トピックスtopics
  • HOME
  • トピックス
  • 股関節の人工関節|高齢者が知っておきたい手術のリスク

股関節の人工関節|高齢者が知っておきたい手術のリスク

股関節の人工関節|手術前に高齢者が知っておくべきリスクを解説!

股関節の痛み等の症状は、進行すればするほど、従来の治療法である保存療法をおこなっても奏功しなくなります。高齢者が股関節の痛みを改善するために股関節を人工股関節へ置換える手術は、年齢的な面で大きなリスクを伴うことをご存知でしょうか。

そこで今回は、「高齢者の股関節の痛みや、股関節異常に対する最終的な治療は人工関節置換術しかないのか?」という点から、解説させていただきます。

高齢者に限らず手術には多かれ少なかれリスクは存在します。人工関節の手術にも大きなリスクがあります。

ただし、リスクがあるからと、股関節の痛みを放置し、歩行などの不自由にも目をつぶり、手術を選択しないのは、生活の支障をきたすばかりか、症状の更なる進行という更なるリスク!恐れがあります。

ついては、何らかの治療をしなければなりません。

ではリスクのある手術そのものを避ける方法はあるのでしょうか?

結論から申し上げると進行の度合いによると、前置きをした上で、人工股関節を避ける治療方法は存在します。

それが最近、TVなどでも注目を集め始めた「再生医療」というものです。この治療法が適合するなら人工股関節の手術を避けられるばかりか、入院すら不要、日帰りでの治療が可能です。

いずれにしても、実際の手術にどのようなリスクが存在するか知っておかねばなりません。

以下で説明してまいりましょう

高齢者のリハビリ

 

高齢者が股関節を人工股関節にする手術のリスク

股関節の手術は、「人工股関節置換術」や「骨切り術」などがありますが、いずれの手術であっても高齢者の場合はリスクを考慮しなければなりません。

  • 股関節の手術
  • ・骨切術
  • ・人工股関節置換術

これら手術における高齢者のリスク

高齢者の手術におけるリスクについて、「人工股関節手術」だけに限ってリスクが発生するわけではありません。まずは、どのような手術をおこなう場合であっても、高齢者の場合は、リスクが高くなります。

その理由としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 高齢者の手術のリスク

  • ・合併症を起こす危険性
  • ・加齢により抵抗力が低下しているため罹患しやすい
  • ・手術によって身体のバランスが崩れてしまう
  • ・手術後リハビリを重ねても年齢的に修復が難しい可能性
  • ・上記含め、手術に関わる条件の個人差が大きい

問題は、基礎疾患と合併症

一般的に病気というものは年齢が高くなるほど発症リスクが高くなります。高齢者は様々な基礎疾患を有しているケースが見受けられます。

例えば「糖尿病」などの免疫力に関係する疾患を有している場合は、手術によって感染症を発症するリスクを考慮しなければなりません。また、股関節の手術において、その準備段階、検査結果で疾患が見つかるというケースも珍しくありません。

医療技術が進歩したことで年齢によらず手術を実施できるケースが増えてきはしましたが、それでも合併症の存在は、今だに無視できないのが事実です。

そのため、一般的に手術前には詳しい検査をおこなって手術をしても問題がないと判断されない限り手術が選択されることはありません。

ただ安全性を優先する一方で「手術したくても、受けられないケースもある」ことも念頭に置く必要があります。

人工関節置換術の合併症

  • 感染

  • 人工関節置換術の最大の合併症は「感染」です。発症率は0.5〜3.0%とされ、高齢者は10%とも言われます。原因は手術中に細菌が侵入する場合や、手術後に虫歯や皮膚の傷などからも感染する可能性があり、糖尿病や関節リウマチの治療をしている方、ステロイド治療を受けている方は感染リスクが高くなります
  • 血栓症・肺塞栓症

  • 手術中、手術後に深部静脈血栓症として、血栓が発生し、脚のむくみや、痛みを引き起こすことがあります。血栓が肺に移動すると肺塞栓症になり、突然死のリスクが発生します。発症率は0.2%以下とされています注意が必要です
  • 脱臼・骨折

  • 脱臼は人工股関節置換術の術後、転倒や無理な姿勢で発生します。骨折は術後の転倒で発生し、高齢者、骨粗しょう症の女性はリスクが高くなります。
  • 人工関節のゆるみ

  • 人工関節には寿命があります。骨と人工関節の接着面にゆるみが生じて痛みや歩行障害が発生します。
  • 過度な体重増加、重たい荷物を持つ、激しいスポーツなどが主な原因となります。
  •  
  • このように、人工関節置換術にはさまざまな合併症があるため、実施に当たっては事前に、しっかり説明を受け、納得して臨まれるようご注意ください
 
人工関節は、その名の通り、人工の造作物であるため、一旦感染が生じると細菌が人工関節にバイオフィルム(細菌が幕を作る)を形成し、抗生物質が効きにくくなる問題があります。このバイオフィルム内で細菌が増殖するため、感染が治りにくくなります。

感染が起き、重症の場合、再手術にて人工関節を除去する必要があります。感染は、手術後の早期に起こるものと、手術後、ある程度経過してから起こるものがありますが、手術後の1~2週間以内に起こる可能性があります。

人工関節の最たるリスクが「脱臼」です。股関節に限りませんが人工股関節の手術後は、脱臼が起こりやすくなっています。

手術後の日数や、経過に伴って徐々に脱臼は起こりにくくなるものの、高齢者の場合は若年層の手術と比較して脱臼リスクが長く続くと考えられています。

高齢者は、老化に伴って股関節を支える筋肉が衰えるため、次第に腰が曲がって姿勢が変わることがあります。こうなると股関節の動きも従来と変わることになります。その結果として、脱臼リスクの高い姿勢になりやすくなります。

そのため、手術後のリハビリについても若年層に比べて慎重におこなう必要があります。

高齢者が人工股関節を回避するための再生医療という選択肢

股関節を人工股関節に置換える手術にはリスクがあり、特に高齢者の場合は、リスクが高くなることをご説明してまいりました。決して脅しではなく、最悪の場合は、手術によって体調を大きく崩す可能性もあります。

その際には命に関わる可能性もあります。

では、高齢者の股関節治療には、リスクが高い「人工股関節を入れる手術」しか方法はないのでしょうか?

従来、選択肢は「保存療法」「手術」の2つしかなかった

股関節の痛みや、異常など関節疾患の多くは「保存療法」か、「人口関節置換術」の二択での治療を選択するケースがほとんどです。

つまり、「手術を受けない」「手術はしたくない!」とした場合、保存療法を継続することになります。保存療法とは、痛みなどの症状を薬物などで抑え、運動療法などリハビリで機能の維持と、症状の進行を防止するものです。

通院や、運動療法を実施するという手間はありますが、手術ほど体へのリスクを考慮する必要はありません。特に変形性股関節症などの初期症状において保存療法は有効で、この治療法を選択することもあります。

それならリスクを避けて保存療法で薬や、リハビリを続けていれば良いのか?・・・というと、そうでもないのです。

問題なのは、この場合、保存療法が病気の根本的な治療法にならない。完全に進行を止めることができないということです。保存療法はあくまでも「痛みなど症状の緩和」と「症状の進行を防止する」というものです。

進行を遅らせる目的で行われるだけで、残念ですが病気は徐々に「進行」します。保存療法は、病気が進行するれば、するほど効果を発揮しなくなる可能性が高いということです。

そのため、従来は保存療法が効かなくなったら、避けたくても結果的に手術を受け入れざるを得ない!ということになります。つまり、保存療法を続けていても → いつかは手術になる。という流れ、治療方針がとられていました。

第三の選択肢である「再生医療」

本記事の冒頭にも記しましたが再生医療は、これまで再生することが不可能だと思われてきた軟骨に対して、自分の幹細胞を使うことで再生させることが可能になった治療方法です。

幹細胞は、様々な細胞に分かれる、つまりは変身する能力を持っているため、弱った軟骨に変化し、軟骨を再生させる可能性に満ちた治療法です。

方法的にも体への負担が少なく、自らの脂肪をほんの少し採取して、その脂肪から幹細胞を抽出、培養。この幹細胞を数万から、1億以上に増やして患部に注射で投入するだけ。

人工関節置換術といった手術や、長期の入院、長期のリハビリも不要です。そればかりか日帰りで済む治療法です。

つまり、高齢者にとって一考される価値のある方法です。

▼股関節の手術を避ける治療例(患者様の声)
https://fuelcells.org/channel/cate_channel/channel-hipjoint/

まとめ・股関節の人工関節手術|高齢者が手術前に知っておくべきリスクとは?

変形性股関節症など股関節の病気は、年齢を問わず初期であれば保存療法が有効ですが、症状自体を止めることはできません。症状が進行すると、人工股関節を自身の関節と置換える手術を検討しなくてはなりません。

しかし、人工股関節置換術などの手術は、合併症などの問題からリスクの発生を避けて通ることはできません。

ところが、昨今の医療技術の進歩により、従来は手術が難しかったケースでも手術を選択できるようになったり、手術を回避し、切らずに治療する再生医療という分野が大きく進歩してまいりました。

いずれにしてもご自身のお体ですので改善に向けて担当の医師とご年齢や、そのリスクなど納得いくまでよくご相談していただき、より良い治療方針を模索しましょう。

 

No.0006

監修:院長 坂本貞範

 

 

▼以下も参考にされませんか
変形性股関節症の手術後の生活で注意したいこと

 

 

カテゴリ

人気記事ランキング

イメージ画像トップ