変形性股関節症で「立ち上がり動作」に気をつけなければならない理由
変形性股関節症の人は、軟骨のすり減りや骨の変形を防ぐため、できるだけ股関節に負担がかからないようにする必要があります。特に、変形性股関節症の人が日常生活で気をつける動作として、「立ち上がり動作」があります。
今回は、変形性股関節症の人は、なぜ立ち上がり動作に気をつける必要があるのか、その理由を解説します。
変形性股関節症の人が「立ち上がり動作」に気をつけなければならない理由
変形性股関節症は、股関節の軟骨のすり減りや骨の変形によって股関節の隙間が減ってしまい、骨同士が直接こすれあうことで痛みを感じる病気です。軟骨のすり減りや骨の変形のような股関節の摩耗は、加齢以外にも、日常動作や激しいスポーツでの負担が原因となっている場合もあります。そして、軟骨のすり減りや骨の変形で組織が損傷してしまうと、元通りの状態に治すのは、難しくなります。
立ち上がり動作は、股関節の屈曲により負担がかかりますし、体重もかかるため、大きな負担になりやすい動作です。そのため、変形性股関節症の人はできるだけ股関節に負担がかからないように過ごし、進行を遅らせる必要がありますし、特に、立ち上がり動作に気をつけなければなりません。
立ち上がり動作は症状を悪化させてしまう
変形性股関節症は、股関節を使用することで症状が進む病気で、立ち上がり動作は股関節に大きな負担がかかる動作です。股関節は、歩くときにはもちろん、立っているだけでも負担がかかります。
そして、前傾姿勢やしゃがみこんでから立つような立ち上がり動作をするときには、自分自身の体重がより股関節に負荷を与えるので、痛みを伴うのです。
立ち上がり動作を繰り返すと安静時にも痛みが出てくる可能性がある
初期の変形性股関節症では、痛みを感じない場合も多くあります。しかし、股関節への負担が日常的に続くことで軟骨のすり減りが進むと、歩行時や立ち上がり時に徐々に痛みを感じ始めます。
さらに症状が進行してしまうと、安静にしていても痛みが出る、夜寝ている間も痛みで目が覚めるなど、眠れなくなってしまうこともあります。
股関節の摩耗や疲弊が進む
変形性股関節症の人が頻繁に立ち上がり動作を繰り返すと、関節の摩耗や疲弊が進んでしまい、症状が進行して痛みもより強く感じるようになります。
腰や膝に負担がかかる
変形性股関節症の人が立ち上がり動作を行うと、股関節をかばうため腰や膝にも負担がかかり、腰痛や膝痛になる可能性があります。
変形性股関節症でなるべく負担のない立ち上がり動作をするにはどうしたらいい?
変形性股関節症では、なるべく症状の進行を抑えたいですから、日常の過ごし方はとても大切です。
生活様式を洋式に変える
立ち上がり動作が股関節に負担になる…とはいっても、症状によっては、まだ痛みが少なく、立ち上がり動作ができるという人もいると思いますし、立ち上がり動作を一切しない生活にするのは、難しいかもしれません。
そのようなときには、床に布団を敷くことはやめてベッドにするなど、生活様式を洋式に変えることをおすすめします。そうすることで、変形性股関節症の人が立ち上がり動作をおこなうときの負担を減らすことができるでしょう。
筋肉をつけるようにする
変形性股関節症で、強い痛みを感じるようになると、どんどん歩くのも億劫になり、股関節周辺の筋力も低下してきます。そして、股関節は筋肉によってもサポートされているため、筋力の低下も変形性股関節症を悪化させる原因になります。そのため、負担の少ない適度な運動をおこない、筋力をつけておくことも必要です。
変形性股関節症で立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなるの?
立ち上がり動作とは、例えば以下のような日常の動作のことを指します。
・落ちている物を拾う
・椅子から立ち上がる
・トイレに行く
どれも日常生活でおこなうことが多い動作ですよね。
変形性股関節症の人が、このような立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなるのでしょうか。
歩くのも困難になってしまう
変形性股関節症は、初期の場合は痛みを感じない場合もありますが、軟骨のすり減りが進み股関節の隙間がなくなってくると、骨同士が直接こすれあうようになり痛みが出始めます。股関節は歩く際にも使用されるため、症状の進んだ変形性膝関節症の人は歩くことすら難しくなるのです。
立ち上がることが徐々に難しくなり杖や車いすに移動を頼ることになる
杖を使うことで股関節への負担を軽減することができるため、より早い段階で杖を使うと症状の進行を抑えることができます。しかし、徐々に変形性股関節症が進むと、歩き始めや歩行時にも痛みを感じるようになり、最終的には車いすに移動を頼ることになってしまう可能性もあります。
変形性股関節症の治療には再生医療も検討してみよう!
今までの変形性股関節症の治療では、損傷した軟骨や骨の変形は二度と元に戻らないため、最終的には人工関節を入れるなどの手術をおこなうしかありませんでした。しかし、外科的な手術には抵抗がある、仕事が忙しいなどの理由で手術を躊躇う、さまざまな理由があり手術を受けることができないという人もいます。
また、人工関節を入れる手術をしても、人工関節のメンテナンスのための通院や、経年劣化による再手術の必要性もあります。そこで紹介したいのが、再生医療です。
再生医療とは、自分自身の幹細胞や血小板を用いて、股関節の修復を促す新しい治療方法です。
自己脂肪由来幹細胞治療
幹細胞にはさまざまな細胞に変化する能力があり、皮膚や筋肉のほか、軟骨や骨にもなり得る細胞です。
この幹細胞の能力を利用して軟骨や骨の変形の修復を促し、痛みの改善を目指すのが、自己脂肪由来幹細胞治療という再生医療です。
PRP再生医療
血液に含まれる血小板にも、組織を修復する能力があります。
自分の血液を採取し、血小板を濃縮させたものを損傷した部位へ注入することで、関節組織の修復や再生を促し、痛みの改善を目指すのがPRP再生医療です。
副作用のリスクが少なくメリットが多い
自己脂肪由来幹細胞治療、PRP再生医療は、どちらの治療方法も、自分自身の細胞や血液を用いるため、拒絶反応やアレルギーなど副作用の心配が少なく、安全性が高いですし、治療期間も短くて済みます。
さらに、手術よりも身体的な負担が少なく、手術の時間が取れない、高齢で手術をする体力がない人でも受けられるというメリットもあります。
まとめ
変形性股関節症の人が気をつけるべき「立ち上がり動作」について紹介しました。立ち上がり動作は、日常生活をする上で、どうしても必要な動作ですが、股関節に負担のかからない方法で動作をおこなう工夫をするなどして、変形性股関節症の進行を遅らせるようにしましょう。
しかし、症状が進行してしまい、痛みが強くなり、最終的には安静にしていても痛みを感じ、移動は車椅子に頼らなければならなくなるという人も少なくありません。
日常生活に支障をきたすような場合、手術による治療法もありますが、近年は、再生医療を選択することも可能です。今までの治療では効果を感じづらい、手術を受ける時間がない、できるだけ副作用の心配がない治療を受けたいという変形性股関節症の人は、再生医療も治療の選択肢のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
No.0001
監修:院長 坂本貞範
関節の痛みは手術しないで
再生医療で治す時代です。
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