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こめかみの痛みは脳梗塞のサイン?頭痛の原因や受診すべき目安を医師が解説
こめかみの痛みが続き「脳梗塞だったらどうしよう……」と悩んでいませんか。
こめかみは脳にも近い部位であり、大きな病気なのではないかと不安になりますよね。
結論、こめかみが痛いだけであれば、脳梗塞の可能性は低く、偏頭痛や緊張性頭痛といった「一時性頭痛」である可能性が高いです。
ただし、会話ができない症状や手足のしびれも伴う場合は、脳梗塞の可能性も否定できません。こめかみの痛み以外の症状もみられる場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
本記事では、こめかみの痛みや原因、脳梗塞の関係性や受診のサインについて詳しく解説します。
記事を参考に、自分のこめかみの痛みが脳梗塞の症状なのかを見極め、受診すべきかどうか検討しましょう。
当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。可能です。
メール相談またはオンラインカウンセリング にて無料相談を受け付けています。気になる方はお気軽にご相談ください。
目次
こめかみが痛いだけなら脳梗塞の可能性は少ない
こめかみが痛む原因の多くは、偏頭痛や緊張型頭痛などの「一次性頭痛」と呼ばれるものです。
脳梗塞による頭痛(二次性頭痛)が発生する場合手足のしびれやろれつが回らないなど他の症状もあらわれることが多くあります。
よって「こめかみが痛い」のみの症状の場合は脳梗塞を強く疑う必要はありません。
ただし症状の程度や頻度によっては注意が必要です。
普段よりも激しい頭痛の場合は、脳梗塞の可能性も否定できないため、すぐに受診するようにしてください。
脳梗塞の前兆について詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしていただけると幸いです。
こめかみが痛くなる主な原因3つ
こめかみが痛くなる主な原因は、以下の3つです。(文献1)
- 偏頭痛
- 緊張型頭痛
- 群発頭痛
頭痛のタイプによって原因が異なるため、それぞれの症状や特徴を知り、自分の頭痛が上記にあてはまるかどうか確認してみてください。
1:ズキズキ痛む「偏頭痛」
偏頭痛の特徴は、頭の片側が脈に合わせて「ズキズキ」と痛む症状です。
偏頭痛の一因として、以下があげられます。
- ストレス
- 睡眠不足
- ホルモンバランスの乱れ など
光や音などが刺激となり、脳血管が急激に拡張することで周辺の神経を刺激して痛みが起こります。痛みの悪化により吐き気が伴う場合も考えられるでしょう。
また、偏頭痛が脳血管疾患の中でも頻度の高い症状です(文献2)。
こめかみがズキズキするタイプの方は、まずは安静にして様子を見るようにしましょう。
痛みが強い場合は鎮痛剤の使用で改善も期待できます。
2:ギューッと痛む「緊張型頭痛」
こめかみがギューッと締め付けられるような痛みの場合は「緊張型頭痛」が考えられます。
緊張型頭痛は肩や首の筋肉が凝り固まって血流が悪くなることで引き起こされます。
とくに現代はパソコンやスマートフォンの長時間使用で緊張性頭痛が誘発されるケースが多く見られます。
長時間下を向いたり、パソコン作業をする姿勢が悪かったりすると緊張型頭痛が起こる原因になりかねません。
頭痛と一緒に肩や首のコリも感じる方は、ストレッチやマッサージなどを定期的に行いましょう。
3:激しい痛みが繰り返される「群発頭痛」
こめかみ目の奥に我慢できないほど強い痛みが繰り返される場合は「群発頭痛」の疑いがあります。
群発頭痛は、数週間から数カ月にわたり毎日同じ時間帯に繰り返し生じる特徴的な頭痛です。
また、以下の症状を伴うケースも多く見られます。(文献3 )
- 目の充血
- 鼻づまり
- 発汗
- まぶたの腫れ など
群発頭痛の原因は明確になっていませんが、脳神経や血管の異常が原因との諸説もあります。(文献1)
セルフケアのみでの改善は困難なため、群発頭痛の可能性がある場合は、早めに専門医を受診して適切な治療を受けましょう。
こめかみの痛みだけじゃない!脳梗塞の可能性がある症状
こめかみの痛みが脳梗塞のサインである場合、以下のような他の症状を伴うことが多いです。
- 手足のしびれ
- ふらつき
- ろれつが回らない
- 嘔吐
- 目が見えにくい
- 顔の片側が動かしにくい など
偏頭痛のような一次性頭痛は神経や筋肉の異常が原因で起こります。
一方で二次性頭痛は脳梗塞のような他の病気が原因で引き起こされます。
一時性頭痛と二次性頭痛の違いや見分け方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【要チェック】脳梗塞になりやすい人の特徴
脳梗塞になりやすい人の特徴として、以下6つがあげられます。
- 1.血圧高い人
- 2.血糖値が高い人
- 3.コレステロール・中性脂肪が高い人
- 4.心臓の病気を持っている人
- 5.腎臓の病気を持っている人
- 6.肥満体質の人
上記が引き金となり、脳梗塞にかかるリスクがあります。
該当する方は、脳梗塞のリスクがあることを理解して、治療に専念しましょう。
1:血圧が高い人
高血圧は脳梗塞を引き起こしやすい要素の1つです。
血圧が高いと血管が傷つき、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。
できた血栓が脳血管を詰まらせると、脳梗塞を引き起こすリスクがあります。
血圧の上昇を防ぐためには、以下のような基本的な生活習慣の見直しが大切です。
- 塩分控えめの食事を摂る
- 定期的な運動を行う
- 飲酒や喫煙を控える
これらを日常で心がけると、血圧が正常値に近づき、脳梗塞のリスクの低減も期待できます。
高血圧症の治療を行っている場合は、専門医の指示のもとで適切な治療を継続しましょう。
2:血糖値が高い人
生活習慣病のひとつである「糖尿病」も脳梗塞のリスクを高めます。
血糖値が高い状態が続くと、血管が硬くなり(動脈硬化)、血流が妨げられます。
その結果脳梗塞のリスクが上がるため、糖尿病の方は血糖値の改善が大切です。
主に血液検査の項目にある「HbA1c」により治療の可否を判断する場合が多いです。
「HbA1c」の目標値は以下のとおりです。(文献4)
HbA1cの目標 | HbA1c(%) |
---|---|
血糖値の正常化 | 6.0未満 |
合併症予防 | 7.0未満 |
治療が困難な場合 | 8.0未満 |
血糖値を正常に保つためには生活習慣を整えるほか、専門医の指示に従って治療薬を継続することが大切です。
3:コレステロール・中性脂肪が高い人
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と中性脂肪(TG)の数値が高い人も注意が必要です。
血液中のコレステロールや中性脂肪が増加すると、血管内に脂質が蓄積され、血管が詰まりやすくなります。その結果、脳梗塞になる可能性も否定できません。
とくに以下の脳梗塞がコレステロール・中性脂肪の高値が原因となり、引き起こされます。(文献5)
脳梗塞の種類 | 詳細 |
---|---|
アテローム血栓性脳梗塞 | 大きな脳血管が詰まる |
ラクナ梗塞 | 細い脳血管が詰まる |
健康診断でコレステロールの数値を指摘された場合は、食生活の改善や定期的な運動を行いましょう。
4:心臓の病気を持っている人
心房細動や心筋梗塞などの心臓の病気を持っている人も、脳梗塞のリスクが高いといえます。
心臓の病気により、通常は一定のリズムで動いている心臓が不規則になると、血栓ができやすくなります。
この血栓が脳血管に詰まることで脳梗塞を引き起こすのです。
心臓の病気が原因で起こる「心原性脳梗塞」は、脳梗塞の中でも最も重症と言われています。そのため、早期の心臓病の治療や予防が大切です。
専門医により適切な治療を行えば、脳梗塞になるリスクを半数以上減らせることがわかっています。心臓の病気の治療中の方は、定期的な受診と治療を怠らないようにしましょう。
5:腎臓の病気を持っている人
慢性腎臓病(CKD)の人は、脳梗塞のリスクが高くなります。(文献6)
腎臓の機能が低下すると血圧コントロールや老廃物の排出ができなくなり、血管に負担がかかります。そのため、動脈硬化が進行し、脳梗塞のリスクを高めるのです。
腎機能の指標となる数値(糸球体ろ過率:GFR)の低下やタンパク質尿の存在も脳卒中の発症リスクを高める要因です。
腎臓病と診断された方は、専門医の指示で塩分控えめの食事や血圧管理など悪化を防ぎましょう。
6:肥満体質の人
肥満は前述した高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こす一因です。
生活習慣病のリスクが上がることで、間接的に脳梗塞のリスクを高める可能性があります。
肥満には以下2種類のタイプがあります。(文献7)
肥満のタイプ | 詳細 |
---|---|
内臓脂肪型肥満(リンゴ型) | 腹部に脂肪が蓄積 |
皮下脂肪型(ナシ型) | 体の下半身(お尻や太ももなど)に脂肪が蓄積 |
とくに内臓脂肪型肥満の方は生活習慣病になりやすいため、注意が必要です。
肥満気味の方は無理のない範囲で食生活や運動の改善を心がけてみてください。
このほか、もやもや病でも脳梗塞のリスクがあります。詳しく知りたい方は、下記のコラムを参照してください。
【脳梗塞以外】こめかみが痛むときに考えられる危険な病気
こめかみの痛みが生じる脳疾患は、脳梗塞だけではありません。以下の脳疾患によりこめかみの痛みが生じる場合もあります。
脳疾患 | 頭痛の特徴 |
---|---|
くも膜下出血 | 今までに経験したことがないほどの激しい痛み |
脳腫瘍 | 弱い頭痛から激しい頭痛へ移行 |
側頭動脂炎 | こめかみの激しい痛みで、押すと圧痛がある |
急性硬膜下出血 | 何かにぶつかったような激しい痛み |
上記の脳疾患も、脳梗塞と同様に意識障害や麻痺など他の症状を伴う場合があります。
「ただの頭痛だから」と侮らずにいつもと違う感じがしたらすぐに受診しましょう。
当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の後遺症や再発予防として再生医療を提供しています。詳しく知りたい方は、下記のぺージをご覧ください。
こめかみが痛いときにできる5つのセルフケア
こめかみが痛い症状を軽減するためには、原因に応じた適切なセルフケアが効果的です。
具体的な方法は以下のとおりです。
頭痛の種類 | セルフケア |
---|---|
偏頭痛 |
|
緊張型頭痛 |
|
偏頭痛や緊張型頭痛といった一時性頭痛は、これらのセルフケアによって改善が期待できます。こめかみの痛みで悩んでいる方は、本章で解説している方法を実践してみてください。
1:【偏頭痛】ズキズキする部分を冷やす
偏頭痛の場合は、痛みがあるこめかみの部分を冷やすと改善する可能性があります。そのため、患部を冷やすことで広がった血管が収縮し、頭痛の緩和が期待できます。(文献1)
片頭痛の方は保冷剤や氷をタオルで包み、患部に数分間当ててみてください。
ただし、長時間冷やし続けると凍傷のリスクもあるため注意が必要です。
「冷やし過ぎた」と感じた場合は、一旦保冷剤を皮膚から離して休ませましょう。
2:【偏頭痛】暗室で横になって休む
偏頭痛は、光や音に敏感になっている状態です。そのため、暗室で横になりゆっくり休むようにしましょう。(文献1)
暗室で休むときが難しい場合は、以下の方法で光や音を遮ることもおすすめです。
- 遮光カーテン
- アイマスク
- 耳栓 など
スマホやパソコン、テレビなどのブルーライトも偏頭痛を悪化させる一因です。頭痛が治まるまで、スマホの使用も避けるようにしましょう。
3:【緊張型頭痛】首や肩のこりも感じたら温める
首や肩の筋肉が緊張して凝り固まり、血行が悪化すると緊張型頭痛が引き起こされます。
そのため、温めることで筋肉をほぐすと、血行と頭痛の改善が期待できるでしょう。
緊張型頭痛の方の場合は、以下の方法で首や肩を温めると効果的です。
- 蒸しタオルを凝っている部分にあてる
- 湯船にゆっくりつかる など
首や肩の凝りとともに頭痛も解消される可能性があるため、ぜひ実践してみてください。
4:【緊張型頭痛】定期的な運動をする
緊張型頭痛になる一因として、運動不足も考えられます。思い当たる方は、日常的に軽い運動を取り入れてみましょう。
体を動かすことで血行が良くなり、頭痛の緩和が期待できます。
また、運動は継続が大切です。1時間ランニングするなどはハードルが高くなり、途中でやめてしまう可能性があります。
ウォーキングやストレッチなど、手軽で始めやすい運動がおすすめです。
無理のない範囲で、運動を習慣化しましょう。
5:【緊張型頭痛】スマホの使用を控える
長時間にわたるスマホの使用は、猫背やうつむき姿勢が続くため肩こりや頭痛の原因になります。
また、ブルーライトを浴びることで目の疲れや頭痛の悪化も考えられます。
こまめに画面から目を離して目を休ませることが大切です。
さらに、猫背の自覚がある方はスマホを使用する際に姿勢を正すように気をつけましょう。
また、頭の痛みはツボ押しでも改善されることが期待できます。詳細を知りたい方は下記のコラムも参考にしてください。
こめかみが痛いとき受診すべきサイン
こめかみが痛いときに以下の症状がある場合は、すぐに受診しましょう。
- 手足のしびれ
- めまい
- ろれつが回らない
- 今までにない激しい頭痛
上記の症状は脳梗塞の初期症状として知られています。
脳梗塞の場合は治療が早いほどその後経過が良好となり、後遺症のリスクも下げられます。
また、群発性頭痛の場合も病院での治療が効果的です。群発頭痛の場合も早めに受診するようにしましょう。
脳梗塞の前兆は以下の記事でも解説しています。こめかみの痛みで脳梗塞かどうか不安な方はあわせてチェックしてみてください。
まとめ|こめかみが痛い症状と不安から解放されましょう
こめかみの痛みのみの場合は、脳梗塞であるリスクは低いと考えられます。
しかし、手足のしびれやろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、脳梗塞の可能性があるため迷わずすぐ受診するようにしてください。
当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の後遺症改善や再発予防治療を行っています。
もしすでに違和感があるなら、悩まず当院のメール相談もしくはオンラインカウンセリング にてお気軽にご相談ください。
こめかみの痛みで脳梗塞を疑うときによくある質問
脳梗塞の前触れ症状は?
脳梗塞の症状は突然あらわれることが多いため、以下のような前兆症状に注意が必要です。(文献8)
- めまい
- 激しい頭痛
- ろれつが回らない症状
- 手足のしびれ
- ふらつき など
脳梗塞の早期発見・早期治療はその後の経過を大きく左右するため、些細な変化も見逃さないようにしてください。
脳梗塞の前兆のチェックリストを詳しく見たい方は、下記のコラムを参考にしてください。
脳梗塞になる前に予防できることは?
脳梗塞の危険因子となる高血圧や糖尿病などを改善・予防するためには、生活習慣の改善が大切です。
以下のように生活習慣を改善すると、脳梗塞の予防につながります。
- 塩分や糖分を控えめにした食事
- 禁煙
- 適度な運動
- 飲酒 など
ひとつでもできそうなことを、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
脳梗塞の予防について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただけますと幸いです。
右のこめかみだけが痛むのはなぜですか?
片側のこめかみだけが痛む場合は、片頭痛の可能性が高いと考えられます。
片頭痛は片側のみの頭痛であることが多く、めまいや吐き気を伴うこともしばしばあります。
光や音に過敏に反応して悪化するケースもあるため、片側だけの頭痛の場合は暗室でゆっくり休みましょう。
片頭痛の原因としてはストレスや不眠、ホルモンバランスの乱れなどの生活習慣も考えられます。
片頭痛でお悩みの方は、一度自分の生活習慣を見直してみると良いでしょう。
(参考文献一覧) 文献1 日本脳神経学会 日本頭痛学会 日本神経治療学会 頭痛の診療ガイドライン2021., 医学医院, 2021p473 文献2 竹島多賀夫.片頭痛と睡眠. 神経治療 Vol. 39 No. 4(2022), p564-568 文献3 群発頭痛. 日本頭痛学会. https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_kaisetu_04.html, 2024.12.18. 文献4 日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2024,南江堂, 2024.p27-35 文献5 北川 一夫,脂質異常症と脳卒中.慢性腎臓病(CKD)と脳卒中 . 脳卒中36: 144–146, 2014, 文献6 勝又 俊弥.慢性腎臓病(CKD)と脳卒中 . 脳卒中 36 巻 2 号(2014:3), p120-124 文献7 肥満と健康e-ヘルスネット,2019.12.17,https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html.2024.12.18 文献8 脳血管障害・脳卒中,2023.4.26.7,https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html,.2024.12.18 |