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変形性股関節症とは?原因・症状・治療法をわかりやすく解説

変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減って、痛みや動きの制限が起こる進行性の関節疾患です。
初期には歩き始めや立ち上がりの際に違和感を覚える程度ですが、進行すると階段の昇降や長時間の歩行が困難になるケースもあるため注意しなければなりません。
とはいえ、早期に発見して適切な治療や生活改善を行えば、症状の悪化を抑えながら日常生活の質を保つことも可能です。
本記事では、変形性股関節症の原因や症状、治療法、セルフチェック方法を詳しく解説します。
股関節の痛みや違和感が気になっている、もしくは予防したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
変形性股関節症とは|どんな痛みなのか
変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減ることで炎症が起こり、関節の動きが悪くなる疾患です。
加齢や関節の使い過ぎなどによる「一次性変形性股関節症」と、生まれつき股関節を構成するカップ状のくぼみ「寛骨臼(かんこつきゅう)」の受け皿が浅いことが原因の「二次性変形性股関節症」があります。(文献1)
初期には立ち上がりや歩き始めに股関節が痛み、休むと改善しますが、進行すると安静時にも痛みを感じるようになるのが特徴です。
とくに、階段の昇り降りや長時間の歩行が困難になりやすく、ひきずり足歩行になるなど日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。
また、股関節の可動域が狭くなり、「靴下を履く」「足の爪を切る」といった動作も困難になります。
痛みの感じ方は個人差がありますが、鈍く重い痛みや刺すような痛みが見られるのが一般的です。
変形性股関節症の原因
変形性股関節症の発症には、以下のような原因が考えられます。
- 加齢で軟骨がすり減る
- 体重増加で股関節に負担がかかっている
- 遺伝が要因で発症する
なかでも、加齢に伴う関節軟骨のすり減りは、発症の大きな要因のひとつです。
股関節は体重を支える重要な関節であり、長年酷使されて軟骨が摩耗し、関節の滑らかな動きが失われていきます。
さらに、体重の増加による股関節への負担増大や、関節への圧力が増すことで軟骨の損傷が進行するのです。
とくに、肥満傾向のある方は、発症リスクが高まる傾向があります。
日常生活での姿勢や歩き方も、股関節への負担を左右する要素です。
生まれつき股関節が脱臼しているなど、遺伝的な要因によって変形性股関節症を発症するケースも見逃せません。
家族に同様の疾患がある場合は、とくに注意が必要です。
そのほか、股関節や膝に負担が大きな過重労働をしていたり、日常的に激しいスポーツをしていたりすると、変形性股関節症の発症要因になります。
変形性股関節症の原因と治し方については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
変形性股関節症の主な症状
変形性股関節症では、初期の段階から股関節に違和感や痛みが生じるのが特徴です。
関節軟骨がすり減って関節の滑らかな動きが損なわれると、立ち上がりや歩き始めなどの動作時に脚の付け根が痛むようになります。
痛みは休息で一時的に軽減する場合がありますが、病気が進行するにつれて、関節の可動域が徐々に狭くなっていきます。
その結果、「靴下を履く」「足の爪を切る」「正座する」といった日常的な動作が困難になり、階段の昇り降りや長時間の歩行がつらくなるケースも少なくありません。
進行すると、安静にしているときにも痛みを感じるようになります。
さらに、夜に寝ているときに感じる「夜間痛」が現れ、睡眠に影響を及ぼす点も懸念材料です。
股関節の機能低下によって、体全体のバランスがくずれて体をかばうような歩き方になるため、「跛行(はこう)」と呼ばれる肩を前に出しながら足を引きずる歩行が見られるようになります。
上記のように、変形性股関節症を一度発症すると進行して日常生活に大きな支障をきたすようになるため、早期の発見と対応が欠かせません。
以下の記事でも変形性股関節症の症状について詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
変形性股関節症の治し方
変形性股関節症の治療は、症状に応じて以下の対処法が検討されます。
- 保存療法
- 手術療法
- リハビリ
初期段階では、手術せずに進行を抑える保存療法が基本です。
症状が強く、日常生活に支障が出てきた場合には手術療法が検討されます。
また、いずれの治療においても、股関節周囲の機能回復や動作改善を図るリハビリが欠かせません。
では、それぞれの治療法について詳しく解説していきましょう。
手術せず治療するなら「保存療法」
変形性股関節症の初期から中期では、関節の状態を保ちつつ痛みを軽減するべく保存療法が用いられます。主な方法は以下の3つです。
方法 | 内容 |
---|---|
薬物療法 | 消炎鎮痛薬(NSAIDs)で痛みや炎症を抑える |
運動療法(ストレッチ) | 関節に負担をかけずに可動域と筋力を維持 |
生活習慣の見直し | 体重管理、正しい姿勢、関節に優しい動作を心がける |
保存療法では、痛みを抑えながら関節機能を維持し、進行を遅らせる薬物療法が基本です。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や湿布薬、必要に応じて関節内ステロイド注射などが用いられます。
運動療法では、水中歩行やストレッチなど股関節に負担の少ない運動がおすすめです。
生活習慣の見直しは、股関節にかかる負荷を減らす重要な取り組みとなります。
とくに、体重管理は予後に大きく影響するため、日頃から注意しなければなりません。
上記の保存療法の組み合わせにより、長期的に関節を守りながら快適な日常生活を目指せます。
以下の記事では、変形性股関節症に効くストレッチや生活習慣、治療法を検討する際のポイントを紹介していますので、参考にしてみてください。
日常生活に支障が出る重症なら「手術療法」
保存療法で症状が改善しない、もしくは日常生活に支障をきたすほど症状が進行している場合には、手術療法が検討されます。
代表的な手術には、「骨切り術」と「人工股関節置換術」の2種類があります。(文献2)
骨切り術は関節を温存できるため、自分自身の骨を活かせるのが大きなメリットです。
ただし、リハビリに時間がかかる傾向があります。
人工股関節置換術は、傷んだ股関節を人工関節に置き換えて痛みを大幅に軽減させる手術方法です。
比較的リハビリ期間が短く、社会復帰を目指しやすい治療法とされています。
どちらかを選択する際は、股関節の状態や患者の年齢・職業、生活環境などさまざまな点を考慮しながら、医師と相談しましょう。
人工関節手術のリスクについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
手術後の「リハビリ」も大切
手術療法を受けたあとは、リハビリが重要です。
リハビリは、関節の可動域を回復し、筋力を強化して再発を防ぐ目的で行われます。
術後数日以内から歩行訓練や関節の動きを促す運動を開始し、日常生活に必要な動作を徐々に回復させていく方法が一般的です。
太ももやお尻、腹筋など股関節周辺の筋力強化も、股関節の負担軽減には欠かせません。
術後の状態に適した、無理のない筋力トレーニングや体操も取り入れていきましょう。
適切なリハビリの継続は再手術のリスクを減らし、長期的な機能維持につなげるために大切です。
変形性股関節症の治し方については、以下の記事でも詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
人工関節手術を避けたい方の選択肢「再生医療」
変形性股関節症の治療では人工股関節置換術が選択される場合がありますが、手術への不安や身体への負担を理由に避けたいと考える方も少なくありません。
手術をしない新たな選択肢として注目されているのが再生医療です。
治療法の一つ「幹細胞治療」では、患者様から採取した幹細胞を培養して股関節に注入します。
幹細胞の「分化能(さまざまな細胞に変化する性質)」を活かした治療法です。幹細胞は米粒2~3粒程度の脂肪から採取できるため、体の負担は大きくありません。
治療の選択肢を広げたい、もしくは人工関節を入れるような大がかりな手術を避けたい場合は、以下の再生医療についてのページをご覧ください。

股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
変形性股関節症でやってはいけないこと
変形性股関節症では、股関節に負担をかける動作を避けなければなりません。
以下の点に注意するように心がけましょう。
- 長時間立ち続けない
- 重い荷物を持ち運ばない
- 膝を深く曲げない
- 正座やあぐらを組まない
長時間立ち続けると関節に大きな圧力をかけ、軟骨の摩耗を促進するので控える必要があります。
同様に、重い荷物の持ち運びも股関節への負担が増し、炎症や痛みを悪化させる原因になるため注意しましょう。
また、買い物や移動の際はできるだけ荷物を分けて持つ習慣を心がけるほか、キャリーカートの使用もおすすめです。
さらに、膝を深く曲げる動作は股関節の可動域を超えて負荷を与えやすく、関節内の圧力が急激に上がるため避けましょう。
とくに、正座やあぐらの姿勢は、股関節を大きく開いたり曲げたりするため、軟骨や周囲組織へのストレスが強くなります。
関節変形を進行させる可能性があるため、なるべく椅子に腰かけるようにしてください。
日常生活の中で上記のような動作を意識的に避ければ、痛みを抑えながら関節の状態をより良く保つことにつながります。
変形性股関節症でやってはいけないことについては、以下の記事でも詳しく紹介していますので、参考にしてみてください。
変形性股関節症の症状セルフチェック方法
変形性股関節症を早期発見するためには、次のような症状や状態がないかセルフチェックしてみましょう。
- 運動したあと、太ももの付け根が痛い
- 寝ているときに、股関節が痛い
- 階段を上りづらい
- 車を乗り降りで太ももの付け根が痛い
- 歩く際に体が左右に揺れている
- 歩きはじめに、太ももの付け根が痛い
- 寝返りをうつと、太ももの付け根が痛い
- ズボンやスカートの丈に左右差がある
- あぐらをかくのがつらい
- 靴下が履きづらい
- 正座しにくい
- 足の爪が切りにくい
日常生活で感じる違和感や痛みの有無をまずチェックし、気になる症状がある場合は、専門医の診察を受けましょう。
変形性股関節症の進行スピードは原因や体重、生活環境などによって異なりますが、一度進行がはじまると一気に軟骨が減っていく恐れがあります。
悪化させないためには、少しでも早く発見することが大切です。
まとめ|早期に治療をはじめて症状をコントロールしよう
変形性股関節症は、初期の段階で適切に対処すれば進行を遅らせ、日常生活への影響を最小限に抑える効果が期待できます。
痛みや動きの制限、歩行時の違和感など小さなサインも見逃さず、早めに整形外科を受診することが重要です。
また、正しい姿勢や動作の工夫、体重管理も大切です。
早期治療と日々のセルフケアで、長く快適に動ける体を守っていきましょう。
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参考文献
(文献1)
手術・治療|あいちスポーツ・人工関節クリニック
(文献2)
変形性股関節症|済生会