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手首のガングリオンを解消!最新治療法と再発防止の秘訣

公開日: 2024.08.05
更新日: 2024.10.07

手首にできるしこりのひとつに、ガングリオンと呼ばれる病気があります。名前だけを聞くと、「怖い病気なのでは?」と感じますよね。

ガングリオン自体に症状はなく、放っておいても問題ない病気です。しかし、手首にしこりができると、手首の動きを制限されるため、不便さを感じる方もいるでしょう。場合によっては痛みやしびれが生じます。しこりが大きくなり目立つ場合は、見た目も気になりますよね。

今回の記事では、

  • ・ガングリオンの基本情報や発生のメカニズム
  • ・治療法
  • ・手首にできたときの管理方法
  • ・再発防止策

について詳しく解説します。

ガングリオンが手首にできてお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。

手首のガングリオンを解消!最新治療法と再発防止の秘訣

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ガングリオンとは?その基本を知る

ガングリオンとは、関節周囲にできる「こぶ状に膨らんだ良性腫瘍」です。手首の甲に最もできやすく、次に手のひら側の指の付け根が好発部位です。手や指だけでなく、足首や肘、肩など、全身の関節にできる病気です。

ここでは、ガングリオンの発生メカニズムや一般的な症状について解説します。

ガングリオン発生のメカニズム

ガングリオンは、以下の2つの組織から発生します。

  • ・関節包(かんせつほう)と呼ばれる「関節を包んでいる袋状の膜」
  • ・腱鞘(けんしょう)と呼ばれる「腱を包んでいる鞘状の組織」

これらの組織から、茎を通ってガングリオンの袋の中に、徐々に関節液が漏れ出し溜まっていきます。溜まった関節液は袋の中で濃縮され、ゼリー状に固まってしこりができます。発症の特徴として、20代~50代の女性に発症しやすいですが、必ずしも手をよく動かす生活をしている方が発症と関連しているわけではありません。女性にできやすい病気のため、見た目を気にする方が多い印象です。

ガングリオンが形成される原因について、関節包(かんせつほう)や靭帯(じんたい)、腱鞘(けんしょう)などを損傷した場合にできると考えられていますが、詳しくは解明されていないのが現状です。

ガングリオンの一般的な症状

ガングリオンができても、それ自体に症状はありません。こぶ状のしこりのため、手首が腫れているように見えます。そのため、「痛そう」と心配されがちですが、基本的には痛みもかゆみもありません。

ただし、しこりの大きさや位置によって神経や血管を圧迫する場合があり、痛みやしびれなどの症状があらわれます。大きくなってくると、しこりが目立つケースも多く、見た目が気になる方もいるでしょう。

また、しこりが大きくなり関節を圧迫すると、関節が動かしにくくなります。荷物が持ちにくかったり、車や自転車のハンドルの操作がしにくくなったり、日常生活に影響が出るケースがあり、痛みがなくても不便さを感じるでしょう。

ガングリオンは良性の腫瘍なので、積極的な治療は必要ありません。しかし、痛みやしびれ、関節の動かしにくさを感じる場合には、治療をしたほうがいいでしょう。また、見た目が気になるケースも、治療の対象です。

手首ガングリオンの現代的な治療法

手首にできたガングリオンの治療には、主に2つの方法でおこなわれます。

  • ・非侵襲的治療(保存的療法)
  • ・侵襲的治療(手術療法)

それぞれの特徴を解説します。

非侵襲的治療(保存的療法)

ガングリオンの治療としては、まず非侵襲的治療法(保存的療法)で治療をします。非侵襲的治療法とは、痛みがない、または非常に少なくてできる治療法です。そのため、まずはサポーターで保護したり、安静にしたりしましょう。しかし、この方法は一時的な対処法のため、一度しこりが小さくなっても、再び大きくなるケースがほとんどです

ガングリオンの特性として、関節を動かし過ぎると負担がかかり、しこりは徐々に大きくなる傾向です。安静にしても頻繁に症状が繰り返される場合には、まずは注射器を使った侵襲の少ない治療がおこなわれます。そのため、外来で短時間で処置できるのがメリットです。

<注射器での吸引治療の特徴>

  • ・注射器で穿刺してガングリオンの内容物を吸引し排出する
  • ・内容物の排出後は圧迫固定が必要
  • ・外来でできる処置のため侵襲が少ない
  • ・ガングリオンの袋は残るため再発の可能性がある

内容物の吸引をしたあとにステロイドの注入をおこなう場合があります。患部の炎症を抑え、痛みを和らげる効果を期待しておこなう処置です。ステロイドの注入は必ずおこなうわけではなく、医師の診察と判断により実施が検討されます。

一般的に、まずは保存的治療をおこない、再発を繰り返す場合に手術療法が検討されます。

侵襲的治療(手術療法)

手術療法は、関節包や腱鞘につながっている茎を含めたガングリオンの袋ごと摘出します。局所麻酔でおこなわれる場合が多く、基本的には日帰り手術で治療が可能です。しかし、ガングリオンの位置によっては関節の内部にまで入り込んでいるケースもあり、そのような場合は入院が必要です。

入院期間は、1泊2日程度の短い入院期間で治療ができますが、家庭の状況や仕事の事情で入院治療ができない方もいるでしょう。主治医とは治療方針だけでなく、自分の状況についても医師としっかり相談しておきましょう。

<手術療法>

  • ・術後は創部を保護し安静のため固定が必要
  • ・術後リハビリが必要なケースもある
  • ・麻酔をして切開をするため保存的療法より侵襲が大きい
  • ・術後2週間程度で抜糸が必要
  • ・創部の感染に注意

手術療法では、ガングリオンの袋ごと摘出するため、保存療法より再発の可能性は低いです。しかし、再発の可能性がゼロではありません。

再発予防については、記事の後半で詳しく解説します。

家庭でできるガングリオン管理法

ガングリオンが手首にある状態は、異物感や見た目など、非常に気になる存在ですよね。適切なガングリオンの管理は、悪化や再発の予防につながります。

ここでは、ガングリオンによる痛みの管理やガングリオンがあってもできる運動を紹介します。

日常生活での痛みの管理

ガングリオンができている関節に痛みがない場合には、マッサージをおこなうケースがあります。しかし、関節に痛みがある場合には、無理に動かしたりマッサージをしたりするのはやめましょう。手首のしこりは、視界にも入りやすく非常に気になる存在ですよね。しかし、ガングリオンは動かすと大きくなる性質があります。痛みがある場合は、無理に動かさず安静にしましょう。

また、関節に熱感がある場合、炎症が起きている可能性があります。保冷剤や冷やしたタオルなどで患部を冷やすと、痛みが軽減します。

20代~50代の女性にできやすい病気ですが、この年代の女性は仕事に家事に育児に、忙しい毎日を過ごしています。「どうしても安静にできない」「つい手を使いすぎてしまう」などあるでしょう。そのような場合、サポーターを活用してみるのもいいでしょう。

自宅でできるストレッチと強化運動

ガングリオンができる要因として、関節包や靭帯、腱鞘の損傷が考えられています。そのため、手首の柔軟性を高め、ケガをしにくい関節にすることも、ガングリオンの悪化防止や再発防止に有効です。運動不足や姿勢の悪さが原因で手首に負担がかかっている場合があります。そのような場合は、適度な運動や姿勢改善を行ってみましょう。

自宅でできる簡単なストレッチの例を紹介します。

<指のストレッチ>

  1. 両手を前で組んでゆっくり前に肘を伸ばす
  2. 手をひっくり返して外側に手のひらを向け指を反らす
  3. 10秒を3セットおこなう

<手首のストレッチ>

  1. 片手を前に伸ばし指先が下になるように手のひらを外側に向ける
  2. 反対の手で指先をつかみ手前に引く
  3. 指をつかんでいた手を離し手の甲を外側に向ける
  4. 反対の手を手の甲に当て手前に引く
  5. 反対の手も同様におこなう
  6. 左右とも10秒を3セットずつおこなう

「忙しくて運動なんかできない」という状況の方もいるでしょう。そのような方は、すきま時間を活用してみてください。また、関節の動きを柔軟にするストレッチや筋力トレーニングを行うことも有効です。

ただし、ひとつ注意があります。ガングリオンができている関節を動かし過ぎるのは禁物です。ガングリオンを大きくする要因となるため、痛くない程度の力加減でおこないましょう。また、痛みがあるときには手首を安静にし、無理をしないようにしましょう。

ガングリオン再発防止のための戦略

残念ながら、ガングリオンの再発を確実に予防する方法はありません。しかし、再発のリスクを少なくする対策はできます。

適切な環境調整やツールを使い、再発リスクを少なくしましょう。

再発を避けるための予防策

ガングリオンは、処置をしても再発を繰り返すのが特徴です。ガングリオンができた関節には、負担をかけないようにしましょう。手首への負担を減らすために、以下のようなことができます。

  • ・体重をかけたり重い物を持ったりしない
  • ・手首に疲れをためないようにする
  • ・不適切な姿勢をしない
  • ・サポーターや装具を使う
  • ・無理のない運動やストレッチ

たとえば、後ろに手をついて手で体重を支えるような長座位や涅槃像(ねはんぞう)のように片手で頭を支え横になる姿勢は、手首に負担がかかります。このような姿勢はやめましょう。

処置後に違和感や痛みがなくなると、ついいつも通りに生活してしまいますよね。しかし、今まで通りの生活では、またガングリオンが再発するリスクがあります。上記のことに注意しながら、少しでも違和感があるなら、早めに医療機関を受診しましょう。

長期的な健康維持のアプローチ

ガングリオンができないために、また、再発を予防するためには、長期的な健康管理も重要です。

運動不足や姿勢の悪さは、身体の一部に負担がかかります。たとえば、イスに座っているときに足を組むクセがある人も多いでしょう。足を組むと、身体がゆがみやすくなるとされています。手首も同様で、荷物を持つ手や子どもを抱っこする腕がいつも同じというクセがついている場合、片方の手に負担がかかります。

筋力が弱っていたり無理な持ち方をすると、手首を傷める可能性があります。規則正しい生活や運動習慣を心がけ、健康的な関節を維持することも大切です。

ガングリオンと向き合う:患者の声と専門家のアドバイス

ガングリオンは珍しい病気ではありません。しかし、身近に罹患した方がいなければ、ガングリオンに対する不安も大きいでしょう。

ここでは、ガングリオンに罹患した方の経験談を紹介します。

治療事例の紹介

病院でガングリオンの治療を受けた方の体験談を2つ紹介します。

<30代女性 Aさんの事例>

手首に1㎝程のしこりがあることに気づいたが、痛みもなくそのままにしていた。3カ月ほどで5㎝ほどの大きさになっていた。

別件で受診した整形外科で手首のしこりについて、ガングリオンだと言われた。注射器で中身を吸い出すだけですぐに処置できると聞き、処置してもらった。再度大きくなる可能性もあるため、大きくなってきたら再度受診するように言われた。

言われた通り、半年後に手首にしこりを見つけ、整形外科を受診。もう一度、注射器で中身を出してもらい、再度しこりが膨らんでくるようなら手術を検討しましょうと言われた。しかし、それから1年以上再発なく過ごしている。

<60代女性 Bさんの事例>

足首に突然しこりができた。「なんだろう」と思ったが、仕事が忙しく受診できなかった。しかし、時間の経過とともに、しこりも痛みも消えたため、そのまま受診をせずいつも通り過ごしていた。

しばらくして、同じ場所にしこりが膨らんできており、また消えるだろうと思い様子をみていた。しかし、徐々に痛みが強くなってきて、歩くのに支障が出るようになったため整形外科を受診。ガングリオンだと言われ、注射器で中身を吸い出してもらう処置を受けた。またしこりができるようなら受診するように言われたが、今のところ再発はなく過ごしている。

専門家からのアドバイス

ガングリオンができたら、まずは手首を安静にしましょう。気にせず手首を酷使していると、ガングリオン自体が大きくなり生活に支障が出ます。

治療後は安静にし、痛みがなくなったら負担のない程度に手首を動かしましょう。負担に耐えられる強い手首は、ガングリオンの再発リスクを下げます。適度な運動やストレッチを取り入れ、健康的な関節を維持しましょう。

まとめ・手首のガングリオンを解消!最新治療法と再発防止の秘訣

ガングリオン自体は、良性の腫瘍です。女性に多く発症しますが、必ずしも手や足、指を使いすぎたためにできるわけではありません。しこりは、膨らんだりしぼんだりを繰り返しますが、痛みやしびれ、関節の不自由さを感じるなら治療が必要です。しこりに気づいたら、整形外科を受診しましょう。

この記事がご参考になれば幸いです。

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