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人工股関節の手術後に農作業はできる?注意点や手術しない治療法を解説
人工股関節の手術を勧められて「農作業は続けられるのだろうか」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。手術後の過ごし方やリハビリ、作業の工夫次第で農作業を続けることは可能です。
この記事では、人工股関節を入れた際に農作業を行う際のポイントや再手術につながる症状について詳しく解説します。
また、再生医療という手術を伴わない新しい治療法も選択肢のひとつです。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報提供や簡易オンライン診断も実施していますのでご活用ください。
目次
【結論】人工股関節でも農作業は可能!ただし関節への負担に注意
人工股関節の手術を受けたあとでも、農作業を続けることは可能です。しかし、中腰やしゃがみ姿勢を長時間続ける作業や重い荷物の持ち運びなどの動作は、人工関節に過度な負担をかける可能性があります。
少し古いデータですが2000年に発表された研究では、人工股関節置換術を受けた患者のうち農作業を行う人は関節のゆるみのリスクが2.85倍高かったという報告がありました。(文献1)
研究当時と比べて現在の人工関節は素材や固定技術が大きく進歩し、耐久性も向上しています。それでも、肉体労働による負担が無関係ではありません。
人工関節が緩んでしまうと痛みや関節を動かせる範囲(可動域)の制限が再び現れ、再手術が必要になるケースもあります。そのため、人工関節を入れたあとに農作業を再開する場合は、作業内容や時間、身体への負担を見直しながら無理のない範囲で行いましょう。
症状の経過や筋力の状態によっても適切な活動量は異なるため、手術の検討や復帰のタイミングについては、必ず主治医と相談の上で判断するのが重要です。
人工股関節手術後の農作業で注意すべき3つのポイント
人工股関節手術後の農作業で注意したいポイントは、以下の3つです。
- 股関節を深く曲げない
- しゃがみ方・立ち方に気をつける
- 不安定な足場では無理に動かない
中腰やしゃがみ姿勢が多く、地面の近くでの作業が中心となる農作業では、関節に負担がかかりやすいため注意が必要です。農作業への復帰を検討する際は、作業内容や姿勢について主治医や理学療法士と相談しながら進めましょう。
以下の記事では、人工股関節手術後の生活における注意点について解説しているので参考にしてください。
股関節を深く曲げない
人工股関節の手術後は、股関節を一定の角度以上に深く曲げると、人工関節が外れてしまう「脱臼」を起こすおそれがあります。とくに、股関節を90度以上深く曲げないよう注意が必要です。
脱臼が起こると、股関節に強い痛みが生じ歩行が困難になります。その際はすぐに手術を受けた医療機関へ連絡し、麻酔下で関節を元に戻す整復処置を受けるのが一般的です。状況によっては、関節の位置や安定性を保つために再手術が必要になることもあります。
農作業中に強い痛みがあった場合は無理に動かさずにすぐ医療機関を受診しましょう。
しゃがみ方・立ち方に気をつける
人工股関節手術後の農作業では、しゃがみ方や立ち方に気をつけましょう。
以下の動作では、人工関節の摩耗リスクを高める可能性があるというデータがあります。(文献2)
- しゃがむ
- 起きる
- 中腰になる
- 持ち上げる
- 急に動作を切り替える
人工関節の素材や耐久性は年々向上していますが、過度な力やねじれが加わることで関節のゆるみや寿命の短縮につながるおそれがあります。椅子の活用や、重い荷物を持つときは片側に偏らないよう左右に分けて持つなど、安定した動作を心がけましょう。
不安定な足場では無理に動かない
人工股関節の手術後は、転倒によるケガや人工関節への衝撃に注意が必要です。農地や畑などの不整地では、地面のぬかるみや傾斜などで足元が不安定になる場合があります。
人工股関節を入れた方が転倒すると、関節の周囲の骨折や人工関節の脱臼・ゆるみにつながります。
ぬかるみや段差のある場所では足元が安定してから体を動かし、無理に姿勢を変えないようにしましょう。また、作業靴を滑りにくいものに変えたり踏み台や支えを利用したりするなど、環境面での工夫も転倒予防につながります。
人工股関節の再手術につながる症状
人工股関節は、時間の経過とともに人工関節のゆるみや感染、骨の変化などが起こり再手術が必要になるケースもあります。
次のような症状がみられる場合は、早めに整形外科を受診してください。
- 痛みが現れる
- 違和感がある
- 股関節のまわりが腫れている
人工股関節の手術後は定期検診を継続し、少しでも異変を感じたら主治医に相談しましょう。
以下の記事では、人工股関節置換術後の痛みの原因について解説しているので参考にしてください。
手術を避けたい場合は再生医療も選択肢の一つ
人工股関節手術を避けたいとお考えの方には、再生医療という選択肢もあります。再生医療は、自身の細胞や血液を活かして損傷している部位に働きかける治療です。
- 幹細胞治療:軟骨や骨など他の細胞に変化する「分化能」と呼ばれる能力を持つ幹細胞を活用する治療法
- PRP治療:炎症を抑える働きがある血液中の成長因子を活用する治療法
人工関節置換術を受ける前の段階であれば、通院治療で日常生活を続けながら受けられるケースもあります。そのため、人工関節の手術を避けたい方は、再生医療もご検討ください。
以下の記事は、人工関節置換術を回避して再生医療を受けた患者様の症例です。治療内容や予後について紹介しているので、参考にしてください。
まとめ|人工股関節になっても無理のない農作業を続けるために
人工股関節の手術を受けたあとでも、工夫次第で農作業を続けることは可能です。ただし、無理な動作や負担のかかる作業は、関節のゆるみや脱臼などのリスクにつながるため注意が必要です。
人工股関節の方が農作業を続ける場合は、以下の点に注意しましょう。
- 股関節を深く曲げすぎない
- しゃがみ方・立ち方を工夫する
- 不安定な足場では無理をしない
- 体の違和感や痛みを見逃さない
また、手術を避けたい方には、再生医療も選択肢の一つです。自身の細胞や血液を活かして関節や軟骨に働きかける治療法で、通院で日常生活を続けながら受けられます。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療を詳しく紹介しており簡易オンライン診断も受けられます。再生医療について詳しく知りたい方はご登録ください。
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人工股関節と農作業に関するよくある質問
人工股関節の寿命はどれくらい?
一般的に、人工股関節の入れ替え手術が必要になる割合は、手術後10年で約14人に1人、30年で約4人に1人程度とされています。(文献3)
症状や手術した部位、日常生活での負担(農作業)によって耐久年数は個人差があります。そのため、具体的な寿命や今後の活動範囲については必ず主治医に相談しましょう。
人工股関節の手術後、農作業はいつから再開できる?
一般的に、手術後4〜6週間で、負担の少ない作業や軽い動作は再開できる場合があります。(文献4)ただし、農作業のように中腰や重い荷物の持ち運びを伴う場合は、関節に大きな負担がかかるため復帰までに数週間〜数か月かかるケースもあります。
復帰のタイミングは年齢・体力・農作業の内容・手術前の活動状況などによって個人差があるため、農作業を再開する際は主治医と相談しながら段階的に負荷を調整するのが大切です。
以下の記事では、人工股関節置換術後における仕事復帰の目安について解説しているので参考にしてください。
人工関節後に再生医療できない理由は?
再生医療は、自身の細胞を用いて関節に働きかける治療法です。
一度人工股関節を入れると関節の軟骨や骨の一部が人工物に置き換わるため、再生医療で働きかける対象となる自身の関節組織が残っていません。再生医療は人工関節手術の前段階で検討される治療法です。
すでに人工関節を入れた方は、リハビリや生活動作の工夫が治療の中心になります。
参考文献
(文献1)
社会人口学的要因と股関節形成術の失敗|PubMed
(文献2)
人工股関節全置換術のための2つの摩耗因子の推定:筋骨格モデリングに基づくシミュレーション研究|PubMed












