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ある日突然起こる脳卒中にご注意!その症状と原因、予防法 脳卒中は、脳血管障害とも呼ばれる脳の重い病気です。 ケースによっては、からだを動かすのが不自由になる、言葉が出づらくなる、など後遺症が残ることも少なくありません。身近で脳卒中について話題になったこともあるでしょう。 この記事では、脳疾患である「脳卒中」にスポットを当てながら、病気の症状や原因、予防するための方法についてわかりやすく解説します。 脳卒中は、脳の血管障害によって発症する病気全般を指します! 脳卒中とは、脳の血管が詰まる、あるいは血管が裂けることで起きる脳の病気全般を指す言葉です。 例えば、腹痛と一口にいっても、下痢や便秘もあれば盲腸炎や大腸がんなど、原因となる病気はいくつも考えられるでしょう。 脳卒中には、大きく分けて次の 3 種類があります。 ・脳梗塞 ・脳出血 ・くも膜下出血 それぞれわかりやすく説明していきます。 脳梗塞 脳の血管が詰まる脳卒中の一種です。血管が詰まった先は血液の流れが悪くなるので、脳細胞が壊死していきます。 脳出血 脳の血管が、高血圧などにより内側から強い圧力がかかり、破けてしまう脳卒のことです。出血した血液が塊になって、脳が働かなくなります。 また、脳を圧迫するため、他の脳の部分にもダメージを与えます。 くも膜下出血 脳の太い血管にできた、動脈瘤というこぶが破れて起こる脳卒中のひとつです。 脳梗塞や脳出血は脳の中で起こりますが、出血した血液が脳の表面を覆って発症することがポイントです。 ここまでの説明を表にすると、以下のようなイメージです。 病名 病気の種類 病気が起きる原因 脳卒中 ・脳梗塞 脳の血管が詰まって血液が行き渡らなくなる ・脳出血 脳の血管が切れて出血して、脳の細胞が壊死する ・くも膜下出血 脳の血管にできた「動脈瘤」(こぶ)が破けて、脳の表面を覆うように出血が広がる もうお分かりですね! この表からもわかるように脳梗塞とは、あくまで脳卒中といわれる病名の中にあって、その種類のひとつなのです。このあたりは、知っている人に取っては当たり前ですが、知らない人にとってはごっちゃになっている部分だと思います。 最近は、脳卒中より脳梗塞という病名が知られるようになったため、別々の病気と思っている人も少なくありませんが、実は同じ病気だということです。 脳梗塞は脳の血管が詰まる・狭くなることで起きる ここまで説明してきたように、脳卒中と脳梗塞は異なるものではなく、脳卒中という大きな病気のひとつの種類に脳梗塞がある、とわかりました。 そして、 脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液の流れが悪くなり、脳の神経細胞が死んでいくことによって発症します。 脳の血管が詰まる原因は、血栓と呼ばれる血の塊です。 年齢とともに血管の動脈硬化によってできる血栓や、心臓にできる血栓が脳に移動して、脳の血管を詰まらせます。血管が詰まると脳に血液が行き渡らなくなって、酸素や栄養が届かなくなり、脳が壊死してしまうのです。 脳梗塞の状態が重いほど、後遺症が強く残りやすくなります。 このように、脳梗塞や脳出血といった脳卒中は、寝たきりや認知症、高次機能障害といった後遺症を引き起こす重大な病気なのです。 脳卒中は年齢に関係なく突然起きる病気 代表的な脳卒中によくある症状は次の 5 つです。 症状 1.半身がしびれたり、麻痺が続く 2.ふらふらしたり、歩く・立つができなくなる 3.ろれつが回らず、言葉が出ない 4.視野の半分が暗くなる、二重に見える 5.激しい頭痛が突然起きる 脳梗塞をはじめ脳卒中は、ある日突然起きる病気です。脳の血管が詰まる、裂けるといった脳卒中の原因が突然起きると、一気に重い症状が現れることがポイントです。 脳卒中かもしれないと思ったら 「半身がしびれたり、麻痺がつづいている」「ろれつが回らなくなった」こうした脳卒中の症状に気づいたら、すぐに医師に診てもらいましょう。 脳梗塞や脳出血は似たような症状が起きることが多いため、日頃から脳卒中の代表的な症状を覚えておくことが大切です。 気になる症状があったときは、できるだけまずはかかりつけ医に電話で相談する、少しでも症状に不安を感じたら迷わず救急車を呼んでください。 脳卒中のリスクと予防 脳卒中は死に至ることもある重い病気で、後遺症が残ることも多いため、日常的に予防に努めることが大切です。 脳卒中の 5 大リスクとして知られているものは、次の 5 つです。 ①高血圧 ②糖尿病 ③脂質異常症 ④不整脈 ⑤喫煙 ここで挙げたリスクは、生活習慣病といわれていて、以下のような食事や運動、睡眠などの生活習慣の改善で予防できるものです。 食生活に気を配ることで予防が可能 ・塩分制限をする ・バランスの良い食事を心がける ・適度に運動する ・十分に睡眠をとる ・お酒や喫煙を控える 脳卒中は、起こってしまってからでは取り返しがつきません。 予防のためにも、まずは生活習慣を見直すことからスタートすることが何より大切です。 また、病院で血圧や血液検査などの異常を指摘された方も、薬による治療を続けると脳梗塞をはじめ脳卒中のリスクをコントロールすることができます。あわせて、定期的な健康診断や通院で、病気を管理することも忘れずに行いましょう。 まとめ・ある日突然起こる脳卒中にご注意!その症状と原因、予防法 脳卒中と脳梗塞の違いについて解説してきましたが、次のポイントを改めてチェックしておきましょう。 ・脳卒中は脳の血管障害による病気全般を指す言葉 ・脳卒中と脳梗塞は別々の病気ではなく、実は同じもの ・脳卒中の種類のうち、脳の血管が詰まるのが「脳梗塞」 ・脳卒中は生活習慣病が大きな原因 脳卒中の症状や、脳梗塞の特徴を覚えておいて、ぜひ病気の予防に努めましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.106 監修:医師 坂本貞範 ▼こちらも参考にしませんか 脳卒中の種類と原因|発症を予防するため、注意すべき生活目標と修正方法とは
最終更新日:2024.03.27 -
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脳出血の治療方法と手術になったときの入院期間や費用について 「脳出血と診断された。これからどんな治療をするのだろうか?」 「脳出血になったら、入院期間や費用はどれくらいかかるのだろう?」 脳出血は、早期の診断・治療がとても重要な疾患であり、治療が遅れれば遅れるほど、話しにくさや手足を動かしにくくなるという重篤な後遺症が残る可能性があります。 本記事では、脳出血が疑われる際の検査についてや、治療や手術、入院期間などについて解説してまいります。 脳出血の検査について 脳出血とは脳内の血管が破れて出血した状態で、一般的な症状として多くの人に認められるのが、突然の激しい頭痛や手足が動かしにくくなるという麻痺症状です。 出血がひどくなると意識障害などもみられることがあります。 このような脳出血の症状がみられる場合には、まず CT 検査を早急に行い、出血部位(被殻、視床、脳幹、小脳、皮質下)や出血量を確認することで確定診断に至ります。 脳出血は高血圧が原因であることが多いですが、MRIの検査によって脳動脈瘤や脳血管奇形といった脳内の血管自体の異常や損傷範囲などを調べることができます。 脳出血の手術と治療について 脳出血の治療は、内科的治療と外科的治療に分かれます。 それぞれについて、詳しくみていきましょう。 内科的治療法 内科的治療(薬物療法)として、最も重要になるのは、薬剤による血圧コントールです。 脳出血は高血圧が原因で発症することが多く、特に脳出血発症時には収縮期血圧が 200 mmHg以上となってしまうことも珍しくありません。 脳出血の発症から 6 時間以内は再出血が非常に起こりやすいと言われており、再出血を予防するために、血圧を安定させる降圧剤の点滴や内服などが用いられます。 退院後における慢性期においても、高血圧を放置することで脳出血の再発もあり得ますので、定期的な降圧剤の内服が必要なことが多く、血圧を安定させるための治療が行われます。 もう一点、内科治療として、脳出血により脳が浮腫み、腫れてくることがあります。そのまま放置してしまうと、出血していない部位にまで悪影響が出ることがあるため、マンニトールやグリセロールという抗脳浮腫薬の点滴を行うことがあります。 外科的治療法 脳出血の外科的治療法(手術)は、以下のような時に対して行われます。 ・出血量が 30 ml以上と多量であり、出血による血の塊(血腫)の圧迫により生命の危機がある場合 ・水頭症(髄液の循環不全により、髄液が過剰に溜まった状態) ・意識レベルの低下が疑われる場合 ただし、視床出血や脳幹出血の場合は重要な神経が通っているため手術は困難であり、また深昏睡状態(意識がなく自発呼吸もない状態)の場合も手術による改善が望めないため治療適応外となります。 手術方法としては血腫を除去する血腫除去術と、水頭症に対するシャント術が一般的です。 それぞれの手術法について詳しく見ていきましょう。 ◇血腫除去術 開頭血腫除去術 開頭血腫除去術は全身麻酔下で行われる手術で、3 時間程度要します。約 10 ㎝程度の大きさで頭蓋骨を切開し、脳内に溜まった血腫を摘出する手術になります。 内視鏡的血腫除去術 内視鏡的血腫除去術は開頭血腫除去術とは異なり、局所麻酔で行われる手術になります。数㎝程度皮膚を切開し、頭蓋骨に 1.5 ㎝程度の穴をあけて細い筒のようなものを挿入し、血腫の吸引を行っていきます。 開頭手術と比べるとおよそ半分程度の手術時間で完了するため、患者さんの負担も少なく、リハビリを早期から行うことが出来るというメリットがあります。 ◇シャント術 シャント手術とは、溜まってしまう髄液を体内の他の場所へ流し込むバイパスを作る手術になります。 主な経路としては、以下のようになります。現在では、脳室―腹腔シャントが最も多く行われています。 ①脳室から腹部(脳室―腹腔シャント) ②脳室から心臓(脳室―心房シャント) ③腰から腹部(腰椎―腹腔シャント) リハビリ 治療・手術後は、社会復帰に向けて必ずリハビリが必要となります。 「急性期」「回復期」「維持期」の回復過程に応じて、適切なリハビリを段階的に行うことになります。 脳出血の入院期間や費用について 入院期間 脳出血の平均入院日数は、およそ 107 日間となっており、下表のように年齢が上がると、日数は増える傾向にあります。 例えば、40~44 歳の方の平均入院日数は 56 .4 日となっていますが、80~84 歳の方の入院日数は約 3 倍の日数の 151 .3 日となっています。 これはご高齢になればなるほど、重症化のリスクやリハビリに要する期間が長くなるためだと思われます。 40 ~ 44 歳 56 .4 日 60 ~ 64 歳 81 .1 日 65 歳~ 69 歳 104 .8 日 70 歳~ 74 歳 96 .9 日 75 歳~ 79 歳 99 .1 日 80 ~ 84 歳 151 .3 日 入院費用 入院費用の平均は、約 70 万円前後( 3 割負担の場合)となっています。 なお、そのうち血腫除去術の一般的な手術費用は診療報酬点数が 47 ,020 点となっているので、1 点= 10 円とすると約 14 万円( 3 割負担)となります。 高額療養費制度を利用すると、自己負担限度額を超えた部分が払い戻されるので、最終的には更に軽減される可能性があります。 ただし、高額療養費制度の自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なり、差額ベッド代や食事代等は制度対象外となります。 以上の入院日数や入院費用はあくまで平均値となっており、年齢や治療内容、症状などの差で変動します。 まとめ・脳出血の治療方法と手術になったときの入院期間や費用について いかがでしたでしょうか。 本記事では、脳出血の手術と治療、入院期間や入院費用について主に解説しました。 脳出血は早期の治療介入が非常に重要であり、重症度に応じて様々な治療方法が選択されます。発症から時間が経過すればするほど重い後遺症が残ったり、命の危機に晒されることに繋がりますので早期受診が重要です。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.104 監修:医師 坂本貞範 ▼脳出血、以下の記事も参考にされませんか 脳出血、後遺症の種類とリハビリによる改善の可能性
最終更新日:2024.03.29 -
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側弯症でやってはいけないこと!ストレッチや筋トレなどでの注意点 「側弯症でどのようなストレッチをしたらいいの?」 「側弯症でスポーツをしても大丈夫なのか不安…」 側弯症において、このような疑問がある方はいませんか? 今回は側弯症の場合にストレッチや筋トレ、スポーツで注意するポイントを紹介します。 正しい知識を持てば、側弯症でも運動が可能ですので、しっかり確認しましょう。 側弯症とは?症状や原因、種類について紹介 側弯症は背骨が左右に弯曲する状態です。 側弯症にはさまざまな原因があり、原因や特徴によって分類されます。 やってはいけないことについて理解をしやすくするために、ここでは側弯症の種類や原因、症状について解説します。 側弯症の原因や症状 側弯で最も多い突発性側弯は、発症原因がよくわかっていないのが特徴です。 変性側弯も加齢による変形が原因ですが、なぜ変形するのか根本的な原因は不明な点も多いです。側弯があっても痛みなどの症状がない場合が多く、進行すると左右で非対称な見た目で変形がわかります。 子どもの側弯は学校の運動器健診の 1 つとして義務化されており、そこで指摘されて初めてわかることも少なくありません。 具体的には、次のような部分で非対称が確認できます。 ・肩の高さの左右差 ・片方の肩甲骨が突出している ・ウエストラインが非対称 ・前屈みになると片側が盛り上がって見える 変形の程度は人によってさまざまで、軽度の場合は定期的な経過観察で進行の有無を見逃さないようにするのが大切です。中度〜重度になると専用の装具や手術の検討も必要になります。 また、側弯が悪化すると腰や背中の痛みがでたり、背骨にある神経を圧迫して、しびれなどの神経症状がみられたりします。 側弯症の種類 背骨の変形を伴うものを「構築性側弯」、背骨の変形を伴わないものを「機能性側弯」といいます。 機能性側弯 機能性側弯は痛みをかばったり、足の長さの違いを補ったりするために起こる側弯です。 つまり、見かけ上は背骨が弯曲していても、原因を取り除けば側弯は解消されます。 構築性側弯 一方、背骨の変形を伴う構築性側弯には以下のような種類があります。 疾患名 特徴 特発生側弯 全体の80%前後を占める最も多い側弯。多くが思春期に発症して、女子に多い。原因は不明。 先天性側弯 先天的な背骨の変形などにより生じる側弯。 症候性側弯 神経や筋肉の病気により生じる側弯。 変性側弯 加齢に伴う背骨の変形による側弯。 一般的に側弯と呼ばれる疾患は構築性側弯で、多くは突発性側弯です。 側弯症の日常生活でやってはいけないこと 通学鞄の種類や寝る姿勢、ベッドか布団かといったような生活習慣は、側弯症と関係ないといった研究があります。そのため、日常生活では特別やってはいけないことというのは明確には分かっていません。 ただし、側弯症の場合、片側に姿勢が傾きやすかったり、腰を痛めたりといった点で日常生活に影響を及ぼす場合があります。長時間の崩れた姿勢は、見た目上の問題や腰痛につながることになります。 また、腰痛がある場合に、重いものをもったり、無理な運動をしたりするのは症状の悪化を招きかねません。 そのため、できるだけまっすぐな姿勢を保つ、痛みがあるのに無理な運動をしないといった点には気をつけましょう。 側弯症の筋トレやストレッチでやってはいけないこと 側弯症では弯曲した姿勢を修正するため、弱った筋肉を筋トレで鍛えたり、硬くなった筋肉をストレッチで伸ばしたりといった運動をよく耳にするかもしれません。 しかし、注意しなければ症状を悪化させる危険性があります。 そこで、筋トレやストレッチの注意点を解説します。 筋トレで注意すること 側弯症に対する筋トレの基本は、弯曲の凸側の筋力強化をして、凸になっている姿勢を修正することとされています。そのため、誤って凹側の筋力強化をしてしまうと、背骨をゆがみを強める力を働かせてしまうので注意が必要です。 また、凸側を鍛えると分かっていても、動きのコツをうまく理解していないと鍛えたい筋肉がうまく働きません。 例えば、腰の部分が右凸に変形しており、右側の骨盤が下がっている場合、右側の骨盤を持ち上げるようにしてトレーニングする方法があります。 この場合、 骨盤を持ち上げるのに合わせて上半身を一緒に左に傾けてしまうと、うまく腰回りの筋力を鍛えることができません。 このように、筋トレには側弯の状態に合わせた方法をオーダーメイドで考えることが大切です。 整形外科などで姿勢を評価してもらい、専門家の助言を受けるようにしましょう。 ストレッチで注意すること 側弯のストレッチでは以下の 3 点に注意が必要です。 ・適当な方法で行わない ・痛みが出るまで無理をしない ・反動や勢いをつけない 筋トレと同様にストレッチでも正しい方法でストレッチをしなければ、より姿勢を悪化させる原因になりかねません。 また、痛みが出るまで伸ばしたり、反動や勢いをつけたりすると変形をした背骨に負荷がかかってしまいますので注意しましょう。 側弯症でスポーツをする場合の注意点 側弯症だからといって、運動をすべて制限するのではなく、適度な運動を続けることは心身の機能を保つために必要なことです。 また、特定のスポーツであればクラシックバレエの経験がある女子に側弯が発生しやすいという研究があります。ただし、バレエが側弯に影響していたのか、側弯になりやすい体型の子がバレエをやっていることが多いのかは分かっていません。 そのほかのスポーツに関しても、側弯症の発症が増えるという科学的な根拠は明らかになっていません。しかし、腰痛のような症状が悪化するような無理な運動はしないようにしましょう。 また、痩せ型の女子に側弯が多いというデータがあり、スポーツのために無理な減量やダイエットをするのは控えた方がよいでしょう。 側弯症でも注意点を守れば運動は可能!気をつけて悪化を防ごう 側弯症で筋トレやストレッチをする場合は、正しい方法で行わなければ、症状を悪化させる危険性があります。そのため、側弯の程度や弯曲の仕方をチェックして、一人ひとりに合わせた方法で実施するのが大切です。 トレーニングやストレッチが適応かどうかは、整形外科を受診して医師に確認するようにしましょう。 運動を続けることは、心身の健康を保つためには必要なことですので、症状のない範囲で行いましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.S103 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.07.05 -
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脳出血の前兆!初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない 脳出血とは脳卒中の 1 つで、脳を走る血管が破れて脳の中で出血が起こる病気です。 高齢であったり、高血圧や動脈硬化が強いと血管が弱くなるため、脳出血を引き起こしやすくなります。出血が広がると血液で脳が圧迫されたり、血液が神経細胞に行き渡らず細胞が死んでしまったりすることでさまざまな症状が出現し、広がりに応じて進行します。 一度障害を受けた神経細胞は元に戻ることはないため麻痺や感覚障害などの後遺症を残します。脳出血の約 70 %が後遺症を残すと言われており、生活に支障をきたさない程度の後遺症から、四肢麻痺など、日常生活が以前のように送れなくなるほどの後遺症までさまざまです。 リハビリを行うことである程度までの回復を期待することはできますが、完全に元に戻すこと難しく、何よりかなりの時間を要します。 脳出血で強い後遺症を残さない為にも、発症早期に気づき、周囲の神経細胞に障害が起こる前に治療を受けることが重要になります。 この記事では、脳出血の比較的急性期に認める症状や好発部位ごとに現れる症状の特徴、ご自身で参考にしていただける初期症状のセルフチェックシートなどを紹介します。 脳卒中!脳出血の好発部位とその症状の特徴は? 脳出血は出血が起こりやすい部位によって種類が分けられており、それぞれで症状に特徴があります。 好発部位は大きく分けて 5 つあり、以下に特徴を示します。 ①被殻(ひかく)出血 脳出血の中で、一番頻度が高い部位です。 症状はまず頭痛や嘔吐から始まり、片側の手足の麻痺や感覚の異常、うまく言葉が話せない構音障害などを認めます。 また、被殻出血が起こるとどちらか一方に目がよる共同偏視を認めることもあります。 ②視床出血 被殻出血の次に多く見られる脳出血です。 視床は感覚を伝達する神経が多く走っている部位のため、視床出血では感覚障害や視床痛という半身のみの痛みを認めます。 また、視床出血は脳脊髄液が循環している脳室と近い位置にあるため、出血が脳室まで及ぶと水頭症という状態になり意識障害を起こします。 視床出血になると左右の目が内下方を向くようになることが特徴です。 ③小脳出血 小脳は平衡感覚をつかさどる部位です。 そのため、この小脳で出血が起こると頭痛と嘔吐、めまい、歩行障害が起こります。 小脳出血が広がり脳幹まで圧迫されると呼吸が止まり致命的になる可能性があります。小脳出血のみですと、麻痺は起こりません。 ④橋出血 橋は脳幹の一部で呼吸や全身の運動などをつかさどっている部位です。 橋で出血が起こると意識障害や全身の麻痺が起こり、出血が広がると呼吸ができなくなり重篤な状態になることがあります。 橋出血が起こると左右両方の目の瞳孔が小さくなることが特徴です。 ⑤皮質下出血 脳の比較的表層の部分に出血が起こるものです。 部位によって症状はさまざまで、片側の手足の麻痺や構音障害、視界の左右どちらかが見えなくなる半盲などを認めます。 脳出血の前兆・初期症状を知ることで早期治療を! 脳出血は出血範囲が広がるほど多くの神経細胞が圧迫され重症となり、最悪の場合寝たきりや死亡してしまうこともあります。 しかし早期に発見できれば、手術で血の固まり(血腫)を取り除いたり、血圧をコントロールして血腫が大きくなることを防ぐ治療を受けることができるため、後遺症などが軽症ですむ可能性が上がります。 脳出血の初期症状セルフチェックシート 初期症状リストを以下に示します。これらを参考にして、初期の段階から脳出血に気付きましょう。 いずれの部位の脳出血でも認める症状 ▢突然の激しい頭痛 ▢嘔吐 重篤な状態を示唆する症状 ▢意識障害 ▢昏睡 運動障害 ▢手足の麻痺、動かしにくさがある ▢片側の顔の麻痺、動かしにくさがある ▢表情に左右差がある ▢歩きにくくなる、足がもつれる ▢ごはんが食べにくくなる、飲み込みづらくなる 感覚障害 ▢片方の手足が痺れる ▢左右どちらかの顔面が痺れる ▢半身の痛みが突然生じる 言語障害 ▢舌がうまく回らず上手に話せない ▢話したい言葉が出てこない ▢言葉が理解できない 視覚障害 ▢突然視野が狭くなる ▢左右どちらかの視野が障害される ▢物が二重に見える ▢瞳孔の大きさが左右で違う・やけに小さい 平衡感覚障害 ▢めまい ▢ふらつき ▢まっすぐ歩けない チェックシートに記載の症状で 1 つでも当てはまる項目があれば、脳出血である可能性が高いです。迷わず医療機関を受診してください。 特に今まで感じたことのないような突然発症の激しい頭痛を認めた時は、脳出血が頭の中で発症した可能性がかなり高いです。 それに伴い、「激しい吐き気」や「嘔吐」がある場合は、更にその可能性が高まります。これら 2 つの症状は、どの部位に出血が起こっても認める症状で、かつ頭痛は血管が破れた際に起こる症状です。 すみやかに治療を受けることで、その他の症状を発症せずに済むかもしれません。 意識障害や昏睡状態になっている場合はすでに重篤な状態であり、命に危険が及んでるかもしれません。いずれの場合も救急車を使用するなどして、いち早く専門の医療機関を受診しましょう。 脳出血に前兆はない? 脳出血は突然血管が破れて発症するため、前兆は基本的にありません。前兆ではありませんが、血圧は 1 日の中で朝の 10 時ごろが最も高いためその時間帯に脳出血が起こりやすくなっています。 そのため、日頃から生活習慣を気をつけて、初期症状を認めた場合はすぐ受診し早期の治療を受けることが必要です。 まとめ・脳出血の前兆!初期症状をセルフチェック!早期治療で後遺症を残さない 脳出血はある日突然発症し、多くの場合で後遺症が残ってしまう病気です。 しかし早期に治療を行うことができれば後遺症を残さないか、残っても軽度で済む可能性が高まります。加えて、脳出血は画像検査ですぐに診断をつけることが可能です。 そのため、少しでも疑う場合はすみやかに医療機関を受診することが重要です。また、脳出血の治療を行うのは主に脳神経外科になるため、脳神経外科の体制が整っている病院を選んでください。 尚、後遺症については、リハビリ以外にも最先端医療の「再生医療」という新たな手法もあり、万一後遺症が残った場合は、その存在を知っておくことで後遺症が改善する可能性も残されています。 以上、本記事が参考になれば幸いです。 No.S102 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下もご覧になりませんか 脳出血にならないために!予防と再発を防ぐための血圧管理方法は
最終更新日:2024.03.29 -
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脊柱管狭窄症とは?その症状と治療!ヘルニアとの違いとセルフチェックの方法 脊柱管狭窄症は、腰椎ヘルニアと並び、最も代表的な腰部の疾患の一つです。 神経への影響という部分では、ヘルニアと似ているところもありますが、原因や症状、治療法などが微妙に違ってきます。 今回は、脊柱管狭窄症の病態や自分でできるチェック方法、治療について解説します。 脊柱管狭窄症とは? 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは、脊柱(背骨)で構成される脊柱管というトンネルが狭くなる疾患です。 その脊柱管の中には、脳と全身の器官を繋ぐ脊髄神経が通り、感覚や運動の指令を伝達するとても重要な役割を果たしています。 脊柱管狭窄症では、脊髄神経が通るトンネルが狭くなるため、脊髄神経は圧迫されてしまい、痛みやしびれ、力の入りづらさなど様々な症状で大きく悩まされる疾患です。 脊柱管狭窄症は部位によって分類される 脊柱は、7 個の頸椎と 12 個の胸椎、5 個の腰椎が連なって構成されます。 そのため、脊柱のどの部分で狭窄が起きているかで、呼び名が変わるのです。 ・頸椎で狭窄‥頸部脊柱管狭窄症 ・胸椎で狭窄‥胸部脊柱管狭窄症 ・腰椎で狭窄‥腰部脊柱管狭窄症 割合としては、腰部脊柱管狭窄症が 1 番多くみられるため、本記事でも腰部脊柱管狭窄症について述べていきます。 脊柱管狭窄症の症状 脊柱管狭窄症は、圧迫される場所によりタイプ分けされており、それぞれ症状が違います。 タイプは以下の2つに分けられます。 ①馬尾型 ②神経根型 また、この 2 つが組み合わさった混合型というのもあります。 ①馬尾型の症状 脊柱管狭窄症の 1 割程度でみられ、脊柱管の中心部に近いところで圧迫が起きます。 馬尾型では、両下肢のしびれやだるさ、膀胱直腸障害(排尿・排便障害)などがあり、症状が出現した場合は、すみやかに整形外科を受診するようにしましょう。 ②神経根型の症状 脊柱管狭窄症の 7 割が、神経根型といわれています。 多くは、片方の臀部や脚にかけてのしびれやピリピリする痛みがあります。 症状がなかなか落ち着かない場合は、整形外科に受診し、圧迫の程度や身体機能のチェックをおすすめします。 長時間(一定時間)の歩行で症状が増強する間欠性跛行 馬尾型、神経根型のいずれにおいても、長時間の歩行で痛みやしびれの増強がみられます。これが間欠性跛行です。 これは脊柱管狭窄症と診断された患者さんの大部分が訴える症状です。 いつもなら何事もなく歩ける距離が、急に辛くなった、休まないといけなくなった、などの症状が出たら、脊柱管狭窄症を疑いましょう。 もちろん、下肢の循環障害などでも同様の症状が出てくる可能性もあるので、専門機関でしっかり診断してもらうことが大切です。 出典「日本整形外科学会」https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spondiyolysis.html 脊柱管狭窄症の原因 脊柱管狭窄症は、脊髄神経が通る脊柱管が狭くなることで引き起こされる疾患です。 では、どうして狭くなってしまうのでしょうか? 脊柱管が狭窄を起こしてしまう原因は、以下の 3 つが考えられます。 ①加齢による骨や周囲の軟部組織の変化 人の体は20歳をピークに徐々に衰え始め、中高年の時期に急激に変化していきます。 脊柱でも同様のことが起こり、脊柱管狭窄につながる変化としては以下のものが挙げられます。 ・椎骨の変形(骨の形態が変わること) ・椎間板の変性・膨隆(椎間板の性質が変わること・椎間板が後方の脊柱管内に膨らむこと) ・脊柱周囲の靭帯の肥厚(主に黄色靭帯が厚くなること) 椎骨は脊柱の骨組みになるものであり、椎間板は背骨と背骨の間に入り込みクッションのような役割を果たし、靭帯は背骨を安定させるために働いてくれます。 これらの機能が落ちてくると、上記の 3 つのような変化が現れ、脊柱管を狭くし脊髄神経を圧迫、そしてしびれや痛み、脚の脱力感などの症状が出てしまうのです。 ②姿勢や動作習慣など日常的な体の使い方によるもの 加齢による背骨やその周りの組織の変化が起こると同時に、問題になるのが姿勢や動作習慣です。 脊柱管狭窄症の人は反り腰となっていることが多く、その原因は猫背姿勢や運動不足による体幹筋力の低下、股関節や上半身を上手に使えない誤った動作習慣が挙げられます。 腰を反らした姿勢では、脊柱管はより狭くなってしまい、症状が強く現れます。 反対に、腰を少し前かがみにすれば、脊柱管が広がり、痛みやしびれが軽くなります。 脊柱管狭窄症の人が、痛みがある時に腰を一時的に曲げる動作をとるのは、このような理由があるからです。 ③先天的な疾患によるもの 割合としては非常に少ないですが、先天的な骨の形態異常により脊柱管が狭くなってしまい発症する脊柱管狭窄症もあります。 脊柱管狭窄症は、中高年の年齢から発症することが圧倒的に多いですが、この先天的なものが原因となる脊柱管狭窄症では、発育途上の若い年代で起こることが多いです。 脊柱管狭窄症とヘルニアの違い 脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアは、腰部の疾患に挙げられる代表的なものですが、その違いは以下です。 腰椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニアは、脊椎と脊椎の間にあるクッションの役割をする椎間板が後方へ飛び出てしまい、神経を圧迫して症状が出ます。 よく発症する年齢は、50 歳代ですが、10 〜 20 歳代の若い男性に多くみられることがあります。 腰椎椎間板ヘルニアの場合、脊柱管狭窄症と違って、間欠性跛行の症状はありません。 脊柱管狭窄症 脊柱管狭窄症は、脊柱管が狭くなり、そこを通る神経が圧迫され発症します。 脊柱管狭窄症は、ヘルニアを伴うこともあり、完全に違う病気であるとは言い切れない部分もあるため、鑑別が難しいです。 好発年齢は 60 〜 70 歳代以降の人に多く、背骨の変形や姿勢の変化を伴うことが多いです。 脊柱管狭窄症のセルフチェック 脊柱管狭窄症は、特徴的な症状がいくつかあるため、セルフチェックができます。 下記の項目にチェックを付けて下さい ▢一定時間歩いていると脚に痛みやしびれが出てくる ▢立ったままの状態を長時間続けられない ▢足首や足の指を動かしづらい ▢陰部やお尻周りがしびれる ▢腰を反らすと痛い ▢腰を前に曲げると楽になる ▢尿漏れがある ▢身長が縮んだ ▢壁に踵・お尻・頭をつけた状態で立った時、腰と壁の間のスペースが大きい ▢下にある物を持ち上げる時、股関節や膝を曲げずに腰だけ曲げて持ち上げる いかがでしたか? ひとつでも当てはまるものがある方は、注意が必要です。 脊柱管狭窄症になっている可能性がある人や、今後脊柱管狭窄症になりやすい人は複数の項目でチェックが入るかもしれません。 特に下半身のしびれや長時間の歩行での痛み、尿漏れなどの症状が出ている人は、放置せずにできるだけ早めに専門の医療機関に相談しましょう。 脊柱管狭窄症の治療 脊柱管狭窄症の治療法は様々あります。 【脊柱管狭窄症の治療方法】 ・神経からくる痛みに対しての内服 ・コルセットなどで腹圧を高めるためのサポートを行う ・体幹や肩周り、股関節周りの柔軟性を高めるストレッチ ・体幹や下半身の筋力トレーニング ・立っている時、座っている時の姿勢の改善 ・歩き方、動き方の改善 ・重症度の高い脊柱管狭窄症への手術療法 重度の脊柱管狭窄症の場合は、早急に神経の圧迫を取り除く必要があるため、手術療法が用いられます。 また、体にメスを入れない保存療法では、リハビリテーション、薬物療法、装具療法があります。 保存療法では、神経的な痛みに対する薬を処方し、まずは症状を抑えることが多いです。そして、症状の原因となる姿勢の改善や、誤った動作習慣を改善する目的でリハビリテーションを行います。 高齢になると、どうしても活動量が落ちてしまい、同一姿勢をとる時間が長くなります。そうすると、脊柱の柔軟性や体幹を保とうとする筋力が低下し、脊柱にかかる負荷が増えてしまうのです。 そんな悪循環を断ち切るために、気になる症状が出てきた時は、専門の整形外科へ相談しあなたにあった治療方法を探してみましょう。 まとめ・脊柱管狭窄症とは?その症状と治療!ヘルニアとの違いとセルフチェックの方法 今回は、脊柱管狭窄症の病態や、他の腰部疾患であるヘルニアとの違い、セルフチェック、治療方法について紹介しました。 中高齢の方に多い疾患ですが、その多くがそれ以前の姿勢や動作習慣が原因となって起こります。 今、症状が出ている人は、できるだけ早めに医療機関へ相談し、適切な治療を受けるようにしましょう。 まだ症状が出ていない方、そして年齢的にもまだまだ若い方は、脊柱への過剰な負荷がかからないように、今のうちから姿勢や体の使い方を見直し、予防に努めましょう。 ▼脊柱管狭窄症でのお悩みは、再生医療という治療方法があります。手術や入院を避けることができる最新療法です。当院までお問い合わせ下さい。 https://www.youtube.com/watch?v=3yN5q8_ATpc No.S103 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2024.03.22 -
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脳梗塞は、遺伝的要因があります。ただその他にも食事が関係します! 脳梗塞は日本でも死因上位の病気であり、脳梗塞のリスクとして食生活や遺伝が関係しています。 健康的な食事を摂ることは、高血圧 、糖尿病、高コレステロール (脂質) 、冠動脈疾患、肥満などの脳梗塞のリスクを減らすことがわかっています。 そこで今回は、脳梗塞の遺伝についてや、摂るべき食事や控えるべき食事など、食事方法について詳しく説明したいと思います。 脳梗塞は遺伝する!?「食事」が関係する理由 脳梗塞の発症には多因子の関与が知られており、この多因子は大きく後天的要因と遺伝的要因に分けられます。 それぞれ解説していきます。 脳梗塞の遺伝的要因 遺伝的要因としては年齢 、性別 、人種 、家族歴 、高血圧 、糖尿病 、高脂血症 、肥満 、過凝固状態(血液が固まりやすくなること)などの要素が挙げられます。 以下の3つに関してより詳しく解説していきましょう。 脳梗塞の遺伝的要因 ・年齢 ・性別 ・家族歴 脳梗塞はどの年齢でも発生する可能性がありますが、リスクは 1 歳未満の乳児と成人で高くなります。成人では、リスクは年齢とともに増加します。また、若い年齢では、男性は女性よりも脳梗塞を起こす可能性が高くなります。 しかし、女性は長生きする傾向があるため、脳梗塞になる生涯リスクは高くなります。また、経口避妊薬やホルモン補充療法を使用している女性や、妊娠中および出産後の数週間もリスクが高くなります。 脳梗塞の家族歴に関しては、親または他の家族が脳梗塞を発症したことがある場合、特に若い年齢で脳梗塞を発症するリスクが高くなります。 後天的要因とは?体質の遺伝は食事と関係する そして後天的要因として、食事などの生活習慣なども関与し、危険因子と呼ばれます。この後天的要因によって、脳梗塞が遺伝すると考えることもできます。 脳梗塞は稀ではありますが、遺伝に関係しているものはあります。ほとんどの場合は生活習慣、特に自宅で食べる際の食事の味付けに由来しています。 例えば塩辛い味が美味しいと感じる場合は、小さい頃から味付けが濃い食事を食べ続けたことが影響していると言えます。 つまり、脳梗塞の家族歴があると、食生活も家族と同じようなものになる傾向があるため、高血圧症になりやすい体質が遺伝する可能性が高く、同様に発症リスクが高くなるという考え方です。 脳梗塞と食生活との関係は? 脳梗塞後は、よく食べることが回復の鍵です。健康的な食品を選ぶことで、血圧や体重をコントロールし、脳梗塞を再発するリスクを減らし、治療やその他の日常活動の負担を軽減することができます。 その際、食べてはいけないものはあるのでしょうか?どのような食事を摂り、どのような食事を控えた方がいいのか解説していきます。 脳梗塞の時に摂るべき食事 基本的には脂肪分の少ない食事を心掛けましょう。 ・穀物や青魚 ・野菜(食物繊維): 栄養豊富な濃い緑色とオレンジ色の野菜など ・果物: 冷凍、またはドライフルーツ ・乳製品: 低脂肪または無脂肪の乳製品 ・タンパク質: 低脂肪または赤身の肉、鶏肉など 上記のような食事をバランスよく摂ると、発症リスクを抑えることが可能です。 脳梗塞の時に控えるべき食事 続いて控えるべき食事は以下です。 ・トランス脂肪酸 ・アルコール ・塩分加工食品 ・糖分の多い食品 トランス脂肪は、水素化と呼ばれるプロセスによって、不飽和植物油がより飽和したものに変わるときに形成され、高コレステロールと心血管疾患のリスク増加にも関連しています。 脂肪に関してはバターやマーガリン、またはラードからのものは極力制限しましょう。 脳梗塞の食事療法とは? 脳梗塞の時に摂るべき食事、控えるべき食事、さらに具体的にどのような工夫をすればいいか解説していきます。 ①毎食さまざまな色の野菜を取り入れる 果物や野菜に含まれる栄養素をバランスよく得るためには、毎食、さまざまな色の食品を選ぶことが重要です。 濃い赤、オレンジ、鮮やかな黄色、濃い緑、青、紫など、さまざまな色の果物、野菜、豆類を選択することで、さまざまな栄養素を確実に取り入れることができます。 ②飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールの摂取を制限する 脂肪やコレステロールは体の健康のために必要ですが、血中のコレステロールが多すぎると、脳梗塞や心臓病のリスクが高まる可能性があります。 飽和脂肪酸などは、肉、チーズ、卵黄、バター、アイスクリームなどの動物性食品、および一部の植物油 (パーム、ココナッツ) などに含まれています。 これらの食品から摂取する飽和脂肪、トランス脂肪酸、コレステロールの量を制限することが、脳梗塞予防の鍵となります。 ③食物繊維の多い食品を選ぶ 食物繊維はコレステロールと心血管疾患の全体的なリスクに関連しています。 食物繊維の摂取量は、コレステロール値や脳梗塞のリスクに影響するだけでなく、血糖値をコントロールし、胃や腸などの病気を予防し、体重管理に役立つなどの利点があります。 ④食事中のナトリウムを減らす ほとんどの人が、必要以上にナトリウムを摂取しています。ナトリウムを摂りすぎると、体液が貯留し、血圧が上昇する可能性があります。 塩分を減らす方法としては、食卓塩の代わりにハーブやスパイスを使用しましょう。塩味が控えめでも、風味が豊かになることで満足感を得ることができるのでおすすめです。 また、ナトリウムは食品の保存にも使用されるため、食品を加工すればするほど、ナトリウム含有量が高くなります。したがって、加工食品や缶詰食品を使用しないことも大切です。 ⑤健康的な体重を維持する 脳梗塞のリスクを減らすためのもう 1 つの重要な戦略は、健康的な体重を維持することです。 食事量に注意して、食物繊維が多く脂肪の少ない食品を食べる、活動を増やすことで、健康的な体重を達成することができます。減量は無理なく続けることが大切です。 きちんと計画を立てて、最初から現実的に達成可能な短期、又は長期の目標を設定して行うことが成功のポイントです。 ⑥糖分の摂取を減らす 糖分の過剰摂取は、高血圧、肥満、2 型糖尿病、脂質異常症と関連しており、これらはすべて脳梗塞の危険因子となっています。 砂糖の例としては、白砂糖、黒糖、蜂蜜、糖蜜、ゼリー、ジャム、加糖飲料などがあります。使用頻度を減らすか、使用する量を減らすことが推奨されています。 ⑦カリウムを十分にとる カリウムは果物、野菜、乳製品に豊富に含まれていますが、ほとんどの成人はカリウムを十分に摂取していません。 カリウムを摂るためには、バナナ、アプリコット、オレンジ、メロン、リンゴなどの果物がおすすめです。野菜には、じゃがいも、さつまいも、ほうれん草、ズッキーニ、トマトなどがあります。 適切な心機能を維持するためには、十分な食事性カリウムの摂取が必要不可欠です。 脳梗塞のリスクについて食事療法で気をつけるべきことは? では、食事療法の工夫の次に、注意点についても見ていきましょう。ただ単に食事内容に気をつけるだけではなく、以下のような注意点もあります。 ①肥満予防:食べる量に気をつける 満腹になるまで食べないことです。肥満を防ぐためにも常に8割くらいに抑えて、食事量を調整しましょう。 ②脱水症状予防:水分を一緒に摂る 水分不足にならないように、食事と共に必ずこまめに水分摂取してください。ただし、水分を摂るといっても、以下のような水分は推奨されません。 水分不足は、血流が滞り血栓ができやすくなる原因と言われています。水または麦茶など、カフェインの入っていない飲み物は利尿作用がなく、水分の排出が少なく済むのでおすすめです。 水分でも以下は推奨しない ・アルコール ・コーヒー、緑茶 ・甘いジュース ③誤嚥予防:嚥下障害に気をつける 脳梗塞の後遺症として、飲み込みづらさなどがあり、飲み込みづらい場合は、ベット上で頭を上げるなど工夫して食事療法を行います。誤嚥性肺炎などを引き起こす可能性もあるため、水分や固形物を飲ませる場合は、嚥下機能の評価を行ってからにしましょう。 まとめ・脳梗塞の遺伝的要因と後天的要因のリスク回避に食事療法を! いかがでしたでしょうか。脳梗塞は食事療法を行うことで、予防できることもあります。 今回の記事でご紹介した、摂るべき食品、控えるべき食品を考えた食生活をすることで、血圧や体重をコントロールし、脳梗塞を再発するリスクを減らし、治療やその他の日常活動の負担を軽減することができます。 より健康的な食事を摂るためにも、困った点があれば、栄養士に相談することも大切です。 今回の記事をご参考にしていただき、ぜひ改善に取り組んでみましょう。ご参考になれば幸いです。 No.S099 監修:医師 加藤 秀一 ※脳梗塞の後遺症でお悩みなら、再生医療という先端治療法があります。再生医療は、多くの症例数を有する当院までお問い合わせください。 ▼以下も合わせてご覧ください 脳梗塞患者の家族が、看護で注意すべきポイントとは
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脊柱管狭窄症の手術|入院期間や費用、手術からリハビリまでの流れ 「脊柱管狭窄症の手術はどれくらい入院するの?」 「手術費用がいくらかかるか不安」 脊柱管狭窄症は足の痺れや痛みで歩けなくなる病気で、症状が悪化すると手術による治療が必要になります。 どのような手術やリハビリをするかはもちろんですが、入院期間や費用がどのくらいかかるかが気になる方も多いのではないでしょうか。 そこで、脊柱管狭窄症について、手術からリハビリまでの流れ、入院期間や必要な費用を詳しく解説します。 脊柱管狭窄症とは?原因とその症状 脊柱管狭窄症はさまざまな原因により、背中にある神経の通り道が狭くなり、神経を圧迫することで症状を引き起こす状態です。 まずは脊柱管狭窄症についての理解を深めるために、原因や症状を紹介します。 脊柱管狭窄症の原因 多くの場合は、加齢により「脊柱の変形による神経の圧迫」が原因となります。 脊柱は小さな積み木のような骨が積み重なってできており、後方の脊柱管という空間に脳から伸びた神経(脊髄:せきずい)が通っています。また、脊髄から枝分かれした神経は脊柱の左右の隙間を通って、手足につながり感覚や運動を司っています。 脊柱の変形のため、これらの通り道が狭くなってしまうと、神経にダメージを与えてしまい、脊柱管狭窄症の症状につながるのです。 加齢による変形の他に、骨の代謝障害や生まれつきの変形によるものなどがあります。 脊柱管狭窄症の症状 お尻から脚全体にかけての痺れや痛み、脱力といった神経の症状が特徴です。 また、ある程度の距離を歩くと痛みや痺れなどが悪化して歩けなくなるものの、数分間休憩して前屈みの姿勢をとると再び歩けるようになる間欠性跛行(かんけつせいはこう)という症状がみられます。 症状が悪化すると排泄の障害や性機能が不全になるなどの膀胱直腸障害(ぼうこうちょくちょうしょうがい)がみられます。 脊柱管狭窄症の治療方法について 脊柱管狭窄症の治療は、保存療法と手術療法があります。まず選択されるのは、手術をしない保存療法です。 脊柱管狭窄症の保存療法 保存療法は次のようなものがあります。 ・薬物療法 ・神経ブロック注射 ・運動療法 ・生活指導 薬物療法は、痛み止めや神経の働きを改善する薬を服用します。 神経ブロック注射は、傷害された神経に麻酔薬を注射して一時的に神経働きを麻痺させ痛みの軽減や神経症状の改善を目的とします。 また、運動や生活の工夫で腰部の負担を軽くして、症状の改善や悪化予防を図ります。 それでも回復しなかったり、症状が悪化したりする場合は、手術の適応となります。 脊柱管狭窄症の手術療法 脊柱管狭窄症の手術は大きく分けて「除圧術」と「除圧固定術」の 2 種類あります。 1 つ目は、神経を圧迫している背骨の一部を取り除いて、圧迫されている部分の除圧をする手術(除圧術)です。 もう 1 つは、除圧術をしたあとに、その部分を別の箇所の骨を移植して固定する手術(除圧固定術)です。 背骨が狭窄だけでなく、ずれがあったり変形が強かったりする場合、除圧術をすると背骨の関節が不安定になってしまいます。そのため、除圧に加えて固定をする必要があり、除圧固定術が適応となります。 最近では小型のカメラを使用して、わずかな傷で手術を行う内視鏡での手術が多くなっています。手術は全身麻酔で行われ、手術箇所や状態によりますが 1〜3 時間以内で終了することが多いです。 傷口が小さくて回復も早いため、従来の切開して行う手術に比べて入院期間が短くなっています。 脊柱管狭窄症の入院期間と費用 脊柱管狭窄症は状態に合わせて手術の方法が異なるため、入院期間や費用は手術内容に応じて変わってきます。 そこで、手術ごとの入院期間や費用の目安を紹介します。 入院期間の目安 内視鏡を使用した手術の場合、入院期間は 1 〜 2 週間程度です。 病院や状態によっては 1 週間以内で退院が可能になる場合もあります。 入院期間は除圧術の方が固定術に比べて短く、手術箇所が多いほど入院が長くなる傾向にあります。 また、脊柱管狭窄症にヘルニアなどの合併している場合も入院期間が長くなります。 費用の目安 費用は除圧術の場合、25 万円〜 40 万円程度になります。 除圧固定術は除圧術に比べて費用がかかり、 60 万円〜 85 万円程度になります。 術式や入院期間、リハビリの量などによって差が出ますので、手術を検討する病院でしっかり確認をしましょう。 脊柱管狭窄症の手術からリハビリまでの流れ 脊柱管狭窄症で内視鏡手術をした場合、早期からベッドを離れて、体を動かすことができます。 そこで、手術からリハビリまでの流れについて解説します。 手術の翌日からリハビリ開始 手術当日は安静にしますが、翌日からリハビリが始まります。 ベッドから起きたり、座ったりという動きを確認したあと、経過が良好であれば、コルセットを装着して歩くことも可能です。 コルセットは術後の背骨が安定するまで約 3 カ月間装着する必要があり、手術の翌日から正しい装着方法を習得することが重要です。 2日目以降は状態に応じて積極的なリハビリを実施 2 日目以降は歩行練習を含めて、活動的な生活を送るためのリハビリがしっかり行われます。 歩行が安定してくると、階段の昇降や屋外での歩行も開始して、退院が可能な状態まで回復を目指します。 中腰の作業や重い荷物を持つなどは腰に負担がかかるため、しばらくは行ってはいけません。 退院までに日常生活での注意点もしっかり理解を深めておくことが重要です。 退院後も必要に応じて外来でのリハビリを受けることがあります。 脊柱管狭窄症の手術内容やリハビリまでの流れを知って不安を減らそう 脊柱管狭窄症は症状が悪化して、手術を勧められても、手術の費用や入院期間やリハビリまでの流れを知らないと不安になるのも仕方ありません。 紹介した情報を知ることで、少しでも不安を減らしていただければ幸いです。 脊柱管狭窄症により神経症状が悪化すると、日常生活を送るのに支障をきたします。手術が必要になる前に、早めに整形外科を受診し、症状の悪化を防ぎましょう。 ▼こちらの動画もご参考になれば幸いです。術後後遺症でお困りでしたら当院にご相談ください。 https://youtu.be/3yN5q8_ATpc No.102 監修:医師 坂本貞範
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脳梗塞の後遺症を改善するリハビリの方法と期間の目安とは 脳梗塞の後遺症で次のような悩みを抱えている方はいませんか? 「脳梗塞の後遺症を改善する方法について知りたい。」 「脳梗塞のリハビリについて具体的な方法を知りたい。」 脳梗塞を発症後、適切な治療を受けても後遺症が残ることがほとんどです。脳梗塞の後遺症を改善し、元の日常生活に戻るためにも、長期間のリハビリが欠かせません。 そこで今回は、脳梗塞の後遺症や改善する方法、脳梗塞のリハビリについて具体的に説明いたしますので、ぜひ参考にしてください。 脳梗塞の後遺症を改善するために! 脳梗塞には、さまざまな後遺症や合併症があり、治療後、回復の仕方もさまざまです。 脳梗塞の改善に向けたリハビリは、自立生活に必要な身体の状態や動作などなを取り戻し、生活の質を向上させるのに役立ちます。脳梗塞の影響を受けた脳の部分に応じて、さまざまなリハビリを行わねばなりません。 脳梗塞の後遺症の改善には、多くの専門家が関わります 以下のように脳梗塞の後遺症を改善させるためにはリハビリを含めて医療機関のさまざまな職種の専門家が関与します。 医師や看護師 かかりつけの医師は、神経科医や理学療法とリハビリテーションの専門家と同様に、あなたのケアを指導し、合併症の予防に役立ちます。 理学療法士 ウォーキングやバランスの維持などの動きを再学習するのに役立ちます。 作業療法士 着替え、入浴、家事のスキルなどのより自立した活動的な生活を送るのをリハビリを通して助けます。 改善に向けてさらに感情的、社会的なリハビリに焦点を当てた専門職もあります。 ソーシャルワーカー ソーシャルワーカーは、医療、福祉、介護などにおいて、相談員として支援を行い、日常生活を送る上で、困り事や問題を抱えている方に対して援助や支援の調整を行います。 心理学者 これらの専門家は、あなたの思考スキルを評価し、あなたの精神的および感情的な精神衛生上の懸念に対処するのに役立ちます。 脳梗塞の改善結果に影響を与える要因は? 脳梗塞の改善には個人差があります。 どれほどの能力を多く改善させられるか、また期間的にどれくらい早く改善できるかを予測するのは困難です。一般的に、脳梗塞の改善に向けたリハビリの成功には次のような要素に依存します。 身体的要因 脳梗塞の重症度など 感情的要因 モチベーションや気分など 社会的要因 友人や家族のサポートなど 治療上の要因 リハビリの早期開始や有無やリハビリチームのスキルなど 改善率は一般に、脳梗塞後の数週間から数ヶ月で最も大きくなります。脳梗塞後の改善に向けたリハビリは、長期間にわたって必要であり、途中で挫折してしまうことにないよう、改善に向けたリハビリで最大の効果を得るためには長時間かかることを理解しておくべきです。 脳梗塞後のリハビリ、具体的な方法と期間の目安 脳梗塞を改善させるために行うリハビリは計画的に行わねばなりません。その方法は、脳梗塞の影響を受けた体の部位や能力の種類によって異なり、主に以下の3つの時期に分けられます。 ①急性期のリハビリ ②回復期のリハビリ ③維持期のリハビリ ①急性期のリハビリ : 脳梗塞発症後〜 48 時間以内 ・急性期のリハビリとしては、運動機能の改善などが含まれます。 運動機能の回復訓練 全身の筋力と協調運動を改善するのに役立ちます。これらには、バランス、歩行、さらには飲み込むために使用される筋肉が含まれます。 歩行器、杖、車椅子、足首装具などの移動補助具の使い方を学んだり、ベッドから立つ、座るなどの離床訓練も必要です。 関節の可動域訓練 特定の運動や治療は、筋肉の緊張(痙縮)を緩和し、可動域を取り戻すのに役立ちます。看護師や理学療法士が行う他動的運動と自分で動かす自動運動に分けられます。 ②回復期のリハビリ : 3〜6 ヶ月 ・回復期では、日常生活に戻ることを目的とし、主に以下のようなリハビリを行います。 機能的電気刺激 弱った筋肉に電気を流して収縮させることで、筋肉に運動の仕方を再学習させることができます。 ロボット訓練 ロボット装置は、障害のある手足が反復運動を行うのを支援し、手足の強さと機能を回復するのを助けます。 言語機能訓練 失語症などの後遺症が残ったら、読み書きや言葉の言語機能の訓練を行います。 作業療法 作業療法と言語療法は、記憶、処理、問題解決、社会的スキル、判断力、安全意識などの認知能力の喪失を手助けすることができます。 心理的評価と治療 脳梗塞後の後遺症として心理的なケアも大切です。カウンセリングを受けたり、支援グループに参加したりすることもできます。 ③維持期のリハビリ : 回復期以降 ・維持期では退院後に主に日常生活を取り戻すためにストレッチなどの軽めの運動から始めます。 退院前に、患者さんとその家族は、病院のソーシャルワーカーやケアチームと協力して、最適なリハビリ環境を決定する必要があります。 ここで考慮すべき要因には、適用される保険、患者さんとその家族にとって何が最も便利かなどがあります。 病院の外来 病院または診療所の外来に通います。 専門的な介護施設 介護施設で受けられるケアの種類はさまざまです。 自宅でのリハビリ 自宅でリハビリを行うことで、柔軟性が高くなります。ただし、専門のリハビリ機器を利用できない可能性があります。また、在宅プログラムの保険適用範囲は大きく異なります。 最良の選択肢について、医師や家族としっかりと話し合うことが大切です。 脳梗塞の後遺症を改善するため、リハビリで気をつけるべきポイントとは? 脳梗塞の後遺症を改善するためにリハビリが有効ですが、気をつけるべきポイントについてみておきましょう。 残された能力も同時に鍛えながらリハビリを行うこと 失われた機能を取り戻すことに執着しがちですが、健常な機能を維持することも大切です。 例えば、片麻痺で健常な方を鍛えることで、後遺症を残した部位のサポートを行うことが可能です。バランスよくリハビリを行うことを心がけましょう。 リハビリは無理をせずじっくり行うこと リハビリはすぐに効果が出るわけではないため、焦らないことが大切です。 また、痛みが出たら、リハビリは中止しましょう。無理にリハビリを行うと逆効果になってしまいます。 脳梗塞の後遺症を改善するリハビリ、よくあるQ&A 最後に、よくある質問について Q & A でまとめましたので、参考にしてください。 Q ,脳梗塞のリハビリはいつから始めるべき? A ,一般的には、脳梗塞のリハビリを開始するのが早ければ早いほど、失われた能力やスキルを取り戻せる可能性が高くなります。 脳梗塞のリハビリは、脳梗塞発症後 24 時間から 48 時間以内の入院中に開始するのが一般的です。 Q ,脳梗塞のリハビリはどのくらい続けますか? A ,脳梗塞リハビリが必要な期間は、脳梗塞の重症度と関連する合併症によって異なります。ほとんどの場合、長期間にわたるリハビリが必要であり、数か月または数年続く可能性があります。 まとめ・脳梗塞の後遺症を改善するリハビリの方法と期間の目安が知りたい いかがでしたでしょうか。 脳梗塞の後遺症は、適切な治療とリハビリを行って改善を目指すことができます。その為には、退院後の日常生活でも継続的なケアが必要になってまいります。 今回の記事では、実際のリハビリの方法や気をつけるべき点について解説してきました。脳梗塞から早く仕事復帰するためには、入院期間中早い段階からのリハビリを適切に行うことが不可欠です。 今回の記事で、改めてリハビリについて理解を深めて頂き、活用してみてください。 No.S101 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下も参考にされませんか 20代、30代の若年性脳梗塞について|要注意「まだ若いから」と油断は禁物!
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側弯症の手術で後悔しない為、そのメリットとデメリット 小学生の時に学校検診で前屈の動きをした覚えはありませんか? あの動き、実は側弯症を見極めるテストの一つなんです。なぜ成長期の時期に側弯症の健診があるのでしょうか? 本記事ではそんな疑問にお応えすべく、放っておくと実は怖い側弯症について、様々な治療法をメリット・デメリットとともにご紹介していきます。 側弯症とは 側弯症とは、背骨(脊柱)が前から見た時に曲がっている(捻れている)状態のことを言います。側弯の程度は個人差が大きく、背骨の曲がり方の指標である『コブ角』の測定が重要となります。 側弯症により痛みを伴うことは少ないですが、見た目の問題で心理的ストレスを感じたり、高度の側弯で肺活量の低下などの呼吸機能障害が起こったりすることもあります。 背骨(脊柱)の役割 通常、背骨は前から見ると真っ直ぐになっており、横から見るとS字のカーブを描いています。この形状により、重い頭部を効率よく支えることができ、重力による背骨への負荷を減らすことができるのです。 側弯症の指標であるコブ角とは? 側弯症の説明で必ずと言っていいほど出てくる指標がコブ角です。これは、背骨の横方向への曲がり方を表す角度になります。 角度を測る際に用いられるのが、レントゲン画像です。背骨(椎体)の上下で最も曲がりの強い椎体から線を引き、その2つの線が重なってできた角度がコブ角になります。 出典:脊椎手術.com (https://www.sekitsui.com/specialist/sp014-html/) コブ角が大きければ大きいほど側弯が強い、という判断になります。コブ角の程度により治療方法の選択が変わりますので頭に入れておきましょう。 側弯症の種類と原因 側弯症は、大きく2つの種類に分類されます。 ・機能性側弯症 ・構築性側弯症 以下で詳しく解説していきます。 機能性側弯症とは 機能性側弯症とは、日常の姿勢や、仕事動作の反復、腰痛などによる逃避的な姿勢など、左右非対称に偏った姿勢を高頻度にとる人に多くみられる側弯症です。 機能性側弯症の場合、コブ角も小さいことが多く、根本となる姿勢の問題を改善することで解消できます。 構築性側弯症とは 構築性側弯症は、その中でもいくつか分かれており、側弯の程度も人により様々です。後述する装具療法や手術療法の適応となるのは、ほとんどがこの構築性側弯症になります。 構築性側弯症は以下の側弯症に分けられます。 ①特発性側弯症 ②原因疾患があり、二次的に発症する側弯症 それぞれ解説していきます。 ①特発性側弯症 特発性側弯症は原因不明の側弯症であり、構築性側弯症の大部分を占めます。 発症する時期により、 ・乳児期側弯症・・・3歳以下で発症 ・学童期側弯症・・・4〜9歳で発症 ・思春期側弯症・・・10歳以上で発症 このように分類されます。特に日本では思春期側弯症が多くみられます。 乳児期側弯症は 3 歳以下の男児に、思春期側弯症は 10 歳以上の女子に多いです。 学校検診で発見されることも多く、コブ角が少ない初期の段階では見逃されることも多いのですが、少しでも左右差があれば専門の整形外科への受診を勧められます。 進行のスピードには個人差があるため、1回のみでなく、定期的な受診により変形の程度を確認しましょう。治療の内容については後で述べますが、早ければ早いほど治療効果も高まります。 もし継続的な診察が必要だと言われたら、医師の指示に従い、そのまま放置しないよう注意してください。 ②原因疾患がある側弯症 もともと原因となる疾患がもとになって側弯症が引き起こされるものもあります。 それが以下になります。 ・先天性側弯症・・・背骨の一部である椎骨の先天的な変形によって起こる側弯症 ・症候性側弯症・・・筋ジストロフィーや脳性麻痺、レックリングハウゼン病、マルファン症候群、やけど、脊椎の腫瘍などに続発して起こる側弯症 挙げればキリがないほど、多くの原因疾患があります。 しかし、必ずしも側弯になるわけではありませんし、側弯の程度も個人差があるため、専門の医療機関でしっかりみてもらうことが必須となります。 構築性側弯症の治療方法 側弯症の治療方法はいくつかありますが、今回は構築性側弯症に絞ってご紹介します。 コブ角により推奨される治療方法が変わる 側弯症の程度を測る指標として最も用いられているものに、コブ角があります。 コブ角〜25°: 見た目にも分かりにくい状態。多くは経過観察。 コブ角25°〜40°: 見た目にも変形が分かるようになる。進行の防止および変形の矯正のために装具療法が用いられることが多い。 コブ角40°〜: 高度の側弯が見られる状態。場合によっては神経症状や呼吸機能の低下がみられる。手術療法により側弯を矯正する方法が推奨される。 出典:日本側弯症学会(https://www.sokuwan.jp/patient/disease/index.html) このコブ角の大きさにより、推奨される治療方法が変わります。 側弯症の治療方法①装具療法 装具療法では、進行しやすい成長期の段階で装着することが多いです。 側弯が進行しないようにすることが一番の目的であり、装具をしたからといって側弯した背骨が戻るわけではありません。骨の成長が終了するまで装具を装着し、できるだけ側弯の進行を抑える目的で処方されます。 基本的には装着時間が長ければ長いほど効果が高いと言われており、“お風呂以外の時間は装着”や、“家にいる時間は装着”、“24時間できるだけ装着”などと医療機関により多少ばらつきがあります。 しかし、装着時の違和感が強く、許可された時間以外でも外してしまうケースも多いです。 アンダーアーム装具(出典:日本側弯症学会 https://www.sokuwan.jp) 海外の権威ある研究においても16時間以上の装具装着により進行を抑えられたという報告もあることから、装着時間を守ることをオススメします。 側弯症の治療方法②手術療法 高度の側弯症に対しての唯一有効な治療法が手術療法です。 コブ角が50°を超えてしまうと、骨が成熟した後でも変形が進行する可能性があります。 変形が進行する=合併症の危険性が上がる、ということです 【高度な側弯】 ・変形が進行するリスクがある ・変形による他の合併症の恐れがある ・保存的治療(装具療法やリハビリ)では限界がある そこで、変形を矯正するための方法が手術になります。 現在は、手術技術や機器の向上により治療成績が格段に上がっているため、手術を推奨するケースが多いです。 側弯症の術前(左)と術後(右)(出典:日本側弯症学会 https://www.sokuwan.jp/) 上の写真を見れば、手術前と後での違いが一目瞭然ですよね。 側弯症の手術のメリット・デメリット いざ手術となると不安もでてきます。まず考えるのは、手術を受ける際のリスクだと思います。 「手術による後遺症はないのか?」「手術をしてもあんまり変わらないんじゃないの?」「手術で失敗したら怖い・・・」 このように考えてしまうのも無理はありません。そこで、手術をする、しないの選択に後悔しないように、手術によるメリットとデメリットについてお話します。 側弯症手術のメリット 側弯症の一番大きなメリットは、側弯の度合いを軽減させることができる、という点です。それにより、見た目が変わり心理的ストレスが改善されます。 また、側弯による呼吸器をはじめとした他の合併症のリスクを減らすことができます。基本的に現在の治療技術では、手術後でもほとんど前と同じような日常生活が送れます。 【側弯症手術のメリット】 ・側弯の矯正ができる ・側弯の程度の減少により心理的ストレスが改善できる ・側弯の程度の減少により呼吸器疾患などの合併症のリスクを減らすことができる ・手術後でも前と同じような日常生活を送ることができる そのため、以前に比べ手術を推奨する例が多くなっています。 側弯症手術のデメリット 側弯症に限らず、手術をする際には多少のリスクが伴います。また、手術後の過ごし方によって様々な問題を引き起こすこともあるのです。 まず頭に入れておいてほしいことは、手術後すぐには元の生活には戻れない、ということです。 手術後に最も重要なのは、処置した箇所の骨癒合(骨がくっつくこと)になります。骨癒合のためには、ある程度の安静が必要です。 背骨を過度に反らす、曲げる、捻る動きをとってしまうことで、金属挿入部が緩んでしまうことがあります。そうなると、再手術が必要となってしまうことがありますので、注意が必要です。 手術をするにあたり、神経に近いところにメスを入れます。どの手術でも言えることですが、小さい神経などを傷つけてしまうこともあります。 それにより麻痺や感覚異常などの神経障害が出てくる可能性もゼロではありません。 さらに、背骨の周囲には様々な臓器が隣接しています。そのため、呼吸器や循環器、泌尿器などの合併症を引き起こす可能性もあるのです。 また、手術後の創部管理が行き届いていないと、免疫が低下してしまうなどの理由で感染症を起こすことも考えられます。 【側湾症手術のデメリット】 ・手術後早期は術部に負荷のかからないような生活が必要 ・手術後は、ラグビーや柔道、バレーボールなどの激しくぶつかり合ったり、脊柱の大きな動きを伴うようなスポーツができない ・手術の侵襲により神経障害を引き起こすことがある ・手術の侵襲により他臓器の合併症を引き起こす可能性がある ・手術後の感染のリスクがある 手術にはこれらの危険性をはらんでいることを頭に入れて、後悔しないような選択をしましょう。 まとめ・側弯症の治療、手術で後悔しない為のメリットとデメリット 今回は、側弯症の病態からその治療方法、そして手術療法を行う上でのメリット、デメリットについてお話しました。 側弯症は専門性が求められる疾患であり、初期の状態では見過ごされることも多い疾患です。気になる症状があったり、治療方法で悩まれている方がいらっしゃいましたら、ぜひ専門家へ相談することをオススメします。 手術療法についてはデメリットも多く感じるかもしれませんが、昔と比べると格段と治療成績が良くなっています。 治療をより効果的なものにするためには、術後の過ごし方や変形を助長させないような対処が必要になります。 病態の理解、経過観察、治療の選択などが重要なポイントとなりますので、1人で悩まず専門家や家族と相談しながら側弯症と付き合っていきましょう。 ご参考になれば幸いです。 No.100 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.07.05 -
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【脳出血後の看護と介護】脳出血後の看護ケアや介護ケア、家族が注意すべきポイント 「脳出血後のケアはどうしたらいい?」 「脳出血後の看護ケアと介護ケアについて知りたい。」 脳出血後は、患者とその家族の両方にとって突然人生が変わりかねず、どうすれば良いのか悩む方も多いのではないでしょうか? 脳出血後の患者はほとんどの場合、複数の薬や治療が必要になるため、リハビリの道のりは非常に長く、困難になる可能性が高くなります。 何よりも、脳出血後の患者の精神的、社会的な負担も計り知れません。元通りの生活に戻るには、看護師、介護士、友人、家族からのサポートが何よりも必要です。 そこで、今回の記事では、脳出血後の看護ケアや介護ケア、家族が注意すべきポイントについて含めて説明します。 脳出血後は後遺症が残る 脳出血とは、高血圧などによる動脈硬化症による血管の破裂により、脳の実質内に血液が流出する状態です。脳出血は死亡率が高く、最も致命的な病気の 1 つになっています。 脳出血後は、多くの合併症に苦しむ可能性があり、主に以下のような後遺症を残します。 ・運動麻痺 右上下肢や左上下肢が動かなくなり、歩行困難になることもある ・感覚障害 触覚や痛覚などの感覚が鈍くなったり、逆に過敏になる ・視覚障害 視野が狭くなったり、物が二重に見えたりする ・失語症 言葉の理解が悪くなったり、単語が出づらくなる ・構音障害 ろれつが回りにくくなる ・半側空間無視 片側の空間認識ができなくなる ・嚥下障害 食べ物が飲み込みにくくなる これらは患者とその家族の両方に著しく影響を与える可能性があります。 脳出血後の看護ケアについて では、実際の看護ケアについて考えていきましょう。観察項目について説明していきます。 観察項目とは、治療の効果、患者への適応を判断するために行います。 看護ケアにおける7つの観察項目 看護ケアではどのような項目について観察するべきなのか解説していきます。 脳出血後の入院中は、特に意識レベル、血圧の管理などを厳密に管理します。 ①意識状態 Glasgow Coma Scale (GCS) やJCSを通じて意識状態を評価し、新たな神経学的徴候の出現を確認します。 ②呼吸 入院中の呼吸管理としては、患者の頭をわずかに上げた位置に保ち、酸素飽和度(SpO2)を監視します。 呼吸抑制がある場合、カニューレを装着したり、マスクを用いて酸素を投与するなどして、呼吸を補助します。 ③血圧と心拍数 血圧と心拍数を頻繁に検出しましょう。特に血圧のコントロールは、血管痙攣による虚血性の合併症を避けるために必要です。収縮期血圧140mmHg未満を目指しましょう。 ④電解質バランスの変化(輸液管理) 輸液などで毎日の電解質のバランスを保ち、時間ごとの利尿を監視し、多尿または乏尿があれば、必要に応じて輸液量を調整します。 ⑤口腔内衛生や姿勢、褥瘡管理 1日に数回、口腔内を丁寧に掃除してください。 褥瘡管理は頻繁に体位変換を行う必要があり、片麻痺側の持続時間は健康な側の持続時間よりも短くする必要があります。床ずれ対策(エアマット、枕)を行いましょう。 また、姿勢管理では麻痺した手足に特に注意を払い、正しい姿勢をとります。 ⑥嘔吐、吐物管理 脳出血後は、予期せぬ嘔吐が出現しやすくなります。 嘔吐の場合は、気道が確保できているか確認し、誤嚥による肺炎の発生を回避する必要があります。 ・側臥位にする ・口の中の異物を吐き出させ、分泌物を吸引する 素早い判断で適切な対処を行うことが、とても重要です。 ⑦発作や薬の管理 発作時には、医師の指示に従って、抗けいれん薬を投与し、定期的に気道の状態を評価します。 また、血管内治療を受けた患者は、再出血を防ぐ薬を継続する必要があり、看護師は薬を飲めているか確認します。 脳出血後の介護で家族が知っておくべきこと では、続いて脳出血後に家族が自宅などで気をつける介護ケアについて解説していきます。 入院中は看護師やその他多くの専門職によってリハビリなどが行われますが、退院後は、家族が中心になってケアを行なっていく必要があります。 ほとんどの患者は、初期治療とリハビリ後に自宅で介護を受けることを選択します。 ①要介護認定は早めに受けるべき 脳出血などは特定疾病ですので、40歳以上であれば要介護認定を受けられます。 在宅介護の場合は、訪問介護や訪問入浴介護、自宅のバリアフリー化、福祉用具レンタル・購入などの在宅介護サービスを受けることができます。 ②在宅介護サービスを活用する 在宅介護サービスは、脳出血後の症状が残っており、比較的状態が安定している患者に推奨されるケアサービスです。 内容としては毎月の医師の診察、継続的なモニタリング、24 時間対応の電話応対などが含まれています。 在宅介護には、以下のようなメリットがあります。 ・長年住み慣れた自宅で生活できる ・経済的負担が少ない ・家族と一緒にいられるので安心感が生まれる ぜひ、このようなケアサービスも活用しましょう。 ③住宅改修で自宅の環境整備を行う 在宅介護を行う際は、補助器具と環境整備も行う必要があります。 患者が障害を抱えながら生活できるように、補助器具の使用や家庭環境の改善に取り組みます。 ④施設介護サービスも検討できる 自宅介護の他にも、施設サービスも検討しましょう。 自宅での介護が難しい場合は、日帰りでリハビリや介護などのケアを受けられるデイサービスやデイケアがあります。 在宅介護に比べて以下のようなメリットがあります。 ・専門性や高い介護ケアが受けられる ・介護をする家族の時間や精神的苦痛が少ない 家族の介護とはいえ、仕事との兼ね合いや子育て中であれば、精神的にも肉体的にも大変なことがあるかと思います。そんな時は、安心してお任せできる、施設の利用を検討するのもひとつかもしれません。 脳出血後の看護、介護に関するよくあるQ&A 最後によくある質問についてもまとめましたので、参考にしてください。 Q,要介護認定の相談は誰にすればいいですか? A,退院後の相談としては、医療ソーシャルワーカーなどに相談できます。 Q,要介護認定の方法は? A,要介護認定の申請方法としては、申請書の他に介護保険被保険者証や身分証明書などを準備して、役所の介護保険の担当課へ行きます。 申請手続きを済ませると、後日担当者が聞き取りによる認定調査に来ます。 まとめ・【脳出血後の看護と介護】脳出血後の看護ケアや介護ケア、家族が注意すべきポイント 脳出血後の入院中の看護や退院後の介護ケアは、患者さんがもとの日常生活に早く戻るためにもとても大切です。 退院後の介護ケアでは家族のサポートが不可欠なので、自分だけで抱え込まず、家族間でよく話し合う必要があります。時に、在宅介護と施設介護を上手く取り入れ、併用していくことも検討してみましょう。 今回の記事が看護や介護に向き合われる皆さまのご参考になれば幸いです。 No.101 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.06.30 -
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鎖骨骨折の症状?見た目の特徴、治療法と後遺症を解説します 以下のような症状がある場合、もしかすると鎖骨を骨折しているかもしれません。 ・事故のあと鎖骨が盛り上がっている気がする ・転んだあと鎖骨が痛む 骨折を放置すると、症状が悪化するばかりか、骨折が本来とは違った形、ずれた状態で”くっついて”しまう可能性もあります。 今回は鎖骨骨折について、骨折時の見た目の特徴や症状、治療法、後遺症について詳しく解説します。 鎖骨骨折の症状は?見た目でわかる?! 鎖骨骨折は全ての骨折のうち約10%を占める比較的頻度の多い骨折です。 交通事故やスポーツなどで腕を後ろにそらしたり、肩を下にしたりして転ぶと、地面についた衝撃が鎖骨に伝わって骨折してしまいます。 また、鎖骨に直接強い衝撃が加わって骨折する場合もあります。体の表面にあり確認しやすい骨なので、外見にもわかりやすい症状がみられる骨折です。 どのような症状があるのか、具体的に紹介します。 見た目の特徴:皮膚が盛り上がる 鎖骨はS字にカーブした長細い骨で、筋肉など厚みのある組織に覆われていないため、骨折時の見た目で分かることも少なくありません。 鎖骨は、中央1/3の部分で骨折することが多く、鎖骨の外側は腕の重さなどの影響で下にずれやすく、内側は首の筋肉の力で上にずれやすいという特徴があります。 そのため、骨折により骨がずれてしまうと、鎖骨の内側の部分が飛び出し、皮膚が上に盛り上がったような見た目になるのが特徴です。 また鎖骨が浮き上がらないように支えている烏口鎖骨靭帯(うこうさこつじんたい)が損傷した場合も鎖骨をおさえる機能が低下して、鎖骨が浮き上がりやすくなります。 骨がずれて重なってしまうことで、折れた方の肩幅が狭くなったように見える場合もあります。 鎖骨や肩の痛み 鎖骨は胸の中央にある骨(胸骨)や肩甲骨と合わせて関節を作っています。 肩甲骨は腕を上げたりおろしたりといった運動に関わり、肩甲骨と鎖骨でできる関節(肩鎖関節:けんさかんせつ)も、腕の運動に重要な役割を持っています。 そのため、鎖骨の骨折をすると肩を動かす場合に鎖骨に負担がかかり、痛みが生じることがあります。 肩の動きが制限される 前述のように鎖骨は肩の動きと関係するため、鎖骨を骨折すると腕を上げにくかったり、広げにくかったりといった制限がみられます。 腫れやアザができる 骨折による炎症症状で患部が腫れたり熱をもったりします。また、骨折による出血のため、アザがみられることがあります。 血流の障害や痺れ さらに、鎖骨は首の近くにある血管や神経を守る役割も担っています。 事故などで鎖骨に強い衝撃が加わったときに、周辺にある血管や神経も一緒に損傷される場合があります。その場合、血の流れが悪くなる血行障害や神経損傷による手の痺れや痛みといった症状がみられます。 鎖骨骨折の治療法 治療は手術をしない保存療法が基本ですが、骨が大きくずれてしまっている場合は手術を選択することがあります。 それぞれの治療方法について解説します。 手術しない保存療法 第一に選択されるのが、三角巾や鎖骨バンド(クラビクルバンド)と呼ばれる装具をつけて、骨折部が動かないように固定する治療です。 胸を張り、両肩を強く後ろに引いた状態で固定することで、鎖骨の変形を矯正して、骨を正しい位置でくっつけることになります。 入浴時以外はバンドをつけて生活して、入浴の際は骨折している方の手で体を支えない、90°以上の高さに腕を上げないという注意点があります。 固定の期間は4〜6週間が目安ですが、年齢が若いほど骨がくっつくのが早いため、固定期間が短くなりやすいです。 固定により腕を上げる制限がみられた場合は、リハビリで改善を図る場合があります。 骨のずれがひどい場合は手術療法 骨のずれが大きい場合や骨が砕けてしまうような骨折の場合は、手術が選択されます。 また仕事の都合できるだけ早く社会復帰を希望して、手術を選ぶ場合も少なくありません。手術療法だと、手術した後すぐにリハビリで腕を動かすことができるので、動作が改善しやすいというメットがあります。 手術は針金のようなワイヤーを鎖骨に通したり、プレートで支えたりして体の内側から鎖骨を固定します。 入院期間は手術の方法により異なり、必要に応じてリハビリを行います。 鎖骨骨折の後遺症 骨折した部分のずれがひどいと、元の位置に戻そうとしても十分な位置に戻らず、ずれたまま変形して骨がくっつく(変形治癒)という後遺症の可能性があるため、注意が必要です。 また、鎖骨の外側は平らな形をしており、折れた場合にくっつきにくいという特徴があります。くっつかずにそのままにしておくと、そこが別々の骨に分離した状態になり、まるで関節ができたようになります(偽関節:ぎかんせつ)。 いずれにしても、このような後遺症があると、痛みが出たり、肩の動きが制限されたりします。そのため、後遺症ができるだけ残らないように、状態に応じた適切な治療の選択が重要になるのです。 まとめ・鎖骨骨折の症状?見た目の特徴、治療法や後遺症について 鎖骨骨折は、外見の特徴もあり痛みも強くなりやすいため、症状がわかりやすい骨折です。外傷によって起こり、症状や治療法、後遺症について理解して治療を進めましょう。 症状と外見 ・骨折による皮膚の盛り上がりや、骨が浮き上が見られます。 ・肩や鎖骨周辺に対する痛みや腫れ、アザなどが見られます。 ・構造上、肩の動きが制限されることがあります。 ・手の痺れや痛みが生じることもあります。 治療法について ・保存療法としては、三角巾や鎖骨バンドで固定し、骨を正しい位置に保ちます。 ・骨のずれが大きい場合や、骨が砕けている場合は手術が必要です。 ・手術後は早期のリハビリが大切になります。 後遺症 ・骨折を治さないままにすると「変形治癒」や、「偽関節」が生じる可能性があります。 ・後遺症によって痛みや肩の動きの制限が生じます 鎖骨骨折は早期の診断と適切な治療が重要であり、後遺症を最小限に抑えるためには専門医の指導に従って適切な治療を行うことが必要です。 そのため、紹介したような症状がみられた場合は、できるだけ早めに整形外科を受診しましょう。治療をせず放置すると、変形治癒や偽関節になったりといった後遺症が生じる危険性があります。 早めの受診で、適切な診断や正しい治療を受けて、後遺症を防ぐようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 No.099 監修:医師 坂本貞範 ▼鎖骨骨折について以下もご覧になりませんか 鎖骨骨折とは?!症状と手術の場合、入院期間とリハビリについて
最終更新日:2024.04.24 -
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くも膜下出血後の生活|手術と入院期間、治療後のリハビリを詳しく解説 「くも膜下出血の手術や入院について詳しく知りたい」 「くも膜下出血の後の生活はどのように送ればいい?」 このような悩みを抱えている方はいませんか? くも膜下出血は生活習慣病などが原因となり、突然発症する怖い病気です。大切なご家族が突然くも膜下出血になる可能性もゼロではありません。 具体的にどんな治療方法があり、入院期間はどのくらいなのか、治療後のリハビリの方法など気になる方もいることでしょう。 そこで今回は、くも膜下出血後の生活についてリハビリの方法を詳しく解説していきます。 くも膜下出血とは? くも膜下出血は、動脈瘤の破裂または頭部外傷などによって、くも膜と脳を取り囲む軟膜との間の、くも膜下腔と呼ばれる部位に出血が起こることで発症します。 発症すると重い頭痛を訴えますが、今までにないような頭痛を訴えて救急外来を受診した患者のうち、最終的にくも膜下出血を発症するのはわずか 10 %程度です。 関連する症状には、首の痛み、吐き気や嘔吐、羞明-しゅうめい-(異常に眩しさを感じること)などがあります。 くも膜下出血の手術について くも膜下出血の治療の一つとして手術を選択する場合があり、影響を受けた血管を修復し、動脈瘤が再び破裂するのを防ぐための手術を行います。 主に、「開頭クリッピング術」と「コイル塞栓術」と呼ばれる 2 種類の手術があります。 クリッピングとコイルのどちらを使用するかは、動脈瘤の大きさ、位置、形状などによって異なります。 コイルは、クリッピングよりも発作などの短期的な合併症のリスクが低いため、しばしば好まれる手術ですが、クリッピングよりも長期的な利点があるかは不明です。 ①血管内治療 : コイル塞栓術 血管内治療では、カテーテルと呼ばれる細い管を足や鼠径部の動脈に挿入し、血管を通って脳の動脈瘤に導きます。 次に、小さなプラチナコイルをチューブに通して動脈瘤に挿入し、動脈瘤がコイルで満たされると、再び破裂したりするのを防ぐことが可能になります。 ②開頭手術 : クリッピング クリッピングは開頭術とも呼ばれ、頭部に切り込みを入れ、動脈瘤の位置を特定します。そして、小さな金属製のクリップを動脈瘤の基部に取り付け、動脈瘤を密閉します。 時間が経つにつれて、クリップが配置された場所に沿って血管の内側の層が再生し、動脈瘤が永久に密閉され、再び破裂するのを防ぐことができます。 くも膜下出血の入院期間や費用は? 入院期間や費用に関しては、受ける治療内容や重症度によって左右されます。 治療内容に関しては手術以外にも保存治療もあります。また、コイルによる手術を受けた人は、クリッピング手術を受けた人よりも早く退院し、全体的な回復時間も短くなる可能性があります。 費用に関しては 3 割負担で 50〜70 万円程度と考えていいでしょう。手術内容や保険の内容によって以下のように異なります。 ・血管内コイル塞栓術:19〜55 万円 ・開頭クリッピング術:22〜65 万円 さらに、これらの種類の手術が緊急治療として行われる場合、入院期間は、受ける手術の種類よりも症状の重症度に大きく依存します。 どちらの治療を受けている場合でも、合併症を避けるために、しばらくの間注意深く監視する必要があり、基本的には、2 週間から 2 ヶ月程度は入院する必要があります。 くも膜下出血後の生活について くも膜下出血から元の生活に戻るまでの時間は、その重症度によって異なり、手や足の感覚の喪失や言語理解の問題(失語症)などの後遺症があるかどうかにも影響します。 重大な後遺症を残さないためにも早期のリハビリが必要 くも膜下出血後は少なからず後遺症が残るため、早期のリハビリが大切になります。 早期のリハビリ介入によって、くも膜下出血後の脳血管痙攣や再出血の頻度と重症度は軽減され、初期のリハビリテーションがいかに大切なのかわかります。 くも膜下出血のリハビリ方法 それでは具体的なリハビリ方法について以下の 3 つのステップに分けて説明したいと思います。 ①急性期 ②回復期 ③維持期 それぞれ詳しく説明していきます。 ①急性期リハビリ(治療後~14 日程度):廃用症候群の予防など 急性期には、身体の様々な機能がしにくくなり、褥瘡や足の血栓、感染症などさまざまな合併症が起こります。 また、ベッド上で動かず寝たきり状態になることで、筋肉が萎縮し衰え、関節が硬くなり運動機能が低下してしまうことを“廃用症候群”と言います。 この廃用症候群を予防するため、以下のようなリハビリを行います。 膝伸ばし運動 : 座った状態で片足の膝をゆっくり伸ばし、10 秒間保つ。 足の筋力運動 : 椅子に座り、背筋を伸ばして片足をゆっくり上げて下ろす 肩の上げ下げ運動 : 両肩を耳につけるイメージで、あげて下に落とす運動 手足の関節を動かす : 座った状態で手や足の関節を曲げて伸ばす 基本的には、座った状態でできる運動を行います。 ②回復期リハビリ: 日常生活動作の自立 急性期を脱し、病態や血圧が安定してきたら、症状の程度に応じて様々な回復期のリハビリに移りましょう。 日常生活を行う上で必要な基本動作が行えるよう運動機能を改善します。 基本動作の自立 : 寝返りをうつ、自力で座る、立つ 歩行訓練 : バランスを保つ、車いすへの移動、杖や歩行器などを用いた歩行練習 応用動作の訓練 : 手芸や工作、その他の作業 日常動作 : 食事やトイレ、着替え、入浴動作 さらに、食事ができるように嚥下機能を改善することも必要になります。 口の訓練 : 発声や舌・口・のどの筋肉を動かす運動 顔や首周りの訓練 : 首回りや肩の筋肉を動かす運動 間接的な嚥下訓練 : 水を含ませて凍らせた綿棒で喉の奥を刺激するなど 直接的な嚥下訓練 : ゼリーや水などの食物を用いる飲み込みの練習 そして、高次機能の改善としては以下のような特殊な訓練を行います。 ・風船、積木などの物を用いた訓練 ・繰り返し動作の練習 ・行動の順序を確認する練習 日常生活の動作に適応するためのリハビリを行っていきます。 ③維持期のリハビリ : デイサービス 維持期は、回復期で得た運動機能などを損なわないように機能を維持するために行うリハビリです。 ・生活の中の日常動作 ・散歩や軽い運動 維持期は生活期とも言われ、日常生活の中で取り戻した運動機能を低下させないように気をつける必要があります。 例えば、食事や着替え、入浴などはなるべく自分で行い、定期的に散歩やストレッチなどを行いましょう。 日帰りでリハビリなどの施設に通う、デイサービスなどもあります。ぜひ活用しましょう。 まとめ・くも膜下出血後の生活にはリハビリが欠かせない いかがでしたでしょうか。 今回は、くも膜下出血の手術後の生活について詳しく解説しました。くも膜下出血には大きく 2 種類の手術がありますが、重症度や治療内容によって入院期間や費用も異なります。 入院期間を短くして早く元の生活に戻るために欠かせないのが、入院時点で行う早期のリハビリです。完全に元の生活に戻るにはどうしても長期間かかり、なかなか根気強く続けるのが難しいかもしれませんが、続けることが大切です。 今回の記事がご参考になれば幸いです。 No.098 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.06.30 -
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脳梗塞が女性に多い理由!脳梗塞を発症しやすい年代と発症確率とは 近年では、わが国でも生活習慣病などに関連した、脳梗塞に関する情報が注目されております。 また、昨今においては、男女間の性差に関連する医療研究が広く実施されるようになってきました。その中で、脳卒中の約3分の2の発症割合を占める脳梗塞についても、男女の性差での違いを認める疾患であることが分かりつつあります。 中でも、女性が脳梗塞に罹患するリスクが存在すると言われており、その原因として高血圧、糖尿病、脂質異常症などの危険因子が指摘されています。 今回は、脳梗塞の発症原因や脳梗塞になりやすい年代と発症確率、女性に脳梗塞が多い理由などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 脳梗塞の発症原因は? 脳梗塞の患者では、普段から高血圧を始めとする生活習慣病を発症している方が多く、これらの疾患は血管の動脈硬化性変化を進行させるので、脳梗塞を招くリスクが高くなると言えますし、近年の脂質異常症や糖尿病の増加に伴って、最近ではアテローム血栓性梗塞が増えてきています。 また、高齢化にともない心房細動という不整脈を抱えた患者さんが増加しているため、心原性脳塞栓症も徐々に増えています。 脳梗塞を発症させる原因として挙げられるものは以下で脳梗塞の原因として忘れてはいけない要素です。 脳梗塞発症原因 ・加齢 ・食生活の欧米化に伴うメタボリック症候群 ・過剰な塩分摂取 ・慢性的な運動不足 ・糖尿病 ・脂質異常症 ・喫煙歴 ・大量飲酒 ・日々の過剰なストレス 加齢に伴ってラクナ梗塞の原因である動脈硬化、あるいはアテローム血栓性脳梗塞の原因である生活習慣病は徐々に進行して、脳梗塞を発症しやすい状況に陥ると考えられます。 したがって、動脈硬化や生活習慣病、心房細動などを抱える高齢者は特に注意が必要です。 脳梗塞になりやすい年代とその発症確率は? 脳梗塞は、一般的に高齢者に発症することが多い疾患であり、初発の発症例では 65 歳以上が全体の 9 割を占め、本疾患は中年以降から高齢層にかけて罹患しやすい病気というイメージがありますが、30 〜 40 歳代の若年者に発症する若年性脳梗塞も存在します。 厚生労働省の発表データによれば、1996 年時点で国内に約 170 万人に及んで存在した脳血管疾患を発症した患者数は、2017 年時点でおよそ 110 万人程度まで減少傾向を示しており、脳梗塞で病院や診療所を受診したのはおよそ15万人程度と言われています。 具体的に、年齢別の内訳としては、 0〜14 歳が 100 人 15〜34 歳が 300 人 35 〜 64 歳が 1 万 4000 人 65 歳以上が 13 万 5000 人 75 歳以上が 10 万 6000 人 という状況です。 つまり、脳梗塞を発症する患者数は特に 75 歳以上の方で全体の7割以上を占めています。 女性に脳梗塞が多いのは、なぜなのか? 脳梗塞は男性に多い病気と考えられる傾向があります。 しかし、実は女性の死亡原因の第三位に位置づけられている疾患であり、女性の脳梗塞は増加傾向であり、かつ重症化しやすいことが知られています。 一般的に、脳梗塞は男性に発症数が多い一方で、女性の方が少ないと言われていますが、女性の脳梗塞患者は男性に比べて高齢で発症するケースが多い特徴があり、生命予後も不良になる傾向が認められると指摘されています。 脳梗塞を男女差の面から考えると、一般的に患者数は男性の方が多いです。 女性の持つ危険因子とは ところが、女性には妊娠、経口避妊薬の使用、ホルモン補充療法など特有の脳梗塞を発症する危険因子が背景に存在すると伝えられています。 脳梗塞を代表とする脳心血管疾患における最大の発症要因ともいえる高血圧に関連して、通常約 50 歳前後までは女性よりも男性の方が高血圧の平均数値が高い傾向を認めますが、その後の年代以上では高血圧の有病率に性差はほぼありません。 この理由としては、女性が閉経した後に女性ホルモンであるエストロゲンなどの働きが低下することによって、女性の高齢時における高血圧の発症原因に繋がっていると考えられます。 女性ホルモン「エストロゲン」との関係性 特に、エストロゲンは血管や骨などの状態を維持する機能を有するホルモンであり、おおむね女性が 50 歳前後の更年期に入ると急激にエストロゲンの分泌量が減少して、これまで適正範囲に機能していた保護作用などが効果を示さなくなっていきます。 また、30 歳前後における若年女性の収縮期の血圧は、平均すると同年代の男性層よりも約 10mm Hg 程度低い値であることが知られていますが、女性は男性よりも高血圧の影響が強く出現する傾向がありますので、若い年代の時期から高血圧予防に努めることが重要です。 さらに、動脈硬化の進行を促進する大きな要因である脂質異常症に関しても、若年時には男性の発症率が女性より高いことが判明していますが、年齢を重ねるごとにその発症率において性差が認められなくなります。 その背景には、女性特有のエストロゲンの影響だけでなく、男性だけでなく女性も喫煙習慣、脂肪分のリッチな食事スタイル、糖類を大量に含む飲食物を多く摂取するなど、近年よく見られる生活習慣病が直接的な原因になっていると思われます。 脳梗塞と不整脈 さらに、中年期から高年齢層にかけての女性は男性に比べて不整脈を発症しやすいと言われており、特に不整脈の中でも心房細動は脳梗塞の発症リスクを 5 倍程度に上昇させることが指摘されています。 不整脈のひとつである心房細動は、心原性脳塞栓症における大きな発症危険因子として認識されており、脳梗塞を引き起こす患者さんの約 70 %の割合で合併していると指摘されています。心房細動の頻度は、一般的に男性が女性の約 3 倍高いという報告が見受けられます ところが、心原性脳塞栓症を続発しやすいという観点でみると女性の方が男性よりも発症率が高い傾向にあると言われています。 その他の危険因子 その他にも、偏頭痛、心房細動、うつ病、感情的なストレスは、女性に多い脳梗塞の危険因子となります。 そして、特に女性で妊娠を契機に妊娠高血圧症候群が認められる際には、その後高血圧を発症するリスクが約 4 倍、そして脳梗塞に罹患するリスクが約 2 倍に上昇すると言われています。 また、閉経後の女性に対して女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを投与するホルモン代替治療は、骨密度を上昇させて骨折の危険を減らす利点がある一方で、脳梗塞の発症リスク因子になりますので十分に注意する必要があります。 したがって、女性が脳梗塞を発症した場合には、女性ホルモンの補充療法の有無を確認することが重要であるとともに、すでに投与されている際にはその中止も検討すべきであると言われています。 まとめ・脳梗塞が女性に多い理由と脳梗塞を発症しやすい年代と発症確率について 今回は、脳梗塞の発症原因や脳梗塞になりやすい年代と発症確率、女性に脳梗塞が多い理由などについて詳しく解説してきました。 脳梗塞の年代別発症率では、高齢者を中心に発症しやすいことが分かっており、その発症原因は色々考えられますが、良くない不規則な生活習慣の積み重ねが発症につながるケースは決して少なくありませんし、女性にも脳梗塞を発症するリスク因子が存在します。 特に、女性はエストロゲンの保護や生活習慣病という観点から、加齢に伴って閉経後など脳血管系疾患の影響が強く出て脳梗塞を発症するリスクがあります。 したがって、普段から食生活に気をつけて定期的に運動を実践するなどの予防策を若年期から意識しておきましょう。 脳梗塞の後遺症は取り返しのつかないものですので、元気なうちに対策を講じて、あらかじめ脳梗塞の危険因子を知っておくことが重要なポイントです。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 禁煙や体重管理、運動など生活習慣の改善によって、脳梗塞を引き起こさないようにすることが大切です。 No.S100 監修:医師 加藤 秀一 引用文献 1)松山 友美, 佐竹 真理恵:女性ホルモン補充療法中に脳梗塞を発症した3症例.脳卒中. 2013 年 35 巻 4 号 p. 301-305 DOI https://doi.org/10.3995/jstroke.35.301 ▼以下もご覧になりませんか 脳梗塞は遺伝するのか!?食生活にも関係か?【食事療法でリスクを回避する方法】
最終更新日:2024.03.22 -
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膝の裏側の腫れや痛み、膝下のむくみはリンパの詰まりが原因か?! 次のような症状で不安になっている方はいませんか?膝の裏側の腫れや痛み、膝から下のむくみは「リンパの詰まり」が原因かもしれません。 「膝から下がむくんでいて気になる」 「膝の裏がふくらんでいるけど何が原因なの?」 このように膝下がむくむという症状は、多くの人が経験したことがあるのではないでしょうか。特に長時間の立ち仕事や座り仕事、飛行機やバスなどの移動で足が下がったままになるときなどに起こります。 このように膝下がむくむのは何故なのでしょうか?今回は、膝裏のリンパの詰まりに関して、原因や具体的な対処法を解説します。 膝裏でリンパが詰まる原因 膝裏にはリンパの流れる管(リンパ管)が太くなっている部分があります。このような部分を「リンパ節」と呼び、膝裏のリンパ節は「膝窩リンパ節(しっかリンパせつ)」と言います。 リンパ管を流れるリンパは体内の老廃物や細菌を運ぶ下水道のような役割を果たしています。そしてリンパ節はリンパ管を通ってきた異物を取り除くための部分です。 リンパそのものの流れが悪くなると、リンパ節でリンパ液がうまく循環しなくなってしまい、リンパ節が詰まってしまうような状態を引き起こします。 リンパの流れが悪くなる原因としては以下のようなものが挙げられます。 ・運動不足 ・肥満 ・偏った食生活 ・長時間同じ姿勢を続ける など 運動不足や肥満、長い時間同じ姿勢を続けることに共通して言えることは、「筋肉の働きが低下する」ことです。 リンパ管は筋肉に挟まれながら、体を巡っています。そのため、身体の曲げ伸ばし、しゃがんだり、伸ばしたり、押してみたり筋肉をほぐすことでリンパ管を刺激してリンパの流れを促します。 筋肉の働きが低下すると、リンパ管への刺激が少なくなり、リンパの流れを悪くしてしまうのです。 また、肥満は脂肪が邪魔して筋肉が働きにくくなるのに加えて、リンパ菅を狭くしてしまいリンパの流れを妨げます。 偏った食生活は、肥満に繋がるのはもちろんのこと、老廃物を増やしリンパ節の働きを妨げてしまうためリンパ節が詰まる原因となるのです。 膝下がむくむんだ場合の3つの対策 膝裏のリンパが詰まっている場合は、先ほど説明したリンパの流れが悪くなる原因を考慮した対応が必要です。その際の具体的な解消方法を3つ紹介しましょう。 1,適度な運動 筋肉を動かし血液やリンパの流れを促すことを「筋ポンプ作用」と呼びます。筋ポンプ作用を働かせるためには、筋肉を適度に動かす運動が必要です。 運動不足は筋肉量や代謝率の低下につながります。適度な運動は筋肉量や代謝率を向上させるだけでなく、血液やリンパ液の循環も促進します。 おすすめは膝や足首の屈伸運動です。特につま先を上げ下げする足首の運動は、第二の心臓と呼ばれるふくらはぎの筋肉を刺激して、血液やリンパ液の循環を促すのでおすすめです。 「テレビを見ながら」「トイレで座りながら」など、「ながら運動」でこまめに行うようにしましょう。筋肉痛になるほど、きつい運動をすると疲労が蓄積してしまうため、無理な運動は控えるようにしましょう。 具体的は足首を回す。足首を時計回りや反時計回りに回すことで、筋肉のポンプ作用を促し、血液やリンパ液の流れを改善します。 2,マッサージ リンパの流れを良くするためのマッサージを行いましょう。 膝裏やふくらはぎを軽くさする、推すなどの程度から始めて、徐々にほぐすようにしていきましょう。足裏からふくらはぎに向かって優しくマッサージすることで、血管やリンパ管の収縮力を高め、血液やリンパ液の排出を助けます 押すなどして圧迫した場合に、痛みや違和感を感じる場合はリンパの流れが悪いだけではなく、他の病気が潜んでいる可能性があるので無理に行わないで中止しましょう。 専門家によるマッサージではなく、自分で行う場合は、あくまで気持ちいい程度の加減で行うことが大切です。 3,生活の工夫 リンパの流れを妨げる肥満を予防・改善するために、バランスの良い食事や運動の継続といった規則正しい生活習慣をすることは重要です。 また、生活の中で膝を圧迫したり、足を下ろし続けたりといった長時間椅子に座ることは膝窩リンパ節への負担の原因になります。 適度に休憩して歩いたり、しゃがんでみたり、伸ばしてみたり、運動やマッサージをしたりしましょう。 自宅にいる時などは、足を高くして休む。足を心臓より高い位置に置くことで、重力に逆らわずに血液やリンパ液を戻しやすくします。 そうすることで、足が心臓より高く位置することになり、リンパの流れを体の方に戻す効果があります。 また、食事や水分摂取に気を付けましょう。塩分やカフェインなどの摂り過ぎは水分代謝を悪化させるので控えましょう。また、水分不足もむくみの原因になるので、適度に水分補給しましょう。 膝裏が腫れている場合に注意したいポイント 膝の裏が腫れている場合に、リンパ節のむくみだけではなく、他の病気が潜んでいる可能性もあります。 以下のポイントを参照にして、気になる場合は自己判断で治療したり、放置したりせずに整形外科や循環器内科などを受診しましょう。 全身にむくみがある 全身にむくみがある場合は、心臓や腎臓など内科系の疾患によるむくみの可能性があります。 膝裏のむくみに気づいた場合には、他の部位にもむくみがないかどうかをチェックしましょう。 膝周辺に痛みや熱がある 膝裏のむくみだけでなく、痛みや熱がある場合は、膝関節の炎症や怪我などの可能性があります。 また、リンパ節に細菌が入って感染症を起こしてしまうこともあります。 このような症状の場合は、早めの医療機関で適切な治療を受けることが大切ですので注意しましょう。 だんだん浮腫がひどくなる このような場合も病気が潜んでいる可能性があるので気をつけましょう。 膝裏にリンパ以外のものが詰まっている可能性として、「ベイカー嚢腫(のうしゅ)」という病気の場合があります。 ベイカー嚢腫は膝裏にある袋状の部分が肥大してしまう病気で、50歳以降の女性に多く見られます。 また、膝の変形が進んでいくことで、膝の関節に炎症が生じて関節に水が溜まってしまうことがあります。 いずれにせよ、専門家による適切な治療が必要です。 膝下のむくみは、規則正しい生活で改善しましょう 膝裏のリンパの詰まりは運動やマッサージの継続、正しい食事による肥満の予防などの対策があります。何よりも継続が大切です。できることから始めて無理ないペースで続けましょう。 また、膝裏のむくみがリンパ以外の可能性もありますので、気になる場合は早めの受診がおすすめです。特に痛みや熱など他の症状がみられる場合は、放置しないように注意しましょう。 まとめ・膝の裏側の腫れや痛み、膝下のむくみはリンパの詰まりが原因か?! 膝下がむくむのは何故かという問いには、血液やリンパ液の循環不良が原因でした。その対策としては、足を高くして休む、足首を回す、マッサージする、食事や水分摂取に気を付ける、適度な運動をするという方法があります。 これらの方法を実践することで、膝下のむくみを予防や改善することができます。膝下がむくむと感じたら、ぜひ試してみてください 以上、「膝下のむくみは、膝裏のリンパの詰まりが原因!」を解説させていただきました。参考になれば幸いです。 No.S095 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下もご参考ください 膝が痛い|朝寝起きや、歩きはじめの膝に痛みや違和感を感じたときの治療法
最終更新日:2024.02.28 -
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女性のくも膜下出血は男性の2倍のリスク!今日から始める本気の予防策について 「女性の方がくも膜下出血になりやすいってほんと?」 「女性がくも膜下出血にならないための予防策について知りたい」 女性は、動脈瘤性くも膜下出血の発生の危険因子として認識されています。 そこで今回は、女性に「くも膜下出血」が多い理由や予防策について説明しますので、ぜひ参考にされてください。 くも膜下出血|女性は男性の2倍もの危険性! 女性は、くも膜下出血の発生の危険因子として認識されています。 日本におけるくも膜下出血は、【男性:女性= 1 : 2 】で、女性に多くみられ、男性では 50 歳代がピークですが、女性の場合は 50 〜 70 代に多く、ピークは 70 歳後半となります。 では、なぜ女性に多いのでしょうか。いくつか要因を見ていきましょう。 出産や女性ホルモンの変化は、くも膜下出血の発症リスクを高める 動脈瘤性くも膜下出血 の発生率は、男性よりも女性の方が 50 % 高くなっています。 このような性別の差が考えられる理由には、女性特有の出産の繰り返し、ホルモン要因などが考えられます。 出産を繰り返すと、くも膜下出血のリスクが増加します。これは、おそらく妊娠による高血圧と分娩中の血管の緊張によるもので、血管が弱くなり、動脈瘤の形成につながる可能性があるためです。 また、女性ホルモンの血中レベルはくも膜下出血のリスクに影響を与える可能性があります。 女性ホルモンであるエストロゲンには、くも膜下出血の原因となる動脈硬化を抑える作用があると言われていますが、特に 50 歳以上の女性においてエストロゲンが減少します。 したがって、女性ホルモンが減少する閉経後の高齢女性のリスクが高くなります。 女性はストレスを感じやすい また、女性の方がストレスを感じやすく、特に高齢になると女性ホルモンの分泌量の変化によって、気持ちが不安定になりがちです。 ストレスを溜め込んでしまうと、くも膜下出血のリスクとなります。 くも膜下出血、その他の危険因子は? くも膜下出血 (SAH) は誰にでも発生する可能性がありますが、最も一般的に 40 歳から 60 歳の間の人々に影響を及ぼします。 ただし、女性では 70 歳台でリスクが高まります。 くも膜下出血の可能性を高めるリスク要因には、次のようなものがあります。 くも膜下出血発症リスクを高める危険性 ・脳または体の他の場所にある未破裂の動脈瘤 ・以前に破裂した脳動脈瘤の病歴 ・喫煙 ・高血圧 ・線維筋性異形成(FMD)などの結合組織状態 ・多発性嚢胞腎の病歴 ・過度のアルコール飲酒歴 ・ワーファリンなどの血液希釈剤の使用 ・動脈瘤の家族歴 最も気をつけなければならないのが高血圧です。高血圧を誘発するものも原因となり得ます。 男性も必見!今日からできる、くも膜下出血の予防! では、そんな危険因子に立ち向かう予防策について、考えていきましょう。 主に生活習慣の改善を行うことで、そのリスクを抑えることができます。それぞれ詳しく説明していきましょう。 禁煙する 喫煙は高血圧の直接的な原因ではありませんが、くも膜下出血のリスクを大幅に高めます。 特に、女性は喫煙に対して男性よりも深刻な影響を受けやすくなっています。 喫煙は高血圧と同様に、動脈を狭くし、喫煙者で血圧が高いと動脈が急速に狭くなり、将来くも膜下出血になるリスクが劇的に高まります。 血圧コントロール 男女問わずに高血圧の方は、血圧コントロールを行いましょう。 高血圧の方は正常な方に比べ、くも膜下出血の発症リスクが 2~3 倍も高くなります。 ストレスケア 意外と知られていないのがストレスです。ストレスは血管を傷つけてしまい、くも膜下出血の原因となり得ます。 リフレッシュしてストレス発散するなどし、日頃からストレスを溜めないように工夫しましょう。 定期的に運動する 定期的な運動をすることで、心臓と血管を良好な状態に保ち、血圧を下げます。定期的な運動は体重を減らすのに役立ち、血圧を下げるのにも役立ちます。 成人は、毎週少なくとも 1 ~ 2 時間程度の有酸素運動 (サイクリングや早歩きなど) を行う必要があります。 身体活動には、スポーツからウォーキング、ガーデニングまで、あらゆるものが含まれます。運動にはリフレッシュ効果があるので、ストレスケアにも効果的です。 カフェインを減らす コーヒーを 1 日 4 杯以上飲むと、血圧が上昇する可能性があります。 コーヒー、紅茶、またはコーラや一部のエナジードリンクなど、カフェインが豊富な飲み物が好きな場合は、量を減らすことを検討してください。 バランスの取れた食事の一部としてお茶やコーヒーを飲むことは問題ありませんが、適度に飲むことが重要です。 まとめ・くも膜下出血|女性は男性の2倍のリスク!今日からしたい本気の予防策! いかがでしたでしょうか? くも膜下出血は、男性よりも女性の方がおこりやすく、これには女性ホルモンが関与していると考えられています。また、女性は出産やストレスを抱えやすく、喫煙に対しても影響を受けやすいため、日頃から対策することが大切です。 その他、動脈瘤や高血圧などの他の健康状態や生活習慣も関与しているため女性はもちろんの事、男性も注意していただきたい思います。 くも膜下出血予防するためには、生活習慣の改善が重要です。禁煙や血圧コントロールはもちろん、ストレスケア、定期的な運動、コーヒーをはじめとしたカフェインの摂取量に注意しすることが大切です。 そのためにも日ごろから生活習慣の見直しや改善、定期的な健康診断を受けて、ご自身の健康管理に努めてください。 今回の記事を参考にしていただき、症状や予防策に関して知っていただければ幸いです。 No.S097 監修:医師 加藤 秀一 ▼こちらも参考にされませんか くも膜下出血の原因と症状!予後とその生存率 について
最終更新日:2024.03.29 -
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くも膜下出血の前兆?首の後ろの痛みを伴う激しい頭痛は危険です! 「首の後ろの痛みを伴う頭痛がある場合、くも膜下出血の可能性がある!」というのは本当でしょうか? くも膜下出血は、脳を覆う薄い組織との間の領域で起こる出血です。この領域は、くも膜下腔と呼ばれます。くも膜下出血は、緊急を要する病気であり、発症後の迅速な診察と治療が必要な病気です。 この病気は、突然起こる「激しい頭痛」で気づくことが多いですが、「首の痛みを伴う頭痛」など、くも膜下出血の危険なサインにも注意が必要です。 そこで今回は、「くも膜下出血の前兆」や、頭痛が起こる場所のなかでも首の痛みを伴う場合の対処についてご説明します。ぜひご参考にしてください。 くも膜下出血の前兆 くも膜下出血は、くも膜下腔(くも膜と脳を取り囲む軟膜との間の領域) への出血です。症状としては、急速に発症する「重度の頭痛」、「嘔吐」「意識レベルの低下」、また「発熱のあるときに発作」が含まれる場合があります。 前兆から発症まで くも膜下出血の典型的な症状は、頭を蹴られたような、今までに経験したことのないような激しい頭痛で、数秒から数分かけて発症します。この頭痛は、しばしば後頭部に向かって起こり、吐き気や嘔吐が伴う場合もあります。 首の凝りや首の痛みを伴う頭痛も比較的一般的であり、首の痛みや、肩こりは「くも膜下出血の前兆」として現れます。 前兆|症状 ・急に起こる重度の頭痛 ・吐き気、嘔吐 ・意識レベル低下 ・発作(発熱時) ・首の痛みや、肩こり、などの違和感 前兆から発症までどのような症状を伴うのか、詳しくみていきましょう。 首の痛みを伴う頭痛がある時は、くも膜下出血を疑う 首のこりや、首の痛みを伴う頭痛は「くも膜下出血」に比較的一般的な症状ではありますが、鑑別すべき病気もあります。 例えば、「くも膜下出血」で起こる頭痛や肩こりは「髄膜炎」の症状に似ており、区別する必要があります。また、約 3 分の 1 の人は特徴的な頭痛以外の症状がない場合もあります。 通常、髄膜炎にはある発熱や発疹はくも膜下出血には見られません。 ただ錯乱、意識レベル低下または昏睡などの重篤な症状も首のこわばりや、その他の髄膜炎の兆候と同様に、存在する可能性があります。 同じ症状でも区別が必要 ・くも膜下出血:頭痛、肩こり、こわばり、錯乱、意識レベル低下、昏睡 ・髄膜炎:頭痛、肩こり、こわばり、錯乱、意識レベル低下、昏睡、+発熱や発疹 髄膜炎との区別にはMRI検査が重要 症状だけでは区別が難しい場合もあり、その場合は、病院で詳しく調べる必要があります。 MRI検査では、脳内の出血を検出でき、血管に染料を注入して動脈と静脈をより詳細に表示し (造影MRI検査)、血流を強調して調べることもできます。 CT検査でもわからない時にくも膜下出血の徴候を見つけることができます。 首の痛みを伴う頭痛がある時の対処法は? 首の痛みを伴う頭痛がある場合は、くも膜下出血の前兆である可能性が高いため、急に頭を動かしたり、以下のような行動は避けましょう。 これらの行動はくも膜下出血を誘発する恐れがあります。 くも膜下出血を誘発しかねない ・くしゃみ ・強い咳 ・過度な運動 病院へ行くべき危険な兆候は? くも膜下出血の症状は状況によって緊急度は異なる場合もあります。 雷鳴のような頭痛がある他に、特に以下のような症状がある場合は大変危険です。すぐに最寄りの病院に行きましょう。 病院へ行くべき兆候 ・意識と注意力の低下 ・吐き気と嘔吐 ・混乱や過敏性 ・めまい ・明るい光で目が過敏になる ・首と肩の筋肉痛 ・体の一部のしびれ ・発作 ・複視、盲点、片目の一時的な視力低下など、視力の変化 頸部硬直は、くも膜下出血の最初の発症から 6 時間後に現れます。瞳孔の散大と対光反射の消失は、頭蓋内圧の上昇による脳ヘルニアを反映している可能性があります。 眼が下方および外側を向いており、同じ側のまぶたを持ち上げることができない場合は、動眼神経の異常があり、後交通動脈からの出血を示している可能性があります。 発作がある場合、脳動静脈奇形などの病気が隠れている可能性もあります。 入院して安静にすることも大切 時には、入院して安静にして、リスクとなる血圧などの管理を徹底しましょう。自然に首の痛みを伴う頭痛は良くなるケースもありますが、血圧が高いとくも膜下出血のリスクとなり得るため、血圧管理を徹底します。 くも膜下出血のよくあるQ&A 最後に、首の痛みを伴う場合のくも膜下出血に関するよくある質問についてQ&Aでまとめました。 Q,くも膜下出血で首が痛くなるのはなぜ? A,頭の中に出血があることで、頭の中の圧力が上がり、これによって脳が圧迫されて痛みが出ます。 Q,首の痛みがある場合、どのように他の病気と区別しますか? A,他に原因がないのに、首の凝りと激しい頭痛を経験した場合、くも膜下出血の兆候である可能性があります。 CT検査は、脳の周りの血液とそれに続く可能性のある問題を検出できます。さらに、出血の原因を明らかにするために造影剤を用いてより詳しく検査できます。 さらに、MRI検査は、頭の内部の詳細な画像をとることができ、出血やその他の血管の問題を特定するのに役立ちます。 まとめ・激しい頭痛!くも膜下出血の前兆?首の後ろの痛みを伴う頭痛は危険! くも膜下出血は非常に危険であり、長期的な回復は発生する可能性のある合併症に依存します。特に、突然の首の痛みを伴う頭痛は、くも膜下出血を発症する前兆とも捉えられます。 くも膜下出血は、緊急を要する病気であり、発症後の迅速な診察と治療が必要です。この病気の前兆や典型的な症状、そして対処法について知っておくことが重要です。 首の痛みや、肩こりなどで違和感がある場合は、くも膜下出血を疑うべきなのですが、同じような症状で髄膜炎といった他の病気と区別も必要です。 そのためにはMRIや、CT検査が大切な役割を果たし、病院で詳しい検査や治療が必要です。症状が進行する場合や特定の兆候が見られる場合は、すぐに病院を受診することが大切です。 単なる肩こりや首の痛みなら自然に治るケースもありますが治らない場合は、くも膜下出血の可能性があります。首の痛みを伴う頭痛に関する質問や疑問には、ぜひ医療機関を受診し、ご相談ください。 今回の記事を参考にして、改めて前兆や対策に関して学んでおきましょう。 ご参考になれば幸いです。 No.097 監修:医師 坂本貞範 ▼くも膜下出血について更に詳しい内容は以下も参考にして頂けます くも膜下出血とは|その原因と治療、怖い再発について
最終更新日:2024.04.24 -
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くも膜下出血の原因と症状!予後とその生存率 について くも膜下出血 は、脳の周囲の空間に出血が起こることで引き起こされる生命を脅かす注意が必要な病気です。 そこで、今回はくも膜下出血の予後や生存率について詳しく解説していきます。 くも膜下出血の発症による高い死亡率 くも膜下出血は、破裂した動脈瘤、AVM(脳動静脈奇形)、または頭部外傷によって引き起こされる怖い病気です。ここ数十年間にわたって、くも膜下出血の予後は改善傾向にありますが、依然として高い死亡率のある病気とされています。 くも膜下出血の原因や症状は? くも膜下腔は、脳と頭蓋骨の間の領域であり、脳脊髄液で満たされ、脳を保護する浮遊クッションとして機能しています。 脳動脈瘤の破裂などにより、動脈壁が破裂し、脳のくも膜下腔に血液が放出されると、脳の内層を刺激し、脳への圧力を高め、脳細胞を損傷させてしまいます。 「くも膜下出血」の症状 ・激しい頭痛、突然の発症 ・吐き気と嘔吐 ・斜頸 ・光に対する過敏症(羞明) ・かすみ目または複視 ・意識の喪失 ・発作 くも膜下出血は病気以外、交通事故などによって、脳が頭蓋骨内で前後に衝突し、衝撃で血管が引き裂かれることでも、くも膜下出血は起こります。 くも膜下出血の生存率や平均余命について くも膜下出血の5年生存率は55%前後とされていますが生存率は年々改善しています。 くも膜下出血発症後の生存率は、その重症度と診断および治療の速さによって異なります。 一般に、未治療のくも膜下出血の 1 年死亡率は最大 65%もあり、これは治療を受けていない くも膜下出血患者の最大 65%が発症から 1 年以内に死亡したことを意味します。 ただし、適切な診断と治療を受ければ、1 年死亡率は約 18%まで下がります。 くも膜下出血の予後や見通しについて くも膜下出血の予後は非常に変わりやすく、初期のくも膜下出血の症状の重症度やおよびその他の合併症や損傷の有無に大きく依存します。 具体的な予後に関してですが、病院にたどり着いた人の中で以下のようなデータもあります。 ・3の1は病院で死亡する ・3 分の1は障害を待って生活する ・3 分の1が通常の機能に戻る このように、元の日常生活に戻るのはわずか30%程度となっています。 くも膜下出血の予後を左右する要因はある? くも膜下出血の予後は、次のようなさまざまな要因に左右されます。 くも膜下出血の予後要因 ・年齢 ・出血の場所と量 ・発症から治療までの時間 ・合併症 高齢で症状が重くなると、予後が悪化する可能性があります。 また、くも膜下出血が起こった部位や障害の程度によって、ある程度予後に影響を受けると考えられています。重度の外傷性くも膜下出血の人は、2倍の死亡リスクがあります。 くも膜下出血の予後を左右する可能性のある合併症は以下のとおりです。 くも膜下出血の予後を左右する合併症 ・発作 ・血管痙攣(脳の血管が狭くなり、血流が遮断される場合) ・最初の治療後に再び出血する ・水頭症(脳内の液体の蓄積) ・頭蓋内圧の上昇 ・脳ヘルニア ・脳梗塞(虚血性脳梗塞) 引き起こされる合併症により、予後を左右することもあります。 くも膜下出血の予後を改善するには? 患者が退院した後、重度のくも膜下出血発症後の個別化されたリハビリテーション療法を提供する施設で治療が継続される場合があります。 リハビリテーションを専門とする医師が、理学療法、作業療法、言語療法を含むリハビリ計画を立てます。 くも膜下出血後の患者が直面する一般的な問題には、身体的制限、思考や記憶の困難などがあります。 これは治療により時間の経過とともに消える可能性があり、 回復プロセスは長く、障害のレベルを理解し患者が機能を回復するには、数週間~数か月、または数年かかる場合があります。 くも膜下出血の再出血を予防する方法はある? くも膜下出血の大部分は、頭部外傷、または破裂した脳動脈瘤によるものです。 したがって、くも膜下出血の発生や再発を予防する最善の方法は、これら 2 つの状況のリスク要因を管理することです。 まず、頭部外傷を防ぐために、自転車やバイクに乗るとき、またはリスクの高いスポーツをするときは、常に安全を心がけてください。 転倒しやすい場合は、理学療法士または作業療法士と協力して、転倒を防ぐために自宅環境も整えましょう。 また、脳動脈瘤を発症するリスクを下げたり、既存の動脈瘤が破裂するのを防いだりするために、以下のような予防策があります。 クモ膜下出血の予防策 ・高血圧を管理する ・喫煙をやめる ・過度に重いものを持ち上げない(激しい運動やいきみは、動脈瘤の破裂を引き起こす可能性があります。) ・定期的に適度に運動する ・バランスの取れた食事を食べる 日頃から脳動脈瘤の発症リスクを下げたり予防をするなどして、リスク要因を管理することがとても大切です。 まとめ・くも膜下出血の原因と症状!予後とその生存率 について いかがでしたでしょうか? くも膜下出血は、依然として予後の悪い病気であり、早期の診断と治療次第では、重度の後遺症を残してしまいます。 早期の適切な治療を受けて、リハビリを行えば予後を改善できることがわかっているため、今回の記事を参考にして、改めて予後や改善策に関して学んでおきましょう。ご参考になれば幸いです。 No.S096 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下の「くも膜下出血」の記事も参考にされませんか くも膜下出血とは?その症状と後遺症を医師が徹底解説!
最終更新日:2024.03.28 -
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脳梗塞患者の家族が看護で注意すべきポイントをご説明します 「脳梗塞患者の家族は、どうやって看護したらいいのか?」 「脳梗塞の看護のポイントについて知りたい」 家族や親戚が脳梗塞になってしまった場合は、どのように看護すればいいのか不安な方は多くいるのではないでしょうか。脳梗塞は早期に治療を受けても、後遺症が残る場合があり、治療だけでなく入院中からの看護計画や介入が大切です。 そこで、今回は脳梗塞の症状や看護のポイントについて「急性期」「回復期」「慢性期」に分けて説明しますので、ぜひ参考にされてください。 脳梗塞とは?症状や治療について 脳梗塞は、脳に栄養を供給する1 つ、または複数の血管における脳循環が障害されることで、脳の機能にさまざまな異常をもたらします。 脳には機能別にいくつかの部位が分けられていますが、傷害される部位によって、以下のような症状が現れます。 ・前頭葉障害 人格や性格変化 頭頂葉障害 ・体が動かなくなる 後頭葉障害 視野の半分が目が見えなくなる(同名半盲) 側頭葉障害 学習、記憶障害 そのほかにも以下のような症状が現れます。 その他の症状 ・めまいまたは突然の激しい頭痛 ・視覚障害(バランスの喪失、片麻痺) ・構音障害(話すのが難しい) ・感覚の障害 ・うつ病、その他の心理的問題 脳梗塞後、血液の循環が正常に戻るのが早ければ早いほど、完全に回復する可能性が高くなります。しかし、脳梗塞を生き延びた人の約半数は、永久に障害が残り、数週間、数か月、または数年以内に再発します。 したがって脳梗塞は治療する上で看護やリハビリもまた重要なのです。 脳梗塞の看護のポイントについて それでは、脳梗塞患者の看護のポイントについて説明したいと思います。 脳梗塞患者は、多くの場合入院による治療が必要であり、ICUなどの集中治療室で看護師によるケアが必要になります。これは、脳梗塞の症状が急速に変化する可能性があり、悪化を防ぐために迅速な介入が必要になるためです。 さらに、脳梗塞の治療は長期化するケースも多いため、看護師は、身体的および心理社会的にも患者のケアを行います。 それでは具体的に看護のポイントを3つの段階に分けて説明していきます。 ①急性期の看護のポイント 脳梗塞を発症した急性期は全身状態が特に悪く、急変するリスクが高いため、それに応じた看護計画が大切です。 急性期には、脳梗塞が拡大したり、再出血が起こったりと悪化する可能性が高いです。 発症後数時間以内は、脳の機能が4.5時間以内に血栓溶解療法と呼ばれる治療が可能ですが、これらの急性期の治療による脳浮腫などの合併症を予防することも大切になります。 主に急性期にチェックするポイントは以下です。 急性期のチェックポイント ・意識レベル(応答性、話す能力、見当識の変化など) ・呼吸と循環の管理 ・血圧管理 ・体温管理 ・排尿管理 ・皮膚の状態 ・出血管理 特にt-PAによる血栓療法による脳浮腫や脳の血管の圧力の増加によって、意識障害をきたしやすいため、意識レベルおよび呼吸、循環動態のチェックが大切です。 意識レベルはJCS、GCSを用い、開眼の有無、言語機能、運動機能などを確認し、そのほかにも血圧の管理や脱水状態の有無を確認します。 ②回復期のポイント 急性期の後の回復期には、主に引き続き全身管理を行いながら、日常生活動作を取り戻すための看護を行っていきます。 患者の日常活動における機能障害に関する看護評価を行います。 ・感覚と知覚(痛みと温度の認識が低下しているため) ・栄養機能 : 嚥下、栄養と水分補給の状態 ・皮膚の状態、褥瘡対策 ・排尿機能 ・運動機能(上肢および下肢の動き) ・精神状態 (記憶、注意力、知覚、感情、発話/言語など) 1.栄養機能管理 栄養補助に関しては、咳や、口の片側に食物が溜まってないか、または液体を飲み込むときの逆流がないか観察します。 また、言語聴覚士に相談して、飲み込む機能の評価をしてもらった上で、患者に少量の小さな食物や水分を摂取するように促しましょう。必要に応じて、チューブを介した腸栄養の準備をします。 2.排尿管理 腸の筋肉の制御が失われている間は、排尿管理自分で行えないため、無菌のカテーテル挿入を行います。 また、十分な水分摂取量(1日2〜3L)を与えて、規則正しい時間(朝食後)にトイレをするようにしましょう。 3.皮膚の状態と褥瘡管理 皮膚悪い兆候を頻繁に評価します。 皮膚を清潔で乾燥した状態に保ち、健康で乾燥した皮膚をやさしくマッサージし、十分な栄養を維持します。 また、褥瘡を防ぐために、1日に数回2時間ごとに位置を変更します。 4.運動機能の改善 意識が回復したら積極的なリハビリテーションプログラムを開始することになります。 リハビリでは、関節の可動性を維持し、運動機能を回復し、麻痺した四肢の拘縮を予防し、神経筋系のさらなる悪化を防ぎます。 看護の面では、リハビリ中の患者のサポートを行いましょう。長時間のリハビリではなく、複数回の短時間のリハビリを計画します。 また、運動中の肺塞栓や過剰な心臓負荷の徴候 (息切れ、胸の痛み、チアノーゼ、脈拍数の増加など) を観察します。 ③慢性期の看護のポイント 慢性期はいよいよ退院に向けての準備を行います。全身管理に加え、主に以下の点を重視して取り組みましょう。 ・退院後の日常生活の支援 ・心理的なケア 慢性期では、患者の健康の維持だけでなく、患者家族が対処するための問題や課題を主に支えます。患者、および家族を巻き込んで、自宅で患者が達成可能な目標を計画します。 心理的な問題は通常、時間の経過とともに改善することを家族に説明し、不安を和らげるために感情的なサポートと理解を提供しましょう。 脳梗塞の看護のよくある質問 脳梗塞の看護に関するよくある質問についてQ&Aでまとめました。 脳梗塞の看護を行う上での疑問をまとめましたので参考にされてください。 Q.脳梗塞のあとなぜ血圧が上がるのですか? A,脳梗塞では、脳の血流が低下し、脳が浮腫んでしまいます。このむくんだ状態によって、脳の血管が圧迫されると結果的に血圧が高くなってしまいます。 Q.脳梗塞の時はベッド上での安静が必要? A,脳梗塞直後は、ベッド上での安静が基本です。これは頭を上げたり、立ち上がると血圧が下がり全身状態が悪くなるため、基本的には安静にします。 Q. どのくらいで退院できますか? A,患者によって異なりますが、平均的にみて、2-3ヶ月以内に退院するケースが多くなっています。 まとめ・脳梗塞患者の家族が、看護で注意すべきポイントとは 脳梗塞は適切な治療とリハビリを行えば、治る病気ですが、後遺症が残ることがあり、退院後の日常生活でも継続的なケアが必要になることがあります。 そこで、重要なのが入院中からの適切な看護ケアです。脳梗塞の看護のポイントは、急性期〜慢性期にかけて異なるため、段階に応じた患者対応が必要になります。 脳梗塞から早く仕事復帰するためには、入院期間中の早い段階からのリハビリと共に看護ケアを適切に行うことが不可欠です。 以上、ご参考になれば幸いです。 No.S098 監修:医師 加藤 秀一 ▼脳梗塞の治療に関しては、こちらをご参照ください。 脳梗塞の後遺症を改善するリハビリの方法と期間の目安が知りたい
最終更新日:2024.03.22 -
- ひざ関節
- 脊柱管狭窄症
- 膝部、その他疾患
『膝から下が痛い!重い…だるい!』こんな症状から考えられる病気とその治療法 誰しも身体に言葉には言い表せないような痛みや、違和感を覚えると、とても不安な気持ちになりますよね。 今回は、そんな痛みの中でも「膝から下が痛い」や「膝から重い」「膝から下がだるい」といった症状から、考えられる病気や原因、治療法について述べてまいりましょう。 「膝から下が痛い!」という症状に不安を感じる 膝に痛みが出る原因が以下のようにハッキリしている場合は、なんとなく「あれかな?」ということが思い当たると安心できます。落ち着いて対処もできることでしょう。 「タンスに足の小指をぶつけた」 「頑張って運動をやりすぎた」 「足を挫いてしまった」 しかし、ある日突然、以下のような症状が前触れもなく、更にこれまで感じたことのないような痛みや違和感を伴ってくると、怖くなりますよね。大丈夫かなと?! 「何もしていないのに足が痛い!」 「膝から下が重だるい」 「ふくらはぎがジンジンする」 思い当たることが無いにも関わらず、自分が経験したことのない感覚が襲ってくると、人間誰しも不安に駆られます。そこで今回は、急にくる「膝から下が痛い・重い・だるい」を医学的に紐解いていきましょう。 これを読めばあなたの不安も少しは軽くなり、落ち着いて行動できることでしょう。 「膝から下が痛い」原因として考えられる疾患 以下は「膝から下が痛い」と感じた時に、考えられる疾患を挙げたものです。なかなか難しい字が並んでいますね。仰々しく、かえって不安になる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、これらの各疾患について、症状や原因を記しながら、できるだけ簡単に説明してまいります。 ①下肢静脈瘤 ②閉塞性動脈硬化症 ③深部静脈血栓症 ④脊柱管狭窄症 ①下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう) 下肢静脈瘤とは、足の血管(静脈)に異常が起こる病気です。血管がコブ(瘤)のように膨れ上がり、体表からはボコボコしたように見えます。 静脈の中には、血液の逆流を防ぐための弁がついており、ふくらはぎの筋肉などの力で下から上に血液を戻してくれます。 しかし、その弁が壊れて正常に働かない場合は、血液が滞ってしまい、下の方に溜まってしまうのです。その血液が溜まった状態を下肢静脈瘤と言います。 出典:日本血管外科学会 https://www.jsvs.org/common/kasi/index.html 下肢静脈瘤の症状や原因は、さまざまあります。見た目的にも分かりやすいため、自分で気づきやすい病気です。 加齢による血管のしなやかさがなくなったり、立ちっぱなしの仕事を続けたりなど、誰にでも起こりうる病気です。まずは医療機関に相談しましょう。 下肢静脈瘤の症状 ・ふくらはぎのだるさ、重さ ・湿疹や皮膚の変症、皮膚炎 ・足がむくむ ・足がつる(こむら返り) ・血管が目立つ(ボコボコなる) 下肢静脈瘤の原因 ・加齢による筋肉や血管機能の低下 ・立ち仕事 ・妊娠や出産 ・遺伝的な要素 ・激しいスポーツ 対策 ・医療機関にご相談ください ②閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう) 閉塞性動脈硬化症とは、足の血管の動脈硬化が進んでしまい、血液が流れづらくなったり、つまったりする病気です。 足の血流が悪くなるので、歩くときに足の痛みや痺れ、冷たさを感じることがあります。進行すると、安静にしていても同様の症状が出てきますので、注意が必要です。 動脈硬化が進んだ血管(上)と正常な血管(下) 主な原因は生活習慣の乱れによるものが大きいようです。 「動脈硬化」は全身に起こりやすいものなので、足だけでなく手にも同様の症状が出てくる可能性もあります。安静時の足の痛みや足の潰瘍、壊死はだいぶ進行している状態です。 治療には早めの対処が必要となりますので、「足の痺れ」「痛み」「冷たい感覚」などの症状を感じたら医療機関を受診し、早めにご相談されることをお勧めします。 閉塞性動脈硬化症の症状 ・足の痺れや冷感(しびれ・冷える) ・歩行の時の足の痛み ・間欠性跛行(しばらく歩行していると、足の痛みが強くなり歩行困難となる症状) ・安静時の足の痛み ・足の潰瘍・壊死 閉塞性動脈硬化症の原因 ・肥満 ・高血圧 ・喫煙 ・糖尿病 以下の症状を感じたら、スグに医療機関へ! ・足の痺れや痛み ・冷たい感覚 ③深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう) 深部静脈血栓症とは、足の奥深くに通る静脈血管のなかに、血の塊(血栓)ができてしまう病気です。 この血栓が心臓や肺に流され詰まってしまうと、心筋梗塞や肺塞栓症などの命に関わる重大な疾患を引き起こす危険性があります。 特に足の整形外科の手術後や長時間のフライトなどで多くみられ、別名「エコノミークラス症候群」と呼ばれることもあります。 出典:日本血管外科学会 https://www.jsvs.org/common/sinbu/index.html 手術やケガによって動かせない、動けないなどといった不動の期間が長くなってしまった場合によく起こります。 放置しておくと、重篤な肺塞栓症へと進行してしまう可能性もあるため、おかしいと思ったらただちに専門の医療機関へ行きましょう。 深部静脈血栓症の症状 ・片足が大きく腫れ上がる ・赤黒く変色する ・ジンジンとした痛みが伴う ・肺塞栓症へ移行した場合、呼吸が荒くなり、胸が痛くなる 深部静脈血栓症の原因 ・手術や怪我による静脈血管の損傷 ・長期の臥床(寝たきり)など、足を動かしていない期間が長い ・喫煙 ・脱水 ・その他血流の低下が起こりうる場合 対策 ・おかしいと思ったらただちに専門の医療機関へ行きましょう。 ④脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) 脊柱管狭窄症とは、脊髄や抹消神経が通るトンネル(脊柱管)が何らかの影響を受けて狭くなってしまい、発症する疾患です。 中高年で腰痛を伴う代表的なもので、長時間歩くことができなくなる間欠性跛行がみられます。 出典:日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spondiyolysis.html 脊柱管狭窄症で悩む中高年の患者さんは数多くいます。それゆえ、見過ごされやすいのも事実です。 しかし、ひどいものでは「足に力が入らない」「排尿障害」が起こるなど、日常生活に大きく影響してくる場合もあります。 気になる症状が出たら、できるだけ早く専門医に受診しましょう。 脊柱管狭窄症の症状 ・お尻から足にかけて痛みや痺れがある ・長く歩いたり、立ったままになるのが辛い ・足に力が入りにくい ・体を反らす動きがしづらい ・体を前屈みにすることで症状が楽になる ・尿漏れなどの排尿・排便障害がある 脊柱管狭窄症の原因 ・加齢による背骨の変形や、周辺の軟部組織の変性 ・先天的なもの ・猫背などの偏った姿勢 ・反り腰 ・仕事などで腰に負担のかかる動作の繰り返し 対策 ・できるだけ早く専門医に受診しましょう。 これらの疾患は何科を受診すべきか 「膝から下が痛い」と感じた時に、考えうる疾患について4例説明しました。 一見、全く違う病気のようにみえますが、似ている症状も数多くあります。そのため、疾患の見分け方は専門医でなければ難しいことが多々あります。 「じゃあ、何科を受診すればいいの?」と不安になる方もいらっしゃると思います。 そこで、下記に疾患ごとのおすすめ受診科目を挙げています。早めの対処が必要な疾患もありますので、気になる症状がみられましたら、下記を参考に専門医へご相談ください。 ①下肢静脈瘤・・・ 血管外科※、心臓血管外科、皮膚科、形成外科、循環器内科 ②閉塞性動脈硬化症・・・ 血管外科※、循環器内科 ③深部静脈血栓症・・・ 血管外科※、循環器内科、整形外科 ④脊柱管狭窄症・・・ 整形外科 ※上記で紹介した「血管外科」は、現時点において日本にあまり多くないのが実情です。 そのため、お近くに「血管外科」が無い場合は、「循環器内科」や「皮膚科」、「整形外科」などの他の診療科も視野に入れて、早めにご相談されることをおすすめします。 まとめ・膝から下が痛い、重い、だるい!症状から考えられる病気と治療法 今回は、膝の病気で「膝から下が痛い・重い・だるい」という症状で、考えられる疾患についてお話しました。 本記事で挙げた疾患の中には命に関わる重大な疾患も含まれている為、気になる症状がありましたらできるだけ早めに専門医へ相談してください。 難しい言葉が並び、読むのも嫌になるかもしれませんが、これらの疾患は誰にでも起こりうるものです。例えば「深部静脈血栓症」から「肺塞栓症」へ移行してしまうと、一刻も争う状態になります。 「あの時、もっと早く相談しておけば良かった・・・」 そんな声が1人でも少なくなるよう、本記事を読んでいただけると幸いです。 No.S094 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下も参考にしてください 膝が痛む場所、場所から分かる膝の病気
最終更新日:2024.04.08 -
- 変形性膝関節症
- ひざ関節
膝の上の筋肉、ふとももが痛む場合の対策と考えられる病気 「膝の上の部分が筋肉痛のように痛む」こんな症状で悩まれている方はいませんか。今回は、膝の上に痛みが出る場合の原因や対処法について解説します。 「膝の筋肉が痛む・・・いったい何が原因なの?」 「膝上が痛くてつらい・・・なぜ?」 膝の上、ふとももの周辺が痛む原因について 膝の上の筋肉に痛みがある場合は、「筋肉そのものに問題」がある場合と、膝の上の「別の組織に原因がある」場合が考えられます。それぞれの原因を詳しく紹介してまいりましょう。 「ふともも」に問題がある場合 膝の上にある「太もも」には、さまざまな筋肉が存在します。 主なものとしては、太ももの前にある大腿四頭筋(だいだいしとうきん)や、太ももの裏にあるハムストリングス(大腿二頭筋、半腱様、半膜様筋といった3つの筋肉の総称)といった筋肉が膝の曲げ伸ばしで働きます。 これらの筋肉を使いすぎて筋肉痛が発生したり、さらに筋肉が損傷して肉離れになったりすると筋肉に痛みが生じます。また、筋力低下により筋肉が疲労しやすかったり、力が入りすぎてしまったりして筋肉に痛み出てしまうこともあります。 筋肉の痛む原因 ・筋肉の使いすぎ ・筋肉の損傷 ・筋力の低下 ・筋肉の疲労 「ふともも」の痛みで考えられる病気 膝上周辺には膝のお皿である膝蓋骨(しつがいこつ)があり、太ももの骨である大腿骨(だいたいこつ)と、すねの骨である脛骨(けいこつ)で関節を作っています。 さらにその周りには、骨や周りの組織の衝突を避けて膝の曲げ伸ばしをスムーズにする、膝蓋前滑液包や膝蓋上のうなどの組織があります。 そのため、膝の上の方に痛みが見られる場合は、これらの関節や組織に何らかの問題が発生している可能性が考えられます。 具体的には次のような病気が潜んでいる可能性があります。 ふとももの筋肉が痛む場合に考えられる病気 ・膝蓋上のう炎 ・膝蓋前滑液包炎 ・膝蓋大腿関節症 ・変形性膝関節症 以上のように膝の上が痛む場合、筋肉以外にもさまざまな組織の炎症や変形が痛みの原因となっている可能性があるのです。そのため、痛みがある場合は無理せず早めに病院を受診して各種検査をすることが重要になります。 膝の上「ふともも」の周辺が痛む場合の対策は? 痛みの原因に応じて対策をすることが大切です。 筋肉の痛みだと自己判断して、むやみにほぐすようなことをしては逆効果になって痛みを悪化させる可能性もあります。以下に原因別に考えられる対策を紹介します。 1)筋肉が原因の場合の対策 筋肉痛や筋肉の損傷が起こっている場合は、無理にほぐしたりストレッチをしたりするとかえって痛みを悪化させる可能性があります。そのため痛みがある場合は病院で正しい診断を受けましょう。 痛みが治まったり、病院での治療が終了したら、損傷したり、動かさなかったりした影響で筋肉が硬くなります。そのまま放置すると怪我の再発の原因となるので、筋肉をしっかりほぐすことが必要になります。 また、筋力低下が痛みの原因となる場合もあるので、膝周辺の筋力を日頃から鍛えておくことが大切です。ストレッチやトレーニングの具体的な方法は後ほど解説します。 2)筋肉が原因ではない場合の対策 組織の炎症による痛みが起こっている場合は、無理な運動は避けて炎症がおさまるまで安静にする必要があります。また、内服薬や注射により炎症の軽減をはかることで痛みを改善させます。 滑液包には炎症により組織から漏れでた水がたまりやすく、注射を使用して水を抜くことで痛みや動きの改善を図ります。 関節の変形がある場合は、膝の負担を軽減するために日常生活で次のような工夫が必要です。痛みが軽減すればストレッチや筋力トレーニングなどで再発を防いだり、膝にかかる負担を軽くしたりします。 膝の負担を軽減する方法 ・正座をしない ・階段を避ける ・体重を増やさない、減量する 「ふともも」のストレッチとトレーニング方法 膝の上、太ももにある筋肉である大腿四頭筋とハムストリングスのストレッチを紹介します。 また、膝の変形に重要な大腿四頭筋のトレーニング方法も解説します。 このような運動は短期、例えば数日で効果が現れるものではありません。痛みがない状態で毎日習慣にすることで、筋肉の柔軟性や筋力が改善します。焦らず少しづつで構わないので毎日続けるようにしましょう。 大腿四頭筋のストレッチ 1,バランスを崩さないように壁など支えにして立ちます。 2,片方の足の膝を曲げて足首を持って後ろに引きます。 3,太ももの前が伸びるのを感じながら15秒〜30秒キープします。 ハムストリングのストレッチ 1,両膝を伸ばして座ります。 2,つま先を触るように体を倒します。 3,太ももの裏が伸びるのを感じながら15秒〜30秒キープします。 大腿四頭筋のトレーニング 1,仰向けになって両膝を曲げます。 2,片足の膝をまっすぐ伸ばした状態で床から10cmほど離すように足を上げます。 3,そのまま10秒キープした後ゆっくり下ろします。 4,これを10回繰り返します。(余裕があれば回数を少しずつ増やしましょう) まとめ・膝の上の筋肉、ふとももが痛む場合の対策と考えられる病気 膝上の痛みがある場合は筋肉とは別の原因が潜んでいることもあります。そのため、自己判断でほぐすことは症状悪化のリスクがあります。 早めに医療機関、病院やクリニックを受診することで、正しい診断を受ければ、症状にあった治療を受けることができますので、我慢しないようにしましょう。 また、日頃から膝周辺の筋肉をほぐしたり、鍛えたりすることは怪我の予防につながります。 痛みがない場合は、紹介した方法を参考にして、運動を習慣にしましょう。また、症状の改善や予防のためのストレットや運動は継続して取り組むことがあ大切です。短期間だけでは効果を実感できません。 焦ることなく、できる事から毎日取り組みましょう。 以上、ご参考になれば幸いです。 No.S093 監修:医師 加藤 秀一 ▼こちらも参考にしてください 膝の痛みでリハビリ中(運動療法)に膝が痛みだしたらどうすべき
最終更新日:2024.04.08 -
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くも膜下出血とは?その症状と後遺症を医師が徹底解説! くも膜下出血は、突然の激しい頭痛が特徴的であり、今まで感じた中で最悪の頭痛だと言う人もいます。 そして、後遺症がどのくらいで治るのか気になる方もいるかと思います。 そこで今回は、くも膜下出血の症状、後遺症について説明しますので、ぜひ参考にされてください。 くも膜下出血とは? くも膜下出血とは、脳の血管 (脳動脈瘤) の破裂によって引き起こされる非常に深刻な状態であり、脳と周囲の膜との間の空間(くも膜下腔)に出血があり、致命的になる可能性があります。 脳動脈瘤が破裂すると、脳への血液供給が低下することで、脳の正常な機能が損なわれてしまいます。 脳動脈瘤が発生する理由は正確にはわかっていませんが、次のような特定の危険因子が関与していることがわかっています。 発症の危険 ・喫煙 ・高血圧 ・過度のアルコール摂取 ・頭部外傷 喫煙や高血圧は動脈硬化のリスクを高め、脳の動脈瘤や破裂を引き起こします。 また、重度の頭部外傷はくも膜下出血を引き起こす可能性がありますが、これは外傷性くも膜下出血として知られる病気です。 くも膜下出血は前兆なく突然起こる病気ですが、血圧の急激な変動や頭痛や吐き気、意識レベルの低下など特徴的な前兆があることがわかっています。 また、咳や、重いものを持ち上げる、性行為などの肉体的な激しい行動や緊張をきっかけにくも膜下出血が発生することがあります。 くも膜下出血の症状 くも膜下出血の主な症状は次のとおりです。 くも膜下出血の症状例 ・今まで経験したことのない突然の激しい頭痛 ・極度の疲労感や気分不良 ・睡眠の問題 ・感覚や運動障害 ・光に対する過敏症(羞明) ・かすみ目、または複視 ・脳梗塞のような症状(ろれつが回らない、体の片側の麻痺など) ・意識消失、または痙攣 くも膜下出血の後に頭痛が起こることがよくありますが、時間の経過とともに緩和する傾向があります。 また、最初の数か月間は、極度の疲労を感じるのが普通であり、買い物に行くなどの簡単な作業でも、疲れを感じることがあります。また、不眠症や睡眠不足を訴える場合もあります。 さらに、手足の動きが悪くなったり、感覚がなくなったり、視覚や嗅覚、味覚に変化が現れる方もいます。 しかし、これらの変化は通常一時的なものであり、脳の腫れが引くにつれて通常、数か月かけて徐々に改善するため、治ったと勘違いしてしまう危険性があります。 くも膜下出血の治療や合併症は? くも膜下出血が疑われる人は、病院でCT検査を行い、脳の周囲に出血の兆候がないか確認して治療を行います。 通常、短期的な合併症を防ぐために薬が投与され、出血源を修復する治療が行われることがあります。 また、くも膜下出血は、治療を行う際に以下のような短期的および長期的な合併症を引き起こす可能性があります。 くも膜下出血の合併症 ・水頭症 ・出血 深刻な併症には、動脈瘤の再出血や、脳への血液供給の減少によって引き起こされる脳の損傷によるさまざまな機能低下があるため、合併症を起こさない治療が大切です。 くも膜下出血の後遺症にはどんなものがある? くも膜下出血は、適切な治療を早期に受けても後遺症が残る場合があります。 一般的に多くみられる後遺症 くも膜下出血は治療後の回復も、時間がかかるものであり、次のような後遺症が発生するのが一般的です。 くも膜下出血の後遺症 1.運動麻痺 右か左の手足が動かしづらくなる 2.感覚障害 痺れや脱力感 3.嚥下障害 物が飲み込みづらい 4.視野障害 半分の空間がうまく認識できない 5.高次脳機能障害 言葉がうまく話せない、理解がうまくできないなどの失語症、注意・集中ができない 6.認知や行動の障害 物事をうまく実行できない、最近の出来事を直ぐ忘れてしまう その他にみられる後遺症 そのほかにも次のような後遺症が現れることもあります。 くも膜下出血、後遺症 ・歩行不安定、尿便失禁 ・てんかん繰り返す発作 ・記憶などの認知機能障害 ・うつ病などの気分の変化 特に、認知機能障害はくも膜下出血の一般的な後遺症であり、ほとんどの人がある程度影響を受けます。 記憶の問題に関しては、発症前の記憶は通常影響を受けませんが、新しい情報や事実を思い出すのが難しくなります。 気分や思考にみられる後遺症 また、以下のような気分や思考の問題も現れます。 1.うつ病 気分が落ち込み、希望がなく、人生を楽しむことができない 2.不安障害 何か恐ろしいことが起こるのではないかという絶え間ない不安と恐怖感 3. 心的外傷後ストレス障害 (PTSD) 人は悪夢やフラッシュバックを通じて以前の外傷的出来事を追体験することが多く、孤立感、過敏性、罪悪感を経験することがある。 このような後遺症は、長期化するケースも稀ではなく、治療後のリハビリなどが重要になります。 くも膜下出血の後遺症を残さないための予防やリハビリについて くも膜下出血から回復するのにかかる時間は、その重症度によって異なります。 特に出血の部位は、手足の感覚の喪失や言語理解の問題(失語症)などの後遺症にも関連します。 治療後のリハビリ計画 そこで、治療後は急性期〜回復期にかけて理学療法士の下で実施されるリハビリ計画は、影響を受けた手足の感覚と動きを回復するのに役立ちます。 ・リハビリ専門医 脳損傷による機能回復を専門とする医師 ・理学療法士 エクササイズやマッサージなどの特定の技術の専門家 ・言語療法士 コミュニケーションの問題を認識し、治療を支援する専門家 ・作業療法士 着替えなどの日常生活で発生する可能性のある問題を特定する専門家 上記のようなさまざまな職種が関わっています。 くも膜下出血再発リスクを減らす予防法 また、治療後にくも膜下出血の再発リスクを減らすためにできることがいくつかあります。 再発リスクを減らすために ・禁煙や飲酒制限 ・定期的な運動 ・健康的な食事(減量など) まずは、喫煙や過度の飲酒などの生活習慣を改めましょう。 毎日同じ時間に起きて寝るという日課を設定して、定期的な運動も行いましょう。また、リラクゼーションの時間も取っておく必要があります。 くも膜下出血によくあるQ&A 最後にくも膜下出血に関するよくある質問についてまとめました。 後遺症がどのくらいで治るのか、仕事復帰の目安などについて解説します。 Q.くも膜下出血に特徴的な前兆はありますか? A.くも膜下出血に特徴的な前兆としては、血圧の乱高下があります。激しく上昇、下降する場合は可能性が高いです。また脳梗塞などと同じように頭痛や吐き気などの前兆が現れることもあります。 Q.後遺症を残さずに仕事復帰はできますか? A.くも膜下出血で後遺症なく仕事復帰できるのは、3~4割程度といわれています。完全に後遺症を残さないためにはリハビリが大切になります。 まとめ・くも膜下出血とは?その症状と後遺症について!医師が徹底解説! いかがでしたでしょうか? くも膜下出血は、突然起こると思われがちですが、血圧の変動や頭痛など特徴的な前兆があるため、少しでも不調があれば病院を受診することが大切です。 くも膜下出血は、突然におこる激しい頭痛が特徴的です。後遺症が残ることもあります。そのため、適切な治療や、リハビリのプランが重要になります。 喫煙や、高血圧といった危険因子を管理し、健康的な生活習慣を心がけることが再発を予防するポイントです。 また、後遺症の程度によっては、仕事復帰に時間がかかる場合もありますが、治療後のリハビリは再発リスクを低減させて、回復を早めるためにも大切ですので医療機関の指導の下、前向きお取組みされることをお勧めします。 いずれにしましても、くも膜下出血で後遺症を残さないためには早期治療、そしてリハビリが大切です。 今回の記事を参考にして症状や、後遺症などについて少しでも参考になれば幸いです。 No.094 監修:医師 坂本貞範 ▼くも膜下出血、以下の記事も参考にされませんか くも膜下出血の前兆?首の後ろの痛みを伴う激しい頭痛は危険!
最終更新日:2024.04.24