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水頭症による高齢者の認知症症状は“手術で治る”って本当? 認知症の発症率は、高齢化が進むにつれて増えてきています。認知症には複数の原因となる疾患がありますが、その中でも治療可能とされているのが水頭症が原因による「特発性正常圧水頭症」です。 特発性正常圧水頭症による認知症は、認知症全体の5%~10%を占めるといわれており、他にはアルツハイマー型・レビー小体型認知症・血管性認知症などがあります。 【認知症の主な原因疾患】 ・特発性正常圧水頭症 ・アルツハイマー型 ・レビー小体型認知症 ・血管性認知症 本記事では、“水頭症による高齢者の認知症症状が手術で治る”とはどういうことなのか、さらに特発性正常圧水頭症の症状や検査、治療について詳しく解説していきます。 特発性正常圧水頭症とは 認知症の中でも「特発性正常圧水頭症」とは、頭蓋内に脳脊髄液が溜まり、脳が圧迫されて様々な症状が出る水頭症の一種です。 脳脊髄液は、脳室で毎日一定量がつくられ、脳と脊髄の周囲を循環し、静脈などに吸収されていきます。何らかの原因で、この循環に異常が生じると水頭症が発生します。 正常圧水頭症には3つのタイプがあり、最も多いのが特発性正常圧水頭症です。原因は不明ではありますが、主に高齢者に多く発症するとされています。 その他にも、くも膜下出血や髄膜炎などを発症した後に生じる二次性正常圧水頭症や、遺伝的要因により発症しやすいと考えられる家族性正常圧水頭症がありますが、極めて稀な疾患です。 ◇水頭症の症状 特発性正常圧水頭症では、脳の前頭葉の広範囲が障害されることにより、歩行障害、排尿障害、そして認知障害が現れます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。 歩行障害 特発性正常圧水頭症による歩行障害には、下記のような特徴があります。 ・開脚歩行(足が開き気味で歩く) ・小刻み歩行(小股でよちよち歩く) ・すり足歩行(膝を上げずに歩く) ・不安定な歩行(方向転換の時にふらつきやすい) ・歩き出しづらい ・突進現象(歩き出すとうまく止まることができない) 排尿障害 頻尿になったり、尿意を感じにくくなったりします。症状が進行すると、尿意を感じてから我慢できる時間が短くなり、失禁しやすくなります。 認知障害 物忘れや理解力の低下が生じ、ぼーっとするような時間が多くなります。 特発性正常圧水頭症は、歩行障害が初期症状として現れることが多いとされています。 上記の症状のセルフチェックを行い、歩行障害に加えて、排尿障害や認知障害が生じた場合は特発性正常圧水頭症を疑い、病院を受診するようにしましょう。 ◇水頭症の検査 特発性正常圧水頭症では、上記症状をチェックする身体診察が行われ、その程度が確認されます。そのあと、MRIやCTによる脳の画像検査が行われ、特発性正常圧水頭症の疑いが濃厚になった時点で、「タップテスト※」が行われます。 ※タップテストとは、腰椎から脊髄液を30ml程度排除することにより、症状改善がみられるかどうかを確認するテストです。 脊髄液の排出後、歩行などの動きが良くなった場合は「水頭症」と診断され、手術(シャント術)が勧められます。 ◇水頭症の治療 特発性正常圧水頭症の治療では、脳脊髄液の流れを良くする「髄液シャント術」と呼ばれる手術を行います。これは、カテーテル(管)を体内に埋め込むことで、過剰に溜まってしまった脳脊髄液を排出することで脳への圧迫を解放し、髄液循環や脳神経機能を改善させる治療法です。 髄液シャント術の方法には、「VPシャント(脳室-腹腔シャント)」、「VAシャント(脳室-心房シャント)」、「LPシャント(腰椎-腹腔シャント)」があります。 最近では、LPシャントが主流になりつつありますが、腰椎の変形などが強い場合には他のシャントを行います。いずれの手術も脳神経外科の手術としては比較的短時間で行われる手術です。手術時間の目安はおよそ1時間程度です。 ◇水頭症の手術費用 一般的な手術費用は、診療報酬点数が24,310点となっているので、1点=10円とすると約7万円(3割負担)となります。 高額療養費制度を利用すると、自己負担限度額を超えた部分が払い戻されるので、最終的には更に軽減される可能性があります。 ◇水頭症の術後 手術により植え込まれたカテーテルは、定期的に詰まったり壊れたりしていないかチェックし、髄液を抜く量が適切に設定できているか確かめる必要があります。 シャント圧調整方法としては、管の途中に脳脊髄液圧を調節するバルブがついているため、体外から設定圧を調節できるようになっています。シャント圧を下げ過ぎてしまうと、頭蓋内圧が低下し低髄圧症候群を起こしてしまうことがあるので注意が必要です。 カテーテルにより抜ける髄液量は、生活の仕方や体格の変化によって変動するため、定期的にCTやMRIを撮影して頭の中に異常がないかを確認し、適切な髄液量を決めていく必要がありますので定期的に通院するようにしましょう。 まとめ・水頭症は手術で治る可能性のある認知症! 現在のところ、薬物療法はなく手術が唯一の治療法になります。手術しなければ症状が進行し、寝たきりになってしまうなど、手遅れになるリスクもありますが、生命に関わる病気というわけではありません。手術は症状の改善を主な目的としているため、生活の質を上げたい方にはおすすめです。 現在では、歩行障害は8~9割、排尿障害や認知障害は5~7割に有効とされています。このようなことから、“水頭症による高齢者の認知症症状は手術で治る”と言われています。 しかし、特発性正常圧水頭症は治る可能性のある認知症ですが、正確に診断され治療に至るケースはまだまだ少ないのが現状です。早期発見、治療により生活の質が格段に改善する可能性があるので、疑わしい症状がある場合は早期受診をおすすめします。 この記事がご参考になれば幸いです。
公開日:2024.10.07 -
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脳出血の原因と症状、後遺症の種類とリハビリによる改善の可能性 脳出血は、手足の麻痺や呂律が回らないなどの症状で発症することが多く、後遺症が残った場合は日常生活に支障をきたしてしまいます。そのため、治すことができるかは深刻な問題です。 一般的に脳出血の後遺症の程度は出血が起こった場所や発症した時の症状の重さと関係があります。そのため、症状が重い場合は完全に症状をなくすことは難しいのですが、早期からのリハビリテーション(リハビリ)によって、改善する可能性があります。 この記事では、脳出血の症状と原因、後遺症の種類、さらに後遺症を改善するためのリハビリについて解説していきます。 脳出血の症状と原因 脳出血は頭痛や吐き気、手足の麻痺など様々な症状を引き起こします。 脳に張り巡らされている血管の一部が破れて出血を起こす病気で、漏れ出た血液が脳の細胞を圧迫してしまい、脳細胞が障害を負ってしまうことが症状の原因です。 脳は部位によって機能が分かれているため、出血した部位に応じた症状が出てきます。脳幹という脳の重要な神経が密集している部分や錐体路(すいたいろ)という運動神経が走行している部分に障害が及ぶと、意識状態が悪くなってしまったり、重い麻痺が出てしまうことがあります。 また、場所の他に出血の量が多ければ、それだけ脳が圧迫される部分が多くなってしまうので症状が強くなります。部位による症状の例として、前頭葉という脳の前の部分の脳出血では、意欲の低下などが起こりやすくなります。さらに言語・記憶などを制御する側頭葉に障害が及ぶと、言語障害や記憶障害などが出てしまいます。 また、ご高齢であることや、初めの症状が重症であるほど、後遺症が残ってしまう可能性が高くなります。一度障害を負った脳細胞は完全に回復することができず、脳の他の部分がカバーして機能を改善させていきますが、それにも限度があります。そのため、急激に症状が悪化しないように発症してすぐは血圧を下げるなどの症状を悪化させない管理、治療が必要となります。 脳出血|後遺症の種類 脳出血は適切な治療をしても、後遺症が残ることが少なくありません。 脳出血による主な後遺症は以下のような種類があります。 運動麻痺 片側の手足が動かしづらくなる症状で、脳出血が生じた部位によって変わります。 感覚障害 触覚や痛覚が鈍くなったり、逆に過敏になり痺れを感じる場合もあります。 言語障害 構音障害という呂律が回りづらくなる症状や、失語症という言葉が出づらくなったり、理解できなくなる症状があります。 目の障害 視野が狭くなったり、物が二重にみえる症状がでる場合があります。 嚥下障害 食べ物を飲み込みにくくなります。 高次脳機能障害 記憶や注意の障害、感情障害(怒りっぽい、感情の起伏が激しくなる、感情が鈍くなる、悲観的になる、何事にもやる気が出なくなる)などが出現します。 後遺症によっては、治療後も日常生活に影響が出ることもあるので、後遺症の内容を知っておくことが大切です。 リハビリの可能性と改善の程度 このように、脳出血は一度発症すると、完全に回復することは難しいです。しかし、脳出血の後遺症は、リハビリ次第で軽くできる可能性があるので、なるべく自立した生活を取り戻すことができるように積極的にリハビリを行うことが勧められます。 脳出血では発症してから早期のリハビリが推奨され、特に廃用症候群(※)の予防をすることや、障害された部位を積極的に使うリハビリが必要となります。 ※廃用症候群とは、病気の治療のために安静にしすぎた結果、筋力が衰え身体機能が低下してしまう状態です。 そのため、全身状態を管理しながら、関節を動かす程度の負荷の少ないリハビリから行っていきます。特に麻痺側は関節拘縮(こうしゅく)が起こりやすい状態となっているため、可動域制限の予防のためにできるだけ早期に行うことが重要です。その後、状態が安定してきたら、徐々にベッドから離れて、様々なリハビリを開始します。 次に日常生活に復帰するためのリハビリを行います。回復期リハビリと言われ、およそ発症後2ヶ月から6ヶ月程度が目安です。ここでは機能や日常生活動作の障害の程度に基づいて多職種でリハビリを行い、在宅復帰や復職を目指していきます。また障害の程度に応じた介護のサービスも含めて、在宅支援のための調整を行っていきます。 脳出血の後遺症・リハビリに関してよくある質問 Q:後遺症はどの程度改善する可能性がありますか。 A:時間が経ってしまった麻痺症状は、改善の見込みが難しくなります。脳出血による麻痺では、一般的に発症後6ヵ月までは改善する見込みがあります。回復期と呼ばれるこの時期に、ダメージを受けた脳神経のネットワークの再構築が起こると考えられているため、機能回復を最大限にするための積極的なリハビリが必要です。 Q:脳出血のリハビリの期間は? A:急性期病院で脳出血の治療を受けた後は、回復期病院でリハビリを中心とした治療を行い、自宅復帰という流れが一般的です。 回復期病院での入院およびリハビリの可能な期間は、発症から最大で150日、高次脳機能障害を伴う場合は180日と決まっているので、長くても6ヶ月となります。 Q:リハビリはどこで受けられますか。 A:リハビリは医師の指示のもと、病院や診療所、医院もしくは在宅でも医療保険を利用して受けることができます。 また、介護保険を利用して、通所リハビリや訪問リハビリテーション等のサービスも利用することができます。 発症から最大で150日、高次脳機能障害を伴う場合は180日まで可能です。また期間を過ぎた後でも自費でリハビリを提供している施設などで、自費リハビリを行うことも可能です。施設によって多くのプランがあり、自分で選ぶことができます。 まとめ・脳出血の原因と症状、後遺症の種類とリハビリによる改善の可能性 いかがでしたでしょうか。脳出血で考えられる後遺症や、症状を改善させるためにリハビリが必要なことについて解説してきました。 脳出血は生活習慣病の1つであり、発症後の治療も重要ですが、予防が最も大切です。後遺症を残したり、寝たきりとなってしまわないように、日常生活を見直して発症予防に努めていくことが必要です。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼脳出血のチェック方法について 脳出血の初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない
公開日:2024.10.07 -
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- 下肢(足の障害)
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捻挫で歩けるけど痛い場合は病院に行くべき? 捻挫で歩けるけど痛いのをなんとかするにはどうしたら良い? 足をひねったにもかかわらず、痛みを我慢して歩ける程度だから病院に行くかどうか迷っていませんか。 歩けてしまうだけに「もしかしたら病院に行くほどではないのかも」と不安になってしまいますよね。 結論、テーピングなどで応急処置をして、心配なら早めに病院を受診しましょう。 歩けるからといってそのままにしたり無理に動かしたりすれば、痛みの悪化や再発を招く可能性があります。 本記事では、歩けるけど痛い程度の捻挫に対する正しい対処法を解説します。 最後まで読んですぐに対応すれば、早期回復を目指せるはずです。 捻挫で歩けるけど痛いときの対処法【現役医師が解説】 捻挫で歩ける場合でも、正しい対処法の実施が大切です。 何もせずに放っておくと、痛みや腫れの症状が悪化したり、捻挫の再発につながったりします。 怪我をしてすぐの対処法として「RICE処置」をしましょう。RICE処置により、捻挫の直後に生じる炎症を抑えて、痛みや腫れ、出血を軽減できます。 RICE処置は以下の4つの方法を言います。 Rest:安静 Icing:冷却 Compression:圧迫 Elevation:挙上 具体的な手順は以下の通りです。 足首に体重がかからないように座ったり、横になったりして安静にする アイスパックなどで冷やして、包帯やテーピングで圧迫する 台などで心臓より足を高くあげるようにして、出血で足首にたまった血液を心臓に戻す RICE処置は、怪我をしてから1〜3日はくり返すのが望ましいです。 万が一、RICE処置ができなかった場合にも、テーピングや捻挫用の足関節サポーターで足首を固定するようにしましょう。 足首を固定しておくと、足首が動かず損傷部位のストレスを軽減させるとともに、捻挫の再発予防につながります。 処置をしても痛みが引かない場合や心配な場合は、靭帯が断裂している可能性があります。 痛くても歩けるからといって放置せずに、お近くの整形外科を受診しましょう。 【捻挫したときの対処法】 足首に体重を掛けない 座ったり、横になって安静にする 台などで心臓より足が高くなるようにする アイスパックなどで冷やす 包帯やテーピングで圧迫する 症状を自己判断せず医療機関を受診する お電話でのお問い合わせ 0120-706-313(受付時間:09:00〜18:00) メール相談 メール相談はこちらから(無料) 来院予約 来院予約はこちらから ▼捻挫を早く治したい人は下記の記事をご覧ください。 捻挫を治療する2つの保存療法 捻挫の治療には、手術と手術をしない保存療法があります。手術をするのは重症の場合や、スポーツ選手で活動性の高い場合です。 痛みがあるものの歩ける捻挫の場合は、以下2つの保存療法で治療を進めます。 損傷の重症度や経過に応じて固定 再発を防止する運動療法 具体的な治療方法を知り、積極的に取り組みましょう。 損傷の重症度や経過に応じて固定 RICE処置などの初期治療後には、重症度に応じて固定を行い、靱帯の修復を図るのが大切です。 固定には次のような方法があります。 【初期治療】 損傷が軽度の場合:装具やテーピングによる固定 損傷が重度または複数の靱帯が損傷している場合:ギプスによる固定 軽度の場合は、1週間程度ギプスや装具による固定をしたあと、3週間程度テーピングで固定します。 重症の場合は、3〜6週間のギプス固定が必要です。 再発を防止する運動療法 足首の捻挫は、ほとんどの場合で内側に向かってひねることで起こる内反捻挫です。 内反捻挫の場合、再発を予防するために、足首を外にひねる作用のある腓骨筋(ひこつきん)という筋肉を鍛えましょう。 チューブを使ったトレーニングは負荷を簡単にかけられるため、おすすめです。 具体的な方法は以下の通りです。 【再発防止トレーニング】 両足をくっつけてチューブで縛る かかとを離さず、小指側をあげるような意識で、つま先を外に開く また、固定の期間中に足首の動きが固くなっているため、ストレッチをするのも良いでしょう。 タオルを足のつま先に引っ掛けた状態で、タオルの両端を両手にもって引っ張るようにすれば、足首の柔軟性を高めるストレッチが可能です。 トレーニングやストレッチを行い、内側に足首をひねらないようにするための筋力や柔軟性を保つようにしましょう。 捻挫とは?足首をひねって靭帯などが損傷する怪我【症状も解説】 捻挫とは、関節が無理な範囲に強制的に動いてしまうことで、靱帯(じんたい)や関節包(かんせつほう:関節を包む膜)が損傷してしまう怪我です。 足首の捻挫は、足を内側に無理にひねって外側の靭帯を損傷することが多いです。 足首の外側には以下の3つの靱帯があります。 【足首の靭帯】 前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい) 後距腓靱帯(こうきょひじんたい) 踵腓靭帯(しょうひじんたい) この中で、最も多く損傷するのが前距腓靱帯で、後距腓靱帯の損傷はまれです。1つではなく、複数の靱帯が同時に損傷する場合もあります。 捻挫の程度は、靱帯の損傷具合によって次の3つに分けられます。 【捻挫の程度】 1度捻挫:靱帯の損傷がなく、無理に伸ばされた状態 2度捻挫:靱帯が部分的に切れている状態 3度捻挫:靱帯が完全に切れた状態 靱帯の損傷がひどい場合は、靱帯による関節の固定力が弱まり、関節が不安定になってしまいます。その結果、捻挫を再発しやすくなるため注意が必要です。 症状は、捻挫の程度によって異なります。 主な症状は、損傷した部分の腫れや痛みです。痛みは損傷部位を指で押さえたときにみられる圧痛(あっつう)があります。 怪我したときと同じように、内側に足首をひねった動きを再現すると痛みがあります。損傷による内出血が生じていたり、熱をもっていたりするのも症状の1つです。 捻挫の重症度をセルフチェックする方法 歩ける程度の痛みでもすぐに受診すべきかどうか、捻挫の重症度をセルフチェックできます。 以下の5項目のうち、1つでも当てはまる場合は骨折の可能性がありますので、お近くの整形外科を受診しましょう。 【捻挫の重症度のセルフチェック】 外くるぶしを押すと痛みがある 内くるぶしを押すと痛みがある かかとの小指側の骨の出っ張り付近を押すと痛みがある 舟状骨(足背から内側にかけての部分)を押すと痛みがある 怪我をした側で4歩以上その足に体重をかけることができない・歩けない 判断がむずかしい場合や、当てはまる項目がなくても心配な場合は専門医に相談するのが望ましいです。 ▼捻挫で病院に行くべき目安を詳しく知りたい人は下記の記事もご覧ください。 まとめ|捻挫したときは正しい対処法を行い早めに受診しよう 捻挫をしたら、まずはRICE処置を行いましょう。 歩ける場合でも痛みがあるときは、テーピングやサポーターで足首を固定し、損傷した靭帯に負担をかけないことが大切です。適切に対応することで捻挫の悪化を防ぎ、再発予防にもつながります。 ただし、痛みが強い場合や腫れがひどくて心配な場合は、専門医の診断を受けましょう。 歩けるからといって捻挫を軽視せず、適切な対処法と治療を行えば、早期回復と再発防止がかなうはずです。 この記事がご参考になれば幸いです。 お電話でのお問い合わせ 0120-706-313(受付時間:09:00〜18:00) メール相談 メール相談はこちらから(無料) 来院予約 来院予約はこちらから 捻挫に関するよくある質問 Q.足首や足の甲が腫れていて歩けるけど痛いと感じる場合は捻挫ですか? A.捻挫の可能性があります。捻挫の場合、足首の外側の腫れが最も一般的です。軽度の場合は歩けることもありますので、心配な場合は整形外科を受診しましょう。 Q.腫れていないけど痛いときは捻挫ですか? A.捻挫の可能性があります。捻挫で腫れるのは、傷ついた関節部分に内出血や炎症が起きるためです。特に軽い捻挫の場合は血管や組織の損傷が少なく、腫れないケースがあります。 Q.捻挫はおよそ何日で治りますか? A.重症度によって異なりますが、軽度の捻挫であれば1週間~10日ほどで治ります。中等度なら2週間、重度なら治るのに3週間ほどかかります。歩けるけど痛い場合は軽度~中等度と考えられますが、いずれも適切に処置し、3週間程度は捻挫部位を固定することが大切です。 Q.膝をひねったのですが、これは捻挫ですか? A.膝をひねった場合も捻挫です。捻挫は、関節のある場所なら起こります。膝はもちろん、突き指も捻挫の一種です。 ▼膝を捻挫したときの症状を詳しく知りたい人は下記の記事もご覧ください。
公開日:2024.10.30 -
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頭の右側が痛かったり、ギューっと締め付けられるような頭痛で悩んでいませんか。 このようなつらい頭痛を早く治したいと思う方が多いでしょう。 頭痛が一瞬で改善する方法はありませんが、セルフケア(ツボ押し・鎮痛剤の服用)により一時的に症状を和らげられます。 しかし、中には早急に受診すべき危険な頭痛も存在するため、見極めが大切です。 本記事では、頭が痛いとき、すぐにできる対処法や症状別の正しい対処方法について解説しています。本記事が、皆様のつらい頭痛が改善されるヒントとなれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による頭痛の治療が可能です。 「メール相談」または「オンラインカウンセリング」にて無料相談を受け付けていますので、気になる方はお気軽にご相談ください。 頭が痛いときの対処法2選【すぐにできる】 頭が痛いときに自宅ですぐに取り組める対処法として次の2つがあります。 ツボ押し 鎮痛剤の服用 つらい頭痛から解放されたい方は、上記の方法を実践してみましょう。逆に頭痛が悪化する場合は、無理に行わないことをおすすめします。 ツボ押し ツボ押しは、時間と場所を選ばずにできる頭が痛いときの対処法です。特別な道具も必要ないため職場や外出先でも実践できるでしょう。 頭痛に効果のあるおすすめのツボは以下の3点です。心地良い強さで押してみてください。 合谷(ごうこく):人差し指と親指の骨が交わる少し上にある、人差し指側でくぼみ 百会(ひゃくえ):頭の頂点より少し後ろにあるくぼみ 天柱(てんちゅう):首後ろの髪の毛の生え際より少し下に指をずらすとくぼみから左右に伸びている2つの筋肉 鎮痛剤の服用 頭痛がつらい場合は、我慢せずに鎮痛剤を服用して様子を見ましょう。手持ちの鎮痛剤や、いつも使っている薬でかまいません。 最寄りの薬局やドラッグストアで購入できる市販の鎮痛剤、以下の3つがあげられます。 イブ(イブプロフェン)(文献1) カロナールA(アセトアミノフェン)(文献2) ロキソニンS(ロキソプロフェン)(文献3) など 市販の鎮痛剤は手軽に購入できる一方で、服用できる人が限定されています。 以下に該当する人は、薬剤師または登録販売者に相談した上で購入しましょう。 15歳未満である 妊娠中である 鎮痛剤でアレルギーや喘息になったことがある 注意していただきたいのが「薬物乱用頭痛」のリスクです。 頻繁に鎮痛剤を服用していると、薬の効果が切れた後に頭痛が再発する可能性もあります。鎮痛剤の服用が月に15回以上ある場合は受診を検討しましょう。(文献4) 【症状別】頭が痛いときの対処法 頭痛は、別の病気からくる「二次性頭痛」とその他の「一次性頭痛」に大きく分けられます。 その中でも多いのが「一次性頭痛」です。 一次性頭痛の中でもさらによく見られる頭痛として以下の3つがあります。 偏頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 それぞれ頭痛の特徴や原因が少しずつ違います。まずは自分の頭痛タイプを理解し、正しい対処法を実践しましょう。 ズキズキと脈打つような偏頭痛には「トリプタン系の頭痛薬」 脈打つようにズキズキする頭痛のタイプは「偏頭痛」の可能性があります。脈打つ頭痛に加え、以下のような症状も一緒にあらわれる可能性があります。 頭痛が起こる前に以下のような前兆が出現する(文献5) 1. きらきらした歯車のようなものが見える 2. チクチク感があり、体や舌にも伝わる 吐き気がする 光や音に対して過敏になる 偏頭痛がつらいときの治療には「トリプタン系」の頭痛薬が有効です。 偏頭痛の原因は脳の周りにある神経と血管の炎症といわれています。 トリプタン系の薬は、炎症が起こっている神経と血管を正常に戻すため、偏頭痛の緩和が期待できるでしょう。(文献6) トリプタンを服用する有効なタイミングは、痛みが始まってすぐや、軽度なときです。偏頭痛に効果が期待できる一方で、服用のタイミングが難しいデメリットがあります。 また、トリプタン系の頭痛薬の服用以外に以下の対処法もおすすめです。 頭痛がつらいタイミングの前後の行動や強さなどを記録する 暗くて静かな場所で横になる 寝る時間と起きる時間を一定にする 偏頭痛がつらい方は、上記のセルフケアも日常に取り入れてみてください。 頭が締め付けられるような緊張性頭痛には「解熱鎮痛剤」 頭の両側がギューっと締め付けられたり、圧迫されたりするような頭痛は「緊張性頭痛」の可能性があります。 緊張型頭痛の多くの原因は、肩や首の凝りです。凝り固まった肩や首回り筋肉が脳や首周辺にある神経を圧迫するため、緊張型頭痛が引き起こされます。(文献4) 緊張型頭痛に対する対処法には、ロキソニンやイブなどの「解熱鎮痛剤」が有効です。 ただし、鎮痛剤に頼りすぎてしまい、頻繁に飲み続けるのはおすすめできません。「緊張型頭痛かもしれない」と思った方は、原因である肩や首の凝りをほぐすことが大切です。 日常的にできる予防策として以下のようなことがあります。 肩と首をほぐすストレッチやマッサージを行う 凝りを感じる肩や首の部分を温める(蒸しタオルの使用や湯船につかるなど) 背筋を伸ばして正しい姿勢を保つ 肩や首のこりと頭痛が気になる方は、上記の方法も実践してみましょう。 目の周り・こめかみが強く痛む群発頭痛には「トリプタン系薬剤や酸素投与」 目の周り、こめかみが強く痛む場合は「群発頭痛」の可能性があります。 かなり強い痛みが発作的に起こり、15分から3時間程度続くのが特徴です。(文献7) 明確な原因は明確になっていませんが、群発頭痛は、脳にある「視床下部」や脳内の血管に異常をきたしているため症状が引き起こされるといわれています。 群発頭痛に効果的な治療は、以下の2つです。(文献4) トリプタン系の注射や飲み薬:偏頭痛と同様、脳周辺の血管や神経の炎症を鎮める効果が期待できる 酸素吸入:トリプタン系頭痛薬が飲めない人にも有用で、場合によっては自宅での使用も可能 上記の治療と合わせて、日常的にできるセルフケアは規則正しい生活を送る、生活習慣の改善(アルコールコールやタバコを控える)などです。 しかし、群発頭痛はセルフケアのみの改善が難しい症状です。頭痛が激しく、痛みが我慢できない場合はすぐに受診しましょう。 首の後ろに激しい痛みがある場合、くも膜下出血の可能性があります。くも膜下出血の頭痛についてはこちらの記事を参考にしてください。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による頭痛の治療が可能です。「メール相談」または「オンラインカウンセリング」にて無料相談を受け付けていますので、気になる方はお気軽にご相談ください。 そもそも頭痛はなぜ起きる? 頭痛のメカニズムには、脳の近くにある「三叉神経」が深く関わっています。 人間の体には、皮膚や目などさまざまな場所に痛みを感じる「痛覚」があります。とくに頭痛が深く関わる痛覚は、脳を保護している硬膜や皮膚です。 痛覚から三叉神経が頭痛の情報をキャッチして脳に伝えられることで、頭痛のような痛みを自覚します。(文献8) 吐き気を伴う頭痛は、早急な治療が必要な二次性頭痛である可能性もあります。 一次性頭痛と二次性頭痛の見分け方については、以下の記事も参考にしてください。 頭が痛いときに効果的な食べ物・飲み物は栄養素に注目 頭痛に影響する一因として、栄養素があげられます。私たちが普段摂取している飲食物には、頭痛を和らげるものもあれば悪化させてしまうものもあります。 頭痛を改善または悪化させる栄養素や飲食物の一例は、以下のとおりです。 頭痛との関連 栄養素 飲食物の例 改善 ビタミンB2 納豆 鮭 レバー マグネシウム わかめ ひじき ココア 悪化 チラミン チョコレート チーズ コーヒー アルコール ビール ワイン(とくに赤ワイン) ウイスキー 頭痛に悩まれている方は、上記を参考に普段の食生活を見直してみてください。(文献9)(文献10) 今まで経験したことのない激しい頭痛なら早めの受診を 以下に該当する頭痛の場合は重大な病気が隠れている可能性があります。早めに受診しましょう。 突然に(何時何分何秒がはっきり言えるような)最大の痛みとなった頭痛 話しにくさや手足の動かしにくさを伴う頭痛 これまでに経験のない激しい頭痛 意識の低下を伴う頭痛 上記は、脳血管障害のような命の危険がある病気が隠れている可能性のある頭痛です。 脳出血やくも膜下出血などは、血管が破れたり詰まったりして起こる病気のため、頭痛をはじめとする症状が突然生じます。早急に処置が必要なため、すぐに受診しましょう。 危険な二次性頭痛の一因である「もやもや病」や「脳出血」の前兆について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。 まとめ|正しい対処法でつらい頭痛を改善しましょう 頭が痛いときは、頭痛の種類を特定し、正しい対処法を行うことが大切です。自分の頭痛のタイプを把握し、それぞれに合った対処法を試してみてください。 また、頭痛の中には、命に関わる重大な病気が隠れている場合もあるため注意が必要です。判断に困ったら早急に病院の受診を検討しましょう。 本記事が皆様の頭痛の改善に役立てられれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による頭痛の治療が可能です。メール相談またはオンラインカウンセリングにて無料相談を受け付けていますので、気になる方はお気軽にご相談ください。 頭が痛いときの対処法についてよくある質問 頭痛を一瞬で治す方法はありますか? 頭痛を一瞬で治す方法はありません。 早めに頭痛を落ち着かせたい場合は、鎮痛剤の服用やツボ押しなどすぐにできる対処をしながら横になって休むことをおすすめします。 頭痛が頻繁に起こる場合は、頭痛のタイプにあった対処法の実践や生活習慣を整えて予防に目を向けることが大切です。 頭痛で受診する場合は、何科にいけばいいですか? 危険な病気が疑われる頭痛の場合は、脳神経外科や脳神経内科を受診しましょう。 頭痛の原因が脳の病気が原因であった場合、CTやMRIなどの画像検査や早急な処置をすぐに行えます。 症状が軽い場合や、近くに脳神経外科や脳神経内科がない場合は、通常の内科でも診察を受けられることが多いです。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による頭痛の治療が可能です。「メール相談」または「オンラインカウンセリング」にて無料相談を受け付けていますので、気になる方はお気軽にご相談ください。 参考文献一覧 (文献1) エスエス製薬株式会社. イブ.独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)2024.10. (文献2) 第一三共ヘルスケア株式会社.カロナールA.独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA).2023.1. (文献3) 第一三共ヘルスケア株式会社.ロキソニンS.独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA).2024.10. (文献4) 「頭痛の診療ガイドライン」作成員会.頭痛の診療ガイドライン2021., 医学書院, 2021年出版,p473 (文献5) 中島健二.片頭痛の診断と治療. 日本内科学会雑誌. 2006, 95, 3,p487-492. (文献6) 竹島多賀夫.片頭痛. 日本内科学会雑誌. 2018, 107, 8,p1486-1493. (文献7) 日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会.国際頭痛分類第3版(ICHD-3)日本語版. 2018, p216 (文献8) 端詰勝敬 都田淳. 頭痛. 心身医. 2016, Vol. 56 No. 8, p833-838. (文献9) 文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会.日本食品標準成分表(八訂)増補2023年.文部科学省ホームページ.2023.4. (文献10) 原田大 北村正樹. 食品・嗜好品との相互作用カフェイン・喫煙・ドリンク剤・チアミン含有食品. ファルマシア. 2014, Vol.50 No.7,p679-683
公開日:2024.11.11 -
- 脊椎、その他疾患
側弯症|子供の側弯症と大人の側弯症、それぞれの治療について 背骨が左右に曲がる側弯症は、思春期の子供に多い病気です。ただ、大人の場合も中高年になって急に発症し、進行が始まるケースもあり、成人側弯症と呼ばれています。 見た目で明らかに姿勢が歪んでしまう側弯症ですが、子供の場合、大人の場合の症状と、治療法について解説します。 側弯症とは 側弯症は、体を正面から見たとき、背骨が左右に曲がっている状態です。本来、人の脊柱は首にある頸椎は前方に湾曲し、胸椎は後方に湾曲し、腰椎は前方に湾曲しています。体を横からみると、ちょうどゆるやかなS字を描いた状態です。 前から見て、背骨が左右に10度以上傾いてしまう状態を湾曲症といいます。 痛みを伴うケースはほとんどありませんが、症状が進行した場合、健康状態に悪影響を及ぼすことがあります。 https://youtu.be/fAOoNxIRTPU?si=l8X3iSKGXOZIGMOT こどもの側弯症とは こどもの側弯症は学校検診で見つかるケースが少なくありません。2016年度から始まった「運動器学校検診」では、家庭でこどもの背骨の評価をした後、学校医が視触診によって見た目や背中を触って側弯症の疑いがあるかどうかを判定します。 成長期であるこどもは大人になるまで側弯症を発症する恐れを持っているため、家庭でチェックをしたり、気になることがあれば整形外科を受診したりなど、こまめな配慮が必要です。 とくに小学校高学年から中学生にかけて、思春期の女子は側弯症の発症率が高まります。13歳から14歳の女子の発症率は2.5%で、男子に比べて約 7 倍といわれています。 こどもの側弯症 整形外科で側弯症と診断された場合、そのままにし ておくとどうなるのでしょうか。 医師から経過観察と言われたり、家庭で気をつけるようアドバイスを受けたこども全員が、重度の側弯症になる可能性はほとんどありません。側湾が進行しやすい幼児期以降は症状の進行は個人差が大きいこともポイントです。 このように、こどもの側弯症は、軽度の状態のまま大人になるケースが大半です。軽い側弯症であれば障害が残る心配もないので、そのまま様子を見るだけで問題ないでしょう。 成長期のこどもが発症しやすい側弯症には、以下のような注意したいポイントがあります。 子供の側弯症で注意したいポイント ・こどもの側弯症は思春期の女子に注意 ・軽度の場合は経過観察が基本 ・症状が進行すると装具療法や手術療法も 側弯症の治療法 重度の側弯症の状態は放置すると心肺機能が低下するリスクが高まります。側湾の影響で胸郭が大きく変形するためです。重い肺の病気や心臓病といった合併症を発症しやすくなります。 側弯症は進行の度合いに応じて、次のような治療法を受けることが大切です。 軽度の側弯症(背骨の曲がり角度:30度未満) ・学校や家庭での経過観察を続ける ・症状の進行をチェックし、整形外科を受診する 中等度の側弯症(背骨の曲がり角度:30〜50度) ・矯正装具を使う装具療法を行う (アンダーアームブレース、ミルウオーキーブレースといった 重度の側弯症(背骨の曲がり角度:50度以上) ・装具療法でも進行が悪化したら手術療法が一般的 側弯症の手術療法 手術療法には、「後方矯正固定術」と「前方矯正固定術」の2種類があり、症状によって判断されます。 後方矯正固定術 背中の背骨に沿って切開して手術する方法です。背骨の後方から器具を挿入して、ロッドを調整しながら背骨がまっすぐになるようにねじれを減らしていきます。 次に紹介する前方矯正固定術に比べると固定する背骨の範囲は長くなりますが、強力な矯正力や固定力が出せます。 前方矯正固定術 胸部など体の前側から器具を挿入して、ロッドによってねじれの調整をしていく方法です。後方矯正固定術より肯定範囲は短いものの、強い矯正力があります。 側弯症による大人の症状とは 成長期のこどもに多い側弯症ですが、大人になってから発症する場合もあります。 「成人側弯症」と呼ばれており、次の2つの原因があります。 成人側弯症 ・こどもの頃の側弯症が老化で進行 ・中高年になって加齢により側湾 成人側弯症によって、大人は次のような症状が出ます。 成人側弯症の症状 ・腰痛になる ・長時間立つ・歩くが困難になる ・下半身に神経痛が出る ・逆流性食道炎や便秘、嚥下障害(食べ物が飲みこみづらい)が起きる ・呼吸がしづらくなる 特に、1つ目と3つ目の「腰痛になる」「下半身に神経痛が出る」といった点は、側弯症で背骨や腰骨に負担がかかるためです。脊柱管狭窄症や腰部椎間板ヘルニアなどの合併症のリスクも高まるのでとくに注意する必要があります。 年齢と共に症状が進行すると日常生活にも支障をきたすようになるため、重度の場合、大人は「後方矯正固定術」が必要です。 入院日数は10日前後ですが、背骨の曲がり方や患者様の骨質、症状、体力などに応じて日数がかかったり、数回に分けて手術をすることもあります。 大人の成人側弯症には、以下のような注意すべきポイントがあります。 大人の側弯症で注意したいこと ・加齢による大人の側弯症には日常生活に影響する症状が現れやすい ・脊柱管狭窄症や、腰部椎間板ヘルニアなどの合併症に注意 まとめ・側弯症|子供の側弯症と大人の側弯症、それぞれの治療について 側弯症は背骨が左右に曲がる状態を指し、子供と成人では症状や治療法が異なります。 子供の側弯症は、思春期に発症しやすく、定期的な検診や早期の対応が重要となります。ただ、軽度の症例は成人しても進行せず、経過観察や適切な医療ケアを行うことで様子を見れば良い場合ことが多くあります。 治療法は症状の進行度に応じて異なります。軽度の場合は、先のように経過観察が主となりますが中等度から重度の場合は矯正装具や、重度になると手術が必要となる場合があります。 手術療法には「後方矯正固定術」と「前方矯正固定術」があり、それぞれ特長がみられます。その選択は、患者の症状によって適切な方法が提案されます。 側弯症は年齢や症状によって健康に悪影響を及ぼすケースが少なくありません。こどもで経過観察と言われたり、中高年で背骨の変形が気になり始めたりした場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 早期発見と適切な治療が側弯症の進行を防ぎ、健康を守ります。定期的な医療チェックと適切なケアを大切にしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下もご覧になりませんか 側弯症の手術、術後の後遺症、術後のリハビリについて
公開日:2024.10.07 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
- 足部
ジョーンズ骨折で悩むアスリートへ!有効な治療方法と復帰、予防法について ジョーンズ骨折、なかなか聞き馴染みがない方も多いのではないでしょうか? しかし、意外にもジョーンズ骨折になってしまったアスリートは少なくありません。海外でも活躍する某有名サッカー選手もこのケガに悩まされていました。 本記事では、そんなジョーンズ骨折の原因と治療法、予防法やテーピングについてなど、詳しく解説していきます。ぜひご参考にされてください。 ジョーンズ骨折とは? ジョーンズ(Jones)骨折とは、第五中足骨の踵寄り(第五中足骨基部)に起こる骨折のことで、骨癒合しにくく、治るのに時間がかかる骨折の一つです。第五中足骨基部に起こる骨折は、以下の 3 つがあります。いずれも見分けるのが難しいため、ひとまとめにジョーンズ骨折と呼ぶことも多いです。 ・基部裂離骨折 ・ジョーンズ骨折 ・骨幹部疲労骨折 ジョーンズ骨折の原因と症状 ジョーンズ骨折が発症する原因と、その後に生じる症状を説明します。 発症初期では気づかれないケースもあるジョーンズ骨折ですが、痛みや違和感がある場合はチェックしてみましょう。 原因|スポーツ外傷で多発 ジョーンズ骨折は、あるスポーツ動作で頻発する骨折です。 その動作とは、「ストップ」や「ターン」などの速い動作の切り返しです。このストップ、ターン(切り返し)によって、急激に第五中足骨に負荷がかかり骨折してしまいます。 しかし、これらの動作だけが骨折の原因ではありません。他にも以下のようなあらゆる要素が重なって引き起こされるのです。 ・トレーニング過多による第五中足骨への疲労の蓄積 ・硬いサーフェースの問題(人工芝、アスファルトなど) ・下肢のアライメント異常(例;足の外側に体重が乗りやすい) ・スパイクのポイントの位置 ・第五中足骨基部への血流が乏しい ・第五中足骨基部に靭帯や腱が多数付着している ストップやターンは、最後の引き金に過ぎません。 症状|痛みの出方は? 症状は骨折の程度によって大きく変わってきます。 発症初期の不全骨折(ヒビ)であれば、運動中に少し痛みを感じる程度で、骨折部分を強く押すとズキっと痛みを感じる場合があります。 そのまま運動を継続すると、徐々に痛みが増していき、歩くのもままならない状態になってしまいます。その時には、骨折部の状態は悪化していることが多く、完全骨折となっている可能性もあるでしょう。 捻ったり、ストップやターンの切り返しで完全骨折となることも多いです。 診断|レントゲンやエコー検査が有効 診断にはレントゲン画像によって判断が可能です。レントゲン撮影は、一方向だけでなく、角度を変えて複数方向からの撮影が有効となります。 しかし、初期の不全骨折の場合はレントゲン画像での判断が難しいケースもあるため、MRIや超音波検査も有用です。 ジョーンズ骨折に有効な治療方法 ジョーンズ骨折は、他の骨折に比べ骨癒合が得にくい(遷延治癒:せんえんちゆ、偽関節など)、骨癒合が得られたとしても再骨折のリスクが高い骨折と言われています。 そのため、治療方法にはその人の置かれた状況を考慮し、慎重に選択する必要があります。 スポーツ選手なら手術療法を推奨 激しいスポーツ動作を繰り返すアスリートは、手術療法を推奨します。早期復帰や再骨折のリスクを減らす効果があるからです。 手術方法は割とシンプルで、第五中足骨に対しスクリューを埋め込む「髄内固定術」が一般的に行われています。 手術療法は、治療成績も良好で保存療法に比べ再発のリスクも低いですが、スクリューの位置を誤ったり、復帰が早過ぎたりした場合に、癒合不良や偽関節を引き起こす可能性もあります。 手術を受ける際の費用や、復帰までの期間の目安は以下です。 手術費用・入院費用:10〜15万円 入院期間:3日〜2週間 スポーツ復帰目安:2〜3ヶ月 ※手術・入院費用、入院期間はあくまで目安です。医療機関ごとに違いがあります。 手術後は、医師や看護師、リハビリスタッフの指導を守って過ごすことが大切です。 保存療法を選ぶならムリは禁物 手術療法に抵抗がある方や、何らかの理由で手術療法が難しい方は保存療法を選択します。 保存療法では、骨が癒合していない状態で絶対に無理をしないということが重要です。特に初期の段階では、骨癒合を第一に考え、体重をかけないようにします。その間に、骨癒合を促進させるような超音波治療器を用いる場合もあります。 骨癒合にかかる期間は個人差がありますが、少なくとも3〜4週間はかかります。レントゲン画像にて骨癒合が認められたら、少しずつ体重をかけていくようにしましょう。 歩く時に行う踏み返し動作は骨折部に負荷がかかりやすいため、慎重に進めることを推奨しています。歩行が問題なくできるようになったら、少しずつ強度を上げてスポーツの動きを入れていきます。 また、後で述べますがインソールやサポーターも再骨折予防のためには有効な手段です。 ジョーンズ骨折後のスポーツ復帰と予防 ジョーンズ骨折は再発しやすいため、状態を見極めて段階的に復帰することが大切です。 復帰までの流れや、復帰する際に準備したいテーピングやサポーター、インソールについて紹介します。 スポーツ復帰までは慎重に進めることが大切 骨癒合がみられ、歩行が許可されました。では、スポーツも徐々に・・・というわけにはいきません。 骨癒合まで我慢していたのに、復帰を焦ってしまって再骨折してしまう例は少なくないのです。そうならないためにも、スポーツの復帰には万全を期す必要があります。 【スポーツ復帰までの流れの例】 ①その場でできるスクワットやカーフレイズ(爪先立ち)の運動 ②ランジや片脚スクワット、片脚カーフレイズで片側に体重をかけて行う運動 ③軽いジョギング ④徐々にスピードを上げたランニング、ダッシュ ⑤ストップやターン動作の練習 ⑥ジャンプ動作の練習 ⑦各スポーツの練習を徐々に復帰 ⑧競技に完全復帰 段階的に上記のようなメニューを行い、痛みや違和感が出たら前のメニューに戻るようにします。 ジョーンズ骨折にテーピングは有効? ジョーンズ骨折がまだ完全に治っていない状態でのテーピングは、あまり効果を期待できません。しかし、骨折がしっかり治り、スポーツに復帰する段階でのテーピングは、一定の効果を発揮します。 ジョーンズ骨折のテーピングの巻き方のコツは、足のアーチをサポートすることと、足の外側の補強をすることです。 足首の捻挫のテーピングと似ているところもありますが、そこにプラスして足底部にアーチをサポートするテーピングを巻くとより効果的です。 ジョーンズ骨折のテーピングは、その人の足の使い方によって巻き方が変わります。まずは、専門家に足の使い方をみてもらい、あなたに合った巻き方を教えてもらうようにしましょう。 サポーターやインソールで再発予防 足首の捻りを防止するサポーターや、アーチを形成するためのインソールも、再発防止に十分な効果を発揮します。 特に、インソールは骨折部の負担を減らす効果が期待でき、よりオススメな予防方法です。 ジョーンズ骨折予防のサポーター ジョーンズ骨折に有効なサポーターとして考えられるのが、左右方向に強いサポーターです。足の力が横の動きに弱い場合、骨にかかる負担が増えてしまうため、横のぐらつきを押さえるようなサポーターを推奨しています。 一つ注意点として、第五中足骨基部のあたりが厚くなっているサポーターであれば、体重をかけた際に圧迫し過ぎて痛みを誘発することもあります。そのため、装着した時の圧迫具合や、患部への当たりを確認する必要があります。 ジョーンズ骨折予防のインソール インソールの調整は、ジョーンズ骨折再発防止のためには非常に有効な手段であり、必須と言ってもいいでしょう。 足には内側、外側の縦アーチと横アーチがあり、そのアーチをサポートしてくれるようなインソールを入れることで、足の機能が上がり負担がかかりにくくなります。 インソールは市販のものもありますが、専門の義肢装具士が作成しているオーダーメイドのインソールを推奨しています。自分の足の型に合わせて作成するため、より高い効果を発揮します。 まとめ・ジョーンズ骨折で悩むアスリートへ!有効な治療方法と復帰、予防法について ジョーンズ骨折は再発しやすいケガのため、初期の対応や治療開始から復帰までのプランニングが非常に難しいです。焦らず骨の癒合状態を確認しながら、段階的に治療に取り組むことが重要となります。 専門の医師やリハビリスタッフのアドバイスを聞きながら、安全に復帰までの道のりを歩んでいきましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。
公開日:2024.10.07 -
- 脳卒中
- 頭部
- 脳出血
脳溢血による後遺症と麻痺症状の治療について 脳卒中は突然発症し、命にかかわることのある重篤な病気であり、日本での死亡の原因上位とされています。 脳卒中には、脳の血管が詰まる脳梗塞と、脳の血管から出血が起きる脳溢血(のういっけつ)に分けられます。本記事では脳溢血の後遺症と麻痺症状の治療について詳しく解説していきます。 脳卒中:脳の血管が詰まる 脳溢血:脳の血管から出血が起きる(脳出血とも言われます) 脳溢血(のういっけつ)とは 脳溢血とは、脳の血管が破れることで血液が流出し、脳内の神経細胞を圧迫してしまう状態のことで、現在は脳出血と呼ばれることが多いです。 脳溢血は発症後に治療しても後遺症が残ることが少なくありません。脳の細胞がダメージを受けることで、体の麻痺や感覚の障害、脳に障害が残る可能性もあります。 後遺症によっては、治療後も日常生活に影響が出ることがあるので、症状だけでなく後遺症まで知っておくことが大切です。 以下より一般的な後遺症について解説していきます。 脳溢血による後遺症 運動麻痺 ・運動麻痺は脳溢血の代表的な後遺症で片側の手足に力が入らなくなったり、動かしづらくなります ・左右どちらかの半身にのみ症状が起きます 感覚障害 ・感覚障害も脳溢血の代表的な後遺症であり、触覚や痛覚が鈍くなります。 ・反対に過敏になることで痺れなどといった麻痺症状を感じることがあります ・こちらの症状も左右のどちらか一方にのみ生じます 言語障害 ・言語障害には、言葉が出にくくなったり、理解ができなくなる失語症があります →失語症の場合は言葉の理解が出来にくくなるため、読み書きなども難しくなります ・そのほかに口や舌がうまく動かせないことで話しづらくなる構音障害があります →構音障害の場合は理解には問題ないため、読み書きは可能です 視野障害 ・視野障害:視野が狭くなったり、物が二重に見えたりする障害 ・視野障害:片目の視野が見にくくなる半盲という障害 ・これらの症状は発症後長期間経過しても症状が改善しないことがあります 嚥下障害 ・のどの筋肉などが動かしづらくなることで、食べ物や飲み物を飲み込みにくくなります ・食べ物などが食道ではなく気管に入ってしまうと、誤嚥性肺炎を発症する可能性があります ・誤嚥性肺炎は高齢者の死亡原因となることも多く注意が必要です 高次脳機能障害 ・高次脳機能障害とは、脳の細胞がダメージを受けることで脳機能が低下した状態です ・高次脳機能障害としては下記のように複数の症状が現れます ・記憶障害(数分前の出来事を忘れてしまいます) ・注意障害(一つの作業を集中して行うことが出来ない、注意散漫になる) ・遂行機能障害(自分で計画を立てて実行することが出来ない) ・半側空間無視(外界の半側に意識が向かないようになり、空間を認識できなくなる) 感情障害 ・脳溢血の後遺症は感情面にまで及びます。 ・常にイライラしたり、感情の起伏が激しくなってしまうことがあります。 ・意欲が起きなくなる ・うつ病のような症状が起きることもあり、精神面のケアも重要となります。 脳溢血による後遺症の治療 一度脳溢血を発症すると、完全に回復することは難しいことがあります。これは、神経細胞は一度障害されてしまうと、再生することができないためです。 しかし、リハビリ治療を行うことによって、その症状は軽減することができます。特に早期からリハビリを開始することによって、機能予後は格段に良くなることが期待されます。 脳溢血のリハビリは大きく分けて 3 段階あり、それぞれについて詳しくみていきましょう。 急性期 脳溢血の症状が現れ、身体の症状が安定するまでの期間を急性期と言います。発症直後の時期は全身状態が安定しないため、生命維持が優先されます。いきなり歩行などを始めたりすると、血圧が上昇し再出血などのリスクもあるためです。 急性期は一般的に2週間程度の期間であることが多く、ベッドサイドでのリハビリが行われます。これは、ベッド上で過ごす期間が長くなると、廃用症候群※を招くことがあるからです。以下のような状態を避けるためにも、急性期からのリハビリは必要となります。 ※廃用症候群とは 寝たきりの状態が長くなることで、筋肉量が減少したり、関節が固くなり、運動機能が低下する状態のことです。このような状態になると、床ずれができやすくなったり、感染症にかかりやすくなるなど様々な合併症を引き起こすことがあります。 ・生命維持が優先 ・その後、ベットサイドでリハビリ開始 ・廃用症候群を避けるためにもリハビリは積極的に行う 回復期 急性期を脱して、全身状態が安定し本格的にリハビリを進めることが出来るようになる時期を回復期といいます。 回復期は主に病院でリハビリが行われ、日常生活への復帰を目標として、ベットサイドでの運動や、杖や歩行器などを用いた歩行訓練、また日常動作として食事やトイレ、入浴に関するリハビリも開始されます。 この他にも言語や嚥下機能の回復を行うリハビリや、高次脳機能障害に対するリハビリも開始していきます。 維持期 維持期は回復期を経て日常動作を獲得し、退院後の時期に当たります。一度回復した機能も、何もしなければ再度機能低下してしまうので、外来に通ったり、日常生活の中で意識して体を動かす習慣作りをすることが重要です。 脳溢血による麻痺症状の治療 麻痺の治療については近年研究が進んでおり、通常のリハビリ以外にも様々な方法があります。 CI療法(Constraint-induced movement therapy) 麻痺側の手がある程度動ける方に対して、強制的に麻痺がない手を使えないようにし、麻痺側の手をたくさん使うように日常生活を送るようにすることで、麻痺の手を回復させることを目的とした訓練のことです。 1日に6時間以上の訓練を必要とするなど大変ですが、手の機能が改善したという報告もされています。 促通反復療法 促通反復療法は、繰り返し同じ運動をすることで、障害された神経回路を再建、強化することを目標とします。この治療を受けたことで、手足の麻痺の程度が改善したという報告もされています。 近年では、これから述べる機能的電気刺激や経頭蓋直流電気刺激、経頭蓋磁気刺激といった治療と併用して治療効果を高めるための研究がされています。 電気刺激療法、磁器刺激療法 麻痺のある手足の筋肉に電気を流したり、頭から磁気を流すことにより弱った機能を活性化させ、歩行能力などを高める方法です。促通反復療法などと併用することで、治療効果が高まることが期待されています。 再生医療 障害された神経細胞自体を再生しようとする、再生医療が近年注目を集めています。 再生医療とは、幹細胞※を使用した治療です。 現時点では保険適応ではなく、自費での治療となりますが、治療実績が着実に積み重ねられており、今後の発展が大きく期待されています。 ※幹細胞とは 肝細胞は、人の体にある様々な細胞に変化できる能力を持っています。幹細胞そのものや、幹細胞から目的の細胞を作成し、病変へ移植するといった手法で治療が行われています。 これにより、幹細胞が神経細胞に変化し、体内で機能するようになることで麻痺症状などの改善が期待されます。 当院は、厚生労働省に届出し、受理された再生医療専門のクリニックです。ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。 まとめ・脳溢血による後遺症と麻痺症状の治療について 脳溢血による後遺症と、麻痺症状の治療について解説してまいりました。脳溢血には前兆がなく、ある日突然起こる怖い病気です。そのため、日ごろから健康に気を使うことが必要です。 脳溢血の入院期間は 3ヶ月~半年程度と長期間必要となることが多くあります。その期間のほとんどが後遺症を治療するリハビリ期間に相当します。脳溢血は日常生活を突然変貌させる非常に怖い病気です。 発症後は、本人だけでなく、ご家族をはじめとした周囲のサポートも非常に重要となります。この記事がご参考になれば幸いです。
公開日:2024.10.07 -
- 手部、その他疾患
- スポーツ外傷
- 手部
バレーボールやバスケットボールなどの球技はもちろん、スポーツ経験者であれば、誰しも一度は突き指をした経験があることでしょう。 軽くみられがちな怪我であるため、突き指をしてもそのまま放置が一般的になっています。しかし、骨折の可能性があるため、たかが突き指とあなどってはいけません。 本記事では、突き指と骨折の違いや見分け方を中心に紹介します。突き指の治りが悪い方や痛みが引かない方は要チェックです。 突き指と骨折の違い 結論、突き指は「現象」を表し、骨折は「状態」を表します。つまり、怪我した状況は「突き指」なのですが、その結果「骨折」が起きた!といった判断になるのです。 突き指は、物によって指先に衝撃が加わることで発症する手指の怪我の総称です。突き指を起こした結果、骨折はもちろん靭帯損傷や腱の断裂など細かくケースがわかれています。 一般的に使われている突き指は、骨折を伴っていないケースが多いのも事実です。突き指をしてしまったら自己判断はせずに、一度専門の医療機関で詳しく検査してもらうことをおすすめします。 突き指と骨折の見分け方 「最近突き指をしたけど、骨折していないか心配」とお悩みの方に向けて、一般的に区分される突き指と骨折の見分け方を紹介します。 突き指と骨折の見分け方は以下の通りです。 症状 突き指の場合 骨折の場合 疼痛 軽度(1週間程度で完治) 強い(長期間続く) 腫れ 軽度(1週間程度で完治) 顕著(長期間続く) 変形 腱損傷の場合は確認できる(伸ばせない) 場合によっては確認できる(動かせない) 上記のように、突き指と骨折は目視だけで見抜くことが難しいため、症状が1週間以上続くようであれば整形外科院を受診してみましょう。 また、どこを受診するか悩む方は、オンライン・電話から当クリニックにお気軽にご相談ください。親切丁寧に対応いたします。 【骨折を伴わない】突き指の症状 骨折のあるなしに関わらず、突き指の症状としてまず痛みが出ます。その後腫れ・赤み・動かしづらさなどの炎症症状がみられることが多いです。 軽症な突き指なら、1週間程度で炎症は落ち着きます。一方で靭帯や腱の断裂など重症な場合は、指の変形や動かしづらさが長引いてしまうので適切な診断と治療が必要です。 腱の断裂で起こる腱性マレット指 ・腱の損傷や断裂を伴う突き指は、『腱性マレット指』と呼ばれます ・指先を伸ばすための腱が切れてしまい、指の第一関節を自力で伸ばせなくなります ・痛みが引いてもなお伸ばせない症状が続いたら、腱性マレット指の可能性があります。 ※早急に医師の判断を仰いだ方がいいでしょう。 出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html) 出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html) 【骨折を伴う】突き指の症状 骨折を伴う突き指は、上記の腱性マレット指と似通った症状がみられます。指を自力で最後まで伸ばせない症状ですが、骨折を伴うため痛みや腫れがより強く現れます。 また、骨折を伴う突き指はレントゲン検査で容易に発見できます。骨折の程度にもよりますが手術が必要となるケースもあるため、顕著な痛みや腫れ、症状が長期間続く際はできるだけ早く医療機関を受診しましょう。 骨折の症状で起こる骨性マレット指 ・突き指による骨折で多いのが、『骨性マレット指』です ・指先だけでなく、中間部分(骨幹部)や、関節の脱臼骨折などもあります ・指を伸ばすための腱が付いている部分が、剥がれるように骨折(剥離骨折)する ・痛みや腫れが大きい場合、骨折の可能性がああります。医療機関を受診してください 出典:日本整形外科学会『マレット変形』より(https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/mallet_finger.html) 突き指・骨折を起こしやすいスポーツ 突き指・骨折を起こしやすい代表的なスポーツは球技です。中でもバレーボールやバスケットボール、野球に多くみられます。 それぞれのスポーツをやっていて、どのような場面で突き指が起きやすいのかを説明します。 バレーボール バレーボールは、ブロックのときとオーバーハンドレシーブのときに突き指を起こすことが多いです。特にブロックではジャンプのタイミングが遅れたり、指先に力が入っていなかったりすると突き指につながります。 ボール自体は軽いのものの、アタックの時はボールのスピードが速いため突き指を起こしやすいです。 バスケットボール バスケットボールは、パスを受けるときやボールをカットするときなどに受傷するケースが多いです。また、相手と激しくぶつかり合いながらダッシュ・ストップ・ターン・ジャンプなどさまざまな動きを伴うため、ボールに接触せずとも突き指をしてしまうこともあります。 バスケットボールのボールは他の球技と比べ重く、軽く当たるだけでも怪我につながるケースが多いです。 野球 野球で突き指を発症するシーンは、守備のときが大半です。特に多いのが打者が打ったゴロを捕球する際で、両手で捕ろうとして投げる側の手にぶつけてしまうケースです。また、球との衝突だけでなく、走塁・守備時のスライディングでも発症してしまうことがあります。 ボール自体は小さいですが硬さがあり、不規則なバウンドをした時にケガへとつながりやすくなります。 突き指の落とし穴 軽くみられがちなケガの代表格とも言える突き指ですが、後々に大きな影響を及ぼすこともあるので注意が必要です。 上記でも紹介した通り、突き指の中にも腱の断裂や骨折といった重度の損傷が隠されており、自然治癒で治りきらないこともあります。発症後は迅速なアイシングを心がけつつ、何度もいうように突き指症状が長引く場合は最寄りの医療機関を受診しましょう。 放っておいても治らない? 腱の断裂や剥離骨折(マレット指)は、痛みが引いたからといって普段通りに動かしていると、骨や腱がつながらず完全に伸ばせなくなる恐れもあります。 装具やテーピングによる固定や、場合によっては手術をするケースもあります。ケガの状態によって治療方針はさまざまなのでケガの程度を見極めることが大切です。 受診の目安は骨折だけじゃない! レントゲンでは骨の形態しか確認できません。レントゲン撮影後も症状がなかなか落ち着かなかったり、指が完全に伸ばせなかったりした際は事後症状を伝えるためにも再度専門医を受診しましょう。 詳細検査を実施すると、腱が切れていたといったパターンも少なくありません。 ケガをしてからすぐに固定をしておけば保存療法で済む場合もありますが、痛みを堪えて動かしてしまったために手術が必要になることもあります。結果的に完治までの時間がかかってしまい、スポーツ復帰の遅れにつながりかねません。 「たかが突き指」と決めつけず、できるだけ早く然るべき医療機関へ受診するよう心がけましょう。 まとめ|突き指の痛みが長引くときは専門医を受診しよう 突き指は、スポーツ(特に球技)をする方々にとっては身近な怪我です。ただの軽い怪我だと思って放置すると、骨折を含め大きな問題につながりかねません。また、骨折を伴う場合は痛みや腫れが顕著なことと同時に、腱の断裂や靭帯損傷といった外傷が隠れていることもあります。 症状が長期間にわたって継続し、骨折や腱の断裂が疑われる場合は躊躇なく整形外科院を受診しましょう。 当院でも、突き指や骨折の相談を受けつけているので、ぜひお気軽にお問い合わせしてみてください。
公開日:2024.10.15 -
- 脊椎
- 脊柱管狭窄症
脊柱管狭窄症の予防法とは?その原因と歩けないときの対処法 脊柱管狭窄症により「歩くのが大変になった」と悩んでいる方は多いようです。 一方で、その治療については十分に認知されているとは言えず、服薬のみの対症療法に頼る患者も少なくありません。 そこで今回は、脊柱管狭窄症にならないための予防や、重症化しないための対策をまとめています。症状が出ている人も、今はまだ大丈夫という人も、これからのためにぜひ本記事をチェックしてください。 脊柱管狭窄症とは? 脊柱管狭窄症は、中高年に多い腰部疾患の一つです。 脊柱管とは、運動の指令や、ものを触った感覚を伝える脊髄神経が通る、背骨の空洞部分になります。 この脊柱管が何らかの影響で狭くなることで、神経を圧迫し、間欠性跛行や、下肢の痺れ、痛みなどの症状がみられます。60〜70歳代以降の中高年に発症することが多く、姿勢の変化や背骨の変形を伴う変性疾患の一つです。 腰椎ヘルニアや腰椎圧迫骨折などの急性期の疾患と違い、徐々に症状が現れる慢性的な疾患として知られています。 脊柱管狭窄症の原因と症状 原因|若いときの無理が原因? 脊柱管狭窄症が起こる原因はいくつかありますが、代表的なものを3つ紹介します。 ⓵加齢による骨や背骨周囲の軟部組織の変性による神経の圧迫 ②日頃の姿勢や動作習慣による影響 ③先天的な疾患によるもの それぞれ詳しく解説していきます。 ⓵骨加齢による骨や背骨周囲の軟部組織の変性による神経の圧迫 人の体は、加齢とともに細胞内の水分量が少なくなります。その結果、あらゆる組織の柔軟性が乏しくなったり、厚みが出てきたりと変化していきます。 それが「変性」と呼ばれるものです。その変性により、骨の変形や、椎間板の変性、靭帯の肥厚が起こり、脊髄神経が通る脊柱管が狭くなってしまいます。 それにより、神経を圧迫し、脊柱管狭窄症を引き起こすのです。 ②日頃の姿勢や動作習慣による影響 普段の姿勢や、動作習慣によっても脊柱管狭窄症を引き起こす可能性があります歳を重ねていけばみんな発症するかというと、もちろんそういうわけではありません。 特に腰に症状が出やすい脊柱管狭窄症は、腰の骨に負担がかかる姿勢や動作習慣が問題となることがあります。 例えば、デスクワークを長年続けていて、普段からあまり運動をしない人は、どうしても体幹の筋肉が落ちてしまいます。そうすると、腹筋を使わないよう反り腰の姿勢になってしまい、脊柱管がより狭くなる危険性もあるのです。 これらはほんの一例ですが、誤った姿勢や体の使い方で、脊柱管狭窄症になりやすい体へと変化していくため、注意が必要です。 ③先天的な異常によるもの 割合は少ないのですが、先天的な発達異常により脊柱管狭窄症を引き起こすことがあります。 成長期の場合、年齢につれて脊柱管も広くなっていくのですが、先天異常により脊柱管が広がらず、狭くなっていくことがあるのです。この場合、若い年代で発症します。 非常に稀ですが、若い年代で脊柱管狭窄症の症状が出た場合は、できるだけ早めに専門医療機関へ相談しましょう。 症状|その痛みは片側だけ?両側に出ている? 脊柱管狭窄症の主な症状は、臀部から下肢にかけての痺れや痛み、力の入りにくさ、そして間欠性跛行です。 特に特徴的なものが間欠性跛行で、歩いていると脚の痛みが増強し、続けて歩くことが困難になる症状を呈します。少し休憩をしたり、体を前かがみにしたりすると症状が軽減し、歩けるようになります。 これらの症状に加え、排尿・排便障害や両側に症状が出てしまう場合は、より重症化が疑われます。 また、神経圧迫の程度が強いと、足首を上に反らせなかったり、数十メートル歩くだけで症状が強くなったりする場合があるため、医療機関に相談することを推奨します。 脊柱管狭窄症にならないための予防方法はある?! 脊柱管狭窄症にならないための予防には、どのような方法があるのでしょうか。 以下で解説していきます。 予防方法①身体にかかる負担を分散させる 物を持ち上げる時の身体の使い方によって、腰にかかる負担を軽減させることができます。逆に、持ち方ひとつで、腰に負担がかかってしまうこともあるため、間違った使い方をしている人は要注意です。 まず、誤った使い方は、下の荷物を抱えようとした時に、膝を突っ張って腰だけ曲げて抱える方法です。この方法だと、腰の屈伸の運動だけで動作を行うため、腰だけに負担が集中してしまいます。 そこで、ぜひ参考にしてほしい使い方は、膝と股関節を曲げ、腰の位置を低くして持ち上げる方法です。この方法なら、腰とともに、股関節、膝関節の力も入り、負担を分散させることができます。 今回は、物を抱える動作で例を出しましたが、どの動きにも通ずることです。腰だけに負担をかけないように、上手に股関節、膝関節の力を使っていきましょう。 予防方法②背骨を全体的に動かす 今度は、背骨を全体的に動かす意識をお伝えします。 上を向いたり、下を向いたり、振り返ったりなどは、普段から何気なく行っていると思います。そんなに意識せずに行っている人が多いのではないでしょうか? 例えば上を向いてみましょう。この時に、背中が全く動いていない人は注意が必要です。背中が動いていないということは、首(頚椎)だけの動きになっているということです。 そのため、動きが首(頚椎)部分に集中してしまい、この動かし方でなれてしまうと、首を痛めたり、背中周りの動きが硬くなったりします。 おすすめの方法は、上を向くのと同時に、胸を張るように動かすことです。そうすることで、背中から首(胸椎から頚椎)までを均等に使うことができ、部分的にかかる負担を減らすことができます。 振り向く動作も同じで、体を捻りながら首と一緒に振り向けると負担が首に集中せず、痛みや変形の予防になります。 予防方法③股関節や肩甲骨がカギ あらゆる動作で背骨は動きますが、同時に股関節や肩周りも意識的に動かすと予防に効果的です。というのも、背骨というのは思ったより大きく動かない組織なのです。 腰椎を例にみてみましょう。腰の屈曲(腰骨だけで前屈した時の動き)の標準的な可動域は 45°です。この角度では、下の物を取ることはできませんし、そもそも下に手が届きません。 この動きに骨盤の前屈や股関節の屈曲、さらには膝の屈曲など様々な他部位の動きが加わることで、下にある物に手が届き、そこから抱えるという動作を行うことができます。 つまり、背骨に負担をかけないのであれば、隣接する股関節や肩(肩甲帯)の動きが重要になるということです。普段から股関節や肩周りの柔軟性を高めたり、エクササイズなどで筋肉を働きやすくしておくことも腰への負担の軽減につながります。 脊柱管狭窄症で歩けないほど症状が強くなったら? 脊柱管狭窄症の予防策として、いくつか紹介しましたが、実際に脊柱管狭窄症の症状が出て、さらに悪化したらどのように対処すべきなのでしょうか? 無理して歩いてはダメ!! 「とにかく運動が大事だから!」と言って、無理をして歩くことは推奨しません。 脊柱管狭窄症の症状である間欠性跛行は、頑張って歩いたからといって治るものではありません。間欠性跛行などの特徴的な症状が出た場合は、無理な運動はせず、初めは安静にしておくことが重要です。 ストレッチやエクササイズ、歩行などの運動は、症状が落ち着いてから始めるようにしましょう。 症状が強く出る前に医療機関に相談を! 自分の症状が脊柱管狭窄症かもと思ったら、できるだけ早く専門の医療機関の受診を推奨しています。脊柱管の狭窄の程度によっては、手術療法が必要な場合もあります。 自分で判断せずに、専門の医師の診察を受け、どのように対応していくのか指示を仰ぐようにしましょう。 脊柱管狭窄症の予防法とは?歩けないときは無理は禁物!/まとめ 脊柱管狭窄症の予防方法を中心に紹介しました。 予防するためのポイントは以下です。 ・腰への負担を減らすために、肩周りや股関節周りの大きい筋肉を動かす ・腰を反らす姿勢を改善 ・腰に負担のかからない身体の使い方を反復する 症状が出ない若いうちから日頃の動作習慣や姿勢を見直すことで、脊柱管狭窄症の予防ができます。 また、股関節や肩周りなど、背骨に近い関節をしっかり動かすことも大切です。今一度、自分の動作を確認し、背骨に負担が集中しないような正しい姿勢、動きを身につけましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。
公開日:2024.10.07 -
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脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法について 高血圧を管理、治療する目標の1つに脳出血の予防、再発予防があります。 脳出血の主な原因は高血圧であり、一度脳出血を起こしてしまうと 1 年以内の再発率は5%程度、5 年以内の再発率は 2 割近くに及ぶと報告されています。 脳出血を起こしてしまうと、仕事に支障が出たり、介護が必要になってしまうこともあるため、予防が非常に重要です。この記事では、脳出血を予防するための血圧管理について詳しく解説していきます。 脳出血と血圧の関係 脳出血は、脳の中の血管が破けて出血してしまい、頭痛や吐き気、手足の麻痺などが出てしまう重大な病気ですが、発症には高血圧が最大の危険因子であることがわかっています。 血圧が高い状態は日常的に血管に強い力が加わってしまい、血管が破けやすくなり、動脈が硬くなる動脈硬化のリスクも上がるため、脳や心臓の血管の病気が多くなってしまいます。 また、高血圧は非常に多くの方がかかる病気であり、日本には高血圧患者は約 4300 万人もいると推定されています。高血圧自体は無症状のため、放置してしまう方もいるかもしれませんが、高血圧の治療は単に数値を下げるのではなく、脳や心臓の血管の病気を予防するためにとても重要なのです。 さらに血圧の管理は脳出血の再発予防にも必要です。一度脳出血を起こしてしまった方や喫煙者、糖尿病やコレステロールなどの他の病気を持っている方は、脳出血を起こすリスクが上昇してしまいます。そのため、一度発症してしまった方では、より厳重に血圧の管理をすることが大事です。 高血圧の診断と治療目標は 血圧は、上の数値を収縮期血圧、下の数値を拡張期血圧といいます。 高血圧治療ガイドラインの2019年版では、収縮期血圧 140 mmHg以上、または拡張期血圧 90mmHg以上( 140 / 90 mmHg以上)の状態を高血圧といい、治療の目標は 130 / 80 mmHg未満が推奨されています。 また診断・治療のときには家庭血圧(ご自宅で測定した血圧の数値のこと)の測定と血圧手帳への記入が重要です。病院で測定した血圧は緊張のため高くなりやすく、白衣高血圧といわれる病院でだけ血圧が上がってしまう方も比較的多くいらっしゃいます。 また、家庭血圧をもとにした場合の高血圧の診断基準は、135 / 85 mmHg以上をいい、治療の目標は125 / 75 mmHg未満と若干数値が異なるのが特徴です。そのため、高血圧の診断、コントロールには血圧計を購入し、ご自宅で測定した血圧を記入して医師にみせることが大事なのです。 高血圧の治療の目標は、ご本人の状況により変わることにも注意が必要です。年齢や喫煙の状況、心臓、脳血管の病気など、持病の有無によって推奨される血圧の目標値が異なるため、ご自分の治療目標がどの程度となるかは担当の医師とよく相談することが必要です。 一般的に、脳出血を起こしたことがある方は、再発予防のために130 / 80mmHg未満(家庭血圧で125 / 75 mmHg未満)とすることが推奨されているので、1 つの目安にしてください。 血圧を下げる方法 治療の基本は、生活習慣の改善(減塩、減量・運動、食事の見直し、禁煙、節酒)とお薬の内服です。まずは生活習慣の改善を行い、血圧の数値によりますが1 〜 3ヶ月ごとの評価で必要に応じてお薬を開始します。 生活習慣の改善方法とお薬の治療について順番に解説していきます。 生活習慣の改善 減塩 塩分は1日6g未満を目標とします。味噌汁や漬物など塩辛いものは可能な限り控えるようにしましょう。 適度な運動 有酸素運動は効果が認められているので推奨されます。週に2 - 3回、20 ~ 30分間程度の運動を行うことが重要です。ウオーキングや息が上がらない程度のジョギング、サイクリング、水泳などがおすすめです。 健康的な食生活 脳出血のリスクを減らすために、DASH( Dietary Approaches to Stop Hypertension )食という高血圧を防ぐ食事方法が勧められます。具体的にはカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、タンパク質を多く含む果物、野菜、豆類、魚、肉、卵などのバランスの良い食事を摂り、高脂肪、高炭水化物の食事は避けるようにしましょう。 禁煙 タバコは脳出血のリスクを高めます。禁煙することが最も効果的な方法です。 適度なアルコール摂取 過剰なアルコール摂取は脳出血のリスクを高めます。週に 1 ~ 2 日程度の飲酒とするか、毎日飲むのであればビールは中瓶 1 本、日本酒 1 合以下に制限するようにしましょう。 お薬での治療 生活習慣を変えても目標の血圧にすることができない場合には、お薬による治療が考えられます。お薬には複数の種類があり、目標とする血圧になるように薬を組み合わせて内服をします。 多くの研究で、お薬で血圧を下げることによって、脳出血の発症・再発を予防できることが示されているので、医師の指示通りにしっかりと治療を行うことが大事です。 血圧についてよくある質問 Q&A 血圧管理方法に関するよくある質問に、Q&A方式でお答えしています。 Q.自宅で血圧を測るときのポイントは? A:上腕に巻くタイプの血圧計で起床後 1 時間以内(内服前)と夜(就寝前)の1 日 2 回、座って 1 ~ 2 分安静にしてからの測定がおすすめです。 Q.上の血圧と下の血圧どちらを見た方がいいですか。 A:上の血圧は収縮期血圧と言い、心臓が血液を送りだすときの血圧をいいます。下の血圧は拡張期血圧と言い、血液が心臓に戻るときの血圧をいいます。どちらも重要であり、高血圧の定義は収縮期血圧 140 mmHg以上/または拡張期血圧 90 mmHg以上ですので、下の血圧の数値も重要になってきます。 Q.血圧が毎回違うのはどうしてですか。 A:血圧はさまざまな要素で変わってきます。緊張や運動、お薬やカフェイン摂取、痛み、ストレスなどによって変動します。そのため 1 日 2 回、安静にしてから血圧を測定し、平均の数値をみることが大事になってきます。 まとめ・脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法とは 脳出血の予防・再発予防に重要な血圧の管理、治療目標と、その方法について解説しました。 高血圧は無症状ですが、放置してしまうと、重大な病気につながることがあります。血圧が高いことを指摘されたら早めに病院を受診して、生活習慣の見直しと治療を受けるようにしていきましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下も参考にしてください 脳出血とストレスの関係性!その種類と部位を分かりやすく解説!
公開日:2024.10.07 -
- 手部、その他疾患
- スポーツ外傷
- 手部
突き指を早く治すにはどうしたら良いのかな。 湿布やテーピングの正しいやり方がわからない。 この記事を読んでいるあなたは、突き指の手当てが必要な状況なのではないでしょうか。 「病院へ行くべきか知りたい」と、思っているかもしれません。 結論、突き指は適切な処置をすれば早く治る可能性があります。ただし、誤った処置をすると、炎症が悪化して完治が遅れるケースも珍しくありません。 本記事では、湿布やテーピングなどを使った突き指の正しい処置について、詳しく説明します。 記事を最後まで読めば正しい応急処置がわかり、突き指を早く治せるでしょう。 突き指を早く治す3つの方法 突き指は、指先にものが強くぶつかって、腫れや痛み、内出血、関節の動きの制限などが起こるケガです。 自然に治るケースもありますが、適切な処置をすれば早く治る可能性が高まります。本章では突き指を早く治す3つの方法について説明します。 湿布 突き指をしたときに痛みや炎症を抑える湿布を貼れば、突き指のつらい症状をやわらげられます。 痛みや炎症を抑える成分の例は、以下のとおりです。 ロキソプロフェン ジクロフェナク インドメタシン フェルビナク また、湿布には貼ったときに温かく感じる「温感タイプ(温湿布)」とひんやり感じる「冷感タイプ(冷湿布)」があります。温感・冷感は「感じ方」だけの問題のため、実際はどちらを貼っても効果は同じです。 しかし、突き指の直後は炎症によって指が熱を持った状態のため、冷感タイプの方が心地よく感じられるでしょう。 RICE処置 突き指を早く治すには、以下4つの項目の頭文字を取って名付けられた応急処置方法「RICE処置」もおすすめです。 R:Rest(安静) I:Icing(冷却) C:Compression(圧迫・固定) E:Elevation(挙上) RICE処置には、痛みや腫れを軽減し、回復を助ける効果が期待できます。本章の内容をもとに、具体的な方法を理解しておきましょう。 Rest:無理に動かさず「安静」にする 怪我をした直後は無理に動かさず、安静にしましょう。炎症や痛みがあるのに無理に動かすと、怪我の状態や症状を悪化させる恐れがあります。 Icing:怪我をした部分を「冷却」する 怪我による炎症をやわらげるため、以下の方法で傷めた指を冷やしましょう。 1. 氷のうやビニール袋に氷水を入れて患部に当てる 2. 15分ほど冷やして患部の感覚がなくなったら外す 3. また痛みが出てきたら冷やす 1〜3の流れを繰り返します。 氷が手に入らない場合は、保冷剤をタオルに包んだり、流水で冷やしたりしても良いでしょう。 ただし、冷やしすぎると凍傷(とうしょう:やけどの逆。冷えすぎによって起こる組織の障害)になり、さらに指を傷める可能性があります。 使う水の温度や氷の量によってどの程度冷えるかは異なるため、冷やす時間は指の様子を見ながら調節してみてください。 Compression:テーピングや包帯で「圧迫・固定」する 腫れていて指を曲げると痛い場合は、圧迫して腫れを抑えたり、固定して動きにくくしたりしましょう。木や金属の板を指に沿うように当てる、テーピングや包帯で固定するなどの方法があります。 ただし、圧迫部位が青くなる、冷たくなる、痺れが出るなどの場合は圧迫が強すぎる可能性があるため、少し緩めるようにしてください。(文献2) Elevation:心臓より高い位置に「挙上」する 腫れを予防、軽減するために、怪我をした指を心臓より高い位置まで挙上(きょじょう:持ち上げること)しましょう。心臓より高く上げることで、怪我でたまった血液が流れ、腫れをやわらげられます。 テーピング テーピングは、前述したRICE処置の「圧迫・固定」にあたる処置です。指の動きを固定し、無理な動きによる痛みや炎症の悪化を予防できます。 テーピングの方法は、以下の2種類です。 怪我をした指だけテーピングをする 怪我をした指と隣の指を一緒に固定する(バディテーピング) 突き指の応急処置には、隣の指が添え木の代わりになる「バディテーピング」が効果的です。 指を曲げると痛い場合は、指を伸ばしたまま固定して曲がらないようにします。 少し動かせるようになったら、隣の指を固定から外し、怪我をした指のみをテーピングすると良いでしょう。 やってはいけない突き指の応急処置 「指を引っ張る」「痛い部分を揉む」などの応急処置は、突き指を悪化させる可能性があるため避けてください。 肩の怪我に多い「脱臼」が指に起きた場合は、はずれた関節を戻すために医師が指を引っ張るケースがあります。 しかし、症状の悪化を引き起こす恐れがあるため、突き指した部分を自己判断で引っ張るのは避けましょう。 また、突き指した部分を揉むと、炎症がひどくなり怪我の状態を悪化させる可能性があります。マッサージのように揉むことは避け、応急処置には「安静・冷却・圧迫固定・挙上」のRICE処置をおこなうようにしましょう。 湿布で突き指が治らないなら骨折の可能性もある 痛みや腫れがひどい場合は骨折している可能性があるため、整形外科への受診が必要です。 突き指が原因で指先が曲がり、伸びない状態を「マレット変形」または「槌指(つちゆび)」と呼びます。 マレット変形は、傷めた部分が腱か骨かにより、以下2つのタイプに分けられます。(文献1) 腱性マレット変形:指を伸ばす伸筋腱が切れて、関節を伸ばせない状態 骨性マレット変形:腱がついている骨が折れて(骨折)、ずれた状態 骨性マレット変形(骨折)の場合、すぐに手術が必要なケースもあります。 処置が遅れると回復が困難になる可能性もあるため、応急処置で良くならない、痛みや腫れが強いなどの場合は早めに整形外科へ受診してください。 当院「リペアセルクリニック」でも、突き指や骨折の相談を受け付けています。指の痛みや腫れがひどく、医療機関での受診を検討している方は当院の「メール相談」や「オンラインカウンセリング」からお気軽にお問い合わせください。 突き指と骨折の違いについての記事はこちら: まとめ|突き指には湿布が有効だが必要に応じて受診しよう 本記事では、突き指を早く治すための正しい応急処置を解説しました。 突き指は自然に治るケースもありますが、適切な応急処置や必要に応じた受診によって早期の回復が期待できます。 代表的な突き指の応急処置方法は「湿布」「RICE処置」「テーピング」です。しかし、突き指の症状が強く、強い腫れや痛みが続く場合は骨折している可能性があるため、早めに整形外科を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、突き指や骨折に関する相談を受け付けています。治療やリハビリに時間のかかる大きなケガの場合は、再生医療による治療も可能です。 突き指について気になる点がある場合は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」にて当院へご相談ください。 突き指の湿布についてよくある質問 突き指の湿布に冷えピタなどの冷却シートは使えますか。 冷えピタをはじめとする冷却シートは、突き指にはあまり意味がありません。冷却シートの効果は「ひんやりした感じがある」程度にとどまり、突き指の炎症を抑えるほどの冷却はできないためです。 突き指の応急処置で冷やす際は氷水や氷のうなどで、患部をしっかりと冷やすようにしましょう。 突き指に冷湿布を貼れば冷やさなくても良いですか。 冷湿布を使う場合も、突き指をした部分は必ず冷水や氷水で冷やしてください。冷湿布のひんやり感は「メントール」や「水分」によるもので、突き指の炎症を抑えるほどの冷却効果はないためです。 突き指に対する湿布の効果は患部の冷却ではなく、有効成分が患部の炎症を直接鎮めることで得られます。突き指をしたら患部を良く冷やし、そのあとに炎症を抑えるための湿布を貼るようにしましょう。 参考文献一覧 文献1 マレット変形(槌指)|日本整形外科学会 文献2 保健だより|京都市保育課
公開日:2024.11.06 -
- 上肢(腕の障害)
- スポーツ外傷
- その他、整形外科疾患
胸郭出口症候群とは?症状、原因と治療法、病気を解説します 胸郭出口症候群とは、腕を上げる動作や、上げたままの姿勢が続くと肩や腕、手にしびれや痛み、だるさなど、上肢に症状が現れる病気です。 とくに、なで肩の女性や筋トレ習慣のある男性をはじめ、野球やバレーボール、バドミントン、テニスなどのように、腕をよく回すアスリートや運動部の学生によく見られるスポーツ障害でもあります。 そこでこの記事では、胸郭出口症候群とは?と題して、その特徴や原因、リハビリや手術などの治療法について紹介しますのでご一読ください。 胸郭出口症候群の原因と症状 胸郭出口とは、手や腕を動かす神経や血管が走っている首と胸の間にある通路のことです。この通路は、首の付け根にあり、その隙間にある神経や血管が締め付けられたり、圧迫されたりすると、胸郭出口症候群の原因になります。 なお、胸郭出口にあるどの筋肉と関係するかによって、次の3つの症候群があり、胸郭出口症候群とは、下記の3つの症候群をまとめた病名なのです。 胸郭出口症候群とは以下の症候群をまとめた病名 ・ 斜角筋(しゃかくきん)症候群 ・ 肋鎖(ろくさ)症候群 ・ 小胸筋(しょうきょうきん)症候群(≒過外転症候群) 原因(動作) 胸郭出口症候群は、日常生活やスポーツで次のような動作をよく行った場合、原因となります。 胸郭出口症候群の原因(一例) ・ 野球でボールを投げる ・ テニスでラケットを振る ・ 剣道で竹刀を上下に動かす ・ 水泳のクロールで繰り返し腕を回す ・ つり革を持つ ・ 洗濯を物干し竿に干す ・ 腕や肩の筋トレを繰り返す ・ なで肩や片肩でバッグを持つなどの姿勢不良 上記のうち4つ目までは、そのスポーツでの独特な動きが発症原因となっています。 スポーツ障害と胸郭出口症候群 先程紹介したように、胸郭出口症候群は、なで肩や良くない姿勢、日常動作の動きのクセ(リュックサックや肉体労働など)によって起きるといわれています。 一方で、野球やバレーボール、バドミントンなど、プレーの中で腕を上げたり、よく腕を回転させたりするスポーツでも発症する病気です。そのため、オスグッド病、シンスプリント、野球肘など、繰り返し同じ動きによって痛みが続く「スポーツ障害」の一種でもあります。 日頃からスポーツや運動、トレーニングなどをしている方で上肢や肩、腕や手の違和感がある場合、胸郭出口症候群の可能性があることを知っていただき意識の上、注意しておきましょう。 胸郭出口症候群の「症状」 胸郭出口症候群になると腕を上げる動作を取ることで、肩や腕、手、肩甲骨周辺などに「しびれ」や「痛み」、「だるさ」が生じます。 症状が進行すると、前腕から手の指(とくに小指側)に強い痛みや、しびれ、ピリピリ感が走る、握力が低下する、指先を使う作業が不器用になる、といった症状も加わります。 このように胸郭出口症候群を発症すると上肢に痛みやしびれが生じ、運動麻痺の症状が重なるは、日常生活に支障をきたす病気です。 人によっては、手の甲の骨の間が凹んだり、手のひらの小指側の小指球筋と呼ばれる盛り上がりが痩せてくることもあります。さらに、血行不良によって腕が白っぽくなったり、青紫色になったりするケースも少なくありません。 胸郭出口症候群の「治療法」 胸郭出口症候群の治療には、次の 4つがあります。とくに 3 番目のリハビリは、整形外科に通院して効果が期待できる方法なのでぜひチェックしましょう。 胸郭出口症候群の治療法 1. 生活指導 2. 薬物療法 3. リハビリ 4. 手術 1. 生活指導 原因となっている日常生活での腕を挙げる動作やスポーツ・運動を控えることが大切です。また、正しい姿勢を維持したり、生活動作を腕に負担のないように見直す必要もあります。 ストレッチやエクササイズなどの運動療法で筋肉の緊張や血行不良を改善する方法も有効です。 2. 薬物療法 痛みを和らげる消炎鎮痛剤(ロキソニン・ボルタレンなど)や神経の痛みに対する薬(プレガバリン・ミロガバリンなど)といった内服薬の処方が一般的です。 痛みが強い場合は、ブロック注射を行うこともあります。 3. リハビリ(理学療法) 整形外科に通院して、理学療法士から正しい姿勢を学んだり、手技で胸郭出口周辺の筋肉の緊張を和らげたり、神経や血管への刺激を緩めたりして痛みの緩和を目指します。 生活指導と理学療法を合わせて受けられるケースが多いため、今後の予防にもつながる方法です。 4. 手術 症状が重くて日常生活やスポーツに大きな支障をきたしているときは、原因となっている筋肉や肋骨の一部を切除して隙間を広げ、神経や血管の圧迫を取る手術を選択することがあります。 近年、手術のほかカテーテルによる治療が行われるケースも増えています。 まとめ:胸郭出口症候群とは?原因と治療法についても詳しく解説! 今回紹介した胸郭出口症候群には、次のようなポイントがありました。 胸郭出口症候群の原因 ・ 腕を挙げると動作で肩や腕、手のしびれや痛みが生じる ・ 胸郭出口周辺の神経や血管の圧迫が原因 ・ 日常動作や姿勢、スポーツが原因で発症する ・ 治療法は内服薬やリハビリが中心 ・ 重度の場合は手術を選択することもある 胸郭出口症候群は、日常の腕を上げる動作や、スポーツなどで発症しやすい疾患です。原因は主に胸郭出口における神経や血管の圧迫であり、特になで肩の女性やスポーツ選手に多く見られます。 症状は上肢にしびれや痛みが生じ、日常生活に支障をきたします。治療法は生活指導や薬物療法、リハビリ、手術などですが、リハビリを用いた治療が大切です。また、手術は症状が著しい場合に選択される場合があります。適切な治療法を選択し、生活指導やリハビリを積極的に行うことが重要です。 普段から姿勢が気になっている方、スポーツを楽しんでいる方で腕や手のしびれや痛みがある場合、胸郭出口症候群かもしれません。 この記事を読まれて、身体の違和感に気が付かれたなら、症状が進行する前に、整形外科を受診しましょう。 以上、参考にしていただければ幸いです。 ▼胸郭出口症候群について以下も参考にされませんか 【胸郭出口症候群】自分でできる!症状チェック法を紹介!
公開日:2024.10.07 -
- スポーツ外傷
- その他、整形外科疾患
肋骨(ろっこつ)骨折について、以下のような疑問やお悩みがある方はいませんか。 ・「肋骨骨折は、いつまで安静にするべきなの?」 ・「肋骨骨折の痛みのピークはいつ?」 骨折の程度にもよりますが、痛みのピークは数日〜1カ月とされています。また、骨が癒合するまでは安静に専念することが重要です。 今回は肋骨骨折の症状や痛みのピーク、安静期間の目安などについてご紹介します。肋骨骨折に関する情報を知ることで、発症後に適切なタイミングで医療機関へ受診できるようになるでしょう。 肋骨骨折とは?【ひびや折れによる症状】 肋骨骨折とは、胸を囲っている肋骨にひびが入る、または折れている状態のことです。おもな症状は、運動時や呼吸時の痛みです。 肋骨は、胸の正面にある胸骨と、背中にある背骨をつないでいる骨で、左右12対の合計24本あります。「あばら骨」とも呼ばれており、心臓や肺などの臓器を覆って外部からの衝撃を防ぐ役割があります。肋骨は、一部分が骨折するだけでなく、複数同時に折れることも珍しくありません。 また、呼吸時に肺が膨らんだり、縮んだりするのにあわせて肋骨も連動して動きます。そのため、肋骨にひびが入ったら動きが制限され、呼吸がしづらくなる場合があります。 肋骨骨折の原因 肋骨骨折はすべての骨折の10〜20%を占めるとされており、おもな原因は以下のとおりです。 ・転倒 ・交通事故 ・転落 ・スポーツ 他の部位に大きな衝撃が加わり、肋骨がたわむことで間接的に骨折が生じるケースもあります。交通事故や転落などで強い衝撃が加わると、骨折だけでなく肺の損傷を伴う場合もあります。 スポーツ外傷で肋骨が骨折することも少なくありません。その場合、ラグビーや柔道などのコンタクトスポーツでの胸の強打が原因です。ゴルフや野球などで同じ動作を繰り返し行い、肋骨の負担が蓄積して疲労骨折が生じる場合もあります。 また、高齢者で骨が脆くなると、くしゃみや体をひねる動作で肋骨骨折を引き起こすこともあるでしょう。 肋骨骨折の痛みのピーク【数日〜1カ月程度】 肋骨骨折を発症した場合、痛みのピークは数日〜1カ月程度とされています。 その期間はもちろん、肋骨の状態が良好になるまでは無理な動作や運動を控え、安静に専念することが重要です。 ここでは、肋骨骨折の痛みが和らぐ日数や安静期間について説明します。 症状が和らぐのは痛みのピークから3〜4週間が目安 骨折後に症状が和らぐ期間は、痛みのピークが過ぎてから3〜4週間ほどがおもな目安です。 症状としては、呼吸時や体を動かしたときの骨折部の強い痛みです。具体的には、以下のような肋骨が動きやすい動作で痛みが強くなります。 ・寝返りをうつ ・体を反らす ・肩を動かす また痛みだけでなく、内出血や腫れがみられることもあります。肋骨の動きも悪くなるため、息苦しさや呼吸のしにくさなどを感じるケースもあるでしょう。肋骨骨折は、肺の損傷を伴う可能性があります。 酸素が不足して皮膚が青っぽく変色する「チアノーゼ」がみられたり、意識がもうろうとしたりする場合は、すぐに病院を受診しましょう。 肋骨骨折の安静期間は3〜6週間が目安 程度にもよりますが、骨折した骨が癒合(くっつくこと)するのは3〜6週間とされています。肋骨骨折は状態によって安静期間が異なるため、必ず整形外科に受診して、医師の判断を仰ぎましょう。 肋骨にひびが入っている程度、または骨折カ所が1カ所であれば、痛みは1カ月以内に落ち着くことが多いです。 骨折の状態によっては、それ以上の痛みが続く場合があります。基本的に痛みがある間は、肋骨に負担がかかるような動作は極力行わず、安静にしておくのが良いでしょう。 ただし、過度な安静は身体機能の衰えにつながるので、極端に活動量が落ちないように注意してください。 肋骨骨折でやってはいけないこと 肋骨骨折でやっていけないことには、以下があげられます。 ・重い荷物を抱える ・体の捻りを繰り返す ・激しい運動をする ・入浴する このように、肋骨に直接負担がかかるようなことは、骨が癒合するまでは控えた方が良いでしょう。体を動かす際は、痛みが出ない範囲に留めておくことが重要です。 また、肋骨骨折直後は炎症反応が現れている状態です。その状態で入浴すると炎症が悪化する恐れがあるため、シャワーで済ますことをおすすめします。湯船での入浴は、痛みや炎症が落ち着いたタイミングが良いでしょう。 肋骨骨折が自然に治るのか心配な方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。 肋骨骨折で仕事復帰をする目安 仕事復帰する期間の目安は、骨折の状態や職種によって変わります。肋骨骨折がひどくなければ、バストバンドと呼ばれる装具(コルセット)で固定し、痛み止めの内服薬を服用しながら自宅で生活を送ることになります。 骨折部に負担をかけないデスクワークであれば、受傷して数日後からの復帰も可能です。 しかし、痛みが落ち着いたとしても、肋骨が完全に治癒しているとは限りません。骨が癒合していない状態で無理すると、骨折や痛みなどが悪化する恐れがあります。 仕事を休めない、または休みたくない気持ちはわかりますが、肋骨骨折した場合は治療に専念するのが何よりも優先です。 仕事復帰を検討する場合は整形外科で医師に診察してもらい、許可を得てからにしましょう。 まとめ|肋骨骨折の痛みが続くなら早めに医師に相談しよう! 肋骨骨折は、骨折の程度によって安静期間や仕事復帰の時期が異なります。デスクワークを含めた、体への負担が少ない仕事は早期に復帰しやすいといえます。 一方で、肉体労働が中心の仕事は骨折部に負担がかかるため、しっかりと治癒してから復帰する必要があるでしょう。骨が癒合していない状態で無理な動きをすると症状が強くなり、回復が遅れる原因となります。 決して焦らず、まずは整形外科の医師に相談して、正しい復帰時期を教えてもらいましょう。
公開日:2024.11.06 -
- その他、整形外科疾患
【胸郭出口症候群】自分で分かる!症状をチェックできる方法をご紹介! 胸郭出口症候群とは、腕を上げる動作を行った時に腕の痺れや、肩周りの痛みが生じる疾患です。日本人の女性に多く見られ、症状が強いと日常生活に影響が出ることもあります。 この記事では、そんな胸郭出口症候群の原因や、症状を疑った際に確かめられるセルフテストのやり方とチェックリストをご紹介します。 胸郭出口症候群の原因 肩甲骨周りから腕にかけての、運動と感覚を支配する神経の集まりを、腕神経叢(わんしんけいそう)と言います。 この腕神経叢と、同部位に血流を送る鎖骨下動脈は、同じ筋肉や骨の間を通ります。その間で圧迫され、神経障害や血流障害が生じるため痺れや痛みの症状が起こるのです。 具体的には「前斜角筋と中斜角筋の間」「鎖骨と第一肋間の間」「小胸筋の肩甲骨烏口突起 停止部の後方」を走行し、圧迫される部位により名前は異なりますが、総称して"胸郭出口症候群"と呼びます。 なで肩の女性や、重いものを持ち上げることが多い人、野球やバスケット、バドミントンなど腕を上げる動作が多いスポーツをよくおこなう方になりやすい疾患です。そのため、スポーツ障害の一種ともされています。 胸郭出口症候群になりやすい方 ・なで肩の女性 ・重いものを持ち上げることが多い ・野球やバスケット、バドミントンをされる方 ・その他、腕を上げる動作が多いスポーツ また、「※頚肋(けいろく)」の方も胸郭出口症候群になりやすいとされています。生まれつき人の頚椎には、横突起という側方に出っ張るような構造があります。 ※頚肋とは、第 7 頚椎の横突起が発達して、まるで短い肋骨のように側面まで伸びてきてしまっているもののことを言います。 胸郭出口症候群の症状 胸郭出口症候群の主な症状は、神経や血管が圧迫されることによる神経症状や血行障害によるものです。 神経症状は、肩周りから腕にかけてのビリビリとした痺れや感覚障害があります。 血行障害は、動脈が腕に行き届かず白くみえたり、逆に静脈がきちんと帰っていかず、鬱血状態になってしまうことで青紫色のように見えてしまうなどです。 それ以外に、腕のだるさや肩凝りのような肩の重い感じ、腕の冷えを訴える方も多くおられ、症状は人によってさまざまです。 上記のような神経症状や血管症状が持続し進行すると、手の握力低下や細かい動作がしにくくなる、といった指の運動障害を認めることがあります。この運動障害がある場合、手の筋肉が萎縮してしまうため手の甲の骨の間がへこんでしまいます。 胸郭出口症候群の症状 ・神経症状:肩周りから腕にかけてビリビリとした痺れや感覚障害 ・血行障害:動脈が白くみえたり、静脈が青紫色に見える ・腕のだるさ、肩凝り、肩の重い感じ、腕の冷え ・運動障害:握力低下、細かい動作がしにくくなる 胸郭出口症候群の治療 胸郭出口症候群の治療は、原則保存療法です。痛み止めや血流を改善させる薬を用いつつ、リハビリを行い症状の軽減を目指します。頚肋が原因の場合や症状がとても強い場合などは手術で骨の遺残を取り除く手術を行うことがあります。 胸郭出口症候群のセルフテストのやり方とセルフチェックリスト 前述したように胸郭出口症候群は症状が人によってさまざまであるため、診断することが難しくきちんと治療を受けることができない場合があります。 そんな時に活用できる、ご自身で胸郭出口症候群かどうか疑うためのチェックリストと、より明確なセルフテスト方法を紹介します。 以下のチェックリストにある症状のうち、 1 つでもある場合は、胸郭出口症候群の可能性があります。 胸郭出口症候群セルフチェックリスト ▢重いものを持つと肩こりがひどくなる ▢腕の痛みや痺れが出現する ▢腕を上げると、腕から背中にかけての痛みや痺れが出現し辛い ▢腕が冷える、白っぽく見える ▢腕のむくみが最近ひどく、色調も悪い 胸郭出口症候群セルフテストと、そのやり方 胸郭出口症候群を疑うかどうかを判断するためのテスト方法があります。 ご自身で簡単に行うことができるため、紹介します。そこで、胸郭出口症候群のセルフテストの代表的なもので 4 種類のテスト方法があり、以下にご紹介します。 a.モーレイテスト モーレイテストは症状が出現する腕側の鎖骨上窩で腕神経叢を圧迫するテスト 胸郭出口症候群であった場合は、圧迫した際に腕や肩周りに痛みや痺れが生じる b.アドソンテスト ・アドソンテストは椅子に座って行う ・2 人で行う必要があるため家族などの力を借りて行う アドソンテストのやり方 1)椅子に座って手首で脈拍を確認してもらう 2)その状態ので、あご先をあげて、頭を症状が生じる側に傾ける 3)この時に脈が触れなくなったり、触れにくくなった場合は陽性と判断する c.ライトテスト ライトテストも 2 人で行うテスト 1)手首で脈拍を確認してもらう 2)その状態で腕を開いて肩まで挙上 3)手が上になるように肘を直角に曲げる 4)あげた状態で脈が触れなくなったり、弱くなったりした場合陽性と判断する d.ルーステスト ・ルーステストは 1 人で行うことができる 1)腕を開いて肩まで挙上する 2)手が上になるように肘を直角に曲げる 3)手を握って開くという動作を繰り返えす 4)この動作を腕を上げたまま 3 分継続できない場合は陽性と判断する これらのテストが陽性であった場合、胸郭出口症候群の可能性が高まります。 まとめ・【胸郭出口症候群】自分でできる症状チェック方法を紹介! 胸郭出口症候群やそのセルフチェックに関して紹介しました。この記事で述べたようにこの疾患は、腕を上げるなど日常的に行う動作で痛みや痺れが生じるため日々の生活に支障をきたします。 治療は基本的に保存療法となりますが、発見と治療介入が遅れると症状緩和のために手術を行わなければならなくなる場合もあります。早期にリハビリなどを始めることで少しでも症状を和らげましょう。 そんな時にこの記事で紹介した「チェックリスト」や「セルフテスト」が有効です。 違和感をはじめ、少しでも疑う症状があった場合は、ぜひ一度確認してみられてはいかがでしょうか。 症状があるのであれば、整形外科を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下にも胸郭出口症候群の情報を記しました 胸郭出口症候群のセルフケア!効果的なマッサージやストレッチ方法をご紹介
公開日:2024.10.07 -
- 手部、その他疾患
- 手部
「ばね指ってなに?」 「ばね指になったときにやってはいけないこととは?」 このような疑問を持っている方は多いでしょう。 ばね指はありふれたものですが、その定義や原因は、あまり正確には知られていません。 また情報の少なさから、本来やってはいけないことを、良かれと思ってやってしまい、症状を悪化させる方が多くいます。 本記事ではばね指の定義や症状、やってはいけないこと、本来取るべき対処法などを解説します。 ばね指とは? まず、ばね指がどのようなものか確認しましょう。 簡単に言うと、「指に起こる腱鞘炎」を意味します。 指は、筋肉を動かすことで関節が曲げ伸ばしされています。筋肉の力で骨を持ち上げたり下ろしたりするイメージを持つと、理解しやすいでしょう。 そして筋肉と骨がむすびつく部分には、それらの連携をスムーズにするための「腱」組織があります。腱をトンネルのように包み込むのが「腱鞘」です。 その腱鞘に炎症が生じるのが腱鞘炎です。その影響で、指を曲げにくくなったり(ばねる)、痛みを感じたりするのを、一般的に「ばね指」と呼びます。 参考:日本整形外科会 ばね指は自然に治る? 症状が軽微なばね指であれば、自然に治ることはあります。 たとえばほんの少し曲げにくさを感じる、わずかな熱っぽさを覚える程度なら、放っておいても良くなる可能性があります。 しかし症状が顕著に出ているなら、自然に治らないこともあり得ます。また放置することにより症状を悪化させて、日常生活により大きな支障が生じるかもしれません。 したがってばね指が疑われるような症状があった場合、医師による診断を受けるのをおすすめします。 ばね指の症状をセルフチェック ばね指の具体的な症状として以下が挙げられます。 いずれか一つでも該当する項目があった場合、ばね指を発症している可能性があります。 この機会にセルフチェックしてみましょう。 ▼ばね指セルフチェックリスト ・曲がった指を戻そうとすると、ばねのような動きになる ・指が曲がったままで戻せなくなる ・起床時にこわばりを感じる ・指に痛みや熱っぽさを感じる ・腫れ上がっているように見える ばね指の症状は、「曲がった指を戻そうとすると、ばねのような動きになる」ことだけだと誤解されがちです。 しかしこれは症状の一つにしかすぎません。実際には、指が戻せない、痛みや熱っぽさが出るなど、症状にはいくつかの種類があります。 いずれか一つに該当した時点で、ばね指の可能性があるでしょう。また複数項目に該当している場合高い確率でばね指になっていると判断できます。 ばね指を発症する主な原因 ばね指を発症する主な原因は、大きく分けて3つ挙げられます。 ・手指の使いすぎ ・ホルモンバランスの変化 ・老化による腱鞘の衰え 参考:日本整形外科会 もちろん他の理由で発症するケースもありますが、ほとんどの場合で上記いずれかが原因となります。 それぞれに関して、下記で詳しく解説します。 自身の状況と合致するものがないか、チェックしましょう。 手指の使いすぎ 第一に、手指の使いすぎが挙げられます。 年齢性別関係なく、すべての人に考えられる原因となるでしょう。 たとえば以下のような動作が、長時間ないし多数繰り返されることが該当します。 ・マウスやキーボードの操作 ・洗い物や掃除などの家事 ・ゴルフや卓球など、手と指に負担がかかるスポーツ ・ピアノやギターなどの演奏 ・テーブルゲーム 仕事や家事のなかに発症の原因があることから、ばね指は身近な症状であると言えます。 ゆえに、後述するように、手指を休めるなどして、ばね指にならないような対策を取るのが重要でしょう。 ホルモンバランスの変化 女性の場合、加齢に基づくホルモンバランスの変化が、ばね指の原因になっている可能性もあるでしょう。 とくに、女性ホルモンのエストロゲンの低下が、ばね指と深く関係しています。 エストロゲンが低下すると腱鞘が弱くなる、狭くなる、など炎症が起こりやすくなります。 妊娠期や更年期などでは、エストロゲンが急激に減少することが少なくありません。したがってこの時期はとくにばね指になりやすいと言えるでしょう。 また女性の場合、先述した「洗い物や掃除などの家事のやりすぎ」や、後述の「老化による顕彰の衰え」も、状況として重複しがちです。 そのため、女性は時期によって、ばね指を予防するためにより一層強い意識が必要になるでしょう。 老化による腱鞘の衰え また、老化による腱鞘の衰えによって、炎症が生じやすくなることもあります。結果としてばね指になっているかもしれません。 前提として、人間のさまざまな組織は、加齢と反比例して徐々に弾力性を失っていく傾向があります。これは、腱鞘も例外ではありません。 弾力性を失った結果、炎症や腫れが起こりやすく、治りにくくなり、結果としてばね指として症状があらわれるケースが多々あります。 ばね指になったときにやってはいけないこと ばね指になったとき、つい、以下のようなことをやってしまいがちです。 ・無理に伸び縮みさせる ・必要のないマッサージを施す ・放置する いずれも逆効果で、ばね指の症状を悪化させる原因になります。 これらを継続した結果、指がまともに動かなくなり、手術が必要なほどの状態に悪化するかもしれません。 なぜ、これらをやってはいけないのか、詳しく解説します。 無理に伸び縮みさせる ばね指の症状が出たとき、改善しようと無理に指を伸ばしたり曲げたりすることがあります。 しかし、これは一見効果がありそうに見えて、実際には逆効果となるでしょう。 上述したように、ばね指は腱鞘が炎症を起こして、指の動作に支障をきたすものです。 すなわち指を伸び縮みさせると、本来は可能な限り動かさない方が良い腱鞘を、必要以上に動かすことになります。 そうすると症状が改善に向かうどころか、炎症をより悪化させてしまうでしょう。 「つっかえているなら伸ばした方が良い」と感じ、無理に指を伸ばしたり曲げたりしてしまい、かえって症状の改善を遅らせるケースが多く見られます。逆効果となるため、このような方法は避けましょう。 必要のないマッサージを施す 炎症が起こっている箇所に必要のないマッサージを施すことも、やってはいけません。 肩こりなどと同じように、「マッサージすれば、症状が改善する」と思い込んで、患部に刺激を与えてしまうケースがあります。 しかし、マッサージによって患部に圧力が加えられると、症状が悪化する可能性があります。 したがって、ばね指になったときには、患部をもみほぐすようなことは基本的にはしてはいけません。 放置する ばね指になったとき、もっとも避けたいのは、症状が出ているにもかかわらず放置することです。なぜなら、きちんとした治療を実施できないばかりか、引き続き患部に負担をかけるからです。 たとえばばね指になっても、痛みなどが軽微な場合、医師の診断を受ける必要性は感じにくいでしょう。 指の痛みでは、仕事や家事を休めず、患部に負担をかけ続けてしまうケースが多く見受けられます。 すると治療は受けられず、徐々に腱鞘を傷めるため、症状はより悪くなってしまうでしょう。 したがって、ばね指の疑いがあるにもかかわらず放置することは避けなければいけません。 実際、軽度のばね指であれば、しばらく安静にしていれば改善することがあります。しかし症状の程度を正確に判断するのは危険です。 やはり疑いがあれば、医師による正確な診断を受けるのが基本となるでしょう。 メール相談:オンラインカウンセリングはこちら ばね指になったときの正しい対処法 ばね指になったときの正しい対処法は、まず医師の診察を受けることです。 自身で症状の程度を判断せず、軽症だと思っても、病院へ行くようにしましょう。 その上で、ばね指の治療をおこなう場合、以下のいずれかの方法が取られるでしょう。 ・保存療法 ・手術療法 それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 保存療法 保存療法とは、「患部を動かさないよう、安静にして、少しずつ症状が落ち着くのを待つ」考え方です。 ばね指の場合、腱鞘を動かさないことが基本となります。また必要に応じて、飲み薬や塗り薬、適切なマッサージなどを施す場合もあります。 ここで重要になるのは、患部を動かさないことです。患部を頻繁に動かしてしまっては、本来期待される治療効果が得られなくなります。 したがって保存療法を選択した場合、手指を動かす活動を控えて、症状が落ち着くのを待つことになります。 もし保存療法を選択することになったら、どのようにして安静な状態を確保するか考える必要があるでしょう。 参考:日本整形外科会 手術療法 手術療法とは、その名のとおり、外科手術によって、根本的な治療を図るものです。 ばね指の場合、炎症が起こっている腱鞘の一部を切り開く、「腱鞘切開」手術が用いられるでしょう。 局所麻酔をおこない、かかる時間は10分から30分ほどです。負担が小さいことから、日帰りでも手術を受けるのも可能です。 また腱鞘切開を実施した場合は、その腱鞘において炎症を起こす可能性がきわめて低くなるため、再発リスクを大幅に低減できます。 手術療法は、保存療法での治療が困難な場合に選択されるものです。保存療法が有効である場合、基本的に選ばれることはないでしょう。 反面、安静にした程度では改善できないと判断された場合は、きちんとした手術が必要になります。 参考:日本整形外科会 まとめ・ばね指はきちんとした診療を受けるのが大切 本記事ではばね指の症状や原因、発症した場合にやってはいけないことなどを解説しました。 ばね指は、腱を覆っている腱鞘に炎症が起こり、それが指の動作に支障をきたすことを意味します。 その原因はさまざまですが、ほとんどの場合は手指の動かしすぎ、ホルモンバランスの変化、老化が関係するでしょう。 ばね指は、触りやすい手元に起こるからか、発症するとマッサージしたり、無理に伸ばしたりすることがあります。 しかしこれらは逆効果であり、「やってはいけないこと」であると理解しておきましょう。 もし発症が疑われるなら、症状が軽度だと決めつけて放置せず、医師による正しい診断を受けることが大切です。 この記事が参考になれば幸いです。 ▼こちらも参考にされませんか? ばね指とは?放置すると重症化のリスクが大!原因と治療法を医師が解説
公開日:2024.10.07 -
- 脳卒中
- 頭部
脳卒中の前兆をリストでチェックして危険を予防しませんか?! 脳卒中は、時に命の危険や障害、寝たきりのリスクもある重い病気です。そのため、前兆となる初期症状を理解し、「脳卒中かもしれない」と思ったらいち早く治療を受ける必要があります。 そこでこの記事では、脳卒中を早期発見するために知っておきたい前兆や初期症状、脳卒中のリスクが高い方の特徴をチェックリストにして解説していきます。 脳卒中の前兆に対する理解を通して、早期発見や早期治療につなげましょう。 脳卒中は脳の血管に起こる病気のこと 脳卒中とは、脳の血管が破れたり、詰まったりする病気です。脳に酸素や栄養を送っている血流が悪くなるため、脳の細胞は重大なダメージを受けます。その結果、命の危険や障害が残るケースも多く見られます。 脳卒中には、血管のダメージの現れ方によって大きく次の種類があります。 脳卒中 脳出血・くも膜下出血 脳の血管が破れて出血する 脳梗塞 脳の血管が詰まる 脳卒中の原因は様々です。 主に生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症など)、生活習慣(食生活、飲酒・喫煙、運動不足)、ストレスなどの影響が積み重なって発病すると言われています。 脳卒中は脳血管障害とも呼ばれますが、種類によって好発部位は異なります。脳出血の場合は被殻・レンズ核や視床などが代表的ですが、一般的に脳のどの領域でも起こりうる病気です。 脳卒中の代表的な症状 脳卒中によって人間のからだや心をコントロールしている脳がダメージを受けると、生命を維持すること、からだや頭を使うことなど、生活全般に重大な支障をきたします。 ただ、ダメージがどの部分で起こったかによって、脳卒中の症状は異なることがポイントです。 脳卒中による代表的な症状は以下の通りです。 頭痛:激しく頭が痛む 麻痺:主に片方の半身がしびれる、動かなくなる 言語障害:言葉が出ない、ろれつが回らない 視野障害:主に片目が見えにくくなる めまい:天井が回るようなぐらぐらしためまいがある 失調:ものがうまくつかめない ひとつでも当てはまる症状があれば、脳卒中を疑いましょう。 脳卒中の前兆・初期症状 脳卒中の前兆を「TIA(一過性脳虚血性発作)」と呼びます。 初期症状であるTIAは数分〜数十分程度で消えることが多く、脳卒中の前兆と気づかないこともしばしばです。 TIAも、脳卒中と同じ症状が現れます。ただし、一時的な脳の血流の悪化が原因なので、短時間で収まることがポイントです。 TIAの主な症状 以下で、脳卒中の前兆であるTIA(一過性脳虚血性発作)の主な症状を見ておきましょう。 ・突然片方の手や足、顔半分がしびれる ・激しい頭痛が起きる ・言葉が出ない、ろれつが回らない ・相手の言葉を理解したり、自分の思いを上手く言葉で伝えられない ・箸やコップを持とうとしても力が入らず落としてしまう ・立ったり歩こうとしたりしてもふらついてバランスを崩してしまう TIAは、脳卒中、とくに脳梗塞の前兆として現れることが多い初期症状です。 国立循環器病研究センターによると、TIAは通常24時間以内に症状が消失する一方で、TIA発症後90日以内に15〜20%の割合で、そのうち半数は2日以内に脳梗塞になるリスクがあると注意喚起しています。 そのため、短時間で収まったからといってそのままにせず、早期受診で脳卒中を予防することが大切です。 参考:国立循環器病研究センター 脳卒中を防ぐために!脳卒中チェックリスト 年齢や生活習慣などによって脳卒中になりやすい方がいます。ここでは、脳卒中を予防する意識を高めるために確認しておきたいセルフチェックリストをご紹介します。 脳卒中セルフチェック 1.年齢・遺伝 ▢60歳以上である ▢家族の中に脳卒中や脳動脈瘤の持病がある 2.体質・既往歴 ▢肥満がある ▢睡眠時無呼吸症候群がある ▢高血圧・糖尿病・脂質異常症など生活習慣病である ▢腎臓病や不整脈・狭心症などがある 3.生活習慣 ▢喫煙・飲酒をよくする ▢運動不足である ▢「野菜が嫌い」など偏食気味である 4.前兆 ▢片側の手足のしびれや動きの鈍さを感じたことがある ▢片方の目が見えにくくなったことがある ▢言葉が出なくなった・舌がもつれたことがある ▢最近急に頭痛や肩こりがひどくなった ▢頭がボーッとして考え事や計算が苦手になった これらのセルフチェックで当てはまる項目が多い方は、日頃から日常生活の改善や持病の管理を続けることが大切です。 普段から「FAST(ファスト)」を合い言葉に 「脳卒中かもしれない」 「TIAの症状ではないだろうか」 日常生活で身体の不調を感じたとき、以下の4つのセルフチェックを思い出してみましょう。「FAST」というキーワードで、脳卒中の初期症状をわかりやすくの4文字にしたものです。 「FAST」によるセルフチェック 「F (ace)」フェイス:顔のゆがみの症状はないか? ・顔の片側(とくに口角)がだらんと下がっている ・食事中に食べ物が口の片側からこぼれ落ちる 「A (rm)」アーム:片腕の麻痺はないか? ・片腕だけしびれる、動きが鈍い ・箸や茶碗がもてない、手に力が入らず落としてしまう 「S (peech)」スピーチ:言語障害はないか? ・ろれつが回らない ・言いたいことがうまく言葉にして話せない 「T (ime)」タイム:症状が出てからどのくらいの時間が経ったか? ・脳卒中は、早期発見で早期治療を受けるほど、重症化や後遺症を防ぐチャンスが高まります。とくに脳梗塞は、発症から4.5時間以内であれば条件によって症状を改善できる薬を使える場合があるため、症状が現れてからの時間経過が重要です。 なお、最初の3文字「F」「A」「S」は、どれか1つでも症状があれば脳卒中である可能性が高いので注意してください。 まとめ:脳卒中の前兆をリストでチェック!項目に当てはまったら危険信号! 今回は、脳卒中の前兆や初期症状、セルフチェックリストをまとめてご案内しました。 脳卒中の前兆や初期症状で知っておきたいポイントは次の3つです。 ・脳卒中の前兆や初期症状(激しい頭痛、手足のしびれ、ろれつが回らない、など) ・脳卒中になりやすい人の特徴(生活習慣病や生活習慣の乱れが気になる方)) ・脳卒中の早期発見のため「FAST」によるセルフチェックを 脳卒中は発症してから治療を受けるまでの時間によって、病気の改善や後遺症の程度が大きく変わってくる病気です。そのため、日頃からチェックリストを確認して、脳卒中の前兆はないか、TIAの初期症状は出ていないかセルフチェックすることをおすすめします。 年齢や体質、生活習慣などで脳卒中になる可能性が高い方は、持病の治療や生活習慣の見直しを優先しましょう。そして、万一脳卒中の前兆や初期症状に当てはまったときは、できるだけ早く病院を受診してください。 ▼以下も参考にされませんか ある日突然起こる脳卒中にご注意!その症状と原因、予防法
公開日:2024.10.07 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
- 足部
「立ち仕事で、足の外側が痛い」「激しいスポーツをしていないのに、足の小指側の側面が痛い」と悩まされていませんか。 その痛み、ジョーンズ骨折という症状かもしれません。 ジョーンズ骨折は、足の骨折の一つで、スポーツをしている方によくみられる症状ですが、立ち仕事をしている人やヒールを履くことの多い若い人にもよくみられます。足は日常的に使うため、今の痛みは早めに解消したいと考える方は多いでしょう。 そこで本記事では、ジョーンズ骨折の症状や原因、すぐにでも取り入れられる4つの予防法を医師が解説します。 骨が完全に折れていると自然治癒が難しくなるので、少しでも痛みがある方は、この記事を最後までご覧ください。 歩くと足の外側・側面が痛いときに考えられるジョーンズ骨折とは? ジョーンズ骨折とは、第5中足骨近位部で発症する疲労骨折です。 発症する原因はさまざまあると言われており、欧米人に比べて日本人に起こりやすいとされています。ジョーンズ骨折について、症状の特徴や原因をできるだけ簡単に説明してまいります。 なお、ジョーンズ骨折は「歩くと足の外側・側面が痛い」と感じますが、足底部の痛みがある場合は、足底腱膜炎(そくていけんまくえん)の可能性も考えられるので、以下の記事も併せてご覧ください。 ジョーンズ骨折の特徴 ジョーンズ骨折の特徴は、一般的によく見る骨折とは違って症状が出にくいことです。 一般的な骨折は、急に外力が骨にかかることで生じます。その場合、患部がすごく腫れて強い痛みを生じるため、その見た目と症状から診断することは比較的容易なことが多いです。 一方でジョーンズ骨折は、慢性的な負荷により骨が折れるため腫れはあっても軽度なことが多く、見た目ではあまり変化がありません。また、痛みはあっても強くないか、痛みを訴えない方もいらっしゃいます。 そのため、完全に骨が折れてしまうまで、骨折していることに気づかない場合も珍しくありません。 ジョーンズ骨折の原因 ジョーンズ骨折の原因は、慢性的に骨に負荷がかかることです。たとえば、ランニングやジャンプ動作は、足の骨に体重以上の負荷をかけます。 たまに行う程度なら問題ありませんが、日常的に繰り返すことで、足の骨に継続的な負荷がかかり続け、その影響で、軽く踏ん張ったり、少し捻ったりしてしまうだけでも、骨折します。 そのため、陸上競技やサッカー・バスケットボール・ラグビーなどのスポーツをおこなっている選手によく発症するのです。 しかし、ジョーンズ骨折は日常的にスポーツをしない方でも発症します。スポーツをしていない方がジョーンズ骨折を発症してしまう原因は、以下のとおりです。 ・中足骨(足の甲)に負荷がかかりやすい姿勢をよくとる ヒールをよく履く、しゃがみ込んだ姿勢での作業 ・立ちっぱなしの仕事をしている ・足を酷使することが多い生活をしている これらの条件に当てはまっている場合は、足の骨に負荷がかかるため、スポーツをしていなくても骨折を起こしてしまいます。 立ち仕事をしていて、ある日を境に段々と歩行時の足の痛みが生じてきている場合は発症している可能性があります。 自分だと原因がわからなくて不安な方も多いでしょう。場合によっては自然治癒が見込めない可能性もあるので、心配な方は早めにご相談されることをおすすめします。 当院でも相談を受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。 歩くと足の外側・側面に痛みがでるジョーンズ骨折の予防法 ジョーンズ骨折を予防する方法は、以下の4つです。 ・シューズの調整をする ・インソールを活用する ・足のストレッチ・マッサージをする ・体重のかけ方・足の使い方の訓練をする 私生活や仕事、スポーツなどの際に取り入れやすい方法ですので、参考に読み進めてみてください。 シューズの調整をする 足に合わないシューズを履いていると、きちんと体重が分散できず、ある一定の部位への負荷が増大します。 また、ランニングやサッカー、トレーニング、競技によって足の使い方は異なり、体重のかかり方もそれぞれで変化します。 そのため、ランニングをするならランニングシューズのように競技に沿ったシューズを使用しましょう。 インソールを活用する 人によってはもともとの足の形による影響で、どうしても足に負担がかかりやすくなっている場合があります。 足のアーチが低い扁平足であったり、逆に通常よりアーチが大きかったりする場合は、インソールが効果的です。 普段使用している靴にインソールを入れることで体重が分散されやすくなり、かかる負荷が減少します。自分のアーチにあったインソールがない場合は、テーピングが有効です。 足のストレッチ・マッサージをする 定期的にストレッチを行うことで、筋肉・腱の柔軟性が増します。 柔軟性が高まると関節や骨にかかる負担の軽減が期待でき、ジョーンズ骨折だけでなく、その他の怪我の予防にも効果があります。 また、ストレッチやマッサージを行うことで血流が改善し、疲労が軽減されるため仕事や競技のパフォーマンスも向上するでしょう。 体重のかけ方・足の使い方の訓練をする 立ち方や走り方の癖で、小指側に体重がかかりやすい人はジョーンズ骨折を発症しやすいです。 予防するためには、癖を治すための訓練をする必要があります。日常生活から体重のかけ方や足の使い方を意識し、足にかかる負荷を軽減させましょう。 ジョーンズ骨折は自然に治る? ジョーンズ骨折の患部である第5中足骨は、血流があまり多くないため、一度骨が折れてしまうと治るまでに時間がかかります。 また、骨折が綺麗に治らず、骨癒合していないところがまるで関節のように動いてしまう「偽関節」という状態になる可能性があるのです。 そのため、ジョーンズ骨折で完全に骨が折れている場合は自然治癒は見込めず手術での治療が推奨されます。 しかし、完全には折れていない不全骨折の状態で、かつ症状が日常生活に支障がないくらいの軽症の場合は、患部への負荷軽減や筋力強化、ストレッチを行うことで自然治癒ができる可能性があります。 手術で治療を行う場合、術後数週は足に体重をかけずに生活する必要があり、その後もリハビリの期間を設けなければなりません。そのため、早期にジョーンズ骨折を予防し、発症したとしても早期に発見することが重要です。 まとめ|歩くと足の外側・側面が痛いと感じたら医師に相談を! 本記事では、歩くと足の外側・側面が痛いときに考えられるジョーンズ骨折の症状や原因、予防法について詳しく解説しました。 スポーツ選手などに多く見られる骨折ですが、そうでない人でも発症する可能性があります。一度完全骨折に至ってしまうと、手術や術後のリハビリが必要です。 ジョーンズ骨折における予防法を取り入れながら、早期発見を心がけましょう。 なお、当クリニックではジョーンズ骨折をはじめとするさまざまな病気にお悩みの方を対象に、無料相談を実施しています。お気軽にご相談ください。 この記事がご参考になれば幸いです。
公開日:2024.11.06 -
- 動作時の痛み
- 半月板損傷
- ひざ関節
- 靭帯損傷
スノーボード、スキーなど冬のスポーツで多い膝の怪我について解説 冬のウィンタースポーツ!シーズンになるとスキーやスノーボードを楽しみにしていらっしゃる方も多いと思います。 ただ、これらのスポーツは、スピードが出るために転倒や、衝突の危険性があるスポーツですので怪我のリスクについては、十分に知っておく必要があります。 本記事ではウィンタースポーツで起こりやすいスポーツ外傷、ウインタースポーツで起こりやすい膝の怪我に焦点を当てて解説していきます。 冬のスポーツ!膝の怪我で多いのは前十字靭帯損傷と半月板損傷 スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツにおいては、膝の損傷、捻挫といった怪我が多く見られます。これは滑走中に膝を捻ってしまったり、ジャンプからの着地、転倒時に大きな負担がかかってしまうためです。 膝の怪我の中で最も頻度が多いのが、「前十字靭帯損傷」「半月板損傷」です。 そこで、これら起こりやすい怪我について詳しく見ていきましょう。 前十字靭帯とは ・膝の関節の中にある靭帯のうちの一つ ・膝関節を安定化させる ・前十字靭帯は膝の捻りと前後方向のぐらつきを抑えている 前十字靭帯損傷の症状 受傷直後は激しい痛みのため、その場から動けなくなることが多いです。その際に「ぶちっ」という筋肉が切れるような音が聞こえることもあります。 受傷直後に動けていた方でも、約70%に関節内血腫(関節内に血がたまる)が生じるとされており、時間が経過するとともに、痛みや腫れが強くなり、動くことが出来なくなっていきます。。 2~3週間後には腫れや痛みは軽減されることが多いですが、下記のような症状が継続してみられることがあります。 前十字靭帯損傷の症状 ・膝の不安定感 ・膝が外れる感じがする ・膝に力が入らない ・膝がすぐ腫れてしまう ・膝が伸びない ・正座ができない 膝を使う動作、特にスポーツ競技中などの様々な動作で症状が出ます。 診断 医師による診察や、レントゲン検査で骨折の有無を確認します。MRI検査が靭帯の評価(靭帯の形状や靭帯の走行など)に有用です。 治療 前十字靭帯損傷の治療法には、保存療法と手術療法の2種類があります。それぞれについてみていきましょう。 保存療法 大腿四頭筋などの筋力訓練を行ったり、必要に応じて装具を作成して日常生活やスポーツ活動への復帰を目指します。 しかし、この場合は靭帯が完治したわけではなく、日常生活で膝が安定せず、痛みが続く場合もあります。症状が残る場合は、半月板の損傷などの二次損傷を起こすリスクが高くなります。以前はスポーツをしない場合は、保存療法を選択する場合も多かったですが、現在では膝の老化の進行を早める可能性があり、若年者でも手術を勧められることが多くなっています。 手術療法 靭帯は自然に修復されることはなく、再建術が行われます。再建術は膝の後内側にある屈筋腱を移植する自家移植が一般的に行われます。手術後はリハビリが必須となりますが、術後10~12か月後に元のスポーツに復帰できることが多いです。 前十字靱帯損傷を放置すると、膝が安定性を失い、膝崩れといいガクッと崩れ落ちてしまったり、膝があらゆる方向に捻じれやすくなります。前十字靱帯損傷によって膝が安定しない状態が続くと、クッションの役割をしている半月板や、関節軟骨に負荷が多くかかってしまいます。その結果、半月板損傷など二次的な障害が生じることがあります。 半月板損傷とは 半月板とは膝関節の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨のことです。内側と外側にそれぞれにあり、膝にかかる衝撃を吸収する働きがあります。 症状 症状としては膝の曲げ伸ばしが困難になることが挙げられます。また、動かそうとしたときに激しい痛みを伴うこともあります。重症の場合には、膝に水(関節液)が溜まり腫れてしまったり、激痛を伴って関節が動かせなくなる「ロッキング」という症状が現れ、歩行困難になることもあります。 検査 医師による診察やMRIが行われます。また、状況に応じて、関節の中に内視鏡を入れて調べる、関節鏡検査を行う場合もあります。 治療法 半月板損傷の主な治療法には、保存治療と手術療法の2種類があります。 保存療法 サポーターなどで患部を固定し、抗炎症薬などの薬物療法やリハビリなどを行います。保存療法を行っても痛みや、ロッキングなどの症状が続く場合には手術を行います。 手術療法 断裂部位の幅が 1 cm以上と大きい場合や、保存療法を行っても症状が持続する場合は手術療法が検討されます。手術法には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術の2種類があり、関節鏡を使った鏡視下手術を行います。 切除術の場合は、半月板を取り除くことで膝軟骨の消耗が進んでしまうことがあるため、近年では縫合術が選択されることもあります。ただし、損傷した半月板の状態によって縫合が難しいと判断された場合は切除術を行います。 手術後はリハビリが必須であり、スポーツへ復帰できるタイミングは、半月板切除術で約3ヵ月、半月板縫合術で約6ヵ月程度とされています。 まとめ・スノーボード、スキーなど冬のスポーツで多い膝の怪我について解説 スキーや、スノーボードを行う際にはプロテクターを着用するようにしましょう。これにより、怪我のリスクが格段に下がります。また自分の実力に見合った楽しみ方をすることも重要です。 治療後はケガをした時と同じ動作を続けると、再び膝を損傷する可能性があるため、スポーツの際などは特に注意が必要です。また、股関節や足首など下肢全体の関節が柔軟だと、膝へかかる負担が軽減されやすくなり、再発予防にもつながります。 下肢の筋力トレーニングも必須です。特に大腿四頭筋とハムストリングスを強化することが重要です。普段からストレッチや筋トレを習慣づけ、運動する際には、準備運動や整理運動をしっかり行うようにして、体全体の柔軟性を保つようにしましょう。 スキーやスノーボードを行う際は、怪我のリスクについても備えておくことが重要です。膝の怪我は日常生活にも影響が出ることが多いので、安全にスポーツを楽しみましょう。この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下もご参考にしてください 膝の痛みを引き起こすスポーツ上の慢性障害について
公開日:2024.11.06 -
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視床出血における後遺症|リハビリと看護について医師が解説 視床出血とは、脳出血の中で「視床」という部位に出血が起こったもののことを指します。 この視床出血は、脳出血全体の2〜3割程度を占めるとされており、その多くが高血圧を原因としています。 この記事では、そんな脳出血の中でも頻度が高い視床出血における後遺症や、それに対するリハビリ・看護に関して解説します。 視床出血の症状と後遺症 視床は、主に感覚をつかさどっています。そのため視床出血が起こると、痺れなどの感覚障害を認めます。また、視床の周囲には運動神経が走っているため、出血が拡大すると運動麻痺が生じます。 さらに出血が拡大するとその分脳の神経細胞が圧迫されるため、圧迫された部位に応じた症状が現れます。 視床は脳の深い場所に位置するため、原則手術は行わず、出血の拡大防止のために血圧を下げるなどの内科的な治療を主に行うことになります。そのため視床出血は、症状が消失せず後遺症となってしまうことが多くあります。 視床出血で多く見られる後遺症は、視床痛と呼ばれる手足の強い痛みやしびれ、感覚障害を伴った半身麻痺です。 視床痛はジンジン・ピリピリというような痛み(しびれ)を認め、鎮痛薬は効果がないことがほとんどです。また、麻痺も感覚障害を伴わない麻痺と比べて、手先の感覚や、立ったり歩いたりするときの位置感覚が分かりづらくなります。そのため日常生活に支障をきたしてしまうことが多いです。 視床出血後遺症のリハビリ 半身麻痺が残り体の運動機能が低下した場合、運動機能障害に対するリハビリとして理学療法と作業療法を行います。 理学療法 理学療法は平行棒や歩行器を使用した歩行の練習や姿勢を保持する練習、体力・筋力の維持や向上など日常生活を送る上で必要な動作の練習を行います。 前述したように視床出血の半身麻痺は感覚障害を伴っていることが多いです。そのため歩行の練習では免荷式(めんかしき)トレッドミルという機械を用います。 免荷式トレッドミル・・・体を上から吊るし、ハーネスで体を支えることで、足にかかる体重を調整できるためバランス感覚を鍛えます。これによって体重のかかり方を意識した歩行の練習を行うことができます。 作業療法 作業療法は、お箸の使い方など、日常生活を送るために必要な作業の訓練を行います。 麻痺側の手を積極的に使うことで、作業の質の向上を図るCI療法がガイドラインなどでも推奨されています。 1日6時間以上麻痺した手を使用することで、手の機能が改善したという報告もあります。また、このCI療法を行うことで指先などの動きだけでなく、高次機能も回復したという方も報告もされています。 視床出血で嚥下機能が低下した場合、言語聴覚士による嚥下の訓練を行います。口周りや顔の筋肉の運動やゼリーなどを用いた飲み込む練習を行うことで、発症前のように口から食事が取れるようにリハビリを行います。 脳出血後のリハビリは毎日、長期間継続することが重要です。途中で中断してしまうと一度は回復した身体機能が再度低下してしまう可能性もあります。 長い道のりにはなりますが、モチベーションを保ちつつリハビリを継続しましょう。 視床出血の看護 視床出血を含む脳出血の看護は、急性期と慢性期で大きく異なります。 急性期は再出血や血腫の増大、脳浮腫などが起こる可能性があり、そうなった際は早期発見と早期治療が回復の大きな鍵となります。そのため、急性期の看護では全身状態をしっかり観察することが重要です。 以下のことに注意を向けて観察しながら看護しましょう。 意識や瞳孔の確認 視床出血の患者さんの中には自発運動ができない方や発語がない方も多くいらっしゃいます。そのためこまめにバイタルサインをはかり、意識や瞳孔の変化などに注意しましょう。 血圧コントロール 脳出血にとって血圧コントロールは再出血予防のために最重要です。決められた範囲内で血圧が維持できているかどうかを、きちんと確認しましょう。 褥瘡(じょくそう)予防の適切なポジショニング 再出血などを予防するために急性期は安静を保たなければなりません。ベッド上での安静保持は、関節の拘縮や褥瘡のリスクです。 褥瘡の好発部位の皮膚観察や、こまめな体位変換、拘縮予防するための適切なポジショニングを意識しましょう。 一人一人の後遺症に沿った看護 急性期を終えた回復期などの慢性期は、再発防止のため内科的治療と、後遺症に対するリハビリを主に行います。患者さん一人一人の後遺症に沿った看護を行いましょう。 引き続き、褥瘡予防の皮膚観察や関節拘縮予防のポジショニング調整を行いながら、栄養状態・運動機能・精神状態などに気を配りましょう。 嚥下機能が低下してしまった場合、誤嚥性肺炎を発症すると致命的になることがあります。食事の際の姿勢や口腔ケアをしっかり行いましょう。 そして、視床出血の患者さんは感覚麻痺や視床痛が残ってしまう方が多くいらっしゃいます。そういった症状からくる心の苦痛に対するケアも、回復に至るためには重要です。そして感覚が低下しているからこそ、体に触れる際に声かけをするといった気遣いを忘れないようにしましょう。 まとめ・視床出血における後遺症は、一人一人の後遺症に沿った看護とリハビリが大切 視床出血のリハビリと看護に関して紹介しました。 患者さんが1日でも早く、発症前のような生活に戻れるように看護ケアやリハビリを行いましょう。 また、脳梗塞による障害で精神的な苦痛を感じてしまう方もたくさんいます。そういった精神的苦痛にも寄り添ったケアを行ってください。 この記事がご参考になれば幸いです。
公開日:2024.10.07 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
- 足部
その症状ジョーンズ骨折かもしれません!症状や原因を解説します ジョーンズ骨折をご存じでしょうか? 「サッカーをすると足の外側が痛くなるけどなぜ?」 「バスケットでつま先の外側が痛むけど放置して大丈夫?」 このような症状がある場合、もしかするとジョーンズ骨折かもしれません。 今回はスポーツ選手に多いジョーンズ骨折について、特徴や骨折のなりかけで見られる症状について解説します。チェックリストも紹介しますので、記事を読んで気になる場合は早めに整形外科に受診しましょう。 ジョーンズ骨折とは ジョーンズ骨折は別名を第 5 中足骨(ちゅうそくこつ)骨折と言います。まずはジョーンズ骨折の特徴や発生する場所、原因について紹介します。 ジョーンズ骨折の特徴 ジョーンズ骨折は小指の骨である第 5 中足骨の疲労骨折です。 一般的な骨折は、事故や転倒などの強い衝撃での発生を想像されるでしょう。しかし、ジョーンズ骨折はサッカーやバスケット、ランニングなどのスポーツで足の外側に繰り返しストレスがかかって生じる疲労骨折です。 第 5 中足骨は血液の供給が乏しく、骨折する部分の近くは複数の筋肉が付着していて常に牽引力が働くため、一度骨折するとくっつきにくく、骨が離れたままになってしまう偽関節(ぎかんせつ)になりやすいのも特徴です。 骨折の発生場所 小指の骨は指先から末節骨(まつせつこつ)、中節骨(ちゅうせつこつ)、基節骨(きせつこつ)、中足骨(ちゅうそくこつ)に分かれています。 ジョーンズ骨折の生じる中足骨は、足首に近い部分にある骨です。 ジョーンズ骨折では中足骨の中でもより足首側の端から 1.5 〜 2cmの部分に骨折が起こります。 原因 原因は、スポーツ動作で足の外側に繰り返しかかるストレスです。 人の足裏は体重をうまく分散させるために、たいらではなくアーチ状の形をしています。第 5 中足骨はまっすぐな骨ではなく、丸くアーチ状になっており、足の裏のアーチの一部となっています。 そのため、体重を分散させるためにストレスを受けやすいのです。 特にサッカーやバスケットボールなどの横への動きが多いスポーツで反復したストレスがかかりやすく、疲労骨折の原因になります。 また次のような環境や個人の要因も原因として挙げられます。 ・急な激しい練習 ・固すぎるグランド(人工芝) ・不適切なシューズ ・不良な姿勢(がに股) このような環境や姿勢でストップやサイドステップなどを繰り返すとストレスがかかりやすくなってしまうのです。 以上のようにストレスが蓄積して生じる骨折ですが、立ち仕事による慢性的な疲労や、しゃがみ込み動作の繰り返しによる疲労骨折など、スポーツをしていない方で発症する場合もあります。 ジョーンズ骨折の症状とは ジョーンズ骨折は、骨折のなりかけの状態と、完全に骨折した状態で症状が違います。それぞれの症状について解説します。 ジョーンズ骨折のなりかけの症状の場合 ジョーンズ骨折のなりかけの症状は、痛みや腫れなど一般の骨折に見られるような自覚症状が出にくいのが特徴です。 骨折のなりかけでは、一般的な骨折のように骨が分離するのではなく、ストレスの蓄積により徐々に骨が脆くなっている状態です。この状態では日常生活だけでなくスポーツ中も痛みを感じない場合があります。 また、痛くてもそれほど強くはないため、そのまま競技を続けてしまう場合も少なくありません。その結果、プレー中やプレー後に痛みが増えるということを繰り返します。 完全に骨折したときの症状の場合 前述のように、完全に骨折してから、初めて強い痛みを訴える場合があります。 骨折部の痛みが増加して、プレーはもちろん歩くのが難しくなることがあります。 ジョーンズ骨折になりやすい環境かどうかをチェックリストで確認 ジョーンズ骨折になりやすい環境かどうかを、チェックするポイントを紹介します。 以下にチェックリストをあげます。 ・競技しているスポーツが、足の外側にストレスのかかるものか ・練習場がどこか(床・芝・土・人工芝) ・練習量 ・シューズ ・キックの利き足 ・ジャンプの踏切 ・シューズの底のすり減り方 ・足の外側が痛むか このようなチェックをして、足の外側にストレスがかかりやすいかどうかをチェックします。 例えば、競技しているスポーツが、サッカーやバスケットボールであれば、ストップやステップを繰り返すため、足の外側にかかるストレスが強まります。 また、原因で紹介したように、練習場所が人工芝のように固いグランドである、練習量が多すぎる、足に合わないシューズを使用しているといった環境が原因で、ストレスが強まる可能性があるためチェックが必要です。 また、シューズの底を見たときに、外側ばかりすり減っている場合は、足の外側にストレスがかかりやすい動きをしている結果なので、チェックしてみましょう。 もし、すでに痛みが外側にあり継続する場合は、ジョーンズ骨折の可能性があります。 前述のように骨折のなりかけの場合は、痛みが自覚しにくかったり、あったとしても競技中のときだけだったりするため、放置せず早めに整形外科へ受診をしましょう。 まとめ・その症状ジョーンズ骨折かもしれません!症状や原因を解説します ジョーンズ骨折はストレスが蓄積して徐々に進行する疲労骨折のため、完全に骨折するまでは痛みがない場合もあります。例え痛みがあっても、できるからといってつい競技を続けてしまいがちです。 しかし、放置して競技を続けると、症状が悪化したり、完全に骨折してしまったりするリスクがあります。そのため、少しでも気になる症状があれば早めの受診や予防をするのが重要です。 本記事を参考にしてジョーンズ骨折の早期発見、予防をして、好きなスポーツを楽しみましょう。
公開日:2024.10.07 -
- 脳卒中
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脳溢血(のういっけつ)とは脳の血管が破れ、脳内に血が溢れる病気です。脳卒中の種類のひとつで「脳出血」とも呼ばれています。 脳溢血は、ある日突然発症します。出血量や出血場所によっては、運動麻痺や感覚障害といった後遺症を引き起こします。最悪の場合、命を落とす恐ろしい病気です。 本記事では、脳溢血の症状や原因、前兆のサインを解説します。予防法や治療法も紹介しているので、脳溢血について詳しく知りたい方は記事を読んで理解を深めましょう。 脳溢血でダメージを受けた脳は、もう元には戻らないと言われてきました。しかし「再生医療」によって脳機能が復活するとわかったのです。再生医療なら症例実績が豊富な『リペアセルクリニック』にお任せください。無料のメール相談、オンラインカウンセリングも実施中です。 脳溢血(脳出血)とは脳に血が溢れる状態のこと 脳溢血(のういっけつ)とは、文字通り脳に血が溢れる状態を指した病名です。脳の中の細い血管が破れて血液が溜まることにより周囲の神経細胞が圧迫されます。神経細胞が圧迫されると働きが障害されてしまうため、さまざまな症状が出現します。 この脳溢血は脳出血とも呼ばれ、同じ意味で用います。 脳卒中・脳梗塞との違い 脳溢血は、脳卒中や脳梗塞と混同される傾向にあります。しかし、これらの意味や症状はまったく異なります。下記に、それぞれの定義をまとめました。 脳卒中 脳の血管が破れたり、詰まったりすることで発症する脳の病気。「脳溢血(脳出血)」「脳梗塞」「くも膜下出血」の総称。 脳溢血 脳卒中の一種。脳の血管が破れ、脳内に血が溢れる病気。 脳梗塞 脳卒中の一種。血管の細化や血栓の形成により脳の血管が詰まる病気。 つまり、脳卒中の種類のなかに「脳溢血」と「脳梗塞」が含まれます。 脳溢血の前兆【いびきとの関係性】 基本的に脳溢血の前兆はありません。何の前触れもなく突然症状が現れるケースがほとんどです。 しかし、寝ているときに突然大きないびきをかき始めたときは、脳溢血や脳梗塞の可能性を視野に入れましょう。 脳卒中で意識障害を引き起こすと、舌根が落ちて気道がふさがり、いびきをかく場合があります。 脳溢血の原因 脳溢血の原因の多くは高血圧です。血管内の圧が上がり、その圧に血管壁が耐えられなくなるため出血が起こります 高血圧は、塩分の多い食事や過度なストレス、喫煙などが原因とされているので、健康的な生活を心がけましょう。また、高血圧は動脈硬化のリスクもあります。動脈硬化が起こると血管壁が弱くなるため、さらに血管が破れやすくなるのです。 脳溢血の症状は出血が起こった場所によって異なる 脳溢血の症状は、出血が起こった場所によって異なります。主な出血箇所は、下記5つです。 被殻出血 視床出血 橋出血(脳幹出血) 小脳出血 大脳皮質下出血 それぞれの特徴を見ていきましょう。 被殻出血 被殻出血は脳溢血全体の50%程度を占めています。被殻出血の特徴的な症状は片側の手足の麻痺や片側の顔の動かしにくさです。さらに進行すると感覚障害や意識障害に至ることもあります。重症度や血腫の圧迫の程度によって、症状が変わる場合もあります。 視床出血 視床は人の感覚を司っています。そのため視床出血では片側の感覚障害を認めます。また、視床出血を発症した際に目が中央によって寄り目をしているように見えることが特徴です。視床の周りには運動神経が走行しているため進行すると運動麻痺も生じます。また「視床痛」といって腕や脇、脚などに激しい痛みをともなうケースもあります。 橋出血(脳幹出血) 橋出血(脳幹出血)は、脳幹の一部である橋で出血が起こる脳溢血です。橋は全身の運動や意識状態、呼吸をつかさどっています。そのため橋に出血が起こると、たとえ出血した血液量が少量であったとしても意識障害や両側の四肢麻痺などが生じます。また、自分で呼吸ができなくなってすぐ死に至ってしまうこともあります。 小脳出血 小脳には体の平衡感覚を保つ働きがあります。そのため小脳出血では強いめまいや吐き気を訴える方が非常に多いです。めまいが強くまっすぐ歩くことができなくなったり、立てなくなってしまいます。 小脳は大脳の後ろに位置しているため、出血が起こった際に頭の後ろの部分に頭痛を認めます。 大脳皮質下出血 大脳皮質とは大脳の表層に位置する部分のことを指します。つまり、大脳皮質下出血とはその大脳皮質から出血が起こったもののことを呼びます。大脳皮質は部位によって働きが異なるため、出血した部位に応じた症状が出現します。運動麻痺や感覚麻痺、言葉の出づらさなどから人格の変化、視力障害が起こることもあります。 これまで、一度機能を失った脳細胞は、元には戻らないと言われてきました。しかし、再生医療により脳機能が回復するとわかったのです。 再生医療とは、修復力のある幹細胞の働きを利用して、弱ったり、傷ついたりした細胞を再生する医療技術です。 再生医療では、麻痺や痺れといった脳溢血の後遺症の回復を早めたり、脳卒中の再発を予防したりする効果が期待されています。 再生医療で脳溢血の治療を進めたい方は、弊社『リペアセルクリニック』にご相談ください。再生医療の症例数8,000例以上の経験を活かし、患者さま一人ひとりにあった治療プランをご提案いたします。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング 発熱の症状 これ以外に、脳溢血によって発熱が生じる場合があります。 視床や被殻などが存在する大脳基底核や、大脳皮質下出血が起こった場合、体温調節中枢である視床下部が圧迫されてしまうことがあるため、発熱をきたしやすくなります。 脳溢血が起こると、出血が起こった部分から徐々に脳に浮腫が起こりはじめ、その結果、頭蓋内の圧が上がる頭蓋内圧亢進の状態になるのです。これにより視床下部が刺激を受けると、体温が上昇し発熱します。 頭蓋内圧が亢進し、進行すると圧に耐えられなくなり浮腫んだ脳がさまざまな方向にはみ出てしまいます。この状態が「脳ヘルニア」です。 脳がはみ出る部位によって出現する症状は異なりますが、大後頭孔と呼ばれる隙間から脳がはみ出した大後頭孔ヘルニアが生じると、大脳により呼吸・循環を維持する働きをもつ脳幹が圧迫されるため急激に状態が悪くなり、突然死となってしまうことがあります。 これらの脳溢血が原因の発熱を「中枢性発熱」と呼び、中枢性発熱を認めた場合は予後が悪くなると言われています。そのため、少しでも予後をよくするためにこの中枢性発熱になるべく早く気づく必要があるでしょう。 脳出血の予防方法 先述のとおり、脳溢血の原因の多くは高血圧です。つまり、血圧が上がらないような生活習慣を身につけると、脳溢血の予防につながります。 下記は、血圧を上げないための予防法です。 禁煙する 適度に運動不足する ストレスをためない 塩分を控えた食事をとる 適度にアルコールを摂取する 自分の血圧状態をしっかり把握するためにも、健康診断を定期的に受診しましょう。 下記の記事では、脳溢血(脳出血)の予防法や再発を防ぐ方法を解説しています。予防の知識を深めたい方は、参考にしてみてください。 脳溢血の治療方法 脳溢血は、出血した場所によって後遺症の症状や程度が異なります。脳溢血の治療方法は、後遺症の状態に応じたリハビリを進めるケースが多くなります。 下記は脳溢血でよく見られる後遺症と、一般的におこなわれるリハビリです。 後遺症 リハビリ 運動麻痺 ・電気刺激 ・装具療法 感覚障害 ・電気刺激 ・さまざまな形や素材を触る触覚トレーニング 言語障害 ・音読訓練 ・口腔の体操 これらのリハビリは、医師やリハビリテーションの専門家の指導のもと、無理のない範囲で実施されます。 脳溢血は再生医療でも治療できます。 人間の自然治癒力を活かした最先端治療に興味がある方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にご相談ください。実際の治療例をお見せしながら再生医療の仕組みをわかりやすくお伝えいたします。 まとめ|脳溢血の理解を深めて適切な予防や対処をしよう! 脳溢血は前兆もなく突然起こる病気です。しかし少しでも早く症状に気づけば、生命を危険に晒すことなく元の生活に戻れることもあります。日頃から予防することを心がけて、少しでも怪しい症状を認めた場合は病院を受診しましょう。 現在、脳溢血の治療法のひとつとして「再生医療」が注目されています。 再生医療は人間の自然治癒力を活用した最先端の医療技術です。 幹細胞の修復力を利用して、脳細胞の機能回復を促進します。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 再生医療による脳溢血の治療方法や治療事例などをわかりやすくお伝えします。
公開日:2024.10.24