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もやもや病と言われたら|原因・治療法について医師が解説 もやもや病とは、脳の太い血管が細くなり、その代わりにもやもやとした異常な血管が増える病気です。最近は、無症状でも脳ドックなどで診断される人もいます。 今回は、もやもや病の原因や治療法、そしてもやもや病だと言われた時に注意するポイントについて解説していきます。 もやもや病とは何か? もやもや病は、1950年代に日本で発見されました。昔の検査では、網の目のようになった異常な血管が「もやもや」とみえたことから、「もやもや病」と名付けられたといわれています。 現在、「もやもや病」という名前は世界中で通用する正式名称で、英語でも「Moyamoya disease(モヤモヤ・ディジーズ)」と言います。 もやもや病の原因 もやもや病とは、脳に血液を送る血管の一つである内頸動脈(ないけいどうみゃく)が徐々に狭くなり、詰まっていく病気のことです。*1 脳の太い血管が詰まってしまうので、その代わりに脳に血液を届けるために、異常な血管(側副血行路:そくふくけっこうろ)が網の目のように発達します。 なぜ血管が詰まってしまうのかについてはまだ分かっていませんが、ある特定の遺伝子と関係があるのではないかともいわれています。 また、日本に多くみられるという特徴があります。もやもや病は日本では国の指定難病になっており、申請を行うと医療費助成の対象となる場合があります。*5 *5 指定難病患者への医療費助成制度のご案内 – 難病情報センター https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460#taisho 引用)*1 もやもや病…ここまできた診断・治療 p2 http://jcvrf.jp/general/pdf_arekore/arekore_117.pdf もやもや病の症状 もやもや病は、大きく分けると、脳血流不足で発症と、脳出血で発症の2つの場合があります。 最近では、ほぼ無症状で発見されるタイプも増えていますが、たとえ無症状であっても、脳梗塞や脳出血のリスクは年2〜3%あると考えられています。 発症原因 (1)脳血流不足で発症 (2)脳出血で発症 (1)脳血流不足で発症する場合 大きな脳の血管が詰まることで、血流不足が起こります。 すると、急に「手足が動かしにくい」、「顔面や手足がしびれる」といった症状が生じます。 (2)脳出血で発症する場合 不足した脳の血流を補うために発達したもやもや血管は、長年負担がかかることで破れてしまうことがあります。 激しい頭痛とともに、意識障害、手足の麻痺、言語障害などが起こることがあります。出血が多い場合には生命に関わることもあります。 その他の症状 その他、小児の場合には、朝方に吐き気を伴う強い頭痛が続くという場合もあります。 また、頻度は高くありませんが、けいれん(ひきつけ)の症状が出ることもあります。この場合は、脳波の検査では特徴的な波形が出ることが知られています。 もやもや病といわれたらどうすればいい? では、ここからはもやもや病の治療方法や、もやもや病についてのよくある質問について説明します。 もやもや病の治療方法 もやもや病の治療は、もやもや病による脳梗塞や脳出血を予防する方法となります。 もしも脳梗塞や脳出血を発症してしまった場合には、その治療を行っていきます。 脳血流量を増やすためのバイパス手術 脳の血流量を増やすために、新しい血液の流れを作るためのバイパス経路を作る手術療法があります。 血流が不足するタイプのもやもや病の患者さんが脳梗塞を起こすのを防ぐ効果が認められています。 抗血小板薬の内服 脳血流不足で発症した場合には、血液の中の血小板(けっしょうばん)という成分の機能を抑え、血液を固まりづらくする抗血小板薬が使用されることもあります。 一定の効果があると考えられていますが、こうした治療薬のみでの治療には限界があるようです。 もやもや病についてよくある質問 それでは、もやもや病といわれた場合に、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。 もやもや病に関してよくある質問に答える形で、解説していきます。 Q1 脳の血管の詰まりなどは進行しますか? A 脳の血管の詰まりについては、最初に診断されたときと同じ状態が何年間も変わらない人もいれば、だんだんと進行していく人もいるといわれています。 そのため、定期的なMRIなどによる検査が必要と考えられます。 Q2 もやもや病でも普通の生活はできるの?注意点はありますか? A 手術によって脳血流がよくなった場合には、生活上の大きな制限はないと考えられます。 一方、打撃系の格闘技(ボクシングなど)やラグビーは、脳への強い振動などが懸念されるのでおすすめできません。サッカーのヘディングについても、大丈夫かはまだわかっていません。 また、成人の場合には、タバコは好ましくありません。タバコに含まれるニコチンには、血管を収縮させる働きがあるので、もやもや病を抱えている場合にはタバコは禁物です。 また、お酒については、飲みすぎるとおしっこの回数が増え、脱水症状につながるおそれがあるので、たくさん飲むことは避けましょう。 Q3 もやもや病と診断されたら、必ず手術が必要ですか? A 基本的には、症状が頻繁にはないときには手術の必要はありません。 しかし、成人の場合で、症状がある、脳血流検査で脳の血流が著しく低下している、あるいは過去に脳出血を起こしたことがある場合には、一般的には手術が勧められます。 小児の場合には、将来症状がでることを予防するために、手術となることが多いです。 最終的には、検査結果や患者さんの年齢や状況を総合的にみて、手術適応が決まります。 まとめ・もやもや病と言われたら|原因・治療法について医師が解説 もやもや病は、脳の太い血管が詰まってしまうことで起こる病気です。根本的な治療法は、手術で脳の血流を改善することですが、それぞれの症状や年齢によって対応方法は決まっていきます。 今回の記事が参考になれば幸いです。
2023.06.05 -
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「アキレス腱断裂の予防方法を知りたい」「再発するのが怖い」 これらの疑問や悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。 アキレス腱断裂は突然の激痛とともに起こり、長期間の治療を必要とするため、日常生活や仕事に大きな支障をきたす怪我です。 おもに40代以上の方や運動不足の人は発症リスクが高いと言われていますが、予防法をよく知らないまま運動を始めて後悔する人が多いのも現状です。 本記事では医師監修のもと、アキレス腱断裂の予防法と再発防止策を、具体的かつ実践しやすい方法でわかりやすく解説します。 また、当院「リペアセルクリニック」ではアキレス腱断裂の治療も提供しています。 気になる症状がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 アキレス腱断裂を予防する3つのポイント アキレス腱断裂を予防するには、適切な運動習慣や靴選びなど日頃からできることはたくさんあります。 ここでは、アキレス腱断裂予防に効果的な3つのポイントを紹介します。 適切な運動習慣でアキレス腱を鍛える アキレス腱をサポートできる靴を選ぶ 運動後はアキレス腱のケアを行う どれも簡単に取り入れられるものばかりなので、ぜひ今日から実践してみましょう。 適切な運動習慣でアキレス腱を鍛える アキレス腱を鍛えるためには、日常的な運動習慣が大切です。 運動不足の状態では、アキレス腱が硬くなり断裂しやすくなってしまうためです。 まずはウォーキングや軽いジョギングなど、アキレス腱に負担をかけすぎない運動を習慣化しましょう。 運動する際は、準備運動を入念に行いアキレス腱をしっかりと伸ばすことも大切です。 毎日少しずつでも良いので運動を続けていくと、アキレス腱は強化されて柔軟性が高まり、断裂リスクも低下します。 適度な運動によりアキレス腱を鍛え、断裂を予防しましょう。 アキレス腱をサポートできる靴を選ぶ アキレス腱断裂の予防には靴選びも重要です。 靴のかかと部分が硬いものや、サイズが合っていないものはアキレス腱に負担をかけてしまい、断裂のリスクを高めます。 アキレス腱をサポートしてくれる靴を選ぶポイントとしては、以下の点が挙げられます。 かかと部分がしっかりとしていて、安定感がある 自分の足に合ったサイズで、締め付け感がない クッション性があり、衝撃を吸収してくれる 通気性が良く、蒸れにくい 4つのポイントを踏まえ、各スポーツの種目に適したスポーツシューズを着用するようにしましょう。 運動後はアキレス腱のケアを行う 運動後には、アキレス腱は疲労し炎症を起こしている可能性があるため、しっかりとケアを行ってください。 アイシングやストレッチによる、アキレス腱のクールダウンが大切です。 また、アキレス腱周りにある筋肉のマッサージをすると、血行を促進し疲労回復を早める効果も期待できます。 日頃からのケアによって、アキレス腱の状態を整え断裂リスクも減らせるでしょう。 アキレス腱が切れないために行うべきストレッチ・トレーニング アキレス腱断裂を予防するには、日頃からストレッチやトレーニングを取り入れ、アキレス腱周りの筋肉を柔らかく保つことが大切です。 とくに、下腿三頭筋(かたいさんとうきん)と呼ばれるふくらはぎの筋肉のストレッチ・トレーニングは、アキレス腱断裂の予防に効果的です。 本章では、アキレス腱強化に役立つ2つのストレッチ・トレーニングを紹介します。 下腿三頭筋のストレッチで予防する方法 下腿三頭筋の筋力トレーニング方法 これらを正しく実践し、怪我のリスクを減らしましょう。 下腿三頭筋のストレッチで予防する方法 アキレス腱の負担を減らすには、下腿三頭筋(かたいさんとうきん)をストレッチで柔らかくすることが重要です。 下腿三頭筋は、腓腹筋とヒラメ筋という二つの筋肉が合わさってできています。 ストレッチの方法も筋肉によって違うので、それぞれ適切な方法で行いましょう。 まずは、腓腹筋のストレッチ方法から紹介します。 <腓腹筋のストレッチ> 1. 立った状態で左足を後ろに引く 2. 右足の膝を曲げながら体重を前にかけていく 3. 左足の膝は伸ばして踵を地面から離さないようにする 4. 左足のふくらはぎが伸びているのを感じながら30秒キープする 5. 脚を左右に変えて同じようにする。 次にヒラメ筋のストレッチ方法です。 <ヒラメ筋のストレッチ> 1. しゃがんだ状態で左脚を立てて片膝立ちになる 2. 左足に体重をかけるように前に重心を移動させる 3. 左足の踵が地面から離れないようにする 4. 左足のふくらはぎが伸びているのを感じながら30秒キープする 5. 脚を左右に変えて同じようにする。 ヒラメ筋は膝を曲げながらストレッチをかけるのがポイントです。膝を曲げると腓腹筋が緩んだ状態になるので、ヒラメ筋を単独でストレッチできます。 下腿三頭筋の筋力トレーニング方法 下腿三頭筋(かたいさんとうきん)のトレーニングでは、立った状態でゆっくり踵の上げ下ろしをする「カーフレイズ」が有名です。 <カーフレイズ> 膝を伸ばした状態と曲げた状態の両方で行うと、腓腹筋、ヒラメ筋を両方鍛えられます。バランスがとりづらい方は椅子やテーブルを持って行うと良いでしょう。 10回を最初の目標にして、ふくらはぎが疲れない程度に取り組みましょう。 アキレス腱断裂が起きやすい人の特徴3つ アキレス腱断裂は誰にでも起こりうる怪我ですが、とくにアキレス腱断裂のリスクが高い人の特徴は以下のとおりです。 40代以上の運動不足の方 急に運動を再開した方 立ち仕事が多い方 1つでも当てはまる方は、日頃からアキレス腱をケアし、断裂予防を心がけるようにしましょう。 40代以上の運動不足の方が危険 40代以上で運動不足の方は、アキレス腱断裂のリスクが高まります。 年齢を重ねると、アキレス腱の柔軟性や強度が低下していくためです。 また、運動不足によって下腿三頭筋(かたいさんとうきん)が衰えると、アキレス腱への負担が増加し断裂しやすくなります。 40代以上で運動不足の人は、定期的にストレッチや軽い屈伸運動を行い、アキレス腱を鍛えるよう意識しましょう。 急な運動再開はとくに注意が必要 運動不足の人が急に激しい運動を始めると、アキレス腱断裂のリスクが高まります。 アキレス腱は、日頃から使われていないと急な負荷に対応できません。 そのため、久しぶりに運動を再開する際は、準備運動をしっかり行い徐々に運動強度を上げていく意識が大切です。 いきなり激しい運動をするのではなく、ウォーキングや軽いジョギングなどから始めて体を慣らしていきましょう。 立ち仕事が多い方もリスクがある 立ち仕事が多い人も、アキレス腱断裂に注意が必要です。 長時間立ちっぱなしの状態だと、アキレス腱に常に負担がかかり続けて疲労が蓄積しやすくなります。 また、立ち仕事は同じ体勢を続ける場合が多いため、アキレス腱が硬くなり柔軟性が低下する傾向があります。 そのため、立ち仕事の人はこまめな休憩を挟んだり、習慣的にストレッチを行ったりして、アキレス腱への負担をできるだけ軽減しましょう。 【再発防止】アキレス腱の再断裂を防ぐ2つのポイント アキレス腱断裂から回復するまでの過程で再断裂してしまうと、治療期間がさらに長引いてしまう可能性があります。 再断裂を防ぐために注意すべきポイントは以下の2つです。 医師の指示通りにリハビリを続ける 運動復帰時は軽い動きから始める 本章を参考に再断裂のリスクを減らし、日常生活へのスムーズな復帰を目指しましょう。 また、当院ではアキレス腱断裂の治療も提供しておりますので、治療方法や再断裂に不安がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 医師の指示通りにリハビリを続ける アキレス腱断裂の回復には、医師の指導に基づいたリハビリが欠かせません。 リハビリでは、負荷を徐々に上げていく計画が重要ですが、焦って無理をすると回復が遅れるだけでなく再断裂のリスクが高まります。 したがって、ストレッチや筋力トレーニングで徐々に強化し、柔軟性を保つように心がけましょう。 医師のアドバイスを守り、地道に取り組む姿勢がアキレス腱の再断裂を防ぐポイントです。 運動復帰時は軽い動きから始める アキレス腱の再断裂を防ぐために、運動復帰時は軽い動きから始めるのがポイントです。 急な負荷や激しい運動はアキレス腱に大きな負担をかけ、再断裂につながる可能性が高まります。 ウォーキングや軽いストレッチからスタートし、段階的に運動強度を上げるのが理想です。 ただし、違和感や痛みがある場合は無理をせず、すぐに医師に相談するようにしましょう。 アキレス腱断裂の治療法や断裂後のリハビリメニューについては、以下の記事でも詳しく紹介しております。アキレス腱断裂後、運動への復帰を予定している方は目を通しておきましょう。 まとめ|アキレス腱断裂しないためにも常に予防対策を意識しよう アキレス腱断裂を予防するには、日頃からの適度な運動によりアキレス腱を鍛えておくことが大切です。 ストレッチや軽いトレーニングを通じて、アキレス腱を少しずつ丈夫にしていきましょう。 また、運動時は必ずクッション性の高い靴を選び、運動後のケアも忘れずに行ってください。 アキレス腱だけでなく、ふくらはぎの筋肉下腿三頭筋を柔軟に保つことで、アキレス腱への負担も軽減できます。 この記事を参考に、ぜひアキレス腱断裂の予防に取り組んでみてください。 当院「リペアセルクリニック」ではアキレス腱断裂の治療に役立つ再生医療を提供しています。 リハビリ方法も含め、気になる症状や疑問がある方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ アキレス腱断裂の予防に関してよくある質問 アキレス腱断裂してから完治するまでどのくらいの期間がかかりますか? アキレス腱断裂の治療期間は、保存療法か手術療法によって異なります。 ギプスなどによる固定期間と、スポーツ復帰できるまでの完治期間は以下のとおりです。 治療方法 保存療法 手術療法 ギプスなどの固定期間 6〜10週間 4〜8週間 スポーツ復帰までの期間 7〜9か月程度 6〜9か月程度 ただし、スポーツの種目によっても復帰時期は異なるため、主治医と相談することが大切です。(文献1) アキレス腱断裂の全治期間については、以下の記事も参考にしていただけると幸いです。 アキレス腱断裂後の癒着をほぐす方法はありますか? アキレス腱の癒着を予防・改善するには、医師の指導のもと適切なマッサージとストレッチが効果的です。 まずは、足首を優しく前後に動かす運動から始めましょう。 痛みの出ない範囲で、アキレス腱周辺を指でマッサージするのも有効です。 また、入浴後は血行が良くなっているため、ストレッチに適したタイミングだといえます。 ただし、強い痛みを感じる場合は即座に中止し、医師への相談をお勧めします。 参考文献一覧 文献1 伊佐整形外科_アキレス腱断裂
2023.06.01 -
- 足部、その他疾患
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アキレス腱断裂の主な治療には「手術」と「保存療法」の2種類があります。どちらの選択をとっても、適切なケアをおこなえば回復を目指せます。 手術を選択した場合、回復に向けてダイレクトにアプローチできるため、スポーツや仕事復帰の期間が保存療法ほど長くかかりません。しかし、手術費用や手術後における合併症のリスクを考慮する必要があります。 本記事では、アキレス腱断裂の手術の流れや費用について解説しています。保存療法との違いも紹介しているので、アキレス腱断裂の治療方針を検討中の方は参考にしてみてください。 アキレス腱断裂の治療法は手術もしくは保存療法【どっちを選択すべき!?】 アキレス腱断裂の治療法には、主に「手術」と「保存療法」の2種類があります。適切な治療をおこなえば、どちらの治療法を選択しても回復が期待できます。 ただし、治療方法の判断基準は、本人の回復目的と医師の考えがあるため完全な正解はありません。 手術は保存療法よりも仕事やスポーツの早期復帰が期待できます。しかし、手術費や術後の合併症リスクといった懸念点があるため、慎重に検討する必要があるでしょう。 一方で、保存療法は、手術費用や合併症のリスクにおける心配は少ないものの、仕事やスポーツへの復帰に時間がかかる傾向にあります。 双方のメリット・デメリットを理解した上で、医師と相談しながら自分に合った治療法を選択していきましょう。 手術と保存療法については以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。 現在、アキレス腱断裂の治療法の1つとして「再生医療」が注目されています。切らない治療法なので、手術の傷跡や術後の後遺症の心配がありません。 無料相談も受け付けていますので「再生医療でアキレス腱断裂をどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 アキレス腱断裂における手術の流れ【3つの過程で解説】 ここでは、アキレス腱断裂における手術の流れを3過程にわけて解説します。 手術決定〜入院|入院期間はおよそ4〜10日 入院〜手術|手術時間はおよそ1〜2時間 退院後のリハビリテーション|リハビリ期間はおよそ4〜5カ月 1過程ずつ見ていきましょう。 1.手術決定〜入院|入院期間はおよそ4〜10日 手術が決まれば、具体的な日取りを決めていきます。 入院期間はおよそ4〜10日なので仕事や学校など、考慮したい事情がある場合は必ず伝えましょう。 入院オリエンテーションで入院中の生活、注意点などの説明がありますので、わからないことがある場合は積極的に聞いてください。 術前検査や、全身麻酔の場合は麻酔科の診察もありますので、治療中の病気などがあれば必ず申告しましょう。 2.入院〜手術|手術時間はおよそ1〜2時間 手術より前の日に入院する場合と、手術当日に入院する場合があります。合併症や治療中の病気がある場合には、前もって入院するケースが多くなります。 入院・手術が近づいてきたら飲酒は避けたほうが良いでしょう。食べるものなどに制限はありませんが、「手術前〇時間は絶食」などの指示は必ず守ってください。 手術時間はおよそ1〜2時間で、手術が終わったあとは合併症に気をつけながら経過観察します。 3.退院後のリハビリテーション|リハビリ期間はおよそ4〜5カ月 入院した直後から日常生活、スポーツの復帰まで継続したリハビリテーションが必要になります。 以下は、術後のおおまかなスケジュールです。 術後1週まで ・足関節が動かないようギプスで固定する ・ヒールをつけて歩くなど、固定したところ以外はしっかり動かす 術後2週頃 ・固定を外し、装具を装着する ・少しずつ足首を動かす練習をおこなう 術後1カ月頃 両足での底屈動作(つま先立ち)の練習を開始する 術後2カ月頃 ・片足での底屈動作(つま先立ち)の練習を開始する ・装具がとれて、軽いジョギングを開始する 術後3カ月頃 ランニングを開始する 術後4〜5カ月頃 スポーツ動作の練習を再開する それぞれの動作、運動を開始するタイミングは施設により異なりますが、最短でのスポーツ復帰は4~5カ月程度に設定している施設が多い傾向にあります。 せっかく受けた手術を無駄にしないためにも、していいこと・してはいけないことを確認し、しっかりと守りましょう。 アキレス腱断裂後のリハビリメニューについてはこちら▼ アキレス腱断裂の手術・入院にかかる費用相場 手術・入院にかかる費用は、どのような術式、麻酔法にするかで差があります。 3日間の入院で10万円ほど、7日間の入院で20〜30万円ほどは最低かかると見ておいた方が良いでしょう。食事代や個室を利用する場合は差額ベッド代がかかります。 【入院や手術に掛かる費用】 3日間の入院で10万円ほど 7日間の入院で20〜30万円ほど 食事や個室(差額ベット)は別途 収入により高額療養費制度を利用できます。しかし、一旦は負担分を窓口で支払う必要があるので注意が必要です。 ギプス固定後の治療用装具はオーダーメイドで作成するので、こちらも8万円前後かかります。保険適応になりますが、一旦全額を支払う必要があります(支払先は装具屋さんです)。 そこから手続きをおこなえば差額が還付され、実質負担は医療費の負担割合と同等になる仕組みです。 まとめ|アキレス腱断裂における手術の理解を深めて治療に臨もう アキレス腱断裂の手術は、仕事やスポーツの復帰を早めたり、再発リスクを低減したりする効果があります。 しかし、手術費用や術後における後遺症のリスクの懸念点があるため、治療法の選択は慎重におこないましょう。 「手術以外でアキレス腱断裂の早期回復を図りたい!」という方には「再生医療」がおすすめです。 切らない治療法なので、手術の傷跡や術後の後遺症の心配がありません。 無料相談も受け付けていますので「再生医療でアキレス腱断裂をどうやって治療するの?」と気になる方は、再生医療を専門とする『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ アキレス腱断裂の手術についてよくある質問 アキレス腱断裂の手術についてよくご質問いただく内容を以下に記載しました。 アキレス腱断裂の手術後、仕事復帰までどれくらいの期間がかかりますか? アキレス腱断裂の手術後、一般的に3カ月程度で仕事に復帰できるケースが多いです。しかし、具体的な復帰時期は、仕事の内容によって変わります。 たとえば、事務作業のように座っておこなう仕事であれば、松葉杖や装具を使って歩けるようになった段階で仕事に復帰できる可能性があります。 しかし、走ったり、重い物を運んだりするような負担のかかる仕事の場合は、筋力や機能が回復するまで待たなくてはなりません。 現在、アキレス腱断裂の治療法として「再生医療」が注目されています。 人間の自然治癒力を活用した治療なので、身体への負担を最小限にできます。詳しい治療方法や効果が気になる方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 アキレス腱断裂の手術後、歩けるまでどれくらいの期間がかかりますか? 歩行が可能になるのは、ギプスを外して装具を着用できるようになってからです。ギプスが外れるのは術後1〜2週間以降なので、歩行もその時期から段階的に開始します。 装具を使用してすぐの段階では、足元が安定せず、踵が高くなりがちです。そのため、歩行の際には松葉杖を併用するのが良いでしょう。 アキレス腱断裂における全治期間の解説はこちら▼ アキレス腱断裂手術の麻酔はどのようなものですか? 全身麻酔もしくは腰椎麻酔でおこなわれることが多いです。経皮的縫合術では侵襲が少ないために局所麻酔でおこなうケースもあります。 全身麻酔や腰椎麻酔の場合には、麻酔科医による麻酔がおこなわれるケースもあります。 手術の前に喫煙はしても良いですか? 喫煙をしていると、酸素の取り込みが少なくなります。 とくに全身麻酔をおこなう際には、痰の増加、肺炎や無気肺(肺の一部に空気が入らない状態)のリスクになります。 傷の治りも遅くなる可能性があるので、手術が決まった際にはその日から禁煙しましょう。
2023.05.29 -
- 下肢(足の障害)
- ひざ関節
- 動作時の痛み
- 肘関節
- スポーツ外傷
- 膝部、その他疾患
離断性骨軟骨炎は再発する?再発リスクをリハビリで抑えるための治療と期間 離断性骨軟骨炎は、スポーツが原因で発症することが多い病変です。 もし発症した場合は、初期のうちに治療することで完治する確率が高くなりますし、症状が進行した場合でも、重症なものでなければ手術によって痛みや引っかかりを解消することができます。 一時的にスポーツをやめて安静にしていれば治る可能性が高いのですが、運動の再開時期を間違えると再発することもあり、軟骨の状態によっては選手生命を絶たれることもあります。 しかし、術後のリハビリを正しく行うことで再発リスクを下げることが可能になります。プロのスポーツ選手やプロを目指している人はもちろん、誰にとっても再発は避けたいものですよね。 今回は、この離断性骨軟骨炎の再発と再発予防、再発リスクを予防するリハビリについて解説していきます。 離断性骨軟骨炎の症状と治療 離断性骨軟骨炎は、初期の症状がほとんどありません。 違和感や痛みは、負荷がかかった肘や膝の関節軟骨表面に亀裂が入ったことで生じます。 離断性骨軟骨炎をそのまま放っておくと、軟骨がはがれ落ち、痛みが強くなります。はがれ落ちた軟骨の欠片は関節内を浮遊し、曲げ伸ばしに影響を及ぼし、動作の際に引っかかりを感じるようになります。 進行すると、引っかかりと痛みでスムーズな動きができなくなるため、スポーツを継続することが難しくなります。しかし、発症した原因となっている運動を休止することで病巣が修復し完治する場合もあります。 無理に運動を継続すると、手術が必要になったり選手生命を絶たれることになったりする可能性が高いため、肘や膝に違和感があったら運動は中止し、早く医療機関を受診し、医師の指示に従いましょう。 離断性骨軟骨炎は再発する 注意すべきは離断性骨軟骨炎は、一旦症状が治まっても再発することがあります。なぜなら、軟骨が普通の骨よりも再生しにくいからです。 実は、離断性骨軟骨炎の症状は安静にしていると落ち着いてくるため、もう治ったと勘違いする人が多くいます。しかし、その状態で運動を始めてしまうと、まだ安定していない軟骨に負荷をかけることになり、結果として再発してしまうのです。 しばらく運動を休んでいて痛みや、引っかかりがなくなったとしても、自己判断で運動を再開するのは非常に危険です。必ず、運動を再開する前には面倒でも医師の診察を受けて運動再開の可否を確認することが大切です。 大丈夫だろう・・・といった自己判断は、結果として治療期間を長引かせる可能性があるため、避けましょう。 離断性骨軟骨炎をリハビリで抑えるために 離断性骨軟骨炎のリハビリは、保存療法として行うものと、手術の後に行うものがあります。 子どもや軽症の患者さんは、ほとんどが保存療法での治療となるため、治療開始とともにリハビリを始めます。 離断性骨軟骨炎は、運動が原因の疾患ですので、痛みがある時は安静にしていることが一番です。しかし、症状が落ち着いて来たら、ある程度動かすことも必要になります。 離断性骨軟骨炎のリハビリ治療と期間 離断性骨軟骨炎は、軽症であればリハビリと安静中心の保存療法で治療が行われます。 また、離断性骨軟骨炎のリハビリ期間は、患者さんの年齢や症状の進行具合によって変わってきます。 約1~2カ月で痛みはやわらぎ、最低でも3か月の安静は必要です。3カ月以上保存療法を行っていても回復しない場合は手術療法が適応されることもあります。また、すでにに症状が進行しており、軟骨の状態が良くない場合は、リハビリより手術を先に行います。 手術は大体が関節鏡を使ったものになりますが、患者さんの状態によっては軟骨の移植など大がかりな方法になることもあります。 関節鏡下の手術の場合は、傷口が小さく回復が早いため、早期にリハビリを開始することができます。ただ、軟骨の修復は普通の骨と比べて時間がかかるため、無理に動かすことはできません。 離断性骨軟骨炎のリハビリは重要 離断性骨軟骨炎のリハビリは、可動域訓練や筋力トレーニングを中心に行います。 リハビリの際は、理学療法士から動かし方の指導やアドバイスがありますから、それに従って、肘や膝に負荷のかからない動作を身につけていきます。 リハビリを行うことは、自分の動きや姿勢の癖に気付くことにも繋がります。体に負担のかからない動作を知ることができるため、スポーツ再開後のトレーニングやストレッチにも役立ちます。 離断性骨軟骨炎の再発予防 離断性骨軟骨炎の再発を予防するには、運動の再開時期を勝手に決めないことがポイントです。 痛みがなくても軟骨はまだ不安定な状態ですから、きちんと医師の指示に従い、完全に治ってから運動を再開してください。 また、いきなり以前と同じレベルで体を動かすのは危険です。最初のうちは無理せず、少しずつ元に戻していくようにしましょう。 まとめ・離断性骨軟骨炎は再開時期を誤ると再発するため注意が必要 離断性骨軟骨炎は、安静にしていれば症状がなくなっていきます。しかし、それを完治したと思い込んでしまうと、再発しやすくなります。リハビリを正しく行うことで症状を和らげ、再発を防ぐことができます。 自分の姿勢や動作の癖を知ることは、その後の怪我を予防することにも繋がります。また、治療後はいきなり治療前と同じトレーニングをするのではなく、少しずつ運動を再開していくようにしましょう。 きちんと軟骨が修復されれば、離断性骨軟骨炎は治すことができます。痛みや引っかかりがなくなっても、運動の再開時期は必ず一度受診し、医師の指示に従うようにし、焦らず確実に治療しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。
2023.05.26 -
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アキレス腱が切れる前兆はあるのかな。 アキレス腱に違和感があるけれど、どうしたら良いか知りたい。 この記事を読んでいるあなたは、「自分の感じる違和感は、アキレス腱が切れる前兆なのでは」と不安に思っているのではないでしょうか。 結論、アキレス腱の違和感や腫れなどは、切れる前兆の可能性があります。正しい対処をすれば日常生活やスポーツ制限の緩和、重症化リスクを減らすことに期待できます。 本記事では、アキレス腱が切れる前兆や予防法について、詳しく解説します。 記事を最後まで読めば、アキレス腱に違和感があるときの正しい対処法がわかり、大きなケガを予防できるでしょう。 アキレス腱が切れる3つの前兆 アキレス腱が切れる前兆は、主に以下の3つです。 アキレス腱に違和感がある・腫れている ふくらはぎやかかとが痛む 足のむくみがひどい 本章を参考に、アキレス腱断裂の基本的な知識を確認しておきましょう。 アキレス腱に違和感がある・腫れている アキレス腱の違和感や腫れがあるときは、アキレス腱が傷ついたり周囲に炎症が起きたりしている可能性があります。 この症状を「アキレス腱炎」や「アキレス腱周囲炎」といい、これらはアキレス腱の強度を落とし、断裂の原因となります。(文献1) 具体的には、以下のような症状がある場合は、アキレス腱が切れる危険信号です。 アキレス腱の周りが全体的に腫れている コブ状に盛り上がって腫れている 違和感や痛みは、最初は立っているときやスポーツのときだけですが、症状が進行すると安静時にも出るようになります。 アキレス腱炎の症状やリスクについては、以下の記事も参考にしてください。 ふくらはぎやかかとが痛む アキレス腱はふくらはぎの筋肉とかかとの間に位置しています。そのため、アキレス腱の傷や炎症は、ふくらはぎやかかとの痛みとしてあらわれるケースもあります。 安静状態からの動き出しや、朝(起床時)の一歩目に痛みを感じる人は珍しくありません。 ふくらはぎやかかとに痛みがある場合は、アキレス腱自体に違和感がなくても、切れやすい状態と覚えておきましょう。 足のむくみがひどい ひどい足のむくみも、アキレス腱が切れる前兆かもしれません。 むくみとは、体内を循環する血液やリンパ液の流れが悪い状態です。血液の流れが悪いとアキレス腱へ十分な血液が供給されず、ストレスを受けたアキレス腱が十分に修復されません。 結果として、アキレス腱の傷ついた状態が続き、断裂を起こしやすくなるのです。 アキレス腱が切れやすくなる原因は? アキレス腱が切れやすくなる原因は、主に以下の3つです。 加齢 激しいスポーツ 長時間の立ち仕事 原因がわかれば、適切な対処がしやすくなります。順番にみていきましょう。 加齢 年を重ねるごとに、アキレス腱断裂のリスクは高まります。年を重ねると徐々にアキレス腱のコラーゲン組織が硬くなり、柔軟性が低下するためです。 健常なアキレス腱は約1トンもの張力に耐えられるといわれますが、老化してもろくなると日常生活の何気ない動作で切れることもあります。 とくに高齢になってからのアキレス腱断裂は、アキレス腱の老化が原因のケースも多くみられます。 激しいスポーツ 激しいスポーツは、年齢にかかわらずアキレス腱断裂の原因になりやすい傾向があります。 若い人や運動に慣れたトップアスリートでも、ジャンプやダッシュの繰り返しがアキレス腱を傷め、そのまま運動を続けるうちに切れてしまうケースがあります。 とくに、以下のようなスポーツはジャンプや急な動きが多く、アキレス腱に大きな負荷をかけがちです。 サッカー バレーボール バドミントン バスケットボール また、中高年に人気の登山やランニングも、足を蹴りだすときにアキレス腱やその周囲に繰り返し負担をかけるスポーツです。(文献2) 長時間の立ち仕事 加齢や過度なスポーツ以外にも、アキレス腱断裂の危険性を高める要因があります。それは、長時間の立ち仕事です。 長時間の立ち仕事はアキレス腱にストレスをかけ続けます。その結果、アキレス腱が傷ついたり、炎症を起こしたりします。 日常生活でもアキレス腱に負荷がかかる場合があるため、少しの違和感を見逃さないことが大切です。 アキレス腱断裂の予防法3選 アキレス腱断裂の予防法は、主に以下の3つです。 違和感がある場合は安静にする 日常的にストレッチをおこなう 早めに整形外科を受診する 本章の内容を生活に取り入れ、アキレス腱の断裂を防ぎましょう。 違和感がある場合は安静にする アキレス腱周囲炎の治療の基本は安静です。痛みや腫れなどの違和感がある場合は、負荷のかかるスポーツや動作を控え、安静にしましょう。 また、以下のような靴を選び、アキレス腱への負担を軽減する方法もあります。 靴底やかかと部分に厚みのある靴 靴底のクッション性が高い靴 かかと部分の芯(カウンター)がしっかりしている靴 サイズの合った靴 アキレス腱の痛みをセルフケアする方法や予防のポイントは、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 日常的にストレッチをおこなう 日常的なストレッチはアキレス腱の柔軟性を高め、断裂予防に効果的です。とくに、下腿三頭筋のストレッチや筋力トレーニングを日常的におこなうと良いでしょう。 アキレス腱断裂をした人は、ストレッチをしていなかったという研究もあります。アキレス腱への負荷を軽減して断裂を防ぐために、ぜひ日常的なストレッチを取り入れてみましょう。 アキレス腱断裂の予防法や再発防止策については、以下の記事もご覧ください。 早めに整形外科を受診する アキレス腱断裂の予防に重要なのは、早めに整形外科を受診することです。 一度アキレス腱が断裂すると、手術やギプス固定による長時間の治療が必要になります。そのため、断裂にいたる前の適切な処置が大切です。 ステロイドの注射を希望する人もいますが、ステロイドが逆にアキレス腱断裂のリスクを高める可能性があるため行いません。 まずは整形外科を受診し、専門医の正しい指示を仰ぎましょう。 まとめ|アキレス腱が切れる前兆がみられたら早めに医療機関に相談しよう 本記事では、アキレス腱が切れる予兆の症状や原因、予防法などを詳しく解説しました。 アキレス腱断裂は、日常生活の中で誰にでも起こりうるケガです。一度断裂すると、元の生活に戻るまでには長期間の治療を必要とします。 アキレス腱断裂には前兆があるため、注意すべき症状を知り適切な対策を取れば、断裂のリスクを下げられるでしょう。 当院「リペアセルクリニック」では、筋・腱・靭帯のスポーツ外傷に対する再生医療・PRP治療を提供しております。 再生医療による治療は慢性化したアキレス腱炎にも利用でき、スポーツへの早期復帰が期待できるでしょう。 この記事がアキレス腱断裂の予防に役立ち、運動や生活制限のない快適な毎日を送るきっかけになれば嬉しく思います。 アキレス腱断裂についてよくある質問 「服用しているとアキレス腱断裂を起こしやすい薬」があると聞いたのですが、本当ですか。 フルオロキノロン系の抗菌薬を長期間服用していると、アキレス腱の変性を誘発し断裂が起こりやすくなるという報告があります。しかし、抗菌薬は必要時に短期間処方されることが多いので、日常的に心配しすぎる必要はありません。ただし、長期間に及ぶ場合は注意が必要です。 アキレス腱断裂テストは簡単にできますか。 整形外科の診察でも使われるアキレス腱断裂テスト(トンプソンテスト)は、比較的簡単に行えます。ただし、1人でおこなうのは困難なため、誰かに手伝ってもらうのが良いでしょう。 1. うつ伏せになり、膝を曲げる 2. そのまま力を抜いた状態でふくらはぎを握って圧迫し、足首が動くかどうか確認する 3. アキレス腱が切れていない場合は、足首が下向きに動きますが、切れていると動きません。 アキレス腱炎のセルフチェックについては以下の記事も参考にしていただければ幸いです。 参考文献一覧 文献1 小田 俊明, 川上 泰雄, 片岡 弘之, 横田 秀夫, 姫野 龍太郎, ジャンプ時にアキレス腱組織に生じる局所ひずみ・応力の推定, バイオメカニクス研究, 2012, 16 巻, 2 号, p. 54-63 文献2 城下 貴司, アキレス腱炎に対する臨床的治療展開の検討, 理学療法学Supplement, 2007, 2006 巻, Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集), セッションID 270, p. C0270
2023.05.22 -
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アキレス腱断裂はスポーツに多い怪我で、歩行に大きな支障をきたします。 スポーツはもちろん、仕事や買い物といった日常生活でも歩けないと不便に感じる場面も多いはず。そのため、アキレス腱断裂をした後どのくらいで歩けるようになるのか気になる人も多いのではないでしょうか。 アキレス腱断裂後歩けるまでの期間は、ギプスで固定・安静にする保存療法の場合で約3か月後、手術でアキレス腱を縫合する場合で約2か月後です。 本記事では、アキレス腱断裂後いつ歩けるようになるかなどを治療法ごとに詳しく解説します。アキレス腱断裂で歩けず日常生活にお困りの方はぜひ最後までチェックしてください。 アキレス腱断裂後歩けるまでの期間は最短2カ月 アキレス腱断裂後、歩けるようになるまでは治療法によって異なり、手術の場合で約2か月後、安静・固定する保存療法の場合で約3カ月後です。 一般的に手術の方がアキレス腱を縫合するため強く再建でき、アキレス腱の成熟を早められます。そのため、足首の固定期間も比較的短く済み、装具を使って歩行可能です。 実際にどれくらいの違いがあるのか、詳しくみてみましょう。 装具での歩行はギプスが外れた後すぐに可能 アキレス腱断裂直後には足首をギプスで一定期間固定します。 ギプスを外してからは、アキレス腱に負担がかからないよう踵(かかと)を高くしたまま固定できる装具を使用することで、歩行が可能になります。 なおギプスの固定期間は保存療法と手術療法で異なり、目安としては以下のとおりです。 治療法 ギプスの固定期間 手術療法 1〜2週間 保存療法 2〜4週間 手術を行う場合、保存療法よりもアキレス腱を強固に再建できるため、保存療法よりも1〜2週間程度短い固定期間で済む傾向があります。 装具を外しての歩行は治療方法で1カ月差が出る 装具を外し、通常どおり歩けるまでの期間は以下のとおりです。 治療法 通常どおり歩けるまでの目安 手術療法 損傷後2カ月後 保存療法 損傷後3カ月後 手術療法と保存療法では、装具なしで歩けるようになるまで1カ月ほどの差があります。 アキレス腱断裂後の回復スピードを重視したい人は、手術を受けることも検討しておきましょう。 アキレス腱断裂の全治は手術の方が短い 結論からいえば、保存療法よりも手術療法の方が全治期間を短縮できます。アキレス腱の自然治癒を待つ保存療法に対し、手術は断裂したアキレス腱を縫合するので早くくっつき、強固になるためです。 なお、これはあくまで全治期間が手術の方が短いというだけで、再断裂のリスクは治療法に差はないといわれています。保存療法と手術療法のメリット・デメリットは以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。 アキレス腱断裂で手術をした場合の全治期間の目安 アキレス腱断裂後手術療法を選択した際に歩行できるまでの全治期間目安は、2カ月程度といわれています。全治期間の過程は以下の表をご参照ください。 断裂・手術〜ギプス固定期間 1〜2週間 松葉杖の使用期間 1~2週間(ギプス固定をしている間に使用) 装具の使用期間 ギプスが取れてから6〜8週間 通常歩行できるようになるまで 手術後2カ月程度 手術後1〜2週間程度はアキレス腱に負荷をかけないために、足首をギプス固定しながら松葉杖で歩行します。2週間程度でギプスが外れるため、アキレス腱専用装具を利用しながらの歩行が可能です。ほとんどのケースでアキレス腱装具の使用と同時に松葉杖は中止します。 その後リハビリをしていけば2カ月程度で通常歩行可能です。なお、手術後のリハビリについての詳細は以下の記事で詳細に解説しています。ぜひこちらもご覧ください。 アキレス腱断裂後保存療法での全治期間の目安 アキレス腱断裂後保存療法を選択した場合、通常歩行までの目安はおよそ3カ月です。全治期間の過程は以下の表に記載していますのでご参照ください。 断裂〜ギプス固定期間 2〜4週間 松葉杖の使用期間 1~2週間(ギプス固定をしている間に使用) 装具の使用期間 ギプスが取れてから約4週間 通常歩行できるようになるまで 断裂後後3カ月程度 保存療法は、手術と比べて歩けるまで1カ月程度長い期間を要します。これはギプスによる固定でアキレス腱の自然な癒合を待つ必要があるためです。 保存療法は、手術療法よりも歩行までの時間がかかるのがデメリットですが、入院の必要がないなどのメリットもあります。そのため、自分に合った治療法を検討することが大切です。 なお、当院リペアセルクリニックでは保存療法の選択肢として、再生医療も選択可能です。手術をせずより強固にアキレス腱を治癒する方法として着目されている治療で、以下の記事で詳しく解説しています。 もし少しでも興味があるという方は、メール相談もしくはオンラインカウンセリングが可能なのでお気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ アキレス腱断裂の全治は「およそ6カ月」 アキレス腱断裂後、日常生活に完全に復帰するまでの全治期間目安は6カ月といわれています。これはあくまで目安であり、個人差があるものです。最も重要なのは再断裂しないことであり、全治期間が過ぎたからといって無理してはいけません。 本章ではアキレス腱断裂後に車の運転・スポーツ・仕事の復帰までどのくらいの期間が必要か解説します。個人差はありますが、大まかな目安としてチェックしておきましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、アキレス腱断裂の治療法として再生医療を提供しています。 アキレス腱断裂の痛みや再断裂を懸念されている方は、お気軽に「メール相談」「オンラインカウンセリング」にてお問い合わせください。 また、再断裂の予防については以下の記事で解説していますので、アキレス腱断裂した人はぜひチェックしましょう。 車の運転|アキレス腱断裂した足が左ならすぐに運転可能 アキレス腱断裂した足が左なら、全治後すぐに車の運転をしても問題ありません。運転は右足をメインにおこなうため、左足にギプスや装具がついていても運転に支障はないでしょう。 しかし、右足のアキレス腱を断裂した場合は、装具が外れるまで運転を控えてください。右足にギプスや装具をつけた状態の運転は違法ではありませんが、とっさの動きができないため危険です。 もし交通事故を起こしてしまった場合には怪我による過失を指摘される可能性もあるので、ギプスや装具を終了して日常生活について問題なく過ごすことができるようになってから運転を開始することが良いでしょう。 最終的には自己責任になってしまうので、運転時期については医師とも十分相談してください。 スポーツ|手術は3カ月、保存療法は6カ月 スポーツ復帰については、手術を受けた場合は3カ月、保存療法を受けた場合は6カ月以上の期間を要するとされています。そのため最短でスポーツ復帰をしたい方は手術療法がおすすめです。 また早く確実に治すためには、どちらの治療法でも医師や理学療法士の指導を守ってください。徐々に負荷を増やしていくトレーニングを行い、無理をしないように注意することが大切です。 スポーツ復帰までの期間 手術療法:3カ月程度 保存療法:6カ月以上 仕事の復帰|仕事内容によってはすぐに復帰可能 仕事復帰までの期間は業務内容によって異なります。 事務作業であれば座った状態で行えるので松葉杖、装具で歩行できている段階で可能ですが、走ったり、重いものを運んだりする重労働では、スポーツ復帰できるまで筋力が回復した時期からの復帰がおすすめです。 まとめ|アキレス腱断裂後は手術の方が1カ月早く歩ける!迷ったら受診しよう アキレス腱断裂後、歩けるまでの期間は治療法によって差があり、手術療法の場合で最短2カ月、保存療法の場合で最短3カ月ほどです。 「早く歩けるようになりたい」「スポーツに早く復帰したい」といった方は、手術を受けることも検討してみましょう。 なお当院リペアセルクリニックでは、ただ治癒を待つだけの保存療法でなく、再生医療でアキレス腱の再生を促す治療にも取り組んでいます。 「手術はしたくないけど早くアキレス腱断裂を治したい」と考えている方におすすめの治療法なので、お気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングでお問い合わせください。 この記事がアキレス腱断裂でお困りの方に少しでも貢献できれば光栄です。 \まずは当院にお問い合わせください/ アキレス腱断裂についてよくあるQ&A Q, アキレス腱断裂後の痛み、腫れはいつまで続きますか? A, 術後の痛みや腫れが完全になくなるまでは個人差があります。 手術を受けてから抜糸をするまでは1〜2週間程度ですが、その後も傷、腱を治す過程で炎症が起こっているので1カ月から2カ月程度かかることもあるでしょう。 Q, アキレス腱断裂後の装具の歩き方や調整方法はどうすればいい? A, アキレス腱断裂用装具は踵に着脱できるヒールが付いており、段階を追って徐々にアキレス腱を伸ばすことができるようになっています。 治療開始直後はアキレス腱への負担を減らすために踵が高い状態で歩く必要があるので、つま先立ちの形で歩行が必要です。もしこの状態で上手に歩けない方は松葉杖を使用すると良いでしょう。 治療が進むと徐々にアキレス腱に負担をかけてもよくなるため、踵を少しずつ低くしていき、最終的に装具を終了します。装具の調整は医師と相談しながら行うようにし、ご自分で調整しないようにすることが必要です。 Q, アキレス腱断裂後、お酒の解禁はいつからですか? A, アルコールを摂取すると血流が増加するので、出血や腫れが悪化してしまう要因となります。そのため怪我をしてから腫れが落ち着くまでの数週間、手術を受けた方では抜糸をして傷がしっかり治るまでは摂取しないようにしましょう。
2023.05.18 -
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アキレス腱は、腓腹筋とひらめ筋という、ふくらはぎの筋肉から踵の骨につながる強力な腱で人体で最も太い腱です。中高年者に多く、激しい運動やスポーツ中の突然の動作、あるいは転倒などが原因で発生することがほとんどです。 アキレス腱は足首の動作に関与するので、断裂してしまった場合には歩行が困難になり、生活に支障をきたしてしまうことがあります。 アキレス腱断裂の治療には、手術と保存療法があり、どちらの治療を選んでも適切に行うことで完治できます。 しかし、手術と保存療法のどちらを選択するかには保存療法で失敗するリスクや歩けるまでの期間の比較、手術の合併症などの正確な情報を知っておく必要があります。 この記事では、アキレス腱断裂の治療方法について、それぞれのメリットとデメリットを詳しく説明し、失敗しない選択肢について解説します。 アキレス腱断裂後に歩けるまでの期間 アキレス腱断裂後に歩けるまでの期間は治療方針によって異なります。回復期間は人によってことなる場合はありますが、以下の期間が歩行が開始できる目安です。 手術療法:1〜2週間程度 保存療法:2〜4週間程度 上記の期間はギプス固定の期間であり、ギプスが外れてから歩けるようになります。それぞれの療法での違いは、以下の解説をご覧ください。 手術の場合 手術の場合、術後約1〜2週間はギプス固定を行い、ギプスが外れたタイミングで装具を使用して歩く練習を開始します。 ギプス固定は断裂したアキレス腱同士を縫合し、腱に負担がかからないようにする目的で行います。ギプス期間中はつま先立ちの状態で足首をギプス固定するため、松葉杖を使用して歩くことになるでしょう。 装具の装着期間は約6〜8週間の見込みで、スポーツ復帰は3〜5カ月程度です。ただし、治療の詳細は患者さんの状態や医師の判断で異なるため、医師に確認するようにしましょう。 保存療法の場合 保存療法の場合、歩けるようになる期間は約2〜4週間と手術療法よりもやや遅くなるでしょう。手術療法のように断裂したアキレス腱同士を縫合するのではなく、自然に腱がくっつくのを待たなければならないからです。 また、手術療法後のアキレス腱再断裂の確率が1.7〜2.8%だったのに対し、保存療法後の確率は10.7〜20.8%と高くなっています。近年、アキレス腱断裂後に保存療法を選択するケースも増えてきていますが、リハビリを開始する時期が遅くなってしまうリスクもある点を覚えておきましょう。 アキレス腱断裂の治療法|手術と保存療法の違いは? 手術治療のメリット、デメリット 手術治療では断裂したアキレス腱を縫合しますが、大きく直視化縫合術と経皮的縫合術という傷が小さい手術の2つに分けられます。行っている手術は病院ごとに異なるので、詳しい内容は病院に問い合わせるようにしましょう。 手術治療のメリットは再断裂率が低く、ギプス固定の期間が短く、スポーツ復帰までの期間が早いことです。デメリットとして手術の合併症である傷の感染症、神経損傷などのリスクがあることと、手術代+入院費用がかかることが挙げられます。 スポーツ復帰までの期間は手術内容によりますが、3〜5カ月程度です。 メリット ・再断裂率が低い ・ギプス固定の期間が短く、スポーツ復帰までの期間が早い デメリット ・手術の合併症である傷の感染症、神経損傷などのリスクがある ・手術代、入院費用がかかる 保存療法のメリット、デメリット メリット ・入院や手術が不要なので費用が安い ・手術による合併症のリスクが少なく安全 保存療法の主なメリットとして費用の安さが挙げられます。手術はなく通院のみで治療が進むため、入院費用や手術費用が不要で、経済的負担を軽減できます。 また、手術による合併症のリスクが少なく安全です。手術に伴う麻酔の負担や術後の感染リスクが回避できるため、とくに高齢者や持病を抱える人にとって効果的な方法です。また、手術痕が残らないため、外見を気にする人にも適しています。 デメリット ・ギプスの固定期間が長く、ギプス終了後の歩行の開始時期が遅くなる ・再断裂率が手術と比較して高い 保存療法ではギプスで固定する期間が数週間と長めです。この間、足首を動かさず固定するため、関節の硬直や筋力低下が生じ、歩行の開始時期が遅れます。また、固定を解除した後も、競技復帰に向けてリハビリを行う必要があるため、治療期間が手術に比べて長期化する可能性が高いです。 また、再断裂率が手術よりも高いことが懸念されています。保存療法の再断裂率は8.8%とされています。これは、手術療法の3.6%に比べてやや高い数値です。再断裂が起こると、再び固定や手術が必要になるため、治療がさらに長引いてしまいます。 まとめ|自分に適した治療法を選択しましょう アキレス腱断裂の治療方法は、手術と保存療法の2つです。どちらを選択するかは患者の状況や希望によって異なりますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。保存療法は手術や入院が不要で費用が安く、手術による合併症のリスクもないという利点がありますが、ギプス固定の期間が長く、再断裂率が高いです。 一方、手術治療では再断裂率が低く、スポーツ復帰までの期間が早いという利点がありますが、手術に伴う合併症や費用がかかるデメリットがあります。 治療方法の選択に際しては、患者自身の状況や希望を考慮し、主治医とよく相談することが重要です。 アキレス腱断裂についてよくあるQ&A アキレス腱断裂でよくいただく質問を以下に記載しました。 Q. 手術と保存療法のどちらがおすすめですか? A.どちらが適しているかは、患者の年齢や活動レベル、断裂の程度によって異なります。手術は腱を縫合することで早期復帰、再断裂のリスク軽減を目指します。とくにスポーツ選手や日常的に活発に動く人に適用されることが多いです。 一方、保存療法はギプスで固定して自然治癒を促す方法で、リスクが少なく、手術に抵抗がある場合に選択されます。しかし再断裂のリスクがやや高く、回復に時間がかかる点に注意が必要です。 Q.治療法によってアキレス腱を再断裂する確率に違いはありますか? A.再断裂率は保存療法で8.8%、手術療法で3.6%と保存療法療法で高い数値です。日本整形外科学会のガイドライン2019年版でも再断裂率は保存療法で高いと記載されており、再断裂のリスクを下げたい方は手術治療が適していると言えます。 この背景として、手術は断裂した腱を直接縫合して強度を高めるためられますが、保存療法はリスクは少ないものの、腱の自然治癒に頼るため回復に時間がかかり、再断裂のリスクがやや高くなると考えられます。どちらにもリスクはあるため、患者の生活スタイルや年齢、活動レベルによって適切な治療法を選択することが大切です。 No.S129 監修:医師 加藤 秀一
2023.05.15 -
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「アキレス腱が切れたときは、放置して治るの?」 「アキレス腱が切れたときの応急処置と治療法は?」 アキレス腱の断裂(だんれつ)は、スポーツ中などに起こりやすい怪我です。 ただ、主に40代以上の方はスポーツをしていなくても、年齢などによる影響から日常生活で断裂する場合もあります。 「いずれ治るだろう」と放置すると、歩行困難や慢性的な痛みなど、後遺症が出る可能性もあるので、早急に医療機関を受診しましょう。 今回はアキレス腱が切れたときの音や応急処置、検査方法や治療法などを詳しく解説します。 読み進めていただければ、アキレス腱が切れたときの対応を理解できます。ただ、自己判断せずに必ず医療機関で医師に相談してみてください。 アキレス腱が切れるときは「ブチッ」「パン」などの音がする アキレス腱は、体の中でもとても太い腱で、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋(かたいさんとうきん)と、かかとの骨をつないでいます。 アキレス腱が切れてしまうと、人によって程度は変わりますが、かかと周辺に強い痛みが生じます。 実際に怪我をされた方から話をお聞きすると、以下のような経験をしている場合が多いようです。 「後ろから誰かにかかとを蹴られたような強い衝撃と痛みがあった」 「ブチッといった断裂音が聞こえた」 アキレス腱が切れた直後は、歩行困難になる場合も多く、少しずつ腫れや内出血があらわれます。 何かしらの症状が出ていない場合でも、放置せず早急に医療機関を受診するのが大切です。 アキレス腱が切れた直後の応急処置 「アキレス腱が切れたかも」と思ったら、運動中のときはすぐに中断し、できる限り歩行を避けましょう。 固定できるもの(新聞紙・段ボールなどで代用可)があるときは、足首が動かないように固定できると良いです。 周りの人が応急処置を手伝ってくれるときは、うつ伏せの姿勢になりながら、固定用具を足元の下に敷いて、固定用具ごと包帯などで巻いてもらいます。 また、腫れや痛みを防ぐために足を心臓より高くして、足首を氷などで冷やす方法をお試しください。 アキレス腱が切れたまま放置すると後遺症が出る場合もある アキレス腱が切れたまま放置すると、歩行困難になる場合があります。 アキレス腱が切れると、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋がうまく機能しません。以下のように、足首を動かす動作に影響が出る可能性もあります。 つま先立ちが難しくなる 立ち上がり、階段の昇り降りが難しくなる また、時間が経過すると、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋が少しずつ痩せて、筋肉が萎縮します。 ほかにも、断裂した部位を治療せずに放置すると、慢性的な痛みが残る可能性もあるでしょう。 アキレス腱が切れたときは後遺症を出さないためにも、適切な治療を受けるのが重要です。なるべく早急に整形外科を受診しましょう。 アキレス腱が切れたかを判断する検査方法 アキレス腱が切れたかどうかは、視診や触診だけでも、ある程度判断できます。 アキレス腱が断裂した部位には、delle(デレ)と呼ばれる凹みがあり、皮膚表面からでも触れると確認できるからです。 また、アキレス腱が切れた可能性がある方には、うつ伏せの姿勢になってもらい、ふくらはぎを圧迫して、足首が動くかどうかを確認するトンプソンテストを行います。 アキレス腱がつながっていれば、ふくらはぎを圧迫すると自然に足首が動きます。しかし、アキレス腱が切れている場合、ふくらはぎを圧迫しても足首は動きません。 ほかには、超音波でもアキレス腱の断裂を確認できます。別の部分に骨折がないかレントゲンで撮影したり、触診でわかりづらいときはMRI検査をしたりする場合もあります。 アキレス腱が切れたときの治療方法は2つ アキレス腱が切れたときの治療方法は、手術を行わずにギプスや装具を使って治療する「保存療法」と、断裂したアキレス腱を直接糸で縫合する「手術療法」に分けられます。 どちらが良いのかは、個人の状況によっても異なるので、十分に担当医と相談しながら決めてみてください。 保存療法 手術療法 保存療法【手術を避けたい場合】 保存療法では、断裂したアキレス腱が離れないように、足首を底屈(つま先立ちする際の方向)にした状態でギプスによる固定を行います。 その後、専用の装具を使って、少しずつ歩行練習などを行う流れです。 手術療法【スポーツで復帰したい場合】 スポーツ選手や若い世代など、体を使う機会が多い方は、手術をする場合が多いです。 ただし、手術をしたとしても、すぐにスポーツができるわけではなく、保存療法と同じく専用の装具を使った治療期間が必要になります。 再断裂するリスクは手術療法のほうがやや低いですが、どちらも再断裂の危険性はあります。また、手術をすると細菌感染などのリスクも生じるでしょう。 ただ、スポーツの復帰を目指したい方が、必ず手術療法を選ばないといけないわけではありません。担当医と話し合って納得した上で治療法を選ぶのが大切です。 保存療法と手術療法のメリットとデメリットについては、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。 まとめ|アキレス腱が切れたら放置せず治療を始めよう アキレス腱の断裂は、スポーツをしている方だけでなく、誰にでも起こりうる怪我です。ただ、放置すると歩行困難や慢性的な痛みなど、後遺症が出る可能性もあります。 「アキレス腱が切れたかも」と感じたときは、運動している場合は中止し、足の固定と冷やす応急処置が大切になります。 保存療法と手術療法など、放置せずに適切な治療を行うと、後遺症を防ぎながら、日常生活やスポーツへの復帰が可能となります。 アキレス腱の断裂を疑う症状がある場合は、速やかに整形外科を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、自身の幹細胞を培養して投与する「再生医療」を含めて、アキレス腱断裂などの治療を行っています。 スポーツ外傷は⼿術をしなくても治療できる時代です。痛みや症状に合わせた治療を行いますので、まずはお悩みや症状をご相談ください。 この記事がアキレス腱が切れた際の応急処置、治療方法を知る上でのご参考になれば幸いです。 アキレス腱が切れたときによくあるQ&A アキレス腱が切れたときに、よくお聞きする質問をまとめました。 Q.いつからスポーツの復帰ができますか? A.スポーツに復帰できる時期は個人差がありますが、一般的には保存療法の場合は6カ月程度、手術療法でも4カ月程度の治療期間が必要になることが多いです。 復帰してからも、少しずつ運動強度を上げていく必要があり、再断裂を防ぐための筋力トレーニングなどのリハビリは必須です。 アキレス腱の断裂における全治期間を知りたい方は、以下の記事で詳細を解説しています。仕事への復帰期間とあわせて確認してみてください。 Q.手術はどのような方法で行いますか? A.基本的に手術は、ふくがい(うつぶせの姿勢)で行うのが一般的です。 アキレス腱を断裂している部分に近い皮膚を切開し、直接アキレス腱に糸をかけて縫い合わせます。 縫い方にはいくつかの方法があり、どのような方法を選択するかは医師の判断によりますが、いずれの方法でもしっかりと縫合できます。 また、手術は全身麻酔や腰椎麻酔(下半身麻酔)で行う場合が多いでしょう。ただ、局所麻酔のみの日帰りで行っている病院もあるので、各担当医に詳細をご確認ください。 Q.アキレス腱が切れるのを予防するには? A.アキレス腱の断裂を予防するには、ふくらはぎの筋肉における柔軟性を保つために、下腿三頭筋などのストレッチやトレーニングをするのがおすすめです。 また、運動するときはいきなり激しく足を動かさず、事前に軽く体のストレッチなどを実施します。 アキレス腱の断裂を予防するストレッチやトレーニングの詳細が知りたい方は、以下の記事で解説しています。再発予防にも期待できるので、ぜひ参考にしてみてください。
2023.05.12 -
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アキレス腱炎の予防! 正しい靴の選び方と履き方の注意 「アキレス腱炎はどうしたら治るの?」「アキレス腱炎を予防するには?」こんな疑問のある方はいませんか。アキレス腱炎の原因は、靴にあるかも知れません。 アキレス腱炎はランニングやバスケなどでジャンプを繰り返すことで起こります。それらの動作を合わない靴で行うことは、怪我の発生を招きます。そのため、正しい靴選びをすることが怪我の予防には大切です。 今回はアキレス腱炎を予防する対処法として、靴選びのポイントやインソール(中敷き)の活用方法を解説します。 アキレス腱炎を予防する!靴選びのポイント4つ アキレス腱炎の原因はアキレス腱に繰り返しかかるストレスです。 ランニングやジャンプでかかるストレスを軽減する靴を選ぶためには、以下の4つポイントを押さえましょう。 足にストレスを与えない靴選び!4つのポイント 1. 靴底、ソールの厚み、踵(カカト)に厚み(薄すぎない)があること 2. 靴底の素材に注目、クッション性が高いこと 3. ヒールのカウンターがしっかりしていること 4. サイズの合ったものを選ぶこと それぞれポイントとなる理由を詳しく解説します。 1.靴底、ソールの厚み、踵(カカト)に厚み(薄すぎない) アキレス腱はふくらはぎの筋肉が踵につく部分です。そのため、ふくらはぎの筋肉が働くと、つま先立ちになるような力が働きます。つまり、アキレス腱をゆるめて負担を減らす場合は、靴底のソール部分の厚みに注意!中でも「踵の部分が厚い靴」を履く方が良いです。 ただし、踵が高すぎると不安定になりやすいので専門ショップで目的(日常、スポーツ)を伝えてアドバイスを受けて選べば大丈夫です。尚、スポーツで使用する場合は、踵への負担が大きいため、適度に厚みがある靴を選びましょう。 逆に靴底がすり減った靴は、アキレス腱の負担を強めます。また、踵部分が薄すぎる靴は、アキレス腱を常に緊張させてしまう恐れがあるので避けたいものです。 靴底の良い基準 アキレス腱の負担を減らすため、靴底の踵部分が厚い靴を選ぶ 踵が高すぎると不安定、目的に合わせた適度な厚みが理想 靴底の悪い基準 靴底がすり減った靴はアキレス腱の負担を強める 踵が薄すぎる靴はアキレス腱を常に緊張させる 2. 靴底の素材も注目、クッション性が高い アキレス腱にかかる衝撃を和らげるために、靴底のクッションが良いものを選びましょう。 靴底のソール部分、踵の薄さについて前述しましたが、靴底全体を見ても、ある程度厚みのあるもので、クッションの性能が良いものを選ぶのが大切です。 足に負担のかからない靴を選ぶ際には、ソールの素材が重要です。以下にいくつかの素材とその特性をご紹介します。 ラバーソール:(天然ゴム、合成ゴム): クッション性は、ほどほど メリット: 耐摩耗性が高く、雨の日でも滑りにくい。 デメリット: 通気性がなく、硬さがある場合もある EVAソール(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂): クッション性は、高い メリット: 軽量で柔らかく、疲れにくい。 デメリット: 耐摩耗性が低く、劣化しやすい ウレタンソール(ポリウレタン樹脂): クッション性は、高い メリット:軽量ながら耐久性が高く、長持ちする デメリット:通気性がない。湿気に弱い 3.ヒールのカウンターがしっかりしている ヒールカウンターとは、靴の踵(かかと)部分に挿入されている半円形の芯のことで、月型芯とも呼ばれています。靴のかかとを包み込むように硬く形成されており、踵(かかと)を支えて、内外側への傾きを防ぐ機能を持っています。 このヒールカウンターがあることで踵が安定し、歩行やスポーツでのパフォーマンス(動き)を安定させることが可能です。 アキレス腱炎の原因の1つが、回内(かいない)と言って、足の裏を外に向けるような動きが過剰に生じることです。この状態を「過回内(かかいない)」や「オーバープロネーション」と呼びます。過回内が起こると、アキレス腱をひねるようなストレスがかかり、ジャンプやランニングの着地でアキレス腱の負担が強まります。そのため、アキレス腱炎の要因として挙げられます。 靴の後ろ側の部分で踵を左右で挟み込む部分をカウンターや月型(つきがた)と呼びます。カウンターがしっかりしていると、足首の安定性を高めて、過回内を防ぎます。結果として、アキレス腱炎も予防につながるのです。 4 .サイズが合ったものを選ぶ 当たり前ですが、アキレス腱炎の予防に関わらず、正しいサイズの靴を選ぶことは何よりも重要です。 人に譲ってもらったり、なんとなくサイズが同じくらいだから、と履き続けていませんか?靴は履いているうちにそれぞれの足の形に変形するため、お下がりの靴では自分の足が馴染まないことも多いものです。 サイズの小さすぎる靴を選べば、アキレス腱をしめつけすぎてしまい、アキレス腱に直接負担がかかります。大きすぎる靴では、靴の中で足動いたり、本来のポジションからずれてしまい、靴の機能が生かせず、足への負担も強まってしまい、怪我の危険性を高めます。 また、インソールやサポーターを使用する場合は、靴の大きさを大きめにした方が良い場合もあるため、注意しましょう。 アキレス腱炎の予防にはインソールも効果的 アキレス腱炎の予防には正しい靴の着用とともに、靴の中敷きとしてインソールを活用するのも効果的です。インソールには、前述のアキレス腱炎を予防する靴選びのポイントと同じ機能が備わったものがあります。 例えば、ヒールカップと呼ばれる、踵を左右で覆うような構造をしたインソールでは、靴のカウンターと同じように、踵が過回内にならないように安定させる機能があります。 また、過回内の要因である扁平足(へんぺいそく)に対して、土踏まずを支えるようなアーチサポートと呼ばれる機能のついたインソールが活用できます。アーチサポートをすることで、過回内を防ぎ、アキレス腱にかかる負担を減らすのも良いでしょう。 このように、アキレス腱炎の予防のために、インソールをうまく活用してみましょう 靴の履き方にも気をつけよう アキレス腱炎を予防するためには、靴の履き方にも気をつける必要があります。靴を不適切に履いてしまうと、せっかく良い靴を選んでも、靴の機能を十分活かせません。 靴の履き方のポイントは以下の2点です。 履き方のポイント 1. 靴紐を調整する 2. 踵(かかと)をしっかり合わせて履く それぞれ詳しく解説します。また、最後に靴を履く手順を紹介します。 1.靴紐を調整する 靴紐のあるスニーカーやシューズを履くときには必ず靴紐を調整しましょう。 履くときは靴紐を一度ゆるめて、履いた後はしっかりと靴紐を締めて結ぶのが大切です。 もし、靴紐をほどかずにきついままの状態で履いてしまった場合、靴の上部であるアッパー部分が伸びたり、踵部分を引っ張って履こうとするためカウンターが崩れたりするなど、靴の機能低下を招きます。 また、履きにくいからといって紐がゆるんだ状態で靴を履くと、靴の固定性が弱まり、足が靴の中で滑って、踵をうまく支えられなくなってしまいます。 上記のような状態は、靴のカウンター機能の働きを低下させるため、アキレス腱炎のリスクを高める要因になるので注意しましょう。 2.踵(かかと)をしっかり合わせて履く アキレス腱を保護するとともに、足首が回内しすぎないようにするためには、靴のヒール部分、カウンターでしっかり踵(かかと)を支えてもらう必要があります。 そこで、靴を履くときに大切なのが、踵をしっかり合わせて履くことです。踵がしっかりはまっていないと、靴のカウンター機能が充分働きません。足を靴の中に入れるときは、踵から合わせることを覚えておきましょう。 靴を履く手順 上記を踏まえた上で、靴の履き方の手順を紹介します。普段何気なく行っている靴を履く動作も怪我の予防には大切です。 ついつい面倒になってしまい忘れがちですが、アキレス腱炎の予防のために意識して、習慣化しましょう。 靴を履く手順 1. 靴紐をゆるめる 2. 足を靴に入れて、つま先をあげながら踵を地面に押しつける 3. 足に合うように靴紐のきつさを調整して結ぶ 4. 履いた後、ゆるさやきつさを感じないか、アーチサポートやカウンターがしっかり合っているかを確認する まとめ・アキレス腱炎の予防! 正しい靴の選び方と履き方の注意 アキレス腱炎を予防するためにはもちろん、日常生活での靴選びは大切です。 特にスポーツの場合は、ジャンプやランニングなどアキレス腱にかかる衝撃も多いため、踵をしっかり守ってくれる靴を選んで足の傷害を予防しましょう。 アキレス腱炎を予防するためには、適切な靴選びと正しい履き方が重要です。靴選びでは、本稿に記載した「4つのポイント」に注意しましょう。 靴底の厚みや踵の厚さはアキレス腱への負担を軽減するために大切です。特に踵部分が厚い靴は、アキレス腱の緊張を和らげる効果があります。次に、靴底の素材にも注目しましょう。クッション性が高いEVAソールやウレタンソールは、アキレス腱にかかる衝撃を和らげてくれます。 また、ヒールカウンターがしっかりしている靴を選ぶことも重要となります。これにより踵の安定性が向上し、足の過回内を防ぎ、アキレス腱への過剰な負担を避けることができるからです。さらに、靴のサイズは足にしっかりと合ったものを選ぶよう注意してください。サイズが合わない靴は、アキレス腱に直接負担をかける原因となるからです。 インソールの活用もアキレス腱炎の予防に効果的です。ヒールカップやアーチサポート付きのインソールを使用することで、踵を安定させ、アキレス腱への負担を減らすことができます。 それから正しい靴の履き方を忘れてはいけません。靴紐をしっかり調整し、踵をしっかり合わせて履くことで、靴の機能を最大限に活かせます。靴紐を緩めてから履き、履いた後に再度締めることで、足が靴の中で滑るのを防ぎます。 以上のポイントを押さえて、適切な靴選びと履き方を実践することで、アキレス腱炎の予防、スポーツでの傷害を減らすことにつながります。 日常生活やスポーツシーンでのアキレス腱への負担を減らし、健康な足を保つために、ぜひ参考にしてみてください。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼アキレス腱炎、以下も参考にされませんか アキレス腱炎を効果的に予防・軽減するテーピングの方法とその効果
2023.05.10 -
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アキレス腱炎は、バスケットボールや、陸上、バレー、マラソン、バレエなどスポーツで起こりやすいケガです。ランニングやジャンプを繰り返すことでアキレス腱に繰り返しストレスがかかり、アキレス腱に炎症が発生してしまいます。 症状としては足首を動かしたり、主に歩いたりするときに生じるアキレス腱周辺の痛みや、腫れ、動作障害などがあります。これらの症状が見られる場合は、早めに医師の診断を受けるほかテーピングの使用などで痛みを緩和する方法がおすすめの治療法です。 そこで今回はアキレス腱炎におすすめのテーピング方法として、具体的な巻き方や効果について解説していきます。適切な治療とケアを行うことで、症状の悪化を防ぎ、回復を早められますので、最後までご覧ください。 アキレス腱炎におすすめのテーピング方法 ここでは、アキレス腱炎におすすめのテーピング方法を4つのステップで紹介していきます。 かかとからひざの下までテープを貼る 内側のくるぶしから外側のふくらはぎまでテープを貼る 外側のくるぶしから内側のふくらはぎまでテープを貼る 足首に1周テープを巻く 以下で詳しく説明していきます。 【step1】かかとからひざの下までテープを貼る まずは、かかとからひざの裏まで届く長さのテープを用意してください。テープの両端に1cm程度の切れ目を入れます。1cm程度の切れ目でアキレス腱を覆うようにテープを貼り、少し引っ張りながらふくらはぎの下までテープを貼っていきましょう。 ふくらはぎまで貼り終えたらテープをハサミで切り、ひざの内側と外側に引っ張って貼ります。なるべくテープにシワがよらないよう、肌に密着する形で貼るようにしましょう。 【step2】内側のくるぶしから外側のふくらはぎまでテープを貼る かかとの内側から貼り始め、アキレス腱の上を通してふくらはぎの外側までテープを貼っていきます。 このときにも、テープを引っ張りながら貼るとアキレス腱のサポートが強くなるでしょう。 【step3】外側のくるぶしから内側のふくらはぎまでテープを貼る かかとの外側から貼り始め、アキレス腱の上を通してふくらはぎの内側までテープを貼っていきます。 2本目と同様、テープを引っ張りながら貼ると良いでしょう。 【step4】足首に1周テープを巻く 最後に、3本のテープを固定するよう、テープが交差した場所を覆うように足首に1周テープを巻き付ければ完成です。 立つ・歩くなどの動きをしたときに、アキレス腱が支えられている感覚が得られれば正しくテーピングできています。 アキレス腱を保護するテーピングの効果 アキレス腱を保護するテーピングの効果として、以下の3点が期待できます。 アキレス腱の痛みを軽減する 立つ・歩く動きをサポートする アキレス腱炎の再発を予防する ご自身の悩みと照らし合わせて、期待できる効果を確認してみてください。 アキレス腱の痛みを軽減する テーピングによりアキレス腱にかかる負担を軽くして、痛みを軽減できます。 アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉である腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋が合流し、かかとにくっつく部分の腱(けん)です。そのため、ふくらはぎの筋肉が働くとアキレス腱に負担がかかります。具体的には、つま先立ちや足首を下に向けるように動かしたときです。 ランニングやジャンプでは、ふくらはぎの筋肉の働きによりしっかり地面を蹴り出すため、アキレス腱に大きな負担がかかります。 テーピングでふくらはぎの筋肉の働きをサポートし、足首の動きを制限することでアキレス腱の負担は軽減でき、痛みを軽くする効果が期待できるでしょう。 立つ・歩く動きをサポートする アキレス腱炎の影響で立ったり歩いたりしにくい場合でも、テーピングは効果を発揮します。テーピングで痛みを軽減させつつ、筋肉の働きを補助することで、立つ・歩くなどの動きをサポートできます。 アキレス腱炎の原因はアキレス腱に繰り返しかかるストレスです。 スポーツやランニングなどは一時的に休止できますが、立つ、歩くといった動作は日常生活には不可欠で、アキレス腱に負担がかかるからといって行わないわけにはいきません。 そのため、テーピングで少しでも動きやすくなるようにサポートすることが大切です。 アキレス腱炎の再発を予防する テーピングによりアキレス腱にかかる負担を減らし、立ち・歩きなどの動きをサポートすることで、アキレス腱炎の再発予防効果が期待できます。 アキレス腱炎の要因として、足首の関節が不安定なことや足の筋肉の機能不全が挙げられます。そのため、テーピングにより足首の動きを固定し、ふくらはぎの筋肉をサポートすることで、アキレス腱炎の発生・再発を予防することが可能です。 また、アキレス腱炎後にスポーツを再開する場合にもテーピングは有効な治療手段です。炎症により固くなったふくらはぎの筋肉やアキレス腱などの組織にダッシュやジャンプなどの負担をかけると、再発のリスクが高まります。 そこで、テーピングによるサポートをしながら運動を再開することで、アキレス腱に急な負担をかけずに運動を継続できるでしょう。 アキレス腱炎の治療法|テーピング以外の方法とは? アキレス腱を保護するテーピングの効果を解説してきましたが、テーピング自体でアキレス腱の炎症が治るわけではありません。根本的な治療を受けるためにも、まずは整形外科を受診しましょう。 アキレス腱炎に対しては以下のような治療があります。 可能な範囲で安静にする 貼り薬を使用する ストレッチや筋トレを行う 超音波などの物理療法を行う これらの治療方法は、医師や理学療法士などの専門家による指導を受けながらの実施により効果を得られます。手術をしない保存療法が治療の中心となりますので、気になる方は最後まで確認してみてください。 可能な範囲で安静にする アキレス腱炎はアキレス腱に繰り返しかかるストレスがかかることで悪化します。そのため、立つや歩くなど日常生活の中で欠かせない動作以外はなるべく控え、可能な限り安静にするようにしましょう。 ランニングやジャンプなど、アキレス腱に負担のかかる動きやスポーツは一時的に休止するのがおすすめです。 テーピングを使うことでアキレス腱にかかるストレスは軽減できるため、冒頭で紹介したテーピングの巻き方を実践しながら、可能な範囲で安静にするようにしましょう。 貼り薬を使用する アキレス腱の痛みを軽減したい方は貼り薬を使用してみましょう。 有効成分に「ケトプロフェン」や「ロキソプロフェンナトリウム水和物」などが含まれているものがおすすめです。 また、アキレス腱部は歩きや立ち上がるときによく動く場所のため、パップ剤(厚みがあり水分を多く含むもの)よりもテープ剤の方がはがれにくく使用できます。 ただし、汗を多くかく方や皮ふが弱い方はテープ剤でかぶれる可能性があるため、処方してもらう前に塗り薬へ変更してもらうなど医師と相談して使用するか決めましょう。 ストレッチや筋トレを行う アキレス腱炎は、足首の関節が不安定なことや足の筋肉の機能不全が原因で発症します。 普段から運動をあまりせず、急に動かしたことで痛みにつながるケースが多いため、ふくらはぎや足首、足の指の筋肉などのストレッチ・筋トレを行うと良いでしょう。 ストレッチや筋トレの一例は以下の通りです。 ふくらはぎ ストレッチ:アキレス腱伸ばし、ふくらはぎの筋肉を揉む 筋トレ:仰向けに寝て、壁を蹴るように力を入れる 足首 ストレッチ:足首を回す、足の裏を内側・外側に向ける 筋トレ:ストレッチの動きを10回×2セットなど繰り返す 足の指 ストレッチ:足の指を外側に広げる、足の指を1本ずつ持って上下に動かす 筋トレ:タオルやビー玉を指でつかむ、足の指を外側に開くように力を入れる 通院先の理学療法士と相談しつつ、痛みがない範囲で実施するようにしましょう。 超音波などの物理療法を行う アキレス腱炎に対しては、時期に合わせてアイシングや温熱療法、超音波などの物理療法を実施します。 赤く腫れ、炎症反応が強い時期には安静にしながらアイシングが有効です。炎症がある程度落ち着いてくる時期に入ると温熱療法を行い、血流を改善させ筋肉の緊張を和らげるように治療を行なっていきます。 また、表面ではなく深部の炎症を和らげるために超音波療法も有効な手段です。アキレス腱の血流を改善し、回復を早める効果が期待できます。 まとめ|アキレス腱炎に効果的なテーピングの巻き方を実践してみよう アキレス腱炎は、ランニングやジャンプなどの動作によりアキレス腱への過度のストレスや、使い過ぎによって発生するケガです。 痛みや腫れ、動作障害などの症状が見られ、とくに運動時や、朝起きたときにこわばりを感じることもあります。これらの症状に対する有効な対処法の一つがテーピングです。 テーピングは、アキレス腱への負担を軽減し、痛みを和らげる効果があります。ふくらはぎの筋肉をサポートし、足首の動きを制限することで、アキレス腱を支え、そのストレスを緩和します。 また、テーピングは、日常生活における動作のサポートやアキレス腱炎の再発予防にも効果があります。足首の関節の動きを安定させ、ふくらはぎの筋肉を補助することで、アキレス腱にかかる負担を減らせるからです。スポーツ復帰時にもテーピングを利用することで急激な負荷を避け、安全に運動を再開できるでしょう。 しかし、注意したいのはテーピングだけではアキレス腱の炎症を根本的に治すことはできないことです。 根本的に治すには医師の診断を受け、適切な治療を行う必要があります。治療方法には安静、貼り薬、ストレッチ・筋トレ、物理療法などがあり、これらを併用することで症状を改善できます。再発予防のためにも専門家の指導のもと、適切な治療を受けましょう。 テーピングは自分でも可能ですが、もし不安な場合はお近くの整形外科などを受診して、直接指導を受けましょう。この記事がご参考になれば幸いです。 アキレス腱炎についてよくあるQ&A 最後に、アキレス腱炎についてよく聞かれるQ&Aに回答していきます。 アキレス腱炎はマッサージで治せますか? アキレス腱炎は何日で治りますか? アキレス腱炎を予防するための靴選びを知りたい ご自身で疑問に思うことがあれば、ぜひ確認してみてください。 アキレス腱炎はマッサージで治せますか? アキレス腱炎の治療の一環としてマッサージも有効な手段ではありますが、マッサージのみでの完治は難しいです。 テーピングを併用しつつ、安静や貼り薬、ストレッチ、筋トレなど実施していくと良いでしょう。温熱療法や超音波療法を行うと回復が早くなりますので、治療を受けたい方はぜひ受診して相談してみてください。 アキレス腱炎は何日で治りますか? 軽症の場合は全治3カ月程度ですが、6カ月以上痛みが続く場合は、手術療法の検討も必要になってくるかもしれません。 痛みが長く続くようであれば、早急に整形外科を受診してください。 こちらの記事でアキレス腱炎の治療期間を詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。 アキレス腱を押すと痛いのはなぜ?アキレス腱炎の原因と治療法を解説 また、アキレス腱炎を放っておくと痛みが長引き、回復が遅れてしまう恐れがあります。そうなりたくないかたは、以下の記事も合わせて確認してみてください。 アキレス腱炎をほっとくとどうなる?慢性的に痛みが残る?治療法も解説 アキレス腱炎を予防するための靴選びを知りたい アキレス腱炎を予防するための靴選びとして、4つのポイントがあります。 靴底、ソールの厚み、踵(カカト)に厚み(薄すぎない)があること 靴底の素材に注目、クッション性が高いこと ヒールのカウンターがしっかりしていること サイズの合ったものを選ぶこと 硬くて薄い、サイズが合わないものを選んでしまうとアキレス腱に負担がかかってしまうため、靴を選ぶ際には履き心地を確認して購入するようにしましょう。 靴選びのポイントは以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はぜひご確認ください。 アキレス腱炎の予防は正しい靴の選び方と履き方の注意
2023.05.08 -
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ふくらはぎ下部やかかとに痛みがともなう場合、アキレス腱炎の可能性があります。アキレス腱炎は、激しいスポーツや運動不足・加齢による足の筋力低下が原因で、アキレス腱に過度な負荷がかかり炎症を起こしている状態です。 アキレス腱炎を放置すると、症状の悪化や アキレス腱断裂 のリスクが高まります。重症化を避けるためにも、痛みが出たときの対処法を覚えておきましょう。 本記事では、アキレス腱炎で痛みが出たときの対処法を詳しく解説します。自宅でできるセルフケアも紹介しているので参考にしてみてください。 現在、スポーツ外傷によるアキレス腱炎や 靭帯損傷 の治療方法として「再生医療」が注目されています。再生医療とは人間の自然治癒力を活かした最先端の医療技術です。弱ったり、傷ついたりする細胞を修復する幹細胞の力を利用して、細胞の組織を元の状態に戻します。 本来なら手術をしなければならない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。手術の傷跡や術後の後遺症の心配がないので、本格的にスポーツしている方は早期復帰が期待できます。 弊社『リペアセルクリニック 』は、再生医療専門のクリニックです。国内での症例数は8,000例以上に及び、多くの患者さんの治療に携わってきました。 アキレス腱炎は再生医療の治療対象です。弊社では無料相談を受け付けていますので、詳しい治療法や効果を知りたい方はお気軽にお問い合わせください。 アキレス腱炎の痛みが出たときの5つの対処法!【セルフケアの方法も伝授】 アキレス腱炎の痛みが出たときの対処法は、下記のとおりです。 安静にしてストレッチをする 軽めの運動でアキレス腱周りの筋肉を強化する テーピングでアキレス腱の動きをサポートする ロキソニン(消炎鎮痛薬)や湿布を使用する 整体や整骨院に通い施術する 注意点として、症状に合わない対処法を続けると逆効果になる可能性があります。病院で診断を受け、専門家の指導のもとで治療を進めましょう。 安静にしてストレッチをする 痛みが生じてすぐの場合、強い炎症が起こっています。そのため、原則としてまずは運動を中止して、安静にするようにしましょう。 一般的には2〜6週間程度の安静、スポーツ活動の休止が必要です。 2週間程度安静にしてから再度医師の診察を受けて、スポーツの再開時期について指導を受けるようにしましょう。 ストレッチに関しては、足関節を反らして、アキレス腱を伸ばすように行います。 1. 階段などの段差につま先をかけて、踵をゆっくり下ろします 2. アキレス腱が伸びてきたら、我慢できる程度の痛みまで踵を下ろしてアキレス腱を伸ばしていきます 3. この状態を15秒ほどキープします 15秒ほどキープするのを1回とし、3 回 1セットとして1日2セットを目標に行うようにしましょう。 軽めの運動でアキレス腱周りの筋肉を強化する ストレッチに加えて、 ふくらはぎの筋力訓練が効果的 です。 「カーフレイズ」や「つま先立ち体操」という方法であり、ストレッチと動作が似ていますが、踵を上げる動作によって筋力を強くすることができます。 1. 階段や台の縁に立ち、踵を段の端から出します 2. その状態で、踵をゆっくりと上げ下げさせます 3. この上下運動を10回ほど行います 10回1セットを1日2セットとして、少なくとも3ヶ月程度継続するようにしてください。この運動は痛みが無理なく耐えられる範囲であれば継続を推奨していますが、我慢できないほどの痛みの場合には中止するようにしてください。 テーピングでアキレス腱の動きをサポートする アキレス腱炎の痛みを緩和させるには、テーピングの活用が効果的です。なぜなら、身体の動きを制限させるテーピングの効果によって、アキレス腱にかかる負担を軽減できるためです。 アキレス腱炎に効果的なテーピングの巻き方は、下記の記事にまとめています。テーピングを利用する場合は、記事を参考にしながら巻きましょう。 また、靴にインソールを敷く方法も効果的です。インソールで踵部分を底上げすると、アキレス腱への負担が軽減するため痛みが和らぎます。 ロキソニン(消炎鎮痛薬)や湿布を使用する 病院では、ロキソニン(消炎鎮痛薬)や湿布などが処方されます。いずれも用法用量を守る必要があります。 特に湿布は貼りっぱなしにしていると湿疹を起こしてしまうこともあるので、効き目が少なくなってきたら一度剥がして、次に貼るまでに時間を空けることが必要です。 整体や整骨院に通い施術する 安静、運動療法、お薬といった対処法をしっかり行っていただいた上であれば、整体、整骨院、鍼灸院などでのマッサージ、ツボを刺激して痛みを軽減させる電気鍼療法、お灸などは必要に応じて受けていただいて大丈夫です。 病院ではマッサージなどは提供していないため、ご自身でケアが難しい場合には、ご利用いただくことも考えてよいかもしれません。 「紹介されている対処法を試してみたけど、なかなか痛みがひかない…」という方は、再生医療を専門的におこなう『リペアセルクリニック 』にご相談ください。 再生医療は、弱ったり、傷ついたりする細胞を修復する力のある幹細胞の働きを利用して、自然治癒力で治療する医療技術です。 本来なら手術をしなければいけない状態でも、再生医療で治療できる可能性があります。手術による傷跡や後遺症の心配もないので、安心して治療を受けられます。 \クリックで電話できます/ メール相談 オンラインカウンセリング アキレス腱炎の3つの原因 ここでは、アキレス腱炎になる主な原因を3つ解説します。 激しい運動 アキレス腱の柔軟性の低下 フィットしない靴の着用 順番に見ていきましょう。 激しい運動 ダッシュやジャンプといった激しい運動は、アキレス腱に過度な負荷がかかるため、アキレス腱炎を引き起こす原因です。 足を酷使するような運動をした後は、炎症を抑える効果があるアイシングをしましょう。 筋肉 の柔軟性の低下 運動不足や加齢により筋肉 の柔軟性が低下いると、 アキレス腱炎になる傾向があります。 その理由は、筋肉が硬いままだとアキレス腱に負担がかかるためです。 とくに、柔軟性が低下している状態で急な運動をおこなうと、アキレス腱が炎症を起こすリスクを高めます。 唐突に運動を始める際は、ストレッチやウォーミングアップで筋肉をほぐしてから活動しましょう。 足に フィットしない靴の着用 足にフィットしない靴を 履くと、アキレス腱に負担がかかりアキレス腱炎の発症リスクを高めます。 靴の種類やブランドによってサイズ感が異なるので、購入前は必ず試し履きしてフィット感を確かめましょう。 靴専門店で、自分の靴のサイズを改めて測定してもらうのも良いでしょう。 ただし、靴専門店は病状について詳しい訳ではないため、医療専門店で診断を受けたほうが確実です。 下記の記事では、アキレス腱炎の予防につながる正しい靴の選び方と履き方を解説しています。靴選びの正しい知識を身につけたい方は、合わせてご覧ください。 アキレス腱の痛みへの対処に関するよくあるQ&A 1.アキレス腱炎のときにはどのようなサポーターを使えばいいですか? 回答:サポーターには様々な種類がありますが、アキレス腱専用のサポーターの使用がおすすめです。アキレス腱や踵を安定させることで、アキレス腱への負担の軽減や、足首の動きを制限することにより、痛みを抑える効果が期待できます。 2.マッサージはどのように行えばいいですか? 回答:アキレス腱炎に対しては、まずアキレス腱を十分に伸ばすストレッチを行いましょう。 痛みによって体重をかけてストレッチをすることができない時には、座った状態で痛い方の足を持って、ゆっくりと足関節を曲げたり反らしたりすることでアキレス腱をマッサージすることができます。 3.セルフケアや病院での治療をしてもなかなかよくなりません 回答:アキレス腱炎は大部分の方が数ヶ月で自然に改善しますが、中には痛みが続く場合もあります。適切な治療を4ヶ月以上行っても効果がない方では、手術治療が行われる場合があります。よくならない場合には注射や手術などの他の治療について病院に問い合わせるようにしましょう。 手術の方法はアキレス腱内部の変性した組織の除去や、腱周囲の癒着剥離、足底筋腱の切離など様々な方法があります。どのような治療を行っているか、事前に病院に確認しておくことがお勧めです。 「手術の傷跡が残るのが嫌だな…」「手術の後遺症のことを考えると不安…」という方には再生医療がおすすめです。人間の自然治癒力を活かした治療法なので、身体への負担が少ないです。 「具体的な治療内容や効果が知りたい!」という方は、再生医療を専門とする 『 リペアセルクリニック 』にご相談ください。症状を詳しく診断し、個々に合った再生医療の進め方をご提案いたします。 アキレス腱炎の痛みを感じたらまずはセルフケアで対処しよう! アキレス腱炎が悪化すると、痛みの増加やアキレス腱断裂など、症状が深刻になるケースがあります。重症化する前に、アキレス腱に痛みや違和感を感じた時点で、病院での受診をおすすめします。 アキレス腱炎の痛みがある場合は、病院での治療以外にも自宅でおこなう日々のケアも大切です。本記事で紹介した対処法を参考に、アキレス腱の痛み軽減を目指してみてください。 スポーツ外傷は⼿術しなくても治療できる時代です。
2023.05.04 -
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・「最近、なんだかアキレス腱が痛い」 ・「アキレス腱の痛みがなかなか治らない」 このように、アキレス腱周囲に痛みを感じ、それを不安に思う方はいるのではないでしょうか。その痛みは、もしかしたらアキレス腱炎かもしれません。 アキレス腱に炎症が起こることをアキレス腱炎といい、その多くは自然に軽快します。しかし痛みをほっとくと、場合によっては日常生活に大きな支障をきたす事態になりかねません。 この記事では、アキレス腱の周囲の痛みについての疑問にお答えします。アキレス腱炎の対処法を知ることで、適切な行動をとれるようになるでしょう。 アキレス腱炎をほっとくとどうなる? アキレス腱炎の適切な対応をせずに、そのまま放置すると、症状が長引いて回復が遅れる恐れがあります。それだけでなく、一時的に症状が改善しても再発して、痛みがズルズルと続く可能性もあるのです。 炎症が持続すると瘢痕化(結合組織の増殖)が起こり、足首の動かしにくさや力の入りにくさなどが現れます。 アキレス腱は、多くの動作で重要な役割をしています。そのため、結果的に立ち座りや歩行などのさまざまな動作に悪影響をおよぼすでしょう。 症状が長引いたり悪化したりすると、保存的な改善が望めず、場合によっては手術を受ける必要があります。 悪化する前に知っておきたい対処法 アキレス腱炎と思ったら、またはアキレス腱炎と診断されたら、まずは過度な負荷を避けて安静を優先しましょう。これを知っておくだけでも、アキレス腱炎の治り方に違いが出る可能性があります。 「足をくじいてしまった」「運動をした日から足が痛い」と思うことがあれば、無理に動かすことは避けましょう。 アキレス腱炎を発症した場合にやってはいけないことについては、以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方はぜひこちらの記事もご覧ください。 アキレス腱炎かなと思ったら病院に行くべき アキレス腱炎の多くは、保存的な治療によって軽快が期待できる疾患です。たまに痛い気がする、くらいであれば問題なく改善するケースが多いといえます。 しかし運動時に強い痛みがある場合は注意が必要です。 痛みに対する対応に迷った場合は、医療機関の受診をおすすめします。整骨院や接骨院よりも、まずは整形外科を選びましょう。 整形外科であればX線で骨折の程度、MRIやエコー検査で炎症・断裂などの有無を評価できます。痛みに応じて、鎮痛剤の処方や松葉杖の貸し出しもしてくれるでしょう。 そもそもアキレス腱炎とはどのような病気か アキレス腱炎への不安を解消するためには、まずはどのような疾患なのかを知ることが重要です。 筋肉は、腱という硬い組織をまたいで骨にくっついています。筋肉が働くことで骨が動き、関節運動が行えるのです。 アキレス腱は人体のなかでもっとも大きい腱の1つで、「下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)」には足首を下に向ける(底屈)働きがある筋肉がついています。下腿三頭筋は、以下のような動作で重要な役割を担っている筋肉です。 歩行 ダッシュ ジャンプ など アキレス腱炎とは名前のとおり、アキレス腱に炎症が起こることで発症する疾患です。また、アキレス腱の周囲に炎症がおよんでいる状態をアキレス腱周囲炎といい、それぞれ痛みの部位が異なります。 ただし、診断は区別されていても治療法はほとんど同じといえます。 アキレス腱炎の原因 アキレス腱炎の原因は、運動やスポーツなどによってアキレス腱に繰り返し負荷がかかることです。明らかな外傷で起こるわけではなく、長期間の微小なダメージが積み重なり、少しずつ症状が悪化します。 以下のようなケースの方は、アキレス腱炎になりやすいといわれています。 運動習慣のない人が急に強い運動を行った アキレス腱に強い負荷を繰り返しかけた 強い扁平足(足裏が平らな状態)がある 適切でない靴を履いている(サイズがあわない、靴底がすり減っているなど) アキレス腱炎の症状 アキレス腱炎のおもな症状は、ふくらはぎから踵にかけての運動時の痛みです。 とくにアキレス腱を圧迫すると痛みが増加し、腫れがみられることもあります。アキレス腱炎が重症になると、歩けないほど痛みが強くなることもあります。 アキレス腱炎の診断 アキレス腱の診断として重要なのが、筋肉の圧痛の有無です。そして超音波(エコー)検査やMRIで腱に損傷や炎症があるかを確認した上で、診断が確定されます。 ちなみに、どの検査も痛みや侵襲を伴うものではありません。 アキレス腱炎の治療 アキレス腱炎の発症時は、基本的に保存療法で経過をみます。保存療法とは、手術(小さなものも含む)を伴わない治療法で、以下のような内容があげられます。 安静 過度な負荷を避ける動作の学習消炎鎮痛剤の外用や内服 アキレス腱炎の多くは保存療法で改善できますが、症状が強い場合は手術が行われることも少なくありません。 明らかな受傷のタイミングがあるケースでは、アキレス腱以外の部位も損傷している可能性があるので注意が必要です。受傷直後の応急処置としては、POLICE処置を行うのが良いでしょう。 POLICE処置とは、以下の単語の頭文字を取ったものです。 アキレス腱炎の治療や原因については、以下の記事でも解説しています。さらに詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。 まとめ|アキレス腱炎をほっとくのはNG!長引く痛みは早めの受診を! この記事では、アキレス腱炎について解説しました。アキレス腱炎は適切な対応をすれば、多くは自然に軽快する疾患です。 しかし、何もせずに放置すると痛みが長引いたり、ふくらはぎに力が入りにくくなったりする恐れがあります。 少しの痛みであれば問題ないケースが多いですが、ひどい場合は日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。アキレス腱やふくらはぎの痛みが長引くのであれば、迷わず整形外科を受診してください。 「アキレス腱炎をほっとくこと」についてよくある質問 ここでは、アキレス腱炎に関する質問について、お答えします。アキレス腱炎の疑問を解消したい方は、ぜひ参考にしてみてください。 アキレス腱炎のセルフチェック方法はありますか? アキレス腱の部分に痛みを感じる場合は、アキレス腱炎の可能性があります。 ただし、別の疾患を発症している可能性もあるため、正確な診断をするには医師または専門医の診察が必要です。 アキレス腱炎の症状やセルフチェックの方法を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 アキレス腱炎は完全に治るのでしょうか? アキレス腱炎の大半は、治癒が期待できます。しかし、適切な治療を受けていない場合や重症化している場合は、痛みが長引いて慢性化する恐れがあります。 アキレス腱炎を治したい場合は、早期からの治療が重要です。 アキレス腱炎による痛みが出ている場合の対処法を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。 アキレス腱炎の湿布の貼り方はどうすれば良いですか? アキレス腱周囲の痛みや腫れがみられている場所を目安に、湿布を貼りましょう。アキレス腱の部分は動きやすいので、はがれにくいテープ型の湿布がおすすめです。 湿布を貼りっぱなしにすると湿疹やかぶれを引き起こすこともあるので、効き目が弱くなったらはがしてください。再度湿布を貼る際は、時間を空けてからにすると良いでしょう。
2023.05.02 -
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アキレス腱炎やってはいけないこと、予防についてご説明 アキレス腱炎になってしまった場合、過度な運動や無理な負荷をかけることは、症状を悪化させてしまう可能性があります。そのため、アキレス腱炎になった際には、避けるべき行動や注意点を把握し、適切な治療法を行うことが大切です。 この記事では、アキレス腱炎になった際にやってはいけないこと、予防のために重要なことについて詳しく解説します。 アキレス腱炎とは アキレス腱炎とは、ふくらはぎの筋肉と踵の骨を繋ぐ腱であるアキレス腱が炎症を起こし、痛みをだす病気です。 慢性的な負荷や急激な運動量の増加によって引き起こされることが多く、ランニングやジャンプ競技のアスリートに多い病気です。 アキレス腱炎で避けるべき行動や注意点 アキレス腱炎を避けるため、または症状の悪化を防ぐために以下の行動や注意点に気をつけましょう。 1.過度な運動を避ける 治療の原則として、まずは運動を中止して適切な期間の安静が必要です。 運動で避けて欲しいこと 突然の激しい運動を避ける: 急に激しい運動を始めるとアキレス腱に過剰な負担がかかります。運動の強度は徐々に上げるようにする。 同じ動作の繰り返しを避ける: ランニングやジャンプなど、アキレス腱に負担がかかる動作は、長時間続けないようにする。 一般的にアキレス腱炎になってしまった場合には2〜6週間の安静、スポーツ活動の休止が指示されます。その間の運動療法として「つま先立ち体操」という、下腿三頭筋の筋力訓練が改善に有効です。 このトレーニングでは痛みがあっても継続し、無痛となるまで実施することが推奨されています。ただし、動作に影響がでるほどの痛みの場合には中止するようにしましょう。その上で、運動の再開時期については症状に応じて決定されます。 アキレス腱炎を改善する【つま先立ち体操】 階段や台の縁に立ち踵を段の端から出した状態でゆっくりと上下させます。 膝を伸ばして行うのと、曲げて行う場合とで、使う筋肉が異なるので両方を試してみましょう。 10回1セットを1日2回で、少なくとも3ヶ月継続します。 2.不適切な靴の選択を避ける アキレス腱炎を引き起こす原因となったり、症状を悪化させてしまう可能性があるため、靴選びはとても重要です。 不適切な靴の使用を避ける: クッション性が不足している靴や、踵(かかと)が薄すぎる靴は避ける。運動に適した靴を選び、定期的に交換することが重要 サイズが合わない靴を避ける: サイズが合わない靴は、足全体に負担が掛かります。適切なサイズの靴を選ぶこと こんな靴、履いていませんか?下記のような靴は、足への負担が大きいので控えるようにしましょう。 不適切な靴選び 足に合わない靴 つま先が細い靴 ヒールの高い靴 靴底がすり減った古い靴 3.無理な自己治療を避ける アキレス腱部の痛みがあるときには、安易に自己治療を行わず、まずは病院を受診して診断を受けるようにしましょう。どのような病気でも言える事ですが、自己治療は、間違った治療により症状が悪化する可能性もありお勧めできません。 自己判断での治療を避ける: 痛みが続く場合は、自己判断せず、早めに医師の診断を受けることが大切。適切な治療を受ければ早期回復が可能 専門家の指導を受けない: アキレス腱炎は再発しやすい疾患。理学療法士や医師の指導を受け、適切なリハビリやトレーニングを行う 病気は放置することで、痛みが長引く可能性もあるので、早めに病院で治療を開始することをお勧めします。 4.無理な運動を避ける 痛みが続いている状態でスポーツを継続すると、改善しないだけではなく、アキレス腱の痛みをかばうことによって別の部位の障害を発症してしまう可能性もあります。 痛みを感じたら運動を避ける: 痛みを感じたらすぐに運動を中止し、適切な休息を取ることが重要。無理をすれば症状が悪化する 休息を取る: 十分な休息を取らないと、アキレス腱の回復が遅れ、症状が悪化しかねない。適度な休息が重要 アキレス腱炎の治療は、安静と、適切な運動療法を取り入れることが重要です。 アキレス腱炎の予防について 1.適度な運動の種類・方法 前述したような下腿三頭筋をストレッチしながら挙上させる【つま先立ち体操】は、アキレス腱炎の治療に有効です。 予防のためにも、運動前にはアキレス腱を十分にストレッチさせてからスポーツを行うようにし、つま先立ち体操で下腿三頭筋の筋力強化も行うようにしましょう。 2.予防のための靴選びについて 運動する際には、靴の選び方も重要です。 靴は、足にフィットし、クッション性があり、アキレス腱に負荷がかからないものを選ぶことが望ましいです。また、運動用の靴は、使用期間を守り、新しい靴に買い替えることが大切です。 また、アキレス腱への負担を減らすための予防に、インソールの着用も効果的です。最近では、足の形に合わせたオーダーメイドのインソールも出ているのでおすすめです。 靴選びで予防する 足にフィットするかどうか ⇨サイズ・幅・高さ クッション性があるかどうか ⇨足への衝撃を吸収してくれるもの アキレス腱に負荷がかからないか ⇨かかとが高すぎないか、安定しているか インソールの着用 3.日常生活での注意点とは アキレス腱は、日常生活でも負荷がかかることがあります。 たとえば、長時間の立ち仕事や、ハイヒールの着用は、アキレス腱に負担をかけることがあります。そのため、できるだけ座ったり、ヒールが低い靴を選んだりすることが予防につながります。 またアキレス腱の柔軟性の低下が発症につながるので、起床時や入浴後など十分にアキレス腱をストレッチするようにしましょう。 4.アキレス腱炎になった際にするべきこと まずは適切な診断をつけることが必要です。症状がでて改善しない時や、日常生活、スポーツをすることが困難なときには無理をせずに早めに病院を受診して、診断と今後の治療についてアドバイスを受けるようにしてください。 5.アキレス腱炎は早期発見・早期治療が重要 アキレス腱炎は大部分が保存治療で良くなりますが、痛みが長引き手術を受ける方もいらっしゃいます。 また、悪化を防ぐためにも、痛みが出た場合には、運動を控えることが必要です。自己判断や自己治療を行わず、早めに医師の診断を受け、適切な治療を行うようにしましょう アキレス腱炎についてよくあるQ&A 以下に、アキレス腱炎の治療でよく質問を受ける内容をまとめました。 Q. アキレス腱炎の治療にはどのようなものがありますか。 A. 安静や運動療法のほかに、局所注射療法、PRP(自己多血小板血漿)注入療法、手術治療などの方法があります。 PRP(自己多血小板血漿)注入療法は新しい治療法ですが、保険の適応が十分でないことや実施している施設も限られています。しかしながら最近ではアスリートが実施するなど、注目を浴びています。 治療を受けるかどうかは、担当の医師と十分に相談してから治療を選択するようにしましょう。 Q. アキレス腱炎に対する注射はどのような方法ですか。 A. 炎症を抑える目的で腱内部や周囲注射する方法があります。 注射する薬剤は局所麻酔薬、ヒアルロン酸、生理食塩水、ステロイド剤など様々です。ステロイドは炎症を抑える効果が強いのですが、腱の脆弱化や断裂を起こす可能性があるので、何度も注射することは勧められません。 Q. アキレス腱炎に対する手術はどのようなものがありますか。 A. 保存治療を少なくとも4ヶ月以上行っても効果がない方では、手術治療が行われる場合があります。 痛みが長引く方では、手術を実施している施設かどうか受診の前に事前に確認しておくと以降の治療がスムーズとなります。 まとめ・アキレス腱炎|やってはいけないこと、予防について アキレス腱炎になってしまった場合、無理な運動は症状が悪化してしまう可能性があります。そこで、この記事では、アキレス腱炎を防ぎ、症状の悪化を避けるための重要なポイントを解説しました。 まず、急激な運動の開始や同じ動作の繰り返しは避け、適度な運動と十分なストレッチを行うことが大切であること、適切な靴選びも重要であり、クッション性のある靴を選び、定期的に交換することをお勧めしました。 アキレス腱炎の症状が出た場合にやってはいけないこと!といて、無理な運動を避け、痛みを感じたらすぐに休息を取ること。痛みが続く場合は自己判断せず、早めに医師の診断を受け、専門家の指導の下で適切なリハビリやトレーニングを行いましょう。また、運動を再開する際は、アキレス腱に過度な負担がかからないよう慎重に行い、インソールやサポーターの使用を検討することも効果的です。 さらに、アキレス腱炎の予防には、日常生活での注意も欠かせないものです。長時間の立ち仕事やハイヒールの着用は避け、アキレス腱に負担をかけない生活を心がけましょう。起床時や入浴後には十分なストレッチを行い、柔軟性を保つことが予防に繋がります。 アキレス腱炎は早期発見と早期治療が肝心です。痛みが出た場合には、運動を控え、自己判断で治療せず、専門家の指導を仰ぐことが重要です。 適切な対処を行うことで、アキレス腱炎の症状を軽減し、早期回復を目指しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼アキレス腱炎について以下も参考にしていただけます アキレス腱炎の症状とは?セルフチェックの方法を解説!
2023.04.26 -
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この記事を読んでいるあなたは「アキレス腱炎かどうかセルフチェックしたい」と考えているのではないでしょうか。 病院に行くほどの痛みではなくても、放置していても問題ないか不安になるかもしれません。 結論、アキレス腱炎は「踵(かかと)を上げ下げする」、または「痛みや腫れがないか直接触る」ことでセルフチェックできます。 もしセルフチェックで痛みや違和感がある場合は、早めに整形外科に相談しましょう。 本記事ではアキレス腱炎をセルフチェックする方法や、病院で行う治療法を解説します。 記事を最後まで読めば、アキレス腱炎の疑いがあるかを適切な方法でチェックし、病院に行くべきか正しく判断できるでしょう。 アキレス腱炎をセルフチェックする方法 「なんとなくアキレス腱のあたりが痛むけど、まだ病院に行くほどではないかもしれない」と悩んだ場合は、以下2つの方法でセルフチェックをしてみましょう。 <セルフチェック(1)> 1. 立ち姿勢を取る 2. かかとを浮かせる動作を繰り返す 痛みがある場合は、アキレス腱に軽度の炎症がある可能性があるため、スポーツの中止や運動強度の調整を考えましょう。 <セルフチェック(2)> 1. 両手でアキレス腱を触り、痛みや腫れを確認する 2. 左右で比べてみる 腫れや熱感がある場合は炎症を起こしている可能性があるため、この場合もスポーツの中止や運動強度の調整を考えましょう。 「アキレス腱炎かなと思って放置していたら、アキレス腱断裂や踵骨骨折だった」といった場合もあります。これらのセルフチェックで当てはまる項目がある方は、まず整形外科の診察を受けて、正しく診断してもらうことが大切です。 アキレス腱炎は、運動を始めた際には痛みが強くありますが、我慢して運動を続けていると軽減する特徴があります。アキレス腱炎を我慢したまま運動を続けると、難治性になったり、アキレス腱の断裂につながったりするので、無理して続けないことが重要です。 アキレス腱炎とは「過度な負担によりアキレス腱に炎症が起こっている状態」 アキレス腱炎は、過剰な負荷によりアキレス腱に炎症が起こっている状態です。 アキレス腱炎になると、アキレス腱の痛みやふくらはぎのこわばりが生じ、起床後の最初の数歩が痛むのが特徴的です。また、炎症が進行するとアキレス腱の周囲が腫れたり、赤くなったりします。 アキレス腱炎の主な原因は運動や立ち仕事 アキレス腱炎の多くは、運動や立ち仕事が原因で起こります。とくにジャンプを繰り返すスポーツや陸上、剣道などを行う選手での発症が多いです。 ふくらはぎの筋肉下腿三頭筋はつま先立ちや、地面を蹴って歩くなど、足関節の底屈運動と呼ばれる動きに関与します。地面を蹴る動きが多いこれらのスポーツでは、この動きが多くアキレス腱に負荷がかかり続けます。 また、スポーツをしていない場合でも、加齢によるアキレス腱の変性や靴の不適合、偏平足、肥満などが原因で、アキレス腱炎になる方もいます。 急激な運動量の増加や、過度な負担が症状を悪化させることがあるため、痛みを感じたら安静にすることが大切です。 放っておくと日常動作に影響が出ることもある アキレス腱炎を放置すると、痛みが長引き、再発を繰り返す可能性があります。 足首の可動域が狭まり、立ち座りや歩行などの日常生活に支障をきたすことがあるため、違和感を覚えたら早めに医療機関を受診しましょう。 また、アキレス腱炎と思っていたら、アキレス腱断裂や踵骨骨折であったケースも考えられます。アキレス腱の痛みを放置するとどうなるのか、詳細は以下の記事でまとめていますのでぜひご覧ください。 アキレス腱炎の治療法 アキレス腱炎の治療法には、以下のような選択肢があります。 安静・アイシング・テーピング 薬物療法 手術療法・血管内療法 自分に合った治療を受けるためにも、整形外科の受診がおすすめです。 整形外科では、痛みの場所や性質、腫れなどを確認します。また、他の疾患と鑑別するために、エコー検査やMRI検査で、腱の状態や変性の程度などを確認するケースもあります。 アキレス腱炎の痛みに悩んでいる方は、医療機関で専門医に相談の上、適切な治療を受けましょう。 安静・アイシング・テーピング 治療の基本は安静です。運動や散歩などアキレス腱に負担がかかる動きは中止し、必要に応じてアイシング・テーピングが行われます。 テーピングを施すことでアキレス腱への負担が減り、足を動かした際の痛みをカバーできる可能性があります。 また、アイシングを行うことで一時的に腫れや痛みが和らぐ場合もあるため、炎症が強いと感じる場合は氷のうや保冷剤などを使ってアキレス腱炎を冷やしてみても良いでしょう。 薬物療法 薬物療法では、消炎鎮痛剤やステロイド注射を用いることもあります。 消炎鎮痛剤は、プロスタグランジンと呼ばれる痛みを増強させる物質を作らせないことで、痛みや炎症を鎮める薬です。 飲み薬を処方しても改善が見られない場合は、ステロイド注射も検討します。ただしステロイド注射は、アキレス腱を痛めて断裂しやすくするリスクがあるため、安易に使用するべきではありません。 消炎鎮痛剤も副作用があるため、医師の判断に従って適切に服用する必要があります。 手術療法・血管内療法 症状の改善がみられない場合は、手術やカテーテルを使った血管内療法を実施する場合もあります。 手術ではアキレス腱が変性した部分や滑液包(かつえきほう)、骨棘(こつきょく)の切除などが一般的です。 滑液包は、関節の周辺にある液体で満たされた袋で、筋肉や靭帯、腱などが骨とぶつかる衝撃を軽減する役割があります。アキレス腱とかかとの間にあり、過度な負荷がかかることで炎症を起こし腫れることがあるため、切除することがあります。 また、骨が変性してできたとげである「骨棘」がアキレス腱まで突き出ていると痛みにつながるため、切除されることが多いです。 さらに、アキレス腱炎は血管や神経の増加が痛みにつながるため、カテーテルを使って薬剤を注入し、炎症で増えた血管を減らす「血管内療法」を実施することもあります。 アキレス腱炎の予防法 アキレス腱炎を予防する方法として、以下3つが挙げられます。 アキレス腱を使い過ぎない アキレス腱への負担が少ない靴を選ぶ 普段からストレッチなどのセルフケアを行う アキレス腱炎は、治療だけでなく再発予防を考えることも非常に重要です。 単なるオーバーユースだけでなく、練習環境やシューズ、体幹筋力の低下による姿勢不良なども影響してくるため、足りない部分を補う筋力トレーニングやストレッチ、練習環境の見直しも必要です。 本章の内容を日常生活でも意識し、アキレス腱炎の再発を予防しましょう。 アキレス腱を使い過ぎない 運動や立ち仕事などで、アキレス腱に負荷をかけすぎる動作に注意しましょう。 負荷をかけすぎたと感じた場合は、練習量や質を下げたり十分な休憩を挟んだりして調整してください。 運動開始の際に痛みがあっても、続けているうちに痛みが軽減するため、追い込みすぎないように注意が必要です。 アキレス腱への負担が少ない靴を選ぶ 日常生活でアキレス腱炎を予防するなら、アキレス腱への負担を緩和できる靴を選びましょう。 踵(かかと)に厚みがある靴や、アキレス腱への負荷を緩和できる中敷きを入れた靴を選べば、かかとや足の裏にかかる力が分散されやすくなります。 アキレス腱の痛みが気になる場合は、運動靴や仕事靴の見直しから始めてみてください。 普段からストレッチなどのセルフケアを行う アキレス腱を伸ばすストレッチやマッサージを習慣にすれば、アキレス腱炎の予防につながります。 アキレス腱は血行が悪いカ所で、年齢を重ねると血流が減少します。また、運動不足や加齢による組織の変性で柔軟性が低下しやすい部位です。 アキレス腱の柔軟性が低下した状態で急に動かすと、アキレス腱炎や怪我を起こすリスクが高くなります。 普段からストレッチやマッサージなどセルフケアを行えば、アキレス腱周辺の柔軟性が良くなり、痛みや炎症の予防になるでしょう。 アキレス腱炎のセルフケアやマッサージの方法は、以下の記事も参考にしてください。 まとめ|アキレス腱炎のセルフチェックをして医療機関の受診を検討しよう アキレス腱炎をセルフチェックするには、立ち姿勢でかかとを上げ下げしたり、両手でアキレス腱を触って痛みや腫れを確認したりする方法があります。 もしセルフチェックで痛みや炎症を感じた場合は、決して無理に運動を続けず、整形外科で診察を受けることも視野に入れましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」ではアキレス腱炎の治療法の1つとして、幹細胞治療やPRP療法といった「再生医療」を行っています。 アキレス腱炎を繰り返している方や、手術以外の療法を探している方は、ぜひ一度当院へのメール相談もしくはオンラインカウンセリングをご検討いただければ幸いです。 この記事を読んだあなたが、アキレス腱炎のセルフチェックをし、病院に行くべきか正しく判断できたのなら嬉しく思います。 アキレス腱炎についてよくある質問 アキレス腱炎のような症状です。整形外科を受診する前に自分でできる応急処置はありますか? アキレス腱の痛みなどの症状が出た場合は、まず運動を中止し、安静にしてください。 また、氷嚢などを使用し、アキレス腱部を冷やすことも有効です。 包帯がある場合は、アキレス腱をふくめて足首を固定すると、痛みを軽減できる可能性があります。 アキレス腱炎で市販薬を使用しても良いですか? 市販の薬にも、鎮痛・抗炎症効果がある湿布や飲み薬があります。薬局で市販薬を購入する場合は、薬剤師に相談するのも良いでしょう。 ただし、薬の使用は症状の一時的な緩和ですので、薬を使用して痛みが引いたからといって、すぐに運動を再開するのは避けてください。 また、病院を受診している場合は、適切な処方のために市販薬を使用していることを医師に伝えてください。 再発予防のためのストレッチはどのようなものがありますか? ふくらはぎをのばすストレッチが良いといわれています。 階段や段差などに片足のつま先だけかけて、ゆっくりと踵を下ろしながらアキレス腱を伸ばします。最初は無理のない範囲で行いましょう。 座った状態で、つま先にタオルをかけて引っ張るようにしながら、伸ばしていく方法も効果的です。 運動前や運動後にこれらのストレッチを行うことで、ふくらはぎの筋肉の柔軟性が高まり、アキレス腱の緊張が軽減されます。 No.127 監修:医師 坂本貞範
2023.04.24 -
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アキレス腱はふくらはぎの筋肉からかかとの骨につながる腱であり、歩行やランニングにおいて重要な役割を果たしています。 アキレス腱周囲の痛みを起こす病気として、アキレス腱自体に痛みの原因がある「アキレス腱炎」と、腱がかかとの骨に付着する部分に痛みの原因がある「アキレス腱付着部症」があります。どちらも慢性的な負荷や急激な運動量の増加によって引き起こされることが多く、ランニングやジャンプ競技を行うスポーツ愛好家に多く見られますが、どこにどんな痛みがでるのでしょうか。 この記事では、アキレス腱炎の原因や症状や治療方法と対策について詳しく解説していきますので参考にしてみてください。 アキレス腱炎の症状【押すと痛い】 アキレス腱炎の主な症状は、腱部を押すことで生じる痛みです。安静時の痛みはないことが多く、運動時の痛みや、腫れがみられる疾患です。 痛みの部位はアキレス腱がかかと踵の骨に付着している部分から頭側2~6cmがほとんどで、足関節を反らした際に腱が伸びることで痛みが増幅します。 アキレス腱炎の原因 アキレス腱炎の主な原因はスポーツに関連したものが多いです。例えば、自転車などでのオーバーユース(使いすぎ)や、不適切なランニングフォームで行ったランニングなどがあります。誤ったトレーニングによる負担の増加が主な原因です。 また、肉体労働による繰り返し作業で発症する可能性もあります。 上記に当てはまらず原因に心当たりがない場合は、別の病気あるいは合併症の可能性も考えられるため早めの受診が大切です。 アキレス腱炎の診断方法 アキレス腱炎を疑う場合は整形外科を受診しましょう。痛みの部位や症状、発症原因からある程度の診断は可能ですが、補助的に画像検査を行うことがあります。 レントゲン・エコー・MRIによる診断 レントゲン写真ではアキレス腱の内部に石灰化を認めることがあり、エコーではアキレス腱の肥厚と腱周囲の血流の増加を確認できる場合があります。 またMRIが診断に有用であり、アキレス腱の肥厚や、腱の炎症を反映して腱の内部や周囲の異常信号をしめす場合があります。 アキレス腱炎の治療と期間について 初期の治療は基本的に保存治療が行われ、症状が改善しない場合には手術を行うケースもあります。 この項目では、保存療法及び手術療法の内容・期間について詳細に解説します。 保存療法の場合 軽症の場合は全治3ヶ月程度かかります。 治療は整形外科で行うことが多く、以下の療法を用います。 局所安静 アイシング 鎮痛薬の服用や局所への注射 理学療法士によるリハビリ ストレッチングの指導・マッサージなど 局所の安静についてですが、痛みが強い場合には炎症度が高いため、松葉杖を使用するなどして痛い方の足を無理に使わない行動をします。 局所への注射は、アキレス腱と周囲の組織の癒着を剥離する筋膜リリースや炎症を抑えるステロイドの投与などが行われます。 また整骨院の通院についてもおこなっていただいて構いません。整骨院では電気治療や超音波治療・低周波治療器での治療・温める温熱療法などを行う場合があり、医師の指導のもと治療を受けるようにしてください。 手術療法の場合 保存治療をおこなっても6ヶ月以上痛みが続いて効果が実感できない場合など、保存療法での完治が難しい場合には手術治療の方法もあります。 手術では皮膚を切開して、炎症を起こしている腱の周囲の組織を部分的に切除します。さらに腱自体に異常がある場合には腱の部分切除を行い、腱の切除部分が多くなった場合には他の部位から腱を移植します。 病気の重症度によって治療内容が異なるため、治療費もさまざまです。詳しい治療費の見込みについては担当医師に確認してください。 押すと痛いアキレス腱炎の緩和方法 安静 痛み発症後2〜6週間程度の安静処置 ストレッチ 足関節を反らしてアキレス腱を伸ばす 運動療法 かかとを上げる動作によって筋力を強くする サポーター・インソールの使用 足関節が反りすぎないように制限・アキレス腱への負担を減らす お薬の使用 安静処置と並行して行い痛みを緩和させる 整体・整骨院などでの治療 マッサージやツボを刺激して痛みを軽減させる 押すと痛いアキレス腱炎の主な緩和方法は上記のとおりです。 具体的な内容は以下の関連記事で紹介しているので確認いただき、現在の症状状況にあわせて実施してみましょう。 アキレス腱炎についてよくある質問 この項目では、アキレス腱炎に関するよくある質問を紹介します。 アキレス腱炎で痛くなる場所はどこ? アキレス腱がかかとの骨に付着している部分から中枢側で腱自体に痛みがある病気を「アキレス腱炎(別名:アキレス腱周囲炎)」と言います。 アキレス腱とかかとの骨の境界部分の痛みは「アキレス腱付着部症」といい、治療方法が多少変わってきます。 アキレス腱炎に対する注射は効果がある? 炎症を抑える目的で腱内部や周囲にステロイドを注射する方法があります。しかし、腱の脆弱化や断裂を起こす可能性があるので複数回の注射は勧められません。 また、腱の周囲を剥離する目的でヒアルロン酸や生理食塩水などの注射を行う場合もあります。 しかし、病気の状態によってはご本人に適していないケースや、そもそも注射処置を行なっていない施設もあるので事前の確認が望ましいです。 アキレス腱炎に効果的なストレッチはなに? 下腿三頭筋や太ももの裏にあるハムストリングのストレッチは、治療・再発の予防に効果的です。 下腿三頭筋のストレッチは階段や足台などの段差があるところに痛い方の足の先をかけ、かかとをゆっくりと降ろしていきます。我慢できる程度の痛みの範囲で10〜15秒ほど伸ばすのを3回行い、これを朝・夕の1日2回実施してみてください。 夜にストレッチを実施する場合は、入浴後のなど身体が温まっている状態で行うのが効果的です。 まとめ|アキレス腱を押すと痛くなる前に適切なケアを心がけよう アキレス腱部の痛みはアキレス腱炎のほかに、アキレス腱付着部症と呼ばれるいう病気があります。どちらもオーバーユースや急な運動によって起こります。 また、アキレス腱炎を防ぐためにも適切な靴の選択・正しいフォームの維持・無理のない運動計画・そして運動前後のストレッチが重要です。痛みや異常を感じた場合は、早期に整形外科を受診し、専門的な診断と治療を受けましょう。 ▼以下、セルフケアについて記しています。 アキレス腱炎のつらい痛みの治し方!自宅でできるセルフケアのポイントとは?
2023.04.21 -
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脳梗塞にはどんな合併症があるのだろう? 合併症が起きたらどうなるのかな。 この記事を読んでいるあなたは、脳梗塞にはどのような合併症が起こるのか、不安に思っているのではないでしょうか。「どのように治療されるか知りたい」と思っているかもしれません。 結論、脳梗塞には代表的な5つの合併症があります。各合併症は原因や症状が異なり、完全に防ぐのは困難です。 本記事では、脳梗塞の合併症について、種類や治療法、予防法を解説します。記事を最後まで読めば、脳梗塞の合併症についての基本的な内容がわかり、看護・介護にも役立つでしょう。 脳梗塞の代表的な5つの合併症 脳梗塞には、以下5つの合併症があります。 【発熱して熱が続く】体温調節障害 誤嚥性肺炎 脳や消化管からの出血 血管性認知症 サルコペニア 本章の内容をもとに、合併症の症状・概要を理解しておきましょう。 【発熱して熱が続く】体温調節障害 脳梗塞の合併症として、発熱が続く体温調節障害が起こることがあります。 体温は脳の中枢で管理されており、脳が障害を受けると体温調節中枢も障害され、発熱することがあるのです。 なお、重度の脳卒中の場合、発症から数時間後に大幅に体温が上昇するケースもあります。(文献1) 誤嚥性肺炎 誤嚥性肺炎とは、自分のつばや痰、食べ物などが、食べ物の通り道「食道」に入らずに、呼吸をつかさどる「気管」に入るために起こります。食べ物が気管に入ったときに細菌をいっしょに吸い込むことで、肺炎となるのです。(文献2) 誤嚥性肺炎は、脳梗塞の影響で飲み込み機能が落ちている方や、意識障害が起きている方によくみられます。 代表的な症状は、以下のとおりです。 発熱 咳 膿のような痰 しかし、「なんとなく元気がない」「食欲がない」など、呼吸に関係のないあいまいな症状のみが出るケースも珍しくありません。 脳や消化管からの出血 脳梗塞を起こした人は、再発を防ぐために「血液をサラサラにして詰まりにくくする薬」を服用するケースが多くあります。 しかし、血液をサラサラにする薬には、血管が詰まりにくくなる効果がある一方、脳や消化管(胃や腸)の出血が起こりやすくなる副作用もあります。 脳や消化管からの出血による健康上の不安点は、以下のとおりです。(文献3) 脳出血:麻痺の悪化や死亡のリスクがある 消化管出血:貧血によって全身状態が悪化するリスクがある 副作用はあるものの、血液をサラサラにする薬は脳梗塞の再発予防に欠かせない薬です。 医師・看護師・薬剤師による薬の説明をよく聞き、注意点を守ることが大切です。 血管性認知症 脳梗塞によって、「血管性認知症」という記憶の乱れや運動麻痺などの認知症があらわれるケースがあります。血管性認知症は、認知症の中でアルツハイマー型認知症に次いで2番目に多い病気で、おもな症状は以下のとおりです。(文献4) 認知症:実行機能障害や注意障害 非均一な高次機能障害:俗にいう「まだら認知症」 局所脳機能障害:運動麻痺、構音・嚥下障害、脳血管性パーキソニズム どのような症状が出るかは、脳梗塞によって機能が低下した脳の部位や、機能障害の程度によって異なります。 サルコペニア サルコペニアとは、全身の筋肉量が減り、筋力が低下する状態です。筋肉が落ちると寝たきりになりやすく、死亡リスクも高くなることがわかっています。(文献5) 脳卒中を発症して2週間たった状態では、45.5%の人がサルコペニアになっていたという報告もあるのです。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞を含む脳卒中に対する再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。また、治療と並行して理学療法士、柔道整復師、鍼灸師などを含むチーム体制によるリハビリテーションも可能です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けています。どうぞ気軽にお問い合わせください。 脳梗塞の合併症が起こる原因は症状によって異なる 脳梗塞の合併症が起こる原因は、以下のとおりです。(文献6) 合併症の種類 原因 体温調節障害 視床下部の損傷 脳血流の病理学的変化 代謝異常 神経性炎症反応 誤嚥性肺炎 細菌感染(肺炎球菌・口の中の常在菌) 脳や消化管からの出血 血液をサラサラにする薬の効きすぎ 血管性認知症 脳梗塞による脳細胞のダメージ サルコペニア 寝たきりによる筋肉量の低下 それぞれの合併症は起こる原因が異なり、完全な予防は難しいのが現実です。 脳梗塞の合併症が起こったときの対処法 脳梗塞の合併症が起こったときのおもな対処法は、以下のとおりです。(文献2)(文献4)(文献7) 合併症の種類 対処法 体温調節障害 通常は解熱鎮痛薬で対処的に治療 誤嚥性肺炎 基本的には抗菌薬の投与をおこなう 場合によっては酸素を投与する 口腔ケアの徹底や飲み込む力を高めるリハビリにより、予防に努める 脳や消化管からの出血 血液をサラサラにする薬を一時的に中止する 血液製剤や血小板輸血等の投与を考慮する 脳内出血の場合は血圧を下げる出血を止める薬を投与する 血管性認知症 血圧コントロールや生活習慣の適正化による脳梗塞の再発予防が重要とされる 脳の循環をよくする薬を投与するケースもある 身体機能の低下を防ぐリハビリをおこなう サルコペニア リハビリをはじめとする運動療法をおこなう アミノ酸の摂取を増やす栄養療法をおこなう サルコペニアを防ぐために、早めからのリハビリをおこなう 脳梗塞の発症後は、合併症ができるだけ起こらないよう、薬の量や体調変化を慎重に観察しながら治療をおこないます。どの合併症も早めの対応が重要なため、気になる症状がある場合はすみやかに受診しましょう。 脳梗塞後のリハビリについては、以下の記事も参考にしてください。 まとめ|脳梗塞の合併症がみられたらすぐに受診しよう 脳梗塞は、「体温調節障害」「誤嚥性肺炎」「脳や消化管からの出血」「血管性認知症」「サルコペニア」などの合併症リスクがあります。 合併症を完全に防ぐのは困難なため、気になる症状がみられたらすぐに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、脳梗塞をはじめとする脳卒中に対して再生医療(幹細胞)をおこなっています。再生医療は、脳梗塞後の後遺症が改善する、リハビリ効果を高める、再発予防になるなどの効果が期待される治療法です。 再生医療へのご質問・ご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。気になる点がありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳梗塞の合併症についてよくある質問 脳梗塞になりやすい人の特徴は何? 脳梗塞の危険因子として「生活習慣病」が挙げられます。 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満などがリスクとなるため、健診で異常を指摘されている方は早めに治療を受けるようにしましょう。 脳梗塞になりやすい人については、以下の記事で詳しく説明しています。 脳梗塞の前兆にあたる症状は? 脳梗塞の前兆とは「急に手足や顔の麻痺やしびれが出る」「言葉が出てこない」などです。 これらの症状は時間が経つと改善するケースもありますが、「一過性脳虚血発作」といわれる脳梗塞の前兆の可能性があります。原因は、動脈硬化や心臓の病気などにより一時的に脳の血流が悪くなることです。 脳梗塞になる危険性があるため、一過性脳虚血発作がみられたらすぐに受診しましょう。 脳梗塞の前兆については、以下の記事も参考にしてください。 脳梗塞の合併症を予防する方法は? 現代の医学でも、合併症の完全な予防は困難です。合併症のリスクを下げるために、医師、看護師の指示を守り、適切な治療を受けましょう。 また、胃潰瘍の既往がある方は、胃酸の分泌を抑えるお薬を服用して消化管出血のリスクを下げる場合もあります。 参考文献一覧 文献1 Boysen G, Christensen H. Stroke severity determines body temperature in acute stroke. Stroke. 2001 Feb;32(2):413-7. doi: 10.1161/01.str.32.2.413. PMID: 11157175. 文献2 誤嚥性肺炎|日本呼吸器学会 文献3 重篤副作用疾患別対応マニュアル|出血傾向 文献4 猪原 匡史,血管性認知症,日本内科学会雑誌109:1519~1525,2020 文献5 田中 勝人,田中 健太,巨瀬 拓也,高橋 雅幸,釜﨑大志郎,大田尾 浩,急性期脳卒中患者のサルコペニアの有病率と特性,理学療法さが・第7巻第1号・21~27,2021年2 月 文献6 Gowda R, Jaffa M, Badjatia N. Thermoregulation in brain injury. Handb Clin Neurol. 2018;157:789-797. doi: 10.1016/B978-0-444-64074-1.00049-5. PMID: 30459041. 文献7 サルコペニア診療ガイドライン2017年度版|日本サルコペニア・フレイル学会
2023.04.19 -
- 脳卒中
- 頭部
- 頭部、その他疾患
・押すと痛い頭にコブができて困っている ・押すと痛い頭のできもの(こぶ)の原因を特定したい ・押すと痛い頭のできもの(こぶ)を早く治したい 上記のようなお悩みを抱えている方の一助となるべく、本記事では「押すと痛い頭のできもの」について解説します。 痛みが生じる頭のできもの(こぶ)で考えられる疾患から、受診の目安や受診先の提案まで詳細に紹介しているので参考に確認いただきつつ、早急に問題を解決したい方は当クリニックにご相談ください。 押すと痛い頭のできもの(こぶ)は何?考えられる疾患を紹介 シャンプーで頭皮に触れたときや髪をかきあげたときなど、ふとしたタイミングで頭に「こぶ」ができていることに気づいた経験はありますか? 放置により自然治癒した場合は問題ありませんが、押したり触れたりすることで痛みが生じる場合は不安ですよね。 そこでこの項目では、押すと痛い頭のできものの原因やこぶの種類について紹介します。 頭にできる「こぶ」の種類 まずは頭にできるこぶの種類を把握しておきましょう。 頭のこぶは大きく、皮下血腫・感染症・皮膚炎・腫瘍に分類されます。各こぶの症状や特徴を順番に見ていきましょう。 皮下血腫(たんこぶ) 皮下血腫はいわゆる「たんこぶ」のことです。頭をぶつけた際に、皮膚の近くの血管が切れてしまい、血溜まりを作ってしまった状態です。 皮下血腫自体は特に治療をせずに治ることが多いですが、頭を打撲して嘔吐したり、意識が低下したり、打撲した前後のことを覚えていなかったりする場合にはすぐに受診をするようにしましょう。 感染(ニキビ) ニキビは皮脂が毛穴を閉塞し、アクネ菌が増殖することで炎症を起こします。ニキビといえば顔のイメージがありますが、頭皮にも起こることはあります。 肌荒れを含むニキビの発生要因は免疫力が関わっているケースがあることから、何度も繰り返し継続的にニキビができてしまう状態はあまりよろしくありません。 また、毛包炎・毛嚢炎は毛穴に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの皮膚常在菌が感染することで炎症を起こす疾患です。どちらも菌により炎症が起こるので、押すと痛い、赤く腫れることがあるのが特徴です。 ▼免疫については下記をご確認ください 皮膚炎 頭皮がシャンプーや整髪料、髪染めなどに反応してしまい、炎症を起こす接触性皮膚炎もこぶ・できものの原因になります。ただれ、水ぶくれが多く、大きなしこりはあまり起こりません。原因となるものを使用しないことが重要です。 腫瘍 腫瘍には良性のものと悪性のものがあります。医療機関でのご相談をお勧めします。 良性の腫瘍(粉瘤・脂肪腫) 良性の腫瘍には「粉瘤(ふんりゅう)」があります。粉瘤は、毛穴の一部に皮脂などが溜まって、袋状となった良性の腫瘍です。柔らかいしこりとして触れ、痛みはあまりありません。 内部で細菌が増殖して炎症を起こしてしまうと、痛くなったり膿が出たりすることがあります。脂肪腫も良性の腫瘍です。同じく、柔らかいしこりとして触れます。 悪性の腫瘍 頭皮にできる悪性腫瘍には、「有棘細胞癌」や「悪性黒色腫」があります。触るとごつごつしたり、硬いという特徴があります。また、潰瘍となって液体が出てきたり、血がでたりすることもあります。 一般に良性のものでは大きさは変わらずに経過することが多いです。しかし、小さな「イボ」として感じていたものがどんどん大きくなっている、血が出ているなどは悪性を疑う情報となります。 「こぶ」と脳卒中の関係は? 頭は外面から、皮膚・骨膜・頭蓋骨・硬膜・くも膜・軟膜・脳とたくさんの層構造になっています。 頭蓋骨という非常に硬いもので分け隔てられているので、皮膚のできものと脳卒中に直接的な関係はありません。イボやこぶとして触れる病気は、主に頭の皮膚に起こることが多いです。 逆に脳卒中になっても、頭皮にこぶができることもありません。くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤も、皮膚の上から触れるものはありません。脳卒中が考えられる症状は、突然起こることが特徴です。 脳の発症部位によりその症状は様々ですが、代表的な脳卒中の症状は、以下のようなものです。 【注意!】頭の「こぶ」で受診したほうが良いケース こぶや、しこりが赤く腫れて痛い場合、膿が出てくる場合は感染症の可能性があります。切開や抗菌薬を投与したほうが速やかに治る可能性があるため、数日待っても良くならない場合は受診をおすすめします。 こぶやしこりが大きくなっていたり、数が増えたりする場合は悪性腫瘍を考えなければなりません。早めの受診をしましょう。 また、頭をぶつけた際にできたこぶが、どんどん大きくなっている、意識の状態が悪くなっている、話しづらさや手足の動きづらさが出てきたりするなどの場合は、早急に受診をするようにしましょう。 頭の「こぶ」についてよくある質問 頭にできるコブについて患者様から、よく頂く質問から抜粋して記載します。 小さな時からある頭の「こぶ」は、どうしたらよいですか? 幼少期から長期間ある場合は、重篤な病気である可能性はそこまで高くはないでしょう。見た目として気になる場合、赤みや痛みなど新しい症状がでた場合、大きくなる場合は受診するようにしましょう。 頭の「こぶ」は何科を受診したら良いですか? 皮膚科は形成外科を受診するのが良いでしょう。 頭のこぶやしこりが気になるのなら、皮膚科もしくは形成外科を受診しましょう。頭をひどくぶつけて、皮下血腫(たんこぶ)ができた際には、脳外科を受診するのが良いでしょう。 受診する際は、いつ頃からできているか、できものに心当たりはあるか、痛みはどうか、他に症状がないかを言えるようにすると、正確な診断に繋がりやすいです。 頭の「こぶ」に痒みがある場合どうしたら良いですか? まずは頭を清潔にしましょう。シャンプーや整髪料を変えたなどがあれば、一時的に使わずに様子を見るのがおすすめです。 かゆみがひどくて掻きむしってしまう場合は、皮膚科などを受診するとよいでしょう。 まとめ|頭のできもの(こぶ)に少しでも異常を感じたら早急に受診をしよう! 頭の「こぶ」は自分では見えない部分なのでより不安にも感じやすいと思います。 「こぶ」の原因は、皮下血腫、感染症、皮膚炎、腫瘍などさまざまな原因が考えられます。一般的には良性のものが多いのですが、痛みや腫れがひどい場合や、悪性腫瘍が疑われる場合は、早めの受診をお考え下さい。 尚、頭皮の「こぶ」と脳卒中との関係はありませんし、頭のこぶが脳卒中の前兆というわけでもありません。脳卒中の症状は突然起こることが特徴的であり、言葉が出づらい、手足の動きが鈍くなるなどの症状があります。 頭に「こぶ」ができた際は、症状や変化に注意し、必要に応じて早めに医師の診断を受けることが重要です。 特に痛みや膿がある場合、大きくなっている場合、数が増えている場合は、感染症や悪性腫瘍の可能性があるので、お近くの皮膚科や形成外科、脳外科など、早急に受診をしたほうが良いでしょう。 この記事がご参考になれば幸いです。
2023.04.17 -
- 足部、その他疾患
- 足部
ストップ&ダッシュが多いスポーツや、ハイヒールで不安定な場所を歩くときなど、捻挫をする場面はさまざまです。 ひどい捻挫だと歩くのも困難で、日常生活に支障をきたすこともあるため「早く治したい」と考える方も多いかもしれません。 結論からいえば、捻挫を早く治すためにはPOLICEと呼ばれる応急処置を行い、早めに医療機関を受診することが大切です。 また、トレーニングで適度に負荷をかけるのも効果的ですが、痛みがあるときは無理をしないようにしましょう。 本記事では捻挫を早く治すための応急処置やトレーニング方法をまとめました。 捻挫を繰り返している人や現在捻挫でお困りの人は、ぜひ最後までチェックしてください。 【結論】捻挫を早く治すためにはPOLICEを実践!正しい応急処置をご紹介 結論からいえば、捻挫をしたときにはPOLICEの概念での応急処置が有効です。 捻挫とは軟骨や関節包(かんせつほう)・靭帯が損傷している状態で、骨折や脱臼以外の関節のケガを指します。 この捻挫に対して有効と考えられている応急処置がPOLICEです。POLICEは6つの処置の頭文字を取った造語であり、スポーツ現場などで積極的におこなわれています。これからこのPOLICEについて詳しく解説しますので、ぜひチェックしてください。 なお、捻挫に関しては以下の記事でも詳しく対処方法をご紹介しています。気になる人はぜひこちらも合わせてご覧ください。 POLICEとは「捻挫などのケガに用いられる応急処置」 捻挫を早く治すには、まずは応急処置と適切な診断が必要です。 捻挫が起きた際の応急処置として「POLICE処置」が良いとされています。 Protection(保護) Optimal Loading(適切な負荷) Ice(冷却) Compression(圧迫) Elevation(挙上) 以前は「RICE(Rest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)処置」が一般的でしたが、近年ではPOLICE処置に置き換わりつつあります。 POLICE処置の具体的な方法 それぞれの具体的な方法は以下のとおりです。 Protection(保護) 装具やシーネ、三角巾、サポーターなどで受傷部位を保護します Optimal Loading(適切な負荷) 痛みのない程度で、無理なく動かします Ice(冷却) 氷嚢や氷を入れた袋などで冷やします Compression(圧迫) 受傷部位の腫れや内出血の増悪を予防するために、テーピングや包帯などで圧迫をします Elevation(挙上) 腫れを防ぐ、軽減するために、心臓よりも上に受傷部位を置きましょう 注意点として、適切な負荷をかけるときには無理は禁物です。負荷量については医師や理学療法士など専門家の判断が必要であるため、早めの受診をおすすめします。 また、冷却するときには氷嚢や袋に入れた氷で冷やすようにしてください。湿布などでは表面が冷える程度で関節の中まで冷やす効果がないため、注意しましょう。 現在は冷やさない応急処置「PEACE&LOVE」も実践されている 実は現在、スポーツ現場を中心に「PEACE&LOVE」という応急処置も実践されています。受傷直後にアイシングを実施するPOLICEと異なり、PEACE&LOVEでは患部へのアイシングを実施しません。また、薬もできるだけ使わず、少しずつ負荷をかけていくという考え方です。 POLICEと同じように、PEACE&LOVEも9つの処置の頭文字をとっています。 Protection 保護 Elevation 挙上 Avoid anti-inflammatories 抗炎症薬を避ける Compression 圧迫 Education 教育 Load 負荷 Optimism 楽観的思考 Vascularisation 血流を増やす Exercise 運動 このように、POLICEと同じ処置も含まれますが抗炎症薬を避けたり患者教育をしたりする点で異なります。 「PEACE&LOVE」のやり方 具体的なPEACE&LOVEのやり方は、以下の表をご参照ください。 Protection(保護) サポーターやテーピングで関節を固定します。 Elevation(挙上) 心臓より高い位置に足を上げ、浮腫や腫れを予防します Avoid anti-inflammatories(抗炎症薬を避ける) 痛みが強くても、痛み止めを過剰に使用しないようにしましょう Compression(圧迫) テーピングや包帯などで患部を圧迫して過剰な腫れを予防します Education(教育) 薬や医療従事者に頼った受け身な姿勢を避け、患者さん自ら治していく意識を促します Load(負荷) 松葉杖などの過剰な保護を可能な限り避け、徐々に患部への負荷を高める Optimism(楽観的思考) 前向きな気持ちで痛みの慢性化を予防します Vascularisation(血流を増やす) 栄養を運んで組織の回復を早めるために血流を促します Exercise(運動) 運動で筋力・可動域・バランスの回復を図ります PEACE&LOVEでは患部を冷やしません。患部を冷やすことで血流が悪くなり、組織の修復が遅れると考えられたためです。 また、可能な限り早く負荷をかけていくために患者教育をおこなう点も新しい考え方といえるでしょう。 患者教育をおこなうことで適切な負荷量を与え、薬や医療従事者に頼らず前向きな治療を促していきます。 捻挫では負荷量を増やした方が治りが早いと考えられているため、患者さんが自ら治療に取り組む姿勢が大切です。 「POLICE」と「PEACE&LOVE」は痛みの強さで使い分けよう POLICEとPEACE&LOVEはどちらも優劣があるわけではなく、痛みの強さで使い分けることが重要です。1番の違いは冷やすかどうかですが、患部を冷やすことに関して賛否が分かれています。 2021年神戸大学の研究によると、「重度の筋損傷に対してアイシングを施行すると、筋肉の回復が遅れると示唆される結果」となりました。(文献1) しかし、2023年に神戸大学でおこなわれた研究では、「軽度の筋損傷であれば回復が早まる可能性が示唆された」ため、逆の結果となったのです(文献2)。 ポイントは筋肉の損傷具合ですが、損傷具合の判断は詳しい検査をしなければわかりません。しかし、アイシングには痛みを軽減させる効果があることがわかっています。 そのため、痛みが強い場合にはアイシングをするPOLICEを、痛みが大きくなければ負荷をかけていくPEACE&LOVEを実施していくことをおすすめします。 とはいえ自分での判断が難しい場合もあるでしょう。そんな時は当院リペアクリニックのオンライン相談をご利用ください。メールでの相談もしくはオンラインカウンセリングが可能なので、気になる人はお気軽にご利用いただけますと幸いです。 \まずは当院にお問い合わせください/ 捻挫を早く治すためには病院の受診がおすすめ 結論からいえば、捻挫を早く治すためには病院の受診がおすすめです。病院であれば捻挫の重症度からアイシングをするべきかどうかや、適切な負荷量のアドバイスがもらえるなど適切な処置が可能です。 以下の記事で病院にいくべき基準を紹介しているため、ぜひ目を通してください。 捻挫を早く治すために自宅でできるトレーニング3選 捻挫を早く治すためには、自宅でのトレーニングも重要なのでぜひ実践してください。とくに重要なトレーニングを3つご紹介します。 なお、捻挫をして歩けるけど痛い場合の対処方法は以下の記事でも詳しく解説していますので、こちらもぜひご覧ください。 足の指の運動 1.タオルを用意して、タオルの上に足を乗せる 2.指でタオルを握り、タオルを手繰り寄せる 3.手繰り寄せたら元に戻し、10回繰り返す ポイントは足の指を大きく動かすことです。また、手繰り寄せるときにつま先が浮いてしまう人が多いため、足の裏全体がタオルから離れないように注意してください。 1セット10回を1日3〜5セットを目安の実施がおすすめです。 軽く体重を乗せる運動 1.肩幅に足を開いて立つ 2.右足にゆっくりと体重を乗せていく 3.胸の中心が右足の上まできたら、左足に体重を乗せていく 4.左右の足へ体重を繰り返し10往復ほど乗せていく ポイントは両肩を水平に保ったまま体重移動をしていくことです。水平に保ったままの体重移動であれば足に過剰な負担がかかりにくくなります。 また、もし痛みがあるようであれば座った状態で足に体重を乗せる方法でもかまいません。足に体重を乗せられるようになれば捻挫も早く治りやすいので、ぜひためしてみてください。 1セット10往復、1日3セット程度を目安に実施すると良いですが、痛みが出るようであれば無理しないようにしましょう。 足首を反らす運動 1.足裏全体が床につくように椅子に座る 2.足首を反らし、つま先を床から浮かす ポイントは指を反らすのでなく、足首全体を動かすことです。足首の力が弱い人は指の力に頼ってしまうので、指を動かしすぎないように注意してください。 また、足首がまっすぐでなく横にねじれながら動く人もいます。まっすぐ反らすことを意識して動かすと、捻挫に対してより効果的です。 1セット10回、1日3〜5回程度を目安の実施がおすすめです。 まとめ|捻挫を早く治すためにはPOLICEの実践!早めの受診も大切 捻挫を早く治すためには適切な応急処置が大切です。応急処置にはPOLICEの考え方を中心に、捻挫した足首に負担がかからないように注意してください。 また、負担を避けるだけでなく適切な負荷をかけていくことも大切です。もし動かせるようであれば、本記事でご紹介したトレーニングを中心にゆっくりと動かしてみましょう。 とはいえどの程度動かして良いかわからない人も多いですよね。そんなときには無理をせず、早めに整形外科を受診してください。病院を受診すればどの程度動かして良いか、適切なアドバイスをもらえるでしょう。 ちなみに当院リペアセルクリニックは、捻挫に対しても再生医療をおこなっています。手術をすることなく治りにくい人体の修復が可能で、身体への負担も少ないおすすめの治療方法です。少しでも気になるという人は、メールでの相談もしくはオンラインカウンセリングが可能でお気軽にご相談ください。 この記事が捻挫でお困りの人に、少しでもお役に立てれば光栄です。 捻挫に関してよくある質問 Q:捻挫とはどのような状態ですか? A:関節に外力が加わって生じた怪我のうち、骨折と脱臼以外のものを指します。X線で骨折、脱臼がないことを確認し、必要があればMRIを撮像します。どうやって怪我をしたかも診断には重要です。 Q:捻挫を早く治すには? A:まずは適切な診断が必要です。応急処置としてはPOLICE処置が良いよいでしょう。炎症が起きている間は消炎鎮痛薬なども併用し、過度な負担がかからないように注意してください。 Q:受診するなら整形外科?整骨院? A:正しく診断をつけるという意味でも、X線やMRIでの検査を行える整形外科をおすすめします。近くに整形外科がない、診察時間外の場合には整骨院でも良いでしょう。自分で判断して自己流で治療をするのはよくありません。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参考文献一覧 文献1 荒川高光 et al アイシングは肉離れなどの筋損傷後の再生を遅らせる神戸大学プレスリリース 2021 文献2 荒川高光 et al 軽微な筋損傷に対するアイシングは筋損傷後の再生を促進する 神戸大学プレスリリース 2023
2023.04.14 -
- その他、整形外科疾患
「肋骨を骨折したときは、自然に治るものなの?」 「胸が痛むけど放置しても大丈夫かな?」 など、胸の違和感が続くときは不安を感じて、病院に行くべきか判断に迷う方も多いのではないでしょうか。 肋骨骨折は自然に治るのを待つ必要があります。胸の違和感が軽くなるまでに約数週間、骨癒合するまでに約2~3ヵ月かかるのが一般的です。 ただ、肋骨骨折以外の可能性もあるため、医療機関に相談して医師の判断をあおぎましょう。 この記事では、肋骨に違和感があるときの症状を始め、病院受診の目安、肋骨骨折の治療法を解説していきます。 胸の違和感がある方で医療機関の受診を迷われているときは、参考にしてみてください。 肋骨骨折は自然に治るのを待ちながらも医師の判断をあおごう 肋骨骨折は通常なら約数週間で胸の違和感が減少し、骨癒合するまでは約2~3ヵ月必要にはなりますが、特別な治療も必要としない骨折です。 骨折を起こした後、骨折した部分には約3週間で仮骨(骨のもと)が作られ、これによって骨折部が安定化して胸の違和感が和らぎます。 その後少しずつ骨形成が進んで骨癒合していき、症状がなくなる流れです。 肋骨骨折は、胸部の外傷で最も多くみられる疾患のひとつです。たとえば、以下のような原因で肋骨骨折が起きます。 激しいスポーツでの外傷、転倒 足を滑らせた際、転落などによるケガ ゴルフのスイングによる負荷 慢性的な咳などの繰り返しによる骨折 ケガをしてレントゲン写真を撮っても、肋骨骨折かわからない場合もあるでしょう。 ただ、肺などの臓器の損傷や別の病気が隠れている可能性もあるため、注意が必要なことをご理解いただければと思います。 自己判断をすると別の病気を見逃してしまう可能性もあるので、医療機関で診察を受けて医師から判断をあおいでみてください。 また、医師から肋骨骨折だと診断されたときは、安静期間や仕事復帰の目安を知っておきたい方も多いのではないでしょうか。 肋骨骨折の原因を含めて詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 肋骨骨折の症状は胸の違和感・腫れなどがあるか 【肋骨骨折の症状例】 骨折部位に違和感がある 皮下出血がある 腫れがある 骨折部位の圧迫で骨の”きしむ”音がする 体をそらす、肩を動かす、咳、深呼吸などで強い違和感がある 肋骨は左右12対の骨で、背中の胸椎から胸の前にある胸骨までかごのようになっており、その中にある心臓や肺などの臓器を保護しています。 肋骨骨折は胸部外傷の中で最も多くみられ、激しいスポーツ、転倒や打撲などの軽いケガ、交通事故などの大きいケガによって損傷してしまう場合があります。 肋骨骨折の症状としては、骨折した部位の違和感、皮下出血、腫れなどです。骨折部を軽く圧迫すると骨がきしむ音がするときもあります。 また、体をそらしたり、肩を動かしたりしたときや、咳、深呼吸で違和感が強くなるところも特徴です。 肋骨骨折の診断は触診・レントゲンを中心におこなう 診断は問診と胸部の触診、レントゲンが一般的ですが、病院によってはエコーで診断を行う場合があります。 肋骨は肺や肋骨同士の重なりがあるためレントゲンでの判断が難しく、とくに小さい骨折はレントゲンでは見つからない場合も多いからです。 レントゲン写真のメリットとして、肋骨骨折に合併する気胸(肺を損傷して空気が漏れてしまうこと)を診断できる可能性があります。 エコーでは、レントゲンで明らかにならない小さいひびを見つけやすくなりますが、実施していない医療機関もあるので注意が必要です。 受診前に医療機関へ電話で問い合わせをして、エコーとレントゲンの検査を受けられるか確認をおすすめいたします。 病院受診の目安は胸から軋む音がするか 胸の違和感が強い場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 以下を参考に、ご自身の症状に当てはまるかを確認してみてください。 【医療機関を受診する目安】 ぶつけた後に胸を押すと違和感がある 呼吸、くしゃみで胸の違和感が強くなる 内出血がある 息をするのが苦しい とくに内出血がある場合は、骨折している可能性があるので受診をおすすめいたします。 また、息苦しさがあるときは気胸を起こしている可能性もあるので、できるだけ早めに受診しましょう。 肋骨骨折の治療法は違和感を和らげること 明らかな骨折、不全骨折(いわゆる“ひび”)もしくは、X線で骨折がはっきりしない打撲の場合でも治療はほとんど同じです。 胸の違和感が軽い場合には、消炎鎮痛薬の内服と湿布などで痛みを和らげます。 また、胸の違和感が強い場合には、バストバンドやトラコバンドとよばれる固定帯(コルセット)で、骨折した部分を圧迫固定します。 呼吸で胸が広がると、骨折した肋骨に負担がかかり違和感が出やすくなりますが、息を吐いた状態でバンドを巻くと、骨折部の動きが少なくなり症状が緩和されるはずです。 これらの治療で、多くは数週間で胸の違和感は軽快するでしょう。骨折部のずれが大きいときや、複数の肋骨が折れているときは手術が行われる場合もありますが、かなり稀です。 また、大きいケガで血気胸(胸の中に血液や空気がたまること)があるときは、呼吸の管理や胸にチューブを挿入する治療が行われる場合もあります。 各症状に応じた適切な処置をおこなうためにも、医療機関への受診をご検討ください。 まとめ|肋骨骨折が自然に治るのか不安なときは医療機関へ 胸部の外傷で最も多い肋骨骨折は、自然に治るのを待つ必要がありますが、医療機関で医師に判断をあおぐのが大切です。 肋骨骨折は、激しいスポーツや転倒、交通事故などさまざまな原因で発生します。 以下で、肋骨骨折の症状について再度おさらいしておきましょう。 【肋骨骨折の症状まとめ】 骨折部位の違和感がある 皮下出血や腫れがある 骨のきしむ音がする 体を動かしたときの違和感がある 咳や深呼吸、くしゃみで違和感が増す など 肋骨骨折の診断方法としては、問診と触診、レントゲン検査が一般的ですが、エコー検査を使う場合もあります。 また、肋骨骨折の治療法は以下のとおりです。多くの場合、これらの治療により数週間で症状が改善される場合が一般的です。 【胸の違和感が軽いときの治療法】 ・消炎鎮痛薬や湿布を使う 【胸の違和感が強いときの治療法】 ・バストバンドやトラコバンドの固定帯を使う ∟骨折部分を圧迫固定して症状を緩和させる ただ、中には骨折部のずれが大きいときや複数の肋骨が折れているときは手術が必要になる場合もあるため、肋骨骨折の放置は禁物です。 重症の場合は呼吸管理や胸にチューブを挿入する治療が行われる場合もあります。 胸をぶつけた後に違和感があるときを始め、呼吸困難や内出血が見られる場合は、放置すると危険な可能性もあるでしょう。 上記のような症状が出た後は自己判断をせず、早めに治療を受けるためにも、必ず医療機関を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 肋骨骨折についてよくある質問 肋骨骨折でよくお伺いする質問をまとめました。 Q:肋骨が痛いのですが、どのような病気が考えられますか? A:ケガなどの明らかな原因がある場合には、打撲、肋骨骨折が考えられます。 また、ゴルフなどのスポーツをしている方を始め、慢性的な咳などがあるときも肋骨の疲労骨折の可能性があるでしょう。 上記のような原因がない場合には、肋間神経痛による神経の痛みや、帯状疱疹、稀ですが骨の“がん”などを考える必要があります。 帯状疱疹では皮膚のぶつぶつができますが、皮膚の症状より先に違和感の症状が出る場合が多いです。 肋骨周辺の違和感があるときは、皮膚における見た目にも注意してみてください。 Q:肋骨骨折をした後にしてはいけないことはありますか? A:大きなケガで血気胸がなければ、胸の違和感を感じる場合でも、無理のない範囲で動いていただいて構いません。 ただし、重いものを持つなどの重労働、激しいスポーツなどの衝撃は胸の違和感が悪化しやすくなるので、控えてみてください。
2023.04.12 -
- 脳卒中
- 頭部
- 頭部、その他疾患
頭痛はありふれた症状であるものの、同時に吐き気を伴って悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 頭痛といってもさまざまなタイプがあり、とくに同時に吐き気の症状が現れるケースには注意が必要です。 この記事では、吐き気を伴う頭痛にはどのような疾患があるのか、どのように対処すべきかをご紹介します。危険な頭痛とそうでない頭痛を知ることで、今の状態にあわせた対策がとれるようになるでしょう。 頭痛と吐き気があるときに注意すべき症状【該当する場合はすぐに受診を】 頭痛にはいくつかの種類があり、大きく「一次性頭痛」と「二次性頭痛」の2つに分類できます。一次性頭頭痛は、原因となる疾患が特定できない種類の頭痛です。 一方で、二次性頭痛は原因の疾患が特定できる頭痛のことです。 頭痛に加えて吐き気がある場合、二次性頭痛の可能性があり、そのほかにも以下のような特徴があります。 このような症状や状態に心当たりがある場合、脳卒中の発症リスクもあるため、医療機関への受診をおすすめします。 頭痛には「吐き気を伴う怖い頭痛」と「怖くない頭痛」がある 頭痛には、吐き気を伴う怖いものと怖くないものがあります。一次性と二次性に当てはまる頭痛の詳細について、以下の表にまとめました。 このように、一次性頭痛は厄介な種類が多いものの、二次性頭痛と比べると命に関わることは少ないといえます。とくに多くの方が経験する頭痛は一次性の緊張型頭痛であり、この場合はそこまで心配する必要はありません。 吐き気を伴う怖い頭痛の種類 吐き気を伴う怖い頭痛としては、おもに以下の3つがあげられます。 脳卒中 髄膜炎 片頭痛 ここでは、それぞれの詳細について解説します。 脳卒中 脳卒中とは、脳の血管が破れたり詰まったりすることで起こる疾患の総称です。具体的には、以下の3つに分類されています。 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 脳卒中による頭痛は吐き気を伴うことが多く、脳出血や脳梗塞の場合は、そのほかにも以下のような症状を合併するケースもあります。 意識障害 ろれつの悪さ 視野の狭窄 ふらつき めまい くも膜下出血の場合は突然発症し、今までに経験したことがない強い頭痛が現れるのが特徴です。このような症状がある場合は、すぐに病院を受診しましょう。 脳卒中の前兆について知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方はぜひこちらもご覧ください。 髄膜炎 髄膜炎は、脳や神経を包む「髄膜」という膜に炎症が起きたものです。おもな原因は細菌やウイルスなどですが、がんや薬剤によって発症するケースもあります。 以下のような症状のほか、「髄膜刺激症状」という首を前に曲げると現れる痛みが特徴的です。 頭痛 嘔吐 発熱 下痢 このような症状から、風邪と間違われることも珍しくありません。髄膜炎は子どもでも起こることがあり、頭痛や嘔吐がみられる場合はすぐに医療機関を受診して検査を受けてください。 片頭痛 吐き気を伴う一次性頭痛として割合が多いのが、片頭痛です。片頭痛は20〜40代の女性に多く発症し、こめかみから側頭部にかけてズキズキと脈打つような頭痛が生じます。 また、頭痛が起きる前には閃輝暗点(せんきあんてん)という、視野にギザギザした光がちらつく前兆が現れる場合もあります。 片頭痛を発症した際は光や音、においなどが過敏になる場合があるため、暗く静かな場所で安静にすると良いでしょう。血管が広がって血行がよくなると症状が悪化する恐れがあるので、以下のような行動はなるべく避けてください。 長風呂をする マッサージを受ける お酒を飲む 片頭痛がひどい場合は、医療機関を受診して症状をやわらげるための薬を処方してもらいましょう。 怖くはないが厄介な頭痛の種類 命に関わるような症状は現れないものの、厄介な頭痛はいくつかあります。ここでは、そのような頭痛についてご紹介します。 緊張型頭痛 緊張型頭痛とは、身体・精神的なストレスによって起こる頭痛のことです。多くの方が経験する頭痛は、基本的にこの種類とされています。 筋肉の凝りや精神的な問題が関係しているとされていますが、明確な原因はわかっていません。頭が締め付けられるような痛みを伴うものの、問題なく仕事や家事を行えるケースが多い傾向にあります。 しかし、症状が慢性化すると日常生活に悪影響が現れる場合があります。 群発頭痛 群発頭痛とは、目の奥や頭の側方に強い頭痛が起こる種類のものです。頭痛が続く時間は約15〜180分とムラがあり、頻度も2日に1回、多い場合は1日に何度も発症することがあります。 一度発症すると、毎日頭痛による発作が繰り返し起こるのも特徴です。激しい痛みのほかにも、充血や眼瞼下垂(まぶたが下がること)などの症状が現れることがあります。 頭痛の予防法・対処法 ここでは、頭痛の予防法や起きた際の対処法について解説します。頭痛による症状の原因や治し方などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。興味がある方は、ぜひこちらもご覧ください。 医療機関を受診する 頭痛に悩んでいる場合は、まずは医療機関への受診がおすすめです。無視できないような頭痛を放置すると、命に関わる恐れもあります。 なかには頭痛ではなく、別の病気の可能性も考えられます。頭痛は脳卒中や髄膜炎など、脳に関係する病気の症状として現れるケースもあるので、心配な方は脳ドックを受けるのも良いでしょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 頭痛のパターンを記録する 頭痛のパターンを記録しておくことで、発症のタイミングを把握して対処しやすくなります。頭痛は種類によっては、一定のパターンで起こるものもあります。 たとえば、片頭痛や緊張型頭痛にはパターンがあり、どのタイミングで起こるのかある程度の予測が可能です。頭痛が起きたタイミングを記録しておくことで、いつ薬を服用すべきかがわかるでしょう。 まとめ|吐き気を伴う頭痛は早めの受診を! 頭痛は誰もが経験したことがある一般的な症状で、おもに一次性と二次性の2種類に分かれています。 一次性頭痛は命に関わることは少ないですが、二次性頭痛は種類によっては深刻な状況に陥る可能性があります。とくに吐き気を伴う頭痛は、脳卒中や髄膜炎などの深刻な病気のサインのケースもあるでしょう。 頭痛時に吐き気の症状がある場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。いつもと違う頭痛の症状だと思ったら、医療機関を受診してください。 吐き気を伴う頭痛に関するよくある質問 ここでは、吐き気を伴う頭痛に関するよくある質問についてお答えします。頭痛に関して気になることがあれば、ぜひこちらも参考にしてみてください。 Q. 片頭痛持ちですが、食事で気を付けることはありますか? A. 以下のような食べ物は、片頭痛を誘発する可能性がある「アミン類」を含んでいるため、できるだけ控えたほうが良いとされています。 赤ワイン チョコレート チーズ ピーナッツ 豚肉 また緑茶やコーヒーなどに含まれているカフェインも、摂取しすぎると頭痛を悪化させる原因となるのでこちらも控えましょう。 Q. デスクワークだと頭痛が起こりやすいですか? A. ストレスや長時間のデスクワークは、「緊張型頭痛」を発症する原因とされています。同じ姿勢が長時間続くと、頭や首の筋肉の緊張が高まりやすくなり、頭が締め付けられるような痛みにつながります。 同じ姿勢を避けるために、30分に1回程度は休憩をとるようにしましょう。また、肩や首などをストレッチして、凝り固まった筋肉をほぐすのもおすすめです。
2023.04.10 -
- 手部、その他疾患
- 手部
「ばね指を自分で治すストレッチ方法を知りたい」 「ばね指のストレッチを行うときの注意点は?」 ばね指(指の腱しょう炎)で動作に支障が出ており、症状を緩和するためにストレッチ方法を知りたいと感じていませんか。 ばね指の症状を和らげるには、適切な時期に正しいストレッチを行うことが大切です。 この記事では、医師監修のもと、ばね指を自分で治すストレッチ方法3選を画像付きで解説します。 読み進めてもらえれば、生活するときに工夫したいポイントなどが理解できるはずです。指の付け根の痛みやこわばりに悩む方は、ぜひ参考にしてみてください。 まだ医療機関を受診されていない方は、症状を悪化させないために自己判断をせず、早めに医師への相談をおすすめいたします。 ばね指を自分で治すストレッチ方法3選 誰でも簡単にできる内容で、ばね指を改善させるストレッチ方法を3種類ご紹介します。 ばね指を自分で治すストレッチは、痛みが和らいでから行うのが原則です。痛みが強い時期は炎症が生じているため、無理なストレッチは逆効果になりかねません。 また、自己判断でばね指を悪化させないためにも、医療機関で医師などに相談しながら、ストレッチに取り組むのをおすすめいたします。 以下で、空き時間に取り組める正しいばね指のストレッチ方法を見ていきましょう。 腱(けん)しょうストレッチ 親指の腱(けん)しょうストレッチ 指のストレッチ 腱(けん)しょうストレッチ ばね指とは、指の腱(筋肉と骨をつなぐ繊維)や、腱しょう(トンネルのように腱を包み、滑らかな動きをサポートする)の炎症により、痛みや動きにくさが出る病気です。 ばね指を自分で改善したいときは、腱しょうと腱の動きを滑らかにする「腱しょうストレッチ」を行いましょう。 無理のない範囲でストレッチを行うと、腱の緊張や腱しょうに生じる摩擦を和らげる働きが期待できます。 腱しょうストレッチの方法は、以下で解説しているので参考にしてみてください。 【腱しょうストレッチの方法】 1. 手首を手の甲側に軽く曲げる 2. 親指の付け根と指の腹でブロック状のもの(リモコンや小箱など)を挟む 3. 指の付け根とその隣の関節は直角になるようにする 4. 指の付け根がしっかり縮むように2で解説したブロック状のものを押し合う 親指の腱(けん)しょうストレッチ ばね指になりやすい「親指の腱しょうストレッチ」の方法をご紹介いたします。 腱しょうストレッチでは、関節を曲げたり伸ばしたりといった反復の動きを行わないのがポイントです。 【親指の腱しょうストレッチ(右手が痛む場合の例)】 1. 右手首を手の甲側に軽く曲げる 2. 右親指の付け根をできる限り曲げる 3. 左親指で右親指を伸ばすように抵抗をかける 4. 右親指は抵抗に対して負けないように力を入れて押し合う 指のストレッチ 最後に、指全体を伸ばすストレッチをご紹介いたします。 無理のない範囲で、できる限りリラックスした状態で行いましょう。 【指のストレッチ】 1. 手首を手の甲側に軽く曲げる 2. 指をできるだけ伸ばす 3. 反対側の手でさらに指を伸ばす 指の腱は、手首を通過してつながっているので、手首のストレッチも柔軟性の改善に期待できます。 指を動かすと痛みが出るときでも、手首なら痛みなく動かせる場合もあるかもしれません。 手首に違和感がない場合は、以下の画像を参考にしながら、手首を手の甲側に曲げたり、手のひら側に曲げたりといったストレッチも行うと良いでしょう。 ばね指を自分で治すストレッチを行うときの注意点 ばね指は、日常的に指をよく使うときに生じやすいため、ご自身の状態に合わせてストレッチを行う必要があります。 むやみにストレッチをして症状を悪化させないためにも、以下の点に注意しましょう。 痛みのない範囲で行う 長時間せずに10分以内で行う お風呂上がりなどに温めて行う 痛みのない範囲で行う ストレッチは必ず痛みのない範囲で行いましょう。 痛みを我慢して無理にストレッチを続けると、腱や腱しょうに過剰な負担がかかり、炎症を悪化させる恐れがあります。 また、勢いよくストレッチをすると指周りに負担がかかりやすく、痛みの原因になります。 腱しょうや指のストレッチは様子を見ながら、ゆっくり慎重に行ってみてください。 長時間せずに10分以内で行う 指周りのストレッチ時間は、長くても10分程度にとどめておきましょう。 前述の通り、ばね指の原因は指の使い過ぎにより、腱しょうや腱に繰り返し負担がかかったときに起こりがちです。 そのため、指周りのストレッチを過度に繰り返したり、長時間行ったりすると、指を使い過ぎる状況につながります。 腱しょうや指のストレッチは、あくまでも固くなった部分をほぐすのが目的です。長時間、何度も繰り返さないように注意して、無理のない範囲で取り組んでみてください。 お風呂上がりなどに温めて行う 入浴後、もしくは入浴中に、指周りのストレッチに取り組むのをおすすめいたします。 入浴によって全身や指が温まり、血液の循環が改善するからです。 組織の柔軟性が高まった状態でストレッチを行えるので、ばね指の改善に期待できます。 ばね指を自分で治すときに注意すべき3つのポイント ばね指を自分で治すときは、指の冷えや使いすぎなどを避けるのが大切です。 炎症がひどいときは、医療機関を受診して医師の判断をあおぎ、まずは安静に過ごしてみてください。 以下では、ばね指を自分で治したいときに、日常生活で気をつけたい3つのポイントを見ていきましょう。 指を冷やさない 指を使い過ぎない 痛みが強いときは安静かつ固定して動かさない 指を冷やさない 炎症が改善したあとは、できるだけ冷やさないことが大切です。 血流の悪化は、指周りの組織がかたくなりやすい状態につながります。 腱しょうや腱のかたさが強まると、腱しょうの炎症リスクが高まります。ばね指を悪化させないために、なるべく指周りを温めましょう。 指を使い過ぎない パソコンやスマートフォン、趣味(手芸など)に取り組むときは、指を使い過ぎないことも大切です。 パソコンは指の負担を減らすために、ひじから先を机に乗せて手首を安定させましょう。 また、スマートフォンを使うときは、片方の手ばかりで持つのではなく、もう片方の手に持ち替えるなど、両手をバランスよく使えば負担を分散できます。 ほかにも、100円ショップなどで売っているスマートフォン用のスタンドを使えば、自宅でメールを返信するときなどに、手や指にかかる負担を減らせるのでおすすめです。 あまり長時間作業をするのを控え、休憩とストレッチを挟んで作業をするのも良いでしょう。 ばね指で痛みが強いときは安静かつ固定して動かさない 痛みがある場合は無理をせず安静にして、テーピングやサポーターで固定するのもおすすめです。 ばね指は、手や指の使い過ぎによる刺激で生じるため、固定すると指周りの使いすぎを防ぎ、負担の軽減につながります。 また、炎症が起きて間もない場合は、温めるよりも冷やすほうを優先してみてください。アイシングをして炎症の悪化を防ぎましょう。 炎症が生じている時期には早めに整形外科を受診して、炎症を抑える内服薬や外用薬を処方してもらうのも良いでしょう。 まとめ|ばね指を自分で治すときはストレッチのケアがおすすめ ばね指を自分で治すときは、腱しょうや指のストレッチを行い、腱の動きがスムーズになるように働きかけると症状の改善に期待できます。 本記事でご紹介した、ばね指を自分で治すストレッチ方法3選を参考にして、痛みのない範囲で無理をせず継続しましょう。 ただし、痛みが強い時期は炎症を悪化させる恐れがあるため、ストレッチを控えて安静にするよう心がけましょう。 日常生活で指に負担をかけないよう注意して、サポーターなどを活用したセルフケアも行ってみてください。 この記事が、ばね指を自分で治すストレッチ方法を知りたいときのご参考になれば幸いです。 ばね指を自分で治すときによくあるQ&A ばね指を自分で治すときに、よくある質問と答えをご紹介いたします。 Q.ばね指は手術・注射をしなくても自然に治りますか? A.炎症の程度が軽いときは、しばらくすると自然に治る場合もありますが、放置すると悪化する可能性があります。 指周りの状態を改善するために、早い段階で医師に治療法を相談してみてください。 Q.ばね指の治療法は何がありますか? A.ばね指の治療には、主に以下の3つがあげられます。 保存治療:指の固定と安静、薬物療法、理学療法などを行う 腱しょう内ステロイド注射:局所麻酔薬とステロイドを腱しょうに注射する 手術治療:痛みが強い場合などに相談して行う(手術は日帰りで可能) 適切な治療を受けるためにも、早めに医療機関で診断を受けましょう。 ばね指の詳しい治療法を知りたい方は、以下の記事で解説していますのでぜひ参考にしてみてください。 Q.ばね指でやってはいけないことはありますか? A.ばね指で指が曲がりにくいときは、無理に指周りを伸ばさないことが大切です。 腱と腱しょうの炎症状態によっては、患部に負担がかかり、痛みが悪化する可能性もあります。 まずは安静を保つのを優先して、医療機関を受診して医師から判断をあおいでみてください。 ばね指でやってはいけないことに関する詳細は、以下の記事でも解説しています。
2023.04.07