- 脳卒中
- 頭部
脳卒中の原因と予防方法を解説!生活習慣・ストレスなど危険因子を排除しよう
脳卒中は何らかの原因で血管が詰まったり破裂したりして、脳の組織に障害をもたらす病気です。
脳卒中を発症すると手足のまひや言語障害が生じたり、視野障害・意識障害を起こしたりして、日常生活に多大な支障を来すリスクが増加します。
男女ともに60歳以上が好発年齢ですが、なかには30代・40代の働き盛りに発症するケースもあるため注意が必要です。
本記事では脳卒中の原因や予防方法、生活習慣の見直しで危険因子を排除する方法を解説します。
なお、脳卒中の再発予防や後遺症改善に対して、再生医療も治療の選択肢となります。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しているので、ぜひご登録ください。
目次
脳卒中は3種類に大別される
脳卒中は脳の血管が突然つまったり破れたりして、脳の組織に障害をもたらす病気です。
以下の3種類に大別されます。
| 種類 | 原因 |
|---|---|
| 脳梗塞 | 脳の血管がつまる |
| 脳出血 | 脳の血管が破れる |
| くも膜下出血 | 血管にできたこぶが破裂する |
また、脳梗塞の前触れとなりうる一過性脳虚血発作(TIA)という発作もあります。
以下で脳卒中の種類や発症原因、特徴についてさらに詳しく解説します。
①脳梗塞(脳の血管が詰まる)
脳梗塞は脳卒中の半分以上を占める病気で、脳の血管がつまって発症します。血管がつまると脳に十分な量の血液を送り届けられなくなり、脳細胞のはたらきが低下して片麻痺や言語障害などがあらわれます。
脳へ送られる血液の量が少ない状態が続くと、やがて脳細胞は死滅し、元に戻ることはありません。
脳梗塞はさらにアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、ラクナ梗塞などに分類され、それぞれ動脈硬化や血栓により発症リスクが増加します。
脳卒中と脳梗塞の違いについて、詳しくは以下の記事をご覧ください。
一過性脳虚血発作(一時的に脳の血管が詰まる)
一過性脳虚血発作(TIA)は、一時的に脳に送られる血液量が減少し、脳梗塞と似た症状を呈する発作です。
症状は通常24時間以内に消失しますが、脳梗塞の重要な警告サインとされています。TIA後、数日から数週間以内に脳梗塞を発症するリスクが高まるため、症状が消失しても速やかに医療機関を受診することが重要です。
画像診断を行っても脳梗塞の所見が見られないケースもありますが、決して放置せず、適切な予防治療を受ける必要があります。
②脳出血(脳の血管が破れる)
脳出血は脳の血管が破れて起こる病気です。
動脈硬化が進行してもろくなった血管に対し、なんらかの原因で圧力がかかると血管が破れて脳出血を発症しやすくなります。脳梗塞に比べると脳出血は重篤な後遺症を残しやすく、死亡率も高いのが特徴です。
脳出血の大きな原因は高血圧のため、食習慣や運動習慣の見直しにより発症を予防する必要があります。
脳出血について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
③くも膜下出血(血管にできたこぶが破裂する)
くも膜下出血は血管にできた「こぶ(脳動脈瘤・のうどうみゃくりゅう)」が破裂し、突然の頭痛や意識障害を起こすのが特徴です。
脳動脈瘤ができる原因は明らかにされていませんが、高血圧やストレス、喫煙習慣により発症リスクが増加します。
遺伝的要因で脳動脈瘤が発生しやすくなるとも考えられており、脳疾患を発症した経験がある家族をお持ちの方は注意が必要です。
くも膜下出血について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
脳卒中のお悩みに対する新しい治療法があります。
脳卒中の原因と予防法
脳卒中は予防できる原因(危険因子)と、予防できない原因(危険因子)の2つに大別されます。
脳卒中の原因を知り、可能な点に関しては予防に取り組むことが大切です。
予防できる原因(危険因子)
脳卒中を予防するために日々の生活で改善できる主要な危険因子は、以下の7つです。
- ①高血圧
- ②糖尿病(高血糖)
- ③脂質異常症
- ④心房細動などの心疾患
- ⑤喫煙
- ⑥飲酒
- ⑦肥満(メタボリック・シンドローム)・運動不足
これらについて、具体的な修正目標や生活目標を解説します。
①高血圧
高血圧は脳卒中の最大の危険因子であり、血圧が高いほど脳卒中の発生率は高くなります。
食生活の乱れやアルコールの飲みすぎ、急激な運動などで血液の粘り気が強くなったり、血液が流れるときの抵抗が大きくなったりすることで血圧が上昇します。
|
【高血圧】の場合の修正目標 脳卒中を予防するための降圧目標は75歳未満で130/80mmHg、75歳以上で140/90mmHgが妥当とされています。 脳卒中ガイドラインによると、厳格降圧群(平均137/76mmHg)では、標準降圧群(平均140/81mmHg)に比べ、脳卒中の発症リスクが22%低くなるとわかりました。(文献1) |
|
【高血圧の場合】脳卒中の発症を避けるための生活目標
|
血圧を下げる方法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
②糖尿病(高血糖)
糖尿病は、インスリンの作用不足によって血糖値が上昇する病態で、脳卒中のうち特に脳梗塞の危険因子として重要とされています。
|
【糖尿病の場合】の修正目標 空腹時血糖:110mg/dl以下 |
|
【糖尿病の場合】脳卒中の発症を避けるための生活目標
|
糖尿病の予防・改善法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
③脂質異常症
脂質異常症とは、高コレステロール血症(高 LDL-コレステロール血症)、高トリグリセリド血症(高中性脂肪血症)、低 HDL-コレステロール血症を指します。
その中でも、高コレステロール血症が脳卒中のうち、特に脳梗塞の危険因子として重要で、高LDL-コレステロール血症は冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)の危険因子としても知られています。
|
【脂質異常症の場合】の修正目標 リスク区分別の脂質異常症の管理目標値は以下のとおりです。(文献2)
(※)アテローム血栓性脳梗塞を合併する恐れがある場合 |
||||||||||||||||||||||||
|
【脂質異常症の場合】脳卒中の発症を避けるための生活目標
|
脂質異常症について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
④心房細動などの心疾患
心房細動は、脳梗塞(心原性脳塞栓症)の危険因子です。心房細動では心房内の血流が乱れて滞るため、血栓(血のかたまり)ができやすくなります。血栓が血流に乗って脳に運ばれ脳の血管がつまると、脳梗塞を引き起こします。
治療法として、ワーファリンの内服による抗凝固療法を行うことで、脳梗塞の発症率が低下することが確認されています。
【心疾患の場合】の修正目標
|
|
【心疾患の場合】修正すべき生活目標
|
心房細動について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⑤喫煙
喫煙は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血のすべてにおいて危険因子です。タバコは交感神経系を興奮させるため、タバコを吸うと一過性に血圧が上がり、ニコチンは、血管を収縮させて高血圧や動脈硬化を一層悪化させます。
また受動喫煙も、脳卒中の危険因子と考えられています。
【喫煙の場合】の修正目標
|
|
【喫煙の場合】の生活目標
|
喫煙がもたらす身体への影響について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
⑥飲酒
飲酒量が増えるほど、脳内出血とくも膜下出血の発症率は高くなります。脳梗塞の発症率は、少量や中等量の飲酒者ではむしろ低くなりますが、大量飲酒者では高くなるとされています。
大量飲酒は、脱水を誘発し血液が濃くなり、固まりやすく(=詰まりやすく)なります。
【飲酒の修正目標】
|
【飲酒の場合】の生活目標
|
⑦肥満(メタボリック・シンドローム)・運動不足
肥満やメタボリック・シンドロームは新たな脳卒中の危険因子として注目されています。
※メタボリック・シンドロームの診断基準
- ウエスト周囲径が男性 85cm以上、女性 90cm 以上
- トリグリセリド 150mg/dl 以上かつ/またはHDL-コレステロール 40mg/dl 未満
- 収縮期血圧 130mmHg 以上かつ/または拡張期血圧 85mmHg 以上
- 空腹時血糖 110mg/dl 以上
このうちの「2項目以上が存在すること」とされています。
【肥満の場合】の修正目標
|
【肥満の場合】の生活目標
|
肥満のメカニズムや改善法について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
予防できない原因(危険因子)
自分ではどうしようもない発症原因となるものは以下です。
1.年齢:55歳以上では、10歳ごとに脳卒中の発症リスクが約2倍になります
2.性別:男性は女性よりもリスクが高いとされています
3.家族歴 (脳卒中):両親や祖父母に脳卒中の既往がある場合、発症のリスクが高くなるとされています。
脳卒中の再発予防における再生医療
脳卒中の再発予防や後遺症の治療手段の一つが再生医療です。
当院の再生医療では、患者様自身の脂肪細胞から抽出した幹細胞を分離して培養し、増殖させた上で点滴を用いて静脈内に注入します。
患者様自身の細胞を用いる治療法のため拒絶反応が起こりにくく、副作用のリスクが低い点が特徴です。治療は日帰りで受けられるため、手術を避けたい方にとって適した選択肢の一つです。
当院で実際に行っている再生医療について紹介している、以下の症例をご覧ください。
再生医療をご検討の方は、当院「リペアセルクリニック」までお気軽にお問い合わせください。
\無料相談受付中/
若い人や女性にも増えている?世代・性別別の脳卒中の原因
脳卒中は中年期以降の男性だけでなく、若い人や女性も発症する可能性があります。
ここでは、世代・性別ごとに脳卒中の原因および予防法を解説します。
若年層|脱水・ストレス・遺伝が関係する場合がある
若い人は脱水やストレス、遺伝が原因で脳卒中を発症する可能性があります。体内の水分が不足すると血栓ができ、脳卒中の発症リスクを高めると考えられています。
日本人に多く見られるアテローム血栓性脳梗塞は脱水との関係が深いため、夏場はもちろん一年を通してこまめな水分の補給が必要です。(文献3)
ストレスは自律神経のバランスを乱し、血行を阻害するなど脳への負担を増す原因となります。
脳卒中を起こしやすい体質は親から遺伝する可能性があるため、脳卒中を起こした家族がいる方は、ストレスの蓄積にも注意する必要があります。
ストレスと血圧の関係について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
女性|妊娠やピルの使用がリスクになることもある
妊娠中の女性が妊娠高血圧症候群を発症すると、脳卒中の発症リスクが増加します。
妊娠中に妊娠糖尿病を発症した経験がある方は、将来的に脳卒中をはじめとする心血管系の障害を発症するリスクが高くなるため注意が必要です。
また、ピル(経口避妊薬)に含まれるエストロゲンには血液凝固作用があり、脳卒中のリスクをわずかながら上昇させる可能性があります。
代表的な超低用量ピル「ルナベル」の添付文書には、重大な副作用の例として血栓症が挙げられています。(文献4)
ただし、ピルの服用によって血栓症および脳卒中を起こす頻度は不明です。妊娠中やピルの服用中になんらかの不調が見られる方は、すぐにかかりつけ医や専門医に相談してください。
女性の高血圧の原因について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
高齢者|血管の老化や生活習慣病の影響が大きい
高齢者は加齢に伴う血管の老化や、生活習慣病が原因で脳卒中を発症するリスクが増加します。
血管が老化する原因の一つが動脈硬化です。動脈硬化が進行すると血管が硬くなったり、分厚くなったりするだけでなく、コレステロールの沈着により血行不良を引き起こしやすくなります。
高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病も、動脈硬化を進行させる一因です。
高齢者が脳卒中を予防するためには、血圧や血糖値をコントロールする必要があります。
喫煙やアルコールの摂取も高血圧のリスクを高めるため、脳卒中が心配な方は禁煙や禁酒に努めましょう。
放置すると命にかかわる生活習慣について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
脳卒中の発症を早く見つけるには?「BEFAST」で覚える前兆のサイン
脳卒中の発症を早く見つけるサインの一つが「BEFAST」です。
- B(Balance)ふらつきが急に出た
- E(Eyes)片目が見えにくい、ぼやける
- F(Face)顔の片側がゆがんでいる
- A(Arms)腕が上がらない・力が入らない
- S(Speech)ろれつが回らない、言葉が出ない
- T(Time)すぐに119番するのが大切
脳に送られる血液量が減少した状態が長く続くと、脳細胞が死んでしまい二度と元には戻りません。
反対に、脳卒中の発症後すぐに適切な治療を受けると、症状の軽減や消失が期待できます。
上記の兆候が見られる際はすぐに医療機関を受診するか、救急車を手配してください。
脳卒中の原因を理解して適切な治療を受けましょう
脳卒中は日本人の死因の第4位であり、寝たきりになる一番の原因です。(文献5)
脳卒中の大半を占める脳梗塞は、脳の血管がつまって発症し、時間が経過するにつれ手足のまひや言語障害など後遺症のリスクが増加します。
若い方や女性も脱水やストレス、低用量ピルの服用、妊娠中の体質の変化で脳卒中のリスクを高める可能性があるため注意が必要です。
脳卒中の原因のなかには高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や、喫煙・飲酒、肥満など日常的な意識で改善できる事例も少なくありません。
脳卒中の前兆である「BEFAST」のサインが見られる方は、速やかに医療機関を受診して適切な治療を受けてください。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。
脳卒中に対する再生医療について興味をお持ちの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。
\無料オンライン診断実施中!/
参考文献
(文献1)
脳卒中治療ガイドライン2021【改訂2025】|日本脳卒中学会
(文献2)
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版|日本動脈硬化学会
(文献3)
脱水や夏かぜにご注意ください<夏の脳梗塞を防ぐために>|国立循環器病研究センター
(文献4)
ルナベル配合錠添付文書|一般財団法人日本医薬情報センター
(文献5)
脳卒中|国立循環器病研究センター


























