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【医師監修】ガングリオンとは|症状・原因・治療法まで解説

手首や足首に、コリコリとしたしこりができていませんか。
それは「ガングリオン」と呼ばれる良性のできものかもしれません。放置しても問題ない場合もありますが、大きくなったり痛みが出たりすると、日常生活に支障が出ることもあります。
本記事では、ガングリオンの症状や原因、治療法までをわかりやすく解説します。安心して適切な対応を取れるよう、基本的な知識を押さえておきましょう。
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目次
ガングリオンとは「ゼリー状の滑液が溜まる良性腫瘍」
ガングリオンは、関節や腱の近くにできるゼリーのような柔らかい腫瘤(しゅりゅう)です。
多くの場合は小指ほどの大きさで、袋の中には関節の動きをなめらかにする「滑液」と呼ばれる液体が入っています。(文献1)(文献2)
若い女性に多く、手首や指の付け根などによく見られます。(文献3)
放置しても体に害はありませんが、痛みや動かしにくさがある場合は、医療機関での治療が必要です。
ガングリオンの症状
ガングリオンの代表的な症状は、皮膚の下に触れるしこりです。しこりの硬さは、ゼリーのように柔らかい場合、ゴムのように硬い場合など個人差があります。(文献1)
ガングリオンができても、強い痛みはなく、不快感や違和感程度で経過するケースが一般的です。ただし、神経の近くにできた場合は、神経の圧迫により痛みやしびれが生じ、指先の動かしにくさや軽い麻痺がみられることもあります。
なぜできる?ガングリオンの原因
ガングリオンの代表的な原因は、関節を包む膜である「関節包」や、腱を包む「腱鞘」という部分の性質が変化することです。(文献3)
これらが変性して嚢胞という袋状の構造ができ、その中に「滑液(かつえき)」がたまります。この滑液が粘り気のあるゼリー状となってガングリオンが形成されます。(文献1)
ただし、ガングリオンが発生する具体的なメカニズムは解明されていない部分もあります。(文献4)
手や指をよく使うと大きくなるケースはありますが、必ずしも手を多く使う人にできやすいわけではありません。
手の使用頻度に関わらず発生するため、ガングリオンは誰にでもできる可能性があるといえるでしょう。
ガングリオンができやすい場所
ガングリオンは、動きの多い関節や腱の周囲に発生しやすい特徴があります。代表的な部位は、以下のとおりです。(文献1)
- 手首(とくに甲側)
- 指(付け根や関節)
とくに発生しやすい部位は、手の甲です。他の部位よりは頻度は低いものの、手のひら側の指の付け根にできることもあります。
また、良く動かす部位である足にガングリオンができるケースも少なくありません。足にできるケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。
また、手指の付け根に痛みが出る場合、「ばね指」のケースもあります。ばね指については、以下の記事をご参照ください。
ガングリオンの治療法
ガングリオンの治療は、大きく2つに分けられます。
- 保存療法:ガングリオンの袋はそのままにして、様子をみるか中身だけを取り除く治療法
- 手術:ガングリオンの袋自体を取り除く治療法
本章では、それぞれの治療法について詳しく解説します。
保存療法
保存療法は、液体がたまる袋を取り除かない治療方法です。状態によって、そのまま経過を観察する場合と、しこりの液体を針で抜く場合に分けられます。また、関節の安静を保つためにテーピングや装具を使うケースもあります。(文献5)
2種類の保存療法について、順番にみていきましょう。
経過観察|自然治癒に期待
以下のような場合はとくに治療をおこなわず、経過観察をするのも選択肢となります。
- 症状が軽くて痛みがない
- 日常生活に支障をきたしていない
ただし、途中でガングリオンが大きくなって痛みが出る、不快感から生活に支障が出るなどの場合は、他の治療法を検討します。
穿刺吸引|短期的にしこりを除去
穿刺吸引は、注射器でガングリオンの中身を吸い取る方法です。
医療機関によっては、吸引後にステロイド薬やヒアルロン酸分解酵素(ヒアルロニダーゼ)を注入し、治療効果を高める工夫をする場合もあります。(文献5)
どの治療法にも再発リスクはありますが、穿刺による治療は手術よりも再発率が高い傾向にあります。
部位ごとの再発率は以下のとおりです。
- 手関節背側:60〜87%
- 手関節掌側:57〜83%
- 掌側靱帯性:約30%
また、背側・掌側を合わせた手関節のガングリオン全体で、穿刺の再発率は59%(47~70%)という報告もあります。
再発を繰り返す場合は、次に解説する手術も検討しましょう。
手術|根治・再発防止が目的
手術は、液体がたまる袋そのものを、根元の部分といっしょに取り除く方法です。(文献1)
再発を繰り返す場合や、痛みが強く日常生活に支障がある場合などに検討されます。
ただし、保存療法よりも頻度は低いものの、手術をしても再発リスクは残ります。また、神経や血管の損傷、傷跡が残るリスクもあります。(文献5)
保存療法と手術のどちらが適しているかは、症状や生活への影響を踏まえ、医師とよく相談して決めましょう。
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なお、ガングリオンの手術については、以下の記事で詳しく紹介しています。
【何科?】ガングリオンを疑う際の受診科目
ガングリオンが疑われる場合、基本的な受診科は整形外科です。
診察では、注射器でしこりの中身を採取し、ゼリー状であればガングリオンと診断されます。外側から触れにくい小さなガングリオンの場合は、超音波検査やMRI検査を行うこともあります。(文献1)
ただし、痛みはなく、見た目だけが気になる場合には、皮膚科や形成外科で対応できるケースも少なくありません。
受診先に迷う場合は、医療機関に電話で症状を伝え、診察可能かを確認すると良いでしょう。
ガングリオンが痛いときの対処法
ガングリオンが痛む場合、しこりが神経の近くにできており、神経を圧迫している可能性が考えられます。
症状の程度に応じて、次のように対応しましょう。
症状の程度 |
対応 |
---|---|
痛みやしびれが軽く、腫れがない場合 |
安静にして様子をみる |
初めてできた場合や痛み・腫れが強い場合 |
早めに医療機関を受診する |
なお、しこりが大きくなったり痛みが悪化したりする可能性もあるため、ガングリオンがある部分に負担をかけないことも大切です。
ガングリオンが痛いときの対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。
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ガングリオンと悪性腫瘍との見分け方
ガングリオンと悪性腫瘍はどちらも「しこり」ができるという共通点がありますが、特徴には違いがあります。
ガングリオン |
悪性腫瘍 |
|
---|---|---|
硬さ |
やわらかく弾力があることが多い |
硬くてゴツゴツしている |
痛み |
痛みが無いケースもあるが、神経を圧迫すると痛みが出る |
初期は痛みが無いケースもあるが、進行すると痛みが出るケースが多い |
大きさの変化 |
小さくなったり消えたりすることがある |
徐々に大きくなる傾向がある |
ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、見た目や触った感触だけで判断するのは危険です。しこりがある場合は、必ず医療機関を受診して確認しましょう。
ガングリオンと悪性腫瘍の見分け方については、以下の記事で詳しく紹介しています。
手足の痛みや違和感はガングリオンを疑い早めの受診を心がけよう
手足の関節や腱の周囲にできたしこりは、ガングリオンかもしれません。基本的には良性のできものであるため過度な心配は必要ありませんが、大きさやできた場所によっては神経を圧迫して痛みやしびれを引き起こすこともあります。
気になる症状がある場合は、早めに受診しましょう。
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ガングリオンに関するよくある質問
ガングリオンは潰すと治るって本当?
実際、医療機関ではガングリオンをつぶす治療が行われることもあります。(文献1)
ただし、炎症が悪化したり、皮膚に傷ができて感染を引き起こしたりする可能性があるため、自己判断で潰すのは避けてください。
ガングリオンは急にできるの?
ガングリオンは以下の流れで形成されるため、大きくなるには一定の時間がかかるケースが一般的です。(文献4)
- 関節にかかるストレスで滑液が漏れ出す
- 漏れた液が袋状にたまり、少しずつ大きくなる
ただし、初期は痛みや違和感がほとんどなく、気づかないケースが少なくありません。そのため、見た目では「急にできた」と感じても、実際は徐々に形成されていた可能性が高いと考えられます。
スマホが原因でガングリオンができることはある?
スマホの使用が直接ガングリオンの原因になるかどうかは、現時点では明らかになっていません。
ガングリオンの原因そのものがまだ解明されておらず、スマホとの直接的な関係も確認されていないのが現状です。
ただし、長時間のスマホ操作は手首や指の関節・腱に負担をかけ、痛みや不快感などを引き起こす可能性があります。関節への負担を減らすためにも、スマホの使いすぎは控え、こまめに手を休ませることが大切です。
参考文献