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石灰沈着性腱板炎の原因はストレスや食べ物?肩の痛みへの対処や治療法を解説

石灰沈着性腱板炎 原因
公開日: 2022.06.06 更新日: 2025.12.28

ある日突然起こった、肩の激痛に悩んでいませんか。また、「なぜ自分がこのような痛みに襲われたのか」「この辛さはいつまで続くのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

突発的な肩の痛みは、「石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)」の可能性があります。

石灰沈着性腱板炎は、肩の腱板にカルシウムが沈着することで激しい痛みを引き起こす疾患です。40〜50代の女性に多く見られ、夜間の激痛や肩の動かしにくさに悩まされる方も少なくありません。

本記事では、石灰沈着性腱板炎の原因やメカニズム、症状について詳しく解説します。また、石灰沈着性腱板炎の治療法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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石灰沈着性腱板炎とは

石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)は、肩の腱板内にリン酸カルシウム結晶が沈着し、炎症を引き起こすことで激痛が生じる疾患です。(文献1)

石灰沈着性腱板炎は40〜50代の女性に多く見られる傾向があります。

「五十肩(肩関節周囲炎)」と症状が似ていますが、別の病気です。石灰沈着性腱板炎はより激しい痛みを特徴とし、突発的に発症するケースが多いです。

石灰の沈着は体のさまざまな部位で起こることがありますが、肩の腱板に生じた場合は「石灰沈着性腱板炎」と呼ばれます。

石灰沈着性腱板炎の原因|石灰ができる理由とメカニズム

石灰沈着性腱板炎の原因は単一ではなく、複合的な要因が関係していると考えられています。

ここでは、石灰沈着性腱板炎の原因やメカニズムについて、以下の順序で体系的に解説します。

石灰沈着性腱板炎の原因は「不明」とされている

現状の医学的見解として、石灰沈着性腱板炎の原因ははっきりと解明されていません。なぜ特定の人にだけ石灰が沈着するのか、明確な答えは出ていないのが現状です。(文献2)

疫学的な傾向としては、40〜50代の女性に多いことや、糖尿病との関連性が指摘されていますが、いずれも現時点ではっきりとした裏付けはありません

ただし、一般的には「加齢」や「肩の酷使」など、いくつかの要因が関係していると考えられています。

次項からは、一般的に言及されている「主な要因」を解説します。

加齢による腱の変性が関係している可能性

石灰沈着性腱板炎の発症には、加齢に伴う腱板の変化が関与している可能性があると考えられています。

加齢とともに腱板周囲の血流が低下すると、酸素や栄養が届きにくくなり、古くなった組織の入れ替えや、日常動作で生じる小さなダメージの修復が進みにくくなります。

このような変化が起こると、石灰が沈着しやすい環境が生じる可能性があるのです。

また、石灰沈着性腱板炎は40〜50代の女性に多いことが疫学的に報告されており、閉経に伴うエストロゲンなどの女性ホルモンバランスの変化が、腱の代謝や修復過程に影響を与えている可能性も示唆されています。

女性ホルモンの分泌量が低下すると、組織の柔軟性や修復力に変化が生じることが知られており、こうした変化が「石灰沈着の起こりやすさに関与しているのではないか」と考えられています。

肩の酷使や血行不良との関連性

石灰沈着性腱板炎の発症には、肩の酷使や腱板周囲の血行不良が関与している可能性が指摘されています。

腱板は血流が比較的乏しい組織です。長時間の同じ姿勢や、肩に負担のかかる動作の繰り返しで、組織への酸素や栄養の供給が不足しやすくなります。

血流が低下すると、腱板組織の代謝や修復機能が十分に働かず、低酸素状態から石灰が沈着しやすい環境が生まれると考えられています。

また、デスクワークによる猫背姿勢や、腕を高く上げる動作(オーバーヘッド動作)を繰り返すと、腱板に対する負担となります。

こうした慢性的な負荷が組織の微細な損傷を引き起こし、結果として石灰沈着が起こりやすくなる可能性が示唆されています。

体質・遺伝・代謝異常の影響

石灰沈着性腱板炎は、体質や遺伝的な要因、体内の代謝の違いが関係している可能性も指摘されています。

とくに、糖尿病や甲状腺の病気などの内分泌疾患がある方は、石灰沈着がみられる割合が高いとする報告があります。(文献2)

また、とくに思い当たる原因がないのに発症した場合、生まれつきの体質や遺伝的な素因が関与している可能性も否定できません。

ある研究では、糖尿病のある人は、糖尿病のない人と比べて、肩に石灰沈着がみられる割合が高いことが報告されています。(文献3)

ただし、これらはいずれも発症に関わる可能性が示唆されている要因であり、遺伝や代謝異常だけで発症が決まるわけではありません。

石灰沈着から痛みが起こるメカニズム

石灰沈着性腱板炎の痛みは、石灰が沈着・変化していく過程と深く関係しています。

石灰沈着は一般的に、以下の段階を経て進行すると考えられています。

段階 石灰の状態 主な特徴 痛みの出やすさ
形成期 ミルク状〜やや硬い状態 腱板内に石灰が沈着し始める ほとんどないことが多い
静止期 練り歯磨き状〜石膏状 石灰の大きさが安定し、変化が少ない 軽い痛み、または無症状
吸収期 柔らかく崩れやすい状態 体が石灰を異物として認識し、吸収が始まる 強い痛みが出やすい
修復期 石灰が消失・減少 炎症が落ち着き、腱の修復が進む 痛みは徐々に軽減

(文献2)

なお、石灰沈着性腱板炎の特徴として、強い痛みが生じやすいのは「吸収期」です。

吸収期には、体が沈着した石灰を異物として認識し、免疫反応によって石灰を分解・吸収しようとします。この過程で炎症反応が強く起こり、炎症性物質が放出されるため、突然の激しい肩の痛みや夜間痛が生じると考えられています。

手術しなくても治療できる時代です。

肩の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。

石灰沈着性腱板炎の原因になり得る食べ物はある?

現時点の医学的知見では、特定の食べ物が石灰沈着性腱板炎の直接的な原因になるという証拠はありません

よくある誤解として、「カルシウムを多く摂ると肩に石灰が沈着するのではないか」という心配がありますが、食事から摂取したカルシウムはそのまま腱板に沈着するわけではありません。

一方で、間接的な影響として注意すべき点もあります。

糖尿病や脂質異常症などの代謝性疾患がある場合、石灰沈着性腱板炎の発症リスクが高まる可能性が示唆されています。そのため、高カロリー・高糖質な食事を過剰に続けると、結果的にリスクにつながる可能性も否定できません。

また、水分不足にも注意が必要です。適切な水分補給は血流や代謝を保つ上で欠かせず、脱水状態が続くと、腱板への栄養供給に影響を及ぼす可能性があります。

石灰沈着性腱板炎の予防や全身の健康維持のためにも、バランスの取れた食事と十分な水分摂取を心がけましょう。

石灰沈着性腱板炎の症状|痛みはいつまで続く?

石灰沈着性腱板炎の主な症状は、突然起こる肩の強い痛みです。とくに夜間や安静時に痛みが出やすく、痛みで眠れなくなることもあります。

痛みの強さや続く期間は、発症からの時期によって異なります

時期 目安となる期間 症状・痛みの特徴
急性期 数日〜数週間 ・突然の激しい痛み
・安静にしていても痛む
亜急性期 数週間〜数カ月 ・痛みが徐々に軽減
・動かしたときに違和感が残る
慢性期 6カ月以降 ・動作時の鈍い痛み
・腕を上げる、後ろに回す動作がつらい

多くの場合、強い痛みは数週間で落ち着き、その後は動作時の痛みや違和感が続く傾向があります。

ただし、痛みの持続期間や程度には個人差があるため、強い痛みが続く場合は医療機関を受診しましょう。

石灰沈着性腱板炎の治療法

石灰沈着性腱板炎は多くの場合、主に以下4つの治療法が用いられます。

ここからは、石灰沈着性腱板炎の治療法について解説していきます。

薬物療法

石灰沈着性腱板炎の薬物療法では、炎症や痛みの緩和を目的に、以下の薬を処方します。

薬ごとの種類や特徴は以下のとおりです。

薬の種類 詳細
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) ・薬物療法の第一選択肢
・炎症を抑え痛みを和らげる効果が期待できる
・ロキソニンやボルタレン、湿布などが該当する
・痛みが軽度なら内服薬、重い場合は外用薬が適用されるケースが多い
鎮痛剤 非ステロイド性抗炎症薬は、痛みがある場合に処方される
ステロイド薬 ・炎症を抑える強めの薬
・肩への局所麻酔するケースもある
・長期使用は腱を弱める可能性があるため要注意

理学療法(リハビリ)

薬物療法で痛みに十分対処した後、中等度または重度の症例では、可動域を回復させるために理学療法(リハビリ)を行います。

リハビリの種類 詳細
ストレッチ ・肩の可動をスムーズにするため実施
・実施しないと肩の動きの制限や痛みが発生しやすい
筋肉トレーニング ・肩周辺の関節や筋肉強化が目的
・関節の安定につながり再発予防が期待できる
運動療法 ・ボールやタオル、ゴムバンドなどを使った運動
・日常生活の動作をスムーズにさせるために実施

手術をしない場合は、肩の動きを回復するための穏やかなリハビリを行います。具体的には、振り子のように腕をわずかに振るリハビリがよく行われます。

石灰沈着性腱板炎のリハビリについては、以下の記事で具体的な方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

注射療法

石灰沈着性腱板炎の注射療法は、薬物療法や理学療法で改善されなかった場合に検討される治療法です。直接肩へ注射する治療法のため、高い効果が期待できる反面、長期的な使用には注意が必要です。

注射の種類 詳細
ステロイド注射 ・痛みに対する強めの薬
・即効性はあるがステロイド薬同様、長期使用する上で注意が必要
ヒアルロン酸注射 ・肩の関節の可動域をスムーズにしたいケースで行う

なお、局所への注射だけでなく、急性期にミルク状のリン酸カルシウムを吸引するケースもあります。肩に局所麻酔を施した後に腱板まで針を刺し、固まる前のリン酸カルシウムを手動で吸引し、除去できます。

針を正しい位置に誘導するために、超音波で確認しながら行うケースもある治療法です。

手術療法

薬物療法や理学療法などで石灰沈着性腱板炎の改善が見られない場合は、手術療法が検討されます。とくに、慢性期で日常生活に支障をきたすほどの痛みが続いている方は、手術が必要です。

石灰沈着性腱板炎の手術では、関節鏡手術(小さなカメラを関節内に入れて行う手術)を実施します。身体への負担が比較的少なく、術後1週間程度で日常生活の基本動作が可能になるケースが多いです。

ただし、完全な回復にはリハビリが必要であり、痛みの程度や回復力には個人差があるため、3カ月以上かかる場合もあります。

手術も再発も避けたい方へ「再生医療」という選択肢

再生医療は、手術を伴わない治療法として選択する患者様もいます。

保存療法や薬物療法で改善が見られない場合は手術が必要になることもあり、手術跡や身体への負担を気にされる方も少なくありません。

一方、石灰沈着性腱板炎の再生医療においては、患者様自身の脂肪由来の幹細胞を用いて、組織の修復を促す治療を行います。手術のように大きな切開を必要としないため、体への負担が比較的少ない点が特徴です。

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まとめ|石灰沈着性腱板炎の原因を把握して適切な治療を受けよう

本記事では、石灰沈着性腱板炎の症状や原因、治療法などを解説しました。

石灰沈着性腱板炎は腱板断裂や五十肩とも症状が似ているため、十分に認識されていない方もいます。

「肩の痛みがなかなか治らない」「肩の痛みの原因を知りたい」など、肩の痛みにお悩みの方は、無理をせず医療機関を受診しましょう。

治療法としては、薬物療法や手術の他に再生医療という選択肢もあります。

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石灰沈着性腱板炎に関するよくある質問

石灰沈着性腱板炎がコーヒーと関係するのは本当?

石灰沈着性腱板炎とコーヒーは、直接的な因果関係について証明されているわけではありません

しかし、不規則な食生活が間接的に石灰沈着性腱板炎の原因になり得る可能性も示唆されています。

過剰摂取は避けましょう。

石灰沈着性腱板炎になった場合は仕事を休むべき?

石灰沈着性腱板炎になった場合に、激しい痛みが伴うのであれば仕事を休むのがおすすめです。

とくに、肩を使う動きの多い肉体労働をしている方は、症状を悪化させてしまう可能性があるため注意してください。

また、治療法や個人の回復力にもよりますが、2〜3カ月の休業が伴うケースがあります。

長期休業になるため、医師の診断書をもとに休業補償を受けられるか、会社に確認しておきましょう。

石灰沈着性腱板炎はどのくらいで治る?

石灰沈着性腱板炎は多くの場合、薬物療法で改善します。

ただし、薬物療法や注射療法を実施して、約3カ月で改善する方もいれば、4年経過しても痛みが残ったケースもあります。(文献4)

なかには、痛み止めの内服により2週間程度で改善される方もいるため、治療期間は人によって異なると把握しておきましょう。

参考文献

(文献1)
「石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)」|日本整形外科学会

(文献2)
Calcific Tendinitis of the Rotator Cuff: A Review|J Clin Diagn Res.

(文献3)
Increased risk of shoulder calcific tendinopathy in diabetes mellitus: A nationwide, population-based, matched cohort study|Int J Clin Pract

(文献4)
Calcifying subacromial syndrome–clinical and ultrasound outcome of non-surgical therapy|Z Orthop Ihre Grenzgeb