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ばね指の原因は女性特有のものもある?妊娠・出産や更年期との関係性を現役医師が解説
「指の付け根がカクカク引っかかって動かしにくい」
「手の指が朝だけこわばる」
このような症状に悩まされている方も多いことでしょう。
これは、腱鞘炎の1つであるばね指と呼ばれるもので、女性に多いとされています。
本記事では、ばね指が女性に多い理由や、発症のメカニズム、治療方法などについて解説します。ばね指が自然治癒する可能性や、受診を必要とするサインについてもあわせて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
ばね指の原因と女性との関係性
ばね指が女性に多い原因としては、主に以下の3つがあげられます。
- ホルモンと生活習慣の影響
- 妊娠・出産との関係性
- 更年期との関係性
女性にばね指が多い主な理由|ホルモンと生活習慣の影響
ばね指とは指に発生する腱鞘炎であり、女性に多く発症します。(文献1)女性にばね指が多い原因の1つが、ホルモンとの関係です。
女性ホルモンの1つであるエストロゲンには、腱鞘の炎症を修復する働きがあります。エストロゲンの分泌量が低下すると、炎症の修復が追い付かず、腱鞘炎に発展します。(文献2)
ばね指が女性に多いもう1つの原因は、生活習慣の影響です。仕事や家事、育児、介護など、日常生活において手指を使いすぎる状況も、腱鞘炎を引き起こす要因となります。
以下の記事で、ばね指を含む腱鞘炎の概要を解説していますので、あわせてご覧ください。
妊娠・出産とばね指の関係性
妊娠・出産期は、ばね指が多い時期の1つです。妊娠および出産によりホルモンバランスが乱れると、ばね指発症リスクが高くなります。
日本保健科学学会誌に掲載された論文では、「産後の腱鞘炎発症率が35.4%といった先行研究データが示されている」と報告されています。(文献3)産後はホルモンバランスの影響に加えて、赤ちゃんの抱っこや授乳などで手首および指への負担が増すため、腱鞘炎のリスクが高まるのです。
ばね指も腱鞘炎の1つであるため、妊娠・出産期は、ばね指が多く発症する時期といえます。
更年期とばね指の関係性
閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた10年は更年期と呼ばれ、女性ホルモンの1つであるエストロゲンが減少する時期です。(文献4)
腱鞘の炎症修復作用を有するエストロゲンが減少すると、ばね指を含めた腱鞘炎が起こりやすくなります。(文献2)
更年期にはさまざまな症状が現れます。その中でも症状が重く、日常生活に支障をきたす状態が「更年期障害」です。日本内科学会雑誌に掲載された「更年期障害としてのリウマチ症状」では、更年期障害を有する方の約半数が、手のこわばりや末梢関節痛を訴えるとの研究データが示されました。(文献5)
末梢関節痛とは、手や足、指といった身体の末端部分の関節痛を指します。
【女性必見】ばね指の主な症状と発症のメカニズム
この章では、ばね指の主な症状とあわせて、「ばね指が発症するメカニズム」について解説します。
ばね指の主な症状
ばね指は親指や中指、薬指に多く生じるもので、初期の症状は、指を曲げ伸ばした際に生じる手のひらおよび第二関節の痛みです。
進行すると、指の曲げ伸ばしでカクカクと引っかかるようになります。指の付け根が腫れたり熱を持ったりする場合も少なくありません。悪化すると、指を動かせなくなる可能性もあります。
症状の特徴は、朝方に強くなり、日中になると軽減される点です。
ばね指発症のメカニズム
指は腱によって曲げ伸ばしができる仕組みです。指を曲げる腱が屈筋腱、伸ばす腱が伸筋腱と呼ばれています。
屈筋腱には、腱の浮き上がりを防ぐトンネル的役割の靱帯性腱鞘が存在します。この2つの間で炎症が起こると、トンネルが狭くなり、腱の滑りも悪くなります。これが、指の腱鞘炎であるばね指発症のメカニズムです。(文献6)
腱鞘炎が進行すると、指を曲げ伸ばしたときに、カクカクとした引っかかり感や、ばねが弾けるような「パチンとした動き」が生じます。これがばね指と呼ばれるゆえんです。
指を使いすぎると、腱鞘が厚くなったり腱が大きくなったりするため、腱が通過障害を起こしてしまい、一層症状が強くなります。(文献6)
ばね指に関する詳しい情報は、下記の記事でも紹介しています。あわせてご覧ください。
ばね指が自然治癒する可能性と受診のサイン
初期のばね指で症状が軽い場合は、安静にしていると回復するケースもあります。しかし、症状が強い場合は、自然治癒は難しい状況です。指が曲がって伸びない、痛みや指の引っかかりといった症状が強いなどの状況を放置していると、関節の状態が悪くなり、日常生活に支障をきたすでしょう。
さらに状況も放置すると、指を動かすことが困難になることも少なくありません。
安静にしていても回復しない、症状が徐々に強くなるといった状況であれば、早めに医療機関を受診しましょう。ばね指の受診先は整形外科です。
ばね指の治療法
この章では、ばね指の治療法について表形式で紹介します。
| 治療法 | 詳細 |
|---|---|
| 保存療法 |
|
| 手術療法 |
|
| 再生医療 |
|
保存療法のうち、ステロイド治療はおおむね3か月程度有効ですが、再発例や過剰投与によるリスクもゼロではありません。装具固定により、日常生活が妨げられる場合もあります。装具ではなく、絆創膏による固定で症状が軽減されたケースもあります。(文献7)
手術療法は、局所麻酔で実施するケースが多く、外来での対応が可能です。
再生医療を含むばね指治療については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてご覧ください。
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ばね指の原因と女性特有の変化を理解し対処に努めよう
ばね指は女性特有の変化である、ホルモンバランスの乱れが大きく影響しています。とくに、妊娠出産時や更年期の女性は、ばね指発症のリスクが高い状況です。
症状が軽い場合は自然に治る可能性もありますが、徐々に強くなる場合は放置せず、早急に医療機関を受診しましょう。症状が強い状態で放置するとばね指が悪化し、日常生活に支障をきたしたり、指を動かすことが困難になったりするためです。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングなども行っています。ばね指の症状が気になる方は、お気軽にご相談ください。
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ばね指の原因に悩む女性からよくある質問
ばね指を自分で治す方法はありますか?
ばね指は自分だけで治すことが難しいものです。しかし、セルフケアの方法は存在します。
代表的なものがストレッチです。ストレッチは、セルフケアだけではなく、ばね指予防の効果も期待できます。
主なストレッチとしてあげられるのは、以下のとおりです。
- 腱鞘ストレッチ
- 親指の腱鞘ストレッチ
- 指のストレッチ
ただし、痛みが強いときのストレッチは、症状を悪化させる可能性があります。医師の指示を仰ぎつつ、痛みが和らいでいるときに行いましょう。
以下の記事では、ばね指の症状緩和が期待できるストレッチを紹介しています。あわせてご覧ください。
ばね指のときにやってはいけないことはありますか?
ばね指のときにやってはいけないことは、痛みが強いときの曲げ伸ばしやストレッチなどです。痛みや炎症があるときに無理に動かすと、悪化する可能性があります。
マッサージも患部の負担になるため、避ける方が良いでしょう。
痛みが強い状況にかかわらず治療せず放置するのも、やってはいけないことの1つです。ばね指と思われる症状が続き、徐々に強くなっていく場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。
ばね指のときにやってはいけないことについては、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
参考文献
成人弾発指に対する鍼治療の効果─ Visual analogue scale による検討─|日温気物医誌

















