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変形性股関節症の治し方|医療機関で受ける治療と悪化させない工夫を解説
「変形性股関節症にはどのような治し方がある?」
「進行度に応じた治療方法を知りたい」
変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減り、痛みや動かしにくさが現れる病気です。進行度によって治療方針は異なり、早期から適切な治療を進めれば手術を回避できる可能性が高まります。
本記事では進行度に応じた病状や症状をはじめとして、以下を解説します。
進行度別の症状や治療方針の一覧表を解説しています。自身に当てはめながら、変形性股関節症の治し方の理解を深めるために役立ててください。
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目次
変形性股関節症の治し方は進行度で異なる
変形性股関節症の治し方は、以下のように進行度によって異なります。
| 分類 | 特徴 | 主な治療方針 |
|---|---|---|
| 前期 | ・軟骨はほぼ正常だが発症リスクが高い状態 ・長時間の歩行後に痛みが出る |
・運動療法 ・薬物療法 ・生活指導 ・理学療法 |
| 初期 | ・軟骨が徐々にすり減り始める ・歩き始めに脚の付け根に違和感や軽い痛みが出る |
・運動療法 ・薬物療法 ・生活指導 ・理学療法 |
| 進行期 | ・軟骨のすり減りが進み、骨にとげ状の変形が現れる ・安静時も痛みが続く |
・薬物療法 ・手術療法 |
| 末期 | ・軟骨がほぼ失われ、骨同士がぶつかる ・強い痛みで日常生活に大きな支障が出る |
・薬物療法 |
以上のように病状に応じた治療を進めていきます。
前期・初期における変形性股関節症の治し方【保存療法】
前期・初期における変形性股関節症の治し方は、以下のような保存療法です。
それぞれについて詳しく解説します。
薬物療法
薬物療法では、消炎鎮痛剤により炎症や痛みを抑えて、日常生活の動作の改善を目指します。
薬には以下のような種類があります。
- 内服薬
- 貼付薬
- 注射薬
消炎鎮痛剤には、胃腸や腎臓の障害、喘息発作などの副作用を引き起こすものがあります。そのため、副作用が起きていないか確認するために、定期的に診察してもらう必要があります。
また、薬物療法により痛みが改善したからといって無理に関節を動かすと、病状が悪化するおそれもあるため注意しなければなりません。医師の指示通りに服用を行い、無理せず理学療法を進めていくことが重要です。なお、進行期や末期においても、痛みの状況に応じて薬物療法を行います。
理学療法
理学療法は筋力の強化や関節の動く範囲を改善するために行います。
理学療法の種類には以下のようなものがあります。
| 理学療法 | 詳細 |
|---|---|
| 運動療法 | 股関節周囲の筋力訓練、ストレッチ、有酸素運動などを行い、関節の痛みや動く範囲の改善を目指す療法 |
| 徒手療法 | 理学療法士が直接手で触れて、関節の動く範囲や筋肉の柔軟性などの維持・向上を目指す療法 |
| 物理療法 | ホットパックや低周波、レーザーなどを用いて、痛みや血の巡り、関節の動く範囲、むくみなどの改善を目指す療法 |
とくに運動療法は、進行度に関わらず重要な治療方法とされています。
装具療法
装具療法では、装具や歩行補助具を用いることで、痛みや歩行能力の改善を目指します。
装具や歩行補助具の種類には以下のようなものがあります。
| 種類 | 詳細 |
|---|---|
| 杖 |
・一般的な持ち手のT字杖や手と前腕の2点を支えられる杖など、さまざまな種類があり病状によって選択する |
| 補高装具 (ほこうそうぐ) |
・インソールなどにより骨盤や腰椎の歪みを補正するために用いる |
| 股関節装具 |
・太ももや骨盤付近を固定する装具で股関節への負荷を軽くする |
以上のような装具や歩行補助具を病状に応じて活用します。
再生医療
新たな治療方法として期待されているのが再生医療です。再生医療とは、自己の細胞を患部(病気の部位)に注入して、身体が持つ自然治癒力を活かす治療方法です。保存療法と手術療法の中間と位置づけられています。
具体的な治療方法は以下の通りです。
| 再生医療の種類 | 詳細 |
|---|---|
| 幹細胞治療 (かんさいぼうちりょう) |
組織の修復に関わる働きを持つ「幹細胞」を患部に投与する治療方法 |
| PRP療法 |
血液中の血小板に含まれる成長因子などが持つ、炎症を抑える働きや組織修復に関与する働きを利用した治療方法 |
実際に変形性股関節症の症例について知りたい方は、以下を参考にしてください。
【症例紹介】
両股関節痛の改善で人工関節回避 両変形性股関節症 幹細胞治療 50代女性
痛み10段階中10の激痛が2に!人工関節を回避 左変形性股関節症(臼蓋形成不全) 60代女性
進行期・末期における変形性股関節症の治し方【手術療法】
保存療法で症状の改善が望めない進行期・末期においては、以下のような手術療法を検討します。
それぞれの手術療法について詳しく解説します。
股関節鏡下手術
股関節鏡下手術とは、内視鏡(細い管の先端に小型カメラが付いた医療器具)により、傷んでいる股関節の軟骨の修復を行う療法です。再生医療の前に関節の修復や炎症部位の切除を行うこともあります。
股関節鏡下手術は、関節の周囲に2〜3カ所の小さな穴を開けて、その穴から内視鏡を挿入して行うため、従来の手術よりも負担が少ないのが特徴です。
初期から進行期における変形性股関節症が適応となります。変形性股関節症に移行してしまうおそれがある、大腿骨寛骨臼インピンジメント(大腿骨頭と寛骨臼に異常形態がある病気)に対しても行われることがあります。
骨切り術
骨切り術は、変形した骨を切り取って関節の形を整え、症状の緩和や進行を抑える手術です。初期または進行期の青年期・壮年期の方が適応となります。
骨切り術にはいくつかの種類があり、一例を紹介すると以下の通りです。
| 種類 | 詳細 |
|---|---|
|
寛骨臼回転骨切り術 |
寛骨臼の一部をくりぬき、回転させることで大腿骨頭を十分に覆えるようにする手術 |
| キアリ骨盤骨切り術 |
寛骨臼の上方あたりを切り、大腿骨頭を覆うように横にずらして固定する手術 |
これらの手術は、大腿骨頭を寛骨臼が十分に覆えていない際に行います。人工的に寛骨臼を形作ることで、関節の温存ができます。なお、軟骨がすり減りすぎた状態では骨切り術を行うことはできません。
人工股関節置換術
人工股関節置換術は、損傷した関節を人工関節に置き換える手術です。進行期や末期の関節の温存が困難な病状に対して適応となります。人工股関節は20~30年ほどが寿命です。そのため、交換が不要となる50代以降の方が適応されるケースが多いです。
現在の人工股関節置換術は、筋肉を切らずに小さな傷口で済む方法で行っています。手術時間も比較的短く済むため、手術中の出血量や感染症のリスクも少なく済みます。
【関連記事】
変形性股関節症|人工関節手術のデメリット・リスクと治療の代替案を紹介
【医師監修】人工股関節置換術後における仕事復帰の目安を解説|職種別の注意点も紹介
変形性股関節症を悪化させない日常生活の工夫【生活指導】
変形性股関節症を悪化させないためには、以下のような日常生活の工夫が重要です。
それぞれについて詳しく解説します。
股関節に負担をかけない日常生活の動作を心がける
変形性股関節症を悪化させないためには、以下のように股関節に負担をかけない日常生活の動作を心がけることが重要です。
- 早歩きは控えてゆっくりと歩く
- 長時間の歩行は控えて10〜15分ほど歩いたら休憩を入れる
- 痛みがあるときは無理して歩かない
- 重い荷物の持ち運び作業は避ける
- 長時間の立ち仕事は避ける
- 階段の上り下りは極力避ける
以上のように、股関節へ負担がかからないように心がけると、悪化を防ぐだけなく症状の改善にもつながります。また、歩行の際は積極的に杖を利用して、股関節への負担を減らしましょう。
肥満を改善する【BMI25未満】
体重管理は股関節への負担を減らすために重要です。体重が重い分だけ股関節に負担がかかり、変形性股関節症を悪化させる要因になるためです。
BMI(体格指数)を25未満に保つことが推奨されています。(文献1)BMIの計算式は「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」です。なお、BMI25以上は日本肥満学会の基準では肥満に該当します。
日頃から食事管理や適度な運動を心がけて、体重管理を行い股関節の負担を軽減しましょう。なお、運動は股関節への負担が少ない水中ウォーキングが効果的とされています。
和式から洋式の生活を取り入れる
「床に布団を敷く」「和式トイレから立ち上がる」などの和式の生活は、股関節への負担が大きいです。
そのため、以下のような洋式の生活を取り入れることが望ましいです。
- 椅子を活用する
- トイレを洋式にする
- 布団ではなくベッド利用する
- よく利用する食器や日用品などは低い位置に置かない
日常的に「床に座る」「床から立ち上がる」「かがむ」という動作を避けることで、股関節の負担を軽減できます。
靴の選び方を意識する
変形性股関節症を悪化させないためには靴選びが重要です。適切な靴を選べば、股関節への負担を減らし、症状の改善も期待できます。
靴の選び方のポイントは以下の通りです。
- スムーズな歩行を促すロッカーソール(靴底が丸く加工してある)の靴を選ぶ
- クッション性が高く衝撃を吸収してくれる靴を選ぶ
脚の長さの差を整えてくれるインソールは、医師に必要と診断してもらえれば保険適用で作成できます。
手すりを設置する
生活環境の中に手すりを設置すれば、股関節への負担を軽減できます。
例えば、以下のような股関節へ負担がかかる動作を行う場所への設置を推奨します。
- 玄関など段差のある場所
- 浴室やトイレなど立ち座り動作がある場所
手すりの設置は、股関節への負担の軽減だけでなく転倒予防につながります。
まとめ|変形性股関節症の治し方の理解を深めて適切な治療を選ぼう
変形性股関節症の治し方には、薬物療法や理学療法、再生医療、手術療法などがあります。これらの治療方法は、進行度や症状に応じて適切に選択しなければなりません。
「ゆっくりと歩く」「長時間歩かない」「洋式の生活を取り入れる」など、日常生活での工夫も症状の悪化を防ぐために重要です。また、変形性股関節症の早期の段階から、適切な治療に取り組めば、手術を回避できる可能性も高まります。
変形性股関節症と診断された方は、積極的に理学療法や装具療法、生活指導を受けましょう。当院「リペアセルクリニック」では、変形性股関節症に対しても再生医療を行っています。まずは相談だけでもお気軽にご連絡ください。
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変形性股関節症の治し方に関するよくある質問
Q.手術をしないで治すことはできる?
保存療法を通じて症状の改善や進行の抑制は可能です。しかし、変形性股関節症は完治するものではないため、病状に応じて手術を検討しなければなりません。手術を回避するためにも、早期の段階から理学療法や生活指導を積極的に受けることを推奨します。
Q.末期に手術をしないとどうなる?
末期となり手術が必要な病状であるにも関わらず治療をしないと、痛みの程度や関節の動かせる範囲がさらに悪化していくと想定できます。そうなるとさらに日常生活に支障をきたして、生活の質も低下していきます。
Q.ストレッチは効果がある?
ストレッチは、股関節の柔軟性を高めて痛みや関節の動く範囲の改善に役立ちます。
ストレッチの一例を紹介すると以下のようなものがあります。
- 仰向けに寝て片方の膝を胸に抱える
- 息を吐きながら引き上げてお尻の筋肉を伸ばす
- 反対の脚も同様に行う
1回5〜10秒を目安にして行いましょう。
(文献1)
シリーズ17 変形性股関節症|日本理学療法士協会














