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閃輝暗点を繰り返すのは病気の前兆?頻発する原因と放置するリスクを紹介

視界にギザギザとした光やキラキラと輝く模様が現れ、徐々に拡大しながら視野の一部が欠けるような症状は「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれ、片頭痛の前兆としてよく知られる現象です。
しかし、閃輝暗点が頻繁に繰り返し起こると、「もしかしたら、何か重篤な病気の前兆ではないか」と強い不安を覚える方もいるでしょう。
本記事では、閃輝暗点が繰り返し発生するメカニズムとその背景にある要因を掘り下げて解説します。また、症状を放置すると生じる潜在的なリスクについても詳しく説明します。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
閃輝暗点が繰り返し起こる場合は要注意!早急な受診がおすすめ
閃輝暗点が一度きりの現象であれば、片頭痛の前兆として経過観察されることもあります。
しかし、閃輝暗点が頻繁に繰り返し起こる場合は、単なる片頭痛だけでなく、脳に起因する重大な疾患の可能性も視野に入れる必要があります。(文献1)
とくに、これまで経験したことのない症状を伴う場合や、頭痛を伴わない閃輝暗点が続く際は、速やかに専門医の診察を受けることが重要です。また、両目に閃輝暗点の症状が現れる場合は、脳神経外科や脳神経内科への受診が推奨されます。
一方で、片目のみに症状が限定される際は、眼球自体の病気の可能性も考えられるため、眼科での受診を検討しましょう。適切な診断のもと、治療方針を決めることが大切です。
閃輝暗点を繰り返す主な原因
閃輝暗点を繰り返す背景には、さまざまな生活習慣や身体の状態が関係しています。以下では主な原因を詳しく解説します。
- ストレス過多・疲労の蓄積
- 睡眠不足(不規則な生活)
- カフェイン・ポリフェノール等の特定の食材の成分の摂りすぎ
- スマホ・パソコンの長時間使用
- ホルモンバランスの乱れ
ストレス過多・疲労の蓄積
閃輝暗点が繰り返し起こる原因の一つとして、過度なストレスや慢性的な疲労の蓄積が挙げられます。
精神的・肉体的なストレスは、自律神経のバランスを大きく崩し、脳の血管の収縮と拡張をコントロールする機能に影響を及ぼし、血流に変化が生じる場合があります。(文献2)
その結果、脳の血管が一時的に過度に拡張し、神経の興奮を誘発することで閃輝暗点が発生しやすくなると考えられています。
睡眠不足(不規則な生活)
睡眠不足や不規則な生活リズムは、閃輝暗点を繰り返す大きな要因となりえます。人間の体内時計は睡眠によって調整されており、そのリズムが乱れると自律神経のバランスが崩れやすくなります。
自律神経は血管の収縮・拡張を制御しているため、バランスが乱れることで、脳の血管が過敏になり、閃輝暗点が繰り返し発生しやすくなるのです。
カフェイン・ポリフェノール等の特定の食材の成分の摂りすぎ
特定の食材に含まれる成分の過剰摂取が、閃輝暗点の引き金となる可能性が指摘されています。とくに、カフェインやポリフェノール、チラミンなどがその代表例です。
食材 | 主な成分・栄養素 | 誘引のメカニズム・特徴 |
---|---|---|
チョコレート | チラミン、カフェイン、テオブロミン | 血管を拡張し神経を刺激する |
チーズ | チラミン | 血管の収縮と拡張を引き起こす |
ナッツ | チラミン | 血管反応を変化させる |
コーヒー | カフェイン | 中枢神経を過剰に刺激する |
赤ワイン | ポリフェノール、チラミン | 血管を刺激し神経過敏を促す |
これらの成分は血管に作用したり、神経伝達物質に影響を与えたりすることで、脳の血管の収縮・拡張に影響を及ぼし、閃輝暗点の発作を誘発する場合があります。
スマホ・パソコンの長時間使用
閃輝暗点が繰り返し起こる原因の一つとして、スマホやパソコンの長時間利用が挙げられます。
画面から放たれる強い光や、反射光などの眩しい光は、目に大きな負担をかけ、眼精疲労を引き起こすだけでなく、脳の視覚処理系に影響を与える可能性があります。また、長時間の集中作業による脳の疲労も、閃輝暗点の発症リスクを高める要因となります。
ホルモンバランスの乱れ
女性の場合、ホルモンバランスの乱れが繰り返す閃輝暗点の原因となる場合があります。とくに、月経周期に伴うエストロゲンの変動は、脳の血管の収縮・拡張に影響を及ぼし、片頭痛やそれに伴う閃輝暗点の引き金となりやすいです。
生理前や生理中、あるいは更年期にはホルモンレベルが大きく変化するため、この時期に症状が現れやすい傾向が見られます。
片頭痛もちの人は閃輝暗点を繰り返しやすい
閃輝暗点は、片頭痛の前兆として現れることが多く、この視覚症状は片頭痛もちの方によく見られます。(文献3)
特徴的なのは、視界に現れるギザギザとした光の模様や点滅が数分から数十分続き、光の消失後に、多くの場合ズキズキとした拍動性の頭痛が始まる点です。
頭痛は日常生活に支障をきたすほど強く感じられることがあります。さらに、頭痛と同時に吐き気や嘔吐を伴うこともあり、普段は気にならない程度の音や光、匂いに対して異常に敏感になる症状を併発する場合もあります。
これらの症状が複合的に現れることは、片頭痛における特徴的なサインの一つといえるでしょう。
閃輝暗点を繰り返す場合は脳の病気(脳梗塞)のリスクがある
閃輝暗点が繰り返し出現する状況は、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)など脳の重大な疾患のサインの可能性があります。(文献4)
閃輝暗点のパターンが普段と異なる場合や、以前とは異なる視覚症状を伴う場合は、とくに警戒が必要です。頭痛を伴わない場合でも、脳血管系の問題が関与している可能性は十分に存在します。
さらに、閃輝暗点に加えて、以下の神経症状が同時に現れた場合は、非常に緊急性が高い状態です。
- 顔の左右どちらかに麻痺がある
- 片側の手足に力が入らない
- 感覚が鈍い
- 言葉が出にくい
- ろれつが回らない
すぐに救急車を呼ぶか、至急医療機関を受診する必要があります。脳の血流に異常が生じている可能性があるため、早期の対応が事態の悪化を防ぐためには不可欠です。
繰り返す閃輝暗点に有効な治療方法はある?
閃輝暗点には特効薬や明確な治療法はありません。
対処法として、下記の対症療法などの実践が一般的です。
- 片頭痛の治療薬を服用する
- 生活習慣を改善する
- 水分補給をこまめに実施する
- サプリメントを摂取する
- 安静にする(症状が出た場合)
片頭痛の治療薬を服用する
閃輝暗点が繰り返し起こる場合、片頭痛の治療薬が有効な手段の一つです。
症状が現れた際に服用するトリプタン製剤(例:イミグラン)は、片頭痛発作の進行を止め、その後の頭痛を和らげる効果が期待できます。(文献5)
加えて、症状の頻度が高い方には、塩酸ロメリジンなどの予防薬が処方されることがあります。予防薬を日常的に服用して片頭痛の発作を抑制し、閃輝暗点のリスク低減を目指します。
生活習慣を改善する
繰り返す閃輝暗点を減らすためには、生活習慣の改善が重要です。
過度なストレスは脳の血管に影響を及ぼし、症状を誘発する一因となります。そのため、ストレスを適切に管理し、心身のリフレッシュを図りましょう。
また、睡眠不足や不規則な生活リズムは自律神経の乱れにつながり、脳の過敏性を高める可能性があります。規則正しい睡眠を心がけ、生活リズムを整えることが、症状の軽減につながります。特定の食品成分の過剰摂取も誘発因子となるため、食生活の見直しも有効です。
水分補給をこまめに実施する
閃輝暗点の症状悪化を防ぐためには、こまめな水分補給が重要です。
体内の水分量が不足すると、脱水状態に陥り、血液の循環が悪くなることで脳の血管に影響を与える可能性があります。
その結果、閃輝暗点の発作や症状の悪化を招くことがあります。日頃から意識して水分を摂取して、身体が常にうるおった状態を保ち、症状を軽減しましょう。
サプリメントを摂取する
繰り返す閃輝暗点に対する補助的な手段として、サプリメントの摂取が有効な場合があります。
脳の健康維持や血管機能に寄与するマグネシウムは、片頭痛の予防にも関連が示されており、積極的な摂取が推奨される栄養素です。
また、細胞のエネルギー生成に関わるビタミンB2も、脳の働きをサポートし、閃輝暗点の症状軽減に役立つ可能性が指摘されています。加えて、神経機能に重要な役割を果たす亜鉛も、積極的な摂取が望ましい栄養素の一つです。
安静にする(症状が出た場合)
閃輝暗点の症状が発現した際には、無理をせず速やかに安静にすることが大切です。
強い光や音、動きは症状を悪化させる可能性があるため、できる限り静かで暗い場所へ移動し、目を閉じて横になるなどの対処が推奨されます。
心身を落ち着かせ脳への刺激を最小限に抑えることが、症状の持続時間を短縮し、その後の頭痛の軽減につながります。
閃輝暗点を繰り返す人によくある質問
閃輝暗点が繰り返し現れると、不安や疑問を抱える方も少なくありません。ここでは、繰り返す閃輝暗点に関してよくある質問を解説します。
- 閃輝暗点が毎日起こる場合は放置すると危険?
- 片目だけ閃輝暗点を繰り返す場合は?
閃輝暗点が毎日起こる場合は放置すると危険?
閃輝暗点が繰り返し毎日発生する状況は、身体になんらかの異常が生じている明確なサインです。
とくに、過度なストレスや疲労の蓄積が主な原因として考えられます。まず十分な休息を確保し、心身の疲労回復に努めることが重要です。
その上で、閃輝暗点に加えて以下の神経症状が見られる場合は、脳の病気の可能性も視野に入れ、直ちに専門の医療機関を受診しましょう。
- 激しい頭痛
- 片側の手足のしびれ
- 力が入らない
- 言葉がもつれる
自己判断で放置すると非常に危険なので、早めに医師の診察を受けてください。
片目だけ閃輝暗点を繰り返す場合は?
閃輝暗点が常に片方の視界のみに現れる場合、網膜剥離や眼底出血など、目の病気が原因である可能性があります。
片目だけに異常が生じている際は、失明などの重篤な状態に至る前に、速やかに眼科を受診しましょう。
まとめ|閃輝暗点を繰り返して脳梗塞が不安なら再生医療をご検討ください
閃輝暗点は片頭痛の前兆として現れることが多い症状ですが、頻繁に繰り返される場合は、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)など脳血管系の疾患の可能性も考えられます。
また、症状が片目のみの場合は目の病気、手足のしびれや言葉のもつれを伴う場合は緊急性の高い脳疾患の兆候も考えられるため、早期の専門医の受診が不可欠です。
近年では、こうした脳血管のトラブルに対する治療法として再生医療への関心が高まっています。
当院リペアセルクリニックでは、脳梗塞の後遺症に対して丁寧にカウンセリングを行い、再生医療(幹細胞治療)を中心とした治療を、症状に合わせてご提案しております。
ご質問・ご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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参考文献
(文献1)
日本医事新報社「一過性脳虚血発作」
https://www.jmedj.co.jp/files/item/books%20PDF/978-4-7849-5686-9.pdf(最終アクセス:2025年6月12日)
(文献2)
日本視能矯正学会「片頭痛発症中に動的量的視野検査を施行し、一過性暗点を記録できた一例」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jorthoptic/46/0/46_046F106/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年6月12日)
(文献3)
日本頭痛学会「片頭痛/片頭痛の治療」
https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_kaisetu_02.html(最終アクセス:2025年6月12日)
(文献4)
フレーミングハム研究「片頭痛の視覚的随伴症状は晩年では珍しくない」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9707189/(最終アクセス:2025年6月12日)
(文献5)
日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会「頭痛の診療ガイドライン2021」
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/zutsu_2021.pdf(最終アクセス:2025年6月12日)