- その他、整形外科疾患
【医師監修】骨粗鬆症とは|症状から治療法まで詳しく解説
「最近、腰が痛くなってきた」「身長が縮んだ気がする」といった変化を感じていませんか。
もしかしたらそれは、骨粗鬆症のサインかもしれません。
骨粗鬆症は、50代以降の女性にとくに多く見られる病気ですが、初期には自覚症状がほとんどありません。
気づいたときには骨がもろくなり、ちょっとした転倒で骨折してしまって発覚するケースも多いのです。
この記事では、骨粗鬆症の基礎知識から、原因、症状、検査方法、治療法、予防法まで解説します。
ご自身の骨の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。
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目次
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨の密度(骨密度)が低下してもろくなり、骨折のリスクが高まる病気です。(文献1)
健康な骨では、古い骨を壊して新しい骨をつくる「骨の新陳代謝(骨代謝)」がくり返されます。骨代謝は骨を吸収する破骨細胞と新しい骨を形成する骨芽細胞のバランスがつり合い、骨の強度が保たれるのです。(文献2)
しかし、閉経による女性ホルモンの減少や加齢による骨形成(新しい骨を作る力)の働きの低下によって骨吸収が骨形成を上回ると、骨の破壊と形成のバランスが崩れてしまいます。この状況が長期間続くと骨密度が徐々に低下し、骨粗鬆症を発症するのです。(文献2)
進行すると、転倒などの軽い衝撃でも骨折しやすくなり、とくに高齢者では寝たきりの原因にもなります。
日本では約1,590万人が骨粗鬆症と推定されており、そのうち約1,180万人が女性です。(文献3)
骨粗鬆症の症状
初期の骨粗鬆症は自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行してしまうのが特徴です。とくに背骨の骨折は気づかないうちに起こることも少なくありません。(文献4)
しかし、骨粗鬆症が進行すると、次のような変化があらわれることがあります。(文献4)
- 立ち上がるときや重いものを持つと、背中や腰が痛む
- 背中や腰が曲がってきた
- 身長が縮んできた
- 軽い衝撃で骨折した
これらの症状が出た時点では、すでに骨が弱くなっている可能性も考えられます。
骨粗鬆症になると転倒や軽い衝撃でも骨折が起きやすくなるため、これらのサインに気づいたら早めの検査・受診を心がけましょう。
骨粗鬆症の原因
骨粗鬆症を発症する原因として、主に以下があげられます。
- カルシウムやビタミンDの不足
- 女性ホルモンの減少
- 加齢による骨をつくる力の弱まり
これらの要因が重なると、骨吸収が骨形成を上回り、骨密度が徐々に低下していきます。
骨粗鬆症を引き起こす主な原因を見ていきましょう。
カルシウム・ビタミンDの不足
骨をつくる主な材料であるカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDが不足すると、骨密度の低下を招きかねません。
カルシウムは骨を強くする以外にも、筋肉や神経の正常なはたらきを支える効果があり、全カルシウムの約1%は血液や細胞などに存在しています。
通常は食事からカルシウムを摂取しますが、摂取量が不足すると、身体は血液中の濃度を一定に保つために骨からカルシウムを溶かし出して利用してしまうのです。(文献2)その結果、骨の中身が減少し、骨密度の低下を引き起こす原因となります。
また、ビタミンDが不足することで腸でのカルシウム吸収が滞り、カルシウム不足になるケースもあります。
腎臓や腸の働きが弱い方や高齢の方は、よりカルシウムが不足しやすい傾向にあるため、十分な注意が必要です。
女性ホルモンの減少
女性ホルモン(エストロゲン)には骨を壊す細胞(破骨細胞)の活性化を抑え、骨を守る働きがあります。(文献1)
しかし閉経を迎えるとエストロゲンの分泌が急激に減り、破骨細胞が活発になります。
その結果、骨の形成が追いつかず、骨密度が急速に低下しやすくなるのです。
とくに閉経前後の50歳前後は、エストロゲンの分泌が急激に低下するため、骨量が減少しやすい時期です。そのため、閉経後数年間はとくに注意が必要です。(文献5)
骨を作る力の弱まり
人の骨は一生を通して作り替えられますが、加齢とともに骨形成が弱まります。(文献6)
また、加齢に伴い活性型ビタミンDが作られにくくなり、腎臓や腸管でのカルシウム吸収が低下することも、骨粗鬆症の要因になると考えられます。
運動不足によって骨への刺激が少なくなることも骨を作る力を低下させるため、運動の機会が減る高齢者ほどリスクは高くなるといえるでしょう。
骨粗鬆症になりやすい人の特徴
骨粗鬆症は、加齢だけでなく遺伝や生活習慣、閉経の影響を受ける複合的な疾患です。とくに以下のような特徴に当てはまる方は、発症リスクが高いといわれています。(文献7)
- 閉経後の女性
- 高齢者(とくに60歳以上)
- 運動不足の人
- カルシウムやビタミンDの摂取が少ない人
- 喫煙・過度な飲酒習慣がある人
- 痩せ型・筋肉量が少ない人
- 家族に骨粗鬆症の人がいる人
- ステロイド薬を長期間使用している人
なお、卵巣摘出や糖尿病、慢性肝障害、ステロイド薬など、ほかの病気や薬が原因で起きる骨粗鬆症は、年齢や性別に関係なく発症します。(文献7)
該当する方は、骨密度測定を早めに受けておくと良いでしょう。
骨粗鬆症で折れやすい部位
骨粗鬆症になると、健康な方では問題ない、少しの刺激でも骨折しやすくなります。骨折が生じやすい部位は、以下のとおりです。(文献8)
- 背骨
- 手首
- 太ももの付け根
なかでも背骨の骨折が起こると、背中や腰が痛くなったあとに背中が丸くなったり身長が縮んだりします。(文献8)
太ももの付け根の骨折は、寝たきりの原因にもなるため注意が必要です。
骨粗鬆症の検査と診断基準
骨粗鬆症の検査は、骨密度測定を中心に、レントゲン撮影や血液・尿検査を組み合わせておこなわれます。
|
検査方法 |
調べる内容 |
特徴・目的 |
|---|---|---|
|
骨密度測定 |
骨に含まれるミネラル成分の量 |
骨の強さを数値化し、骨粗鬆症の診断に活用 |
|
血液・尿検査 |
骨を壊す・作るサイクルの状態 |
骨が壊れやすい・作られにくいなど、代謝の異常を把握 |
|
レントゲン検査 |
骨折・変形・骨密度の低下の有無 |
自覚のない骨折や背骨の変形を早期発見 |
|
身長測定 |
身長の変化 |
背骨の圧迫骨折による身長低下の早期発見 |
骨折の有無や若い人の骨密度と比較してどれだけ低下しているか(YAM)で骨粗鬆症かを判断します。
一般的には、以下の3つのうちいずれかを満たした場合、骨粗鬆症と診断されます。(文献1)
- 脆弱性骨折はないものの、YAMが70%未満
- 太ももや背骨以外の部分に骨量減少による骨折があり、YAMが80%未満
- 太ももの付け根もしくは背骨に骨折がある(骨密度に関わらず診断される)
なお、詳しい検査の方法は、以下の記事をご覧ください。
骨粗鬆症の治療法
骨粗鬆症の治療は、食事療法・運動療法・薬物治療の3つを組み合わせておこないます。治療の目的は骨折の予防と、骨の健康・生活の質(QOL)の維持です。(文献1)
それぞれの治療法について詳しく解説します。
食事療法
食事内容の見直しは、骨粗鬆症の基本的な治療の一つです。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」では、以下の栄養素が治療に重要とされています。(文献1)
- カルシウム
- ビタミンB6、B12、葉酸
- ビタミンC
- ビタミンD
- ビタミンK
- タンパク質
カルシウムはビタミンDと一緒に摂取すると吸収率が上がるため、「しらすトーストと牛乳」「鮭のホイル焼きとヨーグルト」のように、組み合わせてみると良いでしょう。
運動療法
骨粗鬆症に対する運動療法は、骨密度の上昇と骨折リスクの低減に効果的である可能性が示されており、なかでも以下にあげる運動は、閉経後女性や骨粗鬆症の50歳以上の成人で骨密度の上昇が報告されています。(文献1)
- ウォーキング
- 筋力トレーニング
- 太極拳
- 水中運動
運動は骨に適度な負荷をかけることで、骨形成を促進します。骨粗鬆症に対する運動効果については以下の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
薬物治療
骨粗鬆症の治療に用いられる主な薬は、以下のとおりです。(文献1)
|
治療薬 |
主な成分名 |
主な特徴 |
|---|---|---|
|
カルシウム薬 |
L-アスパラギン酸カルシウム リン酸水素カルシウム |
カルシウムを補充する |
|
女性ホルモン薬 |
エストロゲン |
閉経後骨粗鬆症に対応する |
|
活性型ビタミンD3薬 |
アルファカルシドール カルシトリオール エルデカルシトール |
他剤との併用で骨密度上昇の報告がある |
|
ビタミンK2 |
メナテトレノン |
とくに腰の骨粗鬆症に効果を示す可能性がある |
|
ビスホスホネート薬 |
エチドロネート アレンドロネート リセドロネート ミノドロン酸 イバンドロネート ゾレドロン酸 |
破骨細胞の活性を抑制し骨吸収を抑制する |
|
SERM(選択的エストロゲン受容体修飾薬) |
ラロキシフェン バゼドキシフェン |
閉経後骨粗鬆症の女性を主な対象とし、バゼドキシフェンは骨格系および脂質代謝に対して選択的にエストロゲン作用を示す |
|
カルシトニン薬 |
エルカトニン |
破骨細胞に直接作用して骨吸収を抑制する |
|
副甲状腺ホルモン薬 |
テリパラチド アバロパラチド |
骨形成促進薬で、骨粗鬆症による骨折リスクが高い患者に使用される |
|
抗RANKL抗体薬 |
デノスマブ |
RANKLを阻害し破骨細胞の働きを抑制する |
|
抗スクレロスチン抗体薬 |
ロモソズマブ |
骨形成促進と骨吸収抑制の二重の作用がある |
どの薬をどのように使うかは、年齢や性別、骨折歴、骨密度などによって、医師が判断します。治療は長期にわたるため、自己判断で中止せず医師と相談しながら続けることが大切です。
骨粗鬆症の予防法
骨粗鬆症の治療法で紹介した食事や運動は、予防にも効果的です。加えて、以下のような生活習慣にも予防効果の向上が期待できます。
- 日光を浴びる習慣を身につける
- カルシウムやビタミンDを意識したバランスの良い食事を摂る
- 毎日適度な運動を続ける
- 喫煙・過度な飲酒を避ける
こうした工夫を続けながら、定期的に骨密度測定を受けて骨の状態を知り、骨量の減少を最小限におさえましょう。
骨粗鬆症かもと感じたら整形外科を受診
「腰や背中が痛い」「身長が縮んだ気がする」「転びやすくなった」などの変化があれば、早めに整形外科を受診しましょう。
骨密度測定で現状を把握し、必要に応じて治療を受けることで、骨折や寝たきりのリスクを大きく減らせます。
すでに骨折を経験している方や、薬物治療以外の方法を相談したい方には、再生医療という選択肢もあります。ご自身の状態に合った治療法について、専門医に相談してみてはいかがでしょうか。
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骨粗鬆症は早めの気づきと対策が大切
骨粗鬆症は年齢や体質だけでなく、生活習慣にも影響される病気です。しかし、原因を理解し、早めに対策を取れば十分に予防・改善が可能です。
とくに閉経後の女性や高齢の方は、定期的な骨密度測定を受け、食事・運動・必要に応じた薬物療法を組み合わせることで、骨折のリスクを大きく減らせます。
日常の食事や運動を見直しながら、不安があれば専門の医師に相談してみましょう。
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骨粗鬆症に関するよくある質問
骨粗鬆症はサプリメントで良くなりますか?
サプリメントはあくまで食事で不足する栄養分の補助として使うもので、治療薬の代わりにはなりません。
カルシウムやビタミンDの摂取に役立つものの、すでに骨密度が低下している場合はサプリメントだけでは不十分です。
食事での栄養摂取を基本とし、必要に応じて医師が処方する治療薬を服用することが大切です。
骨粗鬆症の検査を受けるタイミングはいつが良いですか?
骨粗鬆症の検査を受けるタイミングは、以下のような時期が適しています。
- 市町村の健診時期
- 40歳を超えたとき
- 関節痛・背が縮んだ感覚など気になる症状があらわれたとき
とくに閉経後の女性は骨量が急速に減少しやすいため、整形外科医の定期的な検診を受けることが推奨されます。
骨粗鬆症で一度骨がもろくなってしまっても骨密度は回復しますか?
食事・運動療法を中心に、内服薬や注射による薬物治療を組み合わせることで、骨密度の上昇や骨折リスクの低減が期待できます。ただし、回復には時間がかかるため、根気よく治療を続けることが重要です。
また、骨密度が改善しても治療を自己中断すると再び低下する恐れがあるため、医師の指示に従って継続しましょう。
参考文献

















