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肝硬変の症状や原因を徹底解説!沈黙の臓器の初期サインとは

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肝硬変の症状や原因を徹底解説!沈黙の臓器の初期サインとは 

肝硬変とは、肝臓に線維組織が増え、硬くなってしまった状態を指します。慢性的な炎症により肝細胞が傷つき修復を繰り返す過程で線維組織が増加することで起こります。

長期に持続的に肝臓にダメージを与える病態があると肝硬変に進行します。その原因はウイルスやアルコール、肥満やメタボリックシドロームなど多岐にわたります。

肝臓は「沈黙の臓器」であり、肝硬変初期までは自覚症状はほとんどありません。

しかし、肝硬変が進行すると、倦怠感・黄疸やむくみ様々な症状が認められます。正常な肝臓が行ってきたタンパク質の合成や不用物・有害物質の代謝・排出ができなくなるために起こるのです。

この記事では以下の内容をご紹介します。

  • ・肝硬変の原因
  • ・肝硬変の診断につながる検査
  • ・肝硬変の初期症状や進行症状
  • ・肝硬変の予防方法

肝硬変について詳しく知りたい方は、ぜひご参考にされてください。

肝硬変の症状・原因

▼肝硬変の治療法については以下で詳しく解説しています。

 

肝硬変の主な原因

従来、肝硬変の最大の原因はウイルス性、特にC型肝炎ウイルスの感染によるものでした。現在でも肝硬変の最大の原因はC型肝炎です。しかし、その割合は徐々に低下してきています。

一方で脂肪性肝炎からの肝硬変は増加傾向です。肝臓に脂肪が貯まる「脂肪肝」が進行すると炎症細胞が集まり、炎症を起こします。これが脂肪性肝炎です。脂肪性肝炎には2つの原因があります。一つは長期・過量のアルコール摂取がかかわる「アルコール性肝炎」です。もう一つはアルコール以外が主な原因の「非アルコール性脂肪性肝」炎です。その他にも自己免疫性肝炎、原発性胆汁性胆管炎などがあります。

このように、肝硬変の原因はさまざまです。以下で詳しく解説していきます。

ウイルス性肝炎

  • B型慢性肝炎

    B型肝炎ウイルスは出生時に母子感染を起こすことで、9割以上が持続感染となります。持続感染をした場合は一部の患者さんは慢性肝炎に移行し、そこから肝硬変や肝細胞がんが起こる可能性があります。

    近年は治療によりウイルス量を減らし、肝炎を沈静化することができるようになっています。

    また、B型肝炎ウイルスを持つ母親から出生した乳児にB型肝炎に対する抗体やワクチンを投与することで母子感染を防ぐ取り組みが行われています。これにより、B型肝炎の母子感染は減少しています。

    なお、B型肝炎ウイルスは成人期に性交渉などで感染することもあります。この場合は急性肝炎を起こしますが、多くの方は持続感染に移行することなく治癒します。

  • C型慢性肝炎

    C型肝炎ウイルスは血液を介して感染します。注射器を使い回したり、汚染された器具を使用して入れ墨を掘ったりピアスを開けたりすることなどが感染経路です。母子感染や性行為による感染もありますがB型肝炎ほど多くはありません。

    C型肝炎ウイルスに感染すると、7割の方は慢性肝炎となります。慢性肝炎の自覚症状はほとんどありませんが、放置すると肝硬変へと進展していきます。

    かつてC型肝炎治療はインターフェロンという注射によるものでした。しかし、インターフェロン治療は副作用が強く、また治療しても効果がない患者さんもいました。

    しかし、その後様々な治療法が開発され、現在95%を超える患者さんがウイルスを体内から排除することができるようになったのです。

    そのため、C型肝炎による肝硬変の患者さんは今後も減少していくでしょう。 

脂肪性肝炎

  • アルコール性肝炎

    一般的に、純アルコール量で60g以上を毎日飲み続けるとアルコール性肝障害をもたらすと言われています。

    しかし、代謝には個人差があるので、人によってはこれより少ない量でもアルコール性の脂肪肝をきたすかもしれません。

    特に女性やアルコールに弱い体質の方はこの3分の2程度の飲酒量でもアルコール性肝障害となりうると言われています。

    純アルコール量(g)は、

    摂取量(mL)×アルコール濃度(度数%÷100)×0.8(アルコールの比重)

    上記の式で求めることができます。

    たとえば、日本酒(アルコール度数15%)1合180mLの純アルコール量は180×15 ÷100×0.8=21.6gとなります。

    つまり2〜3合の日本酒を毎日飲むと、アルコール性肝障害になる可能性が高くなるのです。

  • 非アルコール性脂肪性肝炎

    過剰な飲酒以外では、肥満・メタボリックシンドロームなども脂肪肝の原因です。最近ではこのようなアルコールと関連のない肝炎が注目されています。

    アルコール多飲と関連しない脂肪肝を非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:ナッフルディーあるいはナッフルド)と呼びます。

    一部のNAFLDの患者さんは非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:ナッシュ)に分類されます。NASHでは脂肪が沈着するとともに肝臓に炎症が起こるのです。NASHは放置すると肝硬変に至り、肝がんを発症することがあります。

自己免疫疾患

 

肝硬変の診断に必要な3つの検査

肝硬変の診断には以下のような検査を行います。

  • ①肝生検

  • 肝硬変の診断の王道は「肝生検」です。肝臓に細い針を刺して組織を採取し、線維化が進んでいるかを判断します。しかし、肝生検は出血などのリスクがあり、肝硬変が疑われる患者さん全員に行える検査ではありません。
  • 多くの場合、肝硬変の診断は様々な血液検査や画像検査を組み合わせて行います。
  • ②血液検査

  • 血液検査では、肝臓が合成するアルブミンや、肝臓から排出されるビリルビンなどが肝臓の機能を反映していると考えられています。
  • また、肝臓の硬さの指標として用いられるのがFib4-indexです。Fib4-indexはAST,ALT,血小板, 年齢から算出される数字です。
  • ③画像検査

  • 腹部エコー検査やMRIなども参考になります。超音波装置を利用した肝硬度測定であるフィブロスキャンは痛みなく短時間で肝臓の硬さを測定することができる検査です。

これらの検査を総合的に判定し、肝硬変に進行しているかを判断します。それでも診断がはっきりしない場合は肝生検が考慮されるのです。

肝硬変が起こる前に出る初期サイン

  • 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。それは、肝硬変が起こる前や肝硬変になったばかりの頃はほとんど症状がないからです。そのため分かりやすく初期症状を感じることはほぼありません。
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  • しかし、肝硬変が起こる前の初期サインとして、血液検査での肝障害の指摘をされることがあります。症状がない頃から、AST,ALTなどの肝障害を示す数値が上昇していることが多くあります。
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  • 体調に変化がなくても、検査の異常が高度であったり長期に持続したりする場合は、肝硬変の原因になるものがないか専門の肝臓内科で精査を受けましょう。

肝硬変が進むと出る症状

肝硬変がある程度進行して様々な自覚症状が出てしまった状態を「非代償性肝硬変」と言います。倦怠感や易疲労感、食欲不振などと共に、肝臓が正しく機能できていないことによる種々の症状が現れます。

エストロゲン(女性ホルモン)の分解ができなくなるため、次のような症状が起こります。

  • ・手掌紅斑
    手のひら(とくに指の付け根や親指・小指側)が赤くなる

  • ・クモ状血管腫
    蜘蛛が足を広げたような血管の集まりで上半身に多くできる

  • ・女性化乳房
    男性でも女性の様に乳房が大きくなります

また、タンパク質の一種、アルブミンの合成障害が起こります。アルブミンは血管内に水を保持する働きがあるため、低アルブミン血症になると血管外に水が漏れ出します。その結果、起こるのが次の様な症状です。

  • ・浮腫
    足が浮腫む

  • ・腹水
    お腹に水がたまり腹部が張ったような感じがする

肝硬変ではビリルビンという物質の処理も難しくなります。寿命を終えた赤血球から生じるビリルビンは肝臓に運ばれ、胆汁という消化液を介して排出されます。肝硬変になると、処理しきれないビリルビンが血中に大量に残ります。その結果、次の様な症状が起こります。

  • ・黄疸
    全身の皮膚や白目が黄色くなる、尿の色が濃くなる

  • ・皮膚の痒み
    皮膚に沈着したビリルビンは強い痒みを引き起こします

また、出血傾向が起こるのも肝硬変の特徴です。代償的に血流が増えた脾臓により血小板が多く破壊されることや、出血を止める凝固親子の合成が低下するのがその理由です。鼻血が出やすくなったり、歯磨きをしている時に歯茎から血が出てきたりということが起こります。

肝硬変の方は、「こむら返り」(足がつること)も起こりやすいです。こむら返りは就寝中などに起こりやすく、睡眠障害にも関わります。原因として、脱水・電解質異常・糖やアミノ酸の代謝異常などが考えられています。

肝硬変の予防方法

肝硬変の予防は、原因を除去・改善することです。

原因を突き止め、対処することで、肝硬変への進展を予防することができます。

B型肝炎・C型肝炎は治療の進歩により、ウイルスを沈静化させる・体外へ排出するなどの治療が可能になりました。そのため、検査したことがない方はまずはウイルス感染の有無を検査で確認をすることをおすすめします。

節度を守って飲酒をすることも重要です。厚生労働省は、生活習慣病のリスクを高める純アルコール量を男性40g以上、女性20g以上と定義しています。(健康日本21(第三次)より)

肝臓病のみならず、様々な病気を防ぐ意味でも、飲酒量を適切にすることが大切です。

肥満や高血圧・脂質異常・高血糖などの改善も、肝硬変の予防に重要です。食事を見直し、カロリーや塩分などを摂りすぎていないかチェックしましょう。

  • ・ウイルス感染の有無を検査
  • ・適度な飲酒量
  • ・肥満や高血圧・脂質異常・高血糖などの改善
  • ・食生活の見直し

「肝障害がある」と言われたら、まずは原因を探しましょう。そして解決のためにできることに取り組むことが大切です。

まとめ・肝硬変で症状が出るころには進行の危険!

今回は肝硬変の原因や症状、診断につながる検査や予防法について詳しく解説しました。

  • ・肝硬変の原因
  • ・肝硬変の診断につながる検査
  • ・肝硬変の初期症状や進行症状
  • ・肝硬変の予防方法

肝硬変の原因は肝炎ウイルス・アルコール・肥満など多岐にわたります。特に、ウイルスによるものが減少している反面、生活習慣が大きな影響を及ぼしていることが注目されています。

沈黙の臓器である肝臓は、症状が出るころには既に肝硬変が進行してしまっていることが多いです。

進行した肝硬変では、特徴的な皮膚症状・黄疸・浮腫や腹水などを起こします。また出血をしやすくなったり、こむら返りが起こりやすくなったりもします。

肝臓を守るために大切なことは、初期サインである肝臓の検査異常に早期に対応し、肝硬変の症状が起こる前に原因への対処をすることです。健康診断などでご自身の「肝障害」がないかをしっかりと確かめ、必要であれば早期の専門科受診を心がけましょう。

 

No.11
監修:医師 渡久地 政尚

参考文献

 

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