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膝が痛む|痛む場所(内側、外側、上側、下側)から分かる膝の病気 膝という部分は、太ももに付着している大腿骨、足のすねに位置する脛骨および腓骨、そしていわゆるお皿と呼ばれている膝蓋骨などが組み合わさって構成されています。 これらの骨組織は日常生活や運動時などに膝を曲げ伸ばしするときに上半身などを含めた全身の体重を支える重要な役割を担っていますが、通常では接合が浅いために普段から安定した動きが可能となるように半月板、靭帯などの周囲組織が補助しています。 このような膝を構成する各々の構造物組織が外傷や加齢に伴い、異常が発生して損傷を受けたりすると、その部位に応じた膝の痛みを自覚することになります。 今回は、「膝が痛む場所からわかる膝疾患に関する情報」を詳しく解説していきましょう。 膝の痛む部位別に解説します ①膝の外側が痛む ②膝の内側が痛む ③膝の上側が痛む ④膝の下側が痛む ①「膝の内側」が痛む膝の病気とは 「膝の内側が痛む膝の病気」として代表的なものに「変形性膝関節症」が考えられます。 一般的に中高年の人々が膝痛を自覚して、歩行運動や階段の昇り降り、正坐などの日常動作が困難になった場合にはほとんどが変形性膝関節症である場合が多く、高齢者においては膝の痛みの大部分は変形性膝関節症が原因と言われています。 そもそも膝関節部というのは靭帯や筋肉、骨組織が蝶つがいのようにスムーズに動く部位であり、骨表面はクッションの役割を果たしている軟骨で覆われています。 ところが、変形性膝関節症ではこの軟骨組織が加齢に伴ってすり減って破壊されることが分かっており、関節が滑らかに動かなくなるのみならず膝関節部に炎症を引き起こして、特に膝内側部に腫れや痛みなどの症状を認めることになります。 本疾患の初期段階では運動するときや仕事で膝部分に重い負担がかかった際に、膝の内側に疼痛症状を自覚することが多く、同部が腫れあがる、あるいは硬く隆起して患部を押すと圧痛を感じると言われています。 ②「膝の外側」が痛む膝の病気とは 「膝の外側部に痛みを覚える膝」の病気として、「腸脛靱帯炎(いわゆるランナー膝)」が知られています。 ランニングをしていて膝が痛くなった人も多いと思いますが、本疾患は陸上競技のランナーなどに多く認められることが知られており、膝や足先を酷使した場合に特に膝の外側部にズキズキした疼痛症状を自覚することが特徴的とされています。 ランニングを開始して間もない方や筋力が弱いケース、O脚で体重が外側にかかりやすい人で罹患しやすいと言われており、特にランニング場面においては着地時に過剰な負荷がかかるとされている下り坂を走るときに膝の痛みが増強します。 初期の状態では、長距離の陸上競技、サイクリング、スキー、バスケットボールなどの競技中にのみ疼痛症状が出現し安静にすると軽快しますが、次第に病状が悪化すると運動後のみならず日常生活にも痛みを感じて支障をきたすと伝えられています。 ③「膝の上側」が痛む膝の病気とは 「膝の上側が痛む」際には、膝の皿と筋肉の付着部が裂けて炎症が引き起されている場合や膝関節内部に液体が貯留している可能性が高いと考えられます。 特に、膝の上側が痛む膝の病気としてよく知られているのは、「大腿四頭筋付着部炎」です。 本疾患は、膝の皿の部分とふともも筋肉の付着部周囲に強い炎症が起こっている状態であり、患部を押すと圧痛を認めますし、普段の生活の中で階段を登る、ジャンプするなど膝を曲げ伸ばし運動した際に膝の皿の上がひどく痛むことが多いとされています。 この疾患は、小学生から中学生ぐらいの年代の子供で罹患数が多く、フィギュアスケートやバレーボール、あるいはバスケットボールなどを始めとして膝部分をよく駆使するスポーツ競技者で発症し、飛び跳ねる、繰り返して屈伸動作をすると膝を損傷しやすくなります。 ④「膝の裏側」が痛む膝の病気とは 「膝の裏側に痛みを自覚」しやすい膝の病気として、関節リウマチや膝靱帯損傷などが考えられます。 関節リウマチという疾患は、自己免疫の異常により軟骨組織や骨成分が破壊されて関節が変形して関節部位で炎症が引き起こされて、腫脹所見や激しい疼痛症状を認める病気です。 関節リウマチの患者数は現在のところ80万人程度存在すると推定されており、発症する好発年齢性別は30代から50代前後の中年女性であることが知られています。 初期症状としては手足の手指領域の関節部が左右対称性に腫れる、或いは毎朝に指がこわばる、そして発熱や倦怠感、食思不振などの全身症状が出現することも経験されます。 そして、膝部分には一般的に4つの靱帯が存在しており、それぞれの場所によって内側側副靱帯、外側側副靱帯、前十字靱帯、後十字靱帯に分類されています。 交通事故やスポーツ受傷など外傷イベントによって大きな力が膝関節に加重されて、万が一膝の靱帯に強い損傷が生じると膝の裏側が痛むことも考えられます。 通常では、内側および外側側副靱帯は横方向、また前・後十字靱帯は膝の前後方向の動きを司っており、特に内側側副靱帯と前十字靱帯が損傷を受けやすいと考えられています。 まとめ・膝が痛む|痛む場所(内側、外側、上側、下側)から分かる膝の病気 今回は膝が痛む場所からわかる膝疾患について詳しく解説してきました。個々の経過や受傷状況などによって専門医による診察が重要であることは言うまでもありませんが、膝の痛む場所によってそれぞれ特徴的な膝疾患があることも事実です。 膝の痛む部位別、膝疾患早見表 疑いのある病変 「膝の内側」が痛む膝の病気 変形性膝関節症の疑い 「膝の外側」が痛む膝の病気 腸脛靱帯炎(いわゆるランナー膝)の疑い 「膝の上側」が痛む膝の病気 大腿四頭筋付着部炎の疑い 「膝の裏側」が痛む膝の病気 関節リウマチ、膝靱帯損傷の疑い このような膝の痛みで思い当たる場合は、早めに病院や整形外科にて診察を受けることを心がけて下さい。早めの治療が回復への近道です。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S062 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の幹細胞治療が膝の痛みに対応します 膝の痛みに対する新たな選択肢、再生医療なら手術不要、入院いらずで症状の改善を目指します ▼以下も参考にされませんか 膝の裏が痛む、腫れる!ベーカー嚢腫の原因と治療について
最終更新日:2024.02.28 -
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膝が痛む!身体のサインを見逃さない!症状が悪化、重症化の懸念 みなさんの日々の暮らしの中で「膝が痛い!」と感じたことはありませんか? 膝痛は時間が経過すれば、放置しても自然と治癒すると思っていませんか? 膝関節は、見た目では分からないほど色々な組織で取り囲まれていて複雑な構造をしています。また体重の何倍もの衝撃を受け止めてくれる存在でもあり、スポーツはもちろんのこと、日常生活でも損傷を受けやすい場所と言えるのです。 膝の組織は、年月を経て加齢に伴って消耗していくことをご存知でしょうか? そのため、高齢になればなるほど膝の痛みを自覚する人が増加する傾向があります。 また、激しいスポーツ競技を繰り返したり、肥満気味で体重が重い場合など、膝部分には大きな負担、ストレスがかかってしまうと想像頂けるでしょうか。 膝は日常的にも歩く、走る、座る、立ち上がるといった誰にとっても重要な役割を果たしている大切な部位です。その部分に痛みなどの違和感があるにも関わらず放置していると、スポーツはもちろん、日々の生活で歩いたり、階段を昇り降りするなど単純な動作も困難になる可能性があります。 今回は、膝の痛みを放置すると、どうなるかということをテーマに、膝の痛みに対して病院でどのような処置をするのか、膝の痛みを放置しないで病院へ行くことの重要性を解説してまいります。 膝の痛みがありながら、放置するとどうなるか 膝が痛む原因は様々です。 例えば外傷で靭帯を損傷する場合もありますし「変形性膝関節症」「腱炎」や「滑液包炎」などの疾患が原因となることも考えられます。 変形性膝関節症とは、関節部位においてクッションのような役割を果たしている軟骨成分が、加齢や筋肉量の低下によって組織が摩耗し、擦り減ることで膝の痛みを認め、最終的に骨の変形にまで至る疾患です。 変形性膝関節症においては、個々によって症状の程度や進行度合いが異なる事が知られており、変形がかなり進んでいても痛み症状を自覚しない場合もあれば、強度の痛みを認めていても実際にはあまり関節変形が認められない方もいらっしゃいます。 特に超高齢化社会を迎える我が国では、中高年の人々は膝部の違和感や痛みが慢性化している場合が多く、症状を放置してしまう傾向があります。 しかし、「膝からのサインを見逃すと、症状が悪化して変形性膝関節症を始めとする関節疾患を招く結果」となってしまいかねません。 当然ですが、どんな疾患であっても早期に発見することができて、早期に治療できれば治癒までの期間も少なくて済みますし、処置自体も軽く済む傾向が高いものです。 発見や治療が遅れれば遅れるほど重症化し、治癒期間は長くなり、治療方法も複雑化してしまいます。 「痛みは体からのサイン」です。膝に痛みや違和感を感じたら、症状が軽いからこそ、その状態のうちに病院等の医療機関へ出向くことが正解です。 膝の痛みに対して病院でどのような処置をするか 日常生活で膝に痛みを感じた人が整形外科などを受診すると、専門医による問診や触診などの診察を受けると同時にレントゲン検査を始めとし、必要に応じてCTや、MRIなどの画像検査が行われます。 これは表面から見えない骨や、組織の状態を把握するためです。この検査から得られたデータに基づいて確実な治療を実施するための正確な診断に結び付けられています。 慢性的な膝の疼痛症状に対する治療策としては、「薬物療法」、「リハビリテーション治療」、「手術治療」などが存在し、症状に合わせた治療が選択されます。 検査の結果、診断内容や、ひざ痛の原因にもよりますが、患者さん本人の症状が軽度の際には内服薬や外用薬を使用することで痛みといった症状を緩和することから始まり、場合によっては膝関節内にヒアルロン酸を注射を投与することで膝の可動域を広げたり、炎症を抑えたりする治療が行われます。 これらの治療と合わせて膝の痛みを抱えた患者さんに対して、日常生活に十分復帰や対応できるようにリハビリテーションを実践することで筋力の衰えや、膝の可動域の確保、こわばりといった症状を防ぎます。 さらに膝部分を温める物理療法、ならびに足底板(インソール)や膝、サポーターなどの装具を作成して、膝周りを支えることで膝を安定化させる理学療法がおこなわれます。 ただし、このような保存的な治療でも膝の痛みが改善しない場合で病状の進行を認める際には主治医より、関節鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などの手術による加療の選択を勧められることがあります。 膝の痛みは放置してはいけない。病院へお越しください 膝痛の原因として多いのが「変形性膝関節症」というもので、加齢やケガで軟骨がすり減り、膝関節が変形してしまう病気です。 初期状態では日々の生活上、立ち上がる際に痛みを感じるの程度であり、痛みがあっても、しばらく安静にすれば症状も改善するため、大した症状ではない、また痛みが薄れると治ったと甘く考えたりして勘違いすることがあります。 実は、この膝に起こる痛みといった症状こそが更なる病状悪化のサイン、前兆である可能性があります。 放置した結果、病状が進行すると軟骨組織が、すり減って膝関節の骨と骨のすき間が狭くなると同時に、骨辺縁部位に骨棘(こっきょく)と呼ばれるトゲのような突起物が骨に形成され、更に骨が変形して病状が悪化していく可能性があります。 変形性膝関節症では時間経過とともに徐々に症状が重くなり、次第に正座や階段の昇降がスムーズにできなくなり、末期状態になると安静時にも膝部位に痛みを覚えるようになり、関節部の変形も顕著になって最終的には歩行することが困難になってしまいます。 変形性膝関節症は、けして自然治癒しないとお考え下さい。それどころか完治が難しい進行性の疾患です。したがって、膝部に疼痛症状を自覚された際には初期の段階で、早めに整形外科など病院の診療科に行き、検査、診断を経て治療を開始することで病状の進行を遅らせなけらばなりません。 また既に、階段の昇降や正座が困難になってきた、最近では安静時にも膝の痛みを覚えて歩けなくなってきたなどの症状に心当たりのある場合も、ぜひ早めに医療機関を受診されるようお勧め致します。 まとめ・膝が痛む!身体のサインを見逃さない!症状が悪化、重症化の懸念 今回は膝の痛みを放置するとどうなるか、膝の痛みに対して病院でどのような処置をするか、膝の痛みを放置せずに病院へ行く重要性などについて詳しく解説してきました。 年齢を重ねれば重ねるほど、身体の色々な箇所に不調が出現するものですが、特に実生活において非常に大きく影響を及ぼす症状のひとつとして「膝の痛み」が挙げられます。 膝の痛みや違和感をそのまま放っておくと、膝関節の骨自体が変形してしまう変形性膝関節症を代表とする関節疾患を発症して日常生活に重大な支障をきたすなど様々なリスクが考えられます。 そのため、自己判断で放置せず、病院等、医療機関を受診するよう心がけましょう。 早期発見、早期治療が何よりも大切です。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S056 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 膝の痛みに再生医療という選択肢! 変形性膝関節症の軟骨のすり減り、再生医療なら軟骨を再生できることをご存知でしょうか ▼以下もご参考にされませんか 膝痛の原因と治し方|40代以降、中年期にご注意下さい
最終更新日:2024.02.29 -
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軟骨成分、プロテオグリカンは本当に関節痛に効果的があるのか? 関節の痛みが続くと階段の上り下りや椅子に腰掛けるといった日常的な動きも大変になるため、早目に対処したいものです。関節痛に効果のある成分といえば、コラーゲンや、ヒアルロン酸などがよく知られていました。 しかし、近年これらをさらに上回る働きをもつ成分として近年注目されているのがプロテオグリカンです。プロテオグリカンは、関節と関節の間にある軟骨(関節軟骨)を主成分の一つであり、保水性に優れているため軟骨の保護に効果的と言われています。 本記事では、プロテオグリカンの効果効能や関節痛との関わりについて解説してまいります。 プロテオグリカンとは 関節軟骨は、骨とは違い、約70%が水分、他30%がプロテオグリカンやコラーゲン、ヒアルロン酸で構成されています。プロテオグリカンとは関節と関節の間にある軟骨や皮膚に存在している保水性に優れた成分です。 プロテオグリカンは例えるなら水をよく含んだスポンジです。軟骨に摩擦や衝撃が加わると、水分が浸みだして、軟骨に潤いを与えます。これにより、関節が摩擦や衝撃から守られるのです。 近年では、プロテオグリカンの様々な効果・効能が数多くの研究により報告されており、健康食品や化粧品の原材料として利用する動きが高まっています。 プロテオグリカンはどうやって作られる? プロテオグリカンは、プロテイン(タンパク質)とグリカン(多糖)が結合した「糖タンパク質」と言われるものです。糖は水とよく馴染むため、高い保湿性や弾力性をもたらします。 プロテオグリカンは、19世紀末に発見されました。その当初から関心の高い成分ではありましたが、これまではなかなか研究が進んでいませんでした。 それというのもプロテオグリカンは、分子量が大きく複雑であるため、素材として取り出すことが困難だったことが大きな理由です。しかし、弘前大学医学部の研究により氷頭(ひず)と呼ばれるサケの鼻軟骨からプロテオグリカンを安全で安価に抽出する技術が確立されたことでプロテオグリカンの活用が一気に進むことになりました。 現在では、プロテオグリカンによる様々な効果効能が報告されており、健康食品や化粧品への応用も進められています。 プロテオグリカンの効果・効能 プロテオグリカンには、次のような効果効能が期待できるといわれています。 ・細胞の増殖や成長を促進 ・抗炎症作用 ・生活習慣病の予防 細胞の増殖や成長を促進 プロテオグリカンは、細胞の増殖や成長を促進する因子(EGF)とよく似た作用があることが報告されています。摩擦や衝撃ですり減った軟骨細胞を修復する機能は関節痛を和らげるために非常に重要です。 また、プロテオグリカンはコラーゲンやヒアルロン酸の生成を促す作用があるため、美肌効果も期待できます。 抗炎症作用 プロテオグリカンには、炎症を抑えるサイトカインの働きを促す効果があるため、抗炎症作用があるといわれています。軟骨細胞の修復に加えて、痛みそのものの軽減も期待できます。 生活習慣病の予防 プロテオグリカンは、肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防にも効果を発揮するといわれています。プロテオグリカンを摂取することで、体重の減少や血糖値の上昇抑制に繋がったとの報告があるようです。 プロテオグリカンは関節痛に効くのか 関節は私たちの生活にとって大切な役割を果たしており、関節痛が慢性化すると日常生活が制限されてしまいます。 プロテオグリカンは擦り減った軟骨の修復を助け、関節痛の症状の進行を抑制すると考えられています。軟骨のもとになる細胞(軟骨前駆細胞)を増やすことで、軟骨細胞の増加の促進に繋がるのです。 また、プロテオグリカンには抗炎症作用もあるため痛みを和らげることにも期待ができます。 食事でプロテオグリカンを取り込むのは難しい プロテオグリカンは動物の軟骨の主成分であるため、食事で摂取することができます。特に、魚や動物の軟骨に多く含まれています。ただ、プロテオグリカンを構成しているタンパク質は熱に弱いため、加熱すると分解されてしまう点が難点です。 また、タンパク質は胃や腸で消化吸収される際にアミノ酸にまで分解されるため、食事で摂取したプロテオグリカンを、そのまま成分として身体に取り込むことは非常に難しいと言わざるを得ません。 ただし、タンパク質は必須栄養素として身体には大変重要で良い働きをもたらします。軟骨のため!美容のため!と摂取してもダイレクトに届けるのは難しいということです。 食事(消化器官から)でプロテオグリカンを成分として取り込むのは難しい サプリメントでもプロテオグリカンを取り込むのは難しい プロテオグリカンは、サプリメントとして発売されており、摂取することで効果的に取り込めると表示しているモノもありますが、一般的に考えて食事同様、サプリは胃や腸で分解されてしまうため、プロテオグリカンを血中に取りこむことは難しいと思われます。 また、取り込めたとしても軟骨は、血流が少ないためにその成分が届くとは考えにくいと思われす。つまり、プロテオグリカンのサプリメントを摂取しても軟骨が再生するというほどの効果を上げることは難しいと考えます。 プロテオグリカンは、膝などの関節以外、美容面での効果を大きく表示していることもありますが上記と同じ理由にて積極的に効果があるとはいえません。ただ、プラシボー効果による効いたような感覚になることがあるかもしれません。ただ、それも効果です。 食事と同様、サプリメントでプロテオグリカンを成分として取り込むのは難しい 取り込めても、血管が少ない関節には届くとは考えにくい プラシボー(プラセボ)効果とサプリメント プラシボー効果(プラセボとも言います)という言葉をご存知でしょうか。プラシボー効果は有効ではない「くすり等」を、成分が含まれている前提で使用者に摂取させると、実際に効いた人が出る現象です。 いわゆる偽薬なのに効いてしまうという訳です。これは、どういうことでしょう? 人は、「〇〇に良い成分が入っているから!」と言われると(知ると)、その効果に対する暗示を受けてか、実際にその効果を実感することがあります。これは自らの治癒力が発揮されて解決に導いている…のではないかと言われる不思議な現象です。 だからといって偽の薬や、サプリがすべて代替えできるものかというと、もちろんそうではありません。プラシボー効果は絶対ではないからです。当然ですが万人に効くとは言えません。 逆に「薬」と言われるものは、当然ですが効果が明確に証明され、安心して使用できるものです。 ただ、サプリメントを摂取することで得られる精神的な満足感があるのは否めず、プロテオグリカンも摂取するとするなら、せっかくなので疑いながらではなく、「効果がある」、「効いてる」と思って摂取したほうが良いかもしれません。 ・実効は無いはずのものが、効果を発揮することがあるいプラシボー効果 ・自身の治癒力が精神的な面から発揮されている可能性がある 実は!関節のプロテオグリカンは自分で増やせる ここまでプロテオグリカンを取り込むために食物やサプリメントのお話をしましたが、実は関節のプロテオグリカンは、身体の中にある成分で、食事やサプリに頼ることなく自分自身で増やすことができると言われています。 では、どうすれば「プロテオグリカン」を自ら増やすことができるのでしょうか? その答えは、実は単純。体を動かす機会を増やすことです。運動などで関節の曲げ伸ばしを行うと、血流量が増加して軟骨細胞に酸素や栄養が行き渡り、プロテオグリカンの増加が促進されるのです。 その逆に、動かしたり、運動をしないでいると身体が、「プロテオグリカンは必要がない」と判断するため減少てしまいます。つまり、自ら積極的に体を動かすことで身体にプロテオグリカンの必要性を感じさせることが大切なのです。 その意味でリハビリなどの運動療法は、非常に効果的であり、理に適っているといえるのです。 また、プロテオグリカンを増加させるのに激しい運動は必要ありません。ウォーキングやストレッチなどでも十分に効果的です。関節の痛みを恐れて運動不足になってしまうと、酸素や栄養が軟骨細胞に供給されなくなります。 結果、プロテオグリカンが減少し、かえって関節痛の悪化に繋がる恐れがあります。 ただし、増えるなら!と無理することは禁物、膝などの関節に痛みや故障がある場合は、病院等、医療機関の専門家の指導の下、身体に無理のない範囲で行うようにしてください。 プロテオグリカンは、軟骨成分 > 身体にある成分なので自分で増やすことができる 身体を適度に動かすこと > プロテオグリカンが必要と身体が反応 > 増加へ 身体を動かさない > プロテオグリカンが不要と身体が判断 > 増えない 医療機関等、専門家の指導の下、適度な運動やリハビリを行ってプロテオグリカンを増やそう! まとめ・軟骨成分、プロテオグリカンは関節痛に効果があるのか? 関節痛の緩和に効果のあるプロテオグリカンは、食事やサプリメントで摂取することは現実的ではないのが本当ですが、精神的な満足感や、プラシボー効果などで実際に効いてしまう人がいるのも事実です。 ただ、適度な運動を行うことでプロテオグリカンを増やすことができると言われているため、関節の健康のためには、身体を安静にしすぎることなく、医療機関や専門家の指導に従って適度な運動などを行い、関節を動かすことでプロテオグリカンの減少を防ぐことができるはずです。 まずは普段の生活から健康的でバランス取れた食事をしっかり食べて、適度な運動を心がければプロテオグリカンが不足する事態を防ぐことが可能なはずです。 もし今、すでに関節痛で悩まされていて症状を改善したいなら、サプリメントなどに頼るのではなく、病院や医療機関を受診し、指導を受けられてはいかがでしょうか。 また、再生医療という最先端の治療法もあり、興味がある場合は以下のリンクからチェックされることをおススメします。 以上、軟骨成分、プロテオグリカンは関節痛や美容に効果的なのか?と題して記させて頂きました。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 No.S054 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の幹細胞治療が膝の痛みを止める! 膝の新たな治療法、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます
最終更新日:2023.10.04 -
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ランナー膝のひとつ(膝蓋軟骨軟化症)とは、その原因、症状と治療法 ランニングなどの競技で膝を過剰に酷使した際に起こる障害を総称してランナー膝と呼んでいますが、膝蓋骨の裏側にある軟骨に異常が出現する「膝蓋軟骨軟化症」もランナー膝のひとつと考えられています。 この疾患は、特に若年層の女性に多く発症するひざ痛を生じさせる病気として周知されており、膝蓋骨の裏側にある軟骨部分に変形や破壊などの損傷変化が引き起こされることで膝関節部に強い疼痛症状を自覚することが多いです。 今回は、若い女性ランナーに多いと言われている膝蓋軟骨軟化症という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 ・膝蓋軟骨軟化症:若い女性ランナーに多く見られる ・ランニングなどで膝を酷使した場合に起こるランナー膝のひとつ 膝蓋軟骨軟化症の原因 そもそも膝蓋軟骨とは、膝の皿である膝蓋骨のうしろ側に付着している軟骨成分のことを指しており、通常であれば大腿骨と関節部を構成しています。 この軟骨組織の存在で通常であれば滑らかに関節面を可動するはずが、太ももの筋肉の一つである大腿四頭筋が筋力不足になっている、あるいは関節面の柔軟性低下などによって関節接合部が摩耗されてしまうと、ゴリゴリと膝部から音が鳴ることもあります。 それ以外にも発症要因としては、膝蓋骨と大腿骨の関節面における適合性が悪い構造的な問題も考えられていますが、詳細な発症メカニズムはいまだに明確にされておらず、はっきりとした結論は知られていません。 成人においては、特にビタミンD成分が欠乏すると、膝蓋部のみならず全身の軟骨軟化症に繋がると考えられており、あわせて骨密度の低下が引き起こされる懸念もあります。 本疾患は主に10代~20代の比較的若い女性に発症することが知られていて、その原因として、若年層の女性が普段ハイヒールなど通常よりもヒールの高い靴を履く習慣があるため、膝への負担が男性よりも大きくなると考えられています。 さらに、ハイヒール自体が外反母趾を発症させる要因として捉えられており、外反母趾はX脚に発展しやすいのみならず、膝蓋軟骨軟化症に罹患しやすいといった疾患関連性が指摘されています。 膝蓋軟骨軟化症の症状 膝蓋軟骨軟化症という病気においては、膝関節の周囲部や、その裏側、後ろ面に鈍い痛みを覚えることが往々にしてありますが、一般的には膝関節の腫れや熱感などは認められません。 特に、膝関節を屈伸した際に強度の痛みが起こると言われているため、階段の昇降時や長時間、座位の姿勢を保っている場合、ランニングするときや、急に椅子から立ち上がる際などに症状が悪化しやすいと考えられます。 特に、走っているときに膝蓋骨の裏側に痛み症状を覚えた際には本疾患が発症した疑いが持たれます。ランニングする際に膝部分を何度も屈曲する動作を行うことで膝蓋骨裏側に存在する軟骨成分と大腿骨下端部が摩擦し合って関節面が傷ついていることが考えられます。 膝蓋軟骨軟化症の検査 膝蓋軟骨軟化症では、通常の専門医による問診、視診、触診などの診察のみならず、MRI検査を始めとする画像検査が行われます。 まずは診察することでどのような症状がどういった時に出現しやすいのか、あるいはいつから症状を自覚しているのかなどの臨床経過を確認する作業から開始します。 併せて、膝関節部に腫れなどといった所見はあるか、押さえて痛い部分は存在するか、膝をどのように可動させた際に疼痛症状が起こるかなどを順番に評価していきます。 MRI検査では、膝蓋骨の裏側に位置している軟骨部にどのような異常所見を認めるかを確認して、本疾患において特徴的な軟骨変形や軟骨破壊などの病変部があるかどうかを調査します。 膝蓋軟骨軟化症と類似している疾患としては膝蓋骨後面欠損、離断性骨軟骨炎などが挙げられますので、MRI画像所見やこれまでに外傷を負ったか否かなどを詳細に評価して適切な診断に繋げていきます。 膝蓋軟骨軟化症の治療 本疾患では、主に保存療法、理学療法、薬物療法、手術療法などが実施されます。 初期段階における疼痛症状に対しては、患部を冷却してアイシングする、あるいは鎮痛薬を服薬する、湿布剤を貼付するといった対策が実践されます。 また、膝裏部に存在する軟骨が損傷を受けていますので直接的に病変部位を触りにくいと思われますが、リハビリ加療など理学療法を実行することによって大腿四頭筋の柔軟性を高めて膝蓋軟骨関節部の摩擦を軽減させることで疼痛症状を緩和させることが出来ます。 万が一にも、症状が長期に渡り継続する場合、または再発を繰り返して認める際には関節鏡視下に関節軟骨部の凹凸(おうとつ)を平らに整える処置を行うために根治的な手術を受けることを検討する余地があります。 ・保存療法 ・理学療法 ・薬物療法 ・手術療法 まとめ・ランナー膝のひとつ(膝蓋軟骨軟化症)とは、その原因、症状と治療法 今回は若い女性ランナーに多く見受けられるランナー膝の一種、膝蓋軟骨軟化症とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて解説しました。 昨今では、健康意識が向上してウォーキングやランニングを日常的に取り入れている人も多いので、膝を痛めて困っている方もいらっしゃるかもしれません。 この病気は、ランニングやジョギングなどのスポーツ動作を繰り返すことで膝部分に過度の負担がかかる場合に発症しやすいと言われています。 ほとんどのケースでは保存的治療により良好な経過を得ることができますが、難治性の場合などでは手術治療が考慮されるパターンもありますので、膝蓋軟骨軟化症と診断された際には最寄りの整形外科など専門医療機関を受診されることをお勧めします。 以上、膝蓋骨の裏側にある軟骨部分に変形や破壊などの損傷変化が引き起こされる膝蓋軟骨軟化症について、その原因、症状と治療法について記させて頂きました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S051 監修:医師 加藤 秀一 ▼ スポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています
最終更新日:2023.09.26 -
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半月板損傷|ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について 半月板組織は、膝関節内部の内側(内側半月板と呼ばれる)と外側(外側半月板と呼ばれる)にひとつずつ存在しています。 半月板は主に大腿骨と脛骨などで形成される関節面に介在して膝関節の動きをスムーズにし、膝関節において屈曲伸展などあらゆる動きで膝関節を安定化させる役割を有しています。 更に、運動を行った場合、ジャンプなど、強度の外的なストレス、物理的な衝撃をできるだけ分散させるクッションのような機能を果たすなど大切な役割を担っています。 半月板の機能 ・膝関節なスムーズな動きをアシスト ・膝関節の安定性の確保 ・膝関節への衝撃を分散(クッション的な機能) したがって、これらの重要な役割を担っている半月板が、仮にスポーツ活動や日常動作などによって損傷してしまうと膝関節部の痛みや関節の可動域の制限といった症状が現れます。 半月板が損傷した初期にはその部分の安静を保ち、患部に対してヒアルロン酸注射による治療を実施することが主流になっていますが、このヒアルロン酸による注射投与について様々な理由で限界があることが知られています。 今回は、「半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の有効性や限界点」などについて順番に解説していきます。 1.半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の有効性 半月板損傷は、ジャンプをした際の着地や、ストップやターンを繰り返すような膝に大きく負担がかかる動作でバランスを崩した際などに起こりやすく、そんな場合、同時に側副靱帯や前十字靱帯など周囲組織の損傷を合併するケースも見受けられます。 半月板を損傷した場合には、多くの場合で対症療法にて様子を観察をし、保存的治療を行うことで症状が軽快すると考えられています。 半月板が断裂した程度が軽症の部類であれば、サポーターなどの装具やテーピングなどの補助器具による補強、あるいは疼痛軽減を目的として鎮痛剤などの投薬治療や運動器によるリハビリテーションを実践します。 スポーツや運動などで半月板を損傷したケースの初期では、患部の局所的な安静を保って関節部に注射を使って関節液を吸引、局所麻酔剤やヒアルロン酸注射による療法が主流となっています。 従来、抗炎症作用を狙って患部にステロイド注射を頻回に行っていた時代がありました。このステロイドは魔法の薬と呼ばれ炎症を抑制できるのですが、その逆の面もあり、様々な副作用に注意が必要です。 特に、最近では半月板を損傷した後にヒアルロン酸ナトリウム(商品名アルツなど)を関節内に注入する注射療法が一定の効果を示すと考えられています。 実は、膝関節軟骨の一成分でもあるヒアルロン酸物質は、水分の保有率が高いことが知られており、関節軟骨組織や半月板そのものが損傷した際に関節内部において潤滑油のような働きをして関節部の可動性を改善させると伝えられています。 ヒアルロン酸注射は、屈曲伸展などの関節可動域を拡大するのみならず、関節痛や腫れの改善にもある程度の効果が期待できるようです。 このヒアルロン酸による方法は、もともと高齢者における変形性膝関節症の治療用として開発され、普及してきたものですが、最近では外傷を起こしやすいスポーツ選手にもこのヒアルロン酸療法が使用されるようになりました。 実際にスポーツ選手における円板状半月板形成的切除術後のスポーツ復帰を考察した文献によると、術後3~6ヵ月で関節水腫を合併する症例が見られましたがヒアルロン酸の関節内注入と2~3週間の運動制限によって症状は消失したと報告されています。 ヒアルロン酸ナトリウムは、軟骨細胞に対する増殖作用や軟骨基質産生を促進する作用が報告されており、線維性軟骨からなる半月板組織にも好影響を与えることが予測されています。 2.半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の限界 前章でも説明した通り、ヒアルロン酸というのは関節の内部を満たしている関節内溶液の主成分とも言われるものです。このヒアルロン酸には、関節部の軟骨を保護して関節内部や滑膜周囲組織の炎症を軽減させる効果や、軟骨そのものの破壊を防止する機能があると伝えられています。 半月板損傷でヒアルロン酸注射を行う場合には、軟骨の主成分であるヒアルロン酸物質を関節内に注射を用いて直接、注入することになります。 この注射治療は、まずは1週間に1回のペースで開始して5週程度連続して実施することが多く、次の段階では、間隔を少しずつ空けていき、約2週間に1回のペースで注射を5回~10回前後継続して行います。 これらの治療を施行しても関節の疼痛が軽快しなければ、また元通り、週に1回にタイミングを調整しながら、概ね3か月程度様子を観察し、それでも著効しないケースでは根治的な手術治療を考慮することになります。 仮に半月板組織が損傷すると、損傷部位の炎症の広がることによって関節液が増えることになり、関節液内部のヒアルロン酸成分が分解されてしまうことで関節内のヒアルロン酸濃度が減少します。そのため内包液の粘度や弾力性が低下することに繋がります。 このような場合に、患部にヒアルロン酸を注射すると、関節液の粘り気や弾力度合いが一時的に回復する結果、膝関節の疼痛も改善するという治療効果が起こります。 しかし、気を付けて欲しい点として、「ヒアルロン酸の注射で得られる効果はあくまで短期的」であり、必ずしも長期間に渡って改善効果が続かないというものです。 1回のヒアルロン酸注射で期待できる効果(持続期間)は、長く見積もってもせいぜい1~2週間程度と言われています。ただ、長期間立て続けに繰り返しヒアルロン酸注射を実施した場合には、痛みを軽減する効果は徐々に減弱して、耐性が付いてくると効果も薄れてくることになります。 このことは、ヒアルロン酸自体が膝関節に悪影響を及ぼしているからではなく、注射によって一時的に症状が改善して痛みが緩和されることで日常生活において膝を酷使してしまい、関節機能を悪化させるといった原因が重なり、組織損傷のスピードを助長させてしまうからです。 また、ヒアルロン酸を半月板損傷部に注射して、痛みが薄れても、その部分の軟骨が自動的に再生するわけではないことも知っておくべきです。 このようにヒアルロン酸注射はあくまで緊急的にその場をしのぐ対症療法であり、根本的な解決にならないことは十分に認識して実践するようにしてください。 ヒアルロン酸注射の限界 ・ヒアルロン酸注射(治療)で得られる効果は短期的 ・症状の改善効果は一時的となる ・長期に投与すると耐性が付き効果が薄れる ・痛みが薄れても軟骨が再生するわけではない(根本的解決にはならない) まとめ・ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について 半月板損傷において、膝の痛みを和らげて軽快させる治療法として期待され、広く普及しているのが「ヒアルロン酸注射」です。 この療法は、注射をするだけ、治療時間そのものの短さも魅力的な要素であり、膝関節内部の潤滑油のような役割を果たしているヒアルロン酸自体を補充することによって軟骨組織を保護して半月板周囲の痛みを軽減させることで炎症の抑制に繋げることができるといた一定の効果を示しています。 しかし、ヒアルロン酸成分は時間が経って代謝の過程で分解されて体外に排出されると、その効果は失われますので、症状改善効果はあくまで一時的なものであることを念頭に置いておきましょう。 ヒアルロン酸注射による療法は単純な注射治療になりますので、忙しい日常生活を大幅に制限することはありませんが、ヒアルロン酸注射のみで根本的な治療は達成できないことを知っていただければと思います。 今回は、ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について記しました。 記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S050 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 半月板損傷|不可能といわれた軟骨を再生する再生医療 再生医療なら半月板損傷は、手術、入院をせずに軟骨を再生、症状の改善ができます ▼以下もご参考に! 半月板損傷は放置禁止|進行で重症化の恐れ!その症状と治療法
最終更新日:2024.02.13 -
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半月板の亀裂、組織が欠損する半月板損傷、その症状、痛みの原因と治療法 半月板というのは膝関節に位置する大腿骨と脛骨間に存在する線維軟骨を意味します。 一般的には、膝部分の内側と外側のそれぞれに存在し、主には膝にかかる荷重や負担を分散して物理的な衝撃を吸収する役割を有しています。 半月板損傷という病気は、膝関節内にある半月板に亀裂が生じる、あるいは組織が欠損する状態であり、若年者から高齢者まで発症し、慢性化すると変形性膝関節症を引き起こすことが懸念される病気です。本疾患に罹患した際には進行しないように早期に医療機関を受診し、適切に治療することが重要となります。 今回は、そのような半月板損傷という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 1.半月板損傷、膝が痛む原因 近年、積極的にスポーツに取り組む人とそうでない人の二極化傾向が指摘される背景があり、通常の運動不足に伴う運動能力の低下のみならず、過度なエクササイズによって「スポーツ傷害」を引き起こしかねない、どちらにもリスクが存在するようになりました。 一般的に、スポーツや運動による膝の外傷には、大きく分類すると骨折、靱帯損傷、半月板損傷、軟骨損傷がメジャーな疾患となっていますが、このうち最も頻繁にみられるのが半月板損傷と言っても過言ではありません。 また、半月板損傷は運動時の怪我から発症する場合だけでなく、加齢により傷つきやすくなっている半月板組織に僅かな外力が加重されて損傷し変性断裂が引き起こされるケースが存在します。 外傷による半月板損傷では、急なターンなどスポーツ中に膝部を傷めて膝前十字靱帯の断裂に合併して引き起こされることもありますし、特に外側半月板損傷は内側に比べて発症率は少ないと言われているものの若年者でよく罹患すると考えられています。 外傷とはまったく関係なく発症するタイプには生まれつき半月組織が大きく分厚いのが特徴的な円板状半月の症例で半月板損傷を認める場合もあります。 2.半月板損傷の症状 半月板が仮に損傷すると膝部に強い痛みが生じて運動する際や膝を屈曲伸展するときに膝に引っかかり感を覚えることがありますし、症状が進行した場合には膝に関節液が貯留して急激に膝が曲げ伸ばしできなくなるロッキングという状態に陥ります。 万が一、半月板が損傷すると激痛のために歩行できなくなることも経験されますし、関節の内部で強い炎症を惹起して水が溜まって膝部分が顕著に腫れあがる、あるいは膝内部の関節区域で出血が引き起こされて血液が貯留することも考えられます。 3.半月板損傷の検査 仮に本疾患が疑われる際には医療機関で整形外科の医師などが用手的に半月板部分に外的ストレスをかけることで、痛み症状などを再現させる診察が施行されることも多いです。 理学的所見などに基づいて積極的に半月板損傷を疑うときには、追加で半月板損傷に伴う関節症変化の有無を評価できるレントゲン検査を始めとする画像検査が実践されます。 また、核磁気共鳴装置を用いて行うMRI検査の場合は、半月板そのものが撮影されないレントゲン写真とは異なって、半月板自体を写し出せるので半月板損傷の診断率が非常に高く有用であると考えられています。 MRI検査を施行することによって半月板に縦断裂や水平断裂、横断裂、弁状断裂を始めとしてどのような組織損傷が起こっているか把握することができますし、半月板の変性状態を推察することにも貢献します。 4.半月板損傷の治療 半月板損傷に対する主な治療策としては、大まかに言うと保存治療と手術療法があります。保存療法とは、一般的に安静を保持する、抗炎症薬などの薬物を内服する、リハビリテーションなどを行うことを意味します。 仮に、これらの保存療法を実践してみても、膝部の痛み、引っかかり感、ロッキングなどの症状が継続して認められる場合には手術療法を検討します。 手術療法には、半月板のなかで損傷した部分を切り取る切除術、ならびに損傷した部分を上手い具合に縫い合わせる縫合術のふたつのタイプが挙げられ、通常では関節鏡を駆使した鏡視下手術を施行することが主流です。 実際には、半月板手術例のうち約9割は切除術が選択されていますが、この方法では膝関節の衝撃を吸収して膝関節の安定性を保持する役割を持つ半月板の機能そのものが失われるため、将来的に変形性膝関節症へ進行するリスクが高率であることが指摘されています。 したがって、特に近年では可能な限り縫合術を選んで半月板を出来る限り温存するという考え方がメジャーとなっています。 まとめ・半月板の亀裂、組織が欠損する半月板損傷、その症状、痛みの原因と治療法 今回は半月板損傷とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 半月板という組織は膝関節の内部に存在している軟骨様の構造物であり、内側と外側に各々ひとつずつあり、主な役割としては関節に加わる体重の負荷を分散させて関節部を安定に保つ働きを担っています。 半月板には、軟骨部に荷重される物理的なストレスを軽減させる重要な役割があるために現在では手術療法を選択した際には出来る限り半月板を温存して残す治療方法が重要視されています。 以上、半月板損傷とは、その原因と症状、治療法についてご説明させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S049 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の幹細胞治療で半月版損傷を治療する 半月板損傷の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院も不要で症状をする ▼以下もご覧になりませんか 半月板損傷を早く治す!効果的なリハビリテーションの3つのステップ
最終更新日:2024.02.22 -
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オスグッド・シュラッター病とは?成長期の少年に発症!膝のスポーツ障害を解説 オスグッド・シュラッター病という病気をご存知でしょうか? 普段あまり聞き慣れないかもしれない病名ですが、脛骨結節部という膝の皿(膝蓋骨)の下に存在している骨が飛び出してくることで膝痛が引き起こされる病気です。 この疾患は、患部が赤く腫れあがる、あるいは熱感を認めることもあって、傾向的には成長期に該当する少年に発症しやすいスポーツ障害のひとつと言われています。 特に、サッカーや陸上、バスケットボールなどの競技において、跳ねる行為やボールを蹴る動作を頻繁に必要とされる場合によく遭遇する病気と考えられています。 今回は、そのようなオスグッド・シュラッター病という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 オスグッド・シュラッター病の「原因」 オスグッド・シュラッター病が引き起こされる原因は、膝を伸ばす力が繰り返されることによって脛骨結節部分が引っ張られて成長期に認められる膝軟骨部が剥離することと言われています。 オスグッド-シュラッター病という疾患は大腿四頭筋の過剰使用によるスポーツ障害の一種とされており、骨が軟骨から急激に成長する時期である概ね10歳から15歳頃の成長期における男児に多い病気です。 もともと、膝の曲げ伸ばし運動は太ももにある大腿四頭筋という筋肉によって常日頃から行われており、この筋肉が膝蓋腱を介して脛骨結節を引っ張っているため、跳躍運動やボールなどを蹴る動作で脛骨結節に過剰な負荷がかかると本疾患を発症しやすいと言えます。 一般的には、成長期が過ぎてしまえば自然と症状が軽快する病気であり、疼痛症状が改善すればスポーツや運動行為を再開することが出来ます。 オスグッド・シュラッター病の「症状」 オスグッド・シュラッター病における主な症状としては、「脛骨結節部の隆起と痛みや腫れ、あるいは患部が熱感」を持つことなどが挙げられます。 通常であれば、それらの症状は片脚にのみ認められることが多く、痛み症状は膝を動かすときに出現しやすく、休息している際には緩和されていることが知られています。 成長期においては、骨成長スピードに周囲の筋肉が追いつけずにアンバランスになっている状態であり、筋肉自体に強度と柔軟性が乏しいためにスポーツなどを過度に実践すると、大腿四頭筋から繋がっている脛骨粗面部に負荷がかかりやすくなります。 その結果として、膝軟骨が一部剥離するなど物理的な刺激が生じて、かつ成長期の脛骨結節部は通常よりも柔らかい構造であるがゆえに外的刺激がより過重されて、患部の熱感や腫脹などに伴って疼痛症状を引き起こされやすいと考えられます。 オスグッド・シュラッター病の「検査」 オスグッド・シュラッター病の診断は、基本的には医師による診察と症状、あるいは画像検査などに基づいて評価されます。 この疾患では特徴的な症状を捉えると同時に、患部の隆起所見や圧痛の有無などによって診断されますし、より確実な診断に繋げるためにX線レントゲン検査を行って脛骨結節の剥離があるかどうかを確認する作業が行われます。 膝部分のX線検査を施行することで、脛骨粗面の腫脹の有無、あるいは剥離破片が形成されているか否かも判断できます。また、必要に応じて超音波検査、CT検査やMRI検査などの画像的評価を追加して実施することも往々にしてあります。 オスグッド・シュラッター病の「治療」 オスグッド・シュラッター病は成長期に一時的に認められる病気とされており、通常では成長を重ねると共に自然と治癒傾向を示します。 この病気に伴う症状は通常であれば数週間から数カ月後の間に消失することが多く、激しい運動ならびに深く膝を屈伸する動作などを避けると症状の軽減に繋がります。 本疾患による症状の悪化を回避するために、大腿四頭筋のストレッチング、あるいは患部のアイシングなどを実践すると同時に、万が一疼痛症状がひどい際には鎮痛剤の服用や湿布を貼付することも考えられます。 症状が改善されればスポーツ活動や運動動作を再開することも可能ですが、スポーツする前後に出来る限りストレッチングやアイスマッサージをする、そして膝にベルトなど固定具を装着するなどの対策を講じると有用ですので心がけましょう。 まとめ・オスグッド・シュラッター病とは?成長期の少年に発症!膝のスポーツ障害を解説 今回はオスグッド・シュラッター病とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 オスグッド・シュラッター病とは、主に成長期の子どもたちが膝前下部に痛みや熱感を自覚する疾患であり、激しい運動を繰り返すことで発症しやすいと考えられています。 スポーツ活動中に万が一にも膝部に疼痛を認める際には我慢せずに安静にして休息することが重要であり、症状改善後には運動前後にウォーミングアップやクーリングダウンを確実に実践することで、スポーツ障害の発生を回避できると考えられます。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 https://youtu.be/SLVA_1FAA-w?si=P1U6Pb0dlOhztIJz ▶成人後でも、後遺症として再び痛みがでることも。治療期間の短縮にはPRP治療がおすすめです。 No.S048 監修:医師 加藤 秀一 ▼ スポーツ外傷(オスグッド・シュラッター病、筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています
最終更新日:2024.03.15 -
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- 変形性膝関節症
変形性膝関節症のお悩み|従来の治療法と新たに注目される最新の治療法 膝の痛みが進み、変形性膝関節症になると、症状が進行するごとに痛みを感じる頻度が増えます。痛みを我慢して日常生活を送っているのはとても辛いですから、何とかして痛みを和らげたいものです。 変形性膝関節症は、中期から末期になると痛みが強くなり、末期には膝が変形するほどの症状となります。 そうなると日常生活を送るのこと自体が難しくなります。何よりも歩くことが難しくなると運動不足になり、結果として肥満が進んだり、内臓の働きが悪くなって様々な病気を引き起こす原因にもなります。 そのためにも膝の痛みや違和感は我慢せず、早めに病院等、医療機関を受診してください。 今回は、膝の痛み・変形性膝関節症について、これまでの治療法と、新たに注目されている「最新の治療法」についてご紹介します。 膝の痛み、変形膝関節症の初期の対処法 変形膝関節症は、初期の段階で炎症を悪化させないようにすることが大切です。 初期~中期の前半あたりでは、3日から1週間ほどなるべく安静にし、膝に負担をかけない生活を送ることを心がけてください。炎症が収まり、痛みも引く場合があります。 安静にしていても膝の痛みが治まらない場合は、医療機関を受診してください。専門医による適切な治療を受けることをおすすめします。 変形性膝関節症の従来の治療法 変形性膝関節症の従来の治療では、症状が軽いうちは、生活習慣の改善と内服薬での治療がメインとなります。もう少し進行するとリハビリも取り入れた治療となり、症状が重い末期では手術を行うこともあります。 生活習慣の改善 症状が軽い場合は、日常生活における膝の負担軽減を目的として、生活習慣の改善を行います。具体的には普段の動作を見直す、肥満であれば減量するといった内容です。 膝への負担を減らす目的での体重管理は、大切ですが、自己流では難しいものです。できれば、診察を受けている病院等にて指導を受けて取り組まれることお勧めします。 運動療法(リハビリテーション) 運動によって脚に筋力をつけ、膝周辺の筋肉を強化し、膝関節を保護します。良くある誤解は、運動をすると膝の痛みが強くなるのでは?という疑問です。 この点に関して不安になる患者さんもいらっしゃいますが、適切・適度な運動を行うことで膝周囲の筋肉強化が可能になります。筋肉が強化されると、膝関節の負担を軽減することができるため前向きにお取組みください。 ただし、自己流は逆に膝を傷めることもあります。病院のリハビリ等、専門家の指導を受けて無理のない範囲で行いましょう。 薬物療法 痛みのある患者さんには、内服薬や外用薬を使った痛み止め治療を行います。 装具療法 歩行や立ち上がりの際の膝への負担を軽減するため、膝サポーターや足底(インソール)への装具着用を行います。 物理療法 膝周辺を温めて血行を促したり、炎症が酷く腫れている場合は冷やすなどします。 外科手術 症状が進行した場合、外科的治療が必要になることがあります。具体的には、内視鏡を使った関節鏡視下手術や、骨を切って変形を矯正する高位脛骨(けいこつ)骨切り術、人工膝関節置換術などがあります。 膝の症状が進行し、変形性膝関節症で辛い思いをしている患者さんは少なくありません。特に、投薬や注射でも改善しない痛みが続く末期の患者さんは日常生活に支障をきたしています。そのような場合、次のような方法が選択肢となります。 ・関節鏡視下手術 ・高位脛骨(けいこつ)骨切り術 ・人工膝関節置換術※ ※人工膝関節置換術とは 変形性膝関節症の人工膝関節置換術では、特殊な金属とポリエチレンから作られる人工関節を設置することで、膝関節の動きをサポートすることができます。 術後はそれまでの膝関節の痛みがなくなる、もしくは大きく和らぎ、膝の痛みが軽くなることで、運動もできるようになることが多くあります。人工関節置換術によって痛みは和らぎ、日常生活の不便も少なくなりますが、やはり手術には注意点やリスクがあります。 例えば、人工関節が外れたり、異物を入れたことによる細菌感染が起きるといったリスクがあり、時間の経過に伴い人工関節が緩むこともあります。 ですから、変形性膝関節症で最新治療を受ける場合は、信頼できる病院を選ぶこと、また、術後も定期的に受診をし、適切な検査を受けることが必要です。 変形性膝関節症のおすすめ最新治療「再生医療」 保存療法や手術に代わる、新しい選択肢としておすすめしたいのが「再生医療」です。 膝の痛みの原因のひとつ、膝軟骨のすり減りに対しては、軟骨を再生させることはこれまで不可能と言われてきました。それが先端医療の再生医療では、患者さんの幹細胞を培養して軟骨を再生することができるようになりました。 再生医療は大掛かりな手術を必要とせず、本人の細胞を利用することで患部の再生を促す医療で、保存療法よりも早期の治療効果が期待でき、しかも確実性が高く、従来の手術法よりも体への負担が少ない治療法として注目されています。 再生医療の中でもおすすめは、自分の幹細胞を培養して用いる治療法で培養するための時間は必要ですが手術することなく、入院の必要もなく、日常生活に復帰できる点が評価されている治療法です。 再生医療は新しい医療分野だけに、医師であっても知見に乏しいことがあります。ご相談される場合は、一般の病院等ではなく再生医療専門医のいるクリニック等にてご相談されることをおすすめします。 当院でも、再生医療による変形性膝関節症の治療をおこなっています。是非一度お問い合わせください。 https://youtu.be/zmcafuxHyTw?si=tmnJuLE99nvDVlQc > その他、変形性膝関節症の事例を動画で見る まとめ・変形性膝関節症のお悩み|従来の治療法と新たに注目される最新の治療法 軽度な変形性膝関節症は、外科手術を必要としなくても進行を抑えることが可能ですが、進行してしまうと外科的手術が必要になる場合があります。しかし、末期の変形性膝関節症でも「最新治療」によって運動が可能になるほど症状を緩和することが可能です。 最新治療を検討する場合、変形性膝関節症の治療実績の高い病院やクリニックで整形外科を選ぶこと、また、術後のトラブルを防ぐためにも、定期的な受診を怠らず検査をきちんと受けるようにしましょう。 変形性膝関節症は、早期治療が何よりも大切、膝に痛みや違和感を感じたら自己判断せずに病院等にて診察を受けられることをおすすめいたします。 以上、変形性膝関節症で悩まれている方に向けて新たに注目されている最新の治療法である再生医療を記しました。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S046 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 変形性膝関節症でオススメの再生医療は、幹細胞治療です 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます ▼以下の参考にご覧ください 変形性膝関節症の手術|知っておきたい手術のメリットとデメリット
最終更新日:2024.02.20 -
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変形性膝関節症の手術|検討する前に知っておきたい手術のメリットとデメリット 変形性膝関節症は、関節軟骨の摩耗を起因に膝に慢性炎症を引き起こし、その結果つらい痛みが起こる病気です。膝が炎症を起こす仕組みは、膝の関節軟骨や半月板が加齢や怪我から摩耗し、軟骨のかけらが関節を覆っている滑膜という組織を刺激するためです。 変形性膝関節症は進行性の病気です。発症した初期には膝関節の違和感や軽い痛みだったものが次第に痛みが増強したり、膝が変形したりします。変形性膝関節症の治療では、少しでも進行を遅らせるように、膝に負担がかからないように過ごし、リハビリテーションなどで膝周囲の筋肉を鍛えることが大切です。 膝に負担の無い生活スタイルを見直し、リハビリをはじめ、運動療法に取り組んでも改善がみられない場合には、手術を勧められます。 手術と聞くと不安を抱かれる方も多いはずです。そこで、この記事では、変形性膝関節症の手術を検討する前に知っておきたい手術のメリットとデメリットについて、ポイントを絞り解説します。 変形性膝関節症の手術の種類 変形性膝関節症の手術には、関節鏡視下手術・高位脛骨骨切り術・人工関節置換術といった3種類があります。どの手術を実施するかは、変形の進行度や痛みの程度、年齢を考慮し選択することになります。 変形性膝関節症で行われる手術の種類 ・関節鏡視下手術 ・高位脛骨骨切り術 ・人工関節置換術 ※手術の選択:変形の進行、痛みの程度、年齢で判断される 手術で痛みが消えるのか? この問いに対しては、「膝の手術を受けると、痛みは軽くなったり、なくなったりする可能性が高い」といえます。特に人工関節置換術を受けると、ほとんどの場合に痛みは改善し、膝を痛める以前のような歩行ができます。 ただし、どのような手術でも少なからず体の負担になること、術後はある程度の期間の入院が必要で、リハビリに励む必要があること、人工関節置換術の実施後は正座ができなくなる可能性が高いことなど日常生活に少なからず影響がでることを念頭に置かねばなりません。 変形性膝関節症の手術 変形性膝関節症の手術後は、痛みが無くなることが多いのですが油断はできません。膝を気にせず、関節に負担がかかるような姿勢や動作をしていては、痛みの再発だけでなく、再手術の可能性が高まるからです。膝の3つの手術について以下、簡単にご説明します。 1.関節鏡視下手術 ・変形性膝関節症で比較的初期に適応される手術は「関節鏡視下手術」です。 ・関節鏡視下手術では、炎症を引き起こす原因の軟骨のかけらを取り除く。 ・傷んだ半月板の形を整える。 ・しかし、脚の変形や軟骨のすり減りが悪化することで、痛みが出現すれば再手術になる可能性がある。 2.高位脛骨骨切り術 ・高位脛骨骨切り術は脚の変形を矯正し、関節にかかる偏った負担をなくす手術。 ・変形が進行しきっていないことが条件で、人工関節置換術を受ける方より年齢が若い60歳未満の方に適応されることが多い。 ・高位脛骨骨切り術により。O脚やX脚などの脚の変形を矯正しても、軟骨のすり減りや、痛みが再発する可能性がある。 ・将来定期には再手術を必要とする場合があります。 3.人工関節置換術 ・人工関節置換術は変形性が進行した末期、または60歳以上の方に適応されます。 ・年齢が重要視される理由は、人工関節の耐久性(20年前後)を考慮して、再手術をしなくても良いように考えられているため。 ・人工関節置換術をすると、軟骨がすり減る心配をしなくて済むほか、痛みを気にせずに過ごせる可能性が高くなる。 ・しかし、膝に負担がかかるような過ごし方を続けると、人工関節に破損や緩みが出てきて耐久年数に関わらず再手術の可能性が高まります。 変形性膝関節症の手術をしても、膝の状態が悪くなれば再び手術が必要です。 とくに高位脛骨骨切り術後に再手術が必要な場合、膝の変形は進行し、ある程度加齢していることが予想されるため、人工関節置換術が選択されるケースが多くなります。ただし、人工関節置換術を受けると、膝を完全に曲げることができなくなります。痛みの改善は期待できる分、少なからず可動域が狭まることで日常動作に制限がかかり、日常生活に少なからず不自由さがでます。 膝の手術について最低限知っておきたいメリットとデメリットを以下にまとめました。 手術のメリット ・起床時に膝のこわばりがなくなる ・痛みなく階段を上り下りできる ・膝を気にすることなくスッと歩き出せる ・膝を気にすることなく好きなところに出掛けられる 手術のデメリット ・手術そのもので合併症の危険性 ・膝の曲げ伸ばしに違和感 ・重い荷物は避ける ・正座ができない ・かがめない、かがみにくくなる ・生活習慣の変化を受け入れる ・スポーツに支障(膝に負担を掛けない前提で判断) 手術後、最終術を防ぐために! 変形性膝関節症の手術をうける上で大切なことは、再手術を防ぐことです。膝の状態の悪化を防ぐには、生活に中で膝への負担をかけないように過ごし、運動療法により膝を安定させることです。そのためには、継続したリハビリ、運動療法が大切になります。 手術後に気をつけること ・上記のデメリットに気を付ける ・正座や深くしゃがむ動作を避ける ・膝に負担のかかるような激しい動作はしない ・手術前と同じようにリハビリ、運動療法は継続する ・定期的に医療機関を受診し、常に膝の状態を確認する まとめ・変形性膝関節症の手術|検討する前に知っておきたい手術のメリットとデメリット 変形性膝関節症は、膝に痛みや変形を及ぼす病気で、進行すると痛みから普通の生活を送れなくなります。 治療の基本はリハビリとしての保存療法となりますが効果がみられなければ手術という選択肢になります。当然、手術はメスを入れることになり、体の負担になるだけでなく「術後に痛みが消えなければどうすべきか」と、不安を感じる方もいるはずですが「手術を受けるれば痛みは改善する可能性は高い」と思われます。 ただし、痛みの改善はあくまで膝関節に焦点を当てた話になります。手術をしても、膝周囲の皮膚の癒着、関節の拘縮、筋力低下、術操作による神経の損傷など、さまざまな理由で痛みが残存することもあります。そのため、術後に取り組むリハビリテーションは非常に重要です。それでも膝の状態によっては、どの手術を選択しても将来、再手術のリスクがあります。 例えば人工関節は耐久年数があり、個人差はありますが概ね15年前後と言われています。その時点で高齢な場合、再び体に負担がかかり、リハビリをはじめ精神的に前向きに取り組めるか心配にもなります。そうならないためにも術後に膝の痛みが取れても、無理は禁物。過度な膝への負担を避け、リハビリテーションをはじめとして適度な運動を継続することが再手術を防ぐポイントになります。 手術で痛みは消える可能性は高いと考えられます。ただし、リハビリや適切な運動を継続し、膝の健康を保つことが大切です! 以上、変形性膝関節症の手術を決断する前に知っておきたい手術のメリットとデメリットについて解説させて頂きました。 参考にしていただければ幸いです。 No.045 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療なら変形性膝関節症を手術を避けて治療が可能です 変形性膝関節症の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で症状を改善するには! ▼以下も参考にされませんか 変形性膝関節症の手術で高齢者が受けるリスク
最終更新日:2024.02.20 -
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変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫と、運動のすすめ! 変形性膝関節症は、加齢・外傷・肥満・遺伝・日常における膝の負担になるような生活様式など、さまざまな要素が関与して発症する病気です。 変形性膝関節症になると、膝の関節に痛みや変形が出現するほか、膝を動かすと「関節から音(関節軋轢)」が鳴ったり、可動域制限がかかったりします。また、炎症が起きると「膝に水がたまる関節水腫」がみられます。 そんな変形性膝関節症の治療は、なずは運動療法によって膝の周りの筋力をあげて関節を安定させることが大切です。しかし、膝に痛みがあると、満足に運動に取り組めなくなるため、日頃から膝に負担がかからないような生活も大切になります。 この記事では、「変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫」を細かく解説します。膝の痛みでお困りの方はぜひご覧ください。 膝に負担がかからない生活を心がける 日常から膝に負担がかかる生活は、関節軟骨のすり減りや軟骨下骨の新陳代謝に異常を及ぼします。さらに、すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し痛みを感じるようになります。膝に痛みがあると、これまで通りの生活にも支障をきたすため、できる限り膝に優しい生活をしましょう。 膝に負担が掛かると ・膝関節内の軟骨がすり減る ・軟骨の下、軟骨下骨の新陳代謝に異常が起こる ・すり減った軟骨のかけらが滑膜を刺激し痛む これらを避けるため、膝に負担を掛けない優しい生活とは。どのようなモノなのでしょうか?以下ご説明してまいります。 和式から、洋式へ!生活スタイルを変える 膝の痛みは生活スタイルを変えるだけでも緩和します。 地べたで過ごす和式から、椅子で過ごす洋式へ変えるのがおすすめです。 洋式での生活は、正座や低い位置からの立ち上がりを必要とせず、膝の負担を軽減・痛みの緩和が期待できます。 膝に負担のかかる運動は避ける 体を動かすことは、膝の筋肉強化や健康増進が期待できるものの、膝に負担となる運動は禁物です。 たとえば、テニス・卓球・ゴルフ・社交ダンスなど、急な方向転換・発進や停止・繰り返される膝の屈伸運動やジャンプを必要とする運動は要注意です。 減量(ダイエット)する 肥満であることは膝に大きな影響を与えます。 立つ・歩く・座るなど、いかなる動作においても膝へ負担がかかっています。 二足歩行をする人間は、体重の半分を片脚で支えているだけでなく、歩くと体重の3倍は負担がかかると言われています。つまり、体重が重たいと、膝にかかる負担も大きく、軟骨のすり減りを進行させてしまうため、肥満傾向の方は減量に取り組みましょう。 背筋を伸ばす!綺麗な姿勢に改善する 姿勢が悪ければ膝への負担になります。 理想的な立ち方は、目線は正面を向き、肩を開き、骨盤を軽く前傾させることです。 鏡などで確認した際に、足の外くるぶしから耳までが一直線になっていれば綺麗な姿勢を取れています。 また、綺麗な立ち方をしても、歩き出した途端に姿勢が崩れるようではいけません。 歩行中に意識するのはもちろん、定期的に自分の姿勢を鏡で確認すると良いでしょう。 杖を使う 杖を使って、膝への負担を減らします。 杖は痛みがある方と反対側の手で持ち、痛みがない脚と杖に重心を乗せることで、痛みのある膝に体重がかからないようにします。 膝の痛みから、外出の機会が減っていたり、歩行に気乗りがしなかったりするときには、杖がおすすめです。 中には、杖を使うのに抵抗がある方もいらっしゃいます。しかし、杖を使用すると、姿勢を伸ばすだけでなく、膝への負担を減らせるので、ずいぶんと楽に歩けるはずです。最近では、デザインが施されていたり伸縮機能があったりと、いろんな杖がありますので、自分に合った杖を選びましょう。 足に合った靴を履く 足に合っている靴を履いて、膝を安定させます。 靴はヒールやサンダルではなく、スニーカーがおすすめです。 靴選びで失敗してしまうと、膝の安定性を高めるための歩行がかえって負担になるのです。 さらに、外反母趾・膝痛・腰痛・股関節痛などのように、痛みが全身に広がる可能性まであります。 靴選びのポイント ・足のサイズに見合ったもの ・クッション性が高いもの ・足首までしっかり覆われているもの ・靴紐やテープで足首をしっかり固定できるもの 手すりを使う 玄関・お風呂・階段などに手すりをつけ膝への負担を軽減します。 階段を昇るときには、手すりを支えにして痛くない方の脚から出し、降りるときも同様に手すりを支えにしますが、痛みがある方の脚から下ろすのがポイントです。 また、運動で階段を昇り降りされる方がいらっしゃいますが、階段昇降時には体重の6〜7倍もの負荷がかかります。負荷が大きいほど、トレーニングの効果は期待できますが、余計に傷める可能性もあり注意が必要です。 特に変形性膝関節症の方は、膝に負担がかかりやすい足運びをされているケースがあるため、まずは水中歩行・地上でのウォーキング・室内でできるトレーニングをおすすめします。 継続して運動に取り組むこと 膝への負担を下げるには、関節を安定させている筋肉を鍛えることが大切です。太もも前面にある大腿四頭筋をはじめ、太もも後面にあるハムストリングスなど、バランスよくトレーニングします。 水中運動 浮力がある水中では、膝への負担を減らしながら運動ができます。 水中での歩行をはじめ、クロールで使うバタ足も膝のトレーニングには有効です。 泳ぎが得意ではない場合、プールサイドに腰をかけたり、つかまったりしながら脚をバタバタと動かすだけでも効果的です。 地上でのウォーキング 屋外での歩行で足腰を鍛えます。 ウォーキングは、筋力トレーニングと比べて充分な運動に感じないかも知れません。 しかし、ウォーキングを1年半継続すると、生活への支障や痛みに対して、トレーニングと同程度改善することがわかっています。 ただし、ただ歩くだけではなく、靴選びにこだわり、歩行中は姿勢を意識し、必要であれば杖を使用して安定した歩行をしましょう。 ビタミンD 変形性膝関節症を進行させるリスクに、ビタミンD不足があります。 ビタミンDは、日光を浴びると体内で活性化される栄養素のため、屋外での運動は膝周囲の筋力を鍛え、変形を進行させるリスクも抑えます。 自宅でできるトレーニング 雨の日や外に出るのが億劫な場合、自宅でできる運動を紹介します。 大腿四頭筋トレーニング ① 椅子に腰をかけて、片側の脚を伸ばしきります ② 座面と水平になるように脚を持ち上げて、10秒間キープします ③ ゆっくり脚を下ろし3秒間休憩します (①〜③を20回繰り返して、脚を入れ替えます。) 大腿四頭筋・ハムストリングスのトレーニング ① 椅子の背を両手で持ち、脚は肩幅に広げます ② つま先と膝の向きはまっすぐ向くようにします ③ 膝を前に出さず、お尻を後ろに突き出すように上体を落とします (① 〜③を1セット5〜10回、1日3セットします。) 痛みがあるときには無理をしない 膝に痛みがあるときは、無理をせずに休息します。痛みに対しての対処法ですが、熱感や腫れがある場合には、冷やして炎症を抑え、慢性的な痛みには温めて血の流れを促します。痛みが強い場合には、病院を受診し、痛み止めの薬を処方してもらいましょう。 痛みの緩和は薬だけでなく、鍼灸治療やマッサージでも効果的だとわかっています。薬をできる限り飲みたくない場合や、薬でも効果が見られないときには、鍼灸やマッサージといった手段も覚えておきましょう。 膝の痛みの緩和にグルコサミンやコンドロイチンを服用する方がいらっしゃいます。両者は膝に軟骨に含まれる成分で、痛みの緩和を期待され服薬しますが、信頼度の高い研究は行われていないのが現状です。服用を検討している方は、かかりつけ医に相談することをおすすめします。 まとめ・変形性膝関節症を悪化させないための日常の工夫と運動のすすめ! 変形性膝関節症はさまざまな原因が組み重なって発症・進行してく病気です。膝の状態を悪化させないためには、膝に負担がかからないように生活をして、継続して運動に取り組みます。 日頃から膝に負担をかけていると、軟骨が摩耗するだけでなく、変形を進行させてしまいます。地べたではなく椅子に座るなど、できることから取り組みましょう。 運動療法に取り組む際は、くれぐれも無理は禁物です。痛みを我慢したまま続けてしまうと余計に悪化するため、膝の痛みがあるときは、炎症を起こしているのか、慢性的な痛みなのか判断し適切な対処が必要です。しかし自分では膝がどのような状態なのかわからない場合があります。そのような時は自己判断をせず病院を受診し、適切な処置を受けることが変形性膝関節症の悪化を防ぐことと覚えておきましょう。 以上、変形性膝関節症を悪化させないために日常生活においてできる工夫について記しました。 参考にしていただければ嬉しく思います。 No.044 監修:医師 坂本貞範 ▼ 再生医療の幹細胞治療で変形性膝関節症を治療する 手術不要、入院不要の変形性膝関節症の新たな治療法。再生医療の幹細胞治療で症状を改善できます ▼以下も参考になれば幸いです 膝の病気!鵞足炎と変形性膝関節症についてと、その違いを解説!
最終更新日:2024.02.21 -
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コラーゲンのサプリやドリンクは、関節に良い効果を与えてくれるのか 近年、CMなどでよく見かけるサプリメントや、ドリンクとしてのコラーゲン!このような摂取方法で本当に効果があるのでしょうか?コラーゲンは美容的に注目されていますが、実は体にとっても非常に大切な栄養素です。 そこで本記事では、コラーゲンを摂取することで体にどのような効果があり、またどのような働きをしているのか解説していきます。関節に違和感があったり、痛みを感じられている方でコラーゲンのサプリメントやドリンクの摂取をお考えの場合は、ぜひ参考にしてみてください。 コラーゲンについて コラーゲンと聞くと、肌に良いイメージを持たれる方もいるのではないでしょうか。しかし、コラーゲンの働きは皮膚だけではありません。そもそもコラーゲンとは何かをみていきましょう。 コラーゲンとは コラーゲンとは、人間の体に存在するタンパク質の一種です。タンパク質は人間の筋肉や臓器など体のさまざまなところに分布されています。また、タンパク質は三大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)の一つとして数えられ、人間の体に必要なエネルギー源にもなっています。 コラーゲンは体内のタンパク質のうち約30%を占めていて、皮膚や骨、血管などに多く含まれています。組織の部位ごとに分類され、繊維性コラーゲンや基底膜コラーゲン、短鎖コラーゲンなど、現在分かっているものだけでも29種類あります。 コラーゲンのはたらき 肌に良いイメージがあるコラーゲンは、皮膚の約70%がコラーゲンでできていると言われていて、肌に弾力とハリを与える働きをしています。 コラーゲンは皮膚だけではなく、骨や関節、腱、靭帯などにも存在し、強度や柔軟性を保つ機能があります。骨の中にコラーゲンがあることでクッション性が加わり、骨にしなやかさを与え、転んだときなどの強い衝撃から守っています。 また、関節の部分にもコラーゲンが存在し、骨と骨の摩擦による擦り減りから骨が傷つくのを防ぐ役割もしています。このようにコラーゲンは骨や関節にも密接に関わっています。 加齢による体内のコラーゲンの減少 コラーゲンは健康の維持に欠かせないものですが、年齢とともに減少していきます。加齢に伴って細胞の数が減ったり、衰えたりすることでコラーゲンの合成力が衰えてしまうためです。 また、紫外線による影響で皮膚のコラーゲンが減少することが分かっており、シワやたるみなどの原因になっています。では、コラーゲンを摂取した場合に、減少したコラーゲンを補うことができるのでしょうか。 コラーゲンを飲むことで効果は期待できるのか 日本整形外科学会によれば、直接関節にヒアルロン酸を注射した場合には科学的データに基づいて、有効性が認められているとされています。 しかし、食べ物などの口からの摂取の場合は有効性が確認できる科学的データはないとし、効果が期待できないと結論づけています。ですが、まったく効かないというデータもないため、悩ましいですね。 参考資料:サプリメントの効果について|公益法人日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/about/supplement.html 希望の星!低分子コラーゲン(コラーゲンペプチド) 食べ物からの摂取でコラーゲンの有効性が認めれられていないとされているものの、最近の研究では低分子コラーゲンを摂取することでコラーゲンを作る材料になったり、コラーゲンの生成量を増やしたりすることが期待できることが分かってきました。 低分子コラーゲンとはコラーゲンタンパク質を小さくしたものを言います。低分子化したものは、コラーゲンペプチドともよばれ粒子が細かく、腸壁で吸収され血液を通って皮膚や骨、関節など全身に行き渡ります。 サプリメントの種類と成分 コラーゲンペプチドはサプリメントとして錠剤やパウダー、ドリンクに配合されており種類もさまざまあります。 サプリメントのコラーゲンの成分には主に動物性由来と魚由来があり、動物性由来であれば、牛や豚、鶏などの皮から抽出したもの、魚由来は魚皮や魚鱗から抽出したものが原料となっています。 注意!コラーゲンとアレルギーの関係性 サプリメントの原料になっている牛や豚、鶏、魚などが原因でアレルギー反応を起こす可能性があります。アナフィラキシーを起こした事例も報告されているため、サプリメントなどでコラーゲンを摂取する際は十分に注意が必要です。 特に鶏や卵にアレルギーがある方は、鶏が原料になっているコラーゲンは避けた方が良いでしょう。 コラーゲン・トリペプチドの効果 コラーゲン・トリペプチドとはコラーゲンの最小単位で、その大きさは一般的なコラーゲンサプリメントの20分の1から50分の1の大きさと言われています。 そのため小腸から直接そのままの形で吸収されることが分かっています。最近の研究では関節や骨など体内でコラーゲンが不足しているところに、効率よく届くことが期待できるという報告がされています。 関節や骨への具体的効果について 関節 傷ついた関節の治療の際、患者さんがコラーゲンペプチドのサプリメントを摂取したところ、関節の修復が早いという結果の報告されています。また、変形性膝関節症の症状の改善にも効果があることも分かってきました。 骨 骨を丈夫にするにはカルシウムのイメージが強いですが、カルシウムだけでは強度な骨は作れません。 骨の約30%がコラーゲンできていると言われ、コラーゲントリペプチドを摂取することでコラーゲンの生成を助ける働きがあることが分かっています。 まとめ・コラーゲンのサプリやドリンクは関節に良い効果を与えてくれるのか これまではコラーゲンを食べ物で摂取しても、体の中でアミノ酸としてバラバラに分解されて吸収されてしまうため効果がないと考えられてきました。 しかし、小さな分子のコラーゲンペプチド(低分子コラーゲン)であれば腸壁から吸収され血液を通って、体の中のコラーゲンが不足しているところへ効率よく届くということが分かってきています。 そのため、コラーゲンのサプリやドリンクを購入する場合は「低分子コラーゲン」、「コラーゲンペプチド」との表記があるものが良いかもしれません。いずれにしてもコラーゲンの効果には個人差があり、短期ではなく、長期で考える必要があります。 関節のために体内のコラーゲンをキープしたいと摂取する場合は、毎日の食生活に取り入れ、長期的な視点で取り組みましょう。コラーゲンが関節や健康の維持に役立つと良いですね。 以上、コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのかについて記させて頂きました。 No.S041 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.10.04 -
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鵞足炎は膝の酷使が原因!その症状と治療法とは 皆様の中で日常的に立ち上がる瞬間や、階段を昇り降りする際などに「膝が痛い、痛む」と自覚している人はおられませんか。 普段生活している中で「膝が痛む症状」で悩んでおり、その対策や改善方法を探索している方も少なからずいらっしゃることでしょう。仮にひざを酷使して膝痛を自覚している場合には「鵞足炎(がそくえん)」という病気を見逃してはいけません。 普段聞きなれない、この病気は「鵞足(がそく)」と呼ばれる場所、膝関節の内側より下方に位置する脛骨付近に炎症が引き起こり、膝に痛みが出現することで知られています。 今回は、膝を酷使すると起こりやすい鵞足炎という病気の特徴や症状、その疾患に対する対策や治療法について詳しく解説してまいります。 鵞足炎の症状(膝の内側の痛み) そもそも「鵞足」と呼ばれる部位は、膝から5㎝程度足側に存在している脛骨という骨の内側部分に位置しており、一般的には縫工筋、半腱様筋、薄筋という三種類の筋肉に付着している腱がその脛骨にくっついている場所を指しています。 この鵞足部位にある「滑液包の内部に強い炎症が起こっている状態が鵞足炎」であると考えられており、鵞足炎を発症していると膝を屈曲するときや股関節を内転する動きにより慢性的に膝に痛みを覚えます。 本疾患は、膝を酷使するマラソンなどの走る系の一般アスリートや、それ以外でもトップアスリートなどプロスポーツ選手に生じやすいと言われており、打撲などの外傷を契機に発症する可能性も指摘されています。 鵞足炎の原因は、自分に見合っていない不適切なトレーニングをする、運動前にストレッチを怠る、急な坂道を急激に長時間走る、肥満体形で膝に負担が掛かりやすいなどが発症に関与していると考えられています。 このように鵞足炎という病気は、スポーツにかかわる障害として代表的な疾患のひとつであり、その臨床的な特徴所見としては鵞足部への圧痛や、同部の動作時における疼痛症状が現れることであります。 この疾患に罹患すると、初期では膝関節の内側部より5㎝ほど下方の部位に痛みを覚えて、その部位を押すと強い痛みを自覚します。また、運動時や階段昇降時に疼痛症状が悪化しやすく、更に病状が進行すると安静時にも同部位が疼くように痛みを感じることがあります。 鵞足炎の特徴 ・スポーツ障害として代表的な疾患 ・膝の酷使 ・マラソン ・トップアスリート、プロスポーツ選手に生じやすい ・打撲などの外傷を契機に発症 鵞足炎の原因 ・不適切なトレーニング ・運動前のストレッチを怠る ・急な坂道を急激に長時間走る ・肥満体形で膝に負担が掛かかる 鵞足炎の治療法について 鵞足炎に対する治療策は、一般的には理学療法、あるいは投薬や注射などの保存的な療法が通常の流れになっています。 理学療法の一環として、本疾患においては大腿部の筋肉が硬くなると膝の症状が悪化すると考えられていますので、効果的なストレッチで筋肉部の緊張を和らげることが重要な視点となります。 注意点としては、炎症が強くて痛み症状が顕著な時期にストレッチ運動を過剰に実践してしまうと、逆に膝の痛みが悪化する原因になりかねないとの指摘もあります。 したがって、症状がひどい際には軽めのストレッチに留めておき、十分な安静を保持して、患部のアイシングや、湿布をはったり、外用消炎剤を塗布する、あるいは消炎鎮痛剤を服薬するなどの対処策を検討することになります。 また、鵞足炎に対する理学療法の一つとしてテーピングや、サポーターが挙げられます。 具体的には、膝関節を少し曲げながら股関節をやや内側に保持した状態で伸縮性のあるテーピングを貼付したり、サポーターを用いることで膝関節部における内側方向の動作を物理的に制限することができ鵞足部への負担を減らすことが出来ます。 もし鵞足炎に対して患部安静、局所的アイシング、抗炎症薬の使用、理学療法を実践するなどの治療方法を施行しても症状が改善しないケースでは、滑液包の内部に少量ステロイド薬を直接的に注射する療法も考慮されます。 このステロイドによる注射治療は施行後すぐに症状が軽快することが多く認められますが、数か月経過すると再度膝の痛みが再燃する可能性がありますので十分に注意を払っておくべきです。 また、痛みを覚えると身体を動かさなくなり、運動量が減ると体重が増加する恐れがあります。膝には体重の数倍の付加が、かかるとされ、体重の増加はそのまま症状の悪化につながりかねません。予防も含めて体重管理には注意したいものです。 まとめ・鵞足炎は膝の酷使が原因!その症状と治療法とは 鵞足炎という病気は鵞足部に存在している滑液包における炎症が主な病態であり、通常の場合には過度の運動などによって同部において繰り返して引き起こされる摩擦と物理的なストレスが原因で発症するものです。 特に、マラソンランナーや陸上選手などを始めとして膝を屈曲あるいは内旋する動作そのものが膝の内側、鵞足部への過剰な負担となりますし、縫工筋や半腱様筋、薄筋などの筋肉の緊張度が高い状況下に鵞足炎は頻繁に発症することが知られています。 鵞足炎の治療法 ・薬物療法、湿布などのアイシング ・ストレッチ ・鎮痛剤の内服 ・消炎鎮痛剤の塗布、炎症部位をアイシングし、熱感を除去する 鵞足炎は再発しやすいとも指摘されているため、焦らずにきちんと治すことを意識しながら、担当の医師や理学療法士などの医療従事者や専属トレーナーと一緒に使用するシューズを見直すなど症状が再発しないように出来る工夫策を共有することが重要な観点です。 心配であれば、最寄りの整形外科クリニックや専門病院などの医療機関を受診して相談してみることも考慮してみましょう。以上、鵞足炎は膝の酷使で起こる、その痛みと治療法と題して記させて頂きました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S040 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療の幹細胞治療が膝の治療を変える! 膝の痛みに新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善できます ▼以下も参考にされませんか ご注意!スノーボード、スキーなど冬のスポーツで起こしやすい膝の怪我とは?
最終更新日:2024.04.08