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妊娠出産で骨盤がゆるむと、陰毛の生え際あたりにある恥骨に負荷がかかりやすいです。場合によっては、左右の恥骨をつなげている軟骨と靱帯が伸びて「恥骨結合離開」を起こします。 痛みをなんとかしたくても、育児中だとなかなか病院にも行けず、妊娠中や授乳中だと薬を飲んで良いか悩むこともあるでしょう。 この記事では恥骨結合離開の原因や症状、検査方法、治療方法について解説します。自宅でケアするポイントや、自然に治る可能性があるのかもお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。 恥骨結合離開は妊娠・出産時に発症しやすい 恥骨結合離開は、恥骨結合部分が過度に広がる状態です。 そもそも恥骨結合は骨盤の一部分で、左右の恥骨が軟骨と靱帯でかたくつながっています。おへそからまっすぐ下がっていくと、陰毛の生え際のあたりにかたい骨が触れますが、恥骨結合があるのはこのあたりです。 妊娠・出産の際に、ホルモンの影響で靱帯がゆるんだり、恥骨結合に圧力がかかったりすると、恥骨結合が引き伸ばされて隙間が広がることがあります。この状態が恥骨結合離開で、痛みが起きたりうまく歩けなかったりといったさまざまな症状が現れます。 恥骨結合離開の関連症状| 恥骨結合炎について 恥骨結合離開と似ている症状に「恥骨結合炎」があります。恥骨結合炎とは、恥骨結合に負担がかかって炎症が起きている状態です。恥骨結合炎が悪化して恥骨結合離開に至るケースもあります。 恥骨結合離開は妊娠・出産に関連して起きることが多い一方、恥骨結合炎は、スポーツによって強い力が加わり発症することも少なくありません。手術の合併症として起こることもあります。 両者の違いをまとめると以下のとおりです。(文献1、文献2) 恥骨結合離開 恥骨結合炎 主な原因 ・妊娠に伴うホルモンバランスの変化 ・出産時の恥骨への圧迫 ・恥骨への運動ストレス ・恥骨結合にねじれる力がかかる ・恥骨に付着している筋肉により強く引っ張られる 恥骨結合の距離 10mm以上 変化がない、または10mmより短い 恥骨結合離開になる方の割合は多くありません。妊娠中や産後に恥骨が痛む場合は、恥骨結合炎の可能性もあります。 恥骨結合離開の原因 ここでは恥骨結合離開の原因について確認しましょう。原因を知ることで、どんな対策ができるかも見えてきます。 妊娠・出産によるホルモン分泌で骨盤が緩むため 妊娠中に増えた体重が恥骨結合へ余計な負荷をかけるため 妊娠中の運動不足により筋力が低下するため 出産時に恥骨周辺が圧迫されるため 一つずつ解説します。 妊娠・出産によるホルモン分泌で骨盤が緩むため 妊娠中はホルモンの一種であるエストロゲンとリラキシンが、妊娠の維持や出産の準備のために分泌され骨盤がゆるみます。骨盤がゆるむと恥骨結合に負荷がかかりやすくなり、痛めてしまうことは多いです。 骨盤が不安定ななかで、子どもを抱っこしたり無理な姿勢で育児したり、痛みを我慢して家事をしていると、恥骨結合や恥骨にくっついている筋肉に疲労がたまります。悪化すれば恥骨結合炎を発症したり、恥骨結合離開に進展したりする可能性もあります。 妊娠中に増えた体重が恥骨結合へ余計な負荷をかけるため 恥骨結合があるのは、上半身の重みがかかりやすい位置です。妊娠中に体重が増えると、それだけ恥骨結合の負担も増えます。 また、赤ちゃんの重みでも恥骨結合に負荷がかかります。骨盤および骨盤の周りの筋肉で子宮を支えているため、赤ちゃんが大きくなるほど痛みが出やすいです。 左右に傾いた姿勢や、前かがみの姿勢では恥骨への負荷が大きくなります。片足に体重を乗せる、足を組むなどの姿勢は避け、背筋を伸ばすと痛みが緩和されるでしょう。 妊娠中の運動不足により筋力が低下するため 身体が重くなる妊娠中は、歩くのも面倒になりがちです。しかし運動不足による筋力低下も、恥骨結合離開のリスクとなります。 とくに骨盤の下側を覆う骨盤底筋群や、脇腹から骨盤につながる腹横筋は、妊娠中にも骨盤を支えている大切な筋肉です。これらの筋力が弱まりすぎると、体重や赤ちゃんの重みが骨盤に集中し、恥骨結合にも過剰な負担がかかってしまいます。 対策として、お腹が大きい状態でできる運動には限りがありますが、無理のない範囲で筋力を維持しましょう。 出産時に恥骨周辺が圧迫されるため 出産時に骨盤が広がり、赤ちゃんの頭や体が出てくる際、恥骨周囲が直接圧迫されて恥骨結合離開となるケースがあります。 恥骨結合離開のリスクが高いとされるのは、初産の場合や双子の場合です。(文献1)また、小柄な方や骨盤がせまい方は、恥骨結合に無理な力がかかりやすく発症しやすいといわれます。赤ちゃんが標準より大きい場合も、出産時に骨盤が広がり過ぎて、恥骨結合が引き伸ばされてしまうことがあります。 妊娠時に筋力が弱まった骨盤まわりに、出産で大きな力がかかり恥骨結合離開となるケースが多いです。妊娠時から筋力維持のための運動や姿勢を意識し、対策しておきましょう。 恥骨結合離開の主な症状 ここでは恥骨結合離開の主な症状について説明します。 恥骨まわりや股関節が痛む 思ったように歩けない 痛くて横向きの寝方・寝返りができない 脚の内側に力が入らない 順番に確認していきましょう。 恥骨まわりや股関節が痛む 恥骨結合離開では、恥骨まわりに強い痛みを感じます。(文献1)じっとしていても痛む場合が多く、押すと痛みが増すのが特徴です。 また股関節や内ももには、恥骨から筋肉がつながっており、炎症が広がって痛みを感じることがあります。歩いたり前かがみになったりする動作、立ち上がり動作、太ももを閉じるような動作でとくに痛みが増すため、動作に注意しましょう。 思ったように歩けない 恥骨にはお腹や太ももの筋肉がくっついています。恥骨結合離開になると、痛みがひびいて筋肉を動かせなくなったり、骨盤が安定しなかったりして、いつものように歩けなくなります。 妊娠中に骨盤痛があると早く歩けないほか、片足を地面から離すのがつらく、短い歩幅でちょこちょこした歩き方になりやすいです。(文献3) 痛くて横向きの寝方・寝返りができない 横向きに寝ると骨盤の片側が圧迫され、恥骨結合にも負担がかかって痛みが強くなることがあります。どうしても横向きで寝るときは、足の間にクッションなどをはさんで骨盤がねじれないようにすると、痛みがやわらぎやすいです。 また、恥骨結合部分が痛くて寝返りができない方もいます。そもそも寝返りを打つときは、骨盤にくっついている腹筋や足の筋肉に力を入れて、体全体を連動させて動かします。そのとき、骨盤にも力が加わるため、恥骨結合が痛むのです。 脚の内側に力が入らない 脚を内側に閉じる筋肉は恥骨に付着しています。動かそうとすると恥骨が引っ張られて強い痛みが起き、うまく力が入りません。 そもそも恥骨結合がゆるんでいると、骨盤も不安定になっています。これにより筋肉の力がうまく伝わらないことも、脚に力が入らない一因です。 恥骨結合離開の検査方法 妊娠中や出産後に恥骨結合離開を疑うときの、診察と検査についてまとめました。主要な検査はレントゲン撮影です。妊娠・授乳中に行って良いのかも解説します。 触診 痛みの正確な位置や痛みの程度を確認するため、医師が患部を触って診察します。どのような動作で痛みが増すか、体重をかけたときはどうかなども確認します。 痛い部分を触られるのはつらいですが、正しい診断のために必要な診察です。少しの間がんばりましょう。 レントゲン・MRI検査 恥骨のあたりに痛みがある場合、骨の状態や炎症の具合をみる検査を行います。 レントゲン MRI レントゲンはかたい骨がうつりやすいため、恥骨がどれくらい離れているかが見やすく、恥骨結合離開の診断によく使われます。 MRIはやわらかい組織をうつすのが得意で、骨以外の靱帯や筋肉などの炎症も分かりやすいのが特徴の一つ。時間のかかる検査のため、より精密に検査したい場合に行われます。 妊娠中・授乳中にレントゲン・MRI検査はできる? レントゲン検査は放射線を照射するため、妊娠中や授乳中に検査しても良いのか不安ではないでしょうか。 レントゲン撮影は放射線被ばく量が少ないため、妊娠中も授乳中も可能です。(文献4) 少量の放射線は空気中や大地、食物に含まれており、わたしたちは日頃から少量の被ばくをうけています。自然の被ばく量とレントゲンの被ばく量を比較してみましょう。(文献5) 空気中から 大地から 宇宙から 食物から レントゲン(胸) 被ばく量 0.48mSv/年 0.33mSv/年 0.3mSv/年 0.99mSv/年 0.06mSv/回 レントゲンの被ばく量の少なさがわかります。 帝王切開などの手術の事前検査でレントゲンを撮影したり、身長の低い方・胎児が大きい場合に産道を赤ちゃんが通れるか骨盤計測するためにレントゲンを撮ったりする場合もあります。また、放射線は母乳に影響しないため授乳中も検査ができます。 安心してレントゲン検査を受けてください。 また、MRI検査は磁気を利用した検査で、通常のMRI検査は胎児に影響しません。 ただし、造影剤を用いるMRI検査は胎児に影響がでる報告があり妊娠中は行えません。妊婦さんにMRIが必要なときは、造影剤を使わず検査可能なのでご安心してください。 恥骨結合離開の治療法 妊娠中や育児中でもできる治療やケアを紹介します。妊娠中や授乳中は飲める薬が限られるので、自分でできるケア方法を知っておくと便利です。 痛み止め・炎症止めの薬の服用 患部の冷却 安静 骨盤ベルトの装着 ストレッチや散歩 病院での治療や自宅でできるケア方法をまとめたので、ぜひ参考にしてください。 痛み止め・炎症止めの薬の服用 恥骨結合離開の一般的な治療は、投薬や冷却、注射などです。妊娠中や授乳中は痛み止めが飲めないわけではありません。 しかし、種類が限られるため、なるべく受診して医師に処方してもらいましょう。妊娠中や授乳中に飲める痛み止め成分はアセトアミノフェンです。 アセトアミノフェンが主成分の市販薬もありますが、市販薬はほかの成分も含まれているため必ず薬局の薬剤師やかかりつけの医師に相談しましょう。 患部の冷却 痛みが強い・炎症が強い場合は冷やすのも効果的です。保冷剤などをタオルで巻き、冷やしてみてください。 市販の冷湿布は妊娠中・授乳中に使えない成分が含まれているものがあります。湿布の成分は皮膚を通してからだに吸収されるため、おうちにある湿布を安易に貼らないようにしましょう。 湿布を使いたい場合は薬剤師に相談するか、病院を受診して処方してもらいます。 安静 なるべく動かずに安静にすることも恥骨結合離開で大事な治療の一つです。 育児中は安静を保つことが難しい状況ですが、痛みが強い場合は無理をしないようにしましょう。 子どもが寝ているときになるべく一緒に休息をとったり、ネットスーパーを利用して外出を減らしたりするなど、できるだけ家で過ごす工夫をすることが大切です。 骨盤ベルトの装着 骨盤ベルトを日頃から使い、骨盤を安定させると痛みの軽減につながります。 妊娠中は出産に向けてすこしずつ骨盤がひらき、胎児が大きくなることで恥骨への負担が増えます。出産後も骨盤はすぐ元にもどらないため、ベルトで骨盤を安定させましょう。 骨盤ベルトは産婦人科のある病院や助産院で購入できる場合があるので、恥骨の痛みを感じたらはやめに助産師や医師に相談してください。 市販の骨盤ベルトを選ぶ場合は、「妊娠中から産後まで使える」と書いてあるなど、妊産婦向けの商品を選んでくださいね。 ストレッチや散歩 痛みが強い急性期は、痛み止めの内服や冷却をして安静にするのが基本ですが、痛みが慢性化している場合は軽い運動が効果的です。再発予防にもなるため、医師の診察で軽い運動の許可が出たら少しずつ行いましょう。 マタニティヨガや産後ヨガなど痛みの出ない範囲で行うと良いでしょう。ベビーカーを使い、お子さんとお散歩するのもおすすめです。 恥骨の痛みに効果的なストレッチは、以下の記事でも紹介しているので参考にしてください。 恥骨結合離開はいつ治る?治療しなくても治る可能性があるかも紹介 恥骨結合離開は、骨盤ベルトや安静によって6週間ほどで安定し始め10ヶ月時点で自覚症状が無く経過良好という報告があります。(文献1)また、恥骨結合離開を含む骨盤の痛みは、通常は産後3カ月以内に自然に回復するといわれています。(文献3) 一方で、恥骨結合の開きが大きかったり、恥骨結合以外の部分も傷ついていたりする場合は、なかなか改善が見られません。産後1〜2年が過ぎても10人に1人は骨盤痛が続いているとの報告もあり、個人差が大きいです。(文献3) 恥骨結合離開は、早めに治療すれば早めの改善が期待できます。症状が強ければ、我慢せず産婦人科で相談してください。必要に応じて整形外科を紹介してもらえるでしょう。 恥骨結合離開で現れる可能性のある後遺症 恥骨結合離開になった後、残る可能性のある症状について説明します。 まずは痛みです。恥骨周辺に慢性的な痛みが残る場合があるほか、歩くときや立ち上がるときに痛みを感じる方や、くしゃみや咳で痛みが響く方もいるでしょう。 次に運動機能への影響です。恥骨結合の不安定さが残れば、寝返りをしにくい、長い時間歩けないなどの症状が残るかもしれません。子どもを抱っこしたり重いものを持ったりするときに、不安定さを感じる場合もあります。 これらの症状は、次回の妊娠・出産で負荷が増したときに、再発のリスクが高まります。月経前に恥骨結合が緩んで痛みが出る場合や、更年期の体の変化にともなって痛みが出る場合もあるでしょう。 恥骨結合離開を予防するために産後の生活で気を付けること 産後は赤ちゃんの抱っこやお世話・授乳時に無理な姿勢をとりやすく、恥骨結合離開が悪化することもあります。 出産後、育児中の恥骨結合離開との付き合い方についてまとめました。 赤ちゃんの抱っこ 出産後は赤ちゃんを抱っこすることが多いですよね。 抱っこするときは前かがみの姿勢になりやすいですが、前かがみは恥骨に体重がかかるため負荷がかかります。床など低い位置から赤ちゃんを抱っこするときは、なるべく背筋をのばし、片膝を立てて抱き上げましょう。 また、抱き上げたあとも、左右どちらかに体重がかからないよう注意し、片方の腰の骨に赤ちゃんを乗せる抱き方もひかえます。 抱っこして歩くときはなるべく骨盤ベルトを使用してくださいね。 授乳などお世話の姿勢 授乳時も前かがみになりやすいため、なるべく前かがみにならないよう床ではなく椅子に座り、授乳クッションを使いましょう。 オムツ替えやお着換えなどのお世話も前かがみになりやすいですが、オムツ交換台を使用すると腰の負担が減ります。オムツ交換台は転落に十分注意しながら使ってみてください。 恥骨結合離開とうまくつきあって再発を予防しよう! ここまで、妊娠・出産における恥骨結合離開の原因や検査、ケアや注意点を紹介しました。 妊娠や出産で骨盤まわりは変化しますが、痛みがでやすいなかでの妊婦生活や育児は大変ですよね。どうしても姿勢がくずれてしまったり、慌ててしまって腰や恥骨に負荷がかかったりすることはよくあります。しかし、お母さんが健康でいることも大切なことです。 痛みがあるときはなるべく安静にし、しっかりケアしてください。痛みが強ければ、我慢せず病院へ行きましょう。また、痛みがひいても姿勢に気を付け、ヨガなどのストレッチや散歩を習慣にして再発を予防しましょう。 参考文献 (文献1) 高須厚ほか.「創外固定で治療した出産に伴う恥骨結合離開の1例」『中部日本整形外科災害外科学会雑誌』62(2), pp.379-380, 2019年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/chubu/62/2/62_379/_article/-char/ja/ (最終アクセス:2025年3月19日) (文献2) 医学書院医療情報サービス「恥骨炎(恥骨結合炎)」医学書院, 2025年3月3日 https://imis.igaku-shoin.co.jp/contents/reference/sei_04260-08/4260/sei_04260-08_a023z0005/ (最終アクセス:2025年3月19日) (文献3) 坂本飛鳥ほか.「妊娠・産後の骨盤痛が歩行に及ぼす影響:システマティックレビュー」『Japanese Journal of Health Promotion and Physical Therapy』10(1), pp.1-8, 2020年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/hppt/10/1/10_1/_pdf (最終アクセス:2025年3月19日) (文献4) 日本医学放射線学会ほか5機関「「母乳中放射性物質濃度等に関する調査」についてのQ&A」平成23年6月8日 https://www.jsog.or.jp/news/pdf/Q&A_20110608.pdf (最終アクセス:2025年3月19日) (文献5) 環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成26年度版)第1章 放射線の基礎知識と健康影響 8身の回りの放射線」環境省ホームページ https://www.env.go.jp/content/900413502.pdf (最終アクセス:2025年3月19日)
2024.11.13 -
- 内科疾患、その他
- 内科疾患
「尿酸値が高いと言われたけど、どうすればいいの?」「痛風になりたくないけど、予防法がよくわからない」 こうした悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。 高尿酸血症は痛風の主な原因であり、放置すると関節の炎症や腎臓障害など深刻な合併症を引き起こす可能性があります。しかし、適切な食事療法と生活習慣の改善により、尿酸値をコントロールし、痛風のリスクを大幅に下げることができるのです。 本記事では、尿酸とその体内での役割や尿酸値を下げるための具体的な方法まで、詳しく解説します。日常生活で実践できる痛風予防のヒントにしていただければ幸いです。 尿酸とは何か?その体内での役割と痛風への影響 尿酸とは、体内で作られる物質の一つです。プリン体という物質が分解されると、尿酸となります。 プリン体が取り込まれるまでには二つの経路があります。一つは特定の食品に含まれているプリン体と、体内で生成されるプリン体です。 尿酸は適量であれば、体に良い働きをすると考えられています。例えば、尿酸は体を酸化から守ったり、神経を保護したりなどです。 しかし、尿酸が体内に必要以上に蓄積すると問題が生じる可能性があります。そのため過剰な尿酸は健康に悪影響を及ぼす場合があります。 尿酸の生成と排出のメカニズム 私たちの体内では、尿酸の生成と排出のバランスが適切に保たれることで、尿酸値が一定の範囲内に維持されています。以下の表は、尿酸の生成要因と排出経路を簡潔にまとめたものです。 項目 説明 尿酸の生成要因 プリン体を多く含む食品の摂取 体内での代謝により生成 尿酸の排出経路 腎臓でろ過され、尿として排出される 尿酸は、プリン体と呼ばれる物質が分解されてできる老廃物の一種です。プリン体は、食事から摂取されるほか、体内でも生成されます。 一方、尿酸の約70%は腎臓で濾過され、尿として体外に排出されます。残りの約30%は腸管から排泄されると考えられています。 しかし、何らかの原因でこの生成と排出のバランスが崩れると、血中の尿酸値が上昇してしまいます。例えば、以下のような場合です。 バランスを崩す要因 説明 プリン体の過剰摂取 肉類、魚介類、ビールなど、プリン体を多く含む食品を過剰に摂取すると、尿酸の生成が増加する 腎機能の低下 加齢や腎臓病などにより腎臓の機能が低下すると、尿酸の排出が減少し、体内に蓄積されやすくなる このように、尿酸値を適正に保つには、バランスの取れた食生活と健康的な腎臓の機能維持が重要だといえるでしょう。 痛風と高尿酸血症の関係 高尿酸血症が長期的に続くと、尿酸が関節内に結晶として蓄積し、激しい炎症を引き起こすことがあり、痛風発作の原因の一つです。 痛風が適切に管理されない場合、以下のような合併症を引き起こすリスクがあります。 関節の損傷や変形 腎臓結石 腎機能障害 前述のように、尿酸は適度な量であれば体に必要な物質ですが、過剰になると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。痛風の管理において、尿酸値のコントロールは重要な役割を果たすでしょう。 ただし、尿酸値の上昇や痛風の発症には個人差があり、生活習慣や遺伝的要因なども関与していると考えられています。定期的な健康診断で尿酸値を確認し、異常が見られた場合は医療機関で適切な指導を受けることが大切です。 痛風発作の症状としては、通常、関節の激しい痛みと腫れ、発赤などが現れます。 特に、足の親指の付け根にある第一中足趾関節と呼ばれる関節が侵されることが多いですが、膝や足首、肘などの関節に症状が出る場合もあります。 痛みは突然現れ、数日から長くて2週間ほど続くことが特徴です。 尿酸値を上げる主な原因 尿酸値が上昇する原因は、大きく分けて「食生活」と「生活習慣」の2つがあります。自分の生活を振り返り、高尿酸血症のリスク要因がないか確認することが大切です。 食生活の影響:プリン体の多い食品とは? プリン体を多く含む食品の過剰な摂取は、尿酸値上昇の大きな原因の一つです。特に以下の食品には注意が必要です。 食品群 具体例 肉類 レバー、内臓肉など 魚介類 イカ、サーディン、アンチョビなど キノコ類 マッシュルーム、シイタケなど アルコール飲料 ビール、発泡酒など 表で示した食品に含まれるプリン体が体内で分解されると、尿酸が生成されます。そのため、これらの食品を過剰に摂取すると、尿酸値が上昇しやすくなります。 ただし、個人差もあるため、プリン体を多く含む食事を制限するだけではなく、バランスの取れた食事を心がけることが重要です。 全体の食事内容をプリン体の多い食品を控えめにしつつ、野菜や果物、低脂肪乳製品など尿酸値を下げる効果が期待できる食品を積極的に取り入れるとよいでしょう。 例えば、ビタミンCが豊富なレモン、オレンジ、キウイフルーツ、ブロッコリーや、食物繊維を多く含む紅茶、ココア、ケール、ほうれん草などがあります。また、低脂肪乳製品やヨーグルトに含まれるカルシウムは、骨の健康維持に重要な栄養素です。 生活習慣とその影響:アルコール、運動不足、ストレス 食生活以外にも、以下の生活習慣が尿酸値に影響を与えます。 生活習慣 尿酸値への影響 アルコールの多飲 尿酸の排出を妨げる 運動不足 肥満のリスクを高め、尿酸値上昇につながる ストレス 直接的に尿酸値を上昇させる アルコールの過剰摂取は、尿酸の排出を阻害する直接的な影響があります。また、運動不足は肥満につながり、尿酸値上昇のリスク要因となります。さらに、ストレスを適切に解消できないと、それ自体が尿酸値を押し上げてしまう可能性があります。 このように、食生活だけでなく、生活習慣も尿酸値に大きな影響を与えます。自分の生活を見直し、アルコール摂取量の調整、適度な運動の実践、ストレス管理など、総合的なアプローチで尿酸値をコントロールすることが痛風予防につながるでしょう。 尿酸値を下げるための食事療法 高尿酸血症の改善には、適切な食事療法が重要な役割を果たします。尿酸値を下げる効果が期待できる食品を積極的に取り入れ、一方でプリン体の多い食品は控えめにすることが大切です。 尿酸値を下げる食品の選び方 以下の食品は、尿酸値を下げる効果が期待できます。 食品群 具体例 乳製品 低脂肪牛乳、ヨーグルト、チーズなど ビタミンCを多く含む野菜・果物 レモン、オレンジ、キウイ、ブロッコリー、いちごなど その他 コーヒー(カフェインを含まないものも可) 特にビタミンCは、プリン体の代謝を助け、尿酸の排出を促進する働きがあると考えられています。レモン水や野菜ジュースなど、手軽にビタミンCを摂取できる方法を取り入れるのもよいでしょう。 一方、プリン体が多く含まれる食品は控えめにしましょう。 具体的には以下のような工夫が大切です。 食品群 摂取量の目安 肉類 1日100g程度に抑える 魚介類 肉類と同様に控えめにする 野菜 積極的に摂取し、食事の中心にする 肉類や魚介類は、プリン体を多く含むため、食べ過ぎないように注意が必要です。一方、野菜は尿酸値を下げる効果が期待できる食材が多く含まれているため、積極的に摂取しましょう。 痛風予防に推奨される食生活のポイント 痛風予防のための食生活では、以下のポイントにも留意しましょう。 十分な水分補給で尿酸の排出を促す アルコール飲料の摂取を控える バランスの取れた食事を心がける 間食や夜食を控えめにする 適正体重の維持を目指す 痛風予防のために、十分な水分補給が重要です。尿酸は尿として排出されるため、水分摂取量が少ないと尿酸の排出が滞り、血中の尿酸値が上昇しやすくなります。 1日2リットル程度の水分摂取を目安に、こまめに水を飲むようにしましょう。ただし、アルコールや甘味飲料は尿酸値を上げる可能性があるため、避けましょう。 このように、痛風予防には継続した食生活の見直しを行いましょう。医師や栄養士の指示のもと、尿酸値を下げる食品を選び、プリン体の摂り過ぎに注意しながらバランスの良い食事を心がけましょう。 生活習慣の改善策 食事療法と並行して、運動習慣の獲得やストレス管理など、生活習慣すべての改善に取り組むことが大切です。 適度な運動の重要性と具体的な方法 適度な運動は、尿酸値を下げ、痛風のリスクを減らすのに効果的であるといわれています。運動の目安は以下の通りです。 項目 内容 頻度 週3回以上 時間 1回30分以上 種目例 ウォーキング、ジョギング、水泳など、自分に合った運動を選ぶ 運動習慣の獲得は、単に尿酸値を下げるだけでなく、肥満の予防にもつながります。肥満は高尿酸血症のリスク要因の一つであるため、運動を継続することが痛風予防に役立つ可能性があります。 ただし、運動の種類や強度は個人差があるため、医師のアドバイスを受けながら自分の体力や健康状態に合わせて、無理のない範囲で始めましょう。 アルコール摂取の管理と禁煙の効果 アルコールは尿酸値を上昇させる要因の一つです。痛風予防のためには、以下の点に気をつけましょう。 項目 内容 アルコール摂取量の見直し 適量を心がけ、過剰摂取を避ける アルコールの種類 特にビールなどプリン体を多く含む酒類は控えめにする 一方で、喫煙も尿酸値を上げるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、禁煙は痛風予防に役立つ重要な生活習慣の改善策の一つです。 運動、アルコール、喫煙といった生活習慣は、尿酸値に大きな影響を与える可能性があります。食事療法に加えて、これらの生活習慣の改善にも取り組むことで、痛風のリスクを下げられるでしょう。 ただし、生活習慣の改善は個人差が大きいため、自分のペースで無理なく取り組むことが大切です。また、痛風の症状がある場合や尿酸値が高い場合は、医療機関で適切な指導を受けましょう。 定期的な健康診断の重要性 高尿酸血症は、初期には自覚症状が乏しいことが多く、発見が遅れがちです。そのため、定期的に健康診断で尿酸値をチェックすることが大切になります。 早期発見と適切な管理こそが、痛風予防の鍵となるでしょう。 尿酸値のチェックと痛風予防のための定期検診 尿酸値のチェックと痛風予防のための定期検診 健康診断で尿酸値を確認し、高尿酸血症を早期に発見することが重要です。 次のような方は特に注意が必要です。 リスク要因 解説 痛風の家族歴 痛風の家族歴がある方は、高尿酸血症のリスクが高くなりやすい 肥満傾向 肥満は高尿酸血症のリスク要因の一つ すでに高尿酸血症と診断された方は、医師の指示に従って定期的な検査を受けることが大切です。 診断後も、尿酸値の推移を継続的にチェックし、適切な管理を行うことが重要です。 医師と相談するタイミングとその方法 以下のようなケースでは、医師に相談することをおすすめします。 ケース 説明 健診で尿酸値が高めだと指摘された場合 早期の段階で医師に相談し、適切な指導を受けることが大切です 痛風発作が疑われる症状がある場合 関節の激痛など、痛風発作を疑う症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう 早期の治療開始が、重症化を防ぐ上で非常に重要です。医師との相談では、食生活や生活習慣について正直に伝え、適切なアドバイスを求めることが大切です。 医師と連携を取りながら定期的に検査を受け、生活習慣の改善にも取り組むことで、痛風のリスクを効果的に下げることができるでしょう。 自覚症状がない場合でも、健康診断での確認は欠かせません。自分の健康は自分で守るという意識を持ち続けることが、痛風予防に役立ちます。 痛風は、早期発見と適切な管理によって、予防や症状の改善が期待できる病気です。 定期的な健康診断と医師との連携を通して、高尿酸血症の早期発見と継続的な管理に努めましょう。 生活習慣の改善と合わせて、総合的に痛風予防に取り組むことが大切です。 まとめ:尿酸値管理による痛風予防の長期的な利点 適切に尿酸値を管理し、高尿酸血症を改善することは、痛風予防だけでなく、全身の健康維持にもつながる重要なプロセスです。 生活習慣の見直しと尿酸値のコントロールを続けることで、以下のような長期的な利点が期待できます。 長期的な利点 説明 痛風発作のリスク減少 尿酸値を適切にコントロールすることで、痛風発作のリスクを大幅に下げることができます 合併症リスクの低減 高尿酸血症が長期間続くと、関節や腎臓などに合併症が生じるリスクがありますが、尿酸値の管理によってそのリスクを減らすことができます 健康的な生活の実現 尿酸値管理のために行う生活習慣の改善は、全身の健康維持にもつながります つまり、適切な食事療法や運動習慣の獲得、定期的な健康管理などを継続することで、痛風のリスクを下げながら、全身の健康も守ることができるでしょう。 そのため、高尿酸血症と診断されたことを、生活習慣の改善のきっかけと捉えることが大切です。 小さなことからでも続けることが大切であり、食事の工夫や運動、ストレス管理など、日々の生活の中で実践できる予防策を見つけていきましょう。 生活習慣の改善で、将来の健康につながる良い習慣を身につけることができるでしょう。 高尿酸血症は適切な対策を講じることで、十分にコントロールできる可能性のある病態です。 定期的な健診で尿酸値をチェックし、異常が見られた場合は早めに医師に相談しましょう。 一人一人が痛風予防に前向きに取り組むことで、健康で充実した人生を送ることができるはずです。 今日から少しずつでも、生活習慣の改善に取り組んでみましょう。無理のない範囲で、自分に合った方法で続けていくことが大切です。医師や栄養士など専門家のアドバイスを参考にしながら、自分のペースで痛風予防に取り組んでいきましょう。 健康的な生活習慣を身につけることが、尿酸値の改善や症状の緩和につながるでしょう。 例えば、朝食前の軽い運動を日課にしたり、野菜中心の食事を心がけたりなどが挙げられます。 また、就寝前のストレッチでリラックスと取り入れやすいものから、自分に合った方法で少しずつ改善を積み重ねていくことが大切です。 また、飲み会の際にはアルコールを控えめにし、プリン体の多い食事は避けるなど、高尿酸血症のリスクが高まる場面での工夫も効果的でしょう。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 MSD マニュアルプロフェッショナル版,痛風 千葉県栄養士会,かしこく食べる,痛風の予防と食事 東京都立病院機構,高尿酸血症・痛風の食事,高尿酸血症・痛風とは 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 e-ヘルスネット,高尿酸血症 e-ヘルスネット,高尿酸血症の食事 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病,高尿酸血症/痛風 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病の調査・統計,高尿酸血症/痛風 e-ヘルスネット,プリン体 沢井製薬,高尿酸血症・痛風ハンドブック
2024.11.11 -
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「痛風の痛みがすぐ引いたけど1日で治るの?」 結論、痛風の痛みは発作的に現れるため痛みが引いたからといって治ったわけではありません。 本記事では、日常生活に大きな支障をきたす痛風の発作に対する適切な対処法と予防策が重要を解説します。 「痛風の痛みを早く治したい」「関節が変形しないか不安...」という方向けに、先端医療である再生医療に関する情報や症例を公式LINEで公開中です。 新しい治療の選択肢として注目されている再生医療について、この機会にぜひ知っておきましょう。 \公式LINEでは再生医療に関する情報や症例を公開中!/ ▼LINE限定「再生医療の基礎がわかるガイドブック」を無料でプレゼント 痛風の発作は一日で治らない 「痛風は一日で治る」とよく耳にしますが、これは誤解です。実際には、痛風の発作を完全に治すには数日から数週間はかかります。 痛風の発作が起こると、関節内の炎症を抑えるために、医師から消炎鎮痛薬やステロイド薬、コルヒチンなどの薬が処方されます。薬を適切に使うと症状を速やかに和らげて、回復までにかかる期間の短縮が可能です。 しかし、たとえ症状が改善されたように感じても、関節内の炎症が完全に治まるには時間がかかります。 一日での完治を期待せず、医師の指示に従って適切な治療を受けましょう。症状が軽くなっても、自己判断で治療を中断すると再発のリスクが高まります。 痛風は長期的な疾患であり、発作を予防するには、以下のように日常的な生活習慣の改善が欠かせません。 食事療法や運動習慣の見直し 定期的な検査と薬物療法 など 早期の適切な対処と長期的な疾患管理により、症状をコントロールし、健康的な生活を送るのも可能です。 痛風に関する正しい知識を身につけて、医療従事者と協力しながら、継続的な管理と治療に取り組みましょう。 ▼LINE限定のガイドブックを無料でプレゼント >>公式LINE限定の再生医療に関する情報を見てみる 痛風発作の原因と急性期の特徴 痛風発作は、体内で作られた尿酸が関節内に結晶として蓄積した際に、引き金となって起こる急性の炎症反応です。 痛風発作の典型的な症状例は、以下のとおりです。 激しい関節痛(主に足の親指の付け根に起こる場合が多い) 発赤、腫れ、熱感を伴う 触れるだけでも痛みを感じるほどの敏感さ 発作は突然始まり、適切な治療を行わないと数日から長くて2週間ほど続きます。 激しい痛みが持続し、日常生活に大きな支障をきたす場合があります。 痛風の発作初期における痛みの対処法【自宅でできる】 痛風の発作が疑われるときは、以下のような自宅での対処法を試みましょう。 痛風の発作が起きた場合、できるだけ早く痛みを和らげるのが大切です。 上記の方法で症状が和らぐ場合もありますが、効果が不十分な場合は迷わず医療機関を受診しましょう。 現在、当院(リペセルクリニック)の公式LINEでは、先端医療である再生医療に関する詳細や症例を公開しております。 再生医療は痛風でよくある合併症の改善にも期待できる治療方法なので、将来的な不安がある方はこの機会にぜひ知っておきましょう。 ▼LINE限定のガイドブックが無料! >>公式LINE限定の再生医療に関する情報を見てみる 痛風は緊急治療になるケースもあり! 激しい痛みが続くときや関節の腫れが強い場合は、医師による治療が必要です。代表的な治療オプションは以下のとおりです。 治療の選択肢 説明 期待される効果 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の処方 NSAIDsは、炎症を引き起こす物質の生成を抑えて、関節の痛みと腫れを和らげる効果が期待できます 痛みと炎症の緩和 ステロイド薬の内服または関節内注射 ステロイド薬は強力な抗炎症作用を持ち、速やかに症状を改善させる可能性があります。内服薬や関節内注射の形で投与します 速やかな症状の改善 コルヒチンの処方 コルヒチンは、炎症を引き起こす白血球の活動を抑制して、発作を鎮める効果が期待できます 発作の鎮静化 上記の薬剤は炎症を速やかに抑えて、痛みを和らげる効果が期待できます。ただし、薬剤は副作用のリスクもあるため、医師と相談しながら治療を選択するのが大切です。 痛風の発作時は、早期の適切な対処が重要です。医師と連携しながら効果的な治療を受けられると、痛みを和らげて回復までの期間を短縮できるでしょう。 自宅での応急処置を行いつつ、症状が改善しない場合は速やかに医療機関を受診してみてください。 また、痛風以外にも、体の症状でなにかお悩みを抱えておられる方は、当院のメールや電話からお気軽にご相談ください。 痛風の予防における2つのポイント 痛風の発作を一日で治すのは難しいですが、適切な管理により再発の予防は可能です。 以下で長期的な尿酸値管理の重要性と、生活習慣の改善策を解説します。 尿酸値を管理しよう 生活習慣を改善しよう 尿酸値を管理しよう 痛風の発作を防ぐには、血中尿酸値を適正にコントロールするのが大切です。具体的には以下のような方法が有効です。 方法 説明 尿酸値を下げる薬物療法 アロプリノール、フェブキソスタットなどの薬を使用し、尿酸値をコントロールします 定期的な尿酸値のモニタリング 定期的な血液検査で尿酸値を確認し、必要に応じて治療方針を調整します プリン体の多い食品の制限 肉類、魚介類、ビールなど、プリン体を多く含む食品の摂取を控えめにします 医師と相談しながら、自分に合った尿酸値の管理法を見つけるのが重要です。 なお、個人差があるので画一的な方法ではなく、自分の体の反応を観察しながら方法を探りましょう。 また、痛風と尿酸値における詳細は、以下の記事で詳しく解説していますのであわせて参考にしてみてください。 生活習慣を改善しよう 日常生活でできる痛風の予防策も忘れてはいけません。具体的には以下のような点に注意しましょう。 予防策 具体例 十分な水分補給で尿酸の排泄を促す 1日1.5〜2リットル程度の水分摂取を目安に、こまめな水分補給を心がけましょう 適度な運動で体重管理と血行促進 ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を定期的に行うと、体重管理や血行促進に役立ちます。 ただし、急激な運動は避け、自分のペースで無理なく続けるのが大切です ストレス管理とリラクゼーション ストレスは尿酸値を上昇させる要因のひとつです。 リラックスできる時間を設けて、心身の健康維持に努めましょう アルコール(とくにビール)の制限 アルコールのなかでも、ビールは尿酸値を上昇させやすいため、できるだけ控えめにするのが望ましいです。 アルコールを飲む場合は、ビール以外の種類を選ぶなどの工夫も効果的です 上記の生活習慣を見直すと、痛風発作のリスクを下げる効果が期待できます。ただし、生活習慣の改善は短い期間では難しいため、無理のない範囲で少しずつ取り組んでいくのが大切です。 医師や栄養士と相談しながら、自分に合った予防策を見つけて長期的に実践していくのが、痛風とうまく付き合うための鍵となります。 痛風は完治が難しい病気ですが、適切な管理により、発作を最小限に抑えて健康的な生活を送れるでしょう。 痛風の発作が仕事・日常生活に与える影響について 痛風の発作は突然起こるため、仕事の予定に支障をきたす場合があります。 重要な会議の当日に発作が起こると、欠席せざるを得ない状況になるかもしれません。激しい痛みのため集中力が低下し、仕事の効率が下がる可能性もあるでしょう。 長期的な痛風の管理を怠ると、関節の変形や機能障害につながる恐れもあります。関節が変形すると、歩行や家事などの日常的な動作が難しくなり、生活の質が大きく低下します。 また、痛風の発作を恐れるあまり、外出や運動を控えてしまう人もいるかもしれません。 しかし、適切な痛風管理を行えば、これらの影響を最小限に抑えられます。医療チームと協力しながら、薬物療法や生活習慣の改善に取り組むのが大切です。 痛風と上手に付き合うコツ 痛風と上手に付き合うには、以下のような生活戦略が有効です。 戦略 具体例 痛風発作に備えた応急処置キットを常備する 鎮痛剤、氷のう、補助具などをつねに持ち歩く 職場や旅行先にもキットを置いておく ストレスマネジメントの方法を身につける 深呼吸やマインドフルネスなど、リラクゼーション技法を習得する 趣味や運動など、ストレス発散の時間を作る 周囲の理解と協力を得る 上司や同僚に病状を説明し、必要な配慮を求める 家族や友人に協力を呼びかけ、サポート体制を整える 定期的な通院と自己管理を怠らない 医師の指示に従い、定期的な検査と治療を受ける 日々の食事、運動、服薬を自己管理し、病状の安定を図る 上記の戦略を実践すると、痛風があっても充実した社会生活を送れるはずです。たとえば、職場で痛風の理解を得たいときは、上司や人事部門に相談しましょう。 症状や治療の必要性を説明し、通院や休息の配慮が必要な点を伝えてみてください。また、同僚にも状況を伝えてサポートを求めると、仕事上の負担を軽減できるかもしれません。 プライベートでは、家族や友人に痛風の話をして協力を求めるのも大切です。発作時には家事や育児を代わってもらったり、通院に付き添ってもらったりするなど、具体的な支援を求めましょう。 理解者を増やせると、痛風とうまく付き合いながら充実した生活を送れます。 痛風は生活に大きな影響を及ぼす病気ですが、適切な管理と周囲の支援があれば、影響を最小限に抑えられます。 医療チームと相談しながら、自分に合った生活戦略を立てて、実践していくのが重要です。痛みに負けず、前向きな気持ちで日々を過ごしていきましょう。 まとめ|痛風の発作は一日で治らないので生活習慣を整えて改善しよう 痛風の発作は一日で完治できませんが、適切な対処と予防策により、症状の急速な軽減と再発防止が可能です。 以下の表で、痛風の発作における管理のポイントをまとめています。 管理のポイント 具体的な方法 発作時の対処 安静を保ち、患部を冷やす 十分な水分を摂取 激しい痛みや発熱があるときは医療機関を受診 医師の指示に従い、鎮痛剤や炎症を抑える薬を服用 長期的な尿酸値管理 定期的な血液検査で尿酸値を確認 必要に応じて尿酸降下薬を服用 プリン体の多い食品を控えめにする 十分な水分摂取を心がける 生活習慣の改善 適度な運動(ウォーキング、ストレッチなど)を取り入れる ストレスの管理方法を身につける 体重管理を行う 仕事との両立 上司や同僚に病状を説明し、必要な配慮を求める 痛風の発作時は、在宅勤務や休暇を取得できるよう事前に相談 職場に応急処置キットを常備する 通院や体調管理の時間を確保する ストレスの多い仕事は可能な範囲で調整してもらう 痛風と向き合う姿勢が、充実した人生を送るための鍵となります。具体的には、以下のようなアプローチが大切です。 痛みに負けずに前向きに取り組む 医療チームと相談しながら、自分に合った痛風の管理方法を見つける 痛風を自分の健康と向き合うチャンスと捉える 痛風の治療に前向きに取り組む 毎日の小さな習慣を積み重ねる 痛風と診断されたからといって諦める必要はありません。痛風とうまく付き合うためにも一人で抱え込まず、医療機関などに相談してみてください。 また、痛風以外の症状でも、なにかしらの不調が出てしまう場合もあります。体のお悩みを抱えておられるときは、ぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 ▼LINE限定のガイドブックを無料でプレゼント >>公式LINE限定の再生医療に関する情報を見てみる 痛風が一日で治るのかに関するよくあるQ&A 以下では、痛風が一日で治るのかに関して、よくある質問と答えをまとめています。 Q.痛風の初期症状は何がありますか? A.以下の症状があげられます。 足の親指の付け根の激痛 関節の腫れと発赤 関節の熱感 歩行困難 上記でなにか当てはまる症状がある場合は、すぐに医療機関を受診するのが大切です。 痛風の初期症状については、以下の記事で詳細を解説しているので、あわせて参考にしてみてください。 Q.痛風の対策におすすめの食事はありますか? A.痛風対策の食事では、プリン体の少ない食材を中心に選ぶのが大切です。 以下で、推奨される食品をまとめています。 低脂肪乳製品 全粒穀物 大豆製品 など 痛風になったときの食事法は、以下の記事が参考になります。 Q.痛風に市販薬を使っても良いですか? A.痛風の発作時に一時的な痛みを和らげるために、ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を含む鎮痛消炎薬が市販されています。 ただし、根本的な治療にならない点は注意が必要です。また、薬には副作用もあるので、使うときはかかりつけの医師や薬剤師に相談しましょう。 また、痛風の市販薬に関する詳細は、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。 Q.痛風のときはコーヒーを飲まないほうが良いですか? A.カフェインの過剰摂取を避ければ、痛風の方でもコーヒーを飲んで構いません。 ただし、本人の体調や体質によって変わるため、不安なときはかかりつけの医師に相談してみてください。 また、コーヒーと痛風の関係は、以下の記事で詳しく解説しているのであわせてご確認ください。 参考文献一覧 MSD マニュアルプロフェッショナル版,痛風 千葉県栄養士会,かしこく食べる,痛風の予防と食事 東京都立病院機構,高尿酸血症・痛風の食事,高尿酸血症・痛風とは 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 e-ヘルスネット,高尿酸血症 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病,高尿酸血症/痛風 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病の調査・統計,高尿酸血症/痛風 沢井製薬株式会社,高尿酸血症・痛風ハンドブック
2024.11.08 -
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「痛風の発作がつらくて仕事や日常生活に支障が出ている」「痛風の薬を飲んでいるけれど、副作用が心配」といったお悩みをお持ちではないでしょうか。 痛風は適切な治療を行わなければ、関節の損傷や日常生活の質の低下を招く恐れがあります。しかし、正しい薬の選択と使用法を理解し、生活習慣の改善を併せて行えば、痛風をうまくコントロールすることができるのです。 本記事では、痛風治療に用いられる代表的な薬剤の特徴と副作用対策、また痛風予防のための生活習慣改善のポイントについて詳しく解説します。痛風とうまく付き合うための情報を提供できれば幸いです。 痛風とは? - 基礎知識から理解する 痛風は、血液中の尿酸値が高くなることで発症する病気です。関節に尿酸の結晶が蓄積することで激しい痛みと炎症を引き起こします。痛風について正しく理解するために、その原因と症状についてみていきましょう。 痛風の原因と発症メカニズム 痛風の主な原因は、体内での尿酸の生成過多または排泄不足によって血中尿酸値が上昇することです。尿酸は、プリン体と呼ばれる物質が分解されてできる老廃物の一種です。 原因 説明 尿酸の生成過多 プリン体の分解によって尿酸が過剰に生成される。肥満の人にこの傾向が強い。 尿酸の排泄不足 腎臓での尿酸の排泄が適切に行われず、体内に蓄積する。アルコールはこの排泄を妨げる。 遺伝的要因は、尿酸の生成や排泄に関わる酵素の働きに影響を与える可能性があります。例えば、尿酸の生成に関わる酵素の活性が高い場合、尿酸が過剰に生成されやすくなります。一方、尿酸の排泄に関わる酵素の活性が低い場合、尿酸が体内に蓄積されやすくなります。 生活習慣も尿酸値に大きな影響を与える可能性があります。高プリン体の食事や過剰なアルコール摂取は、尿酸の生成を促進する可能性があります。また、肥満や運動不足は、体の細胞が血糖を十分に取り込めない状態を引き起こし、尿酸の排泄を妨げる可能性があります。 血中に蓄積した尿酸は、関節内で針状の結晶となり、激しい炎症反応を引き起こすことがあります。尿酸結晶が関節内の細胞に取り込まれると、炎症性物質であるインターロイキン-1βなどが放出されます。これらの炎症性物質は、関節内の滑膜細胞や軟骨細胞に作用し、さらなる炎症を引き起こします。この炎症反応が、痛風発作として知られる関節の腫れや痛みを引き起こすのです。 痛風発作を繰り返すと、関節への負担が蓄積し、将来的な関節の機能低下につながる可能性があります。したがって、痛風の早期発見と適切な治療が重要です。 痛風発作の兆候と初期対応 痛風発作は、以下のような突然の激しい関節痛で始まる場合があります。 足の親指の付け根(第一中足趾節関節)の激しい痛み 足首、膝、手首などの痛み 関節の赤みや腫れ、わずかな触れ合いでも痛みを感じる 患部の熱感や皮膚の光沢 発作は夜間から早朝にかけて起こることが多く、安静時でも痛みが持続する場合があります。発作が続く間は歩行が困難になり、日常生活に大きな支障をきたす可能性があります。 痛風発作を疑ったら、以下の対処を試してみましょう。 患部を安静にする 冷却パックなどで患部を冷やし、炎症を和らげる 十分な水分を補給する ただし、これらは応急処置に過ぎません。激痛が続く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、医師の診断と指示に従って適切な治療を開始することが大切です。早期の適切な治療が、症状の改善と関節の損傷防止に役立つ可能性があります。 痛風発作が疑われる場合は、我慢せずに医療機関を受診しましょう。医師と相談しながら、適切な治療方法を選択することが重要です。 痛風治療のための薬物療法 - 選択肢とその効果 痛風の治療では、痛みと炎症を抑える薬、尿酸値を下げる薬などが使用されます。それぞれの薬剤の特徴と効果を理解し、自分に合った治療法を選択することが大切です。 NSAIDsとその作用 痛風発作の急性期治療には、痛みや炎症を抑える薬がよく使われます。これらの薬は医療用語でNSAIDsと呼ばれますが、一般的には「消炎鎮痛剤」として知られています。 よく使われる薬の例は次の通りです。 イブプロフェン ロキソプロフェン ジクロフェナク NSAIDsの利点や注意点は以下の通りです。 利点 注意点 発作時の痛みを早く抑える可能性がある 胃腸障害のリスクがある 腎機能への負担がある NSAIDsは発作時の症状改善に有効な場合がありますが、副作用として胃腸障害や腎機能への負担があるため、長期間の使用には注意が必要です。使用する際は、医師の指示に従い、定期的な検査を受けることが大切です。 副腎皮質ステロイドの利点とリスク 副腎皮質ステロイドは、NSAIDsが使えない患者さんや重度の痛風発作に対して用いられることがあります。ステロイドは強力な抗炎症作用を持ち、速やかに症状を改善させる可能性があります。しかし、長期使用によって感染症リスクの上昇、骨密度の低下、血糖値の上昇などの副作用のリスクもあります。 コルヒチンの特性と使い方 コルヒチンは、痛風発作の予防と急性期治療の両方に用いられることがある薬剤です。この薬は、炎症を引き起こす白血球の活動を抑制することで、発作を抑える効果が期待できます。ただし、吐き気や下痢などの消化器症状を引き起こす可能性があるため、少量から開始し、慎重に用量を調整する必要があります。 痛風の薬物療法を行う際は、患者さんの状態や合併症、副作用のリスクを考慮して、適切な薬剤を選択することが重要です。また、定期的な検査を行い、薬剤の効果と副作用をモニタリングすることが求められます。医師と相談しながら、患者さん一人ひとりに合った治療方針を立てることが大切です。 市販薬と処方薬 - どう使い分ける? 痛風の治療薬には、医療機関で処方されるものと、薬局で購入できる市販薬があります。それぞれの特徴を理解し、適切に使い分けることが大切です。 市販薬の選び方と注意点 痛風発作時の一時的な痛みを和らげるために、ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を含む鎮痛消炎薬が市販されています。ただし、市販薬を使用する前に医師や薬剤師に相談することをおすすめします。 市販薬の利点と注意点は以下の通りです。 利点 注意点 すぐに購入できる 根本的な治療にはならない 一時的な症状緩和に役立つ可能性がある 副作用のリスクがある 症状が続く場合は医療機関の受診が必要 市販薬は症状を一時的に和らげるための対処療法です。発作が続く場合は、根本原因に着目した治療が必要になるでしょう。また、市販薬を使用する際は、用法・用量を守り、適切に使用することが重要です。過剰摂取や長期連用は副作用のリスクを高める可能性があります。 処方薬の効果と副作用の管理 一方、医療機関で処方されるのは、尿酸値を下げる薬剤です。代表的なものは、アロプリノールやフェブキソスタットなどです。これらの薬は、尿酸の生成を抑えたり、排泄を促進したりすることで、血中の尿酸値を下げる可能性があります。その結果、痛風発作の予防効果が期待できます。 処方薬の特徴は以下の通りです。 特徴 注意点 長期間の服用が必要な場合がある 定期的な検査でモニタリングが重要 肝機能障害や皮膚症状など副作用の兆候に注意が必要 処方薬は根本的な治療薬ですが、長期服用に伴うリスクもあります。服用中は医師の指示に従い、定期的な検査を受けて副作用をチェックすることが重要です。 このように、市販薬と処方薬はそれぞれ異なる役割があります。状況に合わせて上手に使い分け、薬の特性を理解した上で、医師の指導の下で適切に服用することが望ましいでしょう。痛風とうまく付き合うには、薬の正しい使い方を知ることが何よりも大切です。 痛風予防と生活習慣 - 再発防止のためにできること 薬物療法と並行して、生活習慣の改善に取り組むことが痛風の再発予防につながります。食事の工夫と適度な運動習慣が特に重要です。 食事と生活習慣の改善 痛風の予防には、バランスの取れた食事が大切です。 食事では、プリン体の摂取を控えめにすることが重要です。プリン体を多く含む食品としては、以下のようなものがあります。 レバー、腎臓、脳など内臓類 イワシ、サンマ、カツオなどの青魚 マッシュルーム、ほうれん草、アスパラガスなどの野菜 ビールなどアルコール飲料 これらの食品を過剰に摂取すると、尿酸値が上昇する可能性があるため、適量を心がけましょう。 一方、低脂肪乳製品や果物、コーヒーは、尿酸値を下げる効果が期待できる食品として知られています。バランスの取れた食事の中に、これらの食品を取り入れることも良いでしょう。 痛風を防ぐための日常のポイント 適度な運動習慣も、尿酸値を下げ、痛風の予防に役立つ可能性があります。ウォーキングやジョギング、水泳、自転車こぎなどの有酸素運動を、週に3〜5回、1回30分〜1時間程度行うことが目安です。無理のない範囲で、継続することが大切です。 運動の期待できる効果は以下の通りです。 項目 内容 効果 運動 週3〜5回、30分〜1時間程度の有酸素運動を目安 尿酸値を下げる可能性がある 水分補給の期待できる効果は以下の通りです。 項目 内容 効果 水分補給 1日2リットル程度の水分を意識的に摂取 尿酸の排泄を促進する可能性がある 前述したように、食事と運動、水分補給への意識的な取り組みが、痛風の予防や再発防止に役立つ可能性があります。 痛風予防のための生活習慣の改善は、薬物療法と並行して行うことで、より効果的な痛風管理につながります。無理のない範囲で、生活習慣の見直しを行っていくことが大切です。 痛風発作を経験したら - すぐにできる対処法 いざ痛風発作が起きてしまったら、迅速な対応が症状の緩和に役立ちます。自宅でできるケア方法と医療機関への受診のタイミングを知っておきましょう。 緊急時の自宅でのケア方法 痛風発作が疑われる場合、まずは患部を安静にして動かさないようにします。そして、冷却パックなどで患部を冷やすことが大切です。冷却によって炎症と痛みを和らげることができるかもしれません。 さらに、水分を十分に摂取し、尿酸の排泄を促進することも重要です。症状が軽度であれば、安静にして様子を見ることをおすすめします。 痛風発作時にすぐにすべきこと 痛風発作が疑われる場合、まずは安静にして患部を動かさないようにしましょう。冷却パックなどを用いて患部を冷やすことで、炎症と痛みを和らげることができる可能性があります。 また、発作時には水分を十分に摂取することが重要です。水分補給によって尿量が増加し、尿酸の排泄が促進される可能性があります。 症状が軽度で、過去に同様の発作を経験したことがある場合は、自宅で安静にして様子を見ることも可能です。しかし、以下のような場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 激しい痛みが続く 関節の腫れが強い 発熱を伴う 医療機関では、発作時の痛みと炎症を抑えるための治療が行われます。また、血液検査で尿酸値や炎症反応をチェックし、適切な治療方針が決定されます。 痛風発作を放置すると、関節の機能低下につながる可能性があります。また、発作を繰り返すことで、痛風結節(尿酸塩の塊)が形成され、関節の変形や皮膚の問題を引き起こす可能性もあります。 したがって、痛風発作が疑われる場合は、早期に医療機関を受診し、適切な治療を開始することが重要です。医師と相談しながら、発作時の対処法や日常生活での注意点について理解を深めることが、痛風とうまく付き合っていくために役立つでしょう。 まとめ【痛風治療の基礎知識】効果的な薬の選び方と副作用対策 痛風は、適切な対策を行えばコントロールしやすい病気です。薬の選択と副作用への対策、そして食事や運動習慣の見直しが、痛風管理の鍵となります。一人ひとりに合った痛風とのつきあい方を見つけることで、快適な日常生活を取り戻せるでしょう。 医療従事者とよく相談し、自分に合った治療法を見つけていきましょう。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 愛知県薬剤師会,17.痛風(高尿酸血症) 痛風・尿酸財団,処方される主な痛風の薬 MSD マニュアルプロフェッショナル版,痛風 千葉県栄養士会,かしこく食べる,痛風の予防と食事 東京都立病院機構,高尿酸血症・痛風の食事,高尿酸血症・痛風とは 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 e-ヘルスネット,高尿酸血症 e-ヘルスネット,高尿酸血症の食事 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病,高尿酸血症/痛風 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病の調査・統計,高尿酸血症/痛風 e-ヘルスネット,プリン体
2024.11.06 -
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「痛風の発作が起きて激しい痛みに襲われた」「高尿酸血症と診断されたけど、どう対処すればいいの?」 こうした経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 痛風は単なる関節の痛みではなく、放置すると重大な合併症を引き起こす可能性があります。しかし、適切な治療と生活習慣の改善により、痛風をコントロールし、健康的な生活を送ることができるのです。 本記事では、痛風の基礎知識から治療法、そして長期的な尿酸値管理のための生活習慣改善策まで、具体的なステップを詳しく解説します。痛風と上手に付き合い、より良い人生を送るためのヒントが見つかれば幸いです。 痛風とは何か?症状と原因の理解 痛風は、体内で作られる老廃物の一種である「尿酸」が過剰に蓄積することで発症する病気です。血中の尿酸値が高くなると、関節内に尿酸の結晶が沈着し、激しい炎症と痛みを引き起こします。痛風を正しく理解するために、その症状と原因について見ていきましょう。 痛風の典型的な症状 痛風の最も典型的な症状は、突発的な関節の激痛です。特に、足の親指の付け根(第一中足趾節関節)が影響を受けやすいですが、足首、膝、手首などの関節も侵される可能性があります。痛風発作時には、関節の発赤、腫れ、熱感を伴い、わずかな接触でも耐えがたい激痛となることがあります。 痛風発作は、主に夜間から早朝にかけて起こることが多く、安静時でも痛みが持続します。発作中は歩行が困難になり、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。 一般的に、痛風発作は数日から長くて2週間ほど続きますが、その間は徐々に症状が改善していきます。しかし、適切な治療を行わないと、発作を繰り返したり、関節の変形や腎臓などの合併症を引き起こしたりする可能性があります。 痛風発症のリスク要因 痛風の発症には、遺伝的な体質と生活習慣の両方が関与しています。主なリスク要因としては、以下のようなものがあげられます。 男性(特に40代以降) 肥満や過体重 高血圧や脂質異常症などの生活習慣病 腎機能低下 アルコール多飲(特にビールなどのプリン体を多く含むアルコール) プリン体の多い食事(レバー、イカ、青魚など) 利尿剤などの特定の薬剤の使用 これらのリスク要因が複数重なると、痛風を発症する可能性がさらに高まります。 中でも、ビールなどのアルコールの過剰摂取は、尿酸の生成を促進し、排泄を妨げるため、尿酸値を大きく上昇させる要因となります。また、プリン体を多く含む食品を過剰に摂取することも、尿酸値の上昇につながります。 生活習慣の改善によって、痛風のリスクを下げることができます。遺伝的な体質がある場合は、より一層の注意が必要です。肥満の解消、アルコールの制限、プリン体の摂取制限など、食事や飲酒量、運動習慣などを見直し、尿酸値のコントロールに努めることが大切です。 また、定期的な健康診断で尿酸値をチェックし、高尿酸血症の早期発見と予防に努めることも重要です。痛風の初期症状を見逃さず、適切な治療を早期に開始することで、痛風発作の頻度や重症度を抑えることができるでしょう。 痛風は、生活習慣の改善と適切な治療によって、十分にコントロール可能な病気です。症状や原因を正しく理解し、医師と相談しながら、自分に合った予防法や治療法を見つけていくことが大切です。 痛風治療の基本 痛風の治療は、大きく分けて、 痛風発作時の急性期の痛みの管理 長期的な尿酸値のコントロール の2つの側面から行われます。これらの治療法の特徴と効果を理解し、医師と相談しながら自分に合った方法を選択することが大切です。 痛風は適切な治療を続けることで、症状をコントロールできる可能性のある病気です。発作時の対処と並行して、長期的な尿酸値の管理にも取り組むことが大切です。生活習慣の改善なども含めた総合的なアプローチが、痛風治療の鍵となります。 薬物療法の選択と効果 痛風の薬物療法には、発作時の痛みと炎症を抑える治療と、長期的な尿酸値をコントロールする治療があります。 発作時の治療では、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ステロイド剤、コルヒチンなどが使用されます。これらの薬剤は、症状の重症度や状態に応じて選択されます。 治療法 効果 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の処方 痛みと炎症を抑える ステロイド剤の投与 強力な抗炎症作用により、速やかに症状を改善させる可能性がある コルヒチンの処方 炎症を引き起こす白血球の活動を抑制し、発作を鎮める 長期的な尿酸値のコントロールには、尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬が用いられます。 薬剤の種類 効果 尿酸生成抑制薬(アロプリノールなど) 体内での尿酸の生成を抑える 尿酸排泄促進薬(ベンズブロマロンなど) 腎臓からの尿酸の排泄を促進する 医師と相談しながら、最適な治療方針を決めていくことが重要です。定期的な血液検査で尿酸値をモニタリングしながら、薬の種類や用量を調整していきます。 発作時の応急処置 痛風発作が起きた際は、まずは安静を保ち、患部を冷やすことが重要です。冷却には氷嚢(氷を入れた袋)やアイスパックを使うと良いでしょう。15〜20分程度を目安に、患部の様子を見ながら冷却を行いましょう。 また、水分を十分に摂取し、尿酸の排泄を促進することも大切です。発作時は、体内の尿酸値が高くなっているため、尿量を増やすことで尿酸の排泄を助けることができます。 痛風発作時の応急処置としては、以下の3点がポイントです。 応急処置 内容 患部の安静 関節に負担をかけないように、安静にする 冷却による痛み・腫れの軽減 氷嚢やアイスパックで患部を冷やし、炎症を和らげる 水分の十分な摂取による尿酸排泄の促進 水やお茶などの水分を十分に取り、尿量を増やす 応急処置で症状が落ち着かない場合や、激しい痛みが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 医師と相談しながら、自分に合った治療法を見つけ、継続していくことが重要です。定期的な通院と検査を通して、尿酸値や症状の変化を確認し、必要に応じて治療方針を調整していきましょう。 長期的な尿酸値管理の重要性 痛風の根本的な管理には、長期的な尿酸値のコントロールが必要です。一般的に、目標とされる尿酸値は6.0mg/dL未満とされています。尿酸値をこの範囲に保つことで、痛風発作の再発を防ぎ、合併症のリスクを下げることができる可能性があります。ただし、個人差があるため、具体的な目標値については医師と相談しながら設定することが大切です。 適切な食事の取り組み 尿酸値の管理には、食事の改善が欠かせません。プリン体を多く含む以下のような食品の摂取を控えめにし、野菜や低脂肪乳製品を中心とした食事を心がけることが推奨されています。 以下の表は、代表的なプリン体を多く含む食品と、100gあたりに含まれるプリン体の量を示しています。 プリン体を多く含む食品 含まれるプリン体の量(mg/100g) 具体例 レバー 300-1000 牛レバー、鶏レバー、豚レバーなど カツオ 200-400 カツオの刺身、たたき、缶詰など イカ 100-200 イカの刺身、塩辛、ゲソ揚げなど ビール 10-30 アルコール度数の高いビール、発泡酒など 食品100gあたりに含まれるプリン体が200mg以上になると高プリン食です。 ビールは、アルコール飲料の中でもプリン体を多く含むとされています。特に、アルコール度数の高いビールや発泡酒は、プリン体の量が多い傾向にあり、過剰摂取は避けましょう。 また、十分な水分摂取は尿酸の排泄を促進する可能性があるため、1日2リットル程度の水分を意識的に摂取することが良いとされています。ただし、摂取する水分の量は個人の体格や活動量によって異なるので、医師や栄養士に相談しながら調整していくことが大切です。 効果的な体重管理と運動 肥満は痛風のリスクを高める大きな要因の一つです。適正体重の維持を目指し、以下のようなバランスの取れた生活習慣を心がけることが推奨されています。 バランスの良い食事 適度な運動 運動は尿酸値を下げる効果が期待できます。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を定期的に行うことが良いでしょう。ただし、運動の種類や頻度は個人の体力や健康状態によって異なるため、医師や運動指導士に相談しながら、自分に合ったプログラムを作ることが大切です。 このように、食事や運動、水分補給など、生活習慣全般での取り組みが、長期的な尿酸値の適正化につながる可能性があります。薬物療法と併せて、自分に合った生活リズムを見直すことが、痛風とうまく付き合う秘訣となるでしょう。ただし、生活習慣の改善は個人差が大きいため、医師や栄養士などの専門家に相談しながら、無理のない範囲で続けていくことが重要です。 生活習慣の改善で予防する 痛風の予防には、日常生活の習慣を見直し、改善することが重要です。ここでは、避けるべき食品と推奨される食品、そして具体的な生活改善策について解説します。 避けるべき食品と推奨される食品 痛風を予防するためには、プリン体を多く含む食品を控えめにし、尿酸値を下げる効果が期待できる食品を積極的に取り入れることが大切です。 控えめにする食品 尿酸値を下げる効果が期待できる食品 肉類(特にレバーや内臓肉) 低脂肪乳製品(ヨーグルト、チーズなど) 魚介類(イカ、カツオ、サバなど) 緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリーなど) ビール ビタミンC豊富な果物(レモン、オレンジ、キウイなど) 全粒穀物(玄米、全粒粉パンなど) 大豆製品(豆腐、納豆など) 食事では、これらの食品を上手に組み合わせ、バランスの取れた献立を心がけましょう。また、調理法にも気をつけ、脂肪の多い料理や刺激の強い味付けは控えめにすることが大切です。 日常生活での具体的な改善策 痛風の予防には、日々の生活習慣を見直し、改善していくことが大切です。無理のない範囲で、以下のようなポイントに気をつけながら、着実に改善を進めていきましょう。 改善のポイント 内容 アルコール摂取量の調整 特にビールは控えめにする 十分な水分補給 個人差はあるが、1日1.5〜2リットル程度を目安に補給する ストレス管理 自分なりのリラックス方法を見つける 規則正しい睡眠習慣の確立 十分な睡眠時間の確保をする 適度な運動の習慣化 週2-5回、30分程度の有酸素運動を目安に行う これらの改善ポイントを一度に全て取り入れるのは難しいかもしれません。しかし、一つひとつの取り組みを継続的に行うことで、徐々に痛風のリスクを下げることができる可能性があります。 例えば、アルコール摂取量を減らすことで、プリン体の過剰摂取を避けられるだけでなく、肝臓の負担を軽減できます。また、十分な水分補給は、尿酸の排泄を促進し、結石のリスクを下げる効果が期待できます。 ストレス管理や規則正しい睡眠習慣は、体調を整えるために重要です。自分なりのリラックス方法を見つけ、十分な睡眠時間を確保することで、ストレスの軽減や生活リズムの改善につながるでしょう。 さらに、適度な運動習慣は、尿酸値を下げるだけでなく、体重管理や全身の健康維持にも役立ちます。ウォーキングやジョギング、水泳など、自分に合った運動を選んで、無理のない範囲で続けていくことが大切です。 このように、日常生活の中で痛風予防を意識し、小さな改善を積み重ねていきましょう。健康的な生活習慣を身につけることが、痛風の症状改善や予防に役立つ可能性があります。ただし、生活習慣の改善は個人差が大きいため、自分のペースで無理なく取り組むことが重要です。 合併症を防ぐために 痛風を放置すると、様々な合併症を引き起こす可能性があります。合併症の予防には、痛風の適切な管理が必要です。 痛風と関連する合併症 高尿酸血症が長期間続くと、以下のような合併症を引き起こすリスクが高まります。 合併症 説明 痛風結節 関節周囲や軟部組織に尿酸塩の結晶が蓄積し、こぶ状の腫れができる 尿酸結石 腎臓に尿酸の結晶が蓄積し、結石を形成する 腎機能障害 尿酸結晶が腎臓に蓄積することで、腎機能が低下する また、痛風は心血管疾患(高血圧、心筋梗塞、脳卒中など)のリスク因子の一つとしても知られています。痛風患者は、心血管疾患の予防にも注意が必要です。 合併症の予防と対策 痛風の合併症を予防するには、適切な治療と尿酸値の管理が何より大切です。具体的には、以下のようなポイントに気をつけましょう。 ポイント 内容 定期的な医療機関の受診 症状の変化や尿酸値の推移を定期的にチェックするために、医療機関を受診することが重要です。これにより、病状の進行や合併症の兆候を早期に発見し、適切な治療方針を立てやすいです 医師の指示に従った治療の継続 医師が処方した薬物療法を適切に継続することが大切です。痛風の治療薬には、尿酸値を下げる薬や痛風発作を抑える薬などがあります。これらの薬を医師の指示通りに服用し、治療を継続することで、尿酸値をコントロールし、合併症のリスクを下げやすくなります 定期的な医療機関の受診と、医師の指示に従った治療の継続は、痛風の合併症を予防するために欠かせません。症状や尿酸値の変化を定期的にチェックし、適切な治療方針を立てることが重要です。また、処方された薬物療法を適切に継続することで、尿酸値をコントロールし、合併症のリスクを下げることができます。 さらに、痛風と関連の深い生活習慣病(肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病など)の予防と管理も重要です。 予防と管理 内容 バランスの取れた食事 適切な食事療法により、体重管理や生活習慣病の予防につながる 適度な運動 運動療法は、肥満の解消や心血管系の健康維持に役立つ 定期的な健康診断の受診 生活習慣病の早期発見と予防に繋がる 痛風の合併症を防ぐには、生活習慣の改善と医師との連携が欠かせません。定期的な受診と治療の継続、そして健康的な生活習慣を身につけることで、合併症のリスクを減らすことができるでしょう。 まとめ:痛風治療への積極的なアプローチ 痛風は、適切な治療と生活習慣の改善により、コントロールできる可能性のある病気です。痛みを和らげるだけでなく、長期的な尿酸値の管理と合併症の予防を目指すことが重要です。 まずは、医師と相談しながら、自分に合った治療法を選択しましょう。代表的な治療法には以下のようなものがあります。 治療法 内容 発作時の対症療法 冷却、鎮痛剤、ステロイド剤などを用いて、痛みや炎症を和らげる 尿酸値を下げる薬の服用 アロプリノールやフェブキソスタットなどの薬を使用し、尿酸値をコントロールする 食事療法 プリン体の摂取を控えめにし、十分な水分補給を行うなど、食生活を見直す 運動療法 ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を定期的に行い、体重管理や代謝の改善を図る 特に、食事と運動については、継続して取り組むことが大切です。生活習慣の改善には、積極的な姿勢が求められます。 一方で、痛風は決して簡単な病気ではありません。正しい知識を持ち、医療従事者と連携を取りながら、適切な対処を行うことが重要です。長期的な尿酸値コントロールと合併症予防に取り組むことで、痛風とうまく付き合えるようになるかもしれません。 健康で充実した人生を送ることが、痛風患者の皆さんの最大の目標です。この記事が、痛風との上手な付き合い方を見出すためのヒントになれば幸いです。自分の健康は自分で守るという前向きな姿勢を持ち続けることが、何よりも大切だといえるでしょう。 ただし、痛風の治療法や生活習慣の改善方法は、個人差が大きいため、必ず医師や医療従事者と相談しながら、自分に合ったアプローチを見つけていくことが重要です。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 愛知県薬剤師会,17.痛風(高尿酸血症) 痛風・尿酸財団,処方される主な痛風の薬 MSD マニュアルプロフェッショナル版,痛風 千葉県栄養士会,健康を考える皆さまへ,痛風の予防と食事 東京都立病院機構,高尿酸血症・痛風の食事,高尿酸血症・痛風とは 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 e-ヘルスネット,高尿酸血症 e-ヘルスネット,高尿酸血症の食事 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病,高尿酸血症/痛風 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病の調査・統計,高尿酸血症/痛風 e-ヘルスネット,プリン体
2024.11.04 -
- 内科疾患、その他
- 内科疾患
「痛風の初期症状を知りたい」 「足の親指が突然激痛に襲われたけど、痛風の初期症状?」 足の指における激痛などの症状は、痛風の初期症状かもしれません。 痛風は放置すると関節の変形や機能障害を引き起こす可能性があり、早期発見と適切な対処が大切です。 今回は痛風の初期症状の見分け方と、症状が出たときの対処法を詳しく解説します。本記事を読むと痛風の初期症状を見逃さず、重症化を防げるはずです。 先に「痛風の初期症状」における詳細を知りたい方は、リンクをクリックいただくと該当ページに飛べます。 痛風の初期症状と基本知識 痛風と聞くと、中高年男性の病気をイメージされませんか。しかし、最近では30代以下の発症も増えており、女性も決して無縁ではありません。 以下で、痛風の基本的な知識を解説します。 痛風とは何か? 痛風が起こる生物学的メカニズム 痛風とは何か? 痛風は、体内で作られた尿酸が関節内に蓄積し、激しい炎症と痛みを引き起こす病気です。 尿酸とは「プリン体」と呼ばれる物質が分解されてできる老廃物の一種で、通常は血液中から腎臓を介して尿に溶けて排出されます。 しかし、尿酸値が高くなりすぎると、血液中で尿酸が結晶化し、関節内に蓄積します。 主に足の親指の付け根(第一中足趾節関節)に発症しますが、足首や膝などの関節にも生じます。関節の変形や機能障害につながる恐れがあるため、初期症状を見逃さないようにしましょう。 痛風の有病率は男性で1.1%、女性で0.1% 男性の発症年齢のピークは30~50代、女性は閉経後に多い 痛風が起こる生物学的メカニズム 体内の尿酸濃度は、尿酸の「産生」と「排泄」のバランスで決まります。痛風は、以下のような原因で尿酸の産生過剰や排泄低下が起こりやすく、血中尿酸濃度が上昇すると発症します。 原因 説明 プリン体の過剰摂取 肉類、魚類、ビールなどに多く含まれるプリン体を過剰に摂取すると、尿酸の産生が増加する 尿酸の排泄低下 体内で尿酸が過剰に生成される または腎臓からの尿酸排泄が低下する 遺伝的要因 尿酸の産生や排泄に関連する酵素の遺伝的な異常により、尿酸が上昇しやすくなる 高濃度の尿酸は針状結晶となって関節内に蓄積し、激しい炎症反応を引き起こすのです。炎症は発赤、腫脹、熱感、痛みなどの症状を引き起こします。 血中尿酸値が7.0mg/dL以上の状態を高尿酸血症と呼び、痛風発症のリスクが高くなる 高尿酸血症の人は約2割が痛風を発症すると言われている 上記のように、痛風は尿酸値の上昇を引き起こす病気であり、生活習慣や遺伝的要因が関与しているといわれています。初期症状を見逃さず、適切な治療を行うのが大切です。 痛風の初期症状【激しい関節痛・違和感がある】 痛風の初期症状は、主に突然の激しい関節痛です。しかし、痛風発作が起こる前に、軽い痛みや違和感などの前兆が現れるときもあります。 初期症状を見逃さず、適切な対処を行うためにも、以下で痛風の初期症状と前兆を見ていきましょう。 痛風が起きたときの症状 痛風の前兆に起こる症状 痛風が起きたときの症状 痛風の代表的な初期症状は、以下のとおりです。 症状 説明 足の親指の付け根の激痛 痛風発作の約半数は、足の親指の付け根(第一中足趾節関節)に起こる 夜間から早朝にかけて突然発症する場合が多い 激しい痛みで布団の重みでも痛がるほど 関節の腫れと発赤 痛みを伴う関節は腫れて赤く変色する 皮膚が光沢を帯び、赤紫色に変色する場合もある 関節の熱感 炎症を起こした関節は熱をもち、触ると熱く感じる 歩行困難 激しい痛みで歩くのが困難になる 靴が履けなくなる場合もある 痛風発作は非常に強い痛みを特徴とし、安静時でも痛みが持続します。さらに、関節を動かすと痛みが増強します。発作が起こると日常生活に大きな支障をきたすでしょう。 発作は数日から長くて2週間ほど続きますが、炎症が治まると痛みや腫れは徐々に引いていきます。 しかし、適切な治療を行わないと発作を繰り返すようになり、関節の変形や機能障害につながる場合があります。 初期症状を見逃さず、早期に治療を開始するのが大切です。症状が軽度でも痛風が疑われる場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。 痛風の前兆に起こる症状 痛風の発作が起こる前兆の症状は、以下のようなものがあります。 前兆 説明 関節の違和感やこわばり 発作が起こる数日から数週間前に関節の違和感やこわばりを感じる場合がある 違和感は痛みとは異なる不快感で、関節を動かしにくい感じがする 軽い痛みや熱感 発作前に軽度の痛みや熱感が出る場合もある 痛みは発作時ほど強くないが、不快感を伴う 倦怠感や微熱 全身的な倦怠感や微熱が出る場合がある 倦怠感は疲労感や脱力感として感じられる 前兆を感じたら、安静にし、患部を冷やし、十分な水分を摂取するなどの対処を行いましょう。 痛風は発作を繰り返すと関節の変形や機能障害につながる恐れがある疾患です。初期症状を見逃さず、適切な治療を行うのが重要です。 痛風の症状が強いときや発作が起こった場合を始め、症状が気になるときは、早めに医療機関を受診して専門医の診断を受けましょう。 痛風になるリスクが高い人の傾向は? 痛風は特定の人に起こりやすい病気です。以下で痛風のリスクが高いかどうか、セルフチェックしましょう。 5つのセルフチェックリスト 痛風になる確率を高めるリスク要因 5つのセルフチェックリスト 以下の項目に当てはまる人は、痛風のリスクが高い傾向にあります。 リスク因子 説明 肥満または過体重 BMIが25以上の肥満、または過体重の人は痛風のリスクが高い 体重が10%増加すると、尿酸値は1mg/dL上昇しやすい 生活習慣病 糖尿病、高血圧、脂質異常症など、生活習慣病がある人は痛風のリスクが高い 上記の疾患ではインスリン抵抗性が尿酸値を上昇させる 多量のアルコール摂取 1日あたりアルコールを純アルコール換算で60g以上(日本酒なら1合以上)摂取する人は痛風のリスクが高い アルコールは尿酸の産生を促進し、排泄を阻害する 高プリン食の嗜好 肉類、魚介類など、高プリン食を好む人は痛風のリスクが高い プリン体の摂取過剰は尿酸の産生を増やす 家族歴 家族に痛風の人がいる場合、痛風のリスクが高い 痛風には遺伝的素因があり、家族歴がある人の発症リスクは約2倍とされている 参照:日本痛風・核酸代謝学会高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 当てはまる項目が多いほど、痛風のリスクは高くなります。しかし、これらの項目に当てはまらない方でも痛風を発症する可能性はあります。 リスクが高いと感じた方は、生活習慣の改善に取り組むのが大切です。食事、飲酒、運動などの生活習慣を見直して、尿酸値の上昇を防ぐのが重要です。 ただし、すでに痛風の症状がある場合や、生活習慣の改善だけでは尿酸値が下がらない場合は、医療機関で専門医に相談しましょう。 痛風になる確率を高めるリスク要因 痛風の発症には、遺伝的要因と生活習慣の両方が関与しているといわれています。主な痛風のリスク要因とメカニズムは以下のとおりです。 リスク要因 メカニズム 肥満 体重増加により尿酸値が上昇 多量飲酒 アルコールによる尿酸の産生促進と排泄阻害 高プリン食の過剰摂取 プリン体の摂取過剰による尿酸産生増加 遺伝的要因 尿酸代謝関連酵素の遺伝子変異 家族歴 遺伝的素因による発症リスクの上昇 加齢 加齢に伴う腎機能低下と尿酸排泄機能の減少 性別 男性に多く、女性は閉経後にリスク上昇 痛風の発症は複数の要因が絡み合って起こるため、リスク要因を理解して、ご自身に当てはまるリスクを把握しておくのが重要です。 痛風が疑われるときの対応法【家庭でできる対策】 痛風の発作が疑われる場合、以下のような対応を取りましょう。 対応方法 説明 安静 痛みのある関節を動かさないようにし、安静にすると炎症の拡大を防ぐ 冷却 痛みと腫れのある関節を冷やし、炎症を抑える。氷のうやアイスパックを20分程度当てる 水分補給 体内の尿酸を排出するために、十分な水分補給を行う。1日2リットル以上の水分摂取を心がける ただし、上記は応急処置で根本的な治療にはなりません。 痛風の治療は早ければ早いほど効果的です。症状が改善しない場合や、発作が頻繁に起こる場合は、速やかに医療機関を受診してみてください。 医師の診断を受けるタイミング【早期発見が大切】 痛風の症状が疑われる場合、早めに医師の診断を受けるのが大切です。以下で、医療機関を受診すべきタイミングをまとめています。 受診すべきタイミング 詳細 突然の激しい関節痛がある とくに足の親指の付け根、足首、膝などに強い痛みを感じる場合 痛みで歩行が困難になるような場合 関節が腫れて赤く変色している 痛みを伴う関節の腫れや発赤、熱感がある場合 関節の腫れが持続している、複数の関節に症状が現れる場合 痛みが引かず、日常生活に支障をきたす 痛みや腫れが数日経っても改善せず、日常活動が制限される場合 発作を繰り返し、頻度が増えてきた場合 発熱や倦怠感などの全身症状を伴う 関節症状に加えて、発熱や体のだるさ、食欲不振などの症状がある場合 痛風が重症化し、全身に影響を及ぼしている可能性がある 上記の症状がある場合、痛風の可能性が高いと考えられます。早めに医療機関を受診し、適切な診断を受けるのが重要です。 医師は患者の症状や病歴、身体診察から痛風を疑い、以下のような検査を行って診断します。 医師が行う主な検査 目的 血液検査 血中尿酸値の測定。痛風発作時は正常値でも、症状が治っている期間には高値を示す 関節液検査 関節から液体を採取し、尿酸結晶の有無を顕微鏡で確認。痛風に特異的な所見 画像検査 X線やCTスキャン、超音波検査で、関節の損傷や尿酸結晶の沈着を評価 上記の検査結果を総合的に判断し、痛風の確定診断が行われます。 軽い痛みでも繰り返し出る場合は、長期化のサインかもしれません。早めに専門医(リウマチ科、整形外科、内科など)に相談し、適切な診断と治療方針を検討するのが賢明です。 痛風は早期発見・早期治療が重要な疾患です。症状が軽度であっても、痛風が疑われる場合は、自己判断せずに医療機関を受診してみてください。 適切な治療と生活指導を受けると、痛風の症状をコントロールしながら、病状の進行や合併症を防げるでしょう。 また、痛風以外にも、体の症状でなにかお悩みを抱えておられる方は、当院のメールや電話からお気軽にご相談ください。 生活習慣における痛風の予防法 痛風を予防するには、日頃の生活習慣を改善するのが大切です。とくに食生活の見直しと運動の習慣を作るのがポイントになるので、以下で詳細を解説します。 食生活の改善 運動と健康管理 食生活の改善 痛風を予防する食事療法のポイントは以下のとおりです。 食生活の改善ポイント 内容 プリン体の摂取制限 肉類、魚介類、ビールなどの高プリン食品は控えめに 1日あたりのプリン体摂取量は400mg以下が目安 例:ビール1缶(350mL)あたり12~25mg 低脂肪・低エネルギー食 脂肪とエネルギーを控えめにする 標準体重(BMI 22)の維持を目指す 「BMI = 体重(kg)÷(身長(m)の2乗)」 野菜・果物の積極的摂取 ビタミンやミネラルが豊富な野菜 果物を十分に取り入れる ビタミンCは尿酸排泄を促進する効果が期待できる 水分摂取の励行 十分な水分摂取は尿酸排泄に欠かせない 1日2リットル以上の水分摂取を心がける アルコールの制限 アルコールは尿酸の排泄を妨げる原因となる 飲酒は1日純アルコール20g以下(ビール中瓶1本程度)に抑える 運動と健康管理 運動は痛風の予防に欠かせません。有酸素運動を中心に、無理のない範囲で定期的に体を動かすのが大切です。 運動の種類 具体例 強度(目安) 時間(目安) 頻度(目安) 有酸素運動 ウォーキング、ジョギング、 水泳、サイクリング など 会話ができる 程度の強度 30分以上 週5日以上 筋力トレーニング 自重トレーニング、 ダンベル体操など ややきつい 程度の強度 20分以上 週2日以上 ストレッチ 静的ストレッチ、 動的ストレッチなど 伸びる程度の強度 10分以上 毎日 運動するときは、関節に負担をかけすぎないよう注意しましょう。痛みを感じる運動は避けて、徐々に強度と時間を増やすのが大切です。 また、定期的な健康診断で尿酸値のチェックを忘れずに行います。尿酸値が高めの場合は、あわせて生活習慣の改善に取り組みましょう。 痛風の予防には、バランスの取れた食事と適度な運動が欠かせません。一度に大きな変化を求めるのではなく、自分のペースで少しずつ生活習慣を改善するのが重要です。 医師や管理栄養士など専門家のアドバイスを参考に、ご自身に合った予防法を見つけましょう。痛風と上手に付き合い、健康的な生活を送るためのサポートを積極的に活用するのをおすすめします。 まとめ|痛風の初期症状があるときは早めに医療機関を受診しよう 痛風の初期症状を見逃さず、適切に対処するのが肝心です。また、尿酸値に注意して痛風を予防する生活習慣を日頃から意識するのも大切になります。 もう一度、痛風の初期症状を以下でおさらいしましょう。 【以下に当てはまるときは医療機関へ受診を】 足の親指の付け根の激痛 関節の腫れと発赤 関節の熱感 歩行困難 定期的な健康チェックを怠らず、痛風知らずの健康な生活を送りましょう。症状が気になる場合は早めに医療機関を受診し、医師のアドバイスをもとに治療を行ってみてください。 また、痛風以外の症状でも、なにかしらの不調が出てしまう場合もあります。体のお悩みを抱えておられるときは、ぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 【リペアセルクリニックへのご相談方法】 メール相談 来院予約 電話相談:0120-706-313(オンラインカウンセリングの予約) 痛風の初期症状についてよくあるQ&A 痛風の初期症状でよくある質問と答えをまとめています。 Q.女性でも痛風になりますか? A.痛風患者の約95%は男性ですが、約5%は女性です。 女性の痛風発症年齢は60歳以降が多く、閉経後に増加します。これは、閉経後にエストロゲンの低下により尿酸値が上昇しやすくなるためです。 Q.サプリメントで痛風は予防できますか? A.痛風の予防はサプリメントに頼るよりも、バランスの取れた食事と運動が基本です。 サプリメントの使用を検討するときは、必ず医師に相談し、適切な助言を受けるのが大切です。 Q.痛風の合併症にはどのようなものがありますか? A.痛風は、放置すると関節の変形や腎臓の機能低下など、重大な合併症を引き起こします。 たとえば、痛風結節は関節や軟骨に尿酸の結晶が蓄積し、こぶのようにできものができる状態で、関節の変形や機能障害の原因となります。 また、尿路結石は尿酸が尿路で結晶化し、腎臓や尿管に結石ができる合併症です。激しい腹痛や血尿を引き起こします。 ほかにも、長年の高尿酸血症により、腎臓の尿酸排泄機能が低下して腎不全に至るケースもあります。 痛風と腎機能の関係は、以下の記事で詳細を解説しているので参考にしてみてください。 Q.痛風の発作を予防するための生活習慣は? A.痛風の発作を予防するには、日常生活での工夫が欠かせません。1日2リットル以上の水分摂取を心がけて、体内の尿酸を排出しやすくしましょう。 また、肥満は痛風のリスクを高めるため、標準体重(BMI 22)の維持を目指すべきです。アルコールについては、尿酸の排泄を妨げるので飲酒は1日純アルコール20g以下に抑えましょう。 食事では高プリン食品を控えて、バランスの良い食事を心がけるのが大切です。 さらに、有酸素運動を中心に無理のない範囲で定期的に体を動かすと、尿酸値の低下と全身の健康維持につながります。 痛風と生活習慣における内容については、以下の記事も参考になります。 Q.痛風の発作は一日で治りますか? A.痛風の発作は一日では治りません。適切な治療を行わないと、数日から長くて2週間ほど続く場合もあります。 関連する内容は、以下の記事で詳細を解説しているので参考にしてみてください。 参考文献一覧 千葉県栄養士会,痛風の予防と食事 東京都立病院機構,高尿酸血症・痛風の食事,高尿酸血症・痛風とは 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 e-ヘルスネット,高尿酸血症 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病,高尿酸血症/痛風 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病の調査・統計,高尿酸血症/痛風 一般社団法人日本痛風・核酸代謝学会.高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン.第3版,診断と治療社,2018,p.74-76
2024.11.01 -
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「コーヒーは痛風に悪いって聞いたけど、本当?」「痛風になったらコーヒーを飲んではダメ?」 このような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 コーヒーは日常的に親しまれている飲み物ですが、痛風患者にとってはその影響が気になるところでしょう。 しかし、薬学研究において、コーヒーが痛風の管理に一定の効果をもたらす可能性もあると示されています。 本記事では、コーヒーの栄養成分と健康への影響から始まり、痛風に対する具体的な効果、そして安全な飲み方までを詳しく解説します。コーヒーを上手に取り入れた痛風管理法を見つけるための参考になれば幸いです。 痛風の症状についてのご相談や、食事管理のご相談はメール相談 やオンラインカウンセリングも可能です。お気軽にご相談ください。 【結論】痛風にコーヒーはダメじゃない!1日4杯までならOK 嗜好品として親しまれているコーヒーも尿酸値を上げるのではないかと心配に思う方もいるかもしれません。しかし、コーヒーが尿酸値に影響を及ぼすという明確な根拠はないため、痛風患者でも一般的な摂取基準であれば、コーヒーを楽しめます。(文献1) 痛風患者に限らず、一般的に推奨されるコーヒーの摂取量は「1日3~4杯」です。カフェイン摂取量が400mg未満になるよう調整しましょう。しかし、痛風の重症度やカフェインへの耐性によって、適量は異なります。 自己判断で摂取量を決めずに、必ず主治医や栄養士に相談し、自分に合った適量を摂るようにしましょう。 本章では、コーヒーと尿酸値の関連について詳しく解説します。 コーヒーが尿酸値に与える影響は解明されていない 以前の研究では、コーヒーを飲んで尿酸値が下がったグループもあれば、上がったグループもあり、尿酸値に与える影響は明らかでないとされています。(文献1) 以下の表は、コーヒー摂取と血中尿酸値の関係性について、研究で報告されている内容をまとめたものです。 研究結果 説明 尿酸値の低下 コーヒーに含まれるクロロゲン酸などの成分が、尿酸の排泄を促進する可能性がある 個人差がある コーヒーの尿酸値低下効果は、すべての人に同様に見られるわけではない コーヒーを多く摂取する人ほど痛風のリスクが低いという傾向が見られますが、これは因果関係を直接証明したものではありません。 つまり、コーヒーを飲むこと自体が直接的に痛風リスクを下げているとは限らないのです。 適度なコーヒー摂取は痛風の予防につながるとの研究もある 大規模な疫学研究で、コーヒー摂取量と痛風発症リスクの関連性が報告されています。(文献2) 詳しい研究結果は以下の表の通りです。 研究結果 説明 痛風リスクの低下 1日4杯以上のコーヒーを飲む人は、まったく全く飲まない人に比べて痛風リスクが約40%低いという報告がある 観察研究であることに注意 これらの研究は観察研究であり、因果関係を直接証明するものではない コーヒーを多く摂取する人ほど痛風のリスクが低いという傾向が見られますが、これらの結果はあくまで観察研究に基づくものです。 そのため、個人差があることや、研究の限界を考慮する必要があります。 コーヒーは痛風対策の特効薬ではありませんが、適度に楽しむことで、痛風の予防に寄与するかもしれません。 ただし、コーヒーの効果を過信せず、バランスの取れた食事や生活習慣の改善など、総合的な痛風管理を心がけることが大切です。 具体的には以下のようなことを意識してみましょう。(文献3) プリン体の多い食品を控えめにする 適度な運動を心がける 水分をこまめに取る ストレス管理に努める 定期的な健康診断を受ける コーヒーは楽しみながら、これらの対策と組み合わせることで、痛風の予防に役立てられるでしょう。ただし、カフェインの過剰摂取には注意が必要です。 カフェインの摂りすぎは、不眠や胃への負担などの他の身体への影響を引き起こす可能性があります。多くても1日3〜4杯程度(400mg)未満のコーヒーを、ライフスタイルに合わせて上手に取り入れて、適度に楽しみましょう。 コーヒー摂取は健康上の利点もある コーヒーの適度な摂取は、仕事のパフォーマンスを上げたり、血液中の血糖やコレステロールの調整を行ってくれたりといったメリットも期待できます。 ここでは、コーヒーの主要成分や、一般的な健康への影響についてご紹介します。 コーヒーに含まれる主要成分 コーヒーには、以下のような作用を及ぼすとされる物質が含まれています。 成分 説明 カフェイン 中枢神経系を刺激し、眠気覚ましや集中力向上の効果がある クロロゲン酸 抗酸化作用や血糖値の調整に関与する ジテルペン類 コレステロール上昇に関連する物質だが、フィルター濾過で除去可能 また、コーヒーは豊富なポリフェノールを含んでいます。ポリフェノールは強い抗酸化作用を持ち、体内の酸化ストレスから細胞を守る働きがあると考えられています。 コーヒー摂取の一般的な健康への影響 適度なコーヒー摂取は、以下のような健康上の利点と関連付けられています。 健康への影響 説明 認知機能の向上 カフェインが脳の働きを活発にし、記憶力や反応時間の改善に役立つ可能性がある 特定の病気のリスク低下 パーキンソン病や2型糖尿病など、一部の疾患の発症リスクを下げる可能性がある 肝機能の改善 コーヒーに含まれる物質が肝臓を保護し、肝機能の改善に寄与する可能性がある 運動パフォーマンスの向上 カフェインが運動能力を高め、疲労感を軽減する効果が期待できる ただし、カフェインの過剰摂取は不眠やイライラ、胃への負担などの問題を引き起こすことがあります。個人差はありますが、一般的に1日400mg(コーヒー4杯程度)までのカフェイン摂取は問題ないとされています。 コーヒーは嗜好品ですが、適度に楽しむことで、健康的なライフスタイルに影響する可能性があります。ただし、飲み過ぎには注意が必要です。自分に合った量を見つけ、上手に取り入れていきましょう。 痛風でコーヒーを飲むときの注意点 痛風患者がコーヒーの利点を安全に活かすためには、適切な飲み方を心がけることが大切です。ここでは、推奨される摂取量と、飲む際の注意点について解説します。 飲むときに入れるものや、飲むタイミングに気をつけてコーヒーを楽しみましょう。 痛風患者のコーヒーの飲み方 痛風の方がコーヒーを飲むときは、以下の点に注意しましょう。(文献4、5、6) 注意点 説明 カフェインの過剰摂取 カフェインの摂り過ぎは、不眠や胃への負担につながる可能性がある。また、カフェインは尿の生成を促進するため、脱水にも注意が必要 砂糖やクリームの追加 砂糖やクリームを加えすぎると、カロリーや脂肪の摂取量が増加し、痛風の症状を悪化させる可能性がある 飲み過ぎ 就寝前のコーヒーは避けた方が良い。カフェインの作用で眠りが妨げられ、十分な休養が取れなくなるかもしれない 脱水 コーヒーには利尿作用があるため、こまめな水分補給を忘れずに。脱水は痛風発作のリスクを高める可能性がある 体調によっては控える 痛風の症状が悪化している時や、体調が優れない時は、コーヒーを控えめにするか、避けた方が良い 痛風患者の方がコーヒーを飲む際は、飲む量や飲み方など細心の注意を払う必要があります。 コーヒーは嗜好品のため、楽しみながらも適量を守り、体調と相談しながら付き合っていくことが大切です。 また、コーヒーの摂取だけに頼るのではなく、食事療法や運動療法など、日常の生活習慣で痛風対策を並行して行いましょう。バランスの取れた食事、適度な運動、ストレス管理など、生活習慣全般を見直すことが、痛風の予防と改善が期待できます。 【一覧】コーヒーと同時に摂取すべき/避けるべき食品 以下の表は、コーヒーと一緒に摂取しても比較的良いとされる食品です。(文献4) 食品 説明 水 コーヒーには利尿作用があるため、水分が体から失われやすくなります。脱水は痛風発作のリスクを高めるため、こまめな水分補給が大切です。 低脂肪乳製品 牛乳やヨーグルトなどの低脂肪乳製品に含まれるカルシウムには、尿酸の排泄を促進する効果が期待されています。ただし、高脂肪の乳製品は避けましょう。 野菜 ビタミンやミネラルが豊富な野菜は、痛風の予防と改善に役立ちます。とくに特に、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツなどがおすすめです。 基本的にはバランスの取れた食事を心がけ、コーヒーはその一部として適度に取り入れるのが望ましいでしょう。 また、コーヒーと同時に摂取を控えるべき食品は以下のとおりです。(文献4) 食品 説明 果物 果物にはビタミンやミネラルが豊富ですが、同時に果糖も多く含まれています。果糖は尿酸値を上げる可能性があるため、摂取量に注意が必要です。とくに特に糖度の高い果物や果物ジュースは控えめにしましょう。 肉類や魚介類 肉類や魚介類には、プリン体が多く含まれています。プリン体は体内で尿酸に変化するため、過剰摂取は痛風のリスクを高めます。コーヒーと一緒に摂り過ぎないよう注意しましょう。 アルコール アルコールは尿酸の生成を促進し、排泄を妨げる働きがあります。コーヒーと一緒に飲むと、痛風のリスクがさらに高まる可能性があるため、控えめにしましょう。 コーヒーと相性の良い食品を選び、悪影響を及ぼす可能性のあるプリン体の高い食品は控えめにすることが大切です。 痛風改善に役立つコーヒー以外の飲料 痛風の改善に役立つ飲料は、コーヒー以外にもいくつかあります。痛風の方におすすめできるコーヒー以外の飲料は以下のとおりです。(文献7) 飲料 効果 緑茶 緑茶に含まれるカテキンには、尿酸の排泄を促進する作用が期待されています。また、抗酸化物質が豊富なため、痛風の炎症を抑える効果も期待できる レモン水 レモンに含まれるクエン酸には、尿のpHを上げる働きがあります。尿のpHが上がると、尿酸が溶けやすくなり、排泄が促進される 低脂肪乳 低脂肪乳に含まれるカルシウムには、尿酸の排泄を助ける効果が期待されています。また、乳製品はプリン体が少ないため、痛風の方に適した飲料といえる 人によって痛風の症状や進行度合いは異なるため、自分の体の反応を注意深く観察しながら、主医師や栄養士と相談して、最適な飲料・食事プランを立てましょう。 専門家のアドバイスを参考に、コーヒーと上手に付き合っていくことが大切です。 まとめ|痛風にコーヒーはダメではない!適量ならば摂取してOK 痛風でも、適量であればコーヒーを摂取することは問題ありません。 痛風の人がコーヒーと上手に付き合うには、以下の点に気をつけると良いでしょう。 1日3〜4杯までを目安にする 体の変化を観察して、具合が悪くなったら医師に相談する コーヒー以外の飲み物や食事のバランスも考える 主治医と相談して、自分に合った痛風の管理方法を見つける 医師とよく相談しながら、一人ひとりが自分に合ったコーヒーの飲み方を見つけることが大切です。 痛風とコーヒーの関係は複雑であり、完全に制限するものではありませんが、適切に付き合えば、痛風の管理に役立つ可能性があります。 尿酸値を上げない食生活や飲み物などを相談したい、また痛風の症状や治療方法について相談したい方は、当院リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングもご活用ください。 さらに痛風に適切な食事方法が知りたい方は、以下の記事もご覧ください。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 文献1 PMC,Is coffee consumption associated with a lower risk of hyperuricaemia or gout? A systematic review and meta-analysis 文献2 藤森新,痛風・高尿酸血症の病態と治療,日本内科学会雑誌,第107巻第3号 文献3 千葉県栄養士会,かしこく食べる,痛風の予防と食事 文献4 東京都立病院機構,高尿酸血症・痛風の食事,高尿酸血症・痛風とは 文献5 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 文献6 e-ヘルスネット,高尿酸血症の食事 文献7 Hyperuricemia and associated factors: a cross-sectional study of Japanese-Brazilians - PubMed
2024.10.30 -
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「痛風が腎臓に影響を与えると聞いたけど、どういうことなの?」「腎機能が低下してきたけど、痛風と関係あるのかな?」 このような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 痛風は単に関節の痛みを引き起こすだけでなく、腎臓にもダメージを与える可能性があります。しかし、適切な管理と予防措置を講じることで、そのリスクを大幅に減らすことができるでしょう。 本記事では、痛風と腎臓の関係や具体的な予防策や治療法、そして長期的な健康管理のポイントまでを詳しく解説します。痛風と腎臓病を上手に管理するためのヒントになれば幸いです。 痛風と腎臓の関係 痛風は単に関節の問題だと思われがちですが、実は腎臓とも密接な関わりがあります。ここでは、痛風が腎臓に与える影響と、その背景にあるメカニズムについて説明します。 痛風が腎臓に与える影響 痛風は高尿酸血症を引き起こし、尿酸塩の結晶が腎臓に蓄積することで腎機能障害を招く可能性があります。具体的には、以下のような問題が生じる場合があります。 問題 説明 尿酸結石の形成 尿酸塩結晶が腎臓で固まり、結石を作る 腎炎の発症 尿酸塩結晶が腎臓の炎症を引き起こす 慢性腎臓病の進行 長期的な尿酸塩の蓄積が腎機能を低下させる 痛風は、体内で尿酸が過剰に蓄積することで発症する病気です。 この尿酸の結晶が関節や腎臓に溜まることで、炎症や組織の損傷を引き起こします。腎臓は尿酸を排出する重要な役割を担っていますが、尿酸が過剰になると、腎臓の細い管(尿細管)に尿酸の結晶が詰まってしまうことがあります。これが尿路結石の原因の一つです。 また、尿酸結晶が腎臓に蓄積すると、腎臓の炎症を引き起こす腎炎や、腎臓の組織が硬くなる腎硬化症などの問題が生じる可能性があります。 痛風を適切に管理しないと、これらの問題が徐々に進行し、腎不全に至るケースもあります。 痛風と腎機能障害のメカニズム 痛風患者では、以下のようなプロセスを経て、腎機能が低下していきます。 血中尿酸値の上昇 尿酸塩結晶の形成 腎臓への尿酸塩結晶の蓄積 腎臓の炎症・組織の硬化 腎機能低下 痛風患者の体内では、尿酸が過剰に産生されるか、十分に排出されないことで血液中の尿酸値が上昇します。尿酸値が高くなると、尿酸は血液中で溶けきれなくなり、尿酸塩という結晶の形で沈殿します。 この尿酸塩の結晶が腎臓の細い管(尿細管)に詰まると、尿の流れを妨げたり、腎臓の組織に炎症を引き起こしたりします。炎症が起こると、腎臓の組織が傷ついて硬くなっていきます。これらの変化が長期間続くと、徐々に腎臓の機能が低下していきます。 さらに、血中尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くと、それ自体が腎臓の血管を傷つける可能性も指摘されています。 このように、痛風は腎臓に深刻なダメージを与える可能性があるため、早期発見と適切な管理が重要です。痛風によって引き起こされる高尿酸血症と尿酸塩結晶の蓄積は、さまざまなメカニズムを通じて腎機能の低下を招く可能性があるのです。 痛風による腎臓病のリスクファクター 痛風があるからといって必ず腎臓病になるわけではありませんが、特定の条件下ではそのリスクが高まりやすくなります。ここでは、高尿酸血症と腎臓病の関係性や、他のリスク要因について解説します。 高尿酸血症と腎臓病 血中尿酸値が高いほど、腎臓病のリスクは上昇します。尿酸値が7.0mg/dL以上の場合、腎機能低下のリスクが明らかに高くなります。これは、尿酸の結晶が腎臓に蓄積し、腎臓の組織にダメージを与えるためです。 痛風の方は定期的に尿酸値を測定し、高尿酸血症をしっかりとコントロールすることが腎臓を守ることにつながります。医師と相談しながら、食事療法や薬物療法などの適切な治療を行うことが重要です。 リスクを高める他の要因 痛風に加えて、以下のような要因も腎臓病のリスクを高めます。 高血圧 糖尿病 肥満 喫煙 加齢 これらの要因を合わせ持つ痛風の方は、とくに腎臓病の発症に注意が必要です。 たとえば、痛風と高血圧を併発している人は、腎臓に負担がかかりやすくなります。高血圧によって腎臓の血管が傷つき、尿酸の結晶がたまりやすくなるためです。血圧のコントロールが悪いと、腎臓の障害がさらに進行してしまう可能性があります。 また、糖尿病も腎臓病のリスクを高める重要な因子です。血糖値が高い状態が続くと、腎臓の細い血管が損傷を受け、機能が低下していきます。糖尿病と痛風を合併している方は、腎機能の定期的なチェックが欠かせません。 肥満は、高血圧や糖尿病のリスクを高めるだけでなく、腎臓にも直接的な負担をかけます。健康的な体重を維持することが、痛風による腎臓へのダメージを防ぐために重要です。 さらに、喫煙は、腎臓の血管を収縮させ、腎機能を低下させる可能性があります。痛風の方は、禁煙することで腎臓の健康を守ることができます。 加齢にともなう腎機能の低下は避けられませんが、痛風がある場合はその速度が速まることがあります。高齢の痛風患者は、若い頃からの尿酸値管理と生活習慣の改善がとくに大切です。 したがって、痛風の方は高尿酸血症だけでなく、前述した要因についても注意を払い、総合的に管理することが大切です。定期的な健康診断や医師との相談を通じて、腎臓病のリスクを早期に発見し、適切な対策を講じることが重要です。 腎機能を保護する食事と生活習慣 痛風患者が腎臓を守るためには、適切な食事管理と生活習慣の改善が欠かせません。ここでは、腎臓にやさしい食事計画と、生活習慣の見直しポイントを紹介します。 腎臓に優しい食事計画 腎臓を保護するための食事では、以下の点に気を付けましょう。 食事の工夫 説明 プリン体の多い食品を控える 肉類、魚介類、ビールなどのプリン体を多く含む食品は、尿酸値を上昇させるため、摂取を控えめにする。プリン体の少ない食品を選ぶようにしましょう 塩分や蛋白質の摂取を控えめにする 塩分や蛋白質の過剰摂取は、腎臓に負担をかけるため、適量を心がける。塩分は1日6g未満、蛋白質は体重1kgあたり0.8gを目安に摂取しましょう 十分な水分を摂取する 水分補給は尿酸の排泄を促進し、腎臓の負担を軽減するために重要。1日1.5~2リットルの水分摂取を心がけましょう 野菜や果物を積極的に取り入れる 野菜や果物に含まれるビタミンやミネラル、食物繊維は、腎機能の維持に役立つ。1日に350g以上の野菜や果物を摂取するようにしましょう アルコールは控えめにする アルコールは尿酸値を上昇させ、腎臓に負担をかけるため、摂取は控えめにする。1日の飲酒量は、ビールなら500ml、日本酒なら1合未満を目安にしましょう 管理栄養士と相談しながら、自分に合った食事の計画を立てることが大切です。バランスの取れた食事を心がけ、腎臓にやさしい食生活を送りましょう。 生活習慣の改善とその影響 食事だけでなく、生活習慣の改善も腎臓保護に重要な役割を果たします。 生活習慣の改善 影響 適度な運動で体重管理と血圧コントロール 適度な運動は体重管理に役立ち、血圧を安定させる効果があります。これにより腎臓への負担が軽減され、腎機能の保護につながります。 ストレス管理とリラクゼーション ストレスは尿酸値を上昇させる要因の一つであり、ストレス管理は腎臓保護につながる。ストレス解消法を見つけ、リラックスする時間を作りましょう 禁煙または喫煙量の削減 喫煙は腎機能の低下を促進するため、禁煙または喫煙量の削減が推奨される。禁煙が難しい場合は、徐々に本数を減らしていきましょう 適正な体重の維持 肥満は高尿酸血症や腎臓病のリスクを高めるため、適正な体重の維持が重要。標準体重を目指し、必要に応じて医師や栄養士に相談しましょう これらの生活習慣を見直すことで、痛風と腎臓病のリスクを同時に減らすことができます。 痛風の人が腎機能を守るためには、食事と生活習慣の両面からアプローチすることが大切です。バランスの取れた食事と規則正しいな生活習慣を心がけることで、尿酸値をコントロールし、腎臓への負担を軽減することができるでしょう。 ただし、個人差があるため、単一な方法ではなく、自分の体質や状況に合わせて、医師や栄養士と相談しながら、最適な方法を見つけていくことが重要です。定期的な健診で腎機能をチェックし、異常があれば早めに対処することも忘れないようにしましょう。 また、腎臓は、体内の老廃物や余分な水分を濾過して尿として排出する重要な臓器です。痛風による尿酸値の上昇は、腎臓に大きな負担をかけます。しかし、適切な食事療法と生活習慣の改善により、腎機能の低下を防ぎ、健康の維持が期待できるでしょう。 痛風患者の皆さんは、自分の腎臓を大切にするために、今日から実践できる食事の工夫や生活習慣の見直しに取り組んでみましょう。小さな変化の積み重ねが、腎臓の健康を守る大きな力になるはずです。 痛風と腎臓病の管理と治療 腎機能の低下がみられる痛風の患者さんには、適切な管理と治療が必要です。ここでは、現在利用が可能な治療の選択肢と、継続的なケアの重要性について説明します。 現在利用可能な治療オプション 痛風と腎臓病の治療には、以下のような選択肢があります。 治療法 説明 尿酸値を下げる薬物療法 アロプリノール、フェブキソスタットなどの薬を使用し、尿酸値をコントロールする。尿酸の産生を抑えたり、排泄を促進したりすることで、尿酸値を下げる 腎機能を保護する薬剤 腎臓の血管を保護し、タンパク尿を減らす働きのある薬を使用し、腎臓の機能低下を防ぐ。代表的な薬には、血圧を下げる作用もあるACE阻害薬やARBなどがある 食事療法と生活習慣の指導 適切な食事管理と生活習慣の改善により、尿酸値と腎機能の管理を行う。プリン体の摂取を控え、十分な水分補給を行い、適度な運動を取り入れることが大切 透析療法 腎機能が著しく低下し、老廃物が体内に蓄積した場合、腎臓の代わりに人工透析により尿として排出されるはずの余分な水分や老廃物を取り除く。血液透析や腹膜透析などの方法がある。ただし透析療法が開始されると水分制限や食事制限なども開始される 患者さんの状態に合わせて、医師が最適な治療法を選択します。場合によっては、複数の治療法を組み合わせるケースもあります。たとえば、薬物療法と食事療法を併用したり、腎機能の低下が進んだ場合に透析療法を導入したりする場合があります。 継続的なケアと定期的な医療チェック 痛風と腎臓病の管理には、継続的なケアと定期的な医療チェックが欠かせません。 ケアの内容 説明 定期的な尿酸値と腎機能のモニタリング 血液検査や尿検査により、尿酸値と腎機能の状態を定期的に確認する。検査結果に基づいて、治療方針の調整や生活指導を行う 処方された薬を正しく服薬する 処方された薬を正しく服用し続けることが、治療の効果を維持するために重要。薬の飲み忘れや自己中断を防ぎ、服薬を習慣化することが大切 食事と生活習慣の管理状況の確認 食事療法や生活習慣の改善が適切に行われているか、定期的に確認する。必要に応じて、栄養士による食事指導や生活習慣の見直しを行う 合併症の早期発見と対処 腎臓病や心血管疾患などの合併症の兆候を早期に発見し、適切に対処する。定期的な検査により、合併症の発症を早期に発見し、必要な治療を開始する 医師、看護師、栄養士などの医療チームと協力しながら、長期的な健康管理計画を立てることが大切です。定期的な通院と検査、服薬の継続、食事と生活習慣の改善など、患者さん自身の積極的な取り組みが求められます。 痛風と腎臓病の管理には、患者さん自身の理解と協力が不可欠です。病気についての知識を深め、治療の重要性を理解することが大切です。また、体調の変化や新たな症状があれば、すぐに医療チームに報告し、適切な対処を受けることが重要です。 痛風と腎臓病は、適切な管理と治療により、進行を遅らせ、合併症を予防することが可能です。医療チームと協力し、自分に合った長期的な管理計画を立て、実践していくことが、健康的な生活を送るための鍵となるでしょう。医療チームからのアドバイスを踏まえつつ、自分に合ったペースで、無理なく続けていくことが大切です。 まとめ:痛風と腎臓病の総合的な管理 痛風は腎機能の低下と密接に関連しており、その予防と管理は非常に重要です。高尿酸血症のコントロール、腎臓にやさしい食事療法、生活習慣の改善など、さまざまな角度からのアプローチが求められます。 また、定期的な医療チェックと継続的なケアを通じて、合併症の早期発見と適切な対処を心がける必要があります。痛風と腎臓病を抱える患者さんには、医療従事者とのパートナーシップを大切にしながら、積極的に健康管理に取り組んでいきましょう。 痛風と腎臓病は、それぞれが独立した問題ではなく、互いに影響し合う複雑な関係にあります。しかし、正しい知識と適切な管理によって、両者のリスクを大幅に減らすことが期待できます。 以下の表は、痛風と腎臓病の総合的な管理における重要なポイントの一例です。 管理のポイント 説明 具体例 食事療法 プリン体の制限、塩分や蛋白質の摂取制限、十分な水分摂取など、腎臓に優しい食事を心がける。 プリン体の多い食品(レバー、イカ、マイワシなど)を避ける 1日の塩分摂取量を6g未満に抑える 毎日1.5~2リットルの水分を摂取する 生活習慣の改善 適度な運動、ストレス管理、禁煙、適正体重の維持など、健康的な生活習慣を実践する。 1日30分程度のウォーキングやストレッチを習慣化する 深呼吸や瞑想でストレス解消を図る 禁煙に取り組み、体重管理を行う 薬物療法 医師の指示に従い、尿酸値を下げる薬や腎機能を保護する薬を適切に服用する。 医師の指示通りに、アロプリノールやフェブキソスタットを服用する 飲み忘れを防ぐため、薬を決まった場所に保管し、服用をルーティン化する 定期的な医療チェック 尿酸値や腎機能の定期的なモニタリング、合併症の早期発見と対処のため、医療機関を定期的に受診する。 3ヶ月ごとに尿酸値と腎機能の検査を受ける 体調の変化や新たな症状があれば、すぐに医師に相談する 自己管理意識 自分の健康状態に関心を持ち、医療チームと協力しながら積極的に管理に取り組む姿勢が重要。 食事や運動のログをつけ、自己管理に役立てる 医療チームとコミュニケーションを取り、疑問や不安を解消する 適切な管理と治療により、痛風と腎臓病の進行を遅らせ、合併症を予防することが可能です。医療チームとの連携を大切にし、自分に合った総合的な管理計画を立て、実践していくことが、健康的な生活を送るための鍵となるでしょう。一人ひとりが自分の健康を守るために、積極的に行動を起こすことが何より大切です。 たとえば、今日から以下のような小さな変化を取り入れてみましょう。 朝食にプリン体の少ない食品を選ぶ 仕事の合間に5分間のストレッチを行う 就寝前に服用予定の薬を準備する 次回の医療機関の予約日をカレンダーに記入する このような小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな前進につながるでしょう。 痛風と腎臓病を抱える方々が、この記事を通じて希望を持ち、より健康的な人生を歩んでいけることを心から願っています。 監修:医師 渡久地 政尚 参考文献一覧 MSD マニュアルプロフェッショナル版,痛風 千葉県栄養士会,健康を考える皆さまへ,痛風の予防と食事 東京都立病院機構,高尿酸血症・痛風の食事,高尿酸血症・痛風とは 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 e-ヘルスネット,高尿酸血症 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病,高尿酸血症/痛風 日本生活習慣病予防協会,生活習慣病の調査・統計,高尿酸血症/痛風 沢井製薬株式会社,高尿酸血症・痛風ハンドブック 中外製薬,腎らいぶらり,腎臓にまつわる病気,痛風と腎臓 日本腎臓学会,腎臓の病気について調べる,6.全身性疾患に伴う腎障害,7.痛風腎 愛知県薬剤師会,痛風(高尿酸血症) 日本腎臓学会,腎臓の病気について調べる,7.治療 日本腎臓学会,腎臓の病気について調べる,11.腎代替療法
2024.10.28 -
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「足の親指が突然ズキズキ痛み出した…歩くと余計に悪化するの?」 このような疑問をお持ちではありませんか? 痛風は、尿酸が関節に蓄積することで炎症を引き起こし、激しい痛みを伴う病気です。特に足の親指に発作が起こると、歩行が困難になる場合もあります。 歩行自体が痛風を悪化させるわけではありませんが、運動の強度が高すぎると症状が悪化する可能性があります。そのため、運動に関する正しい知識を身につけておく意識が大切です。 本記事では、痛風と歩行の関係性や、痛風の症状改善に効果のある対処法を解説しています。正しい知識を覚えて、痛みの軽減や再発予防につなげましょう。 痛風は歩くと悪化する可能性がある? 痛風は「風が当たるだけで痛みが走る」という意味から名付けられた、激しい痛みを特徴とする疾患です。血液中の尿酸値(体内でできる老廃物の一種)の上昇が痛風を発症する主な原因です。 「痛風は歩くと悪化するのか」という疑問を持つ人は多いですが、歩くこと自体は痛風を悪化させる行為ではありません。 ただし、過度な運動や関節に負担がかかりすぎる動きは、尿酸値を上昇させて痛風を誘発する可能性があります。そのため、山登りや急な坂道の往復といった関節に負担がかかる歩行は、事前に医師に相談しましょう。 以下は、歩行以外で尿酸値上昇のリスクを高める運動例です。 短距離走 ベンチプレス ダッシュを繰り返す運動 症状を悪化させないためにも、運動強度は医師と相談しながら調整しましょう。 痛風とは? 痛風とは、足の親指のつけ根が急に赤く腫れ、強い痛みを感じる病気です。 痛風の症状は、足の親指だけでなく手足や膝の関節にも現れることがあります。また、耳に小さなしこりができたり、尿路結石が生じたりする場合もあります。 痛風の原因は、血液中の尿酸値(体内でできる老廃物の一種)の上昇です。尿酸が過剰に生成されると結晶化し、免疫細胞が結晶を処理する際に炎症が起こります。この炎症が痛風の症状となって出てくるのです。 尿酸が増える理由には、腎臓の働きが弱くなることや生活習慣の乱れが関係しています。特に、食べすぎや飲酒、肥満、激しい運動は尿酸を増やす主な原因です。 痛風は、適切な治療と生活習慣の改善で、症状をコントロールできるので、正しい知識と対処法を覚えましょう。 痛風の初期症状や症状が出る部位について知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。 【関連記事】 痛風の初期症状は?早期発見につなげて重症化を防ごう【医師監修】 痛風が影響を与える主な部位とその対策 痛風は適度に歩くと治る確率が高まる 適度な運動は、痛風の改善に効果があります。特に、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの軽めの有酸素運動がおすすめです。(文献1) 適度な運動は、痛風の原因となる肥満を改善するだけでなく、健康状態の維持にもつながります。 ただし、激しい運動はかえって尿酸値を上げてしまう可能性があるため、運動強度を高めすぎない意識が大切です。 痛風で適度に歩く以外に症状を緩和する6つの方法 ここでは、痛風の症状を緩和する6つの方法を紹介します。 患部を冷やす 食生活を見直す 水分を多く摂取する 禁煙または喫煙量を減らす ストレスをためないようにする 医師の指導のもと薬物治療を行う 順番に見ていきましょう。 患部を冷やす 患部を冷やせば、炎症や痛みが和らぎます。氷嚢(ひょうのう)やアイスパックを使うと、血管が収縮し、腫れが抑えられるためです。 ただし、冷やしすぎると血流が悪くなり、逆効果になる場合があります。 冷却は1回につき15分以内にとどめ、数時間おきに繰り返すのが適切です。 アイシングやジェルパックなどの冷却グッズを常備しておくと、急な痛みが出たときにも対応しやすくなります。冷却を行う際は、直接肌に当てず、タオルを挟んで使用してください。 食生活を見直す 痛風の予防と管理において、食事の改善は重要な役割を果たします。痛風に関連する食生活の注意点は以下のとおりです。 注意点 説明 プリン体の多い食品を控える プリン体の多いレバーやイカ、青魚などは控えめにすることで、痛風発作のリスクを抑えられます アルコール、特にビールの摂取を控える アルコール(特にビール)は尿酸の排泄を妨げ、体内の尿酸値を上昇させる働きがあるため、摂取量を控えれば痛風の予防にもつながります。 低脂肪乳製品、野菜、果物を積極的に取り入れる 低脂肪乳製品、野菜、果物は、尿酸値を下げる効果が期待できます。 コーヒーは1日3〜4杯程度に抑える コーヒーには尿酸値を下げる効果があります。飲みすぎは逆効果のリスクがあるため、1日3〜4杯程度に抑えるのが理想的です。 痛風を予防するには、これらの食事の注意点を日常的に意識することが大切です。個人の体質や健康状態に合わせて、管理栄養士など専門家のアドバイスを参考にしながら、適切な食事プランを立てることをおすすめします。 水分を多く摂取する 水分をしっかり摂ると、体の老廃物が尿と一緒に排出されやすくなります。 特に、尿酸を体の外へ出すためには、水を十分に飲むのが大切です。発作が起きているときは、意識してこまめに水分を補給してください。 目安として、1日に1.5〜2リットルの水を飲むと良いでしょう。水分が不足すると尿の量が減り、尿酸が体内にたまりやすくなります。 飲み物は水やお茶を中心にし、お酒や砂糖の多いジュースは控えましょう。 禁煙または喫煙量を減らす 喫煙は尿酸値を上昇させる要因の1つです。 禁煙または喫煙量の削減に努めれば、痛風発作のリスクを下げられます。禁煙が難しい場合は、内科やクリニックで相談してみるのも良いでしょう。 ストレスをためないようにする ストレスは尿酸値を上昇させる原因の1つです。 ストレス管理とリラクゼーションを心がければ、痛風発作のリスクを下げられます。自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。 医師の指導のもと薬物治療を行う 痛風の治療では、医師の指導のもとで薬を使用します。医師が処方する治療薬には以下のようなものがあります。 治療薬 説明 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) ロキソプロフェンやジクロフェナクなどの薬剤で、炎症を抑え、痛みを和らげます。 コルヒチン 痛風発作の初期治療に用いられる薬剤で、炎症を引き起こす細胞の活動を抑制します。 ステロイド薬 プレドニゾロンなどの薬剤で、強力な抗炎症作用を持ちます。内服や関節内注射で用いられます。 症状の程度に応じて、これらの薬剤が単独または併用で使用されます。医師と相談しながら、最適な治療法を選択していきましょう。 まとめ|痛風は無理して歩くと悪化するので適度な運動を心がけよう 痛風は、適切な治療と生活習慣の改善で症状をコントロールできる病気です。 運動に関しては、ウォーキングや水泳などの軽い有酸素運動が効果的ですが、尿酸値の上昇につながる短距離走やベンチプレスなどの高強度の運動は避けましょう。 また、日常生活では、プリン体の多い食品やアルコールを控え、十分な水分摂取を心がけることが大切です。喫煙やストレスも尿酸値を上昇させる原因となるため、生活習慣全体の見直しが重要です。 症状の緩和には、適切な冷却処置や医師による薬物治療も効果的です。 医師と相談しながら、治療や生活習慣を改善することで、痛風の症状改善や再発予防につなげることができます。 当院「リペアセルクリニック」では、膝の痛みに対する治療として再生医療を行っております。 無料のメール相談、オンラインカウンセリング も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。 痛風に関するよくある質問 痛風って1日で治るんですか? 痛風の発作は1日で治りません。 強い痛みや腫れは短期間で軽減する場合もありますが、完全に回復するまでには数日から数週間ほどかかります。 痛風でやってはいけないことはなんですか? 痛風は、尿酸値が高い状態が続くことで発症します。そのため、尿酸値を上げる行為は避けるようにしましょう。 具体的には、喫煙、暴飲暴食、激しい運動、ストレスなどが尿酸値を上げる要因となります。 参考文献 (文献1) 診断と治療者「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」 https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00476_supplementary.pdf (最終アクセス:2025年2月22日) MSDマニュアル「痛風」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/06-%E7%AD%8B%E9%AA%A8%E6%A0%BC%E7%B3%BB%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%A8%E7%B5%90%E5%90%88%E7%B5%84%E7%B9%94%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%B5%90%E6%99%B6%E8%AA%98%E7%99%BA%E6%80%A7%E9%96%A2%E7%AF%80%E7%82%8E/%E7%97%9B%E9%A2%A8 (最終アクセス:2025年2月22日) 公益社団法人千葉県栄養士会「痛風の予防と食事」 https://www.eiyou-chiba.or.jp/commons/shokuji-kou/preventive/tuuhuu/(最終アクセス:2025年2月22日) 地方独立行政法人東京都立病院機構「高尿酸血症・痛風の食事」 https://www.tmhp.jp/kikou/index/section/comedical/eiyou/meal/tsufu.html(最終アクセス:2025年2月22日) 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部「高尿酸血症・痛風の食事療法」 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/support/eiyo/method/syokuji05.html(最終アクセス:2025年2月22日) e-ヘルスネット「アルコールと高尿酸血症・痛風」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-012.html(最終アクセス:2025年2月22日) e-ヘルスネット「高尿酸血症」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-007.html(最終アクセス:2025年2月22日) 日本生活習慣病予防協会「生活習慣病.高尿酸血症/痛風」 https://seikatsusyukanbyo.com/guide/hyperuricemia.php(最終アクセス:2025年2月22日) 日本生活習慣病予防協会「生活習慣病の調査・統計.高尿酸血症/痛風」 https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/disease/hyperuricemia/(最終アクセス:2025年2月22日) 沢井製薬株式会社「高尿酸血症・痛風ハンドブック」 https://med.sawai.co.jp/request/mate_attachement.php?attachment_file=02dfef5e-9b0d-452b-9fd9-be66eb21619c000000000678005F.pdf(最終アクセス:2025年2月22日)
2024.10.25 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
「足の指の付け根に、ピリピリとした痛みやしびれを感じる」 「病院に行くほどではないけれど、自分でできる対処法があれば知りたい」 モートン病による痛みで、思うように日常生活を送れず、上記のように悩む人もいるでしょう。 モートン病は、足指に痛みやしびれを感じる神経の病気で、放置すると日常生活に支障をきたすケースがあるのも事実です。しかし、ツボ押しやストレッチなどの対処法を知っていれば、症状を緩和する効果が期待できます。 この記事では、モートン病に対してツボの効果はあるのか解説します。ツボ押しと一緒に行うと効果的な治療法や、再発予防のための生活習慣についても紹介するので、ぜひチェックしてください。 モートン病はツボで治る? モートン病は、足の指にしびれ・痛み・焼けるような感覚などの神経症状が現れる病気です。中指と薬指の間に多くみられますが、人差し指と中指、薬指と小指の間に症状が出る場合もあります。 ツボ押しはモートン病の症状を緩和する効果が期待できますが、モートン病自体が完全に治るわけではありません。 ツボ押しは、血行を促進し筋肉の緊張を和らげたり、痛みを軽減したりする効果があります。モートン病の症状が軽いケースでは、ツボ押しで症状が改善する可能性があります。しかし、症状が進行していると、ツボ押しだけでは十分な効果が得られないケースがあるのも事実です。 ツボ押しはあくまで補助的な手段として考え、整形外科での治療と並行して行うと、より効果的です。症状が改善しない人や悪化する人は、早めに専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。 モートン病に関しては、こちらの記事もご参照ください。 モートン病に効果があるツボと押し方 モートン病の症状を緩和させる効果が期待できるツボは、主に4つあります。ツボとは経穴(けいけつ)ともいわれ、身体を流れるエネルギーである「気」が経路に沿って並んでいる体表面のポイントです。押し方は、以下を参考にしてください。 <押し方> 両手の親指を重ねて、ツボを5〜10秒かけてゆっくり押す 痛気持ち良いぐらいの強さで押す 息は止めず、深く呼吸をしながらツボを押す 1セット3〜5回を目安に行う 以下に、各ツボの特徴を解説します。 「承山」の特徴 承山(しょうざん)は、ふくらはぎの中央で、アキレス腱から少し上にあるツボです。つま先立ちをした際、ふくらはぎにできるへこみを探すと見つけやすいでしょう。 承山は足のしびれや痛み・腰痛や頭痛・目のトラブルに効くといわれており、多くの症状に対応できる万能なツボです。押す際は、親指を重ねてツボに当て、ゆっくりと押してください。 「下承山」の特徴 下承山(しもしょうざん)は、承山から指幅3本分下にあるツボです。承山と同様に、ふくらはぎの筋肉とアキレス腱の境目あたりに位置します。 下承山は、足底における痛みやモートン病の症状、足首の痛みに対して用いられます。親指をツボに当て、ゆっくりと押し上げるようにしましょう。 「築賓」の特徴 築賓(ちくひん)は、内くるぶしの1番高い部分から、指幅7本分上にあるツボです。 腰痛や股関節痛、首コリなどの症状に用いられるだけでなく、下半身全体の血流が良くなるといわれ、手足の冷えに対する効果もあります。指で押す以外にも、かかとでアキレス腱から築賓までこするように押すのもおすすめです。 「漏谷」の特徴 漏谷(ろうこく)は、内くるぶしから指幅8本分ほど上に位置するツボです。 腰痛や肩の痛み、足底の痛みに用いられるケースが多くみられます。他にも、下肢の疲れやむくみの緩和にも効果が期待できます。指の腹で円を描くように、優しくマッサージしましょう。 ツボ押しの注意点 正しくツボ押しをするには、力加減やタイミングを守る必要があります。ツボ押しで注意すべきポイントを解説するので、ぜひチェックしてください。 強く押しすぎない ツボを刺激するときは、強く押しすぎないように注意してください。ツボ押しは、強く押せば効果が高まるわけではありません。強く押しすぎると、筋肉や組織を傷つけ、揉み返しを起こす可能性があります。 「痛気持ち良い」と感じるくらいの適度な力で押すと、症状改善につながります。また、長く押すほど効果が出るわけではないため、5〜10秒ほどの時間で刺激しましょう。 ツボ押しは、症状が出ている側と同じ側を刺激するのが基本です。右足に症状がある場合は、右側のツボにゆっくりと圧をかけると、無理なく効果を引き出せます。 避けるべきタイミングに注意する ツボ押しには、以下の避けるべきタイミングがあります。 怪我をしているとき 感染症にかかっているとき 妊娠中 食後 飲酒後 ツボを押す前から痛むとき 上記の状態では、怪我や体調が悪化する可能性があるため、注意してください。入浴後や就寝前などのリラックスしているときにツボ押しを実践しするのがおすすめです。 ツボを押す前から痛みを感じている場合は、炎症を起こしている可能性があります。無理にツボ押しするのではなく、整形外科を受診し相談しましょう。 モートン病の症状 モートン病の主な症状は、以下のとおりです。 足指の痛み しびれ 焼けるような感覚 とくに、中指と薬指の間に多くみられます。他にも、人差し指と中指の間や薬指と小指の間に発症するケースも少なくありません。 歩行時やつま先立ちをした際に、足指の付け根付近に鋭い痛みを感じます。痛み以外には、足の指がしびれたり、熱く感じたりするケースもあります。 人によっては「足の裏に小石があるような感覚」や「靴下の中でシワが寄っているような感覚」といった違和感を訴える場合があるのも事実です。症状の感じ方には個人差があるため、気になる症状がある人は、整形外科を受診しましょう。 些細な違和感でも、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。 モートン病の原因 モートン病の主な原因は、足指の付け根にある神経が圧迫されることです。 具体的な生活習慣は、以下のとおりです。 ハイヒールやつま先が狭い靴を履く機会が多い 長時間の立ち仕事をしている つま先立ちを繰り返す ランニングをやりすぎる モートン病は、ハイヒールを履く機会が多い中年以降の女性に多く発症するといわれています。また、足のアーチ構造が崩れやすい外反母趾(がいはんぼし)や扁平足(へんぺいそく)も足指への負担が大きくなりやすくモートン病のリスクが高まると考えられています。 モートン病でツボ押しにプラスすると効果的な治療 モートン病における症状緩和には、ツボ押しだけではなく、ストレッチと運動・適切な靴の選択・インソール・足底挿板の挿入を補助的に行うのが効果的です。 具体的に解説するので、参考にしてください。 ①ストレッチと運動 モートン病の症状を緩和させるには、ストレッチや運動が効果的です。 足指5本の付け根を結ぶ横アーチは、足裏の血管や神経を守る役割を持つものです。偏平足などでアーチが低下すると、モートン病を発症するリスクが高まります。 偏平足もモートン病も足裏の疲労や痛みが出るため、足裏やふくらはぎのストレッチが症状改善に良いと考えられています。モートン病で重要な横アーチを引き上げるには「タオルギャザーエクササイズ」が効果的です。 <タオルギャザーエクササイズの方法> バスタオルを床に敷き、両足を置く 足指の力でたぐり寄せる すべてたぐり寄せたら戻す タオルギャザーエクササイズは1〜3回を目安に行いましょう。椅子に座った状態でも、立った状態でも可能です。簡単に3回できる人は、タオルの端に1〜2kgの重りや1〜2Lの水が入ったペットボトルを置くと、より運動効果が高まります。 他にも、詳しいマッサージ方法については、こちらも記事をご参照ください。 ②適切な靴の選択 モートン病による痛みを緩和するには、足への負担が少ない靴を履くのが大切です。具体的には、以下のような靴がおすすめです。 中足骨(ちゅうそくこつ)パッドがある靴 クッション性が高い靴 靴底がロッカーソールになっている靴 中足骨パッドとは、靴の中敷きに取り付ける小さなクッションのことです。足裏の横アーチを支える機能を備えており、地面からの衝撃を緩和し神経を圧迫しにくくする効果が期待できます。 歩く際に地面からの衝撃を吸収できるクッション性が高い靴は、神経の圧迫を和らげます。 ロッカーソールとは、つま先部分が上向きに反っている形状をしている靴底を指します。一般的なインソールより歩く際に親指が屈曲しない構造のため、足への負担をかけずに歩けるでしょう。 ③インソール・足底挿板の挿入 モートン病の症状緩和には、靴の中に入れるインソールや足底挿板(そくていそうばん)を活用すると効果的です。インソールには、足裏のアーチを支え、足底にかかる圧力を分散させる効果が期待できます。 整形外科や取り扱いがある専門店でクッション性のあるインソールを購入するか、オーダーメイドで注文すると自分に合ったインソールが作れます。 足底挿板は靴の中敷と似た装具で、義肢装具士に依頼して自分の足に合わせて作成可能です。モートン病は前足部の横アーチ低下に伴って、神経の圧迫がおこるため、アーチをサポートする足底挿板が必要です。整形外科で足底挿板の必要性が認められると、保険で作成できます。 また、代わりとして市販のインソールを購入するのもおすすめです。市販で売られているインソールは手軽に購入できますが、オーダーメイドではない商品が多いため、整形外科医や理学療法士などにどの商品が良いか相談してみましょう。 モートン病の再発を予防するための生活習慣 モートン病は1度改善しても、再発する可能性があります。再発を予防するためにも、日常的な足のケアや定期的な受診などの生活習慣に気を付けましょう。 足のケア モートン病の再発を防ぐには、日常的な足のケアが欠かせません。入浴後など血行が良くなったタイミングで、ふくらはぎや足裏のマッサージを行いましょう。マッサージ方法は以下のとおりです。 <足のマッサージ方法> 足の裏全体を親指で優しく押す 土踏まずや足の付け根を重点的にマッサージする 足の指を広げ、指の付け根を円を描くようにマッサージする 足首を回したりアキレス腱を伸ばしたりするストレッチをする マッサージすると、筋肉の緊張が緩み、神経への圧迫が緩和されます。痛みを感じるようなら、無理せず優しく触れる程度の力で行ってください。 長時間立ち仕事や長時間歩行すると、モートン病の症状は悪化しやすくなります。足が痛かったり疲れていたりするときには、ストレッチやマッサージなどのケアを行いましょう。疲労によりアーチが低下しやすいため、足の疲労を回復させるのが大切です。 定期的な健診を受ける モートン病が良くなってからも、定期的に受診すると再発防止につながります。 保存療法や手術療法で症状が改善しても、モートン病が再発する人は一定数いるため、定期的な受診は大切です。痛みを放置していると悪化してしまうため、定期的に検査を受けましょう。 まとめ|モートン病の症状がツボ押しだけでは緩和しない場合は早めに医療機関へ モートン病は、足の指に痛みやしびれが生じる神経の病気です。 ツボ押しは、モートン病の症状緩和に有効な手段ですが、ツボ押しだけで完治するわけではありません。 とくに、症状が進行している人や、ツボ押しで改善がみられない人は、早めに医療機関を受診しましょう。 モートン病は、保存療法や手術療法など適切な治療により改善する場合が多いですが、再発する人がいるのも事実です。 再発予防のためには、治療後も足のケアを行い、定期的に健診を受けましょう。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、モートン病の治療法として再生医療を提供しています。 再生医療には主に「幹細胞治療」と「PRP療法」があります。 手術と比べて体に傷跡が残らず、リハビリの必要もありません。また、体への負担も少なく治療後の早期社会復帰にも期待ができる治療法です。
2024.10.23 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病は足指の付け根が立位や歩行などで負荷がかかり痛みが生じる疾患です。 足の痛みは日常生活に大きく影響するため、できるだけ症状を減らしたいと困っている方も多いでしょう。 この記事では、モートン病の原因や初期症状、治療法などを詳しく解説しています。セルフチェックも用意していますので、足の状態を把握したい方はご活用ください。 モートン病とは? モートン病は、足指の間のしびれ、痛み、灼熱感などの神経症状が出現する疾患です。症状が出現するのは主に中指と薬指の間が多いですが、人差し指と中指、薬指と小指の間に発症する場合もあります。 モートン病の原因と初期症状について、詳しく見ていきましょう。 モートン病の原因は主に「つま先立ちのような姿勢」 モートン病の原因は、つま先立ちの姿勢を長時間続けることです。つま先立ちの姿勢は、足指につながる神経を圧迫するため神経障害を発症します。 以下はつま先立ちの姿勢を引き起こす要因です。 ヒールの高い靴の着用 外反母趾や扁平足などの足の形態異常 ダンスやバレエなど足を酷使するスポーツ ジョギングやランニングなど前足に繰り返し力がかかる運動 モートン病は中年以降の40代〜60代の女性に多く発症すると言われています。しかし、年代問わずつま先に負担がかかる姿勢が続くと、発症する可能性があります。 モートン病の初期症状は「つま先のしびれ、痛み」など 以下は、モートン病の初期症状です。 靴を脱ぐと痛みやしびれが軽減する 足指の付け根に違和感や軽い痛みが生じる 足の指で握ったり、足の指を広げたりすると痛む 最初は、足指の感覚に対する違和感や軽い痛みからはじまります。初期段階は症状が一時的で、時間が経つと症状がおさまるケースも少なくありません。 悪化してくると、強い痛みやしびれなどが長時間続いたり、突然激痛が走ったりする症状が見られます。 モートン病のセルフチェック方法 以下はモートン病のセルフチェックポイントです。当てはまるものがないか確認してみてください。 足の指の付け根に痛みやしびれを感じる 足の付け根をつまむ、押す、叩くと痛む 歩行時や長時間の立ち仕事で足裏に痛みが走る 足の指を曲げたり広げたりすると痛みが強まる 靴を履いていると痛みが強まり、脱ぐと和らぐ ヒールや先の細い靴を履くと、痛みやしびれが悪化する モートン病を正確に診断するには整形外科の受診が必要です。当てはまる項目があれば、近くの整形外科での診察を検討してみましょう。 モートン病の治療 モートン病は放置すると症状が悪化し、歩行が困難になる場合もあります。 症状の進行を防ぐための治療法としては、主に以下5つがあります。 保存療法(マッサージ・ツボ押し・運動) 薬物療法 手術療法 再生医療 順番に解説します。 保存療法(マッサージ・ツボ押し・運動) モートン病の治療では、マッサージやツボ押しなどの保存治療が行われます。 ツボ押し(指圧療法)は、足の血流を改善し、痛みをやわらげる方法です。とくに、以下4つのツボが症状の緩和に役立つと考えられています。 承山(しょうざん):ふくらはぎの裏面 下承山(げしょうざん):ふくらはぎの裏側 築賓(ちくひん):ふくらはぎの内側 漏谷(ろうこく):すねの内側 ただし、ツボ押しの効果には個人差があり、医学的に確立された治療法ではありません。 筋力を鍛える運動もモートン病の症状緩和につながります。 横アーチ(足の横方向のカーブ)を支えるために、足の裏の筋肉を強化しましょう。 たとえば、タオルギャザーは簡単にできる運動です。床にタオルを敷き、指を使って手前に引き寄せると、足の裏の筋肉が鍛えられます。 意識的に指を広げたり、指を上げたりする運動もモートン病に効果があります。 【関連記事】 モートン病のマッサージ方法とは?痛みに効果的なセルフケアを解説【医師監修】 モートン病に対するツボの効果とは?代替治療を取り入れて症状を改善しましょう 靴の変更・足底挿板の作成 靴の変更・足底挿板の作成も保存療法の1つです。 足に合った靴やインソール(靴の中敷き)を選ぶと、歩くときの痛みを軽減できます。 靴を選ぶ際は、足に優しいデザインを意識しましょう。以下は、モートン病で負担のかかりにくい靴の特徴です。 靴底が柔らかい かかとが低い つま先が広め 自分に合った靴を選べば、歩くときの負担が軽減します。 足底挿板(そくていそうばん)は、足を正しい位置に保つための特別な中敷きです。専門の技術者に依頼して、足の形や状態に合わせて作ってもらいます。 モートン病は、足のアーチ(土踏まずのようなカーブ)が低下することで神経が圧迫され、痛みやしびれを引き起こします。そのため、アーチを支える足底挿板を使うと、負担が減り、症状が楽になりやすいです。 市販のインソールも使えますが、形や厚みがさまざまなので、専門家に相談して選ぶのがおすすめです。足に合っていないものを使うと、逆に痛みが増すリスクがあります。 薬物療法 モートン病の薬物療法では、消炎鎮痛剤によって痛みや炎症を抑えます。 これは、モートン病を治すというより痛みに対処するための治療方法です。 痛みが軽減しない場合は、ステロイド注射や局所神経ブロック注射を行う場合もあります。 手術療法 手術は、運動療法や薬の治療を試しても症状が良くならない場合に選ばれます。 モートン病で代表的なのは、痛みが出ている部位周囲の組織を取り除く手術です。 神経ごと取り除くため、そこから先の感覚はなくなってしまいます。、違和感が残る場合もありますが、術後1週間から2週間で以前と同じように歩けるようになります。 再生医療 モートン病の治療法には「再生医療」の選択肢もあります。 再生医療には、幹細胞治療とPRP(多血小板血漿)療法などがあります。 幹細胞治療では、自身の幹細胞を培養して患部に注射し、損傷している組織の修復と再生を促す治療法です。 PRP療法では、自分の血液を採取して血小板を濃縮し、修復を助ける成分を含んだ液体を患部に注射します。血小板は体の傷を治す働きを持つため、損傷した組織の修復や痛みの軽減が期待できます。 どちらも注射のみの治療なので、手術のように傷跡が残る心配や術後のリハビリの必要がありません。体への負担が少ないため、再生医療は早い回復が期待できる治療法です。 モートン病でやってはいけないこと モートン病では、症状を悪化させないためにやってはいけないことがあります。 長時間同じ姿勢を取らない ハイヒールや幅の狭い靴は避ける 以下で具体的な内容を解説します。 長時間同じ姿勢を取らない 長時間立ったり歩いたりすると、足に負荷がかかり続けるため、症状が悪化する原因になります。 仕事上、そうせざるを得ないことも多いかもしれませんが、少しでも姿勢を変えて足を休められると良いです。 また、自宅で家事をしているといつの間にか立っている時間が長くなるでしょう。そのため、休憩時間を少しずつ挟んで足を休めるのが大切です。 ハイヒールや幅の狭い靴は避ける モートン病は前足部への負荷が原因となりやすいため、ハイヒールや幅の狭い靴は避けましょう。 とくにハイヒールは、常に足趾の付け根が圧迫されている状態であり、モートン病や外反母趾など足の疾患につながります。 まとめ|モートン病の理解を深めて適切な治療を進めよう モートン病は、放置すると痛みが強くなり、歩行が困難になる場合もあります。症状が悪化すると手術が必要になるケースもあるため、早めの対処が大切です。 本記事で紹介したセルフチェックを活用し、万が一、モートン病が疑われれば、整形外科の受診を検討しましょう。 「できるだけ身体に負担の少ない治療を進めたい…」という方に、選択肢の1つとして考えてほしいのが「再生医療」という新しい治療法です。 再生医療は、傷ついた組織の修復と再生を促し、治療期間の短縮が期待できます。 モートン病に関するよくある質問 モートン病は再発のリスクがありますか? モートン病は保存療法や手術療法で治療しても再発する可能性があります。そのため、足へ負担がかかりにくい生活習慣やインソールや靴などをフィットしたものに変更するなど、足へのケアが大切です。 また、定期的に病院を受診すれば、再発したとしても早期発見・早期治療ができるため、症状が改善しやすくなるでしょう。 モートン病は何科を受診すればいいですか? モートン病が疑われる場合は、整形外科を受診しましょう。整形外科では、歩行時の痛みやしびれの原因を詳しく調べ、適切な治療方法を提案します。 参考文献 長田瑞穂ほか「モートン病の足部タイプと足底挿板療法について」『骨・関節系理学療法』 https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2005/0/2005_0_C0442/_article/-char/ja/(最終アクセス:2025年2月25日) 梅﨑泰侑ほか「足部形態の違いからとらえた足部内在筋群エクササイズの筋活動に対する即時効果」『理学療法科学』38(6)pp444-450 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/38/6/38_444/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年2月25日) 厚生労働省「市販の解熱鎮痛薬の選び方」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00404.html(最終アクセス:2025年2月25日) 三森 経世「関節リウマチ,抗炎症薬とステロイド薬,内科医が診るべき骨・関節疾患:治療の新展開」『日本内科学会雑誌』第97巻 第10号pp17-22 平成20年10月10日 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/97/10/97_2393/_pdf(最終アクセス:2025年2月25日)
2024.10.21 -
- 内科疾患、その他
- 内科疾患
「痛風って足の親指だけに起こるんじゃないの?」 「痛風が他の部位にも影響するなんて知らなかった!」 このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 痛風はたしかに足の親指の付け根に最も頻繁に発症しますが、実は他の関節や部位にも影響を及ぼす可能性があるのです。 それぞれの部位で痛風が起こった場合の対処法を理解しておくことが、効果的な痛風管理につながります。 本記事では、痛風が影響を与える主な部位と症状、部位別の対策について詳しく解説します。痛風とうまく付き合うための参考にしてください。 痛風の症状は足の甲にも現れる 痛風の症状は、足の指に最も多く現れるとされていますが、足の甲にも現れます。 足の甲に痛風が発症すると、歩行や立つことが困難になり、日常生活に大きな影響を与えます。 主な症状は激しい痛みや腫れ、発赤、熱感などで、足の指と同様に、急性の発作として突然起こることが特徴です。 痛風の発症は、過剰なアルコール摂取やプリン体を多く含む食品の摂取が引き金となるケースが多く、関節に激しい痛みを引き起こします。 痛風とは何か? 痛風は、体内で作られた尿酸が過剰に蓄積して発症する病気です。 尿酸は、プリン体と呼ばれる物質が分解されてできる老廃物の一種で、通常は尿として体外に排出されます。 この尿酸が、なんらかの理由で体内に蓄積すると、針のような形の結晶となって関節内に沈着し、激しい炎症と痛みを引き起こすのです。 痛風は、主に40代以降の男性に多くみられる病気ですが、女性も閉経後に発症リスクが高まります。 そして、痛風発作は突然起こるため、日常生活に大きな支障をきたし、適切な治療を行わないと、関節の変形や腎臓の障害など、深刻な合併症につながる可能性もあります。 痛風の原因 痛風の主な原因は、次の3つが挙げられます。 尿酸の過剰産生または排泄低下 プリン体の多い食事の摂取 肥満や過度のアルコール摂取 それぞれ、具体例を交えて1つずつ説明します。 尿酸の過剰産生または排泄低下 体内で尿酸の生成が増加、または尿酸の排泄が減少すると、血中の尿酸値が上昇します。 尿酸が血中に過剰に存在すると、関節や周辺の組織に結晶として蓄積され、痛風発作が起こります。 具体例 遺伝的要因(尿酸を作りやすい、または尿酸を排出しにくい体質) 利尿剤や低用量アスピリンなど、特定の薬剤の使用 プリン体の多い食事の摂取 プリン体とよばれる肉類、魚介類、ビールなどの過剰摂取は、尿酸値を上昇させます。 具体例 肉類(レバー、ささみなど)や魚介類(イカ、タラコなど)の多量摂取 ビールの大量飲酒 肥満や過度のアルコール摂取 肥満から起こるインスリン抵抗性は尿酸の排泄減少の可能性を高め、アルコール摂取は尿酸の生成促進と排泄を阻害する作用があります。 具体例 BMI(肥満指数)数値が25以上 500ml以上(瓶ビール1本以上)のアルコールを毎日飲酒する 痛風の症状 痛風発作の症状には、以下3つの特徴があります。 突然の激しい関節痛 発赤、腫れ、熱感をともなう 発症から24~36時間後が最も痛みのピーク それぞれの特徴について、具体例を交えて1つずつ解説します。 突然の激しい関節痛 痛風の最も特徴的な症状で、発作的に現れます。 足の親指の付け根(第1中足趾節関節)に最初の発作が起こる場合が多いですが、他の関節(足首、膝、手首など)も侵される可能性があります。 具体例 夜中や早朝に突然起こる激痛 歩行や靴の着用が困難なほどの痛み 発赤、腫れ、熱感をともなう 尿酸の結晶が関節にたまると、免疫系が反応して炎症が起こり、関節周囲の皮膚が赤く腫れ上がって熱を持ちます。 この症状は、足の親指の付け根や足首、膝関節など、体重がかかる部位でよく見られ、軽い触れ合いでも痛みを感じる状態になる場合もあります。 具体例 患部が赤く腫れ上がり、皮膚が光沢を帯びる シーツの重みでも痛みを感じるほどの圧痛 発症から24~36時間後が最も痛みのピーク 発作が始まってから1〜2日で、痛みが最も強くなります。 炎症反応が最も活発になり、動かすことができないほど痛みが強くなるケースが多いです。 その後、数日から2週間ほどかけて徐々に症状が改善していきます。 具体例 発症から1日半ほどで、痛みが最高潮に達する 痛みのピークを過ぎると、徐々に腫れや痛みが引いていく 痛風が影響を及ぼす具体的な部位 足の親指の付け根だけでなく、痛風はさまざまな部位に影響を及ぼす可能性があります。 ここでは、その具体的な部位とそこに起こる症状について説明します。 足の親指の付け根:最も一般的な痛風発作の場所 足の親指の付け根(第一中足趾節関節)は、痛風発作が最も頻繁に起こる場所です。 この部位は、体重を支える重要な関節の一つであり、歩行時に大きな負担がかかります。 そのため、この関節に尿酸結晶が沈着すると、以下のような症状が現れます。 症状 説明 靴を履くことも困難なほどの激しい痛み 痛風発作が起こると、激しい痛みが生じ、痛みのために、靴を履くことさえ困難になります。 安静時でも持続する痛み 痛風発作による痛みは、安静にしていても持続します。痛みのために、夜も眠れなくなるほどの不快感をともなう場合もあります。 歩行困難 痛みと腫れにより、歩行が困難になり、痛みを避けるために、足を引きずるような歩き方になる場合もあります。 発作治まった後も関節の腫れや違和感が残る 痛風発作が治まった後も、関節の腫れや違和感が しばらく残る場合があります。完全に症状が消失するまでには、数日から数週間かかることもあります。 痛風が足の親指の付け根に好発する3つの理由 痛風で最も起こりやすい部位は足の親指の付け根です。 足の親指が好発部位となる理由は、主に次の3点が考えられています。 体重負荷を受けやすい 血流が滞りやすい 体温が低めで尿酸結晶が沈着しやすい 1つずつ、詳しく見ていきましょう。 体重負荷を受けやすい 歩行時や立位時に、足の親指の付け根には体重が集中しやすいため、関節に負担がかかります。 また、圧力や摩擦も加わるので、尿酸結晶が集まりやすくなります。 血流が滞りやすい 足の末端は心臓から遠く、重力の影響もあるため、血流が滞りやすく、尿酸が結晶化して沈着しやすい場所です。 足の親指の付け根以外の関節(足首、膝、手首など)に発症することもあります。 体温が低めで尿酸結晶が沈着しやすい 足の末端は体の中心部と比べて体温が低めのため、尿酸結晶が沈着しやすい環境です。 冬場や長時間の座位、運動不足などの状況は、足の先端部分が冷えやすく、足の親指の付け根に尿酸結晶が沈着しやすくなります。 痛風は尿酸値の上昇が主な原因ですが、体の特定の部位に症状が現れやすいという特徴もあります。 尿酸値のコントロールとともに、この好発部位についても理解を深めることが大切です。 その他の関節:手、足首、膝、足の甲など 足の親指以外にも、痛風発作は以下のような部位に起こる可能性があります。 部位 説明 手の関節(指の関節、手首) 手の関節の痛風発作は、物を握ったり、ボタンを留めたりする動作を困難にします。 足首 足首の痛風発作は、歩行時の痛みや腫れが生じます。足首の可動域が制限され、階段の昇り降りなどの動作が困難になるケースもあります。 膝 膝関節の痛風発作は、激しい痛みと腫れを伴います。膝を曲げ伸ばしする動作が困難になり、歩行や立ち座りに支障をきたすことがあります。 肘 肘関節の痛風発作は、肘の痛みと腫れにより、腕を曲げ伸ばしする動作が制限されます。 アキレス腱の周辺 アキレス腱周辺の痛風発作は、歩行時の痛みや違和感が生じます。アキレス腱の炎症により、歩行パターンが変化することもあります。 足の甲 足の甲の痛風発作は、靴の着脱が困難になります。足の甲の腫れと痛みにより、歩行時の不快感が増すことがあります。 これらの部位での発作は、足の親指ほど頻繁ではありませんが、激しい痛みと腫れをともない、場合によっては、複数の関節に同時に発作が起こることもあります。 たとえば、足の親指と足の甲に同時に発作が起こった場合、歩行が極めて困難になります。 また、手の関節と膝関節に同時に発作が起こった場合、日常生活動作の多くが制限されることになります。 このように、痛風は特定の関節に発症しやすい傾向があります。 関節部位ごとの症状の違いを理解し、発作の初期段階から適切な対処を心がけることが大切です。 痛風発作の好発部位と一般的な症状について知識を深め、痛風が疑われる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 痛風発作時の場所別対策法 痛風が発症した部位によって、対処法に少し違いがあります。 ここでは、足の親指と他の部位における痛風発作の治療と対策方法について説明します。 足の親指に発生した痛風の治療と対策 足の親指に痛風発作が起こった場合、以下の対処が有効です。 対処法 説明 安静と冷却 発作時は、患部の安静と冷却が重要です。安静にすることで、関節への負担を軽減し、患部の冷却で、炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。 水分補給 十分な水分を摂取し、尿酸の排泄を促すことも効果的です。尿量を増やすことで、体内の尿酸の効率的な排出が可能です。1日1.5~2リットルの水分摂取を心がけましょう。 薬物療法 炎症を抑え、痛みを和らげる効果のある消炎鎮痛薬の服用が一般的ですが、必要に応じてコルヒチンやステロイド薬を医師が処方することもあります。ただし、副作用の可能性もあるため、医師の指示に従った服用が大切です。 食事療法 プリン体の摂取制限などの食事療法が大切です。肉類、魚介類、ビールなどのプリン体を多く含む食品の摂取を控えることで、尿酸値の上昇を防ぎます。 靴の選択 足の親指への負担軽減のために、適切な靴の選択も重要です。ゆったりとしたつま先、クッション性のある靴底、足首を支えるデザインの靴を選ぶことで、関節への負担を和らげます。 足の手入れ 足を清潔に保つことで、感染症のリスクを減らせます。また、足の爪を適切な長さに切り、肌の乾燥防止も大切です。 他の部位の痛風発作に対する対策 足の親指以外の関節(手、足首、膝、肘など)に痛風が発症した場合も、基本的な対処法は同様です。 対処法 説明 安静と冷却 発作時は、患部を安静にし、冷却することが大切です。安静と冷却は、関節の負担軽減と痛みや腫れの緩和、患部の炎症を抑えます。 水分補給 十分な水分補給(1日の摂取目安量:1.5~2リットル)を行い、尿酸の排泄を促し、尿量を増やすことで体内の尿酸の効率的な排出が可能です。 薬物療法 消炎鎮痛薬、コルヒチン、ステロイド薬などを服用し、炎症と痛みを抑えます。ただし、副作用の可能性もあるため、医師の指示に従って適切な服用が大切です。 対策の追加 部位によっては関節の固定や運動療法、リハビリなど、対策の追加が必要となる場合があります。例えば、手関節に発作が起こった場合は、手首を固定する装具の使用、膝関節の発作には、適切な運動療法やリハビリで、関節の可動域を維持し、機能低下を防ぎます。 痛風発作の対処は発症部位によってある程度異なります。 足の親指であれば靴の選択が、手関節であれば運動療法がポイントになるなど、発症部位の特性を踏まえ、医師や理学療法士と相談しながら、適切な治療計画を立てることが大切です。 痛風が疑われる症状がある場合は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることをおすすめします。 早期発見と適切な治療により、痛風発作による痛みや日常生活の制限を最小限に抑えることができます。 また、生活習慣の改善や薬物療法により、発作の頻度を減らし、関節の変形や機能障害の予防が期待できます。 痛風と上手に付き合いながら、健康的で充実した生活を送れるよう、医療従事者と協力して取り組んでいきましょう。 痛風発作の予防 痛風発作を予防するためには、日常生活の改善が欠かせません。 とくに食生活の管理と適切な運動・体重管理が重要になります。 ここでは、それぞれの詳細について説明します。 食生活の管理 痛風予防のための食事療法では、主に4つの注意が必要です。 注意点 説明 プリン体の多い食品を控える プリン体の多い食品(レバー、イカ、鶏皮、内臓肉)は控えめにすると尿酸値上昇を防げます。完全に避ける必要はありませんが、バランスを考えた適量摂取を心がけましょう。 アルコール、特にビールの摂取を控える アルコールは尿酸の生成を促進し、排泄を妨げる作用があります。とくにビールは、プリン体も多く含まれているため、痛風発作のリスクを高めます。アルコールは適量を心がけ、できればビールは控えめにしましょう。 十分な水分を意識的に摂取する 十分な水分摂取は、尿酸の排泄を促すために重要です。1日1.5~2リットルの水分摂取を目指しましょう。ただし、一度に大量の水を飲むのではなく、こまめに水分を補給することが大切です。 バランスの取れた食事を心がける 偏った食事は痛風発作のリスクを高めます。さまざまな食品群を偏りなく摂取し、バランスの取れた食事を心がけましょう。とくに、野菜や果物、低脂肪乳製品、全粒穀物などを積極的に取り入れることが大切です。 これらのポイントを意識しながら、管理栄養士と相談して自分に合った食事計画を立てることが大切です。 一度に大幅な食事内容の変更を行うのではなく、少しずつ改善していくのがよいでしょう。 また、外食や食事会などの際は、プリン体の多い食品を控えめにするなど、工夫をしながら対応しましょう。 自分の体の反応を観察しながら、無理のない範囲で食生活の改善を進めていくことが重要です。 適切な運動と体重管理 運動は尿酸値を下げる効果が期待でき、痛風発作のリスクを減らすのに役立ちます。 運動の目安は以下の通りです。 項目 内容 頻度 週2~3回 時間 1回30分以上 種類 有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水泳など自分に合った続けやすいもの) 運動をはじめる際は、自分の体力や健康状態に合わせて、無理のない範囲ではじめることが大切です。 ウォーキングであれば、1回10分からはじめ、徐々に時間を延ばしていくのがよいでしょう。 また、痛みや違和感がある場合は、無理せず、医師や理学療法士に相談しましょう。 加えて、肥満は痛風のリスクを高めるため、適正体重の維持を心がける必要があります。 適正体重は、身長(m)の2乗×22が目安となります。 たとえば、身長170cmの方であれば、適正体重は約64kgです。 無理のない範囲で、徐々に体重を適正範囲に近づけていくことが大切です。 身長 適正体重の目安 適正体重の計算式:身長(m)の2乗 × 22 150cm 49.5~54.0kg 49.5kg 160cm 56.3~61.4kg 56.3kg 170cm 63.6~69.4kg 63.6kg 180cm 71.3~77.8kg 71.3kg 適正体重には個人差があります。 筋肉量が多い人や骨格が大きい方は、この目安よりも重めでも適正体重の範囲内である可能性があります。 運動療法は個人差が大きいため、自分の体力や健康状態に合わせて、無理のない範囲ではじめることが大切です。 また、痛風発作時や回復期には無理な運動は控え、医師や理学療法士の指示に従うことが重要です。 食生活と運動、体重管理を総合的に見直すことが、痛風発作の予防につながります。 生活習慣の改善に取り組み、痛風とうまく付き合っていくことが大切です。 生活習慣の改善は簡単ではありません。長期的な視点を持って、自分のペースで無理のない継続が重要です。 痛風は再発や合併症のリスクあり|早期診断と治療が大切 痛風発作は、適切な治療を行わないと再発する可能性が高まります。 また、長期化すると関節の変形や腎臓などの合併症を引き起こすこともあるため、早期の診断と治療が重要です。 以下のような場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。 突然の激しい関節痛があり、関節が赤く腫れている 発熱や風邪の症状をともなう関節痛がある 痛風発作を繰り返し起こしている 痛風発作が長引き、日常生活に支障をきたしている 痛風は、適切な治療と生活習慣の改善により、十分にコントロールできる病気です。 早期に診断を受け、医師の指導のもと、薬物療法や食事療法に取り組むことが大切です。 また、日頃から体重管理やアルコール摂取量の調整など、生活習慣の見直しを心がけることも重要です。 痛風と上手に付き合いながら、健康的で充実した人生を送れるよう、医療チームと協力して取り組んでいきましょう。 まとめ:痛風発作への効果的なアプローチ 痛風は足の親指だけでなく、手の関節、足首、膝、肘などさまざまな関節に発症することがあります。 部位によって対処法は異なりますが、共通する発作時の対応としては安静・冷却・消炎鎮痛薬があります。 部位別の予防策 手の関節:適切な道具の使用、運動療法、リハビリ 足首・膝:固定装具、適切な靴の選択、運動療法、リハビリ 肘:固定装具、適切な姿勢、運動療法、リハビリ 一般的な予防策 プリン体の多い食品の摂取を控える 1日1.5~2リットルの水分をこまめに摂取 週2~3回、30分以上の有酸素運動 適正体重の維持(BMI 22程度) 痛風とうまく付き合うには、体の変化に早めに気づき適切に対処することが重要です。 症状が気になる場合は早めに医療機関を受診し、自分に合った管理法を見つけましょう。
2024.10.18 -
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「痛風と診断されたけど、納豆が好きで食べるのをやめられない」「納豆は体に良いと聞くけど、痛風の人には危険なのかな?」 痛風と診断され、納豆が好きでも食べるのを控えている方が多いのではないでしょうか。納豆にはプリン体が含まれているため、尿酸値を上げてしまうのではと不安に思う気持ちもありますよね。しかし、納豆の適切な食べ方を理解すれば、痛風の方も納豆の健康効果を活かせます。 本記事では、納豆の栄養価や痛風への影響、適切な食べ方などについて、医療の観点からわかりやすく解説していきます。痛風患者様が納豆を安心して取り入れられるよう、食事療法の手助けとなれば幸いです。 痛風の症状や食事管理でお悩みの場合には、当院のメール相談やオンラインカウンセリングをご活用ください。 また、痛風対策に効果的な食事をさらに知りたい方は、以下の記事をご覧いただければ幸いです。 納豆は痛風でも「食べすぎなければ問題ない」 納豆は適量であれば、プリン体の摂取量としては問題ありません。なぜなら、納豆に含まれるプリン体の量は、他の肉類や魚介類と比べると比較的少ないことがわかっているからです。 納豆1パック(40g)あたりのプリン体含有量は約45mgで、高プリン食品の基準である200mg(例:レバー類、ビールなど)を大きく下回ります。 つまり、適量の納豆であれば、プリン体の摂取量としては問題ない範囲といえるでしょう。 ほかにプリン体を多く含む食品としては、レバーや肝臓、魚卵、干しシイタケ、ビールなどが知られています。一方、比較的プリン体が少ない食品は卵、乳製品、果物、野菜などです。 プリン体は、体内で代謝されて尿酸になります。尿酸は、通常であれば腎臓でろ過されて尿中に排泄されますが、尿酸の生成量が多すぎたり、排泄が滞ったりすると、血中の尿酸値が上昇してしまいます。 血中尿酸値が高い状態が長く続くと、尿酸の結晶が関節などに沈着し、痛風発作を引き起こすリスクが高まるのです。(文献2、3) だからといって、プリン体を含む食品を完全に避ける必要はありません。大切なのは、適量を心がけることです。 日本痛風・核酸代謝学会のガイドラインでは、痛風患者様のプリン体摂取量の目安を1日あたり400mg以下としています。 納豆なら、1パック(40〜50g)に含まれるプリン体量は約25〜32mg程度で、この目安の範囲内に十分収まるでしょう。(文献4) ただし、納豆にもプリン体が含まれている以上、摂取量には注意が必要<です。 とくに痛風発作を頻発する方や重症の高尿酸血症の方は、医師や管理栄養士の指導のもと、納豆の摂取量を調整することが大切です。 痛風患者の納豆の適正摂取量は1日1パック 痛風で納豆を食べるときは1日1パックを目安にしましょう。納豆は比較的プリン体が少ない食品ですが、適切な摂取量を守ることが大切です。 痛風で納豆を摂取するときのポイントは以下のとおりです。 注意点 説明 1日の摂取量は1パック(40~50g)程度に抑える 前述の通り、納豆のプリン体含有量は比較的少ないとはいえ、摂り過ぎは禁物です。1日1パック程度を目安に、適量を心がけましょう。 他の高プリン食品との組み合わせに注意する レバーや魚卵など、プリン体を多く含む食品と納豆を同時に食べると、プリン体の摂取量が増えてしまいます。バランスを考えて、組み合わせを工夫しましょう。 アルコールと一緒に摂取するのは避ける アルコールは、尿酸の排泄を妨げる作用があります。とくにビールは、プリン体も多く含むため、納豆と一緒に摂取するのは避けましょう。(文献5) 体調や尿酸値の変化に気を配り、適宜摂取量を調整する 定期的に尿酸値を測定し、自分の体の変化を観察することが大切です。もし尿酸値が上昇傾向にあるようなら、納豆の摂取量を一時的に減らすなどの対応が必要かもしれません。 また、納豆の粘り気を活かした料理を工夫することで、野菜などの食物繊維も一緒に摂取できます。さらに野菜はビタミンやミネラルを含むアルカリ性の食品で、尿酸の排泄も助けてくれます。(文献6) たとえば、納豆サラダ、納豆巻き、冷奴などがおすすめです。 痛風の食事療法では、プリン体の摂取制限とともに、バランスの取れた栄養摂取が重要です。主食、主菜、副菜をバランスよく組み合わせ、食物繊維や低脂肪のたんぱく質を積極的に取り入れましょう。また、十分な水分補給も忘れずに。(文献5) 納豆は、適量を守れば、痛風患者様にも有益な食品の一つといえるでしょう。ただし、症状や体質には個人差がありますので、かかりつけ医や管理栄養士に相談しながら、自分に合った食べ方を見つけていくことが大切です。 豆類は血清尿酸値を下げる効果がある 「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版」によると、納豆のような豆類を含む食事を続けたところ、血清尿酸値が低下したという報告があります。(文献4) ただし、豆の種類や加工方法によってプリン体の量には差があります。 「公益財団法人 痛風・尿酸財団」が公開している、豆類ごとプリン体含有量(100gあたり)は以下のとおりです。(文献1) 食品名 プリン体含有量(100gあたり) 納豆 113.9 乾燥大豆 172.5 乾燥小豆 77.6 ピーナッツ 49.1 そら豆 35.5 豆腐(冷や奴) 31.1 豆腐(湯豆腐) 29.1 豆乳 22.0 味噌(赤味噌) 63.5 味噌(白味噌) 48.8 醤油 45.2 枝豆 47.9 おから 48.6 上記のプリン体含有量も参考にし、1日あたりの適正摂取量(400㎎)を超えないよう他の食品と組み合わせながら摂りましょう。 痛風患者向けの納豆の食べ方 痛風患者に推奨される食事法の基本は、プリン体の摂取制限と、バランスの取れた食生活です。適量の納豆は、以下のような重要な役割を果たします。 役割 説明 タンパク質源 良質な植物性タンパク質を提供する 食物繊維の供給源 腸内環境を整え、尿酸の排泄を促す 大豆イソフラボンの供給 抗酸化作用と炎症抑制効果が期待できる このように、納豆は健康的なタンパク源となるだけでなく、食物繊維やイソフラボンの供給源としても優れています。さらに、上手に他の食品と組み合わせることで、痛風患者でも満足度の高い食生活を実現できるでしょう。(文献7) 納豆に限らず、さまざまな食品を上手に組み合わせてバランスを取ることが、痛風対策の食事で大切なポイントです。本章では積極的に組み合わせたい食品や実際のレシピ、メニューをご紹介します。 納豆と他の食品との組み合わせ 納豆と組み合わせると良い食品には、以下のようなものがあります。 食品 効果 野菜 尿酸排泄を促進するビタミンCが豊富 低脂肪乳製品 カルシウムが尿酸の排泄を助ける 果物 クエン酸が尿のpHを上げ、尿酸の溶解度を高める 全粒穀物 食物繊維が豊富で腸内環境を整える これらの食品を積極的に取り入れることで、痛風対策として効果的な食事法を実践できる可能性があります。 痛風の人におすすめの納豆レシピ 納豆は、そのままでも十分においしく食べられますが、他の食材と組み合わせることで、さらに多彩な味わいを楽しめます。 痛風の人でも安心して食べられる、納豆を使ったレシピの一例を表にまとめました。ぜひ普段の食事の参考にしてください。 レシピ 特徴 プリン体含有量の目安 納豆とアボカドのサラダ アボカドに含まれる不飽和脂肪酸は、心血管系の健康に良いとされています。納豆と組み合わせることで、タンパク質と食物繊維、良質な脂肪がバランスよく摂れます 納豆1パック分 (約45mg) 納豆と野菜のスープ 納豆を溶き卵でとじて、野菜スープに加えるレシピ。体を温める効果があり、タンパク質と食物繊維を手軽に摂取できます 納豆1/2パック分(約20~25mg) 納豆とトマトのパスタ トマトに含まれるリコピンは、強力な抗酸化作用を持つカロテノイドの一種です。納豆に含まれるイソフラボンも抗酸化作用を持つため、両者を組み合わせることで、相乗的に活性酸素を除去し、細胞の酸化ストレスを軽減することが期待できます。また、トマトはビタミンCやカリウムも豊富に含むため、免疫機能の向上や血圧の調整にも役立つでしょう 納豆1パック分 (約45mg) 納豆と野菜のチャーハン 納豆に含まれるビタミンB群は、炭水化物や脂質のエネルギー代謝を助ける働きがあります。ビタミンEは抗酸化作用を持ち、細胞の老化を防ぐ効果が期待できます 納豆1パック分 (約45mg) 納豆とキムチのビビンバ風 納豆とキムチはともに発酵食品であり、善玉菌が豊富に含まれています。これらの菌は、腸内環境を整え、免疫機能を高める効果が期待できます。また、キムチに含まれるカプサイシンには、代謝を上げる効果があるとされ、ダイエットにも役立つ可能性があります 納豆1パック分 (約45mg) 納豆とオクラの和え物 オクラのねばねば成分は、納豆の粘り気と相性抜群。食物繊維やビタミンも豊富に含まれています 納豆1パック分 (約45mg) 納豆とトマトのブルスケッタ トマトに含まれるリコピンと納豆のイソフラボンの組み合わせは、強力な抗酸化作用が期待できます。また、トマトに含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、肌の健康維持に役立ちます 納豆1パック分 (約45mg) 納豆と豆腐のハンバーグ 大豆製品同士の組み合わせで、良質なタンパク質が摂れるヘルシーなハンバーグ。野菜を添えれば、バランスの取れた一皿になります 納豆1パック分 (約45mg) これらはあくまで一例ですが、納豆の持つ栄養価を活かしつつ、プリン体に気を付けた組み合わせを工夫することで、痛風患者様でも納豆を楽しめるはずです。 まとめ|納豆は痛風でも1日1パックならOK!他の食品も組み合わせて食べよう 痛風患者にとって、納豆は適量を守れば食べられる健康的な食品の一つです。 ただし、納豆にもプリン体が含まれていることを意識し、適切な量を心がけて低プリン体の食事を習慣化する必要があります。痛風と診断されたからといって、好きな食べ物をすべて諦める必要はありません。納豆の栄養価を理解し、適切な食べ方を実践することで、痛風の症状改善と予防につなげていきましょう。 日々の食事は、尿酸値コントロールの鍵を握っています。納豆を味方につけながら、バランスの取れた食生活を目指していきましょう。ご不明な点がありましたら、かかりつけ医や管理栄養士にご相談ください。 また、当院でも痛風患者様に対してのメール相談やオンラインカウンセリングを行っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。 痛風の食事管理を行うなかで、コーヒーを飲んで良いか気になったことはありませんか?痛風患者のコーヒーの摂取目安について、以下の記事で解説しています。 参考文献一覧 文献1 帝京大学薬学部物理化学講座 臨床分析学研究室 金子希代子名誉教授提供,食品中プリン体含量(mg/100g) 文献2 千葉県栄養士会,痛風の予防と食事 文献3 MSD マニュアルプロフェッショナル版,痛風 文献4 一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会,高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 文献5 e-ヘルスネット,アルコールと高尿酸血症・痛風 文献6 順天堂大学医学部附属順天堂医院栄養部,高尿酸血症・痛風の食事療法
2024.10.16 -
- 足部、その他疾患
- 下肢(足の障害)
モートン病によるつらい痛みで悩んでいませんか。モートン病は自宅でのマッサージにて症状の緩和が期待できます。 モートン病による足の指や足裏の痛みは、自宅でマッサージを行うことで症状の緩和が期待できます。症状を放置すると歩行が難しくなる場合もあるため、早めのケアや専門機関の受診をおすすめします。 この記事では、モートン病に効果的なマッサージやセルフケアについて解説します。 今回紹介しているマッサージを実践して、足の痛みから解放されましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を実施しております。メールやオンラインでの無料カウンセリングも承りますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 モートン病のマッサージ方法3選 モートン病の症状軽減に効果的なマッサージを3つご紹介します。 青竹踏みマッサージ 足指のマッサージ 足首のマッサージ いずれも自宅の隙間時間でできるマッサージ方法です。モートン病の症状でお悩みの方は、上記のマッサージ方法を実践してみてください。 青竹踏みマッサージ 青竹踏みは、縦に半分に割った竹を踏むことで足裏をマッサージする方法です。本物の竹を用意するのが難しい場合、100円ショップにてプラスチック製の青竹の購入が可能です。 実際には、下記の3ステップで行います。 1.裸足になって青竹の上に乗る 2.青竹の上で足踏みをする 3.1.~2.を数分繰り返す 青竹踏みマッサージには、以下のような効果が期待できます。ぜひ青竹踏みマッサージを実践してみてください。 血の巡りを良くする 浮腫みを軽減する 冷え性を軽減する ストレスを解消する モートン病の症状にも効果的なマッサージです。足裏を刺激するため、痛みが強い場合は無理のない範囲で行いましょう。 足指のマッサージ モートン病に効果的な足指のマッサージは、以下の2つです。椅子または床に座りながら行ってみてください。 期待できる効果 方法 指圧マッサージ 足指をほぐす 1.痛みが出ている箇所の足裏と足の甲を手の指で挟める 2.心地良い圧で押す 3.上記を30~50回繰り返す 横アーチのマッサージ つま先立ちで重心がかかっている部分の負担を軽減する 1.足指をぎゅっと強く握る 2.足裏のしわが寄っている部分に両手の親指を当てる 3.親指に強めに圧をかけ、外側に滑らせる 4.上記を数回繰り返す モートン病の症状がつらく、足の指がうまく曲がらない方もいるかもしれません。その場合は、手で足の指を押すようにサポートして曲げると、少し楽に曲げられるでしょう。 また、痛みや熱感がつらい場合は無理して行わないようにしてください。 足首のマッサージ 足首のマッサージも、モートン病の症状緩和におすすめです。以下の5ステップで実践してみてください。 1・立った状態で、手で床を押す 2.右足を後ろに下げ、踵を床につける 3.左足に重心を乗せ、膝を曲げる 4.3.の状態で数秒キープ 5.左右の足を交代し、2.~4.を同様に行う つま先を外に向けると、モートン病が悪化する可能性があります。つま先はまっすぐ前に向けるように意識して行ってみてください。 足首を動かせる範囲が狭いと、モートン病で痛みが出ている部分に負担がかかりやすくなります。そのため、足首のマッサージにて足首の可動域を広げると、足の前側の負担が和らいで痛みの改善が期待できるでしょう。 モートン病の痛みに効果的なマッサージ以外の方法3選 モートン病の症状の緩和に効果的なセルフケアは、以下の3つです。 湿布の貼付 靴の変更 ツボ押し モートン病の症状で悩まれている方は、前述で紹介したマッサージとあわせて実践してみてください。 湿布の貼付 モートン病による痛みがつらい場合は、消炎鎮痛効果のある湿布剤またはテープ剤の使用がおすすめです。痛む場所や足裏の上にあるアーチ部分に直接貼付しましょう。 また、貼り薬のタイプには以下の2種類が存在します。 貼り薬の種類 特徴 メリット 湿布(パップ剤) 外側が布になっているジェル状の張り薬 貼る部分がジェル状になっており、皮膚への負担が少ない テープ剤 ガムテープのようにペラペラな貼り薬 粘着力が強く、関節のような動かす部分にも密着する 靴や靴下を履いて仕事をする方には、テープ剤がおすすめです。その反面、かぶれやすいデメリットも存在するため、気になる方は湿布(パップ剤)を使用しましょう。 消炎鎮痛効果のある貼り薬は、多くの薬局やドラッグストアで販売されています。痛みや炎症がつらい場合は、貼り薬の使用も試してみてください。 靴の変更 モートン病の改善には、いつも使用している靴の見直しも大切です。ソールが柔らかい靴やヒールが低い靴に変えてみましょう。 つま先が狭い靴や高いヒールの靴は前足部が圧迫され、モートン病の症状が悪化しやすくなります。そのため、踵が低くつま先の幅がゆったりしている靴に変えると症状の軽減が期待できます。 また、以下の方法も足に負担をかけないためおすすめです。 スニーカーのような靴の幅を足やベルトで調整できる靴にする クッション性のあるインソールを靴に入れる 市販で売られている靴のインソールは薄いものが多く、衝撃から足を十分に保護できない可能性があります。市販のインソールでも痛みが続く場合はオーダーメイドで注文するのも一つの手です。 ツボ押し ツボ押しは、モートン病の根本的な改善にはつながりません。しかし、痛みを緩和する可能性がはあります。 とくに以下の3つは、モートン病に効果的なツボであるといわれています。 承山(しょうざん) 位置:つま先立ちをしたとき、ふくらはぎにできるくぼみの位置 期待できる効果:足の痛みやしびれ 築賓(ちくひん) 位置:ふくらはぎのふくらみの内側で、内くるぶしから指7本くらい上の位置 期待できる効果:下半身の血行促進 漏谷(ろうこく) 位置:内くるぶしの上部から指8本くらい上のむこうずねの後ろ側にあるへこみ 期待できる効果:足底の痛み モートン病に対するツボの効果を詳しく知りたい方は、下記のコラムを参考にしてください。 つま先立ちが続くとモートン病になりやすい つま先立ちが続くと、足底の前の部分に負担がかかりモートン病になりやすい傾向があります。 つま先立ちにより足指の付け根が圧迫されると、そこに通っている神経も傷ついてしまいます。その結果、モートン病が発症する可能性があるのです。 モートン病になりやすい一因として、下記のような行動があります。 踵の高いハイヒールやパンプスを履く 長時間にわたり中腰の作業を行う バレエのようなつま先立ちが続くスポーツをする 思い当たる方は、上記の行動を避けるようにしてみてください。 モートン病の初期症状は「足指間の痛みやしびれ」 モートン病は、しびれや痛み・灼熱感などの神経症状が足の指の間にあらわれる病気です。 つま先立ちのような姿勢を長時間続けることで、足指につながる神経の圧迫が要因として考えられています。 モートン病は、足の中指や薬指の間に症状があらわれる場合が数多く見られます。ただし、人差し指と中指、薬指と小指の間などに発症することも少なくありません。 モートン病になりやすい人は、ハイヒールをよく履く女性や、長時間にわたる立ち仕事をしている方です。日頃の靴や仕事環境を見直すことで改善につながる可能性が期待できるでしょう。 モートン病を放置すると痛みが足全体に行きわたる モートン病を放置して悪化すると、痛みやしびれが足全体にいきわたり、最悪歩行困難に陥る場合もあります。また、立っているときだけではなく、静止状態のときにも痛みやしびれを強く感じることもあるでしょう。 モートン病を発症した初期は歩行が難しくなるほどではなく、少し違和感がある程度の場合が多くみられます。そのため、ひどくなるまで放置されてしまうことも少なくありません。 症状によっては、痛みがある部分を切開する手術をする可能性もあります。場合によっては神経を取り除いて痛みの緩和を試みます。その結果、取り除いた神経がある指先の感覚がなくなり、日常生活に支障が出るリスクもあるでしょう。 そのため、モートン病の症状が見られた際は、重症化する前に早めの対処が大切です。 マッサージをしても改善しない場合は受診の検討を マッサージやセルフケアをしても症状が改善されない、または何度も繰り返される場合は、受診をおすすめします。 我慢できないほど症状が強くなっている場合は、セルフケアのみでは症状が緩和されにくいほど悪化している可能性があります。また、モートン病以外の病気の疑いも考えられるでしょう。そのため、専門家による診断や治療が適切です。 病院では、以下のようなモートン病の検査が行われます。 マルダーテスト:足指の間の付け根付近で足を横から挟むように圧迫し、痛みがある確認する MRI検査:骨以外にも神経や靭帯の様子まで画像検査できるため、モートン病による障害部分を確認できる モートン病の治療法では以下の記事でも詳しく解説しています。気になる方は、下記のコラムも参考にしてください。 まとめ|モートン病の症状を緩和させて足の痛みから解放されましょう モートン病の症状は、マッサージやセルフケアで早期の緩和が期待できます。しかし、放置すると歩行困難になり手術するリスクも否定できません。 マッサージやセルフケアで改善が見られない場合は、放置せず早めに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療を実施しております。メールやオンラインでの無料カウンセリングも承りますので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 モートン病についてよくある質問 モートン病のときにやってはいけないことはありますか? モートン病が疑われるときは、長時間の立ちっぱなしや歩行は避けるようにしましょう。足に負担がかかり続けてしまい、痛みがあらわれる要因になります。 とくに、モートン病のときには、足にかかる衝撃を分散させる能力が低下しているため、足裏に負担がかかりやすい状態です。 仕事でやむを得ず長時間立たなければならない場合もあるかもしれません。その際は、ヒールの低い靴へ変えたり、靴の中にインソールを入れたりすると足への負担を減らせるでしょう。 モートン病になったら何科を受診したら良いですか? 整形外科への受診をお勧めします。整形外科では主に足のような運動器官の病気やけがを専門領域としています。そのため、モートン病も整形外科の専門領域のため、適切な処置をしてくれるでしょう。 病院では、モートン病に対して以下のような治療を行います。 足底挿板(インソール)の作成 運動療法 薬物療法(痛みが強いときはブロック注射をする場合もあり) モートン病の治療について詳しく知りたい方は、下記のコラムも参考にしてください。
2024.10.14 -
- 股関節、その他疾患
- 股関節
股関節唇損傷と診断されて、どのくらいで治るのか不安を感じる方もいるのではないでしょうか。股関節唇損傷は、痛みや炎症が治まっても股関節の安定性は低下したままのため、再発のリスクが生じます。 再発防止には股関節の柔軟性向上と安定性強化が重要となり、リハビリテーションが効果的です。 本記事では、股関節唇損傷はどのくらいで治るのか治療期間の目安を解説します。適切な治療法や再発の予防法も紹介するので、股関節唇損傷の早期回復を目指したい方は参考にしてください。 股関節唇損傷はどのくらいで治るのか?治療期間の目安 股関節唇損傷と診断された際、どのくらいで治るか治療期間の目安を紹介します。 日常生活に復帰するまでの期間 スポーツ復帰までの期間 治療期間の目安を参考にして、症状回復へ向けた療養プランを立てましょう。 日常生活に復帰するまでの期間 個人差はあるものの、股関節唇損傷を発症した場合、日常生活への復帰は保存療法では約3カ月、手術療法では約2〜3週間になります。症状が軽度の場合は、数週間で回復する方もいます。 保存療法では、痛みを引き起こさない動作や日常生活の仕方を覚えるのが大切です。なかには日常生活に復帰してから痛みを再発したという声もあり、適切な動作の獲得が求められます。 一方、手術療法では手術・入院は3日ほどで、リハビリテーションを含めると2〜3週間必要です。手術後に関節の癒着や可動域制限を引き起こさないように、術後早期からリハビリテーションを実施するのが重要です。 スポーツ復帰までの期間 股関節唇損傷を発症した場合、競技復帰までの期間は競技レベルや怪我の重症度、実施した治療方法などで異なりますが、約3〜6ヶ月かかります。 スポーツ復帰は日常生活とは異なり、負荷のかかる動作や瞬発的な動きが必要になります。再発を防止するためにも、より股関節の安定化・柔軟性に着目した運動療法や競技特異的なリハビリテーションが必要です。 股関節唇損傷の主な治療法 股関節唇損傷の治療法には、保存療法と手術療法の選択肢があります。ど ちらを適用するかは、症状の重症度によって異なりますが、一般的には保存療法が選択されるケースがほとんどです。 保存療法にはさまざまな治療プランがあるため、症状を見ながら適切な治療を行います。 股関節唇損傷の主な治療法は、以下の通りです。 安静 薬物療法 リハビリ療法 注射治療 体外衝撃波治療 手術療法 再生医療 各治療法の特徴を以下で解説するので、参考にしてください。 安静 股関節唇損傷になったら、まずは股関節に負担がかからないようベッド上で過ごし症状の悪化を防ぐことが重要です。早期回復へ向けて日常動作を制限するのも、治療の1つとなります。 股関節唇損傷の痛みを誘発する日常動作は、以下の通りです。 しゃがみ込む あぐらをかく 深いソファや床に座る 車の乗り降りやいすから立ち上がる際は、手をそえたり手すりを使用したりして股関節への負担を軽減するのも効果的です。股関節唇損傷はできる限り股関節への負担を与えず安静に過ごすことで、痛みの軽減が期待できます。 薬物療法 薬物療法とは、薬を投与して症状の緩和を目指す治療法です。股関節唇損傷では、日常生活に支障をきたさないよう痛みや炎症を抑える薬物療法が行われます。 消炎鎮痛剤には、主にロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や湿布が処方されます。なお、薬物療法は症状の緩和を目的に行われる治療法で、リハビリ療法と併用するケースがほとんどです。 痛みが軽減される理由には薬物療法の影響が考えられるため、再発しないよう股関節への負担がかかりやすい動作は避けましょう。 リハビリ療法 股関節唇損傷では股関節の安定性や衝撃吸収能力が低下するため、筋トレや柔軟性を高めるストレッチが効果的です。誤った筋トレやストレッチは股関節への負担が増し、症状を悪化させる可能性があります。 そのため、関節唇損傷では理学療法士の指導を受けながら、適切な筋トレやストレッチを実施することが大切です。股関節唇損傷で実施される主なリハビリ療法は、以下の通りです。 股関節の安定性を高める筋トレ 外旋筋群の筋トレ 中殿筋・小殿筋の筋トレ 股関節の柔軟性を高めるストレッチ 殿部のストレッチ ハムストリングスのストレッチ 股関節周囲の筋力や柔軟性が向上すると、股関節唇損傷の予防にもつながります。関節唇損傷を発症した際はリハビリ療法で体幹機能や骨盤可動性を改善し、股関節の負担を減らしましょう。 注射治療 注射治療とは、股関節内への痛み止め注射により症状の回復を図る治療法です。痛みが強い場合、ヒアルロン酸注射やステロイド注射を実施し、症状の緩和を図ります。 ステロイド注射では直接股関節に注射し、抗炎症作用により痛みの改善を目指します。ただし、股関節唇損傷の症状が進行すると効き目を感じられなくなる場合もあるため注意が必要です。 また、ヒアルロン酸注射は、股関節の変形により摩擦が生じて炎症や痛みを発症した場合に実施します。潤滑性を高められるため症状の回復が見込めますが、定期的な注入が必要です。 体外衝撃波治療 体外衝撃波治療とは特殊な圧力波を患部に照射し、自然治癒力を高める治療法です。痛みや炎症の軽減が期待できるだけでなく、損傷した組織の修復促進効果が期待できます。 体外衝撃波治療は、大きく2種類に分類されます。 種類 治療の特徴 拡散型 広範囲に照射 集束型 患部にのみピンポイントで照射 股関節唇損傷では、ピンポイントで照射できる集束型を行うケースが一般的です。 手術療法 手術療法は、保存療法で痛みの緩和が見込めない場合に検討されます。 股関節唇損傷の主な手術は、以下の通りです。 手術 手術の特徴 股関節鏡視下手術 臀部から大腿の側面に穴を空け、内視鏡で観察しながら手術を行う 関節唇修復術と関節唇再建術の2つの術式が用いられる 大腿骨と下前腸骨棘の骨棘切除 先天的な形態異常により、大腿骨頭の変形や下前腸骨棘の骨棘がみられる場合は手術で骨を切除する 股関節鏡視下手術には2種類あります。 関節唇修復術 関節唇が十分残っている場合に実施 損傷している関節唇を寛骨臼から一旦はがし、正しい形にして固定する手術 関節唇再建術 関節唇が欠損している場合や縫合不能な断裂に実施 関節唇の除去後、大腿から腸脛靭帯を採取し、関節唇の代わりに固定する手術 手術療法は負担が大きいため、最終的な治療法として提案されるケースが一般的です。 再生医療 保存療法で症状の回復が見込めない場合は、再生医療を検討するのも手段の1つです。再生医療における治療法の1つとなる幹細胞治療では、採取した幹細胞を培養して股関節に注入します。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様自身から米粒2~3粒程度の脂肪を採取し、幹細胞を培養、投与します。幹細胞は冷凍せず、投与の度に採取するのが特徴です。 また、再生医療は手術・入院が不要です。手術を避けたい場合に適した治療法が再生医療といえます。 当院では、無料のメール相談を受け付けておりますので、治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 手術療法と保存療法のメリット・デメリット 股関節唇損傷の手術療法と保存療法のメリットとデメリットは、以下の通りです。 メリット デメリット 手術療法 関節唇の修復・再建が可能 短期間での復帰が可能 約数十万円と高額な費用がかかる 身体への侵襲がある 保存療法 身体への侵襲がない 通院での治療が可能 復帰まで時間がかかる 関節唇自体が修復するわけではないため、再発の可能性がある 保存療法は、普通に生活するには問題ないケースがほとんどです。一方で、スポーツ選手など、今後も激しく股関節を使う方は手術療法での治療を検討するのも手段の1つになります。 股関節唇損傷の予防法 予防するためには股関節の柔軟性向上と安定性強化が必要になります。股関節への負担を減らすためには日常動作を改善したり、股関節周囲筋を鍛えたりして安定性を強化することがポイントです。 また、スポーツではあらゆる方向からさまざまな力が瞬間的に加わります。そのため、競技特異的なトレーニングにより股関節周囲筋を動作の中で活用する訓練を実施しましょう。 活動中に股関節が痛む際は、再発しないよう無理せずプレイを中断することが大切です。また、運動前にはストレッチやウォームアップを行い、終わったあとはクールダウンとストレッチを実施して股関節の負担をできる限り軽減させましょう。 まとめ|股関節唇損傷がどのくらいで治るか把握したうえで治療計画を立てよう 股関節唇損傷を発症した際、どれくらいで治るか不安を感じる方もいますが、日常生活への復帰は保存療法で3ヶ月ほどになります。手術療法では2~3週間程度必要で、術後早期からリハビリテーションを実施することが大切です。 スポーツ復帰までは3~6ヶ月程度が目安になります。いずれも競技レベルや重症度などにより異なりますが、再発しないためにも医師と相談しながら症状回復へ向けた治療を行いましょう。 関節唇自体は自然治癒することはないため、手術により修復するか保存療法で痛みと炎症を抑える方法を実施します。手術を避けて治療を受けたい場合は、再生医療もご検討ください。股関節唇損傷の治療期間を参考にして、焦らずゆっくりリハビリテーションを行いましょう。
2024.10.11 -
- 股関節、その他疾患
- 股関節
肩関節唇の損傷は、野球やテニスのような腕を上から振り下ろすオーバーヘッドスポーツで起こりやすい疾患です。 肩関節唇損傷から回復して競技が継続できるか、将来的に症状は改善するのか不安に思っている方はいるのではないでしょうか。適切な治療により症状は改善し、リハビリテーションにより肩関節の安定化を図ることで競技復帰も望めます。 この記事では、肩関節唇損傷のリハビリテーションや再発予防の方法について解説します。怪我から早く競技復帰したいと考えている方は、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」では、肩関節への再生医療を行っています。肩関節唇損傷にも有効な場合がありますので、気になる方はお気軽に当院へご相談ください。 肩関節唇損傷とリハビリ方法 肩関節唇損傷とは、肩関節を安定させる機能をもつ関節唇の損傷です。原因となるのは、オーバーヘッドスポーツ、肩の過剰な使用、脱臼などです。とくに、野球やテニスなど投球動作を伴うスポーツをしている人は、上方の関節唇を損傷しやすい傾向があります。上方関節唇には上腕二頭筋につながる腱が付着しており、投球動作による負荷がかかりやすいのです。 肩関節唇損傷の主な症状は、肩の痛み、不安定感、可動域制限などです。安静により痛みは治まることが多いですが、肩の不安定感を軽減するにはリハビリテーションが欠かせません。具体的には関節可動域訓練や筋力トレーニング、肩に負担をかけない動作の習得などを行います。また、関節唇は再生しないため、重症例では手術が必要です。 肩関節唇損傷のタイプ 肩関節唇損傷は、大きく二つのタイプに分けられます。 一つめはBankert(バンカート)損傷です。前下方の関節唇を損傷するタイプで、肩関節の不安定さを感じやすいのが特徴です。肩関節の脱臼に伴って起きることも多く、繰り返す場合は手術が必要となります。(文献1) 二つめはSLAP(スラップ)損傷です。上方の関節唇を損傷するタイプで、オーバーヘッドスポーツで起きやすいです。Bankert損傷と比べ、リハビリテーションで症状が改善する場合も多い特徴があります。(文献2) SLAP損傷は、損傷の程度に応じてさらに4タイプに分類されます。(文献3) タイプⅠ 上方関節唇に毛羽立ちが見られるが、関節窩から剥がれてはいない タイプⅡ 上方関節唇および上腕二頭筋付着部が関節窩から剥がれている タイプⅢ 上方関節唇のバケツ柄断裂を認めるが、上腕二頭筋付着部は損傷していない タイプⅣ 上方関節唇のバケツ柄断裂が上腕二頭筋長頭腱にも及んでいる 肩関節唇損傷の検査方法 肩関節唇損傷の検査方法は、身体診察や画像検査です。身体診察では医師が患者様の肩を回したり、腕に力を入れてもらったりして、肩の痛みや引っかかり感が起きるかテストします。 画像検査はレントゲンやMRIを行います。レントゲン検査では、脱臼に伴う骨の欠けや、肩関節の不安定化による変形といった骨の異常を確認可能です。MRI検査では、レントゲンに写らない関節唇の剥離や断裂の状態、炎症の有無などをチェックします。 しかし、画像検査では診断が難しいケースも存在します。この場合は、関節鏡手術の際に関節唇を直接見て、初めて正確な診断が可能です。 肩関節唇損傷の治療方法 肩関節唇損傷の治療は、保存療法と手術療法に大別されます。 保存療法で最初に行うのは、痛みを抑えるための鎮痛薬の投与や安静の確保です。痛みが治まれば、肩関節の安定性を高めるためのリハビリテーションを行います。 手術療法では、主に関節鏡を用いて、関節唇の修復や再建を行います。術後は早期からのリハビリテーションが大切です。保存療法と手術療法のメリット・デメリットを以下にまとめました。 治療法 メリット デメリット 保存療法 身体への侵襲がない 通院での治療が可能 関節唇自体が治るわけではない 再発や脱臼の可能性がある 治療が長期間にわたる 手術療法 術後の回復が早(目安:約1カ月で日常生活に戻れる) 脱臼のリスクが低い 身体への侵襲がある 治療費が高額 (目安:約30万円) それぞれの具体的な治療内容を見ていきましょう。 保存療法 軽症例では保存療法を実施する場合が多いです。保存療法では、薬物療法やリハビリテーションを行います。具体的には以下で解説します。 薬物療法 発症直後で痛みが強い場合には、ロキソニンやボルタレンなどの消炎鎮痛薬の内服やヒアルロン酸の関節内注入を行い安静にします。それでも痛みが軽減しない場合はステロイドを注射します。そして、痛みや炎症が落ち着いてきたらリハビリテーションを開始する流れです。ただ、可動域訓練やリラクゼーションは拘縮予防のために多少痛みがあっても実施する場合があります。 リハビリテーション リハビリテーションでは、肩関節周囲のリラクゼーション・可動域の改善・筋力強化を行います。(文献4) 肩関節唇損傷では、肩後面の組織が硬い場合が多いため、後面の組織を中心にリラクゼーションを実施します。また、痛みにより筋肉が反射的に緊張しやすく、可動域制限になりやすいため可動域訓練が大切です。 さらに、肩関節の安定性を高めるために腱板筋群の筋力強化を行います。テニスや野球の投球動作では、腱板筋群に大きな負荷がかかるため、負荷に耐えられるように筋力強化が必要です。 手術療法 手術療法は、重症例や脱臼を繰り返してしまう方に適用されます。主流となっているのは全身麻酔下での関節鏡手術です。皮膚に小さな穴を3カ所ほど開け、関節鏡(カメラ)や手術器具を挿入して行います。 入院は数日〜10日間程度であり、術後2〜3週間はリハビリ以外では装具で肩関節を固定します。手術方法はさまざまですが、代表的な手術方法を2つ紹介します。 鏡視下デブリードマン 鏡視下デブリードマンは、関節唇の損傷部分を取り除く手術です。(文献5)関節鏡で確認しながら、関節唇の毛羽立った部分や、伸びたり剥がれたりして挟まれそうな部分を除去します。これにより、痛みや引っかかりといった症状の軽減が期待できます。 鏡視下関節唇修復術 鏡視下関節唇修復術は、アンカーと呼ばれる糸のついたビスを使って、関節唇を元の位置に縫い合わせる方法です。上腕骨頭への処置を同時に行うこともあり、以下の3つの術式が代表的です。(文献1)(文献6) 手術方法 内容 適応するケース バンカート法 アンカーを肩甲骨に打ち込み、関節唇を縫合 関節唇が剥がれている基本的なケース ブリストウ法 アンカーでの固定に加え、肩甲骨の一部を移植して縫合 より強い固定が必要なケース レンプリサージ法 上腕骨頭のへこみ部分にアンカーを打ち込み、関節包・腱板を縫い込む 脱臼により上腕骨頭にへこみができているケース(バンカート法と併用可能) 肩関節唇の損傷を治療した後の注意点 保存療法では、関節唇自体が治るわけではないため肩関節の緩さが少なからず残りやすいです。そのため、肩関節を過度に動かすと脱臼や再び症状を再発する可能性があり、肩のリハビリテーションをしっかり行うのが大切になります。 一方、手術療法では、範囲は狭いものの関節包など深部への侵襲があるため、組織が癒着して可動域が制限されないように術後早期からリハビリテーションが必要です。1カ月ほどリハビリを行うと通常の生活レベルに戻れますが、スポーツ復帰には3〜6カ月必要です。 肩関節唇損傷のリハビリ方法 肩関節唇損傷のリハビリテーションは、スポーツに復帰するために重要です。手術を受けた場合の復帰までの期間や、具体的なリハビリテーション内容を以下に紹介します。 1.術後~1カ月(炎症管理) 術後初期では、痛みや炎症が残存しているため、まずは安静や消炎鎮痛薬により改善を図ります。夜間に肩を動かさないように、術後2週間ほどは装具を着用します。ただ、癒着予防のためにリハビリは手術翌日から開始する場合が多いです。この時期にたくさん筋トレしてしまうとより悪化してしまうため運動量や負荷には注意です。 2.術後1カ月~2カ月(可動域向上・筋力強化) この時期では、とくにテニスや野球の投球動作で必要な肩関節外旋・外転可動域の向上を目指します。可動域が狭いと肩関節に負担がかかりやすいです。また、スポーツ復帰を目指す場合、全身の心肺機能を戻すのも大切なので、有酸素運動など持久力トレーニングも実施します。肩の筋力トレーニングは低負荷から実施し、段階的に難易度を上げていきましょう。 3.術後2カ月~3カ月(動作練習) 筋力トレーニングの負荷を上げつつ、スポーツに特化した動作練習を行っていきます。スポーツ中には、予測不能な外力が加わる場合や瞬発的な動作が多いため、素早い動作にも対応できる身体づくりが大切です。とくに、受傷のきっかけとなった動作を入念にチェックし、再発を防止しましょう。 肩関節唇損傷の再発を予防する方法 肩関節唇損傷の再発を予防するには、腱板筋群のトレーニングや肩後面のストレッチが大切です。(文献4) 以下に具体的な内容を解説します。 腱板筋群のトレーニング 腱板筋群は、棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋で構成されており、肩関節の安定化に必須の筋群です。投球動作の繰り返しにより、腱板筋群は大きなストレスを受けるため、これらの筋群が弱化しやすくなります。そのため、練習時間の制限や投球動作の回数制限を設けて練習しましょう。具体的な腱板筋群のトレーニングを以下に記載します。 <やり方> イスに座り、わきをしめて肘を90度に曲げる わきをしめたまま腕を外に開く 負荷はチューブなどを用いて行い、低負荷・高回数で実施します。腱板筋は小さい筋肉であり、負荷が高いと間違った動作になってしまうため気をつけましょう。 肩後面のストレッチ テニスや野球などの投球動作を頻繁に行うスポーツでは、肩後面の棘下筋・大円筋・小円筋・三角筋が硬くなりやすいです。すると、上腕骨頭の動きがぎこちなくなり、腱板筋群が作用しづらくなります。結果、肩関節への負担が増加します。そのため、肩後面のストレッチにより肩の滑らかな動きを獲得するのが大切です。具体的なストレッチの方法を以下に記載します。 <やり方> 両手の甲を脇腹につけます 肘を前方に向けるように閉じていきます 肩の後面が伸びているのを意識します 肩をすくめたり体幹だけを回したりしないように、肩後面が伸張されているのを意識して実施しましょう。 肩関節唇を損傷した際の治療・リハビリ・再発防止に関するQ&A ここでは肩関節唇損傷に関するよくある質問に回答します。 肩関節唇を損傷した際に放置するのはNG? 痛みや違和感を自己判断で放置するのはやめましょう。痛いからと安静にしすぎると、肩関節がだんだん固まってしまうことがあります(拘縮)。安静が必要な場合もある一方、多少の痛みがあっても可動域訓練やリラクゼーションを行った方が良い場合もあるのです。 また、痛みが落ち着いたからといって以前と同じように肩を使えば、再び関節唇を損傷したり、肩関節を脱臼したりするかもしれません。必ず医師の判断のもとで治療を受けましょう。 肩関節唇損傷のリハビリ期間はどれくらい必要ですか? 手術を受けた場合のリハビリ期間は、日常生活レベルに戻るまでに1カ月、スポーツへの復帰までに3〜6カ月が目安です。 また手術をせずに保存療法を行う場合は、スポーツに復帰するまで短くて2〜3カ月、長くて6カ月ほどが目安です。ただし、保存療法でよくならない場合は、手術が必要になることもあります。 なお、実際のリハビリ期間には個人差があります。リハビリが不十分だと再発の可能性が高まるので、焦らず進めていきましょう。 肩関節の手術後に痛みが出た場合は再生医療を適用できますか? 手術の種類によって異なりますが、関節唇損傷や腱板断裂の手術であれば、術後に再生医療を適用可能です。また、腱板断裂で縫合術を受けた場合は、術後に幹細胞治療を受けることで再断裂を予防できます。 再生医療とは、患者様から採取した幹細胞や血小板を活用する治療法の一つです。 幹細胞には、さまざまな細胞に分化する性質があります。また、血小板には止血に関与するほか、成長因子を含んでいることが知られています。 競技を継続できるように肩関節のケアを行いましょう 肩関節唇損傷は、テニスや野球などオーバーヘッドスポーツで発症しやすい疾患です。関節唇は、肩の安定化に欠かせない組織であり、再生もしないためリハビリテーションによる訓練が大切になります。 また、投球フォームによっては肩後面の組織が硬くなりやすいことや腱板筋群が弱化しやすいため、入念にトレーニングやストレッチを行います。スポーツの実施前後で行うことで肩の柔軟性や筋力を保てるでしょう。 今回ご紹介したストレッチや筋力トレーニングにより、可動域向上・筋力向上を目指せるため、再発予防のためにも毎日ケアしましょう。 なお、肩関節唇損傷は再生医療で治療できる場合があります。再生医療は手術の必要がなく、患者様への負担が少ない治療方法です。気になる方は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 独立行政法人国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「反復性肩関節脱臼(はんぷくせいかたかんせつだっきゅう)」霞ヶ浦医療センターホームページhttps://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_hanpukukatakansetudakyu.html(最終アクセス:2025年2月20日) (文献2) 独立行政法人国立病院機構 霞ヶ浦医療センター「投球障害肩(とうきゅうしょうがいかた)~主に思春期以降~」霞ヶ浦医療センターホームページhttps://kasumigaura.hosp.go.jp/section/seikei_toukyusyougaikata.html(最終アクセス:2025年2月20日) (文献3) Zahab S. Ahsan, et al. (2016). The Snyder Classification of Superior Labrum Anterior and Posterior (SLAP) Lesions. Clinical Orthopaedics and Related Research, 474(9), 2075–2078. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4965366/(最終アクセス:2025年2月20日) (文献4) 原正文.「投球障害肩のリハビリテーション治療」『日本リハビリテーション医学会誌』55(6), pp.495-501, 2018年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/6/55_55.495/_pdf(最終アクセス:2025年2月20日) (文献5) 保刈成ほか.「上方関節唇損傷に対する鏡視下デブリードマンの術後成績の検討」『肩関節』21(2), pp.321-325, 1997年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/katakansetsu1977/21/2/21_321/_pdf(最終アクセス:2025年2月20日) (文献6) 地方独立行政法人 芦屋中央病院「反復性肩関節脱臼に対する鏡視下手術」芦屋中央病院ホームページ https://www.ashiya-central-hospital.jp/wp-content/uploads/2019/03/6cfeb048e18c00d509db2dac9e315fba.pdf(最終アクセス:2025年2月20日)
2024.10.09 -
- 上肢(腕の障害)
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
「足の甲が痛くて、ランニングができない」「足の甲の疲労骨折と診断されたけど、どうすればいいの?」 多くのランナーが足の甲の疲労骨折(中足骨疲労骨折)に悩まされており、ランニングを続ける上での大きな障壁となっています。足の甲の疲労骨折に気づかずランニングを続けてしまうと、症状が進行してしまい、練習や大会への参加が難しくなってしまうおそれがあります。もし足の甲の疲労骨折が疑われる症状がみられた場合は、早期の治療と再発防止が重要です。 本記事では、足の甲(中足骨)の疲労骨折の原因や治療法、ランニング時の注意点について解説します。正しい理解とケアにより、ランニングを安全に続けるためのヒントになれば幸いです。 足の甲を疲労骨折してしまい、どういった処置が必要かわからない方は、当院リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングもご活用ください。 疲労骨折の症状と治療期間については、以下の記事でもご覧ください。 足の甲の疲労骨折とは「足の甲の骨に微小な亀裂が生じている状態」 まずはじめに、疲労骨折とは、繰り返しのストレスによって骨に微小な亀裂が生じている状態のことです。一度の強い衝撃ではなく、長期的な負荷の蓄積が原因で起こることが多いケガです。 そして、足の甲に起こる疲労骨折は、「中足骨」という足の甲にある5本の長い骨にヒビが入っている状態です(中足骨疲労骨折)。中足骨は足の土踏まずを形成し、体重を支えるという重要な役割を担っています。ランニングでは、体重が中足骨に繰り返しかかるため、疲労骨折が起こりやすくなります。 とくに、以下のような要因が重なると、リスクが高まります。 急激なトレーニング量の増加 不適切なランニングフォーム 硬い地面でのランニング 足に合わない靴の使用 骨密度の低下 これらの原因について理解を深め、適切な予防策を講じることが大切です。 足の甲の疲労骨折には「早期発見・初期対応」が重要 足の甲の疲労骨折は、症状を理解し、見逃さないようにすることが大切です。 疲労骨折は、徐々に症状が現れることが多いため、初期段階での適切な対応が重要です。 足の甲の疲労骨折の見分け方【セルフチェック】 症状 説明 足の甲の痛み とくに第2、第3中足骨に多く見られます。この部位は体重の大部分を支えるため、疲労骨折のリスクが高くなります。 歩行時や運動時の痛み 活動により痛みが増悪するのが特徴です。ランニングや長時間の歩行で痛みを感じる場合は要注意です。 安静時の痛みの持続 疲労骨折の場合、安静にしていても痛みが続くことがあります。夜間の痛みで睡眠が妨げられる場合もあります。 腫れや圧痛 患部が腫れ、触ると痛みを感じます。腫れによって靴が窮屈に感じられる場合もあります。 皮膚の発赤や熱感 炎症によって、患部の皮膚が赤くなったり、熱を持ったりするケースがあります。 これらの症状が継続する場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。 セルフチェックのポイントとしては、痛みや腫れがあるか、押して痛みがあるかを確認しましょう。放置すると、症状が悪化し、回復に時間がかかってしまう可能性があります。 整形外科医に相談し、必要な検査を受けることをおすすめします。整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像検査を行い疲労骨折の有無を診断します。 足の甲の疲労骨折の応急処置は「アイシング・安静」 足の甲の疲労骨折が疑われる場合、以下の初期対応を行いましょう。 対応 方法 安静 無理な運動は控え、患部を休ませることが大切です。継続的な負荷は症状を悪化させる原因となります。医師の指示に従って、適切な期間の安静を取りましょう。 冷却 アイスパックを用いて患部を冷やすことで、炎症と痛みを和らげることができます。1日数回、15分から20分程度行います。アイシングは、とくに初期の痛みのコントロールに効果的です。 圧迫 弾性包帯などを使って患部を適度に圧迫すると、腫れを抑える効果が期待できます。ただし、強く締めすぎないよう注意が必要です。圧迫は、炎症による腫れを軽減し、安静を補助します。 挙上 患部を心臓よりも高い位置に上げることで、重力により腫れを軽減する効果が期待できます。座ったり横になったりする際に、クッションなどを使って足を高くすると良いでしょう。挙上は、とくに安静時の腫れの管理に役立ちます。 医師の指示にしたがって、適切な期間、前述した初期対応を行うことが、回復に向けての大切なステップです。 症状が改善されない場合は、追加の治療が必要になる場合もあります。自己判断せずに、医師とよく相談しながら治療を進めていきましょう。 足の甲の疲労骨折における2つの治療法 足の甲の疲労骨折の治療は、症状の重さによって異なります。主な治療法は以下の2つです。 保存的治療法(安静・固定) 運動療法とリハビリテーション 軽度の場合は上記の治療で改善する場合がほとんどですが、重度の場合は手術が必要になることもあります。整形外科医から、症状に合わせた適切な治療法を紹介してもらうことが大切です。 本章を参考に、足の甲の疲労骨折における治療の選択肢を理解しておきましょう。 保存的治療法(安静・固定) 多くの場合、中足骨疲労骨折は安静と固定によって治癒します。ギプスやブーツを使って足を固定し、骨の回復を促します。 固定期間は症状によって異なりますが、一般的には以下の通りです。 軽度の場合:4~8週間 中等度の場合:8~12週間 重度の場合:12週間以上 固定期間中は患部に負荷をかけないように注意しましょう。松葉杖などを使って歩行し、足に体重がかからないような心がけが大切です。医師の指示に従い、定期的な診察を受けて、回復の進捗を確認しましょう。 運動療法とリハビリテーション ギプスやブーツを外した後は、徐々に日常生活や運動に復帰していきます。ただし、いきなり骨折前と同じレベルの活動を再開するのは避けましょう。 たとえば、ランニングをしている方の場合、いきなり以前と同じ距離や強度で走りはじめるのは危険です。医師と相談しながら短い距離からはじめ、徐々に走行距離を伸ばすようにしてください。 徐々に運動量を増やしていくことには、多くのメリットがあります。たとえば、足の筋力と柔軟性が改善されて、日常生活動作がスムーズに行えるようになります。 スポーツに復帰する際も、最初は短時間の練習からはじめ、体の状態を見ながら徐々に練習時間を増やしていくことが望ましいです。 このように、活動レベルを段階的に上げていくことで、再骨折のリスクを減らせるでしょう。 また、足を長期間固定していると、筋力が低下してしまうため、リハビリテーションで、足の筋力維持と柔軟性の向上を図ります。 運動療法とリハビリテーションにより、足の甲の疲労骨折の回復が促進され、患者さんの生活の質も向上するでしょう。 足の甲の疲労骨折の予防策3選 足の甲の疲労骨折を予防・再発防止策として、以下3つの方法が挙げられます。 ランニングフォームとフットウェアの調整 強化運動と柔軟性の向上 生活習慣の見直し 足の甲の疲労骨折を未然に防ぎ、ランニングやスポーツを快適に楽しみましょう。 ランニングフォームとフットウェアの調整 足の甲の疲労骨折の予防・再発防止には、ランニングフォームやフットウェアの調整が大切です。 具体的なポイントは以下のとおりです。 調整ポイント 補足 ランニングフォーム 前足部や中足部への着地を避ける つま先や足の中央部分から着地すると、足の甲の骨(中足骨)へのストレスが増大する。 かかとから着地し、足全体で衝撃を吸収するよう意識する。 過度なプロネーションを抑える プロネーション(足の内側への倒れ込み)が強すぎると、中足骨へのストレスが増大する。 足首を安定させるためのトレーニングを取り入れる。 足首の倒れ込みを防ぐようなインソールを使用する。 フットウェア クッション性と安定性のあるシューズを選ぶ 衝撃の吸収性に優れ、足首の動きを適度にサポートするシューズを選ぶ。 着地時の衝撃を分散し、足の動きを安定させる。 オーダーメイドのインソールを検討する 足の形状や動きに合わせてカスタマイズされたインソールの使用で、足の甲への負荷を軽減する。 ランニングフォームの改善には、ランニングコーチやスポーツ医学の専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。また、足の状態に合わせたシューズ選びについては、ランニングショップの専門スタッフに相談するのも良いでしょう。 強化運動と柔軟性の向上 さらに、疲労骨折の再発を防ぐには、地面に足が着くときの衝撃を和らげるための全身的なバランス強化と偏りの調整を図ることがポイントになります。 体幹トレーニングをベースとして、足や下肢の筋力を維持・向上させることが重要です。 以下のような運動を定期的に行うことをおすすめします。 運動 効果 つま先立ち 下腿三頭筋(ふくらはぎ)の強化 タオルギャザー 足指の筋力強化 ワンレッグスクワット 大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋群の強化 アキレス腱のストレッチ 下腿三頭筋の柔軟性向上 バランス運動 足首の安定性と固有感覚の改善 これらの運動を週に2~3回、15~20分程度行うことを目安にしましょう。筋力強化と柔軟性の向上は、怪我のリスクを減らし、パフォーマンスの向上にもつながりやすいです。 自分に合ったペースで、無理なく継続的にトレーニングを行うことが大切です。必要に応じて、理学療法士やトレーナーに相談し、適切な運動プログラムを作成してもらうことをおすすめします。 生活習慣の見直し 日々の生活習慣も、足の健康に大きな影響を与えます。以下の点に注意して、足への負担を減らすことが大切です。日々の生活習慣も、足の健康に大きな影響を与えます。以下の点に注意して、足への負担を減らすことが大切です。 習慣 説明 適切な体重の維持 体重増加は足への負担を増大させ、疲労骨折のリスクを高めます。適切な体重管理が重要です。 バランスの取れた食事 骨の健康に必要なカルシウムやビタミンDを十分に摂取しましょう。乳製品、魚、野菜などを積極的に取り入れましょう。 十分な睡眠 睡眠不足は疲労を蓄積させ、怪我のリスクを高めます。1日7~8時間の睡眠を確保しましょう。 禁煙 喫煙は血流を悪化させ、骨密度の低下を招きます。禁煙は足の健康維持に欠かせません。 適度な休養 オーバートレーニングは疲労骨折のリスクを高めるため、適度な休養を取ることが大切です。疲労が蓄積しないように注意しましょう。 体重増加は足への負担を増大させ、疲労骨折のリスクを高めます。適切な体重管理が重要です。 適切な体重管理のためには、バランスの取れた食事と適度な運動が欠かせません。急激な減量や極端な食事制限は避け、自分に合ったペースで体重コントロールを行うことが重要です。また、定期的に体重や体脂肪率をチェックし、自身の体の変化を把握しておくことをおすすめします。 これらの生活習慣を見直し、改善することで、足の健康を長期的に維持しやすくなります。足の甲の疲労骨折は、ランナーにとって深刻な問題ですが、適切な治療と予防策を講じることで乗り越えられます。専門家のアドバイスを参考に、自分に合ったケア方法を見つけ、実践していくことが大切です。そうすることで、足の健康を維持し、ランニングをより長く、より快適に続けていくことができるでしょう。 まとめ|足の疲労骨折を理解し安全にランニングを続けよう 足の甲の疲労骨折は、足の甲にある中足骨にひびが入っている状況です。放置すると、手術が必要なほど症状が重くなってしまう可能性もあります。そのため、早期に足の疲労骨折に気づき、対処することが大切です。 また、足の甲の疲労骨折を繰り返さないためにフォームや生活習慣の見直しも併せて行いましょう。 足の甲の疲労骨折にお悩みの方、また疲労骨折ではないかと不安に思っている方は、当院でもメール相談やオンラインカウンセリングを行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。 ほかの部位の疲労骨折について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 MSDマニュアル家庭版,中足骨の骨折,2022−09 文献2 MSDマニュアル家庭版,足の疲労骨折,2021−12 文献3 兵庫医科大学病院,もっとよく知る!病気ガイド,Jones(ジョーンズ)骨折(第5中足骨疲労骨折) 文献4 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科,Jones骨折・第5中足骨疲労骨折 文献5 横浜市スポーツ医科学センター,リハビリ室コラム,第2~4中足骨疲労骨折のリハビリテーション 文献6 一般社団法人日本骨折治療学会,骨折の解説,第5中足骨骨折・いわゆる下駄履き骨折と疲労骨折 文献7 一般社団法人日本骨折治療学会,骨折の解説,疲労骨折, 文献8 日本臨床整形外科学会,中足骨の疲労骨折 文献9 前園恵慈,日本臨床スポーツ医学会誌,陸上競技選手の低リスク骨盤・ 下肢疲労骨折の現状と競技復帰時期の検討,第27巻第3号 文献10 日本臨床スポーツ医学会誌,骨・関節のランニング障害に対しての提言,Vol. 13 Suppl. 2005.p243-248 文献11 日本スポーツ整形外科学会,スポーツ外傷の応急処置
2024.10.07 -
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適切な治療とトレーニング調整で、ランニングを続けよう 「マラソン準備中にひざに激痛が走り、疲労骨折と診断された」「早く回復して、トレーニングに戻りたい」 このような悩みを抱えるランナーは少なくありません。ひざの疲労骨折は、ランニングを続ける上で大きな障害となります。適切な治療と予防策を理解することが、健康的なランニングライフを送るために不可欠です。 この記事では、ひざの疲労骨折の原因や症状、回復のためのリハビリテーション、そして再発防止のためのトレーニング調整について詳しく解説します。正しい知識とケアを通して、疲労骨折を乗り越え、ランニングを楽しみ続けるための参考になれば幸いです。 ひざの疲労骨折とは? 疲労骨折は、繰り返しのストレスがかかることによって、骨に微小な亀裂が生じる状態を指します。ランナーにとって、ひざは特に負担がかかる部位であり、疲労骨折のリスクが高くなりやすいです。 疲労骨折の原因と一般的な症状 疲労骨折は、ひざに繰り返し負荷がかかることで徐々に発生する骨の損傷です。主な原因は以下の通りです。 急激なトレーニング量の増加 不適切なランニングフォーム 硬い路面でのランニング 足に合わない靴の使用 骨密度の低下 これらの原因が重なると、ひざの骨に過度のストレスがかかり、疲労骨折のリスクが高まります。 疲労骨折の一般的な症状は次の通りです。 部位 説明 症状 すねの骨の上端前面にある出っ張り ジャンプの着地の際に、太ももの前の筋肉が繰り返し引っ張られることで疲労骨折が起こりやすい 出っ張りの周辺に痛みや押すと痛む症状が現れる すねの骨の上端内側 ランニングの際に繰り返しストレスがかかる 膝の内側に痛みや押すと痛む症状が現れる 太ももの骨の下端外側の出っ張り ジャンプやランニングの際に繰り返し負荷がかかる 膝の外側に痛みや押すと痛む症状が現れる ひざの皿(膝の前面の骨) ジャンプ動作の多いスポーツで繰り返し負荷がかかる 膝の前面に痛みや押すと痛む症状が現れる これらの原因が重なると、ひざの骨に過度の負担がかかって、疲労骨折が起こる場合があります。痛みが徐々に強くなって、放っておくと日常生活にも支障が出る可能性があります。 疲労骨折は、ランニングだけでなく、他のスポーツや活動でも起こり得ます。 また、テニス、バスケットボール、サッカーなど、急停止や方向転換が多いスポーツでは、ひざへの負担が大きくなるため、疲労骨折のリスクが高まります。 さらに、肥満や喫煙、ステロイド薬の長期使用なども、骨密度を低下させる要因です。 疲労骨折の発生率は、年齢や性別によっても異なります。 ランナーにおけるリスク要因 ランナーは、こんな要因でひざの疲労骨折のリスクが高くなりやすいです。 オーバートレーニング 急激な走行距離の増加 不適切なランニングフォーム 筋力や柔軟性のアンバランス 週に走る距離を急に増やしたり、坂道や階段などの負荷の高いトレーニングを行ったりすると、ひざへの負担が大きくなります。また、大腿四頭筋や下腿三頭筋などの筋力不足や柔軟性の低下も、疲労骨折のリスクを高める要因になるでしょう。 また、ランニングシューズの選択は、疲労骨折の予防において重要です。 クッション性が不足していたり、安定性が低かったりするシューズは、ひざへの負担を増大させやすいです。 また、古くなったシューズを使い続けることも、疲労骨折のリスクを高めます。ランニングシューズは、300~500kmを目安に交換しましょう。 ランニングフォームは、疲労骨折と密接に関係しています。着地の際に、ひざを深く曲げすぎると、ひざへの衝撃が大きくなります。逆に、ひざを伸ばしたままだと、衝撃を吸収できません。理想的な着地は、ひざを約150〜160度の角度でやや曲げた状態で、足裏の中央から外側で行うことです。この角度を保つことで、衝撃を適度に吸収し、膝への負担を軽減することができます。ただし、この角度はあくまでも目安であり、個人差や走行速度、路面の状態などによって変化するため、自分に合ったフォームを見つけることが大切です。 また、ストライドが大きすぎると、ひざへの負担が増えるため、小刻みなステップを心がけましょう。姿勢も重要で、上体を前傾させすぎると、ひざに余計な力がかかってしまいかねません。 診断と初期治療 疲労骨折の早期発見と適切な初期治療は、回復への第一歩です。症状を我慢せず、迅速な行動を取りましょう。 診断プロセスの詳細 ひざの疲労骨折の診断は、以下のような手順で行われる場合がほとんどです。 診断手順 内容 問診 症状の詳細や発症時期、トレーニング状況などを聞く 身体診察 ひざの圧痛や腫れ、可動域制限などをチェック 画像検査 レントゲンやMRI、骨シンチグラフィなどで骨の状態を調べる 医師は、これらの検査結果を総合的に判断して、疲労骨折の診断を行います。また、骨折の部位や重症度によって、適切な治療方針を決めます。 初期治療の選択肢とその重要性 疲労骨折と診断されたら、初期治療では安静と患部の保護が重要です。 治療方法 説明 患部の安静 痛みを悪化させないために、しばらくランニングを控える 松葉杖やサポーターの使用 患部への負荷を減らすために、医師の指示に従って使う アイシング 痛みと腫れを和らげるために、定期的に行う 鎮痛剤の使用 必要に応じて、医師の処方に従って内服する 初期治療の目的は、骨折の悪化を防いで、痛みや腫れを抑えることです。適切な初期治療を行うことで、回復までの期間を短くし、後遺症のリスクを減らすことができるでしょう。 効果的なリハビリテーション 疲労骨折の回復には、適切なリハビリテーションが欠かせません。理学療法士の指導の下、段階的にひざの機能を回復させていきます。 回復を促進するリハビリテーション技術 ひざの疲労骨折の回復を促進するリハビリテーション技術には、以下の例があります。 リハビリテーション技術 説明 関節可動域訓練 ひざの曲げ伸ばしの動きを良くする 筋力トレーニング 大腿四頭筋や下腿三頭筋などの筋力を強くする 微小電流療法 微弱な電流で骨の治癒を促す 部分荷重トレーニング 体重の一部を徐々に骨折部位にかけていく練習 これらの技術を組み合わせることで、ひざの機能回復の効果が期待できるでしょう。 またリハビリテーションの一例と注意点は以下のとおりです。 期間 注意点 急性期(骨折直後~数週間) 安静と患部の保護が中心です。痛みに応じて、患部を動かさないようにしましょう 回復期(数週間~数ヶ月) 徐々に患部の動きを取り戻していきます。関節可動域訓練や筋力トレーニングを、痛みに注意しながら始める場合があります 維持期(数ヶ月~) 個々に合わせて日常生活に必要な動きを取り戻し、徐々にランニングへの復帰を目指します 各段階で、医師と相談しながら、無理のないペースで進めることが大切です。 また、 リハビリテーション中は、痛みや違和感に注意しましょう。痛みが強い場合は、無理せず、医師や理学療法士に相談してください。 たとえ痛みが和らいでも、急激な運動量の増加は避け、徐々に負荷を上げていくことが大切です。 日常生活での調整とサポート リハビリテーションと並行して、日常生活での調整も大切です。以下のような点に注意しましょう。 ひざへの負担を減らす動作の工夫 十分な休養と睡眠の確保 バランスの取れた食事 ひざへの負担を減らすにはしゃがみ込みや正座などは避けましょう。 また、食事では特にカルシウム、ビタミンDの摂取が重要です。 カルシウムとビタミンDは、骨の健康を維持するために特に重要な栄養素です。 カルシウムは、骨の主成分の一つで、骨の強度を保つために欠かせません。一方、ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けます。 また、ビタミンDは日光に当たることで体内で合成されます。適度な日光浴も、ビタミンDの供給源として重要です。 これらの栄養素が不足すると、骨密度が低下し、疲労骨折のリスクが高まる可能性があります。 カルシウムを多く含む食品は以下のとおりです。 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど) 小魚(しらす、ししゃもなど) 大豆製品(豆腐、納豆など) 緑黄色野菜(小松菜、ほうれん草、ブロッコリーなど) ビタミンDを多く含む食品には以下のとおりです。 魚(鮭、さば、まぐろなど) きのこ類(しいたけ、まいたけなど) 卵黄 牛乳 カルシウムの1日の推奨摂取量は、成人で800~1,000mgです。ビタミンDの推奨量は、18歳以上の成人で1日あたり8.5μgとされています。 これらの栄養素は、骨の健康を維持するために重要ですが、過剰摂取はビタミンD中毒などの別の症状を引き起こす可能性があるため注意が必要です。 また、骨密度を維持するためには、バランスの取れた食事に加え、禁煙と禁酒も大切です。喫煙は、骨密度を低下させるだけでなく、骨折の治癒を遅らせる効果もあります。 同様に、飲酒も骨の健康に悪影響を及ぼします。アルコールは、カルシウムの吸収を阻害し、骨密度を低下させる可能性があります。したがって、骨折の予防と回復のためには、禁酒が推奨されます。 骨折の回復期には、家族や友人の理解とサポートも大きな力となります。周囲の人に協力を求め、サポートを受けることも大切です。 トレーニングと再発防止 ひざの疲労骨折からの回復後は、適切なトレーニング方法と再発防止策が重要です。無理のないペースで、徐々に運動量を増やしていきましょう。 適切なトレーニング方法と強度の調整 再発を防ぐためには、医師や理学療法士の指示のもと以下のようなトレーニング上の工夫が必要です。 徐々にトレーニング量を増やす 十分なウォームアップとクールダウンを行う クロストレーニングを取り入れる ひざへの負担を軽減するランニングフォームを習得する また、ランニングシューズの選択や定期的な交換も重要です。医師や理学療法士、トレーナーのアドバイスを参考に、自分に合ったシューズを選びましょう。 ランニングへの復帰ステップの一例は以下のとおりです。 ウォーキングから始める 軽いジョギングを導入 ランニング距離・ペースを徐々に増加 レース出場を検討 しかし回復する過程は、骨折の状態や年齢などによって異なるため個人差が大きいです。 医師と相談しながら自分のペースですすめましょう。 また、疲労骨折の予防策と具体例は以下のとおりです。 予防策 説明 適切なランニングシューズの選択 クッション性と安定性のバランスが取れたシューズを選ぶ ランニングフォームのチェック 着地の衝撃を減らすフォームを心がける トレーニング計画の作成 急激な距離・ペースの増加は避け、徐々に負荷を上げていく 長期的な健康維持のためのストラテジー ひざの健康を長期的に維持するためには、以下のような対策を心がけましょう。 定期的な筋力トレーニングと柔軟性の維持 適切な栄養摂取と体重管理 オーバートレーニングの回避 定期的な健康チェックと早期の異変への対応 これらを日々の生活に取り入れると、ひざの疲労骨折の再発を防ぎ、健康的なランニングライフを送ることができるでしょう。 また、疲労骨折の回復には、身体的な治療だけでなく、心のケアも重要です。 長期の休養を余儀なくされることで、ストレスやフラストレーションを感じることもあるでしょう。 家族や友人、医療従事者と話をすることで、心の負担を軽くする効果が期待できます。 また、回復期間中は、ランニング以外の趣味や興味を見つけることで、生活にメリハリをつけることもおすすめです。 まとめと今後の計画 ひざの疲労骨折は、ランナーにとって深刻な問題ですが、適切な治療と予防策によって乗り越えられるでしょう。回復のためには、段階的なリハビリテーションと日常生活での調整が不可欠です。 疲労骨折の管理と競技への復帰 ひざの疲労骨折からの回復と競技への復帰には、以下のポイントが重要です。 医師や理学療法士との連携 無理のない段階的なトレーニング計画 痛みや違和感への注意 適切な休養とリカバリー 自分のペースで着実に進んでいくことが、健康的な競技復帰への近道です。 定期的なフォローアップと自己モニタリングの重要性 疲労骨折の再発を防ぐためには、定期的な体調管理と把握が欠かせません。以下のような点に注意しましょう。 定期的な検診 痛みや違和感の早期発見 トレーニング日誌の記録 体調変化への迅速な対応 自分の体の声に耳を傾け、異変に早めに気づくことが大切です。 ひざの疲労骨折は、ランナーにとって大きな問題ですが、適切な知識とケアによって乗り越えられるでしょう。回復と再発防止のためには、医師や理学療法士との連携と自己管理が不可欠です。 ランニングを楽しみ続けるために、自分の体と向き合い、健康づくりに取り組みましょう。 参考文献一覧 MSDマニュアル家庭版,骨折の概要 日本スポーツ整形外科学会,スポーツ損傷シリーズ,疲労骨折 日本臨床整形外科学会,疲労骨折・腰痛 日本生活習慣病予防協会,骨粗鬆症 ドクターズファイル,疲労骨折 日本骨折治療学会,骨折の解説,疲労骨折 厚生労働省,アルコール MSDマニュアル家庭版,足の疲労骨折 e-ヘルスネット,喫煙によるその他の健康影響 e-ヘルスネット,カルシウム 日本人の食事摂取基準(2020 年版),②ビタミン D,p178-187 農林水産省,みんなの食育,大切な栄養素カルシウム 日本陸上競技連盟,疲労骨折予防10か条
2024.10.04 -
- ひざ関節
- 膝部、その他疾患
「ジャンパー膝とオスグッド病の違いは何?」 「スポーツを続けるために必要な方法は?」 ジャンパー膝とオスグッド病は症状がよく似ていて、見分けがつかないケースも多いのではないでしょうか。 どちらもジャンプ競技で繰り返し膝を使うことで発症しますが、痛みが出る膝の部位が異なります。 この記事では、ジャンパー膝とオスグッド病の原因と症状の違いや、それぞれの治療法について解説していきます。 ジャンパー膝とオスグッド病の一般的な見分け方や対処法についても紹介するので、ぜひ最後までお読みください。 ジャンパー膝とオスグッド病の違い【比較表】 ジャンパー膝とオスグッド病は、どちらもジャンプスポーツが原因で膝まわりの痛みが出るため似たような疾患に見えがちです。 しかし、発症する原因や影響を受ける膝の部位が異なります。それぞれの定義や原因、症状を比較表で整理しました。 項目 ジャンパー膝 オスグッド病 定義 膝蓋腱炎の炎症 脛骨粗面の剥離(はくり) 原因 ジャンプ動作や走行が多いスポーツ ジャンプ動作や走行が多いスポーツ 症状 スポーツ時の膝蓋腱の痛み・腫れ 脛骨粗面の突出、スポーツ時の脛骨粗面の痛み・腫れ 影響を受ける部位 膝蓋腱(膝蓋骨の下の靭帯) 脛骨粗面(膝蓋骨の下にある突出している骨) はじめに、それぞれの原因の違いについて説明していきます。 【関連記事】 ジャンパー膝(膝蓋腱炎)とは?症状チェックと効果的なストレッチ・テーピング技術 オスグッド・シュラッター病|成長期の少年の膝に発症するスポーツ障害 ジャンパー膝とオスグッド病の原因の違い ジャンパー膝とオスグッド病は、いずれも膝への負荷が強いスポーツで起きやすい点が共通しています。 しかし、主に痛む場所は成長期特有の影響があるかどうかなど、発症の仕組みには違いがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。 ジャンパー膝の原因 ジャンパー膝(膝蓋腱炎)は膝蓋骨(膝のお皿の部分)のすぐ下にある膝蓋腱にストレスがかかり、炎症が起こる疾患です。 バレーボールやバスケットボール、サッカーなどのスポーツで多くみられ、繰り返し行うジャンプ動作が主な原因です。 ジャンプスポーツによる膝の使いすぎ(オーバーユース)が続くと、膝蓋腱に過度なストレスがかかり、組織に小さな損傷や炎症が起こって慢性的な痛みを発症させます。 オスグッド病の原因 オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)は小学校高学年から中学生の成長期に、脛骨粗面(膝蓋骨の下にあるわずかに突出している骨の部分)の軟骨が剥がれる疾患です。 原因はジャンパー膝と同じで、ジャンプや走行、ボールを蹴る動作などで膝を頻回に使うことで生じます。 この時期は軟骨から骨に成長する時期なので、膝を伸ばす動作の繰り返しで脛骨粗面の軟骨が剥がれることにより痛みが増します。 ジャンパー膝とオスグッド病の症状の違い ジャンパー膝とオスグッド病に見られる主な症状は、どちらもスポーツ中の膝まわりの痛みです。それぞれ詳しく見ていきましょう。 ジャンパー膝の症状 ジャンパー膝に見られる典型的な症状は、ジャンプや走る動作、階段の昇り降りのときに見られる膝蓋腱の痛みです。 膝蓋腱の痛みは程度により軽症と中等症、重症に分類されます。 重症度 痛みの程度 軽症 スポーツの後や歩いた後に痛む 中等症 活動開始期と終わった後に痛む 重症 活動中や後の痛みで続行困難 重症化して膝蓋腱に断裂がある場合は、手術が必要になる可能性もあります。 軽症や中等度のうちは専門家と相談した上でスポーツの継続が可能ですが、症状を悪化させないためにも、毎日ケアを続けることが大切です。 オスグッド病の症状 オスグッド病に見られる症状は、脛骨粗面の痛みや腫れ、突出です。 痛みはスポーツ中に見られ、休んでいるときに軽快する点がジャンパー膝とよく似ています。 症状は脛骨粗面以外の部位には見られません。症状が悪化すると、剥がれた骨片を取り出す手術が必要になる可能性もあります。 ジャンパー膝とオスグッド病の発症部位の違い ジャンパー膝とオスグッド病の発症部位はそれぞれ膝蓋腱と脛骨粗面です。どちらの疾患も、膝の曲げ伸ばしによる大腿四頭筋の作用が影響して発症します。 以下に詳しく解説していきます。 ジャンパー膝の発症部位 ジャンパー膝で影響を受ける膝の部位は、大腿四頭筋(太もも前面の筋肉)につながる膝蓋腱です。膝蓋腱は大腿四頭筋の伸び縮みに伴って脛骨(すねの骨)や膝蓋骨の動きをコントロールし、膝の曲げ伸ばしを可能としています。 スポーツをしている時のジャンプやダッシュ、ストップ、ターンなどの動作は、急激な膝の曲げ伸ばしを繰り返し行っているため、膝蓋腱の負担も大きいのです。 この状態が続くと膝蓋腱に過度なストレスがかかり、組織に小さな損傷や炎症が起こって慢性的な痛みを発症させます。 オスグッド病の発症部位 オスグッド病で影響を受ける膝の部位は、大腿四頭筋の下端が付着する脛骨粗面です。膝の曲げ伸ばしを繰り返すと、大腿四頭筋の伸び縮みによって脛骨粗面に刺激が加わります。 小学生から中学生にかけて骨が成長している時期は、この刺激により脛骨粗面の軟骨が急激に剥がれやすくなるのです。 軟骨が剥がれると、脛骨粗面まわりに炎症が起き、痛みや腫れを発症させます。 ジャンパー膝とオスグッド病の診断方法と治療方法の違い ジャンパー膝やオスグッド病が疑われる場合は、整形外科で問診や触診、画像診断などの診断と鎮痛薬や外用薬の投与による治療を行います。 それぞれ詳しく見ていきましょう。 ジャンパー膝の診断方法と治療方法 ジャンパー膝の診断では問診や触診、MRI、超音波検査などを行います。膝蓋腱をゆびで圧迫した時に痛みが強まることや、MRIや超音波による画像診断で筋肉や腱の変性が確認できることで確定診断となります。 ジャンパー膝の治療は、患部の安静や練習量を減らすこと、炎症を抑えるための鎮痛剤や外用薬を使用することです。膝蓋腱に負担のかかるジャンプやダッシュの練習を減らすだけでも、症状の改善に効果があります。 また、医薬品は市販ではなく医師に処方されたものを使用しましょう。症状によってはステロイド注射を行うこともあります。 オスグッド病の診断方法と治療方法 オスグッド病の診断は問診や触診、レントゲン検査で可能です。問診で実際の話を聞きながら、痛みが出るときの状況や、痛みが出る部位を確認します。 脛骨粗面の状態を触診やレントゲン検査で確認し、痛みや腫れ、突出、軟骨の剥離が認められると確定診断になります。 オスグッド病の症状を治すためには、スポーツを控えて安静にすることが大切です。軟骨から骨に成長する3〜6カ月間は痛みが出やすい時期なので、負担をかけないようにできるだけ休息をとりましょう。 痛みが強いようなら、医師から処方された飲み薬やぬり薬などを使用することもあります。 なお、膝の痛みの治療には「再生医療」の選択肢が挙げられます。再生医療は、損傷を起こしている骨や細胞に幹細胞を投与する治療法です。 再生医療について詳しく知りたいという方は、メール相談、オンラインカウンセリングも承っておりますので、ぜひご活用ください。 ジャンパー膝とオスグッド病の予防策の違い ジャンパー膝やオスグッド病の予防策には、アイシングや大腿四頭筋のストレッチ、膝蓋腱バンドの装着などがあります。 痛みの症状に悩んでいる方は、専門医と相談しながらこれらの方法を行うようにしましょう。詳しく解説していきます。 ジャンパー膝の予防策 ジャンパー膝の予防には、大腿四頭筋のストレッチや筋力トレーニングが大切です。症状を管理しながらスポーツを続けていく場合は、スポーツ直後のアイシングや、スポーツ中の膝蓋腱バンドの装着も必要になります。 過去の論文ではジャンパー膝の予防策に、傾斜台上での片脚立ちスクワットが効果的であると報告されています。(文献1) ジャンパー膝の予防に重要な、片脚立ちスクワットや大腿四頭筋のストレッチの方法について見ていきましょう。 【片脚立ちスクワット】 ①25度程度の傾斜台を準備し、降りの方向に顔を向けて立つ (※傾斜台がなければ、スロープやタオルを使用して、立った姿勢で踵の位置が上がるように工夫する) ②片脚立ちになり、股関節と膝関節を曲げながらお尻を床に近づける。膝の位置が足の位置より前方に出ないように注意する ③股関節と膝関節を伸ばして片脚立ちの姿勢に戻る。10回連続で行い、1日3セットほど行う。きつく感じるようであれば、必要に応じて手すりを持ちながら行う 【大腿四頭筋のストレッチ(膝を曲げると痛む場合の方法)】 ①ストレッチをする側の膝を床につき、ストレッチをしない側の膝を立てて片膝立ちの姿勢になる ②上半身を起こしながら身体を前方に移動させ、太もも前面の筋肉を伸ばす ③20秒〜30秒ほど時間をかけて動きを行い、10秒ほど休んだ後にもう一度行う ※スポーツをした後は必ず行う 【大腿四頭筋のストレッチ(膝を曲げても痛みがでない場合の方法)】 ①床に両膝を伸ばして座った後、ストレッチをする側の膝を曲げて踵をお尻に近づける ②両手を床について身体を支えながら、上半身を後ろに倒して太もも前面の筋肉を伸ばす ③20秒〜30秒ほど時間をかけて動きを行い、10秒ほど休んだ後にもう一度行う ※スポーツをした後は必ず行う オスグッド病の予防策 オスグッド病の予防策と管理方法は、アイシングや大腿四頭筋のストレッチ、ベルトの装着です。 オスグッド病は痛みが出なければスポーツが可能ですが、症状を悪化させないためにこれらを継続して行うことが大切です。 【アイシング】 練習直後にアイシングを15〜30分ほど行いましょう。激しい運動の後は脛骨粗面のまわりにより炎症が起こりやすく、熱感や腫れが強まります。 できるだけ早く患部を冷やし、炎症を抑えることで症状の悪化を防げるわけです。氷を入れた袋を患部に持続的に当てるか、弾性包帯で巻きつけて固定すると効果的です。 【バンドを装着する】 ジャンパー膝やオスグッド病の治療として、膝蓋腱の走行に横断して取り付けるバンド(サポーター)の装着が効果的です。 バンドによる膝蓋腱の圧迫は、腱の走行を変化させて負担を減らせることが明らかになっています。 スポーツ中の膝蓋腱や脛骨粗面に対する過剰なストレスが減り、痛みの緩和が期待できます。 まとめ|ジャンパー膝とオスグッド病の違いを把握して判断に役立てよう ジャンパー膝とオスグッド病は、どちらもジャンプ競技で膝を伸ばす動作を繰り返すことで起こる症状です。 似ている疾患ですが、以下のように発症部位や診断方法、治療方法などに違いがあります。 疾患 発症部位 診断方法 治療方法 ジャンパー膝 膝蓋腱(膝蓋骨の下の靭帯) 問診 触診 MRI 超音波検査 安静 練習量を減らす 鎮痛剤 外用薬(湿布など) オスグッド病 脛骨粗面(膝蓋骨の下にある突出している骨) 問診 触診 レントゲン検査 安静 内服薬 外用薬 どちらの症状でも違和感を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。スポーツを継続するためには、早期発見・早期治療が大切です。 また、身体的な負担が少ない治療法として、再生医療も選択肢の1つです。 再生医療では、入院を必要としません。患者様自身から採取した脂肪や血液に加工を施し、患部に注射・点滴を行います。 再生医療について詳しくは、当院リペアセルクリニックにお気軽にお問い合わせください。 ジャンパー膝とオスグッド病の違いに関するよくある質問 ジャンパー膝とオスグッド病はどれくらいで治りますか? ジャンパー膝の回復期間は、痛みの度合いや腱へのダメージ具合で異なります。 軽症なら1〜2カ月ほどで落ち着く例がある一方、炎症が強まると2〜3カ月を要するケースも珍しくありません。 オスグッド病は骨の成長段階が関連し、半年で改善する例から2年ほどかかる例まで幅広い経過を示します。成長期特有の個人差も影響し、同じような症状でも回復期間にばらつきが見られる点が特徴です。 いずれの場合も痛みが続くときは無理をせず、医師の指示に従いリハビリを続けてください。 ジャンパー膝とオスグッド病でやってはいけないことを教えてください ジャンパー膝でやってはいけないことは、以下の通りです。 痛みを我慢しての練習や試合の継続 膝への負担が大きいジャンプ動作の繰り返し 適切な休息を取らずに連日のトレーニング また、オスグッド病では以下の行為はやってはいけません。 成長期の過度な筋トレや運動の継続 素人判断での自己流マッサージや処置 どちらの症状も初期段階では適切な休息と負荷軽減で回復可能ですが、無視して運動を続けると骨の変形や痛みの慢性化を招くリスクがあります。 違和感や痛みを感じたら、すぐに運動強度を調整し、症状が続く場合は早めに専門医を受診しましょう。 参考文献 (文献1) Visnes, H., Hoksrud, A., Cook, J., & Bahr, R. British Journal of Sports Medicine 39巻 11号 pp847~850 2005年 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16244196/(最終アクセス:2025年4月19日)
2024.10.02 -
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化膿性関節炎の術後は、関節を切除している場合、関節が不安定になってしまいます。 日常生活に戻るためには、適切なリハビリが重要です。 「早く復帰したい」と考え、無理なリハビリをおこなってしまうと、感染症や炎症の悪化につながる可能性があります。そこで本記事では、化膿性関節炎のリハビリやリスク、日常生活での注意点を解説します。 また、ハイキングやランニングでおすすめの筋トレも紹介しているため、ぜひご覧ください。 【基礎知識】化膿性関節炎の概要 化膿性関節炎は、関節内に細菌が侵入して化膿する疾患です。 まずは化膿性関節炎が発症する原因と具体的な症状について紹介していきます。 化膿性関節炎が発症する原因 化膿性関節炎は、主に細菌が関節内に侵入することによって発症します。 細菌は肺炎、尿路感染、手術後の感染、関節内注射などを通じて関節に到達することがあります。とくに、股関節・膝関節・足関節など、下肢に発症しやすい傾向にあります。 また、免疫力が低下している人や、肥満・糖尿病などがある人も化膿性関節炎を発症する可能性があります。 以下の記事では膝関節が腫れた人向けに、痛みの原因や対処法を解説しているので、ぜひご覧ください。 化膿性関節炎の症状 化膿性関節炎の主な症状は、関節の痛み・発赤・腫脹・熱感などがあり、進行すると関節や骨の破壊、発熱などの症状が現れます。 「関節炎」は、炎症を伴う関節の痛みや腫れを特徴とする病気の総称で、化膿性関節炎はその中でもとくに急性で重篤な症状を示します。 化膿性関節炎を放置すると、関節の破壊や機能障害を引き起こす可能性があるので注意してください。 他にも大腿部や膝、肩の関節に多く発生し、患部の運動が制限されるケースが大半です。 迅速な治療が求められるため、疑わしい症状が現れた場合は、速やかに医療機関での受診をおすすめします。 治療は主に、抗生物質の投与と、場合によっては関節内の膿を排出する外科的処置が行われます。また、治療後のリハビリテーションも重要で、関節の機能回復を目指した適切なケアが必要です。 化膿性関節炎を予防するためには、日常生活での感染予防や、免疫力の向上が大切です。 化膿性関節炎の治療法と術後のケア 化膿性関節炎の治療法は、感染の原因となる細菌を特定するために関節液の採取と培養がおこなわれた上で、適切な抗生物質が投与されます。 また、感染によって関節に溜まった膿を除去するために、関節の洗浄が必要となるケースもあります。 治療後は、関節の可動域を回復させるためのリハビリが重要です。 リハビリを通じて、痛みの管理や筋力の回復を図り、日常生活における関節の負荷を軽減できるかが求められます。 化膿性関節炎は、早期に適切な治療を受けると、予後が良好になる可能性が高く、症状が疑われる場合には早急な対応が必要です。 以下の記事では、より具体的に治療法を解説しているので、あわせてご覧ください。 化膿性関節炎のリハビリ内容 化膿性関節炎のリハビリは、痛みや炎症の管理・可動域訓練・筋力増強訓練の3つを軸におこないます。 とくに、痛みや炎症を悪化させないのが大切になるため、順番に解説していきます。 痛みや炎症の管理 化膿性関節炎のリハビリにおいて、炎症の管理が非常に重要です。 炎症が関節の痛みや腫れを引き起こして可動域を制限するため、リハビリ初期では炎症を抑えることに重点を置きます。 具体的なリハビリ内容は、冷却療法を用いた方法が一般的です。 氷や冷却パックを患部に当てる方法で、一時的に痛みを和らげる効果が期待できます。 可動域訓練 化膿性関節炎で手術による関節内洗浄と骨の一部を切除した場合などは、可動域訓練が重要です。 骨の切除により関節は少なからず不安定になっており、関節固定術を実施した人は関節可動域が制限されやすいためです。 リラクゼーションも併用し、組織の柔軟性を高める必要があります。 近年では、切開範囲の小さい手術が多いものの、術創部付近はとくに硬くなりやすいため、入念に可動域訓練やリラクゼーションをおこないましょう。 筋力増強訓練 化膿性関節炎の術後では、筋力増強訓練も大切です。 手術後で固定期間が長くなるほど筋力は低下します。 とくに、下肢の筋肉は日常生活で欠かせないため、筋力を回復させることが重要です。 術後すぐは、可能な範囲で等尺性筋力増強訓練を実施します。炎症が落ち着いて関節が動くようになれば、自動運動・抵抗運動などを進めていきます。 リハビリの期間と予後 化膿性関節炎でおこなうリハビリの期間は、どのような治療をしたかによって異なります。 数週間から数カ月と、リハビリ期間の幅が広いのは、抗生物質の投与のみで治療が完了する患者様もいるからです。 一方で、関節や骨の破壊まで進行しており、切除した場合は、より時間がかかります。 参考として以下に、リハビリの期間や流れ、予後をまとめました。 リハビリ期間 リハビリの内容 術後翌日~1週間 関節周囲組織のリラクゼーションにより組織の柔軟性を高める 他動的な関節可動域訓練により拘縮の予防 等尺性筋力訓練により関節に負担をかけずに筋力強化 術後1~2週間 自動運動で関節の動きに伴う筋収縮の練習 荷重訓練により感覚入力を促して動作につなげる 術後2週以降 日常生活動作を練習し、元の生活になれる 応用動作練習で、バランスも取り入れた難易度が高いリハビリを行う ※炎症状態や年齢などの要因がかかわるため、リハビリの内容や期間は異なる場合があります。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、気軽にご連絡ください。 日常生活での注意点 化膿性関節炎のリハビリをする際、日常生活での注意点は、関節に負荷をかけないことが重要です。 ここからは、化膿性関節炎のリハビリを順調に進められるよう、注意点について詳しく解説していきます。 関節への負荷を減らす 化膿性関節炎になった人は、日常生活上での動作を工夫すると、関節への負荷を減らせます。 たとえば、立ったまま家事し続けるのではなく、合間に座って足を休めるのがおすすめです。 また、重量物を持ち上げるときに身体の近くで持ち上げると、各関節への負担を減らせます。動作にプラスして、サポーターを着用すると関節への負荷が軽減します。 サポーターは、関節周囲を圧迫して感覚入力を促し、関節を安定させる機能があるため効果的です。 ストレッチや筋トレをする ストレッチや筋トレをすると、負荷を分散しやすくなるため、関節を保護や再発予防ができます。 ストレッチをすることで、筋肉や股関節の柔軟性が増し、負荷が分散しやすくなります。また、筋力が少ないと関節が不安定になりやすいため、負荷も増加しやすくなるでしょう。 筋トレをおこなう際は、正しいフォームと適切な重量設定が重要です。無理をせず、医師や理学療法士の指導のもとでおこないましょう。 初期段階では、軽めの重りや自重を使ったエクササイズから始め、徐々に負荷を増やしていくのが理想的です。 活動性が高い趣味を楽しむための工夫 化膿性関節炎の術後でもハイキングやランニング、スポーツなど、活動性が高い趣味を再びやりたい人は多いでしょう。 ハイキングとランニングを例に、実施しておきたい筋トレを紹介します。 ハイキングでおすすめの筋トレ ハイキングでは、不整地を歩くためのバランス訓練、長距離を歩くための持久力訓練が大切です。 とくに、不整地で歩くのは足首によるコントロールが必要なため、柔らかいマット上で片脚立位を保持する練習が効果的です。 通常の地面よりバランスの難易度が高く、足首の協調性に向いています。 また、持久力訓練としてはハイキングに行くまでに実際に歩きたい距離を無理なく歩けるようにしておきましょう。 歩道で同じ距離を歩けないと、不整地に行ったときに疲れやすくて怪我のリスクも高まります。 ランニングでおすすめの筋トレ ランニングでは、関節に負荷がかからない筋トレがおすすめです。 そもそもランニングは、下肢への強い負荷が繰り返しかかります。 活動性の高いランニングを楽しむためには、立ち座りの動作をゆっくりおこなう訓練を取り入れましょう。ゆっくりおこなうと、股関節・膝関節・足関節周囲の筋肉を協調的にコントロール可能です。 リハビリでも改善しない化膿性関節炎はお気軽にご相談ください 化膿性関節炎は細菌が原因になるため、抗生物質の投与・関節内洗浄などの治療が重要です。 一方で、再び日常生活に戻り趣味を楽しむためには、適切なリハビリが必要になります。 リハビリでは、術後すぐは関節が固まらないようにリラクゼーション・関節可動域訓練を実施したのちに、徐々に筋力訓練を開始します。 また、日常生活レベルに戻れたとしても、退院後の定期的な筋トレも重要です。 ハイキングやランニングのような、活動性の高い趣味がなかったとしても、日常生活で不便に感じないよう、効果的なリハビリを実施しましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、お気軽にご相談ください。 化膿性関節炎のリハビリに関連したよくある質問 そもそも化膿性関節炎は何科で受診してもらうべきなの? 化膿性関節炎の受診は、多くの場合で整形外科での受診が推奨されています。 整形外科は骨や関節に関する疾患を専門とするため、化膿性関節炎の症状や進行状況を的確に評価し、必要な治療を提供できます。 また、化膿性関節炎が疑われる場合、迅速な診断と治療が重要であるため、初期症状を感じたら早急に医療機関で受診してもらうのをおすすめします。 化膿性関節炎は放置すると、関節の機能に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、早期の医療介入が鍵となります。 どの診療科を選ぶかは、症状や状態に応じて柔軟に考えるのが重要ですが、整形外科を起点にするのが一般的です。 リハビリをする上での注意点は? 化膿性関節炎のリハビリをする上で注意しておきたいポイントは、再感染と炎症の悪化です。 術後すぐに術創部に菌が入ると、再感染や別の感染症を引き起こす可能性があるため、触れないように注意しましょう。 また、早期から関節を動かしすぎると炎症につながるケースもあり、過度なリハビリは避けましょう。 その他、関節破壊が進んでおり、関節の手術をおこなった場合、荷重開始時期を慎重に決める必要があります。 以下の記事では、治療を早めるべき理由について深掘りしているので、あわせてご覧ください。
2024.09.30 -
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- 膝部、その他疾患
関節の痛みや腫れ、発熱などの症状があり、日常生活に支障をきたしていませんか? これらの症状は、細菌が関節に侵入して発症する「化膿性関節炎」が原因かもしれません。 放置すると、関節の機能障害や敗血症などの重篤な合併症を引き起こす可能性がありますが、早期治療によって改善に期待ができます。 この記事では、化膿性関節炎の原因や症状、治療法と予防法まで詳しく解説します。 化膿性関節炎は早期発見・早期治療が重要となるため、ぜひ参考にしてください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、膝の痛みの新たな治療法として、関節の幹細胞治療を行っています。膝の痛みや腫れの症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 化膿性関節炎とは「細菌が侵入して起こる感染症」 化膿性関節炎は、細菌が関節に侵入して炎症を起こす病気です。 主な原因として、黄色ブドウ球菌をはじめとした細菌感染が挙げられます。また、免疫力が低い高齢者や持病がある方も、感染リスクが高い傾向があります。 早期に治療を始めないと、関節の機能障害や後遺症を招く場合もあるため、感染経路や予防策を知ることが大切です。 本章では、それぞれの要因について詳しく解説していきますので参考にしてください。 主な原因菌は黄色ブドウ球菌 化膿性関節炎の原因として多いのが「黄色ブドウ球菌」と呼ばれる細菌の感染です。 普段は皮膚や鼻の中に存在する細菌ですが、免疫力が低下すると体内に侵入して感染を引き起こします。 近年では抗生物質が効きにくい薬剤耐性菌による感染も増加傾向にあり、治療が困難になるケースも出てきました。 化膿性関節炎に感染すると、関節の痛み・腫れ・発熱などの症状が現れるため、早急な治療が必要となります。(文献1) 皮膚の傷や注射・手術部位から発症 化膿性関節炎は、皮膚の傷や医療処置による傷口から細菌が侵入して発症するケースもあります。 とくに手術後や注射部位は感染リスクが高まりやすい状態です。 また、体の別の部分で起きた感染症から血液を通じて関節に細菌が運ばれることもあります。 感染を防ぐためには、傷口を清潔に保つなど適切な消毒が欠かせません。些細な傷でも丁寧なケアを心がけましょう。 高齢者や持病がある方は感染リスクが高い 高齢者や糖尿病などの基礎疾患がある方は、免疫力が低下していることが多く、化膿性関節炎のリスクが高まります。 たとえば、関節リウマチなどで免疫抑制剤を使用している方や、人工関節を入れている方は注意が必要です。 高齢者や持病がある方は、日頃からの体調管理や手洗い・うがいの徹底、定期的な健康チェックを意識しましょう。 関節痛はもちろん、体調の変化を感じたら早めに医療機関を受診してください。 化膿性関節炎の主な3つの症状 化膿性関節炎の主な症状には以下の3つが挙げられます。 関節の激しい痛みと腫れ 38度以上の発熱と全身のだるさ 関節を動かすと痛みが強くなる 放置すると悪化して関節に後遺症が出る場合があるため、症状を早期に把握し適切な治療を受けることが重要です。 化膿性関節炎の代表的な症状についてそれぞれ詳しく解説します。 関節の激しい痛みと腫れ 化膿性関節炎の最も特徴的な症状は、関節の激しい痛みと腫れです。 通常、膝や足首などの大きな関節に現れやすく、腫れた部分を触ると熱を持っているケースが大半です。 また、片方の関節に集中して現れるのも特徴的で、痛みが夜間に悪化する場合もあります。 化膿性関節炎の早期発見のためにも、これらの症状に気づいたら医師に相談してください。 38度以上の発熱と全身のだるさ 化膿性関節炎は関節症状と同時に、38度以上の高熱がでるのも特徴です。 感染により体内で炎症が起きているため、発熱と共に全身のだるさも感じるようになります。食欲不振や吐き気を伴うこともあるでしょう。 高熱が続く場合は重症化のサインかもしれませんので、すぐに医療機関を受診しましょう。 関節を動かすと痛みが強くなる 関節を動かすと痛みが増すのも、化膿性関節炎の特徴的な症状です。 歩行や階段の上り下りなど、日常生活の動作で痛みが悪化します。 また、痛みによって関節の可動域が制限され、思うように動かせなくなることもあります。 我慢して動かし続けると症状が悪化する恐れがあるため、痛みが強い場合は安静にして医師の診察を受けましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では関節痛の新たな治療法として、再生医療を提供しています。 辛い症状にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 化膿性関節炎における3つの診断方法 化膿性関節炎の診断には、以下のようにいくつかの検査が必要です。 検査方法 目的 関節液の検査 細菌感染の有無を確認する 血液検査 CRPと白血球を調べる レントゲン、MRI 関節の状態を確認する また、関節液の検査や血液検査、画像検査など、複数の検査を組み合わせることで正確な診断が可能になります。 ここからは、それぞれの診断方法について詳しく紹介いたします。 関節液の検査で細菌を確認 関節液の検査は、化膿性関節炎を診断する上で重要な検査方法です。 細い針を使って腫れている関節から液体を採取し、顕微鏡で細菌の有無を調べます。 検査では細菌の種類も特定できるため、適切な抗生物質の選択にも役立つのがメリットです。 ただし、痛みを伴うこともあるため、局所麻酔を使用するケースもあります。 しかし、正確な診断のために必要不可欠な検査なので、医師の指示があった場合は受けるようにしましょう。(文献2) 血液検査でCRPと白血球を調べる 血液検査では、炎症の程度を示す「CRP」や、体内で細菌やウイルスと戦う「白血球」の値を確認します。 化膿性関節炎では、これらの値が通常よりも大幅に上昇するのが特徴です。 正常時の値や数値の解釈については以下の表でまとめています。 正常値 単位 数値の解釈 白血球 3.3~8.6 10³/μL 白血球は細菌やウイルスから感染を防ぐ役割があり、感染症やストレスで増加します。 赤沈(赤血球沈降速度) 男性:2~10 女性:3~15 mm/1h 血液内で赤血球が沈む早さを調べます。 炎症によりフィブリノゲンやグロブリンが増加すると赤血球沈降速度が早くなります。 CRP(C反応性蛋白) 0.14以下 mg/dL 炎症や感染、組織損傷により血液中に増えるタンパク質量のことです。 また、血液培養検査では血液中に細菌が侵入しているかどうかの確認もできます。 そのため、血液検査は化膿性関節炎の診断だけでなく、重症度を判断するためにも役立つといえるでしょう。 レントゲンとMRIで関節の状態を確認 レントゲンやMRIなどの画像検査では、関節の状態を詳しく調べることは可能です。 レントゲンは骨の異常や関節の破壊状態を確認するため、MRIは軟部組織の炎症や膿の貯留状態を詳細に把握するために実施します。 診断だけでなく、治療経過の確認にも重要な役割を果たしており、定期的に撮影して状態の変化を観察していきます。 画像検査の詳細や必要性については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしていただけると幸いです。 化膿性関節炎の3つの治療法 化膿性関節炎の代表的な治療法は以下の3つです。 抗生物質の投与 手術による関節内の膿の洗浄 リハビリテーション 症状や重症度に応じて、これらを組み合わせた治療を行い良好な回復が期待できます。 本章では、それぞれの治療法を詳しく解説しますので事前に理解しておきましょう。 抗生物質の投与 化膿性関節炎の治療では、抗生物質により原因菌を殺菌し、炎症を抑えます。 通常は2〜3週間ほど点滴で投与されますが、症状が改善すれば内服薬に切り替えることもあります。 ただし、効果が見られない場合や症状が重い場合は追加の治療が必要です。 手術で関節内の膿を洗浄 関節内に膿が溜まっている場合は、手術による洗浄が必要です。 化膿性関節炎の手術では、局所麻酔や全身麻酔で行われ、関節内の膿を除去して炎症を抑える効果に期待できます。 手術後には抗生物質の投与を継続し、安静にして関節の回復を促します。 リハビリテーション 治療の最終段階として、関節の可動域を広げ、筋力を回復させるためにリハビリテーションを行います。 理学療法士の指導のもと、初期は軽い運動からはじめ、徐々に負荷を増やすメニューに切り替えていきます。 焦らず段階的にリハビリを続けていけば、より確実な回復が期待できるでしょう。 また、化膿性関節炎のリハビリテーションについては、以下の記事でも紹介しています。詳しく知りたい方は併せてご覧ください。 化膿性関節炎が治るまでの期間や早期発見の重要性 症状の重さや治療の開始時期によって差はありますが、化膿性関節炎が治るまでの期間は基本的に6週間程度です。 早期発見と適切な治療で回復につながりますが、放置すると骨の破壊や敗血症などの深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。 本章では、化膿性関節炎の治療期間や早期発見の重要性について解説します。 基本的な治療期間は6週間程度 化膿性関節炎の標準的な治療期間は約6週間です。 抗生物質による治療から始まり、症状の改善に合わせてリハビリテーションを進めていきます。 ただし、症状の程度や個人の体力によって治療期間は変動するのが一般的です。 完全な回復には個人差がありますが、医師の指示を守り焦らずに治療を続けていきましょう。(文献3) 骨が破壊され後遺症が出るケースがある 化膿性関節炎を放置すると、細菌の感染により関節の軟骨や骨が徐々に破壊されていきます。 いちど破壊された骨や軟骨は完全な回復が難しく、関節の変形や動きの制限など後遺症として残る可能性があります。 痛みや腫れを感じたら、我慢せずに速やかに医療機関を受診しましょう。 敗血症を引き起こすリスクもあり 化膿性関節炎の危険な合併症の1つが敗血症です。 関節内の細菌が血液中に入り込み、全身に広がることで生命の危険も伴う深刻な状態に陥る可能性があります。 敗血症は、高齢者や免疫力が低下している方はとくにリスクが高く、発熱や関節の痛みが続く場合は要注意です。 早期発見・早期治療が予後を大きく左右するため、疑わしい症状があれば迷わず医師に相談してください。 また、当院「リペアセルクリニック」では関節痛の新たな治療法として、再生医療を提供しています。 関節の痛みや炎症といった症状にお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 化膿性関節炎を防ぐ4つの予防対策 化膿性関節炎を予防するためには、日頃からの適切なケアが重要です。 主に以下の4つを予防対策として意識してみましょう。 傷口は清潔に保つ 免疫力を高める生活を心がける 関節に負担をかけ過ぎない 日常的にストレッチを実施する 効果的な予防対策についてそれぞれ解説します。 傷口は清潔に保つ 傷口から細菌が侵入すると化膿性関節炎を発症するリスクが高まります。 そのため、傷を負った場合はすぐに流水で洗い流し、消毒液で適切な処置を行ってください。 とくに手術後や注射の跡は感染リスクが高いため、医師の指示に従って丁寧なケアが必要です。 また、包帯を使用する場合は定期的に取り替えて清潔に保ちましょう。 免疫力を高める生活を心がける 免疫力が低下すると、細菌感染のリスクが高まります。 そのため、バランスの良い食事と十分な睡眠を心がけ、適度な運動で体力の維持に努めてください。 ストレス解消も大切ですので、趣味や休養を適度に取り入れて生活リズムを整えていきましょう。 関節に負担をかけ過ぎない 過度な運動や無理な姿勢は、関節に余計な負担をかけてしまいます。 そのため、高齢者や関節に持病がある方は、無理のない範囲で活動する意識が大切です。 長時間同じ姿勢を続けることも避け、適度に休憩を取りながら活動してください。 また、過度な体重は関節への負担となりますので、適正体重の維持を心がけましょう。 日常的にストレッチを実施する 適度なストレッチは関節の柔軟性を保ち、血行を促進する効果があります。 朝晩の簡単なストレッチで、関節周辺の筋肉をほぐすことをお勧めします。 ただし、痛みを感じるような無理なストレッチは逆効果ですので、自分の体力に合わせて、ゆっくりと丁寧に行ってください。 ストレッチの継続によって、徐々に関節の可動域が広がり体調も整っていくでしょう。 まとめ|化膿性関節炎は早期発見が重要なので早めの受診を検討しよう 化膿性関節炎は、細菌感染によって引き起こされる病気で、関節の痛みや腫れ、発熱などの症状が現れます。 治療が遅れると、関節の機能に影響を及ぼす可能性があるため、早期発見・早期治療が重要です。 日頃から傷口を清潔に保ち、免疫力を高める生活を心がけ、関節に負担をかけすぎないように注意しましょう。 本記事を参考に、気になる症状があれば早めに医療機関を受診してください。 また、リペアセルクリニックでは、膝の痛みに対する新たな選択肢として関節の幹細胞治療を提供しています。 膝関節の違和感にお悩みの方は「メール相談」や「オンラインカウンセリング」にて当院へご相談ください。 化膿性関節炎に関するQ&A 化膿性関節炎は何科を受診すれば良いですか? 化膿性関節炎の治療は、整形外科の受診が適切です。 ただし、夜間や休日に急な症状が出た場合は、まず救急外来を受診しましょう。 また、原因となる感染症によっては内科医とも連携して治療を進めていきます。 かかりつけ医がいる場合は、担当医に相談して適切な医療機関を紹介してもらうのも良い方法です。 化膿性関節炎の入院期間はどのくらいですか? 化膿性関節炎の入院期間は通常2〜4週間程度ですが、症状の程度や治療経過によって変動します。 最初の1週間程度は抗生物質の点滴治療が中心で、症状が落ち着いてきたら徐々にリハビリを開始していきます。 退院後も通院での治療やリハビリが必要となりますが、仕事や日常生活への復帰時期は担当医と相談しながら決めていきましょう。 また、化膿性関節炎でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて当院へご相談ください。 参考文献一覧 文献1 外務省 海外安全ホームページ_薬剤耐性(AMR)について 文献2 日本医事新報社_化膿性関節炎[私の治療] 文献3 J-Stage_化膿性関節炎の治療経験(第1報― 膝関節)
2024.09.27