• 関節リウマチ

【医師監修】アザチオプリンとは|効果が出るまでの期間と副作用・NUDT15遺伝子検査の必要性を解説

アザチオプリン
公開日: 2026.07.31

アザチオプリンを処方されたものの、免疫を抑える薬と聞いて不安を感じている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、現役医師がアザチオプリン(イムラン・アザニン)の効果があらわれるまでの期間や主な副作用、服用前に受けるNUDT15遺伝子検査、避けるべき飲み合わせまでを整理して解説します。

この記事を読めば、ご自身の治療で何に気をつければ良いかが具体的にわかるので、ぜひ最後までご一読ください。

関節リウマチなどにより関節の痛みや変形が長引いている場合には、再生医療という治療の選択肢もあります。

再生医療とは、患者様ご自身の血液や細胞が持つ自然治癒力を活用し、損傷した軟骨や周囲組織の修復を促す治療法です。

【こんな方は再生医療をご検討ください】

  • 関節の痛みやこわばりが長期間続いている
  • 薬物療法だけでは関節の症状が十分に改善しない
  • 手術はできるだけ避けたいと考えている
  • 手術を受けたが、痛みが残っている、あるいは再発してしまった

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アザチオプリン(イムラン・アザニン)とは

アザチオプリンは、1960年代から使われている免疫抑制剤です。過剰に働いてしまった免疫の反応をしずめる目的で、臓器移植後の拒絶反応の抑制から、炎症性腸疾患、自己免疫性肝炎、関節リウマチをはじめとする膠原病まで、幅広い病気に用いられています。(文献2

免疫の細胞が増えるときに必要な材料の合成を妨げることで、免疫の過剰な働きを抑える薬です。長い使用実績があり、副作用の傾向や対処法が詳しく調べられている点が、この薬の大きな特徴といえます。

有効成分と製剤の違い

日本で使われているアザチオプリンの製剤には、「イムラン錠50mg」と「アザニン錠50mg」があります。どちらも1錠あたりアザチオプリンを50mg含む錠剤で、有効成分は同じです。

錠剤には割線(真ん中の溝)が入っているため、半分に割って25mg単位で量を調節できます。

また、アザチオプリンが体内で変化した後の成分である6-メルカプトプリンそのものを含む「ロイケリン散」という粉薬もあります。体重の軽いお子様や、数mg単位での細かい調節が必要な場合に使われることがあります。

項目 イムラン錠50mg アザニン錠50mg ロイケリン散10%
有効成分 アザチオプリン アザチオプリン 6-メルカプトプリン
剤形 フィルムコーティング錠(割線あり) 割線入り素錠 散剤(粉薬)
1単位あたりの含量 1錠中50mg 1錠中50mg 1g中100mg
用量調節のしやすさ 割線あり。ただし半錠使用は医師・薬剤師の判断による 割線あり。半錠使用は医師・薬剤師の判断による 数mg単位の微調整が可能
主な使いどころ 成人の標準的な治療 成人の標準的な治療 小児例や細かい調節が必要な場合

なお、薬価は薬価改定等により変更されることがあります。実際の自己負担額は、処方量、保険の自己負担割合、調剤料などによっても異なるため、処方元の医療機関または調剤薬局にご確認ください。

アザチオプリンが体内で効く仕組み

アザチオプリンは、飲んですぐに効く薬ではありません。体の中に入ってから段階的に姿を変え、最終的に「6-TGN」という物質になってはじめて効果を発揮する「プロドラッグ」と呼ばれるタイプの薬です。

この6-TGNが、免疫の司令塔となるリンパ球の増殖を抑えることで、過剰な免疫反応をしずめます。

知っておくべきは、薬の効果も副作用も、同じ6-TGNから生まれている点です。

6-TGNが増えすぎると、免疫細胞だけでなく血液をつくる骨髄の細胞まで抑えられてしまいます。そのため、体質に合わせて量を調整したり、飲み合わせに注意したりすることが、治療を続ける上で欠かせません。

効果があらわれるまで1〜3カ月かかる理由

アザチオプリンは、飲みはじめてすぐに効果を実感できる薬ではありません。

効果があらわれるまでには、一般的に1〜3カ月、病気によっては3〜4カ月ほどかかります。文献1

細胞の中に薬の成分が十分に行きわたり、炎症がしずまるまでに時間がかかるためです。

そのため、急に悪化した炎症をすぐに抑えたい場面では、アザチオプリンだけで治療することはありません。

まず効果の早いステロイド薬(プレドニゾロンなど)で強い炎症を抑え、同時にアザチオプリンを飲みはじめます。効果が出てきたタイミングで、ステロイドを少しずつ減らしていきます。

飲みはじめて1カ月ほどで「効いている気がしない」と感じても、自己判断で中止しないでください。効果が出るまでに時間がかかることは、この薬の性質そのものです。

アザチオプリンが処方される主な疾患

アザチオプリンは、承認されている効能・効果の範囲が広い薬です。添付文書では、次のような場合に用いることが認められています。(文献2

  • 臓器移植における拒絶反応の抑制
  • ステロイド依存性のクローン病・潰瘍性大腸炎の寛解
  • 治療抵抗性のリウマチ性疾患
  • 自己免疫性肝炎

それぞれの疾患について、詳しく見ていきましょう。

クローン病・潰瘍性大腸炎(炎症性腸疾患)

潰瘍性大腸炎やクローン病では、ステロイドが効きにくい場合や、ステロイドを減らすと症状がぶり返してしまう場合に、症状が落ち着いた状態を保つ目的でアザチオプリンが用いられます。

ステロイドのように急な炎症を抑える薬ではなく、落ち着いた状態を長く保つための薬という位置づけです。

以下の記事では、クローン病と潰瘍性大腸炎について詳しく解説しています。

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自己免疫性肝炎

自己免疫性肝炎は、本来は外敵を攻撃するはずのリンパ球が、誤って自分の肝細胞を攻撃してしまう病気です。

治療はステロイドが基本ですが、ステロイドだけでは症状が十分に改善しない場合や、ステロイドを減らせない事情がある場合に、アザチオプリンを併用することもあります。

アザチオプリンを併用することで、ステロイドの量を抑えながら病状を安定させやすくなります。

以下の記事では、肝臓の病気について詳しく解説しています。

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関節リウマチをはじめとする膠原病

関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎などの膠原病でも、アザチオプリンが使われることがあります。

ステロイドだけでは十分な改善が得られない場合や、症状が落ち着いた状態を保ちながらステロイドを減らしたい場合に選ばれます。膠原病の種類にかかわらず、同じような目的で使われている薬です。

以下の記事では、関節リウマチについて詳しく解説しています。

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服用前に必ず受ける「NUDT15遺伝子検査」とは

アザチオプリンを使う上で、日本では欠かせない検査があります。それがNUDT15遺伝子多型検査です。

現在は保険が適用されており、服用を始める前に調べることが標準的な手順になっています。

日本人に遺伝子検査が必要な理由

アザチオプリンの効果も副作用も、体内でつくられる6-TGNという物質によって生まれます。NUDT15という酵素は、この6-TGNが増えすぎないようブレーキ役を果たしています。

しかし、NUDT15遺伝子に特定の変化がある方は、このブレーキがうまく効きません。その結果、通常の量を飲んでいるだけでも、飲みはじめて数週間のうちに白血球が急激に減ったり、髪や体毛が急速に抜けたりすることがあります。

こうした重い副作用は誰にでも起こるわけではなく、特定の遺伝子型の方に集中して起こります。

遺伝子型ごとの投与方針

検査でわかる遺伝子型は、大きく3つに分かれます。日本人のうち、注意が必要な遺伝子型を持つ方はおよそ5人に1人とされています。文献2

項目 ホモ野生型(Arg/Arg) ヘテロ接合体(Arg/Cys、Cys/His) ホモ接合体(Cys/Cys)
日本人での頻度 80%程度 Arg/Cys:約18~20%、Arg/Hisはまれ Cys/Cys:約1%、Cys/His:0.05%未満
想定されるリスク NUDT15に関連する早期重度毒性は標準的 白血球減少、好中球減少、骨髄抑制のリスクが上昇 重い骨髄抑制・高度な脱毛のリスクが高い
投与の考え方 疾患ごとの通常開始量から開始し、定期的に血液検査 少ない量から開始し、検査値をみながら慎重に調節する 非悪性疾患ではチオプリン以外の薬剤を検討。悪性疾患では専門的な治療計画に基づき大幅に減量

文献2)(文献3

ヘテロ接合体の方は「飲めない」わけではありません。少ない量から始めて血液検査で確認しながら調節すれば、治療を続けられる場合が多くあります。

アザチオプリンの副作用と安全に飲み続けるための対策

アザチオプリンには、免疫や血液、肝臓に影響する副作用が起こることがあります。それでも、どのような初期症状に注意すれば良いかを知っておけば、多くは早い段階で気づいて対応できます。

ここでは、とくに注意しておきたい副作用について詳しく見ていきましょう。

骨髄抑制(白血球減少・貧血・血小板減少)の初期症状

もっとも注意が必要なのが、血液をつくる骨髄の働きが抑えられることによる血球の減少です。添付文書では、白血球数3000/mm³以下の患者にはアザチオプリンを投与しないこととされています。文献2

自分で気づけるサインには、次のようなものがあります。

  • 発熱が続く、のどの痛みや風邪症状が治らない
  • 階段で息切れする、立ちくらみ、強い倦怠感、顔色が悪いと言われる
  • ぶつけた覚えのないあざができる
  • 歯ぐきからの出血や鼻血が止まりにくい

これらは白血球の減少や貧血、血小板の減少のサインの可能性があります。

とくに38度以上の発熱がみられた場合は、自己判断で様子を見ずに早めに主治医へ連絡してください。

肝機能障害と感染症・B型肝炎ウイルスの再活性化

アザチオプリンを服用すると、肝臓の数値(AST・ALT)が上がる肝機能障害があらわれることがあります。(文献1

多くは休薬や減量で回復に向かうため、定期的な血液検査で早期に気づくことが大切です。

また、免疫を抑える薬である以上、感染症にもかかりやすくなります。とくに注意したいのがB型肝炎ウイルス(HBV)の再活性化です。そのため治療開始前にHBVの検査を行い、必要に応じて開始後も定期的に確認します。

そのほか、帯状疱疹やカビによる感染症にも注意が必要です。手洗い・うがい、人混みでのマスク着用、生ものを避けるといった基本的な対策が役立ちます。

長期服用と悪性腫瘍のリスク・紫外線対策

免疫を抑える薬を長く使うと、がん細胞などを排除する力も弱まるため、リンパ腫や皮膚がんのリスクがやや高まります。文献1)(文献5

とくに皮膚がんは、アザチオプリンの代謝物が紫外線(UVA)と反応して細胞を傷つけやすくすることが原因のひとつとされています。そのため、以下の紫外線対策が予防に直結します。

  • UVA対応の日焼け止めを季節を問わず使う
  • 屋外では帽子・長袖・UVカット衣類を活用する
  • 日差しの強い時間帯の長時間の屋外活動は控える
  • 日焼けサロンなど意図的にUVAを浴びる行為は避ける
  • ほくろの変化や治りにくい傷に気づいたら皮膚科を受診する

UVAは曇りの日や窓ガラス越しでも届くため、「晴れた日だけ」ではなく日常的な習慣にすることがポイントです。

定期検査でアザチオプリンの効果と安全性を確認

アザチオプリンを安全に飲み続けるためには、定期的な血液検査が大切です。飲みはじめの1〜2カ月は1〜2週間ごとに血算(血球の数)と肝機能・腎機能を確認し、状態が安定したあとも1〜3カ月ごとに検査を続けます。

このとき参考にされる指標のひとつが、MCV(赤血球の大きさ)です。アザチオプリンがきちんと効いていると赤血球はやや大きくなる傾向があるため、MCVが上がっていれば「薬がしっかり働いている」「指示どおりに飲めている」というサインになります。

【必読】アザチオプリンの併用禁忌と注意が必要な飲み合わせ

アザチオプリンには、命に関わる飲み合わせがあります。注意したい薬やワクチンは以下のとおりです。

分類 代表的な薬剤・製剤 対応
併用禁忌 フェブキソスタット、トピロキソスタット 同時に使用しない。別の薬へ切り替える
併用注意 アロプリノール やむを得ず併用する場合はアザチオプリンを1/3〜1/4に減量
接種禁忌 MR、水痘、おたふくかぜ、BCGなどの生ワクチン 接種しない。不活化ワクチンで対応を検討
併用注意 ワルファリン 凝固能の検査値を確認しながら調節
併用注意 ST合剤(スルファメトキサゾール・トリメトプリム) 血球減少が起こりやすくなるため血液検査を強化

他の医療機関を受診するときや薬局で薬を受け取るときは、必ずアザチオプリンを服用中であることを伝えてください。お薬手帳を1冊にまとめておくと安心です。

ここからは、それぞれの薬やワクチンについて詳しく見ていきましょう。

フェブキソスタット・トピロキソスタットは併用禁忌

尿酸値を下げる薬の「フェブキソスタット」や「トピロキソスタット」は、アザチオプリンとの併用が禁忌とされています。(文献2

これらの薬を一緒に飲むと、アザチオプリンを分解して排出する経路がブロックされ、体内で薬の効きめのもとになる成分が増えすぎてしまいます。その結果、重い骨髄抑制(血液をつくる働きが強く抑えられること)を引き起こす危険があります。

痛風や高尿酸血症の治療が必要になった場合は、別の作用の薬に切り替えることになります。必ず主治医に相談してください。

アロプリノールは大幅な減量が必要

同じく尿酸値を下げる薬であるアロプリノールも、アザチオプリンの分解を妨げる作用があります。

禁忌ではありませんが、やむを得ず併用する場合は、アザチオプリンを通常の1/3〜1/4まで減らす必要があります。文献2

それだけ副作用が出やすくなるため、併用中は血液検査をより慎重に行います。

生ワクチンは接種できない

麻疹・風疹(MR)、水痘、おたふくかぜ、BCGなどの生ワクチンは、接種が禁忌とされています。免疫が抑えられた状態で接種すると、弱めてあるはずの病原体が体の中で増えてしまい、その感染症を発症する危険があるためです。

一方、インフルエンザワクチンなどの不活化ワクチンは接種できます。ただし十分な効果が得られないことがあるため、時期については主治医と相談してください。

妊娠中・授乳中もアザチオプリンは使用できる

アザチオプリンは、治療上の必要性が高いと判断される場合、妊娠中でも使用できます。

かつては妊婦への投与が禁忌とされていましたが、実際に服用していた妊婦さんとお子様を追跡した大規模なデータが蓄積され、先天異常や流産のリスクが薬を飲んでいない場合と比べて高くならないことが示されました。

こうした知見を踏まえ、2018年に添付文書が改訂され、妊婦禁忌は解除されています。(文献2

授乳中も、国立成育医療研究センターが公表する「授乳中に安全に使用できると考えられる薬」の一覧に、免疫抑制薬として掲載されています。(文献4

母乳へ移行する量はごくわずかであることが確認されているためです。

妊娠中・授乳中いずれの場合も、むしろ注意すべきなのは自己判断で薬をやめてしまうことです。

妊娠を希望する場合、妊娠がわかった場合、授乳を続けたい場合は、その希望を主治医に伝えた上で方針を決めてください。

アザチオプリンは効果と安全性のバランスを考えながら使用する薬

アザチオプリン(イムラン・アザニン)は、服用を始めても効果があらわれるまでに1〜3カ月ほどかかります。ステロイドを減らしながら病状の安定を保つ「寛解維持」が主な役割で、すぐに実感できなくても自己判断で中止しないことが大切です。

日本では服用前にNUDT15遺伝子検査を受けるのが標準的な手順で、重い副作用のリスクを事前にある程度見きわめられます。

効果が出るまで時間がかかる薬だからこそ、定期的な血液検査を欠かさず、気になる症状があれば早めに主治医へ相談することが、適切に治療を続けるポイントです。

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アザチオプリンに関するよくある質問

アザチオプリンの作用機序は?

アザチオプリンは、体の中に入ってから段階的に姿を変え、最終的に6-TGNという物質になってはじめて効果を発揮する「プロドラッグ」です。この6-TGNが、免疫の司令塔となるリンパ球の増殖を抑えることで、過剰な免疫反応をしずめます。

なお、薬の効果も副作用も同じ6-TGNから生まれるため、体質(NUDT15遺伝子型)によって6-TGNの増え方には個人差があります。副作用を防ぐためにも、事前に遺伝子検査を行うことが重要です。

参考文献

(文献1)

炎症性腸疾患に対する薬剤|MSDマニュアル プロフェッショナル版

(文献2)

イムラン錠50mg 添付文書|医薬品医療機器総合機構(PMDA)

(文献3)

リウマチ性疾患に対するアザチオプリン使用に関する通知(NUDT15遺伝子多型検査の保険承認を受けて)

(文献4)

授乳中に安全に使用できると考えられる薬|薬効順 – 国立成育医療研究センター

(文献5)

自己免疫疾患|MSDマニュアル家庭版