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股関節が痛いときの原因と対処法|病院を受診すべき症状や自宅でできるケアを医師が解説
股関節の痛みは、歩く・立ち上がる・階段を上るといった日常動作に支障をきたし、生活の質を大きく低下させる症状です。
股関節が痛くなる原因は、筋肉の疲労から関節の変形、神経の圧迫までさまざまです。原因によって適切な対処法が異なるため、自己判断だけでは改善が難しいケースもあります。
本記事では、股関節が痛いときに確認すべきポイント、考えられる原因と受診の目安、自宅でできる応急処置とストレッチについて詳しく解説します。痛みを放置すると症状が悪化する可能性があります。まずは原因を整理し、適切な対処につなげていきましょう。
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目次
股関節が痛いときに確認すべき3つのポイント
股関節の痛みを医師に相談する際、痛みの特徴を整理しておくと診察がスムーズに進みます。
以下3つのポイントを確認しておきましょう。
1.痛みの場所を特定する(鼠径部・外側・後ろ側・内側)
股関節の痛みは、痛む場所によって考えられる原因が異なります。
| 痛みの場所 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 鼠径部(足の付け根の前側) | ・変形性股関節症・股関節唇損傷・腸腰筋の炎症 |
| 股関節の外側 | ・中殿筋・小殿筋の炎症・大転子滑液包炎 |
| お尻・後ろ側 | ・坐骨神経痛・梨状筋症候群・腰椎疾患からの関連痛 |
| 太ももの内側 | ・内転筋群の緊張・腱の炎症 |
スポーツによる使い過ぎや急な方向転換で負担がかかりやすい部位です。
「股関節が痛い」と感じていても、実際には腰や臀部の筋肉、神経が原因となっているケースもあります。痛みの場所を具体的に言語化しておくと、診察時に医師へ伝えやすくなります。
2.痛みが出るタイミングを確認する(動作時・安静時・夜間)
痛みが出るタイミングも、原因を推測する重要な手がかりです。
とくに、安静にしていても痛みが続く場合や、夜間に痛みで目が覚める場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
3.痛みの種類を見極める(鋭い痛み・鈍痛・しびれ)
痛みの「質」も、医師が原因を考える上で重要な情報となります。
これらの情報はあくまで原因を考える際の参考です。自己判断で病名を決めつけず、気になる症状がある場合は医療機関を受診しましょう。
股関節が痛いときの主な原因と病院を受診すべき症状
股関節の痛みを引き起こす原因は多岐にわたります。ここでは、代表的な7つの原因と、それぞれの受診すべき症状について解説します。
筋肉の疲労や炎症による痛み
股関節周辺の筋肉(腸腰筋、中殿筋、大腿四頭筋など)に過度な負担がかかると、疲労や炎症によって痛みが生じます。
なお、筋肉疲労による痛みは、安静やストレッチで改善することが多いです。ただし、痛みが長引く場合は他の疾患が隠れている可能性があるため、医療機関を受診しましょう。
腰椎疾患からの関連痛
股関節が痛いと感じていても、実際には腰椎の疾患が原因となっているケースがあります。これを「関連痛」と呼びます。
なお、腰椎疾患が原因の場合、股関節だけを治療しても改善しません。腰部の症状を伴う場合は、整形外科でMRI検査などを受け、適切な診断をしてもらいましょう。
変形性股関節症による痛み
変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)は、股関節の軟骨がすり減り、骨同士が接触することで痛みや動きの制限が生じる疾患です。中高年の女性に多くみられます。(文献1)
変形性股関節症は進行性の疾患です。早期に発見し適切な治療を受けることで、症状の進行を遅らせることが期待できます。
股関節唇損傷・大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)による痛み
大腿骨頭や骨盤の受け皿の骨の形にわずかな出っ張りがあることで、股関節を深く曲げたりひねったりする際に骨同士がぶつかり合う状態を、大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)といいます。この衝突が繰り返されると、関節の縁を覆う関節唇が損傷し、股関節の痛みにつながることがあります。(文献2)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な原因 | 大腿骨頭や寛骨臼の骨の形にみられる過剰な出っ張り(成長期にできるといわれています) |
| 症状の特徴 | 鼠径部の痛み・こわばり・動きの制限。股関節を深く曲げるスポーツ(サッカー、バスケットボールなど)で悪化しやすい |
| 受診すべき症状 | 引っかかるような感覚が続く、股関節の可動域が狭くなってきた |
股関節唇損傷・FAIは保存療法(安静・リハビリ)が第一選択とされていますが、改善しない場合は関節鏡手術が検討されることもあります。気になる症状がある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
関節リウマチによる痛み
関節リウマチは、免疫系の異常により自分自身の関節を攻撃してしまう自己免疫疾患で、進行すると関節の破壊につながる可能性があります。そのため、早期発見・早期治療が重要です。(文献3)
複数の関節に症状がある場合は、早めにリウマチ科や整形外科を受診しましょう。
大腿骨頭壊死症による痛み
大腿骨頭壊死症は、大腿骨頭への血流が途絶え、骨組織が壊死する疾患です。早期であれば保存療法や骨切り術などの治療の選択肢がありますが、進行すると人工関節置換術が必要になることもあるため、早めの受診が重要です。(文献4)
股関節に「突然の強い痛み」がある場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
大腿骨近位部骨折による痛み
骨粗鬆症などで骨がもろくなった状態で転倒するなどして、太ももの付け根(大腿骨頸部や転子部)が折れる状態です。高齢者に多く、多くの場合、股関節の付け根に強い痛みが生じて立つことや歩くことが難しくなります。(文献5、文献6)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な原因 | 骨粗鬆症による骨のもろさ、転倒などの外力 |
| 症状の特徴 | 転倒直後からの強い痛み。立つ・歩くことが困難になる |
| 受診すべき症状 | 転倒後に体重をかけられない、動かせないほどの強い痛み |
寝たきりや筋力低下を防ぐため、早期の手術とリハビリテーションが重視される傾向にあります。(文献5)転倒後に股関節が痛んで動けない場合は、無理に動かさず、早急に医療機関を受診してください。
慢性的な股関節の痛みに対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。再生医療とは、患者様ご自身の血液や細胞が持つ自然治癒力を活かす治療法です。
【こんな方は再生医療をご検討ください】
・股関節の痛みが数ヶ月以上続いている
・保存療法(薬・注射・リハビリ)を続けても改善が乏しい
・手術はできるだけ避けたいと考えている
・手術を受けたが痛みが残っている、または再発した
股関節の痛みで行われる検査方法(レントゲン・MRI・エコーの違い)
整形外科では、問診や診察に加えて画像検査を組み合わせて原因を調べます。レントゲン(単純X線)検査は骨の形や関節の隙間の状態を確認する基本的な検査で、変形性股関節症の進行度を評価する際に用いられます。ただし、軟骨のごく初期の変化を捉えるのはあまり得意ではないとされています。(文献7)
MRI検査は、レントゲンでは分かりにくい軟骨や関節唇、骨の内部の状態を詳しく確認できる検査です。特発性大腿骨頭壊死症の確定診断や(文献4)、FAIに伴う関節唇損傷の評価(文献2)など、初期の変化を捉える場面で重視されています。このほか、超音波(エコー)検査は、関節に水がたまっていないかをその場で確認したり、注射の際に位置を確認したりする目的で使われることがあります。
| 項目 | レントゲン(X線) | MRI | 超音波(エコー) |
|---|---|---|---|
| わかること | 骨の変形や関節の隙間の状態 | 軟骨・関節唇・骨内部の詳しい状態 | 関節に水がたまっていないかなど |
| 得意な場面 | 変形性股関節症の進行度評価 | 大腿骨頭壊死症やFAI・股関節唇損傷などの初期評価 | その場での経過観察、注射時の位置確認 |
自宅でできる股関節痛のセルフチェック(5つの簡易テスト)
以下はあくまで自己チェックの目安であり、診断を確定するものではありません。気になる症状がある場合は、整形外科を受診し、必要な検査を受けることが大切です。
①鼠径部を押してみる:仰向けに寝て、足の付け根を指先で軽く押してみます。奥に痛みや響くような感覚がある場合は、関節内の炎症などが関係していることがあります。
②あぐら・正座をしてみる:股関節の奥が突っ張って深く曲げられない、膝が大きく浮き上がるといった場合は、関節の動きが制限されているサインと考えられます。
③靴下を履く動作を試す:反対側の膝の上に足首を乗せる姿勢がとりにくい、または鼠径部に痛みが強く出る場合は、股関節の可動域が狭くなっている可能性があります。
④片足立ちをしてみる:壁に手を添えて片足で立ったとき、支えている側の股関節が痛む、または骨盤が反対側に傾く場合は、股関節周囲の筋力低下が関係していることがあります。
⑤動き始めの痛みを確認する:朝起きてすぐや、長時間座ったあとの立ち上がりで痛みが強く出るかどうかも、症状の状態を把握する手がかりになります。
急に股関節が痛くなったときの応急処置4ステップ
急な股関節痛に見舞われたとき、適切な初期対応が症状の悪化を防ぎます。具体的には、以下の4ステップで対処しましょう。
ステップ1:患部を安静にして負担を減らす
股関節の痛みがひどい急性期は、基本的に痛みがある動作を避け、股関節への荷重を最小限にしましょう。痛みを我慢して無理に動くと、患部の炎症が悪化する可能性があります。まずは安静を優先しましょう。
ステップ2:痛みの程度に応じて冷却か温熱を選ぶ
痛みの状態によって、冷やすべきか温めるべきかが異なります。なお、冷却時は凍傷に注意し、長時間の使用は避けてください。
ステップ3:市販の鎮痛剤を活用する
痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤(内服薬や湿布)の活用で、一時的に痛みを和らげられます。なお、痛みが一時的に和らいでも、根本的な原因が解決したわけではありません。
ステップ4:痛みが引かない場合は早めに受診
応急処置をしても痛みが改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。鎮痛剤を自己判断で長期間使い続けず、改善しない場合は早めに専門医へ相談することが大切です。
股関節痛を和らげる3つのストレッチ
股関節周辺の筋肉をほぐすストレッチは、痛みの緩和や予防に効果が期待できます。ここでは、自宅で簡単にできる3つのストレッチを紹介します。なお、痛みが強い場合(急性期、炎症が強い時期)は、ストレッチを行わないでください。痛みが落ち着いてから、無理のない範囲で行いましょう。
椅子に座りながら行う股関節ストレッチ
椅子に座ったままできる「股関節の可動域を広げるストレッチ」です。朝・昼・晩と1日3回行うと効果的です。痛みが強い場合は、無理をせずに中止してください。
寝ながら行う股関節ストレッチ
寝た状態で行う、股関節の外側を伸ばすストレッチです。腰への負担が少なく、初心者の方にもおすすめです。痛みがある場合は無理をせず、心地よく伸びる範囲で行ってください。
うつ伏せで行う股関節ストレッチ
「あぐらがかきにくい」「股関節の動きが片方だけぎこちない」と感じる方におすすめのストレッチです。股関節の「内旋(内側にねじる動き)」を改善します。
股関節の改善しない痛みに再生医療という選択肢
股関節の痛みは、ストレッチや保存療法を続けても十分な効果が得られない場合があります。そのようなケースでは、手術以外の選択肢として「再生医療」が検討されることがあります。
再生医療とは、人間が本来持っている自己修復力を活かす治療法です。患者様ご自身の細胞や血液成分を用いるため、拒否反応のリスクが少ないのが特徴です。保存療法では思うように改善せず、かといって手術には抵抗がある方は、再生医療を選択肢の一つとして検討してみてください。
股関節の痛みは⼿術しなくても治療できる時代です。
まとめ|股関節が痛いときは原因の整理と早めの対処が大切
本記事では、股関節が痛いときの原因と対処法について解説しました。股関節の痛みは、筋肉の使いすぎによるものから、関節や神経の異常が関係しているケースまで、原因はさまざまです。痛みの場所や出るタイミング、症状の特徴を整理することで、原因の見極めにつながります。
なお、急な痛みの場合は安静や冷却などの保存療法が基本ですが、数日経っても改善しない場合は早めに医療機関を受診しましょう。
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股関節が痛いに関するよくある質問
股関節が右(左)だけ痛い場合はどうすればいい?
股関節が片側だけ痛む場合は、生活習慣の影響が多いものの、病気が隠れていることもあるため注意が必要です。
原因としては、足を組む、片足に体重をかけて立つといった生活習慣のクセや、筋力の左右差、片側に負担がかかるスポーツや作業などが挙げられます。
一方で、変形性股関節症や大腿骨頭壊死症は、初期段階では片側から症状が出ることもあります。それでも痛みが2週間以上続く場合や悪化する場合は、整形外科を受診し、レントゲンやMRI検査で原因の確認をしましょう。
股関節が痛いときにストレッチはしてもいい?
股関節が痛いときにストレッチをして良いかどうかは、痛みの状態によって異なります。急性期は安静と冷却を優先し、慢性期は痛みの範囲内で軽いストレッチが有効です。判断に迷う場合は、医師や理学療法士に相談してから行いましょう。
子どもが股関節が痛いと言うときはどう対応する?
子どもの股関節痛は、一時的な炎症など安静で自然に改善するケースが多いです。発熱を伴う、歩けない・歩きたがらない、片足を引きずる、痛みが数日経っても改善しないといった症状がある場合は、早めに小児科または整形外科を受診しましょう。
参考文献
(文献1)
「変形性股関節症」|日本整形外科学会
(文献2)
大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)とは | 済生会
(文献3)
関節リウマチ| 日本整形外科学会
(文献4)
特発性大腿骨頭壊死症|難病情報センター
(文献5)
大腿骨頚部骨折|日本整形外科学会
(文献6)
股関節骨折 |MSDマニュアル プロフェッショナル版
(文献7)
変形性関節症 | MSDマニュアル家庭版
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