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- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
大腿骨内顆骨壊死とは、大腿骨の膝に近い「内顆(ないか)」で血流障害が起こり、骨が壊死してしまう病気です。 大腿骨内顆骨壊死について調べると、関連キーワードとして「難病」と出てきます。 勘違いされることが多いですが、大腿骨内顆骨壊死は指定難病ではありません。 本記事では、大腿骨内顆骨壊死がなぜ指定難病だと勘違いされているのか、実際にはどのような病気なのか解説します。 大腿骨内顆骨壊死になったらやってはいけないことや、よくある質問もまとめていますので、ぜひ最後まで読んでみてください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 大腿骨内顆骨壊死や、難病指定の大腿骨頭壊死について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 大腿骨内顆骨壊死は指定難病ではない 大腿骨内顆骨壊死は指定難病ではありません。 病名が類似している「大腿骨頭壊死症」は指定難病なので、混同してしまう方がいます。 大腿骨の骨が壊死してしまうという点では共通していますが、異なる病気であることを理解しておきましょう。 指定難病とは、難病法で定義されている「発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない、希少な疾病で、長期の療養を必要とする」難病の中でも、医療費助成の対象となる疾患を指します。 大腿骨内顆骨壊死と大腿骨頭壊死とのちがい 大腿骨内顆骨壊死と大腿骨頭壊死では、疾患部位や原因などで違いがあります。 それぞれの特徴と違いを表にしてまとめました。 大腿骨内顆骨壊死 大腿骨頭壊死 損傷部位の違い 膝(大腿骨内顆骨) 股関節(大腿骨頭) 難病指定かどうか × 〇(指定難病71) 原因 加齢 骨粗しょう症 ステロイドの長期使用 原因は明らかになっていない (ステロイドの使用、アルコールの過剰摂取などが要因として指摘されている) 年齢層 中高年 とくに60歳以上の女性に多い ステロイド投与をしている20代~30代 30代~50代の中高年 大腿骨内顆骨壊死の症状 大腿骨内顆骨壊死の主な症状は以下の通りです。 立ち上がる際や階段の上り下りをした際に膝が痛む 安静時にも痛みが起こる 関節の可動域が狭まり、腫れや歩行困難が生じる 関節が変形し、場合によっては変形性膝関節症へ進行する 早期発見や軽症の場合は痛みが出る程度ですが、そのまま治療をせず放置してしまうと関節の可動域低下や、歩行困難を引き起こします。 さらに症状が進行し末期になると関節の変形が起こることもあるため、異変に気づいたら早めに医療機関を受診しましょう。 大腿骨内顆骨壊死の治療法 大腿骨内顆骨壊死の主な治療は、「保存療法」「手術療法」「リハビリテーション」に分かれます。 軽症の場合や早期発見の場合、保存療法やリハビリテーションによって様子を見ることが多いです。 保存療法では効果が得られない場合、手術療法が検討されます。 近年では研究が進み、再生医療も治療の選択肢として検討されるようになりました。 それぞれの治療法について解説します。 保存療法 保存療法とは、手術などは行わず、安静にすることで症状の改善を目指す治療です。 膝への負担を軽減するため、以下の治療を行います。 鎮痛剤で痛みを和らげる。 膝サポーターやインソールなどの装具を使用する。 長時間の歩行や過度な運動は避け、安静にする。 ジャンプ動作や正座など、日常生活の中で膝に負担のかかる動作を避ける。 必要に応じて体重管理をする。 過度な運動は病状を悪化させる恐れがありますが、運動をして筋力を高めることも治療としては重要です。 運動量は医師と相談し、症状に合わせて変えましょう。 また、体重の増加は膝への負担を増やしてしまいます。体重管理を行い適正体重を維持してください。 手術療法 保存療法で効果が見られず症状が悪化している場合は、手術療法が検討されます。 大腿骨内顆骨壊死の主な手術方法は3通りです。 手術名 手術の内容 鏡視下滑膜切除術 関節鏡を用いて痛みの原因となる炎症組織を取り除く手術 高位脛骨骨切り術 すねの骨である「脛骨」を切り、膝関節内側の変形を最小限にすることで膝の負担を軽減する手術 人工膝関節置換術 壊死部、もしくは膝関節全体を切除し、人工関節にする手術 鏡視下滑膜切除術は早期発見の場合に行われることが多い手術です。 高位脛骨骨切り術は、関節の外側部分がすり減ってしまっている場合、手術が受けられないことがあります。 また、症状が進行し末期の場合、手術の効果が十分に得られないことがあります。 人工膝関節は耐用年数が15~20年程度のため、患者様のご年齢や生活状況を考慮して受けるかどうか検討することが大切です。 この手術では、壊死した患部の状況によって人工関節を導入する範囲が変わります。 リハビリテーション 保存療法や手術療法で症状が改善した後も、早期の社会復帰にはリハビリテーションが欠かせません。 大腿骨内顆骨壊死のリハビリでは、膝の機能回復と負担軽減を目指し、主に以下のトレーニングをします。 歩行訓練 膝関節の可動域訓練 膝関節周辺の筋力トレーニング 運動量や強度は症状や年齢によって変動するため、必ず医師の判断の元、無理のない範囲で行ってください。 歩けず歩行訓練が難しいという方は、家でテーブルなどにつかまり、その場で足踏み運動をするのがおすすめです。 再生医療 手術が怖い、合併症のリスクが気になるという方には、再生医療という選択肢もあります。 再生医療では、患者様から採取した幹細胞を培養し、患部に投与します。他の細胞に変化する「分化能」という幹細胞の能力を活用する治療法です。 患者様自身の脂肪から採取した幹細胞を使うため、アレルギーや拒絶反応を起こすリスクが低い点が特徴的です。 当院では、再生医療によって大腿骨頭壊死症の治療を行った症例も紹介しています。 詳しい治療の経過や効果について知りたい方は、ぜひあわせて読んでみてください。 大腿骨内顆骨壊死の悪化を防ぐには 大腿骨内顆骨壊死を悪化させないためには、膝への負担軽減が重要です。 体重管理をする。 筋肉をつけ、関節への負担を減らす。 深くしゃがみ込んだり、正座など膝に負担のかかる姿勢をとらない。 骨を丈夫にするビタミンやカルシウムを食事で摂る。 日常生活の中で上記のことを心がけましょう。 また、早期に医療機関を受診することも重要です。 放置すると症状が悪化する恐れがあります。少しでも違和感を感じたら自己判断はせず、専門の医師に相談しましょう。 まとめ|大腿骨内顆骨壊死は難病ではない!大腿骨頭壊死と混同せず適した治療を進めよう 指定難病である「大腿骨頭壊死症」と混同されがちですが、「大腿骨内顆骨壊死」は指定難病ではありません。 大腿骨内顆骨壊死は、症状が進行すると歩行困難や関節の変形を引き起こし生活に支障をきたす可能性がある病気です。 膝の痛み、特に歩行時や階段昇降時の痛みが特徴的な症状です。少しでも違和感があれば、早めに専門医に相談することが大切です。 治療は症状の程度により、保存療法から手術療法、そして再生医療の選択肢があります。 大腿骨内顆骨壊死を治療するうえで「手術を避けたい」とお考えの方は、再生医療をご検討ください。 再生医療について詳しくは、以下のページをご覧ください。 大腿骨内顆骨壊死についてよくある質問 Q:大腿骨内顆骨壊死の手術費用はどのくらいかかりますか? 大腿骨内顆骨壊死の手術費用は、入院期間や手術の種類によって異なります。 人工関節置換術の場合、医療保険適用でおおよそ60万円から80万円とされています。 高額療養制度を利用して自己負担を軽減することもできるため、医療機関で相談してみましょう。 Q:大腿骨内顆骨壊死になったらやってはいけないことはありますか? 大腿骨内顆骨壊死になったら、膝に負担がかかる行為は避けましょう。 下記のような行為は症状を悪化させる恐れがあります。 急に深くしゃがみ込む、ジャンプする 長時間の歩行や過度な運動 大腿骨内顆骨壊死と診断されたら、安静を心がけてください。 必要に応じて膝サポーターやインソールなどの装具を使用しましょう。
2023.08.17 -
- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
歩いていると、股関節に痛みを感じるようになってきた…… そんな人がインターネットで検索すると、「骨頭壊死」という単語を見かけることもあるでしょう。 「骨頭壊死」の文字をみて「骨が壊死したらどうなるの?」「どんな痛み?」と、怖くなっている人もいるかもしれません。 結論、骨頭壊死とは骨の一部が壊死する疾患で、針で刺されたような痛みを感じるのが特徴です。大腿骨や股関節に体重を乗せたときや動かしたときに痛むケースが多くあります。 本記事では骨頭壊死でどのような痛みが出るか、またどんなときに痛みを感じやすいかをまとめました。記事を最後まで読めば、骨頭壊死がどのような痛みなのかがわかり、自分の症状と照らし合わせて病院に行くべきか判断できるでしょう。 【結論】骨頭壊死になると「針で刺された」のような痛みを感じる 結論からいえば、骨頭壊死が起きると鋭い痛みを感じるようになります。これは骨頭にある骨軟骨が壊死し、痛みを感じる神経(痛みの受容体)が刺激されるためです。 この神経は「自由神経終末」と呼ばれる組織で、チクチクと鋭い痛みを発生させることが特徴と言われています。 そもそも骨頭壊死とは、関節を構成する骨頭への血流が途絶えることで、骨の一部が壊死する疾患です。 さまざまな病気や怪我が原因で血流が途絶えるといわれていますが、はっきりと原因がわからないことも多々あります。 原因が不明な骨頭壊死は「特発性骨壊死」と呼ばれていて、大腿骨(太ももの骨)に多い疾患です。 骨頭壊死は体重を乗せたときや関節運動で痛みを感じやすい 骨頭壊死が起きると、体重を乗せたときや関節を動かしたときに痛みを感じるようになります。 たとえば、大腿骨頭壊死の場合、立って体重を乗せたときに、壊死した骨頭に負荷がかかり、股関節に痛みを感じるでしょう。 また、股関節を動かしたとき(とくに内側に捻ったとき)にも大腿骨頭の壊死部に刺激が入るため、痛みを感じる可能性が高いです。 過去におこなわれた大腿骨頭壊死患者へのアンケートでも、「歩行時に痛みでずり足で歩いた」「痛みで足が上がらない」との回答が多く寄せられています。 (参考:羽原美奈子,前沢政次 ほか.特発性大腿骨頭壊死症患者が体験する生活上の困難.社会医学研究.2008,26(1),p.31-40) 骨頭壊死は大腿骨や股関節に起こりやすい 骨頭壊死は上腕骨(腕の骨)や脛骨(すねの骨)にも発症しますが、大腿骨骨頭に多く発生しやすいといわれています。大腿骨頭は体重がかかりやすい上、股関節の中に入り込んで血流が乏しいためです。 骨頭が壊死しただけでは痛みはありませんが、体重がかかることで壊死部がつぶれ、痛みを感じるようになります。 大腿骨頭壊死は骨折や脱臼に伴って起きることが多いため、予防のために転倒しないことが大切です。 また、アルコールもリスクとなるため、予防を考えたい人は生活習慣も見直しましょう。 治療では保存療法で杖の使用やリハビリを検討します。痛みや大腿骨頭の変形が強い場合は、手術も適応です。 なお、大腿骨頭壊死については以下の記事でも詳しく解説しています。気になる人はぜひこちらもチェックしてみてください。 骨頭壊死の初期症状 骨頭壊死の初期症状は壊死部分とその周囲の鋭い痛みです。とくに関節へ体重を乗せたときや関節を動かしたときに痛みを感じます。 たとえば大腿骨頭壊死では、体重をかけたときや足を上げたときの股関節痛が初期症状として多く、腰痛や殿部(お尻付近)・大腿部に痛みが出ることも珍しくありません。症状が進行すると骨の変形に伴う可動域制限や、変形性関節症へと移行していきます。 また、「単純性関節炎」は骨頭壊死と似た症状が出る疾患として有名です。急激に増悪する痛みが特徴ですが、関節の変形は伴いません。そのため、レントゲン画像の撮影で骨頭壊死との鑑別が可能です。 骨頭壊死は早期発見・早期治療が必要な疾患です。少しでも初期症状に当てはまる人は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」のメール相談、もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 大腿骨頭壊死について詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてください。 骨頭壊死の原因 骨頭壊死は、関節の骨折や関節の脱臼に引き続いて起こることがあります。 特発性骨頭壊死の場合は、危険因子として、免疫異常の疾患(膠原病)や臓器移植などによるステロイド投与による副作用、アルコール、喫煙が関連していることがわかってきています。 とくに、ステロイドやアルコールについては国際的に基準が設けられており、ステロイドやアルコールをある程度の量を摂取した方に起こった骨頭壊死では、ステロイドやアルコールとの関連が考えられます。 また、関節の構造的に血流が乏しいと、骨頭壊死に至る可能性が高くなるため要注意です。 骨頭壊死で多い大腿骨頭壊死の場合、大腿骨の骨頭は、股関節内に深くおさまって血管が少ない特徴があります。そのため、何らかの原因で血流障害が起こると、骨に栄養や酸素などが運ばれなくなり、壊死が起こってしまうのです。 まとめ|骨頭壊死では鋭い痛みを感じる!症状が悪化する前に早めの受診がおすすめ 今回は骨頭壊死の痛み方についてまとめました。 骨頭壊死が起きると、体重をかけたときや関節運動時に鋭い痛みが生じます。とくに股関節の大腿骨頭に発症することが多く、初期症状の段階で早期発見・早期治療を進めていくことが重要です。 当院「リペアセルクリニック」では、大腿骨や股関節などの痛みに関する治療として、再生医療を行っています。骨頭壊死の初期症状に当てはまる痛みを感じたら、当院のメール相談、オンラインカウンセリングからご相談いただければ嬉しく思います。 この記事がすこしでも骨頭壊死で悩んでいる人の助けになれば幸いです。 骨頭壊死についてよくある質問 Q. 大腿骨頭壊死では必ず股関節が痛くなるの? A. 必ずしも、股関節が痛くなるわけではありません。 自覚症状としては、比較的急に生じる股関節部痛が特徴的ですが、腰痛、膝痛、殿部痛などで初発する場合もあります。 Q.大腿骨頭壊死では、必ず手術が必要なの? A. 骨頭壊死の病期によっては、手術が必要となる場合もあります。 一方、再生医療で骨頭壊死を治療する試みも始まっています。 当院では、エコーや特殊なレントゲン装置、そして特殊な注射針を使用して股関節内の軟骨損傷している部位を精査して、ダイレクトに幹細胞を注入する再生医療を用いた治療を行っています。また、PRP(多血小板血漿)の併用で、さらなる効果の増強を目指しています。
2023.08.01 -
- 脊椎
- ひざ関節
- 股関節
- 肩関節
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- 手部
- 足部
関節リウマチとは、関節に炎症が起きて痛み、腫れを引き起こす病気です。進行してしまうと関節の変形、機能障害へと悪化してしまうこともあります。 関節リウマチの発症には遺伝要因、環境要因など複数の要因が絡んでいるとされています。 その中でも、喫煙は環境要因として関節リウマチに大きな影響を与えていることが研究の結果明らかになりました。 そこで今回の記事では、関節リウマチと電子タバコ、喫煙の関係について解説します。 関節リウマチに電子タバコは悪影響を及ぼす可能性がある 関節リウマチへ電子タバコが与える影響については、まだ研究成果が多くないため具体的な影響についてはわかっていません。 しかし、アメリカの研究によると、電子タバコの使用は青少年の間で急増しており、呼吸器系に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。 とくに喘息との関連性が確認され、従来の可燃性製品を使用したことがない若者においても、電子タバコ使用と喘息診断の間に有意な関連が見られました。(文献1) また、電子たばこの煙霧中に発がん性物質が含まれる可能性が指摘されています。(文献2) 現時点では科学的証拠は不十分とされていますが、今後の研究によっては関節リウマチの発症や悪化との関連性が明らかになる可能性もあるため、注意が必要です。 喫煙が関節リウマチに良くないとされている理由 喫煙は肺がんや肺疾患、動脈硬化や脳血管障害など多くの健康問題を引き起こすことは広く知られています。 ここではとくに、関節リウマチの方にとって喫煙が与える具体的な悪影響についてご紹介します。 死亡リスクの増加 関節リウマチと診断されている方が喫煙を続けていると、非喫煙者に比べて死亡率が増加することが研究により示されています。 フィンランド社会保険研究所の大規模研究によると、男性の関節リウマチ患者では過去の喫煙によって死亡リスクが2.6倍、現在の喫煙によって3.8倍に上昇することが報告されています。(文献3) また、米国ハーバード医科大学による37万人以上の女性を対象とした追跡調査では、1日25本以上の喫煙をしている女性は、非喫煙者と比較して関節リウマチの発症リスクが1.39倍高くなることが明らかになりました。(文献3) さらに、米国リウマチ学会の発表によると、禁煙した関節リウマチ患者は喫煙を継続した患者と比較して病気の活動性が有意に低下し、寛解率も高くなることが示されています。 このことから、関節リウマチと診断された後の禁煙が病状の改善に有効であると考えられます。 手術の合併症の増加 喫煙は関節リウマチ患者の手術による合併症リスクを高めます。 喫煙者と非喫煙者における膝関節置換術の経過を比較した研究があります。 8,776人の人工膝関節置換術を受けた方を対象とした研究では、そのうち11.6%が現在も喫煙者でした。この研究によると、喫煙者は非喫煙者と比較して、創傷合併症、肺炎、および再手術の発生率が明らかに高いことが示されています。(文献4) このような合併症が起こる理由として、タバコに含まれる一酸化炭素が関係しています。喫煙すると一酸化炭素が赤血球内に取り込まれ、全身の組織に運ばれる酸素が減少します。手術部位の適切な治癒には酸素を十分に含んだ血液が必要であるため、喫煙者では治癒プロセスが滞り、回復に時間がかかるようになると考えられています。 病状の悪化 喫煙は関節リウマチの症状を悪化させることが研究で示されています。 159人の変形性膝関節症の男性を最長30ヶ月間追跡調査した研究では、喫煙者は非喫煙者に比べて膝の痛みが強く、軟骨が著しく失われる可能性が2倍以上高いことが明らかになりました。(文献5) また、311人の初期リウマチ性関節炎の患者を対象とした追跡調査では、1年後のX線写真を調べたところ、喫煙者は非喫煙者よりも関節の状態が明らかに悪化していました。(文献6) つまり、喫煙は他の要因とは関係なく、単独でリウマチの進行を早める原因になっていることがわかりました。 関節リウマチの改善を目指すなら禁煙からはじめよう 関節リウマチの症状改善に向けた第一歩として、禁煙が挙げられます。 アメリカのリウマチ学会の研究では、禁煙に成功したリウマチ患者さんは、喫煙を続けている患者さんと比較して、病気の活動性が明らかに低下することが確認されています。 また、喫煙は歯周病のリスクも高めることが知られており、歯周病は関節リウマチを重症化させる原因の一つとされています。口腔環境の健康を保ち、リウマチの症状を改善するためにも、禁煙に取り組むことはとても重要です。 まとめ|喫煙・電子タバコは関節リウマチの悪化要因となるので禁煙を推奨 関節リウマチと喫煙・電子タバコの関係について解説してきました。様々な研究から、喫煙は関節リウマチの発症リスクを高め、症状を悪化させることが明らかになっています。 電子タバコについてはまだ研究が進行中ですが、アメリカの調査では電子タバコ使用者に関節リウマチのリスク増加が見られています。 喫煙は死亡リスクの上昇、手術後の合併症増加など、リウマチ患者さんの健康に多くの悪影響をもたらします。 関節リウマチの治療効果を高め、合併症を減らすためにも、電子タバコを含むすべての喫煙製品の使用をやめることをおすすめします。 参考文献 (文献1) Roh T, et al. (2023). Association between e-cigarette use and asthma among US adolescents: Youth Risk Behavior Surveillance System 2015–2019. Preventive Medicine, 175, 107695. https://doi.org/10.1016/j.ypmed.2023.107695 (最終アクセス:2024年3月30日) (文献2) 厚生労働省「喫煙と健康」2016年 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000172687.pdf (最終アクセス:2025年3月30日) (文献3) 浜松医科大学「リウマチ・膠原病について」浜松医科大学ホームページ https://www.hama-med.ac.jp/docs/rheumatism/info/index.php (最終アクセス:2025年3月30日) (文献4) Bedard NA, et al. (2018). What Is the Impact of Smoking on Revision Total Knee Arthroplasty? J Arthroplasty, 33(7S), S172-S176. https://doi.org/10.1016/j.arth.2018.03.024 (最終アクセス:2024年3月30日) (文献5) Amin S, et al. (2007). Cigarette smoking and the risk for cartilage loss and knee pain in men with knee osteoarthritis. Ann Rheum Dis, 66(1), 18–22. https://doi.org/10.1136/ard.2006.056697 (最終アクセス:2024年3月30日) (文献6) Saevarsdottir S, et al. (2014). Current smoking status is a strong predictor of radiographic progression in early rheumatoid arthritis: results from the SWEFOT trial. Ann Rheum Dis, 74(8), 1509–1514. https://doi.org/10.1136/annrheumdis-2013-204601 (最終アクセス:2024年3月30日)
2022.08.09 -
- 股関節
- 変形性股関節症
「80代の親が股関節に人工関節を入れる手術を勧められた」 「高齢者が人工股関節手術を受ける場合、なんらかのリスクがあるのではないか?」 「高齢者でも手術を受けられるのだろうか」 このように心配されるご家族も多いことでしょう。 変形性股関節症が進行した場合の選択肢としてあげられるのが、人工股関節置換手術です。しかし、高齢者は若年層の方より、股関節の手術によるリスクが高まる可能性があります。 本記事では高齢者が人工股関節手術を受ける場合のリスクや、手術をするかどうか迷いがある場合の考え方について解説します。 股関節治療における手術以外の新たな選択肢についても解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 高齢者の人工股関節置換術について気になる方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 【変形性股関節症】高齢者に多い人工股関節手術のリスク 高齢者が変形性股関節症のため人工股関節手術を受ける場合、さまざまなリスクが想定されます。この章では、手術前および手術中、手術後のリスクについてそれぞれ紹介します。 人工関節について詳しくは、以下の記事で解説しているので参考にしてください。 手術前および手術中に考えられるリスク 高齢者は、多方面において手術前および手術中のリスクが高い状況です。その1つが、麻酔によるリスクです。日本老年麻酔学会の報告では、高齢者の周手術期における合併症発生率は全年齢と比較して高いことが示されました。主な例は以下のとおりです。(文献1) 心筋梗塞:約5倍 重症不整脈:約10倍 肺塞栓:約7倍 脳血管障害:約40倍 周手術期とは、入院から手術を経て、退院するまでの一連の期間を指します。 高齢者の手術リスクは麻酔だけではありません。高血圧や糖尿病、心疾患などの基礎疾患を持つ方は、手術時の血圧や血糖コントロールが難しくなると言われています。血圧や血糖コントロールが難しい場合、合併症の発症率が高まるため、手術前の身体状況評価がとくに重要です。 糖尿病を有する高齢者は感染症や心筋梗塞、腎不全などの術後合併症リスクが高いとされています。(文献2) また、年齢に伴って血管がもろくなったり免疫機能が低下したりするため、感染リスクや止血が困難になるリスクも想定されます。 手術後に起こりやすい合併症のリスク 高齢者は身体の予備能力が低下しており、合併症を起こした際に重症化しやすいとされています。(文献3)股関節手術後の主な合併症としてあげられるものは、脱臼や感染症、深部静脈血栓症などです。 また高齢者は、術後せん妄を引き起こす可能性が高いとされています。術後せん妄とは、手術をきっかけにして起こる精神障害です。人工股関節置換術は術後せん妄を引き起こしやすい手術の1つとされています。(文献4) 術後せん妄の具体的な症状を以下に示しました。 急激な見当識障害 幻覚 錯乱 妄想 見当識障害とは、今いる場所や今の時間および曜日などがわからなくなる障害です。 人工股関節置換術後の長期的な合併症としては、人工関節のゆるみがあげられます。 【年代別】リスクから見る股関節手術を控えたほうがいい理由 この章では股関節手術を控えた方が良い理由を、高齢者と若年層に分けて解説します。 高齢者に限らず、若年層も手術リスクが存在すると知っておきましょう。 人工関節手術のリスクおよびメリットやデメリットについては、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 80代以上|手術後のリハビリが難航する 一般的に、80代以上の高齢者は股関節症手術を控えたほうが良いと言われます。 その理由の1つとしてあげられるものが、手術後のリハビリです。80代以上の高齢者の場合、体力や筋力などの衰えにより手術後のリハビリが難航する傾向にあります。そのため、若年層の方よりも根気強さや「リハビリを頑張りたい」といった強い意志が必要です。 医療機関でのリハビリが順調に進んでも、退院後の支援体制が整っていない場合、身体機能が再び低下したり寝たきりになったりする可能性もあります。 高齢者の股関節手術後のリハビリは、長期的な視点で考えることが必要です。 高齢者が手術を受ける場合の体力や心肺機能への影響 高齢者の場合、体力や心肺機能の面でリスクが高いことから手術を控えたほうが良い場合もあります。 たとえ本人や家族が手術を希望していたとしても、持病や年齢によって既に心肺機能が低下している場合は、手術が受けられないケースも少なくありません。 股関節の手術は一般的に全身麻酔にて実施するため、心肺機能が低下した状態で受けることは、非常に大きな危険が伴うためです。 90代で手術を受けた症例もあるがリスクが大きい 90代で変形性股関節症の手術を受けた症例もあります。つまり、人工関節の手術自体は高齢が理由で妨げられるものではありません。 ただし、手術後はある程度高度なリハビリが必要となるため、リハビリに耐えられる体力がある方に限られます。 逆にリハビリができない場合は、手術後寝たきりになるリスクもあり、手術を受けた意味がなくなる可能性も少なくありません。そのような状況にならないためにも、手術については医師としっかり相談して進める必要があります。 家族による術前の同意や術後の協力も必要不可欠です。 若年層|比較的リスクは低いが注意点もある 40〜50代で人工股関節手術を選ぶ方は、体力や回復力があるため、手術リスクは比較的低いとされます。 一方で、人工関節には寿命があるため、将来的に再手術が必要になる可能性が高いでしょう。とくに、身体を動かす仕事の方やスポーツを続けたい方にとっては、術後の可動域制限や人工関節の耐久性が懸念材料です。 保存療法で股関節痛が改善せず、日常生活に支障をきたしている場合には、QOL(生活の質)を優先して手術を受ける選択肢もあります。自分自身の生活スタイルや将来の見通しを踏まえて、慎重に判断しましょう。 【高齢者の股関節手術】リスクから判断に迷ったときの対処法 高齢者の股関節手術にはさまざまなリスクが存在します。そのため、手術に関する判断に迷うことも多いでしょう。 この章では、手術への判断に迷ったときの対処法について解説します。 体力や持病および生活環境などから考える 高齢者は高血圧や糖尿病、心疾患といった基礎疾患を有する方が多く、手術リスクが高い状況です。 手術後のリハビリを受けるときも体力が必要になるため、日常的な運動量や栄養状態も広い意味では手術の判断材料になります。 自宅に段差が多い、寝室が2階にある、1人暮らしで家族のサポートが得られにくいなど、生活環境を具体的に考慮する必要もあります。手術やリハビリを終えて退院しても、生活環境が整っていないと日常生活に支障をきたすためです。 家族による支援や各種介護サービス利用の有無など、退院後の支援体制も手術に影響すると知っておきましょう。 医師に質問する 手術に関して迷いや不安がある場合は、遠慮せず医師に質問しましょう。 迷いや不安が解消されると、手術を受ける受けないを含めて納得した結論を出せます。 医師に質問するときは、事前に質問事項を整理しておくと良いでしょう。例としては以下のようなものがあげられます。 手術のメリットおよびデメリット 合併症のリスク 術後の回復見込み リハビリの流れ 医師に直接質問しにくい場合は、看護師や医療ソーシャルワーカーに相談するのも1つの方法です。 セカンドオピニオンを活用する 高齢者が股関節の手術を受ける場合、家族が「本当にこの判断で良いのだろうか」と不安を感じることも少なくありません。そのようなときは、主治医とは別の医師に意見を聞く「セカンドオピニオン」を活用するのも1つの方法です。 セカンドオピニオンを受けると、治療方針や手術リスクについて複数の視点から判断できるため、本人や家族にとって納得できる方法を選びやすいでしょう。 セカンドオピニオンを受けたい場合、まずは主治医や看護師、医療ソーシャルワーカーに相談してみましょう。 高齢者の股関節手術リスクを理解した上で再生医療も検討してみよう 高齢者が股関節の手術を受ける場合、手術前や手術中、手術後にさまざまな合併症が発生するリスクがあります。一般的に股関節の手術は、全身麻酔による大掛かりなものです。そのため、手術を受ける方の年齢や生活環境なども見据えた上で手術を受けるかどうか判断する必要があります。 また、股関節の手術後はリハビリが必要ですが、そのリハビリは年齢が高くなるにつれて難しくなる場合もあります。そのため、股関節痛を手術で改善したいけれど、手術を受けられない方も少なくありません。 そこで紹介したいのが、近年注目されている再生医療です。 再生医療は、人工関節を入れる手術と比べても治療期間が少なく、副作用のリスクも少ない治療です。そして、年齢が高くても治療できる可能性があり、高い治療効果も期待できます。 体力面や心肺機能などで手術に不安がある方や、治療期間を短くしたい方、なるべく体に負担が少ない治療を受けたい方は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。 当院リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。 高齢者の股関節手術や再生医療に関してなど、お気軽にご相談ください。 高齢者の股関節手術とリスクに関するよくある質問 高齢者が人工股関節手術後に歩けるようになるまでどのくらいかかりますか? 個人差はありますが、手術後1~3か月目が安定した歩行を目指す段階とされています。それまでに、寝返りや起き上がりの練習、筋力回復訓練、歩行器や杖を使った歩行訓練などが段階的に行われます。 高齢者の人工股関節置換術後のリハビリについては下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 関連記事:高齢者の人工股関節置換術後のリハビリ内容とは?歩けるようになるまでの流れを解説 人工股関節手術後に「歩けない」と感じる原因は何ですか? 原因として考えられるのは、主に以下のような状況です。 手術の傷から細菌感染が生じて人工関節周囲に炎症が起きている 手術後のリハビリが不足している 充分に回復していない中でのリハビリにより股関節周囲に負担がかかっている 歩けないと感じる場合は、我慢せず医師やリハビリ専門職に相談しましょう。 人工股関節置換術後の痛みがなかなかとれない場合はどうしたらいいですか? 人工股関節手術後、約10%の割合で慢性的な痛みが発生しているとの研究データもあります。(文献5) 痛みがとれない場合の治療法としては、鎮痛剤の処方や適切なリハビリなどがあります。再手術を行うケースもありますが、その場合は回復に時間がかかることを知っておきましょう。 いずれにしても、痛みが続くときは我慢せずに主治医に伝えましょう。 人工股関節置換術後の痛みが取れない状況については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 日本老年麻酔学会|老年医学会雑誌 (文献2) 高齢者に対する外科周術期の問題と対策|日本老年医学会雑誌 (文献3) 手術リスク|健康長寿ネット (文献4) 高齢者における術後せん妄の予防と治療のプラクティカルガイド|公益社団法人日本麻酔科学会 (文献5) 人工関節置換術後疼痛—人工股関節(文献概要)|理学療法ジャーナル
2022.05.12 -
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「MRI検査って結果が出るまでの時間はどのくらいなのか」 「時間がかかるなら予定を組みたいから事前に知っておきたい」 人間ドックでも使用する機会が増えてきたMRI検査ですが、人によっては所要時間以前に検査を受けることが難しい場合があります。 本記事ではMRI検査でできる内容や、注意点について解説します。MRIを用いた検査を予定している人で、本記事で記したMRI検査の注意事項に当てはまる人は、検査の前に担当の医師に申告するための準備ができるので、ぜひ参考にしてください。 MRI検査とは MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)検査とは、強力な磁場を発生させるトンネルのような装置の中で、身体の内部の断面をさまざまな方向から撮影する検査です。 MRI検査は、ベッドに横たわり検査が始まるとベッドが自動で動いてトンネルのような装置の中に入っていきます。磁場が発生するときは工事現場のような大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓をして検査を行う場合もあります。 工事現場の音 80〜85デジベル MRI検査の音 120デシベル程度 MRI検査でわかること MRI検査は、全身の疾患について調べられますが、以下の部位における高い検査能力が特徴的です。 四肢(両手、両足) 関節軟部組織 脊椎 脳 膝 肩 子宮 卵巣 血管 など 骨や、その周辺にある軟骨の状況も精査できるほか、脳を含む頭部や骨盤内の臓器などを検査する際に使われます。 MRI検査とCT検査との違い MRI検査と同じように身体の内部を撮影する検査として「CT検査」があります。MRI検査と同様にトンネルに入って行うもので装置の見た目も似通っているのですが、大きな違いがあります。 それは「CT検査は放射線を使った検査」「MRI検査は磁場と電波を使った検査」の違いです。放射線を使わないMRI検査の方が身体への負担が少ないと考えられます。検査の原理や得意な部位の違いは以下の表でまとめました。 検査原理 得意な部位 MRI検査 磁場と電波 整形外科の主な症状 腱板損傷、腱板断裂、関節損傷、靭帯損傷、半月板損傷、頸椎症、胸椎・腰椎ヘルニア、頸椎ヘルニア、脊髄腫瘍、骨軟部腫瘍、その他 脊髄、関節、脳、骨盤腔内臓器 ※関節軟部組織の描出が得意 CT検査 放射線 骨、脳、肺、腹部 MRI検査の結果が出るまでの所要時間 MRI検査の所要時間は20~45分です。似ている検査方法のCT検査は10~15分なので、比較すると少し長い時間がかかります。身体を動かすと画質が落ちてしまうため、検査中はなるべく身体を動かさないことが重要です。 また、MRI検査の結果が出るまでの期間は、検査当日すぐに出る場合もあれば、7~10日間ほどかかる場合もあります。医療機関によって変わるため事前にご確認ください。 MRI検査当日の所要時間:20〜45分 MRI検査の結果が出るまでの期間:当日または7〜10日 MRI検査の全体的な流れ MRI検査の当日は以下の流れで検査が行われています。 受付しつつ注意事項の確認 問診完了後、検査着にお着替え 検査室に移動しMRI検査の実施 MRI検査終了後、来院時の服にお着替え お会計 MRI検査の結果は郵送でお知らせするケースが大半ですが、必ず担当医に「どのような方法で検査方法が知らされるのか」を確認しておきましょう。 MRI検査の注意点 MRI検査は、強力な磁石と電磁波を使用するので、MRIの検査室内には金属類の持ち込みを一切禁止しています。たとえば金属類が該当し、ファスナーやチャック、金属製のボタンなどが付いた服装では検査できません。 また、女性の方はホック付きのブラジャーも着用できない可能性があるため注意が必要です。その他、バッグはもちろん、携帯電話や腕時計、財布などの貴重品、身に付けているアクセサリーを含めた金属類はすべて取り外してもらうのが必須です。ヘアピンなども忘れがちですので注意してください。 医療機関では、MRI検査で検査着に着替える場合が多いため、なるべく金属が付いておらず着替えやすい服装で来院するとスムーズに検査を受けられます。 金属が付いていなくても発熱系素材の下着なども注意が必要です。 インプラントも素材によっては難しい場合があるので、入れ歯も外してもらう必要があります。 身につけてはいけないものや注意が必要なもの一覧 MRI検査当日は、以下の服装やアクセサリー類などを身につけて来院される場合は注意が必要です。 MRI検査時に注意が必要なもの一覧 身に着けてはいけないもの、注意が必要なもの ファスナー、金属ボタンのついた衣類 メイク、マニキュア(アイシャドウ、マスカラ、ネイルアートに注意) 入れ歯、(インプラントは事前相談が必要です) 腕時計、メガネ、へアピンなどのアクセサリー類 コンタクトレンズ(事前相談が必要です) コルセット系の下着、ホックが付いた下着・衣類 金属のついている服や下着 発熱保温機能付の衣料(ヒートテック等) など 体内にペースメーカーなどを埋め込んでいる人 MRI検査は、強力な磁石や電波を使うため、火傷などの事故が起こらないよう十分に気を付けなければなりません。人によっては、身体の状態や状況によってMRI検査を受けるのが難しいと判断されるケースがあります。 以下の事項に当てはまる人は、MRI検査を受けられない場合があるため注意が必要です。 体内に金属(インプラント、ペースメーカーなど)を埋め込んでいる人 手術などで体内に金属、プレートやボルトを埋め込んでいる人は、MRI検査で使用する磁石と金属が反応して検査画像の乱れや火傷の原因となる可能性があります。 金属を体内に埋め込んだ症歴がある場合は、検査を受ける前に必ず申告し「MRI検査が可能であるか」を確認しておきましょう。治療を受けた病院で、金属の種類を事前に確認を求められるケースもあります。 体内に金属類を埋め込んでいる人で注意が必要なケース一覧 心臓ペースメーカー 骨折で体内に金属が入っている 脳動脈クリップ 血管ステント挿入 人工内耳、人工中耳 脳深部刺激装置 入れ墨、アートメイク リフトアップを金糸で行った場合・ 妊娠中、または妊娠の可能性 金属片が飛び散る職場での勤務 閉所恐怖症 ※上記でもチタンを用いたら、検査を受けられる場合もあります 刺青やアートメイクをしている人 刺青やタトゥーで検査ができないケースについて不思議に思う人も少なくないでしょう。実は刺青やタトゥーの色素に鉄などの金属が含まれている場合があり、MRI検査の強力な磁石と反応すると火傷を引き起こす可能性があるからです。 アートメイクの場合も、使用される金属の量はわずかですが、ごくまれに刺青と同様に検査画像が乱れてしまいます。火傷を引き起こす可能性もあるため、同じく注意が必要となります。たとえばマグネットネイルやミラーネイルなども変色の恐れがあるので注意しましょう。 刺青やアートメイクをしている人は、MRI検査を受ける前に必ず担当医師へ申告しましょう。 閉所恐怖症/狭いところが苦手な人 MRI検査は、狭いトンネルのような空間で行われるため、狭いところが苦手な人や閉所恐怖症の人は事前に申し出るのをおすすめします。MRI検査の検査時間は、長いと40分ほど必要になるため、閉所恐怖症の人は注意が必要です。 狭いところが苦手なのを事前に伝えておけば、医療機関によってはMRI機器の明るさを調整したりできる場合があります。検査機関によっては、オープン型のMRIを使用できるので事前に確認しておきましょう。 また、我慢できない場合は検査員に知らせるためのスイッチがあるので、気持ちを楽にしてお受けください。MRI検査について不安な点があれば、たとえ些細なことであっても検査を行う前に医療機関へ相談しましょう。 メイクやコンタクトレンズを着用をしている人 MRI検査を受ける際は、通常のメイクであっても注意が必要です。メイクをしたままMRI検査を受けるのは大きなリスクが伴います。 アイシャドーやマスカラ、アイラインなどの化粧品は、種類によって金属が含まれている場合があるため、検査画像の乱れや火傷を引き起こす恐れがあります。 正しく検査を終えられるように、MRI検査が始まる前までにメイクを落としておきましょう。 コンタクトレンズ(とくにカラーコンタクトレンズ)も注意が必要です。コンタクトレンズには鉄成分が含まれている場合があるため、コンタクトレンズをつけたままMRI検査を受けると検査画像への影響や火傷の危険があります。 コンタクトレンズを使用している人はMRI検査の前に外しておくか、検査の日は眼鏡をかけて来院し、検査中は眼鏡を外すような対応を行うのが無難です。 その他食事などにおける注意事項 MRI検査で腹部や骨盤の検査をする人は「食事の制限はしておくべきか」気になる人も多いでしょう。腹部や骨盤のMRI検査では、約6時間前までに食事を済ませてもらうよう案内しています。 水の摂取に関しては、MRI検査の直前までは問題ありません。とくに骨盤のMRI検査を受ける人は、来院の1時間前までに排尿を済ませておいてもらう必要があります。仮に来院1時間を過ぎたタイミングで排尿された場合は、300ml程度の水を摂取してから検査を受けましょう。 まとめ・MRI検査と検査を受ける際の注意点を把握しておこう MRI検査の造影剤は、被ばくの危険性がないため、CT検査よりも身体に負担の少ない検査であると言われています。しかし、体内に金属を埋め込んでいる人や刺青をしている人は危険が伴うため検査が受けられない場合があることを把握しておきましょう。 メイクをしたままやコンタクトレンズを付けたままの状態でMRI検査を受けるのも大きなリスクが伴います。必ずMRI検査を受ける前に注意事項を確認しておきましょう。
2022.04.18 -
- 股関節
- 変形性股関節症
股関節の痛みや違和感を感じている方は多いのではないでしょうか。 股関節の病気は、年齢による変化や炎症、生まれつきの要因など原因は人によって異なります。また、スポーツや転倒などによる股関節の怪我にも注意が必要です。 この記事では、代表的な「股関節の病気」を一覧で紹介し、症状や治療法をわかりやすく解説します。 なお、股関節の病気に対しては再生医療という手術を伴わない治療法も選択肢の一つです。当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を実施していますので、ぜひご登録ください。 股関節の病気一覧 股関節の痛みや違和感の原因には、さまざまな病気や怪我があります。 主な病気を症状や原因ごとに紹介します。 病気の名前 症状 変形性股関節症 立ち上がるときや歩き始めに股関節が痛む あぐらをかく、靴下を履くなどの動作がしにくい 大腿骨頭壊死症 突然、痛みが現れる 関節リウマチ 朝、関節がこわばる 関節の腫れや痛みがある 複数の関節に症状が出る 臼蓋形成不全 股関節の違和感や痛み 股関節が動かしづらい 大腿骨頸部骨折 転倒後に立てない、歩けない 股関節唇損傷 股関節が痛む 引っかかるような感じがする 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI) 股関節を深く曲げたり捻ったりすると痛みが強くなる 化膿性股関節炎 股関節に急に強い痛みが出る 38度以上の高熱 股関節の病気は加齢や使いすぎだけでなく、子どもや若年層にも起こります。また、痛みの原因は一つではなく体の使い方や筋力バランス、体重による負荷などの生活習慣も影響します。 原因を見極めるためには整形外科での画像検査(X線やMRIなど)や医師の診断が欠かせません。 変形性股関節症 変形性股関節症は、股関節の軟骨がすり減り痛みや動かしにくさが生じる病気です。 変形性股関節症の主な原因は、以下の通りです。 加齢による軟骨の摩耗 筋力の低下 体重増加による負担 過去のけが 先天的な股関節の異常(臼蓋形成不全) 次のような症状がある場合は、変形性股関節症を疑いましょう。 立ち上がるときや歩き始めに股関節が痛む あぐらをかく、靴下を履くなどの動作がしにくい 長時間歩くと足の付け根がだるくなる 朝起きたときに股関節がこわばる 症状を放置すると、関節の変形が進行して歩行が難しくなったり、安静にしていても痛んだりして日常生活に支障をきたす恐れがあります。股関節の痛みが続く場合は、早めに整形外科を受診しましょう。 当院で行った変形性股関節症に対する再生医療の症例を、以下でご紹介しています。 【関連記事】 変形性股関節症とは?原因・症状・治療法をわかりやすく解説 大腿骨頭壊死症 大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)は、股関節の骨の先端(大腿骨頭)に血液が十分に届かなくなり、骨が壊死してしまう病気です。血流が途絶えることで骨がもろくなりつぶれるように変形してしまうと、強い痛みや歩行障害を引き起こします。 ステロイド薬の長期使用や多量の飲酒が影響する場合がありますが、はっきりした理由がわからないケースもあります。発症年齢は30〜50歳代に多く、比較的若い世代にも起こりうる病気です。 骨が壊死しても初期には痛みがなく、骨がつぶれ始めた時点で初めて症状が現れるのが特徴です。 以下のような症状がみられる場合は大腿骨頭壊死症の可能性があるため、早めに整形外科で検査を受けましょう。 腰や膝、股関節の痛み 突然、痛みが現れる 安静にしていると痛みが和らぐ なお、似た病気に「ペルテス病(大腿骨頭壊死症の一種)」があり、子どもに発症するケースも報告されています。進行すると関節の変形を引き起こし、歩行に支障をきたすこともあります。 当院の大腿骨頭壊死症に対する再生医療について、以下の症例記事をご覧ください。 【関連記事】 大腿骨頭壊死症の原因とは?生活習慣との関連性や予防法について紹介 関節リウマチ 関節リウマチは、自分の免疫が関節を攻撃してしまう自己免疫疾患です。関節の内側を覆う滑膜(かつまく)という薄い膜が炎症を起こし、痛みや腫れを引き起こします。進行すると軟骨や骨が破壊され、関節の変形や可動域の制限につながる場合があります。 以下のような症状がある方は、関節リウマチの可能性を疑ってみましょう。 朝起きたときに関節がこわばる 関節の腫れや痛みがある 複数の関節に症状が出る リウマチは早期に治療を始めることで、関節破壊を防ぎやすくなります。関節の痛みやこわばりが続く場合は、整形外科やリウマチ専門医の受診を検討しましょう。 当院で行った関節リウマチに対する再生医療の症例を、以下でご紹介しています。 【関連記事】 関節リウマチとは?初期症状・原因・診断・治療・生活上の注意 | リペアセルクリニック東京院 臼蓋形成不全 臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)は、生まれつきまたは発育の過程で股関節の受け皿(臼蓋)が浅い状態を指します。股関節が不安定だと成長とともに関節に負担がかかり、将来的に変形性股関節症を発症するリスクが高まるといわれています。 以下のような様子が見られる場合は、臼蓋形成不全の可能性を疑ってみましょう。 時期 主な症状 乳児期 太もものシワが左右で違う 足を広げにくい 壮年期以降 股関節の違和感や痛み 股関節が動かしづらい 体を捻る・立ち続けるなどで股関節が痛む 安静にしても痛む 足の長さが左右で異なる 痛む足を引きずるようにして歩く 乳幼児健診などで股関節の開きが悪いと指摘された場合や歩き方に違和感がある場合は、早めに整形外科で検査を受けましょう。 当院で行った臼蓋形成不全に対する再生医療の症例を、以下でご紹介しています。 大腿骨頸部骨折 大腿骨頸部骨折は、股関節のすぐ下にある大腿骨の首の部分(頸部)が折れるケガです。とくに骨粗しょう症で骨がもろくなった高齢者に多く、転倒や転落をきっかけに発生します。中には、軽く捻った程度で骨折するケースもあります。 以下の症状がある場合は、大腿骨頸部骨折を疑いましょう。 転倒後に立てない、歩けない 足を動かすと強い痛みがある 足の向きが外側にねじれている 数日前から足の付け根を痛がっていたが、急に立てなくなった 大腿骨頸部骨折は、寝たきりや日常生活に影響する恐れがあります。 また、骨折部位の血流が悪くなることで大腿骨頭壊死症につながる可能性もあります。転倒後に足の付け根に違和感がある場合は早めに整形外科を受診しましょう。 股関節唇損傷 股関節唇損傷(こかんせつしんそんしょう)は、股関節にある関節唇と呼ばれる軟骨組織が傷つく病気です。 主な原因は、以下の通りです。 サッカー・バレエ・ゴルフなど股関節を大きく動かすスポーツ 転倒や衝突 大腿骨寛骨臼インピンジメントや臼蓋形成不全により関節唇に過度な負担がかかった 以下の症状がみられる場合、股関節唇損傷かもしれません。 足を曲げたり捻ったりした際に股関節が痛んだり引っかかるような感じがする 立ち上がりや自転車の乗り降り、寝返りの際に痛みや違和感を感じる 股関節がぐらつき、抜けるような感覚がある 損傷の程度や原因によっては保存療法で改善する場合もありますが、痛みが続くときは手術を検討します。競技への復帰を目指す場合は医師や理学療法士の指導のもと、焦らず段階的にリハビリを進めましょう。 以下の記事では、股関節唇損傷の治療期間について解説しているので参考にしてください。 【関連記事】 股関節唇損傷はどのくらいで治る?治療期間や予防法も紹介 | リペアセルクリニック東京院 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI) 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)は、股関節を構成する骨の形にわずかな異常があることで、骨同士がぶつかり合ってしまう状態を指します。バスケットボール・アイスホッケー・サッカーなど、股関節を大きく動かすスポーツによって股関節の関節唇が繰り返し擦れ、炎症や痛みが生じます。 大腿骨寛骨臼インピンジメントの症状は以下の通りです。 運動時に股関節の痛みや動きにくさを感じる 股関節を深く曲げたり捻ったりすると痛みが強くなる 股関節が抜けるような感じがする 初期は軽い違和感や痛みが一般的ですが、徐々に進行する恐れがあります。早めに整形外科を受診すれば、関節の損傷の進行を抑えられる可能性が高まります。 化膿性股関節炎 化膿性股関節炎は、股関節の中に細菌が入り込み関節内で炎症や膿が生じる感染症です。 乳幼児や高齢者、糖尿病や関節リウマチなど、免疫力が低下している方にみられるのが一般的です。また、人工関節の手術をきっかけに発症する場合もあります。 以下の症状があれば、化膿性股関節炎を疑ってみましょう。 股関節に急に強い痛みが出て、足を動かせない 股関節が腫れている 38度以上の高熱 だるさや頭痛 乳幼児の場合はぐったりして足を動かそうとしない 炎症が進むと関節内の組織が破壊され、短期間で強い痛みや高熱を伴うのが特徴です。放置すると関節が変形して歩行が困難になる恐れがあるため、早期に整形外科を受診しましょう。 股関節の病気の受診目安 股関節の痛みが2週間以上続く、または一度良くなっても再び痛みが出る場合は、早めの受診を検討しましょう。 関節や筋肉に一時的な炎症が起きているだけなら自然に回復する場合もありますが、変形や血流障害などの病気が隠れている恐れがあります。 とくに、以下の症状がある場合は注意が必要です。 急に痛みが現れる 安静にしていても痛む 腫れて熱をもっている しびれや脱力感を伴う 脚の長さが左右で違って感じる 歩行が難しい・足を引きずる 発熱を伴う強い痛み 自身の症状を振り返り、整形外科の受診を検討しましょう。 股関節の病気の検査と診断 股関節の痛みで整形外科を受診すると、症状や動き方の確認に加えて画像検査や血液検査を行うのが一般的です。 主な検査の内容は、以下の通りです。 検査名 検査の内容 主に疑われる病気 X線(レントゲン)検査 股関節の骨の形や関節の隙間を撮影する 変形性股関節症 大腿骨頭壊死症 臼蓋形成不全など MRI検査 骨・軟骨・靭帯・関節唇などの軟部組織を詳しく撮影する 変形性股関節症 大腿骨頭壊死症 股関節唇損傷など CT検査 骨の形状を立体的に確認する 変形性股関節症 大腿骨寛骨臼インピンジメントなど 血液検査 採血により炎症反応や免疫異常を調べる 関節リウマチ 化膿性股関節炎など 超音波(エコー)検査 音波で関節内部の状態をリアルタイムに観察する 乳児の股関節脱臼 関節リウマチ 骨密度検査 骨の密度や強度を測定する 大腿骨頸部骨折のリスク評価 検査によって痛みの原因を明確にできれば、治療方針を立てやすくなります。早めに診断を受けて回復への一歩を踏み出しましょう。 股関節の病気の治療法 股関節の治療には痛みの程度や進行度、年齢などに応じていくつかの方法があります。 保存療法 手術療法 再生医療 自分の細胞を活用して関節機能の回復をめざす再生医療という治療法についても紹介します。 保存療法|リハビリ・運動・薬物療法など 股関節の痛みが軽度な場合や進行をできるだけ抑えたい場合には、手術を行わずに症状を和らげる保存療法が選択されます。関節への負担を減らし可動域や筋力を保つことで、痛みの緩和と再発予防を目指します。 具体的な内容は、以下の通りです。 治療法 目的 内容 リハビリ(理学療法) 筋力・柔軟性を保ち、関節への負担軽減を目指す 理学療法士の指導のもと、股関節まわりのストレッチや筋トレ、歩行訓練などを行う 運動療法 体重コントロールと血流改善を促す 水中ウォーキングや軽いストレッチなど、関節に負担をかけない運動を継続する 薬物療法 痛みや炎症を抑える 消炎鎮痛薬(NSAIDs)や湿布薬の使用。必要に応じてヒアルロン酸注射などを併用する 生活指導 症状の悪化を防ぐ 正しい姿勢の習慣化、和式動作の回避、体重管理など 物理療法 熱や補助具で、痛みや動きの改善を図る 入浴やホットパックで温めたり杖やサポーターを活用したりする 上記の方法を組み合わせて経過をみながら、痛みや可動域の改善を目指します。十分な効果が得られない場合は、手術療法を検討する場合があります。 以下の記事では、変形性股関節症の保存療法について解説しているので参考にしてください。 手術療法|股関節鏡手術・人工関節置換術など 進行した股関節の病気では、薬やリハビリだけで十分な改善が見込めない場合、手術が選択肢となります。股関節の病気の代表的な手術には、股関節鏡手術・骨切り術・人工股関節置換術が挙げられます。 手術法 手術内容 主な対象例 股関節鏡手術 小さな切開から内視鏡を挿入し、関節内の損傷部を修復 軽度〜中等度の臼蓋形成不全や関節唇損傷など 骨切り術 骨の向きや位置を整え、関節の負担を軽減 若年者の臼蓋形成不全 人工股関節置換術 痛んだ関節を人工関節に置き換える 重度の変形性股関節症や進行例 股関節の手術は痛みの改善や機能回復に大きな効果が期待できる一方で、術後のリハビリや生活の工夫が欠かせません。また、手術後も股関節に過度な負担をかけないよう、体重管理や筋力トレーニングの継続が重要です。 医師とよく相談し、自分の生活や希望に合った治療法を選びましょう。 以下の記事は、股関節の手術を受けるリスクについて解説しているので参考にしてください。 再生医療|自分の細胞を活用する治療法 人工関節手術を受ける前の段階であれば、再生医療も選択肢の一つです。再生医療では、自身の身体から採取した細胞や血液の成分を活用し、損傷した組織にアプローチを試みます。 主な治療法は、以下の通りです。 幹細胞治療:軟骨や骨、靭帯などさまざまな細胞に変化できる幹細胞を用いた治療法 PRP治療:血液に含まれる成分の炎症を抑える働きを利用する治療法 入院や大きな手術を行わず、日帰りで受けられる点が特徴です。入院や手術を避けたい方、保存療法を続けても痛みが残る方にとって、再生医療は一つの選択肢となります。 当院「リペアセルクリニック」では、脂肪由来の幹細胞を用いた自己脂肪由来幹細胞治療と、血液から採取した血小板を活用するPRP療法を行っています。 実際に再生医療を受けられた方の経過については、症例一覧ページでご紹介しているので、治療を検討される際の参考としてご覧ください。 まとめ|股関節の病気は早期発見と適切な治療が重要 股関節の痛みや違和感は、加齢・外傷・血流障害・炎症などさまざまな原因で起こります。どの病気も、早期発見・早期治療が進行の予防につながります。気になる症状が続くときは、整形外科を受診しましょう。 主な股関節の病気は、以下の通りです。 変形性股関節症 大腿骨頭壊死症 関節リウマチ 臼蓋形成不全 大腿骨頸部骨折 股関節唇損傷 大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI) 化膿性股関節炎 股関節の病気は、保存療法・手術・再生医療など状態に合わせた多様な治療法が検討できます。手術を避けたい方は、自分の細胞を用いる再生医療が選択肢となる場合もあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の紹介や簡易オンライン診断を受け付けているので、再生医療について詳しく知りたい方はご登録ください。 股関節の痛みに関するよくある質問 股関節の痛みは何科を受診すれば良い? 股関節の痛みや違和感がある場合は整形外科を受診しましょう。 整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像検査を通して、骨・軟骨・筋肉・神経などの異常を詳しく確認できます。痛みの原因がはっきりしないまま自己判断で様子を見ていると、変形や炎症が進行して治療が長引くおそれもあります。 股関節の病気を予防するには? 股関節の病気を予防するために日常から意識したいポイントは、以下の通りです。 体重管理:食事の見直しや有酸素運動を取り入れ、股関節にかかる負担軽減を目指す 筋力トレーニング:股関節周囲のストレッチ・軽い筋トレ・水中ウォーキングなどを習慣化して関節まわりの筋肉を強化する セルフチェック:足の開き方・歩き始めの違和感・靴のすり減り方などを確認して自分の股関節の状態を把握する 股関節に違和感や痛みを感じたら早めに生活習慣を見直して、将来的な変形や手術のリスク軽減につなげましょう。 股関節の病気は遺伝する? 股関節の病気の中には、遺伝的な要因が関係している可能性があることがわかっています。 近い親族に発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の患者が多いほど、変形性股関節症の発症リスクが高く、進行も早い傾向があるというデータがあります。(文献1) ただし、必ず遺伝するわけではありません。同じ家系でも発症しない人も多く、肥満・重労働・生活習慣などの環境要因が大きく影響するケースもあります。また、原因がはっきりしない大腿骨頭壊死のような病気もあり、遺伝だけで説明できるものではありません。 家族に先天性股関節脱臼の既往がある場合は、乳児期の股関節健診を欠かさず受けるのが大切です。赤ちゃんの足が自然に“M字”のように開いた姿勢を保てるよう、抱っこやおむつ替えの仕方を工夫するなど、予防できる部分にも目を向けましょう。 遺伝要因の有無にかかわらず、股関節に違和感や痛みを感じたら、早めに整形外科で相談しましょう。 参考文献 (文献1) 発育性股関節形成不全の遺伝的リスクが変形性股関節症発症へ与える影響を解明| | 静岡県公立大学法人静岡県立大学
2022.04.08 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症と診断されたら、今以上に悪化させないように気をつけたいと考える方は多いのではないでしょうか。 変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨の変形によって骨同士が擦れ合ったりして炎症が起こり、痛みを伴う疾患です。 変形性股関節症の悪化を防ぐには、ストレッチをして股関節の柔軟性を高めることが効果的です。股関節周りやお尻に効くストレッチを中心におこない、可動域を広げましょう。 今回は、変形性股関節症を悪化させないためのストレッチ方法や、気をつけるべきことを解説してまいります。手術を伴わない再生医療による治療法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 変形性股関節症を悪化させないためのストレッチ方法 変形性股関節症を悪化させないためには、ストレッチをはじめとする運動療法が効果的です。ここでは、変形性股関節症の方におすすめのストレッチ方法を紹介します。 股関節の前側に効くストレッチ 股関節の内側に効くストレッチ 寝ながらできる股関節のストレッチ 股関節に負担をかけないように気をつけながら、ストレッチをして股関節の柔軟性や可動域の維持に努めましょう。なお、痛みがあるときは無理をしないことが大切です。やりすぎは逆効果になる場合があるため、ストレッチをして痛みが強くなったら医療機関を受診するようにしてください。 股関節の前側に効くストレッチ 変形性股関節症の悪化を防ぐためには、股関節の前側に効くストレッチがおすすめです。 左右いずれかのお尻を椅子に置き、横向きに座る 椅子に腰掛けていないほうの足を軽く後ろに伸ばし、つま先を立てる 椅子に腰掛けていないほうの足をさらに後方に伸ばしていく このとき、前側の股関節から太ももまでの筋肉を伸ばすイメージでおこなうことがポイントです。1セットあたり40秒程度を2〜3回繰り返し、左右の足を替えておこないます。 椅子に半分腰掛けた姿勢でストレッチするため、椅子の大きさや形によってはバランスを崩しやすいため注意が必要です。 股関節の内側に効くストレッチ 股関節の内側に効くストレッチも、変形性股関節症の悪化を防ぐために効果的です。 椅子に座って左右いずれかの足をもう片方の膝の上に乗せる 乗せた足の膝を下方向から外側に押し下げる 上半身をゆっくりと前に倒す このとき、股関節の内側からお尻の筋肉を伸ばすよう意識してください。1セットあたり40秒程度で2〜3回繰り返し、左右の足を替えて同じようにストレッチします。椅子に深く腰掛け、安定した状態でおこなうことがポイントです。 寝ながらできる股関節のストレッチ 股関節に効くストレッチには、寝ながらできるものもあります。 仰向けで寝る 左右いずれかの膝を両手で抱えて身体に引き寄せる この姿勢を約15秒間キープし、2〜3回繰り返して左右の足を替えます。膝を抱えて身体に引き寄せるとき、反対側の足は伸ばしたままの状態にします。痛みを感じない程度に無理なくストレッチしてください。 ストレッチ以外の運動療法 変形性股関節症の悪化を防ぐためには、ストレッチ以外の運動療法も効果的です。軽いウォーキングも、股関節の柔軟性を高め、可動域を広げるために有効です。 ウォーキングをする際は、ゆっくりとしたペースで歩行しましょう。歩く速度が早いと股関節に負担がかかり、かえって症状を悪化させるリスクがある点に注意してください。 また、筋力トレーニングをして筋力強化を図ることも大切です。股関節周りの筋力強化によって、股関節の動きを安定させたり衝撃から関節を守ったりできます。ただし、ストレッチと同様に過度な負荷がかかる筋力トレーニングは逆効果です。ウォーキングや筋力トレーニングも、痛みのない範囲内で無理なく続けましょう。 変形性股関節症に効果的な筋力トレーニングについて詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。 変形性股関節症の悪化を防ぐためにやってはいけないこと【ストレッチ以外】 変形性股関節症は、股関節に負担がかかると症状が進行してしまいます。そのため、変形性股関節症の症状の進行を抑え、悪化を防ぐために、やってはいけないことがあります。 以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。 股関節に負担をかける 変形性股関節症の初期の段階では、痛みを感じない場合も少なくありません。しかし、変形性股関節症の悪化を防ぐために、やってはいけない姿勢(禁忌肢位)があります。 変形性股関節症の禁忌肢位は、主に以下の通りです。 横座りや割り座 しゃがむ姿勢や長時間ひざまずく姿勢 足組み テニスやゴルフなどの股関節を捻る動作を伴うスポーツ ほかにも、長時間同じ姿勢を維持しない、横向きか仰向けで寝るといったことを心がけると股関節への負担を減らせます。変形性股関節症の進行を防ぐためにも、日常生活からできることを意識しましょう。 長時間連続して歩く 変形性股関節症の場合、長時間連続して歩くことは避けましょう。長時間の連続した運動は、たとえ軽度であっても筋肉が疲労してしまい、関節に負担をかけてしまうためです。 また、股関節の骨と骨の間にある軟骨は、衝撃を吸収し、骨同士が直接触れ合わないようクッションの役割を果たしています。しかし、軟骨は関節を使うことで徐々にすり減ってしまうため注意が必要です。 変形性股関節症と診断されたら、歩くときにもできるだけ股関節に負担がかからないように意識する必要があります。少しくらい大丈夫だろうといった考えは捨てて、無理をしないようにしてください。 痛みを感じるような運動やトレーニングを控える 変形性股関節症と診断されたら、無理は禁物です。筋力をつけようとして痛みを感じるほど運動してしまうと、かえって症状が進行してしまうケースも少なくありません。 変形性股関節症では、適度な運動が推奨されます。しかし、激しいダンスやエアロビクス、ボーリングやウェイトマシーンを使っての筋力トレーニングは関節へ過度な負担がかかるため避けるべきです。 変形性股関節症のリハビリテーションでは、関節への負担が少ないウォーキングや水中歩行などをゆっくりおこない、関節に無理をかけないように気をつける必要があります。 肥満を放置する 変形性股関節症の場合にやってはいけないこととして、肥満の放置が挙げられます。普通に歩くだけでも、関節には体重の約3~5倍の負担がかかります。そのため、体重は直接股関節へ負荷をかけることになるため注意が必要です。 とくに中高年になると身体の基礎代謝が落ち、体重管理が難しくなります。運動も大切ですが、肥満を改善するためには食生活の見直しが必要です。 変形性股関節症において気をつけたいことは、食べ過ぎないことと栄養バランスの良い食事を心がけることです。夕食は寝る2~3時間以上前には済ませ、暴飲暴食は避けましょう。 また、早食いにならないようにゆっくりとよく噛むことで、食欲が抑えられ、食べすぎを防げます。変形性股関節症と体重管理は切り離せないだけに、十分気をつけましょう。 変形性股関節症の治療法を検討する際のポイント ここでは、変形性股関節症の治療法を検討する際に気をつけることについて解説します。 納得できる医療機関を見つける 変形性股関節症の治療においては、納得できる医療機関を見つけることが大切です。変形性股関節症では、以下をはじめとするさまざまな治療がおこなわれます。 薬物療法 運動療法 手術療法 まずは薬物療法や運動療法で症状の改善を目指し、思うような効果が現れない場合には、手術療法を検討します。 変形性股関節症の手術療法では、入院が必要です。しかし、なかにはどうしても仕事が忙しくて時間が取れないといった理由で手術を希望しない人もいます。 また、手術療法にも骨切り術や人工関節置換術があり、その後の通院頻度や入院期間も異なります。 変形性股関節症の治療においては、病院までの距離や医師との相性なども含め、本人や家族が納得できる医療機関を見つけることが必要です。 意思や希望を主治医に伝える 変形性股関節症の方は、今後どのように治療を進めていきたいか、自分の意思をしっかりと主治医に伝えるようにしましょう。また、家族の意思や希望もあわせて伝えておくと安心です。 自分の意思や希望が治療に反映されていないと、モチベーションが下がってしまい、治療自体に影響が出るケースも珍しくありません。 すぐに手術を受けたいのか、しばらくは飲み薬のほかに湿布薬や座薬を使って様子をみたいのかなど、医師に希望を伝えた上で、相談しながら治療を進めましょう。 変形性股関節症に対するステロイド薬の使用について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 変形性股関節症には再生医療という選択肢もある 変形性股関節症の治療における選択肢として、再生医療があります。かつて変形性股関節症の治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないといわれていました。 しかし、現在では身体への負担が少なくて済む再生医療による治療も選択可能です。 再生医療と手術はどのように違うのか 再生医療は、自分の血液や幹細胞を使用するため、体への負担が少なく、数回の通院で完結する治療法です。 一方、人工関節置換術のような比較的大がかりな手術では、深部静脈血栓症・肺塞栓症・人工関節の再脱臼といった合併症のリスクを伴います。 再生医療の効果はいつまで続くのか 再生医療の治療効果は人工関節の耐久年数と同じ程度の持続が期待されています。 人工関節には耐久年数があり、一般的には平均15〜20年程度といわれています。人工関節の場合、経年劣化による不具合によって疼痛が発生するリスクがあります。 また、日常生活に支障が出る場合には、再手術が必要になるケースも少なくありません。 薬物療法や運動療法では効果が感じられず、手術を受けようか悩んでいる方、あるいはどうしても手術を受けたくない方にとって、再生医療はもう一つの選択肢になります。 以下の動画では、再生医療が変形性股関節症の痛みをどのように軽減したかを説明しています。ぜひ参考にしてみてください。 https://www.youtube.com/watch?v=ZYdyeWBuMQA まとめ|ストレッチをして変形性股関節症の悪化を防ごう 変形性股関節症の治療においては、股関節に負担をかけないように気をつけることが大切です。 おすすめは、股関節の前側・内側、お尻周りに効くストレッチです。なお、ストレッチは痛みを感じない程度でおこなうことがポイントです。痛みが現れたり、股関節に違和感を感じたりする場合は、ストレッチを中止して医療機関を受診してください。 ストレッチ以外にも、日常生活でできるだけ股関節に負担をかけないよう気をつけ、変形性股関節症の悪化を防ぎましょう。 なお、リペアセルクリニックでは、無料のメール相談を実施しています。変形性股関節症の症状が改善せずにお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。
2022.04.07 -
- 変形性股関節症
- 股関節
「最近、股関節の痛みが気になる…でも、手術はまだ考えたくない」 「この先も自分の足で元気に歩き続けるために、今からできることはないだろうか?」 変形性股関節症と診断され、そのようなお悩みや疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 手術を回避し、痛みをコントロールしながら日常生活を送るためには、保存療法について正しく理解し、実践することが非常に重要です。 本記事では、変形性股関節症の保存療法の基本となる4つの柱(運動・生活指導・薬物・物理療法)から、治療を続ける期間の目安までを詳しく解説します。 また、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報と簡易オンライン診断をお届けしています。 ご登録いただき、ご自身の身体と向き合う機会としてご利用ください。 変形性股関節症の保存療法とは|手術に頼らない治療の基本 変形性股関節症の治療は、「保存療法」と「手術療法」の二つに大別されます。 このうち保存療法とは、その名の通り手術をせずに股関節の機能を温存し、痛みなどの症状をコントロールしていく治療法の総称を指します。 その目的は、痛みや炎症を和らげ、症状の進行を緩やかにし、日常生活の質を最大限に維持・向上させることにあります。 病状が初期から進行期にある多くの患者様にとって、まず取り組むべき治療の第一選択肢となるのが、この保存療法です。 治療プロセスは、専門医による正確な診断から始まります。 レントゲンやMRIといった画像検査、丁寧な問診、身体診察を通じて股関節の状態を多角的に評価します。 そして患者様一人ひとりの年齢、活動量、生活背景などを総合的に考慮し、オーダーメイドの治療計画が立てられます。 この医師との二人三脚のプロセスが、治療成功の第一歩と言えるでしょう。 変形性股関節症の保存療法|4つの治療法と効果的な組み合わせ 保存療法は、単一の治療だけで効果を出すのは難しい場合があります。より高い治療効果を得るためには、複数のアプローチを戦略的に組み合わせることが不可欠です。 中心となるのは、以下の4つの柱です。 運動療法・リハビリ:関節を支える筋力を強化し、安定性を高める 生活指導:日常動作や体重を見直し、股関節への負担を根本から減らす 薬物療法:薬の力で、つらい痛みや炎症を効果的にコントロールする 物理療法:温熱効果や装具を利用し、痛みを和らげる これらは互いに補完し合う関係にあり、どれか一つだけを頑張るのではなく、バランス良く取り組むことが症状改善への近道となります。専門医や理学療法士と相談しながら、ご自身に最適な治療の組み合わせを見つけていきましょう。 1.運動療法・リハビリ|筋力強化と可動域改善 運動療法では、まずストレッチやマッサージをおこない、筋肉をほぐします。 股関節周囲の筋肉の柔軟性は、痛みの改善だけでなく、関節の動く範囲の改善にもつながります。 しかし、運動療法をするときに、早く筋肉をつけようとして無理に運動しないように注意しなければなりません。 また、ジョギングやサッカーのような激しい運動も股関節に負担をかけ、変形性股関節症を進行させてしまいます。 ゆっくりと歩くウォーキングや、負担の少ない水泳などをおこなうようにしましょう。 ウォーキング 関節への負担が少ない運動の代表格がウォーキングです。 とくに水中でのウォーキングは、浮力によって体重負荷が大幅に軽減されるため、痛みが強い方でも取り組みやすいでしょう。 陸上を歩く際は、衝撃吸収性に優れたクッション性の高い靴を選び、まずは平坦な道を1日20〜30分程度から始めてみるのがおすすめです。 筋力トレーニング 股関節の安定性に直接寄与するのが、お尻の筋肉(中殿筋)や太ももの筋肉(大腿四頭筋)です。 これらの筋肉を重点的に鍛えることで、歩行時のふらつきを防ぎ、関節をしっかりと支えることができます。 横向きに寝て脚をゆっくりと持ち上げる運動や、仰向けで膝を曲げた状態からお尻を浮かせる運動など、自宅でも安全に行えるトレーニングが数多く存在します。 変形性股関節症のリハビリについては、以下の記事にて詳しく解説しておりますので、あわせてご覧ください。 2.生活指導|日常動作の工夫と体重管理 日々の何気ない動作や生活習慣が、知らないうちに股関節へ大きな負担をかけていることがあります。 この負担を意識的に減らす生活指導も、運動療法と並行して行うべき重要なアプローチです。 中でも最も重要なのが体重管理です。体重が1kg増えるだけで、歩行時には股関節に約3〜4kgもの負荷がかかるとされています。 つまり、体重をコントロールすること自体が、効果的な治療法なのです。 その他、以下のような生活上の工夫を取り入れることで、股関節への負担は大きく変わってきます。 洋式の生活:正座やあぐら、低い椅子からの立ち座りは股関節に大きな負担をかけます。可能な限り、椅子やテーブル、ベッドを中心とした生活スタイルに切り替えましょう。 動作の工夫:床の物を拾う際は、膝を曲げて腰を落とすように意識する、重い荷物はカートを利用するなど、一つ一つの動作を見直すことが大切です。 靴の選択:歩行時の地面からの衝撃は、股関節痛の大きな要因です。クッション性が高く、かかとが安定した靴を選びましょう。 3.薬物療法|薬物による疼痛・炎症管理 痛みが強く、運動や日常生活に支障が出ている場合、薬物療法を併用して症状をコントロールします。 薬物療法は、痛みによる動作制限の悪循環を断ち切り、運動療法などをよりスムーズに進めるためのサポーターとしての役割を果たします。 投与方法 内容・注意点 内服薬 痛みや炎症を抑える目的で、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などが主に処方されます。胃腸障害などの副作用が出る可能性もあるため、必ず医師の指示通りに服用することが鉄則です。 外用薬 湿布や塗り薬といった外用薬は、内服薬に比べて全身への副作用のリスクが低く、手軽に使える利点があります。 関節内注射 痛みが局所的に強く、内服薬などでは十分にコントロールできない場合、股関節に直接ヒアルロン酸やステロイドを注射する方法があります。 これらの薬は、あくまで痛みを緩和し、生活の質を維持するための手段です。 自己判断で量を増減したり中断したりせず、必ず医師と相談の上で使用してください。 4.物理療法|温熱療法と装具の効果的活用 物理療法は、熱や物理的な補助具を用いて、痛みの緩和や機能の改善を図る治療法です。 薬物療法とは異なるアプローチで、症状の改善をサポートします。温熱療法と装具の2つについて解説します。 温熱療法 股関節周辺を温めることで血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれ、痛みが和らぐ効果があります。 温熱療法は、とくに筋肉のこわばりからくる鈍い痛みに対して有効です。ご家庭での入浴やホットパックの利用が手軽ですが、注意点もあります。 痛みが起きた直後の急性期には、温めることでかえって炎症が悪化することがあるため、自己判断で行わず、医師に確認してから実践しましょう。 装具療法 杖やサポーター、インソール(足底板)といった装具を用いて、股関節への力学的な負担を軽減する方法です。 とくに杖は、歩行時の股関節への負荷を最大で60%も軽減できるとされ、非常に有効な手段です。(文献1) 杖は、痛い方の脚と反対側の手で持つのが基本です。体を安定させ、効率的に負荷を分散させることができます。 変形性股関節症の保存療法はいつまで続ける?改善効果と期間目安 保存療法の期間は、症状の程度や治療への取り組み方によって個人差があります。そのため、全ての患者様に共通する決まった期間はありません。 一般的には、保存療法の効果は10年程度続くと考えられていますが、あくまで目安です。股関節の状態は日々変化するため、日々の痛みの強さや歩行量、家事のしやすさなどを記録し、専門医と相談しながら治療計画を柔軟に見直すことが重要です。 保存療法は「いつまで」と決めるものではなく、生活の一部として無理なく続けることが基本です。迷ったときは一人で抱え込まず、担当医と一緒にプランを整えていきましょう。 保存療法で避けるべき行動を知っておくと、ご自身の体に合った取り組み方が理解しやすくなります。詳しくは、こちらの記事もご確認ください。 変形性股関節症に対する保存療法以外の選択肢「再生医療」について 保存療法を継続しても症状の改善が難しい場合や、手術以外の方法を検討したい場合に、選択肢の一つとして再生医療があります。 再生医療は、患者様ご自身の血液や脂肪から特定の成分(血小板や幹細胞など)を抽出し、関節内に投与する方法です。 このアプローチは、ご自身の体にもともと備わっている組織の修復過程や、炎症を抑える働きに着目した治療法です。 ご自身の細胞を用いるため、アレルギー反応などのリスクは低いとされています。 変形性股関節症に対する再生医療について、以下の記事で症例を紹介しています。治療内容の参考にぜひ一度ご覧ください。 再生医療をご検討の際は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。再生医療に精通した医師が、患者様の状態に応じて個別に治療方針をご提案いたします。 変形性股関節症でお悩みの方へ|専門医と一緒に治療法を見つけましょう 保存療法の目的は、手術以外の方法で痛みを管理し、今ある関節機能を最大限に維持することです。 その成功の鍵は「運動療法」「生活指導」「薬物療法」「物理療法」という4本柱を、専門家のアドバイスのもとでバランス良く組み合わせることにあります。 保存療法は息の長い治療です。焦らず根気強く続けることが何よりも大切ですが、再生医療という選択肢が存在することも、ぜひご認識ください。 ご自身の状態を正しく理解し、専門家と共に粘り強く治療を続けることが、より豊かな日常生活を取り戻すための鍵となります。 もし現在の治療に行き詰まりを感じていたり、今後の治療方針に悩んでいるのであれば、一人で抱え込まず気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 杖を用いた歩行の特性|昭和大学保健医療学部
2022.04.07 -
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「痛み止めにステロイド注射を使う効果は?」 「痛み止めのステロイド注射はどんな副作用があるの?」 ステロイドは、変形性膝関節症や変形性股関節症を始め、各種関節症の保存療法(薬物療法)で、痛み止めとして使われているメジャーな薬です。 ステロイドは痛み止めの薬として効果を発揮します。ただ、ステロイドの副作用が気になり、怖いと感じる方もおられるはずです。 今回は関節症の痛み止めに使われる機会が多いステロイド注射の効果、副作用などをご説明いたします。 最後まで読んでいただければ、ステロイド注射を使うメリットとデメリットを理解できるので、治療を受けるべきか迷われている方は参考にしてみてください。 関節症に痛み止めのステロイド注射を使う効果は2つ 関節症に痛み止めのステロイド薬(ステロイド注射)を使う効果を2つ解説します。 ・鎮痛効果 ・抗炎症作用 鎮痛効果 ステロイド薬を使うメリットには、鎮痛効果による痛みの緩和があげられます。 各種関節症の発症初期には、保存療法(薬物療法)がおこなわれるケースが一般的です。 ステロイド注射は痛みを緩和させる目的で、以下のようなときに使います。 ・生活を送るときの不自由さを減らすため ・運動療法による治療効果を高めるため とくに運動療法を行うときに痛みがあると、痛む部位を守ろうとするあまり、ほかの筋肉や組織に力が入りがちです。結果としてほかの部位まで痛める可能性もあります。 保存療法を有効に進めるためにも、ステロイド注射で痛みを減らす必要があるのです。 抗炎症作用 ステロイド薬には、炎症(痛みの原因)を和らげる抗炎症作用があります。 痛みの原因物質の産生を抑えられると、鎮痛(痛みを抑える)効果が期待できるのです。 各種関節症の保存療法では、初期の段階ではステロイド注射で痛みを緩和しながら炎症を防ぎ、リハビリなどの運動療法における効果を上げる目的で使います。 痛み止めのステロイド注射に関する副作用 ステロイドに悪いイメージがあるのは、副作用があると聞いたからではないでしょうか。 実際に、ステロイド注射の副作用のひとつに「骨が脆くなる」点があげられます。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療を行えない場合があるのです。 以下で、副作用における一例をまとめています。 【ステロイドの副作用】 ・ステロイド注射を長期間、あるいは短期間に多く投与された場合 →股関節の「大腿骨頭」、肩関節の「上腕骨頭」、 「膝関節」の骨への血流が阻害され、骨の組織が壊死する危険性がある ・短期的に大量に使ったり、長期的に使ったりした場合 →骨の代謝やホルモンの産生に影響を与える ・長期的に使うと骨を脆くする危険性がある →「大腿骨骨頭壊死」「上腕骨頭壊死」「膝関節骨壊死」 といった困難な症状を招く可能性もある 【骨粗鬆症のリスク】 ・ステロイド注射は短期間に多くの投与、あるいは長期間使うと、 骨やホルモンの代謝に影響を与えかねない 【感染症になりやすい】 ・ステロイド注射は免疫を抑制するため、 長期間、関節内に投与を行うと「化膿性関節炎」になる危険性がある ・関節炎になった場合、抗生物質の内服による治療や、 重症化した場合は、関節内の洗浄が必要になる しかし、ステロイド注射は、変形性膝関節症や変形性股関節症、肩の関節症などの痛みに対して鎮痛、消炎(炎症をとりさること)の改善効果が得られます。 デメリットを過大評価すると使うのをためらってしまいがちです。 先にステロイド注射を使うデメリットを知っておくと、ステロイド治療に対する判断の一助となり、医師の診断や意見を理解する上でも役立ちます。 医療機関などで医師の管理のもと、適切にステロイド治療を行えると、必要以上に怖がる必要はなくなるはずです。 【長期使用はNG】痛み止めのステロイド注射は根本治療にならない ステロイド注射は、関節症の痛みで困っている場合に高い鎮痛効果が期待できます。 ただ、副作用があるステロイド注射を長期間、継続して使うのはおすすめできません。短期間でも大量に使うのは避けましょう。 また、ステロイド治療は、骨の変形や軟骨のすり減りなど、関節の状態を修復する効果はありません。病気の進行を止めるなど、根本的な治療を目的としていないのです。 たとえば、変形性関節症は進行する病気です。変形性関節症の人がステロイド治療を行っても、最終的には手術が必要となる可能性があります。 関節症におけるステロイドでの治療方法について 関節症でのステロイド治療は、内服薬と注射があります。 症状や状態にもよりますが、内服薬で痛みに対する効果が感じにくくなった場合に、関節内にステロイド薬を直接注射する流れが一般的です。 ステロイド薬を関節に注射すると、抗炎症作用により痛みを改善します。ただ、何度も申しますが、長期的な使用や短期の大量投与は、副作用のリスクがあるので避けましょう。 また、関節症の症状が進行するとステロイドの効果が減少して、外科的治療として手術の選択を迫られるかもしれません。 しかし、近年はステロイド注射以外にも、手術や入院を避けられる再生医療の治療方法もあります。 再生医療の幹細胞治療では、膝や股関節、肩などの治療において、自身の幹細胞を培養して関節注射を行う流れです。 まとめ|関節症のステロイド注射は痛み止めに効果がある ステロイド薬は、内服や痛む関節に直接注射する方法で使います。鎮痛効果と抗炎症作用により、痛みを緩和させる効果があります。 ただし、ステロイド注射はメリットがある反面、副作用もあるので注意が必要です。短期的な大量投与や、長期的なステロイド治療は避けるべきです。 ステロイド注射は問題のある部位を修復できないので、根本的な解決はできません。 ただ、医療機関などで医師の管理下で治療するなら、必要以上に怖がる必要はないでしょう。ステロイドの特性を知った上で、治療に使っていただければと思います。 また、関節症に関わる治療のひとつとして、再生医療もあります。ステロイド治療以外で、根本的な治療を探している方は、再生医療の治療方法も視野に入れてご検討ください。 痛み止めのステロイド注射に関するQ&A 痛み止めのステロイド注射に関して、質問と答えをまとめています。 Q.関節症における痛み止めのステロイド注射は保険適用ですか? A.はい、一般的には保険適用になります。 ただし、症状や治療方法によっても変わる可能性があるので、詳細は医療機関でご確認ください。
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「病院で股関節を人工関節に置き換える手術をすすめられた」「変形性股関節症の手術が決まっている」といった方の多くは、手術後の生活が気になるのではないでしょうか。 股関節の変形などの治療として手術で人工股関節を入れても、すべてが元通りになるわけではありません。 手術後は、股関節に負担がかからないように以下のような動作や姿勢に気をつけて生活する必要があります。 本記事では、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことを解説します。 早期回復のためのポイントや仕事復帰までの目安もまとめているので、人工股関節手術を控えている・検討している方は、ぜひ参考にしてください。 人工股関節手術後の生活における注意点 人工股関節手術後の生活では、過度な運動や股関節に大きな負担がかかる姿勢を避ける必要があります。 具体的には、以下の6つに注意して過ごしましょう。 それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 以下の記事では、人工関節や手術のリスクについて解説しています。あわせてご覧ください。 【医師監修】人工関節とは|メリット・デメリットや置換術について詳しく解説 【医師監修】高齢者が股関節手術を受けるリスクを解説|年代別で控えた方がいい理由も紹介 適度に歩く時間をつくる 人工股関節手術後の歩行に関して、とくに制限はありませんが、以下の点に注意しましょう。 筋力の低下を防ぐため歩く時間を作る 歩行時は革靴ではなく滑り止めがついた運動靴を履く 翌日まで疲労が残る場合は、運動量が多すぎる可能性が高いため、ペースを調節してください。 股関節に負担がかかる日常動作は避ける 人工股関節手術後の生活では、股関節を曲げて膝を内側にねじるような姿勢は負担が大きいので避けましょう。 とくに股関節の屈曲などの複合動作が続くと、股関節に大きな負担がかかって脱臼や骨折の原因になります。 人工股関節の脱臼を防ぐためにも、日常生活の中では以下の点に注意が必要です。 あぐらや横座りなどを避ける ズボンや靴下などを履くときは床ではなく椅子に腰掛ける ただし、座るときにどの程度の注意が必要かは、手術方法によって異なります。 近年は筋肉や腱を切らずに済む方法が増え、人工股関節手術後の脱臼のリスクそのものが低下しています。 手術後に避けるべき動作や姿勢については、医療機関や主治医に確認しましょう。 過度な運動やスポーツを避ける 人工股関節手術後は、過度な運動やスポーツを避ける必要があります。 手術をしたからといって、ハードな運動ができるわけではありません。 過度な運動は股関節の脱臼やゆるみを起こしてしまう可能性があるため、注意が必要です。 ただし、適度な運動は、股関節周りの筋肉を鍛えることにつながるため、無理のない範囲で体を動かすことをおすすめします。 実際に、人工股関節手術後の生活で、ハイキングやウォーキングなど、さまざまな運動を楽しんでいる人もいます。 手術後の生活で無理なくできる運動は、水泳やウォーキングなどです。 ただし、水泳の場合、股関節に負担がかかる平泳ぎよりもバタ足などがおすすめです。 また、ウォーキングは15分程度の軽い運動にとどめるなどの配慮が必要です。 重いものを持たないようにする 人工股関節手術後の生活では、日常的に重たいものを持たないように注意しましょう。 重いものを持ち上げたり、持って移動したりすると、股関節に大きな負担がかかります。 もちろん、しゃがんだ姿勢から荷物を持ち上げることも避けましょう。 軽い荷物であれば大丈夫ですが、足腰を使わなければ持ち上がらないほどの重い荷物であれば、家族や友人に手伝ってもらって運んでください。 とくに家族には、人工股関節手術ことを伝え、手術後の生活についてよく理解してもらっておくと安心です。 入浴時は膝を大きく曲げないようにする 人工股関節手術後の入浴時は、とくに身体を洗う姿勢に注意してください。 ほかにも、以下の点に気をつけると股関節への負担を減らせます。 シャワーチェアを使用して椅子に腰掛けた姿勢で身体を洗う かがみこまなくて済むようにタオルではなく柄が長いブラシを使用する 浴槽で両足を伸ばせない場合は浴槽用の小さな椅子を使用する 椅子を使うスペースがない場合は、浴槽の縁にも腰掛けることも可能です。しかし、足先を洗う際などは無理にかがみこむと脱臼する可能性が高いため注意しましょう。 なお、浴槽への出入りしやすくするためには、浴室の壁に手すりを取り付けると便利です。 転倒を防ぐための生活環境を整える 人工股関節手術後は、人工股関節の破損を避けるためにも転倒に気をつけましょう。 手術後の生活では、人工股関節とうまく付き合っていく意識が必要です。 転倒は、人工股関節の破損だけではなく骨折の原因にもなります。 骨折によって歩行が難しくなると、手術をした意味がなくなってしまいます。 手術後は、外出の際に階段を避けてエスカレーターやエレベーターを利用したり、足場の悪いところは極力歩かないようにしたりするといった心がけが必要です。 人工股関節手術後から仕事復帰までの目安期間 人工股関節手術後に仕事復帰できるまでの期間は職種によって異なり、事務職であれば、数週間から1カ月程度で復帰が可能です。 しかし、業務上でしゃがんだりかがんだりする動作を伴う場合は、復帰までに時間がかかります。 人工股関節手術後の仕事復帰までの目安は、以下の通りです。 事務職 2~4週 立ち仕事(半日) 4~6週 立ち仕事(1日) 6~8週 ドライバー・配送業 2~3カ月 激しい肉体労働が中心の仕事 3カ月以降 ただし、手術後の回復には個人差があるため、まずは主治医に相談してから仕事に復帰する計画を立てましょう。 人工股関節手術後に生活へ復帰するためのポイント ここでは、人工股関節手術後の生活において、早期回復のために工夫すべきポイントを紹介します。 股関節に負担の少ない生活スタイルに変える 人工股関節手術後の生活では、股関節に負担のかかる姿勢を避ける必要があります。 たとえば、正座や足を前に投げ出して座る姿勢は手術後でも問題ありませんが、体育座りや横座りなどは脱臼のリスクが高まります。 和式トイレなどでしゃがみ込む、座布団に座る、重いものを持ち上げるなどの動作は、意識して避けましょう。 人工股関節手術後は、できる範囲で椅子や洋式トイレを利用するようにして、生活スタイルを切り替えていくことをおすすめします。 また、布団を敷いて寝ている方は、ベッドにしたほうが股関節に負担をかけずに済みます。 体重管理をする 人工股関節手術後の回復を早めるためには、体重管理もポイントです。 体重が重いだけでも、股関節には大きな負担がかかるため、適度な運動をして体重管理しましょう。 標準体重よりも重い場合や、普段から身体が重いと感じている場合は、思い切ってダイエットを始めることもおすすめです。 ただし、単に体重を減らすだけではなく、筋力の維持にも努める必要があります。手術後は徐々に股関節を慣らすようにして、1日15分程度のウォーキングなど軽い運動をしましょう。 適切なリハビリテーションを続ける 人工股関節手術後の回復を早めるためには、適切なリハビリテーションを続ける必要があります。 人工股関節手術後は、筋力が低下している状態です。 とくに手術前から痛みで動きが制限されていた場合は、筋力の低下が顕著になる傾向があります。 人工股関節手術後に目指す生活レベルにもよるものの、筋力を回復させるためには、手術後も長期間にわたってリハビリテーションを続けることが大切です。 医療機関や主治医に相談しながら、納得のいく治療計画を立てましょう。 人工股関節手術後の生活の注意点に関するよくある質問 人工股関節手術後の日常生活の注意点に関するよくある質問と回答を紹介します。 人工股関節手術後の生活で気を付けることは? 人工股関節手術後の日常生活では、股関節に負担がかからないように気を付けましょう。 近年では人工股関節の耐久年数が向上していることから、日常生活だけでなく運動をする方も増えてきています。 しかし、人工関節は使えば使うほど摩耗していくため、股関節に負担がかかる動作を続けることで人工股関節の寿命が短くなっているといえます。 そのため、人工股関節を少しでも長持ちさせるためにも、術後の日常生活では股関節に負担がかからないように注意することが重要です。 自宅でもリハビリは必要ですか? 基本的に退院後でも自宅でリハビリは継続した方が良いです。 必要なリハビリは患者さまの目的によって異なるため、自分に合ったリハビリを続けましょう。 例えば「趣味のスポーツを再開したい」という場合には、そのスポーツで股関節にかかる負担を軽減できるように筋力トレーニングやストレッチが必要です。 しかし、自宅付近の移動ができれば良いという方は、スポーツをやりたい人ほどリハビリを頑張る必要はないといえます。 日常生活をおくる上で影響がない程度に筋力や柔軟性の維持に努めましょう。 人工股関節手術後にやってはいけないスポーツは? 人工股関節手術後は、股関節を捻るような以下のスポーツは控えましょう。 サッカー バスケットボール 野球 バレーボール テニス 水泳 柔道 ラグビー 上記のようなスポーツは、股関節を捻る際に大きな負荷がかかるため、人工関節の摩耗や破損につながる可能性が高いです。 しかし、筋力や柔軟性を低下させないために適度な運動は推奨されています。 どの程度の運動ができるかは個人差があるため、主治医と相談した上で行いましょう。 人工股関節手術後に杖はいつまで使うべき? 人工股関節手術後は、3ヶ月前後を目安に杖を使用しましょう。 術後に転倒してしまうと人工股関節の脱臼や損傷のリスクがあるため、転倒防止に杖の使用が有効です。 とくに混雑しやすい場所や長時間歩く場合などの状況をみて、3ヶ月を過ぎても杖を使用した方が良いでしょう。 人工股関節手術後の生活では関節に負担をかけないようにしよう 今回は、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことや工夫すると良いことなどを解説しました。 基本的に人工股関節手術後の生活では、人工股関節に配慮さえすれば大きな支障はきたさないでしょう。 しかし、人工股関節とうまく付き合っていく必要があるため、どうしても注意や工夫をしなければならない場面も出てきます。 なお、手術後の生活における注意事項や運動、リハビリテーションなどに関しては、必ず主治医の指導を受けるようにしてください。 ▼ 立ち上がり動作における股関節への負担を減らすポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
2022.03.31 -
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レントゲン検査やCT検査で股関節の痛みや違和感の原因が特定できない場合、MRI検査が必要となるケースがあります。 MRI検査では、レントゲンやCTでは映し出せない神経や筋肉の異常を詳しく調べられるからです。 本記事では、股関節に異常がないかを調べるMRI検査について詳しく解説します。 MRI検査で発見できる病名・疾患や、MRIの撮り方も紹介しているので、股関節の痛みや違和感に悩み詳しい検査を検討されている方は参考にしてみてください。 MRIを含む股関節を調べる画像検査3種【費用相場】 股関節の異常を調べるときに実施される画像検査は、主に以下の3種類です。 レントゲン検査 CT検査(Computed Tomography) MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) 検査の内容や費用をそれぞれ見ていきましょう。 1)レントゲン検査 レントゲン検査は、多くの方にとってなじみのある放射線の一種であるエックス線を用いた検査方法です。短時間で簡単におこなえますし、苦痛もほとんどないため、まずはレントゲンを撮る病院が多いかと思います。 レントゲン検査は、骨の状態、部分を詳しく見るのに適しています。 たとえば骨折や、骨の変形などがその代表です。しかし、筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織は撮影できません。 最近はデジタル化の影響で線量が格段に少なくなっているため通常の検査であれば問題はありません。ただ、放射線を用いる検査ですので、何度も繰り返して検索をおこなうなどの場合は被曝の可能性については気になるところです。 【検査費用の目安】 検査費用:600〜2,000円 ※撮影枚数2枚で3割負担の料金を想定 2)CT検査(Computed Tomography) CT検査は、レントゲンと同じエックス線を用います。 このエックス線をあらゆる方向から照射することで、体の輪切りした画像撮影が可能になります。レントゲンと違って体の内部まで輪切りにした状態で確認ができます。 輪切り画像を重ね合わせて他の断面の画像を構築したり、三次元(3D)の立体画像で確認したりできる検査です。 レントゲン検査よりもさらに詳しく骨の状態を評価できますが、レントゲンと同じく筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織については判断しにくい特徴があります。 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜15,000円 ※3割負担の料金を想定 3)MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) MRI検査とは、大きな磁石(磁場)を利用して体の内部を画像化する検査です。 レントゲン検査や、CT検査ではわからない筋肉や神経などの柔らかい組織を写し出す作業を得意としています。また、何より放射線を使用しないため被曝もなく、患者さんの人体に無害な検査という点で優れています。ただ、装置自体が大きく、とても高価なため、大学病院をはじめとした一部の施設にしか配置されていません。 また、誰でもできる訳ではありません。仕組みとして非常に強力な磁石を用いた装置なので、体内に金属があると検査できない場合があります。 MRI検査の注意点はこちら▼ 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜17,000円 ※3割負担の料金を想定 股関節のMRI検査でわかる主な3つの病名 ここでは、MRI検査で発見できる主な股関節の疾患を3つ紹介します。 ・変形性股関節症 ・関節リウマチ ・大腿骨頭壊死 順番に見ていきましょう。 変形性股関節症 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨がすり減って、骨が変形する疾患です。変形性股関節症を発症し、症状が進行すると股関節に痛みが生じます。 また、股関節の可動域が制限されるようになり、立ち上がる動作や靴下をはく動作などに支障をきたすようになります。 変形性股関節症の詳細はこちら▼ なお、変形性股関節症の治療には、人間の自然治癒力を活用した「再生医療」が有効です。 幹細胞を股関節に注射すれば、すり減った軟骨が再生されます。徐々に痛みが軽減し、手術を回避できる可能性が高まります。 期待できる治療効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にご相談ください。 関節リウマチ 関節リウマチとは、免疫システムの異常により、炎症を起こし痛みや腫れが生じる疾患です。股関節で発症した場合、リウマチ性股関節症と呼ばれます。 症状が進行または慢性化すると、関節が変形したり、こわばり・痛みによって日常生活に支障をきたしたりします。 また、炎症による発熱や、免疫システムのエラーによる臓器障害なども発生する可能性があるので、視野を広げた治療アプローチが必要です。 関節リウマチの詳細はこちら▼ 大腿骨頭壊死 大腿骨頭壊死は、股関節を形成する骨の一部である大腿骨頭への血流が低下して骨組織が壊死する疾患です。原因が不明な場合は「特発性大腿骨頭壊死」と呼ばれ、難病に指定されています。 症状が軽度で壊死の範囲が狭い場合は、経過観察も可能です。 しかし、壊死範囲が広く、症状が著しく進行している場合は、骨切り術や人工股関節置換術の手術が視野に入ってきます。 大腿骨頭壊死の詳細はこちら▼ 股関節を調べるときのMRIの撮り方 股関節を調べるときのMRIの撮り方を以下の表にまとめました。検査の流れを把握しておきたい方は参考にしてみてください。 流れ 検査内容 1.磁性体の装飾品を外す 磁場を発生させるMRIの故障の原因となるため、アクセサリーや時計などの金属類は事前に外しておく 2.検査着に着替える 必須ではないが安全性を考慮して推奨されている(参考1) 3.ヘッドホンや耳栓を装着する 検査中に騒音が発生するため、専用のアイテムで耳をふさぐ 4.ベッドに横たわる 指示に従って体勢を整える。撮影部位を固定する必要があるため患部によって多少体勢が変わる 5.検査開始 トンネル型の機械に入って検査を受ける。検査時間は撮影部位や撮影方法にもよるが、20〜45分 検査結果は、早くて当日中に出ます。詳細な分析を要する場合は、7〜10日ほどかかります。 MRI検査の全体像を解説した記事はこちら▼ まとめ|股関節に異常を感じたらMRI検査を検討しよう MRI検査は、レントゲン検査やCT検査ではわからない筋肉や神経などの組織の異常を詳細に映し出せます。 原因がはっきりわからない痛みや違和感が股関節に現れたら、MRI検査を受けて病名や疾患名を調べると良いでしょう。 早期に原因がわかれば、適切な治療を開始して早い回復を目指せます。 変形性股関節症を含む膝の痛みに対する根本的治療には「再生医療」を推奨します。再生医療は、人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、すり減った膝軟骨の再生を図ります。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 股関節のMRI検査に関するよくある質問 最後に股関節のMRI検査に関するよくある質問と回答をまとめます。 MRIの画像に映る白い影は何ですか? MRI画像に映る白い影の原因は、以下のように複数考えられます。 ・小出血 ・骨髄の浮腫 ・組織や骨の損傷 ・レントゲンには映らないような微小な骨折 医師の話を聞いて、白い影の正確な原因を確認しましょう。 股関節のMRI検査で異常なしでも痛みが生じるのはなぜですか? 小さな組織の損傷は、MRIに映らない場合もあります。そのため、実際には損傷が起きていても、検査結果では「異常なし」と診断されるケースもゼロではありません。 また、股関節の靭帯が緩んで、痛みを伴う場合もあります。靭帯の緩みはMRIでは確認が難しく、検査では異常が見つからないケースもあります。 【参考文献】 参考1:http://fms.kopas.co.jp/fmdb/JJMRM/27/4/230.pdf
2022.03.30 -
- 股関節
- 変形性股関節症
「変形性股関節症にはどのような治し方がある?」 「進行度に応じた治療方法を知りたい」 変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減り、痛みや動かしにくさが現れる病気です。進行度によって治療方針は異なり、早期から適切な治療を進めれば手術を回避できる可能性が高まります。 本記事では進行度に応じた病状や症状をはじめとして、以下を解説します。 前期・初期における治し方 進行期・末期における治し方 悪化させないための日常生活の工夫 進行度別の症状や治療方針の一覧表を解説しています。自身に当てはめながら、変形性股関節症の治し方の理解を深めるために役立ててください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 股関節の痛みでお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 変形性股関節症の治し方は進行度で異なる 変形性股関節症の治し方は、以下のように進行度によって異なります。 分類 特徴 主な治療方針 前期 ・軟骨はほぼ正常だが発症リスクが高い状態 ・長時間の歩行後に痛みが出る ・運動療法 ・薬物療法 ・生活指導 ・理学療法 初期 ・軟骨が徐々にすり減り始める ・歩き始めに脚の付け根に違和感や軽い痛みが出る ・運動療法 ・薬物療法 ・生活指導 ・理学療法 進行期 ・軟骨のすり減りが進み、骨にとげ状の変形が現れる ・安静時も痛みが続く ・薬物療法 ・手術療法 末期 ・軟骨がほぼ失われ、骨同士がぶつかる ・強い痛みで日常生活に大きな支障が出る ・薬物療法 ・手術療法 以上のように病状に応じた治療を進めていきます。 前期・初期における変形性股関節症の治し方【保存療法】 前期・初期における変形性股関節症の治し方は、以下のような保存療法です。 薬物療法 理学療法 装具療法 再生医療 それぞれについて詳しく解説します。 薬物療法 薬物療法では、消炎鎮痛剤により炎症や痛みを抑えて、日常生活の動作の改善を目指します。 薬には以下のような種類があります。 内服薬 貼付薬 注射薬 消炎鎮痛剤には、胃腸や腎臓の障害、喘息発作などの副作用を引き起こすものがあります。そのため、副作用が起きていないか確認するために、定期的に診察してもらう必要があります。 また、薬物療法により痛みが改善したからといって無理に関節を動かすと、病状が悪化するおそれもあるため注意しなければなりません。医師の指示通りに服用を行い、無理せず理学療法を進めていくことが重要です。なお、進行期や末期においても、痛みの状況に応じて薬物療法を行います。 理学療法 理学療法は筋力の強化や関節の動く範囲を改善するために行います。 理学療法の種類には以下のようなものがあります。 理学療法 詳細 運動療法 股関節周囲の筋力訓練、ストレッチ、有酸素運動などを行い、関節の痛みや動く範囲の改善を目指す療法 徒手療法 理学療法士が直接手で触れて、関節の動く範囲や筋肉の柔軟性などの維持・向上を目指す療法 物理療法 ホットパックや低周波、レーザーなどを用いて、痛みや血の巡り、関節の動く範囲、むくみなどの改善を目指す療法 とくに運動療法は、進行度に関わらず重要な治療方法とされています。 装具療法 装具療法では、装具や歩行補助具を用いることで、痛みや歩行能力の改善を目指します。 装具や歩行補助具の種類には以下のようなものがあります。 種類 詳細 杖 ・一般的な持ち手のT字杖や手と前腕の2点を支えられる杖など、さまざまな種類があり病状によって選択する ・体重を分散でき安定した歩行能力の獲得を期待できる 補高装具 (ほこうそうぐ) ・インソールなどにより骨盤や腰椎の歪みを補正するために用いる ・股関節の痛みの改善も期待できる 股関節装具 ・太ももや骨盤付近を固定する装具で股関節への負荷を軽くする ・股関節の負荷の軽減により痛みや安定性の改善などが期待できる 以上のような装具や歩行補助具を病状に応じて活用します。 再生医療 新たな治療方法として期待されているのが再生医療です。再生医療とは、自己の細胞を患部(病気の部位)に注入して、身体が持つ自然治癒力を活かす治療方法です。保存療法と手術療法の中間と位置づけられています。 具体的な治療方法は以下の通りです。 再生医療の種類 詳細 幹細胞治療 (かんさいぼうちりょう) 組織の修復に関わる働きを持つ「幹細胞」を患部に投与する治療方法 PRP療法 血液中の血小板に含まれる成長因子などが持つ、炎症を抑える働きや組織修復に関与する働きを利用した治療方法 実際に変形性股関節症の症例について知りたい方は、以下を参考にしてください。 【症例紹介】 両股関節痛の改善で人工関節回避 両変形性股関節症 幹細胞治療 50代女性 痛み10段階中10の激痛が2に!人工関節を回避 左変形性股関節症(臼蓋形成不全) 60代女性 進行期・末期における変形性股関節症の治し方【手術療法】 保存療法で症状の改善が望めない進行期・末期においては、以下のような手術療法を検討します。 股関節鏡下手術(かんせつ きょうかしゅじゅつ) 骨切り術(こつきりじゅつ) 人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ) それぞれの手術療法について詳しく解説します。 股関節鏡下手術 股関節鏡下手術とは、内視鏡(細い管の先端に小型カメラが付いた医療器具)により、傷んでいる股関節の軟骨の修復を行う療法です。再生医療の前に関節の修復や炎症部位の切除を行うこともあります。 股関節鏡下手術は、関節の周囲に2〜3カ所の小さな穴を開けて、その穴から内視鏡を挿入して行うため、従来の手術よりも負担が少ないのが特徴です。 初期から進行期における変形性股関節症が適応となります。変形性股関節症に移行してしまうおそれがある、大腿骨寛骨臼インピンジメント(大腿骨頭と寛骨臼に異常形態がある病気)に対しても行われることがあります。 骨切り術 骨切り術は、変形した骨を切り取って関節の形を整え、症状の緩和や進行を抑える手術です。初期または進行期の青年期・壮年期の方が適応となります。 骨切り術にはいくつかの種類があり、一例を紹介すると以下の通りです。 種類 詳細 寛骨臼回転骨切り術 (かんこつきゅうかいてんこつきりじゅつ) 寛骨臼の一部をくりぬき、回転させることで大腿骨頭を十分に覆えるようにする手術 キアリ骨盤骨切り術 寛骨臼の上方あたりを切り、大腿骨頭を覆うように横にずらして固定する手術 これらの手術は、大腿骨頭を寛骨臼が十分に覆えていない際に行います。人工的に寛骨臼を形作ることで、関節の温存ができます。なお、軟骨がすり減りすぎた状態では骨切り術を行うことはできません。 人工股関節置換術 人工股関節置換術は、損傷した関節を人工関節に置き換える手術です。進行期や末期の関節の温存が困難な病状に対して適応となります。人工股関節は20~30年ほどが寿命です。そのため、交換が不要となる50代以降の方が適応されるケースが多いです。 現在の人工股関節置換術は、筋肉を切らずに小さな傷口で済む方法で行っています。手術時間も比較的短く済むため、手術中の出血量や感染症のリスクも少なく済みます。 【関連記事】 変形性股関節症|人工関節手術のデメリット・リスクと治療の代替案を紹介 【医師監修】人工股関節置換術後における仕事復帰の目安を解説|職種別の注意点も紹介 変形性股関節症を悪化させない日常生活の工夫【生活指導】 変形性股関節症を悪化させないためには、以下のような日常生活の工夫が重要です。 股関節に負担をかけない日常生活の動作を心がける 肥満を改善する【BMI25未満】 和式から洋式の生活を取り入れる 靴の選び方を意識する 手すりを設置する それぞれについて詳しく解説します。 股関節に負担をかけない日常生活の動作を心がける 変形性股関節症を悪化させないためには、以下のように股関節に負担をかけない日常生活の動作を心がけることが重要です。 早歩きは控えてゆっくりと歩く 長時間の歩行は控えて10〜15分ほど歩いたら休憩を入れる 痛みがあるときは無理して歩かない 重い荷物の持ち運び作業は避ける 長時間の立ち仕事は避ける 階段の上り下りは極力避ける 以上のように、股関節へ負担がかからないように心がけると、悪化を防ぐだけなく症状の改善にもつながります。また、歩行の際は積極的に杖を利用して、股関節への負担を減らしましょう。 肥満を改善する【BMI25未満】 体重管理は股関節への負担を減らすために重要です。体重が重い分だけ股関節に負担がかかり、変形性股関節症を悪化させる要因になるためです。 BMI(体格指数)を25未満に保つことが推奨されています。(文献1)BMIの計算式は「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」です。なお、BMI25以上は日本肥満学会の基準では肥満に該当します。 日頃から食事管理や適度な運動を心がけて、体重管理を行い股関節の負担を軽減しましょう。なお、運動は股関節への負担が少ない水中ウォーキングが効果的とされています。 和式から洋式の生活を取り入れる 「床に布団を敷く」「和式トイレから立ち上がる」などの和式の生活は、股関節への負担が大きいです。 そのため、以下のような洋式の生活を取り入れることが望ましいです。 椅子を活用する トイレを洋式にする 布団ではなくベッド利用する よく利用する食器や日用品などは低い位置に置かない 日常的に「床に座る」「床から立ち上がる」「かがむ」という動作を避けることで、股関節の負担を軽減できます。 靴の選び方を意識する 変形性股関節症を悪化させないためには靴選びが重要です。適切な靴を選べば、股関節への負担を減らし、症状の改善も期待できます。 靴の選び方のポイントは以下の通りです。 スムーズな歩行を促すロッカーソール(靴底が丸く加工してある)の靴を選ぶ クッション性が高く衝撃を吸収してくれる靴を選ぶ 脚の長さの差を整えてくれるインソールは、医師に必要と診断してもらえれば保険適用で作成できます。 手すりを設置する 生活環境の中に手すりを設置すれば、股関節への負担を軽減できます。 例えば、以下のような股関節へ負担がかかる動作を行う場所への設置を推奨します。 玄関など段差のある場所 浴室やトイレなど立ち座り動作がある場所 手すりの設置は、股関節への負担の軽減だけでなく転倒予防につながります。 まとめ|変形性股関節症の治し方の理解を深めて適切な治療を選ぼう 変形性股関節症の治し方には、薬物療法や理学療法、再生医療、手術療法などがあります。これらの治療方法は、進行度や症状に応じて適切に選択しなければなりません。 「ゆっくりと歩く」「長時間歩かない」「洋式の生活を取り入れる」など、日常生活での工夫も症状の悪化を防ぐために重要です。また、変形性股関節症の早期の段階から、適切な治療に取り組めば、手術を回避できる可能性も高まります。 変形性股関節症と診断された方は、積極的に理学療法や装具療法、生活指導を受けましょう。当院「リペアセルクリニック」では、変形性股関節症に対しても再生医療を行っています。まずは相談だけでもお気軽にご連絡ください。 変形性股関節症の治し方に関するよくある質問 Q.手術をしないで治すことはできる? 保存療法を通じて症状の改善や進行の抑制は可能です。しかし、変形性股関節症は完治するものではないため、病状に応じて手術を検討しなければなりません。手術を回避するためにも、早期の段階から理学療法や生活指導を積極的に受けることを推奨します。 Q.末期に手術をしないとどうなる? 末期となり手術が必要な病状であるにも関わらず治療をしないと、痛みの程度や関節の動かせる範囲がさらに悪化していくと想定できます。そうなるとさらに日常生活に支障をきたして、生活の質も低下していきます。 Q.ストレッチは効果がある? ストレッチは、股関節の柔軟性を高めて痛みや関節の動く範囲の改善に役立ちます。 ストレッチの一例を紹介すると以下のようなものがあります。 仰向けに寝て片方の膝を胸に抱える 息を吐きながら引き上げてお尻の筋肉を伸ばす 反対の脚も同様に行う 1回5〜10秒を目安にして行いましょう。 参考文献 (文献1) シリーズ17 変形性股関節症|日本理学療法士協会
2022.01.22







