷たすぎる場合はタオルで包む、感覚がなくなったら中止 圧迫(Compression) 弾性包帯などで患部を圧迫 腫れや内出血を抑制 締めすぎに注意し、血行を阻害しない 挙上(Elevation) 膝を心臓より高い位置に挙上 腫れや内出血を抑制 クッションなどを利用し、楽な姿勢で行う (文献2) ジャンパー膝の応急処置として、RICE処置は有効な手段です。RICE処置は、炎症の拡大を防ぎ、膝に対する違和感の軽減に役立ちます。 RICE処置は症状を改善するものではなく、最悪を防ぐための緊急対応です。適切に行うことで進行を抑えられますが、根本的な治療ではないため、必要に応じて医療機関を受診しましょう。(文献2) リハビリテーション リハビリの目的 内容 具体的な方法 筋力バランスの改善 大腿四頭筋とハムストリングの筋力を整え、膝蓋腱への負担を軽減 スクワット・ランジなどの筋力強化エクササイズ 柔軟性の向上 ストレッチで筋肉や腱の柔軟性を高め、膝蓋腱のストレスを軽減 大腿四頭筋やハムストリングのストレッチ 正しい動作の習得 ジャンプやランニングの正しいフォームを習得し、再発を防ぐ フォーム指導で膝への負担を最小限にする (文献3) ジャンパー膝は、膝蓋腱への過剰な負荷によって引き起こされるため、リハビリを通して、膝周りの状態を改善させることが大切です。 リハビリでは、膝周りの筋力を強化し、柔軟性を高めることで、膝蓋腱の負担を軽減し、大腿四頭筋とハムストリングのバランスを整えます。 また、リハビリでは一時的な改善ではなく、再発を起こさないように長期的な部分を視野に入れて行います。 リハビリは、自己流ではなく、医師の指導のもと行いましょう。 医療機関での受診 治療法 内容 保存療法 運動制限やストレッチ、消炎鎮痛剤の使用で症状の改善を目指す 物理療法 超音波や低周波などの物理的な刺激で、炎症を軽減し組織の修復を促す 再生医療 自身の血液から成長因子を抽出後、患部に注入し修復を促進する ジャンパー膝の症状は医療機関での受診をしましょう。ジャンパー膝の症状の程度は、状況や症状によって個人差があります。 医療機関で正しい診断を受けることで、適切な治療やリハビリを受けられます。症状の程度に関わらず、医療機関の受診が大切です。 以下の記事では、ジャンパー膝の症状改善に役立つ再生医療について詳しく解説しています。 ジャンパー膝の再発防止策 対策 詳細 目的 アイシング 運動後や入浴後に膝周りを冷却 炎症の抑制、疲労回復促進 運動メニューの見直し 運動環境やメニューを調整 膝への負担軽減、適切な運動負荷 膝への負担軽減 膝に負担のかかる動作を避ける 膝蓋腱への負荷軽減、再発防止 体重管理 適正体重を維持 膝や、関節への負荷軽減 ジャンパー膝の治療は短期的ではなく、再発などを引き起こさない長期的な対策が大切です。 ジャンパー膝の再発を防ぐためには、1つだけでなくすべての対策を継続的に実践しましょう。 運動後や入浴後に膝周りをアイシングする 項目 内容 炎症の抑制 血流を抑制し、炎症の拡大を防ぐ 違和感の緩和 神経の働きを鈍らせ、違和感を軽減する 筋肉のクールダウン 筋肉の緊張を和らげ、疲労回復を促進する 冷却時間 1回15~20分を目安に行う、冷やしすぎに注意 冷却方法 氷嚢や保冷剤をタオルで包み、直接肌に当てない 冷却頻度 運動後や入浴後、違和感を感じたときに実施 (文献4)(文献5) 運動や入浴後は、膝周りの血流が増加し、炎症が起こりやすくなります。アイシングは、温度を下げる役割があり、炎症の抑制や疲労回復を促します。 アイシングを行う際は、保冷剤を直接当てるのではなく、タオルなどで包み、凍傷を防ぐように行いましょう。 また予防のためにアイシングだけでなく、合わせて運動前のストレッチや、適切なリハビリも行うのが大前提です。(文献6) 運動環境やメニューを見直す 対策 内容 運動環境の改善 柔らかい地面で運動、温度・湿度管理を行い、筋肉の柔軟性を保つ 運動メニューの改善 運動時間や強度を調整し、膝への負担をコントロールする ジャンパー膝を再発させないためには、運動環境やメニューを見直すことが大切です。 固い地面でのトレーニングや、過度な負担のかかるメニューは、筋肉に負担をかけ、炎症を引き起こすリスクがあります。 運動量は医師と相談し、徐々に増やしていきましょう。 膝に負担のかかる動作を避ける ジャンパー膝の再発を防ぐためには、膝に負担のかかる動作を避けることが大切です。膝蓋腱に過剰なストレスを与えると、炎症を引き起こし、再発する恐れがあります。 ジャンパー膝は炎症が治っていない状態で、無理をすると再発しやすい症状です。 そのため、症状が治っても、自己判断で立ち仕事やスポーツに復帰はせず、医師の指示に従うようにしましょう。 適正体重を維持する 要素 内容 適切な運動 膝に負担をかけすぎない有酸素運動(ウォーキングや水中運動)を取り入れ、筋力を維持しながら体重を管理する 食事管理 オメガ3脂肪酸(サバ、イワシ、サーモンなど)や、抗酸化作用のある野菜(トマト、ブロッコリー、ほうれん草など)を積極的に取り入れる (文献7) ジャンパー膝の再発を防止するには、適正体重の維持が大切です。歩く際に膝にかかる負荷は体重の約3倍と言われています。そのため、1kg体重が増えるだけで、膝への負担が約3kg増加します。 極端な体重増加を起こさないように、運動不足や不摂生は控え、適切な体重管理を心がけましょう。 バランスの良い食事と膝に負担の少ない運動を取り入れることが、ジャンパー膝を再発させない上で大切です。 ジャンパー膝の回復期間を知り悪化を防ぐことが大切 ジャンパー膝は回復期間を知り、悪化を防ぐことが大切です。ジャンパー膝は軽度であれば、おおよそ1~2カ月程度で改善に向かいますが、重度の場合、手術が必要になるケースもあります。 ジャンパー膝の症状に対して、手術を行うことに抵抗がある方は、当院リペアセルクリニック」にご相談ください。 手術を必要としない、再生医療を活用し、膝への回復を促します。ジャンパー膝の症状にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 ジャンパー膝を治したい方からよくある質問 ジャンパー膝は自然に治りますか? ジャンパー膝の症状が自然に治ることはありません。適切な治療をしないと症状が慢性化し、悪化する可能性があります。 症状が軽度でも、医療機関を受診しましょう。 ジャンパー膝になったときにお風呂は入っても良いですか? 湯船に長時間浸かるのは控えましょう。湯船に長時間浸かることで、血行が促進され、炎症が悪化する恐れがあります。 湯船に浸かる場合は熱いお湯は避け、38~40℃のぬるめのお湯に15~20分程度浸かるようにします。 また、違和感がある場合は、無理に入浴せず、安静にしましょう。 ジャンパー膝にサポーターは有効ですか? サポーターの使用は、再発予防には有効です。しかし、根本的な治療にはなり得ない部分は認識しておく必要があります。 また、サポーターは自分の膝に合うサイズや、正しい装着方法で実践しないと効果が得られません。 自分に合うサポーターがわからない方は、医師に相談し、選ぶようにしましょう。 ジャンパー膝は何科を受診すれば良いですか? 整形外科(スポーツ整形外科やスポーツ医学科)の受診が適切です。 整形外科(スポーツ整形外科やスポーツ医学科)では、画像診断(MRIや超音波検査)を用いて腱の状態を詳細に評価し、患者に合わせた治療計画を提供します。 参考文献 (文献1) 「運動器疾患とスポーツ外傷・障害」『膝蓋腱炎(ジャンパー膝)』(1)pp.1-2 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/vol.1_%E8%86%9D%E8%93%8B%E8%85%B1%E7%82%8E.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献2) 一般社団法人 日本臨床整形外科学会事務局「スポーツでケガをしたら、どうすれば良いの?」一般社団法人 日本臨床整形外科学会 https://jcoa.gr.jp/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E7%9B%B8%E8%AB%87/%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%81%8F%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%82%92%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB/%E5%BF%9C%E6%80%A5%E5%87%A6%E7%BD%AE/%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84%E3%81%A7%E3%82%B1%E3%82%AC%E3%82%92%E3%81%97%E3%81%9F%E3%82%89%EF%BC%9F/#:~:text=%E5%BF%9C%E6%80%A5%E5%87%A6%E7%BD%AE%E3%81%AE%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E3%81%AF,%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82(最終アクセス:2025年3月14日) (文献3) 原 賢二.「ジャンパー膝の機能的評価と鍼治療の効果に関する 研究」『TulipsR』, pp.1-193, 2013年 https://core.ac.uk/download/pdf/56658805.pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献4) 綾田 練ほか.「ジャンパー膝に対する運動後のアイシングの効果」『体力科学』, pp.1-6, 2007年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspfsm/56/1/56_1_125/_pdf(最終アクセス:2025年3月14日) (文献5) 塩田 真史.「Osgood-Schlatter 病の病態と治療 発症から復帰までの現状と今後の課題」『日本アスレティックトレーニング学会誌』4(1), pp.1-6, 2018年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsatj/4/1/4_29/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月14日) (文献6) 一般社団法人 千葉市医師会「運動時の膝の痛み「ジャンパー膝」かも?」一般社団法人 千葉市医師会, 2023年7月11日 https://www.chiba-city-med.or.jp/column/155.html#top(最終アクセス:2025年3月14日) (文献7) 独立行政法人日本スポーツ振興センター,ハイパフォーマンススポーツセンター「ハイパフォーマンスを発揮して勝つ!アスリートのためのトータルコンディショニングハンドブック」2024年 https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/hpsc/TCRP/handbook.pdf(最終アクセス:2025年3月14日)
2025.03.31 -
- ひざ関節
- 健康・美容
プロテオグリカンが膝関節痛に効果があるのかを知りたい プロテオグリカンのサプリメントを試したいけれど副作用が気になる 本記事では、以下について解説します。 膝関節におけるプロテオグリカンの重要性 プロテオグリカンと膝関節痛の関係 プロテオグリカンが膝関節に与える影響 プロテオグリカンの副作用とアレルギー反応 プロテオグリカンサプリメントが膝関節痛に与える効果 プロテオグリカンと膝関節痛に関するよくある質問も紹介していますので、膝関節痛やプロテオグリカンについて知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。 膝関節におけるプロテオグリカンの重要性 プロテオグリカンとは、コアたんぱく質に糖鎖がブラシ状に結合した糖タンパク質のことです。(文献1) コアタンパク質が木の幹とすると、糖鎖がブラシ状の枝というイメージになります。 プロテオグリカンの役割は、ヒアルロン酸やコラーゲンなどと協力して、肌や軟骨を支えることです。 プロテオグリカンが多く含まれている場所を以下に示しました。(文献2) 軟骨 皮膚 靭帯 体の内側を覆う膜 プロテオグリカンは、スポンジのように水分をたくさん抱える性質があり、関節の動きをスムーズにしたり、肌の水分を保ったりするはたらきがあります。 プロテオグリカンは関節軟骨成分の約10%を占めているもので、水分を抱え込みクッション性を高める成分です。(文献3) 軟骨のクッション性が高まると、衝撃吸収力も高まります。逆に、軟骨のクッション性が低下すると、衝撃を吸収しやすくなり、関節の痛みや動きにくさにつながります。 プロテオグリカンは軟骨、ひいては関節を守る重要な役割を果たしている成分です。 プロテオグリカンと膝関節痛の関係 この章では、膝関節痛の主な原因と、プロテオグリカンが膝関節に与える影響を解説します。 膝関節痛の主な原因 膝関節痛の主な原因になる疾患としてあげられるのは、以下の3つです。 変形性膝関節症 急性関節炎 関節リウマチ ここでは、それぞれの疾患について解説します。 変形性膝関節症 変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ったり、変形したりすることが原因で、痛みや腫れ、動かしにくさといった症状が出るものです。初期症状としてあげられるものが、立ち上がりや歩き始めでの痛み、正座のしにくさなどです。進行すると、O脚が進行して、平地を歩くことも難しくなります。 膝を押したときの痛みや、曲げ伸ばしの制限といった症状も現れます。 \まずは当院にお問い合わせください/ 急性関節炎 急性関節炎は、急に膝が腫れて熱を持ち、痛みが生じている状況です。 急性関節炎の原因として、主に以下の3つが考えられます。 偽痛風 痛風 化膿性膝関節炎 偽痛風は、ピロリン酸カルシウムという結晶が膝関節に付着して起こるもので、原因としては、加齢や脱水などがあります。(文献4) 痛風とよく似た関節炎の症状がありますが、痛風とは異なり、血液中の尿酸値は高くなっていません。(文献5) 偽痛風の半数以上は膝関節痛を起こすとされています。 痛風は、血液中の尿酸値が高くなり、尿酸が結晶化したことにより痛みを生じるものです。足の親指が痛むことで有名ですが、膝関節痛を生じることもあります。 化膿性関節炎は、歯周病や肺炎などの感染症を引き起こした細菌が、血流により関節に炎症を起こすものです。皮膚や脂肪、骨への感染が、関節に影響を及ぼす場合もあります。 関節リウマチ 関節リウマチは、免疫の異常のために関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、機能低下を引き起こすものです。(文献6) 進行すると関節が変形する場合もあります。 手足の指や手首に症状が出ることも多いのですが、膝関節痛を引き起こすケースもあります。40代から60代での発症が多い関節リウマチですが、最近は高齢者の発症も増えてきている状況です。 プロテオグリカンが膝関節に与える影響 プロテオグリカンが膝関節に与える主な影響は、以下のとおりです。 膝の軟骨を守り痛みを和らげる 炎症を抑えて腫れを改善させる 軟骨細胞の再生をサポートする 膝関節の潤滑力を高める 膝の軟骨を守り痛みを和らげる イギリスの出版社サイトに掲載された論文では、以下のような結果が示されました。(文献7) 「サケの鼻軟骨由来プロテオグリカンを1日10mg摂取することは、膝に不快感がある人たちの軟骨の健康を改善する可能性がある」 「サケの鼻軟骨由来プロテオグリカンを1日10mg摂取により、軟骨に多く含まれているII型コラーゲンの分解を抑制し、合成を促進することで、軟骨を守る効果が期待できる」 引用:Evaluation of the effect of salmon nasal proteoglycan on biomarkers for cartilage metabolism in individuals with knee joint discomfort: A randomized double‑blind placebo‑controlled clinical study この結果からも、プロテオグリカンに軟骨保護作用や関節の健康維持・改善効果が期待されていることがわかります。 炎症を抑えて腫れを改善させる プロテオグリカンには抗炎症作用もあることが、複数の研究により明らかにされています。(文献8)(文献9) 消化されにくいプロテオグリカンの構造は、腸内細菌バランスの変化や腸内環境改善と関係しています。(文献8) 腸内環境が改善されると、特定の脂肪酸が作られやすくなり、それが抗炎症作用を発揮しているメカニズムです。 軟骨細胞の再生をサポートする プロテオグリカンは軟骨細胞の1つですが、それだけではありません。軟骨細胞そのものを活性化させるはたらきもあります。軟骨成分のもとになる軟骨前駆細胞を増やし、軟骨の減少を押さえるはたらきが確認されています。 このことからプロテオグリカンは、軟骨細胞の再生をサポートする成分といえるのです。 膝関節の潤滑力を高める プロテオグリカンがとくに活躍するのは、時速0.3mm以下のゆっくりとした速度で関節が動くときや、関節に強い力がかかるときです。プロテオグリカンは、ヒアルロン酸と協力して、関節の表面同士が接触しないように摩擦を最小限に抑えるはたらきがあります。 アメリカの医療従事者向けサイトでは、「人工的に作ったプロテオグリカン(rhPRG4)を関節に注入することで、関節の潤滑力改善や、軟骨の保護効果が期待されている」と記載されています。(文献10) プロテオグリカンの副作用とアレルギー反応 ここでは、プロテオグリカンの副作用とアレルギー反応について、詳しく解説していきます。 プロテオグリカンの副作用 プロテオグリカンは、サケの鼻軟骨から抽出される成分です。 2025年2月27日現在、消費者庁および、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所から、プロテオグリカンに関する副作用は報告されていません。 日本食品化学学会誌に掲載された研究論文においても、プロテオグリカン複合体80というサプリメントを摂取しても、副作用は見られなかったとの報告があります。(文献11) プロテオグリカンによるアレルギー反応 プロテオグリカンはサケの鼻骨由来の成分であるため、魚介アレルギーを引き起こす可能性もあります。魚介アレルギーのある方は、プロテオグリカンを使用する前に医師に相談しましょう。 魚介アレルギーの症状としては、口腔内の違和感、じんましん、急速なアレルギー症状である「アナフィラキシーショック」などがあります。(文献12) プロテオグリカンサプリメントが膝関節痛に与える効果 プロテオグリカンのサプリメントを摂取しても、膝痛に直接の効果があるとは考えにくいでしょう。 プロテオグリカンの主成分はタンパク質です。タンパク質は、食事やサプリメントで口から摂取したあと消化吸収されて、身体を作る要素の1つ、アミノ酸に分解されます。 分解されたアミノ酸が、再度プロテオグリカンとして生成されるかどうかは断言できません。もしプロテオグリカンが生成された場合でも、膝の軟骨部分は血管組織が少ないため、膝に直接届く可能性は低いものです。 プラシーボ効果により、「サプリメントで膝がよくなった」ケースも考えられますが、摂取した方全員に効くとは限りません。 プラシーボ効果とは、効果がない薬の内服、もしくはサプリメント摂取でも実際に効果が認められる現象で、自己暗示の影響が大きいとされるものです。(文献13) まとめ|プロテオグリカンで膝関節痛が改善しないときは医療機関を受診しよう プロテオグリカンは、関節や軟骨を守るはたらきがあり、一定の効果を示す有効な成分です。 プロテオグリカンはサケの鼻軟骨から抽出される天然成分であるため、副作用がないといわれています。魚介アレルギーの方は、念のため使用する前に医師へ相談しましょう。 膝関節痛に一定の効果があるとされるプロテオグリカンですが、サプリメント摂取による直接の効果があるとは考えられにくいものです。 プロテオグリカンを摂取しても膝関節痛が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。医療機関で行われる膝関節痛の治療としては、薬物療法や手術療法、再生医療などがあります。 当院「リペアセルクリニック」では、変形性膝関節症や急性関節炎、関節リウマチなどによる膝関節痛を和らげる再生医療を行っています。 メール相談やオンラインカウンセリングも実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。 プロテオグリカンと膝痛に関するよくある質問 ここでは、プロテオグリカンと膝痛に関するよくある質問を3つご紹介します。 プロテオグリカンと他の膝用サプリメントを併用しても問題ありませんか? プロテオグリカンと、グルコサミンやコンドロイチンといった関節成分の併用で相乗効果が期待できるとされています。 しかし、本文でも述べたように、サプリメントによる膝痛改善効果は薄いものです。 サプリメント併用により、特定成分の過剰摂取につながる可能性もあるため、心配な場合は使用前に医師に相談しましょう。 膝関節におけるプロテオグリカン以外のセルフケアはありますか? 膝関節痛における、プロテオグリカン以外のセルフケアは、主に以下の4つです。 食生活の見直し 姿勢の改善 適度な運動 体重管理 食生活を見直すときには、タンパク質やカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを積極的にとりましょう。タンパク質やカルシウムは、筋肉や骨を作る材料でもあり、関節を守り支える役割を果たします。ビタミンDやビタミンKは骨づくりを助けます。 姿勢の改善も大切なセルフケアです。膝を伸ばして歩く、立っているときや座っているときは背筋を伸ばすなどを意識しましょう。 適度な運動は、筋肉量の維持につながり、膝関節痛の悪化防止になります。毎日少しずつでも筋トレやウォーキングなどの運動を続けましょう。 体重管理も大切なポイントです。 体重を2kg減らすと、歩くときの負担が4〜6kg減少し、階段の上り下りでは10~14kgもの負担が減少するとされています。(文献14) 日頃の運動や食事管理などで、適正体重を保つように心がけましょう。 プロテオグリカンを摂取すると癌になるというのは本当ですか? 「プロテオグリカン=癌になる」ではありません。 がん細胞は、プロテオグリカンを利用して成長したり、他の場所に移動したりします。(文献15) しかし、プロテオグリカンの種類や構造によって、がん細胞に与える影響は異なります。がんを促進するものもあれば、抑制するものもあるのです。 参考文献 (文献1) 日本応用糖質科学会「食べてキレイを守る“新習慣”サプリメント SUNVS (サンブイエス)」『日本応用糖質科学会誌』7(2), pp113, 2017 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献2) 高橋達治.「サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン摂取による関節保護効果」『Functional Food Research』14, pp.36-43, 2018 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献3) 高橋謙治.「関節軟骨細胞の老化とストレス応答を利用した変形性関節症治療」『日本医科大学医学会雑誌』7(4), pp.150-155,2011 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献4) 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「膝関節の痛みと治療について」 国立研究開発法人国立長寿医療研究センターホームページ (最終アクセス:2024年2月17日) (文献5) 一般社団法人日本リウマチ学会「偽痛風」一般社団法人日本リウマチ学会, 2022年5月22日 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献6) 一般社団法人日本リウマチ学会「関節リウマチ(RA)」一般社団法人日本リウマチ学会, 2022年5月22日 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献7) SPANDIDOS PUBLICATIONS「Evaluation of the effect of salmon nasal proteoglycan on biomarkers for cartilage metabolism in individuals with knee joint discomfort: A randomized double‑blind placebo‑controlled clinical study」Experimental and Therapeutic Medicine, 2017年5月11日 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献8) 後藤昌史ほか.「サケ鼻軟骨熱水抽出物の経口摂取による日焼け抑制効果―無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験―」『応用糖質科学』6(2), pp.138-146, 2016 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献9) 工藤重光ほか.「プロテオグリカンを主成分とするサケ鼻軟骨粉末の安全性評価」『日本食品科学工学会誌』58(11), pp.542(26)-547(31), 2011 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献10) HCP LIVE 「Lubricin: New Promise for Joint-Preserving Therapy」, 2013年7月31日 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献11) Tatsuya Wada, et al.(2023).Safety evaluation of excessive intake of Proteoglycan Complex 80 from salmon nasal cartilage―a randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel-group study―.日本食品化学学会誌,30(3)pp.165-177. (最終アクセス:2024年2月17日) (文献12) 長崎大学病院皮膚科・アレルギー科「魚介アレルギー」長崎大学病院皮膚科・アレルギー科 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献13) 井澤美苗ほか.「脳が決める効果: プラセボ効果の要因解析からわかること」『日本香粧品学会誌』37(3), pp.197-200ページ, 発行年(2013) (最終アクセス:2024年2月20日) (文献14) 東京医科大学病院「東京医科大学病院市民公開講座 変形性膝関節症~予防と治療~」 東京医科大学病院, 2018年6月 (最終アクセス:2024年2月17日) (文献15) Glyco forum「がん生物学から見たコンドロイチン硫酸プロテオグリカンの機能 コンドロイチン硫酸の糖鎖構造依存的な細胞内シグナルの制御とがん化」 Glyco forum, 2019年8月1日 (最終アクセス:2024年2月17日)
2025.02.28 -
- ひざ関節
膝がポキポキ鳴る… 誰しも一度は経験のあるこの音、実はただの老化現象や運動不足と安易に考えて放置すると、将来的な膝のトラブルにつながる可能性があることをご存知ですか? 階段の上り下り、立ち上がり、何気ない動作で鳴るこの音。 その原因は関節液の気泡、関節構造の問題、靭帯や腱の動きの3つに大きく分けられます。 世界中で推定6億5400万人が罹患している変形性膝関節症も、初期症状としてこのポキポキ音が挙げられるケースがあり、45歳以上の方で活動時に膝の痛みや朝のこわばりがある方は特に注意が必要です。 この記事では、膝がポキポキ鳴る原因を詳しく解説し、適切な対処法や自宅でできるストレッチ、日常生活での注意点まで、健康な膝を維持するための情報を網羅的にご紹介します。 膝がポキポキ鳴る原因3選 膝がポキポキ鳴る、という症状、多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。 椅子から腰を上げる時や、ふとした拍子に膝を屈伸させるときなど、日常生活の様々な場面で経験する、ありふれた症状です。 実は、このポキポキ音、ただの老化現象や運動不足と考えずに、きちんと原因を探ることが大切です。 なぜなら、放置すると将来的に大きな問題につながる可能性があるからです。 この記事では、膝がポキポキ鳴る原因を3つのカテゴリーに分けて解説します。 原因を正しく理解することで、適切な対処法を見つけ、健康な膝を維持することにつながります。 ①膝がポキポキ鳴るメカニズム 膝がポキポキ鳴る原因のメカニズムは、大きく分けて以下の3つに分類できます。 関節液の中の気泡 膝の関節の中には、関節液という滑液があります。これは関節の動きをスムーズにする潤滑油のような役割を果たしています。 関節を動かすと、この関節液の圧力が変化し、小さな気泡が発生することがあります。この気泡が弾ける時に、「ポキッ」という音が鳴るのです。 炭酸飲料の蓋を開けた時にプシュッと音が鳴るのと似ています。これはキャビテーションと呼ばれ、特に問題のないケースが多いです。 関節の構造的な問題 膝の関節は、骨、軟骨、靭帯、腱など、様々な組織で構成されています。 これらの組織に何らかの異常があると、関節を動かす際にポキポキと音が鳴ることがあります。 例えば、軟骨部分が磨耗していたり、半月板に傷みが生じていたりすると、関節の表面がデコボコになり、音が鳴りやすくなります。 これは、ギシギシいうドアを無理やり開けるようなイメージです。スポーツによるケガや加齢などが原因で起こり得ます。 靭帯や腱の動き 靭帯や腱は、骨と骨をつないで関節を安定させる役割を担っています。 これらの組織が骨の上を滑る時に、ポキポキと音が鳴ることがあります。 これは、運動不足や筋肉のバランスが崩れている人に多く見られます。 椅子に座りっぱなしのデスクワークや、同じ姿勢を長時間続ける作業などで、特定の筋肉が硬くなってしまうと、靭帯や腱の動きが制限され、音が鳴りやすくなります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「膝の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 ②運動不足と膝がポキポキ鳴る関係 運動不足と膝のポキポキ音には、密接な関係があります。 運動不足になると、膝関節周辺の筋肉が衰え、関節を支える力が弱まります。 すると、関節のバランスが崩れ、関節液の中に気泡ができやすくなってポキポキ音が鳴りやすくなるのです。 また、筋肉の力が衰えると関節が硬くなり、靭帯や腱の滑らかな動きが阻害されるため、これもポキポキ音の原因となります。 例えば、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が弱くなると、膝のお皿(膝蓋骨)の位置がずれ、関節面との摩擦が増えて音が鳴りやすくなります。 さらに、運動不足は変形性膝関節症のリスクも高めます。 変形性膝関節症は、軟骨がすり減って骨同士がぶつかり、痛みや炎症を引き起こす病気です。 ③加齢による軟骨の摩耗 加齢もまた、膝がポキポキ鳴る原因の一つです。 年齢を重ねると、どうしても軟骨がすり減ってきます。 クッションの役割を担う軟骨が徐々に薄くなることで、骨同士が擦れ合う状態となり、関節を動かすたびにパキパキやコリコリという音が聞こえるようになります。 このような症状は、膝の変形性関節症が始まっているサインかもしれません。 運動不足で起こる膝のトラブル5選 膝がポキポキ鳴る、なんとなく違和感がある… それ、もしかしたら運動不足が原因かもしれません。 放っておくと、将来大きなトラブルにつながる可能性も。 今回は、運動不足が原因で起こる膝のトラブルを5つご紹介し、それぞれの症状や対処法をわかりやすく解説します。 ①膝の痛み 運動不足になると、膝周りの筋肉、特に太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)や後ろの筋肉(ハムストリングス)が弱くなってしまいます。 椅子に座りっぱなしの生活を想像してみてください。これらの筋肉はあまり使われていませんよね。するとどうなるでしょうか? 筋肉は、膝関節を支える重要な役割を担っています。 筋肉の力が衰えると、支える機能が低下し、膝関節への重みがかかりやすくなります。これが痛みの原因となるのです。 最初は、立ち上がったり、階段を上り下りする時に軽い痛みを感じる程度かもしれません。 しかし、そのまま運動不足の状態が続くと、歩くだけでも痛むようになり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。 痛みを感じ始めたら、まずは運動を控え、膝を安静にすることが重要です。 痛みが強い場合は、整形外科を受診して適切な治療を受けましょう。 ▼おすすめの膝サポーターについて、併せてお読みください。 ②関節の違和感、こわばり 運動不足は、膝関節の周りの筋肉や靭帯を硬くしてしまいます。 筋肉や靭帯は、関節をスムーズに動かすために必要不可欠な組織です。 これらの組織が硬くなると、どうなるでしょうか? 関節の動きが悪くなり、「膝が重だるい」「何となく動きが悪い」といった漠然とした違和感を感じ始めます。 さらに、朝起きた時に「膝が硬くて曲げづらい」といった明らかなこわばりを感じることもあります。 これは、関節液の循環が悪くなっていることも原因の一つです。 関節液は関節の動きを滑らかにする潤滑油のような役割を果たしていますが、運動不足になるとこの循環が悪くなり、こわばりを引き起こすのです。 このような症状は、特に運動不足の人に多く見られます。日頃から意識的に体を動かす習慣をつけることが大切です。 ③関節の可動域制限 関節の違和感やこわばりが進むと、関節の可動域、つまり膝を曲げ伸ばしできる範囲が狭くなります。 最初は正座がしづらくなるなど、特定の動作で制限を感じる程度かもしれません。 しかし、悪化すると歩く、しゃがむといった日常の動作にも支障が出てきます。 これは、関節の軟骨がすり減り、骨の表面がデコボコになることが原因の一つです。 なめらかに動いていた関節が、古い扉のように固くぎこちなくなってしまいます。 さらに、関節周囲の筋肉や靭帯が硬くなることで、関節の動きが制限されることも原因として挙げられます。 関節の可動域制限も、運動不足が大きな原因の一つです。 適切な運動を継続することで、関節の柔軟性を維持し、可動域制限を予防することができます。 ④筋力低下、バランス能力の低下 運動不足は、膝関節を支える筋肉、特に大腿四頭筋やハムストリングスの筋力低下を招きます。 これらは、膝の安定性を確保する上で、極めて大切な役割を持っています。 筋肉が弱くなると、膝関節が不安定になり、バランス能力も低下します。 その結果、つまずきやすくなったり、転倒のリスクが高まったりします。 高齢者の場合、転倒は骨折などの大きな怪我につながる可能性があるため、特に注意が必要です。 ⑤変形性膝関節症のリスク増加 運動習慣の不足により膝の周りの筋力が低下すると、軟骨にかかる圧力が増し、磨耗が加速します。 また、運動不足による体重増加も加わることで、膝関節への負荷がさらに大きくなっていき、変形性膝関節症のリスクを高めます。 ある研究では、膝のポキポキ音がいつも鳴る人は、全く音がしない人に比べて変形性膝関節症の発症リスクが3倍高いというデータもあります。 運動不足が続くと、膝の違和感や痛み、こわばり、可動域制限といった様々なトラブルを引き起こす可能性があります。 これらのトラブルは、日常生活の質を低下させるだけでなく、将来的に変形性膝関節症などの深刻な病気を引き起こすリスクも高めます。 日頃から適度な運動を心がけ、健康な膝を維持しましょう。 膝がポキポキ鳴る時の対処法3選 膝がポキポキ鳴ると、不安になりますよね。 もしかしたら病気のサイン?放っておいて大丈夫?と心配になる方もいるでしょう。 この記事では、膝がポキポキ鳴る時の対処法を4つご紹介します。 安心できる情報をお届けしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。 具体的な治療方法(運動療法、薬物療法、手術) 膝のポキポキ鳴る原因や症状によって、適切な治療方法は異なります。 主な治療法は以下の3つです。 運動療法 膝周りの筋肉を鍛えることで、関節を安定させ、痛みを軽減します。 ストレッチで関節の柔軟性を高めることも効果的です。 例えば、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることで、膝のお皿(膝蓋骨)の動きを安定させ、ポキポキ音を軽減することができます。 薬物療法 痛みや炎症を抑える薬を服用します。痛み止めやヒアルロン酸注射などがあります。 ヒアルロン酸は、関節液の主成分であり、関節の動きを滑らかにする役割を果たしています。 手術 人工関節置換術など、重症の場合にのみ行われます。 変形性膝関節症が進行し、日常生活に支障が出るほど痛みが強い場合に検討されます。 人工関節置換術は、損傷した関節を人工関節に入れ替える手術です。手術により痛みを軽減し、関節の機能を回復させることができます。 保存的治療(運動療法や薬物療法)で効果がない場合や、半月板の異常などの明確な疾患が背景にある状況では、手術が必要となることもあります。 半月板は、膝関節にあるC型の軟骨で、クッションの役割を果たしています。 半月板が損傷すると、膝の痛みや引っかかり、ポキポキ音などの症状が現れます。 ▼半月板断裂と損傷の違い、痛みの特徴や原因・治療法ついて、併せてお読みください。 家庭でできるストレッチ、運動 家庭でできるストレッチや運動をご紹介します。 膝下ストレッチ:椅子に座り、両足を床につけた状態で行います。 膝から下の骨を内側にねじるように動かします。左右10回ずつ繰り返します。 ふくらはぎの筋肉を伸ばし、膝関節の柔軟性を高める効果があります。 膝曲げ伸ばし運動:椅子に座り、片方の足をまっすぐ伸ばします。 伸ばした足をゆっくりと曲げ、また伸ばします。左右10回ずつ繰り返します。 大腿四頭筋を強化し、膝関節の安定性を高める効果があります。 フロッグ:仰向けに寝て、両膝を曲げ、足の裏を合わせます。 かかとをお尻に近づけ、両膝を床に近づけるようにします。 10秒間キープし、5回繰り返します。 内ももの筋肉を伸ばし、股関節の柔軟性を高める効果があります。 ランジ:足を前後に開き、両膝を90度に曲げます。 前の膝がつま先より前に出ないように注意します。 10秒間キープし、左右5回ずつ繰り返します。 太ももの筋肉を鍛え、バランス能力を高める効果があります。 これらの運動は、膝周りの筋肉を強化し、関節の柔軟性を高める効果があります。 毎日続けることで、膝のポキポキ音を軽減し、膝の健康を維持することができます。 日常生活での注意点 日常生活で気を付けるべきことをご紹介します。 体重管理:適正体重を維持することで膝への負担を軽減します。 肥満は膝関節への負担を増大させ、変形性膝関節症のリスクを高めるため、注意が必要です。 適切な運動:ウォーキングや水泳など、膝への負担が少ない運動を選びましょう。 激しい運動は、膝関節に大きな負担をかけるため、避けるべきです。 ストレッチ:毎日、入浴後などにストレッチを行いましょう。 ストレッチは、筋肉の柔軟性を高め、関節の動きをスムーズにする効果があります。 靴の選び方:低いヒールで、クッション性のある靴を選びましょう。 高いヒールやクッション性のない靴は、膝関節への負担を増大させるため、避けるべきです。 長時間同じ姿勢を避ける:デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続ける場合は、こまめに休憩を取り、軽い運動をしましょう。 同じ姿勢を長時間続けると、筋肉が硬くなり、関節の動きが悪くなるため、注意が必要です。 膝のポキポキ音は、必ずしも病気のサインではありませんが、放置すると将来的に大きな問題につながる可能性もあります。 日頃から膝のケアを心がけ、健康な膝を維持しましょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「膝の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Lavie CJ, Ozemek C, Carbone S, Katzmarzyk PT, Blair SN. "Sedentary Behavior, Exercise, and Cardiovascular Health." Circulation research 124, no. 5 (2019): 799-815. Duong V, Oo WM, Ding C, Culvenor AG, Hunter DJ. "Evaluation and Treatment of Knee Pain: A Review." JAMA 330, no. 16 (2023): 1568-1580.
2025.02.15 -
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人工関節手術。それは、痛みや動きの制限からの解放、そして活動的な人生への回帰を約束する希望の光です。日本では年間約20万件もの人工関節手術が行われており、多くの人々がこの手術によって人生の質を向上させています。しかし、手術後のリハビリや仕事復帰、日常生活における注意点など、気になる点も多いのではないでしょうか? この記事では、人工関節手術後のリハビリテーションから仕事復帰、そして日常生活の注意点まで、整形外科医師が詳しく解説します。具体的なリハビリの段階や内容、痛みの管理、合併症の予防、そして職場復帰支援制度の活用方法まで、網羅的にご紹介します。 手術を控えている方、手術後の方、そしてそのご家族の方々にとって、きっと有益な情報となるでしょう。さあ、人工関節手術後の明るい未来への扉を開きましょう。 人工関節手術後のリハビリと仕事復帰までの流れ 人工関節手術は、激しい関節痛や動きの制限を改善し、より快適な生活を送るための重要な一歩です。手術を受ける決断は大きなものですが、その先には、リハビリテーションを通じて少しずつ身体の機能を取り戻し、再び活動的な日々を送る未来が待っています。 この手術は、まるで身体に新しい部品を組み込むような大がかりなものです。術後の経過は人それぞれとなります。焦らず、一歩ずつ、着実に進んでいきましょう。リハビリテーションと仕事復帰までの道のりについて、一緒に確認していきましょう。 リハビリテーションの段階と内容 リハビリテーションは、手術直後から始まります。初期のリハビリは、ベッドの上でできる簡単な運動からスタートし、徐々に難易度を上げていきます。術後のリハビリテーションは、術後の回復を促進し、合併症を予防するために非常に重要です。 術後早期(術後1日目~): この時期は、手術の侵襲による身体への負担が大きいため、安静が最優先されます。しかし、安静にしすぎることで血栓症や肺炎などの合併症のリスクが高まるため、ベッド上でもできる運動が推奨されます。具体的には、足首の運動、深呼吸、寝返りなどです。これらの運動は、血液循環を促進し、呼吸機能を維持するのに役立ちます。 術後1~2週間: 痛みが徐々に軽減し始め、より積極的なリハビリテーションが開始されます。ベッド上での運動に加えて、座位、立位、歩行練習などが行われます。この段階では、関節可動域の拡大と筋力強化を図ることが目標です。理学療法士の指導のもと、杖や歩行器などの補助具を使用しながら、徐々に歩行距離を伸ばしていきます。 術後2~4週間: 歩行が安定してくると、日常生活動作の練習が中心となります。歩行器や杖を使った歩行練習、階段昇降、トイレへの移動、着替えなど、日常生活に必要な動作を繰り返し練習することで、自宅での生活にスムーズに戻れるよう準備していきます。 術後1~3ヶ月: この時期になると、さらに積極的なリハビリテーションプログラムが組まれます。自転車エルゴメーターや水中歩行など、関節への負担が少ない運動を取り入れながら、関節可動域の維持・拡大、筋力強化を図ります。また、退院後の生活を見据え、趣味や軽い運動なども徐々に再開していきます。 リハビリテーションの内容は、一人ひとりの状態に合わせて調整されます。年齢、手術前の活動レベル、合併症の有無など、様々な要因が考慮されます。理学療法士などの専門家と相談しながら、無理なく進めていきましょう。最新の研究では、Enhanced Recovery After Surgery(ERAS)というプログラムが注目されており、術前から術後の包括的な管理を行うことで、より早期の回復と社会復帰を目指しています。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 痛みの管理と合併症の予防 人工関節手術後は、痛みや腫れが出ることがあります。これは手術による組織の損傷や炎症反応によるもので、自然な経過です。しかし、痛みを我慢しすぎると、リハビリテーションへの意欲が低下し、回復が遅れてしまう可能性があります。 痛みの管理には、薬物療法と非薬物療法を組み合わせて行います。薬物療法としては、痛み止め(鎮痛剤)や消炎鎮痛剤が処方されます。医師や看護師の指示に従って、正しく服用しましょう。非薬物療法としては、冷却や温罨法、マッサージなどがあります。 人工関節手術後の合併症として、感染症、血栓症、脱臼、人工関節の緩みなどが挙げられます。感染症は、手術部位に細菌が侵入することで起こります。血栓症は、手術後に血栓(血液の塊)ができて血管を詰まらせてしまうことです。脱臼は、人工関節が本来の位置からずれてしまうことです。人工関節の緩みは、人工関節が骨にしっかりと固定されなくなってしまうことです。 これらの合併症を予防するために、清潔を保ち、医師の指示に従った予防策を講じることが重要です。定期的な創部の観察と消毒、弾性ストッキングやフットポンプの使用、早期離床と適度な運動などが有効です。 仕事復帰までの期間と流れ 仕事復帰までの期間は、仕事内容や回復状況によって大きく異なります。事務職であれば術後数週間で復帰できる場合もありますが、肉体労働など身体に負担のかかる仕事の場合は、数ヶ月かかることもあります。 仕事復帰までの流れとしては、まず主治医との相談が重要です。現在の身体の状態やリハビリテーションの進捗状況を踏まえ、仕事復帰の時期や方法について話し合います。職場の上司や同僚との連携も大切です。仕事復帰に向けて、職場環境の調整(勤務時間、業務内容など)が必要となる場合もあります。必要な場合は、産業医への相談も検討します。 焦らずに、自分のペースで復帰を目指しましょう。復帰後も、定期的に主治医の診察を受け、経過観察を行うことが重要です。 職場復帰支援制度の活用 仕事復帰に向けて、さまざまな支援制度を活用することができます。傷病手当金は、病気やケガで仕事を休んだ場合に、生活費の一部を補填する制度です。高齢者の医療の確保に関する法律は、75歳以上の方の医療費自己負担割合を軽減する制度です。障害年金は、病気やケガによって障害が残った場合に、生活を保障するための制度です。 これらの制度は、経済的な不安を軽減し、安心してリハビリテーションに専念するために役立ちます。必要に応じて、主治医やソーシャルワーカーに相談してみましょう。 人工関節手術後の生活と注意点 人工関節手術は、痛みや動きの制限から解放され、活動的な生活を取り戻すための大きな一歩です。しかし、手術を受けた後も、新しい関節と長く付き合っていくためには、日常生活での注意点と工夫が欠かせません。まるで身体に新しい相棒を迎えたように、その特徴を理解し、適切に扱うことで、より快適で安心な生活を送ることができるでしょう。 日常生活の注意点と工夫 人工関節は、自分の骨と完全に一体化しているわけではありません。そのため、過度な負担や不適切な動きは、人工関節の寿命を縮めたり、脱臼などの合併症を引き起こす可能性があります。日常生活では、以下の点に注意しながら、人工関節を大切に扱いましょう。 1. 人工関節への負担を減らす工夫 重いものを持つ: 買い物かごやリュックサックなどを活用し、片側だけに負担がかからないようにしましょう。どうしても重いものを持ち上げる必要がある場合は、膝を曲げて腰を落とした姿勢で、両手で持ち上げるようにしてください。 無理な姿勢: 中腰での作業や、足を組む、あぐらをかくといった姿勢は、人工関節に負担をかけるだけでなく、脱臼のリスクも高めます。なるべく避け、どうしても必要な場合は時間を短くし、休憩を挟むようにしましょう。 同じ姿勢を長時間続ける: デスクワークや車の運転など、同じ姿勢を長時間続ける場合は、1時間ごとに立ち上がって軽いストレッチをする、足を動かすなど、血行を促進し、関節の柔軟性を保つように心がけましょう。 和式トイレ: 和式トイレは、股関節を深く曲げる必要があるため、人工関節に大きな負担がかかり、脱臼のリスクも高まります。可能であれば、洋式トイレを使用するか、和式トイレに補助具を設置するなど、工夫しましょう。 入浴: 入浴は、血行を促進し、筋肉の緊張を緩和する効果があるため、積極的に行いましょう。ただし、滑りやすい場所なので、手すりや滑り止めマットなどを設置し、転倒防止に十分注意してください。また、湯船の出入りは、ゆっくりと行い、急な動作は避けましょう。 2. 転倒防止 転倒は、人工関節に大きな衝撃を与え、破損や脱臼の原因となる可能性があります。家の中だけでなく、外出先でも転倒のリスクを意識し、予防策を講じることが重要です。具体的には、床に物を置かない、段差に注意する、滑りにくい靴を履く、階段では手すりを持つ、など、基本的なことを徹底しましょう。夜間は足元を明るくし、必要に応じて杖や歩行器を使用することも有効です。 3. 感染症の予防 人工関節は、感染症に弱いため、傷口のケアや衛生管理には特に気を配る必要があります。傷口は清潔に保ち、医師の指示に従って適切な処置を行いましょう。また、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかると、人工関節に感染が波及するリスクがあるため、手洗いやうがい、マスクの着用など、感染予防を徹底することが大切です。歯科治療を受ける際も、人工関節手術を受けたことを必ず伝え、抗菌薬の予防投与が必要かどうか相談しましょう。 スポーツや趣味の再開時期 人工関節手術後、日常生活動作が問題なく行えるようになったら、スポーツや趣味の再開を検討することができます。人工膝関節全置換術(TKA)と人工股関節全置換術(THA)を受けた患者さんには、フォーマルな監督下での活動プログラムだけでなく、非監督下での活動も推奨されています。これは、ご自身のペースで、日常生活の中で身体を動かすことが重要であるということです。 しかし、すべてのスポーツがすぐに再開できるわけではありません。激しい運動や、関節に大きな負担がかかる運動は、人工関節の寿命を縮めたり、合併症を引き起こす可能性があります。再開する際は、必ず主治医に相談し、許可を得てから行うようにしましょう。 許可される運動(例): ウォーキング、水泳、サイクリング、ゴルフ、卓球など。これらの運動は、関節への負担が比較的少なく、筋力や柔軟性を維持・向上させる効果があります。 禁止される運動(例): ジョギング、サッカー、バスケットボール、スキー、スノーボードなど。これらの運動は、関節への衝撃が大きく、人工関節に負担がかかりすぎるため、避けるべきです。 スポーツや趣味を再開する際には、以下の点に注意しましょう。 痛みが生じる場合は、無理せず中止する 徐々に運動強度や時間を増やしていく 適切なウォーミングアップとクールダウンを行う 定期的に主治医の診察を受け、経過観察を行う 手術前の活動レベルに回復するには個人差がありますが、焦らず、医師の指示に従いながら、徐々に活動レベルを上げていくことが重要です。 まとめ 人工関節手術後、仕事に復帰するには、リハビリテーションと日常生活の注意点、そして職場復帰支援制度の活用が重要です。 手術後は、段階的なリハビリを通して身体機能の回復を目指します。 日常生活では、人工関節への負担を減らす工夫や転倒防止、感染症予防を心がけ、スポーツや趣味の再開は医師と相談の上、徐々に進めていきましょう。 仕事復帰までの期間は仕事内容や回復状況によって異なり、職場との連携も大切です。 焦らず、自分のペースで復帰を目指し、様々な支援制度を活用しながら、快適な生活を取り戻しましょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「股関節の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Soffin EM, Wainwright TW. "Hip and Knee Arthroplasty." Anesthesiology clinics 40, no. 1 (2022): 73-90. Šťastný E, Trč T, Philippou T. "[Rehabilitation after total knee and hip arthroplasty]." Casopis lekaru ceskych 155, no. 8 (2016): 427-432. Fortier LM, Rockov ZA, Chen AF, Rajaee SS. "Activity Recommendations After Total Hip and Total Knee Arthroplasty." The Journal of bone and joint surgery. American volume 103, no. 5 (2021): 446-455. Wainwright TW, Gill M, McDonald DA, Middleton RG, Reed M, Sahota O, Yates P, Ljungqvist O. "Consensus statement for perioperative care in total hip replacement and total knee replacement surgery: Enhanced Recovery After Surgery (ERAS(®)) Society recommendations." Acta orthopaedica 91, no. 1 (2020): 3-19. Canovas F, Dagneaux L. "Quality of life after total knee arthroplasty." Orthopaedics & traumatology, surgery & research : OTSR 104, no. 1S (2018): S41-S46.
2025.02.11 -
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膝の痛み...それを解消する強力なアイテムとなるのが「膝サポーター」です。 日本では、特に高齢化社会に伴い、膝のトラブルを抱える方が増加しており、その対策としてサポーターへの注目が集まっています。 しかし、ドラッグストアやネット通販で手軽に買えるようになった反面、種類が多すぎてどれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? ここでは、最新の研究データに基づいたエビデンスも交えながら、サポーターの効果と限界についても明らかにしていきます。 自分にぴったりのサポーターを見つけることで、痛みを軽減し、快適な日常生活を取り戻す第一歩を踏み出しましょう。 膝サポーターの種類と特徴 膝の痛みや違和感を感じた時、多くの方がまず手にするのが膝サポーターではないでしょうか。 ドラッグストアやスポーツ用品店、オンラインショップなど、様々な場所で手軽に購入できるため、利用されている方も多いと思います。 しかし、一口に膝サポーターと言っても、その種類は実に様々です。ご自身の膝の状態に合わないものをつけると、かえって逆効果となります。 この章では、様々な種類のサポーターの特徴を一つずつわかりやすく解説していきますので、サポーター選びの際の参考にしていただければ幸いです。 スポーツ用サポーター(バスケットボール、サッカー、バレーボールなど) スポーツ用サポーターは、膝への負担を和らげたり、ケガを未然に防いだりするために使われます。スポーツの種類によって、求められる機能も大きく異なります。 例えば、バスケットボールのようにジャンプや着地動作が多いスポーツでは、いかに膝への衝撃を少なくするかが大事となります。 厚みのあるパッドが付いたサポーターや、特殊な素材で衝撃を分散させる機能を持つサポーターを選ぶと良いでしょう。 サッカーでは、急な方向転換やストップ動作が頻繁に行われます。 このような動作は、膝関節にねじれの力を加え、靭帯を痛めてしまいます。膝関節をしっかりと固定し、不意のねじれから保護するタイプのサポーターがおすすめです。 バレーボールでは、ジャンプの着地時だけでなく、レシーブの際に床に滑り込むなど、膝を捻るリスクが非常に高い競技です。 2023年に発表されたシステマティックレビュー(※複数の臨床研究をまとめて分析したもの)でも、膝蓋骨脱臼に対する手術療法と非手術療法の有効性について、依然として明確な結論が出ていないことが示されています。 つまり、サポーターによる予防が非常に重要であると言えるでしょう。バレーボールでは、膝のお皿(膝蓋骨)の周囲をサポートし、脱臼を防ぐサポーターが有効です。 スポーツ用サポーターを選ぶ際には、行うスポーツの特徴を考慮し、適切な機能を持つサポーターを選びましょう。 また、通気性の良い素材を選ぶことで、汗による不快感を軽減し、快適にスポーツを楽しむことができます。 日常生活用サポーター 日常生活用サポーターは、家事や仕事、買い物など、日常生活での膝の痛みや不安定感を少なくする効果があります。 高齢になると、膝の軟骨がすり減り、変形性膝関節症を発症する方が多くいらっしゃいます。 初期は動き始めが痛いだけですが、放置すると歩行時や夜間にも痛みが出てしまい、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。 ▼変形性膝関節症の治療について、併せてお読みください。 具体的には、階段の上り下りや、椅子からの立ち上がり動作が楽になるようにサポートしてくれるサポーターや、膝のぐらつきを抑えて安定感を高めるサポーターなどがあります。 装着が簡単なものや、薄手で服の下に着けても目立ちにくいものなど、多種多様の製品があり、ご自身の生活スタイルや好みに合わせて選ぶと良いでしょう。 また、最近では関節の動きをサポートするだけでなく、保温効果を高めたものや、通気性に優れた素材を使用したものなど、機能性も重視されています。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「膝の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 医療用サポーター 医療用サポーターは、変形性関節症や靭帯損傷などの特定の疾患に対応するために使用されます。一般的には、医師の指導のもとで使用します。 変形性膝関節症では、膝関節の軟骨がすり減り、骨同士が直接擦れ合うことで炎症や痛みが発生します。 医療用サポーターは、膝関節を安定させることで痛みを軽減し、変形の進行を遅らせる効果が期待できます。 靭帯損傷は、スポーツなどでの急激な動作や外力によって、膝の安定に必要な靭帯がケガすることです。 前十字靭帯や内側側副靭帯の損傷は特に多く、初期治療が大切です。サポーターは、損傷した靭帯を保護し、関節の安定性を高めることで、怪我を治す期間を縮めてくれます。 ▼前十字靭帯、その症状は軽度?重度?こちらも併せてお読みください。 機能別サポーター(保温、固定など) 膝サポーターは、その機能によっても分類することができます。代表的な機能として、保温機能と固定機能が挙げられます。 保温機能を重視したサポーターは、膝周りの保温性を高めることで、血行を促進し、痛みを和らげる効果があります。冬季のスポーツ時や冷えから膝を守りたい方におすすめです。 固定機能を重視したサポーターは、膝関節をしっかりと固定することで、関節の安定性を向上させます。 スポーツ時の怪我予防や、膝の不安定感が強い方、靭帯損傷後のリハビリテーション時などに使用されます。 最近では、保温と固定の両方の機能を兼ね備えたサポーターも販売されています。 素材別サポーター(ネオプレン、ナイロンなど) 膝サポーターは、素材によっても特徴が異なります。 ネオプレン素材のサポーターは、保温性と伸縮性に優れているため、フィット感が良く、膝関節をしっかりと包み込むような装着感が特徴です。保温効果が高いことから、冷え性の方や、冬季のスポーツに適しています。また、水に強く、汚れにくいというメリットもあります。 ナイロン素材のサポーターは、軽量で通気性が良く、速乾性にも優れているため、暑い季節でも快適に使用できます。耐久性も高く、洗濯を繰り返しても型崩れしにくいというメリットがあります。 膝サポーターの効果とデメリット、選び方のポイント 膝の痛みは、日常生活の質を大きく低下させる悩ましい症状です。歩くのも、階段の上り下りも、椅子から立ち上がるのも、痛みが伴うと億劫になってしまいますよね。 自分に合ったサポーターを装着することで、ケガを予防してくれたり、症状の悪化を防いでくれます。しかし、その種類は多岐にわたり、自分に合わないものをつけてしまうと、痛みが増強することもよくあるので注意しましょう。 この章では、膝サポーターの効果とデメリット、そして選び方のポイントを、医師の視点から分かりやすく解説します。ご自身にぴったりのサポーター選びの参考になれば幸いです。 膝サポーターの効果:痛み軽減、関節の安定化、怪我予防 膝サポーターの効果は大きく分けて「痛み軽減」「関節の安定化」「怪我予防」の3つです。 まず「痛み軽減」についてですが、サポーターを装着することで膝関節を適度に圧迫し、保温効果によって血行が促進されます。温かいタオルで患部を温めると痛みが和らぐのと同じですね。また、圧迫によって、関節内の炎症によって生じた腫れを抑える効果も期待できます。 次に「関節の安定化」ですが、膝関節が不安定な状態だと、少しの動きでも痛みを感じたり、転倒のリスクが高まったりします。サポーターは、関節を外部から支えることで安定性を高め、ぐらつきを抑えてくれます。不安定な積み木にそっと手を添えるように、サポーターが膝関節をサポートしてくれるイメージです。 最後に「怪我予防」についてです。スポーツや重労働などで膝に大きな負担がかかる際、サポーターは関節や靭帯を保護し、怪我のリスクを軽減するのに役立ちます。膝への負担が大きい動作を行うスポーツでは、サポーターによる保護が重要です。 膝サポーターのデメリット:締め付けによる不快感、皮膚トラブル、筋力低下 膝サポーターは多くのメリットがありますが、一方でデメリットも存在します。 まず、サポーターによる締め付けが強すぎると、不快感や痛み、血行障害などを引き起こす可能性があります。また、サポーターの素材によっては、皮膚にかぶれやかゆみなどのアレルギー反応が生じることもあります。特に、汗をかきやすい夏場や、長時間サポーターを装着している場合は注意が必要です。 さらに、サポーターに頼りすぎることで、膝周りの筋肉をあまり使わなくなり、筋力が低下する可能性も懸念されます。これは、怪我をした際にギプスで固定し続けると、その部分の筋肉が衰えてしまうのと同じ原理です。サポーターはあくまで補助的な役割であり、過度な依存は避けるべきです。適切な運動やリハビリテーションと併用することで、筋力低下を防ぎ、膝関節の機能を維持することが重要です。 『膝のサポーターをするととても楽です』と言われる患者様には、必ず、『サポーターをつけると、筋肉が落ちるので、必ず筋トレも忘れずにしましょうね』と言います。筋トレをせずにいて、筋力低下を起こすと、ますますサポーターがなくては生活ができなくなるという悪循環に陥るので注意が必要です。 サイズの選び方:適切なサイズで効果を最大化 膝サポーターは、サイズが合ってないと、関節を痛めることとなり、さらに締め付けによる不快感や血行障害を引き起こす可能性があります。 サポーターのサイズを選ぶ際は、必ず膝周りのサイズを正確に測り、商品ごとのサイズ表と照らし合わせて選びましょう。一般的には、膝のお皿の上約10cmの太ももの周囲の長さを基準とします。メジャーを使用して、立った状態で計測するのがおすすめです。 膝サポーターに関するエビデンスと研究データ 膝サポーターは、スポーツ選手から高齢者まで幅広く利用されています。その効果について、様々な意見を耳にすることがあるかもしれません。「効果がある」という人もいれば、「効果がない」という人もいます。一体どちらが正しいのでしょうか? 実は、膝サポーターの効果については、多くの研究が行われており、その結果も様々です。この章では、科学的根拠(エビデンス)に基づいて、膝サポーターの効果と限界について、わかりやすく解説します。 具体的な研究データに基づいた解説 膝サポーターの効果を検証した研究は、世界中で数多く行われています。例えば、サッカー選手を対象とした研究では、膝サポーターが前十字靭帯(ACL)損傷の予防に役立つ可能性が示唆されています。ACLは膝関節の中にある靭帯の一つで、これが損傷すると、歩行やスポーツに大きな支障をきたします。特に、急な方向転換やジャンプの着地時など、膝に大きな負担がかかる動作で、サポーターの効果が期待できるという研究結果が出ています。 また、ランナーを対象とした研究では、サポーターがランニング中の膝の安定性を向上させる可能性が示唆されています。これは、サポーターが膝関節を外部から支えることで、関節のぐらつきを抑え、安定性を高めるためだと考えられます。 さらに、変形性膝関節症の患者さんを対象とした研究では、サポーター装着によって痛みや歩行機能が改善したという報告もあります。 スクワット時の膝への影響 スクワットのように、膝を深く曲げる運動をするとき、膝サポーターはどのような影響を与えるのでしょうか? 研究によると、スクワット時の膝への負担は、膝の曲げ角度によって変化し、特に60~90度の屈曲で大きくなる傾向があります。サポーターはこの負担を軽減する効果があるとされています。 しかし、一方でサポーターの過度な使用は、膝周りの筋肉のトレーニング効果を弱める可能性も指摘されています。これは、サポーターが膝関節を支える役割を果たすため、筋肉が本来担うべき役割を奪ってしまうためと考えられます。サポーターはあくまで補助的な役割として使用し、過度な依存は避けるべきです。適切な運動やリハビリテーションと併用することで、筋力低下を防ぎ、膝関節の機能を維持することが重要です。 動的膝外反への効果 動的膝外反とは、運動中に膝が内側に入ってしまう状態のことです。ジャンプの着地時やランニング中などに、膝が内側に倒れこむように曲がってしまうと、膝関節や靭帯に大きな負担がかかり、痛みや怪我につながる可能性があります。 研究によると、適切なエクササイズと併用することで、サポーターは動的膝外反の改善に役立つ可能性があると考えられています。特に、シングルレッグスクワットやシングルレッグランディングといった片足での運動時に効果的です。これらの運動は、バランス能力や体幹の安定性を向上させる効果があり、動的膝外反の予防・改善に繋がります。サポーターは、これらの運動を行う際に、膝の怪我の予防に活躍してくれます。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「膝の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Pereira PM, Baptista JS, Conceição F, Duarte J, Ferraz J, Costa JT. "Patellofemoral Pain Syndrome Risk Associated with Squats: A Systematic Review." International journal of environmental research and public health 19, no. 15 (2022). Smith TO, Gaukroger A, Metcalfe A, Hing CB. "Surgical versus non-surgical interventions for treating patellar dislocation." The Cochrane database of systematic reviews 1, no. 1 (2023): CD008106. Alentorn-Geli E, Myer GD, Silvers HJ, Samitier G, Romero D, Lázaro-Haro C, Cugat R. "Prevention of non-contact anterior cruciate ligament injuries in soccer players. Part 1: Mechanisms of injury and underlying risk factors." Knee surgery, sports traumatology, arthroscopy : official journal of the ESSKA 17, no. 7 (2009): 705-29. Wilczyński B, Zorena K, Ślęzak D. "Dynamic Knee Valgus in Single-Leg Movement Tasks. Potentially Modifiable Factors and Exercise Training Options. A Literature Review." International journal of environmental research and public health 17, no. 21 (2020).
2025.02.11 -
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突然の頭痛、生理痛、歯痛…痛みは日常生活を大きく阻害する悩みの種です。 ドラッグストアには様々な痛み止めが並び、どれを選べば良いか迷う方も多いのではないでしょうか? この記事では、ロキソニン、ボルタレン、トラムセット、カロナールなど、代表的な痛み止め薬の種類と効果を分かりやすく解説します。 それぞれの薬の特徴、副作用、そしてNSAIDsやステロイド、オピオイドといった分類についても詳しく医師が解説します、 さらに、市販の痛み止め「ロキソニン」と「カロナール」の徹底比較を説明し、それぞれの特徴、効果的な症状、価格、そして副作用のリスクまで、幅広くお伝えします。 例えば、ロキソニンは、筋肉の痛みや生理痛に対してとても有効ですが、胃腸への負担が懸念されます。 一方、カロナールはロキソニンに比べて副作用は弱いが、その分、効き目も弱くなります。 さらに、最新の研究結果に基づいた、2歳未満の乳幼児への服用に関する情報や、妊娠中・授乳中の方への注意点も詳しく解説。薬剤師への相談の重要性も改めて強調します。 この記事を読むことで、痛みから解放されるための知識が得られます。 さあ、痛みと賢く付き合う方法を学びましょう。 痛み止めの種類とその効果、副作用 皆さんは、急な頭痛や発熱時、どの市販薬を選べば良いか迷ったことはありませんか? この章では、市販薬の選び方のポイントを、医師の視点から分かりやすく解説します。 ロキソニン ロキソニンは「ロキソプロフェンナトリウム水和物」という成分の鎮痛剤で、炎症を抑える作用が強い非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種です。 頭痛、歯痛、生理痛、腰痛、筋肉痛、関節痛、手術後や外傷後の痛みなど、様々な痛みに効果を発揮します。 炎症とは、体を守るための反応で、発赤、腫れ、熱感、痛みなどの症状を伴います。 ロキソニンは、この炎症を引き起こす物質の生成を抑えることで、痛みを和らげるのです。 即効性があり、効果も比較的長く持続するのが特徴です。 市販薬としても入手できますが、胃への負担があるため、空腹時の服用は避け、食後に服用することが推奨されます。 また、胃腸の弱い方や、過去に胃腸障害を起こしたことがある方は、特に注意が必要です。 ボルタレン ボルタレンは「ジクロフェナクナトリウム」という成分のNSAIDsで、ロキソニンと同様に炎症を抑える作用が強い痛み止めです。 ロキソニンと同じく、様々な種類の痛みに効果があり、坐薬、テープ剤、ゲル剤など、様々な形態で利用できるのが特徴です。 例えば、炎症を起こしている関節にボルタレンのテープ剤を貼ることで、その部分に直接薬剤が浸透し、効果的に痛みや炎症を抑えることができます。 また、坐薬は、飲み薬を服用できない場合や、吐き気がある場合などに有効です。 トラムセット トラムセットは「トラマドール塩酸塩」と「アセトアミノフェン」という2種類の成分を配合した痛み止めです。 トラマドールは、オピオイド系鎮痛薬に分類され、脳内の痛みの伝達を抑制する作用があります。 アセトアミノフェンは、解熱鎮痛作用を持つ成分で、2つの成分の相乗効果により、中等度から高度の痛みに効果を発揮します。 カロナール カロナールは「アセトアミノフェン」を主成分とする痛み止め、解熱剤です。比較的穏やかな効き目があり、子供から高齢者まで幅広く使用できます。 副作用が少ないため、安全性が高いとされています。市販薬としても入手しやすく、風邪による発熱や頭痛、生理痛などの痛みによく使われています。 セレコックス セレコックスは「セレコキシブ」という成分のNSAIDsの一種です。他のNSAIDsと比べて、胃腸への負担が少ないという特徴があります。 そのため、胃腸の弱い方や、他のNSAIDsで胃腸障害を起こしやすい方に向いています。 リリカ リリカは「プレガバリン」という成分の薬で、神経障害性疼痛という、神経の損傷によって起こる痛みやしびれに効果があります。 帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害、線維筋痛症などの治療に使用されます。 ステロイド ステロイドは、副腎皮質ホルモン剤と呼ばれる薬で、強力な抗炎症作用と免疫抑制作用があります。 様々な炎症性疾患やアレルギー疾患、自己免疫疾患の治療に使用されます。 オピオイド オピオイドは、モルヒネなどの麻薬性鎮痛薬の総称です。 非常に強い鎮痛作用があり、がんなどの強い痛みをコントロールするために使用されます。 注意すべき副作用:アスピリン喘息について アスピリン喘息は、アスピリンやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を服用することで喘息発作が誘発される特殊な病態です。 この疾患は成人の喘息患者の約10%に見られ、通常は成人期に発症します。 特徴的なのは、アスピリンだけでなく、ロキソニンやボルタレンなどの一般的な痛み止めでも発作が引き起こされることです。 これらの薬を服用すると、重度の喘息発作や呼吸困難に加えて、鼻水、くしゃみ、鼻づまりといった症状が現れます。 また、多くの患者さんが慢性的な副鼻腔炎や鼻ポリープを合併しています。 この病気の患者さんが痛み止めを使用する必要がある場合、アセトアミノフェン(カロナール、タイレノールなど)が比較的安全とされています。 ただし、初めて使用する際は少量から開始し、医師に相談しながら使用することが推奨されます。 成分から分類した痛み止めの種類 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 作用:炎症、痛み、発熱を抑制 メカニズム:プロスタグランジン生成を抑制(COX阻害) - ロキソニン(ロキソプロフェン) - ボルタレン(ジクロフェナク) - モートリン(イブプロフェン) - バファリン(アスピリン) アセトアミノフェン - 作用:主に痛みと発熱を抑制(抗炎症作用は弱い) - メカニズム:中枢神経系に作用 - 胃への負担が少なく、妊婦や小児にも使用可能 - 代表的な製品: - カロナール - タイレノール - ピリナジン イブプロフェン(NSAIDsの一種) - 作用:炎症、痛み、発熱を抑制 - メカニズム:他のNSAIDsと同様(COX阻害) - 代表的な製品: - EVE(イブ) - バファリンEX - ブルーレット ・モートリン(イブプロフェン) 主な使い分け: - 炎症を伴う痛み → NSAIDs - 発熱や軽い痛み → アセトアミノフェン - 胃が弱い人 → アセトアミノフェン - 生理痛 → イブプロフェンまたは他のNSAIDs 痛み止めランキング 数ある市販薬の中でも、ロキソニンとカロナールは特に知名度が高く、多くの方に利用されています。 ここでは、痛み止めランキング上位にある、ロキソニンとカロナールの違いについて比較します。 ロキソニンとカロナールの違い ロキソニンは頭痛、歯痛、生理痛、腰痛、筋肉痛などによく服用されます。 患部で炎症を引き起こす物質であるプロスタグランジンの生成を抑える効果があります。 一方、カロナール(一般名:アセトアミノフェン)は、解熱鎮痛薬として広く使用されており、脳神経に直接働きかけて炎症を止めます。 ロキソニンと比較すると作用は穏やかで、小児や高齢者、妊娠中・授乳中の方にも使用できる場合があります。 2歳未満の乳幼児における発熱や疼痛の治療において、アセトアミノフェンとイブプロフェンはどちらも広く処方されていますが、最新の研究では、イブプロフェンの方が24時間以内の体温低下と疼痛軽減効果が高いという結果が出ています。 ただし、安全性は両剤とも同等とされています。 薬剤名 主な作用 適した症状 注意点 ロキソニン 炎症を抑える、痛みを抑える 頭痛、生理痛、歯痛、腰痛、筋肉痛など 胃腸障害に注意、空腹時の服用は避ける カロナール 熱を下げる、痛みを抑える 熱、頭痛、歯痛など 肝臓に負担があるため、過剰摂取に注意する 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 値段比較とコストパフォーマンス ロキソニンとカロナールの価格を比較すると、一般的にロキソニンの方がややコストがかかります。 販売店や容量によって異なりますが、ロキソニンは1箱12錠入りで約1,000円前後、カロナールは1箱12錠入りで約800円前後が相場です。 薬剤名 1箱(12錠)あたりの価格 コストパフォーマンス ロキソニン 約1,000円 やや低い カロナール 約800円 やや高い しかし、価格だけで判断せず、症状や体質、そして副作用のリスクも考慮して選ぶことが重要です。 ロキソニンは胃腸障害のリスクがあるため、胃腸の弱い方はカロナールを選ぶ方が良い場合もあります。 薬局で購入する際のポイント 市販薬を購入する際は、自己判断せず、薬剤師に相談することを強くお勧めします。 薬剤師は、あなたの症状や体質、他の薬との飲み合わせなどを考慮し、適切な薬を提案してくれます。 薬の効果や副作用、服用方法など、疑問があればどんな些細なことでも相談しましょう。 特に、妊娠中・授乳中の方、持病のある方、高齢の方は、注意が必要です。 急性痛の治療には、NSAIDs(ロキソニンなど)、アセトアミノフェン(カロナールなど)、メタミゾール、コルチコステロイドなど、様々な薬剤が使用されます。 これらの薬剤はそれぞれ異なる作用機序と臨床応用を持ち、最新の科学的エビデンスに基づいて使用されるべきです。 例えば、グラピプラントという生薬も抗炎症作用を持つことが報告されており、NSAIDsのような副作用が少ないとされています。 薬剤師や医師と相談し、ご自身の症状に最適な薬剤を選択することが重要です。 症状別のロキソニンとカロナールの効果比較 痛みは、私たちにとって非常に不快な感覚であり、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。 上手に痛み止めを選び、痛みをコントロールし、より快適な生活を送ることが可能になります。 ここでは市販薬として購入できるロキソニンとカロナールについて、どちらが効果的なのか、医師の視点から分かりやすく解説します。 頭痛に対する効果の違い ズキズキ、ガンガン、締めつけられるような…頭痛の症状は実に様々です。 片頭痛のように血管が拡張することで起こる頭痛、緊張型頭痛のように筋肉の緊張が原因となる頭痛など、その種類は多岐に渡ります。 ロキソニンは、炎症を伴う頭痛、例えば風邪に伴う頭痛や副鼻腔炎による頭痛などに高い効果があります。 一方、カロナールは、解熱鎮痛薬であり、緊張型頭痛や片頭痛など、炎症を伴わない頭痛に適しています。 筋肉痛に対する効能 筋肉痛は、身体活動後に筋肉に微細な損傷が生じることで起こります。 損傷した筋肉は炎症を起こし、発痛物質が放出されることで痛みを感じます。 ロキソニンは、こういう筋肉痛にはよく効きます。 一方、カロナールは筋肉痛への効果は限定的です。 腰痛や関節痛への効果 腰痛や関節痛の原因は多様であり、加齢による変形性関節症や、急に発症するぎっくり腰、スポーツによる外傷など、様々な要因が考えられます。 これらの痛みの原因や病態に応じて薬を選定しましょう。 ロキソニンの抗炎症作用は強く、炎症を伴う腰痛や関節痛、例えばぎっくり腰や変形性関節症などに効果があります。 変形性関節症では関節軟骨がすり減り、炎症が生じることで痛みが発生します。この時はロキソニンがよく効きます。 一方、カロナールですが、近年、変形性関節症の疼痛と機能改善において、アセトアミノフェン(カロナール)は、従来考えられていたほど効果的ではない可能性が示唆されています。 痛みが軽い場合や、ロキソニンを服用できない場合に代替薬として処方されることもありますが、ロキソニンと比較すると効果は劣る可能性があります。 ▼関節症の痛み止め「ステロイド」の使用について、併せてお読みください。 ロキソニンとカロナールの副作用と注意点 痛みや熱が出た時、身近な薬として頼りになるロキソニンとカロナール。ドラッグストアで手軽に手に入りますが、その効果の違いや副作用について正しく理解しているでしょうか? 適切な薬を選ぶことは、症状の改善を早めるだけでなく、副作用のリスクを減らすことにも繋がります。 この章では、ロキソニンとカロナールの副作用と注意点について、医師の視点から詳しく解説します。 一般的な副作用とその対処法 ロキソニン(ロキソプロフェン)は、抗炎症作用は強いのですが、副作用として腎障害に注意する必要があります。 吐き気、胃痛、胸やけといった症状が現れる可能性があり、特に空腹時に服用すると副作用が出やすいため、食後や胃を保護する薬と一緒に服用することが推奨されます。 稀に、ですが、肝機能障害や腎機能障害といった副作用を認めることがあります。 早期に分かれば、内服するのを中止すると大抵は正常に戻ります。 カロナール(アセトアミノフェン)は、解熱鎮痛薬として広く使用されており、比較的副作用が少ない薬です。 主な副作用としては、発疹やかゆみなどのアレルギー症状が挙げられます。 稀ではありますが、重症の皮膚障害である中毒性表皮壊死症やスティーブンス・ジョンソン症候群など重篤な副作用が発生する可能性も否定できません。 服用後に皮膚に異常を感じた場合は、直ちに中止してかかりつけ医に受診しましょう。 薬の種類 主な副作用 対処法 ロキソニン 吐き気、胃痛、胸やけ、肝機能障害、腎機能障害 食後に服用、胃薬と併用、症状が続く場合は医師に相談 カロナール 発疹、かゆみ、重症の皮膚障害 服用を中止し医師に相談 また、2歳未満の乳幼児における発熱や疼痛に対する使用については、イブプロフェン(ロキソニンの成分)の方がアセトアミノフェン(カロナールの成分)よりも効果が高いという研究結果も出ています。 24時間以内の体温低下と疼痛軽減効果において、イブプロフェンの優位性が示されています。 ただし、重篤な副作用はどちらの薬も稀であり、安全性は同等と考えられています。 妊娠中・授乳中の服用に関する注意事項 妊娠中や授乳中の薬の服用は、胎児や乳児への影響を考慮する必要があります。 ロキソニンは、妊娠後期に服用すると、胎児の動脈管収縮や陣痛抑制といった影響を及ぼす可能性があるため、服用は避けるべきです。 特に妊娠32週以降は、早産や胎児への影響のリスクが高まるため、ロキソニンを含むNSAIDsの使用は禁忌とされています。 カロナールは、妊娠中や授乳中に服用しても比較的安全とされています。 ただし、あくまで「比較的」安全であるというだけで、全く影響がないわけではありません。 他の薬との飲み合わせについて ロキソニンやカロナールは、他の薬と一緒に飲むことで、抗炎症作用の効果が落ちたり、副作用が強くなることがあります。 特に、ワーファリンなどの血液をサラサラにする薬や、喘息治療薬、一部の抗うつ薬などとの飲み合わせには注意が必要です。 ▼薬とフルーツの飲み合わせについて、併せてお読みください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Tan E, Braithwaite I, McKinlay CJD, Dalziel SR. "Comparison of Acetaminophen (Paracetamol) With Ibuprofen for Treatment of Fever or Pain in Children Younger Than 2 Years: A Systematic Review and Meta-analysis." JAMA network open 3, no. 10 (2020): e2022398. Richard MJ, Driban JB, McAlindon TE. "Pharmaceutical treatment of osteoarthritis." Osteoarthritis and cartilage 31, no. 4 (2023): 458-466. Antiinflammatory Drugs.
2025.02.01