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食道静脈瘤は、肝硬変によって発症する重大な合併症のひとつであり、破裂すれば命に関わる危険性もある疾患です。 しかし、自覚症状に乏しく発見が遅れるケースも多いため、正しい知識と早期対応が求められます。 本記事では、食道静脈瘤の原因や症状、診断法、治療の選択肢、日常生活での注意点をわかりやすく解説します。 受診前に不安を抱える方や、ご家族のサポートを考えている方は参考にしてみてください。 なお、肝臓の疾患に対しては、「再生医療」という治療法があります。 当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEで情報提供と簡易オンライン診断を実施しています。肝臓疾患やその合併症でお悩みの方は、ぜひご利用ください。 食道静脈瘤は肝硬変の合併症のひとつ 食道静脈瘤は肝硬変の合併症のひとつであり、破裂すると命に関わる大量出血を引き起こす危険があります。 肝硬変を抱える患者の約50%に合併するとされており、極めて高い頻度です。(文献1) 肝硬変を患うと、血液の流れが肝臓で滞って血圧が異常に上昇します。 その結果、血液は肝臓を迂回して別の経路を通ろうとしますが、食道の静脈に過剰な血液が流れ込んでこぶ状に拡張するのが「食道静脈瘤」です。 自覚症状が乏しいまま進行することも多いため、肝硬変と診断された時点で定期的に内視鏡検査を受けましょう。 肝硬変の原因や症状について詳しくは、以下の記事をご覧ください。 肝硬変から食道静脈瘤になるメカニズム 食道静脈瘤の主な原因は、肝硬変による「門脈圧亢進(もんみゃくあつこうしん)」です。 門脈圧亢進では、肝臓内の血流が障害され、門脈と呼ばれる血管にかかる圧力が異常に高くなります。 通常、腸や脾臓からの血液は門脈を通じて肝臓へ流れ込みますが、肝硬変によって肝臓の組織が線維化すると、血液がスムーズに流れなくなります。 その結果、血液は別の経路を通って食道や胃の静脈などに流れ込み、血管が膨らんで瘤(こぶ)状になるのです。 このように、肝硬変による血流障害は門脈系全体のうっ血を引き起こし、結果として食道静脈瘤が形成されます。 食道静脈瘤が破裂したらどうなる?主な症状 食道静脈瘤が破裂すると、命に関わる大量出血を引き起こす可能性があります。 以下が代表的な症状です。 吐血:口から真っ赤な血液を吐く、もっとも目立つ初期症状 下血:腸内を通って排泄される血液により、黒色のタール状の便が出る 貧血:大量の失血により血圧が低下し、動悸・息切れ・めまいなどを伴う 上記の症状が現れると、短時間で急激に容体が悪化するケースがあり、緊急に治療しなければなりません。 とくに、肝硬変が進行すると血液が止まりにくくなる傾向があるため、破裂前の段階で発見して予防的な治療を行うことが重要です。 肝硬変による食道静脈瘤の診断 肝硬変と診断された患者に対しては、食道静脈瘤の有無を確認するために定期的な内視鏡検査を行います。 なかでも、上部消化管内視鏡(胃カメラ)は、食道内の静脈の拡張を直接観察可能です。食道静脈瘤の有無だけでなく、大きさや形状、表面の変化などをもとに破裂リスクを評価します。 また、必要に応じて色素や特殊光を用いた詳細な観察が行われることもあります。 なお、CT検査や超音波内視鏡が補助的手段として用いられる場合がありますが、診断の中心は内視鏡です。 症状がない段階でも発見できるため、肝硬変と診断されたら定期的な検査を受け、破裂による重篤な出血を未然に防ぎましょう。 肝硬変による食道静脈瘤の治療法 食道静脈瘤の治療は、破裂による出血を防ぐことを最優先の目的としています。 肝硬変に伴って発生する食道静脈瘤は、症状がないまま発見されることも多いため、瘤の大きさや形状、破裂リスクに応じた適切な治療法の選択が重要です。 ここでは、食道静脈瘤の治療法について詳しく解説します。 内服治療 食道静脈瘤に対する内服治療では、主に門脈圧を下げる薬剤が使用されます。 代表的な薬剤が、プロプラノロールやカルベジロールといった「β遮断薬(ベータブロッカー)」です。 β遮断薬は心拍数を下げる薬で、門脈系への血流の減少によって静脈瘤の内圧を低下させ、破裂のリスクを軽減します。 ただし、低血圧や不整脈などの副作用が現れる場合もあるため、定期的な診察と血圧・心拍の管理が重要です。 また、継続的なフォローアップのもとで、他の治療法と併用されるケースもあります。 内視鏡治療 内視鏡治療は、食道静脈瘤の破裂を防ぐための代表的な治療法です。 主に、薬剤を直接注入して血管を固める「静脈瘤硬化療法(EIS)」と、輪ゴムで瘤を縛り壊死させる「内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)」の2つの方法があります。 いずれも出血のリスクを大きく下げる効果があり、瘤の状態に応じて使い分けられます。 処置後は、再発予防のために定期的な内視鏡検査が必要です。 カテーテル治療 細い管状の器具を血管や体内に挿入する「カテーテル治療」は、門脈圧の低下を目的とする手術的治療法のひとつです。 代表的な方法に「経皮的門脈圧シャント術(TIPS)」があります。 肝静脈と門脈の間に人工のバイパスを作って門脈圧を下げ、静脈瘤への血流を減少させるのが特徴です。 主に、内視鏡治療が難しいケースや再発を繰り返す重症例に適用されます。 ただし、高度な技術を要するため、専門の施設で実施されるのが一般的です。 外科手術 外科手術は、内視鏡やカテーテル治療で効果が不十分な重症例に対して検討される治療法です。 門脈と体循環をつなぐ「門体シャント術」や、脾臓を摘出して血流量を減らす「脾摘術」などがあります。 手術は、門脈圧を根本的に下げることが目的です。 ただし、全身への負担が大きく、重度の肝機能障害がある患者には適さないケースがあります。 現在、外科手術は限られた救済的適応とされており、状態に応じて慎重に判断される点に留意しておきましょう。 バルーンタンポナーデ法 バルーンタンポナーデ法は、食道静脈瘤が破裂して大量出血を起こした際に行われる一時的な止血処置です。 専用のチューブを鼻や口から挿入し、食道内でバルーン(風船)を膨らませて静脈瘤を圧迫し、出血を物理的に止めます。 通常、24時間の留置が限度ですが、出血が再発した場合は必要に応じて食道バルーンをさらに24時間再拡張することも可能です。(文献2) ただし、応急処置として有効ではあるものの、再出血のリスクが高いため根本的な治療につなげるまでのつなぎの処置であり、あくまで緊急時の対応策に位置づけられています。 再生医療という選択肢 近年、肝硬変に伴う合併症への対応として「再生医療」が検討されるようになってきました。 再生医療とは、患者様の体から採取した脂肪由来の幹細胞を培養し、点滴で体内に戻す治療法です。幹細胞が持つ、他の細胞に変化する「分化能」が肝組織に対して働きかけることが期待されています。 患者様自身の幹細胞を用いるため、拒否反応のリスクが低いのが特徴です。また、手術や入院を必要としません。 肝硬変や合併症でお悩みの方は、治療法の一つとして再生医療もご検討ください。当院「リペアセルクリニック」での肝硬変に対する症例も参考になります。 肝臓疾患に対する再生医療について詳しくは、以下のページで解説しているのでご覧ください。 肝硬変で食道静脈瘤になった場合の予後・生存率 肝硬変の合併症のひとつである食道静脈瘤は、破裂すると生命を脅かす重大な疾患です。 破裂による初回出血後の6週死亡率は15〜25%に達するとされ、早急な対応が求められます。(文献3) また、一度出血した患者の多くは6か月以内に再出血を起こすリスクが高く、再出血時の死亡率が高い傾向がある点も見逃せません。 予後は、出血の有無だけでなく、肝機能の重症度にも大きく左右されます。 食道静脈瘤の早期発見と適切な予防的治療、肝機能の維持が長期的な生存率向上の鍵です。 肝硬変で食道静脈瘤になった場合の注意点 肝硬変によって食道静脈瘤を発症した場合、命に関わる出血リスクを常に抱えることになります。 適切な治療はもちろん、再発予防を意識した日常生活も大切です。 ここでは、肝硬変の合併症で食道静脈瘤になった場合の注意点を解説します。 疾患と治療のバランスが重要 食道静脈瘤の治療は破裂リスクを抑えるのが最優先ですが、同時に肝機能そのものの管理も欠かせません。 過剰な処置や薬剤の使用は、かえって肝臓に負担をかける場合もあります。 疾患の進行度と体調のバランスを見極めながら、治療方針を選択することが重要です。 経過観察が必要 食道静脈瘤は治療後も再発する可能性が高いため、内視鏡検査による定期的な経過観察が不可欠です。 とくに、静脈瘤の再形成や出血リスクの高まりを早期に察知することで、迅速な対応が可能になります。 治療後も決して油断せず、継続的な受診を欠かさないようにしましょう。 食事の注意点 肝硬変が原因の食道静脈瘤では、食事にも細心の注意が必要です。 硬い食べ物や刺激の強いものは食道粘膜を傷つけ、静脈瘤の破裂を誘発する恐れがあります。 たとえば、以下のような食事は避けたほうが良いでしょう。 乾燥したパンの耳 揚げ物 香辛料の強い料理 柔らかく調理した食事をよく噛んで、ゆっくり食べる習慣が大切です。 ただし、食道静脈瘤以外にも疾患があれば、塩分の摂取制限や栄養バランスに配慮しなければならない場合もあるため、自己判断せず医師に相談しましょう。 肝硬変で注意すべき食事については、以下の記事でも紹介しています。 まとめ|定期的な経過観察で早期発見・治療 食道静脈瘤は、肝硬変によって引き起こされる重大な合併症のひとつであり、破裂すると生命に関わる危険があります。 多くの場合、自覚症状がないまま進行するため、早期発見が極めて重要です。 肝硬変と診断されたら定期的な内視鏡検査を受け、瘤の有無や状態を確認する必要があります。 また、治療を受けた後も再発のリスクは残るため、継続的な経過観察が欠かせません。 医師と連携しながら、食生活や服薬、生活習慣の改善にも取り組みましょう。 なお、肝臓の疾患には「再生医療」が治療の選択肢のひとつとして注目されています。 当院「リペアセルクリニック」では、公式LINEにて再生医療に関する情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。ぜひ登録してご利用ください。 肝硬変と食道静脈瘤に関連するよくある質問 食道静脈瘤に予兆はありますか? 食道静脈瘤は、破裂するまでほとんど自覚症状がないことが多い疾患です。 ただし、破裂が近づくと胸部の違和感や黒色便、軽度の吐血といった前兆が現れる場合があります。 とはいえ、こうした予兆は非常にあいまいであり、明確なサインとして現れるとは限りません。 したがって、肝硬変と診断された時点で、症状の有無にかかわらず、定期的な内視鏡検査による監視が極めて重要です。 食道静脈瘤は極めて重篤な疾患であり、早期発見が予防的治療と命を守る第一歩となる点を肝に銘じておきましょう。 食道静脈瘤破裂で亡くなった芸能人は? 俳優の石原裕次郎さんは、肝臓がんの出血で亡くなったとされています。 ただし、食道静脈瘤破裂が直接の原因で亡くなったとの、確かな情報は確認できませんでした。 参考文献 (文献1) New index to predict esophageal variceal bleeding in cirrhotic patients|PMC(PubMed Central) (文献2) Medscape|Sengstaken-Blakemore Tube Placement Technique (文献3) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37351074/|PubMed
2025.12.13 -
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「最近お酒の量が増えている」「健康診断で肝機能の数値が悪い」そんな方は、アルコール性肝硬変のリスクがあるかもしれません。 アルコール性肝硬変は、長期間の大量飲酒により肝臓が硬くなり、正常に機能しなくなる病気です。初期は自覚症状がほとんどありませんが、進行すると腹水や黄疸、吐血などの深刻な症状が現れ、命に関わる場合もあります。 飲酒習慣があり肝硬変が心配な方に向けて、本記事ではアルコール性肝硬変の原因・症状から治療法・予防法まで、分かりやすく解説します。 なお、肝硬変に対しては再生医療という治療方法があります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する症例の紹介や簡易オンライン診断を実施しているので、ぜひご利用ください。 アルコール性肝硬変とは? 日頃から多くお酒を飲む方の場合、アルコール性肝硬変のリスクに注意する必要があります。 アルコール性肝硬変の特徴は以下のとおりです。 長期間の飲酒による肝臓疾患で症状が進んだもの 前段階としてアルコール性肝炎がある アルコール以外で発症する肝硬変との違い 肝硬変について詳しくは以下の記事をご参照ください。 長期間の飲酒による肝臓疾患で症状が進んだ状態 アルコール性肝硬変とは、肝硬変のうち5年以上の長期間にわたる大量の飲酒によって肝臓が硬くなる疾患を指します。お酒に含まれるアルコールには「アセトアルデヒド」と呼ばれる有害物質があり、通常は肝臓で分解された後に体外に排出される仕組みです。 しかし、普段から大量のお酒を飲んでいる場合は、肝臓でアセトアルデヒドが分解しきれずに蓄積します。このアセトアルデヒドが肝細胞を傷つけて破壊すると、傷ついた部分は硬い組織(線維)に置き換わります。この硬化が肝臓全体に広がった状態が肝硬変です。 なお、日本では肝硬変の原因としてアルコール摂取が最も多いことを示す研究結果もあります。(文献1) 前段階としてアルコール性肝炎がある アルコール性肝硬変は、普段の大量の飲酒がきっかけで短期的に発生するわけではありません。日頃からの過剰な飲酒でアルコールを体内に多く摂取すると、肝臓で代謝するなかで中性脂肪が蓄積されます。この中性脂肪が肝臓に溜まった状態が「アルコール性脂肪肝」です。 アルコール性脂肪肝ができてもアルコールの摂取量を減らさない場合、中性脂肪の蓄積がさらに進んでアルコール性肝炎へと発展します。このアルコール性肝炎がより重篤になった疾患がアルコール性肝硬変です。 アルコール性肝炎には、肝細胞の膨張や黄疸、腹痛などの症状が見られます。詳細は以下の記事を参考にしてください。 アルコール以外で発症する肝硬変との違い 肝硬変にはアルコール以外で発症する、「非アルコール性肝硬変」と呼ばれるものもあります。アルコール性肝硬変と非アルコール性肝硬変との違いは、「発症の原因がアルコールかそれ以外か」です。 非アルコール性肝硬変の場合、以下の原因が挙げられます。 肥満や糖尿病などの生活習慣病 B型・C型肝炎ウイルスによる感染 自己免疫疾患 薬剤や有害物質 これらのアルコール以外の要因で肝臓疾患になり、その症状が進行して肝硬変になったものが、「非アルコール性肝硬変」に分類されます。 アルコール性肝硬変の原因 アルコール性肝硬変は、主に長期に及ぶ大量のアルコール摂取が原因です。摂取したアルコールを分解する際に発生するアセトアルデヒドが継続的に肝臓を傷つけることで、肝細胞が損傷・破壊されます。肝細胞の破壊が進むと、肝臓内で硬い部分が広がって肝機能が衰え、肝炎や肝硬変などの症状に発展します。 なお、「長期に及ぶ大量のアルコール摂取」の目安は、男性で1日60g以上、女性で1日40g以上のアルコールを10年以上に渡り摂取している状態です。また、上記の目安に達していなくても短期間で大量飲酒を繰り返す場合も、アルコール性肝硬変のリスクがあります。 ほかにも生活習慣病や遺伝的要因を抱えている状態で、大量にアルコールを摂取する生活を続けている方も注意が必要です。 アルコール性肝硬変の症状 アルコール性肝硬変の症状には、次のようなものが見られます。 肝機能やアルコール分解能力の低下 黄疸(おうだん) 腹水 吐血 肝臓がんを発症するケースも 命に関わる症状もあるため、事前に知識を深めておくことが大切です。 肝機能やアルコール分解能力の低下 アルコール性肝硬変になると、肝臓の働きが悪くなり、アルコールを分解する能力も落ちます。これは、お酒に含まれる有害物質(アセトアルデヒド)が肝臓の細胞を傷つけて壊すためです。毎日お酒を飲み過ぎると、肝臓の細胞が傷つき、最終的には肝臓の線維化が進み硬くなります。 肝機能やアルコール分解能力の低下が続けば、肝臓に中性脂肪が溜まるようになります。この状態が続くと、アルコール性肝炎を起こし、さらに進行するとアルコール性肝硬変になります。 アンモニア臭が発生する アルコール性肝硬変になった人は、アンモニア臭を発生させることがあります。 食事を通じて体内に取り込まれたアンモニアは、本来であれば肝臓で無毒化された上で、尿として排出されます。しかし、肝硬変になった人は肝機能が衰えているため、アンモニアの解毒作用がはたらきません。その結果、残留したアンモニアが血管内に流出し、吐き出す息にもアンモニアのにおいが伴います。 なお、血液中のアンモニア濃度の上昇が脳に影響し、肝性脳症による意識障害を引き起こすケースもあります。 黄疸(おうだん) 黄疸(おうだん)、この黄色に染めるものの正体は、赤血球に含まれるビリルビンです。 赤血球は古くなると肝臓に送られて分解されます。その際に赤血球に含まれるビリルビンも、胆汁とともに排出されます。 しかし、肝機能が低下するとビリルビンがうまく排出されず、血液中に増えてしまいます。そのため、皮膚や目の白い部分が黄色く染まってしまうのです。 腹水 腹水とは、胃などのお腹周りの臓器と、それらを包む膜の間に広がる腹腔に水が溜まる症状を指します。そして腹水も、アルコール性肝硬変がある程度進んだ場合に見られる症状です。 体内の水分バランスは、肝臓で作られる「アルブミン」というたんぱく質が調整しています。しかし、アルコール性肝硬変が進行するとアルブミンの生成量が減り、血管内の水分が腹腔へと流れ出て腹水になります。 なお、腹水が膨らむと呼吸困難のような重篤な状態になるケースもあります。 吐血 吐血もアルコール性肝硬変で見られる症状です。 アルコール性肝硬変では肝臓に向かう血管が狭くなったり閉塞したりするため、血流が低下します。加えて、行き場を失った血液は食道の静脈へと向かうため、圧力がかかり食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)という血管の瘤(こぶ)ができます。 アルコール性肝硬変による吐血は、多くの場合、この食道静脈瘤がいきみや咳などの刺激で破裂することで起こります。 肝臓がんを発症するケースも アルコール性肝硬変になった場合、肝臓がんを発症することもあります。肝硬変から肝臓がんになるのは、肝細胞が損傷と再生を繰り返す過程で、突然変異によってがん細胞に変化するためです。 肝臓がんを発症すると、肺やリンパ節など他の臓器に転移する場合があります。また、他の臓器のがんが肝臓に転移してくるケースもある点にも注意が必要です。 アルコール性肝硬変の末期症状は?余命はどの程度? アルコール性肝硬変が末期になると、肝臓が著しく縮小し、肝機能は大幅に低下します。加えて、腹水による呼吸困難や吐血、肝性脳症による昏睡のリスクが高まるため、非常に危険な状態です。 末期症状とともに気にされることの多い余命については、医学的な重症度分類に基づいた研究では、症状が重度まで進んだ肝硬変患者の3年後も生存している割合は約31%と報告されています。(文献2) ただし、実際の経過は患者様の年齢、他の病気の有無、治療への反応などにより大きく異なります。また、適切な治療を継続し、禁酒を徹底することで病気の進行を遅らせることが期待できるため、諦めずに治療を続けることが大切です。 アルコール性肝硬変の診断方法 アルコール性肝硬変の早期発見・治療には、適切な診断が重要です。 主な診断方法として、以下があります。 飲酒歴や生活習慣の聞き取り 血液検査 腹部超音波検査・画像診断 肝生検 医師は患者さんの症状や状態に応じて、これらの診断方法を選択して検査を行います。 飲酒歴や生活習慣の聞き取り アルコール性肝硬変について診断する際は、医師が飲酒歴や生活習慣を聞き取ります。飲酒歴の場合、以下の項目を尋ねるのが一般的です。 お酒を飲んでいる年数 週に飲む日数 1日に飲む量 アルコール濃度 お酒の種類 アルコール性肝硬変かどうかは、5年以上にわたって1日に60g以上(女性は40g以上)の純アルコールを摂取しているかが基準とされます。ただし肥満が見られる人については、摂取量が基準に満たない場合でもアルコール性肝硬変を疑われます。 なお、飲酒歴は本人だけでなく、家族からも聴取します。加えてアルコール依存症の有無も確認される項目です。 飲酒以外にも、普段の食事や運動の状況・体重の変化・服薬の有無・健康状態も問診します。健康状態については、黄疸など明確な症状の有無のほか、倦怠感や食欲不振など本人が感じている症状も聞きます。 血液検査 血液検査では、肝機能を示すASTやALTなどの指標を調べます。アルコール性肝硬変が疑われる場合、これらの数値が異常値を示すことが多く、診断の重要な手がかりとなります。 なお、会社や自治体の健康診断で肝機能の異常が見つかった場合は、その結果を医師に持参して詳しい検査を受けることが大切です。 腹部超音波検査・画像診断 血液検査で異常が見られた場合、より精密な検査として腹部超音波検査や画像診断が必要です。 腹部超音波検査は超音波を使って肝臓の状況を確認します。肝臓のサイズや表面の凹凸の状態、脂肪の蓄積具合などを見ることで、肝臓の線維化の程度や病気の進行度を調べる方法です。 腹部超音波検査とともに、振動波で肝臓の硬さをチェックする手段もよく用いられます。振動波は硬い物体ほど速く伝わるため、その原理を利用した装置で肝硬変の進み具合を見ます。 画像診断は実際の肝臓の状態を直接目で確認できる手段で、MRIやCTによる方法が一般的です。基本的にはこれらの装置を使った方法と、今までの血液検査や問診の結果を総合して最終的な診断を下します。 肝生検 アルコール性肝硬変の診断には、肝生検と呼ばれる方法を用いるケースもあります。肝臓組織の一部を切り取った上で、顕微鏡で観察して病状を確認する方法です。 ただし、すでに説明した超音波などによる検査や画像診断が主流になってきている上に、出血や感染症などの合併症のリスクがあることから、必要性が高いときにのみ実施されます。 アルコール性肝硬変の治療法 アルコール性肝硬変の主な治療法は以下のとおりです。 【最重要】断酒 栄養療法・食事療法 薬物治療 アルコール依存症の治療 肝移植 再生医療 アルコール性肝硬変の治療法について知り、本格的な治療に臨みましょう。 断酒 アルコール性肝硬変の治療においては、お酒を全く飲まない「断酒」が重要です。症状が出ている中で飲酒を続けた場合、アセトアルデヒドによる肝細胞の損傷・破壊や、脂肪の蓄積が進みます。その結果、肝硬変の症状が悪化するため、命の危機に直面する可能性もあります。 アルコール性肝硬変の治療を始めるのであれば、すぐに断酒しましょう。 栄養療法・食事療法 肝機能の回復には十分な栄養補給が必要ですが、アルコール性肝硬変の方は長期の飲酒により、栄養状態が悪化していることが多くあります。そのため、食事内容の見直しが必要です。 医師の指導を受けながら、主食・主菜・副菜で構成される、栄養バランスを考慮した献立で食事をとりましょう。エネルギーやたんぱく質の不足を克服するためにも、高エネルギー・高たんぱく質のメニューにします。 たんぱく質は肉だけでなく魚介類や大豆類などでバランスよくとることが大切です。加えて、野菜や果物などからのビタミンや食物繊維の摂取もポイントに挙げられます。ただしどんなに体に良い栄養素でも、食べ過ぎは禁物です。 一方で、腹水の症状がある方は、塩分や水分を制限します。塩分や水分を多く摂取すると、腹腔に腹水が多く溜まるためです。とくに塩分は1日5~7g以内が推奨されます。(文献3) 薬物治療 薬物治療では、アルコール性肝硬変の症状緩和や合併症の管理を目的として薬剤が用いられます。ただし、肝機能が低下している状態では、薬物の代謝も困難になるため、使用する薬や量は慎重に選択されます。 具体的には、腹水に対して利尿剤、肝細胞の保護には肝保護薬(ウルソデオキシコール酸など)、肝性脳症に対してはラクツロースなどが使用されます。 アルコール性肝硬変の治療で薬物は、あくまでも補助的な意味合いで使われるものと理解すると良いでしょう。 アルコール依存症の治療 アルコール性肝硬変を発症する方には、アルコール依存症にかかっている方も多くいます。生活上の不安や不満などをお酒の力を借りて紛らわそうとするあまり、お酒が手放せない状態になってしまう状態です。 アルコール自体も中毒性を伴う物質であるため、依存症まで発症すると自力での断酒は困難です。そのため、治療を進める中で精神科や心療内科の専門医のカウンセリングを受ける必要があります。 肝移植 断酒や食事療法などによる治療が難しい場合は、肝移植を検討します。肝移植は70歳※までの健康な成人の肝臓の一部を移植する方法です。※日本肝臓学会の基準。施設により異なる場合があります。 移植された肝臓の一部は、高い再生能力で元の形状や大きさに戻ります。 アルコール性肝硬変の治療では、本人が一定期間継続して断酒しているなどの条件を満たすことが欠かせません。加えて自身の体に合う肝臓があることも重要です。 ほかにも移植しなかった場合の余命の長さも、肝移植するかどうかの判断材料になります。肝移植は、ほかの内科的治療では改善が困難な場合に検討されます。 再生医療 近年では再生医療も、アルコール性肝硬変治療で選べる方法のひとつです。再生医療には主に幹細胞治療とPRP療法があります。 幹細胞治療は、患者様の脂肪から幹細胞を採取・培養後、幹細胞を患部に投与する方法です。 一方、PRP療法では患者様の血液を採取し、遠心分離器で血小板を多く含む液体を作製して患部に投与します。再生医療は手術を伴わない治療法で、施術にもあまり時間はかかりません。 当院「リペアセルクリニック」では、随時再生医療に関するご相談を受け付けていますので、興味がある方や気になる方はぜひお問い合わせください。 実際の肝硬変に対する再生医療の治療例については、当院の症例をご覧ください。 アルコール性肝硬変の予防法 アルコール性肝硬変は予防可能な疾患です。 症状が現れる前の早期対策が重要で、主に以下の方法で予防できます。 適量の飲酒・禁酒 栄養バランスのとれた食事 定期健診 発症して厄介な事態になる前に、これらの予防法で早めに対策しましょう。 適量の飲酒・禁酒 アルコール性肝硬変の予防には、適量の飲酒や禁酒への意識が大切です。お酒とうまく付き合いつつ、アルコール性肝硬変も予防するには、お酒の適正量を知っておくと役に立ちます。 お酒の適正量は厚生労働省によると、純アルコールを1日約20gに留めるのが目安です。これはビールであればアルコール度数5%で中瓶1本500ml、清酒であれば15%で1合(180ml)に相当します。(文献4) 肝機能に特別な問題のない方は、上記の摂取量の範囲でお酒を飲むことが、アルコール性肝硬変の予防につながります。加えて、週に1~2日は休肝日を設け、肝臓を休ませましょう。 一方で肝硬変や、その前段階である脂肪肝・アルコール性肝炎が疑われるときは、肝機能が安定するまでは禁酒が必要です。 栄養バランスのとれた食事 栄養バランスのとれた食事も有効な予防法です。食事でアルコール性肝硬変を予防する場合も、基本的には主食・主菜・副菜の構成で、良質なたんぱく質や食物繊維などを積極的に摂取します。また、塩分の取りすぎには注意しましょう。 加えて、食事の回数は1日3回を心掛け、適切な量をよく噛んで食べることも大切です。食事の回数が少ないと、肝臓が貯蔵してある栄養分でエネルギーを補てんしようとするため、余計な負担をかけます。よく噛まなかったり食べすぎたりする習慣も、肝臓への負担や脂肪肝の蓄積の原因になるため、避けるべきです。 定期健診 定期健診は、アルコール性肝硬変の早期発見と予防に重要な役割を果たします。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期段階では自覚症状がほとんど現れないため、定期的な健診で確認しましょう。 血液検査で数値に異常が見られた場合は、早期の段階で飲酒量の見直しや生活習慣の改善を行うことで、肝硬変への進行を防ぐことができます。 とくに日常的に飲酒する習慣がある方は、定期的な肝機能検査を受けることで、肝臓の状態を把握し、適切なタイミングで予防対策を講じることが可能です。 まとめ|アルコール性肝硬変は飲酒を見直すことが不可欠 アルコール性肝硬変は、長期間の大量飲酒が原因で発症する重篤な肝疾患です。 初期は自覚症状がほとんどありませんが、進行すると黄疸や腹水、吐血などの深刻な症状が現れ、命に関わる場合もあります。 治療の中心は断酒です。飲酒を続ける限り肝臓の損傷は進行し続けるため、症状の改善や進行の抑制には完全な禁酒が不可欠です。断酒と併せて、栄養バランスの取れた食事療法や合併症に対する薬物治療も重要な役割を果たします。 日常的に飲酒する習慣がある方は、今一度飲酒量や生活習慣を見直し、肝臓の健康を守ることが大切です。 なお、アルコール性肝硬変を含む肝疾患に対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。再生医療について詳しくは、当院「リペアセルクリニック」まで、お気軽にお問い合わせください。 肝硬変とアルコールのよくある質問 アルコール性肝硬変は治るのか? アルコール性肝硬変は、症状が軽いうちであれば治る見込みは十分にあります。とくに健康診断の段階で肝機能に異常が見られたり、肝臓で脂肪肝や炎症が見つかったりしたときには、すぐにでもお酒を控えるなどの対策が治る確率を高めます。 なお、アルコール性肝炎が治るかどうかは、以下の記事も参考にしてください。 肝硬変でお酒をやめないとどうなる? 肝硬変でお酒をやめなかった場合、脂肪の蓄積やアルコールの作用で、さらに肝臓の線維化が進行します。しかも、肝臓がんや肝性脳症のような合併症のリスクも高まるため、注意が必要です。 なお、医学的な重症度分類に基づいた研究では、症状が重度まで進んだ肝硬変患者の3年後も生存している割合は約31%と報告されています。(文献2) ただし、実際の経過は患者様の年齢、他の病気の有無、治療への反応などにより大きく異なります。また、適切な治療と生活習慣の改善により、病気の進行を遅らせることが期待できます。 肝硬変になるアルコール摂取量はどのくらい? 肝硬変は、一般的に男性で1日約60g以上、女性で約40g以上のアルコールを摂取する生活を5年以上継続した場合に発症するとされています。(文献4) ただし、飲む側の体質によって発症する摂取量はさまざまです。また、肥満体質の場合は上記よりも少ないアルコールの摂取を数年続けた結果、肝硬変になる場合があります。 参考文献 (文献1) Hirayuki Enomoto et al. (2024) Etiological changes of liver cirrhosis and hepatocellular carcinoma-complicated liver cirrhosis in Japan: Updated nationwide survey from 2018 to 2021, Hepatol Res.2024 (文献2) 肝硬変患者の生命予後の検討|厚生労働省 (文献3) 肝硬変診療ガイドライン 2020(改訂第 3 版)|日本消化器病学会・日本肝臓学会 (文献4) アルコール|厚生労働省
2025.12.13 -
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健康診断で肝硬変を疑われる数値が出てきた場合、より精密な検査を受けながら対策を進めていくことが欠かせません。正常な状態に戻すためにも、検査で使われる数値に関する知識は大切です。 肝硬変に関する数値や目安を知っていると、今後の治療や予防で目標を立てるのに活用できます。 本記事では、肝硬変が疑われる数値や目安、対策・予防法を解説します。なお、肝硬変の血液検査で用いられる指標や、正常とされる数値の目安は日本臨床検査医学会の基準をもとにご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 また、肝硬変に対しては再生医療という治療の選択肢もあります。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肝硬変の治療法についてお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録いただき再生医療についてご確認ください。 肝硬変の血液検査の指標・正常な数値の目安 肝硬変の疑いで血液検査を受ける際に、検査に使われる指標や正常な数値の目安を知っていると、結果を踏まえての対策や心の準備に役立ちます。 検査で肝機能を調べる際の指標として、以下に挙げるものが一般的です。 AST(GOT) ALT(GPT) γ-GTP(γ-GT) LDH(LD) ALP 血小板数 総ビリルビン 以上の指標を、日本臨床検査医学会の基準を参考に肝硬変が疑われる数値の目安とともに解説します。(文献1) 本章で紹介する血液検査の数値は肝硬変の可能性を示唆するものですが、確定診断には医師による総合的な判断と追加検査が必要です。数値の異常があっても自己判断せず、必ず医療機関を受診してください。 肝硬変の原因や症状について詳しくは、以下の記事が参考になります。 AST(GOT) 下限値 上限値 13 30 単位:U/L (文献1) ASTは肝細胞がアミノ酸を生成する際に使われる酵素です。肝細胞内に多く含まれているのが特徴で、肝臓疾患をはじめとする原因で肝細胞が壊れると、血液中に漏れ出ます。 このため、高い値が出るときは、肝臓でなんらかの問題が起きていることが疑われます。ただし、ASTは心筋や骨格筋にも多く含まれるため、肝機能の検査では次に触れるALTの数値とともに確認します。 標準とされる目安は13~30単位です。ASTとALTの両方が150単位以下で、そのうちASTが高い場合は肝硬変の疑いがあります。 ALT(GPT) 下限値 上限値 8 36 単位:U/L (文献1) ALTも肝細胞に多く含まれる酵素です。全体の9割程度が肝細胞に含まれているため、チェックする際に数値が極端に高いときは、肝機能の問題が疑われます。 基準値は8~36単位です。 γ-GTP(γ-GT) 下限値 上限値 9 47 単位:U/L (文献1) γ-GTPは肝臓や胆管に多い酵素で、たんぱく質の分解や解毒に役立ちます。肝細胞や胆管細胞がなんらかの原因で破壊されると、血液中に流出して数値が上昇する仕組みです。 とくにアルコールに強く反応するため、日頃お酒を大量に飲む人であれば、たとえ肝障害がなくても数値が上昇します。加えて、すでに脂肪肝があったり薬剤を服用したりする方も、数値が上がるケースがあるために注意が必要です。 基準値は9~47単位で、50単位を上回っていれば肝臓の疾患が疑われます。 LDH(LD) 下限値 上限値 124 222 単位:U/L (文献1) LDH(LD)は、肝細胞のほかに心筋や赤血球などに多い酵素です。通常は体内のブドウ糖をエネルギーに変換する際に活動するものの、疾患をはじめとする原因で肝細胞が破壊された際には血中に流出します。 基準値は124~222単位で、数値が高いほど肝硬変を含む肝臓疾患や心筋梗塞の疑いがあります。 ALP 下限値 上限値 38 113 単位:U/L (文献1) ALPは肝臓や骨、腸などで生成され、リン酸化合物の消化のはたらきがある酵素です。ALPも胆管や肝臓になんらかの異常が発生した際に、血中に流れ出て数値が上昇します。 ALPの基準値は38~113単位で、それ以上高くなると肝硬変が疑われます。 血小板数 下限値 上限値 158 348 単位:10³μL (文献1) ケガをした際に出血を止めるはたらきをする血小板の数も、肝硬変をチェックする際に使われる指標です。肝硬変は症状が進むと、肝臓の線維化(肝臓の組織が硬く変化すること)に併せて血小板の数が減っていくためです。 通常は15.8万個から34.8万個で基準とされる一方、10万個を下回った場合は肝硬変が疑われます。 総ビリルビン数 下限値 上限値 0.4 1.5 単位:mg/dL (文献1) ビリルビンは古くなった赤血球を肝臓で破壊する際に生成される色素です。色が黄色であるのが特徴で、肝機能が低下すると血中に多く見られるようになります。 肝硬変の症状の1つで、皮膚が黄色くなる黄疸(おうだん)は、血中のビリルビンの量が増えることで発生する仕組みです。なお総ビリルビンの基準値は0.4~1.5㎎で、それ以上増えると肝臓疾患が疑われます。 数値で肝硬変が疑われるときの検査 もし、健康診断の数値で肝硬変の疑いがあるときには、より詳しく分析するために次のような検査が行われます。 腹部超音波検査 フィブロスキャン検査 肝生検 胃カメラ 以下の検査についても知っておくと、事前に心の準備をする上で役に立つでしょう。 腹部超音波検査 腹部超音波検査とは、機械が発する超音波を使って肝臓全体を観察・検査する方法です。とくに肝臓の形状の変化や表面の凸凹、脂肪肝が見られるときには肝硬変が疑われます。 ほかにも、肝臓がんが発生しているときには、がん細胞も観察できます。 フィブロスキャン検査 フィブロスキャン検査(肝硬度測定)は、肝臓の硬さを測定する検査です。肝臓に振動波を伝えることで、振動速度から肝臓の硬さを数値として検出します。(文献2) なお、振動速度は肝臓の硬さと密接に関わっていて、硬いほど速度が速くなる傾向です。 肝生検 肝生検は肝臓に直接針を刺すやり方で組織の一部を採取し、実際に顕微鏡で観察する方法です。直接の観察によって肝臓の組織がどの程度硬くなっているのかや、炎症が出現しているのかを医師が自らの目で確認します。 ただ近年では、超音波検査が主要な検査の手段になってきているため、取り扱っていない医療機関も増えています。 胃カメラ 胃カメラも肝硬変の精密検査で推奨される手法の1つです。肝硬変を発症すると、食道や胃の血管が膨らんでこぶ状になる静脈瘤(じょうみゃくりゅう)が発生するケースがあるため、胃カメラでの検査を勧められます。 この食道・胃静脈瘤は、発生する原因の大半が肝硬変の進行によるものと考えられています。しかも、静脈瘤は膜が非常に薄い分、ちょっとしたはずみで大量出血や吐血、黒い便のリスクがあるために、細心の注意が必要です。以上の理由から、肝硬変の疑いがあるときは、胃カメラを使った検査も一緒に受けると良いでしょう。 肝硬変が疑われる数値が出たときの対策・予防法 もし健康診断で肝硬変が疑われる数値が出てきた場合、さまざまな対策や予防法で肝硬変のこれ以上の悪化に備えられます。主な対策や予防法は以下のとおりです。 休肝日を設けるなどして飲酒の量を調整 食事の栄養バランスや量に注意 便秘対策 適度な運動の習慣 以上の方法を活用しながら、少しでも状況を良くしていくことが大切です。 休肝日を設けるなどして飲酒の量を調整 肝硬変の予防には、禁酒や休肝日を設けるなどの対策が欠かせません。肝硬変は日頃から大量のお酒を飲むことによるアルコールの大量摂取が大きな要因であるためです。実際に近年の研究では、わが国で発症する肝硬変の原因で最も多いのがアルコール摂取であることも報告されています。(文献3) アルコールを大量に摂取すると、肝臓で分解されるアセトアルデヒドや、肝臓に蓄積される中性脂肪が処理しきれなくなります。これらを放置すると、肝臓だけでなく他の消化器官にも多大な負担をかけるため、注意が必要です。 肝硬変の疑いがあるときは、ただちに飲酒をやめて適切な治療に臨みましょう。また、現在のところ肝硬変の可能性が低い方も、週に2~3回は休肝日を設けて肝臓をいたわるべきです。 食事の栄養バランスや量に注意 肝硬変の治療や予防には、食事の栄養バランスや量への注意も有効な対策として挙げられます。 主食・主菜・副菜を一通りそろえた献立での食事のほか、損傷が進んだ肝臓の回復に欠かせないたんぱく質の意識的な摂取がポイントです。具体的には肉類だけでなく、魚介類・卵類・大豆類を使った料理を口にするのがおすすめです。 栄養バランス以外にも、食事の量や回数も意識します。食べすぎると肝臓に脂肪肝が蓄積され、より肝硬変を悪化させる原因になるためです。このため腹八分目程度がちょうど良いでしょう。 食べる回数も1日3回が基本です。朝食を抜くなどして1日の食事回数を減らすと、肝臓が蓄えていた栄養分で足りないエネルギーを補てんしようとするため、ただでさえ弱っている肝臓に負担がかかります。 便秘対策 肝硬変が疑われる場合は便秘対策も大切です。便秘になると腸内でアンモニアを発生させる細菌が優位になり、健康な人であればそのアンモニアは肝臓で解毒されます。しかし、肝硬変では肝機能の低下でアンモニアが解毒されないため、アンモニアが血中に流出した上に、脳に達すると肝性脳症を発症する場合があります。 アンモニアの解毒も肝臓に大きな負担をかけるものであるため、肝硬変の疑いがある場合は便秘対策が欠かせません。普段から野菜や果物、きのこ類のようなビタミンや食物繊維を多く含むものを摂取して、お通じを良くしましょう。 適度な運動の習慣 適度に運動する習慣も肝硬変対策に役立ちます。とくにアルコール以外の原因で肝硬変の疑いがある場合は、肝硬変の原因物質である脂肪肝を減らすことで、症状の改善が期待できます。 1日30分以上の運動を、週3回以上行う程度がおすすめです。運動の内容も、ウォーキングやジョギング、サイクリングのような少し汗をかく程度の有酸素運動が良いでしょう。なお、途中に休憩を挟みながらやる方法でも問題ありません。ただし、肝硬変対策に運動を取り入れる際には、事前に担当の医師と運動の頻度や量をよく相談しましょう。 まとめ|肝硬変が疑われる数値の把握と予防が大事 血液検査などによる肝硬変や肝機能に関する数値の把握は、今後の肝硬変の治療や予防には欠かせません。もし、血液検査で肝硬変が疑われる数値が出てきたときは、すぐにより詳しい検査を受けることが大切です。 実際に肝硬変の診断を受けたり、医師からなりかけていることを指摘されたりしたら、禁酒や節酒でお酒を控えながら、食事や運動などの生活習慣を見直しましょう。肝硬変に関係する数値に向き合うことで、肝硬変のこれ以上の悪化や将来なる可能性を防ぐ上で重要です。 肝硬変が判明した方は、再生医療による症例記事も参考までにご覧ください。 肝硬変の数値に関するよくある質問 肝硬変の診断基準は? 肝臓の数値がどのくらいであれば入院が必要? 肝臓の数値が急に上がる原因は? 肝臓で高い数値が出るのはストレスが原因? 肝硬変の診断基準は? 肝硬変の診断基準は、血液検査で肝機能などに関係するASTやAGTなどを確認します。もし数値が正常値を逸脱している場合は、腹部超音波検査をはじめとするより精密な検査を行います。血液検査や精密な検査の結果を総合して、肝硬変かどうかを判断する流れです。 肝臓の数値がどのくらいであれば入院が必要? 肝臓の数値で入院が必要な目安は以下のとおりです。 項目 入院が必要な目安 (参考)正常とされる数値 AST 500U/L以上 13~36U/L ALT 500U/L以上 8~36U/L γ-GTP 500U/L以上 9~47U/L ALP 400U/L以上 38~113U/L 総ビリルビン数 10㎎/dL以上 0.4~1.5㎎/dL ただしこれらは参考値であり、実際の治療方針は医師が全身状態を総合的に判断して決定します。 肝臓の数値が急に上がる原因は? 肝臓の数値が急に上がる原因には肝臓の疾患のほか、過度な飲酒や服用している薬剤の影響、栄養バランスの偏った食事などさまざまな要因が挙げられます。必ずしも肝臓疾患によるものではないものの、場合によっては医師への相談がおすすめです。 肝臓で高い数値が出るのはストレスが原因? ストレスが原因で肝臓の数値が上がる場合はあり、ASTとALTが上昇します。ストレスを受けると交感神経が優位になる一方、肝臓を動かす際に欠かせない副交感神経が機能しないためです。副交感神経が機能しないことで肝細胞が損傷し、中に含まれるASTやALTが血液中に流出すると数値が高くなります。 参考文献 (文献1) 臨床検査のガイドライン JSLM2024|日本臨床検査医学会 (文献2) 関谷千尋・矢崎 康幸・高橋 篤・沼崎 彰・並木 正義 (1979) 腹腔鏡による肝硬度測定に関する研究 ―新しい肝硬度計の試作― | 日本消化器内視鏡学会雑誌 (文献3) Hirayuki Enomoto et al. (2024) Etiological changes of liver cirrhosis and hepatocellular carcinoma-complicated liver cirrhosis in Japan: Updated nationwide survey from 2018 to 2021, Hepatol Res.2024
2025.12.13 -
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肝硬変は、肝炎やアルコール性肝疾患、脂肪肝などが進行した結果、肝臓に線維化が起こり機能が低下する病気です。初期段階では自覚症状が見られないため、症状が現れた時には既にかなり進行していることがあります。 肝機能の悪化や肝がんへの進行を防ぐには、早期発見・早期治療が重要です。 本記事では肝硬変の原因・症状・治療法・予防法について解説します。 なお、肝硬変を含む肝臓疾患に対しては再生医療という治療法があります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しているので、肝臓疾患でお悩みの方はぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肝硬変とは?肝臓が線維化して機能が低下する重篤な疾患 肝硬変とは、肝臓が長期に及ぶ慢性的な飲酒やさまざまな疾患などにさらされた結果、肝臓が線維化と再生結節の形成により機能が衰える疾患を指します。肝臓は再生能力の高い臓器で、約7割を切除しても再生されるのが特徴です。 ただ、飲酒や疾患の影響で日常的に損傷を受け続けた場合、肝臓に炎症が発生します。炎症が発生した際にも修復は進むものの、その際にたんぱく質の一種であるコラーゲンが生成されます。コラーゲンが過剰に増えて肝臓自体が全体的に線維化が進んだ状態が肝硬変です。 肝硬変の原因 肝硬変の原因には、さまざまな要素が考えられるため、日頃から十分な注意を要します。肝硬変の原因としてよく挙げられるものが、以下のものです。 長期の過剰なアルコール摂取 乱れた生活習慣 ウイルス感染 薬物による肝障害 以上の原因をあらかじめ知った上で、肝硬変のリスクを下げることが大切です。 長期の過剰なアルコール摂取 肝硬変の原因の一つに、長期にわたる過剰なアルコールの摂取があります。 アルコールは肝臓で代謝されますが、その過程でアセトアルデヒドという有害物質が生成され、肝細胞を傷つけます。継続的な大量飲酒により肝細胞の損傷が繰り返されると、肝臓に慢性的な炎症が生じ、やがて肝硬変に進行します。 アルコール性肝疾患は段階的に肝硬変に進行する疾患です。まず肝臓に脂肪が蓄積するアルコール性脂肪肝が起こり、飲酒を続けることでアルコール性肝炎へと進行、最終的にアルコール性肝硬変に至ります。 なお、2018年から2021年の調査によると、日本国内における肝硬変の原因の内訳は以下のとおりです。 アルコール性肝疾患:35.4% C型肝炎:23.4% NASH:14.6% B型肝炎:8.1% (文献1) このように、近年はアルコール性肝疾患が肝硬変の大きな原因となっています。(文献1) 肝硬変に進行する前のアルコール性肝炎の初期症状について解説している以下もご覧ください。 乱れた生活習慣 乱れた生活習慣も肝硬変の原因の一つです。具体的には、日頃の過度なストレスや運動不足、バランスの取れていない食生活などが挙げられます。 生活習慣が乱れて肥満や糖尿病のような生活習慣病を発症すると、肝臓に脂肪肝ができるケースがあります。この脂肪肝も何の対策もせずに放置すると、肝炎を経て肝硬変に発展するリスクがあるため、注意が必要です。 ウイルス性肝炎 ウイルス性肝炎から肝硬変への進行は、一般的に感染から20~30年程度の経過を経て起こります。とくにC型肝炎が肝硬変まで進行した場合、肝がんへの進展リスクが高くなるため注意が必要です。 近年、C型肝炎に対する抗ウイルス薬治療の進歩により、ウイルスの排除が可能となっています。早期にウイルスを排除することで、肝硬変や肝がんへの進行を大幅に抑制できるため、感染が判明した場合は専門医による適切な治療を受けることが重要です。 B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎は、肝硬変の主要な原因の一つです。これらのウイルスが長期間にわたって肝臓に炎症を起こし続けることで、肝細胞の壊死と再生が繰り返され、最終的に肝硬変に進行します。 とくに、高齢者や糖尿病の方は肝臓がんまで進行するリスクが高いため、注意が必要です。 薬物による肝障害 薬物の影響で発症した肝障害が肝硬変の原因になる場合があります。医薬品やサプリメントなどを適正用量を超えて摂取すると、肝臓は損傷を受けます。 また、薬物性肝障害には個人の体質が大きく関わるケースが多く、同じ薬剤でも人によって反応が全く異なります。体質に合わない薬剤では、服用量に関係なく肝障害が起こることがあり、事前の予測は非常に困難です。 肝硬変の症状 肝硬変は進行度により「代償性肝硬変」と「非代償性肝硬変」に分類されます。 代償性肝硬変とは、肝臓の一部が損傷を受けていても、残った健康な肝細胞が機能を補っている状態のことです。この段階では重篤な症状は現れず、多くの患者さんは無症状です。ただし、倦怠感・疲労感・食欲不振などの軽微な症状を感じることがあります。 これらの症状は風邪や日常的な疲労と区別がつきにくく、肝硬変と気づかずに見過ごされることが多いため、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。 病気がさらに進行し非代償性肝硬変になると、以下のような症状が現れます。 腹水 黄疸(おうだん) 食欲不振や体重減少 くも状血管腫 手掌紅斑(しゅしょうこうはん) こむら返り 女性化乳房 これらの症状について解説します。 腹水 腹水はお腹を包む膜(腹膜)とお腹周りの臓器の間にある腹腔に、過剰に水が溜まる症状です。肝硬変の場合、門脈(血管)における圧力の高まりと、血液中のアルブミンの低下が腹水の主な要因です。 肝硬変の進行によって肝臓の機能が衰えると、消化器官から肝臓に向かう血管である門脈の圧力が高まって、流れが悪くなります。すると血液に含まれる成分の血漿(けっしょう)が血管の外に漏れるため、腹水を生じます。 また、肝機能の低下は、血液に含まれるアルブミンと呼ばれるたんぱく質を減少させます。アルブミンには血液中の水分を維持するはたらきがあるのが特徴です。もしアルブミンが減少すると、水分が血管から腹腔に漏れ出て腹水が発生します。 黄疸(おうだん) 黄疸とは、疾患の影響で皮膚や、目の白い部分である眼球結膜が黄色くなる症状です。黄疸もまた、肝硬変の症状が進んだ際に見られます。 黄疸の発生には、赤血球に含まれるビリルビンと呼ばれる色素が関係しています。血液に含まれる赤血球は古くなって機能しなくなると、肝臓で分解されるのが一般的です。赤血球の分解で現れたビリルビンは体外に排出されますが、肝臓の機能が衰えると血液中のビリルビンが増加します。そのために皮膚や眼球結膜が黄色くなります。 なお、皮膚などが黄色くなるほかにも、尿が異常に濃い点や便が白くなる点も特徴です。 食欲不振や体重減少 肝機能が低下した結果、食物に含まれる栄養素の消化吸収能力が衰えるとともに、食欲不振も起こります。十分な栄養を摂取できないため、体重減少や筋肉量の低下、慢性的な疲労・倦怠感が生じます。 くも状血管腫 くも状血管腫とは、皮膚上に発生する、毛細血管が赤い点からクモの足のように広がって見える症状です。肝硬変の場合、首や肩、二の腕などの上半身に起こります。 肝硬変によってくも状血管腫が発生する流れは、具体的には解明されていません。ただ、肝機能の低下でホルモンの代謝が進まなくなったことで発生すると考えられています。 手掌紅斑(しゅしょうこうはん) 手掌紅斑(しゅしょうこうはん)とは、手の親指や小指の付け根部分をはじめ、手のひらに生じる赤い斑点です。紅斑自体に痛みなどの特別な症状はないものの、肝硬変が進んでいるサインとして出現するケースがあります。 こむら返り 夜中寝ている間などに足がつるこむら返りも、肝硬変によって生じる症状です。肝硬変の進行で肝機能が低下すると、体内の水分のバランスや電解質の調整がうまくいかなくなります。 加えて、肝硬変が進むと必須アミノ酸メチオニンの消費量が減ります。メチオニンは筋肉を動かす際に欠かせないタウリンやカルニチンを生み出すのに必要です。しかし、メチオニンの消費量が減る分、2つの物質の生成量も減るため、こむら返りが起きるケースが増えると考えられています。 以下の記事では、こむら返りと肝硬変との関係性について解説しているので、あわせてご覧ください。 女性化乳房 女性化乳房とは、男性の乳房や乳首が肥大化する症状です。男性にも女性ホルモンのエストロゲンはあるものの、通常であれば肝臓の機能によって分解されるため、乳房などは肥大化しません。 しかし、肝硬変を抱えている男性の場合、エストロゲンの分解能力も衰えています。このため、残ったエストロゲンのはたらきによって、男性の乳房や乳首が肥大化する女性化乳房が発生する仕組みです。 肝硬変患者の余命|腹水が溜まった場合は? 肝硬変を診断された際の余命は、病気の進行度によって大きく異なります。腹水が溜まるなどの症状が見られる場合は、肝硬変がある程度進行した状態です。 医学的な重症度分類に基づいた研究では、肝硬変患者の3年後も生存している割合は以下のように報告されています。(文献2) 症状が中程度まで進んだ場合:約71% 症状が重度まで進んだ場合:約31% ただし、実際の経過は患者様の年齢、他の病気の有無、治療への反応などにより大きく異なります。また、腹水などの症状が現れていても、適切な治療を継続することで症状の改善や病気の進行を遅らせることが期待できます。 肝硬変の検査・診断方法 肝硬変への対策には、こまめに検査や診断を受けることが大切です。肝硬変に対して用いられる検査や診断には、次のような方法があります。 血液検査 画像診断 腹腔鏡検査・肝生検検査 それぞれの検査や診断の特徴を知り、有効活用しましょう。 血液検査 血液検査では、肝機能に関する複数の指標を測定し、肝硬変の診断や病態の評価を行います。主な検査項目と基準値は以下のとおりです。 指標 指標が意味するもの 正常値 異常値 AST ・肝細胞の破壊度 ・肝臓の炎症の程度 13~36U/L 51U/L以上 ALT ・肝細胞の破壊度 ・肝臓の炎症の程度 8~36U/L 51U/L以上 γ-GTP ・アルコール性肝障害 ・胆汁の分泌がうまくいっているかどうか 9~47U/L 101U/L以上 血小板数 ・肝臓の線維化の程度 ・門脈圧亢進の指標 15.8~34.8 10⁴/μL 9.9以下・40.0以上 10⁴/μL アルブミン値 ・肝臓でつくられるたんぱく質の量 4.1~5.1g/dL 3.6g/dL以下 (文献3)(文献4) なお、血液検査は会社や自治体、学校の健康診断の一環でも行われています。定期的な健康診断の受診も、肝硬変対策として大切です。 画像診断 血液検査で肝機能の数値に異常がある場合、より精密な画像診断が必要です。画像診断はCTやMRI、腹部超音波など専門の機械によって確認されます。 診断時に撮影された画像をもとに、肝臓のサイズの変化や表面の凹凸、異常な血管の有無をチェックします。肝臓のサイズや形、表面がゴツゴツしているなどの変化が見られる場合、肝硬変の疑いが考えられます。 腹腔鏡検査・肝生検 画像診断とともに腹腔鏡検査や肝生検も行われます。腹腔鏡検査ではお腹に穴を空けた上で、腹腔鏡(内視鏡)を入れて、肝臓の状況を医師が映像で確認する検査方法です。この方法と今までの他の診断結果から肝硬変かどうかを総合的に判断します。 一方、肝生検は、肝臓組織の一部を採取して顕微鏡で観察する方法です。ただし、現在では画像や映像、超音波を用いた方法が主流になっており、肝生検には出血リスクがあることから採用されるケースは必要性が高い場合に限られています。 肝硬変の治療法 肝硬変の診断を受けた場合は、なるべく早い段階での治療が重要です。主な治療法として、以下の方法が挙げられます。 生活習慣の見直し 肝炎の治療 腹水の治療 肝臓の移植 再生医療 肝硬変の治療法を知れば、今後どのように肝硬変を治していくのかをイメージできます。 生活習慣の見直し 肝硬変の治療では、生活習慣の見直しが欠かせません。肝硬変になった際に生活習慣を見直す方法として、以下が挙げられます。 禁酒 食事療法 軽めの運動 肝硬変になっている場合は、禁酒が重要です。とくにアルコール性肝硬変を診断された場合は、それ以上の飲酒は症状をさらに悪化させ、合併症や命の危険のリスクを高めます。肝機能の数値が正常値に下がるまでお酒は控えましょう。 また、肝硬変を改善するためには普段の食事内容の見直しも大切です。野菜や果物でビタミン・食物繊維を、大豆類で良質なタンパク質を摂取しましょう。1日3回、腹八分目でよく噛んで食べると肝臓への負担を軽減できます。 とくに腹水やむくみが見られる場合は、これ以上腹水が増えないように1日に摂取する水分や塩分の制限も大切な要素です。水分は1日1リットル、塩分は1日5~7gに抑えます。(文献5) 運動は軽めに留めることが大切です。肝機能が低下している状態では、激しい運動は体調悪化を招く可能性があります。ただし、休んでいるだけでは筋肉が衰えるため、軽い体操などで筋力を維持しましょう。 肝炎の治療 肝硬変の治療では、原因に応じた肝炎の治療も行います。一言で肝炎といってもさまざまな原因があるため、それぞれに対して適切な方法で治療する必要があるためです。(文献6) 原因 投与する薬剤 B型肝炎ウイルス 抗ウイルス薬の投与: エンテカビルやテノホビルアラフェナミドフマル酸塩など C型肝炎ウイルス 経口抗ウイルス薬 (医師との相談が必要) 脂肪性肝炎 禁酒・食事療法・運動療法 自己免疫性肝炎(免疫異常による肝炎) 副腎皮質ステロイドの投与 なおB型肝炎やC型肝炎の原因ウイルスに対して抗ウイルス薬の効果が見られないときは、肝細胞の破壊を抑える薬剤の投与や、体内の鉄分を減らす瀉血(しゃけつ)療法がとられます。 腹水の治療 腹水が溜まっている状況であれば、塩分の制限とともに、利尿内服薬やアルブミン剤も投与されます。利尿内服薬は尿の生成を促し、体内の余分な水分の排出が期待できる薬剤です。もし通常の利尿内服薬で効果が見込めない場合は、より強力な利尿作用があるトルバプタンなどを使用します。 アルブミン製剤も腹水の改善によく使われる薬剤で、点滴で投与するのが一般的です。腹水を発症している状態は体内の水分量を調整するアルブミンが減少しているため、補うことで腹水の改善効果が期待できます。 肝臓の移植 薬剤の投与などの方法で症状の改善が期待できないときは、肝臓移植を行います。条件に合致する健康な親族の肝臓の一部を移植し、肝硬変自体の改善を図る方法です。 移植の判断は、病状の深刻度や移植しなかった場合に予想される死亡率をもとに判定されます。 再生医療 肝硬変の治療には再生医療をもあります。再生医療では「幹細胞治療」と「PRP(多血小板血漿)療法」と呼ばれる手法が一般的です。 幹細胞治療では、患者様の脂肪から採取した幹細胞を培養してから、患部に投与します。また、PRP療法は患者様の血液から採取した血漿を遠心分離によって血小板の濃度を高め、患部に注射する治療法です。 幹細胞は培養に1カ月ほどかかりますが、施術はどちらも短時間で終了します。入院・手術を必要としないのも特徴です。 当院リペアセルクリニックの肝硬変に対する治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 また、再生医療についての詳細は、以下のページをご覧ください。 肝硬変の予防法 肝硬変を予防し、肝疾患の進行を防ぐには、日常生活での取り組みが重要です。 以下の予防法を実践して、肝臓の健康を守りましょう。 適量の飲酒 バランスのとれた食事 定期的な健康診断の受診 これらの生活習慣を継続することで、肝疾患のリスクを大幅に減らせます。 適量の飲酒 普段から飲酒の習慣がある方は、飲む量の調整が欠かせません。多量のアルコールは肝臓を傷つけるとともに、脂肪肝から症状が進行すれば肝硬変になるリスクがあります。 発症のリスクを抑えるには、お酒と上手に付き合うことが大切です。1日に飲むお酒の量に上限を設けたり、週に1、2日は休肝日を設けて肝臓をいたわるのがポイントです。 なお、厚生労働省では「節度ある適度な飲酒」として、アルコール度数5%のビールであれば1日に中瓶1本分(500ml)、アルコール度数15%の清酒であれば1合180mlとしています。(文献7) バランスのとれた食事 無理な飲酒を抑えるとともに、栄養バランスのとれた食事を心掛けることも肝硬変の予防に役立ちます。 食事のメニューは主食・主菜・副菜の組み合わせを意識し、食物繊維や良質なたんぱく質の多い食材を使った料理を食べることが大切です。 なお食べる量や回数も、すでに肝硬変を発症している場合と同じく、1日3回・腹八分目を心掛けます。 一方で脂肪や塩分の多い食事は、肝臓を傷つける恐れがあるため、なるべく避けるべきです。添加物を多く含むインスタント食品も推奨できません。 定期的な健康診断の受診 肝硬変を予防するために、定期的な健康診断を受けましょう。肝硬変は症状が現れにくいため、血液検査により脂肪肝や慢性肝炎の段階で早期発見することが大切です。 健康診断で肝機能異常が見つかった場合は、専門医による詳しい検査を受けて原因を特定します。 脂肪肝であれば生活習慣の改善により改善可能で、ウイルス性肝炎の場合は抗ウイルス薬による治療でウイルスを排除できます。これらの治療により、肝硬変への進行を防ぐことができます。 年1回の健康診断を欠かさず受診し、異常が指摘された場合は早めに医療機関を受診しましょう。 まとめ|肝硬変の治療は早めの定期検診や生活習慣の見直しで対策を 肝硬変は、肝炎やアルコール性肝疾患、脂肪肝などが進行した病気です。症状が進行するまでほとんど自覚が無く、黄疸や腹水などのはっきりした症状が現れる頃には、病気が進行しています。さらに肝硬変まで進行すると完治が難しく、命にもかかわることがあるため、定期的な健康診断による早期発見・早期治療が重要です。 肝硬変の治療法には、食事や飲酒量などの生活習慣の改善や薬剤の投与、肝臓移植、再生医療などの手段もあります。 当院「リペアセルクリニック」では、肝硬変を含む肝臓疾患に対する再生医療を提供しております。肝硬変でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEにご登録いただき、再生医療に関する症例をご確認ください。 肝硬変に関するよくある質問 肝硬変の原因で最多のものは? 近年の研究では、国内で発症する肝硬変の原因として過剰なアルコール摂取が最多である結果が出ています。 アルコール性肝疾患:35.4% C型肝炎:23.4% NASH:14.6% B型肝炎:8.1% (文献1) 肝硬変を予防するためには、アルコールの摂取量を適切な範囲に抑えることが大切です。 肝硬変で死ぬ前は苦しい? 進行した肝硬変では多くの場合、苦しさを伴う症状が現れます。 肝硬変の末期症状は腹水や黄疸、浮腫(むくみ)などが深刻化している状態です。なかでも腹水は症状の進行によって腹部が膨らみ、呼吸困難さえも引き起こします。 また肝機能の低下で体内のアンモニアが分解されないまま脳に達すれば、肝性脳症に陥る場合もあります。肝性脳症では昏睡状態になるケースさえあるほど危険な症状です。 参考文献 (文献1) Hirayuki Enomoto et al. (2024) Etiological changes of liver cirrhosis and hepatocellular carcinoma-complicated liver cirrhosis in Japan: Updated nationwide survey from 2018 to 2021”| Hepatol Res. (文献2) 肝硬変患者の生命予後の検討|厚生労働省 (文献3) 臨床検査のガイドライン JSLM2024|日本臨床検査医学会 (文献4) 判定区分 2025年度版|日本人間ドック・予防医療学会 (文献5) 肝硬変診療ガイドライン 2020(改訂第 3 版)|日本消化器病学会・日本肝臓学会 (文献6) 肝臓病の理解のために |日本肝臓学会 (文献7) アルコール|厚生労働省
2025.11.26 -
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- 内科疾患
最近お腹が出てきた、ズボンがきつくなったという悩みの裏に脂肪肝が隠れているかもしれません。 肝臓に脂肪がたまる脂肪肝は、健康診断で初めて異常に気づく人も多く、日本では成人の3人に1人が該当する「国民病」となっています。 近年では食生活の欧米化や、在宅ワークの増加による運動不足によって、さらに発症リスクが高まっています。 この記事では、脂肪肝によってお腹が出るメカニズムをわかりやすく解説し、今日からできる対策や治療法まで、実践的な情報をお届けします。 放置すると肝硬変や肝がんへの進行リスクもある脂肪肝を、正しい知識で予防・改善していきましょう。 脂肪肝でお腹が出る?肥満との関係について 脂肪肝とお腹の出方には密接な関係がありますが、すべての脂肪肝患者にお腹の膨満が見られるわけではありません。 非アルコール性脂肪肝の場合、食べ過ぎや運動不足による肥満が主な原因です。(文献1) 体内の余ったエネルギーが脂肪として肝臓と内臓に蓄積され、結果的にお腹周りが膨らんでいきます。 実際に、全体の肥満者のうち約80%に脂肪肝が合併しているといわれており、非アルコール性脂肪肝と肥満には相関がみられます。 一方、アルコール性脂肪肝では痩せ型の方にも多く見られるため、お腹が出ていないから脂肪肝ではないと思われることも多いですが、脂肪肝が隠れていることがあるため注意が必要です。 見た目が標準体型でも「隠れ脂肪肝」として、肝臓に脂肪が蓄積している可能性があります。 内臓脂肪と肝脂肪の悪循環 余ったカロリーはまず内臓脂肪や肝臓の脂肪として蓄えられやすく、皮下脂肪にも広がります。 肝臓に脂肪が増えると血糖や中性脂肪が上がりやすくなります。これにより、肝臓に脂肪がたまりやすくなる悪循環が始まります。(文献2) 順天堂大学の研究では、非肥満でも脂肪肝があると筋肉の代謝が低下しやすいことを示しました。(文献3) つまり脂肪肝は内臓脂肪とは別に全身の代謝バランスを崩す要因にもなり得ます。 この流れが続くと、基礎代謝(安静時でも消費するエネルギー)が下がり、同じ食事量でも体重が増えやすい体になります。早めの生活習慣改善で悪循環を断ち切ることが重要です。 アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝について 脂肪肝はアルコール性脂肪肝(AFLD)と非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD/MASLD)の2つのタイプに分けられます。 アルコール性脂肪肝(AFLD)は、過度な飲酒が原因で発症します。 長期にわたり男性で1日平均60g、女性で40g以上の純アルコールを摂取すると発症リスクが高まります。 60gはアルコール度数5%のビール500ml缶なら3本分の量です。 お酒を飲むと、肝臓でアルコールを分解する過程で中性脂肪を合成してしまいます。 中性脂肪は体質によっては、血液中に溜まるため体型に出ない方もいます。そのため、比較的痩せ型の方でも発症する特徴があります。 日本人の主要な脂肪肝タイプである非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD/MASLD)になる原因は、「飲み過ぎ」ではなく「食べ過ぎ」です。 国内報告では有病率が男性41%、女性17.7%とされており、近年の食生活の変化やデスクワークの増加により患者数が急増しています。 BMI25以上の肥満の方では、腹囲が増えている場合は非アルコール性脂肪肝の可能性があります。 この病型では内臓脂肪の蓄積と密接に関連しており、腹囲の増大が顕著に現れます。 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の約80~90%は単純性脂肪肝で、肝硬変や肝がんのような重篤な病気に進行するリスクは低いとされています。 しかし、約10~20%は炎症を伴う非アルコール性脂肪肝炎(NASH)へと進行し、将来的に肝硬変や肝がんのリスクが高まる可能性があります。早めに対策を行いましょう。 脂肪肝でお腹が出たら?食事と運動療法で改善 脂肪肝によるお腹の膨満は、適切な食事療法と運動療法により改善が期待できます。 治療の基本原則は、体重の7〜10%減量を推奨しています。(文献4) 半年で体重の5%程度のペースで進めると肝機能の数値であるAST・ALTが改善しやすいとの報告もありますので、急激な減量は避け、無理のない範囲で行いましょう。(文献5) 脂肪肝でお腹が出る主要因は総カロリー過多ですが、とくに果糖のとり過ぎは肝脂肪を増やしやすいと指摘されています。(文献2) 運動療法では、毎日30分程度の歩行など有酸素運動を中心に行いましょう。 運動時間の目安ですが、週に150 分以上でも効果があるものの、週に250 分運動することで肝脂肪や炎症の一層の改善が報告されています。(文献4) 通勤時の一駅歩く習慣や階段利用などの工夫により、忙しい会社員でも継続可能な運動習慣を身につけられます。 食事での改善ポイント 近年、低糖質食による肝脂肪の改善例も報告されていますが、あくまで基本となるのは食事全体のカロリーと栄養のバランスを整えることです。(文献2) まず主食(白ごはん、パン、麺類)を1割減らすことから始めましょう。代わりに玄米や雑穀米に変更し、野菜や海藻類を増やして食物繊維を確保します。 とくに果糖は肝臓で中性脂肪に変わりやすいため、果物は1日1/2個程度に制限し、清涼飲料水は避けることが大切です。 推奨する食事パターンは以下の通りです。 朝食:必ず摂取し、血糖値の急上昇を防ぐ 昼食:定食スタイルで栄養バランスを重視 夕食:就寝3時間前までに済ませ、軽めに抑える アルコールについては、男性で純アルコール60g/日未満、女性で40g/日未満に制限し、週2日以上の休肝日を設けることが推奨されます。 アルコール性脂肪肝の場合、2-4週間の禁酒で改善効果が現れると報告されています。まずは2週間の禁酒をやってみることをおすすめします。(文献6) 筋トレと有酸素運動の黄金比 有酸素運動と筋トレの併用が肝脂肪減少には効果的と報告されています(文献5)。 有酸素運動では、ウォーキングやジョギング、水泳、サイクリングなどを週5日、まずは1日30分以上実施しましょう。1日30分であれば、通勤時の一駅歩く習慣や、昼休みの散歩を取り入れることで、忙しい会社員でも実践可能です。 筋力トレーニングは週2〜3日実施を推奨しています。(文献4) 筋肉量の増加は基礎代謝の改善につながり、脂肪肝改善に役立つためです。自宅でできるスクワットや腕立て伏せ、片足立ちなどから始め、徐々に負荷を増やしていきましょう。 重要な点は、仮に体重減少がなくても運動を継続すれば脂肪肝改善効果があることです。(文献4) 体重が変わらなくても落ち込まず、まずは3カ月の運動継続で肝機能数値の改善を目指しましょう。 脂肪肝の検査と再生医療について 脂肪肝は「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓の病気のため、自覚症状がほとんどありません。 しかし、血液検査や画像検査を組み合わせると、症状が出る前に脂肪肝を見つけられる場合があります。 健康診断で肝機能の異常を指摘された場合は、必ず精密検査を受け、専門医による適切な診断と治療方針の決定を受けましょう。 脂肪肝の治療には、再生医療という選択肢もあります。進行した脂肪肝に対する治療の可能性が広がっています。 血液検査と再生医療について、それぞれ詳しく解説します。 血液検査 脂肪肝かどうかを調べる最初の手がかりは、採血で測るALTとASTという酵素です。 ALTは肝臓の細胞に多く、多くの施設で30〜40IU/L未満が目安とされますが、日本人を対象とした大規模研究では、正常上限値は男性29IU/L以下、女性23IU/L以下とされています」(文献7) ALTの軽い上昇でも脂肪がたまり始めている場合があるため、健康診断で要再検査と出たら放置しないことが大切です。 ASTは心臓や筋肉にも含まれる酵素ですが、ALTよりも高い場合はアルコールの影響が疑われます。ただし、確定には他の検査結果も総合的に判断する必要があります。(文献8) 再生医療 生活習慣の見直しでは追いつかないほど肝臓が硬くなる線維化が進むと、肝硬変に至ることがあります。 このような進行例に対しても再生医療が治療の選択肢となります。 再生医療の幹細胞治療は、患者様自身の脂肪組織から採取した幹細胞を培養し、点滴により全身に投与する治療法です。 再生医療について詳しくは、以下をご覧ください。 自宅で続ける脂肪肝チェックと再発予防 脂肪肝の改善後も、継続的なセルフモニタリングと予防策の実践により、再発を防げます。 日々の体重管理では、毎朝同じ時間・同じ条件で測定し、スマートフォンアプリで記録することで変化を視覚的に把握できます。 腹囲測定も重要です。男性85cm以上、女性90cm以上でメタボリックシンドロームの疑いがあるため、おへその高さで月1回測定しましょう。 生活習慣では、主食の1割減量、週2日以上の休肝日、1日30分以上の歩行を基本とし、無理のない範囲での継続が重要です。 また、年1回の健康診断での血液検査を行い、専門医に肝機能の数値を客観的に診断してもらいましょう。 まとめ|お腹が出たら注意!脂肪肝は日々の習慣の見直しが重要 脂肪肝によるお腹の膨満は、単純な肥満ではなく、複雑な代謝異常が引き起こす医学的な病態です。 近年では、在宅勤務の増加や食事の欧米化により発症リスクが高まっていますが、適切な食事療法と運動療法により確実に改善できる疾患でもあります。 食事習慣の改善と、運動習慣の定着を目標に、継続的な取り組みを行っていきましょう。早期発見のためには、健康診断を受け、血液検査の数字を確認することが重要です。 進行例に対しては、再生医療という新しい治療法もあります。 放置すれば肝硬変や肝がんへの進行リスクもある脂肪肝ですが、今の自分の状態を正しく知り、適切な対策を講じることで健康な肝臓を取り戻せます。 当院「リペアセルクリニック」では、専門医による診察から再生医療まで、一人ひとりの状態に応じた治療を提供しています。 まずは公式LINEのオンライン診断からお試しください。一度自分の体と向き合ってみましょう。 脂肪肝に関してよくある質問 脂肪肝が進むとどうなる?放置のリスク 脂肪肝を放置すると、段階的に深刻な病態へ進行する可能性があります。 初期の脂肪肝から脂肪肝炎(NASH)へ進行すると、肝臓に慢性的な炎症が起こり、徐々に肝臓がかたくなる「線維化」が始まります。 さらに進行すると「肝硬変」となり、肝がんを発症するリスクが生じてしまいます。 脂肪肝は自覚症状がほとんどないため、気づいたときには既に進行しているケースも多く見られます。 健康診断でALT・ASTの上昇を指摘された段階での早期対応が、将来の重篤な合併症を予防する鍵となります。 初期段階で発見し、生活習慣の改善に取り組みましょう。 脂肪肝は女性に多い? 脂肪肝は一般に男性で多く見つかりますが、女性でも決してまれではありません。 女性ホルモンは脂肪を皮下に優先してため込むため、閉経前は脂肪肝が起こりにくい傾向ですが、閉経後にはホルモンが急減し脂肪のつき方が男性型へ変わり、発症リスクが一気に上昇します。 また、細身でも内臓脂肪が多い「隠れ肥満」の女性は年齢を問わず注意が必要です。 顔のむくみやおならは脂肪肝のサイン? 脂肪肝は「沈黙の臓器」といわれる肝臓の病気のため、初期にははっきりした症状がほとんど出ません。 ただ肝機能が落ち始めると、だるさや軽い不調など体の各所に細かな変化が現れることがあります。 顔や手足がむくみやすくなるのは、肝臓で作られるアルブミンというたんぱく質が不足し、水分が血管の外に漏れやすくなるためと考えられています。 一方、腸内環境が乱れるとガスがたまりやすくなり、おならのにおいが強くなるため、食事習慣の乱れが腸内環境の乱れと脂肪肝につながっている可能性はあります。 他のサインとしては、慢性的な疲労感、集中力低下、肩こり、ぼんやり感、軽い腹部の張りなどが挙げられますが、これらの症状は他の疾患でも見られるため、身体に異常があった場合は早めに専門医への相談を検討してください。 参考文献 (文献1) 日本肝臓学会「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)の診療ガイドライン2020年版」2020年 https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/nafldnash2020_add.pdf(最終アクセス:2025年6月24日) (文献2) 太田嗣人.「肥満・インスリン抵抗性がもたらす肝の炎症」『日本内科学会雑誌』109(1), pp.19-26, 2020年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/1/109_19/_pdf(最終アクセス:2025年6月27日) (文献3) 門脇聡ほか「非肥満者では内臓脂肪の蓄積よりも脂肪肝が筋肉の代謝障害と強く関連する」順天堂大学研究報告, 2019年 https://www.juntendo.ac.jp/assets/NewsRelease20190614.pdf(最終アクセス:2025年6月24日) (文献4) 日本肝臓学会「脂肪性肝疾患患者に対する肝臓リハビリテーション指針」日本肝臓学会ホームページ https://www.jsh.or.jp/medical/committeeactivity/shakaihoken/fatty.html(最終アクセス:2025年6月24日) (文献5) Koutoukidis D A, et al. (2021). The effect of the magnitude of weight loss on non-alcoholic fatty liver disease: a systematic review and meta-analysis. Metabolism, 115, 154455.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33259835/ (最終アクセス:2025年6月28日) (文献6) Clevelandclinic「How Long Does It Take Your Liver to Detox From Alcohol?」Health Essentials, 2023年2月28日 https://health.clevelandclinic.org/detox-liver-from-alcohol(最終アクセス:2025年6月28日) (文献7) Tanaka K, Hyogo H, Ono M ほか.「Upper limit of normal serum alanine aminotransferase levels in Japanese subjects」Hepatology Research 44(12), pp.1196-1207, 2014年 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24372862/(最終アクセス:2025年6月28日) (文献8) Giannini E, & Testa R. (2013). The De Ritis ratio: the test of time. Digestive and Liver Disease, 45(3), e1–e2. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3866949/ (最終アクセス:2025年6月28日)
2025.06.30 -
- 肝疾患
- 内科疾患
「健康診断で肝臓の数値が少し高いですね」と医師に言われて、不安になっていませんか。 「でも薬はまだ出されなかったし大丈夫かな」と思っていても、実は脂肪肝が進んでいるかもしれません。 忙しい毎日の中で病院に通う時間がなかなか取れないときでも、適切なサプリメントを活用することで肝臓の健康をサポートできる可能性があります。 本記事では、脂肪肝の栄養管理に役立つサプリメントについて、専門医の視点から詳しく解説します。 サプリメントの選び方から使い方、さらには生活習慣の改善方法まで、あなたが知りたい情報を網羅的にお伝えします。 ただし、サプリメントはあくまで補助的な役割であり、根本的な改善には生活習慣の見直しが欠かせません。 万が一、数値の改善が見られない場合には、専門的な治療法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。 脂肪肝とサプリの基礎知識 脂肪肝は、食べすぎや運動不足などが原因で肝臓に脂肪がたまった状態のことです。 サプリメントは、あくまで補助的な役割として肝臓の働きを助けたり、脂肪がたまりにくくなるようにサポートしたりする効果が期待されています。 まずは脂肪肝がどうして起こるのか。基本的な仕組みを理解しましょう。 肝細胞に脂がたまる仕組み 肝臓に脂肪がたまる主な原因は、エネルギーのバランスが崩れることにあります。 食べすぎや運動不足により、体内で使われなかったエネルギーが中性脂肪に変わって肝臓に蓄積されていきます。(文献1) 正常な肝臓では、全肝細胞の30%未満が脂肪ですが、全肝細胞の30%以上に脂肪が蓄積すると脂肪肝と診断されます。 この状態になると、肝臓本来の機能である解毒作用や代謝機能が低下し始め、放置すると肝炎や肝硬変といった深刻な状態に進行する可能性があります。 また、アルコールの摂取も肝臓での脂肪合成を促進する要因の一つです。 アルコールが分解される過程で生成される物質が、脂肪の分解を抑制させてしまうのです。 脂肪肝の初期段階では自覚症状がほとんどないため、多くの方が気づかないうちに進行してしまいます。 健康診断で肝機能の数値が基準値を上回った場合は、脂肪肝の可能性を疑いましょう。 サプリで期待できる三つの作用 脂肪肝に対してサプリメントに期待できる作用は、大きく分けて三つあります。 余分な脂を分解して外に出す 肝細胞をサビから守る 炎症をしずめる 余分な脂を分解して外に出す 余分な脂を分解して外に出す作用がある成分として、オメガ3脂肪酸とスルフォラファンがあります。 オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)には肝臓で脂肪をエネルギーに変える「β酸化」を高め、肝内脂肪を減らすことが臨床試験で確認されています。(文献8) また、スルフォラファンは脂肪を作る酵素を抑え、溜まりにくくする性質があります。これら2つの成分を効果的に組み合わせると、肝臓に溜まった余分な脂肪を効率的に減らせる可能性があります。(文献10) 肝細胞をサビから守る 肝細胞をサビから守るアスタキサンチンは、ビタミンEより強い抗酸化力で「身体のサビ」となる活性酸素を減らし、肝臓の炎症や繊維化を抑えます。(文献2)(文献9) また、シリマリンは肝臓の機能を測る数値であるALT・ASTを下げた臨床報告があります。 (文献3) アスタキサンチンとシリマリンをうまく取り入れ、サビにくい肝細胞を手に入れましょう。 炎症をしずめる サプリメントには、肝臓の炎症をしずめる効果もあります。 炎症をしずめる代表例として、オメガ3は炎症性の物質であるサイトカインを減らす作用が報告されています。(文献8) また、アスタキサンチンにも肝臓での炎症反応を弱める働きが確認されています。 (文献2)(文献9) ただし、これらの作用はあくまで食事や運動などの基本的な生活習慣の改善と組み合わせることで、より効果的に発揮されます。 サプリメントだけに頼るのではなく、総合的なアプローチが重要であることを理解しておきましょう。 脂肪肝の栄養管理に使用されるサプリ・成分5選 脂肪肝の栄養管理において注目されている5つの成分をご紹介します。 それぞれの成分には独自の特徴と効果があり、あなたの生活スタイルや体質に合わせて選択することが大切です。 以下の成分について、その特徴と期待できる効果、どのような方に適しているかを詳しく解説します。 スルフォラファン オメガ3脂肪酸 シリマリン アスタキサンチン オルニチン スルフォラファン スルフォラファンは、ブロッコリーの新芽(ブロッコリースプラウト)に豊富に含まれる天然の化合物です。 この成分の最大の特徴は、強力な抗酸化作用と解毒酵素の活性化にあります。 肝臓は体内の解毒を担っているため、この機能をサポートするスルフォラファンは脂肪肝の改善に役立つとされています。 また、肝細胞を酸化ストレスから守る働きも確認されており、脂肪肝の悪化を遅らせると報告されています。(文献10) とくに、偏った食事で野菜不足が気になる人にとっては、不足分を補う選択肢になります。 外食が多く野菜不足が気になる方にとって、手軽に摂取できるサプリメントです。 オメガ3脂肪酸 オメガ3脂肪酸は、青魚に多く含まれる必須脂肪酸で、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)が代表的です。 オメガ3脂肪酸は、EPA・DHAは体内にあるPPAR-αというスイッチを入れ、脂肪を作る酵素を抑えつつ、脂肪を分解する作用があると研究で示されています。(文献8) これにより、肝臓に溜まった余分な脂肪を効率的に減らせると考えられています。 さらに、EPA・DHAは中性脂肪を約10〜30%下げるという研究結果があります。(文献8) そのため、有効に摂取すれば脂肪肝の根本的な改善につながる可能性があります。 これらの効果から、脂っこい食事を好む方や、魚を食べる機会が少ない方に適した成分といえるでしょう。 現代の食生活では肉類の摂取が多くなりがちで、相対的にオメガ3脂肪酸が不足しやすい傾向にあります。 不足する栄養素はサプリメントで補って、脂肪酸のバランスを整えましょう。 シリマリン シリマリンは、マリアアザミ(ミルクシスル)という植物の種子から抽出される天然成分です。 この成分は、肝機能サポートのサプリメントとして広く利用されています。(文献3) シリマリンの主な作用は、肝細胞の再生を助け、肝臓を有害物質から保護することです。(文献12) また、抗炎症作用により肝臓内の炎症を抑制し、脂肪肝の進行を遅らせる効果も期待されています。(文献12) 長期的な肝臓の健康維持を考えている方や、お酒を飲む機会が多い方におすすめの成分です。 シリマリンは副作用として、まれに胃腸の不調を引き起こすことがあります。 一般的な摂取目安は製品表示に従い、医師の指示を優先して服用しましょう。 アスタキサンチン アスタキサンチンは、鮭やエビ、カニなどに含まれる赤い色素成分で、強力な抗酸化作用を持っています。 脂肪肝の状態では、肝細胞内で活性酸素が増加し、細胞にダメージを与えてしまいます。 アスタキサンチンは、これらの有害な活性酸素を効率的に除去し、肝細胞を酸化ストレスから保護します。 また、炎症を抑制する作用もあり、脂肪肝に伴う肝臓の炎症を軽減する効果が期待されています。(文献9) 金沢大学の研究では、マウス実験で高コレステロールの餌を与えた群と、高コレステロールの餌にアスタキサンチンを混ぜて与えた群を比較したところ、アスタキサンチンを混ぜた群がAST・ALTの上昇を抑えた報告もありました。(文献2) オルニチン オルニチンは、しじみに豊富に含まれるアミノ酸の一種で、アンモニアを尿素に変えるサイクルのカギとなるアミノ酸で、解毒を支えます。(文献4) アンモニアは体内で発生する有毒な物質で、適切に処理されないと疲労感や集中力の低下を引き起こします。 脂肪肝の状態では、アンモニアの処理能力にも影響が出ることがありますが、オルニチンを補給することで解毒機能をサポートできます。 また、成長ホルモンの分泌を促進する作用もあり、肝機能の修復を助ける可能性があります。 肝臓の負担を軽減することで、脂肪肝の改善にも間接的に寄与すると考えられています。 脂肪肝でサプリを使用するリスクと使い方 サプリメントは健康食品として手軽に利用できる一方で、正しい方法で使わないと体に悪影響を与える可能性があります。 とくに肝臓に関するサプリメントは、使い方を間違えると肝臓に負担をかけてしまうことがあるため、注意深く使用する必要があります。 本章では、サプリメントを活用するために知っておきたい重要なポイントについて解説します。 肝障害報告の多い成分 サプリメントの中には、成分によっては過剰摂取や体質に合わない場合に肝障害を引き起こす可能性があります。 とくに注意が必要なのは、ウコン(クルクミン)を含む製品です。 ウコンは肝臓に良いとされる一方で、大量摂取により肝障害を起こした事例が報告されています。(文献5) これには複数の要因があり、ウコンの効能が肝臓の負担となり引き起こされる事例もあれば、ウコンに含まれる鉄分が肝臓に蓄積しやすく、酸化ストレスを増加させる事例もあります。 また、茶葉から抽出される成分も、まれに肝障害を引き起こすことがあります。 通常の飲み物として摂取する分には問題ありませんが、濃縮された形でのサプリメント摂取には注意が必要です。 これらの成分を含むサプリメントを使用する際は、まず少量から始めて体調の変化を注意深く観察することが大切です。 肝機能に不安がある方は、使用前に医師に相談することをおすすめします。 薬とサプリの併用は医師に相談する 現在、薬を服用している方は、サプリメントとの併用について必ず医師に相談してください。 薬やサプリメントの成分が肝臓に損傷を起こし、肝機能に影響を及ぼす可能性があるからです。(文献6) サプリメントと薬を同時に飲むと、出血・低血糖・低血圧・薬効増減などの思わぬ副作用が起こることがあります。 とくにワルファリンなどの抗凝固薬、糖尿病薬、高血圧薬、そして肝臓で代謝される薬を使っている人は要注意です。 必ず医師や薬剤師に飲んでいる薬やサプリメントを全部伝え、併用の可否とモニタリング方法を相談しましょう。 副作用が出たらすぐに使用を中止する サプリメントを使用していて体調不良を感じた場合は、すぐに使用を中止してください。 副作用の症状としては、腹痛、下痢、吐き気、頭痛、発疹、かゆみなどがあります。 肝臓に関連する症状である、疲労感の増強、食欲不振、黄疸(皮膚が黄色くなる)、尿の色が濃くなるなどが現れた場合は、速やかに医療機関を受診してください。 これらの症状は肝機能の低下を示している可能性があります。 また、アレルギー反応として呼吸困難や全身の発疹が現れた場合は、緊急性が高いため直ちに医療機関を受診する必要があります。 副作用が疑われる場合は、使用していたサプリメントの製品名や成分、使用期間、摂取量などの情報を医師に正確に伝えることが大切です。 これらの情報は、原因の特定と適切な治療につながります。 サプリメントは「天然」や「自然由来」と表示されていても、すべての人に安全とは限りません。 体質や体調により、予期しない反応が起こる可能性があることを理解しておきましょう。 サプリだけでは不十分|生活習慣の改善が脂肪肝治療の基本 サプリメントは脂肪肝の改善をサポートする有用なツールですが、それだけに頼っていては根本的な解決には至りません。 脂肪肝治療の基本は、食事療法と運動療法による生活習慣の改善です。 食事面では、カロリーの過剰摂取を避け、バランスの取れた栄養摂取を心がけることが重要です。 とくに糖質や脂質の摂取量をコントロールし、野菜や魚を中心とした食事に切り替えることで、肝臓への脂肪蓄積を減らせます。 また、コーヒーに含まれるクロロゲン酸は脂肪酸の酸化を促し、カフェインはエネルギー消費を高める作用が示唆されています。 ある観察研究では1日2〜3杯のコーヒー習慣が脂肪肝や線維化リスクを下げると報告されています。(文献7) 運動については、30分〜60分程度の有酸素運動を週3〜4回行うことが推奨されています。 ウォーキングや水泳などの軽い運動でも十分効果があり、無理なく続けられる運動を選択することが大切です。 これらの生活習慣の改善と併せてサプリメントを活用することで、より効果的な脂肪肝の改善が期待できます。 サプリメントは補助的な役割として位置づけ、基本的な生活習慣の見直しを最優先に取り組むことをおすすめします。 また、定期的な健康診断でASTやALTのような血液検査の数値をモニタリングし、改善の程度を客観的に評価することも重要です。 脂肪肝の再生医療 生活習慣の見直しやサプリメントによる栄養管理の他に、再生医療(幹細胞治療)の選択肢があります。 再生医療は、からだが本来もつ修復力を利用して、傷んだ臓器の働きを取り戻すことを目指す先進的な方法です。 当院「リペアセルクリニック」では、脂肪肝に対する再生医療として幹細胞治療を行っています。 自己細胞を使うため拒絶反応が起こりにくく、通院で受けられるのが特徴です。 脂肪肝に対する再生医療について、詳しくは以下をご覧ください。 まとめ|自分で気づきにくい脂肪肝はすぐに相談を! 脂肪肝は初期段階では自覚症状がほとんどなく、多くの方が気づかないうちに進行してしまう疾患です。 しかし、放置すると肝炎や肝硬変といった深刻な状態に進行する可能性があるため、早期の対策が重要です。 本記事でご紹介したサプリメントは、脂肪肝の栄養管理において有用な選択肢の一つですが、あくまで補助的な役割であることを理解しておきましょう。 根本的な改善には、食事療法と運動療法による生活習慣の見直しが不可欠です。 サプリメントを選ぶ際は、ご自身の生活スタイルや体質に合った成分を選択し、安全性を最優先に考慮してください。 また、現在服用している薬がある方は、必ず医師に相談してから使用を開始しましょう。 もし生活習慣の改善やサプリメントによる対策を継続しても数値の改善が見られない場合は、専門医による詳しい検査や治療を受けることをおすすめします。 当院「リペアセルクリニック」では、脂肪肝に関する無料相談を承っているので、お気軽にご相談ください。患者様一人ひとりの状態に応じた治療法をご提案します。 あなたの肝臓の健康を守るために、今すぐできることから始めてみませんか。 参考文献 (文献1) 沢井製薬株式会社「本当はコワイ脂肪肝」サワイ健康推進課, 2014年12月 https://kenko.sawai.co.jp/healthcare/201412.html(最終アクセス:2025年06月24日 (文献2) 金沢大学「サケやカニ由来の赤い色素『アスタキサンチン』にNASHの予防・抑制作用があることを発見!」2015年頃 https://www.kanazawa-u.ac.jp/rd/32091/(最終アクセス:2025年06月24日) (文献3) 科学技術振興機構「J-GLOBAL学術論文データベース」2010年頃 https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201002214886689414(最終アクセス:2025年06月24日) (文献4) 協和発酵バイオ株式会社「オルニチンのはたらきと効果-02」 https://www.kyowahakko-bio-healthcare.jp/healthcare/ornithine/effect02.html(最終アクセス:2025年06月24日) (文献5) 東邦大学医療センター大森病院検査部「ウコンと肝障害について」 https://www.lab.toho-u.ac.jp/med/omori/kensa/column/column_079.html(最終アクセス:2025年06月24日) (文献6) Merck & Co., Inc.「薬による肝臓の損傷」MSDマニュアル(家庭版), 2020年1月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/04-%E8%82%9D%E8%87%93%E3%81%A8%E8%83%86%E5%9A%A2%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%96%AC%E3%81%A8%E8%82%9D%E8%87%93/%E8%96%AC%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E8%82%9D%E8%87%93%E3%81%AE%E6%90%8D%E5%82%B7(最終アクセス:2025年06月24日) (文献7) 株式会社創新社「コーヒーが糖尿病や脂肪肝のリスクを低下」糖尿病ネットワーク, 2023年1月12日 https://dm-net.co.jp/calendar/2023/037302.php(最終アクセス:2025年06月24日) (文献8) Gao M. ほか「Omega-3 Fatty Acids and Non-Alcoholic Fatty Liver Disease: A Systematic Review」Nutrients 11(5), 2019年 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6355343/(最終アクセス:2025年06月27日) (文献9) Han JH ほか「Astaxanthin Alleviates Hepatic Inflammation in Diet-Induced NASH Model」Scientific Reports 8, 2018年 https://www.nature.com/articles/s41598-018-32497-w(最終アクセス:2025年06月27日) (文献10) Li J, et al. (2021). Sulforaphane Attenuates Nonalcoholic Fatty Liver Disease by Inhibiting Hepatic Steatosis and Apoptosis. Nutrients, 14(1), pp.76. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35010950/(最終アクセス:2025年6月24日)
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「健診で脂肪肝と言われたけれど、薬で治療できるのだろうか?」 このような疑問を抱いている方は多いのではないでしょうか。 脂肪肝は痛みや自覚症状がほとんどないため、つい放置してしまいがちな病気です。 しかし、そのまま放っておくと肝臓がかたくなり、肝炎や肝硬変といった重篤な病気につながる可能性があります。(文献1) 最近では、飲み薬や注射などさまざまな治療選択肢が広がっており、早期に適切な治療を始めることで肝臓の状態をしっかりと改善が期待できます。 本記事では、脂肪肝の薬物治療について詳しく解説いたします。 薬の種類や効果、副作用のリスク、市販薬との違い、そして治療を受ける際の注意点まで、専門医の視点からお伝えします。 ぜひ記事を最後までご覧いただき、脂肪肝治療への理解を深めてください。 脂肪肝の薬の種類 脂肪肝の治療では、主に以下の薬が使用されます。 抗酸化剤(ビタミンE) 糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬など) 肝庇護薬(ウルソデオキシコール酸) 脂質異常症治療薬(スタチン系) その他の補助的治療薬 これらの薬は主に、肝臓を保護したり炎症を抑えたりするためのものです。 それぞれ異なる機能で肝臓の改善に働きかけますが、どの薬が適しているかは患者様の症状や併存疾患によって決まります。 次に、それぞれの薬について詳しく見ていきましょう。 抗酸化剤(ビタミンE) ビタミンEは、肝臓の炎症や酸化ストレスを軽減する強力な抗酸化剤として脂肪肝治療の補助として使用されることがあります。 主な働きは、肝細胞を傷つける活性酸素を除去し、炎症を引き起こすサイトカインという物質を抑制することです。(文献2) 肝酵素(ALT、AST)の低下、肝臓の炎症軽減、インスリン感受性の改善といった効果が見られた例があります。 ただし、副作用のリスクも理解しておく必要があります。 高用量での長期使用では、死亡率の増加や出血性脳卒中のリスクが報告されています。(文献3) そのため、糖尿病を合併していない患者様で、肝生検でNASH(非アルコール性脂肪肝炎)が確認された場合に限定して、抗酸化剤(ビタミンE)の使用が推奨されています。 使用する際は必ず医師の指導のもとで適切な用量を守ることが重要です。 GLP-1受容体作動薬 GLP-1受容体作動薬は、もともと糖尿病治療薬として開発された薬ですが、脂肪肝の改善効果も報告されています。 この薬の作用メカニズムは、血糖値に応じてインスリンの分泌を促進し、食欲を抑制して体重減少を促すことです。(文献4) 代表的な薬剤には、リラグルチド(ビクトーザ)やセマグルチド(オゼンピック)があります。 この薬の特徴は、主に体重減少を介した改善が示唆されており、肝脂肪への直接作用は検証中です。 副作用としては、下痢や便秘、吐き気や嘔吐もあるため、定期的な診察が必要です。 SGLT2阻害薬 SGLT2阻害薬は、腎臓でのブドウ糖再吸収を阻害することで血糖値を下げる糖尿病治療薬です。脂肪肝の改善効果も注目されています。 代表的な薬剤には、エンパグリフロジン(ジャディアンス)、ダパグリフロジン(フォシーガ)、カナグリフロジン(カナグル)などがあります。 台湾で行われた大規模な研究では、糖尿病患者における脂肪肝の発症率が有意に低下することが報告されています。(文献5) 副作用としては、多尿・口渇などが挙げられます。 とくに高齢者では脱水のリスクが高まるため、十分な水分摂取と定期的な検査が必要です。 肝庇護薬(ウルソデオキシコール酸) ウルソデオキシコール酸は、もともと胆石症の治療に使用されてきた薬です。肝細胞を保護する効果があることから脂肪肝治療にも応用されています。 この薬は親水性胆汁酸と呼ばれる物質で、肝細胞の膜を安定化し、炎症やアポトーシス(細胞死)を抑制する働きがあります。(文献6) ただし、単独での治療効果は限定的であることがわかっており、生活習慣の改善や他の薬剤との併用でより効果的とされています。 副作用は軽度の下痢や胃部の不快感がありますが、間質性肺炎の重大な副作用がまれにあるため、異常が認められた場合は専門医に相談しましょう。 推奨用量は通常、成人1回あたり50mgを1日3回経口投与します。 スタチン系薬剤 スタチン系薬剤は、コレステロールを下げる薬として広く使用されていますが、脂肪肝の改善にも多面的な効果を発揮することがわかってきました。 代表的な薬剤には、アトルバスタチン(リピトール)、ロスバスタチン(クレストール)、シンバスタチン(リポバス)などがあります。 この薬の作用は、HMG-CoA還元酵素を阻害してコレステロール合成を抑制するだけでなく、抗炎症作用、抗線維化作用、抗酸化作用も併せ持つことです。(文献7) 大規模な研究では、脂肪肝患者における心臓や血管で起こる重大なトラブルを68%減少させた報告もあります。 副作用としては、筋肉痛、肝酵素上昇、まれに横紋筋融解症などが挙げられます。 脂肪肝は市販薬やサプリで改善できる?処方薬との違い 「病院に行く前に、まずは市販薬やサプリメントで様子を見たい」と考える方も多いでしょう。 確かに、ドラッグストアやインターネットで手軽に購入できる肝機能改善をうたった商品は数多く存在します。 しかし、処方薬と市販品には大きな違いがあることを理解しておく必要があります。 最も重要な違いは、医学的根拠(臨床試験データ)の量と質です。 処方薬は大規模試験を経て承認されることが多く、標準化された用量設定と品質管理が保証されています。 一方、市販のサプリメントは高品質な臨床試験による裏付けが限定的で、製品間の品質や体への吸収されやすさ等にばらつきがあります。 自己判断での使用には重大なリスクも伴います。 適切な診断なしでの自己治療は、以下の危険性があります。 本当の病気を見逃す(診断遅れ) 他の薬剤との相互作用 不適切な用量により効果がなかったり、副作用が出る これらの危険性があるため、まずは専門医の診断を受けることが大切です。 脂肪肝で薬を服用する際の注意点 脂肪肝の薬物治療を成功させるためには、いくつかの重要な注意点があります。 まず理解していただきたいのは、薬だけでは根本的な改善は難しいという点です。 脂肪肝治療の基本は生活習慣の改善であり、薬物療法はあくまでサポート役として位置づけられています。 薬を服用する際は、必ず医師の指示に従い、定期的な検査を受けながら治療を続けましょう。 脂肪肝は生活習慣の改善が治療の基本 以下の食事、運動、そして薬との相乗効果を確認し、脂肪肝の改善をしましょう。 食事 肝脂肪を有意に減らす選択肢として、日本肝臓学会ガイドラインでは、オリーブオイル・魚・ナッツ・全粒穀物を中心とした、地中海食パターンと適度なカロリー制限が挙げられています。 赤身肉や加工肉を控え、タンパク質は魚類や豆類から摂取しましょう。 運動 運動療法は複数の研究で脂肪肝への効果が認められています。 具体的には「中~高強度有酸素運動(30–60分×週3–4)」を推奨し、体重が減らなくても肝脂肪と炎症が改善すると報告されています。 そのため、体重も一つの大切な指標ではありますが、体重が減らないからと運動を辞めずに、継続することが大切です。 副作用に注意!症状が出たら必ず医師に相談 治療薬を継続して使用するためには、副作用への適切な対応が欠かせません。 どの薬にも副作用のリスクがあるため、症状が現れた場合は自己判断せず、必ず医師に相談しましょう。 薬剤 代表的副作用と頻度 早期対応のポイント ビタミンE 出血性脳卒中 高用量を避け、出血傾向のある人は使用しない GLP-1受容体作動薬 吐き気・下痢 初期は少量から開始し、症状が続けば用量調整 SGLT2阻害薬 尿路/性器感染症、脱水 水分摂取を促し、高齢者・腎機能低下例は慎重投与 スタチン 筋痛、クレアチンキナーゼ上昇、横紋筋融解症 筋肉痛+褐色尿が出たら直ちに受診 副作用が現れた場合の対応方法も覚えておきましょう。 軽微な症状であっても、まずは医師への報告が大切です。 症状の程度に応じて、用量調整、投与方法の変更、代替薬への切り替えなどの対応が検討されます。 定期的な検査も継続管理の重要な要素です。健康診断や病院で定期検査を受け、診断結果を元に医師に相談しましょう。 薬物相互作用にも注意が必要で、他の薬やサプリメントを併用する場合は必ず医師に伝えてください。 脂肪肝の薬と再生医療という治療選択肢 脂肪肝治療の柱はあくまで食事・運動と既存薬ですが、治療には再生医療という選択肢もあります。 再生医療には、幹細胞治療とPRP療法の二つがあります。 幹細胞治療では、患者様から採取した幹細胞を培養し、患部に投与します。 PRP療法は、血液に含まれる血小板を濃縮した液体を作製し、注射する治療法です。 肝臓疾患に対する再生医療について詳しくは、以下をご覧ください。 まとめ|脂肪肝治療は薬と生活習慣の改善で回復を目指そう 脂肪肝は、早期に気づいて適切な治療をすれば改善が期待できる病気です。 現在はビタミンE、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬、ウルソデオキシコール酸、スタチン系薬など複数の薬が検討されており、炎症や脂肪蓄積を抑える報告結果もあります。 ただし、薬だけに依存せず、食事と運動を基盤に改善を目指すことが治療成功のカギです。 地中海食を参考にカロリーと糖質を抑え、中~高強度の有酸素運動を30から60分、週3〜4日のペースで行い、肝脂肪と炎症を改善していきましょう。 治療には、再生医療の選択肢もあります。 再生医療の詳細については、当院「リペアセルクリニック」へお問い合わせください。 脂肪肝の薬に関してよくある質問 薬の副作用が心配だけど大丈夫? 脂肪肝の治療のみを対象とした薬はまだないため、脂肪肝と関連する薬を使用した際の回答となりますが、副作用が起きることもあります。 薬ごとの副作用の重さの違いは、ビタミンEだと高用量を長期に服用した場合に全死亡率や出血性脳卒中のリスクがわずかに上昇するとの報告があります。 一方、GLP-1受容体作動薬の嘔気・下痢、SGLT2阻害薬の尿路/性器感染症は多くが軽度で、用量調整や水分補給で対処可能です。 また、副作用の重さは薬の違いだけでなく、体質によっても個人差がある点にも注意してください。 軽い症状でも自己判断は避け、すぐに医師へ報告し、検査値を定期的にチェックして副作用を早期発見・対応しましょう。 薬代はいくらぐらいかかる? 脂肪肝の治療だけを対象とした保険適用薬は現在ありません。そのため、薬が高額になる可能性がある点は注意が必要です。 ただし、本記事で紹介した薬で、糖尿病などの合併症が見られた場合は保険適用となる可能性もありますので、必ず確認しましょう。 費用は薬剤・投与量で変わるため、診断時に医師と具体的に相談してください。 どのタイミングで病院に行けばいい? 健診で脂肪肝を指摘されたら症状がなくても一度専門医を受診するのが重要です。 とくに40歳以上で体重増加が続く方や、家族歴に肝疾患がある方は早期受診が推奨されます。 脂肪肝は自覚症状が出にくく、放置すると肝硬変や肝がんへ進行するリスクがあります。 早期診断・治療で重篤化を防げる可能性が高まるため、不安を感じたら遠慮なく医療機関に相談してください。 参考文献 (文献1) 日本肝臓学会「NAFLD/NASH診療ガイドライン2020(改訂第2版)」2020年 https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/nafld.html (最終アクセス:2025年6月24日) (文献2) Nagashimada, M., & Ota, T. (2019). Role of vitamin E in nonalcoholic fatty liver disease. IUBMB Life, 71(4), pp.516-522. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30592129/最終アクセス:2025年6月24日) (文献3) Miller, E. R., et al. (2016). Vitamin E and Non-alcoholic Fatty Liver Disease. PMC, 4984672. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4984672/ (最終アクセス:2025年6月24日) (文献4) Newsome, P. N., et al. (2021). A Placebo-Controlled Trial of Subcutaneous Semaglutide in Nonalcoholic Steatohepatitis. New England Journal of Medicine, 384(12), pp.1113-1124. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33185364/(最終アクセス:2025年6月24日) (文献5) Wei, Q., et al. (2024). Non-alcoholic fatty liver disease risk with GLP-1 receptor agonists and SGLT-2 inhibitors in type 2 diabetes: a nationwide nested case–control study. Cardiovascular Diabetology, 23(1), pp.1-12. https://cardiab.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12933-024-02461-2 (最終アクセス:2025年6月24日) (文献6) Zhang, J., Wang, X., Shen, Y., et al. (2020). Ursodeoxycholic Acid in Non-Alcoholic Fatty Liver Disease: A Systematic Review and Meta-analysis. Clinical and Experimental Gastroenterology, 13, 251-264. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32595039/(最終アクセス:2025年6月24日) (文献7) Boutari, C., et al. (2024). A Systematic Review of Statins for the Treatment of Nonalcoholic Steatohepatitis: Safety, Efficacy, and Mechanism of Action. Molecules, 29(8), pp.1859. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38675679/ (最終アクセス:2025年6月24日)
2025.06.30 -
- 肝疾患
- 内科疾患
「肝嚢胞は放置しても良いのかな」「自然に消えることはあるのかな」 このような悩みはありませんか。 肝嚢胞は、肝臓の組織に液体が溜まり袋状になったものです。40〜60代の女性に起こりやすく、健康診断の超音波検査で発見されるケースがよく見られます。 多くの場合経過観察で済みますが、重症化・悪性化するケースもあるため、適切な診断とフォローアップが必要です。 本記事では、肝嚢胞は自然に消えるのかや、治療法、注意すべき症状などを解説します。記事を最後まで読めば、指摘された肝嚢胞についての注意すべき点がわかり、適切な対応を取れるようになるでしょう。 【結論】肝嚢胞(のうほう)は自然に消えることは稀である 肝嚢胞は、感染や破裂、出血によってサイズが増大することはあるものの、自然に消えたり小さくなったりしたとされる報告は稀です。 大きくなると、腹部の右上部分に膨満感や痛みを感じるケースがあります。(文献1) 本章では、肝嚢胞に治療が必要なのか症状別に解説します。 良性で症状がなければ治療の必要はない 肝嚢胞の多くは良性で、健康に支障をきたすものではありません。 とくに症状もあらわれず、おなかが張る、苦しいなどの不快感がなければ治療しなくても問題ないケースが一般的です。(文献1)(文献2) 気になる症状があるなら早めに受診・治療が必要 「お腹が張って苦しい」「痛みがある」などの症状がある場合は、以下のような問題が生じている可能性があります。(文献1) 出血している 感染症が起きている 嚢胞が破裂している 大きくなった嚢胞がほかの臓器を圧迫している 基本的には医師と相談して経過を見ますが、肝嚢胞が大きくなると、嚢胞破裂につながるおそれも稀にあります。 少しでも異常を感じた場合は、早めに医師へ相談しましょう。 肝嚢胞の治療法 肝嚢胞の治療は、感染やほかの臓器の圧迫が起きている場合におこないます。 種別 治療法 具体的な治療法 内科的治療 ドレナージ 超音波で観察しながら嚢胞内にチューブを入れ、液体を抜く 場合によっては、嚢胞内に液体が溜まらないようにエタノールを注入する 外科的治療 手術 肝嚢胞を切開・切除し、取り除く 肝嚢胞の大きさや種類により、治療方法は異なります。気になる点は、医師へ確認しましょう。 肝嚢胞の治療については、以下の記事で詳しく解説しています。 肝嚢胞の診断後に注意すべき3つのポイント 肝嚢胞と診断されたら、以下の3つのポイントに注意しましょう。 肝機能が悪化していないか確認する 息苦しさや圧迫される感じなどの違和感がないか確認する 年に1回は超音波検査を受ける 順番に説明します。 肝機能が悪化していないか確認する 肝嚢胞に感染や破裂が起こると、稀に肝機能に影響を及ぼすことがあります。 医師に指示された間隔で受診し、肝機能の悪化がないかを定期的に確認しましょう。 息苦しさや圧迫される感じなどの違和感がないか確認する 肝嚢胞が大きくなると、ほかの臓器を圧迫して腹痛や息苦しさなどが出る可能性があります。 体調に違和感があれば、早めに受診しましょう。 年に1回は超音波検査を受ける 肝嚢胞は、サイズが増大しても自覚症状があらわれないケースもあります。 無症状の場合でも、年に1回は超音波検査を受け、肝嚢胞の状態に問題がないかを確認しましょう。 まとめ|肝嚢胞の消失は稀!診断後は適切な治療を受けよう 肝嚢胞は良性で無症状のケースが多いものの、自然に消えるのは非常に稀です。 気づかないうちにサイズが増大したり、感染を起こしたりするリスクもあります。 そのため、診断後は医師の指示に従い適切な治療・経過観察をおこないましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、脂肪肝や肝炎、肝硬変などにより炎症や線維化が起きた肝臓に対して、組織の修復や再生が期待できる再生医療を提供しています。 気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。 また、女性に多い肝臓の病気については、以下の記事も参考にしてください。 肝嚢胞についてよくある質問 肝嚢胞は石灰化しますか? 肝嚢胞が石灰化したという報告はありますが、非常に稀です。(文献3) ただし、がんを始めとするほかの病気の合併や炎症、出血などがあると、石灰化しやすいという報告もあります。必要に応じて医師の指示に従い、経過を観察しましょう。 肝嚢胞は食生活と関連がありますか? 肝嚢胞の発生には、女性ホルモンの一種「エストロゲン」が関連しているという説はありますが、現時点で明確な原因は特定されていません。(文献4) ただし、明確な関連は証明されていないものの、肝臓の健康を維持するためにはバランスの取れた食生活を心がけることが大切です。 肝嚢胞はストレスと関係がありますか? 肝嚢胞の原因は明らかになっていない部分が多く、ストレスとの関係も明らかではありません。(文献4) しかし、過剰なストレスは身体面・精神面のどちらにも悪影響を与えます。健康を保つために、ストレスを溜めすぎない生活を送るよう心がけてみてください。 参考文献 (文献1) 笹岡悠一ほか.「腹部超音波検査で観察された肝嚢胞縮小化の1例と10例の文献的考察」『医学検査』 Vol.70,No.1 (2021),pp. 155–159 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jamt/70/1/70_20-50/_pdf/-char/en(最終アクセス:2025年3月18日) (文献2) 難病情報センター「肝臓疾患分野|多発肝のう胞症(平成22年度)」 https://www.nanbyou.or.jp/entry/781(最終アクセス:2025年5月16日) (文献3) 三宅周ほか.「多発性肝のう胞とその石灰化について-石灰化を伴なった非包虫性の1例を含む自験例14例を中心に-」『肝臓』23巻2号(1982),pp.198-205https://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo1960/23/2/23_2_198/_pdf(最終アクセス:2025年3月18日) (文献4) 難病情報センター「肝臓疾患分野|多発肝のう胞症(平成22年度)」https://www.nanbyou.or.jp/entry/781(最終アクセス:2025年3月18日)
2025.03.31 -
- 肝疾患
- 内科疾患
突然「肝嚢胞ですね」と医師から告げられ、不安になっていませんか? なかには経過観察で特別な治療は不要と言われる方もいるでしょう。しかし、本当に大丈夫なのか不安になりますよね。 また「食事や普段の日常生活が悪かったかも」と悩み、見直す方もいるかもしれません。 肝嚢胞と食事は直接的な影響は少ないといわれていますが、不摂生な食事は肝臓に負担を与えます。食生活が原因となり肝嚢胞に悪影響を及ぼすことも考えられるため、注意が必要です。 本記事では、肝嚢胞と食事の関係性や、肝臓病のときの食事について詳しく解説します。本記事を参考に、肝臓をいたわる食事を心がけてください。 【結論】肝嚢胞(のうほう)に食事は直接影響しないが注意が必要 軽症の場合、肝嚢胞は経過観察で済むケースが多く見られます。肝嚢胞の原因は明確にはなっていませんが、日常の食事が肝嚢胞に直接影響を与えることは少ないと考えられています。 しかし、食生活の乱れは肝臓に負担を与えるため、肝嚢胞にも悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。 たとえば肥満症や糖尿病にかかっている場合は、不規則な食生活により肝臓までダメージを与えることもあります。(文献1)(文献2) 肝嚢胞自体は食事によって大きく変動するものではありませんが、肝臓の健康を維持するためには、適切な食生活の改善が欠かせません。日頃から肝臓に負担をかけない食事を意識しましょう。 肝嚢胞の原因や症状、治療法については以下の記事で詳しく解説しています。気になる方は合わせてご覧ください。 肝嚢胞で注意が必要な食事 肝嚢胞を悪化させるリスクを減らすためには、食生活に気を配ることが大切です。とくに以下の食事は肝臓に負担を与える可能性があります。 アルコール 単品の外食・コンビニ食 脂肪分の多い肉 肝臓に負担をかける食品はできるだけ控え、バランスの取れた食事を心がけましょう。 アルコール アルコールは肝臓で代謝されるため、過剰な飲酒は肝機能を低下させます。(文献3) 肝嚢胞がある場合は禁酒が理想的ですが、難しい場合は頻度や量を調整しましょう。 飲酒を抑えるための方法として、以下のような工夫がおすすめです。 休肝日を設ける 摂取量を1日あたり純アルコールで約20g程度に抑える(ビールなら中瓶1本500mlまで、ワインなら1杯半程度)(文献4) アルコール度数の低い飲料を選ぶ 普段から飲酒習慣のある方は、量や頻度の調整でアルコール摂取量を抑える工夫をしましょう。 単品の外食・コンビニ食 外食やコンビニ食は手軽ですが、単品で済ませると栄養バランスが偏りがちです。 とくに脂質や塩分が多い食品を摂りすぎると、肝臓に負担がかかる可能性があるため注意が必要です。 普段から外食やコンビニ食が多い方は、以下のような工夫を取り入れて栄養バランスを整えましょう。 定食メニューを選び、主食・主菜・副菜をそろえる カット野菜やスープをプラスする 揚げ物や高カロリーなメニューは控えめにする 生活するうえで外食やコンビニ食を避けられない場合は、上記を参考に工夫してみてください。 脂肪分の多い肉 脂肪分の多い肉の部位を過剰に摂取すると、肝臓に負担をかける可能性があります。 肝臓への負担を減らすために牛ヒレ肉や豚足など、脂身の少ない部位を選ぶようにしましょう。 また、低脂肪の肉類でも揚げ物や高脂肪食は脂肪肝を引き起こすリスクがあるため、注意が必要です。 これらのポイントを意識しながら、脂肪分の控えたお肉を普段の食事に取り入れましょう。 肝嚢胞とは別に、肝臓の代表的な疾患として「肝硬変」が知られています。肝硬変の食事のポイントについて詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 肝嚢胞の人におすすめの食事 肝機能が低下している際におすすめの食事は、以下の3つです。 穀物 良質なたんぱく質 野菜やキノコ 肝嚢胞の人は、これらの栄養分や食品を普段の食事に取り入れて、バランス食を心がけてください。 穀物 肝臓病になると、肝機能低下により血糖値を下げる力が鈍ります。(文献5) 雑穀米や全粒粉のパンを取り入れると、血糖値の急激な上昇を防ぎ、肝臓への負担を軽減できるためおすすめです。 一方、白米のような精製穀物は血糖コントロールを悪化させる可能性があります。そのため、未精製の穀物を選ぶのがより望ましいでしょう。(文献6) 良質なたんぱく質 アミノ酸がバランスよく含まれているたんぱく質が、良質なたんぱく質に該当します。 体に吸収されやすいため、効率よく利用されるのが特徴です。(文献7)(文献8) 代表的な良質なタンパク質として以下のような食材があげられます。 豆類、大豆製品(豆腐、納豆、味噌など) 卵 魚や脂肪の少ない肉(鶏むね肉、豚ヒレ肉など) ただし、過剰に摂取すると肝臓に負担をかけて肝性脳症のリスクをあげる原因になります。良質だからといってむやみに多く摂り過ぎず、適量を意識しましょう。 野菜やキノコ 野菜やキノコには、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。 とくに、肝機能が低下するとビタミンやミネラルを蓄える能力が低下するため、日常の食事で積極的に摂取することが重要です。 以下のような野菜やキノコを普段の食事に取り入れるようにしましょう。 緑黄色野菜 ほうれん草 にんじん ピーマン など キノコ類 しいたけ えのき しめじ など これらの食材を日々の食事に取り入れることで、肝機能の維持に役立つでしょう。 肝嚢胞の人が食事で意識すべきポイント 肝臓の健康を守るためには、食品や栄養素の他、日々の食事メニューの工夫が大切です。とくに、以下のポイントを意識すると良いでしょう。 栄養バランスの整ったメニューを考える カロリーオーバーに注意する 主食・主菜・副菜をそろえたメニューにする 食事のバランスを意識し、主食・主菜・副菜をそろえた食事を心がけることが大切です。これにより、必要な栄養素を効率よく摂取でき、肝臓への負担を軽減できるでしょう。 バランスの良い食事の例として、以下のようなメニューがおすすめです。 主食:玄米や雑穀米 主菜:魚や大豆製品(豆腐、納豆) 副菜:野菜や海藻類の和え物 このような組み合わせを意識しながら、栄養バランスの良い食事を続けましょう。 カロリーオーバーに注意する 肝臓の負担を減らすためには、適正なカロリー摂取が重要です。カロリーを抑えるためには、以下のポイントを意識しましょう。 低カロリーで高たんぱくな食材(鶏むね肉、白身魚、大豆製品)を選ぶ 調理法を工夫し、油を控えめにする(蒸す、茹でる、焼く) 食事量を適量に調整し、過剰摂取を避ける これらの工夫を取り入れることで、肝機能の悪化を防ぐことにつながります。ただし、良質なたんぱく質を多く含む食品は高カロリーになりがちなので注意が必要です。 まとめ|肝嚢胞と診断されたら食事内容を見直してみよう 今回は、肝嚢胞の方へ向けて、おすすめの食事のポイントを詳しく解説しました。 肝嚢胞自体は食事が原因で発症するとは言えないものの、不規則な食生活により肝機能が低下し、肝嚢胞の状態に影響を及ぼす可能性があります。 肝嚢胞が無症状でも食生活を見直して肝臓の健康に努めましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、肝障害の悪化を防ぐ「再生医療」を行っております。 メール相談またはオンラインカウンセリングにてお悩みを伺うことも可能です。気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 肝嚢胞についてよくある質問 嚢胞ができる原因は何ですか? 嚢胞の特定の原因は明らかになっていませんが、以下のような原因が報告されています。 寄生虫感染(エキノコックス) 女性ホルモンの影響 先天性の要因 これらの原因が疑われる場合は、専門医による適切な診断と治療が必要です。異変を感じたら自己判断せず医療機関を受診しましょう。 肝嚢胞になったらどうすれば良いですか? 肝嚢胞が見つかった場合、特別な治療を必要とせず、経過観察を行うことが多いです。医師の判断によっては、半年〜年に1回くらいエコー検査するケースもあるでしょう。 しかし、嚢胞が大きくなり、腹痛や圧迫感などの症状が現れた場合は、手術が検討されることもあります。その際、嚢胞内の液体を抜き取る穿刺治療や、切開による手術が行われることがあります。 いずれにしても、肝嚢胞と診断された場合は、医師の指示に従って適切な検査や治療を受けましょう。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「脂肪肝(しぼうかん)」e-ヘルスネット, 2024年5月27日https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-033.html(最終アクセス:2025年3月16日) (文献2) 奥田昌恵、横田友紀ほか.「2 型糖尿病における脂肪肝 ―その頻度および臨床的特徴―」『糖尿病』 50 巻 8 号 , p631-p634.(2007) https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/50/8/50_8_631/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月16日) (文献3) 厚生労働省「アルコールの吸収と分解」e-ヘルスネット, 2022年01月20日 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-002.html(最終アクセス:2025年3月16日) (文献4) 厚生労働省「アルコール」https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html(最終アクセス:2025年3月16日) (文献5) 種市 春仁 藤原 史門ほか.「3. 肝硬変に伴う糖尿病(肝性糖尿病)」『糖尿病』 51巻 3号 , p203-p205.(2008〕) https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/51/3/51_3_203/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月16日) (文献6) 鎌田智英実.「6.栄養摂取状況と改善策」『日本老年医学会雑誌』50巻 1 号 , p68-p71.( 2013〕) https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/50/1/50_68/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月16日) (文献7) 厚生労働省「たんぱく質(たんぱくしつ)」e-ヘルスネット, 2024年5月27日 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-044.htm(最終アクセス:2025年3月16日) (文献8) 国立長寿医療研究センター「良質なたんぱく質とは? 【低栄養予防】」https://www.ncgg.go.jp/ri/advice/09.html(最終アクセス:2025年3月16日)
2025.03.31 -
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肝嚢胞は肝臓に形成された袋の中に水が溜まった状態です。自覚症状がないことも多いですが、大きくなると上腹部の痛みや背中の痛みをもたらす場合があります。 肝嚢胞で背中が痛むということは、肥大化がかなり進んでいると考えられます。 本記事では背中の痛みの原因になる肝嚢胞やその症状、治療方法を解説します。 肝嚢胞が背中の痛み(背部痛)を引き起こすことがある 肝嚢胞(かんのうほう)の診断を受けた後、背中に痛みを感じることがある方もいらっしゃるでしょう。 肝嚢胞は多くの場合、症状がなく偶然の検査で見つかることが一般的ですが、大きくなると徐々に不快感や痛みを引き起こすことがあります。 とくに肝嚢胞が大きく成長すると、肝臓の被膜を伸ばしたり、周囲の組織を圧迫したりすることで、右上腹部だけでなく背中や肩甲骨の下部にまで痛みが広がる場合があります。 このような背中の痛みは、肝嚢胞のサイズや位置によって現れることがあるため、医師による適切な診断と評価が重要です。ここでは、肝嚢胞がもたらす背中の痛みについて詳しく見ていきましょう。 肝嚢胞(かんのうほう)は多くの場合、症状がなく偶然の検査で見つかることが一般的ですが、大きくなると徐々に不快感や痛みを引き起こすことがあります。 実は肝嚢胞は発達の仕方によって、右上腹部だけでなく背中まで痛みが広がる場合があります。 肝臓にできた肝嚢胞の肥大が背中の痛みになる 肝嚢胞とは、肝臓にできた嚢胞(水ぶくれ)です。 袋の内部に水分などの液体が溜まっている状態で、基本的には害はありません。 ただ、肝嚢胞は肥大化するケースがあり、肥大化の仕方によっては周辺の臓器を圧迫します。 肥大化によって周辺の臓器が圧迫されると、お腹や腰、ひいては背中の痛みの一因になることもあります。 基本的に症状や害のない水ぶくれとはいえ、肥大化すると痛みを感じるケースがある点に注意が必要です。 肝嚢胞自体の原因は完全に解明されていない 肝嚢胞が発生する原因は、実は今でも完全に解明されていません。 ただ、肝嚢胞は生まれついた時点ですでにある先天的なものと、成長に伴ってできてくる後天的なものがあります。 なお、先天的なものと後天的なものとでは、先天的なものの症例が多い傾向です。 肝嚢胞は40代から60代の女性の患者が多いため、女性ホルモンの一種であるエストロゲンとの関連性を指摘する学説があります。 一方、後天的な肝嚢胞は切り傷のような外傷や、キタキツネやイヌの便に生息する寄生虫エキノコックスの感染が原因と考えられています。エキノコックスは国内では北海道で主に発生が確認されており、野生動物の糞便を介して人間に感染します。 エキノコックスの感染で発生したものは、肥大化した際には肝臓でさまざまな異常を引き起こし、死に至らせる事例がある点に注意が必要です。 ただ、エキノコックスなどの感染など後天的な原因によるものは、発生確率が極めて低いため、過度の心配は必要ありません。 肝嚢胞が引き起こす症状を解説 肝嚢胞はほとんどが良性です。 基本的にサイズが大きいケースほど、症状がもたらすリスクが大きくなります。 肝嚢胞によってもたらされる症状を、サイズ別にひとつずつ解説していきましょう。 小さい肝嚢胞は基本的に症状はない まず、サイズの小さな肝嚢胞は基本的に症状はありません。 自覚症状さえ見られないため、小さいものができていても、とくに支障なく日常生活を送れます。 以上のように、サイズが小さめの肝嚢胞は人体にさほど影響を及ぼしません。 超音波検査や血液検査などで発見されることはあるものの、無症状であれば医師からも当面様子を見る診断が下る可能性があります。 肥大化した肝嚢胞が引き起こす腰痛と消化器症状 肝嚢胞が肥大化すると、お腹の痛みや張りなどの悪影響が出てくる点に注意が必要です。 お腹の痛みをはじめとする症状は、肝嚢胞の肥大化で周りの臓器が圧迫されることによって起こります。 とくによく見られる症状が、右側のお腹の上側からみぞおちにかけての痛みです。 この症状は、肝嚢胞が大きくなるにつれて、肝臓の表面を引っ張るのが原因と考えられています。 さらに肝嚢胞の肥大化が進行すると、痛みを感じる部位も胃などの消化器だけでなく、腰や背中に広がることもあります。 腰や背中にまで痛みを感じるようになると、かなり肥大化していることが考えられるため、医療機関での精密検査が必要です。 また、肝嚢胞が肥大化した場合、食生活にも悪影響が及ぶケースがあります。 肝嚢胞が大きくなると胃が圧迫されることがあり、食欲がわかなかったり吐き気を催したりすることもあります。 吐き気については、実際に食べたものを戻してしまうことがある点も、注意が必要なポイントです。 ほかにも、肝嚢胞に細菌が入り込んでいる場合は発熱などの症状が引き起こされることがあります。 多発性肝嚢胞による重篤な合併症リスク 肝嚢胞でより注意しなければならない症状が、多発性肝嚢胞(たはつせいかんのうほう)と呼ばれる複数の肝嚢胞が発生する症状です。 多発性肝嚢胞になると、状況によって呼吸困難やヘルニアを引き起こす可能性があります。 加えて、腎臓に嚢胞ができる多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)を併発するケースがあるのも特徴です。 多発性嚢胞腎は高血圧や腎不全の原因になるリスクを持った病気です。 もし、多発性肝嚢胞と多発性嚢胞腎を併発しているのであれば、基本的に治療が必要になります。 肝嚢胞の診断方法 健康診断などで肝嚢胞らしきものが見つかった場合、より詳しい検査を受けるように指示されるのが一般的です。 具体的にどのような検査が行われるのか、肝嚢胞の診断方法について解説します。 一般的に腹部エコー検査がよく用いられる 肝嚢胞を詳しく診断する際は、腹部エコー検査(超音波検査)を活用するのが基本です。 腹部エコー検査とは、お腹の部分に超音波を送受信する器械を当て、跳ね返ってきた超音波をもとに画像診断します。 簡単に臓器の状態を確認できる上に、体にも大きな負担はかかりません。また、肝臓に溜まっている液体の有無のほか、肝嚢胞の個数・サイズや成長具合を判断できます。 CT検査やMRI検査による精密検査も行われる 腹部エコー検査で肝嚢胞による臓器の圧迫などの影響が出ていることが明らかな場合は、CT検査やMRI検査を使ってより精密な検査も行います。 CT検査はコンピュータを使いながら体内を断層撮影する方法です。X線をさまざまな方向から照射して、水分や脂肪、骨などの体内の成分に対する吸収の度合いで画像を作ります。 とくに見つかった肝嚢胞が腫瘍を疑われるときは、バリウムなどの造影剤も活用して検査を行う流れです。 一方MRI検査では、人体に多くの水素原子が含まれている特徴を活かして検査します。水素原子に磁力と電波を照射し、それに対する水素原子の反応に応じて画像を作る仕組みです。 補助的に血液検査も使われる 腹部エコー検査やCT検査・MRI検査以外にも、血液検査が使われることがあります。 血液検査はあくまでも補助的な手段であるため、他の手法と組み合わせての活用が欠かせません。 ただ、血液検査での検査項目のうち、アミノ酸の生成機能があるASTとALTは肝機能の状態を示す指標です。 血液検査でASTとALTになんらかの異常が見られる場合、他の検査の結果と併せて肝嚢胞による問題がないかで総合的な判断が下されます。 肝嚢胞の治療方法 もし、検査によって肝嚢胞が見つかったとき、手術のような方法で治療するのではないかと心配になるのではないでしょうか。 実は肝嚢胞の状態やサイズ、患者の健康状態などによっては、治療が不要なケースもあります。 肝嚢胞の状態などに応じた治療方法について、ひとつずつ見ていきましょう。 無症状の場合は経過を観察する まず、発見された肝嚢胞が無症状であれば、ひとまず経過を観察しつつ、半年から1年おきに腹部エコー検査を行います。 肝嚢胞は数が1個だけで症状が見られないものであれば、肥大化するケースは多くありません。 もし長期的に様子を見て、何の変化もなければ、治療は行われずに終わります。 ただし、肝嚢胞の中には年月とともに徐々に肥大化するケースもあるため、油断はできません。 肥大していれば嚢胞液の排出治療を行う 肝嚢胞が肥大し、痛みまで生じていたら、治療が必要です。 肝嚢胞の治療では、薬物療法や嚢胞液の排出を行います。 嚢胞液の排出は、まず嚢胞自体に針を刺して、内部の液体を抜きます。 続いて、再度嚢胞液が溜まるのを防ぐために、嚢胞の中にエタノールやミノサイクリン塩酸塩の薬液を注入する流れです。 根本的な解決手段として外科手術も用いられる 肝嚢胞の治療法には、根本的に解決するための手段として外科手術が行われることがあります。 外科手術が必要になるのは、肝嚢胞の肥大化で激しい痛みや胆汁の流れの妨げが見られるときなどです。 外科手術では主に以下の2つが行われます。 肝切除術:嚢胞を含む肝臓の一部を外科的に切除する手術 嚢胞壁切除術:嚢胞の壁の一部のみを切除して内容液を排出させる 肝切除術の場合は、嚢胞液を排出する方法と異なり、体への負担は大きいものの、嚢胞の除去が可能です。 なお、外科手術の際に寄生虫も見つかったときは、抗生物質も投与します。 肝臓の疾患に対する治療法「再生医療」について 肝嚢胞は肝臓疾患の一つですが、肝臓には様々な種類の疾患が存在します。 そんな肝嚢胞以外の肝臓の疾患に対しては、再生医療という治療の選択肢があります。 再生医療では、患者様自身の幹細胞や血液を用いて治療を行うため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 手術や入院を必要としたくないという方は、再生医療をご検討ください。 まとめ|肝嚢胞の背中の痛みは手術や薬物療法で治療できる 肝嚢胞は肥大化すると、胃などの消化器だけでなく腰や背中の痛みをも引き起こす場合があります。 しかし、肝嚢胞は多くの場合で症状が見られません。そのため、健康診断などで検査をした際に見つかることがあるために注意が必要です。 無症状の場合は経過観察することもありますが、肥大化して痛みがある場合は手術によって肝嚢胞の切除や液体の排出なども行います。 もし肝嚢胞によって上腹部や背中などに痛みを感じるときは、我慢せず医療機関を受診することが大切です。 肝嚢胞 背中の痛みに関してよくある質問 肝嚢胞はストレスやアルコールが原因ですか? 肝嚢胞の原因は現在も解明されていません。 後天的に発症する原因としては、寄生虫エキノコックスや、女性ホルモンのエストロゲンとの関連性からも研究されている段階です。 なお、ストレスやアルコールとの関連性については明らかにされていません。 ただし、過度のストレスやアルコールは、肝機能の低下や肝障害の原因になるため注意が必要です。 肝嚢胞が小さくなることや消えることはありますか? 肝嚢胞が小さくなることや消えることはたまにあるものの、事例はあまり多くはありません。(文献1) 大きさを維持するか、肥大化するケースが多く見られます。 肝嚢胞を発症すると寿命に関わるのですか? 肝嚢胞は発症しても、寿命に関わるケースはほとんどありません。 ただし、肥大化によって呼吸困難が引き起こされたり、肝がんの原因になったりするなど大きなリスクを引き起こすこともある点に注意が必要です。 肝嚢胞の手術費用はいくらくらいですか? 肝嚢胞の手術費用は、手術を受ける医療機関によって異なります。 ただ、手術でよく用いられる腹腔鏡手術自体は50〜65万円程度が相場です。 しかも、肝嚢胞の治療は保険が適用されるため、3割負担であれば15万円から20万円程度となります。 参考文献 (文献1) 笹岡 悠一ほか. 「腹部超音波検査で観察された肝嚢胞縮小化の1例と10例の文献的考察」 『医学検査』 70(1), pp.155-159, 2021年. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jamt/70/1/70_20-50/_html/-char/ja (最終アクセス:2025年3月25日)
2025.03.31 -
- 肝疾患
- 内科疾患
「アルコール性肝炎になったら、もう肝臓は元に戻らないの?」 「アルコール性肝炎は治る病気?」 そんな疑問や不安を抱える方は少なくありません。 長年の飲酒習慣で傷ついた肝臓ですが、完全に回復不可能なわけではないのです。 本記事では、アルコール性肝炎からの回復可能性や有効な治療法、肝臓が健康を取り戻すまでの期間について詳しく解説します。 肝臓の健康を取り戻すための知識を身につけ、今からできる対策を始めましょう。 【結論】アルコール性肝炎は治る病気 アルコール性肝炎は、適切な治療と生活習慣の見直しにより回復が期待できる病気です。 とくに早期発見と適切な対策により、肝臓へのダメージを最小限に抑えられます。 しかし、進行すると回復が難しくなるため、早めの対応が重要です。 早期発見と適切な治療で回復は見込める 重症度によっては回復が難しい場合も 本章では、アルコール性肝炎の回復の可能性や治療法について詳しく解説します。 早期発見と適切な治療で回復は見込める アルコール性肝炎は、早期発見と適切な治療により回復が期待できる病気です。 肝臓には再生能力があり、飲酒を避けて健康的な生活を続けることで改善が見込めます。(文献1) まず禁酒が最優先です。アルコールを摂取し続けると炎症が進み、回復が遅れるだけでなく、肝硬変へ進行するリスクが高まります。 さらに、栄養療法や薬物療法により、肝機能の回復を促します。 早期発見のためには、定期的な健康診断で肝臓の数値をチェックしておくのもポイントです。 今まで自覚症状がなくても異変を感じたら、すぐに医療機関を受診し適切な対応をとりましょう。 アルコール性肝炎の初期症状については、以下の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。 重症度によっては回復が難しい場合も アルコール性肝炎は早期発見と適切な治療により回復が期待できますが、重症度によっては改善が難しい場合もあります。 とくに長年の飲酒で肝臓に深刻なダメージが蓄積すると、完全な回復は困難です。(文献2) たとえば、アルコール性肝硬変に進行すると、肝臓の線維化が進み、元の健康な状態への回復はほぼ不可能になります。 そのため、症状が軽いうちに適切な治療を受けるのが重要です。 「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は、ダメージを受けても自覚症状が出にくいため、日頃から健康管理を意識しましょう。 アルコール性肝炎における4つの治療法 アルコール性肝炎の治療には、主に以下の4つの方法があります。 断酒する 栄養療法で肝臓の回復を促す 薬物療法で症状を緩和する 再生医療を受ける それぞれの方法を組み合わせることで、より高い回復効果が期待できます。 断酒する アルコール性肝炎の最も効果的な治療法は、断酒です。(文献1) アルコールを摂取し続けると肝臓の炎症が進行し、回復が難しくなります。 そのため、完全に飲酒をやめることが肝臓を守る第一歩となります。 断酒による精神的ストレスや誘惑を乗り越えるためには、家族や友人の理解とサポートが重要です。 また、アルコール依存により断酒が難しい場合は、精神科や心療内科の専門医による治療も有効な選択肢となります。 適切なサポートを活用しながら、無理のない範囲で断酒を継続しましょう。 肝臓の数値に異常がある場合の原因や対策については、こちらの記事でも解説していますので、参考にしてください。 栄養療法で肝臓の回復を促す 肝臓の回復を助けるには、適切な栄養摂取が不可欠です。(文献1) とくにタンパク質やビタミンを十分に摂取すると、肝細胞の再生が促進されます。 具体的には、高タンパク質の食品(肉、魚、大豆製品など)や、ビタミン類を多く含む食材を積極的に取り入れると良いでしょう。 一方で、脂肪分の多い食事や糖分の過剰摂取は肝臓に負担をかけるため、なるべく控えることをおすすめします。 薬物療法で症状を緩和する アルコール性肝炎の症状が進行している場合、アルコール依存症と同様に薬物療法を行う場合があります。(文献3) アルコール依存症は、本人の意思ではどうすることもできないため、抗酒薬や抗不安薬などの薬物療法が用いられますが、同様に断酒を目的として治療が挙げられます。 ただし、薬物療法はあくまで精神的な症状の緩和や断酒を補助するためのものであり、根本的な治療にはなりません。 そのため、断酒を継続しつつ生活習慣の改善と並行して行っていくのが重要です。 再生医療を受ける 肝臓疾患に対する治療法には再生医療という選択肢もあります。 再生医療は、患者様自身から採取・培養した幹細胞を用いて治療を行う、副作用のリスクが少ない治療法です。 当院「リペアセルクリニック」では肝臓疾患に対して、再生医療による治療を行っています。再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 アルコール性肝障害の分類における位置付け アルコール性肝障害は以下の五つに分類され、そのうちの一つがアルコール性肝炎です。 アルコール性脂肪肝 アルコール性肝線維症 アルコール性肝硬変 アルコール性肝炎 アルコール性肝がん 慢性的に過剰飲酒を続けると、脂肪肝→肝線維症→肝硬変と順番に進行していく可能性があるため、注意が必要です。 なお、アルコール性肝炎ではこの慢性経過とは別に、酒量の増加などをきっかけにして肝臓に強い炎症が起こります。 背景の肝臓の組織が軽度の脂肪肝であっても進行した肝硬変であっても、肝細胞が変性や壊死を起こしていればアルコール性肝炎と考えられます。 つまり、もともとアルコールによる肝臓の障害がある方が、さらに過剰飲酒することで肝臓に強い炎症とダメージが起こってしまっているのがアルコール性肝炎なのです。 本章では、アルコール性肝障害の五つの分類についてそれぞれ解説します。 アルコール性脂肪肝 アルコールの摂取により、肝臓に脂肪が蓄積する初期段階の状態です。 この段階で飲酒をやめれば、比較的早い回復が見込めます。 アルコール性肝線維症 アルコール性脂肪肝が進行すると、肝細胞がダメージを受け、線維化が始まります。 この段階ではまだ回復の可能性がありますが、飲酒を続けると悪化する恐れがあります。 アルコール性肝硬変 長期間の飲酒により、肝臓が硬化し、機能が低下します。 この段階になると回復は困難で、合併症のリスクも高まります。 アルコール性肝炎 アルコールの影響で肝臓に炎症が生じる状態です。 重症になると命に関わる場合もあり、早急な治療が必要です。 アルコール性肝がん アルコールによるダメージを肝臓が受けている状況下に肝がんができており、他の原因が除外できている状態です。 肝臓の重要な働きと注意すべき病気については以下の記事でも解説しています。 気になる症状がある方は、ぜひご覧ください。 アルコール性肝炎の検査と診断 アルコール性肝炎を診断するには、複数の検査が行われます。 正確な診断を受けることで、適切な治療を選択し、回復へつながる可能性も高まります。 肝生検 肝生検は、肝臓の一部を採取し、組織を詳しく調べる検査です。 この方法により、炎症の進行度や線維化の程度を把握できます。 検査は局所麻酔を行い、細い針を肝臓に刺して組織を採取します。 検査後は数時間(検査自体は数分~20分程度、安静時間も含めて約4~6時間)の安静が必要ですが、肝臓の状態を詳しく知るために有効な方法です。 肝硬変などの進行具合を診断する際にも用いられます。 血液検査・画像検査 血液検査は、肝臓の状態を把握する基本的な検査です。 とくにAST(GOT)やALT(GPT)などの肝酵素の数値を調べることで、炎症の有無を確認できます。 また、超音波検査やCTスキャン、MRIなどの画像検査も活用されます。 これらの検査では、肝臓の形状や脂肪の蓄積、線維化の進行具合を視覚的に確認できます。 血液検査との組み合わせによって、より正確な診断が可能になります。 まとめ|アルコール性肝炎は節酒や断酒で回復を目指そう 本記事では、アルコール性肝炎の回復の可能性や治療法について解説しました。 アルコール性肝炎になっても、断酒や栄養管理、薬物療法によって、肝臓の機能は改善し、健康を取り戻せる可能性があります。 ただし、早期発見と対策が重要なため、生活習慣を見直し、必要に応じて医師の診察を受けましょう。 適切な対応を続けることで、肝臓への負担を軽減し、病状の悪化を防げます。 また、当院「リペアセルクリニック」では肝臓(脂肪肝・肝硬変・肝炎)の再生医療・幹細胞治療を提供しています。 肝機能の治療に不安がある方は、まずはお気軽にご相談ください。 アルコール性肝炎の治療についてよくある質問 アルコール性肝炎の治療についてよくある質問肝臓は禁酒すると回復しますか? 肝臓は回復力の高い臓器であり、禁酒することでダメージが改善する可能性があります。 とくに初期段階であれば、断酒によって肝細胞が再生し、健康な状態に戻ることが期待できます。 しかし、肝硬変など病状が進行すると、完全な回復は難しくなります。 そのため、肝臓のダメージが深刻化する前に、禁酒を徹底する意識が大切です。 アルコール性肝炎が回復するまでの期間は? 回復期間には個人差がありますが、軽度のアルコール性肝炎であれば、数週間から数カ月で改善が期待できます。 一方、重度の肝障害がある場合は、回復に数年かかるケースもあります。 断酒を継続し、適切な治療を受けることが回復の鍵となるため、医師と相談しながら自分に合った治療計画を立てましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では肝硬変・肝炎に対し手術を伴わない「再生医療」を提案しています。 治療に不安がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 竹井謙之,アルコール健康医学協会「アルコール性肝障害の最新トピックス」 https://www.arukenkyo.or.jp/information/pdf/kirokusyu/09/04.pdf(最終アクセス:2025年3月26日) (文献2) 全国健康保険協会「アルコール性肝障害 (Alcoholic Liver Disease:ALD)」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/2016120600012kannshougai.pdf(最終アクセス:2025年3月26日) (文献3) 山田隆子,秋元典子.「アルコール性肝障害入院患者が断酒を決意し断酒を継続するプロセス」『日本看護研究学会雑誌』 Vol. 35 No. 5.pp.25-34,2012https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsnr/35/5/35_20121030003/_pdf(最終アクセス:2025年3月26日)
2024.07.09 -
- 幹細胞治療
- 脊椎
- 肝疾患
- 内科疾患
- 脊椎、その他疾患
- 再生治療
脊髄梗塞は稀な疾患で原因が不明なものも多く、現在でも明確な治療方針が定められてはいません。 そのため「脊髄梗塞が治るのか」不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 本記事では、脊髄梗塞の回復見込みや治療法について詳しく解説します。 従来の治療では有効な治療法が確立されていないため、リハビリテーションによって症状の改善を目指すことがほとんどです。 しかし、近年の治療では先端医療である再生医療が新たな選択肢として注目されています。 \脊髄梗塞の改善が期待できる再生医療とは/ 再生医療は、損傷した神経に対してアプローチできる治療法で、今まで根治が困難だった脊髄梗塞の改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脊髄梗塞の根治を目指せる治療法を探している 脊髄梗塞による痛みやしびれを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない 当院リペアセルクリニックの「脊髄腔内ダイレクト注射療法」は、従来の点滴では届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける治療法で、神経損傷による痛みやしびれに対しても高い治療効果が期待されます。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは脊髄梗塞の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 以下の動画では、実際に再生医療を受け、脊髄梗塞に悩まれていた患者様の事例を紹介しています。 https://youtu.be/hNXMlNYRAkI?si=xeOHGpwaSNk1X6Nx 【予備知識】脊髄梗塞の発生率・好発年齢・性差情報 ある研究においては、年齢や性差を調整した脊髄梗塞の発生率は年間10万人中3.1人と報告されています。 脳卒中などの脳血管疾患と比較し、脊髄梗塞の患者数はとても少ないです。 また、脊髄梗塞の患者さんのデータを集めた研究では、平均年齢は64歳で6割以上は男性だったと報告されています。 参考:A case of spinal cord infarction which was difficult to diagnose しかし、若年者の発症例もあり、若年者の非外傷性脊髄梗塞の発生には遺伝子変異が関係していると示唆されています。 脊髄梗塞は治るのか? 結論、脊髄梗塞を完全に治すことは困難です。 しかし、近年の治療では脊髄梗塞の根治を目指せる再生医療が注目されています。 現在のガイドラインにおいて完治までの有効な治療法は確立されておらず、リハビリテーションによって症状の緩和と日常生活への復帰を目指すことが中心です。 再生医療は損傷した神経に対してアプローチできる治療法で、今まで根治が困難だった脊髄梗塞の改善が期待できます。 「再生医療について詳しく知りたい」という方は、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは脊髄梗塞の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 脊髄梗塞の後遺症について 脊髄梗塞の発症直後には急激な背部痛を生じることが多く、その後の後遺症として四肢の運動障害(麻痺や筋力低下など)や感覚障害(主に温痛覚低下)、膀胱直腸障害(尿失禁・残尿・便秘・便失禁など)がみられます。 四肢の運動障害(麻痺や筋力低下など) 感覚障害(主に温痛覚低下) 膀胱直腸障害(尿失禁や残尿、便秘、便失禁など) これらの症状に関しては入院治療やリハビリテーションの施行で改善することもありますが、麻痺などは後遺症として残ることもあります。 歩行障害の予後に関して、115人の脊髄梗塞患者の長期予後を調査した研究報告では、全患者のうち80.9%は退院時に車椅子を必要としていましたが、半年以内の中間調査で51%、半年以降の長期調査では35.2%と車椅子利用者の減少がみられました。 出典:Recovery after spinal cord infarcts Long-term outcome in 115 patients|PubMed 同じ研究における排尿カテーテル留置(膀胱にチューブを挿入して排尿をさせる方法)の予後報告ですが、退院時には79.8%だったのが中間調査では58.6%、長期調査では45.1%へと減少がみられました。 症状が重度である場合の予後はあまり良くありません。 しかし、発症してから早い時期(1〜2日以内)に関しては症状が改善する傾向にあり、予後が比較的良好とされています。 【原因別】脊髄梗塞の治療方法 原因 治療方法 大動脈解離 手術 / 脳脊髄液ドレナージ(1) / ステロイド投与 / ナロキソン投与(2) 結節性多発大動脈炎 ステロイド投与 外傷 手術 動脈硬化・血栓 抗凝固薬 / 抗血小板薬(3) 医原性(手術の合併症) 脳脊髄液ドレナージ / ステロイド投与 / ナロキソン投与 (1)背中から脊髄腔へチューブを挿入し脊髄液を排出する方法 (2)脊髄の血流改善を認める麻酔拮抗薬 (3)血を固まりにくくする薬剤 比較的稀な病気である脊髄梗塞は、いまだに明確な治療法は確立されていません。 脊髄梗塞の発生した原因が明らかな場合にはその治療を行うことから始めます。 たとえ例えば、大動脈解離や結節性多発動脈炎など、脊髄へと血液を運ぶ大血管から中血管の病態に起因して脊髄の梗塞が生じた場合にはその、原因に対する治療がメインとなります。 一方で、原因となる病態がない場合には、リハビリテーションで症状の改善を目指します。 脊髄梗塞に対するリハビリテーション 脊髄梗塞で神経が大きなダメージを受けてしまうと、その神経を完全に元に戻す根本的治療を行うのは難しいため一般的には支持療法が中心となります。 支持療法は根本的な治療ではなく、症状や病状の緩和と日常生活の改善を目的としたものでリハビリテーションも含まれます。 リハビリテーションとは、一人ひとりの状態に合わせて運動療法や物理療法、補助装具などを用いながら身体機能を回復させ、日常生活における自立や介助の軽減、さらには自分らしい生活を目指すことです。 リハビリテーションは病院やリハビリテーション専門の施設で行うほか、専門家に訪問してもらい自宅で行えるものもあります。 リハビリテーションの流れ ①何ができて何ができないのかを評価 ②作業療法士による日常生活動作練習や、理学療法士による筋力トレーニング・歩行練習などを状態に合わせて行う 日常生活において必要な動作が行えるよう訓練メニューを考案・提供します。 脊髄梗塞発症後にベッド上あるいは車椅子移動だった患者さん7人に対して検討を行った結果、5人がリハビリテーションで自立歩行が可能(歩行器や杖使用も含まれます)となった報告もあります。 時間はかかりますし、病気以前の状態まで完全に戻すのは難しいかもしれません。しかし、リハビリテーションは機能改善に有効であり、脊髄梗塞の予後を決定する因子としても重要です。 再生医療が脊髄梗塞に有用! https://www.youtube.com/watch?v=D-THAJzcRPE 確立された治療法がない脊髄梗塞に対して、損傷した神経にアプローチし根治を目指す再生医療が注目されています。 再生医療では、患者様自身の細胞や血液を用いて損傷した神経の再生・修復を促し、従来の治療では難しかった脊髄梗塞の改善が期待できます。 当院リペアセルクリニックで行なっている再生医療「自己脂肪由来幹細胞治療」では、患者様から採取した幹細胞を培養して増殖し、その後身体に戻す治療法となっています。 \リペアセルクリニックの再生医療をご検討ください/ 【こんな方は再生医療をご検討ください】 脊髄梗塞の根治を目指せる治療法を探している 脊髄梗塞による痛みやしびれを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない また、当院リペアセルクリニックの「脊髄腔内ダイレクト注射療法」は、従来の点滴では届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける治療法で、神経損傷による痛みやしびれに対しても高い治療効果が期待されます。 具体的な治療法については、当院(リペアセルクリニック)で無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 ▼まずは脊髄梗塞の治療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる 脊髄梗塞に関するQ &A この項目では、脊髄梗塞に関するQ &Aを紹介します。 多くの方が抱えているお悩み(質問)に対して、医者の目線から簡潔に回答しているのでご確認ください。 脊髄梗塞の主な原因は? 脊髄梗塞の主な原因は以下のとおりです。 脊髄動脈の疾患 栄養を送る血管の損傷 詳細な原因については以下の関連記事で紹介しているのでぜひご確認いただき、症状改善の一助として活用ください。 脊髄梗塞の診断は時間を要する? そもそも脊髄梗塞は明確な診断基準がありません。 発症率が低い脊髄梗塞は最初から強く疑われず、急速な神経脱落症状(四肢のしびれや運動障害、感覚障害など)に加えてMRIでの病巣確認、さらに他の疾患を除外してからの診断が多いです。 また、MRIを施行しても初回の検査ではまだ変化がみられず、複数回の検査でようやく診断に至った症例が少なくありません。 ある病院の報告では、発症から診断に要した日数の中央値は10日となっており、最短で1日、最長で85日となっていました。 まとめ|脊髄梗塞は治るのか?症状改善には再生医療による治療を検討しよう 脊髄梗塞に対する従来の治療では有効な治療法が確立されていないため、リハビリテーションによって症状の改善を目指すことがほとんどです。 しかし、確立された治療法がない脊髄梗塞に対して、損傷した神経にアプローチし、根治を目指す再生医療が注目されています。 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて人間の持つ自然治癒力を向上させることで、脊髄梗塞や後遺症の改善が期待できる可能性がある治療法です。 \こんな方は再生医療をご検討ください/ 脊髄梗塞の根治を目指せる治療法を探している 脊髄梗塞による痛みやしびれを早く治したい 現在受けている治療で期待した効果が得られていない また、当院リペアセルクリニックでは、従来の点滴で届きにくかった損傷部位へ幹細胞を直接届ける「脊髄腔内ダイレクト注射療法」によって、神経損傷による痛みやしびれに対しても高い治療効果が期待されます。 「具体的な治療法を知りたい」「脊髄梗塞が治るか不安」という方は、ぜひ当院リペアセルクリニックにご相談ください。 ▼脊髄梗塞に対する再生医療について無料相談! >>(こちらをクリックして)今すぐ電話してみる ▼こちらも併せてお読みください。
2024.07.02







