変形性股関節症を進行させない工夫
公開日: 2022.01.22更新日: 2024.10.07
変形性股関節症を進行させない生活の工夫とリハビリ
変形性股関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、動き出しなど動作のはじめや、長時間の歩行後に痛みを感じます。悪化すると安静時にまで痛みを感じるようになるため、日常生活を送る上で大きな支障となります。
股関節が痛む原因は2つあり、関節軟骨の摩耗と関節唇の損傷です。股関節へかかる負荷が原因で、クッション材である関節軟骨がすり減り、そのかけらが滑膜を刺激することで痛みを感じます。
また、股関節の安定性を高める関節唇が傷むことでも、関節が不安定になり痛みにつながります。
そんな変形性股関節症への治療は、関節への負荷を減らしながら、同時に関節を安定させることが重要です。この記事では、変形性股関節症を悪化させない具体的な工夫や取り組みを紹介します。
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生活スタイルを変え負担を避ける
日常生活を工夫することで股関節へかかる負荷を減らし、痛みを軽減します。日常生活で最も股関節に負荷がかかる姿勢は、関節が深く曲がるようなしゃがむ動作です。また低い位置から立ち上がる動作でも負荷がかかるため注意が必要です。
背筋を伸ばす
変形性股関節症の初期には、痛みをかばうことから骨盤が前傾し、不自然な姿勢を取りがちです。そうした姿勢が腰椎の前弯と胸椎の後弯を増強させ、股関節の可動域や筋力は低下します。そうして不安定になった関節に体重が加わると、関節軟骨への負荷が増し、痛みにつながります。
では骨盤を後傾させれば良いのか?というと、そうでもありません。猫背のように骨盤が後傾する姿勢では、その問題は背骨の湾曲だけでなく、股関節に不安定さをもたらし、それもまた痛みにつながります。(ヒップ−スパイン・シンドローム)
大切なのは、体操を通して常に股関節や骨盤の柔軟性を高め、できる限り背筋を伸ばしておくことです。
低い位置での生活をやめる
畳のような和式ならではの低い位置で過ごす生活では股関節に負荷がかかります。さらに立ち上がり動作でも股関節の負荷になることから、地べたでの生活から椅子を活用するなど、洋式の生活へと変えていく必要があります。
ほかには、トイレを洋式へ変えたり、布団からベッドに変更したりと低い位置での生活はなるべくやめていきましょう。また、キッチンで料理をする際、頻繁に使う物は高い位置に収納することで、頻繁にかがむ機会を減らします。
減量する
肥満であることは、股関節にかかる負荷も上がるため、変形性股関節症を進行させる要因の一つです。肥満傾向の方は体重を落とすことで、病気の悪化を防ぐことができます。
手すりの設置
段差の昇降は、股関節に負荷がかかるだけでなく、転倒するリスクが高まります。階段やお風呂場などには手すりをつけることで関節への負荷と転倒リスクを減らします。
積極的に運動療法(リハビリ)に取り組む
運動療法では筋肉を鍛え、関節の安定性を高めます。また適度な運動が股関節の可動域を拡大させ、変形の進行を防ぎます。運動療法は、自分のペースで無理せず行います。痛みを我慢して運動を続けると痛みは悪化し、ついには運動に取り組めないことがあるため気をつけましょう。
ウォーキング
歩くことで股関節の筋力を向上させ、脚を動かすことで関節可動域が広げる効果があります。
健康を目的とした歩行では、早歩きが推奨されることが一般的ですが、変形性股関節症の場合は違います。歩行速度が上がるほど股関節へ衝撃が伝わりやすくなるほか、歩行フォームが乱れ、不安定な股関節にさらに負荷がかかります。ウォーキングを始める際は、自分のペースでゆっくり歩くことがポイントです。
また慣れないうちから長時間や長距離を歩くのはオススメできません。無理をした疲労から動けなくなると、継続的な運動ができないため、短い距離・時間でも毎日継続することが大切です。
プールでの運動
水の浮力を生かした運動で、地上での歩行より負荷の少ないトレーニングができます。体重から股関節へかかる負荷を軽減できるため、地上でのウォーキングでは痛みを感じる方でも、水中では痛みなく歩ける場合があります。
また、水の抵抗に負けないように歩く必要があるため、筋力強化が期待できます。普段から股関節に痛みを感じており、満足に運動療法に取り組めない方には最適です。さらに地上でのウォーキングと比べて転倒リスクがないこともポイントです。
室内での運動
1日の大半を家で過ごす方も多いのではないでしょうか。そうした場合、室内で手軽にできる体操やトレーニングがあります。股関節の可動域が制限される原因の一つが筋肉の緊張です。室内での運動を通して、筋肉の柔軟性を取り戻し、関節可動域を高めます。可動域が高まれば、運動にも効率よく取り組めます。
股関節に関する筋肉の体操
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股関節に関する筋肉のトレーニング
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中臀筋や大腿筋膜張筋のような股関節の外転筋のほか、梨状筋や大臀筋のような外旋筋を鍛えます。
まとめ・変形性股関節症を進行させない工夫
変形性股関節症と診断された方は、痛みが少ない頃から股関節への負荷を減らし、関節を安定させ進行を遅らせます。
もし変形性股関節症が進行した場合、痛みをかばって歩くことで対側の股関節にも痛みがでることがあります。そうなると、活動量は低下し、さらに状態が悪くなる悪循環になります。
変形性股関節症を進行させないためには、股関節へ負荷がかからないように、低い位置で過ごすことが多い和式から洋式へと生活スタイルを見直し、自分のペースで痛みのない運動療法に継続して取り組みましょう。
変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます
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