変形性膝関節症の予防法・膝の負担を減らすための工夫
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変形性膝関節症の予防法・膝の負担を減らすための工夫
膝の痛みで悩む方は非常に多く、特に中高年以降の女性に頻発する疾患が変形性膝関節症です。変形性膝関節症は、年齢とともに罹患率が高まり、国内だけで1000万人もの患者がいるとされています。
変形性膝関節症になると、膝に痛みを感じるだけでなく、進行すると手術をせざるを得ない場合まであります。そんな変形性膝関節症が発症する主な原因は、軟骨のすり減りです。
軟骨がすり減る要因に、加齢・外傷・肥満・遺伝などのほか、普段から膝に負担のかかる姿勢や動作などがあります。この記事では、膝関節の構造から、変形性膝関節症を予防する上で気を付けることなどを紹介します。
変形性膝関節症の予防には、膝の構造を理解して負担を避ける
膝関節は、太ももの大腿骨・すねの脛骨・膝のお皿の膝蓋骨からなる関節です。それぞれの骨には関節軟骨が覆われているほか、大腿骨と脛骨の隙間には内側・外側に合計2枚の半月板が存在します。
関節軟骨と半月板の両者を合わせて、「膝の軟骨」と言います。膝の軟骨の役割は、滑らかに膝を動かし、立つ・座る・歩くなどの動作で膝にかかる衝撃を分散させて膝を守ることです。
膝関節の主体となる運動は、膝を曲げ伸ばしする屈伸運動です。ほかに、わずかな回旋(まわす)運動がありますが、曲げすぎや伸ばしすぎ、急な回旋運動では軟骨に大きな負担になるのです。
膝に負担がかかる動作の積み重ねが、関節軟骨の弾力性を徐々に失われていき、変形性膝関節症を発症させるきっかけになります。
日常で膝に負荷がかかる姿勢や動作
膝に負担が掛かる動作としては、以下のようなものがります。もちろん、これ以外にもありますが
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膝の関節を安定させている組織に、大腿四頭筋・ハムストリングスといった筋肉があります。膝周囲の筋肉が働くことにより、膝の曲げ伸ばしなどの動作を安定して行えます。
筋肉が弱ることでも、膝の安定性は低下し、軟骨への負担が上がるため、変形性膝関節症を予防するには、膝に負担がかからないよう工夫をし、同時に筋肉を鍛えることが大切です。
変形性膝関節症の予防法
変形性膝関節症を予防するには、膝関節への負荷を下げて、安定性を高めると良いです。具体的には、日常生活の見直しやダイエット・筋力トレーニングを実施します。
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筋力トレーニングや体操
関節の安定性を向上させ、膝への負担を軽減させます。また、変形性膝関節症につながる半月板損傷といった外傷を防止します。いざ変形性膝関節症になると、膝の痛みをかばって運動療法ができないケースがあります。
そうなると筋力や関節の可動域は低下し、さらに膝への負担があがるため、余計に痛みが悪化します。痛みがないうちから筋力トレーニングや可動域訓練に取り組み、関節の安定性や柔軟性を高めることが大切です。
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変形性膝関節症を予防するうえで気を付けること
運動の負荷は継続できる程度に設定する
実施する筋力トレーニングで大切なのは継続です。
月に一回ほどの運動頻度では思ったような効果は期待できません。また、運動に慣れていないのに高い負荷を体に課すと、膝を痛めてしまったり、運動後の疲労が抜けず、休息に時間を取られてしまったりと、筋力はつきにくいでしょう。
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まとめ・
変形性膝関節症の予防法・膝の負担を減らすための工夫
変形性膝関節症になると、これまで当たり前にできていたことができなくなります。変形が進行すると、膝の手術がすすめられますが、体への負担になることから決断することは難しいはずです。
たとえ、手術をせずに運動療法などの保存療法に取り組んだとしても、痛みが悪化すれば満足に運動が継続できず、ますます身体機能が低下します。やがては外出するのも億劫になり、寝たきり生活を余儀なくされる場合があります。
これまで通りの生活を続けるには、変形性膝関節症にならないように予防が重要です。変形性膝関節症を予防するには、膝への負担を避けながら、筋力トレーニングで関節を安定させるように、バランスの取れた予防に取り組みましょう。
また可動域訓練では、関節を柔らかくし、負担が偏らないようにします。今後の人生を考えて、痛みがないうちから行動を起こすことが将来の健康のためには大切です。
以上、変形性膝関節症の予防法・膝の負担を減らすための工夫についてご説明させていただきました。ご参考していただければ幸いです。
No.043
監修:医師 坂本貞範
変形性膝関節症の新たな選択肢、手術、入院不要な再生医療で症状の改善を目指す