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スノーボードやスキーによる膝の痛みの原因は?よくある怪我と予防策を解説

冬のウィンタースポーツシーズンになると、スノーボードやスキーを楽しみにしている方も多いのではないでしょうか。
ただし、スノーボードやスキーなどは、スピードが出るほか、転倒や衝突の危険性が高いスポーツです。また、膝を中心に使うスポーツであることから、膝の痛みや怪我を伴うケースも珍しくありません。
今回はスノーボードやスキーで起こりやすい膝の痛みや怪我について解説します。治療法や予防策についてもまとめているので、膝の痛みを我慢して症状を悪化させないよう、ぜひ参考にしてください。
目次
スノーボードやスキーで起こりやすい膝の痛みや怪我
スノーボードやスキーなどによる膝の痛みの原因として最も多いのは、「前十字靭帯損傷」と「半月板損傷」です。
スノーボードやスキーでは、滑走中に膝を捻ってしまったり、ジャンプからの着地や転倒時に大きな負担がかかったりするため、膝の損傷や捻挫のリスクが高まります。
以下で、膝の痛みの原因となるそれぞれの怪我について詳しく見ていきましょう。
膝の痛みの原因|前十字靭帯損傷
前十字靭帯とは、膝の関節内にある靭帯のうちの一つです。前十字靭帯は、膝の捻りや前後のぐらつきを抑え、膝関節を安定させる役割を担います。
前十字靭帯損傷とは、具体的に以下のような靭帯の状態を意味します。
- 伸びている
- 部分的に裂けている
- 完全に裂けている(断裂)
前十字靭帯損傷は、ジャンプの着地や急な方向転換などで起こりやすい怪我です。
▼ 前十字靭帯損傷の受診の目安について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
前十字靭帯損傷の症状
前十字靭帯の受傷直後は、激しい痛みのために動けなくなるケースがほとんどです。なかには、「ブチッ」と筋肉が切れるような音が聞こえる場合もあります。
受傷直後には動けていても、時間が経過すると関節内血腫(関節内に血がたまる状態)が生じるとされています。そして、時間の経過とともに、痛みや腫れが強くなって動くことが難しくなります。
一般的には、2〜3週間で腫れや痛みが軽減されるものの、以下のような症状が継続して見られるケースも珍しくありません。
- 膝の不安定感
- 膝が外れる感じがする
- 膝に力が入らない
- 膝がすぐ腫れてしまう
- 膝が伸びない
- 正座ができない
前十字靭帯損傷の症状は、とくに膝を使う動作やスポーツ競技中などで現れます。
前十字靭帯損傷の診断
前十字靭帯損傷は、医師による診察やMRI検査によって診断されます。とくにMRI検査は靭帯の評価(靭帯の形状や靭帯の走行など)に有用です。また、骨折の有無を確認するためにレントゲン検査を用いる場合もあります。
前十字靭帯損傷の治療法
前十字靭帯損傷の治療法は、主に保存療法と手術療法の2種類です。以下で、それぞれの治療法について解説します。
保存療法
前十字靭帯損傷の保存療法では、大腿四頭筋などの筋力訓練を行い、必要に応じて装具を使用することで、日常生活や軽度のスポーツ活動への復帰を目指します。
この治療法は手術を伴わないため、体への負担が軽い点が特徴です。
一方で、保存療法では膝の安定性が十分に確保されない場合があり、痛みや不安定感が続くことがあります。
そのため、適切なリハビリを行わない場合、半月板損傷や他の靭帯損傷といった二次損傷のリスクが高まる可能性があります。
以前は、スポーツ活動への復帰を目指さない場合に保存療法が一般的に選択されていましたが、近年は、膝の不安定性が長期的に関節軟骨や半月板に負担をかけ、変形性膝関節症などの膝関節の変性リスクを高める可能性が示唆されています。そのため、若年者に対しても保存療法ではなく手術療法が推奨されるケースがあります。
手術療法
前十字靭帯は断裂すると自然に修復されず、必要に応じて再建術を行います。前十字靭帯再建術では、膝の後内側にある屈筋腱を移植する自家移植が一般的です。
手術後はリハビリが必須ではあるものの、手術から10~12カ月後にはスポーツ復帰が見込めます。
前十字靱帯損傷を放置すると、膝が安定性を失い、ガクッと崩れ落ちてしまったり、膝があらゆる方向に捻じれやすくなったりします。
前十字靱帯損傷によって膝が安定しない状態が続くと、半月板や関節軟骨に負荷がかかるため注意が必要です。
▼ 前十字靭帯損傷の手術をしない場合に考えられるリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。
膝の痛みの原因|半月板損傷
半月板とは、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨です。膝の内側と外側にあり、膝にかかる衝撃を吸収する働きがあります。
半月板損傷は、半月板に亀裂が生じたり、欠けたりした状態のことです。若年者から高齢者まで世代を問わず発症し、慢性化すると変形性膝関節症を引き起こす可能性もあります。
半月板損傷の症状
半月板損傷の程度によって異なるものの、主な症状は以下の通りです。
- 膝の曲げ伸ばしが困難になる
- 膝を動かすと激しい痛みが生じる
- 膝に水が溜まる
- 膝が腫れて圧痛が生じる
- 膝関節が突然ロックされたように動かせなくなる(ロッキング)
ロッキングが起こると歩行困難になる場合があるなど、日常生活に支障をきたします。とくに運動中や階段の昇降時などに強い痛みを感じる傾向にあります。
▼ 半月板損傷の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
半月板損傷の診断
半月板損傷の診断方法は、医師による診察やMRI検査などです。状況に応じて、膝関節内にカメラ(関節鏡)を入れて直接損傷の程度を確認する、関節鏡検査を行う場合もあります。
半月板損傷の治療法
半月板損傷の主な治療法として、保存治療と手術療法の2種類があります。
保存療法
半月板損傷が軽度の場合は、保存療法を選択するケースがほとんどです。保存療法では、サポーターで患部を固定し、抗炎症薬などの薬物療法やリハビリを中心とした治療を行います。
保存療法で痛みや症状が改善されない場合や、ロッキングなどの症状が続く場合には、手術療法を検討する必要があります。
手術療法
亀裂部位の幅が1cm以上の場合や、保存療法による効果が見られない場合は、手術療法を選択することが一般的です。半月板損傷の手術には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術の2種類があり、関節鏡を使った鏡視下手術が行われます。
切除術の場合、半月板を取り除くことで膝軟骨の消耗が進んでしまう可能性があるため、近年は縫合術が選択されるのが一般的です。一方で、損傷した半月板の状態によって縫合が難しいと判断された場合には切除術が行われます。
手術後はリハビリが必須で、スポーツへ復帰までの期間は半月板切除術で約3カ月、半月板縫合術で約6カ月とされています。
▼ 半月板損傷の手術のメリット・デメリットについて知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
再生医療ならスノーボードやスキーによる膝の痛みの軽減に効果的
スノーボードやスキーによる膝の痛みを軽減するためには、再生医療という選択肢もあります。再生医療とは、幹細胞や血小板の投与によって、症状の改善を目指す治療方法です。
リペアセルクリニックでは、半月板損傷・半月板断裂に対する再生医療・幹細胞治療を行っています。以下で、当院における半月板損傷に対する再生医療の症例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
症例1.スノーボードで受傷した半月板損傷に対する再生医療
50代の男性は、スノーボードをしていて膝に違和感を感じ、その後に足を踏ん張ったときに強い痛みが現れました。しばらくして症状が和らいだものの、階段の昇降時に痛みが認められました。
半月板は、一度損傷すると自然治癒することはありません。半月板損傷はたとえ痛みがなくなっても、放置すると悪化するリスクが高い怪我の一つです。
当院のレントゲン所見にて、半月板の水平断裂が認められたため、膝関節に幹細胞5000万個を3回投与しました。当院における脂肪由来の幹細胞を用いた再生医療は、身体に大きな負担をかけずに半月板の損傷や断裂に対する治療が可能です。
初回の投与から約1カ月で効果が現れはじめ、2カ月が経つ頃には膝の痛みがなくなりました。スノーボードを継続するため、幹細胞の投与と並行して、筋肉トレーニングとストレッチにも取り組んだ事例です。
▼ こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
症例2.スキーができないほどの膝の痛みに対する再生医療
60代の男性は、昔からスキーをよくしており、約15年前から膝に痛みを感じていました。当院を受診する3年前には、ほかのクリニックでPRP療法を受けたそうです。その後、少し痛みが和らいだものの、普段の生活に支障が出始めて幹細胞治療を選択しました。
MRIとレントゲン検査の結果、半月板損傷と膝の変形が認められたため、両膝に各2500万個の幹細胞を2回投与しました。初回の投与から1カ月で痛みがほぼ半減し、2カ月が経つ頃には両膝とも10分の1まで痛みがなくなった事例です。
同時に、左膝周りの筋力低下に対するトレーニングを指導し、膝の動きを良くするためのリハビリテーションを実施しました。これにより、両膝とも正常な可動域が得られるまで回復しました。
▼ こちらの症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
スノーボードやスキーによる膝の痛みや怪我の予防策
スノーボードやスキーによる膝の痛みや怪我を予防するためには、運動前のストレッチやサポーターの使用などが効果的です。
以下で、膝の痛みや怪我の予防策を解説するので、ぜひ参考にしてください。
滑る前にしっかりとストレッチする
スノーボードやスキー中に膝を痛めないよう、滑る前にはしっかりとストレッチをしましょう。膝周りの筋肉をほぐしておくと、膝関節を柔軟に保てるようになり、転倒や衝突などによる怪我のリスクを減らせます。
具体的には、以下を中心としたストレッチがおすすめです。
- 大腿四頭筋(太ももの前)
- ハムストリングス(太ももの後ろ)
- 股関節周り
雪山でのウィンタースポーツは、体を冷やしやすいため注意が必要です。10〜15分くらいかけてしっかりとウォームアップしておくと、身体の柔軟性が高まり、怪我の防止につながります。
サポーターやプロテクターを使用する
スノーボードやスキーによる膝の痛みを予防するためには、サポーターやプロテクターの使用も効果的です。サポーターやプロテクターは、外部からの衝撃や過剰な負担から膝を守ります。また、膝を過度に捻らないようにするための役割も担います。
スノーボードやスキーでは、突発的な怪我が多い傾向にあります。たとえ膝に痛みがない場合でも、怪我の予防のために、サポーターやプロテクターを着用しておくと安心です。
日頃から筋力トレーニングをする
日頃から筋力トレーニングに取り組んでおくと、スノーボードやスキー中の怪我の予防につながります。膝周りの筋力を強化すると安定性が増し、膝に過度な負担がかかることを防ぎます。
怪我の予防には、膝周りだけではなく、太ももやお尻、ふくらはぎの筋力強化も効果的です。スクワットのほか、体幹を鍛えるために片足で立ったり、バランスボールを使ったりするトレーニングも膝の安定性を高めることに役立ちます。
まとめ・スノーボードやスキーによる膝の痛みを感じたら早めに医療機関を受診しよう
スノーボードやスキーで怪我をして膝の痛みを抱えると、日常生活にも支障をきたす可能性があります。運動前のストレッチやプロテクターの着用などによって、怪我を予防しましょう。
スノーボードやスキーを楽しんだ後に膝の痛みを感じる場合は、前十字靭帯損傷や半月板損傷などが疑われます。適切な治療を受けるためにも、膝の痛みを感じたら早めに医療機関を受診してください。
また、前十字靭帯損傷や半月板損傷の治療後は、怪我をしたときと同じ動作を続けると、再び膝を損傷する可能性があるため注意が必要です。スノーボードやスキーを楽しむためにも、普段からストレッチや筋力トレーニングを習慣づけ、全身の柔軟性を保つようにしましょう。
半月板損傷などの膝の痛みの治療には、再生医療という選択肢もあります。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。再生医療をご検討の際は、ぜひ気軽にご相談ください。
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監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。