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ガングリオンは放置すると危険? 自然に消える確率や対処法について整形外科医が解説!

「手首に丸いできものがあるけどガングリオン?」「痛みや腫れがないから放っているけどいいのかな?」「ガングリオンが痛いけど自然に治るだろうか」「悪性だったらどうしよう」と悩んでいませんか?

とくに無症状だと、仕事や育児・介護などで忙しいなか、わざわざ病院へ行くべきか迷いますよね。この記事ではガングリオンを放置する危険性や自然に消える確率などをまとめました。

放置してもいいケースや受診する目安、悪性腫瘍の見分け方なども解説するので、ガングリオンができて困っている方はぜひ最後まで読んでください。

ガングリオンは放置すると危険? 自然に消える確率や対処法について整形外科医が解説!

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ガングリオンの原因と症状

ガングリオンは良性の腫瘍で、関節周囲や骨と筋肉をつなぐ腱・腱鞘の近くにできます。

コブのような丸い見た目をしており、大きさは5mm(米粒くらい)から4㎝(ピンポン玉くらい)。コブの中には、関節を保護している滑液がゼリー状になったものが詰まっています。

ガングリオンがなぜできるのか不思議ですよね!?それでは原因や症状を確認していきましょう!

ガングリオンの原因とメカニズム

ガングリオンは、関節内にある液体がガングリオンの袋に流れてコブになったものです。

2つの骨が繋がる関節は、袋のような関節包で守られており、関節包の中は滑液(関節を保護する潤滑油)で満たされています。この滑液が、なんらかの理由でできたガングリオンの袋に流れるとコブ状の腫瘤(しゅりゅう)が形成されます。

なぜガングリオンの袋ができるのか原因は分かっていません。手首や足、足首などの関節周囲のほか、骨と筋肉をつなぐ部分の腱や、腱を支えるさやの役割である腱鞘(けんしょう)にもガングリオンができます。

ガングリオンは痛い?よくある症状

ガングリオンは無症状の方も多いですが、以下のような症状があらわれます。

  • コブのあるところが痛む
  • 手足が痺れる・感覚が鈍くなる

ガングリオンが神経にちかい場所にできると、神経を圧迫して痛みや手足の痺れ、感覚鈍麻といった症状がでます。はじめは無症状でも、ガングリオンが大きくなると神経を圧迫しやすいため、大きくなるガングリオンは注意しましょう。

ガングリオンを放置するとダメ?

ガングリオンが気になるものの、痛みがないからと様子をみている方・病院に行くほどでもないと感じている方もいるのではないでしょうか。

  • ガングリオンを放置する危険性
  • 自然治癒するのか
  • 受診する目安

上記の3点をまとめました。

ガングリオンを放置する危険性

痛みや痺れのないガングリオンはそのままにしていても問題はありませんが、ガングリオンと似ている病気を放置すると悪化する危険性があります。

ガングリオンと見分けがつきにくい病気だった場合、放置する危険性を確認していきましょう。

  • 粉瘤(ふんりゅう)だった場合:炎症が起き腫れる・悪臭が発生する
  • 脂肪腫だった場合:悪性の場合がある
  • 滑液包炎だった場合:炎症が強くなる・痛みが増す

ガングリオンによく似ている粉瘤の中身は垢や老廃物で、放っておくと赤く腫れたり、悪臭が発生します。

ほかにガングリオンによく似ている腫瘍の1つに脂肪腫があります。脂肪腫は脂肪がつまったコブですが、まれに悪性腫瘍である脂肪肉腫の場合があります。ガングリオンがあると「もしかして悪性ではないか」と不安になる人もいるのではないでしょうか。

ただ、悪性腫瘍は急速に大きくなる・形がいびつなどの特徴があります。

脂肪肉腫は希少がんであり、非常にまれな病気のため心配しすぎる必要はありません。大きくなったり形が変だと感じたら受診しましょう。滑液包炎もガングリオンによく似ており、ケガや関節の使いすぎで炎症を起こしコブができます。中身は血混じりの滑液で、放置すると炎症が強くなって痛みが増したり、関節が動かしにくいといった症状がでます。

見た目だけでガングリオン・粉瘤・脂肪腫・滑液包炎を見分けるのは難しいため、症状がなく放置したい場合でも病院へいき、医師に診てもらうと安心です。

ガングリオンの治療法

ガングリオンの治療では注射で内容物を吸い出したりステロイドを注入します。

注射は怖いからイヤだと思う人もいます。注射はコブの中に何があるか確かめる目的もあり、ガングリオンの診断や治療に必要なもの。注射が苦手な方や痛みが怖い方は医師に伝えましょう。あらかじめベッドに寝て患部を見なくて済むよう配慮してくれたり、局所麻酔を使うなど痛みにも配慮してくれます。

ただし、注射で吸い出す治療ではガングリオンの袋自体は残ったまま。症状は一時的に良くなりますが、再発率は50%と高いです。注射での排出を何度かおこなううちに治るケースもありますが、繰り返す場合は手術でガングリオンの袋自体をとる手術も視野に入れましょう。

ガングリオンは自然に消える?

ガングリオンが自然になくなる方もめずらしくありません。忙しいと症状のないガングリオンはつい放置しがちですが、いつのまにか治ってしまうなら嬉しいですよね。自然に治癒する条件や確率をまとめたので、参考にしてください。

自然に治る確率

ガングリオンの58%が自然に解消することが分かっています。また、治療をのぞみ注射で吸引などをしても50%が再発するといわれており、じつは経過観察しても注射治療をしても大きな差はありません。

様子を見てもいい条件

以下の条件を満たしている場合は今すぐ受診する必要はありませんが、なるべく医師に診てもらい放置してよいか確認してください。

  • コブが大きくならない
  • 赤く腫れない
  • 痛みがない・痺れがない

上記とは反対に、ガングリオンがどんどん大きくなる・赤く腫れてきた・痛みやしびれが出てきた場合は、生活に支障をきたしたり別の腫瘍の可能性もあるため、医師の診察を受けましょう。

ガングリオンが自然に消えた?理由とメカニズム

ガングリオンを放置していたら自然に消えたという経験がある方は、なぜ消えたのか不思議に思いますよね。自然に消えるのはガングリオンの袋が破れるためです。

ガングリオンの袋は大きくなると薄い部分ができます。風船も、ふくらむと表面が伸びていき、うすくなりますよね。関節を動かしたり、ぶつけるなどでガングリオンの袋の薄い部分が破れたり穴があくと、中身が流れ出しガングリオンが小さくなったり消失します。

ガングリオンを潰すとどうなる?自己ケア法

自分でケアするのはやめましょう。

ガングリオンは圧迫すると袋に穴があいてコブが消失したり小さくなることがあります。そのため、自分でガングリオンを押して潰そうとする方もいますが、神経を圧迫して痺れたり痛みがでる・傷を負うなどしやすいため、試さないようにしてください。

無理に潰そうとせず自然にまかせ、気になるようでしたら病院で治療しましょう。

ガングリオンで病院を受診する目安

ガングリオンで治療を受ける目安は以下のとおりです。

  • だんだん大きくなってきた
  • 痛みや痺れがある
  • 外見上の問題がある

詳しく解説します。

受診の目安:大きくなる・痛い・痺れる・見た目が気になる

ガングリオンが大きくなってきて関節が動かしにくい、洋服がひっかかってしまうなどの生活に支障がある場合や、色んなところにぶつけてしまってケガをする恐れがあるときは、受診して治療しましょう。

ガングリオンが小さくても、神経を圧迫していると痛くなったり痺れるといった症状がでます。大きさにかかわらず、痛い・痺れる場合は病院へいき、治療を受けてください。

ガングリオンはコブ状のため、見た目が気になる方もいるのではないでしょうか。ガングリオンはさまざまな場所にできるので、外見上の問題があり治したい場合も受診しましょう。

受診前に整理しよう!5つの情報

受診前に、以下の情報を整理しておきましょう。

  • ガングリオンはいつからできたか
  • 当初の大きさはどのくらいだったか
  • 痛みや痺れはないか
  • どういった動作がしにくいか
  • 麻酔のアレルギーはないか

上記の情報は診断や治療に必要なため、答えを用意して受診すると診察がスムーズです。

診断や治療のためにガングリオンに注射し内容物を吸い出したり、ステロイドの注射をします。場合によっては局所麻酔を使うため、麻酔のアレルギーがある方は申告しましょう。

そのほか、注射で気分が悪くなったり倒れてしまった経験がある方も、前もって言っておくと注射するところが見えないよう配慮してくれたり、ベッドで寝た状態で治療するなど工夫してくれます。

ガングリオンの再発予防で注意すべきポイント

ガングリオンがなくなったと思ったのに、またできてしまうのは珍しくありませんが、なぜ再発するのか・再発予防にはどうしたらいいのか解説します。

ガングリオンができやすい人の再発予防

自然にガングリオンがなくなった場合や・注射で吸い出す治療をした場合、ガングリオンの袋自体は残っているため再発しやすい特徴があります。

たとえば手や手首にできたガングリオンで、注射で吸引治療した場合の再発率は50%というデータもありますが、多いですよね。

関節に負荷がかかると、関節包にある滑液がガングリオンの袋に流れやすくなるため、関節を動かしすぎない・体重をかけすぎないようにすると再発予防になります。たとえば手首にできた場合は手首を使いすぎず、手をついて立ち上がる(体重をかける)といった動作を控えるようにしましょう。

ガングリオンでよくある質問

よくある質問①ガングリオンと悪性腫瘍の見分け方は?

ガングリオンは良性の腫瘍ですが、ガングリオンだと思っていたコブが悪性の脂肪肉腫だったケースや炎症を繰り返していた粉瘤が悪性化するといったケースが極めてまれに起こります。

  • 色むらがある
  • 形がボコボコしている
  • 急に大きくなった
  • コブとまわりの境界線がはっきりしない

悪性の場合は上記のような特徴があります。

悪性の腫瘍はまわりの組織に滲むように大きくなるため、コブとまわりの組織の境界がはっきりしません。また、色むらがあったり形がボコボコしている、急速に大きくなるなどの変化があります。

ぱっと見て分かりやすいケースもありますが、見た目だけで判断するのは医師でも難しいため、気になるようであれば受診し検査してもらいましょう。

よくある質問②ガングリオンが痛いときの対処法は?

ガングリオンが痛む場合ははやめに病院へいきましょう。すぐ行けない場合は、手持ちの痛み止めを飲むのも対処法の1つですが、効き目がきれるとまた痛くなります。

ガングリオンが痛い場合に考えられるのは以下のケースです。

  • ガングリオンに神経がおされ痛む
  • ガングリオンだと思っていたが別の病気で炎症を起こしており痛む

赤く腫れて熱を持っている場合は炎症を起こしているため冷やすと痛みが楽になります。しかし、見た目でとくに変わりがなく痛む場合は神経を圧迫して起こる痛みのため、自分でケアができません。

炎症し痛い場合でも神経を圧迫している痛みでも、はやめに受診し治療を受けましょう。

よくある質問③ガングリオンは何科にいけばいい?

整形外科、皮膚科、形成外科を受診します。

ガングリオンは関節が関係しているため、基本的には整形外科で治療しますが、ガングリオンに似ている脂肪腫や粉瘤などは皮膚科や形成外科で診察するのが一般的です。

そのため、関節からすこし離れた場所にあるコブなど、ガングリオンかどうか分からない場合は皮膚科か形成外科を受診しましょう。

ガングリオンを放置するリスクと対処法まとめ

ここまで、ガングリオンを放置する危険性や、自然治癒についてまとめました。

ガングリオンはとくに症状がなければ放置してかまいませんが、急速に大きくなったり痛む・痺れる場合は我慢せず整形外科や皮膚科にいきましょう。また、自己流でガングリオンを潰すなど自分でケアするのはケガの原因になるため、控えてください。

この記事で受診する目安をお教えしましたが、適切な時期に受診するためにもガングリオンを完全放置するのではなく、ときおり観察してみてください。

参考文献一覧

日本整形外科学会「ガングリオン」

Treatment of ganglion cysts

Ganglions of the hand and wristガングリオンは放置すると危険? 自然に消える確率や対処法について整形外科医が解説!

 

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