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【医師監修】テニス肘とは|原因・治療法・予防法を解説

「肘に違和感や痛みを感じる」
「肘の痛みで日常生活に支障をきたしている」
物を持つ、ペットボトルのふたを開けるといった動作だけでもつらい場合はテニス肘かもしれません。テニスをしていなくても、パソコン作業や家事など日常動作の繰り返しで発症します。
放置すると悪化して家事や仕事、趣味のスポーツに支障をきたすため、早期に原因を見極め、適切に対処することが重要です。
本記事では、現役医師がテニス肘について詳しく解説します。
- テニス肘の初期症状
- テニス肘の原因
- テニス肘の治療法
- テニス肘の予防法
記事の最後にはテニス肘に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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テニス肘とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な原因・仕組み | 手首や肘の繰り返し動作による腱への負担。加齢による腱の弱化と炎症の発生。周囲組織の関与による痛みの増強。物を持つ・絞る・回す動作での肘外側の痛み。進行による握力低下と夜間痛 |
| 診断の考え方(整形外科) | 問診で痛みが出る動作や経過を確認。トムゼンテストやチェアテストなどで痛みを誘発する検査。レントゲンやMRIで腱や関節内の状態を確認する評価 |
| 早めの対応が重要な理由 | 保存的治療で改善が期待できる早期介入の重要性。放置による慢性化や生活への支障のリスク。早期治療による回復促進と再発予防の可能性 |
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、繰り返しの負荷により、肘の外側にある骨の出っ張り部分「外側上顆」に付着する伸筋腱に微小な損傷、変性が生じる疾患です。手首を反らす・指を伸ばす動作で使われる前腕の筋肉が酷使されることで発症します。
診断には、手首を反らした状態で抵抗をかけた際に肘の外側に症状が出るか確認するトムゼンテストや、椅子を持ち上げる動作で症状が再現されるか調べるチェアテストなどが用いられます。
テニスプレーヤーに多いことから名づけられましたが、実際にはパソコン作業や家事、重い荷物の運搬などの日常動作でも発症し、放置すると物を持つ、ドアノブを回すといった軽い動作にも支障をきたすため、早期の対処が不可欠です。
以下の記事では、テニスをしていないのにテニス肘を発症する理由を詳しく解説しています。
テニス肘の初期症状
| 初期症状 | 詳細 |
|---|---|
| 肘の外側の違和感 | 肘の外側に軽い張りや重だるさを感じる状態。動かすと違和感が出る初期段階 |
| 特定動作時の不快感 | 物を持ち上げる、タオルを絞る、ドアノブを回すなどの動作で生じる痛みや不快感 |
| 朝のこわばりと動作後の疲労感 | 起床時の肘周囲のこわばりや、作業後のだるさ・重さを感じる状態 |
| 肘の可動域の変化 | 肘を伸ばす・曲げる際の動きに制限や引っかかりを感じる状態 |
テニス肘の初期症状は軽微なため見過ごされやすく、早期発見が改善の鍵となります。多くの場合、肘の外側の軽い違和感から始まり、運動後や作業後のみ感じる程度です。
しかし、放置すると朝のこわばりや動作後の疲労感の増加、肘の可動域の制限といった症状が進行し、安静時にも痛みが現れるようになります。
特定の動作時に限定的な不快感を覚える段階であれば、組織の損傷が軽度であるため、適切な対処で早期改善が見込めます。日常動作に支障をきたす前に、早めの対応が重要です。
以下の記事では、突然発症するテニス肘について詳しく解説しています。
肘の外側の違和感
テニス肘の初期症状として、肘の外側に張りや違和感が現れます。これは手首を反らす筋肉(短橈側手根伸筋)の腱が、繰り返しの負担により炎症や微細な損傷を起こすためです。
初期段階では強い症状を伴わず、動かすと軽い引っかかりや重さを感じる程度です。ペットボトルを持つ、ドアノブを回す、物を持ち上げるといった動作で違和感が出やすくなります。
腱の炎症によって周囲の筋肉や神経が刺激され、不快な感覚が生じ、肘の外側を通る橈骨神経が圧迫されると違和感やしびれが現れることもあります。微小損傷が進行すると安静時にも違和感が持続するため、早期対応が不可欠です。
以下の記事では、肘の痛みについて詳しく解説しています。
【関連記事】
朝起きたら肘の外側が痛い原因を医師が解説|治療方法や受診目安も紹介
特定動作時の不快感
テニス肘では、特定の動作時に肘の外側へ不快感が生じるのが特徴です。安静時には症状が現れず、動作によって誘発されます。
代表的な誘発動作は、物を持ち上げる動作です。買い物袋、フライパン、ペットボトルなどを持つ際、肘の外側にピリッとした感覚や重だるさが現れます。握力を使う動作は腱に大きな負担をかけるため、初期症状が出やすくなります。
手首を反らす動作(パソコン作業やテニスのバックハンドなど)で肘外側に不快感が生じるのは、手首を反らす筋肉の腱が肘外側に付着しているためです。さらに、握力の微妙な低下を自覚することもあります。力が入りにくい、しっかり握れないといった症状は、腱の損傷や炎症による機能低下のサインです。
初期段階では動作時のみ症状が現れ、安静時には気づかないこともあります。この段階で適切にケアすれば症状の進行や慢性化を防止できます。
朝のこわばりと動作後の疲労感
テニス肘では、朝のこわばりと動作後の疲労感が特徴的な症状として現れます。起床時に肘の外側が硬くこわばったように感じることがあります。
就寝中は関節や腱が長時間動かないため血流が低下し、炎症部位の代謝が滞ることが原因です。動かし始めると次第にこわばりは軽減しますが、症状進行のサインとして注意が必要です。
また、仕事やスポーツで腕を使った後、肘の外側に重だるさや疲労感が残るのも典型的な症状です。繰り返す動作により腱や筋肉に微小な損傷が蓄積し、炎症反応が一時的に強まるためです。動作中は気にならなくても、後からずっしりとした違和感が出ることがあり、進行すると長時間持続します。
朝のこわばりは休息後に硬くなるサイン、動作後の疲労感は使いすぎのサインであり、どちらも進行前に気づける重要な初期症状です。
以下の記事では、朝に起こる肘の痛みについて詳しく解説しています。
肘の可動域の変化
| 段階 | 特徴 |
|---|---|
| 初期段階 | 肘の曲げ伸ばしに大きな制限のない状態。手首背屈や物を持つ動作での違和感や動かしづらさ。使用時の抵抗感や不快感の出現 |
| 進行段階 | 肘伸展終末域での肘の外側の張り感。伸ばしきる際の引っかかりや重だるさ。前腕筋の硬化による柔軟性低下と動作の滑らかさ減少 |
| 慢性・重度 | 関節周囲組織の硬化による可動域狭小化。物を持ち上げながら肘を伸ばす・手首を使いながら動かす動作での制限自覚。日常生活動作への支障 |
| ポイント | 初期は違和感による動かしにくさ。進行期は肘伸展終末域での張りや制限。慢性期は関節可動域の実際の減少 |
テニス肘が進行すると、肘を伸ばす・曲げる・ひねる動作で違和感や引っかかりを感じるようになり、とくに肘を伸ばしきる動作や手のひらを上下に返す動作で症状が出やすくなります。それらは腱の炎症や変性によって周囲の組織が硬くなることが原因です。症状をかばうことで筋肉が緊張し、可動域がさらに狭まります。
その結果、高い場所の物を取る、服を着替える、洗髪するといった動作が困難になることもあります。左右の動きに差がある場合や日常動作に支障がある場合は、早めに医療機関で評価と治療が欠かせません。
テニス肘の原因
| 原因 | 詳細 |
|---|---|
| 繰り返し動作による過度な負荷 | 物を持つ、ドアノブを回す、パソコン作業、スポーツでのスイングなどによる手首や肘の反復使用による腱への負担蓄積 |
| 加齢による腱の変性 | 年齢に伴う腱の柔軟性低下と血流減少による構造の脆弱化および炎症が生じやすい状態 |
| フォーム・道具・筋力の問題 | 不適切な動作姿勢や合わない道具の使用、前腕筋力不足による腱への過剰な負担 |
テニス肘は、肘の外側にある腱が繰り返しの負荷により損傷し、炎症や変性を起こすことで発症します。手首を反らす・物を握る・ひねるといった動作の反復により、前腕の伸筋群から続く腱に張力がかかることが主な原因です。
繰り返し動作による過度な負荷、加齢に伴う腱の変性、不適切なフォームや道具の使用、前腕の筋力不足など、複数の要因が組み合わさって引き起こされます。テニスやゴルフなどのスポーツ愛好家、パソコン作業が多い職種、調理や育児で手を頻繁に使う方などはリスクが高いため、原因を理解し生活習慣を見直すことが予防と改善の第一歩です。
繰り返し動作による過度な負荷
| 要因 | 詳細 |
|---|---|
| 使用回数が多すぎる | 作業時間や練習量の急増による肘・前腕への負担蓄積 |
| 間隔が短すぎる | 休憩不足による回復時間の欠如と腱への過労状態 |
| 負荷が強すぎる | 重い物の持ち上げや強い握り込み、固いグリップによる過度な負荷 |
| 姿勢・フォームの問題 | 手首の過伸展や前腕のみで動作を行う不良フォームによる負担集中 |
| 道具の不適合 | グリップサイズや重さ、ガットの硬さが身体に合わないことによるストレス増大 |
| 全身要因 | 肩や体幹の安定性低下、連動不足による前腕への負荷偏り |
テニス肘の最も一般的な原因は、手首や前腕を使う動作の繰り返しによる過度な負荷です。肘の外側には手首を反らす・指を伸ばす筋肉の腱が付着しており、物を握る、持ち上げる、手首を反らす動作を反復すると、腱に微小な損傷が蓄積されます。
損傷が回復する前に負荷をかけ続けると、腱が硬くなって違和感や張りが生じ、周囲の筋肉が緊張して同じ部位に負担が集中する悪循環が起こります。買い物袋やフライパンを持つ、ドアノブを回す、雑巾を絞るといった日常動作のほか、マウス操作やキーボード入力などの長時間作業、テニスのバックハンドやゴルフのスイングなどが代表的な原因動作です。
予防には、動作の量・間隔・強度の調整、手首を反らしすぎない姿勢の維持、体に合った道具の選択、前腕のストレッチと筋力強化が有効です。
以下の記事では、日常生活やスポーツで起こりうる肘の症状について詳しく解説しています。
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加齢による腱の変性
年齢を重ねると、筋肉と骨をつなぐ腱のコラーゲン線維が徐々に変性し、柔軟性や強度が低下します。その結果、若い頃と同じ負荷でも腱に損傷が入りやすくなり、修復にも時間がかかるようになります。
とくに40代以降でテニス肘の発症が増えるのは、加齢による腱の変性が進み、手首を反らす・物を持つ動作での肘外側への負担に耐えにくくなるためです。
また、加齢による腱の変性が問題となる理由は以下の通りです。
- 修復力の低下により若い頃なら自然に回復していた小さな損傷が治りにくくなる
- 柔軟性の低下により衝撃や負担を吸収しにくくなる
- 一度痛めると治りにくく同じ動作で繰り返し悪化しやすい
加齢による変性は避けられませんが、適度な運動やストレッチで腱の柔軟性を保つことが予防につながります。
フォーム・道具・筋力の問題
| 要因 | 詳細 |
|---|---|
| フォームの問題 | 手首に頼りすぎた動作による肘外側への負担集中。身体全体を使わずに手首や前腕だけで行う動作による腱への過剰なストレス |
| 道具の問題 | 合わないラケットや道具の使用による前腕への余分な負担。グリップサイズの不一致やガットの張りすぎ、道具の重さによる腱への負荷蓄積 |
| 筋力不足の問題 | 前腕・肩・体幹の筋力低下による衝撃分散の不十分。前腕伸筋群の弱化による腱の引っ張られやすい状態。筋力バランスの乱れによる疲労や違和感の出現 |
テニス肘は、不適切なフォームや道具の使用、前腕の筋力不足などが原因で起こります。これらの要因によって腱に過剰な負担がかかり、発症のリスクが高まります。スポーツでは、フォームの乱れが腱に大きなストレスを与えることがあります。
たとえば、テニスでバックハンドを手首だけで打つ場合や、ゴルフで肘を伸ばしたままスイングする場合、さらにラケットのグリップが細すぎたり太すぎたりする場合などです。日常生活では、パソコンのマウスやキーボードの配置が悪い、包丁の持ち方が不適切、重い荷物を片手で持つといった習慣が問題となり、前腕の筋力不足により腱が筋肉の役割を代償し過剰な負荷がかかります。
テニス肘を予防・改善するためには、フォームの見直し、適切な道具の選択、筋力トレーニングを組み合わせることが効果的です。
テニス肘の治療法
| 治療法 | 詳細 |
|---|---|
| 保存療法 | 負荷軽減と休養、ストレッチ、温熱・冷却による組織回復環境の整備 |
| 薬物療法 | 消炎作用や血流改善を目的とした外用薬・内服薬・注射による症状緩和 |
| 装具療法 | 前腕特定部位への圧迫や支持による腱負担軽減のためのバンドやサポーター使用 |
| 手術療法 | 保存療法で改善が見られない場合の損傷部修復や変性組織除去 |
| 再生医療 | 自己細胞や血液成分を利用した損傷組織修復促進 |
テニス肘の治療は、症状の程度や発症からの期間により選択肢が異なります。軽症〜中等症では保存療法が第一選択です。保存療法で効果が得られない場合や、症状が重度の場合には、より専門的な治療法を検討します。
治療の基本は、腱への負担を減らしながら組織の修復を促すことです。安静、薬物療法、装具の使用、リハビリテーションなどを組み合わせて進めます。
近年では、保存療法や手術に加えて、再生医療も選択肢のひとつとして注目されています。ただし再生医療は提供されている医療機関が限られており、症状によっては適応できないケースもあるため、事前に医師と相談する必要があります。
以下の記事では、テニス肘の治し方について詳しく解説しています。
保存療法
| 療法 | 詳細 |
|---|---|
| リハビリテーション(運動療法) | 痛みの軽減後に理学療法士の指導のもと行う前腕のストレッチや筋力強化による肘への負担軽減と再発予防 |
| ストレッチ | 前腕の筋肉や腱を伸ばして柔軟性を高め、硬化した組織をほぐし炎症再発を防ぐ習慣 |
| 物理療法(電気治療・超音波治療など) | 超音波・温熱・電気刺激による血流改善と炎症・痛みの軽減、組織修復の促進 |
| 安静と負担軽減の重要性 | 急性期における肘の安静とサポーター・テーピング使用による腱への負担軽減と炎症抑制 |
| 保存療法の意義 | 身体への負担が少なく、リハビリ・ストレッチ・物理療法の継続による回復促進と再発予防 |
保存療法は、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。多くの場合、適切な保存療法により自然治癒が期待できます。
初期段階では患部への負荷を減らし安静を保ちながら炎症を抑え、温熱療法や物理療法により血流を改善して組織の回復を促し、医師の指導のもと段階的にストレッチや筋力回復訓練を取り入れることで、症状の慢性化を防げます。
薬物療法
| 治療内容 | 詳細 |
|---|---|
| 薬物療法が有効な理由 | 痛みや炎症の速やかな緩和による症状軽減。保存療法との併用によるリハビリや日常動作継続の支援、強い症状期での緩和の重要性 |
| 鎮痛薬・消炎薬 | 消炎鎮痛薬(NSAIDs)や湿布剤による炎症抑制と速効的な症状緩和。軽度から中等度症状への有効性、副作用予防のための長期使用制限 |
| ステロイド注射 | 強い痛みや生活への支障時の局所注射による強力な炎症抑制と即効性。1〜2カ月程度の効果、腱断裂リスク回避のための使用回数・頻度制限 |
| 治療上の位置づけ | 症状コントロールに有用だが、根本治療は保存療法やリハビリによる総合的計画の実施 |
薬物療法は、薬剤を用いて炎症や痛みを抑え、患者の苦痛を軽減するとともに、身体の自然治癒力が発揮しやすい状態を整える治療法です。テニス肘では、主に炎症のコントロールと痛みの緩和を目的として行われます。症状が落ち着くことで、日常生活の質が向上し、リハビリテーションにも取り組みやすくなります。
治療には、症状の程度に応じて内服薬や外用薬(湿布・塗り薬)などの消炎鎮痛薬(NSAIDs)が用いられ、炎症が強い場合にはステロイド注射で局所の炎症を抑えることもあります。薬物療法は、痛みを一時的に緩和する補助的な治療であり、根本的な改善にはリハビリや保存療法との併用が必要です。
以下の記事では、薬物療法で使用するステロイド注射について詳しく解説しています。
装具療法
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| サポーターの効果 | 肘外側上顆より手首側の前腕筋肉部分を圧迫し、筋肉の過度な緊張を抑えることで腱への負担を軽減 |
| 装着位置 | 肘の骨の出っ張り(外側上顆)から指2本分ほど手首側の筋肉部分に圧迫パッドを当てる位置。骨の出っ張りに直接当てると逆に症状を悪化させる可能性 |
| 装着時の注意点 | きつすぎると血流を妨げ、緩すぎると効果が得られない適度な圧迫感の維持。動作時のみ装着し、安静時や就寝時は外すことの推奨 |
| テーピングの役割 | 筋肉や腱の動きをサポートし、過度な伸縮や負荷を防ぐ効果。症状の軽減や炎症悪化の予防。医師による正しい方法の習得が重要 |
| 装具療法の限界 | あくまで補助的な治療法であり、根本的な改善にはリハビリや薬物療法との併用が必要 |
サポーターの装着は、肘の腱にかかる負担を軽減し、日常生活やスポーツ時の再負担を防ぐのに有効です。装具の種類や装着位置は、症状や動作内容によって適切に使い分けることが大切です。
自己判断での使用は効果が不十分な場合や、誤った装着によってかえって負担を増やすおそれがあります。そのため、専門家の指導のもとで選択・装着することが望まれます。また、長時間や過度の使用は筋力低下を招くことがあるため、適切な使用時間と休息を心がけましょう。
手術療法
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 手術の利点 | 長引く症状の改善と肘の機能回復や再発予防への期待。保存療法で効果が不十分だった場合の有効な選択肢 |
| 手術のリスク | 感染・神経損傷・可動域制限などがまれに起こる可能性。手術には一定のリスクを伴う点 |
| 術後の経過 | リハビリテーションが必須で、回復には数カ月から半年程度の期間が必要 |
| 効果の個人差 | すべての患者に確実な効果があるわけではなく、改善度には個人差がある |
テニス肘は通常、保存療法で改善が見込めますが、症状が1年以上続き、強い痛みが改善しない場合や日常生活に大きな支障を来す場合には手術が検討されます。手術が必要となるケースは全体の約5〜10%とされています。
手術は損傷した腱の修復や炎症部位の除去を目的とし、開放手術や関節鏡視下手術などの低侵襲な方法が選択されます。開放手術では、肘の外側を約3〜5cm切開し、損傷した腱の一部を切除・修復します。神経の圧迫がある場合には、神経剥離術を併用することもあります。
関節鏡視下手術は、数mmの小さな切開から内視鏡を挿入し、腱の修復や滑膜の切除を行う方法です。傷が小さく身体への負担が少ないことが利点で、入院や全身麻酔を要することがありますが、開放手術に比べて術後復帰は早い傾向にあります。(文献1)
術後はリハビリを通じて肘の可動域と筋力の回復を図り、長期的な予後を良好に保つためには、適切な術後管理と再発予防が欠かせません。
再生医療
再生医療は、損傷した腱や組織の修復をサポートし、身体の自然な治癒力を引き出すことを目的とした治療法です。テニス肘では、炎症や変性がみられる腱に対し、患者自身の血液や脂肪から採取した成分を用いて施術を行います。
PRP療法では血液中の血小板に含まれる成長因子の働きを利用し、幹細胞治療では脂肪由来の幹細胞を培養して使用します。いずれも入院や手術を必要とせず、日帰りでの施術が可能です。治療内容や適用は医師と十分に相談の上で決定します。
以下では、再生医療について詳しく解説しています。
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テニス肘の予防法
| 予防法 | 詳細 |
|---|---|
| ストレッチと筋力強化 | 前腕筋や腱の柔軟性維持と筋力向上による腱耐久性の強化、負荷吸収力の改善 |
| フォームと道具の見直し | 動作姿勢やテクニックの改善と適切な道具選択による肘への負担軽減 |
| サポーターの活用 | 肘周囲の圧迫による負担分散と動作時の安定性向上、再発防止への補助 |
| 適度な休息 | 継続的負荷の回避と回復時間確保による腱修復促進 |
テニス肘の予防では、腱への負担を軽減し、前腕の筋力と柔軟性を保つことが重要です。発症してから治療するよりも、日常生活やスポーツの中で予防を実践する方が効果的です。
とくに、過去にテニス肘を経験した方や、肘に負担のかかる動作を繰り返す方は、積極的な予防が再発防止につながります。日々の小さな工夫や習慣の積み重ねが、肘の健康維持に役立ちます。
ストレッチと筋力強化
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ストレッチが有効な理由 | 前腕伸筋群を柔軟に保ち腱への負担を減らし、血流改善で修復を促進し炎症の長期化を防ぐ。柔軟性向上により動きが滑らかになり、余分な力みを軽減する |
| 筋力強化が有効な理由 | 前腕・肩・体幹の筋力を整えて衝撃を分散し、疲れにくい身体にすることで腱の使い過ぎを防ぐ。筋力が十分になることで安定したフォームを維持し、肘を守る |
ストレッチと筋力強化は、テニス肘を防ぐための基本です。前腕の筋肉を柔軟で強く保つことで、腱への負担が分散され、発症のリスクを減らせます。
ストレッチは、手首を反らす伸筋と曲げる屈筋の両方を対象に、無理のない範囲で行うことが大切です。運動前後だけでなく日常的に続けることで、肘への負担を軽減し、予防効果を高めることができます。
フォームと道具の見直し
フォームと道具の見直しは、テニス肘予防において欠かせません。誤ったフォームでスイングを続けると、肘の筋肉や腱に過剰な負担がかかり、炎症や損傷の原因となります。正しいフォームを身につけることで、肘にかかるストレスを減らし、症状や再発の予防につながります。
また、グリップのサイズやラケットの硬さが合っていない場合も、手首や肘に負担を与えやすいため、適切な道具選びが欠かせません。さらに、肩や体幹を含めた全身の動作バランスを整えることで、力を分散させ、肘への負荷を根本的に軽減できます。フォーム改善は予防だけでなく、症状の悪化防止にも有効です。
サポーターの活用
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| サポーターの役割と効果 | 肘の関節や筋肉・腱を物理的にサポートし、過度な負担や衝撃を軽減。前腕の筋肉や腱へのストレスを分散させ、炎症部位の症状や負担を和らげる |
| 怪我の予防と再発防止 | スポーツや日常生活で肘を頻繁に使う際、関節を安定化し筋肉や腱への負担を軽減。一度発症した方の怪我や症状の再発防止に有効 |
| 症状軽減と患部保護 | 肘の曲げ伸ばしや物を持つ動作での症状がある場合、患部の動きを制限し炎症の悪化や症状の増強を防ぐ効果。適度な圧迫・安定化による症状の緩和 |
| 正しい装着方法 | 肘の骨の出っ張りよりも手首側の筋肉部分に巻くことで筋肉の負担を軽減。適切な位置への装着が効果を最大化 |
| 他の治療法との併用 | リハビリや薬物療法と組み合わせることで、症状のコントロールや機能回復を補助。医師の指示に従った使用の重要性 |
| 注意点 | あくまで補助的手段であり、装着だけでは根本的な治療にならない点。長時間連続使用による血流低下や筋力低下のリスク。正しい位置・締め付け具合での使用の必要性 |
サポーターは、テニス肘の予防と症状の軽減に有効な補助具です。前腕に巻くエルボーバンドは、肘の少し下に装着して腱への張力を分散し、スポーツや日常動作時の負担を軽減します。手首用サポーターも有効で、手首の過度な動きを抑えて前腕の筋肉への負担を減らします。
ただし、常時使用は筋力低下を招く恐れがあるため、必要な時のみ装着します。ストレッチや筋力強化、フォーム改善と併用することが効果的です。
適度な休息
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 損傷部位の回復を促す | 腱の微小断裂が繰り返し起こることで悪化する状態。適度な休息により腱や周囲組織の修復時間を確保し、炎症や違和感の慢性化を防ぐ効果 |
| オーバーユース(使いすぎ)を防ぐ | 長時間の作業や練習を休みなく続けることで、腱の損傷が回復する前にさらに負荷がかかる状態。負荷→回復→強化のサイクルを守るための適切な休息の必要性 |
| 症状の悪化を防ぐ | 違和感やこわばりを無視して使い続けることで、軽度の炎症が慢性の腱変性に移行する可能性。症状が軽いうちに休むことでの早期回復と長期的な治療の回避 |
| 精神的リフレッシュの効果 | 症状がある状態で無理をすることへの不安の軽減。適度な休息による心身のリセットと回復意欲の向上 |
| 注意点 | 休みすぎによる筋力低下のリスク。完全な安静ではなく症状が出ない範囲での軽いストレッチや運動の組み合わせの推奨 |
適度な休息は、腱の修復と健康維持に欠かせません。繰り返し動作で負担が蓄積すると、腱の回復が追いつかなくなります。作業や運動の合間に休息を取り、筋肉の疲労をためないことが大切です。
痛みや違和感を感じたら早めに動作を中止し、負荷を減らすことで悪化を防げます。身体のサインに気づき、無理をせず休むことが、テニス肘の予防と長期的な健康維持につながります。
改善しないテニス肘は医療機関を受診しよう
テニス肘はテニスをしていない人にも起こりうる疾患です。放置すると悪化し最悪の場合、手術が必要になることもあります。セルフケアや保存的な対応を続けても症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。
テニス肘の治療についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、テニス肘に対して、損傷部位へのアプローチが期待できる再生医療を治療法のひとつとして提供しています。患者様の症状や状態に応じて適切な方法を提案いたします。
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テニス肘に関するよくある質問
テニス肘を放置するとどうなりますか?
テニス肘を放置すると、炎症や腱の損傷が慢性化し症状が強くなります。日常生活の基本動作(物を持つ、ドアノブを回すなど)が困難になり、握力低下や肘の可動域制限も生じることがあります。
進行すると腱が断裂するおそれがあり、手術が必要になる場合もあるため、早期の治療と適切な対処が重要です。
テニス肘と似た症状はありますか?
テニス肘と似た症状は以下が該当します。
| 疾患名 | 特徴・症状 |
| ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎) | 肘の内側に炎症や痛みが生じる疾患 |
| 野球肘 | 投球動作による肘関節の障害(靱帯損傷・骨や軟骨障害を含む) |
| 肘部管症候群 | 肘の内側で尺骨神経が圧迫され、小指側のしびれや握力低下が出現 |
| 橈骨頭障害 | 肘外側の骨(橈骨頭)の損傷による痛みや可動域の制限 |
| 頸椎疾患(頸椎症性神経根症など) | 首の神経圧迫による肘や前腕への放散痛やしびれの出現 |
これらは痛む部位や誘発動作が異なるため、自己判断せず医師の診察を受けることが重要です。
以下の記事では、テニス肘と似た症状について詳しく解説しています。
テニス肘は自分で治せますか?
軽度であっても、自分で治そうとするのはおすすめできません。無理を続けると慢性化や再発の恐れがあるため、整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
テニス肘は治らないというのは本当ですか?
テニス肘は適切な治療と生活習慣の改善により、多くの場合治癒が期待できます。回復期間は通常6〜12週間、長くても半年ほどです。
ただし、放置したり無理を続けたりすると慢性化や再発の原因となります。そのため、医師の指導のもとで治療を進めることが重要です。また、回復後もストレッチや筋力強化を継続することで、再発を防止できます。
参考文献



























