脊柱管狭窄症の手術後の後遺症は?痛みやしびれが残る?最新の治療法も解説
公開日: 2022.08.21更新日: 2024.11.06
腰部脊柱管狭窄症の治療後に後遺症が現れて、悩んでいる方はいませんか。この疾患は対症療法を含めた保存的加療を中心に行い、症状を根本的に改善するには手術が有効とされています。
一方で、手術を行っても場合によっては症状の再発や後遺症が出現する可能性もあることを知っておきましょう。
この記事では、腰部脊柱管狭窄症の症状や手術後の後遺症が残った場合に対する「再生医療」の可能性について解説します。
腰部脊柱管狭窄症の情報や治療法を知ることで、後遺症を改善するためのきっかけとなるでしょう。
目次
腰部脊柱管狭窄症とは?
腰部脊柱管狭窄症とは、背中にある脊柱管という神経の束(脊髄)の通り道が狭くなった状態のことです。
発症原因としては、腰椎(腰の骨)の変形、椎間板や黄色靭帯の異常による圧迫などがあげられます。脊柱管が狭くなることで神経を物理的に圧迫するため、足のしびれや腰痛などが現れます。
加齢にともなって腰部脊柱管狭窄症の発症率は高まり、高齢化社会の日本では増加の一途をたどっているのが現状です。とくに60〜70歳前後の高齢者に多くみられるとされています。
腰部脊柱管狭窄症の症状
脊柱管が狭くなると、神経が圧迫され、下肢全体のしびれや痛みなどの症状が現れます。そのような症状以外にも、「膀胱障害」が現れることもあるでしょう。
この病気で感じる痛みは、腰椎椎間板ヘルニアほど強くはありません。しかし、それとは別に下肢痛やしびれを代表とする感覚異常に苦しめられる可能性があります。
安静時はそれほどではないものの、動くとふくらはぎの筋肉が痛み、歩行が困難となることもあります。これを「間欠性破行(かんけつせいはこう)」といい、前屈すると症状が軽くなるのが特徴です。しばらく休憩すると落ち着きますが、歩きはじめると再び痛み出すのが厄介な点です。
日本では、約500万人以上の脊柱管狭窄症患者が存在しているとされています。
今後、高齢化が進行するにつれて、さらに本疾患の発症者が増加することが予想されます。
腰部脊柱管狭窄症の治療
腰部脊柱管狭窄症における一般的な治療として、まず薬物療法やブロック注射などの保存療法が行われます。
しかし数カ月以上服薬しても症状の改善がみられない、または逆に悪化している場合は、手術による根治を検討します。
手術による治療成績は、おおむね良好です。術式としては、脊柱管のスペースを拡大させて神経そのものへの物理的な圧迫を除去する方法があります。
腰部脊柱管狭窄症の手術後の後遺症
腰部脊柱管狭窄症の手術後に現れる後遺症の程度は、状態によって異なります。手術前に長期間にわたって神経症状を自覚している場合、圧迫された神経が完全に改善できない可能性があります。
たとえ手術が成功しても、しびれや痛みなどの症状が残るケースもあるでしょう。その理由として、長期間圧迫を受けた神経は一部の組織が死んでしまい、治療をしても回復が見込めないからです。
年数が経つにつれて組織へのダメージが広がり、後遺症が強く残っている場合は、保存的治療や痛み止めのブロック注射などをするしかなく、辛い症状が続くことになります。
腰部脊柱管狭窄症の手術後の後遺症は再生医療で改善
腰部脊柱管狭窄症の手術後の後遺症を改善する方法の1つに、再生医療があげられます。
再生医療とは、自身の細胞や組織を活用して、損傷した部位の治療を図る方法です。再生医療にはさまざまな種類があり、実際に手術後の後遺症が改善した事例もあります。
ここでは、再生医療について詳しく解説します。
再生医療の可能性
再生医療とは、ご自身の再生能力が備わっている幹細胞や組織を培養し、患部に投与して改善を図る治療法です。再生医療のメリットは、手術後の下肢のしびれや筋力低下などの後遺症の改善だけではありません。
腰部脊柱管狭窄症の術前で、症状に悩まされている人にも推奨できる治療法でもあります。
再生医療を行うには厚生労働省への届出が必要なため、専門のクリニックでしか治療を受けられません。さらに当院の特徴として、国内ではほとんど行われていない「脊髄内へのダイレクト注射」という治療があります。
当院は、多くの症例実績を有する再生医療の専門クリニックです。術後の後遺症(痛み、しびれ)についてお悩みの方がいましたら、再生医療についてご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
治療 | ・保存療法(薬物療法、ブロック注射など) ・手術療法(保存療法で効果が見込めない場合) |
手術 | ・術前の症状が長期にわたっていた場合、術後にもしびれ、痛みが残る可能性 |
再生医療 | ・切らない治療法。ご自身の幹細胞を培養後、注射で投与し、後遺症の改善を目指せる画期的な方法 |
脊髄内ダイレクト注射療法
脊髄内ダイレクト注射療法とは、損傷している脊髄に幹細胞を直接投与する、当院独自の治療法です。
脊髄に対する再生医療は、一般的に点滴によって幹細胞を血管内から投与する方法があげられます。しかし、この方法では脊髄に幹細胞が届きにくく、思うような効果が得られないケースがあります。
脊髄内ダイレクト注射療法によって脊髄に幹細胞を直接投与すれば、より高い治療効果が期待できるのです。
再生医療で手術後の後遺症が改善した事例
実際に、当院で実施した再生医療にて、腰部脊柱管狭窄症の後遺症が改善した事例についてご紹介します。
年齢・性別 | 50代・男性 |
既往歴 | 腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症 |
主訴 | 腰部脊柱管狭窄症と腰椎すべり症の手術部位にできた血腫が神経を圧迫し、膀胱直腸障害や下肢の筋力低下・しびれなどの後遺症が現れていて悩んでいる。 |
経過 | 幹細胞の脊髄内投与と点滴を実施した2週間後、下肢の筋力や歩行速度の改善がみられ、夜間でのトイレは1回で済むようになった。 経過は良好であり、さらなる症状改善のために、再度幹細胞投与を予定している。 |
より詳しい症例情報を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
自分の症状と重なる、または再生医療に関して気になっている方は、お気軽に電話やメールでご相談ください。
まとめ|腰部脊柱管狭窄症の手術後の後遺症には再生医療という選択を!
腰部脊柱管狭窄症は、椎間板ヘルニア・変性すべり症の合併、または椎体の変形や靭帯が厚くなって脊柱管が狭くなることで発症します。
脊柱管内の神経が圧迫されると腰痛や下肢痛だけでなく、足全体のしびれが現れることもあります。脊柱管狭窄症は年齢を重ねると発症しやすく、とくに高齢者に起こりやすい病気です。
保存療法では消炎鎮痛剤や血管拡張剤などの内服薬を使用し、症状によってはブロック注射を併用します。数週間から数カ月程度の保存的治療を行っても良い効果を示さない場合や、症状が悪化している場合は手術を検討する必要があります。
また新しい治療として、再生医療を行うのも選択肢の1つです。ぜひ今回の記事を参考にして、自分の状態にあった治療を受けて脊柱管狭窄症の後遺症の改善を目指しましょう。