変形性股関節症でやってはいけないこととは?注意すべき動作・運動を紹介
公開日: 2020.12.24更新日: 2024.11.06
変形性股関節症と診断されたけどどうしたら良いのかわからない。
股関節の変形はもう治らないと聞いたので今後が不安……
変形性股関節症と病院で診断され、これ以上悪化させないためにはどうすればいいか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
変形性股関節症は股関節に負荷がかかり続けることで軟骨がすり減り、骨が変形していく疾患です。
進行を遅らせる方法があれば知りたいと思う人もいるかもしれません。
結論から言えば、変形性膝関節症で禁止されている動作や運動はなく、日常生活の動作や姿勢に注意すれば問題ありません。普段から股関節への負荷をできるだけ避け、股関節の可動域・筋力向上に効果的な運動を継続すれば、痛みを軽減できます。
そこで今回の記事では、変形性股関節症に対して避けるべき動作や効果的な運動をご紹介します。
病院で変形性股関節症と診断されて不安に思われている人は、ぜひ最後までチェックして実践してみてください。
目次
【シーン別】変形性股関節症でやってはいけないこと
変形性股関節症でやってはいけないこととして、以下の3つに注意してください。
- 運動
- 姿勢
- 生活習慣
ここから具体的に、どういった運動や姿勢、生活習慣が変形性股関節症に悪影響となるのか、詳しく解説していきます。
変形性股関節症の発症後に注意すべき点については、以下の記事もご覧ください。
変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき運動
変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき運動として、以下の2つには注意しましょう。
- ジョギング
- ストレッチ・ヨガ(股関節に負担がかかるもの)
これらの運動は股関節に大きな負担が生じます。軟骨の摩耗や骨の変形・痛みといった変形性股関節症の進行を強める要因となるため、可能な限り避けましょう。
ジョギングは着地の衝撃で股関節への負担が大きくなるとされています。また、大きく脚を開くようなストレッチやヨガも股関節への負担が大きいため、注意しましょう。
上記以外の運動中でも、痛みなど異変があれば無理に動かさず安静にするよう心がけてください。
変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき姿勢
変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき姿勢は以下の4つです。
- あぐら
- 時間しゃがむ
- 足を組んで座ること
- 猫背
あぐらや長時間しゃがむ姿勢は、股関節への負担が大きく、変形性股関節症の症状を強めてしまう可能性があります。
足を組むのも、股関節が捻られて負担が大きくなるため避けましょう。
また、猫背の姿勢は骨盤と大腿骨(ふとももの骨)が不安定な形になりやすく、股関節への負担が大きい姿勢です。
変形性股関節症を悪化させる可能性があるため、正しい姿勢を保つようにしましょう。
変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき生活習慣
変形性股関節症でやってはいけない・注意すべき生活習慣は以下の3つです。
- 重い物を持って立ち上がる・歩く行為
- 体重の増加
- ヒールの高い靴を履く
重い物を持って立ち上がったり歩いたりする行動は、変形性股関節症を強めるリスクが高いです。
体重の増加も股関節に負担がかかるため、暴飲暴食や運動不足による肥満には注意しましょう。
また、ヒールの高い靴を履くと足首の動きが悪くなり、歩行時の衝撃を吸収しにくくなります。股関節にかかる負担が増えるため、できるだけフラットなパンプスやスニーカーなど、足首の動きに影響が少ない靴を選ぶと良いでしょう。
変形性股関節症の禁忌動作を続ける3つのリスク
変形性股関節症の禁忌動作を続けることで、以下に挙げる3つのリスクが生じます。
- 疼痛が増強する
- 歩行が困難になる
- 人工関節を入れる手術が必要になる
なぜこのようなリスクが生じるのか、それぞれ詳しくみていきましょう。
疼痛が増強する
変形性股関節症の人がしゃがむ、股関節を内側にねじるなどの動作を日常的に繰り返すと、脚の骨と骨盤の間にある軟骨がすり減り、疼痛(とうつう)が増強してしまいます。
疼痛とは、皮膚や粘膜、内臓、骨膜、筋、腱などの自由神経が刺激されて発生する痛みのことです。焼けるような感覚、強いしびれなど、人によって感じ方や痛みの程度は異なります。
股関節に負担がかかる動作や姿勢を繰り返すと、変形性股関節症の症状の進行が加速し、疼痛もひどくなる可能性があります。
歩行そのものが困難になる
変形性股関節症は、運動療法で筋肉を鍛えるなど改善に向けたリハビリもおこないます。しかし、股関節に負担がかかる姿勢や動作を繰り返すと症状が悪化し、歩けなくなる可能性があります。
歩行が困難になると、簡単な外出や日常的な家事・入浴動作も難しくなるかもしれません。痛みや可動域制限によって日常生活に支障をきたし、「生活の質」が低下していくでしょう。
最終的には日常生活を送るだけでも人の手を借りないといけない恐れがあります。
このような最悪の事態を避けるためにも股関節に大きな負担がかからないよう意識して過ごしましょう。
人工関節を入れる手術が必要になる
変形性股関節症の症状が進行すると、人工関節を入れる手術が必要になります。すり減った軟骨や変形した骨は自然治癒しないため、痛みをとるためには人工関節を入れないといけません。
人工関節を入れる手術を行えば痛みを緩和できる可能性は高くなりますが、皮膚や筋肉を大きく切開するため、術後のリハビリが必要です。
また、脱臼や2回目の手術を避けるために、術前よりもより生活習慣に気を配る必要もあります。
人工関節手術のリスクについては、こちらの記事もご覧いただければ幸いです。
変形性股関節症の悪化を防ぐためにやるべき3つのこと
変形性股関節症の症状悪化を防ぐためには、以下3つのことに取り組んでください。
- 身近な人の理解を得る
- 無理のない範囲で股関節を動かし鍛える
- 負荷の少ないストレッチで股関節まわりの柔軟性を保つ
これらの簡単な取り組みを繰り返すだけでも変形性股関節症の症状悪化を予防する効果が期待できます。変形性股関節症の症状進行を止めたい人は必ず最後までチェックしてください。
身近な人の理解を得る
変形性股関節症の人は、まず家族や職場の人など、身近な人の理解を得ることが重要です。周囲からの理解を得られれば、股関節に負担がかかる動作を代わってもらえるなど、変形性股関節症が悪化しないよう協力してもらいやすくなります。
とくに以下のようなシチュエーションでは、身近な人の理解・協力が重要です。
- 重たい物を運んでもらう
- 食卓を座卓からイス・テーブルに変えてもらう
- 浴槽をまたぐための補助台を用意してもらう
1人だけで考えるより精神的な安心感を得られやすく、前向きに治療に取り組めるようになります。
身近な人と一緒に診察を受ける、リハビリの見学をしてもらうなど、周囲の協力を得られるよう働きかけてみてください。
無理のない範囲で股関節を動かし鍛える
変形性股関節症では、筋肉がないと関節にかかる負担が大きくなるため、無理のない範囲で股関節を動かし、鍛える必要があります。
関節を支える組織には骨・靭帯・筋肉の3つがあります。筋肉が少ないと関節を支える負担が骨にかかり、軟骨の摩耗や骨の変形を強めてしまうかもしれません。無理のない範囲で運動をして、股関節に負担をかけないことが大切です。
仰向けでの脚上げ運動や、プールでの水泳・水中歩行は、股関節に負荷をかけず筋肉を鍛えられるためおすすめです。
負荷の少ないストレッチで股関節周りの柔軟性を保つ
筋肉を鍛えることと同様に、負荷の少ないストレッチも変形性股関節症の症状を抑えるために重要です。
ストレッチで股関節周りの柔軟性が保たれれば、股関節にかかる負担を減らせます。
たとえば60°しか動かない関節と120°動く関節を比較したとき、60°しか動かない関節では衝撃が加わる範囲が限定されます。しかし120°動けば衝撃が広い範囲に分散されるため、一部分にかかる負担は軽減されるでしょう。
つまり動きが硬い股関節だと狭い範囲の軟骨や骨に衝撃が加わりますが、可動域が広い股関節であれば全体に衝撃が分散されるため、軟骨のすり減りや骨の変形を全体に広げられます。
結果として変形性股関節症の症状予防につながるため、負荷の少ないストレッチは重要です。痛みが出ない範囲で十分なので、毎日継続しましょう。
まとめ|変形性股関節症の悪化を防ぐためには股関節に負担をかけないことが大切
変形性股関節症は繰り返される股関節への負荷によって軟骨がすり減り、骨が変形することで発症する疾患です。
症状を進行させないためには股関節へ負担をかけないことが重要です。股関節への負担が大きい動作や姿勢を避け、家族の理解・協力のもと、日常生活で股関節にかかる負担を減らすよう努めましょう。
自分自身が無理のない範囲で運動・ストレッチを継続することも、変形性股関節症の症状緩和に効果的です。
また、当院「リペアセルクリニック」では、国内でも数少ない、自己の幹細胞を用いた再生医療(幹細胞治療)を提供しています。
再生医療によってすり減った軟骨を復活させられれば、変形性股関節症の症状軽減につながるかもしれません。また、再生医療と生活習慣の改善・運動を併用すれば、より高い効果が期待できます。
当院ではメール相談やオンラインカウンセリングも実施していますので、ご活用ください。
この記事が、変形性股関節症における手術以外の治療法・予防法を知るのに役立ったのなら嬉しく思います。
変形性股関節症についてよくある質問
変形性股関節症に良い運動は?
股関節に大きな負荷がかからない運動がおすすめです。
具体的には仰向けでの脚上げ運動やお尻挙げ、浮力で体重を軽減できるプール運動が挙げられます。また、軽めのウォーキングやヨガ・ストレッチも良いでしょう。
ランニングや縄跳びなど股関節に衝撃がかかる運動や、股関節に負荷が大きくかかる運動は避けるべき運動なので注意してください。
変形性股関節症は歩かない方が良いですか?
痛みがない範囲であれば歩いてもかまいません。むしろ軽めのウォーキングは変形性股関節症の症状を和らげる方法として推奨されています。
実際、京都大学がおこなった研究によると、変形性股関節症が進行していた人は1日7000歩以上歩いていたといわれています(文献1)。
1日20〜30分程度のウォーキングで、踵から着地してしっかり蹴る意識で歩けば大きな問題はありません。しかし、痛みがあれば中止するなど、無理のない範囲でおこないましょう。
No.0003
監修:院長 坂本貞範