変形性股関節症にはステロイドを使うの?副作用は大丈夫?
変形性股関節症にはステロイドが使われることがあります。しかし副作用が気になるという人もいるのではないでしょうか。
今回は変形性股関節症の人に対するステロイド治療について説明します。
変形性股関節症にはステロイドを使用した治療が効果的?
変形性股関節症にはステロイドを使った治療が効果的なのでしょうか。ステロイドと聞くと、とにかく副作用が気になる、本当に効果が期待できるのか、本当に使用しなければならないのかなど、多くの不安を感じる人もいるかもしれません。
しかし、ステロイドは痛みの緩和に対して効果を示します。そこで、変形性股関節症におけるステロイドの効果について紹介します。
変形性股関節症におけるステロイドの使用目的とは?
変形性股関節症の保存療法で、ステロイドを使用することがあります。保存療法は変形性股関節症の初期におこなわれる治療法です。
これは手術をしないで痛み止めの使用や、運動療法によって痛みを緩和しながら様子をみる治療法です。そして、痛みの緩和を目的としてステロイドを使用します。
ステロイド剤には抗炎症作用と鎮痛作用がある
ステロイドは、炎症や痛みの原因物質の産生を抑えることで強い抗炎症作用や鎮痛作用を示します。
そのため、変形性股関節症でステロイドを使用すると、痛みの改善効果が期待できるのです。ただし、ステロイドは副作用が起こる可能性があります。
ステロイドの副作用とは
ステロイドの副作用のひとつに、骨が脆くなるというものがあります。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療をおこなうことができない場合もあります。
医師とよく相談して、納得したうえで使用しなければなりません。
変形性股関節症にステロイドを使用するデメリットは?
ステロイド治療で、変形性股関節症の痛みが改善できたとしても、使用することによるデメリットはないのかということが気になりますよね。
そこで、ステロイドを使用することによって考えられるデメリットについて紹介します。
長期間の使用は避けたほうがいい
ステロイドの鎮痛効果は強力なため、変形性股関節症の痛みでつらい人にも高い鎮痛効果が期待できます。
しかし、長期間の使用はおすすめできません。それは、ステロイドには副作用があるためです。
ステロイドを使うと骨が脆くなる可能性がある
長期的なステロイドの注射は、大腿骨骨頭壊死を招く可能性があります。
変形性股関節症の人の股関節はすでに軟骨のすり減りや骨の変形が進んでいるため、より負荷がかかりやすい状態にあります。
そして、長期間のステロイド投与は骨の代謝やホルモンの産生に影響を与え、骨を脆くしてしまうことがあり、長期的にステロイドを使うことで、大腿骨の骨頭と呼ばれる部分が壊死する大腿骨骨頭壊死を招くことがあります。
ステロイドを使うと感染症になりやすくなる
頻度は高くないものの、ステロイドは免疫を抑制するため、長期間の関節内投与により化膿性関節炎になる可能性があります。
もし関節炎になってしまった場合は、抗生物質の内服薬で治療をします。重症化してしまった場合は、関節内の洗浄をおこないます。
長い期間の使用で骨粗しょう症のリスクがある
ステロイドは長期間の使用により、骨の代謝やホルモンの代謝にも影響を与え、骨粗しょう症を引き起こす場合があります。
ステロイドは変形性股関節症を根本的に治すものではない
ステロイド治療は痛みの改善には効果が期待できますが、損傷した股関節を修復する効果はありません。
そのため、痛みの緩和をさせながら様子見をすることはできても、軟骨のすり減りや骨の変形の進行自体を止めるなど、変形性股関節症の根本的な治療をすることはできません。
また、変形性股関節症は進行する病気です。つまり、変形性股関節症の人がステロイド治療をおこなったとしても、最終的には手術を行う必要が出てくる可能性があります。
変形性股関節症のステロイド治療はどのようにおこなうの?
変形性股関節症の人のステロイド治療は内服薬と注射があり、内服薬で効果が感じづらくなってきた場合に関節内にステロイドを注射します。
ステロイドの注射薬を、直接損傷した股関節に注射することにより、ステロイドの強力な抗炎症作用が効果を発揮し、痛みを改善することができます。
しかし、長期的な使用は副作用のリスクがありますし、徐々に変形性股関節症の症状が進行するとステロイド注射の効き目が感じられなくなることもあります。そうなると、外科的治療である手術が検討されます。
まとめ
変形性股関節症の治療で使用されるステロイドについて紹介しました。ステロイドには強い抗炎症作用と鎮痛作用があり、内服薬や関節内に直接注入することで、痛みの緩和が期待できます。
しかし、ステロイドには骨を脆くするなどの副作用があり、長期的なステロイド治療はおすすめできません。また根本的な変形性股関節症の治療に効果を発揮するわけではありませんので、ステロイドの特性を知った上での服用が重要となります。
No.0008
監修:院長 坂本貞範
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