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肩に痛みや動かしにくさを感じ、日常生活に支障が出ていませんか? 夜、痛みで目が覚めてしまう、腕を上げる動作で鋭い痛みが走る、といった症状はありませんか? このような症状がある場合、肩腱板断裂が疑われます。治療が遅れると、症状が重症化し、日常生活に支障をきたす可能性があります。 この記事では、肩腱板断裂の症状や原因、検査方法、治療法、リハビリテーション、再発予防などについて解説します。 具体的な症状例や治療法を知ることで、不安を解消し、適切な治療への第一歩を踏み出しましょう。 肩腱板断裂の症状4選 肩に痛みや動かしにくさを感じると、日常生活にも支障が出てきますよね。肩を使うたびに「ズキン」と痛みが走ったり、夜中の激しい痛みで眠れない日が続いたら、とても不安になりますよね。肩腱板断裂は、まさにそのような肩の痛みや動かしにくさといった症状を引き起こす代表的な疾患の一つです。 実は、肩の痛みを我慢して生活を続けていると、症状が悪化したり、他の病気を併発する可能性も出てきます。例えば、痛みが慢性化して常に肩に重だるさを感じたり、放置すると腕の動きが制限され、家事や仕事など日々の生活動作に大きな影響が出てしまうことがあります。 肩の痛み(運動時痛、夜間痛など) 肩腱板断裂による肩の痛みは、安静時だけでなく、腕を特定の角度に動かしたときにも強く感じることがあります。例えば、洗濯物を干そうとして腕を上げ下げする動作や、後ろに手を回してエプロンの紐を結ぶ動作などで、電気が走るような鋭い痛みが強くなることがあります。 また、夜間、特に患側を下にして寝ていると、肩の痛みが増強して目が覚めてしまい、睡眠の質が低下することもあります。これは、就寝時に肩への負担がかかりやすいためです。まるで肩の中に針が刺さっているかのような痛みで、安眠を妨げられることもあります。 このような痛みは、炎症が起きている証拠です。炎症は、体を守るための反応ですが、放置すると痛みが慢性化したり、肩の動きが悪くなったりする可能性があります。 痛みの種類 説明 具体的な例 運動時痛 腕を動かしたときに痛みを感じることです。特に、特に腕を肩の位置より高く持ち上げようとすると、鋭い痛みが生じることがあります。 例えば、電車のつり革につかまる時や、高いところにある物を取ろうとする時などに痛みを感じます。 夜間痛 寝ている最中に肩の痛みが強くなります。肩に負担がかかる寝姿勢をとると、痛みが増強することがあります。 特に、患側を下にして横向きに寝ていると、肩が圧迫されて痛みが増すことがあります。 安静時痛 じっとしていても痛みを感じることです。炎症が強い場合や、断裂の程度が大きい場合に起こりやすいです。 何もしていなくても、肩に鈍い痛みやズキズキとした痛みを感じることがあります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 肩の動かしにくさ(可動域制限) 健康な肩は、前後左右、あらゆる方向にスムーズに動かすことができます。しかし、肩腱板が断裂してしまうと、これまで当たり前にできていた肩の動きが制限され、日常生活に支障をきたすことがあります。腕を上げにくくなったり、後ろに回せなくなったり、シャツを着る、シャンプーをするなど、日常的な動作で痛みを感じることがあります。これは、腱板が断裂することで肩関節の安定性が低下し、スムーズな動きが阻害されるためです。 動作 説明 具体的な例 腕を上げる 肩より上に腕を上げることが難しくなります。痛みを伴う場合もあります。 例えば、電車のつり革につかまるのが困難になったり、高い棚のものが取れなくなったりします。 腕を回す 腕を内側や外側に回す動作が制限されます。特に、外旋(外側に回す)動作が困難になることが多いです。 例えば、洋服のファスナーを上げる際の背中への動作や、後ろポケットに財布を入れる動作が難しくなります。 後ろに手を回す 背中側に手を回す動作が難しくなります。着替えや洗髪などの動作に支障が出ることがあります。 シャツのボタンを後ろで留める、ブラジャーのホックを後ろで留めるといった動作が困難になります。 肩の動かしにくさは、断裂の程度によって大きく異なります。軽度の断裂であれば、特定の動作で少し動かしにくいと感じる程度ですが、重度の断裂になると、腕を全く動かせなくなることもあります。 筋力低下、脱力感 肩腱板断裂は、肩の筋肉の力にも影響を及ぼします。腱板が断裂することで、肩の筋肉が弱くなり、腕に力が入らない、または脱力感を感じるといった症状が現れることがあります。これは、腱板が断裂することで肩関節の安定性が損なわれ、周囲の筋肉が正常に機能しにくくなるためです。 例えば、以前は楽に持ていた重たい買い物袋が持てなくなったり、腕を長時間上げていることができなくなったりします。このような筋力低下は、日常生活の様々な場面で支障をきたす可能性があります。 症状 説明 具体的な例 筋力低下 肩の筋肉が弱くなり、力が入りにくくなります。 ペットボトルの蓋を開けるのが難しくなったり、重い鍋を持てなくなったりします。 脱力感 腕に力が入らず、だるく感じる、または力が入らない感覚があります。 腕が重く感じ、長時間持ち上げているのが辛くなります。まるで腕に鉛の塊が付いているような感覚です。 日常生活への影響 物を持ち上げることが難しくなったり、腕を高く上げた状態を保つことができず、徐々に腕が下がってしまいます。 洗髪や更衣といった日常生活動作にも支障が出てきます。 音(クリック音、ゴリゴリ音など) 肩を動かしたときに、クリック音やゴリゴリといった音が鳴ることがあります。これは、断裂した腱板が骨と擦れ合うことで発生する音です。まるで関節の中で何かが引っかかったり、擦れたりするような感覚です。これらの音は必ずしも肩腱板断裂を示すものではありませんが、他の症状と合わせて診断の参考になります。 肩腱板断裂の原因 肩腱板断裂の原因として、加齢による腱の老化や、スポーツや仕事での肩の使いすぎなどが挙げられます。 スポーツ選手のような激しい運動だけでなく、日常生活での繰り返しの動作や、転倒・衝突などの一度の強い外力によっても発症する可能性があります。回旋腱板関連肩痛には様々な疾患が含まれており、確定診断が難しく、症状の原因や最適な治療法も未だ研究段階であるとされています。そのため、自己判断せずに医療機関を受診し、専門家の診断を受けることが大切です。 肩腱板断裂の検査と治療法 肩の痛みや動かしにくさ、もしかしたら腱板断裂かも…と心配になりますよね。でも、自己判断は禁物です。まずは医療機関を受診して、適切な検査と診断を受けることが大切です。 この章では、肩腱板断裂の検査方法と様々な治療法について、現役医師がわかりやすく解説します。具体的な検査方法や治療の選択肢を知ることで、不安を軽減し、治療への第一歩を踏み出せるはずです。 診断方法(MRI検査、レントゲン検査、超音波検査など) 肩腱板断裂の診断は、問診、視診・触診、そして画像検査を組み合わせて行います。問診では、いつから痛み始めたのか、どんな時に痛みが増すのか、日常生活でどのような動作が困難になっているのかなど、詳しくお話を伺います。 視診・触診では、肩の腫れや変形、圧痛の有無などを確認します。また、腕を様々な方向に動かしてもらい、肩関節の可動域や筋力、痛みやしびれの有無などをチェックします。 これらの情報に加えて、画像検査を行うことで、より正確な診断が可能になります。代表的な画像検査は以下の3つです。 レントゲン検査: 骨の状態を調べます。肩腱板は筋肉と骨をつなぐ腱なので、レントゲン写真には写りません。しかし、骨棘(こつきょく:骨の突起)といった腱板断裂に合併する症状や、他の骨の異常がないかを確認するために有用です。 超音波検査(エコー): 超音波を使って腱板の状態をリアルタイムで観察します。手軽に検査でき、腱板の断裂の有無や大きさ、炎症の程度などを評価できます。 MRI検査: 磁気と電波を使って、肩関節の断面画像を撮影します。腱板の状態を最も詳細に確認できる検査で、断裂の大きさや場所、周りの組織の状態などを正確に把握できます。レントゲンや超音波検査ではわからない小さな断裂や、断裂の周りの筋肉の状態まで詳しく知ることができます。 これらの検査結果は、診断の参考となります。場合によっては、他の病気との鑑別が必要になることもあります。 保存療法(投薬、リハビリテーション、注射など) 肩腱板断裂の治療は、断裂の大きさや症状、患者さんの年齢や生活スタイル、仕事内容などを考慮して決定します。保存療法は、手術をせずに痛みや炎症を抑え、肩関節の機能を回復させることを目的とした治療法です。 保存療法には、主に以下のような方法があります。 投薬: 痛みや炎症を抑える薬を内服します。よく使われるのは、痛み止めや炎症を抑える薬(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)です。胃腸障害などの副作用に注意しながら使用します。 リハビリテーション: 固まってしまった肩関節の動きを改善し、弱くなった筋力を強化するための運動療法を行います。 関節内注射: 肩関節内にヒアルロン酸やステロイドなどを注射することで、痛みや炎症を軽減します。ヒアルロン酸は関節の動きを滑らかにする潤滑油のような役割を果たし、炎症を強力に抑制する薬剤として、ステロイドは高い効果を発揮します。 保存療法は、比較的軽症の肩腱板断裂や、手術のリスクが高い場合、手術を希望されない場合などに選択されます。変性性腱板断裂の場合、保存療法(適切なリハビリテーションを含む)が重要な役割を果たします。 手術療法(関節鏡手術) 保存療法で効果が得られない場合や、断裂の程度が大きい場合、スポーツ選手や肉体労働者など肩を良く使う職業の方の場合には、手術療法が検討されます。手術療法は、傷ついた腱板組織を修復し、肩の機能を回復させることを目指す治療法です。 関節鏡手術: 内視鏡を用いて行う手術です。皮膚に小さな穴を数カ所開け、そこからカメラや手術器具を挿入します。モニターを見ながら手術を行うため、傷が小さく、体への負担が少ないというメリットがあります。ただし、外科的治療には、術後感染や神経障害など、様々な合併症が起こる可能性があります。 ▼肩腱板断裂の手術と入院期間について、併せてお読みください。 ただし、腱板が元の正常な組織に戻るわけではありません。手術では、あくまで腱の切れた部分を縫い合わせるだけとなります。 根本的に腱板を治すには、幹細胞による再生医療しかありません。 再生医療 近年、再生医療が注目されています。再生医療とは、損傷した組織を再生させることを目的とした治療法です。 肩腱板断裂の再生医療としては、主に幹細胞治療とPRP治療があります。 幹細胞治療: 患者さん自身の脂肪組織から採取した幹細胞を培養し、肩関節内に注射する治療法です。幹細胞は、損傷した組織の再生を促す可能性があります。 PRP治療: 患者さん自身の血液から血小板を多く含む血漿(PRP)を抽出し、肩関節内に注射する治療法です。PRPには、組織の修復を促進する成長因子が含まれており、炎症を抑えます。PRPはステロイド注射と同じく、腱板を再生させることはできず、炎症を抑えるのみとなります。 肩腱板断裂の症状がなかなか改善しない時の選択肢として、今、注目の再生医療があります。 https://youtu.be/bKupVfsXpHM?si=8fl4fHXhfIRbAIIf リペアセルクリニックでは、再生医療分野で豊富な経験を持つ専門医たちが、10,000症例の実績に基づく確かな技術と独自の培養方法で、患者様一人一人に最適な治療プランをご提案いたします。 国内で唯一の最新の『分化誘導技術』を用い、当院は『新時代の再生医療』による治療を提供します。 そんな再生医療に興味のある方は、こちらから当院独自の再生医療の特徴を紹介しています。 https://youtu.be/cweMZTxZFg8?si=Mfmrhepxa0Djl4dZ https://youtu.be/CFNAS_lUZKM?si=BuT0vHaajqoO-8NN 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Schmidt CC, Jarrett CD, Brown BT. "Management of rotator cuff tears." The Journal of hand surgery 40, no. 2 (2015): 399-408. Narvani AA, Imam MA, Godenèche A, Calvo E, Corbett S, Wallace AL, Itoi E. "Degenerative rotator cuff tear, repair or not repair? A review of current evidence." Annals of the Royal College of Surgeons of England 102, no. 4 (2020): 248-255. Ryösä A, Laimi K, Äärimaa V, Lehtimäki K, Kukkonen J, Saltychev M. "Surgery or conservative treatment for rotator cuff tear: a meta-analysis." Disability and rehabilitation 39, no. 14 (2017): 1357-1363. 回旋腱板関連肩痛:評価、管理、そして不確定要素
2025.02.15 -
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子供の頃の水ぼうそう、覚えていますか?実は、あの時のウイルスが潜伏し、再び牙を剥くことがあるのです。それが「帯状疱疹」。50歳以上の方、免疫力が低下している方は特に注意が必要です。 放置すると、帯状疱疹後神経痛といった後遺症に悩まされることも。 この記事では、帯状疱疹の初期症状から合併症、治療法、ワクチン接種まで、徹底的に解説します。あなたの健康を守るための知識を、今ここで手に入れてください。 帯状疱疹の症状と合併症 帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化によって引き起こされる病気です。子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが神経節に潜伏し、加齢やストレス、免疫力の低下などをきっかけに再び活動を始めることで発症します。体の片側に現れるピリピリとした痛みと、特徴的な赤い発疹を伴う病気で、体のどこにでも発症する可能性があります。 帯状疱疹の症状を理解することは、早期発見・早期治療につながり、後遺症のリスクを減らすことにもつながります。 帯状疱疹の初期症状:ピリピリとした痛みやかゆみ 帯状疱疹の初期症状で一番多いのは、皮膚のピリピリとした痛みやかゆみです。まるで虫が這っているような、針で刺されたような、ヒリヒリするような感覚など、様々です。時には何も触れていないのに、服が擦れるだけでも痛いと感じることもあります。この痛みやかゆみは、再活性化した帯状疱疹ウイルスが神経に沿って広がることで起こります。ほとんどの場合、片方だけに現れ、左右対称になることはありません。 初期症状は風邪とよく似ていて、発熱や頭痛、倦怠感などを伴うこともあります。そのため、風邪と間違えてしまい、適切な治療が遅れてしまうケースも見られます。 帯状疱疹の特徴的な赤い発疹と水ぶくれ 初期症状の後、数日たつと、赤い発疹が現れます。この発疹は、帯状疱疹の最も特徴的な症状の一つです。赤い発疹は次第に水ぶくれへと変化し、最終的にはかさぶたになって治っていきます。水ぶくれの中にはウイルスが含まれており、破れるとウイルスが拡散し、他の人に水ぼうそうをうつしてしまう可能性があります。ただし、帯状疱疹自体は他の人にうつることはありません。 水痘・帯状疱疹ウイルスは神経に沿って広がるため、発疹も神経に沿って帯状に分布することが多く、これが「帯状疱疹」の名前の由来となっています。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 帯状疱疹の痛み:部位や程度、持続期間 帯状疱疹の痛みは、人によって部位や程度、持続期間が大きく異なります。チクチクする軽い痛みから、焼けるような激痛まで、本当に様々です。痛みの程度は、神経へのダメージの大きさや、個人の痛みの感じ方の違いによって変わってきます。 痛みが続く期間も数週間から数ヶ月、場合によっては数年続くこともあります。 帯状疱疹後神経痛:帯状疱疹のつらい後遺症 帯状疱疹の症状が治まった後も、痛みが続くことがあります。これが「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる後遺症です。これは、帯状疱疹ウイルスによって神経がダメージを受けたことが原因で起こります。帯状疱疹後神経痛の痛みは、非常に強く、日常生活に大きな影響を与えてしまうこともあります。服を着ることさえも苦痛に感じたり、夜も眠れないほどの痛みを感じる人もいます。 特に高齢者や免疫力が低下している人は、帯状疱疹後神経痛を発症するリスクが高いと言われています。高齢、ストレス、他の感染症、免疫抑制が主なリスク要因となります。最近の研究では、COVID-19ワクチン接種後にも帯状疱疹の再活性化が観察されているという報告もあります。 その他の合併症:髄膜炎、脳神経麻痺など 帯状疱疹は、皮膚の症状だけでなく、様々な合併症を引き起こす可能性があります。まれに、髄膜炎(脳と脊髄を覆う膜の炎症)や脳神経麻痺(脳神経の機能障害)、 Ramsay Hunt症候群(顔面神経麻痺)や眼の合併症、血管炎、腎臓や消化器系の合併症などの重篤な合併症が起こることがあります。 顔面に帯状疱疹が出た場合は、視力や聴力に影響が出る可能性もあるため、注意が必要です。 帯状疱疹の治療と予防 帯状疱疹は、放置すると重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、早期の診断と適切な治療が非常に重要です。体の片側に現れるピリピリとした痛み、赤い発疹、水ぶくれなどの症状が現れたら、すぐに医療機関を受診しましょう。 抗ウイルス薬による治療:アシクロビル、バラシクロビルなど 帯状疱疹の治療では、抗ウイルス薬が第一選択となります。ウイルスを直接攻撃し、その増殖を抑えることで、症状の悪化を防ぎ、治癒を促進します。抗ウイルス薬は、発疹出現後72時間以内に服用を開始するのが最も効果的です。具体的には、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどがよく用いられます。 これらの薬剤は、ウイルスのDNAポリメラーゼという酵素の働きを阻害することで、ウイルスの複製を抑制します。これにより、ウイルスの増殖を抑え、症状の進行を食い止めます。処方された抗ウイルス薬は、指示された用法・用量を厳守し、最後まで飲み切ることが重要です。自己判断で中断すると、症状が再発したり、ウイルスが耐性を持つ可能性があります。 医師の指示に従わずに服薬を中断すると、治療効果が十分に得られないばかりか、薬剤耐性ウイルスの出現を招き、再発時の治療が困難になる可能性があります。 痛み止め:鎮痛薬や神経ブロック注射 帯状疱疹に伴う痛みは、患者さんにとって大きな負担となります。場合によっては非常に強い痛みを感じることもあります。 日常生活に支障が出るほどの痛みには、鎮痛薬の使用を検討します。アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの市販薬で対応できることもありますが、痛みが強い場合は、医療機関を受診し、より強力な鎮痛薬を処方してもらう必要があるかもしれません。 ▼痛み止めについて、併せてお読みください。 [blogcardurl="https://fuelcells.org/topics/41471/"] 神経ブロック注射は、痛みの原因となっている神経に直接局所麻酔薬やステロイド薬を注射する治療法です。神経の興奮を抑え、痛みを緩和する効果が期待できます。痛みが特定の部位に限局している場合や、他の治療法で効果が不十分な場合に有効です。 神経ブロック注射は即効性がありますが、効果の持続期間は個人差があります。場合によっては、複数回の注射が必要となることもあります。 家庭でのケア:患部の清潔を保つ、刺激を避ける 薬物療法に加えて、家庭でのケアも重要です。適切なケアを行うことで、症状の悪化を防ぎ、治癒を促進することができます。患部は清潔に保ち、刺激を避けるように心がけましょう。 患部の清潔:シャワーや入浴時に、患部を清潔な石鹸と水で優しく洗いましょう。ゴシゴシこすったり、タオルで強く拭いたりすると、皮膚が傷つき、症状が悪化する可能性があります。 刺激の回避:患部に衣服が擦れたり、刺激の強い石鹸や化粧品を使用したりするのは避けましょう。また、患部にテープを貼る際は、皮膚への負担が少ないものを選び、剥がす際にはゆっくりと丁寧に行うようにしてください。 患部を冷やすと、痛みやかゆみが和らぐことがあります。清潔なタオルで包んだ保冷剤や氷嚢を患部に当てて、1回15分程度、1日に数回冷やすのが効果的です。 帯状疱疹ワクチン:種類、効果、費用、副反応 帯状疱疹は、水ぼうそうと同じウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)によって引き起こされます。子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが、体内の神経に潜伏し、加齢やストレス、免疫力の低下などをきっかけに再活性化することで発症します。帯状疱疹ワクチンは、このウイルスの再活性化を抑えることで、帯状疱疹の発症リスクを低減します。 現在、日本では不活化ワクチンである組換え帯状疱疹ワクチンが使用されています。2回の接種が必要で、2回目は1回目の接種から2~6ヶ月後に接種します。 帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹の発症を完全に予防できるわけではありませんが、発症リスクを有意に減少させる効果が確認されています。また、発症した場合でも、症状を軽くしたり、帯状疱疹後神経痛の発症リスクを低減したりする効果も期待できます。 副反応として、注射部位の痛み、発赤、腫れなどがみられることがありますが、通常は数日で軽快します。 ワクチン接種の推奨年齢とタイミング 帯状疱疹ワクチンは、50歳以上の方、または免疫機能が低下している19歳以上の方への接種が推奨されています。特に高齢者や免疫力が低下している方は、帯状疱疹を発症するリスクが高いため、ワクチン接種を検討することが重要です。 スペインでは、生ワクチンと組換えワクチンの2種類のワクチンが使用されています。組換えワクチンは免疫不全の方にも接種可能です。ただし、ワクチンの適応や公的支援については地域差があるため、詳細はお住まいの自治体にお問い合わせください。 帯状疱疹に関するよくある質問 帯状疱疹は、誰しもが経験する可能性のあるありふれた病気です。適切な治療を受ければ多くの場合、治すことができますが、放置すると後遺症として神経痛が残る場合があります。そのため、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関を受診することをお勧めします。 帯状疱疹は人にうつる?感染経路と注意点 帯状疱疹自体は、他の人にうつる病気ではありません。しかし、帯状疱疹の原因となるウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)は、水ぼうそうを引き起こすウイルスと同じです。そのため、帯状疱疹の赤い水ぶくれの中には、水ぼうそうのウイルスが含まれています。 帯状疱疹を発症している人と接触し、この水ぶくれが破れてウイルスが皮膚に直接触れることで、水ぼうそうにかかったことのない人が水ぼうそうに感染する可能性があります。 特に、妊娠中の女性や免疫力が低下している人は、水ぼうそうに感染すると重症化のリスクがあるため、十分な注意が必要です。帯状疱疹を発症している場合は、水ぶくれを触らない、清潔を保つ、水ぼうそうにかかったことのない人や抵抗力が弱い方との接触を控えるなど、周囲への配慮を心がけましょう。 帯状疱疹になったら仕事や学校はどうする? 帯状疱疹になったら、症状の程度に合わせて、仕事や学校を休むかどうかを判断する必要があります。発熱や痛みが強い場合は、安静にして休養することが重要です。皮膚症状が強い場合も、周囲に水ぼうそうをうつしてしまうリスクを減らすため、症状が落ち着くまで仕事や学校を休むことが望ましいでしょう。 仕事や学校を休む期間は、症状の程度や回復状況によって異なります。医師と相談し、適切な期間を決めるようにしましょう。 帯状疱疹の再発は予防できる? 帯状疱疹は、一度かかると再発する可能性がある病気です。特に、加齢や免疫力の低下、過労やストレスなどが再発の要因となることがあります。VZVは、非常に効果的なワクチンが利用可能な唯一の人間ヘルペスウイルスであると報告されていますが、水痘ワクチンを接種していたとしても、帯状疱疹を発症する可能性はあります。 帯状疱疹の再発を予防するためには、健康的な生活習慣を心がけ、免疫力を高めることが大切です。バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけ、ストレスをため込まないようにしましょう。規則正しい生活とストレス軽減は、免疫機能の維持に役立ちます。 帯状疱疹の治療にかかる費用は?保険適用について 帯状疱疹の治療は健康保険が適用されます。費用は医療機関や治療内容、受診回数によって異なりますが、初診料、再診料、検査費用、薬剤費用などが含まれます。自己負担額は、加入している保険の種類や年齢によって異なります。3割負担の場合は、医療費の3割を自己負担することになります。 高額療養費制度を利用できる場合もあります。医療費の負担が心配な場合は、医療機関の窓口に相談してみましょう。 帯状疱疹の専門医はどこで探せる? 帯状疱疹の専門医は、皮膚科、ペインクリニックなどで探すことができます。日本皮膚科学会のウェブサイトなどで、専門医を検索することも可能です。「帯状疱疹 専門医」などのキーワードでインターネット検索することでも、情報を得ることができます。 かかりつけ医がいる場合は、かかりつけ医に相談して、専門医を紹介してもらうのも良いでしょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Molero García JM, Moreno Guillén S, Rodríguez-Artalejo FJ, Ruiz-Galiana J, Cantón R, De Lucas Ramos P, García-Botella A, García-Lledó A, Hernández-Sampelayo T, Gómez-Pavón J, González Del Castillo J, Martín-Delgado MC, Martín Sánchez FJ, Martínez-Sellés M and Bouza E. "Status of Herpes Zoster and Herpes Zoster Vaccines in 2023: A position paper." Revista espanola de quimioterapia : publicacion oficial de la Sociedad Espanola de Quimioterapia 36, no. 3 (2023): 223-235. Gershon AA, Breuer J, Cohen JI, Cohrs RJ, Gershon MD, Gilden D, Grose C, Hambleton S, Kennedy PG, Oxman MN, Seward JF and Yamanishi K. "Varicella zoster virus infection." Nature reviews. Disease primers 1, no. (2015): 15016. Patil A, Goldust M and Wollina U. "Herpes zoster: A Review of Clinical Manifestations and Management." Viruses 14, no. 2 (2022): .
2025.02.12 -
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脳卒中の中でも、血管が詰まることで発症する脳梗塞。 一命を取り留めても、麻痺やしびれ、言語障害といった後遺症が残る可能性があり、人生を大きく変えてしまうほどの影響を及ぼすケースも少なくありません。 脳梗塞の後遺症は、発症場所や範囲、治療開始までの時間によって症状の重篤度が大きく異なり、早期の治療開始が後遺症を最小限に抑える鍵となります。 この記事では、脳梗塞の後遺症の種類や症状、そして後遺症と共に生きるための治療法やリハビリテーション、日常生活の工夫、社会支援まで、幅広く解説します。 ご自身やご家族が脳梗塞に直面した際に、少しでもお役に立てれば幸いです。 脳梗塞後遺症の種類と症状 脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳細胞に酸素や栄養が届かなくなり、脳の機能が損なわれる病気です。 一命を取り留めたとしても、後遺症が残ってしまう可能性があります。後遺症の症状や程度は、脳梗塞が起こった場所や範囲、そして治療開始までの時間などによって大きく異なります。 一刻も早い治療開始が、後遺症を最小限に抑える鍵となります。 後遺症の種類や症状を正しく理解することは、患者さん本人だけでなく、ご家族にとっても、その後のリハビリテーションや日常生活の工夫、社会資源の活用を考える上で非常に重要です。 運動麻痺(片麻痺、対麻痺) 運動麻痺は、脳梗塞で最も多く見られる後遺症の一つです。 脳梗塞によって運動機能を司る脳の領域が損傷すると、筋肉を動かす指令がうまく伝わらなくなり、手足の麻痺が生じます。 麻痺には、体の片側だけに症状が現れる「片麻痺」と、両側に現れる「対麻痺」があります。 多くの場合、右脳に梗塞が起こると左半身に、左脳に梗塞が起こると右半身に麻痺が現れます。これは、脳の神経線維が交差しているためです。 麻痺の程度は、軽度であれば少し動きにくい、力が入りにくいといった症状ですが、重度になると全く動かせなくなってしまいます。 また、麻痺が続くと、関節が硬くなって動かなくなる「関節拘縮」も起こりえます。 例えば、箸がうまく使えない、ボタンが留められない、歩行が困難になるといった日常生活の動作に支障をきたすだけでなく、寝返りが難しくなることで床ずれのリスクが高まったり、手足のむくみが生じやすくなるなど、二次的な合併症を引き起こす可能性も懸念されます。 ▼脳梗塞の合併症について、併せてお読みください。 脳梗塞後の痙縮に関する研究では、麻痺の重症度が高いほど、後遺症として痙縮(けいしゅく:筋肉が異常に緊張した状態)が生じやすいことが報告されています。 痙縮は、関節の痛みや運動制限を引き起こし、日常生活の質を低下させる一因となります。 麻痺の種類 症状 片麻痺 体の片側の麻痺(右半身もしくは左半身) 対麻痺 体の両側の麻痺 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中の再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 感覚障害(しびれ、痛み) 感覚障害も脳梗塞の代表的な後遺症です。皮膚の感覚を司る脳の領域が損傷を受けると、触覚、温度覚、痛覚などを感じにくくなったり、逆に過敏になったりします。 「しびれ」は、感覚が鈍くなる症状で、手足の先端などによく起こります。まるで手袋や靴下を履いているように感じたり、何も触っていないのに何かが触れているような感覚が生じることがあります。 また、損傷を受けた神経が過剰に反応することで、「痛み」を生じることもあります。痛みの程度や種類は人それぞれで、ピリピリとした痛み、ズキズキとした痛み、焼けるような痛みなど様々です。 これらの感覚障害は、日常生活においても様々な困難をもたらします。 例えば、温度感覚が鈍くなると、やけどに気づきにくくなります。 また、触覚が鈍いと、物を持つときに適切な力加減ができず、物を落としてしまったり、逆に握りすぎて物を壊してしまうこともあります。 言語障害(失語症) 脳梗塞によって言語中枢が損傷すると、言葉の理解や発話が難しくなる失語症が起こることがあります。 失語症は、単に言葉が出ないだけでなく、言葉の理解にも影響を及ぼすことがあります。 失語症には、大きく分けて3つの種類があります。 表出性失語: 言葉を発することが難しくなる症状です。 話したい言葉がなかなか出てこなかったり、間違った言葉を使ってしまったり、言葉がつっかえたりします。 受容性失語: 相手の言葉が理解できない症状です。相手が何を言っているのか理解できず、会話が成立しなくなります。 混合性失語: 表出性失語と受容性失語の両方の症状が現れるものです。 失語症はコミュニケーションを大きく阻害するため、社会生活や日常生活に大きな影響を与えます。 高次脳機能障害(記憶障害、注意障害) 高次脳機能障害は、記憶、注意、思考、判断など、高度な精神活動を司る脳の機能に障害が起こることを指します。 記憶障害: 新しいことを覚えられなくなったり、過去の出来事を思い出せなくなったりします。 注意障害: 集中力が続かなかったり、気が散りやすくなったり、複数のことに同時に注意を払えなくなったりします。 その他にも、計画を立てたり、物事を順序立てて行うことが難しくなる「実行機能障害」、体の片側を認識できなくなる「半側空間無視」、意図した動作ができなくなる「失行」、対象が認識できなくなる「失認」など、様々な症状があります。 嚥下障害 嚥下障害は、食べ物や飲み物をスムーズに飲み込めなくなる症状です。 脳梗塞によって、飲み込むための筋肉や神経がうまく働かなくなると、食べ物が気管に入ってむせてしまったり、うまく飲み込めずに口の中に残ってしまったりします。 嚥下障害があると、誤嚥(食べ物が気管に入ること)を起こしやすく、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。 誤嚥性肺炎は、命に関わる危険性もあるため、食事の際には細心の注意が必要です。 排尿障害・排便障害 脳梗塞によって、排尿や排便をコントロールする神経が損傷すると、排尿障害や排便障害が起こります。 尿意や便意を感じにくくなったり、逆に頻繁に感じたり、我慢できずに失禁してしまうこともあります。また、尿や便が出にくくなることもあります。 これらの症状は、生活の質を大きく低下させる可能性があります。 後遺症は、単独で現れることもあれば、複数組み合わさって現れることもあります。 脳梗塞は、後遺症の種類も多岐にわたり、その症状の程度も人それぞれです。 ▼脳梗塞の症状や原因、早めの発見方法について併せてお読みください。 脳梗塞後遺症の治療とリハビリテーション 脳梗塞の後遺症は、患者さん一人ひとりの生活に大きな影を落とす可能性があります。 後遺症の種類や重症度は、脳梗塞が発生した場所や範囲、そして迅速な治療開始の可否によって大きく異なります。 後遺症による様々な困難を少しでも軽減し、より良い生活を送るためには、適切な治療と地道なリハビリテーションが欠かせません。 薬物療法 薬物療法は、脳梗塞の再発予防と後遺症の症状改善を目的として行います。脳梗塞は再発率の高い病気であるため、再発予防は特に重要です。 用いられる薬剤の種類や服用方法は、患者さんの状態や病歴、他の病気の有無などを考慮して決定します。主 な薬剤として、血栓を溶かす薬(血栓溶解剤)、血小板がくっつくのを防ぐ薬(抗血小板剤)、血液が固まるのを防ぐ薬(抗凝固剤)などがあります。 血栓溶解剤は、発症早期に投与することで閉塞した血管を再開通させる効果が期待できます。 しかし、投与可能な時間は限られており、全ての患者さんに適用できるわけではありません。 抗血小板剤と抗凝固剤は、血栓の形成を防ぎ、脳梗塞の再発リスクを低下させる薬です。これらの薬剤は、医師の指示に従って継続的に服用することが重要です。 自己判断で服薬を中断すると、再発のリスクが高まる可能性があります。服用中に気になる症状が現れた場合は、自己判断せずに医師に相談しましょう。 リハビリテーション(理学療法、作業療法、言語療法) リハビリテーションは、脳梗塞後遺症による運動麻痺、感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などの改善を目的として行います。 患者さん一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドのプログラムを作成し、日常生活の自立を目指します。 理学療法:理学療法では、体の動きや機能の回復を目指します。 筋力トレーニングや関節可動域訓練、歩行訓練などを通して、日常生活に必要な動作の改善を図ります。 作業療法:作業療法は、日常生活動作(食事、着替え、トイレ、入浴など)の改善を目的としています。 患者さんの生活環境や生活スタイルを考慮し、自宅での生活をスムーズに行えるように訓練を行います。 言語療法:言語療法は、脳梗塞によって損なわれた言語機能の回復を目指します。 発声練習や言葉の理解・表現の訓練などを通して、コミュニケーション能力の向上を図ります。 リハビリテーションの効果を高めるには、早期開始と継続が重要です。根気強く取り組むことで、症状の改善や日常生活の自立に繋がる可能性が高まります。 再発予防(生活習慣改善、服薬管理) 脳梗塞の再発を防ぐためには、生活習慣の改善と服薬管理が重要です。 高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は脳梗塞の危険因子となるため、適切な管理が必要です。 バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒など、健康的な生活習慣を心がけましょう。 食生活においては、塩分や糖分、脂肪分の過剰摂取を避け、野菜や果物を積極的に摂ることが大切です。 適度な運動は、血圧や血糖値の調整に役立ちます。また、禁煙は血管の健康維持に不可欠です。 医師から処方された薬は、指示通りに正しく服用しましょう。自己判断で服薬を中断することは危険です。 最新の治療法 近年、脳梗塞後遺症に対する新たな治療法として、再生医療が注目されています。 本来、人には、損傷したところを修復させる力があります。それを担っているのが、幹細胞です。この幹細胞を利用して、脳梗塞の後遺症の改善が期待できるのです。 リペアセルクリニックでは、脳梗塞の後遺症に特化した再生医療を行なっています。 詳しくはこちらをご覧ください↓ 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中の再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Gurková E, Štureková L, Mandysová P and Šaňák D. "Factors affecting the quality of life after ischemic stroke in young adults: a scoping review." Health and quality of life outcomes 21, no. 1 (2023): 4. Wissel J, Verrier M, Simpson DM, Charles D, Guinto P, Papapetropoulos S and Sunnerhagen KS. "Post-stroke spasticity: predictors of early development and considerations for therapeutic intervention." PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation 7, no. 1 (2015): 60-7. Andalib S, Divani AA, Ayata C, Baig S, Arsava EM, Topcuoglu MA, Cáceres EL, Parikh V, Desai MJ, Majid A, Girolami S and Di Napoli M. "Vagus Nerve Stimulation in Ischemic Stroke." Current neurology and neuroscience reports 23, no. 12 (2023): 947-962. Wang L, Ma L, Ren C, Zhao W, Ji X, Liu Z and Li S. "Stroke-heart syndrome: current progress and future outlook." Journal of neurology 271, no. 8 (2024): 4813-4825. Zhao Y, Zhang X, Chen X and Wei Y. "Neuronal injuries in cerebral infarction and ischemic stroke: From mechanisms to treatment (Review)." International journal of molecular medicine 49, no. 2 (2022): .
2025.02.10 -
- 幹細胞治療
- 再生治療
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 腰椎椎間板ヘルニア
腰や首の痛み、痺れ、悩んでいませんか? それは、背骨のクッションである椎間板が潰れ、神経を圧迫する椎間板ヘルニアかもしれません。 ぎっくり腰のような激しい痛みから、長時間デスクワークによる慢性的な痛みまで、その症状は様々です。実は、トップアスリートでも椎間板ヘルニアの有病率が高いという報告もあるほど、身近な疾患なのです。 この記事では、椎間板ヘルニアの代表的な症状5選と原因や保存療法・手術療法といった治療法まで、詳しく解説します。もしかしたら、あなたの痛みや痺れの原因がわかるかもしれません。 https://youtu.be/4AOGsB-m63Y?si=OXYtRw-021UiEI73 椎間板ヘルニアの症状と原因5選 椎間板ヘルニアは、背骨同士のクッションとなる椎間板が、まるで潰れて神経を圧迫するような状態です。腰や首に発症し、多くの人が悩まされています。この椎間板ヘルニアによって引き起こされる代表的な症状と、その原因について、詳しく説明していきます。 腰痛:急性期の特徴と慢性期の特徴 腰痛は、椎間板ヘルニアの最も代表的な症状です。「ぎっくり腰」のように、突然激しい痛みが生じる場合(急性期)と、徐々に痛みが強くなっていく場合(慢性期)があります。 急性期は、重量物を持った時や、急に体をひねったときなどに起こりやすく、その場で動けなくなるほどの激痛を伴うこともあります。私の患者さんでも、くしゃみをした瞬間、激痛で動けなくなり救急車で運ばれてきた方がいました。 一方、慢性期は加齢に伴って椎間板がすり減ったり、長時間のデスクワークや悪い姿勢などによって、じわじわと症状が現れることが多いです。まるで、長年使い続けたクッションが、少しずつへたっていくように、椎間板も徐々に変性していきます。初期は軽い違和感程度ですが、放っておくと重症化し、日常生活に支障をきたすようになることもあります。 特徴 急性期 慢性期 痛みの始まり方 突然 徐々に 痛みの程度 激しい 軽い~中等度 期間 数日~数週間 数ヶ月~数年 原因 急な動作、重量物を持つ 加齢、長時間のデスクワーク、悪い姿勢など 下肢の痛みやしびれ:坐骨神経痛との関係性 椎間板ヘルニアは、腰だけでなく、臀部や太ももの後ろから、ふくらはぎ、足先など、下肢にも痛みやしびれを引き起こすことがあります。これは、飛び出した椎間板が、腰から足にかけて伸びている「坐骨神経」という神経を圧迫するためです。 坐骨神経痛の症状は、おしりから太ももにかけての痛み、ふくらはぎの外側や足の裏のしびれ、足首や足指の動きが悪くなるなどがあります。これらの症状は、片側の足に現れることが多く、咳やくしゃみをすると痛みが強くなることがあります。 特に、トップアスリートでは、一般人口よりも椎間板ヘルニアの有病率が高いという報告もあります。これは、脊柱への継続的な圧力と、微小外傷の蓄積が原因と考えられています。アスリートに限らず、普段から、腰の負担を軽減するため、姿勢や運動を心がけることが大切です。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 排尿・排便障害:重症例での症状 椎間板ヘルニアが重症化すると、まれに排尿や排便のコントロールが難しくなることがあります。これは、「馬尾神経」と呼ばれる、膀胱や直腸の働きをコントロールする神経が圧迫されることで起こります。尿が出にくい、残尿感がある、便が出にくい、便秘になるなどの症状が現れたら、すぐに医療機関を受診してください。 馬尾症候群は、緊急手術が必要な重篤な状態です。早期発見、早期治療が予後を大きく左右するため、少しでも異変を感じたら、ためらわずに専門医に相談することが重要です。 遺伝的要因:家族歴との関連 椎間板ヘルニアは、遺伝的要因が直接的に関係しているという明確なエビデンスは、現在のところありません。しかし、家族に椎間板ヘルニアになった人がいる場合、椎間板の構造や強度などが似ている可能性があり、将来的に発症するリスクが少し高くなる可能性も考えられます。 加齢や生活習慣:肥満や喫煙の影響 加齢は、椎間板ヘルニアの大きなリスク要因の一つです。年齢を重ねると、椎間板の水分が減少すると、もろくなってしまい、ヘルニアになりやすくなります。これは、乾燥したスポンジがもろくなりやすいのと同じようなイメージです。 また、肥満もリスクを高める要因です。過剰な体重は、椎間板に大きな負担をかけるためです。喫煙は、椎間板への血流を悪くし、椎間板の変性を促進するため、間接的にヘルニアのリスクを高める可能性が指摘されています。 日頃から、バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙などを心がけることで、椎間板ヘルニアのリスクを軽減することができます。特に、肥満の方は、適切な減量指導を受けることで、椎間板への負担を軽減し、症状の改善を期待できます。 椎間板ヘルニアの検査と治療法4選 椎間板ヘルニアの検査方法と治療法について、不安を少しでも和らげ、治療に前向きに取り組めるよう、わかりやすく解説します。検査で何がわかるのか、どんな治療の選択肢があるのか、一緒に見ていきましょう。 画像診断:MRI、CT、レントゲンの役割と使い分け 椎間板ヘルニアの検査には、主にMRI、CT、レントゲンといった画像診断を用います。それぞれの検査の特徴を、身近なもので例えて説明します。 MRI検査: MRI検査は、強力な磁石と電波を使って体の内部を、まるでゼリーの中身を見るように鮮明に画像化します。飛び出した椎間板の状態や、神経がどれくらい圧迫されているかを正確に把握できます。特に、神経根症状を伴う腰椎椎間板ヘルニアの診断においては、MRIが不可欠です。 CT検査: CT検査は、X線を使って体の断面を撮影し、輪切りにした野菜のように内部構造を写し出します。MRI検査ほど鮮明ではありませんが、骨の輪郭をとらえるのが特徴で、椎間板ヘルニアに伴う骨の異常や、ヘルニアの石灰化の有無などを確認するのに役立ちます。 レントゲン検査: レントゲン検査は、X線を使って骨を撮影する、健康診断などでもよく用いられる検査です。椎間板ヘルニア自体はレントゲンに写りませんが、骨の変形や異常がないかを確認し、他の骨の病気を除外するために用います。 これらの検査を組み合わせて行うことで、より正確な診断が可能になります。 保存療法:薬物療法、理学療法、安静の重要性 椎間板ヘルニアの治療は、まず保存療法から始めます。保存療法は、手術をせずに痛みやしびれなどの症状を和らげることを目的とした治療法です。 薬物療法: 痛みや炎症を抑える薬、神経の働きを助ける薬、筋肉の緊張を緩和する薬などを、患者さんの症状に合わせて処方します。鎮痛剤は、痛みを感じにくくする効果があり、炎症を抑える薬は、腫れや熱感を抑えることで痛みを軽減します。神経の働きを助ける薬は、神経の修復を促進し、しびれなどの症状を改善する効果が期待できます。 理学療法: 専門の理学療法士による指導のもと、ストレッチや運動、マッサージなどを行います。硬くなった筋肉を柔らかくすることで血行を促進し、痛みを軽減する効果があります。 安静: 痛みが強い時期には、安静にすることが重要です。安静にすることで、炎症が治まり、痛みが軽減されます。しかし、長期間の安静は、筋力低下や体力低下につながるため、医師の指示に従って適切な安静期間と活動量を調整することが大切です。北米脊椎協会(NASS)のガイドラインでも、適切な安静の重要性が強調されています。 これらの保存療法を6週間から3ヶ月ほど続け、それでも症状が改善しない場合や、症状が悪化する場合には、手術療法を検討します。 手術療法:適応と種類、術後のリハビリテーション 保存療法で効果が得られない場合や、重度の神経麻痺がある場合などには、手術療法を検討します。手術の主な目的は、飛び出した椎間板を取り除き、神経の圧迫を解消することです。 手術の適応: 排尿・排便に障害が出たり、日常生活に支障が出るほどの神経麻痺がある場合は、緊急手術が必要になることもあります。特に、馬尾症候群の場合は、24~48時間以内の緊急手術が必須です。それ以外の場合でも、保存療法を数ヶ月試しても症状が改善しない場合は、手術の適応となることがあります。具体的な適応は、医師が患者さんの症状や検査結果などを総合的に判断します。 手術の種類: 椎間板ヘルニアの手術には、顕微鏡手術、内視鏡手術など、いくつかの種類があります。顕微鏡手術は、顕微鏡を使って患部を拡大して行うため、より精密な手術が可能です。内視鏡手術は、小さな傷で行えるため、体への負担が比較的少ないというメリットがあります。どの手術法が適しているかは、ヘルニアの状態や患者さんの状態によって異なります。胸椎椎間板ヘルニアのように、稀なケースでは、ヘルニアの位置や石灰化の有無によって、胸腔内切開術や後外側切開術などのアプローチを選択する必要もあります。 術後のリハビリテーション: 手術後は、早期からリハビリテーションを開始することが重要です。リハビリテーションでは、筋力トレーニングやストレッチ、歩行訓練などを行い、日常生活への復帰を目指します。 手術は体に負担がかかるため、手術のメリットとデメリットをよく理解し、医師と十分に相談した上で、手術を受けるかどうかを判断することが大切です。 しかし、手術をしても、しびれや痛みが残ったり、『手術前よりも後遺症がひどくなった』という方も一定数おられます。術後の後遺症の場合は、神経は一度損傷すると、戻らないことがあると、医師はよく言います。 そんな方に、リペアセルクリニックでの国内ではほとんど行われていない、脊髄腔内にダイレクトに幹細胞を投与する再生医療を行なっています。詳しくはこちらで説明しています。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 <実際に行った、患者様の声> https://youtu.be/zRaQYBJNrS8?si=dz3vaREdJJnD65HL https://youtu.be/3yN5q8_ATpc?si=YNTbuXIalfV4Z0Me 他の疾患との鑑別:坐骨神経痛、脊柱管狭窄症との違い 椎間板ヘルニアは、坐骨神経痛や脊柱管狭窄症といった他の疾患と症状が似ていることがあります。 坐骨神経痛: 坐骨神経痛は、腰からおしり、太ももの裏側、ふくらはぎにかけて伸びる坐骨神経が圧迫されることで起こる症状です。椎間板ヘルニアが坐骨神経痛の原因となることもありますが、梨状筋症候群など、他の原因で坐骨神経痛が起こることもあります。 脊柱管狭窄症: 脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る脊髄神経の通り道である脊柱管が狭くなることで、神経が圧迫されて起こる病気です。加齢に伴う骨や靭帯の変化によって脊柱管が狭くなることが主な原因です。椎間板ヘルニアと同様に、腰痛や足のしびれ、痛みなどの症状が現れますが、間歇性跛行(しばらく歩くと足が痛くなり、休むと痛みが治まる)といった特徴的な症状がみられることもあります。 これらの疾患は症状が似ているため、必ず、専門医による適切な診断を受けることが大切です。 ▼脊柱管狭窄症について、併せてお読みください。 参考文献 Yamaguchi JT and Hsu WK. "Intervertebral disc herniation in elite athletes." International orthopaedics 43, no. 4 (2019): 833-840. Danazumi MS, Nuhu JM, Ibrahim SU, et al. "Effects of spinal manipulation or mobilization as an adjunct to neurodynamic mobilization for lumbar disc herniation with radiculopathy: a randomized clinical trial." The Journal of manual & manipulative therapy 31, no. 6 (2023): 408-420. Kögl N, Petr O, Löscher W, et al. "Lumbar Disc Herniation—the Significance of Symptom Duration for the Indication for Surgery." Deutsches Arzteblatt international 121, no. 13 (2024): 440-448. Court C, Mansour E and Bouthors C. "Thoracic disc herniation: Surgical treatment." Orthopaedics & traumatology, surgery & research : OTSR 104, no. 1S (2018): S31-S40. "[Guideline for diagnosis, treatment and rehabilitation of lumbar disc herniation]." Zhonghua wai ke za zhi [Chinese journal of surgery] 60, no. 5 (2022): 401-408. van der Windt DA, Simons E, Riphagen II, et al. "Physical examination for lumbar radiculopathy due to disc herniation in patients with low-back pain." The Cochrane database of systematic reviews , no. 2 (2010): CD007431. Kreiner DS, Hwang SW, Easa JE, et al. "An evidence-based clinical guideline for the diagnosis and treatment of lumbar disc herniation with radiculopathy." The spine journal : official journal of the North American Spine Society 14, no. 1 (2014): 180-91. Zhang AS, Xu A, Ansari K, et al. "Lumbar Disc Herniation: Diagnosis and Management." The American journal of medicine 136, no. 7 (2023): 645-651.
2025.02.09 -
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心当たりがないのに、肩が急に痛くなったことはありませんか?痛みの原因には色々な要素が重なります。 四十肩・五十肩も一つの原因です。 最近では20~30代でも発症するケースが増えており、長時間の座り仕事や、携帯の長時間使用など、日常生活での肩への負担増加が原因の一つと考えられています。 そういった問題に対して、医師の視点も交えながら詳しく解説します。 肩の痛みを予防し、快適な毎日を送るためのヒントが満載です。 右肩(左肩)がズキズキと痛い 肩の付け根がズキズキ痛むと、日常生活にも支障が出てしまい不安になりますよね。痛くて腕が思うように動かなくなったり、夜間痛も現れます。寝返りも辛いと言われる方もいます。そうなると寝不足になりますよね。そして、一番注意しなければいけないのは、肩関節が固まることです。これを関節の拘縮といいます。拘縮になると、長期間の治療とリハビリが必要となります。 今までの経験上、痛みが出てきて早期に治療することで、治療期間がかなり短縮できた患者さんが多くおられました。この記事では、痛みの原因としてどのようなものがあるのかを、現場で診療にあたる医師の視点も交えながら詳しく解説します。 肩の付け根がズキズキ痛む原因6選 肩の付け根のズキズキとした痛みは、様々な原因で起こりえます。それらをしっかりと鑑別して、適切に治療できれば、ほとんどの方は痛みが激減します。痛みの種類や、他にどんな症状があるかによって原因が推測できますので、ご自身の症状をよく観察し、医療機関を受診する際の参考にしてみてください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 肩腱板損傷(断裂) 肩の周りにある筋肉が擦り切れたり、断裂して痛みが出る病気です。主に棘上筋というものが擦り切れてしまいます。経験上、転倒などの外傷や、高いところの荷物の上げたり下げたりする動作が原因となることが多かったです。 筋肉の炎症(腱板炎、石灰沈着性腱板炎など) 肩の関節を安定させて動かす重要な役割を担っているのが、回旋筋腱板(ローテーターカフ)と呼ばれる4つの筋肉の腱です。 この腱に炎症が起こると腱板炎と呼ばれ、肩にかなり強い痛みを生じます。炎症の原因は、使いすぎや加齢による変化など様々です。 例えば、野球のピッチャーやテニスのサーブのように、腕を繰り返し同じ動作で動かすスポーツでは、回旋筋腱板に負担がかかりやすく、腱板炎のリスクが高まります。また、普段使わない筋肉を急に動かした場合にも炎症が起きやすいです。腱板炎の特徴として、腕を特定の方向に動かした時や、夜中に痛みが出やすいです。 石灰沈着性腱板炎は、40代~50代の女性に多く見られます。カルシウムが腱板のところに沈着して炎症を起こす病気です。なぜ石灰が沈着するのかはまだ分かっていません。血流の問題や、年齢などが関係していると考えられています。この疾患はかなり痛みが強く、特徴として何もしていないのに、痛みが強くでます。そして、指で肩を押すと、痛い箇所がはっきりわかります。その指の奥に、石灰の沈着が存在します。そして、腕を動かさない時にも痛みがあります。 関節の異常(肩関節周囲炎、変形性肩関節症など) 肩関節周囲炎は、いわゆる四十肩・五十肩と呼ばれます。腕が動かしづらくなり、痛みが出ます。まれに肩から腕にかけて痺れが出るので、頸椎椎間板ヘルニアなどと間違われることもよくあります。肩関節周囲炎は、加齢とともに肩関節や靭帯が緩くなって、関節のバランスが崩れることで発症します。40代~50代に多く見られますが、最近は20代や30代の若い世代でも発症するケースが増えています。これは、長時間座り仕事や携帯の長時間使用などが原因とされています。 変形性肩関節症は、関節の軟骨がすり減り、骨同士が擦れて、痛みや炎症が生じる病気です。主に加齢が原因ですが、若い頃に怪我をしたとか、重労働をしていたなどが原因となります。初期は、動かさなくてもジンジンと鈍い痛みが続きますが、関節の変形が進むとさらに痛みが増します。そして動きも悪くなっていきます。末期になると、ゴリゴリ音もなることが多いです。肩関節周囲炎との比較として、変形性肩関節症は、肩関節のレントゲン写真で骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の突起や、関節裂隙の狭小化などの変化が確認できる点が挙げられます。 ▶四十肩、五十肩の違いについて、併せてお読みください。 神経の圧迫(胸郭出口症候群など) 肩の付け根の痛みは、神経の圧迫が原因で起こる場合もあります。胸郭出口症候群は、首から腕にかけて走る神経や血管が、鎖骨そのもので圧迫されたり、肋骨周りで押されることで、肩や腕、手に痛みやしびれ、だるさなどの症状が現れます。神経や血管が押されてしまう理由として、首の筋肉の緊張、鎖骨や肋骨の変形、姿勢の問題などがあります。 なで肩の女性や、重いものを持ち運ぶことが多い人などに多く発症する傾向があります。携帯を触る時も、姿勢が悪くなりがちで、神経や血管が圧迫されやすいため注意が必要です。姿勢や生活習慣が大きく関わっているため、改善することで症状が和らぐ可能性があります。 頸椎椎間板ヘルニア 脊髄の神経が、圧迫されることで首や肩、そして腕にかけて痛みが出ます。肩が痛いという患者さんで、肩の検査をしても何もわからなかったが、首のMRIで原因が頸椎椎間板ヘルニアによるものと診断される方も比較的多くおられました。頸椎椎間板ヘルニアについてはこちらをご覧ください。 内臓疾患(狭心症、胆石症など) 肩の付け根の痛みは、内科領域のサインである場合もあります。狭心症や心筋梗塞、胸部大動脈解離症などでは、肩や背中に放散する痛みが出ることがあります。命に関わる重篤な病気である可能性もあるため、早急に医療機関を受診することが重要です。 また、胆石症などの胆嚢の病気でも、肩への関連痛が認められます。胆石症では、脂肪分の多い食事を摂取した後に、右肩甲骨の裏側に激しい痛みが生じることがあります。そのほかに胸の痛みや吐き気、発熱などの症状が出てきます。 肩の痛みと同時に他の症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。 その他(外傷、腫瘍など) 肩の付け根の痛みは、転倒や衝突などによる外傷が原因で起こることもあります。例えば、腱板断裂は、転倒した際に肩に強い衝撃が加わることで起こることがあります。高齢者の場合は骨が脆くなっているため、軽微な外傷でも骨折してしまう可能性があります。また、スポーツ中に肩に強い力が加わった場合などは、脱臼や靭帯損傷などを起こすことがあります。 まれに、腫瘍が原因で肩の痛みが出ることがあります。腫瘍の場合は、痛み以外にも、しびれや腫れ、発熱などを伴うことがあります。 肩の付け根の痛みに効果的な対処法 肩の痛みは、原因や痛みの種類によって適切な対処法が異なってきます。適切な対処をすることで、痛みの悪化を防ぎ、より早く回復できる可能性が高まります。 痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤や湿布薬を使用することで痛みを一時的に和らげることができます。 鎮痛剤は、痛みを感じる神経の働きを抑えることで痛みを軽減する効果があります。飲み薬タイプ、貼り薬タイプ、塗り薬タイプなど様々な種類があるので、ご自身の使いやすいタイプを選びましょう。胃腸の弱い方は、胃への負担が少ないタイプのものを選ぶと良いでしょう。 冷湿布と温湿布がありますが、痛みが強い急性期には冷湿布を使用し、痛みが慢性化している場合は温湿布を使用するのが一般的です。血流が良くなり、筋肉の緊張が和らぐ効果が期待できます。ただし、湿布薬を貼ったまま長時間放置すると、皮膚がかぶれたりする可能性があるので注意が必要です。 市販薬を使用する際には、用法・用量を守り、決められた量以上使用しないようにしましょう。また、他の飲んでいる薬がある場合は、薬剤師や登録販売者に相談することをお勧めします。妊娠中や授乳中の方、持病のある方は、医師や薬剤師に相談してから使用してください。 これらの市販薬は、あくまで一時的な対処法です。 家庭でできるケア(ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法など) 家庭でできるケアとして、ストレッチ、マッサージ、温罨法、冷罨法などがあります。 ストレッチは、肩や首の周りの筋肉をやわらかくして、痛みを和らげ、腕の動く範囲を広げる効果が期待できます。入浴後など、体が温まっている時に行うとより効果的です。ただし、痛みがある時に無理にストレッチを行うと、逆効果となるので注意しましょう。 マッサージすることで肩や首の筋肉をほぐし、血液の流れを良くして炎症を早く治めようとしてくれます。炎症とは、痛いという物質が痛いところに溜まることなので、血流が良くなれば、悪い物質が流れてなくなるという原理です。肩甲骨を意識して、肩甲骨を上下左右に動かすようにマッサージすると効果的です。ただし、痛みが強い場合はマッサージを避け、炎症が落ち着いてから行うようにしましょう。 温罨法は、温めたタオルなどを肩に当てることで、血流を促し、痛みや炎症を鎮める効果があります。温罨法は、慢性的な痛みや、筋肉の張りが強い時に有効です。 冷罨法は、冷やしたタオルなどを肩に当てることで、痛みを和らげる方法です。痛みが強い急性期には冷罨法が適しています。 これらのケアを行っても痛みが改善しない場合は、医師と相談しましょう。特に、熱がある時や痺れが伴うときは要注意です。早いうちに受診することが重要です。 注射、リハビリテーション、手術など 問診、視診、触診、レントゲン検査などの画像検査によって診断をつけます。 痛みが強い場合は、注射によって炎症や痛みを抑える治療が行われます。ステロイド注射は強力な抗炎症作用があり、短期間で効果を発揮しますが、効果の持続期間は限られています。また、頻回に注射を行うと、副作用のリスクも高まるため、医師の指示に従って適切な頻度で注射を受ける必要があります。 肩関節が固くなって拘縮があるときは、可動域を広げるリハビリを行い、関節の動きを改善していきます。運動療法は、多くの場合、手術と同等またはそれ以上の効果を示すことが報告されています。 肩の腱板断裂(損傷)では、痛みが強く日常生活が困難であるか、腕が上がらない時は手術が必要となります。近年では、関節鏡を用いた低侵襲手術が主流となっており、負担が少ない手術が可能です。しかし、整形外科医の間では、正直、肩の鍵盤の手術はできるだけしたくないものです。理由は、手術をしてもあまり痛みが取れなかったり、さらにわるくなる場合がよくあるのです。手術の後、肩の関節が固まってしまったり、縫合した腱板が再断裂する確率も高いのです。 そういった悩みを解決してくれたのは、実は再生医療なのです。入院、手術の必要がなく、手術よりも治療成績がいい。みなさんいいと思いませんか?こんないい話があるのか?と疑ってしまいますよね。私が、約10年再生医療に携わった結果、肩の再生医療には希望があると確信しています。ぜひこちらの動画をご覧ください。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 日常生活での注意点(姿勢、運動、睡眠など) 日常生活では、できるだけ意識して、正しい姿勢を保つように心がけましょう。姿勢が悪いと、どうしても猫背になり、さらに症状が悪化してしまいます。デスクワークの方、パソコン作業が多い方は、1時間に1回程度は休憩を取り、腕の上げ下げや肩甲骨体操を5分でもいいので行うといいでしょう。 適度な運動は、肩周りの筋肉を強化し、柔軟性を高めます。ウォーキングや水泳など、肩に負担の少ない運動を継続して行うことが大切です。ただし、痛みがある場合は、早い目に医師に相談してから行うようにしましょう。 睡眠不足は、痛みや炎症を助長させる可能性があります。質の良い睡眠を十分に取るように心がけましょう。また、痛みが強い側の肩を下にして寝ないように注意することも大切です。抱き枕などを使用して、楽な姿勢で寝るように工夫してみましょう。 痛みの予防 痛みがあると、肩や腕はよく使うので、日常生活がとても苦痛になりますよね。私も診療で多くの患者さんを診ていますが、肩の痛みは放っておくと悪化し、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。肩が上がらなくなったり、夜も眠れなくなったり…想像するだけでも恐ろしいですよね。 ですが、肩の痛みは予防できるんです!適切な運動習慣、デスクワーク時の姿勢改善、ストレッチやマッサージ。これらのケアを意識的に行うことで、健康な肩を維持し、痛みを予防できる可能性が高まります。 適切な運動習慣 肩の痛み予防には、肩周りの筋肉を鍛え、柔軟性を高めることが重要です。特に、肩甲骨を意識しましょう。肩甲骨は、肋骨の背面に位置する逆三角形の骨で、腕の様々な動きをサポートする重要な役割を担っています。 実はこの肩甲骨、本来は肋骨に直接くっついているのではなく、筋肉によって支えられています。周りの筋肉が弱ったり、硬くなったりすると、肩甲骨の位置がずれ、肩関節に負担がかかりやすくなります。 肩甲骨の動きを良くするおすすめの運動をいくつかご紹介します。 肩回し体操: 腕を大きく回すことで、肩の動きを広げます。前方向と後ろ方向を10回ずつ行いましょう。痛い時は、無理せず回せる範囲で行ってください。 肩甲骨はがし: 両手を前に伸ばし、手のひらを合わせます。そのまま両腕を左右にゆっくりと開き、肩甲骨を背骨から引き離すように意識します。10回繰り返しましょう。これは肩甲骨を支える筋肉を強化する効果があります。 腕立て伏せ: 肩と同時に、胸や腕の筋肉も鍛えることができる非常に効果的な運動です。10回を目標に行いましょう。 これらの運動は、毎日続けることで効果を発揮します。できるだけ毎日、習慣づけるようにしましょう。 また、適切な運動習慣を継続することで、肩甲骨の運動機能が改善され、肩関節疾患の発生リスクを低減できるという研究結果もあります(Ludewig PM and Reynolds JF. 2009)。 デスクワーク時の姿勢改善 長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用は、猫背になりやすく、肩甲骨の動きを悪くする大きな原因となります。猫背の姿勢では、肩甲骨が外側に広がり、肩関節への負担が増加し、痛みが発生しやすくなります。 次のようなことを心がけるといいでしょう 背筋を伸ばし、顎を引く: 顎を引くことで、自然と背筋が伸びやすくなります。 肩の力を抜いてリラックスする: 肩に力が入っていると、筋肉が張ってしまい、どうしても痛みが出やすくなります。 目線は正面に向ける: 目線が下に向いていると、猫背になりやすくなります。 足の裏全体を床につける: 足の裏全体が床についていると、姿勢が安定しやすくなります。 肘は90度を維持する: 肘の角度が適切だと、肩への負担を軽減できます。 こまめに休憩をとる: 長時間同じ姿勢を続けると、逆に疲れが出て、痛みも増してしまいます。1時間に1回は立ち上がって軽いストレッチをする。 ストレッチやマッサージによるケア ストレッチやマッサージは、かなりの効果が見込めます。お風呂上がりなど、身体か温かい時に行うとより効果的です。 いつも私が外来で教えているストレッチを紹介しますね。以下のものがあります。 肩回し: 前後の方向を10回ずつ行います。無理に大きく回す必要はありません。 首のストレッチ: 首をゆっくりと無理のない範囲で右と左に倒します、それぞれ10秒間キープします。 腕のストレッチ: 片腕を胸の前に伸ばし、反対の手で肘を押さえて10秒間キープします。反対側も同様に行います。このストレッチは、肩周りの筋肉を柔らかくする効果があります。 マッサージは、肩や首の筋肉を指で優しくもみほぐすことで、血行促進効果が期待できます。特に、肩甲骨周辺の筋肉を重点的にマッサージすると、痛み予防に繋がります。 これらのケアを日常生活に取り入れ、肩の痛みを予防し、健康な肩を維持していきましょう。 まとめ 肩の付け根のズキズキとした痛み、不安になりますよね。その痛み、放っておくと悪化してしまうかもしれません。 この記事では、肩の痛みについてできるだけ、わかりやすく説明しました。自宅でもできる予防やストレッチ、治療法、そして予防策まで幅広く説明しましたので、参考にしてください。 市販薬や家庭でのケアで様子を見るのも一つの方法ですが、なかなか痛みが取れない時は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。 また、日常生活での予防も重要です。正しい姿勢を保つ、適度な運動をする、ストレッチやマッサージを行うなどするように心がけましょう。肩の痛みを予防し、健康な毎日を送るためにも、この記事を参考に、ご自身の肩の状態に合ったケアを始めてみてくださいね。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「肩の痛み」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Kibler WB, McMullen J. "Scapular dyskinesis and its relation to shoulder pain." The Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons 11, no. 2 (2003): 142-51. Ludewig PM, Reynolds JF. "The association of scapular kinematics and glenohumeral joint pathologies." The Journal of orthopaedic and sports physical therapy 39, no. 2 (2009): 90-104. "回旋腱板関連肩痛:評価、管理、そして不確定要素." Manual therapy 23, no. (2016): 57-68.
2025.02.04 -
- 幹細胞治療
- 再生治療
- PRP治療
- 免疫細胞療法
エクソソームとは、体の中にある多くの細胞から分泌される顆粒状の物質です。 近年、アンチエイジングなどの美容や健康ために点滴などの方法で治療にも用いられるようになってきましたが、その安全性についてはまだ研究段階でもあります。 今回の記事では、エクソソームによって期待できる効果や課題について再生医療の専門医師が解説します。 エクソソームとは何か エクソソームとは、細胞から分泌される大きさ30~200mmほどの顆粒状の小胞です。 幹細胞を培養し、培養液から幹細胞を取り出し処理を行ったあとの上澄みのことを、ヒト幹細胞培養上清液(じょうせいえき)といいます。エクソソームは、この上清液の中に含まれます。*1 エクソソームは1980年代に見つかったのですが、当初は細胞内の不要な物質を捨てるための「ゴミ袋」のようなものだと考えられてきました。 しかし、研究が進むにつれて、エクソソームは細胞同士の相互作用に関して情報伝達の役割を果たすことが分かってきました。*2 つまり、エクソソームは細胞間の情報伝達物質の「運び手」とも言えます。 また、エクソソームはその分泌された細胞由来の細胞膜の成分や核酸、タンパク質などを含んでおり、その細胞の特徴や生理的な機能を持っているとも考えられており、いろいろな疾患に対する新しい治療方法の候補としても注目されています。*3 エクソソームは点滴や局所注射、塗布などの投与方法があります。エクソソームによる治療は自由診療のため、費用は各医療機関で幅があります。一般的な相場は、5万円から20万円程度のようです。 エクソソームの可能性 さて、再生医療の分野でよく用いられるものに、間葉系幹細胞(かんようけいかんさいぼう:Mesenchymal stem cell:MSC)があります。 これは、結合組織の中に存在する、多分化能を持つ幹細胞です。MSCは組織が損傷を受けた際に修復を手助けすることが知られています。 最近の研究ではMSCそのもののみならず、MSC由来のエクソソーム、つまりMSCから分泌されるエクソソームにMSC自身と同じような治療効果を示すことも明らかになりつつあります。*4 これまでに報告されている、MSC由来のエクソソームが治療効果を示す疾患には以下のようなものがあります。*5 腎臓疾患 心筋障害 脳疾患(脳卒中やアルツハイマー病) 肺疾患 このような病気に対して、MSC由来のエクソソーム治療は効果があることが分かってきており、今後の研究が期待されるところです。 また、MSC由来のエクソソーム治療は、MSC細胞よりサイズが小さいために、塞栓などの可能性が理論上は低いことや、組織へうまく移行してくれること、また複数回の投与ができることなどのメリットがあります。 また、厚生労働省のワーキンググループでの報告によると、日本の自由診療を行っている121医療機関で、美肌、毛髪再生、勃起不全などが期待される効果や対象疾患に含まれていたとのことです。*6 エクソソームの課題 一方で、エクソソーム治療については課題もあります。 MSC由来のエクソソーム治療では、MSC細胞による治療よりも多くの細胞数が必要なことや、安全性や有効性を確保するためのリスクがまだ研究段階であること、さらに品質の管理や製造管理とともに法律の整備がまだ未成熟なことなどがあります。*7 その他の課題としては、まだエクソソームに関しての基本的な理解が十分ではない可能性があることです。例えば、免疫系の細胞が貪食(どんしょく)作用によってエクソソームを取り込むことが知られているのですが、免疫系の細胞以外の細胞による取り込みの様子は世界でもまだほんのわずかしか報告がない、という状況です。このように、基礎的なメカニズムについて見解がまだ定まっていないという現状があります。 また、エクソソームを回収する方法が統一されていないということも問題となっています。 エクソソームの回収方法は、さまざまな企業が抽出試薬などを販売しつつあるのですが、果たして異なる方法で回収したエクソソームが「同じ」ものとして治療に用いてよいのかどうかという疑問が残ります。*8 さらに、副作用の危険性もあります。 実際に、正常なMSCが分泌するエクソソームには抗がん作用があるのに対して、異常なMSCが分泌するMSCが分泌するエクソソームは、がんの悪性化を促してしまうという報告もあるようです。*9 MSCでもMSC由来のエクソソームであっても、正常な自分の細胞から培養されたものであれば、拒絶反応などのリスクは高くないかもしれませんが、さらなる研究によって安全性が確保されることが期待されるでしょう。 まとめ リペアセルクリニックでは、エクソソームを産生する細胞の元の一つである、自己脂肪由来幹細胞による再生医療を行なっています。 当院での細胞加工の強みとしては、幹細胞を冷凍保存しない都度培養のため細胞の生存率や質が高いこと、2億個の細胞を投与できるので治療成績が良好であること、採取する脂肪の量は米粒3つ分くらいと少量であり負担が少ないこと、さらに患者さん自身の血液を用いるため安全性が高いことが挙げられます。 脳や神経の病気をはじめ、さまざまな疾患に効果があると示されている再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までお気軽にご相談ください。 再生医療専門クリニック リペアセルクリニック ✉ メール相談はこちら 💻無料オンラインカウンセリングはこちら ✉ webでの来院予約はこちら ☎ 無料電話相談はこちら: 0120-706-313(09:00~18:00) 診療時間:10:00~19:00(完全予約制) 休診日:不定休 各院へのアクセス:札幌院/東京院/大阪院 ▼その他のコラムはこちらからもお読み頂けます。 参考文献 *1 再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直し 厚生労働省研究開発振興課 p11 *2 新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来 エクソソームの応用可能性.Drug DeliverySystem.2014:29(2):140-151. p140 *3 再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直し 厚生労働省研究開発振興課 p10 *4 新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来 エクソソームの応用可能性.Drug DeliverySystem.2014:29(2):140-151. p141 *5 新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来 エクソソームの応用可能性.Drug DeliverySystem.2014:29(2):140-151. p143-147 *6 再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直し 厚生労働省研究開発振興課 p16 *7 エクソソーム等の調製・治療に対する考え⽅ 一般社団法人日本再生医療学会 p4,5 *8 新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来 エクソソームの応用可能性.Drug DeliverySystem.2014:29(2):140-151. p147,148 *9 新規治療薬開発への間葉系幹細胞由来 エクソソームの応用可能性.Drug DeliverySystem.2014:29(2):140-151. p149 日本再生医療学会|エクソソーム等に対する日本再生医療学会からの提言
2024.08.02 -
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エクソソーム、幹細胞上清液での治療で知っておくべき安全性や副作用、医師が解説! 幹細胞をはじめとした種々の細胞から分泌されるエクソソーム。細胞同士の情報伝達に欠かせない存在であり、抗炎症効果などを示すこともわかっています。現在、がんの診断・多くの疾患の治療・化粧品や食品の研究開発など幅広い分野で注目を浴びています。再生医療においても、エクソソーム治療への期待が高まっています。 細胞を用いた治療の弱点である塞栓(細胞が血管に詰まること)や形質転換(望ましくない性質を持つこと)などを克服できるのではないかと期待されているためです。 再生医療や美容医療を検討されている方の中には、エクソソーム治療を受けたいと考えたことがある方も多いでしょう。 では、エクソソーム治療が安全性の面から全く問題がないのでしょうか。実は一概にそうとも言い切れません。 本記事では、エクソソーム治療の安全性・起こりうる副作用について解説をしていきます。 エクソソーム治療とは 再生医療の代表である幹細胞治療では、万能細胞である幹細胞を培養し全身あるいは傷ついた組織に投与します。投与された幹細胞が損傷組織の構成細胞に変化するだけでなく、幹細胞由来の生理活性物質が組織の修復を促すことがわかっています。 生理活性物質は小さな袋に入った状態で分泌されます。小さな袋がすなわち「エクソソーム」です。エクソソームだけを精製して投与することで、幹細胞治療と同じような効果が見込めるのではないかと期待をされています。デリケートな幹細胞と異なり、管理が容易です。 エクソソームの安全性は不確実 しかし、エクソソームの医学への応用はまだごく初期の段階です。医薬品として承認されるために必要な臨床試験などをほとんど経ていません。 流通している「エクソソーム」製剤は医薬品医療機器等法の承認を得ていない試薬などという扱いです。試薬であっても、自由診療の場では医師の責任において投与することが可能です。幹細胞治療と同等の効果を発揮するためには、非常に高濃度のエクソソームを投与する必要があると考えられています。 しかし、実際に高濃度のエクソソームを投与したときにどのようなことが起こるのかはまだはっきりわかっていません。これまでのところ目立って「悪いこと」が起こったケースがほとんどないため、「安全だろう」ということで使われているのです。 エクソソームの材料とはなにか エクソソームの安全性について論じる時に問題になるのはエクソソームそのものの安全性だけではありません。 多くの「エクソソーム」製品は細胞を培養してその培養液の上澄みを精製することで作られています。そのため、エクソソームをつくる「材料」の安全性もしっかりと考えていく必要があります。材料とは「エクソソームを分泌する細胞」と「細胞培養のための培地」のことです。 一般的に「エクソソーム治療」で使われるものは、様々な細胞に変化できる「間葉系幹細胞」と呼ばれる幹細胞を培養する際に分泌されるものです。では、この幹細胞はどこから来たものでしょうか。ご自身の細胞を手術などで採取していない限りは、誰か「他人」の間葉系幹細胞を使って作られたものです。幹細胞は骨髄・歯髄・脂肪・臍帯血などから得たものが中心になっています。 また、幹細胞を培養するためには最適な環境を整える必要があります。植物を育てる際には、植える時期を選んだり日当たりを気にしたりするでしょう。同様に、細胞を育てるにも細胞に合った「培地」が用いられます。そしてホルモンの供給や有害物質からの保護作用などの役割のため、培地には「血清」が添加されることがほとんどです。培地によく用いられる血清は牛の血清です。 エクソソームの材料による副作用 エクソソームを作る過程で「他人の細胞」「他の動物」由来の成分が含まれていると、心配しなければいけない副作用が2つあります。 ひとつはアレルギー反応、もうひとつは感染症です。 アレルギーは外界から何かを体に投与するときには切っても切り離せない問題です。特に、自分以外のもの由来の成分へのアレルギーは誰にでも起こり得ます。当然、「他人」「他の動物」由来の成分が含まれるエクソソーム療法も例外ではないのです。 そして、残念ながら誰にどんな反応が起こるかを予測する手立てはありません。 製剤として販売されるのですから、細胞も血清も基本的には危険な感染症のスクリーニングを受けたものが使用されているはずと思うかもしれません。しかし、感染が起こった直後のごく微量の微生物や、現時点でまだ知られていないウイルスなどがいる可能性はどうしても否定できないのです。 「エクソソーム」と謳われている製品でも、純粋なエクソソームだけを抽出したものではないのです。エクソソームの回収技術はまだ完全に確立されたものではありません。不純物が完全に除去されている保証はどこにもないのです。 そして一番怖いのは他人の遺伝子が含まれているということです。他人の遺伝子があるということで将来的にどのような疾患が出てくるのか予期できなくなるのです。 幹細胞による再生医療は、再生医療等安全確保法という法律があるのですが、上清液やエクソソームには法律がなく無法地帯なのが現状です。いつどこで、誰から作られたかもわからないでのす。 リペアセルクリニックの幹細胞治療は、「ご自身の細胞と血液を使用」して、国内では珍しい「冷凍せず培養」する方法にこだわっています。これにより、「高い生存率と高い活動率」を持った生き生きとした幹細胞を投与でき、良好な治療成績を実現しております。 エクソソームについて気になるQ & A Q:エクソソーム含有の健康食品やサプリメントに病気の治療や予防効果はある? サプリメントや健康食品は医薬品ではありません。基本的には病気を予防したり治療したりするものでないのです。したがって、エクソソーム含有されていることで、病気にならない・病気を良くするという効果については期待できません。 Q:エクソソーム治療は高額と聞きましたが保険はききませんか? 残念ながら、いかなるエクソソーム治療も現時点(2024/7)で公的な保険の適応外です。 なお、混合診療(自由診療と保険診療を同時に行うこと)は禁じられています。エクソソーム治療と同時に何らかの検査や処方をうけると、それらも自費扱いになることに注意が必要です。 まとめ・エクソソーム・幹細胞上清液での治療について、知っておくべき安全性や副作用、医師が解説!! エクソソーム治療は美容や関節の痛み、神経の損傷の後遺症など幅広い分野で期待されています。しかし、安全性の面からはまだまだ検証の余地が多く残っています。 安全性について心配であれば、幹細胞治療も選択肢になるでしょう。当院では患者様ご本人の細胞・血液を使い、独自の技術で培養することで生き生きとした幹細胞を投与できる体制を整えています。ぜひ一度お問合せください。 ■参考文献落合孝広. 生物資料分析 42(5): 217-221,2019. 花井洋人, 下村和範, 中村憲正. 臨床スポーツ医学. 37(5):599-603, 2020. 一般社団法人再生医療抗加齢学会幹細胞培養上清液に関する死亡事例の発生について 岩崎剣吾, 森田育男. 最新医学 73(9): 1243-1253, 2018. 厚生労働省|再生医療などのリスク分類・法の適用除外範囲の見直し 第二回ワーキンググループ(R3.1.18)における議論 株式会社ケー・エー・シー 細胞.jp|細胞基礎講座 細胞培養基礎講座 第7回「血清はなぜ必要?」 厚生労働省|再生医療等安全性確保法における再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直しに資する研究報告書 日本再生医療学会|エクソソーム等に対する日本再生医療学会からの提言 ▼その他、「エクソソームや幹細胞上清液」で参考にしていただける記事
2024.07.31 -
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最近ニュースでも大きく取り上げられている“脊髄梗塞”ですが、稀な疾患で原因が不明なものも多く、現状では明確な治療方針が定められていません。 後遺症に対してはリハビリテーションを行いますが、最近では再生医療が新たな治療法として注目されています。 脊髄梗塞の症状や原因については以下の記事で詳しく解説しています。 【予備知識】脊髄梗塞の発生率・好発年齢・性差情報 ある研究においては、年齢や性差を調整した脊髄梗塞の発生率は年間10万人中3.1人と報告されています。 脳卒中などの脳血管疾患と比較し、脊髄梗塞の患者数はとても少ないです。 また、脊髄梗塞の患者さんのデータを集めた研究では、平均年齢は64歳で6割以上は男性だったと報告されています。 参考:A case of spinal cord infarction which was difficult to diagnose しかし、若年者の発症例もあり、若年者の非外傷性脊髄梗塞の発生には遺伝子変異が関係していると示唆されています。 脊髄梗塞は治るのか? 結論から言うと、脊髄梗塞を完全に治すことは困難です。現在のガイドラインでは、完治までの治療方法は確立されていません。 したがって、脊髄梗塞の後遺症に対するリハビリテーションを正しくおこなうことが症状改善に有効とされています。 脊髄梗塞の後遺症について 脊髄梗塞の発症直後には急激な背部痛を生じることが多く、その後の後遺症として四肢の運動障害(麻痺や筋力低下など)や感覚障害(主に温痛覚低下)、膀胱直腸障害(尿失禁・残尿・便秘・便失禁など)がみられます。 四肢の運動障害(麻痺や筋力低下など) 感覚障害(主に温痛覚低下) 膀胱直腸障害(尿失禁や残尿、便秘、便失禁など) これらの症状に関しては入院治療やリハビリテーションの施行で改善することもありますが、麻痺などは後遺症として残ることもあります。 歩行障害の予後に関して、115人の脊髄梗塞患者の長期予後を調査した研究報告では、全患者のうち80.9%は退院時に車椅子を必要としていましたが、半年以内の中間調査で51%、半年以降の長期調査では35.2%と車椅子利用者の減少がみられました。 出典:Recovery after spinal cord infarcts Long-term outcome in 115 patients|Neurology Journals 同じ研究における排尿カテーテル留置(膀胱にチューブを挿入して排尿をさせる方法)の予後報告ですが、退院時には79.8%だったのが中間調査では58.6%、長期調査では45.1%へと減少がみられました。 症状が重度である場合の予後はあまり良くありません。 しかし、発症してから早い時期(1〜2日以内)に関しては症状が改善する傾向にあり、予後が比較的良好とされています。 【原因別】脊髄梗塞の治療方法 原因 治療方法 大動脈解離 手術 / 脳脊髄液ドレナージ(1) / ステロイド投与 / ナロキソン投与(2) 結節性多発大動脈炎 ステロイド投与 外傷 手術 動脈硬化・血栓 抗凝固薬 / 抗血小板薬(3) 医原性(手術の合併症) 脳脊髄液ドレナージ / ステロイド投与 / ナロキソン投与 (1)背中から脊髄腔へチューブを挿入し脊髄液を排出する方法 (2)脊髄の血流改善を認める麻酔拮抗薬 (3)血を固まりにくくする薬剤 比較的稀な病気である脊髄梗塞は、いまだに明確な治療法は確立されていません。 脊髄梗塞の発生した原因が明らかな場合にはその治療を行うことから始めます。 たとえ例えば、大動脈解離や結節性多発動脈炎など、脊髄へと血液を運ぶ大血管から中血管の病態に起因して脊髄の梗塞が生じた場合にはその、原因に対する治療がメインとなります。 一方で、原因となる病態がない場合には、リハビリテーションで症状の改善を目指します。 脊髄梗塞に対するリハビリテーション 脊髄梗塞で神経が大きなダメージを受けてしまうと、その神経を完全に元に戻す根本的治療を行うのは難しいため一般的には支持療法が中心となります。 支持療法は根本的な治療ではなく、症状や病状の緩和と日常生活の改善を目的としたものでリハビリテーションも含まれます。 リハビリテーションとは、一人ひとりの状態に合わせて運動療法や物理療法、補助装具などを用いながら身体機能を回復させ、日常生活における自立や介助の軽減、さらには自分らしい生活を目指すことです。 リハビリテーションは病院やリハビリテーション専門の施設で行うほか、専門家に訪問してもらい自宅で行えるものもあります。 リハビリテーションの流れ ①何ができて何ができないのかを評価 ②作業療法士による日常生活動作練習や、理学療法士による筋力トレーニング・歩行練習などを状態に合わせて行う 日常生活において必要な動作が行えるよう訓練メニューを考案・提供します。 脊髄梗塞発症後にベッド上あるいは車椅子移動だった患者さん7人に対して検討を行った結果、5人がリハビリテーションで自立歩行が可能(歩行器や杖使用も含まれます)となった報告もあります。 時間はかかりますし、病気以前の状態まで完全に戻すのは難しいかもしれません。しかし、リハビリテーションは機能改善に有効であり、脊髄梗塞の予後を決定する因子としても重要です。 再生医療が脊髄梗塞に有用! https://www.youtube.com/watch?v=D-THAJzcRPE このように、脊髄梗塞では確立された治療法がなく、場合によっては対症療法を中心に治療法自体を模索することも少なくありません。そのような中、近年では再生医療が脊髄梗塞を含めた神経障害に対して特異的な効果を発揮しています。 再生医療では、これまで回復が困難と言われてきた神経の障害に対しても常識を覆す効果を発揮し、これまでも脊髄梗塞におけるリハビリテーションの効果を向上させるとの報告や、脊髄損傷の重症度を改善したと報告がされており、これからの医療にとって新しい希望の光となっています。 再生医療とは、失われた身体の組織を修復する能力、つまり自然治癒力を利用した医療です。 当院で行なっている再生医療は“自己脂肪由来幹細胞治療”です。患者様から採取した幹細胞を培養して増殖し、その後身体に戻す治療法となっています。 幹細胞とは、いろいろな姿に変化できる細胞で、失われた細胞を再生・修復する機能をもちます。自分自身の細胞から作り出すので、アレルギーや免疫拒絶反応がなく、安全な治療法といえます。 日本における幹細胞治療では、一般的に点滴による幹細胞注入を行なっておりますが、それでは目的の神経に辿り着く幹細胞数が減ってしまうことが懸念されます。 そこで、当院では損傷した神経部位に直接幹細胞を注入する“脊髄腔内ダイレクト注入療法”と呼ばれる方法を採用しています。注射によって脊髄のすぐ外側にある脊髄くも膜下腔に幹細胞を投与する方法で点滴治療と組み合わせることにより、より大きな効果を期待できます。この治療は数分のみの簡単な処置で済み、入院も不要です。 実際に当院では術後や外傷、脊髄梗塞、頚椎症などの神経損傷に由来する麻痺や痺れ、疼痛などの後遺症に対して再生療法を施し、症状が大きく改善した例を経験しています。 脊髄梗塞に関するQ &A この項目では、脊髄梗塞に関するQ &Aを紹介します。 多くの方が抱えているお悩み(質問)に対して、医者の目線から簡潔に回答しているのでご確認ください。 脊髄梗塞の主な原因は? 脊髄梗塞の主な原因は以下のとおりです。 脊髄動脈の疾患 栄養を送る血管の損傷 詳細な原因については以下の関連記事で紹介しているのでぜひご確認いただき、症状改善の一助として活用ください。 脊髄梗塞の診断は時間を要する? そもそも脊髄梗塞は明確な診断基準がありません。 発症率が低い脊髄梗塞は最初から強く疑われず、急速な神経脱落症状(四肢のしびれや運動障害、感覚障害など)に加えてMRIでの病巣確認、さらに他の疾患を除外してからの診断が多いです。 また、MRIを施行しても初回の検査ではまだ変化がみられず、複数回の検査でようやく診断に至った症例が少なくありません。 ある病院の報告では、発症から診断に要した日数の中央値は10日となっており、最短で1日、最長で85日となっていました。 まとめ・脊髄梗塞は治るのか?治療法や後遺症のリハビリについて解説 脊髄梗塞は稀な疾患ゆえ、治療ガイドラインが確立されていません。 原因が明らかな場合にはその治療を行ない、原因が不明な場合には脱水予防の補液のみです。その後以降は後遺症を改善するべくリハビリテーションに努めるのがこれまでの一般的な治療でした。 しかし、2024年現在は再生医療に手が届く時代となり、今まで回復に難渋していた脊髄損傷も改善が見込めるようになりました。 脊髄損傷による後遺症に再生医療が適応となる可能性があります。気になる方はぜひ当院に一度ご相談ください。 ▼こちらも併せてお読みください。
2024.07.02 -
- 幹細胞治療
- 再生治療
- PRP治療
- 免疫細胞療法
「エクソソームって何?」「どんな効果があるの?」 近年、美容や医療で話題の「エクソソーム」ですが、体にどのような影響を与えるのか気になる方も多いのではないでしょうか。 エクソソームとは、内部にタンパク質やRNAを含んでいる小さな袋状の構造物です。 細胞の情報交換である「メッセンジャー」として機能しており、身体の健康を維持するのに重要な役割をはたしています。 本記事では、エクソソームの基本情報や美容・医療分野での活用例、注意点を解説します。美容や健康に興味があり、エクソソームについて理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では肌(皮膚)の再生医療が受けられる医療機関の1つです。まずはお気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 エクソソームとは「細胞から分泌される小さな袋」 エクソソームは、細胞から分泌される極小の袋のような構造です。 この袋の中には、細胞が作り出す重要な物質が含まれ、細胞間の情報伝達や体の機能維持に役立っています。 本章ではエクソソームの特徴や仕組みを以下のポイントで解説いたします。 エクソソームは内部にタンパク質やRNAを含んでいる 細胞間の情報伝達を担う物質 幹細胞培養上清液は「エクソソームを含む液体」 それぞれわかりやすく説明しているので、ぜひ参考にしてください。 エクソソームは内部にタンパク質やRNAを含んでいる エクソソームは、細胞から分泌される直径30〜150ナノメートルほどの小さなカプセル状の構造物です。 小さな袋の中には、タンパク質やRNAなどのさまざまな物質が含まれており、細胞間で情報を伝達する役割を担っています。(文献1) たとえば、エクソソーム内のRNAは特定の指示を細胞に届け、必要な働きを促進しており、この仕組みを活かして病気の診断や治療にも利用されています。 エクソソームが持つ情報伝達能力が、多くの研究で注目されている理由の1つです。 細胞間の情報伝達を担う物質 エクソソームは、細胞同士が情報を交換する「メッセンジャー」として機能します。 この情報伝達は、免疫系の調整や組織の修復過程において周囲の細胞に働きかけるなど、体内で起こる重要なプロセスを支えているのです。 たとえば、免疫系細胞から分泌されるサイトカインは、感染に対する免疫応答を調節する役割を果たし、他の免疫細胞を活性化させたり、炎症反応を誘導したりします。 また、エクソソームは組織修復過程において、様々な生理活性物質を周囲の細胞に運び、細胞間の情報伝達に関与していると考えられます。 このようにエクソソームは、体の健康維持に関与する重要な役割を担っています。 幹細胞培養上清液は「エクソソームを含む液体」 幹細胞培養上清液は、幹細胞を培養する過程で得られる液体で、エクソソームを含む成分が豊富にあるのが特徴です。 この液体には、成長因子やタンパク質なども含まれており、エクソソーム単体よりも多機能な性質を持ちます。 また、幹細胞培養上清液は、美容クリニックや医療分野で利用され、肌の再生や組織修復の効果が期待されています。 エクソソームにはどんな役割があるの? エクソソームが注目されている理由はさまざまありますが、具体的な役割として以下の3つが挙げられます。 細胞間コミュニケーションの仲介役 体の機能を調整する役割 病気の治療にも役立つ可能性 本章ではエクソソームの可能性と活用例を解説していきますので、チェックしてみてください。 細胞間コミュニケーションの仲介役 エクソソームは、細胞同士が情報を交換する際の仲介役です。 たとえば、免疫細胞から放出されたエクソソームは、炎症反応の調節に関与していると考えられています。また、組織の修復過程において、周囲の細胞に働きかける可能性があります。 細胞間のやり取りがスムーズになると体全体の健康が保たれると考えられ、この役割がエクソソームの研究や治療への応用を後押ししています。 体の機能を調整する役割 エクソソームは、体のさまざまな機能を調整する役割も持っています。 たとえば、ホルモンのように全身の細胞にメッセージを伝え、炎症を抑えたり、傷ついた組織の周囲の細胞に働きかける役割を持ちます。 エクソソームが担うこれらの役割が、病気の予防や治療に新たな可能性を提供していると言えるでしょう。 病気の治療にも役立つ可能性 エクソソームは、病気の治療にも応用が期待されています。 たとえば、がん治療ではエクソソームを使って薬を患部に直接届ける技術が研究されており、神経疾患や心血管疾患でも、情報伝達能力を活用した治療法が注目されています。(文献2) これらの応用例から、エクソソームは治療法の選択肢を広げる重要な要素といえるでしょう。 研究の進展が、さらなる可能性を示しています。 \まずは当院にお問い合わせください/ エクソソームが注目される3つの理由 エクソソームは医療や美容の分野で多くの可能性を秘めています。 近年の研究では、診断や治療への応用も進められています。 医療分野での応用 美容分野での効果に期待 病気の診断や治療への応用が研究 ここでは、エクソソームが注目される理由を3つのポイントで解説します。 医療分野での応用 エクソソームは、ドラッグデリバリーシステム(DDS)として医療分野で注目されています。(文献3) 薬剤を効率的に運ぶ役割を担い、副作用の軽減も期待されています。 たとえば、エクソソームを使ってがん細胞にだけ薬を届ける技術の研究です。 この技術は、治療効果を高めるだけでなく、患者の負担を軽減する大きな可能性を秘めています。 エクソソームを使った治療法は、これからの医療の革新を支える重要な要素と言えるでしょう。 美容分野での効果に期待 エクソソームは、美容業界でも多くの注目を集めています。 肌の再生やエイジングケアを目的とした治療法に活用され、細胞の修復を促すことで肌の若返り効果が期待されています。(文献4) また、美容クリニックではエクソソームを用いた施術が増えており、シワやたるみの改善、肌質の向上が報告されているのも現状です。 そのため、今後エクソソームの作用によって、美容分野での新しいトレンドが生まれる可能性があります。 病気の診断や治療への応用が研究 エクソソームは、病気の診断ツールとしても研究が進んでいます。 血液や尿中のエクソソームの分析によって、がんや神経疾患の早期発見が可能になるとのことです。 また、特定の疾患に関連する分子が含まれるため、個別化医療の発展にも寄与すると期待されています。 これらの研究は、診断の精度を向上させるだけでなく、患者一人ひとりに合った治療法を提供する道を切り開いています。 エクソソーム治療の4つの注意点 エクソソーム治療は、新しい治療法として期待されていますが、まだ発展途上の技術です。 そのため、いくつかの課題があります。 現時点で有効性や安全性が確実に証明されていない まだ技術的にしっかりと確立されたものではない 内容物や生体内での作用の確認技術が未確立 法規制が曖昧 ここでは、エクソソーム治療を受ける前に知っておくべき4つの注意点について解説します。 現時点で有効性や安全性が確実に証明されていない エクソソーム治療は研究段階にあり、有効性や安全性が十分に確認されているわけではありません。 期待される効果がある一方で、治療後の長期的な影響についてはまだ不明な点も多いです。 そのため、治療を受ける際には信頼できる専門機関で最新の情報を確認する必要があります。 過度な期待を抱く前に、正しい現状理解が大切です。 まだ技術的にしっかりと確立されたものではない エクソソームを利用した治療技術は、完全に確立された段階には至っていません。 たとえば、エクソソームの生成方法や質のばらつきが課題となっています。 技術が進化している途中であり、研究者や医療関係者の間でも意見が分かれるケースがあります。 新しい技術ゆえの限界を理解しつつ、最新の動向に注目することが必要です。 内容物や生体内での作用の確認技術が未確立 エクソソームにはさまざまな物質が含まれており、その内容物が生体内でどのように作用するかを完全に把握する技術は未確立です。 このため、想定外の反応が起こるリスクも否定できません。 現時点では適切な品質管理や作用メカニズムの解明が求められる段階です。治療を選ぶ際には、この点を理解しておきましょう。 法規制が曖昧 エクソソーム治療に関する法規制は、国や地域によって異なり、日本国内でも明確ではありません。 一部のクリニックでは法的な枠組みが十分整っていない中で施術が行われるケースもあります。 安全性や倫理面での問題を回避するためにも、治療を受ける前に施設の信頼性や規制状況を確認しておきましょう。 エクソソームの安全性や副作用についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、ご覧ください。 まとめ|エクソソーム治療は有効性や安全性を理解しておこう! エクソソームは細胞から分泌される小さな袋状の物質です。細胞間の情報伝達や体の機能調整など、さまざまな役割を担っています。 医療分野では、がん治療や再生医療などへの応用、美容分野では肌の再生や老化防止などの効果も期待されています。 しかしエクソソーム治療はまだ新しい治療法であり、注意すべき点もあるのが事実です。有効性や安全性、費用など注意点を確認の上、治療を受けるべきか判断しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」が提供する皮膚再生医療は、脂肪由来幹細胞を活用した最新の治療です。再生医療が気になる方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ エクソソームに関するよくある質問 エクソソームは何に効くの? エクソソームは、細胞間の情報伝達を担う物質として研究されています。 がん、神経疾患、再生医療など、幅広い医学分野においてエクソソームの研究が行われています。 さまざまな分野で仕組みの解明や可能性の探求が進められており、将来の科学的な発見が期待されています。 エクソソーム点滴の費用はいくらですか? エクソソーム点滴の費用は、施術内容やクリニックによって異なりますが、1回あたり5万円から10万円程度が相場です。 美容や医療目的で利用されるケースが多く、複数回の施術が推奨される場合もあります。 費用の詳細や施術内容を事前に確認し、自分の目的や予算に合った治療を選ぶことが大切です。 また、過剰な価格設定を避けるためにも、信頼性の高いクリニックを選ぶようにしましょう。 エクソソーム点滴治療の有効性については以下の記事でも詳しく紹介しています。 また、当院「リペアセルクリニック」では手術や入院を必要としない「再生医療」を提供しています。 肌再生治療に興味がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献 (文献1) 厚生労働省「エクソソーム等に対する日本再生医療学会からの提言|一般社団法人日本再生医療学会 理事長 岡野栄之」 https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001165575.pdf (文献2) 一般社団法人日本再生医療学会「エクソソーム等の調製・治療に対する考え方」 https://www.jsrm.jp/cms/uploads/2021/04/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%86%8D%E7%94%9F%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%AD%A6%E4%BC%9A_%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%A0%E8%AA%BF%E8%A3%BD%E3%83%BB%E6%B2%BB%E7%99%82%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9.pdf (文献3) 吉岡祐亮,落谷孝広「エクソソームによる新規 DDS キャリアの開発|Drug Delivery System(35,1) https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/35/1/35_35/_pdf (文献4) 金子剛,宮田晃史 ほか「ヒト脂肪由来間葉系細胞エクソソーム配合美容液の肌に対する有効性評価|診療と新薬(60) https://shinryo-to-shinyaku.com/db/pdf/sin_0060_10_0653.pdf
2024.06.27 -
- 再生治療
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
野球選手の肩の怪我で多い野球肩には種類があります!原因と最新治療法について メジャーリーグのドジャース山本由伸選手の肩の怪我は、最新の治療方法である「再生医療」で治療できる可能性が高いといえます。 投球やバッティングなど、腕の動作を繰り返す野球選手にとって「肩の怪我」は珍しいことではありません。 肩に問題を生じたら速やかに治療を開始する必要がありますが、どのような原因で、どのような症状を呈するのかについて知っておくことも重要です。 そこで、野球選手の肩の怪我の原因や症状、治療法について解説します。また、最近注目を集めている再生医療についてもご紹介します。 野球選手の肩の怪我は野球肩が原因の可能性が高い! 野球選手の肩の怪我の主な原因は「野球肩」によるものであると考えられます。 野球肩とは、野球の投球動作のように腕を大きく振る動作を繰り返すことにより、肩関節に関わる腱や筋、骨が損傷や炎症を起こしている状態の総称です。 そして、野球肩には種類があります。 野球肩の種類 腱板損傷 上腕骨骨端線離開(リトルリーグショルダー) 動揺性肩関節症(ルーズショルダー) 肩甲上神経損傷 インピンジメント症候群 「腱板損傷」とは 肩の中にある筋肉の腱の複合体である腱板が損傷を起こしている症状で、日常生活における肩の痛みにより生活の質を大きく落とす可能性が高いです。 「上腕骨骨端線離開」とは 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」とは「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使することで周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 「肩甲上神経損傷」とは、 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、或いは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 「インピンジメント症候群」とは、 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 メジャーの山本由伸選手の肩の怪我は再生医療で早期回復を目指せる 野球選手の肩の怪我はさまざまで、その症状次第で適切な治療法は異なります。そして、概ね数週間から、長ければ年単位での肩の安静が必要です。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は有名野球選手も利用実績のある治療法であり、手術や入院を避けることができるため、体への負担が少なく、治療にかかる期間が短めであるというメリットがある治療法です。 肩の症状を早く改善し、スポーツへの早期復帰を目指せる可能性がある治療法として、画期的な方法です。最近非常に注目されています。 もしも、早くスポーツに復帰したいと考えるのであれば「再生医療」を検討してみる価値が大いにあります。 まとめ・野球選手の肩の怪我で多い野球肩の種類!原因と最新治療法について 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーションや、重症の場合は手術というものでしたが、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えて欲しものです。なぜなら、選手生命を護ることが出来るからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
2024.06.18 -
- 幹細胞治療
- 再生治療
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
- インピンジメント症候群
- 上肢(腕の障害)
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸選手が発症!肩腱板損傷とは? 負傷者リストに入ってしまったようで心配です。野球選手にも多い肩腱板の損傷についてその原因と治療法を詳しく説明いたします。 日常生活の中で何気なく動かしているように思う肩ですが、思わぬケガが原因で強い痛みが出たり、動かせなくなったりすることがあります。 スポーツ障害でも多い腱板損傷は、そのような状態を引き起こすもののひとつです。 今回は、その腱板損傷について詳しくご紹介します。 肩腱板損傷とは?その症状について 腱板は肩に存在する筋で、板のように広がっているので腱板といいます。 腱板を構成するのは「肩甲下筋腱」「棘上筋腱」「棘下筋腱」「小円筋腱」という4つの筋肉です。これらが肩の骨を囲み、肩関節の安定性に働きかける重要な存在です。 その腱板が部分的、または完全に断裂するのが腱板損傷です。主な症状は痛みですが、軽い場合もあれば、動かせないほどの激痛、夜間に起こる痛みなど程度に差があります。 部分的な断裂では、肩を動かせないということはあまりありません。損傷が激しい場合、腕が上がらなくなったり、肩が動かしにくいという症状が出ることもあります。 肩腱板損傷の原因とは? 腱板損傷の原因について見ていきましょう。腱板損傷の原因は大きく3つにわけられます。 外傷 腱板損傷の原因で多いのが外傷、つまりケガです。転んで肩を強く打つ、手をついたときに肩に衝撃が加わるというのが腱板を傷つけてしまうことがあるのです。 オーバーユース スポーツ医療でも注目される腱板損傷ですが、ケガというよりも肩の使い過ぎが原因のことが多いです。 その代表的なスポーツが野球です。何度も繰り返しボールを投げることで、肩関節や腱板に負荷がかかってしまうのです。 加齢によるもの 加齢によって腱板損傷が起こることもあります。年齢を重ねると腱や軟骨など、身体の組織も衰えてしまいます。そのため、自分でも気が付かないうちに腱板が傷ついていることもあるのです。 肩腱板損傷の治療法とは? 肩の腱板損傷の治療法をご紹介します。近年期待されている治療方法についても見ていきましょう。 保存療法 肩の腱板損傷の治療は基本的には保存療法です。急性期には三角巾で固定し、患部の安静を保ちます。痛みや腫れがある場合は痛み止めの注射やヒアルロン注射を行うこともあります。 また、腱板が損傷した状態で無理に動かすと再発したり、ひどくなったりすることがあるので、リハビリも大切です。 手術 保存療法で痛みが改善しない、損傷がひどく肩の動きが悪いという場合には手術を検討します。損傷した腱板を手術によって直接修復するというものです。 近年は関節鏡といって皮膚を大きく切らない手術が行われています。術後1~2週間ほどで痛みが落ち着くことが多いですが、正常な肩関節の状態に戻すにはリハビリ期間を含めて6か月程度かかることが多いです。 再生医療 これまで腱板損傷の治療は保存療法と手術がメインでした。しかし、手術となれば治療やリハビリを含めてスポーツ復帰までの期間が長くなります。 そんな中、近年、腱板損傷の治療法として再生医療が注目されています。 再生医療は、自身の脂肪から採取した幹細胞を肩腱板に注射します。そして幹細胞が傷ついた腱板や組織を修復するというものです。 外科的な手術をしないで治療できるため、治療期間の短縮も期待できます。 まとめ・メジャーリーグ(ドジャース)山本由伸が発症!肩腱板損傷について 今回は肩の腱板損傷についてご紹介しました。 今回の山本由伸選手をはじめとして、肩を酷使する野球などのスポーツで使い過ぎによって肩の腱板が傷つくことがありますし、加齢によって腱板損傷を起こすこともあります。 プロの選手のように日常からケアをしていても、発症することがあるため、注意が必要です。プロ野球選手のように選手生命という問題がある場合は無理もできません。 そこで近年、治療法として注目を集めているのが再生医療です。特に幹細胞治療は、自分の幹細胞を用いるので、副作用のリスクが少なく、治療期間も短くて済むというメリットがありスポーツをされている方に最適です。 もちろん、再生医療はスポーツ選手ではなくとも有効です。 肩の痛み、肩の腱板損傷でお悩みの方は、再生医療による治療を検討してみてはいかがでしょうか。お気軽にご相談ください。 ▼肩の腱板損傷の回復を目指す再生医療とは https://fuelcells.org/treatment/shoulder/ ▼スポーツ選手の選手生命を護る再生医療をご存知でしょうか https://fuelcells.org/treatment/sports/
2024.06.18 -
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リゾトミーの術後後遺症にお悩みですか?日帰り最新医療のご紹介 「つらい腰痛が良くなると思って受けた治療で、後遺症が残ってしまった…」 そのようなお悩みはありませんか。 リゾトミーは慢性難治性腰痛の原因となる神経の伝達を遮断し、痛みをとる方法です。体への負担は少ないとされていますが、医療行為である以上は合併症のリスクからは逃れることはできません。人によっては後遺症が長期化してしまうこともあり得ます。 この記事では腰痛に対するリゾトミーの詳細と、術後後遺症としての神経損傷について、そして最新の後遺症治療の「再生医療」について解説しています。 リゾトミーとは?高周波熱凝固療法について解説 リゾトミーは英語でrhizotomyと表記されます。主に脊椎の椎間関節の痛みをもたらす脊髄神経後枝内側枝に対する「高周波熱凝固療法」のことです。整形外科、あるいは疼痛を専門に扱う「ペインクリニック」で行われています。 この高周波熱凝固療法の技術は、従来の神経ブロック注射で効果が一時的である慢性難治性疼痛に用いられるものです。リゾトミーにおいては、椎間関節ブロックによって痛みが椎間関節由来だと診断された場合に行われます。 高周波熱凝固療法では、ターゲットの神経のすぐ近くにピンポイントで高周波(ラジオ波)を流す特殊な針を刺します。ラジオ波が神経組織内のイオン分子を高速振動させることで神経組織が高温となり、熱で変性するのです。変性した神経は痛みを伝える機能を失うため、痛みを感じなくなります。 このような治療は、神経の伝達を遮断して痛みが脳に伝わらないようにするため「神経破壊法」と呼ばれています。神経を破壊するというと恐ろしく感じるかもしれませんが、長期に痛みを抑える優れた治療法として広く用いられています。 従来、リゾトミーはX線による透視画像を見ながらターゲットになる神経を探していました。一部の施設では内視鏡の技術を用いたリゾトミーも行われています。この内視鏡とは、坐骨神経痛などを起こす椎間板ヘルニアの手術(PELD手術)で実用化されているものです。内視鏡で直接ターゲットの神経を探すことで、より確実にねらった神経を遮断することができます。日本国内ではまだできる病院やクリニックは少ないですが、今後普及していくかもしれません。 リゾトミーの術後合併症としての神経損傷 リゾトミーの合併症のうち、後々まで問題になりやすいのが神経損傷です。滅多に起こることではありませんが、神経を傷つけてしまうことで、痺れ・痛み・麻痺などが起こります。 傷ついた神経の再生は非常に困難です。確実に治るという治療法はなく、内科的な投薬治療やリハビリテーションを組み合わせて自然に良くなるのを待つことになります。徐々に改善する方もいますが、症状が長期にわたって続く場合も残念ながら存在します。 術後後遺症に再生医療 術後後遺症が良くならない場合の選択肢として、「幹細胞治療」が期待されています。幹細胞治療とは、臓器や器官の機能再生を目的とした再生医療のひとつです。 幹細胞治療では、「幹細胞」と呼ばれる万能細胞を用います。幹細胞は自分自身を複製できる能力(自己複製能)と体の様々な臓器・組織の細胞に変化できる能力(分化能)をもつ細胞のことを指します。 幹細胞治療では幹細胞のもつ分化能を利用しています。傷ついた部位に幹細胞を投与することでその臓器や器官が「再生する力」を引き出しているのです。 これまで、幹細胞治療は多くの疾患への可能性が示唆されてきましたが、神経もその一つです。従来、傷ついた神経組織は回復が非常に困難と考えられていました。しかし、最先端の再生医療では、この神経の修復もできるのではと期待されています。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE 日帰り再生医療の実際 当院では様々な神経損傷に対して幹細胞治療を提供しています。実際の治療の流れを3ステップでご説明します。 ①脂肪採取 診察や各種検査の結果から、幹細胞治療を行うことが決定したら、まずは幹細胞の採取を行います。当院では、患者様ご自身の脂肪から幹細胞を採取しています。お臍の下あたりから、脂肪を米粒2~3粒ほどの少量を採取します。傷は1cmほどと小さく、局所麻酔で可能な上、痛みもほとんどありません。 ②細胞培養・増殖 取り出した脂肪から、幹細胞を取り出して培養していきます。当院の細胞加工室の技術は国内トップクラスです。他施設で用いられる牛などの血清でなく、患者様ご本人の血清を用いた培養をすることで、感染症やアレルギーのリスクを抑えています。輸送や保存の際に幹細胞を凍結しないため、フレッシュで生き生きとした状態で細胞の投与が可能です。 ③患部への投与 4〜6週間かけて幹細胞を培養したら、患者様に投与を行います。当院では点滴だけでなく、「脊髄腔内ダイレクト注射療法」を行なっています。背中から細い針を刺して、幹細胞を脊髄のすぐ近くに直接注入する方法です。直に幹細胞を届けることができるため、神経の再生能力がより高まることが期待されます。投与は局所麻酔下で行い、当日にご帰宅いただけます。 まとめ・リゾトミーの術後後遺症にお悩みですか?日帰り最新医療のご紹介 リゾトミーと術後後遺症、また合併症治療の最先端についてご紹介いたしました。 つらい神経障害の後遺症に対してお困りであれば、幹細胞治療をご検討されてはいかがでしょうか。 当院ではしっかりご納得いただいた上で治療を選んでいただくことを大切にしております。お電話やメールでの無料相談も受け付けております。 気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。 参考文献 伊達久. 医学と薬学. 77(1): 31-37, 2020. 山口忍, 吉村文貴, 松本茂美, 竹中元康, 飯田宏樹. 日本臨床麻酔学会誌. 34(7): 938-946, 2014. 濱口眞輔, 山田哲平. 麻酔 68(9): 959-965, 2019. 奥田泰久. 日本臨床麻酔学会誌 38(5): 622-626, 2018. 金子和生, 田口敏彦. 日本腰痛学会雑誌 12(1):72-76, 2006. 腰痛診療ガイドライン2019 改訂第2版 Chen KT, Kim JS, Huang AP, Lin MH, Chen CM. Current Indications for Spinal Endoscopic Surgery and Potential for Future Expansion. Neurospine. 2023 Mar;20(1):33-42. doi: 10.14245/ns.2346190.095. Epub 2023 Mar 31. PMID: 37016852; PMCID: PMC10080449. 再生医療ポータル 再生医療について 再生医療の現状と展望 ▼こちらもあわせてお読みください。
2024.03.29