頚椎ヘルニアに効くストレッチ5選!予防ポイントも解説【医師監修】
公開日: 2023.12.07更新日: 2024.11.06
頚椎ヘルニアは座りっぱなしの人に多い病気で、腕や首の痛み・痺れが特徴です。
「頚椎ヘルニアにはストレッチが有効」という情報を耳にして、具体的にどのような動きをすれば良いのか疑問に思っているのではないでしょうか。
結論、頚椎ヘルニアは首の疾患ですが、実は首だけでなく胸のストレッチ・運動も重要といわれています。
そこでこの記事では、頚椎ヘルニアに対して有効なストレッチのやり方や注意点をくわしく解説します。頚椎ヘルニアでお困りの方はぜひチェックしてください。
目次
頚椎ヘルニアに効果的なストレッチ5選
結論からいえば、頚椎ヘルニアには首・胸のストレッチが効果的と考えられています。
頚椎ヘルニアは頚椎(首の骨)の間にある椎間板と呼ばれるクッションが変性してしまい、後ろに押し出されることで神経を圧迫する病気です。頚椎は本来後ろ向きに湾曲していますが、なんらかの原因で首が前に倒れると椎間板が後ろに押し出されやすくなります。
頚椎が前に倒れる原因は、ストレートネックや猫背といった不良姿勢です。
不良姿勢は首や胸の筋肉の緊張によって引き起こされることも多いため、ストレッチが効果的と考えられています。つまり、不良姿勢を改善するストレッチが頚椎ヘルニアの予防・改善につながるのです。
ここからは首・胸の部位にわけてストレッチの方法を解説します。頚椎ヘルニアでお悩みの方はぜひ最後までチェックしてください。
僧帽筋・肩甲挙筋のストレッチ
首のストレッチでは、僧帽筋(そうぼうきん)・肩甲挙筋(けんこうきょきん)という首〜肩甲骨にかけてついている筋肉を伸ばします。これらは首の後ろに位置するため、固まると頭が前方に突出し、ストレートネックの原因になりかねません。
僧帽筋・肩甲挙筋をストレッチすればストレートネックの改善につながる可能性があります。
アゴを首に近づけるように後ろに引きながらストレッチすることがポイントなので、ぜひ参考にしてください。
首を動かす僧帽筋・肩甲挙筋のストレッチ
1. 椅子に座って正面を向く
2. 左手を頭頂部に置き、右のこめかみ付近に指先を当てる
3. 手の重みを利用してゆっくり左側に頭を傾ける
4. 15秒から30秒程度キープする
5. 元の位置に戻す
6. 左手を後頭部に回し、指先を右耳の後ろに当てる
7. 手の重みを利用してゆっくり左前側に傾ける
8. 15秒から30秒程度キープする
9. 元の位置に戻す
10. 反対も同様に行う
このストレッチは息を止めてしまいやすいため、呼吸を意識しながら行いましょう。
また、手で強く押さえつけると首を痛める原因となります。手や頭の重みを血要する程度にとどめ、ゆっくりストレッチしてください。
肩を動かす僧帽筋・肩甲挙筋のストレッチ
1. 椅子に座ってアゴを引き、リラックスする
2. できるだけ強く肩をすくめて持ち上げる
3. 持ち上げ切ったところで肩を止め、5秒間保持する
4. 5秒経ったら力を抜き、ストンと落とす
5. 10〜20回繰り返す
このストレッチでは力を入れるところと抜くところのメリハリが重要です。
しっかりと力を入れて肩を持ち上げて、一気に脱力するように意識すればより僧帽筋・肩甲挙筋が伸びるでしょう。
また、ストレッチ中はアゴが上がらないように注意してください。
大胸筋のストレッチ
大胸筋は胸の前方〜鎖骨・腕にかけてついている筋肉です。
大胸筋が固くなると鎖骨や腕が前に引っ張られ、猫背になってしまうことがあります。猫背になると同時に首も前方に倒れ、頚椎ヘルニアの原因になりかねません。
こまめに大胸筋のストレッチを行い、猫背や頚椎ヘルニアを改善しましょう。腕や体を大きく動かしながらストレッチするとよく伸びるので、ぜひ試してください。
立ってできる大胸筋のストレッチ
1. 壁に対して横向きに立つ(右側が壁になるように)
2. 右側の手のひらと腕を壁につける(肩と肘が同じ高さになる位置)
3. ゆっくり体を左側にひねる
4. 右胸の前側が伸ばされるのを感じた状態で15秒から30秒キープする
5. 反対側も同様に行う
ポイントは手のひらを壁につけたまま、しっかりと体を捻ることです。体の捻りに腕がついてくると大胸筋のストレッチが弱くなるため、壁に手をつけたまま動かないように体を捻ってください。
座ってできる大胸筋のストレッチ
1. 椅子の背もたれから少し体を離してまっすぐ座る
2. タオルを持ったままバンザイする
3. タオルを引っ張るように腕を開きながら腕を後ろに引く
4. 肩甲骨を背骨に寄せるようにしながら肘を曲げていく
5. バンザイ→肘を曲げる動作を10回程度繰り返す
このストレッチでは、胸を張るように肩甲骨を背骨に寄せる動きが重要です。
また、腕を開いて肘を曲げていく際に頭が下を向きやすいため、頭の位置を変えないように注意してください。
寝ながらできる大胸筋のストレッチ
1. 横向きに寝て、上になった側の足を前に出す
2. 上になった側の手を天井に向けて伸ばす
3. 上に伸ばした手を手のひらが前に向いたまま背中に向かって倒していく
4. 後ろに倒した手を元に戻し、10回繰り返す
後ろに倒すときには、肘をしっかり伸ばしたまま倒すようにこころがけてください。
また、後ろに倒しながら息を吸うことで胸が膨らみ、大胸筋が伸びやすくなります。
頚椎ヘルニアの原因は「ストレートネックや猫背」
そもそも頚椎ヘルニアとは、首の骨(頚椎)の間にある椎間板が圧迫されることで、椎間板の中にある髄核(ずいかく)が後ろに突出し、首の後ろにある神経が圧迫される病気です。
頚椎ヘルニアの主な原因は、猫背やストレートネックなど首が前に倒れる不良姿勢です。また、加齢や飲酒・喫煙などの生活習慣の乱れによって起こることもあります。
猫背やストレートネックが原因で頚椎ヘルニアを発症した場合、首や胸のストレッチを行うことで症状が緩和・改善する可能性があります。
しかし、不良姿勢以外が原因である場合は、ストレッチのみでの症状改善は難しいかもしれません。放置すると首〜腕にかけての痛みや痺れが悪化したり、歩行が困難になったりする可能性もあるため、ストレッチをしても症状の変化がない場合には、早めに整形外科を受診しましょう。
ちなみに、当院リペアセルクリニックでは再生医療を中心に、頚椎ヘルニアの治療にも取り組んでいます。頚椎ヘルニアに対しての治療で気になる方は、メール相談もしくはオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。
頚椎ヘルニアの初期症状についての記事はこちら:
頚椎ヘルニアの詳しい原因と症状についての記事はこちら:
ストレッチ以外で頚椎ヘルニアを予防するポイント2つ
頚椎ヘルニアの症状を改善・予防するためには、生活習慣の改善と筋トレが効果的です。
乱れた生活習慣や筋力の低下は猫背やストレートネックにつながるため、意識して改善することで頚椎ヘルニアの改善・予防効果が期待できます。
それぞれどのような効果があるのか、詳しくみていきましょう。
生活習慣の改善
生活習慣の改善には、以下に挙げる3つに気をつけてください。
- 不良姿勢の改善
- 適切な枕の使用
- 首に負担のかかる生活の改善
猫背やストレートネックといった不良姿勢は頚椎ヘルニアを強めるため、普段から姿勢を正す意識を持ちましょう。
また、枕の高さが合っていないと寝ている間首への負担が強くなるため、適切な高さに調整することをおすすめします。
首に負担がかかる生活、とくにスマホの見過ぎには注意が必要です。スマホの見過ぎによってストレートネックになることが予想されるため、姿勢を正して使う意識を持ってください。
なお、以下の記事でも頚椎ヘルニアで注意してほしいことをご紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
筋トレ
頚椎ヘルニアの原因に多い猫背やストレートネックは、体幹を中心とする筋トレによって矯正できる可能性があります。体幹を鍛え、猫背やストレートネックが解消されれば、頚椎ヘルニアの改善にもつながるでしょう。
ただし、筋トレをするにあたって痛みが強い場合には避けてください。痛みがあるにもかかわらず無理に筋トレをすると、頚椎ヘルニアの症状を強めてしまう可能性があります。
無理のない範囲での筋トレをこころがけ、少しずつ取り組むことが大切です。
まとめ|頚椎ヘルニアには首と胸のストレッチが重要!早めの受診も検討しよう
頚椎ヘルニアに効果的なストレッチは、首だけでなく胸を伸ばすのがポイントです。とくに僧帽筋・肩甲挙筋・大胸筋に対するストレッチをして、猫背・ストレートネックといった不良姿勢の改善を目指しましょう。
毎日続けることでより効果が出やすくなる可能性が高いため、少しずつでも良いので取り組んでみてください。
ストレッチを続けても効果が出ない場合や、腕・首の痛みが強い場合は、整形外科の受診がおすすめです。整形外科ではストレッチでは改善しなかった頚椎ヘルニアに対して、薬物療法や注射といった選択肢があり、専門的な治療が可能です。
ちなみに当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による頚椎ヘルニアの治療も行っています。もしあなたが頚椎ヘルニアの治療法で悩んでいるのであれば、ぜひメール相談もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。
この記事が少しでも頚椎ヘルニアの症状緩和につながれば幸いです。
頚椎ヘルニアについてよくある質問
頚椎ヘルニアはストレッチで良くなりますか?
頚椎ヘルニアはストレッチをすれば症状が改善する可能性があります。
しかし、頚椎ヘルニアの程度が重度である場合、ストレッチのみでは改善しないかもしれません。その場合には、できるだけ早い整形外科への受診をおすすめします。
頚椎ヘルニアに筋トレは有効ですか?
頚椎ヘルニアの原因が不良姿勢の場合、筋トレが有効といえます。
頚椎ヘルニアの原因である猫背・ストレートネックなどの不良姿勢は、筋力不足によって引き起こされることがあります。筋トレによって不良姿勢が改善されれば、頚椎ヘルニアの症状も和らぐ可能性があるでしょう。
ただし痛みや痺れがあるにもかかわらずトレーニングを行うと逆効果になってしまうため、注意が必要です。整形外科の医師に相談の上、無理のない範囲で行いましょう。