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- 幹細胞治療
- 頭部、その他疾患
- 股関節、その他疾患
- 脊椎、その他疾患
減圧症の原因と6つの予防ポイント!わかりやすく解説 減圧症は、急激な高気圧から低気圧への移動時に生じる症状の総称です。減圧症は、潜水や高地登山など、急激な気圧の変化が起こる状況で発症することがあります。 この記事では、減圧症対策として、その原因や予防するためのポイントを6つに分け、わかりやすく解説します。 減圧症の原因 減圧症のメカニズムとしては、身体の周囲の気圧が急激に低下することで、体内の血液や組織に溶け込んでいる窒素ガスが血液や皮膚・筋肉・臓器などの組織の中で気泡を作り、血流障害や組織の破壊を引き起こすというものになります。 潜水における減圧症 潜水中に吸い込んだ空気中の窒素は血液や組織に取り込まれますが、水圧が高いところではその量が増えていきます。すると、窒素は急速にそして過剰に血液や組織に溶け込みます。その状態で急速に水面に浮上すると、周囲の水圧が低下するために血管内や組織内で窒素の気泡が形成されます。 この気泡が、血管を詰まらせて血流を阻害したり、組織を破壊したり、炎症反応を引き起こすことで、さまざまな障害や症状を引き起こすのです。 減圧症は潜水後に起こることが多いので、潜水病とも呼ばれます。 減圧症の影響 減圧症では、水面に浮上した後に倦怠感や疲労感、食欲不振、頭痛などの初期症状が現れることがあります。そして、徐々に他のさまざまな症状も現れてきます。 減圧症には、以下の2つのタイプがあります。 症状(Ⅱ型は、Ⅰ 型よりも重症です) Ⅰ型:皮膚や筋肉の症状(ベンズ)のみ Ⅱ型:呼吸・循環器症状(チョークス)や中枢神経症状を伴うもの 減圧症では、脊髄損傷も起こりやすいとされています。 その他には、脳障害、呼吸器系の障害(肺塞栓など)、循環器系(心不全や心原性ショックなど)もあります。 また、減圧症の長期的な影響として、減圧性骨壊死という骨の障害もあります。この骨障害は、肩関節や股関節によく起こります。特に、大腿骨頭壊死が起こると、歩行障害などの影響がでたり、重症な場合には手術が必要となることもあります。 減圧症の治療の応急処置としては、100%酸素吸入を行っていきます。そして、専門医療機関では、高気圧酸素療法が行われます。 減圧症の予防ポイント6つ! ダイビング時だけでなく、登山時にも引き起こされることがあります。減圧症を予防するためのポイントを6つに分けて解説します。 ①潜水前の注意 減圧症は、以下に述べるような要因があるとそのリスクが増大します。 以下のようなリスクがないかどうか、潜水前にチェックしておくことが大切です。 ここにあげたようなリスクがある方については、医師に事前に潜水をしてよいか、確認をしておく方がよいでしょう。また、潜水前には、適切な訓練と手順を確実にチェックし、それを守ることが必要です。 リスクを避けるためのチェック項目 卵円孔開存(らんえんこうかいぞん)や心房中隔欠損などの心臓の病気 疲労 肥満 高齢 ②潜水時の注意 急激な深さへの潜水や長時間の潜水は避け、適切な休憩を取りましょう。 また、浮上の速度は15〜30cm/秒を超えないようにします。さらに、水深3~4mの地点で3~5分間の安全停止をすることも、圧力の平衡を保つために推奨されています これに関しては、米国海軍潜水マニュアル(United States Navy Diving Manual)といった正式なガイドラインなどを参考にして、浮上したりすることで減圧症の予防につとめましょう。 ③潜水後の注意 ダイビング後12〜24時間以内は飛行機に乗らないようにしましょう。 潜水活動を行った後に飛行機に乗るような場合には、12〜24時間は海抜0の場所にとどまり、一定期間の休息後が望ましいとされています。 ダイビング後12〜24時間以内に飛行機に乗ると、減圧症のリスクが高まることが知られているのです。 ④高地登山の適切な計画 登山中に急激な標高の変化があると、大気中の酸素濃度が減少し、それによって減圧症が引き起こされることがあります。 登山前には、適切な標高への適応期間を確保し、急激な標高の変化を避けるよう計画しましょう。適切な装備の使用や体調管理も欠かせません。 ⑤十分な水分摂取 どの状況においても、十分な水分摂取が重要です。 水分不足は体調不良を引き起こしやすくなりますので、こまめな水分補給を心掛けましょう。 ⑥専門家のアドバイスを仰ぐ 潜水や高地登山など、特定の状況における活動前には、専門の医師や指導者に相談し、適切なアドバイスを得ることが賢明です。 以上のポイントを守ることで、減圧症のリスクを最小限に抑え、安全にダイビングをしたり登山をしたりすることが可能となるでしょう。 まとめ・減圧症の原因と6つの予防ポイント!わかりやすく解説 今回の記事では、減圧症の原因やメカニズム、予防法について詳細に解説しました。 しかしながら、適切な予防法をとっていても、減圧症による脊髄障害や脳障害によって麻痺などの症状が残ってしまう場合もあります。 こうした減圧症による脊髄損傷に対しては、リハビリテーションを行ったり、場合によってはステロイドなどの薬物治療が行われることが一般的です。しかしながら、こうした方法は根本的な治療法ではありませんでした。 そこで当院では、幹細胞治療として、自分の脂肪から培養した脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。この治療は、幹細胞を脊髄腔内に直接注入するというものです。 今までに、脊髄損傷の症状が改善されたという報告も寄せられており、今後に期待が持てる治療の一つと言えます。 ▼減圧症などで脊髄損傷を起こしてしまった方で、再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE ▼減圧症のセルフチェックは以下です 減圧症(潜水病)は軽度なら自然治癒も!症状のセルフチェックリストをご紹介 参考文献 減圧症 - 25. 外傷と中毒 - MSDプロフェッショナル版 素潜り漁中に発症した脳型減圧症の1例.臨床神経学. 2012;1052(10):757-761 潜水時の予防措置および潜水障害の予防 - 22. 外傷と中毒 - MSDマニュアル プロフェッショナル版 減圧症 - 25. 外傷と中毒 - MSDマニュアル家庭版
2024.01.17 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
減圧症による骨壊死の症状とその治療法を医師が解説! レジャーダイバーや潜水作業をされている方で以下のような症状に思い当たりはありませんか? 「股関節が痛む」 「歩きにくい」 これは、もしかしたら「減圧症による骨頭壊死」かもしれません。 減圧症のなかでも、骨頭壊死は「慢性減圧症」とも呼ばれます。急激な圧変化が起きた直後ではなく、時間が経ってから症状が現れる疾患です。日本で潜水を仕事にする人の骨壊死は、欧米諸国と比べて発生頻度が高いことが分かっています。 仕事ではなく、レジャーとしてダイブを楽しむ場合、事前の正しい教育や潜水時間の短縮、そして減圧症発症時における対応、すなわち速やかに治療を行う大切さを知ることで骨壊死を減らせることが分かっています。 しかし、レジャーダイブの増加もあり、安直な教育で知識に乏しい中、ダイブが行われている場合があり、いまだダイブ後、骨壊死が発症する例が後を絶ちません。 そこで、本記事では減圧症による大腿骨頭壊死をはじめとした骨壊死について、その原因や症状・治療について解説をするとともに、減圧症の確かな知識を身に着けて頂くことを念頭に記してまいります。 減圧症とは? 高い圧がかかる環境下では、より多くの空気が組織や血液中に溶け込みます。空気が溶け込んでしまった状態で急激に圧の低い場所に行くと、組織・血液内の空気は飽和状態となります。溶けきれなくなった空気はそのまま気体に変化するため「気泡」が発生するのです。 この気泡が直接的に血管に入ったり組織を傷つけて血栓を作りやすい状態にしたりします。こうして全身にダメージを及ぼす病態が「減圧症」です。 減圧症が起こりうる代表的な状況は、海底で作業をしたのち急浮上をしたときです。このため、「潜水病」とも呼ばれています。 減圧症による骨壊死がおこるメカニズムと好発部位 減圧症による骨壊死発症の原因として考えられているのは、気泡や血栓が起こり骨の栄養動脈に十分な血液が行き届かなくなることです。また、骨髄内圧が上昇することにより、静脈の流れが阻害されることも関わるとする説もあります。 動脈が詰まったり、静脈の流れが阻まれたりして血液が回らなくなると、やがてその部分の骨は壊死に至ります。 骨は本来、体重や運動による力がかかっても壊れない強さをもつものです。ところがひとたび壊死をしてしまうと、体重や力が掛かった部分は潰れてしまいます。 壊死が起こりやすいのは、骨の端の部分です。多くの骨は他の骨との間で「関節」を形成しています。つまり、壊死して骨が潰れてしまうことで「関節の痛み」「関節の変形」が起こります。 とくに大腿骨頭(股関節の足側)や上腕骨頭(肩関節の腕側)がダメージを受けやすい場所です。他に膝や肘・骨盤などにも認めることがあります。 骨壊死はどんな症状? 壊死のみでは基本的には目立った症状はないことが多いです。壊死した部分が潰れていくと、痛みを自覚するようになります。 例えば最も多い大腿骨頭壊死の場合は股関節痛です。進行すると、足を引きずるようになり日常生活にも大きな支障が出ます。 骨壊死はどのようにして診断するの? レントゲンは基本的な検査で、骨が潰れて関節が壊れているかを見ることができます。しかし、早期の壊死は発見できません。 レントゲンではっきりしない場合でもMRIを撮影すると壊死がわかります。壊死した部分を取り囲むようにできた血管が豊富な部分が帯状にみえるのが特徴です。 なお、一ヶ所に壊死が見つかると他の部分にもできている可能性があります。その場合は骨シンチグラムという全身の骨の代謝をみる検査を行うことがあります。 骨壊死の治療について 残念ながら、従来の医学では壊死をきたしてしまうと回復できないとされてきました。 壊死が部分的であったり力がかかるところから外れたりしている場合には、鎮痛薬や生活指導などを行いつつ様子を見ることもあります。 また、骨頭に穴をあけて骨髄内圧を下げる「骨穿孔術」をしたり、血管柄つきの骨を移植したりする方法もあります。しかし、いずれも進行例にはあまり効果がありません。 壊死が広かったり壊死部に力がかかりやすかったりする場合や、進行して関節が壊れていく場合は骨切り術や人工関節置換術が行われます。 骨切り術 骨切り術とは、関節面を傷んでないところに調整して負担を減らす手術です。股関節や膝関節などで多く行われており比較的早期例に選択されます。手術直後は患部に力をかけられず、注意しながら生活を送る必要があります。 人工関節置換術 人工関節置換術とは傷んでしまった部分を人工物に変える手術です。関節の一部のみを置換する部分置換術と、全部を取り替える全置換術に分けられます。骨切り術と違い、早いうちから力をかけることができますが、長期経過すると人工物が消耗してしまう可能性があります。 まとめ・減圧症による骨壊死の症状とその治療法を医師が解説! 骨壊死がいったんおこってしまうと、残念ながら現代の医学では進行を止めることはできません。最大の予防は適切な減圧手順を守ることです。 また、他の減圧症を起こしてしばらくしてから発症することが多いです。軽症であっても、減圧症を起こした後は股関節痛などを認めたら早期に受診をしましょう。 減圧症などの原因のない「特発性大腿骨頭壊死」のガイドラインでは、幹細胞を用いた再生医療が、今後期待される治療であると述べられています。とくに関節破壊が進んでいない早期例に骨穿孔術などと併用していくつかの研究が行われ、良好な治療成績が示されてきました。 減圧症による骨壊死の治療選択肢としても広がっていく可能性は充分にあるでしょう。減圧症による骨壊死でお悩みの方は、再生医療専門の当院にお問い合わせください。 ▼減圧症の予防についてご覧になりませんか 減圧症の原因と6つの予防ポイント!わかりやすく解説 参考文献 川嶌眞人, 田村裕昭, 佐々木誠人, 永芳郁文, 高尾勝浩, 山口喬, 丸尾勉, 宮田健司, 加茂洋志, 鳥巣岳彦. 日本高気圧環境・潜水医学会雑誌 41(2): 73-76, 2006. 川手健次. 整形外科看護 11(6): 597-604, 2006. 川嶌眞之, 川嶌眞人, 田村裕昭, 永芳郁文, 本山達男, 古江幸博, 尾川貴洋, 片山隆之, 樋高由久, 高尾勝浩, 山口喬, 宮田健司, 清水正嗣. 日本高気圧環境・潜水医学会雑誌 46(4): 268-268, 2011. 伊藤伸一, 樋口富士男. 整形外科看護 12(1): 31-35, 2007. 小田義直, 香月一朗, 牛島正博, 筒井秀樹, 杉岡洋一. 整形外科と災害外科 38:(4)1431~1436,1990.
2024.01.11 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
減圧症(潜水病)軽度なら自然治癒も!症状のセルフチェックリストをご説明 潜水病、または減圧症は、潜水中に急激な水圧の変化にさらされた際に発生する症状です。軽度の場合、自然治癒が見込まれることがあります。ただし、症状をきちんと知って早期に対応することが重要です。 今回の記事では、軽度の減圧症の症状と、そのチェック方法、また重症な減圧症症状について解説していきます。 減圧症とは 減圧症は、減圧障害(decompression illness)の一つです。 減圧障害は、ダイビングなどで急激な気圧環境の変化により体液中に増加した溶解ガスが、代謝されない不活化ガスとして組織や血管内で気泡化した結果、組織障害や循環障害をおこす減圧症(decompression sickness,DCS)と、減圧により生じた肺胞障害をきたし、肺胞ガスが血液に流入し塞栓症をおこす動脈ガス塞栓症(arterial gas embolism,AGE)に分類されています。 なお、減圧症は潜水後に発症することが多いために、潜水病と呼ばれることもあります。関節痛や筋肉痛、めまい、意識障害といった症状が代表的なものです。 減圧症は、軽度な症状を呈するI型減圧症、重症のII型減圧症の二つがあります。ここから、それぞれについて述べていきます。 潜水病|軽度の場合、その症状とチェックリスト それでは、軽度の潜水病の症状についてより詳しく解説していきます。 軽度の潜水病では、以下のチェックリストに記載したような症状が現れます。ご自分でチェックいただけ、その際の対応方法 ☑症状セルフチェックリスト 関節や筋肉の痛み 皮膚発疹やかゆみ 疲労感 吐き気や頭痛 注意力散漫 上記の症状が現れた場合、以下のように対応していきます。 チェックリストで対応が必要な場合 症状の把握:上記の症状が自身に当てはまるか確認する 早期対応:症状が出たら、すぐに潜水を中断し、水の中から上がります 酸素の供給:酸素を吸入することが症状の軽減や悪化予防に役立ちます 医療機関を受診:症状が持続する場合は、医療機関を受診し、専門医の診断・治療を受ける ダイバーや潜水士などが皮膚のかゆみや発疹、疲労だけを訴えている場合は、フェイスマスクを着用し、100%の酸素を吸うことが応急処置として推奨されています。 減圧症の初期対応が他の救急疾患と異なる点は、この100%酸素療法が勧められていることです。軽度の場合はこれらの対応で改善することが期待されます。 一方、重症な場合には次に述べるような問題が起こります。 重症の減圧症の症状 重度の減圧症になると、呼吸・循環器症状や脳障害や脊髄損傷による中枢神経症状を伴います。これらは、脳型減圧症や脊髄型減圧症とも呼ばれます。 脳型減圧症 脳型減圧症による神経障害の発症機序としては、減圧後に血管内あるいは組織内に生じた気泡により血流障害、または直接的な組織障害が生じることが原因とされています。その詳細はまだ明らかではない部分もあります。 脳型減圧症になると、脳卒中に似ている症状が現れます。つまり、減圧症の症状の一つとして脳の中で気泡が出来てしまう場合に、頭痛、錯乱、発話困難、複視といった症状も出てくるのです。 脊髄型減圧症 脊髄型減圧症は、II型減圧症の中で最も多いとされています。 脊髄型減圧症の症状としては、腕や脚にしびれや痛み、筋力の低下、またはこれらが組み合わさったものがあります。これらの痛みやしびれなどは、放置しておくと数時間で治らない麻痺にまで進行してしまう場合があります。 また、脊髄損傷と同様に、排尿や排便が制御できなくなる、膀胱直腸障害が現れることもあります。腹痛や背部痛も症状として挙げられます。 呼吸器の減圧症 チョークス(呼吸器の減圧症)はまれなのですが、深刻な症状が現れます。 この肺の症状として、具体的には息切れや胸痛、咳嗽などがあります。こうした症状は、肺水腫(はいすいしゅ)といって、肺が水浸しになり、酸素と二酸化炭素の交換ができなくなる現象が起こってしまうことから生じます。 また、肺の血管に多量の気泡による塞栓(そくせん)が生じるために、細かな血管などが詰まってしまい、その結果血液を身体に十分に届けることが出来なくなってしまい、死亡につながることもあります。 減圧性骨壊死 減圧症の長期的な症状として、減圧性骨壊死があります。 この骨壊死は気圧が高い場所に長時間滞在したり、短い間隔で潜水したりすることにより起こってしまうことがあります。 骨壊死が起こる部位としては、肩関節面や股関節面などがあります。減圧性大腿骨頭壊死が起こると、生活の質が下がる原因となり、場合によっては手術が必要となることもあります。 減圧症の治療 減圧症の治療は、まずは100%酸素投与が基本となります。また、脱水に陥っていることが多いため、口から飲める場合には経口補水液を飲ませます。もし飲水が難しい場合には、点滴で輸液といって水分や電解質を補う治療をしていきます。 そして、専門の医療機関で高圧酸素療法を行っていきます。 減圧症を疑う場合には、早急に治療を開始することが大切になります。もしも重症の減圧症の症状が出てしまい、潜水後に意識障害や呼吸困難に陥っている場合や、心肺停止に陥った場合には、心臓マッサージや人工呼吸などの救急対応をすることも必要です。 まとめ・減圧症(潜水病)軽度なら自然治癒も!症状をセルフチェックする! 今回の記事では、減圧症の症状について、軽度なものから重症なものまで詳細に解説しました。 軽度な症状のチェックリストに当てはまる場合には、早めに酸素吸入を行うと軽度の症状であれば治ることもあるのですが、重症の場合には完全には麻痺などの症状が治らない場合もあります。 こうした減圧症による脊髄損傷に対しては、これまで根本的な治療法がありませんでした。そこで当院では、自分の脂肪から培養した脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。 この治療は、幹細胞を脊髄に直接注入するというものです。今までに、脊髄損傷の症状が改善されたという報告も複数いただいています。 減圧症などで脊髄損傷を起こしてしまった方で、再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 ▼減圧症に際し、以下も参考にされませんか 減圧症の治し方と後遺症の最新治療法!医師が解説! 参考文献 素潜り漁中に発症した脳型減圧症の1例.臨床神経学. 2012;1052(10):757-761 減圧症 - 25. 外傷と中毒 - MSDプロフェッショナル版 減圧障害の最善の対処法は何か? -初期対応の酸素吸入と高圧酸素治療 について-J UOEH(産業医科大学雑誌).2021;43(2):243-254 スポーツダイビングによる脊髄型減圧症の1例.リハビリテーション医学.2006;43:454-459. p454 比較的若年の潜水漁漁師にみられた 減圧性骨壊死.産衛誌.2017; 59(2): 59-62
2024.01.08 -
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
「背中が痛い」「胸が痛む」などの症状でお悩みの場合、実は「胸椎椎間板ヘルニア(きょうついついかんばん)」の可能性があるのはご存知でしょうか。 胸椎椎間板ヘルニアは、老化が原因の1つだと考えられています。 他の椎間板ヘルニアと比べて発症する確率は少ない珍しい疾患ではあります。 しかし痛みを放置すると「足が動かない」「尿や便が出なくなる」など、重大な問題が発生する疾患でもあります。 本記事では、胸椎椎間板ヘルニアとは、どのような疾患なのか、予防策や治療法などを解説します。 背中や胸の痛みが気になる方、最近になって足に力が入らない、しびれがあるなどで歩きにくさを感じている方はぜひ参考にしてください。 胸椎椎間板ヘルニアとは 胸椎椎間板ヘルニアとは、老化や強い衝撃を受けて脊椎の胸部にある椎間板が飛び出た状態を指した症状です。椎間板とは、脊椎と脊椎の間にあるクッションのような組織であり、飛び出ると周囲の神経や脊髄を圧迫して脱力感やしびれなどの症状が出ます。 胸椎椎間板ヘルニアが発症する年齢は40~50歳、かつ男性が多い傾向にあります。 胸椎椎間板ヘルニアは「椎間板ヘルニア」の中でも起こりにくい疾患です。 胸椎は肋骨とつながっており安定しているため、椎間板ヘルニアになりにくいと考えられています。 痛みの原因 胸椎椎間板ヘルニアで痛みを感じる原因は、以下の要因が考えられます。 老化 過度なスポーツ 肉体労働 長時間の運転 など どれも姿勢の悪さや背中の筋肉、背骨に問題が生じると胸椎椎間板ヘルニアが発症します。 そもそも胸椎とは「胸」とあるので胸部をイメージする方が多いのですが、実は背骨の一部分が胸椎です。 背骨は首から腰まで合計24個あり、胸部分にある8本の骨が胸椎です。 多くの患者様が外傷は見られないため、背中を押すと痛みを感じたり、太ももやふくらはぎが痛み出したりします。 痛みを放置すると歩行障害や重症化の恐れがあるため、早期の発見と治療が大切です。 「胸椎の痛みかわからないけれど、これって胸椎椎間板ヘルニアなの?」と少しでも気になる点がある方は、当院へ気軽にご連絡ください。 診断方法 胸椎椎間板ヘルニアを診断するにはMRI検査が有効です。 レントゲン検査ではとくに異常が目立たなくても、MRI検査を行えば椎間板ヘルニアの有無や脊髄の圧迫具合などが確認できます。 また、手術を行う場合には、CT検査などを行うケースもあります。 症状を具体的に把握し、適切な診断を受けるためにも、まずはMRI検査を行うのがおすすめです。 以下の記事では、現役医師の立場からMRI検査が必要な理由をまとめているので、あわせてご覧ください。 胸椎椎間板ヘルニアの予防策や治療法 ここからは胸椎椎間板ヘルニアで感じる痛みを避けたい方に向け、予防策を解説します。 胸椎椎間板ヘルニアの進行度によって異なる治療法についても紹介していきます。 安静にしておくのが無難 胸椎椎間板ヘルニアを予防するために、痛みを感じてもストレッチせず安静にしておくのが無難です。 自宅でできる予防法はなく、自己判断でストレッチを実施すると、炎症の悪化や骨折するリスクが高まるからです。 胸椎に痛みがあり、整骨院で施術をしたいと考える方もいるかも知れません。 しかし胸椎椎間板ヘルニアは、進行度によって治療法が異なるため、MRI検査で適切な診断を行う必要があるのです。 歩行障害が進行している場合、手術せず放置すると歩けなくなる事態まで発展する恐れがあります。 適切な診断が終わるまでは、自己判断で胸椎の痛みを改善しようとせず、安静にしておきましょう。 予防におすすめのストレッチ法 現役医師の立場から胸椎椎間板ヘルニアの予防が期待できるストレッチを紹介します。 今回は横になった状態でできるストレッチをお伝えします。 胸椎椎間板ヘルニアに罹患していると猫背になりやすいので、以下のストレッチを実施してみてください。 左側が下になるよう両膝を抱える(背筋を伸びているかを意識する) 両肘を胸の前でまっすぐ伸ばし両手を合わせる 右手で頭上を通りながら半円を描くイメージで動かす 3の動きに合わせて頭も動かす 水平に後ろまで動かした手の動きを5回繰り返す 反対側(左側)も同様の動きを5回繰り返す 胸椎椎間板ヘルニアの痛みを悪化させないためにも、痛みがない程度にゆっくりストレッチを行いましょう。 以下の記事では、今回紹介したストレッチ以外の予防策をまとめています。 胸椎椎間板ヘルニアの治し方や、より詳しいストレッチ法が気になる方は、ぜひご一読ください。 胸椎椎間板ヘルニアの治療法 胸椎椎間板ヘルニアの治療法は、大きく分けると「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。 進行度によって異なる治療法の違いは、以下の通りです。 症状の程度 治療内容 保存療法 比較的軽度 膝の筋肉低下や排尿障害がない場合適用 コルセットや内服薬 手術療法 痛みが進行している 歩行障害やしびれがある場合適用 背骨の一部を除去 以下の記事では、胸椎椎間板ヘルニアの治療後に実施するリハビリ内容を解説しているので、あわせてご一読ください。 なお、現在は胸椎椎間板ヘルニアが進行していても、手術なしで治療できる時代になっています。 胸椎椎間板ヘルニアの代表的な症状 ここからは胸椎椎間板ヘルニアの症状について解説します。 自身に当てはまる症状があれば医師に相談するようにしましょう。 背中や胸の痛み 胸椎椎間板ヘルニアが発症したときの代表的な症状が背中や胸の痛みです。 しかし、ヘルニアが発生する部位によって圧迫される神経やダメージを受ける神経が異なるため、痛みやしびれを感じる部位も異なります。 また、胸椎椎間板ヘルニアが肋間神経を圧迫すると「肋間神経痛」の痛みが現れるので注意してください。 肋間神経は背中から胸に向けて走っているため、背部痛や胸痛、わきの下あたりの痛みやしびれなどを引き起こします。 肋間神経痛の痛みは、ぴりぴりと焼けつくような感覚であったり、鈍い痛みとして感じる症例が大半です。 肋間神経痛による胸の痛みは、心臓が原因の胸痛と間違えられる場合があります。 しかし、胸椎椎間板ヘルニアによる胸の痛みは、体の動きや姿勢の変化により変動するため、多くのケースで心臓が原因の胸痛と区別できます。 以下の記事では胸椎椎間板ヘルニアの症状を、より詳しく解説しているのであわせてご覧ください。 その他の症状 胸椎椎間板ヘルニアが発症すると、背中や胸の痛み以外にも、以下の症状が伴う可能性があります。 太ももやふくらはぎの痛み、しびれ、脱力感 歩行障害(ふらつきや足のもつれ) 膀胱直腸障害 排便障害 など とくに太ももやふくらはぎの痛みは、胸椎椎間板ヘルニアの初期症状として認められるケースが大半です。 痛みを放置すると急激に足が動かしにくくなり、歩行障害につながる恐れがあります。 歩くときに足がもつれ、階段を昇り降りで手すりを持つようになった方は、胸椎椎間板ヘルニアの可能性があるため注意しましょう。 また、胸椎椎間板ヘルニアを発症すると、力をこめて便や尿を出そうとしても出せない状態(膀胱直腸障害)になる場合もあります。 胸椎の背中側にある脊髄は、便や尿を出す自律神経をコントロールする神経が走っています。 胸椎椎間板ヘルニアによって神経が圧迫されると、突然便や尿が出ない症状が起こるのです。 胸椎椎間板ヘルニアと神経痛の違いについては、以下の記事で詳しくまとめているので、ぜひご一読ください。 まとめ・胸椎椎間板ヘルニアで背中や胸が痛みを感じたなら早めの受診を! 胸椎椎間板ヘルニアは40~50歳の方に多く発症する疾患です。 代表的な症状として背中の痛みや胸の痛みがあげられ、肋間神経痛による焼けつくような痛みや鈍痛も認めています。 初期症状としては下肢のしびれや痛みなどがあり、薬物治療やリハビリなどでは歩きにくさを改善できません。 歩きにくさを感じている方は、手術療法を検討してください。 手術には神経麻痺や手術後の痛み、しびれなど術後後遺症の恐れもありますが、放置すると病状が進行して歩けなくなる可能性があります。 少しでも胸椎椎間板ヘルニアを疑う症状に気づいた方は、速やかに専門の医療機関で受診するようにしましょう。
2024.01.04 -
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胸椎椎間板ヘルニアの保存療法!リハビリの種類や具体的な内容を医師が解説します 足のしびれや脱力感といった麻痺の症状を引き起こす「胸椎椎間板ヘルニア」。腰や首の椎間板ヘルニアに比べて稀な病気ですが、症状が進行すると病院での手術が必要な場合があるので注意が必要です。 麻痺がなく症状が軽い場合は、いきなり手術をするのではなく「薬物療法」や「リハビリ」などの「保存療法」が選択されます。 この保存療法について、本記事では胸椎椎間板ヘルニアのリハビリや運動の方法について解説します。 胸椎椎間板ヘルニアの保存療法について 胸椎椎間板ヘルニアは症状が進行すると筋肉を動かす神経まで圧迫され、脚の力が入りにくくなり歩くのに支障をきたします。 そうなるとリハビリや運動では治療は難しく手術が必要です。症状が軽い場合はまず手術を伴わない保存療法が選択されます。 ここではリハビリを含む保存療法の種類について紹介します。 薬物療法 ヘルニアによる痛みがある場合は、痛み止めの内服薬が利用されます。 また痛みや炎症により生じる筋肉の緊張に対して、筋弛緩薬が利用されることもあります。 内服薬のほかの薬物療法は注射を使った神経ブロックです。痛みの原因となっている神経を一時的に麻痺させることで、痛みの軽減を図ります。 装具療法 背骨が動くことによりヘルニアの症状が悪化する場合は、コルセットにより背骨の動きを制限して症状の悪化を防ぎます。 長期間のコルセットの装着は、背骨の周辺にある筋肉を弱めてしまうため、適切な装着時期は医師の指示を聞きましょう。 胸椎椎間板ヘルニアのリハビリテーション リハビリには胸椎の椎間板にかかる負担を減らすための運動療法や日常生活の指導、痛みの緩和を目指す物理療法があります。 胸椎椎間板ヘルニアのリハビリとして以下のようなものがあります。 リハビリの種類 運動療法 物理療法 生活指導 それぞれ具体的な方法を解説します。 運動療法 運動療法は椎間板にかかる負担を減らすため、周辺の関節の柔軟性を高めたり筋肉の疲労を軽減したりするストレッチや筋力トレーニング(以下筋トレ)があります。 また痛みやしびれによる運動不足で低下した体力を向上するための有酸素運動も運動療法の1つです。 ストレッチ ストレッチでは胸椎の動きをスムーズにして痛みを和らげたり、腰や股関節といった周辺の関節が固まらないようにして胸椎の椎間板にかかる負担を減らしたりします。 具体的なストレッチの方法は「胸椎椎間板ヘルニアの痛みに!ストレッチで痛みを和らげる方法」で詳しく紹介しています。 筋トレ 筋トレにより背骨を支える体幹の筋肉を鍛えて椎間板にかかる負担を減らします。 具体的な方法は以下のようなものがあります。 体幹トレーニングの方法① 1.肩の真下に両手をつき、骨盤の真下に両膝をついて四つ這いになる 2.左手と右足を、体と水平になるようにあげる 3.手と足が離れるように伸ばした状態で10秒キープする 4.反対の手足も同様に行う 体を反ったり、ひねったりしないように意識しましょう。お腹に力を入れながら行うとより効果的です。 体幹トレーニングの方法② 1.両膝を立てた状態で仰向けになる 2.息をできるだけ吸い込む 3.口をすぼめてゆっくり息を吐きながらお腹を凹ます 4.できるだけお腹を凹ませた状態をキープしながら呼吸を繰り返す 5.30秒キープして力を抜く 先ほどの運動が背筋を鍛えるのに対して、今回の運動では腹筋を鍛える運動になります。 どちらも背骨により近い部分にある筋肉であるインナーマッスルを鍛える運動です。 インナーマッスルは体を動かすより、姿勢を安定させる働きがあり、背骨や椎間板にかかる負担を軽くしてくれます。 有酸素運動 有酸素運動により全身の筋力を維持して、健康な体を保ったり、低下した体力を向上させたりすることができます。 有酸素運動の種類としては以下のようなものがあります。 有酸素運動の種類 ウォーキング 自転車こぎ 水泳 軽いジョギング ハイキング ヘルニアだからといって症状が軽いのに安静にしすぎると全身の筋力や体力の低下を引き起こすため、かえって症状が悪化する危険性があります。 軽めの有酸素運動で良いので、少しでも体を動かすようにしましょう 物理療法 電気や熱の力を利用して血行を良くして、筋肉をほぐしたり、痛みを緩和したりする治療が物理療法です。 生活指導 椎間板へ負担のかかる作業や動作、姿勢は極力控えるようにしましょう。例えば中腰の姿勢を続けたり、重い荷物を上げ下ろししたりする動作です。 また猫背の姿勢は椎間板に負担をかけます。長時間のデスクワークやスマホの使用は猫背の姿勢を助長するので、適宜休憩を挟んで腰を反らすなどのストレッチを実施しましょう。 胸椎椎間板ヘルニアのリハビリで注意すべきこと 胸椎椎間板ヘルニアで歩行が難しくなるような症状が出ている場合、リハビリでは治療は難しく手術をしなければ回復は困難です。症状があるからといって自己判断で運動を行わず、整形外科を受診して医師の指示を仰ぎましょう。 やってはいけない筋トレがあります。それは、「体を丸めるように腹筋運動」です。椎間板を圧迫するようなストレスがかかるため注意しましょう。 また、筋トレをいつから行うかは大切なポイントです。痛みが強まるときは控えて、症状が落ち着いてきてから始めるようにしましょう。 せっかくのリハビリをしても症状が悪化してはいけないので、医療機関での指示の下、注意点に気をつけて正しく実施しましょう。 胸椎椎間板ヘルニアのリハビリは症状が軽い場合に実施|麻痺がある場合はすぐに病院を受診しよう 胸椎椎間板ヘルニアは症状が軽い場合は、リハビリを含む保存療法を実施して改善を待ちます。 リハビリには筋トレやストレッチ、有酸素運動などの運動療法や物理療法があります。できるだけ整形外科を受診して医師や理学療法士などの専門家に指導を仰いで実施するようにしましょう。 足に力が入らないような麻痺がある場合は、リハビリも有効ではありません。放置せずに病院を受診して必要な治療を受けるようにしましょう。 参照資料 標準整形外科.医学書院,東京,2020,pp550. 日本整形外科学会「胸椎椎間板ヘルニア」
2023.12.29 -
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胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛の違いについて?症状でチェック! 「胸椎椎間板ヘルニア」と「肋間神経痛」の違いはどのような点にあるのでしょうか。いずれも「背中に痛みを生じる」という症状が出るのですが、その他にも多くの違いがあります。 今回の記事では、胸椎椎間板ヘルニアおよび肋間神経痛について解説し、症状の違いについて述べていきます。 胸椎椎間板ヘルニアとは それでは、まずは胸椎椎間板ヘルニアについて解説していきます。 背骨、つまり脊椎は頭の方からおしりの方まで、頚椎、胸椎、腰椎、仙椎の順に積み重なったような構造をしています。そして、胸椎は左右12対の肋骨と背中側で連結している骨となります。 胸椎に限らず、椎体と椎体の間には椎間板というクッションのような役割を果たすものがあります。 胸椎椎間板ヘルニアとは、椎間板の変性や損傷によって、椎間板の外側の部分である繊維輪という構造が破れ、内部のゲル状の物質である髄核(ずいかく)が椎間板の外に漏れ出る状態です。これが脊髄を圧迫することで脊髄圧迫症状が現れます。 胸椎は頚椎や腰椎のように前かがみ、後ろかがみでもほとんど動きません。そして、胸椎椎間板ヘルニアは外傷などの誘因がない場合が多いとされています。 胸椎椎間板ヘルニアの治療 胸椎椎間板ヘルニアで、歩行障害や膀胱直腸障害などの症状が現れている場合には、手術が行われます。薬物治療やリハビリでは、こうした症状を抑えることは難しいです。 肋間神経痛とは 肋間神経痛とは、胸椎椎間板ヘルニアのような病名ではなく、肋間神経という肋骨に沿って走っている神経が何らかの要因で障害を受けたことで突発的に生じた痛みのことを指します。 痛みは身体の片側に起こることが多く、深呼吸や咳、そして身体の向きや位置を変えたりすることでも強くなることがあります。 肋間神経痛の原因の一つとして重要なのが、「帯状疱疹」です。帯状疱疹は「水ぼうそうウイルス」によって起こるのですが、このウイルスは肋間神経の神経節という部分に潜んでおり、免疫力の低下などによって再活性化して起こるものです。帯状疱疹による肋間神経痛は、鋭く激しい痛みが片側の肋骨に沿って現れ、水ぶくれを伴う、赤い発疹もできるという特徴があります。 その他、肋間神経痛は特に原因がわからないものや、胸椎椎間板ヘルニアや側弯症によって脊髄から肋間神経が出る部分を圧迫されることに伴うものがあります。また、肋骨骨折で肋間神経が障害されることでも起こりえます。 さらに、稀ではありますが、肺がんなどの胸部の手術の際に、手術で使った器具が肋間神経を圧迫してしまい、それが術後にも影響を残し肋間神経痛として残存してしまうということもあります。 肋間神経痛の治療 肋間神経痛の治療は、原因がある場合にはその病気の治療をしていきます。一方で、特に原因となるような病気がない場合には、肋間神経ブロックという痛み止めの注射を行ったり、鎮痛薬の内服をしたりなどして症状を抑えることとなります。 胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛の症状の違いをチェック 胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛は、同じように背中や胸部の痛みを引き起こす異なる状態です。しかしながら、以下のような違いがあります。 それでは、それぞれについて詳しく述べていきましょう。 胸椎椎間板ヘルニアの症状 胸椎椎間板ヘルニアでは、背中や胸部の痛みは出ることもあるのですが、疼痛がないこともあります。また、体幹から下半身にかけての筋力低下や感覚の異常を伴うことが主な症状となります。 胸椎椎間板ヘルニアが進行すると、歩行障害や膀胱直腸障害も出現することもあります。 肋間神経痛の症状 肋間神経痛の痛みは通常背中から胸部にかけてみられ、特に身体の片側の肋骨の間の領域で感じられることが多いです。また、呼吸や姿勢を変えることによって症状が悪化することがあります。 帯状疱疹による肋間神経痛では、水ぶくれを伴う特徴的な皮疹が痛みと同じ部位に現れます。 肋間神経痛はしばしば局所的な鋭い痛みで、肋間神経の分布に従います。そして、痛みの範囲が明確な場合が多いです。 痛みの程度、場所 痛み以外の症状 胸椎椎間板ヘルニア 背中や胸部 痛みがないこともある 下半身にかけての感覚異常 進行すると下半身の麻痺が起こることもある 肋間神経痛 背中から脇腹、胸部にかけての鋭い痛み 痛みの範囲は明確なことが多い 肋間神経痛の原因が帯状疱疹の場合には、皮膚の発疹を伴うこともある まとめ・胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛、どう違う?症状でチェック! 今回は胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛の症状の違いについて述べました。 背中から胸部にかけての痛みを生じる原因として、胸椎椎間板ヘルニアや肋間神経痛があります。厳密には、胸椎椎間板ヘルニアでも髄核が真正面でなく外側に飛び出すと、肋間神経痛の原因になることもありますが、腰椎椎間板ヘルニアより稀とされています。 いずれにしても、症状が続く場合や痛みが激しい場合は、早めに医療専門家に相談することが重要です。 胸椎椎間板ヘルニアによる歩行障害などの下半身の麻痺を治すためには、手術が必要となります。一方で、手術にも神経麻痺のリスクがあります。 当院は、大阪・東京・札幌にある再生医療専門クリニックです。胸椎椎間板ヘルニア術後の脊髄の障害に対しても、脂肪由来間葉系幹細胞治療を行っています。 この治療は、自分の脂肪から培養した幹細胞を脊髄腔内に注射または点滴投与するというものです。今までにも、麻痺の改善がみられたという患者さまからの声が寄せられています。 ▼胸椎椎間板ヘルニアの術後などの麻痺に対しての再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 https://www.youtube.com/watch?v=4AOGsB-m63Y&t=141s 参考文献 「胸椎椎間板ヘルニア」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる Q8 急に胸が痛くなり続いています。 心臓や肺の病気でしょうか? - 呼吸器Q&A 一般社団法人 日本呼吸器学会 Q11 帯状疱疹とは何ですか? 公益社団法人 日本皮膚科学会 術後合併症について 国立がん研究センター 東病院 ▼胸椎椎間板ヘルニアの治療についてさらに詳しく記しました 胸椎椎間板ヘルニア症状レベルと自然治癒の可能性について
2023.12.25 -
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胸椎椎間板ヘルニアの症状とはどのような病気? どのような症状があるの? 今の症状がどのようなレベルか知りたい このように思っている方は多いのではないでしょうか? 胸椎椎間板ヘルニアの症状はさまざまで、程度にも振れ幅があります。 さらにほかの疾患とも見分けにくく、発症に気づかないことも。 この記事では胸椎椎間板ヘルニアの症状や特徴、症状レベルやチェックリストを解説します。 同疾患に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。 【予備知識】胸椎椎間板ヘルニア症状の特徴と症状 まず、胸椎椎間板ヘルニアの特徴と症状に関して解説します。 胸椎椎間板ヘルニアとは、胸椎と胸椎(あるいは一番下の胸椎と一番上の腰椎)の間にある「椎間板」の成分が胸椎の後ろに飛び出してしまうことを示します。 腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアと比べると、症例が少なく、稀な疾患です。 椎間板は、椎骨が動くときに衝撃を吸収するクッションの役割があります。 体をひねる・前に曲げる・後ろに反るなどの動作ができるのは、一つ一つの椎骨が滑らかに動くから。 ところがヘルニアを発症すると、椎間板の変性により線維輪が壊れて中の髄核が飛び出してしまいます。 特に胸椎椎間板ヘルニアでは、髄核はまっすぐ真後ろに飛び出すことが多いことがわかっています。 飛び出した髄核は、ときに真後ろに走る脊髄を圧迫し、足の痺れや感覚の低下が起こります。 病状が進行すれば歩行障害が起こることも。 なお、腰椎や頚椎では後側方に飛び出したヘルニアが、脊髄から伸びる神経の根本を圧迫して「神経根痛」とされる、「ビリビリッ」とした痛みを起こすことがあります。 一方の胸椎椎間板ヘルニアでは神経根痛が目立ちません。 その原因となる横方向に飛び出すことが多くないからです。 ただし、肋間神経痛(脇腹の痛み)が生じることもあります。 ただし、患者さん全員にすべての症状が起こるわけではありません。 また、特異的な症状はなく、別の病気でも同様の症状が起こることがあります。 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベル【チェックリスト付き】 胸椎椎間板ヘルニアの症状には振れ幅があり、程度によって取るべき対応が異なります。 しかし程度を判断できず、適切な対応が取れない場合も。 また胸椎椎間板ヘルニアはほかの病気と見分けにくく、発覚が遅れ、早期に治療できないケースもあります。 そこで今回は、胸椎椎間板ヘルニアの症状レベル一覧と、症状チェックリストを紹介します。 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベル 胸椎椎間板ヘルニアの症状レベルは、大まかに初期、中期、後期にわけられます。 各期で生じる症状は以下のとおりです。 症状レベル 具体的な症状 初期 わずかな下半身の痛み わずかな感覚の鈍麻 太ももの軽度の痺れ 腰痛 中期 背中の痛み 脇腹の痛み(肋間神経痛) はっきりとしたしびれ 後期 下半身の筋力低下 歩行困難 排尿障害 感覚の喪失 重大な麻痺 初期では無症状であり、発見が遅れることがあります。 症状があれば、痛み止めの投与などがおこなわれます。 この段階では、活動や運動はさほど制限されません。 中期になると、痛みやしびれをはっきりと感じます。 運動の困難などを感じることもあるでしょう。 後期になると症状は重篤になり、歩くのもむずかしくなります。 また保存療法が意味をなさず、日常生活にも影響します。 後期に入る前に治療するのが重要でしょう。 重篤な症状は手術で治すのが一般的ですが、現在では再生医療を用いて、より負担が軽い方法で完治を目指すことも増えてきました。 興味がある方はぜひ再生医療に関して学びましょう。 メール相談 オンラインカウンセリング 関連記事:胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛の違いについて?症状でチェック! 胸椎椎間板ヘルニアの症状チェック 続いて、胸椎椎間板ヘルニアの症状をチェックしましょう。 背中が痛む 脇腹が痛む 腰が痛む 体のどこかの感覚が鈍い 何となく力が入りにくい 足がもつれて歩きにくい 階段を降りるのが不安定で怖くなった 排尿がむずかしい 尿漏れがある 排便がむずかしい 胸や背中に不快感がある 一つでも当てはまれば、胸椎椎間板ヘルニアを発症している可能性があります。 該当する場合は速やかに医師の診察を受けるのをおすすめします。 診断はどのようにしておこなうか 疑わしい症状があれば、MRIを撮影して椎間板の脱出がないかを調べます。 レントゲンでは診断はつきませんが、骨折など他の病気を探すためにMRIに先行しておこなうことが多いです。 ただし、胸椎椎間板ヘルニアは非常に稀な病気である上に、腰椎の病気と似た症状を起こすことが多いです。 そのため、最初は腰椎の検査をされ、のちに胸椎椎間板ヘルニアだったと判明することもあります。 関連記事:胸椎椎間板ヘルニア|入院期間や費用について 胸椎椎間板ヘルニアは自然治癒するの?可能性と注意点 結論から言うと、椎間板ヘルニア全般に自然治癒はあり得ます。 もちろん胸椎椎間板ヘルニアも、ごく軽症であれば自然と治るかもしれません。 しかし胸椎椎間板ヘルニアは症例が少なく、自然治癒の事例もさほど多くありません。 自然治癒を期待して、治療を受けず放置していると症状が悪化し、歩行・排尿機能の障害が生じるリスクがあります。 したがって自然治癒に期待しすぎず、医師の診断を受け、指導のもと治療に臨むようにしましょう。 胸椎椎間板ヘルニア|自然治癒の可能性と注意点 ▼可能性 胸椎椎間板ヘルニア:稀な疾患、自然治癒の報告例僅か 腰椎や頚椎の椎間板ヘルニア:自然消失例の報告例有 胸椎椎間板ヘルニア:一部の軽症例で自然治癒の可能性がある ▼注意点 ✕ 自然治癒を過剰に期待するのはNG ✕ 自己判断で放置すると歩行・排尿障害に陥る「リスクが大きい」 定期的な受診を怠らず、歩きづらさを感じたら、早急な受診をお勧めします。 <関連記事> 胸椎椎間板ヘルニアの保存療法!リハビリの種類や具体的な内容を解説 胸椎椎間板ヘルニア|症状と自然治癒の可能性について 胸椎椎間板ヘルニアは予防できる? 胸椎椎間板ヘルニアの発症を予防するのはむずかしいです。 できることとして以下があげられるでしょう。 普段から正しい姿勢を保つ 中腰での作業を避ける 重たい荷物を持ち上げるなど腰に負担のかかる運動を避ける 同じ姿勢を取り続けないようにする 背筋を鍛える このような工夫により、多少は発症を予防できます。 とはいえ胸椎椎間板ヘルニアは突発的に起こるものであり、完全な予防は困難であることを知っておきましょう。 まとめ・胸椎椎間板ヘルニア症状と自然治癒の可能性について 胸椎椎間板ヘルニアはまれな病気です。 軽症の場合は対症療法のみで様子を見ることができる一方、足の麻痺などが出てしまうと手術を行わなければいけないことがあります。 自然治癒の可能性もありますが、一方で急激な進行を認めるケースがあるのも事実です。 すぐに手術しない場合でも通院を怠らず、症状の変化に気をつけて過ごしてください。 この記事が参考になれば幸いです。 メール相談 オンラインカウンセリング ▼こちらも参考にされませんか 胸椎椎間板ヘルニアの痛みに!ストレッチで痛みを和らげる方法 ヘルニアの種類と後遺症に再生医療という新たな治療法 参考文献 大場哲郎, 波呂浩孝. 日本医事新報 (5084): 42-42, 2021. 岡田英次朗. 日本医事新報 (4994): 40-40, 2020. 小西明, 藤井基広, 増本眞悟, 石井秀典, 今井健, 角南義文. 整形外科と災害外科 48:(1) 10-12, 1999. 公益社団法人日本整形外科学会|「胸椎椎間板ヘルニア」
2023.12.21 -
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「背骨を押すと痛い」「背骨の胸あたりを押すと痛む」部分を胸椎(きょうつい)といいます。首と腰の間にある部分で、胸椎は12個の骨から成り立っており、それぞれが左右12本ずつある肋骨(ろっこつ)とつながっています。 背骨を押すと痛みを感じるとき、ただの疲れや姿勢の問題だと考えられがちですが、実は神経や骨に関連する病気の可能性もあります。 本記事では、背骨に痛みを感じたときに考えられる5つの病気や改善方法などを専門医ができるだけわかりやすく解説します。最後まで読めば、痛みが悪化する前に適切な行動ができるようになるはずです。 背骨(胸椎)を押すと痛い原因 背骨を押すと痛い原因はさまざまですが、姿勢の悪さや筋肉、骨の問題であることがほとんどです。 例えば、主婦や事務労働をする方であれば、背中が丸まったような悪い姿勢(猫背)が主な原因として考えられるほか、年齢に伴う椎間板の老化なども挙げられます。 冒頭でもお伝えしましたが胸椎は肋骨と繋がっています。背中の真ん中あたり、肋骨に近い背骨を押すと、胸椎の後ろにある突起部分(棘突起:きょくとっき)に圧力がかかり、痛みの原因となるのです。 特に胸椎のあたりに痛みがある場合は、神経や筋肉、骨に関わる病気の可能性があります。 背骨(胸椎)を押すと痛いときに考えられる5つの病気 背骨(胸椎)を押すと痛いときに考えられる5つの病気は以下の通りです。 脊椎過敏症 胸椎椎間板ヘルニア 肋間神経痛 強直性脊椎炎 胸椎骨折 各疾患の症状などをできるだけ簡単に説明します。痛みがどの症状に当てはまるのか、チェックしながら読み進めていきましょう。 ①脊椎過敏症(せきついかびんしょう) 背骨を押すと圧痛が生じる病態として、脊椎過敏症があります。この病気の症状としては、背部や棘突起のあたりの痛みや押した際の痛み(圧痛)が出ます。 脊椎過敏症では、背部の痛み以外には特に症状はなく、予後も比較的良好です。この脊椎過敏症は、20歳代の女性、特に事務労働者や主婦に多く、背中が丸まったような悪い姿勢などの原因が あるのではないかと考えられています。数ヶ月から数年の間で自然に治っていくことが普通です。 ②胸椎椎間板ヘルニア(きょうついついかんばんヘルニア) 胸椎椎間板ヘルニアは、胸椎の椎体と椎体との間にあるクッションのような構造である椎間板が変性し、脊椎の外側に飛び出し、脊髄を圧迫する病気です。 胸椎椎間板ヘルニアの症状として、背部痛(背中の痛み)が生じることもあります。その他の症状として、体幹から下半身の感覚が低下することや、筋力低下がみられます。胸椎椎間板ヘルニアは、外傷などの明らかな原因がない場合がほとんどです。 また胸椎椎間板ヘルニアは腰椎や頚椎の椎間板ヘルニアと比べてその頻度は少なく、歩行障害などの症状が現れた場合には手術を要することが多いです。 放置すると重症化の恐れがある胸椎椎間板ヘルニアの概要や症状について、以下の記事でさらに詳しく解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。 なお、胸椎椎間板ヘルニアなどの痛みは、手術を必要としない再生医療によって改善が期待できます。興味のある方は、再生医療による回復の事例などを紹介した以下の動画もご覧ください。 ③肋間神経痛(ろっかんしんけいつう) 胸椎椎間板では、椎間板の中にある髄核(ずいかく)という構造が脊髄の真ん中を圧迫するですが、左右方向に髄核が飛び出すと神経根という脊髄から神経が出ていく部分を圧迫することもあります。すると、肋間神経痛の症状が現れます。肋間神経痛の症状としては、背中から胸にかけて、肋骨に沿ったような鋭い痛みが生じるというものです。 なお前述の胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛は、いずれも背中に痛みが出ますが、痛みの場所であったり症状だったりが異なります。 以下の記事で胸椎椎間板ヘルニアと肋間神経痛の違いについて詳しく解説したので、こちらも合わせてご覧ください。 ④強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん) 強直性脊椎炎は、仙腸関節という関節や腰、背中、首の脊椎の靱帯付着部に炎症が生じる病気です。さらに、胸椎の椎間関節にも炎症は起こります。 症状の多くは腰痛やお尻の痛みから始まり、徐々に背中全体や首にまで広がっていきます。症状が進むと、体を曲げ伸ばしすることが難しくなり、前屈みの姿勢となっていきます。体のだるさや疲れやすさ、体重減少、微熱、高熱などの全身の症状がでることもあります。 また、4人に1人の確率で目の病気である虹彩炎(こうさいえん)が起こりますが、早めに眼科治療を受ければ予後は良好です。 ⑤胸椎骨折(きょうついこっせつ) 骨粗鬆症や、腫瘍が骨に転移した際に、背骨が圧迫骨折をきたすことがあります。この場合にも、圧痛や体動時痛といった症状が生じることがあります。 骨折の程度によっては、脊髄損傷をきたすこともあり、胸椎と腰椎の移行部に骨折が生じた場合には、両下肢の麻痺症状などを引き起こす可能性もあります。 骨折の原因が骨粗鬆症などで軽度の圧迫骨折を来している際には、安静と簡易コルセットなどの外固定をすることで、3〜4週間でほとんどの症状が改善するとされています。 転移性骨腫瘍が原因である場合には、癌そのものに対する化学療法やホルモン治療が行われます。骨転移による痛みが強い場合には、放射線治療が有効な場合もあります。骨破壊が進行しており、脊髄への圧迫がみられるような際には、脊椎固定術も行われます。 脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。 背骨(胸椎)を押して痛いときの改善方法 背骨(胸椎)を押して痛いときの改善方法として以下の3つが挙げられます。 医療機関を受診する 正しい姿勢を意識する 普段の姿勢やストレッチなどで痛みを緩和できるかもしれませんが、まずは専門医の診断を受けることをおすすめします。 医療機関を受診する 前述してきたとおり、背骨の胸のあたりにある「胸椎」を押して痛い場合にはさまざまな原因があります。脊椎過敏症のように、胸椎を押したときの痛み以外に特に症状がなく、治療をしなくても自然に改善していくこともあります。 一方で、胸椎椎間板ヘルニアなどは、下半身の筋力低下や感覚低下といった神経症状がみられます。こうした場合、基本的には手術が必要となりますので、早めに整形外科などの専門医療機関を受診することをお勧めします。 背骨(胸椎)を押して痛いときは、自己判断せずに医療機関に相談しましょう。当院「リペアセルクリニック」では、胸椎の痛みなどに関する再生医療や幹細胞治療を得意としていますので、まずはお気軽にご相談ください。 正しい姿勢を意識する 正しい姿勢は背骨にかかる負担を減らすことができます。特に猫背は背骨に負担がかかるので、背筋を適切に伸ばした状態をキープするようにしましょう。 日常の中で特に猫背になりやすい体制として、以下の3つが挙げられます。 スマホを操作するとき デスクワークをするとき 寝るとき 日常生活には背骨への負担がかかる場面が多くあるので、上記を参考にできることからはじめていきましょう。 まとめ|背骨(胸椎)に痛みを感じたらすぐに受診を! 本記事では、背骨(胸椎)を押して痛い原因や5つの病気、治療などについて解説しました。 胸椎椎間板ヘルニアなどの神経を圧迫する疾患では、治療が遅れると脊髄の神経が傷つき、麻痺が完全に治らない場合もあります。現在の医療では、一度傷ついた神経細胞を完全に修復することは難しいですが、当院は自己脂肪由来幹細胞を用いた再生医療を、脊髄損傷にも応用しています。 背骨(胸椎)を押して痛い病気の中には、後々まで症状が残る場合もあるため、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。 再生医療に少しでもご興味のある方は、当院「リペアセルクリニック」までご相談ください。 背骨(胸椎)の痛みに関するよくある質問 Q.背骨(胸椎)が痛むときにストレッチをしても大丈夫ですか? A.痛みや症状によってはストレッチを避けて安静にするのが良いです。 例えば、胸椎自体の痛みがある場合は、骨折や脊椎炎などが考えられ、このような場合はストレッチは避けるのが無難です。 また、胸椎椎間板ヘルニアの場合は、ヘルニアを押し戻すような効果として、猫のポーズが有効な場合があります。 このように、自己判断でストレッチをすると症状を悪化させてしまいかねませんので、医療機関を受診しましょう。 なお、胸椎椎間板ヘルニアの痛みを予防するストレッチについては、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。 参考文献 胸背部痛.日内会誌.2010;99:1686-1689. 脊椎過敏症 (medicina 14巻13号) | 医書.jp 胸椎(せなか)の症状一覧 - 日本整形外科学会 強直性脊椎炎(指定難病271) - 難病情報センター 「脊椎椎体骨折」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる 「転移性脊椎腫瘍」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる
2023.12.18 -
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胸椎椎間板ヘルニアの痛みに!ストレッチで痛みを和らげる方法 「足が動きにくい気がする」、「両足のしびれが気になる」このような症状がある場合は、もしかすると胸椎椎間板ヘルニアかもしれません。 ヘルニアは腰や首だけでなく背中にある胸椎でも起こります。 本記事では胸椎椎間板ヘルニアについて解説し、痛みを軽減するためのストレッチを紹介します。自宅でも簡単にできる方法を紹介するので、ぜひ実践してみましょう。 胸椎椎間板ヘルニアとは?原因と症状について解説 ここでは胸椎椎間板ヘルニアとはどのような病気なのかを解説します。原因や症状についても紹介するので、自分自身に当てはまる方は早めに整形外科に受診しましょう。 胸椎椎間板ヘルニアの病態 背骨は脊椎と呼ばれ、椎骨と呼ばれるブロックのような小さい骨が積み重なってできています。椎骨の首の部分を頚椎、腰の部分を腰椎と呼び、頚椎と腰椎に挟まれた背中の部分を胸椎と呼びます。 椎骨と椎骨の間には、衝撃を吸収するクッションの役割をもつ椎間板があります。ヘルニアは、椎間板の中にあるゼリー状の髄核(ずいかく)が、椎間板から突き出してしまい、近くの神経を圧迫してしまう状態です。 胸椎の椎間板で生じるヘルニアを胸椎椎間板ヘルニアと呼びます。胸椎は頚椎や腰椎より動きが少ないため、頚椎や腰椎に比べてヘルニアになることが少ないとされています。 胸椎椎間板ヘルニアの原因 椎間板ヘルニアは加齢や繰り返しかかる負担で椎間板が変化したり断裂したりして起こります。繰り返し椎間板に負担のかかる作業といえば、重い荷物を抱えたり、運転など長時間座ったりする作業です。 また動きや接触の激しいスポーツ、事故などの衝撃もヘルニアの原因となります。 前述のように胸椎は動きが少なく、頚椎や腰椎に比べると上記のような原因でヘルニアになるケースは少ないです。 胸椎椎間板ヘルニアの症状 胸椎椎間板ヘルニアの症状は以下のようなものがあります。 症状例 脚がしびれる 脚に力が入らない 歩くとふらつく お腹がしめつけられる 背中や脇腹が痛む おしっこが出にくい、漏らしてしまう 胸椎椎間板ヘルニアによってうまく歩けなかったり、ふらついたりするのは、脚の筋力が低下してしまい、うまく力が入らないためです。 なぜ筋力低下が起こるのかというと、ヘルニアにより背中を通る神経が障害されてしまい麻痺してしまうからです。 さらに麻痺が進行すると、排尿を支配する神経も障害されるため、おしっこが出にくいなどの症状が出ます。しびれなどの感覚障害も症状の1つですが、痛みをともなうことは多くありません。 まれに、神経の障害の影響で背中や脇腹のあたりが痛む場合もあります。このような痛みを肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)と呼びます。腰椎のヘルニアでよく見られるような、腰から脚に広がる神経痛は胸椎椎間板ヘルニアでは少ないです。 胸椎椎間板ヘルニアの治療 胸椎椎間板ヘルニアの治療は症状の進行度合いによって変わり、保存療法と手術療法に分けられます。 それぞれの治療を選択する基準や治療の内容について紹介します。 胸椎椎間板ヘルニアの保存療法 ヘルニアがあっても症状が軽く、脚の筋力低下や排尿の障害などが伴わない場合は、コルセットや内服薬で痛みの軽減を図ります。 ヘルニアは症状が自然に治る場合もあります。症状が軽い場合は、まず保存療法で様子を見ます。 胸椎椎間板ヘルニアの手術療法 胸椎椎間板ヘルニアの症状が進行し、麻痺の症状が見られると保存療法での治療は困難です。 その場合、放置すると症状が徐々に進行してしまうため、できるだけ早くヘルニアを除去する手術が行われます。 手術は背骨の一部を取り除き、神経を圧迫しているヘルニアを除去する治療をします。 胸椎椎間板ヘルニア(予防)におすすめのストレッチ2選 胸椎椎間板ヘルニアの予防や、痛みの緩和をするためにオススメのストレッチを2つ紹介します。 特別な道具も必要なく自宅でも簡単にできる方法ですので、日頃の生活に取り入れてみましょう。 横になってする胸椎ストレッチ まずは寝た状態でできる胸椎のストレッチです。 胸椎が固くなると猫背になり、胸の前側が固くなります。 このストレッチでは胸の前側の筋肉を伸ばすことができ、姿勢の改善が期待できます。 横になって行う胸椎ストレッチ 1. 左側が下になるように両膝を曲げて背筋を伸ばした状態で横になる 2. 両肘を胸の前でまっすぐ伸ばし、両手のひらを合わせる 3. 右手を大きな半円を描くように頭上を通りながら水平に後ろまで動かす (このとき手の動きを追うように頭も動かす) 4. 右手を元の位置に戻して5往復程度繰り返す 5. 反対も同様に行う ゆっくりと動作を行い痛みが出ない程度の範囲で行いましょう。 四つ這いでする胸椎のストレッチ 四つ這いになって背骨の柔軟性を高めるストレッチを紹介します。 胸椎のストレッチに加えて、背骨を支える筋肉を働かせるためトレーニングの効果も期待できる運動です。 四つ這いで行う胸椎ストレッチ 1. 背中をまっすぐにして四つ這いになる 2. おへそをのぞき込みながら背中を丸めるようにゆっくり動かす 3. 目線を少し上にして両方の肩甲骨寄せながら背中をそらすようにゆっくり動かす 4. 5往復程度繰り返す 最初の姿勢では肩の下に両手を肩幅に広げて置き、腰の真下に膝がくるようにします。また背骨を一つずつ動かすような意識でゆっくりと実施するのがポイントです。 ストレッチを継続して胸椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげよう| 症状がある場合は早めの受診が大切 胸椎椎間板ヘルニアは症状が進行すると歩くのが難しくなり、排尿が障害される怖い病気です。 麻痺の症状は徐々に進行するので、放置せず早めに整形外科へ受診をするようにしましょう。 症状が軽い場合は保存療法が選択されますが、ストレッチを継続して胸椎の柔軟性を高めることで、椎間板への負担を軽減するのもオススメです。 ただし、症状があるからといってマッサージを受けるなど自己判断で治療を進めるのではなく、受診をして医師の指示による正しい治療を受けましょう。 ▼以下も参考医されませんか 胸椎椎間板ヘルニアとは?その症状と原因、治療について 参照資料 標準整形外科.医学書院,東京,2020,pp550. 日本整形外科学会「胸椎椎間板ヘルニア」
2023.12.14 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
頸椎椎間板ヘルニアを発症したら、何日入院する必要があるの? 手術を受けた場合の休養期間は? 頸椎椎間板ヘルニアを発症した、もしくは疑われている方は、このような疑問を持っているでしょう。 この記事では各状況での平均的な休職期間を解説します。 どの程度休む必要があるのか把握したい方は参考にしてください。 【予備知識】頸椎椎間板ヘルニアとは 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の背骨)と頚椎の間にあるクッションのような役割をしている椎間板が破れたりして、脊髄や神経根が圧迫されることで神経症状が起こる病気です。 症状は首の痛みが急激に生じ、続いて、腕や手指に痺れや痛みを感じます。腕や手指に脱力が生じることもあります。 ヘルニア病変が大きく、脊髄の圧迫が強まると、巧緻(こうち)運動障害を生じ、お箸がうまく使えない、字が下手になる、ボタンを留めることが難しいなど、細かな作業ができなくなったり、さらには歩行障害が生じることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアでは、まれにヘルニアが自然に吸収され、自然治癒にいたる例も多数報告されています。 そのため、症状が軽い場合には保存的治療をおこない、経過をみていくことが多いです。 たとえば、薬の内服や安静、理学療法や頚椎カラー固定などの保存的治療が選ばれます。 薬の内服や安静 理学療法 頚椎カラー固定 ※保存療法でも、症状の悪化は十分にありうるため、常に注意をしておく必要があります。 関連記事:頚椎椎間板ヘルニア「初期症状を見逃さない」ための!3つのポイント 頸椎椎間板ヘルニアで仕事や運動にドクターストップがかかるケース 頸椎椎間板ヘルニアの症状が重篤だと、仕事や運動に支障が出ます。 以下のケースではドクターストップがかかるでしょう。 神経症状の悪化が予測される 脊髄への影響が疑われる 業務内容がデスクワークなど、頸椎に負担がかかるものである 休業期間や手術が必要である 頸椎椎間板ヘルニアを発症しても、「無理をすれば働けなくもない」程度の症状にとどまるケースがあります。 しかし頸椎椎間板ヘルニアは、薬の内服や休業期間などがないと、症状が悪化します。 ドクターストップがかかれば指示どおりに休業するべきでしょう。 メール相談 オンラインカウンセリング 頚椎椎間板ヘルニアによる入院・休業期間の平均日数 頸椎椎間板ヘルニアによる入院・休業期間の平均日数は、状況によって異なります。 次の章でいくつかの状況と、それぞれの入院・休業期間を示します。 手指の繊細な仕事が必要な場合 手指の巧緻運動障害や、痺れや脱力症状も、頚椎椎間板ヘルニアの症状です。 そのため、こうした症状がある場合は、絵を描く、工芸品を作る、など繊細な手作業を要する仕事の場合には、症状が改善するまで休むことが必要となる場合があります。 軽度の症状なら、数日の休業期間にとどまるでしょう。症状が重ければ1週間以上かかることもあります。 頚椎椎間板ヘルニアによる症状が重い場合 頚椎椎間板ヘルニアでは、通常は上半身、とくに首から肩、腕、手指などに痺れや痛み、ときに脱力などの症状が現れます。 一方で、重症になると歩行障害など下半身にも影響がみられます。 そのため、仕事内容によって歩くことが必要となる職種、デスクワーク以外、たとえば営業職や販売、倉庫、工場などでの勤務は、治療がある程度完了するまでの間、仕事を休まざるを得ない場合もあるかもしれません。 休んでも筋力低下や脱力、巧緻障害が戻らないときは手術が必要です。 また、第1指と第2指の骨間筋の萎縮が見られることもあり、注意して診察しなければいけません。 症状が重い場合は、1〜2週間ほどの休業期間が必要でしょう。 手術を受けた場合 頚椎椎間板ヘルニアの症状が「保存的な治療で改善しない場合」、患者様から「強い希望がある場合」、また先ほど述べた「巧緻運動障害や歩行障害がある場合」などでは、全身麻酔のもとで前方除圧術や前方除圧固定術などの外科的治療(手術)が選択されます。 頚椎椎間板ヘルニアでは、頚椎前方除圧固定術がよく選ばれます。 この手術は、頚椎の前側、つまり首の前面から皮膚や筋肉を切り開き、椎間板や頚椎の骨の出っ張っている部分を切除して、神経の圧迫を取り除くものです。 手術自体は1〜1.5時間くらいで、翌日から歩行可能とされています。 しかしながら、入院期間はリハビリなども含めて通常10〜14日程度です。 そのため、その間はもちろん通勤などはできませんし、仕事を行うのは難しいでしょう。 また退院後すぐに出勤できるかどうかは人によりさまざまですが、手術を行なった場合には休む期間は平均で3〜6週間ほどと考えられます。 外科的治療(手術) 手術時間の目安 入院期間の目安 休職期間の目安 頸椎前方除圧固定術 1〜1.5時間 10~14日 3~6週間 一方で、ヘルニアによって神経根や脊髄の圧迫が強いために、後遺症として神経症状が残ってしまった場合は、休職、あるいは仕事を辞めることを検討する必要があるでしょう。 このように術後の後遺症で悩まれている方はたくさんおられますが、今の保険診療内では根治は難しいとされています。 そこで、幹細胞による再生医療が注目されています。 ▼術後の後遺症でお悩みの方へ 脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。 メール相談 オンラインカウンセリング 頚椎椎間板ヘルニアでも仕事を休めない場合には 基本的には痛みが強い間には安静にしておくことが大切ですが、頚椎椎間板ヘルニアによる腕の痺れや首の痛みがあっても、休業期間を取れないケースもあります。 そのような場合には、頚椎カラーで首を固定したり、首を曲げるような動きは極力避けることで、頚椎椎間板ヘルニアの症状悪化を防ぐことが期待できます。 頚椎椎間板ヘルニアでの症状を軽減させるポイント それでは、休業期間中に注意したいポイントを解説します。 頚椎椎間板ヘルニアの症状を軽減させるためには、頚椎の良い姿勢を保つことが大切です。 とくに後屈、つまり後ろに反らす動作を避けることが重要です。 たとえば、上を見上げる姿勢は取らない、首をぐるぐると回す運動は避ける、腹ばいでの読書や、そうした姿勢でのテレビ視聴は避けるなどの注意が必要です。 これらを予防するために、頚椎カラーも有効です。 また、寝る際には首までしっかりと固定できる面積の広い枕を使うことも良いでしょう。 このようなポイントを守ることで、頚椎椎間板ヘルニアによる神経症状の悪化を、ある程度食い止めることが可能と考えられます。 上を見上げる姿勢は取らない 首をぐるぐると回す運動は避ける 腹ばいでの読書やそうした姿勢でのテレビ視聴を避ける 首までしっかりと固定できる面積の広い枕の使用をする メール相談 オンラインカウンセリング まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの治療、入院期間と休業期間について 今回の記事では、頚椎椎間板ヘルニアの症状の程度によっては仕事を休まざるを得ないケースを解説しました。 頚椎椎間板ヘルニアによる休業期間の必要性は、症状の種類と程度によって異なります。 手指の繊細な作業が必要な場合や症状が重い場合は休職が必要となることがあります。 症状の程度に応じて適切な休業期間を確保し、適切な治療と姿勢の管理を行うことが必要です。 頚椎椎間板ヘルニアは、多くは保存的治療もしくは手術によって症状が改善します。 一方で、神経の圧迫の程度が強く、後遺症が残ってしまう場合も残念ながらあり得ます。 手術や保存的治療を受けた後でも、症状が改善せず仕事を続けることが難しい場合があります。 最後に頚椎椎間板ヘルニアによる神経症状を軽減させるためには、適切な姿勢を保つことが重要です。 休む期間に限らず、普段から意識して姿勢を整えるようにしたいものです。 ▼当院では、脂肪由来の幹細胞を使用した脊髄内幹細胞の投与による、傷ついた神経の修復・再生に取り組んでいます。 https://www.youtube.com/watch?v=0hyJR5VW3oY&t=64s 頚椎椎間板ヘルニアの手術を受けてもなかなか症状が改善しない、術後の後遺症に悩んでいる、仕事に早く復帰したい方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 メール相談 オンラインカウンセリング
2023.12.11 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
頚椎ヘルニアは座りっぱなしの人に多い病気で、腕や首の痛み・痺れが特徴です。 「頚椎ヘルニアにはストレッチが有効」という情報を耳にして、具体的にどのような動きをすれば良いのか疑問に思っているのではないでしょうか。 結論、頚椎ヘルニアは首の疾患ですが、実は首だけでなく胸のストレッチ・運動も重要といわれています。 そこでこの記事では、頚椎ヘルニアに対して有効なストレッチのやり方や注意点をくわしく解説します。頚椎ヘルニアでお困りの方はぜひチェックしてください。 頚椎ヘルニアに効果的なストレッチ5選 結論からいえば、頚椎ヘルニアには首・胸のストレッチが効果的と考えられています。 頚椎ヘルニアは頚椎(首の骨)の間にある椎間板と呼ばれるクッションが変性してしまい、後ろに押し出されることで神経を圧迫する病気です。頚椎は本来後ろ向きに湾曲していますが、なんらかの原因で首が前に倒れると椎間板が後ろに押し出されやすくなります。 頚椎が前に倒れる原因は、ストレートネックや猫背といった不良姿勢です。 不良姿勢は首や胸の筋肉の緊張によって引き起こされることも多いため、ストレッチが効果的と考えられています。つまり、不良姿勢を改善するストレッチが頚椎ヘルニアの予防・改善につながるのです。 ここからは首・胸の部位にわけてストレッチの方法を解説します。頚椎ヘルニアでお悩みの方はぜひ最後までチェックしてください。 僧帽筋・肩甲挙筋のストレッチ 首のストレッチでは、僧帽筋(そうぼうきん)・肩甲挙筋(けんこうきょきん)という首〜肩甲骨にかけてついている筋肉を伸ばします。これらは首の後ろに位置するため、固まると頭が前方に突出し、ストレートネックの原因になりかねません。 僧帽筋・肩甲挙筋をストレッチすればストレートネックの改善につながる可能性があります。 アゴを首に近づけるように後ろに引きながらストレッチすることがポイントなので、ぜひ参考にしてください。 首を動かす僧帽筋・肩甲挙筋のストレッチ 1. 椅子に座って正面を向く 2. 左手を頭頂部に置き、右のこめかみ付近に指先を当てる 3. 手の重みを利用してゆっくり左側に頭を傾ける 4. 15秒から30秒程度キープする 5. 元の位置に戻す 6. 左手を後頭部に回し、指先を右耳の後ろに当てる 7. 手の重みを利用してゆっくり左前側に傾ける 8. 15秒から30秒程度キープする 9. 元の位置に戻す 10. 反対も同様に行う このストレッチは息を止めてしまいやすいため、呼吸を意識しながら行いましょう。 また、手で強く押さえつけると首を痛める原因となります。手や頭の重みを血要する程度にとどめ、ゆっくりストレッチしてください。 肩を動かす僧帽筋・肩甲挙筋のストレッチ 1. 椅子に座ってアゴを引き、リラックスする 2. できるだけ強く肩をすくめて持ち上げる 3. 持ち上げ切ったところで肩を止め、5秒間保持する 4. 5秒経ったら力を抜き、ストンと落とす 5. 10〜20回繰り返す このストレッチでは力を入れるところと抜くところのメリハリが重要です。 しっかりと力を入れて肩を持ち上げて、一気に脱力するように意識すればより僧帽筋・肩甲挙筋が伸びるでしょう。 また、ストレッチ中はアゴが上がらないように注意してください。 大胸筋のストレッチ 大胸筋は胸の前方〜鎖骨・腕にかけてついている筋肉です。 大胸筋が固くなると鎖骨や腕が前に引っ張られ、猫背になってしまうことがあります。猫背になると同時に首も前方に倒れ、頚椎ヘルニアの原因になりかねません。 こまめに大胸筋のストレッチを行い、猫背や頚椎ヘルニアを改善しましょう。腕や体を大きく動かしながらストレッチするとよく伸びるので、ぜひ試してください。 立ってできる大胸筋のストレッチ 1. 壁に対して横向きに立つ(右側が壁になるように) 2. 右側の手のひらと腕を壁につける(肩と肘が同じ高さになる位置) 3. ゆっくり体を左側にひねる 4. 右胸の前側が伸ばされるのを感じた状態で15秒から30秒キープする 5. 反対側も同様に行う ポイントは手のひらを壁につけたまま、しっかりと体を捻ることです。体の捻りに腕がついてくると大胸筋のストレッチが弱くなるため、壁に手をつけたまま動かないように体を捻ってください。 座ってできる大胸筋のストレッチ 1. 椅子の背もたれから少し体を離してまっすぐ座る 2. タオルを持ったままバンザイする 3. タオルを引っ張るように腕を開きながら腕を後ろに引く 4. 肩甲骨を背骨に寄せるようにしながら肘を曲げていく 5. バンザイ→肘を曲げる動作を10回程度繰り返す このストレッチでは、胸を張るように肩甲骨を背骨に寄せる動きが重要です。 また、腕を開いて肘を曲げていく際に頭が下を向きやすいため、頭の位置を変えないように注意してください。 寝ながらできる大胸筋のストレッチ 1. 横向きに寝て、上になった側の足を前に出す 2. 上になった側の手を天井に向けて伸ばす 3. 上に伸ばした手を手のひらが前に向いたまま背中に向かって倒していく 4. 後ろに倒した手を元に戻し、10回繰り返す 後ろに倒すときには、肘をしっかり伸ばしたまま倒すようにこころがけてください。 また、後ろに倒しながら息を吸うことで胸が膨らみ、大胸筋が伸びやすくなります。 頚椎ヘルニアの原因は「ストレートネックや猫背」 そもそも頚椎ヘルニアとは、首の骨(頚椎)の間にある椎間板が圧迫されることで、椎間板の中にある髄核(ずいかく)が後ろに突出し、首の後ろにある神経が圧迫される病気です。 頚椎ヘルニアの主な原因は、猫背やストレートネックなど首が前に倒れる不良姿勢です。また、加齢や飲酒・喫煙などの生活習慣の乱れによって起こることもあります。 猫背やストレートネックが原因で頚椎ヘルニアを発症した場合、首や胸のストレッチを行うことで症状が緩和・改善する可能性があります。 しかし、不良姿勢以外が原因である場合は、ストレッチのみでの症状改善は難しいかもしれません。放置すると首〜腕にかけての痛みや痺れが悪化したり、歩行が困難になったりする可能性もあるため、ストレッチをしても症状の変化がない場合には、早めに整形外科を受診しましょう。 ちなみに、当院リペアセルクリニックでは再生医療を中心に、頚椎ヘルニアの治療にも取り組んでいます。頚椎ヘルニアに対しての治療で気になる方は、メール相談もしくはオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。 頚椎ヘルニアの初期症状についての記事はこちら: 頚椎ヘルニアの詳しい原因と症状についての記事はこちら: ストレッチ以外で頚椎ヘルニアを予防するポイント2つ 頚椎ヘルニアの症状を改善・予防するためには、生活習慣の改善と筋トレが効果的です。 乱れた生活習慣や筋力の低下は猫背やストレートネックにつながるため、意識して改善することで頚椎ヘルニアの改善・予防効果が期待できます。 それぞれどのような効果があるのか、詳しくみていきましょう。 生活習慣の改善 生活習慣の改善には、以下に挙げる3つに気をつけてください。 不良姿勢の改善 適切な枕の使用 首に負担のかかる生活の改善 猫背やストレートネックといった不良姿勢は頚椎ヘルニアを強めるため、普段から姿勢を正す意識を持ちましょう。 また、枕の高さが合っていないと寝ている間首への負担が強くなるため、適切な高さに調整することをおすすめします。 首に負担がかかる生活、とくにスマホの見過ぎには注意が必要です。スマホの見過ぎによってストレートネックになることが予想されるため、姿勢を正して使う意識を持ってください。 なお、以下の記事でも頚椎ヘルニアで注意してほしいことをご紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。 筋トレ 頚椎ヘルニアの原因に多い猫背やストレートネックは、体幹を中心とする筋トレによって矯正できる可能性があります。体幹を鍛え、猫背やストレートネックが解消されれば、頚椎ヘルニアの改善にもつながるでしょう。 ただし、筋トレをするにあたって痛みが強い場合には避けてください。痛みがあるにもかかわらず無理に筋トレをすると、頚椎ヘルニアの症状を強めてしまう可能性があります。 無理のない範囲での筋トレをこころがけ、少しずつ取り組むことが大切です。 まとめ|頚椎ヘルニアには首と胸のストレッチが重要!早めの受診も検討しよう 頚椎ヘルニアに効果的なストレッチは、首だけでなく胸を伸ばすのがポイントです。とくに僧帽筋・肩甲挙筋・大胸筋に対するストレッチをして、猫背・ストレートネックといった不良姿勢の改善を目指しましょう。 毎日続けることでより効果が出やすくなる可能性が高いため、少しずつでも良いので取り組んでみてください。 ストレッチを続けても効果が出ない場合や、腕・首の痛みが強い場合は、整形外科の受診がおすすめです。整形外科ではストレッチでは改善しなかった頚椎ヘルニアに対して、薬物療法や注射といった選択肢があり、専門的な治療が可能です。 ちなみに当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による頚椎ヘルニアの治療も行っています。もしあなたが頚椎ヘルニアの治療法で悩んでいるのであれば、ぜひメール相談もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 この記事が少しでも頚椎ヘルニアの症状緩和につながれば幸いです。 頚椎ヘルニアについてよくある質問 頚椎ヘルニアはストレッチで良くなりますか? 頚椎ヘルニアはストレッチをすれば症状が改善する可能性があります。 しかし、頚椎ヘルニアの程度が重度である場合、ストレッチのみでは改善しないかもしれません。その場合には、できるだけ早い整形外科への受診をおすすめします。 頚椎ヘルニアに筋トレは有効ですか? 頚椎ヘルニアの原因が不良姿勢の場合、筋トレが有効といえます。 頚椎ヘルニアの原因である猫背・ストレートネックなどの不良姿勢は、筋力不足によって引き起こされることがあります。筋トレによって不良姿勢が改善されれば、頚椎ヘルニアの症状も和らぐ可能性があるでしょう。 ただし痛みや痺れがあるにもかかわらずトレーニングを行うと逆効果になってしまうため、注意が必要です。整形外科の医師に相談の上、無理のない範囲で行いましょう。
2023.12.07 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
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頚椎椎間板ヘルニア、原因と症状、首や肩の痛みからわかることを解説します 首が痛い、手がしびれるなどの症状で悩む場合は、頚椎椎間板ヘルニアの可能性があります。頚椎椎間板ヘルニアはどなたでも発症する可能性がある疾患の1つであり、首の神経が圧迫されることによりさまざまな症状が現れます。 本記事では頚椎椎間板ヘルニアとはどのような疾患か、頚椎椎間板ヘルニアを発症する原因や症状の変化について解説します。特に首や肩が痛い方や手にしびれがある方など、頚椎椎間板ヘルニアを疑う症状がある方はぜひ参考にしてください。 頚椎椎間板ヘルニアとは 人の首には7個の頚椎(けいつい)と呼ばれる骨があり、頚椎と頚椎の間には椎間板(ついかんばん)という組織があります。頚椎椎間板ヘルニアはこの椎間板が一般的に後ろ向きに飛び出る疾患です。椎間板には首の骨をつなぎあわせるクッションのような役割があり、椎間板が動くことで首が回ったり曲がるなど可動できます。 椎間板はやわらかい組織である髄核のまわりを、固い繊維輪と呼ばれる組織が取り巻いています。そして線維輪がダメージを受けてひびが入ると、中身の髄核が外に飛び出してきて椎間板ヘルニアの状態となります。 頚椎椎間板ヘルニアは30~50代に多く発症し、さまざまな症状により日常生活に支障が生じることがある疾患です。 頚椎椎間板ヘルニアの原因 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の椎間板の中にある髄核が脱出することが原因ですが、以下のようなことが原因となり発症することがあります。 原因について 加齢による椎間板の衰え 激しく体をぶつけあうスポーツ 急に強い力が首にかかるスポーツ 首を前に突き出す動作、反り腰、猫背などの姿勢の悪さ 喫煙による血行不良での椎間板の劣化 合わない枕の使用など、寝方の姿勢 脱出する最大の原因は、加齢による椎間板機能の衰えです。首にある椎間板は、常に頭を支えているため老化しやすいと考えられています。 また、最近では加齢以外でも、スポーツや姿勢の悪さが原因となることもあります。 格闘技や柔道、ラグビー、アメリカンフットボールなど激しく体をぶつけあうスポーツや、急に強い力が首にかかる器械体操やスキー、スノーボードなどでも発症します。 そして、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの画面を見ようとして首を前向きに突き出す動作や、反り腰、猫背なども頚椎椎間板ヘルニアを発症する原因になるため注意が必要です。 そのほか、タバコにより毛細血管の血流が悪くなって椎間板が劣化しやすくなるため、禁煙するようにしましょう。また、寝方によって頚椎椎間板ヘルニアが発症しやすくなり悪化することがあるため、自分に合った枕を使うのがおすすめです。 頚椎椎間板ヘルニアの症状 頚椎椎間板ヘルニアの主な症状は、首が痛い、首がこる、手がしびれる、力が入りにくいなどさまざまな症状が現れます。 椎間板ヘルニアの症状は、原因である髄核の脱出によって圧迫される部位により、大きく2つに分けられます。 一般的に椎間板ヘルニアは、脊髄と呼ばれる脳につながる神経の束がある背中側(後ろの方)に髄核が飛び出しますが、脊髄の左右には脊髄から分岐した神経根という神経があります。髄核が脊髄を圧迫すれば脊髄症、神経根を圧迫すると神経根症の症状が現れます。 脊髄症の症状 脊髄症の代表的な症状は手のしびれです。手のしびれはどちらか片側のみの場合と、時間がたつと反対側にも現れることがあります。 また、手指を細かく動かせなくなって衣服のボタンをとめたり外したりしにくくなる、お箸をうまく使えなくなるなどの症状も出現します。そして次第に手指だけではなく足がこわばってきて、階段の昇り降りがしにくく歩きにくいという痙性(けいせい)歩行と呼ばれる症状も認めます。 神経根症の症状 神経根症の場合は、主に首から肩、手指にかけての痛み、しびれが現れます。 また、多くの場合には両側ではなく片側にのみ認めます。飲料水を飲む時やうがいをする時などに首を後ろ側に傾けると、神経根がより一層圧迫されることで症状が増強するのが特徴です。 頚椎椎間板ヘルニアによる症状の変化 頚椎椎間板ヘルニアを初期症状、中期症状、後期症状の3段階に分けて説明します。 頚椎椎間板ヘルニアは、このように発症段階によって症状の現れ方が異なります。しびれや痛みが強まり、症状が進行すると手術が必要になることもあるため、放っておかずに早めの対処することが大切です。 頚椎椎間板ヘルニアの初期症状 初期の頃は首や肩に違和感が出たり鈍い痛みを感じたりしますが、動かずに安静にすれば症状は改善します。初期段階で医師の診察を受ければ約1~8週間で症状はおさまります。 頚椎椎間板ヘルニアの中期症状 中期の段階になると、首や肩にはっきりとした痛みやしびれを認めるようになり日常生活にやや支障が出てきます。 この段階で病院を受診すれば、初期段階と同様に約1~8週間で症状は改善していきますが個人差が大きいです。 具体的には、痛み止めなどを使いながら安静に過ごしたりリハビリテーションを行ったりします。 頚椎椎間板ヘルニアの後期症状 後期の段階では、首や肩の痛みやしびれが強くなるとともに、顔や手指、足などにも痛みやしびれが広がることがあります。強い症状が影響して首がスムーズに動かせなくなり、基本的には手術が必要な状態です。 具体的には約2週間の入院中に患部の手術とリハビリテーションや薬物療法を行います。手術は体への負担が大きいとともに、脊髄損傷と呼ばれる術後合併症が起こるリスクもあります。 そして退院後も定期的な通院が必要なため、治療期間は数ヶ月から約1年かかってしまいます。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニア!原因と症状 頚椎椎間板ヘルニアは、首の骨を支える椎間板の一部が飛び出て神経を圧迫することでさまざまな症状が現れる疾患です。椎間板が脱出する原因として、加齢やスポーツ、悪い姿勢、生活習慣などがあげられます。 頚椎椎間板ヘルニアの主な症状は首や肩の痛みやしびれですが、進行するにつれて症状が強まるとともに、手指や足などにも症状が現れる場合があります。症状が増悪すると手術が必要になることもあるため、首の痛みに気づいたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼首のヘルニアのセルフストレッチなどご自分でできる事は解説しました 頚椎(首)椎間板ヘルニアを自分で治す!ストレッチと予防のポイント
2023.12.04 -
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頸椎椎間板ヘルニアの症状とはどのようなもの? 初期症状はどう見分ければいい? 症状の程度を知りたい このように考えている方は多いでしょう。 頸椎椎間板ヘルニアには独特の症状があり、事前に理解していれば判断できます。 この記事では頸椎椎間板ヘルニアの症状や治療に関して解説します。 頚椎椎間板ヘルニアの初期に見られやすい3つのチェックポイント 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎(首の骨)間のクッションである「椎間板」組織の一部がなんらかの理由で本来の場所から逸脱することで起こる疾患です。 この椎間板は年齢とともに成分である水分がぬけてきて、脆くなりヘルニアとして突出してきます。 「ヘルニア」という言葉は臓器や組織が本来あるべき場所からはみ出してしまうことを指します。 初期症状のチェックポイントは以下3点。 ①首の痛み ②片方の腕や手の痛み・痺れ ③両手の痺れ・感覚障害 ①首の痛み 首の痛みは頚椎椎間板ヘルニアの最初期の症状で、具体的には以下のような状態になります。 首の後ろ側が痛くなる(顕著な場合は肩甲骨あたりまで痛む) 左右に捻ったときだけ痛みを感じる 寝違えたような痛みがある このような症状が、突発的に現れるのが、頸椎椎間板ヘルニアの特徴です。 メール相談 オンラインカウンセリング ②片方の腕や手の痛み・痺れ 片方の肩から腕、手にかけての痛みや痺れは「神経根の圧迫」が起こることで認められる症状の典型例です。 「神経根」とは脊髄から体の各部位に伸びる神経の付け根のことです。 各椎体と椎体の間から、左右それぞれに1本ずつ神経の束が伸びていきます。 神経根が出てくるのは椎体の外側やや後ろです。 椎間板組織がやや斜め後ろに飛び出すことにより神経根の圧迫が起こると、その神経の領域を中心に強い痛みをはじめとした症状が起こります。 頚椎から伸びる神経は主に肩から腕、手にかけて分布する神経です。 そのため頚椎椎間板ヘルニアの神経根症状は主に肩・腕・手に認められます。 症状は圧迫された側のみに起こるため、左右どちらか一方のみが痛んだり痺れたりします。 神経根圧迫による症状は「電気が走るような」「ビリッとした」などと表現されることが多いです。 ときに激痛となり、日常生活が困難になる人もいます。 ③両手の痺れ・感覚障害 片手でなく両手が痺れる場合はヘルニアによる「脊髄」のダメージが起こっている可能性があります。 脊髄は椎体(いわゆる背骨)の真後ろを走っています。椎間板の組織が体の後方へ飛び出すことで、脊髄が圧迫されます。 脊髄の圧迫による症状は指先から始まり、徐々に範囲が広がっていくことが多いです。 片側から始まることも多いですが、最後には両手に認めます。感覚も鈍くなります。 その後はさらに体幹部や足へも症状が広がっていきます。 神経根の圧迫と異なり、脊髄の圧迫では強い痛みはあまり感じません。 「なんとなく痺れた感じがする」程度の症状が、実は脊髄圧迫のサインであるかもしれないのです。 鑑別診断として、ALSなど神経系疾患、糖尿病の合併症である末梢神経障害、手根管症候群、足根管症候群なども注意しなければいけません。 頸椎椎間板ヘルニアの症状レベル4段階 頸椎椎間板ヘルニアの症状レベルは以下4段階に分けられます。 初期 発症期 中期 末期 それぞれでどのような症状があるか解説します。 初期|首や肩の違和感 初期症状が起こるのが前兆期です。以下のような症状が見られます。 軽微な首や肩の痛み 下半身のわずかな痺れや感覚の鈍麻 片手もしくは両手の痺れや感覚の鈍麻 初期症状として先述したとおりの症状が起こります。 ただしいずれも軽微であり、大きな問題にはなりません。 しかし症状が軽微であるがゆえ、診察や治療の意義を見出せず、対応が遅れがちです。 初期症状が見られたら、重篤化する前に医師の診察を受けるのが大切です。 発症期|鈍痛と痺れの併発 前兆期をすぎ、初期に入ると、先述した首や肩の痛み、手足の痺れなどが強まります。 痛みはいわゆる鈍痛であり、各部位も動かしにくくなります。 このあたりで、なんらかの疾患を疑い出すケースが多いでしょう。 また痛みも痺れも、日常生活や仕事に差し障るレベルになります。 運動の困難も一部見受けられ、箸を使う、ボタンを止めるといった動作がややむずかしくなります。 中期|首や肩の可動域の低下 中期に入ると、明らかな鈍痛や痺れとともに、首や肩の可動域が低下したのを感じるようになります。 今までどおり首を上下に動かせない、肩が回せないなどの症状があらわれます。 また手指がうまく使えなくなり、コップなどが持てない、手すりをつかめないなどの症状も起こりうるでしょう。 頭痛が伴うケースもあります。 末期|耳鳴りやふらつきなどの重大な症状の発生 末期になると、症状は頭部や下半身に広がります。 眼精疲労やめまい、耳鳴り、ふらつきなどの症状が生じ、日常生活に大きな支障が出ます。 痛みの悪化もひどく、手足だけでなく胸や背中に強い鈍痛が生じることも。 下半身では歩行障害が生じ、さらに尿失禁なども起こります。 この段階では入院や手術による大掛かりな治療が必要です。 初期段階で放置した場合のリスク 神経根症状の場合は悪化すると、支配神経の感覚障害や筋力低下が起こることがあります。 ただし、神経根症状の場合は安静を心がけるだけでも約2カ月から3カ月で自然治癒する方も多くいます。 一方、脊髄圧迫の症状が進行すると厄介です。 進行していくと、まず手の「巧緻(こうち)性運動障害」が起こります。 細かく指を使う動作が難しくなり、箸を使う・ボタンをかける・文字を書くなどの当たり前にできていたことができなくなるのです。 続いて、足の運動障害により歩行が難しくなります。 さらに進行すると排尿のコントロールに重要な神経の障害が起こり、頻尿・残尿感・失禁などを認めることもあります。 ①手の「巧緻(こうち)性運動障害」が起こる 細かく指を使う動作が難しくなる。 箸を使う、ボタンをかける、文字を書けなくなる 当たり前にできていたことができなくなる ②足の運動障害 歩行が難しくなる。 ③さらに進行すると 排尿の障害 頻尿、残尿感、失禁 関連記事:頚椎椎間板ヘルニアの症状と手術後の「痺れ」という後遺症について 治療について 初期の症状のうちは保存療法が基本です。 保存療法 最も重要なのは首の安静を保つことです。 とくに後屈動作、つまり顎を上げる動作は症状悪化の原因になります。 なるべく首を動かさないように、頸椎カラーの使用を指示されることもあります。 痛みが強いときは鎮痛薬の内服やブロック注射などが選択肢です。 手術療法 一方、脊髄症状が進行してしまい、巧緻運動障害・歩行障害・排尿障害などが起こると手術を考えることになります。 また、神経根症状でも治療抵抗性の場合は手術が選択肢となります。 しかし、脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。 関連記事:頚椎椎間板ヘルニアの具体的なリハビリの方法と注意点について! 頚椎椎間板ヘルニアについてよくある質問 Q:頚椎椎間板ヘルニアが心配です。何科に受診すれば良いでしょうか? 頚椎椎間板ヘルニアをはじめとした頚椎疾患は次のいずれかの診療科で診察を受けることができます。 整形外科 脳神経外科 ただし、これらの診療科であっても医師によって専門領域が異なることもあります。 場合によっては他の病院や診療科に紹介となる可能性も否定できません。 受診希望時に迷うようであればあらかじめ「頚椎の病気」を診てもらえるか問い合わせをしておくとスムーズです。 Q:頚椎椎間板ヘルニアはレントゲンでわかりますか? レントゲンで確定診断をすることはできません。 同様の症状をきたす他の病気がないかを診る目的で行います。 頚椎椎間板ヘルニアがあるかどうかはMRI撮影を行って調べます。 Q:頚椎椎間板ヘルニア発症時にやってはいけないことは? 以下のような活動や行動は避けましょう。 重いものを持ち上げる 首を大きくひねる 長時間同じ姿勢を取る スポーツに取り組む 寒い場所に行く 温熱療法を自己判断でおこなう ストレスをためる 基本的に医師の指示にしたがい、安静に過ごすのが重要です。 Q:頚椎椎間板ヘルニアを発症した場合の仕事を休む期間は何日? 症状の程度にもよりますが、手術がないなら1〜3週間の休業が必要です。 手術が必要なら、1カ月以上の休養が必要になるでしょう。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの初期症状を見逃さないための3つのポイント 頚椎椎間板ヘルニアはときに自然治癒することもある疾患です。 しかしながら、人によっては急激に悪化し、麻痺などの重い神経症状を認めることもあります。 一度重症化してしまうと手術を行わなければならないこともあり、早期に診断して適切な治療を行うことが望ましいです。 今回ご紹介した「首の痛み」「片方の腕や手の痛み・痺れ」「両手の痺れ・感覚障害」があれば、早めに病院を受診しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 メール相談 オンラインカウンセリング ▼こちらのご覧になりませんか 参考文献 山崎正志. 臨牀と研究. 97(7): 790-796, 2020. 鎌田修博. 整形外科看護. 12(9): 856-858, 2007. 中川幸洋. MB Orthop. 33(3): 27-34, 2020. 吉井俊貴, 江川聡. MB Orthop. 30(10): 7-13, 2017. ▼首のヘルニアについて症状のレベルは以下をご覧ください 頚椎椎間板ヘルニアの症状レベル、軽度から重度まで医師が解説!
2023.11.30 -
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「頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法は?」 「頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげるための注意点は?」 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎と頚椎の間にある椎間板と呼ばれるクッションのようなものが後ろに飛び出して、神経を圧迫してしびれや痛みなどが生じる病気です。 頚椎椎間板ヘルニアの症状が緩和されないときは、医療機関で専門家に相談しながら、今後の治療方針を検討する必要があります。 自分の症状に合わせた治療方法を知るためにも、頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法を医師が解説します。 最後まで読んでいただければ、負担を減らすためにできる日常生活での注意点も理解できるので、ぜひ参考にしてみてください。 頚椎椎間板ヘルニアの原因と発症メカニズム 首の部位にある背骨を医学用語で「頚椎(けいつい)」と呼びます。背骨は頚椎が積み重なるようにして、作られているのが特徴です。 頚椎の間には「椎間板(ついかんばん)」と呼ばれるクッションのような構造があります。 椎間板は、ゴムのような線維性軟骨からなる環状部分(繊維輪)と、ゼリーのような柔らかい(髄核)でできています。 以下画像のように、頚椎椎間板ヘルニアとは、椎骨の間にある椎間板が後ろに飛び出てしまい、脊髄や神経根が圧迫されて症状が出る病気です。 また、頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板が加齢などの理由で変性して、後ろのほうへ突出して起こるのが原因です。 30〜50代の働き盛りの方に多く、誘因なく、突然発症する場合も多い傾向にあります。 悪い姿勢での仕事や、スポーツなどがきっかけとなる場合もあるでしょう。 ほかにも、頚椎椎間板ヘルニアの症状としては、急な首の痛みに引き続き、腕や手指のしびれが特徴です。 飛び出した椎間板が大きく、脊髄を圧迫してしまうと、歩行障害や手指の運動障害が生じる可能性もあります。 頚椎椎間板ヘルニアの診断・検査 頚椎椎間板ヘルニアの診断には、首の骨のレントゲン撮影やCT検査、MRI検査などが行われます。 MRI検査では、変性した頚椎の椎間板や、頚椎椎間板ヘルニアの確認が可能です。 椎間板が後ろのほうへ飛び出している場合、脊髄や神経根が圧迫されているか、また程度の確認も行う流れです。 画像検査の結果と症状を照らし合わせながら、矛盾がない場合は、頚椎椎間板ヘルニアの症状であると診断できます。 また、首を斜め後ろへ反らすと、腕や手に痛みが走るのも症状の特徴なので、診断の際にはこのような手技が用いられる場合もあります。(文献1)(文献2) 頚椎椎間板ヘルニアのテスト 頚椎椎間板ヘルニアの確認方法として、以下のようなテストが行われます。 ・頚椎伸展テスト:首を後ろにそらすと、腕から手指にかけてのしびれや痛みが増強します。 ・ジャクソンテスト:頭を少し後ろにして首をそらし、頭を上から圧迫すると、腕から手指にかけて痺れや痛みが出てきます。 ・スパーリングテスト:頭を症状のある方向へ傾けると、腕から手指にかけてしびれや痛みが出てきます。 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法 頚椎椎間板ヘルニアの治療法は、症状の程度によって「保存的治療」もしくは「外科的治療」に分けられます。まずは症状が軽いときの治療法から解説します。 ・保存的治療 ・外科的治療 保存的治療 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法には、鎮痛薬や神経ブロックなどの薬物治療、牽引(けんいん)治療、理学療法が行われます。 また、頚椎椎間板ヘルニアによる症状は、ヘルニアが自然に吸収されると自然に治癒する例も多数報告されています。(文献3)(文献4) そのため、まずは保存的な治療で様子をみていく場合が多いです。 薬物治療 痛みが強いときには、首の安静保持を心がけます。 また、鎮痛薬の内服や神経ブロックを行う場合もあります。 牽引治療 頚椎カラー装具で首を固定したり、首の牽引治療を行ったりする場合もあります。 首の牽引治療を行うと、理学療法のみの場合よりも、治療開始5週間後の握力の回復が優れていたという報告も見受けられました。 また、頚椎の牽引を行うと神経根が減圧され、再髄鞘化と血流の改善が起こると考えられています。 理学療法 頚椎椎間板ヘルニアを含み、頚椎が変性して起こる疾患には理学療法も効果的です。 理学療法としては、マッケンジー法や首のエクササイズなどがあります。 マッケンジー法では、首の反復運動の検査や姿勢保持検査を行い、症状を見ながら運動療法の内容や負荷、強度などの治療方法を決めていくものです。 運動の内容としては、首の曲げ伸ばし、側屈、回すことなどを組み合わせて行います。(文献5) 外科的治療 保存的治療の開始から約3カ月経っても症状の改善がないときは、手術を考慮したほうが良いという報告もあります。 また、早く症状を改善したい希望が強い場合にも、外科的手術が推奨されます。 ほかにも、脊髄症の症状である運動麻痺が強く出ているときも、手術が考慮されるのが一般的です。 外科的手術の方法としては、以下が標準的な術式として推奨されています。 ・前方除圧術 ・前方除圧固定術(文献6) 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法【日常生活の注意点2つ】 日常生活での動作に注意しておくと、ヘルニアを含め、頚椎症による神経症状の悪化をある程度予防できると考えられています。 また、頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる行動にもつながるでしょう。 頚椎椎間板ヘルニアに限らず、頚椎の変性で起こる病気について、日常生活での注意点をご紹介します。 ・良い姿勢を保つ ・寝るときに面積が広い枕を使う 良い姿勢を保つ 保存的治療や予防の段階では、頚椎に負担をかけないためにも、良い姿勢を保つのが大切です。とくに、後屈(後ろに反らす動作)を避けるのが重要になります。 【負担をかけないためのポイント】 ・上を見上げる姿勢は取らない ・首をぐるぐると回す運動は避ける ・腹ばいでの読書はやめる ・不適切な姿勢でテレビを見ない 寝るときに面積が広い枕を使う 頸椎への負担を減らすには、寝方にもポイントがあります。 寝るときは、頭だけでなく首もしっかりと固定できるような、面積の広い枕を選びましょう。(文献7) まとめ|頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる治療方法で悪化を防ごう 頚椎椎間板ヘルニアで症状が重い方には、手術療法が選択されます。 一方で、手術を行っても脊髄や神経根の損傷が完全に修復されない場合もあります。結果として、しびれや痛みといった症状が残ってしまう場合もみられるでしょう。 頚椎椎間板ヘルニアの痛みが和らがないときは、医療機関への受診を検討する必要があります。 当院リペアセルクリニックでは、脂肪由来の幹細胞を使用した脊髄腔内ダイレクト注射療法を使い、傷ついた神経の再生を試みています。 頚椎椎間板ヘルニアの手術を受けても、なかなか症状が改善しない方、痛みが続く方は、ぜひ一度当院までご相談ください。 【リペアセルクリニックへのご相談方法】 ・メール相談 ・来院予約 ・電話相談:0120-706-313(オンラインカウンセリングの予約) ▼再生医療による治療事例については、以下の動画もぜひご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5WTj47BqXbQ 頚椎椎間板ヘルニアに関するよくあるQ&A 頚椎椎間板ヘルニアに関するよくある質問と答えをまとめています。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの入院期間・休業期間は? A.一般的な入院期間、休業期間は以下のとおりです。 ・入院期間(リハビリなども含め):10〜14日ほど ・休職期間(手術を行なった場合):2〜3週間ほど 頚椎椎間板ヘルニアの治療に関する詳細は、以下の記事も参考になります。 Q.頚椎椎間板ヘルニアのストレッチ方法は? A.首の筋肉を始め、胸の前側にある筋肉のストレッチを行うのがおすすめです。 ただし、違和感や痛みがある場合、無理にストレッチを行わないように注意しましょう。 ストレッチの方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことは? A.以下の5つがあげられます。 ・スポーツでの違和感は放置しない ・姿勢が良くないまま過ごさない ・体重管理をせず体に負担をかけない ・自転車・バイクなどに乗って負担をかけない ・喫煙を習慣化しない 詳細については、以下の記事も参考にしてみてください。 参考文献 文献1 頚椎椎間板ヘルニア|一般社団法人日本脊髄外科学会 文献2 「頚椎椎間板ヘルニア」|日本整形外科学会 症状・病気をしらべる 文献3 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3)242-251. p242-p243 文献4 自然消退がみられた頚椎椎間板ヘルニアの1例.整形外科と災害外科.2012;61:(1)89-93. 文献5 頸椎変性疾患患者に対する理学療法の効果.理学療法学.2020. 文献6 頚椎症性神経根症(椎間板ヘルニア含む)の 外科治療に関する指針.Spinal Surgery.2015;29(3)242-251. p246 文献7 頸椎症の診療.臨床神経学.2012;52(7)469-479. p476
2023.11.27 -
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頚椎椎間板ヘルニアの具体的なリハビリの方法と目的、注意点について! 頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアとは、首の骨である頚椎と頚椎の間にある椎間板が飛び出して、神経を圧迫してさまざまな症状が現れる整形外科の疾患です。頚椎椎間板ヘルニアを発症した場合、一般的に治療法の1つとしてリハビリ(理学療法)を行います。 本記事では頚椎椎間板ヘルニアの概要やリハビリの目的、効果、注意点、具体的な方法などについて解説します。頚椎椎間板ヘルニアと診断を受けた方やリハビリ方法について知りたい方はぜひご参考にしてください。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリとは 頚椎椎間板ヘルニアを発症すると首や肩、腕に痛みやしびれが現れます。病状が進むと、手術が必要となる場合もあります。 しかし、頚椎椎間板ヘルニアの治療においてリハビリ(運動療法)を適切に行えば病状や症状の進行や再発を防げるとともに、手術を行わなくても場合によっては治ることがあります。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリは、症状を改善し、日常生活を送るために必要な身体機能の回復を目指すための治療法です。そして椎間板は年を取るとともに老化して頚椎椎間板ヘルニアが再発するリスクが高まるため、適切なリハビリを行って予防することも重要です。 リハビリの頻度と期間は、症状と重症度によってことなりますが、通常は週に1~3回程度で、少なくとも4週間は必要です。 またリハビリで通院する際の1回あたりの費用は、レントゲン検査の有無やリハビリを行う時間によって様々ですが、保険診療を用いて1割負担の方で約600円~1000円程度、3割負担の方で約2000円~3000円程度かかります。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法 リハビリでは、理学療法士が患者さまの状態や生活習慣に応じて、一人ひとりに合ったリハビリを行います。具体的なリハビリ方法として、運動療法や物理療法などがあります。 運動療法 頚椎椎間板ヘルニアが発症する原因として、首の筋力低下や筋肉が適切に動かないなどが考えられます。 運動療法では首をサポートする筋肉を強化します。首への負荷を減らし、首がスムーズに動くように可動域を広げます。例えば、頚椎と頚椎の間にある関節に直接ストレッチを行ったり、首を支える筋肉の筋力強化を行ったりします。 また、頚椎椎間板ヘルニアの症状を改善するためには、医療機関だけではなく自宅でのセルフケアも重要です。具体的には、頚椎に負荷をかけている姿勢や動作に対する改善のアドバイス、症状が強い時期には首をそらないようになど指導します。 物理療法 物理療法では痛みを改善させるために温熱療法、電気療法、冷却療法などを行います。例えば、ヘルニアによって神経根が圧迫されて症状が現れている場合、電気的刺激を用いて症状を改善させることがあります。 頚椎椎間板ヘルニアに対してリハビリをする目的 頚椎椎間板ヘルニアに対してリハビリを行う目的は、悩んでいるつらい症状や頚部の機能を改善し、再発を防止することで患者さんが楽しく快適な生活を送ることです。 それぞれの目的や期待できる効果について詳しく説明します。 つらい症状を改善する 頚椎椎間板ヘルニアを発症すると首や肩、腕に痛みやしびれを感じるなどの症状から、日常生活がうまく送れない場合があります。リハビリは、痛みやしびれなどの症状を改善して快適な生活を送るサポートを行います。例えば、物理療法やマニュアルセラピーを行ったり、首を支える筋肉を強化することで頚椎や首の筋肉や神経にかかる負荷を減らし、症状の改善を目指します。 頚部の機能を改善する 頚椎椎間板ヘルニアでは、手足にうまく力が入らない、首がスムーズに動かないなどの症状が現れることがあります。頚椎椎間板ヘルニアによる体の機能制限を回復させることも、リハビリの目的の1つです。例えば、適切なストレッチングや筋力トレーニングを行うことで首の可動域が広がって首がスムーズに動くようになります。 姿勢を改善する 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリでは、正しい姿勢を体に学習させ、定着させることで頚椎にかかる負荷を減らします。適切な姿勢を維持することは、症状が改善するだけでなく、ヘルニアの増悪を予防するという点でもとても重要です。 頚椎椎間板ヘルニアの再発を防ぐ 頚椎椎間板ヘルニアは、一度発症すると再発しやすい疾患です。頚椎椎間板ヘルニアが再発しないように、リハビリで悪い姿勢や生活習慣を改善し、首周りの筋力を強化します。 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリを受ける場合の注意点 頚椎椎間板ヘルニアヘルニアのリハビリは、患者さまの状態によって個別にリハビリ内容を計画します。リハビリを受ける時には次のようなことに注意しましょう。 痛みやしびれが強い場合は無理に運動しない リハビリで身につけた正しい姿勢を維持する 定期的にリハビリを受ける 理学療法士など専門家の指導を受ける 頚椎椎間板ヘルニアのリハビリを行う場合は、首に大きな負担がかかると症状が増悪することがあるため、症状が強い場合は無理に運動しないようにしましょう。また、リハビリ以外の日常生活も正しい姿勢で送ることが重要です。例えば、頭を前に突き出すと首に負荷がかかって症状が増悪することもあります。 症状を改善するためには、定期的にリハビリを受けるようにしましょう。一度リハビリを受けただけでは効果が現れにくいですが、何度も定期的に受けることでつらい症状が改善していく場合が多いです。 注意点として、自身のやり方で首の運動を行うのはおすすめできません。誤った方法で首を動かすことでかえって症状が増悪してしまう場合があるため、理学療法士や整形外科の医師などと相談した上でリハビリや首の運動を行いましょう。 ただし、専門的にリハビリを行っても痛みやしびれなどの症状が悪くなる場合もあります。症状の増悪や新しい症状に気づいた場合は速やかに医師や理学療法士に相談しましょう。 まとめ・頚椎椎間板ヘルニアの具体的なリハビリの方法と注意点について! 頚椎椎間板ヘルニアは、首の痛みやしびれなど日常生活を送るのに支障が出ることがありますが、適切なリハビリを行うことで症状の改善が期待できます。リハビリでは運動療法や物理療法を用いて治療します。 自身の方法ではなく整形外科の医師や理学療法士の指導のもと、適切なリハビリを定期的に受けるのがおすすめです。そしてヘルニアのつらい症状を改善するとともに頚部の機能を改善させ、正しい姿勢を維持して再発を防ぎましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼頸椎椎間板ヘルニアの症状について以下もご覧ください 頚椎椎間板ヘルニアの辛い症状の種類と似た病気、検査と治療法
2023.11.24 -
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痛みやしびれ、運動障害などを引き起こす頚椎椎間板ヘルニアは、全身機能に支障をきたす病として知られています。 では、首の病気がどうして全身症状として支障をきたすのでしょうか。また、どのような症状が出たら注意すべきなのでしょうか。 そんな疑問や頚椎椎間板ヘルニアでお悩みの読者の皆さんに対して、本記事では軽度から重度までレベルに応じた頚椎椎間板ヘルニアの症状について詳しく紹介します。 自分の悩みにあったアプローチ方法がわかるので、ぜひ最後までお読みください。 【レベル別】頚椎椎間板ヘルニアの症状 頚椎椎間板ヘルニアは、頚椎の間のクッションである椎間板が本来あるべきところから逸脱して起こる疾患です。 頚椎のすぐ後ろには太い神経の束である脊髄が走っています。また、脊髄は背骨(椎体)の間から体の各部位に向かって神経線維を伸ばしています。 頚椎椎間板ヘルニアが起こると、最初に生じるのは頚部の痛みです。椎間板の逸脱が脊髄の周囲に及ぶと、脊髄やそこから伸びる神経への圧迫も出現します。すると、いろいろな神経症状が出現するのです。 症状レベル 症状部位 主な症状 レベル1 首・肩部 背中の痛み・肩こり etc. レベル2 手指・腕 痛み・しびれ etc. レベル3 顔部・頭部 眼精疲労・頭痛 etc. レベル4 下半身 歩行障害・尿失禁 etc. 頚椎椎間板ヘルニアの分類と神経症状 頚椎椎間板ヘルニアは椎間板組織の逸脱の仕方により、以下のような外側型・正中型・傍正中型の3タイプに分けられます。 外側型 ヘルニアが背中の外側に飛び出すタイプです。主に神経根と呼ばれる脊髄から伸びる神経の付け根を圧迫する可能性があります。 正中型 ヘルニアが背中のちょうど真ん中に逸脱するタイプです。主に脊髄の圧迫が起こります。 傍正中型 正中型と外側型の中間です。 このように逸脱の仕方で、神経のどの部分に障害が起こりやすいかが変化します。 圧迫される部分に応じて「神経根症」あるいは「脊髄症」のいずれか、もしくは両者が混在して認められます。 頚椎椎間板ヘルニアの神経根症とは 神経根症はヘルニアが椎間孔から伸びる神経の根本(神経根)を圧迫し起こります。主に外側型や傍正中型で認められる神経症状です。 椎間孔とは脊髄から神経が出てくる穴です。上下の椎体の後ろの切れ込みから形成され、ちょうど椎間板の後方に左右それぞれ1つずつあります。 頚椎の左右にある椎間孔から出るのは、頸・肩・腕などの運動や感覚を担う神経です。ヘルニアにより左右どちらかの神経根が圧迫されると、圧迫された側の頸・肩・腕に痛みやしびれなどの症状が起こります。体の片側だけに認めるのが特徴です。 【レベル別】神経根症の症状 軽度 重度 神経に走る軽い痛み 腕が上がらない・物が持てないなど 最初の症状は圧迫を受けている神経の支配領域のピリッと走るような痛みです。 進行すると、感覚障害や筋力低下も出現します。腕が上がらなくなったり、箸が持てなくなったりと、日常生活に支障をきたしかねません。 頚椎椎間板ヘルニアの脊髄症とは 椎間板の組織が脊髄の通る場所(脊柱管)に逸脱すると起こる症状です。主に正中型や傍正中型で認められます。 脊髄そのものが圧迫され、感覚障害や筋力の低下を起こします。圧迫のされ方にもよりますが、両側性に症状を認めることが多いです。 上肢、とくに手指のしびれや使いづらさが最初に起こることが多いです。 【レベル別】脊髄症の症状 軽度 重度 手指のしびれ 歩行障害 進行すると、下肢にも症状が出現し、歩行障害を認めます。脊髄の圧迫による歩行障害では足をつっぱって引きずり歩く痙性歩行(けいせいほこう)となることが特徴です。 さらに進むと、排尿機能の障害が認められることもあります。頻尿や残尿感、尿失禁などが起こります。 頚椎椎間板ヘルニアの重症度評価について 頚椎椎間板ヘルニアの症状の出方は、患者さんごとに異なります。 起こりうる症状の重症度を組み合わせて評価していきます。評価方法によっても注目するポイントが少しずつ違いますが、たと例えば次のような症状が評価対象です。 痛みやしびれの強さ 患者さんの主観的な痛みの強さを評価します。 痛みやしびれにより日常生活にどの程度支障があるかも重要な評価ポイントです。 頚椎の動き 日常生活のさまざまな動きの中で首を上下する運動ができるかを評価します。 進行するとコップの水を飲めなくなったり、階段昇降の際に上下を見ることが難しくなります。 上肢の運動機能 腕の動きや、手・手指を使った動きを評価します。 例えば食事のときに箸やスプーンを使えるか、ボタンをとめられるかなどをみます。 下肢の運動機能 注目するのは歩行です。 階段の上り下りができるか評価します 足踏みができるか評価します。 上肢・下肢・体幹部の知覚:これらの部位に麻痺、しびれがあるかみます。 排尿障害 夜間を中心とした排尿の回数 残尿感・排尿がスムーズにできるか 尿失禁がないかなどがポイントです。 さまざま様々な種類の症状が起こったり、少ない数の障害であっても進行して生活に支障をきたしたりすると、より重症と考えられます。 るという証拠は示されていません。またやり方によっては神経症状を悪化させてしまうリスクもあります。 まとめ|頚椎椎間板ヘルニアの症状レベルを把握しよう 頚椎椎間板ヘルニアの症状レベルについて解説してきました。 頚椎椎間板ヘルニアは神経根症状と脊髄症が混在するため、患者さんによって症状が異なります。同じ重症でも、非常に強い痛み・手の動かしづらさ・麻痺・排尿障害など起こることはさまざまです。 ご自身の症状がどのタイプなのか、進行するとどうなるかを踏まえた上で、治療についてしっかりと主治医と相談をしてください。もし相談先に迷うなら、当院にお気軽にご相談ください。手術をしない再生医療のご提案が可能です。 頚椎椎間板ヘルニアでよくある質問 Q.頚椎椎間板ヘルニアはどれくらい痛いですか? 頚椎椎間板ヘルニアによるの痛みは以下に分類されます。 特定領域の痛み 放散痛 特定領域とは首や肩部などに生じやすく、2〜3週間程度の寝違い症状に似た激しい痛みを伴います。 また、放散痛とは重苦しさや圧迫感が広範囲にわたって生じることを指し、精神的な負担がかかります。 Q.どのような場合に手術を考えるのか 日常生活に差し障る障害がある場合は手術を行います。例えば、手指がうまく使えずに食事ができない・歩けない・尿失禁があるなどです。 最初は麻痺症状がなくても、経過中に運動麻痺が進行していくようであれば手術になります。 痛みやしびれが症状の中心であれば最初の治療は保存療法です。しかし、保存療法を続けても良くならず、痛みが耐え難いようであれば手術が検討されることもあります。 Q.頚椎椎間板ヘルニアで気を付けるべきことは何? 可能な限り、首を動かさずに安静にしてください。とくに後屈(首を後ろに反らすこと)は神経症状の悪化につながるリスクがあるため避けましょう。人によっては頚椎カラー(頸の装具)を着けることもあります。 また、外傷が加わると一気に症状が増悪し、麻痺などを起こすこともあります。転倒には十分に注意してください。 Q.マッサージや整体などを受けていいですか? 積極的に結論、おすすめすることはできません。 少なくとも脊髄症の症状に対しては、マッサージや整体、カイロプラクティックなどが症状改善に有効であるという証拠は示されていません。 また、やり方によっては神経症状を悪化させてしまうリスクもあります。 参考文献 安田宗義. Spinal Surgery 28(3), 246-251, 2014. 高山柄哲. ブレインナーシング 27(4): 344-347, 2011. 和田英路, 米延策雄. MB Orthopaedics 27(2): 11-17, 2014. 山崎正志. 臨牀と研究. 97(7): 790-796, 2020. 平井高志. 整形外科看護. 24(8): 755-762, 2019. 樋口 大輔, 新谷 和文, 内山 靖. 理学療法科学. 22(4):533–539,2007. 鎌田修博. 整形外科看護. 12(9): 856-858, 2007. ▼腰のヘルニア痛みの対処方法は以下を参考にしてください 頚椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法や治療法
2023.11.22 -
- 幹細胞治療
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- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
- 胸椎椎間板ヘルニア
ヘルニアの種類と後遺症に再生医療という新たな治療法を解説 ヘルニアには数多くの種類があります。代表的なヘルニアは椎間板ヘルニアです。 椎間板ヘルニアは、誰しも発症する可能性がある疾患の1つです。椎間板ヘルニアでは強い症状で悩んでいる場合などに手術療法を行います。しかし、場合によっては手術よりも、その後の後遺症に困ることがあり、注意が必要です。 本記事では、ヘルニアの種類と症状、そして再生医療と呼ばれる最新の治療方法について解説します。特に椎間板ヘルニアに不安がある方や、手術後の後遺症でお困りの方はぜひ参考にしてください。 ヘルニアの種類 ヘルニアとは、体の中にある臓器や器官などが本来あるべき部位から出てきてしまった状態です。さまざまな種類のヘルニアがありますが、ここでは代表的なヘルニアについて紹介します。 椎間板ヘルニアとは 椎間板ヘルニアとは、数多くある背骨の骨と骨の間の、椎間板と呼ばれる組織が飛び出した状態です。若い男性に比較的多い疾患であり、タバコを吸うことで発症しやすくなります。 椎間板には骨と骨とをつなぐクッションのような役割がありますが、飛び出すと周りにある神経を圧迫してさまざまな症状が出現します。 椎間板ヘルニアの症状 首(頚)にある椎間板が飛び出せば頚椎椎間板ヘルニアと呼ばれ、手のしびれや痛みなどの症状が現れます。 また、胸部や腰部の椎間板ヘルニアはそれぞれ胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアと呼ばれます。 椎間板ヘルニアの検査 椎間板ヘルニアを診断するためにはMRI検査やCT検査、レントゲン検査などを行います。MRI検査は神経の状態をチェックするのに優れており、椎間板ヘルニアを診断するために最も重要な検査です。 椎間板ヘルニアの治療方法 椎間板ヘルニアの治療は、手術以外の治療(保存療法)と手術療法の大きく2つに分けられます。 保存療法 一般的に、椎間板ヘルニアは痛み止めの飲み薬や注射、コルセットなどの装具療法やリハビリなどで改善することが多いです。 椎間板ヘルニアの治療 痛み止めの飲み薬や注射 コルセットなどの装具療法 リハビリ しかし、椎間板による神経圧迫の根本的な治療ではないため、再発する可能性が高いです。 手術療法 しびれや痛みなどの症状が強い場合や保存療法では改善しない場合などには手術療法を検討します。 手術療法は、目で見て確認しながら治療できるというメリットがありますが、体にかかる負担や入院が必要となるケースも多く、患者さんの苦痛になりやすいというデメリットもあります。 また、椎間板ヘルニアの手術にはリスクがある場合もあります。手術の際に脊髄と呼ばれる背中の神経を傷つけてしまうと、手や足のしびれ、感覚異常などの脊髄損傷による症状が現れます。 当クリニックでは脊髄損傷に対して有効な最新の再生医療を用いた治療を行っています。 鼠径ヘルニア 鼠径ヘルニアは、いわゆる脱腸の状態です。症状としては、太ももの付け根にある筋肉のすき間から腸がお腹の外に飛び出して、膨らみや痛みを感じる疾患です。 先天性により生まれつき鼠径ヘルニアがある場合や、重い荷物を持つ、排便する時にお腹に力を入れる、年を取ることなどが原因で発症する場合もあります。 鼠径ヘルニアは、触診や超音波検査、CT検査などで診断します。そして基本的には手術療法でのみ治療できます。 発見したら速やかに手術をしないといけないわけではありませんが、脱腸がお腹の中に戻らなくなる嵌頓(かんとん)という状態となり、激しい痛みが出て腸が腐ってしまう場合があるため、早めに手術をしておくのがおすすめです。 原因 先天性(生まれつき) 重い荷物を持つ 排便時にお腹に力を入れる 加齢 大腿ヘルニア 大腿ヘルニアの症状は、鼠径ヘルニアの近くから腸がお腹の外に脱出する疾患です。やせ型の高齢女性に多く見られます。 鼠径ヘルニアよりも嵌頓する危険性が高いため、速やかな手術療法が望ましいです。 臍ヘルニア 臍ヘルニアは、一般的に「でべそ」と呼ばれる状態です。 子どもの場合、産まれた時にへその緒がついている部位が閉じきれなかった場合に臍ヘルニアになります。また、大人では肥満、妊娠などが原因で臍ヘルニアを発症することもあります。 子どもでは成長とともに改善する場合も多いです。一方で大人の場合は改善することはほとんどなく嵌頓する危険性も高いため、基本的には手術を行います。 原因 子供:出産時、へその緒が閉じきれなかった場合 大人:肥満、妊娠など 再生医療 再生医療とは、自身の体を再生する力(治癒力)を利用した最新医療です。例えば、怪我をした時に自然にかさぶたができてやがて元の状態に戻っていきますが、再生医療ではこのような自然治癒力を利用しています。 近年、さまざまな医療分野の最先端の治療法として再生医療が用いられています。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して再生医療である幹細胞治療を行っています。 再生医療「幹細胞治療」とは 幹細胞とは、さまざまな細胞に変化できる細胞のことです。まわりの細胞が傷ついたり細胞の個数が減ったりした時に、幹細胞が分裂してその細胞の代わりとなります。 幹細胞には、軟骨や皮膚などさまざまな細胞に変化できる分化能と呼ばれる機能があります。 当クリニックでは、お腹の脂肪(米粒2粒程度)を採取して幹細胞を培養し、規定量にまで増やしてから患部に戻す体への負担も少ない方法です。 自身の脂肪や血液を用いて再生医療を行うため、アレルギーや拒絶反応が起こりにくく、安全性が高いというメリットがあります。 当院独自の培養方法 当クリニックの幹細胞の培養方法は、一般的な医療機関で行われる冷凍して保存する方法とは異なり、冷凍せずに都度培養することで新鮮な幹細胞を投与することが可能です。 新鮮で元気、質の良い幹細胞を多く投与するほど治療効果が高いと報告されています。当クリニックは、独自の技術により幹細胞を1億個以上、増やせるため、高い治療効果を見込むことができます。 また、培養には余分な薬剤や不純物を使いません。さらに牛などの代替血液を用いません。ご自身の血液を用いて細胞を培養するためアレルギーや拒否反応などの合併症も極めて少ないです。 椎間板ヘルニアの術後後遺症に再生医療という選択肢 代表的なヘルニアの1つが椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアは手足の痛みやしびれなどの症状が現れ、日常生活を送りにくくなる疾患です。 まずは保存療法を行いますが、改善が見られない場合や強い症状に悩む時には手術療法を選択するのですが手術後に手や足のしびれが残存したり、感覚異常などの術後、後遺症が出ることがあるため注意が必要です。 当クリニックでは、幹細胞を脊髄損傷部位に直接投与する脊髄腔内ダイレクト注射療法という国内でもほとんど行われていない最新の治療法で神経を再生することを目指しています。 一般的な再生医療では点滴によって細胞を体に戻しますが、損傷部位に到達する細胞は少なくなってしまいます。当クリニックの治療法では細胞を直接投与するためすべての細胞が損傷部位に到達でき、再生医療による効果がより期待できます。 治療自体は注射を行うのみであり数分で終了します。注射にともなう痛みも強くないため気軽に受けられる治療法です。また、幹細胞の点滴も同時に行えばさらに治療効果を期待できます。 椎間板ヘルニアの術後後遺症には、最新の再生医療である幹細胞治療がおすすめです。当クリニックでは独自の培養技術により高い安全性と効果をかねそなえた治療を数多く行っています。ご不明点がございましたらご遠慮なくお問合せ下さい。 https://youtu.be/4AOGsB-m63Y?si=sQ9ws8CluU_SRVWQ まとめ・ヘルニアの種類と再生医療の適応について ヘルニアは様々な種類があり、その中でも代表的な椎間板ヘルニアは比較的発症する可能性が高い病態です。保存療法での治療もできるものの、症状が強い場合には手術が必要となることもあります ただ手術は、術後に後遺症が残るケースも少なくありません。 そこで、注目されているのが再生医療です。再生医療はご自身の幹細胞を培養し、身体の治癒力を活用して再生を即す治療法です。当クリニックでは、椎間板ヘルニアの術後後遺症に対して、最新の再生医療である幹細胞治療をお勧めしています。 この治療法は、幹細胞を直接損傷部位に投与することで高い効果を期待できます。また、治療自体は注射のみであり、身体にも優しく、安全性が高いとされています。 椎間板ヘルニアの術後後遺症に悩む方にとって、再生医療は新たな希望となるかもしれません。当クリニックでは独自の技術と豊富な経験を活かし、患者様の健康と快適な生活のために最善の治療を提供しています。 気になる点やご相談事がありましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。 椎間板ヘルニアの術後後遺症にお困りの方はぜひご相談ください。 ▼ヘルニアの手術の後遺症についても参考にされませんか 椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について
2023.11.20 -
- 幹細胞治療
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- 脊椎
椎間板ヘルニアとはどのような病気? どのような治療をするの? 後遺症は残る? このような疑問や不安を持っている方は多いのではないでしょうか。 椎間板ヘルニアは高齢者はもとより、スポーツや重労働に取り組む方にもよく見られる疾患のひとつです。 手足の痺れなど、重大な症状があり、仕事や生活の妨げになりえます。 治療にも時間がかかり、後遺症のリスクもあるため、警戒が必要な疾患といえるでしょう。 一方で再生医療を用いた治療法や後遺症予防も確立されつつあります。 本記事では椎間板ヘルニアの症状や治療法、再生医療の有効性などを解説します。 椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について 椎間板ヘルニアは、高齢者はもちろんのこと、スポーツや重労働をする若い方もなりうる病気の1つです。 手や足の痺れや痛みが出てくるので、生活の質を低下させてしまいます。 治療法として保存治療や手術がありますが、術後でも症状が残ってしまう可能性があります。 これまでは術後の後遺症に対しては、対症療法が中心でしたが、再生医療(幹細胞治療)を用いた治療が注目されており、根治につながるのではないかと期待されています。 そこで、本記事では椎間板ヘルニアの概略から再生医療を用いた治療までを紹介していきます。 椎間板ヘルニアとは 人間の背骨は、脊椎といわれる骨とその間にある椎間板から構成されます。 脊椎は場所により名称が変わり、頸椎・胸椎・腰椎・仙椎に分類されます。 また、椎間板は脊椎が柔軟に動くためのクッションの役割を果たしています。 椎間板ヘルニアとは、なんらかの原因で椎間板が変形してしまい後ろに飛び出してしまっている状態のことです。 椎間板ヘルニアは先述したどの脊椎にも起こる可能性があり、生じた部位により名称が変わります。 椎間板ヘルニアの原因 原因は、加齢による椎間板の変性や、外力により椎間板に過度な負担がかかることがあげられています。 脊椎のなかでも腰椎が最も外力による負担が大きいため、腰椎椎間板ヘルニアが最も多いです。 椎間板ヘルニアの症状 椎間板ヘルニアの症状としては、椎間板の脱出により脊椎内を通過している脊髄などの神経を刺激し痛みや痺れが生じます。 どの部位の神経が刺激されるかにより、症状が生じる部位も変わります。 たとえば、頚椎では首や肩、手の痺れや痛みが主に生じますが、腰椎では坐骨神経痛と呼ばれる足の痺れや痛みが生じます。 椎間板ヘルニアの治療法 椎間板ヘルニアの治療法は保存療法と手術療法とがあり、多くの場合、まずは保存療法がおこなわれます。 保存療法 保存療法としては、椎間板にかかる負担が少なくなるように安静を保つことや、痺れや痛みを抑えるために鎮痛薬の内服や神経ブロック、リハビリをメインとした理学療法がおこなわれます。 椎間板ヘルニア治療、保存療法の種類 鎮痛薬の内服 神経ブロック リハビリテーション これらの保存療法をおこなっても症状の改善が乏しい場合や症状が強い場合は手術を検討します。 手術療法 たとえば、椎間板ヘルニアで最も多い腰椎の手術には、「顕微鏡下椎間板摘出術」や、「内視鏡下ヘルニア摘出術」、「経皮的髄核摘出術」があります。 また、「経皮的レーザー椎間板減圧術」と呼ばれる治療法もあります。 これは神経を圧迫しているヘルニアにレーザーを照射し、ヘルニア内に空洞を形成します。 それにより神経への圧迫を減らせます。 各々アプローチは異なりますが、どの手術も脱出している椎間板を取り除くことで神経への刺激を軽減するのが目的です。 椎間板ヘルニアの手術療法 顕微鏡下椎間板摘出術 内視鏡下ヘルニア摘出術 経皮的髄核摘出術 経皮的レーザー椎間板減圧術 脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。 メール相談 オンラインカウンセリング <関連記事> 椎間板ヘルニアのPELD(PED)手術のメリット・デメリット 椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)とMEDの違いとは 椎間板ヘルニアの手術後のリスクと後遺症 椎間板ヘルニアは、根気よく治療すれば、完治が目指せる疾患です。 しかし治療後は、以下のリスクが残る点を知っておきましょう。 椎間板ヘルニアの再発 脊髄神経の損傷による後遺症 それぞれ解説するので参考にしてください。 椎間板ヘルニアの再発 まず椎間板ヘルニアには再発のリスクがあります。 腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)によれば、症状の有無にかかわらず、手術を受けた患者の23.1%(25/108)が、2年後に再発していたとのこと。 もちろん、ヘルニアを発症した場所によって再発率は異なりますが、どの場所でも再発リスクがあるのは同じです。 再発すると、また保存療法などに取り組むので、日常生活や仕事での活動が制限されるでしょう。 また再手術が必要でも、以前の手術の影響で難易度が高くなり、実施できない、できても十分な効果が得られないなどの問題が生じます。 脊髄神経に関する後遺症 また、脊髄神経の損傷による後遺症が出るかもしれません。 椎間板ヘルニアを発症した際、脊髄神経に不可逆的な損傷が起こる可能性があります。 その場合、損傷した部位は元どおりにはなりません。 さらに手術の際に脊髄神経を傷つけてしまい、元どおりにならない、もしくはもとに戻るまで相当な時間を要する損傷が残ることもあります。 後遺症が残った場合、以下の症状が長く続く可能性があります。 下半身などの麻痺 感覚の鈍麻 患部を中心とした痛みや痺れ 背骨の変形 姿勢を保つための筋肉の硬直 排尿困難 後遺症を残さないためには、適切な治療や再発防止に取り組むのが重要です。 メール相談 オンラインカウンセリング 再生医療による椎間板ヘルニアおよび後遺症の治療 再生医療とは、病気や外傷により失われた臓器や機能を正常な状態に回復させる医療のことです。 とくに注目されているのが、幹細胞を利用した再生医療です。 人間の体にある細胞は体細胞と生殖細胞に分けられます。 体細胞は心臓や肺などの各臓器を構成する一般的な細胞で、生殖細胞は精子や卵子のように遺伝情報を伝えることのできる細胞です。 この2つの細胞の元となるのが幹細胞で、その他の細胞と異なり自己複製能と多分化能をもちます。 この2つの能力が再生医療に応用されています。 脊髄腔内 幹細胞療法 椎間板ヘルニアに対しては、脊髄腔内幹細胞療法が有力視されています。 これは幹細胞を直接脊髄に投与するものです。 損傷した神経の再生を促し、失った神経の機能を回復させるのを目的とします。 幹細胞を用いた脊髄損傷の治療として、点滴による血管への幹細胞の投与もおこなわれています。 それと比較し、脊髄腔内幹細胞療法では脊髄に直接投与するため、幹細胞が届きやすく、高い効果が期待できるでしょう。 幹細胞を用いた脊髄損傷の治療として、血管内に点滴で幹細胞を投与するその治療と比較すると脊髄に直接投与するため、損傷している神経に行き届く幹細胞が多くなります。 その結果、損傷した神経の再生効果を高められます。 従来の対症療法に過ぎなかった治療法と異なり、脊髄腔内幹細胞療法は根本的な治療法になりえると考えられます。 また後遺症が残っている場合でも、再生医療による治療法を用いれば改善できるかもしれません。 まとめ・椎間板ヘルニアと手術後、後遺症の治療法について 今回は椎間板ヘルニアの術後後遺症と治療方法に関してお話しました。 再生医療の1つである脊髄腔内幹細胞療法は、上述のように症状を根本的に改善させる可能性があるため、期待されている治療法です。 ▶椎間板ヘルニア術後の後遺症に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、一度この治療法に関して検討してはいかかでしょうか。 お困りの方はぜひ一度ご相談ください。 参考文献 腰椎椎間板ヘルニアガイドライン2021年版 Q&A Q:交通事故でヘルニアを発症し、後遺症になったら後遺障害認定は受けられるか? A:受けられる可能性はあります。 等級として考えられるのは12級13号か14級9号です。 認定された場合の慰謝料額相場は以下を参考にしてください。 ・12級13号:94万円 ・14級9号:32万円 ※自賠責基準 (参考:弁護士法人法律事務所リンクス) メール相談 オンラインカウンセリング ▼椎間板ヘルニアの手術について参考されませんか 椎間板ヘルニアの内視鏡手術|PELD(PED)、MEDの違いについて
2023.11.16 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
腰椎椎間板ヘルニアの症状に悩まされた経験がある方は、このような不安や疑問があるかもしれません。 「腰椎椎間板ヘルニアが再発しないか不安……」 「腰のヘルニアの再発を予防する方法はないの?」 不良姿勢や腰に負担のかかる動作を繰り返すことで起こる腰椎椎間板ヘルニアは、手術で症状が改善しても再発する可能性があります。再発を予防するには、正しい姿勢を保つために身体の柔軟性を保ち、腰に負担をかけないことが重要です。 本記事では、腰椎椎間板ヘルニアの再発予防に大切なストレッチの方法を5つ紹介します。自宅で簡単にできる方法なので、ぜひ参考にしてみてください。 腰椎椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチ5選【悪化・再発防止】 背骨は部位によって以下に分かれており、それぞれ連動して動いています。 腰椎(腰の位置の背骨) 胸椎(胸の位置の背骨) 頸椎(首の位置の背骨) そして腰椎の下には骨盤があり、背骨の動きは股関節にも大きく関係しています。 たとえば、股関節が固くなって十分に曲がらなくなると、腰椎がその分の動きを補おうとするのです。腰椎が過剰に曲がると椎間板へのストレスが強まるため、ヘルニアのリスクを高めてしまいます。 このように、腰椎にかかるストレスを減らすには、背骨や股関節の柔軟性を高めることが重要です。ここでは、腰椎椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチをご紹介します。 前提として、自己判断でのストレッチは症状を悪化させる恐れがあるので、心配な方は医師に相談してから行いましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 1.股関節のストレッチ まずは股関節を曲げるストレッチをご紹介します。 1. あお向けに寝る 2. 右足を両手で抱えて、できる限り胸に近づけ股関節を曲げる 3. できるだけ股関節を曲げた状態を30秒キープする 4. 左足も同様に行う 股関節を深く曲げると腰椎も連動して動くため、痛みが出ない範囲で行いましょう。 2.ハムストリングスのストレッチ 太ももの裏側には、ハムストリングスと呼ばれる筋肉がついています。 ハムストリングスが固くなると股関節や骨盤がスムーズに動かなくなるため、腰椎に負担がかかりやすくなります。 ここでは、ハムストリングスのストレッチ方法についてみていきましょう。 1. あお向けに寝る 2. 膝をできるだけ伸ばした状態で右足を抱えてお腹に近づける 3. 太ももの裏が伸びるのを感じた状態で30秒キープする 4. 左足も同様に行う 足を抱えにくいときは、バスタオルを足の裏に引っ掛けて行うとストレッチしやすいです。 3.背骨を反らすストレッチ 背骨を連動させてスムーズに動かすために、ここでは背中全体をゆっくり反らすストレッチをご紹介します。 1. うつ伏せに寝る 2. 両手をつけて身体をゆっくり起こす 3. 首、背中、腰と順番に反るようなイメージで、できる限り反らした状態を30秒キープする 痛みの出ない範囲でゆっくりストレッチをしましょう。 4.背骨をひねるストレッチ 背骨は曲げ伸ばしだけでなく、回旋する動きも必要です。ここでは、背骨をスムーズに回旋するためのストレッチをご紹介します。 1. あお向けに寝て両膝を立てる 2. 両膝をゆっくり右に倒す 3. 倒しきった状態で30秒キープする 4. 左も同様に行う 勢いよく倒すと腰に負担がかかるので、ゆっくり行うのがポイントです。 5.胸椎のストレッチ 胸椎の動きが制限されると、その分腰椎の負担が増え、ストレスがかかりやすくなります。ここでは、胸椎の柔軟性を高めるストレッチをご紹介します。 1. 左半身を下にして横向きに寝る(両膝は軽く曲げた状態にする) 2. 両手を「前ならえ」のようにまっすぐ伸ばした状態で手を合わせる 3. 胸を開くように右手をゆっくり動かす 4. 右手の動きに合わせて顔も右へ回旋させて30秒キープする 5. 左側も同様に行う 胸を開いたときに床に手がつかなくても良いので、痛みのない範囲で動かしましょう。 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防にストレッチがおすすめな理由 腰椎椎間板ヘルニアの再発予防として、なぜストレッチがおすすめなのでしょうか。 ここでは、ストレッチがおすすめといわれる理由について解説します。再発の原因や再発率についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。 腰椎椎間板ヘルニアは改善後も再発の危険性があるから【再発率は術後2年で23%】 腰椎椎間板ヘルニアは、たとえ改善しても再発の恐れがあるため、その予防策としてストレッチが重要視されています。 腰椎椎間板ヘルニアの原因は、重量物の持ち上げやスポーツなどで、腰椎やその間にある椎間板(クッションのような役割がある組織)に繰り返し負担がかかることです。 治療によって症状が改善されたとしても、腰椎や椎間板の負担を減らさないと再発のリスクが残ります。腰椎椎間板ヘルニアの手術後の再発率は、術後2年で23%程度とされています。手術後も 痛みが続いていたり、術前のような症状が現れたりした場合は、再発の前兆の可能性があり注意が必要です。 このように、治療後のヘルニアの再発を防ぐためには、ストレッチを継続して腰の負担を軽減する必要があるのです。 胸椎椎間板ヘルニアの治療方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。興味がある方はぜひご覧ください。 ストレッチにより腰椎の過剰な運動を防げるから ストレッチによって筋肉の柔軟性が高まれば、腰椎のストレス軽減につながります。背骨や股関節が固くなると、腰椎が過剰に働いてしまい、椎間板にかかる負担が増加します。 腰椎の正常な運動を保つためには、ストレッチによって背骨や股関節の柔軟性を改善させることが大切です。腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法をもっと知りたい方は、ぜひこちらも記事も参考にしてみてください。 腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないストレッチ 腰椎椎間板ヘルニアのストレッチを行う際は、腰を大きく丸めるような動作は避けましょう。 腰を過剰に丸めるような動作は椎間板にストレスがかかりやすく、ヘルニアの症状を悪化させる原因となります。 腰まわりの筋肉にも負担がかかりやすいので、ストレッチの際はできるだけ腰椎を曲げすぎないように心がけてください。 まとめ|腰椎椎間板ヘルニアの再発予防のストレッチは無理のない範囲でコツコツ続けよう 腰椎椎間板ヘルニアが改善したからといって、発症前と同じように生活していると再発の恐れがあります。 再発予防のためには、ストレッチを継続して背骨や股関節の柔軟性を保つことが大切です。ストレッチは1つの種目からでも良いので、できるだけ毎日取り組むようにしましょう。 また再発の前兆がある場合は、まずは整形外科を受診し、状態の確認を優先してください。 そして、どの程度の運動やストレッチをして良いのかなどを確認すると良いでしょう。ぜひ本記事を参考にして、腰椎椎間板ヘルニアの再発を予防し、腰痛のない元気で健康な生活を送りましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ 参照資料 病気がみえるvol.11 運動器・整形外科.MEDIC MEDIA,東京,2017,pp256-259. 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」 Mindsガイドラインライブラリ 整形外科リハビリテーション.羊土社,東京,2012,pp417-426.
2023.11.13 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「ブロック注射って効果ある?」「効果はどのくらい持続する?」 ブロック注射には神経の痛みの緩和、炎症の抑制、血流改善といった効果があります。 しかし、具体的な持続効果や副作用について気になる方も多いのではないでしょうか。 この記事では、ブロック注射の3つの効果と持続時間について医師が徹底解説いたします。 辛い痛みの改善に向けて、ブロック注射を検討している方はぜひ最後までご覧ください。 また、当院「リペアセルクリニック」では、腰椎椎間板ヘルニアなどの症状を和らげるブロック注射を行っております。 辛い症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 ブロック注射の3つの効果 ブロック注射は、痛みを緩和する治療法です。 単に痛みを和らげるだけでなく、痛みの原因に働きかける効果があります。 具体的な効果は以下の3つです。 神経の痛みを直接和らげる 炎症を抑えて痛みを和らげる 血流改善で自然治癒力を高める ここでは、ブロック注射の主な3つの効果について、詳しく解説していきます。 それぞれがどのように作用し、痛みを和らげるのか参考にしてください。 神経の痛みを直接和らげる ブロック注射の効果のひとつは、神経の痛みを直接和らげることです。 注射により、痛みの信号を脳に伝える神経を遮断し、一時的に痛みを感じにくくします。 そのため、腰痛や神経痛がひどい方は効果が強く実感できることが多いでしょう。 ただし、効果の強さや感じ方には個人差がありますので、施術前に医師と十分に相談するのがおすすめです。 炎症を抑えて痛みを和らげる ブロック注射は、炎症を抑えて痛みを軽減する効果も期待できます。 炎症によって周辺組織が刺激を受けて、痛みを感じている場合にとくに有効です。 また、腰や肩の慢性的な痛みだけでなく、一時的な炎症に対しても適応されることがあります。 ブロック注射によって炎症が抑えられることで、日常生活の負担も軽減されるでしょう。 血流改善で自然治癒力を高める ブロック注射には血流を改善し、自然治癒力を高める効果が期待できます。 血流が悪い状態が続くと、組織が酸素不足になり痛みが長引く原因になります。 しかし、注射によって血流が良くなれば、組織の回復が促されて痛みも軽減されやすくなるでしょう。 このようなメカニズムから、ブロック注射はとくに冷えやすい部位の痛みに対して効果を実感しやすいといえます。 ブロック注射の効果はいつまで続く? ブロック注射は、効果の持続時間に個人差があります。 注射の種類や症状によっても異なり、効果がすぐに現れることもあれば、数日後に感じる場合もあるでしょう。 本章では、即効性や効果の長さ、複数回の施術による違いについて詳しく解説します。 治療を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。 即効性はあるが個人差がある ブロック注射は即効性が期待できる治療法です。 注射後すぐに痛みが軽減されるケースが多く、おもに急性の痛みに有効とされています。 しかし、効果が現れるスピードや強さには個人差があります。 体質や症状によっては効果を感じにくい場合もあるため、即効性には個人差がある点を認識しておきましょう。 持続期間の目安は数時間から数週間 ブロック注射の効果が続く時間は個人差があるため、数時間の方もいれば数週間にわたり継続するケースもあります。 一般的に数時間から数週間です。 たとえば、一時的な痛みの軽減が目的の場合、効果は数日程度で薄れることがあります。 一方、炎症の抑制や神経の回復を促すことで、数週間効果が続くケースも少なくありません。 あくまで目安ですが、症状や体質によって効果の持続期間は変わる点を理解しておきましょう。 慢性痛は複数回の施術で効果が長続きする 慢性的な痛みには、ブロック注射を繰り返し行うことによって効果の持続が期待できます。 1回の注射だけでは効果が一時的なケースも多いため、定期的に施術を行うのが一般的です。 繰り返し行うことで痛みが軽減され、日常生活の質が向上するケースもあります。 慢性痛に悩んでいる方は、主治医と治療計画をしっかりと立ててブロック注射治療も取り入れていきましょう。(文献1) ブロック注射の種類と効果の違い ブロック注射と一言で言っても実はさまざまな種類があり、以下の表のとおり期待できる効果や特徴が異なります。(文献2) ブロック注射の種類 詳細 神経ブロック注射 痛みの原因となる神経を直接ブロックする注射 硬膜外ブロック注射 脊髄周辺に薬剤を注入し、広範囲の痛みを抑える 星状神経節ブロック注射 自律神経を整え、血流改善や痛みの軽減を促す注射 トリガーポイント注射 筋肉のコリや緊張を緩和し、痛みを和らげる注射 代表的な4つのブロック注射の種類と、それぞれの効果の違いについて詳しく解説していきます。 また、腰部脊柱管狭窄の治療としてブロック注射を用いることもあります。腰部脊柱管狭窄症でお悩みの方は、以下の記事をチェックしてみてください。 神経ブロック注射 神経ブロック注射は、痛みの原因となっている神経の近くに直接麻酔薬を注射する方法です。 神経の興奮を抑え、痛みの信号が脳に伝わるのをブロックするため、痛みを素早く和らげる効果が期待できます。 たとえば、坐骨神経痛や帯状疱疹後神経痛など、特定の神経が原因の痛みに有効です。 また、痛みの原因を特定するための検査としても活用されています。 硬膜外ブロック注射 硬膜外ブロック注射は、脊髄を包む「硬膜外腔」という部分に薬剤を注入し痛みを抑える方法です。 主に腰痛や坐骨神経痛など、広範囲の痛みや慢性痛に効果的です。 また、硬膜外腔に薬が広がることで、神経の圧迫や炎症を和らげます。 硬膜外ブロック注射は比較的広い範囲に効果を発揮するため、日常生活の負担軽減が期待できるでしょう。 星状神経節ブロック注射 星状神経節ブロック注射は、首にある星状神経節に薬剤を注入し自律神経を整える方法です。 血流を改善し、痛みの軽減や冷え性の改善にも効果が期待されます。 とくに、顔や腕、肩周辺の痛みや自律神経の不調に用いられるケースが多いです。 星状神経節ブロック注射は、冷えやすい部位の痛みに悩む方には、効果を実感しやすいでしょう。 トリガーポイント注射 トリガーポイント注射は、筋肉のコリやしこり(トリガーポイント)に薬剤を注入する治療法です。 筋肉の緊張を緩和し、血流を改善することで痛みを和らげます。 肩こりや腰痛、筋肉疲労に伴う痛みに効果があるため、比較的軽度の痛みにも適応されます。 トリガーポイント注射は、痛みの原因が筋肉にある方には、非常に有効な選択肢といえるでしょう。 ブロック注射の副作用とリスク5選 ブロック注射は、痛みを和らげる効果が期待できる一方で、副作用やリスクも伴います。 安心して治療を受けるためにも、主に以下の5つのリスクを理解しておきましょう。 注射部位の痛みや腫れ 感染症のリスク 神経損傷のリスク アレルギー反応 しびれや麻 本章では、ブロック注射で起こりうる副作用とリスクについて詳しく解説していきます。 注射部位の痛みや腫れ ブロック注射後には、注射した部位に痛みや腫れが生じる可能性があります。 これは注射針による刺激や、注入した薬剤に対する反応と考えられますが、通常は数日から1週間程度で自然に治まることが多いでしょう。 しかし、痛みが強かったり、腫れが引かない場合は医療機関を受診するようにしてください。 また、注射部位は清潔に保ち、触りすぎないように注意しましょう。 感染症のリスク ブロック注射は、皮膚に針を刺すため、細菌が侵入することで感染症のリスクも伴います。 感染症を防ぐためのポイントは、注射部位を消毒したり、清潔な状態を保つことです。 もし、注射後に発熱や強い痛み、赤みなどの症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診するようにしてください。 神経損傷のリスク ブロック注射は、注射針が神経に直接触れてしまう可能性があるため、まれに神経損傷を引き起こすリスクもゼロではありません。 神経損傷が起こると、しびれや麻痺、痛みなどが生じることも考えられます。 通常は一時的なものですが、まれに神経損傷の症状が残ってしまう場合もあります。 そのため、ブロック注射を受ける際は、神経の構造を熟知した医師を選ぶのがおすすめです。 アレルギー反応 ブロック注射では「発疹・かゆみ・呼吸困難」など、アレルギー反応を起こす場合があります。 そのため、過去に薬でアレルギーを起こした経験がある方は、事前に医師に伝えておきましょう。 また、注射後に体調が悪くなった場合は、すぐに医療機関を受診してください。 適切な処置をすることで症状の悪化を防げます。 しびれや麻痺 ブロック注射後、一時的にしびれや麻痺を感じる場合があります。 これは、注射した麻酔薬が神経に作用することで起こる症状です。 麻酔薬の効果が切れるにつれて症状は自然に改善しますが、症状が長く続く場合や日常生活に支障が出る場合は、医師に相談しましょう。 また、注射後に車の運転など、危険を伴う行為は避けるようにしてください。(文献3) まとめ|ブロック注射の効果は個人差あり!治療時は主治医に相談しよう ブロック注射は、痛みを和らげるための有効な治療法の一つですが、効果の現れ方や持続時間には個人差があります。 また、副作用やリスクも伴うため、治療を受ける際には医師と十分に相談することが大切です。 症状や体質に合わせて、適切な治療法を選びましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、ヘルニアの症状には再生医療による治療も行っております。 お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ ブロック注射の効果に関するよくある質問 腰椎椎間板ヘルニアの治療にも効果的ですか? 腰椎椎間板ヘルニアの治療にブロック注射は効果的な場合があります。 理由として、ヘルニアによって圧迫された神経の炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できるためです。 ただし、ブロック注射は根本的な治療ではなく、あくまで痛みをコントロールする治療法です。 そのため、症状によっては手術やリハビリテーションなど、他の治療法と併用する必要があるでしょう。 また、頚椎椎間板ヘルニアの症状や治療法については以下の記事でも詳しく解説しています。 頸椎椎間板ヘルニアでブロック注射を受けるべきか悩んでいる方は参考にしていただければ幸いです。 ブロック注射はめちゃくちゃ痛いって本当ですか? ブロック注射の痛みについては、個人差が大きいのが現状です。 注射する部位や使用する針の太さによっても感じ方が異なるでしょう。 もし、痛みに不安がある場合は、事前に医師に相談してみてください。 ブロック注射が効かない人はいますか? ブロック注射は、すべての人に効果があるとは限りません。 痛みの原因や体の状態によっては、効果を感じにくい場合があるためです。 たとえば、神経の損傷がひどい場合や、痛みが慢性化しているケースでは、ブロック注射の効果が限定的になる可能性があります。 そのため、ブロック注射で効果が見られない場合は、他の治療法を検討する必要があるでしょう。 医師と相談しながら、適切な治療法を見つけてください。 ブロック注射による効果や副作用に関して不安な方は、当院「リペアセルクリニック」の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 参考文献一覧 文献1 日本ペインクリニック学会_第Ⅰ章 ペインクリニックにおける神経ブロック 文献2 クリニックマガジン_主なブロック注射と適応症などの内規 文献3 一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)_疼痛治療剤(局所注射用)
2023.11.09 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「最近前屈で腰が痛い」「なんとなく足がしびれる気がする」そんなときにインターネットで検索すると、ヘルニアの可能性があると目にするかもしれません。 「今出ている症状がヘルニアなのかセルフチェックできる?」「病院に行った方がいいのかな?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 結論からいえば、腰の痛みや足のしびれはヘルニアの初期症状の可能性があります。 放置すると症状が悪化し、治療が長引くリスクもあるため、早めに整形外科を受診しましょう。 本記事ではヘルニアの初期症状について詳しく解説するほか、自分でチェックする方法や対処方法までご紹介します。 「ヘルニアの初期症状かもしれない」と悩んでいる人は、ぜひ最後までチェックしてください。 ヘルニアの初期症状は主に「腰の痛み」と「足のしびれ」 ヘルニアの初期症状は、主に「腰の痛み」と「足のしびれ」です。 ヘルニアは腰の骨である「腰椎」の間にある「椎間板」が変性(もろく変化すること)して起きる疾患で、椎間板の中にある髄核(ずいかく:椎間板の中心にあるゼリー状の組織)が神経を圧迫するために痛みやしびれを生じます。 このとき神経は圧迫を受けているだけでまだ損傷までは至っていないため、初期症状では腰や足に広がる軽い痛み・しびれが特徴です。もし放置して神経が損傷した場合には、筋力低下や感覚の麻痺といった症状がみられるでしょう。 なお、ヘルニアについて詳しくは以下の記事で解説しています。興味がある人はぜひこちらもご覧ください。 ヘルニアの初期症状はとくに前屈みや中腰姿勢で生じやすい ヘルニアの初期症状は、とくに前屈や中腰姿勢で感じやすいため注意してください。 ヘルニアは前述のとおり椎間板がもろく変化して生じる疾患です。椎間板が変性すると中にある髄核(ずいかく:椎間板の中心にあるゼリー状の組織)の周囲がもろくなってしまい、後ろに押し出されやすくなります。椎間板の後ろには神経が通っていて、押し出された髄核によって神経が圧迫されるために痛み・しびれを感じるのがヘルニアです。 この髄核の後方への突出は、腰を屈める動きでより強くなります。そのため、前屈や中腰姿勢では通常の姿勢よりも髄核が後ろに押し出されやすくなるので、痛みやしびれを感じやすくなるでしょう。 症状が進行すると強い痛みや筋力低下がみられる ヘルニアを放置しておくと、神経が椎間板内の髄核に強く圧迫され、損傷してしまうことがあります。 神経が損傷した結果、みられる症状は以下のとおりです。 腰の強い痛み 足の筋力低下 お尻から足にかけての痺れ 腰から下の感覚が鈍くなる 尿や便のコントロールができなくなる これらの症状はヘルニアが重症化したときに生じます。 ヘルニアがきっかけで坐骨神経痛などの坐骨神経症状も強くなり、日常生活に支障が出るケースも多いため注意が必要です。 なお、坐骨神経症状については以下の記事で詳しくまとめているため、こちらもチェックしてみてください。 ちなみに、当院「リペアセルクリニック」で実施している再生医療はヘルニアにも効果が期待できる治療法です。 ヘルニアの辛い症状にお悩みの方は、メール相談もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【セルフチェック】ヘルニアの初期症状が出る動作一覧 ヘルニアで腰の椎間板に負担がかかると、痛みやしびれなどの症状が出る場合があります。 ヘルニアの初期症状が出やすくなる動作は以下のとおりです。 歯磨き・顔洗いなどでの前屈み 座りっぱなし・立ちっぱなし 寝返り 重たいものを持ち上げる 咳・くしゃみ 上記の動作で腰の痛みや足のしびれを感じた場合、ヘルニアの初期症状である可能性があります。 また、強い痛みや脱力感があり、立つことや座ること、物を持ち上げられないといった場合には、ヘルニアが進行しているかもしれないため早めに受診しましょう。 ヘルニアの初期症状がみられたら早めに整形外科を受診しよう 前屈みや座りっぱなし、立ちっぱなしなどの動作で痛みがあり「ヘルニアかも?」と感じたら、早めに整形外科への受診をおすすめします。 早めに受診すればヘルニアが重症化する前に治療を受けられるため、症状が緩和する可能性が高くなるでしょう。また、早い段階で痛みが緩和されれば日常生活も楽になり、生活の質が向上します。 ヘルニアの症状悪化を予防するためには、適切な方法で運動したり、避けるべき動作を実践したりすることが大切です。そのためにも、早めに整形外科を受診して医師や理学療法士の指導を受けてください。 ヘルニアの初期症状に効果的な治療法2選 ヘルニアの初期症状に対しては、以下の2つが効果的といわれています。 ストレッチや筋トレ 内服や注射 これらの治療を、医師や理学療法士の指導を受けて適切におこなっていくことが重要です。 インターネットで検索するとさまざまな治療法が紹介されていますが、その情報がすべての人に当てはまるとは限りません。 患者さんそれぞれに合わせた治療をしていくために、必ず医師や理学療法士のアドバイスを実践しましょう。 体幹や股関節の筋トレ・ストレッチ ヘルニアの初期症状には、体幹や股関節の筋トレ・ストレッチが有効です。 体幹を鍛えると腰椎の支えが強くなり、椎間板への負担が軽減されます。 また、股関節は腰椎のすぐ下にある関節であるため、柔軟性を高めることで腰椎の動きを助ける効果があります。ストレッチを行えば腰椎や椎間板の負担が軽減され、ヘルニアの症状の軽減につながるでしょう。 ヘルニアに効果的な筋トレやストレッチの方法は以下の記事で解説しています。ヘルニアの初期症状でお困りの人はぜひご覧ください。 痛み止めの内服や注射 ヘルニアには痛み止めの飲み薬や注射も有効です。 椎間板が神経を圧迫し炎症が起きている場合は、炎症止めや神経症状を抑える薬を内服することで痛みを軽減できる可能性があります。 また、ヘルニアの症状には、麻酔で神経の働きを抑える「ブロック注射」も有効とされています。 ブロック注射は以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひこちらもチェックしてください。 ヘルニアを悪化させないための注意点 ヘルニアを悪化させないためには、椎間板への負担をかけないことが大切です。 具体的には、椎間板に大きな負担がかかる動作を避けることと、寝方を工夫すると良いでしょう。 以下に挙げる動作は椎間板へ大きな負担がかかるため、注意してください。 重量物を持ち上げる 繰り返し腰を捻る 長時間座り続けたり中腰を続けたりする また、夜の寝方にも注意が必要です。横向きに寝ていると、くの字に丸まってしまい、椎間板への負担が大きくなります。 仰向けで腰の下にタオルを入れるなど、腰が丸くならないようにすると良いでしょう。 まとめ|初期症状を察知してヘルニアの悪化を防ごう ヘルニアの初期段階では、腰の痛みや足のしびれといった症状を感じることがあります。椎間板の負担が大きくなったときに痛みが出やすいのが特徴です。 放置して重症になると、痛みが強くなったり、筋力低下や感覚の麻痺が起こったりすることがあります。 ヘルニアの疑いがある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 ちなみに当院「リペアセルクリニック」では自己の幹細胞を用いた再生医療に取り組んでいます。 ヘルニアによって傷ついた神経の修復にも効果が期待できるため、気になる人はお気軽にメール相談もしくはオンラインカウンセリングからご相談ください。 この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。 \まずは当院にお問い合わせください/ ヘルニアについてよくある質問 ヘルニアの初期症状はどんな症状ですか? 腰の痛みや足のしびれといった症状が出ることが多くあります。腰の骨(腰椎)の間にある椎間板の中の髄核が後ろに飛び出し、神経を圧迫するために生じる症状です。 ヘルニアでは病院を受診した方が良いですか? 痛みやしびれなどの症状が続く場合は受診しましょう。 ヘルニアは症状が進行すると痛みが強くなるほか、筋力低下や感覚麻痺といった症状が出てくる可能性があります。 ヘルニアの初期段階で受診すれば、早めに治療を開始できるため、重症化を防ぎやすくなります。
2023.11.06