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- 大腿骨骨頭壊死
- 股関節
歩いていると、股関節に痛みを感じるようになってきた…… そんな人がインターネットで検索すると、「骨頭壊死」という単語を見かけることもあるでしょう。 「骨頭壊死」の文字をみて「骨が壊死したらどうなるの?」「どんな痛み?」と、怖くなっている人もいるかもしれません。 結論、骨頭壊死とは骨の一部が壊死する疾患で、針で刺されたような痛みを感じるのが特徴です。大腿骨や股関節に体重を乗せたときや動かしたときに痛むケースが多くあります。 本記事では骨頭壊死でどのような痛みが出るか、またどんなときに痛みを感じやすいかをまとめました。記事を最後まで読めば、骨頭壊死がどのような痛みなのかがわかり、自分の症状と照らし合わせて病院に行くべきか判断できるでしょう。 【結論】骨頭壊死になると「針で刺された」のような痛みを感じる 結論からいえば、骨頭壊死が起きると鋭い痛みを感じるようになります。これは骨頭にある骨軟骨が壊死し、痛みを感じる神経(痛みの受容体)が刺激されるためです。 この神経は「自由神経終末」と呼ばれる組織で、チクチクと鋭い痛みを発生させることが特徴と言われています。 そもそも骨頭壊死とは、関節を構成する骨頭への血流が途絶えることで、骨の一部が壊死する疾患です。 さまざまな病気や怪我が原因で血流が途絶えるといわれていますが、はっきりと原因がわからないことも多々あります。 原因が不明な骨頭壊死は「特発性骨壊死」と呼ばれていて、大腿骨(太ももの骨)に多い疾患です。 骨頭壊死は体重を乗せたときや関節運動で痛みを感じやすい 骨頭壊死が起きると、体重を乗せたときや関節を動かしたときに痛みを感じるようになります。 たとえば、大腿骨頭壊死の場合、立って体重を乗せたときに、壊死した骨頭に負荷がかかり、股関節に痛みを感じるでしょう。 また、股関節を動かしたとき(とくに内側に捻ったとき)にも大腿骨頭の壊死部に刺激が入るため、痛みを感じる可能性が高いです。 過去におこなわれた大腿骨頭壊死患者へのアンケートでも、「歩行時に痛みでずり足で歩いた」「痛みで足が上がらない」との回答が多く寄せられています。 (参考:羽原美奈子,前沢政次 ほか.特発性大腿骨頭壊死症患者が体験する生活上の困難.社会医学研究.2008,26(1),p.31-40) 骨頭壊死は大腿骨や股関節に起こりやすい 骨頭壊死は上腕骨(腕の骨)や脛骨(すねの骨)にも発症しますが、大腿骨骨頭に多く発生しやすいといわれています。大腿骨頭は体重がかかりやすい上、股関節の中に入り込んで血流が乏しいためです。 骨頭が壊死しただけでは痛みはありませんが、体重がかかることで壊死部がつぶれ、痛みを感じるようになります。 大腿骨頭壊死は骨折や脱臼に伴って起きることが多いため、予防のために転倒しないことが大切です。 また、アルコールもリスクとなるため、予防を考えたい人は生活習慣も見直しましょう。 治療では保存療法で杖の使用やリハビリを検討します。痛みや大腿骨頭の変形が強い場合は、手術も適応です。 なお、大腿骨頭壊死については以下の記事でも詳しく解説しています。気になる人はぜひこちらもチェックしてみてください。 骨頭壊死の初期症状 骨頭壊死の初期症状は壊死部分とその周囲の鋭い痛みです。とくに関節へ体重を乗せたときや関節を動かしたときに痛みを感じます。 たとえば大腿骨頭壊死では、体重をかけたときや足を上げたときの股関節痛が初期症状として多く、腰痛や殿部(お尻付近)・大腿部に痛みが出ることも珍しくありません。症状が進行すると骨の変形に伴う可動域制限や、変形性関節症へと移行していきます。 また、「単純性関節炎」は骨頭壊死と似た症状が出る疾患として有名です。急激に増悪する痛みが特徴ですが、関節の変形は伴いません。そのため、レントゲン画像の撮影で骨頭壊死との鑑別が可能です。 骨頭壊死は早期発見・早期治療が必要な疾患です。少しでも初期症状に当てはまる人は、ぜひ当院「リペアセルクリニック」のメール相談、もしくはオンラインカウンセリングにてお気軽にご相談ください。 大腿骨頭壊死について詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてください。 骨頭壊死の原因 骨頭壊死は、関節の骨折や関節の脱臼に引き続いて起こることがあります。 特発性骨頭壊死の場合は、危険因子として、免疫異常の疾患(膠原病)や臓器移植などによるステロイド投与による副作用、アルコール、喫煙が関連していることがわかってきています。 とくに、ステロイドやアルコールについては国際的に基準が設けられており、ステロイドやアルコールをある程度の量を摂取した方に起こった骨頭壊死では、ステロイドやアルコールとの関連が考えられます。 また、関節の構造的に血流が乏しいと、骨頭壊死に至る可能性が高くなるため要注意です。 骨頭壊死で多い大腿骨頭壊死の場合、大腿骨の骨頭は、股関節内に深くおさまって血管が少ない特徴があります。そのため、何らかの原因で血流障害が起こると、骨に栄養や酸素などが運ばれなくなり、壊死が起こってしまうのです。 まとめ|骨頭壊死では鋭い痛みを感じる!症状が悪化する前に早めの受診がおすすめ 今回は骨頭壊死の痛み方についてまとめました。 骨頭壊死が起きると、体重をかけたときや関節運動時に鋭い痛みが生じます。とくに股関節の大腿骨頭に発症することが多く、初期症状の段階で早期発見・早期治療を進めていくことが重要です。 当院「リペアセルクリニック」では、大腿骨や股関節などの痛みに関する治療として、再生医療を行っています。骨頭壊死の初期症状に当てはまる痛みを感じたら、当院のメール相談、オンラインカウンセリングからご相談いただければ嬉しく思います。 この記事がすこしでも骨頭壊死で悩んでいる人の助けになれば幸いです。 骨頭壊死についてよくある質問 Q. 大腿骨頭壊死では必ず股関節が痛くなるの? A. 必ずしも、股関節が痛くなるわけではありません。 自覚症状としては、比較的急に生じる股関節部痛が特徴的ですが、腰痛、膝痛、殿部痛などで初発する場合もあります。 Q.大腿骨頭壊死では、必ず手術が必要なの? A. 骨頭壊死の病期によっては、手術が必要となる場合もあります。 一方、再生医療で骨頭壊死を治療する試みも始まっています。 当院では、エコーや特殊なレントゲン装置、そして特殊な注射針を使用して股関節内の軟骨損傷している部位を精査して、ダイレクトに幹細胞を注入する再生医療を用いた治療を行っています。また、PRP(多血小板血漿)の併用で、さらなる効果の増強を目指しています。
2023.08.01 -
- 脊椎
- ひざ関節
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- 肩関節
- 肘関節
- 手部
- 足部
リウマチ関節症とは、関節に炎症が起きて痛み、腫れを引き起こす病気です。進行してしまうと関節の変形、機能障害へと悪化してしまうこともあります。 リウマチ関節症の発症には遺伝要因、環境要因など複数の要因が絡んでいるとされています。 その中でも、喫煙は環境要因としてリウマチ関節症に大きな影響を与えていることが研究の結果明らかになりました。 そこで今回の記事では、リウマチ関節症と電子タバコ、喫煙の関係について解説します。 リウマチ関節症に電子タバコは悪影響を及ぼす可能性がある リウマチ関節症へ電子タバコが与える影響については、まだ研究成果が多くないため具体的な影響についてはわかっていません。 しかし、アメリカの研究によると、電子タバコの使用は青少年の間で急増しており、呼吸器系に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。 とくに喘息との関連性が確認され、従来の可燃性製品を使用したことがない若者においても、電子タバコ使用と喘息診断の間に有意な関連が見られました。(文献1) また、電子たばこの煙霧中に発がん性物質が含まれる可能性が指摘されています。(文献2) 現時点では科学的証拠は不十分とされていますが、今後の研究によってはリウマチ関節症の発症や悪化との関連性が明らかになる可能性もあるため、注意が必要です。 喫煙がリウマチ関節症に良くないとされている理由 喫煙は肺がんや肺疾患、動脈硬化や脳血管障害など多くの健康問題を引き起こすことは広く知られています。 ここではとくに、リウマチ関節症の方にとって喫煙が与える具体的な悪影響についてご紹介します。 死亡リスクの増加 リウマチ関節症と診断されている方が喫煙を続けていると、非喫煙者に比べて死亡率が増加することが研究により示されています。 フィンランド社会保険研究所の大規模研究によると、男性の関節リウマチ患者では過去の喫煙によって死亡リスクが2.6倍、現在の喫煙によって3.8倍に上昇することが報告されています。(文献3) また、米国ハーバード医科大学による37万人以上の女性を対象とした追跡調査では、1日25本以上の喫煙をしている女性は、非喫煙者と比較して関節リウマチの発症リスクが1.39倍高くなることが明らかになりました。(文献3) さらに、米国リウマチ学会の発表によると、禁煙した関節リウマチ患者は喫煙を継続した患者と比較して病気の活動性が有意に低下し、寛解率も高くなることが示されています。 このことから、関節リウマチと診断された後の禁煙が病状の改善に有効であると考えられます。 手術の合併症の増加 喫煙は関節リウマチ患者の手術による合併症リスクを高めます。 喫煙者と非喫煙者における膝関節置換術の経過を比較した研究があります。 8,776人の人工膝関節置換術を受けた方を対象とした研究では、そのうち11.6%が現在も喫煙者でした。この研究によると、喫煙者は非喫煙者と比較して、創傷合併症、肺炎、および再手術の発生率が明らかに高いことが示されています。(文献4) このような合併症が起こる理由として、タバコに含まれる一酸化炭素が関係しています。喫煙すると一酸化炭素が赤血球内に取り込まれ、全身の組織に運ばれる酸素が減少します。手術部位の適切な治癒には酸素を十分に含んだ血液が必要であるため、喫煙者では治癒プロセスが滞り、回復に時間がかかるようになると考えられています。 病状の悪化 喫煙はリウマチ関節症の症状を悪化させることが研究で示されています。 159人の変形性膝関節症の男性を最長30ヶ月間追跡調査した研究では、喫煙者は非喫煙者に比べて膝の痛みが強く、軟骨が著しく失われる可能性が2倍以上高いことが明らかになりました。(文献5) また、311人の初期リウマチ性関節炎の患者を対象とした追跡調査では、1年後のX線写真を調べたところ、喫煙者は非喫煙者よりも関節の状態が明らかに悪化していました。(文献6) つまり、喫煙は他の要因とは関係なく、単独でリウマチの進行を早める原因になっていることがわかりました。 リウマチ関節症の改善を目指すなら禁煙からはじめよう リウマチ関節症の症状改善に向けた第一歩として、禁煙が挙げられます。 アメリカのリウマチ学会の研究では、禁煙に成功したリウマチ患者さんは、喫煙を続けている患者さんと比較して、病気の活動性が明らかに低下することが確認されています。 また、喫煙は歯周病のリスクも高めることが知られており、歯周病はリウマチ関節症を重症化させる原因の一つとされています。口腔環境の健康を保ち、リウマチの症状を改善するためにも、禁煙に取り組むことはとても重要です。 まとめ|喫煙・電子タバコはリウマチ関節症の悪化要因となるので禁煙を推奨 リウマチ関節症と喫煙・電子タバコの関係について解説してきました。様々な研究から、喫煙はリウマチ関節症の発症リスクを高め、症状を悪化させることが明らかになっています。 電子タバコについてはまだ研究が進行中ですが、アメリカの調査では電子タバコ使用者にリウマチ関節症のリスク増加が見られています。 喫煙は死亡リスクの上昇、手術後の合併症増加など、リウマチ患者さんの健康に多くの悪影響をもたらします。 リウマチ関節症の治療効果を高め、合併症を減らすためにも、電子タバコを含むすべての喫煙製品の使用をやめることをおすすめします。 参考文献 (文献1) Roh T, et al. (2023). Association between e-cigarette use and asthma among US adolescents: Youth Risk Behavior Surveillance System 2015–2019. Preventive Medicine, 175, 107695. https://doi.org/10.1016/j.ypmed.2023.107695 (最終アクセス:2024年3月30日) (文献2) 厚生労働省「喫煙と健康」2016年 https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000172687.pdf (最終アクセス:2025年3月30日) (文献3) 浜松医科大学「リウマチ・膠原病について」浜松医科大学ホームページ https://www.hama-med.ac.jp/docs/rheumatism/info/index.php (最終アクセス:2025年3月30日) (文献4) Bedard NA, et al. (2018). What Is the Impact of Smoking on Revision Total Knee Arthroplasty? J Arthroplasty, 33(7S), S172-S176. https://doi.org/10.1016/j.arth.2018.03.024 (最終アクセス:2024年3月30日) (文献5) Amin S, et al. (2007). Cigarette smoking and the risk for cartilage loss and knee pain in men with knee osteoarthritis. Ann Rheum Dis, 66(1), 18–22. https://doi.org/10.1136/ard.2006.056697 (最終アクセス:2024年3月30日) (文献6) Saevarsdottir S, et al. (2014). Current smoking status is a strong predictor of radiographic progression in early rheumatoid arthritis: results from the SWEFOT trial. Ann Rheum Dis, 74(8), 1509–1514. https://doi.org/10.1136/annrheumdis-2013-204601 (最終アクセス:2024年3月30日)
2022.08.09 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症の人工関節|手術で年代別に考慮すべき問題やリスク 変形性股関節症に悩まされ、運動療法や薬物治療に取り組むも改善が見られず、症状が進行した場合、人工関節への置換治療を薦められることがあります。 しかし、その選択に関して「年齢」という側面があることを忘れてはなりません。変形性股関節症の最終的な選択肢である手術は今ある関節を「人工関節」と取り換える大掛かりなものになります。 人工関節そのものに抵抗がある、手術を避けたい、入院期間が気になる、痛みが心配など、体や心、生活などの多様な心配事が浮かんで来られるのではないでしょうか。 この中にもありますが、手術について年齢的な問題を特に心配にされる方がおられます。 実際のところ「何歳まで受けることができるのか?」「リスクは・・・」「何歳位の人が多いのか?」「早すぎる、また遅すぎる・・・」など、といった不安や疑問を感じられるのではないでしょうか。 そこで今回は、変形性股関節症の人工関節の手術を受ける際の心配事の内「年齢について」解説致します。 人工関節について患者様の不安(リスク) 人工関節そのものが心配 異物を入れる不安感 手術は避けたい 入院期間が気になる 痛みが心配 リハビリが心配 生活や仕事の心配 年齢的な心配 > 股関節の悩みを最先端の幹細胞治療で治療する 変形性股関節症での人工関節手術|その特徴と年代について 変形性股関節症の発症年齢は、40代以上が多い傾向があります。 手術は、関節の痛みを感じて保存療法等リハビリを行っても症状が進行し、薬物療法等でも痛みが緩和できなくなり、生活に支障をきたす状況になると選択肢として検討されることになります。 変形性股関節症の場合、手術は人工関節の置換術となることが多く、注意したいのが人工関節は、文字通り「人工物」ということです。つまり、物である以上、耐用年数が存在するということです。 考えるまでもなく、股関節には日常生活において大きな力が掛かっていることはご理解いただけるはずです。そのため年数による経年劣化は避けることができないという特徴があります。 ここが大切なところで、年齢的に早くに手術をすると人工関節が緩んだり、そのもの耐用年数が来て機能を果たさなくなってくることがあります。そうなると再手術という可能性があります。 そのため、変形性股関節症の手術を受ける年齢は、60代と70代が圧倒的に多いのです。ただ、変形性股関節症は、40代以下の若い人でも患う可能性があるため、比較的若い年齢でも手術を検討せざるを得ないことがあります。。 30代から40代の年齢で変形性股関節症を発症し、保存療法を続けていたけれど、痛みが強くなってきたため、50代で手術を受けることになるという人もいますし、もっと若い年齢で発症する人もいます。 ただ、近年の人工関節は技術の進歩で耐用年数が長くなってきたことは事実です。そのため、若年層であっても、再手術のリスクがあることを知った上でも、痛みのない普通の生活を取り戻したいとの想いから手術を受ける方もおられます。 若い年代(40~50歳代)で変形性股関節症の手術を選ぶ場合の問題点 変形性股関節症には、高齢者が悩まされるイメージがありますが、40代から50代という比較的若い年齢でも、その痛みに悩んでいる人はいますし、実際に手術を受けている人もいます。 人口関節には寿命があります。そのため、若いうちに人工関節を選択すると将来、再手術が必要になる場合が多く、手術を避ける傾向があります。 ただ、40代、50代という若く、再手術のリスクがある年齢でありながら、変形性股関節症の手術を選択する場合は、長く苦しむよりも、痛みのないスムーズな生活(QOL※の確保)を送ることを優先したいという想いに尽きますが、それ以外にも以下の1~3のような理由が見られます。 ※QOLとは クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life)の略です。 患者さんの肉体、精神、経済、社会といった各面での生活の質にこだわり、豊かな人生を確保するための概念です。 1.体を動かす仕事に就いている 40代~50代といった年齢であれば、まだまだ現役で仕事をする世代です。特に営業の外回りなどをしている、立ち仕事をしている、というような人は、変形性股関節症になると、思うように仕事ができなくなってしまう恐れがあります。 しかし、40代や50代という若い年齢であれば、変形性股関節症になってしまっても手術後にリハビリを行うことで、早い回復が見込めます。 そのため、職場復帰などを考慮するのであれば、なるべく早く変形性股関節症の手術を受けたほうが良い場合もあります。 2.50代・60代以降|スポーツを続けたい 仕事や趣味でスポーツをしている40代の人で、50代、60代になってもスポーツを続けたいと思われるかたは多くいます。そんな場合は、変形性股関節症の手術を早めに検討することがあります。 変形性股関節症は進行する病気、保存療法をおこなっても治癒は困難 変形性股関節症の治療は、「進行を抑えること」と、「痛みを抑える」ことを目的としたものになります。つまり、頑張っても症状は進行するし、痛みも伴うことになります。 そのため、再手術のリスクを抱えていたとしても、手術を受ける年齢が早いほど、術後のリハビリからの回復も早くなり、40代のうちに手術を受けておけば、それ以降、50代、60代でも元気にスポーツができる可能性が高まります。 このようなことから、あまり痛みが出ていない若い年齢であっても変形性股関節症の手術を受ける人がいるのです。ただ人工関節は万能ではありません。手術自体にもリスクがあります。 3.若くても既に変形性股関節症の痛みが出て日常生活に支障がある 変形性股関節症は、あぐらやしゃがみ込むなど、股関節に負担のかかる動作や姿勢を控えるようにして運動療法や薬物療法といった保存療法を続けていれば、ある程度痛みを抑えて日常生活を過ごすことは可能です。 しかし、既に日常生活で痛みが出てしまっている40代の人の場合は、早めに変形性股関節症の手術をおこなったほうが良い場合もあります。 早く手術を受ければ、リハビリの効果も発揮されやすくなりますし、人工関節を入れた場合は、人工関節の扱いに早く慣れることもできます。 そのため、変形性股関節症の痛みがすでに強いという場合は、保存療法で時間稼ぎをするのではなく、40代など若い年齢で手術をおこなうことがあります。 変形性股関節症の手術を控えたほうが良い年齢 変形性股関節症の手術を受けることが多い年齢の平均は60代~70代です。それ以上の年齢になってくると手術を控えたほうが良いケースもあります。 80代以上の高齢者は手術を控えたほうが良い 絶対ということではありませんが80代や90代の高齢者は、一般的に変形性股関節症の手術を控えたほうが良いと言われます。 その理由としては、80代以上の高齢者の場合、身体や筋力の衰えなどのため、手術後のリハビリは、若い人以上に根気よく続ける必要があること、また、本人にも、「リハビリを頑張りたい」という強い意志が求められるためです。 また、家族の十分なサポートがない場合、寝たきりになってしまう可能性もあります。変形性股関節症の手術後のリハビリは、家族のサポートも必要とされます。 80代以上の年齢になると手術は、体力や心肺機能に懸念 80代や90代以上の変形性股関節症の手術は、体力や心肺機能の面でリスクが高いという理由もあり、手術を控えたほうが良い場合もあります。 たとえ本人や家族が手術を希望していたとしても、持病や年齢によって既に心肺機能が低下している場合は、手術が受けられないことも少なくありません。 変形性股関節症の手術は一般的に全身麻酔による手術であるため、心肺機能が低下した状態で手術を受けるというのは、非常に大きな危険が伴うからです。 90代で手術を受けた症例もあるが・・・リスクが大きい 年齢について逆に高齢の場合はどうでしょうか?最高齢だと、90代で変形性股関節症の手術を受けたという症例があります。つまり、人工関節の手術自体は高齢が理由で妨げられないことになります。 ただし、一点。術後はある程度、高度なリハビリが必要となるため、手術のあとにリハビリを受けられるだけの体力がある人に限られます。 逆にリハビリができない場合は、寝たきりになるリスクもあり、手術を受けた意味がなくなる可能性もあり、医師としっかり相談して進めなければなりません。 もちろん家族の術前の同意や、術後の協力、支えが必要不可欠になります。 まとめ・変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて 変形性股関節症の手術は、大掛かりな手術になるため、年齢や生活環境、将来なども見据えた上で手術をおこなうかどうかの選択をしなければなりません。 また、変形性股関節症の手術を受けた後は、リハビリが必要ですが、そのリハビリは年齢が高くなるにつれて難しくなる場合もあります。そのため、変形性股関節症の痛みを手術で改善したいけれど、手術を受けることができないという人もいます。 そこで紹介したいのが、近年注目されている変形性股関節症を「再生医療で治療する」という方法です。 再生医療は、人工関節などを入れる手術と比べても治療期間が少なく済み、副作用のリスクも少ない安全で安心な治療です。そして、年齢が高くても治療できる可能性が広がりますし、高い治療効果を期待することが可能です。 変形性股関節症の手術を検討すべき状態ではあるけれど、体力面、心肺機能などで懸念材料があるという人、治療期間を短くしたい、なるべく体に負担が少ない治療を受けたいという人は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。 >変形性股関節症は「再生医療」という最新治療法で手術・入院を避けて治療することできる方法があります。 以下の動画では、変形性股関節症に悩む患者様が手術ではなく再生医療を選択した経験について語っています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/cjMBSIy0rG0?si=bbBce0OZEgtPY48d 以上、変形性股関節症|人工関節手術の年代別リスクについて記させていただきました。ご質問などございましたらお気軽にお問い合わせください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術せずに症状を改善することができます ▼こちらも合わせて確認しておきませんか 変形性股関節症と臼蓋形成不全の関係性と治療法について
2022.05.12 -
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「MRI検査って結果が出るまでの時間はどのくらいなのか」 「時間がかかるなら予定を組みたいから事前に知っておきたい」 人間ドックでも使用する機会が増えてきたMRI検査ですが、人によっては所要時間以前に検査を受けることが難しい場合があります。 本記事ではMRI検査でできる内容や、注意点について解説します。MRIを用いた検査を予定している人で、本記事で記したMRI検査の注意事項に当てはまる人は、検査の前に担当の医師に申告するための準備ができるので、ぜひ参考にしてください。 MRI検査とは MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)検査とは、強力な磁場を発生させるトンネルのような装置の中で、身体の内部の断面をさまざまな方向から撮影する検査です。 MRI検査は、ベッドに横たわり検査が始まるとベッドが自動で動いてトンネルのような装置の中に入っていきます。磁場が発生するときは工事現場のような大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓をして検査を行う場合もあります。 工事現場の音 80〜85デジベル MRI検査の音 120デシベル程度 MRI検査でわかること MRI検査は、全身の疾患について調べられますが、以下の部位における高い検査能力が特徴的です。 四肢(両手、両足) 関節軟部組織 脊椎 脳 膝 肩 子宮 卵巣 血管 など 骨や、その周辺にある軟骨の状況も精査できるほか、脳を含む頭部や骨盤内の臓器などを検査する際に使われます。 MRI検査とCT検査との違い MRI検査と同じように身体の内部を撮影する検査として「CT検査」があります。MRI検査と同様にトンネルに入って行うもので装置の見た目も似通っているのですが、大きな違いがあります。 それは「CT検査は放射線を使った検査」「MRI検査は磁場と電波を使った検査」の違いです。放射線を使わないMRI検査の方が身体への負担が少ないと考えられます。検査の原理や得意な部位の違いは以下の表でまとめました。 検査原理 得意な部位 MRI検査 磁場と電波 整形外科の主な症状 腱板損傷、腱板断裂、関節損傷、靭帯損傷、半月板損傷、頸椎症、胸椎・腰椎ヘルニア、頸椎ヘルニア、脊髄腫瘍、骨軟部腫瘍、その他 脊髄、関節、脳、骨盤腔内臓器 ※関節軟部組織の描出が得意 CT検査 放射線 骨、脳、肺、腹部 MRI検査の結果が出るまでの所要時間 MRI検査の所要時間は20~45分です。似ている検査方法のCT検査は10~15分なので、比較すると少し長い時間がかかります。身体を動かすと画質が落ちてしまうため、検査中はなるべく身体を動かさないことが重要です。 また、MRI検査の結果が出るまでの期間は、検査当日すぐに出る場合もあれば、7~10日間ほどかかる場合もあります。医療機関によって変わるため事前にご確認ください。 MRI検査当日の所要時間:20〜45分 MRI検査の結果が出るまでの期間:当日または7〜10日 MRI検査の全体的な流れ MRI検査の当日は以下の流れで検査が行われています。 受付しつつ注意事項の確認 問診完了後、検査着にお着替え 検査室に移動しMRI検査の実施 MRI検査終了後、来院時の服にお着替え お会計 MRI検査の結果は郵送でお知らせするケースが大半ですが、必ず担当医に「どのような方法で検査方法が知らされるのか」を確認しておきましょう。 MRI検査の注意点 MRI検査は、強力な磁石と電磁波を使用するので、MRIの検査室内には金属類の持ち込みを一切禁止しています。たとえば金属類が該当し、ファスナーやチャック、金属製のボタンなどが付いた服装では検査できません。 また、女性の方はホック付きのブラジャーも着用できない可能性があるため注意が必要です。その他、バッグはもちろん、携帯電話や腕時計、財布などの貴重品、身に付けているアクセサリーを含めた金属類はすべて取り外してもらうのが必須です。ヘアピンなども忘れがちですので注意してください。 医療機関では、MRI検査で検査着に着替える場合が多いため、なるべく金属が付いておらず着替えやすい服装で来院するとスムーズに検査を受けられます。 金属が付いていなくても発熱系素材の下着なども注意が必要です。 インプラントも素材によっては難しい場合があるので、入れ歯も外してもらう必要があります。 身につけてはいけないものや注意が必要なもの一覧 MRI検査当日は、以下の服装やアクセサリー類などを身につけて来院される場合は注意が必要です。 MRI検査時に注意が必要なもの一覧 身に着けてはいけないもの、注意が必要なもの ファスナー、金属ボタンのついた衣類 メイク、マニキュア(アイシャドウ、マスカラ、ネイルアートに注意) 入れ歯、(インプラントは事前相談が必要です) 腕時計、メガネ、へアピンなどのアクセサリー類 コンタクトレンズ(事前相談が必要です) コルセット系の下着、ホックが付いた下着・衣類 金属のついている服や下着 発熱保温機能付の衣料(ヒートテック等) など 体内にペースメーカーなどを埋め込んでいる人 MRI検査は、強力な磁石や電波を使うため、火傷などの事故が起こらないよう十分に気を付けなければなりません。人によっては、身体の状態や状況によってMRI検査を受けるのが難しいと判断されるケースがあります。 以下の事項に当てはまる人は、MRI検査を受けられない場合があるため注意が必要です。 体内に金属(インプラント、ペースメーカーなど)を埋め込んでいる人 手術などで体内に金属、プレートやボルトを埋め込んでいる人は、MRI検査で使用する磁石と金属が反応して検査画像の乱れや火傷の原因となる可能性があります。 金属を体内に埋め込んだ症歴がある場合は、検査を受ける前に必ず申告し「MRI検査が可能であるか」を確認しておきましょう。治療を受けた病院で、金属の種類を事前に確認を求められるケースもあります。 体内に金属類を埋め込んでいる人で注意が必要なケース一覧 心臓ペースメーカー 骨折で体内に金属が入っている 脳動脈クリップ 血管ステント挿入 人工内耳、人工中耳 脳深部刺激装置 入れ墨、アートメイク リフトアップを金糸で行った場合・ 妊娠中、または妊娠の可能性 金属片が飛び散る職場での勤務 閉所恐怖症 ※上記でもチタンを用いたら、検査を受けられる場合もあります 刺青やアートメイクをしている人 刺青やタトゥーで検査ができないケースについて不思議に思う人も少なくないでしょう。実は刺青やタトゥーの色素に鉄などの金属が含まれている場合があり、MRI検査の強力な磁石と反応すると火傷を引き起こす可能性があるからです。 アートメイクの場合も、使用される金属の量はわずかですが、ごくまれに刺青と同様に検査画像が乱れてしまいます。火傷を引き起こす可能性もあるため、同じく注意が必要となります。たとえばマグネットネイルやミラーネイルなども変色の恐れがあるので注意しましょう。 刺青やアートメイクをしている人は、MRI検査を受ける前に必ず担当医師へ申告しましょう。 閉所恐怖症/狭いところが苦手な人 MRI検査は、狭いトンネルのような空間で行われるため、狭いところが苦手な人や閉所恐怖症の人は事前に申し出るのをおすすめします。MRI検査の検査時間は、長いと40分ほど必要になるため、閉所恐怖症の人は注意が必要です。 狭いところが苦手なのを事前に伝えておけば、医療機関によってはMRI機器の明るさを調整したりできる場合があります。検査機関によっては、オープン型のMRIを使用できるので事前に確認しておきましょう。 また、我慢できない場合は検査員に知らせるためのスイッチがあるので、気持ちを楽にしてお受けください。MRI検査について不安な点があれば、たとえ些細なことであっても検査を行う前に医療機関へ相談しましょう。 メイクやコンタクトレンズを着用をしている人 MRI検査を受ける際は、通常のメイクであっても注意が必要です。メイクをしたままMRI検査を受けるのは大きなリスクが伴います。 アイシャドーやマスカラ、アイラインなどの化粧品は、種類によって金属が含まれている場合があるため、検査画像の乱れや火傷を引き起こす恐れがあります。 正しく検査を終えられるように、MRI検査が始まる前までにメイクを落としておきましょう。 コンタクトレンズ(とくにカラーコンタクトレンズ)も注意が必要です。コンタクトレンズには鉄成分が含まれている場合があるため、コンタクトレンズをつけたままMRI検査を受けると検査画像への影響や火傷の危険があります。 コンタクトレンズを使用している人はMRI検査の前に外しておくか、検査の日は眼鏡をかけて来院し、検査中は眼鏡を外すような対応を行うのが無難です。 その他食事などにおける注意事項 MRI検査で腹部や骨盤の検査をする人は「食事の制限はしておくべきか」気になる人も多いでしょう。腹部や骨盤のMRI検査では、約6時間前までに食事を済ませてもらうよう案内しています。 水の摂取に関しては、MRI検査の直前までは問題ありません。とくに骨盤のMRI検査を受ける人は、来院の1時間前までに排尿を済ませておいてもらう必要があります。仮に来院1時間を過ぎたタイミングで排尿された場合は、300ml程度の水を摂取してから検査を受けましょう。 まとめ・MRI検査と検査を受ける際の注意点を把握しておこう MRI検査の造影剤は、被ばくの危険性がないため、CT検査よりも身体に負担の少ない検査であると言われています。しかし、体内に金属を埋め込んでいる人や刺青をしている人は危険が伴うため検査が受けられない場合があることを把握しておきましょう。 メイクをしたままやコンタクトレンズを付けたままの状態でMRI検査を受けるのも大きなリスクが伴います。必ずMRI検査を受ける前に注意事項を確認しておきましょう。
2022.04.18 -
- 股関節
- 変形性股関節症
股関節の病気の種類と治療法・人工股関節を手術した場合のリハビリと注意事項 股関節の痛みをもたらす原因となる病気は、初期の段階では「保存療法」を行い、症状が進行した結果、末期に近づくにつれて「手術」となるケースが多く見られます。 医師より、「人工股関節を入れたほうがいい」などと言われると、「手術という不安感」と、「人工関節という戸惑い」、そして「痛み」などについて動揺や心もとない、不安なお気持ちになられるのではないでしょうか? そこで人工関節の検討が必要となる股関節の病気を明らかにし、その治療法を解説致します。また、人工関節の手術で気になる痛みを「手術そのものの痛み」、「手術後の痛み」について解説し、ご心配にお応えいたします。 股関節の病気と治療法 まずは、股関節に対する人工関節の手術(人工関節置換術)についての基本的なことについて解説します。 股関節を手術する原因となる病気の種類 股関節を人工股関節に置き換える手術を行うには、何らかの原因が存在しています。例として股関節の手術が必要になる可能性がある病気としては、以下のような病気が挙げられます。 ▼手術の可能性がある 変形性股関節症 大腿骨頭壊死症 関節リウマチ 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 変形性股関節症 股関節の軟骨成分が変性し、すり減ってしまうことで股関節に炎症を起こし、股関節の痛みや変形などの症状を引き起こす病気です。 大腿骨頭壊死症 大腿骨頭部の血流が滞って骨頭の細胞が壊死を起こし、細胞が死んだ部分の骨が変形を起こすことで痛みや歩行障害などを引き起こす病気です。 関節リウマチ 免疫異常によって自己抗体(体内の正常な細胞を損傷させる物質)が生み出され、全身のさまざまな関節がその影響を受けることで痛みなどの症状を引き起こす病気です。 股関節脱臼や股関節骨折の後遺症 事故などの外傷による衝撃で股関節がダメージを受け、脱臼や骨折を起こした後の後遺障害として関節疾患を引き起こすことをいいます。 上記、いずれにしても「股関節の痛み」や「歩行機能障害」など、日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性が高い症状を引き起こすため、適切な治療を継続する必要があるのです。 股関節の病気の治療法(保存療法) 股関節に関する上記の病気の治療方針としては、主に「初期段階には保存療法を適用し、保存療法が奏功しなくなったら手術を検討する」という方針がとられていました。 保存療法とは、発生している症状を緩和し、運動療法などによって患部の機能障害の進行を防止する治療法のことです。 保存療法は体への負担が小さい治療法として多くの症例で用いられる治療法ですが、上記の「機能障害の進行を防止する」という効果は完全なものではなく、加齢などの条件も重なって次第に症状は進行してしまいます。 結果、進行期から重度の疾患にまで症状が進行してしまい、次第に保存療法では十分に痛みなどの症状を緩和できなくなってしまうのです。 そうなると、以下のような股関節の手術を選択する可能性があります。 股関節の病気の治療法(手術の選択) 手術 人工股関節置換術 骨切り手術 関節鏡手術 人工股関節置換術の「手術中の痛み」と「手術後の痛み」について 手術というだけでも「痛み」については誰もが気になるところです。しかも、人工関節置換術となると、その言葉だけで更に心配になられる方が多いのではないでしょうか。 まず安心していただきたいのは、変形性股関節症などの治療において用いられる人工股関節置換術は、当然ながら「麻酔」を利用しますので、手術中に痛みを感じることはありません。 しかも、人工股関節置換術を実施する際には「全身麻酔」を用いることが多いため、痛みはもちろん、患者さんが手術中の様子や音などで不安を感じることもないのです。 人工股関節の手術に関する痛みについて、問題になるのは、麻酔が切れた後の「手術後の痛み」です。麻酔が切れると当然ですが痛みが起こります。 手術後の痛みに関しては痛み止めを使用します。薬剤によって痛みをコントロールすることになるのでご安心ください。手術後の痛みのピークは、手術直後から手術当日の夜の間が最も強く、その後は時間の経過に伴って軽減していき、手術後数日でおおまかな痛みは落ちつくでしょう。 また、「硬膜外麻酔」という麻酔術を手術前にすることで、手術後の痛みを軽減する治療が可能なケースもあります。 人工股関節置換術後リハビリと注意事項 股関節の痛みは、痛み自体や歩行機能への影響などがあるため、可能な限り最小限に抑えたいところです。股関節の人工股関節置換術の後、いわゆる「リハビリ期」において注意するべきポイントを押さえておきましょう。 リハビリは指示に従う 人工股関節の手術をしたら、入院とリハビリが必要になりますが、リハビリを行うにあたっては必ず「指示に従う」ことを遵守してください。 股関節の手術に限らず、手術後はデリケートな状態にありますので、早く退院したい、早く治したいとの想いで医師が禁止していることをしてはいけません。医師の指示通りにしないと、最悪の場合は手術をやり直さなければならなくなるケースもあります。 仮に人工股関節の手術後の痛みが抑えられて「きちんと治った!」と思っていても、実は勘違いという可能性もあるので、リハビリは医師の指示に従って安全におこないましょう。 股関節の脱臼リスクが高い動作は避ける 人工股関節置換術の後、気を付けるべきなのは「脱臼を避ける」ことです。リハビリ中、大きく仰け反るような動作、正座からひねって立ち上がるといった動作で脱臼しやすく、脱臼リスクの高い動作は意識して避けなければなりません。 スポーツなど、激しい動きがあるものは医師の許可を得る 人工股関節置換術の後、「スポーツ」や激しい動きと伴うものは、必ず医師の許可を得てからおこなってください。 特に重いものを持ったり、ジャンプの多い競技、急なストップや方向転換などなどの激しい動きあったり、相手にぶつかるような競技を避ければ、特に制限を設けることなく好きなスポーツに復帰することができるでしょう。 やりたいスポーツに関して担当医に相談し、どういった動作は避けなければならないか、そもそもリハビリ中に復帰可能なスポーツであるかの判断をもらうようにしてください。ただし、OKが出ても無理は禁物です。最初は試運転、徐々に取り組みましょう。 股関節への負荷を抑えるための体重コントロール 人工股関節置換術の後、人工股関節を少しでも長持ちさせるためには「体重コントロール」が欠かせません。股関節には上半身の重さがかかるため、体重が重いと人工股関節への影響が大きくなり、人工股関節の損傷リスクを高めることになります。特に運動を行う場合は、注意が必要です。 ただ適度な運動習慣を身につけることは大切です。この機会に適度な体重を維持できるように運動や食習慣といった生活全体の習慣を見直し、必要に応じて医師の指示した運動・生活メニューを実施するようにしましょう。 手術そのものを避けられる!再生医療という選択肢も生まれています 股関節の重い症状に対して人工股関節の手術などをおこなう場合、手術後の痛みのリスクを無視することはできません。保存療法は効かない、けれども手術は痛みや体への負担が気になるという患者さんは最新の医療分野「再生医療」も検討してみてください。 股関節の再生医療は自身の細胞によって股関節の軟骨の損傷を修復し、変形性股関節症などの症状の進行を遅らせて痛みを改善する効果が期待できます。 例えば「幹細胞」を利用した再生医療をする場合は、患者さん自身から幹細胞を採取(切開して脂肪を採取する等)し、これを培養してから患部に注射するという治療をおこないます。 この治療法であれば、人工股関節の手術ほど体への負担はありませんし、手術後の痛みの心配もほとんどないでしょう。 従来の保存療法では奏功しなくなった患者さんでも効果がみられる可能性があり、アレルギー・感染症・拒否反応といった副作用のリスクも少ないので、メリットの多い治療法と言えます。 下記の動画では、再生医療がどのようにして変形性膝関節症や変形性股関節症の患者様の痛みを軽減し、生活の質を向上させることができるかを示しています。是非参考にしてみてください。 https://youtu.be/03G87sTv2D4?si=soT1LvOnshMVSFB_ まとめ・股関節の病気の種類と治療法 人工股関節の手術(人工股関節置換術)は、手術後の痛みをコントロールすることは可能です。 手術後のリハビリは医師の指示のもとで安全におこない、脱臼や人工股関節の損傷などのリスクを少しでも減らすようにして痛みの改善ができれば、生活の質がグンと良くなるでしょう。 しかし、外科的な手術はどうしても避けたい、人工股関節のような手術を受けると、手術後の痛みがどうしても心配で仕方がないなどという人は、再生医療を選択するのもおススメです。 以上、人工股関節の原因となる股関節の病気と手術の痛みについて、手術中及び、手術後について記させて頂きました。 尚、再生医療は、股関節の痛みについて、多くのメリットがある治療法です。お気軽にお問い合わせください。親身になって詳しくご説明させて頂きます。 ▼ 最先端医療「再生医療」で股関節を治療する方法 股関節症の新しいい治療法、再生医療は、人工関節を避けて治療できる新しい医療分野です ▼以下も変形性股関節症の記事をご紹介しています 股関節の人工関節置について、高齢者が手術前に知っておくべきリスクとは?
2022.04.08 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症と診断されたら、今以上に悪化させないように気をつけたいと考える方は多いのではないでしょうか。 変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨の変形によって骨同士が擦れ合ったりして炎症が起こり、痛みを伴う疾患です。 変形性股関節症の悪化を防ぐには、ストレッチをして股関節の柔軟性を高めることが効果的です。股関節周りやお尻に効くストレッチを中心におこない、可動域を広げましょう。 今回は、変形性股関節症を悪化させないためのストレッチ方法や、気をつけるべきことを解説してまいります。手術を伴わない再生医療による治療法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 変形性股関節症を悪化させないためのストレッチ方法 変形性股関節症を悪化させないためには、ストレッチをはじめとする運動療法が効果的です。ここでは、変形性股関節症の方におすすめのストレッチ方法を紹介します。 股関節の前側に効くストレッチ 股関節の内側に効くストレッチ 寝ながらできる股関節のストレッチ 股関節に負担をかけないように気をつけながら、ストレッチをして股関節の柔軟性や可動域の維持に努めましょう。なお、痛みがあるときは無理をしないことが大切です。やりすぎは逆効果になる場合があるため、ストレッチをして痛みが強くなったら医療機関を受診するようにしてください。 股関節の前側に効くストレッチ 変形性股関節症の悪化を防ぐためには、股関節の前側に効くストレッチがおすすめです。 左右いずれかのお尻を椅子に置き、横向きに座る 椅子に腰掛けていないほうの足を軽く後ろに伸ばし、つま先を立てる 椅子に腰掛けていないほうの足をさらに後方に伸ばしていく このとき、前側の股関節から太ももまでの筋肉を伸ばすイメージでおこなうことがポイントです。1セットあたり40秒程度を2〜3回繰り返し、左右の足を替えておこないます。 椅子に半分腰掛けた姿勢でストレッチするため、椅子の大きさや形によってはバランスを崩しやすいため注意が必要です。 股関節の内側に効くストレッチ 股関節の内側に効くストレッチも、変形性股関節症の悪化を防ぐために効果的です。 椅子に座って左右いずれかの足をもう片方の膝の上に乗せる 乗せた足の膝を下方向から外側に押し下げる 上半身をゆっくりと前に倒す このとき、股関節の内側からお尻の筋肉を伸ばすよう意識してください。1セットあたり40秒程度で2〜3回繰り返し、左右の足を替えて同じようにストレッチします。椅子に深く腰掛け、安定した状態でおこなうことがポイントです。 寝ながらできる股関節のストレッチ 股関節に効くストレッチには、寝ながらできるものもあります。 仰向けで寝る 左右いずれかの膝を両手で抱えて身体に引き寄せる この姿勢を約15秒間キープし、2〜3回繰り返して左右の足を替えます。膝を抱えて身体に引き寄せるとき、反対側の足は伸ばしたままの状態にします。痛みを感じない程度に無理なくストレッチしてください。 ストレッチ以外の運動療法 変形性股関節症の悪化を防ぐためには、ストレッチ以外の運動療法も効果的です。軽いウォーキングも、股関節の柔軟性を高め、可動域を広げるために有効です。 ウォーキングをする際は、ゆっくりとしたペースで歩行しましょう。歩く速度が早いと股関節に負担がかかり、かえって症状を悪化させるリスクがある点に注意してください。 また、筋力トレーニングをして筋力強化を図ることも大切です。股関節周りの筋力強化によって、股関節の動きを安定させたり衝撃から関節を守ったりできます。ただし、ストレッチと同様に過度な負荷がかかる筋力トレーニングは逆効果です。ウォーキングや筋力トレーニングも、痛みのない範囲内で無理なく続けましょう。 変形性股関節症に効果的な筋力トレーニングについて詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。 変形性股関節症の悪化を防ぐためにやってはいけないこと【ストレッチ以外】 変形性股関節症は、股関節に負担がかかると症状が進行してしまいます。そのため、変形性股関節症の症状の進行を抑え、悪化を防ぐために、やってはいけないことがあります。 以下で、それぞれ詳しく見ていきましょう。 股関節に負担をかける 変形性股関節症の初期の段階では、痛みを感じない場合も少なくありません。しかし、変形性股関節症の悪化を防ぐために、やってはいけない姿勢(禁忌肢位)があります。 変形性股関節症の禁忌肢位は、主に以下の通りです。 横座りや割り座 しゃがむ姿勢や長時間ひざまずく姿勢 足組み テニスやゴルフなどの股関節を捻る動作を伴うスポーツ ほかにも、長時間同じ姿勢を維持しない、横向きか仰向けで寝るといったことを心がけると股関節への負担を減らせます。変形性股関節症の進行を防ぐためにも、日常生活からできることを意識しましょう。 長時間連続して歩く 変形性股関節症の場合、長時間連続して歩くことは避けましょう。長時間の連続した運動は、たとえ軽度であっても筋肉が疲労してしまい、関節に負担をかけてしまうためです。 また、股関節の骨と骨の間にある軟骨は、衝撃を吸収し、骨同士が直接触れ合わないようクッションの役割を果たしています。しかし、軟骨は関節を使うことで徐々にすり減ってしまうため注意が必要です。 変形性股関節症と診断されたら、歩くときにもできるだけ股関節に負担がかからないように意識する必要があります。少しくらい大丈夫だろうといった考えは捨てて、無理をしないようにしてください。 痛みを感じるような運動やトレーニングを控える 変形性股関節症と診断されたら、無理は禁物です。筋力をつけようとして痛みを感じるほど運動してしまうと、かえって症状が進行してしまうケースも少なくありません。 変形性股関節症では、適度な運動が推奨されます。しかし、激しいダンスやエアロビクス、ボーリングやウェイトマシーンを使っての筋力トレーニングは関節へ過度な負担がかかるため避けるべきです。 変形性股関節症のリハビリテーションでは、関節への負担が少ないウォーキングや水中歩行などをゆっくりおこない、関節に無理をかけないように気をつける必要があります。 肥満を放置する 変形性股関節症の場合にやってはいけないこととして、肥満の放置が挙げられます。普通に歩くだけでも、関節には体重の約3~5倍の負担がかかります。そのため、体重は直接股関節へ負荷をかけることになるため注意が必要です。 とくに中高年になると身体の基礎代謝が落ち、体重管理が難しくなります。運動も大切ですが、肥満を改善するためには食生活の見直しが必要です。 変形性股関節症において気をつけたいことは、食べ過ぎないことと栄養バランスの良い食事を心がけることです。夕食は寝る2~3時間以上前には済ませ、暴飲暴食は避けましょう。 また、早食いにならないようにゆっくりとよく噛むことで、食欲が抑えられ、食べすぎを防げます。変形性股関節症と体重管理は切り離せないだけに、十分気をつけましょう。 変形性股関節症の治療法を検討する際のポイント ここでは、変形性股関節症の治療法を検討する際に気をつけることについて解説します。 納得できる医療機関を見つける 変形性股関節症の治療においては、納得できる医療機関を見つけることが大切です。変形性股関節症では、以下をはじめとするさまざまな治療がおこなわれます。 薬物療法 運動療法 手術療法 まずは薬物療法や運動療法で症状の改善を目指し、思うような効果が現れない場合には、手術療法を検討します。 変形性股関節症の手術療法では、入院が必要です。しかし、なかにはどうしても仕事が忙しくて時間が取れないといった理由で手術を希望しない人もいます。 また、手術療法にも骨切り術や人工関節置換術があり、その後の通院頻度や入院期間も異なります。 変形性股関節症の治療においては、病院までの距離や医師との相性なども含め、本人や家族が納得できる医療機関を見つけることが必要です。 意思や希望を主治医に伝える 変形性股関節症の方は、今後どのように治療を進めていきたいか、自分の意思をしっかりと主治医に伝えるようにしましょう。また、家族の意思や希望もあわせて伝えておくと安心です。 自分の意思や希望が治療に反映されていないと、モチベーションが下がってしまい、治療自体に影響が出るケースも珍しくありません。 すぐに手術を受けたいのか、しばらくは飲み薬のほかに湿布薬や座薬を使って様子をみたいのかなど、医師に希望を伝えた上で、相談しながら治療を進めましょう。 変形性股関節症に対するステロイド薬の使用について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 変形性股関節症には再生医療という選択肢もある 変形性股関節症の治療における選択肢として、再生医療があります。かつて変形性股関節症の治療では、薬で痛みが抑えられなくなった場合には手術をするしかないといわれていました。 しかし、現在では身体への負担が少なくて済む再生医療による治療も選択可能です。 再生医療と手術はどのように違うのか 再生医療は、自分の血液や幹細胞を使用するため、体への負担が少なく、短期間での治療が目指せる治療法です。 一方、人工関節置換術のような比較的大がかりな手術では、深部静脈血栓症・肺塞栓症・人工関節の再脱臼といった合併症のリスクを伴います。 再生医療の効果はいつまで続くのか 再生医療の治療効果は人工関節の耐久年数と同じ程度の持続が期待されています。 人工関節には耐久年数があり、一般的には平均15〜20年程度といわれています。人工関節の場合、経年劣化による不具合によって疼痛が発生するリスクがあります。 また、日常生活に支障が出る場合には、再手術が必要になるケースも少なくありません。 薬物療法や運動療法では効果が感じられず、手術を受けようか悩んでいる方、あるいはどうしても手術を受けたくない方にとって、再生医療はもう一つの選択肢になります。 以下の動画では、再生医療が変形性股関節症の痛みをどのように軽減したかを説明しています。ぜひ参考にしてみてください。 https://www.youtube.com/watch?v=ZYdyeWBuMQA まとめ|ストレッチをして変形性股関節症の悪化を防ごう 変形性股関節症の治療においては、股関節に負担をかけないように気をつけることが大切です。 おすすめは、股関節の前側・内側、お尻周りに効くストレッチです。なお、ストレッチは痛みを感じない程度でおこなうことがポイントです。痛みが現れたり、股関節に違和感を感じたりする場合は、ストレッチを中止して医療機関を受診してください。 ストレッチ以外にも、日常生活でできるだけ股関節に負担をかけないよう気をつけ、変形性股関節症の悪化を防ぎましょう。 なお、リペアセルクリニックでは、無料のメール相談を実施しています。変形性股関節症の症状が改善せずにお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。
2022.04.07 -
- 股関節
- ひざ関節
- 肩関節
- 肘関節
- 手部
「痛み止めにステロイド注射を使う効果は?」 「痛み止めのステロイド注射はどんな副作用があるの?」 ステロイドは、変形性膝関節症や変形性股関節症を始め、各種関節症の保存療法(薬物療法)で、痛み止めとして使われているメジャーな薬です。 ステロイドは痛み止めの薬として効果を発揮します。ただ、ステロイドの副作用が気になり、怖いと感じる方もおられるはずです。 今回は関節症の痛み止めに使われる機会が多いステロイド注射の効果、副作用などをご説明いたします。 最後まで読んでいただければ、ステロイド注射を使うメリットとデメリットを理解できるので、治療を受けるべきか迷われている方は参考にしてみてください。 関節症に痛み止めのステロイド注射を使う効果は2つ 関節症に痛み止めのステロイド薬(ステロイド注射)を使う効果を2つ解説します。 ・鎮痛効果 ・抗炎症作用 鎮痛効果 ステロイド薬を使うメリットには、鎮痛効果による痛みの緩和があげられます。 各種関節症の発症初期には、保存療法(薬物療法)がおこなわれるケースが一般的です。 ステロイド注射は痛みを緩和させる目的で、以下のようなときに使います。 ・生活を送るときの不自由さを減らすため ・運動療法による治療効果を高めるため とくに運動療法を行うときに痛みがあると、痛む部位を守ろうとするあまり、ほかの筋肉や組織に力が入りがちです。結果としてほかの部位まで痛める可能性もあります。 保存療法を有効に進めるためにも、ステロイド注射で痛みを減らす必要があるのです。 抗炎症作用 ステロイド薬には、炎症(痛みの原因)を和らげる抗炎症作用があります。 痛みの原因物質の産生を抑えられると、鎮痛(痛みを抑える)効果が期待できるのです。 各種関節症の保存療法では、初期の段階ではステロイド注射で痛みを緩和しながら炎症を防ぎ、リハビリなどの運動療法における効果を上げる目的で使います。 痛み止めのステロイド注射に関する副作用 ステロイドに悪いイメージがあるのは、副作用があると聞いたからではないでしょうか。 実際に、ステロイド注射の副作用のひとつに「骨が脆くなる」点があげられます。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療を行えない場合があるのです。 以下で、副作用における一例をまとめています。 【ステロイドの副作用】 ・ステロイド注射を長期間、あるいは短期間に多く投与された場合 →股関節の「大腿骨頭」、肩関節の「上腕骨頭」、 「膝関節」の骨への血流が阻害され、骨の組織が壊死する危険性がある ・短期的に大量に使ったり、長期的に使ったりした場合 →骨の代謝やホルモンの産生に影響を与える ・長期的に使うと骨を脆くする危険性がある →「大腿骨骨頭壊死」「上腕骨頭壊死」「膝関節骨壊死」 といった困難な症状を招く可能性もある 【骨粗鬆症のリスク】 ・ステロイド注射は短期間に多くの投与、あるいは長期間使うと、 骨やホルモンの代謝に影響を与えかねない 【感染症になりやすい】 ・ステロイド注射は免疫を抑制するため、 長期間、関節内に投与を行うと「化膿性関節炎」になる危険性がある ・関節炎になった場合、抗生物質の内服による治療や、 重症化した場合は、関節内の洗浄が必要になる しかし、ステロイド注射は、変形性膝関節症や変形性股関節症、肩の関節症などの痛みに対して鎮痛、消炎(炎症をとりさること)の改善効果が得られます。 デメリットを過大評価すると使うのをためらってしまいがちです。 先にステロイド注射を使うデメリットを知っておくと、ステロイド治療に対する判断の一助となり、医師の診断や意見を理解する上でも役立ちます。 医療機関などで医師の管理のもと、適切にステロイド治療を行えると、必要以上に怖がる必要はなくなるはずです。 【長期使用はNG】痛み止めのステロイド注射は根本治療にならない ステロイド注射は、関節症の痛みで困っている場合に高い鎮痛効果が期待できます。 ただ、副作用があるステロイド注射を長期間、継続して使うのはおすすめできません。短期間でも大量に使うのは避けましょう。 また、ステロイド治療は、骨の変形や軟骨のすり減りなど、関節の状態を修復する効果はありません。病気の進行を止めるなど、根本的な治療を目的としていないのです。 たとえば、変形性関節症は進行する病気です。変形性関節症の人がステロイド治療を行っても、最終的には手術が必要となる可能性があります。 関節症におけるステロイドでの治療方法について 関節症でのステロイド治療は、内服薬と注射があります。 症状や状態にもよりますが、内服薬で痛みに対する効果が感じにくくなった場合に、関節内にステロイド薬を直接注射する流れが一般的です。 ステロイド薬を関節に注射すると、抗炎症作用により痛みを改善します。ただ、何度も申しますが、長期的な使用や短期の大量投与は、副作用のリスクがあるので避けましょう。 また、関節症の症状が進行するとステロイドの効果が減少して、外科的治療として手術の選択を迫られるかもしれません。 しかし、近年はステロイド注射以外にも、手術や入院を避けられる再生医療の治療方法もあります。 再生医療の幹細胞治療では、膝や股関節、肩などの治療において、自身の幹細胞を培養して関節注射を行う流れです。 まとめ|関節症のステロイド注射は痛み止めに効果がある ステロイド薬は、内服や痛む関節に直接注射する方法で使います。鎮痛効果と抗炎症作用により、痛みを緩和させる効果があります。 ただし、ステロイド注射はメリットがある反面、副作用もあるので注意が必要です。短期的な大量投与や、長期的なステロイド治療は避けるべきです。 ステロイド注射は問題のある部位を修復できないので、根本的な解決はできません。 ただ、医療機関などで医師の管理下で治療するなら、必要以上に怖がる必要はないでしょう。ステロイドの特性を知った上で、治療に使っていただければと思います。 また、関節症に関わる治療のひとつとして、再生医療もあります。ステロイド治療以外で、根本的な治療を探している方は、再生医療の治療方法も視野に入れてご検討ください。 痛み止めのステロイド注射に関するQ&A 痛み止めのステロイド注射に関して、質問と答えをまとめています。 Q.関節症における痛み止めのステロイド注射は保険適用ですか? A.はい、一般的には保険適用になります。 ただし、症状や治療方法によっても変わる可能性があるので、詳細は医療機関でご確認ください。
2022.04.01 -
- 股関節
- 変形性股関節症
「病院で人工股関節への置換術をすすめられた」「変形性股関節症の手術が決まっている」といった方の多くは、手術後の生活が気になるのではないでしょうか。 股関節の変形などの治療として手術で人工股関節を入れても、すべてが元通りになるわけではありません。手術後は、股関節に負担がかからないよう動作や姿勢に気をつけて生活する必要があります。 今回は、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことを解説します。早期回復のためのポイントや仕事復帰までの目安もまとめているので、人工股関節手術を控えている・検討している方は、ぜひ参考にしてください。 人工股関節手術後の生活で注意したいこと 人工股関節手術後は、過度な運動や負担がかかる姿勢を避けて生活する必要があります。具体的には、以下の3つに注意して過ごしましょう。 過度の運動を避ける 転倒しないように気をつける 股関節に負担がかかる姿勢を避ける それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 過度の運動を避ける 人工股関節手術後は、過度の運動を避ける必要があります。手術をしたからといって、ハードな運動ができるわけではありません。過度な運動は股関節の脱臼やゆるみを起こしてしまう可能性があるため、注意が必要です。 ただし、適度な運動は、股関節周りの筋肉を鍛えることにつながるため、無理のない範囲で体を動かすことをおすすめします。実際に、人工股関節手術後の生活で、ハイキングやウォーキングなど、さまざまな運動を楽しんでいる人もいます。 手術後の生活で無理なくできる運動は、水泳やウォーキングなどです。ただし、水泳の場合、股関節に負担がかかる平泳ぎよりもバタ足などがおすすめです。また、ウォーキングは15分程度の軽い運動にとどめるなどの配慮が必要です。 転倒しないように気をつける 人工股関節手術後は、人工股関節の破損を避けるためにも転倒に気をつけましょう。 手術後の生活では、人工股関節とうまく付き合っていく意識が必要です。転倒は、人工股関節の破損だけではなく骨折の原因にもなります。骨折によって歩行が難しくなると、手術をした意味がなくなってしまいます。 手術後は、外出の際に階段を避けてエスカレーターやエレベーターを利用したり、足場の悪いところは極力歩かないようにしたりするといった心がけが必要です。 股関節に負担がかかる姿勢を避ける 人工股関節手術後の生活では、股関節を曲げて膝を内側にねじるような姿勢は負担が大きいので避けましょう。 とくに股関節の屈曲などの複合動作が続くと、股関節に大きな負担がかかって脱臼や骨折の原因になります。以下のポイントを参考に、できるだけ股関節の動きや状態を意識して生活してください。 歩行時の注意点 人工股関節手術後の歩行に関して、とくに制限はありませんが、以下の点に注意しましょう。 筋力の低下を防ぐため歩く時間を作る 歩行時は革靴ではなく滑り止めがついた運動靴を履く 翌日まで疲労が残る場合は、運動量が多すぎる可能性が高いため、ペースを調節してください。 座るときの注意点 人工股関節手術後の脱臼を防ぐためにも、座る際は以下の点に注意が必要です。 あぐらや横座りなどを避ける ズボンや靴下などを履くときは床ではなく椅子に腰掛ける ただし、座るときにどの程度の注意が必要かは、手術方法によって異なります。近年は筋肉や腱を切らずに済む方法が増え、人工股関節手術後の脱臼のリスクそのものが低下しています。手術後に避けるべき動作や姿勢については、医療機関や主治医に確認すると安心です。 入浴時の注意点 人工股関節手術後の入浴時は、とくに身体を洗う姿勢に注意してください。ほかにも、以下の点に気をつけると股関節への負担を減らせます。 シャワーチェアを使用して椅子に腰掛けた姿勢で身体を洗う かがみこまなくて済むようにタオルではなく柄が長いブラシを使用する 浴槽で両足を伸ばせない場合は浴槽用の小さな椅子を使用する 椅子を使うスペースがない場合は、浴槽の縁にも腰掛けることも可能です。しかし、足先を洗う際などは無理にかがみこむと脱臼する可能性が高いため注意しましょう。 なお、浴槽への出入りしやすくするためには、浴室の壁に手すりを取り付けると便利です。 人工股関節手術後の生活における早期回復のためのポイント ここでは、人工股関節手術後の生活において、早期回復のために工夫すべきポイントを紹介します。 1.生活スタイルを変える 人工股関節手術後の生活では、股関節に負担のかかる姿勢を避ける必要があります。たとえば、正座や足を前に投げ出して座る姿勢は手術後でも問題ありませんが、体育座りや横座りなどは脱臼のリスクが高まります。和式トイレなどでしゃがみ込む、座布団に座る、重いものを持ち上げるなどの動作は、意識して避けましょう。 人工股関節手術後は、できる範囲で椅子や洋式トイレを利用するようにして、生活スタイルを切り替えていくことをおすすめします。また、布団を敷いて寝ている方は、ベッドにしたほうが股関節に負担をかけずに済みます。 2.体重管理をする 人工股関節手術後の回復を早めるためには、体重管理もポイントです。 体重が重いだけでも、股関節には大きな負担がかかるため、適度な運動をして体重管理しましょう。標準体重よりも重い場合や、普段から身体が重いと感じている場合は、思い切ってダイエットを始めることもおすすめです。 ただし、単に体重を減らすだけではなく、筋力の維持にも努める必要があります。手術後は徐々に股関節を慣らすようにして、1日15分程度のウォーキングなど軽い運動をしましょう。 3.重いものを持たない 人工股関節手術後の生活では、日常的に重たいものを持たないように気をつけてください。重いものを持ち上げたり、持って移動したりすると、股関節に大きな負担がかかります。もちろん、しゃがんだ姿勢から荷物を持ち上げることも避けましょう。 軽い荷物であれば大丈夫ですが、足腰を使わなければ持ち上がらないほどの重い荷物であれば、家族や友人に手伝ってもらって運んでください。 とくに家族には、人工股関節手術ことを伝え、手術後の生活についてよく理解してもらっておくと安心です。 4.適切なリハビリテーションを続ける 人工股関節手術後の回復を早めるためには、適切なリハビリテーションを続ける必要があります。 人工股関節手術後は、筋力が低下している状態です。とくに手術前から痛みで動きが制限されていた場合は、筋力の低下が顕著になる傾向があります。 人工股関節手術後に目指す生活レベルにもよるものの、筋力を回復させるためには、手術後も長期間にわたってリハビリテーションを続けることが大切です。 医療機関や主治医に相談しながら、納得のいく治療計画を立てましょう。 【職種別】人工股関節手術後の仕事復帰までの目安 人工股関節手術後の仕事復帰までの期間は、職種によって異なります。たとえば、業務上でしゃがんだりかがんだりする動作を伴う場合は、復帰までに時間がかかります。一方で、事務職であれば、数週間から1カ月程度で復帰が可能です。 人工股関節手術後の仕事復帰までの目安は、以下の通りです。 事務職 2~4週 立ち仕事(半日) 4~6週 立ち仕事(1日) 6~8週 ドライバー・配送業 2~3カ月 激しい肉体労働が中心の仕事 3カ月以降 ただし、手術後の回復には個人差があるため、まずは主治医に相談してから仕事に復帰する計画を立てましょう。 変形性股関節症に対する再生医療の可能性 人工股関節手術は、入院およびリハビリテーションが必要になるため、長期間にわたって仕事を休む必要があります。働いていない場合でも、手術後どのくらいで日常生活に戻れるのか、不安を覚える方も少なくありません。 変形性股関節症の場合、手術療法のほかに再生医療による治療も可能です。再生医療とは、患者の脂肪から採取した幹細胞を股関節に投与し、傷ついた軟骨の再生を促す治療法です。再生医療であれば、治療のための手術や入院が必要ありません。 また、自身の細胞を使用して自然治癒力を高める方法のため、身体への負担が少ないメリットもあります。 リペアセルクリニックでは、膝の痛みや変形性膝関節症の再生医療・幹細胞治を行っています。メール相談やオンラインカウンセリングも受け付けているので、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ まとめ・人工股関節手術後は負担をかけないよう配慮して生活しよう 今回は、人工股関節手術後の生活で気をつけるべきことや工夫すると良いことなどを解説しました。基本的に人工股関節手術後の生活では、人工股関節に配慮さえすれば大きな支障はきたさないでしょう。 しかし、人工股関節とうまく付き合っていく必要があるため、どうしても注意や工夫をしなければならない場面も出てきます。 なお、手術後の生活における注意事項や運動、リハビリテーションなどに関しては、必ず主治医の指導を受けるようにしてください。 ▼ 立ち上がり動作における股関節への負担を減らすポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
2022.03.31 -
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- 肘関節
- 手部
レントゲン検査やCT検査で股関節の痛みや違和感の原因が特定できない場合、MRI検査が必要となるケースがあります。 MRI検査では、レントゲンやCTでは映し出せない神経や筋肉の異常を詳しく調べられるからです。 本記事では、股関節に異常がないかを調べるMRI検査について詳しく解説します。 MRI検査で発見できる病名・疾患や、MRIの撮り方も紹介しているので、股関節の痛みや違和感に悩み詳しい検査を検討されている方は参考にしてみてください。 MRIを含む股関節を調べる画像検査3種【費用相場】 股関節の異常を調べるときに実施される画像検査は、主に以下の3種類です。 レントゲン検査 CT検査(Computed Tomography) MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) 検査の内容や費用をそれぞれ見ていきましょう。 1)レントゲン検査 レントゲン検査は、多くの方にとってなじみのある放射線の一種であるエックス線を用いた検査方法です。短時間で簡単におこなえますし、苦痛もほとんどないため、まずはレントゲンを撮る病院が多いかと思います。 レントゲン検査は、骨の状態、部分を詳しく見るのに適しています。 たとえば骨折や、骨の変形などがその代表です。しかし、筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織は撮影できません。 最近はデジタル化の影響で線量が格段に少なくなっているため通常の検査であれば問題はありません。ただ、放射線を用いる検査ですので、何度も繰り返して検索をおこなうなどの場合は被曝の可能性については気になるところです。 【検査費用の目安】 検査費用:600〜2,000円 ※撮影枚数2枚で3割負担の料金を想定 2)CT検査(Computed Tomography) CT検査は、レントゲンと同じエックス線を用います。 このエックス線をあらゆる方向から照射することで、体の輪切りした画像撮影が可能になります。レントゲンと違って体の内部まで輪切りにした状態で確認ができます。 輪切り画像を重ね合わせて他の断面の画像を構築したり、三次元(3D)の立体画像で確認したりできる検査です。 レントゲン検査よりもさらに詳しく骨の状態を評価できますが、レントゲンと同じく筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織については判断しにくい特徴があります。 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜15,000円 ※3割負担の料金を想定 3)MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) MRI検査とは、大きな磁石(磁場)を利用して体の内部を画像化する検査です。 レントゲン検査や、CT検査ではわからない筋肉や神経などの柔らかい組織を写し出す作業を得意としています。また、何より放射線を使用しないため被曝もなく、患者さんの人体に無害な検査という点で優れています。ただ、装置自体が大きく、とても高価なため、大学病院をはじめとした一部の施設にしか配置されていません。 また、誰でもできる訳ではありません。仕組みとして非常に強力な磁石を用いた装置なので、体内に金属があると検査できない場合があります。 MRI検査の注意点はこちら▼ 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜17,000円 ※3割負担の料金を想定 股関節のMRI検査でわかる主な3つの病名 ここでは、MRI検査で発見できる主な股関節の疾患を3つ紹介します。 ・変形性股関節症 ・関節リウマチ ・大腿骨頭壊死 順番に見ていきましょう。 変形性股関節症 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨がすり減って、骨が変形する疾患です。変形性股関節症を発症し、症状が進行すると股関節に痛みが生じます。 また、股関節の可動域が制限されるようになり、立ち上がる動作や靴下をはく動作などに支障をきたすようになります。 変形性股関節症の詳細はこちら▼ なお、変形性股関節症の治療には、人間の自然治癒力を活用した「再生医療」が有効です。 幹細胞を股関節に注射すれば、すり減った軟骨が再生されます。徐々に痛みが軽減し、手術を回避できる可能性が高まります。 期待できる治療効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 関節リウマチ 関節リウマチとは、免疫システムの異常により、炎症を起こし痛みや腫れが生じる疾患です。股関節で発症した場合、リウマチ性股関節症と呼ばれます。 症状が進行または慢性化すると、関節が変形したり、こわばり・痛みによって日常生活に支障をきたしたりします。 また、炎症による発熱や、免疫システムのエラーによる臓器障害なども発生する可能性があるので、視野を広げた治療アプローチが必要です。 関節リウマチの詳細はこちら▼ 大腿骨頭壊死 大腿骨頭壊死は、股関節を形成する骨の一部である大腿骨頭への血流が低下して骨組織が壊死する疾患です。原因が不明な場合は「特発性大腿骨頭壊死」と呼ばれ、難病に指定されています。 症状が軽度で壊死の範囲が狭い場合は、経過観察も可能です。 しかし、壊死範囲が広く、症状が著しく進行している場合は、骨切り術や人工股関節置換術の手術が視野に入ってきます。 大腿骨頭壊死の詳細はこちら▼ 股関節を調べるときのMRIの撮り方 股関節を調べるときのMRIの撮り方を以下の表にまとめました。検査の流れを把握しておきたい方は参考にしてみてください。 流れ 検査内容 1.磁性体の装飾品を外す 磁場を発生させるMRIの故障の原因となるため、アクセサリーや時計などの金属類は事前に外しておく 2.検査着に着替える 必須ではないが安全性を考慮して推奨されている(参考1) 3.ヘッドホンや耳栓を装着する 検査中に騒音が発生するため、専用のアイテムで耳をふさぐ 4.ベッドに横たわる 指示に従って体勢を整える。撮影部位を固定する必要があるため患部によって多少体勢が変わる 5.検査開始 トンネル型の機械に入って検査を受ける。検査時間は撮影部位や撮影方法にもよるが、20〜45分 検査結果は、早くて当日中に出ます。詳細な分析を要する場合は、7〜10日ほどかかります。 MRI検査の全体像を解説した記事はこちら▼ まとめ|股関節に異常を感じたらMRI検査を検討しよう MRI検査は、レントゲン検査やCT検査ではわからない筋肉や神経などの組織の異常を詳細に映し出せます。 原因がはっきりわからない痛みや違和感が股関節に現れたら、MRI検査を受けて病名や疾患名を調べると良いでしょう。 早期に原因がわかれば、適切な治療を開始して早い回復を目指せます。 変形性股関節症を含む膝の痛みに対する根本的治療には「再生医療」を推奨します。再生医療は、人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、すり減った膝軟骨の再生を図ります。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 股関節のMRI検査に関するよくある質問 最後に股関節のMRI検査に関するよくある質問と回答をまとめます。 MRIの画像に映る白い影は何ですか? MRI画像に映る白い影の原因は、以下のように複数考えられます。 ・小出血 ・骨髄の浮腫 ・組織や骨の損傷 ・レントゲンには映らないような微小な骨折 医師の話を聞いて、白い影の正確な原因を確認しましょう。 股関節のMRI検査で異常なしでも痛みが生じるのはなぜですか? 小さな組織の損傷は、MRIに映らない場合もあります。そのため、実際には損傷が起きていても、検査結果では「異常なし」と診断されるケースもゼロではありません。 また、股関節の靭帯が緩んで、痛みを伴う場合もあります。靭帯の緩みはMRIでは確認が難しく、検査では異常が見つからないケースもあります。 【参考文献】 参考1:http://fms.kopas.co.jp/fmdb/JJMRM/27/4/230.pdf
2022.03.30 -
- 股関節
- 変形性股関節症
変形性股関節症は中高年以降の女性に多く発生する病気で、動き出しなど動作のはじめや、長時間の歩行後に痛みを感じます。悪化すると安静時にまで痛みを感じるようになり、日常生活を送るうえで大きな支障となるため注意が必要です。 変形性股関節症にはさまざまな治し方があり、症状の進行状況によって治療法が行われます。手術をしない治療法でも症状の緩和や進行抑制が期待できるため、ご自身の状態に合った治し方を検討するのが大切です。 本記事では、変形性股関節症の治し方についてまとめました。症状軽減へ向けた生活の工夫も紹介するので、治し方や日常生活で気を付けるべき点を知りたい方は参考にしてください。 変形性股関節症は手術しないで治すことは可能か 変形性股関節症は手術をしなくても、症状を緩和できる可能性があります。前提として変形性股関節症は、脚の骨となる大腿骨(だいたいこつ)と骨盤との間に位置する関節軟骨がすり減ってしまう病気です。 すり減ったり、変形したりした骨を元に戻す治療法はなく、症状緩和や進行抑制が目的となります。痛みを和らげ、可動性の改善が期待できる治療法はいくつか存在するため、変形性股関節症では症状に合わせて適切な治療プランを選ぶのが大切です。 変形性股関節症の治し方 変形性股関節症の主な治し方は、以下の通りです。 物理療法 リハビリ療法 薬物療法 手術療法 ご自身に合った治療を受けられるよう、各療法について解説するので参考にしてください。 物理療法 物理療法とは、痛みの改善やむくみの軽減により身体を動かしやすくするために実施される治療法です。治療法には、以下の物理的手段があります。 主な療法の種類 治療内容 温熱療法 身体を温めて股関節周囲の血行を促進させ、筋肉をほぐして痛みを和らげる治療 電気療法 電気刺激を加えて筋肉の緊張をやわらげる治療 光線療法 レーザーを活用して関節照射を行い、血行を促進させて筋肉の緊張をほぐす治療 マッサージ療法 空気圧式マッサージ器や手技で筋肉や関節、リンパなどを刺激して血行促進を図り、痛みを緩和させる治療 物理療法は、主に血行促進により筋肉の緊張をほぐして痛み軽減につなげる治療になります。 リハビリ療法 運動療法は変形性股関節症の一般的な治療法で、股関節における筋肉の柔軟性を保ったり、位置を矯正して痛みを緩和させたりする効果が期待できます。 主な治療法は、以下の通りです。 筋トレ ストレッチ 水中ウォーキング ウォーキング 変形性股関節症では、主にお尻の横に位置する中殿筋をはじめとする股関節周囲の筋肉をトレーニングで鍛えます。筋トレとストレッチを組み合わせた運動は、変形性股関節症の進行を抑える効果が期待できます。 また、水中ウォーキングやウォーキングは、股関節を守るための筋力強化や柔軟性向上に役立つため、リハビリとして効果的です。いずれも、過度な負担をかけず無理のない範囲で続ける治療法になります。 薬物療法 変形性股関節症で強い痛みを伴う場合は、薬物療法が行われます。薬物療法は一時的に痛みを軽減したり、炎症を抑えたりする目的で行われる対症療法です。 医薬品を使用したからといって、変形性股関節症が完治するわけではないことは理解しておきましょう。 変形性股関節症で使用される主な薬物療法は、以下の通りです。 薬物療法の種類 特徴 外用薬 主に塗り薬を使用しますが、痛みが強い場合は座薬を用いる場合もある 内服薬 主に、炎症を抑える作用がある非ステロイド性消炎鎮痛薬を用いる 注射薬 ヒアルロン酸やステロイド製剤を使用し、関節の動きをスムーズにさせて痛みや炎症の緩和を図る 使用する薬物の種類は症状の進行によって異なるため、担当医と相談して適切な薬物療法を検討しましょう。 手術療法 物理療法やリハビリ療法などの保存治療で症状の緩和が図れない場合、手術が必要になる場合もあります。変形性股関節症の主な手術治療法は、以下の通りです。 主な手術療法 手術内容 関節鏡手術 内視鏡を使用して関節軟骨の傷んだ部分を削り滑らかにして炎症を改善する手術 骨切り術 患者の骨の一部を活用して、変形した股関節の形を整えて症状緩和を図る手術 人工関節手術 傷んだ股関節を取り除き、人工関節に置き換える手術 術式は症状の進行具合によって異なり、痛みの程度や日常生活での不自由さ、将来的な悪化を考慮のうえ決定されます。 変形性股関節症の症状回復が見込めない場合は、自分に合った手術治療法の検討がおすすめです。 変形性股関節症の症状軽減に向けた日常生活の工夫 変形性股関節症の症状軽減するには、日常生活における工夫が必要になります。症状を悪化させないためにも、生活をするうえでのポイントを理解しておくのが大切です。ここでは、変形性股関節症の症状軽減に向けた日常生活の工夫を紹介します。 背筋を伸ばす 変形性股関節症の際は、体操を通して常に股関節や骨盤の柔軟性を高め、できる限り背筋を伸ばしましょう。 症状が発症すると痛みをかばおうと骨盤が前傾し、不自然な姿勢を取りがちになるためです。姿勢が腰椎の前弯と胸椎の後弯を増強させ、股関節の可動域や筋力は低下します。 とはいえ、猫背のように骨盤が後傾する姿勢では、背骨の湾曲だけでなく、股関節に不安定さをもたらし、痛みにつながります。 変形性股関節症では、肩を後ろに引いた状態で背筋を伸ばし、自然なカーブを保つ姿勢が大切です。 低い位置での生活をやめる 変形性股関節症の場合、低い位置での生活は股関節に大きな負荷をかけるため、以下のような洋式の生活スタイルへの変更をおすすめします。 椅子を活用する トイレを洋式へ変える 布団からベッドに変更する 料理をする際、頻繁に使うものは高い位置に置く 畳のような和式の生活環境では、座る・立ち上がるといった動作のたびに股関節に負担がかかります。かがむ機会を極力減らし、地べたからの生活を避けることが症状軽減への効果的な対策となります。 減量する 変形性股関節症の症状軽減には、減量も重要です。股関節は骨盤と下肢をつなぐ部分であり、体重による負荷がかかりやすい関節になります。 肥満の場合、体重が重い分、股関節にかかる負荷も上がるため、変形性股関節症を進行させる要因の一つです。 つまり、肥満傾向の方は体重を落とすと、症状の軽減が期待できます。股関節の負担を減らすために、適度な運動や食事管理などを実施して、適正体重を目指しましょう。 手すりを設置する 変形性股関節症の症状軽減には、股関節に負荷がかかりやすい場所に手すりを設置するのがおすすめです。昇降動作は、股関節に負荷がかかるだけでなく、転倒するリスクが高まります。 例えば、お風呂場やトイレなど、立ち座り動作がある場所に手すりを設けると関節への負担軽減が期待できます。また、浴槽へ浸かるためにまたぐ場合は、脱臼しやすくなるため注意が必要です。 階段やお風呂場などに手すりをつけると関節への負荷と転倒リスクを減らせます。 靴の選び方を意識する 変形性股関節症の症状を軽減するには、靴選びが重要です。靴を工夫すると痛みや疲れを軽減できるため、変形性股関節症の症状緩和が期待できます。 変形性股関節症の患者が靴を選ぶ際のポイントは、以下の通りです。 足の長さの差を整えて臀筋のサポートができるもの 靴の先端が丸くローリング加工が施されているもの(スムーズに押し出せる) クッション性が高く着地の際に衝撃軽減できるもの 身体が左右に揺れたり、地面の衝撃が強かったりすると痛みを感じやすくなる原因になるため、安定感を高められるよう靴の加工やインソールを工夫しましょう。 杖の使用を検討する 杖は股関節への負担を軽減し、痛みを和らげる効果が期待できるため、日常生活で積極的に活用するのが効果的です。変形性股関節症で杖を使用すると歩く際に安定感が高まり、歩幅を広げるメリットがあります。 また、バランスを安定させられる杖の使用は転倒のリスクを減らせます。変形性股関節症の方が杖を選ぶときのポイントは、以下の通りです。 症状や生活スタイルに適した種類を選ぶ 身長に合った長さのものを選ぶ 杖を使用する際は、正しい使い方を覚えておくのもポイントです。 痛めにくい歩き方の特徴を押さえておく 変形性股関節症の場合、正しい歩き方が症状軽減につながります。痛めにくい歩き方の特徴を押さえておくと、関節への負荷を軽減できるため、動くのを億劫に感じにくくなる点がメリットです。 歩く際は、かかとから着地して、つま先で地面を蹴るように意識しましょう。着地するときに足首や膝関節が衝撃を吸収するため、股関節にかかる負担を軽減できます。 また、歩くときは背筋を伸ばすのもポイントです。べた足やすり足は股関節への負担が大きいだけでなく、転倒のリスクが高まるため、正しい歩き方のコツを押さえましょう。 変形性股関節症におすすめのストレッチ 変形性股関節症の場合、股関節まわりの筋肉を緩めるストレッチを取り入れるのが効果的です。ストレッチを取り入れると、股関節まわりの筋肉をほぐせるため、可動域が広がります。 変形性股関節症の患者におすすめのストレッチ方法は、以下の通りです。 仰向けになる 膝を両手でゆっくり抱える 膝をゆっくり抱えた状態を10秒キープする (1)~(3)の動作を5回繰り返す ストレッチをするときは、呼吸を忘れないようにするのがポイントです。また、肩の力は抜きリラックスした状態を意識しましょう。ただし、痛みを感じた場合は、直ちにストレッチを中断してください。 変形性股関節症にお悩みの場合は再生医療を選択するのも手段の一つ 変形性股関節症に対しては、再生医療も治療選択肢となります。治療法の一つとなる幹細胞治療では、採取した幹細胞を培養して股関節に注入します。 当院「リペアセルクリニック」では、患者様自身から米粒2~3粒程度の脂肪を摂取して幹細胞を培養、投与します。幹細胞は冷凍せず、投与の度に採取するのが当院の特徴です。 また、再生医療は入院が不要です。 当院では、メール相談やオンラインカウンセリングを受け付けておりますので、治療に関する悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。 まとめ・変形性股関節症の治し方を参考に適切な治療を選ぼう 変形性股関節症の治し方には、物理療法やリハビリ療法などの保存治療があります。保存治療で症状回復が見込めなかった場合、手術治療法を行うケースが一般的です。 変形性股関節症を進行させないためには股関節へ負荷がかからないように和式から洋式へと生活スタイルを見直し、自分のペースで痛みのない運動療法に継続して取り組むのが大切です。 また、手術を必要としない再生医療を選択するのも手段の一つになります。変形性股関節の治し方を理解したうえで、ご自身に合った治療法を選択しましょう。
2022.01.22 -
- 肘関節
- 関節リウマチ
- ひざ関節
- 股関節
- 肩関節
- 手部
- 足部
人工関節の手術を受ける場合に知っておくべき安全性と危険性を解説 股関節、膝関節、肘関節、指関節、足関節における関節疾患の多くは比較的ゆっくりと症状が進行するため、本人は症状に苦しんでいるにもかかわらず、ただ単に年齢によるものというだけで見過ごされてしまうことが往々にしてあります。 ところが、知らず知らずのうちに病気の進行が悪化してしまうと、関節患部に強い痛みや熱感を自覚して、日常生活において歩く、座る、投げる、持つ、立つなどの基本的な動作能力が低下して必要な動きが制限されてくる恐れがあることをご存知でしょうか。 このような関節の症状が出たのちに、保存療法等、種々の治療を繰り返しても元には戻りにくく、徐々に症状は進行します。そして、最終的に提案されるのが手術療法になります。 人工関節置換術 この手術が「人工関節置換術」として知られているものです。この手術は、読んで字のごとく、疾患によって悪くなって異常がある関節部分を取り除いたのちに、人工の関節に置き換える手術です。 例えば変形性膝関節症や、関節リウマチなど膝関節疾患を治療する際には、その代表的な手術療法のひとつとして人工膝関節置換術が挙げられるという具合です。 人工関節の置換術が可能な部位は膝関節や股関節、肩関節、手関節、手指関節、足関節、肘関節となっていて、置換える人工関節そのものも年々進歩しています。 材料的には主としてチタン合金、コバルトクロム合金、セラミック、ポリエチレンなどで構成されています。 人工関節置換術は、関節の疾患がもとになって起こっている疼痛の原因となっている部分を取り除くことを主眼としているため、他の治療法と違って、患者さんの慢性的症状である痛みを和らげる効果を期待するものです。 そこで今回は、そのような人工関節の手術に関して知っておきたい安全性と危険性について解説したいと思います。 人工関節置換術 治療可能部位 材料 膝関節や股関節、肩関節、手関節、手指関節、足関節、肘関節 チタン合金、コバルトクロム合金、セラミック、ポリエチレン 人工関節の手術|安全性について 人工関節置換術という手術療法は、各種の関節症、例えば変形性関節症や関節リウマチを患われている患者様に対して関節の痛みを緩和して日常生活をより快適に送れる事を目的とする治療手段として普及しています。 今や各種の関節症に対する人口関節置換手術でのアプローチは年間に約20万例前後という件数が報告されるまでになりました。このように比較的メジャーになってきた人工関節の手術は、術式としては確立されていて、置換える人工物の素材も進歩を遂げています。 ただし、手術を安全に確実に実践するためには、当たり前のことながら整形外科の専門医を始めとして、医療従事者の専門性が問われ、人工関節の特性や、軟骨などの組織が破綻するメカニズムに対する知識が不可欠です。 これら関節の再建方法などについて熟知している専門性が大切であり、これまでの経験、知見、熟練の度合いが手術に影響するとされています。 また、人工関節置換術においては、言うまでもありませんが手術そのものの安全性を高く施行するだけでなく、術前や術後における全身管理や、術後の安定した段階で早期に、個人に沿ったリハビリテーションを計画し、適切に行えることが非常に重要です。 これらの人工関節手術を安心して受けるためには、術後の体制、いわゆる人工関節の緩み、異物感染、関節脱臼やインプラント周囲組織の骨折を含めた様々な合併症が起こった際に迅速かつ、確実に対応できる医療体制の存在、あり方が必要不可欠です。 また術後のリハビリテーションに関しては、術前に担当の看護師や理学療法士などのリハビリの専門部門が積極的に患者さんに接触し、術後の早期に状態を見極めながら関節機能を中心とした全身状態の改善を目指さなければなりません。 万が一にもリハビリテーションが予定とは異なり順調に進まない時には、自宅への退院とは別途、リハビリ専門施設へ転院するような連携調整、あるいは自宅退院後の各種生活支援についてメディカルソーシャルワーカーに相談する必要があるでしょう。 このように「人工関節の安全性」は、専門性、術前、術後、リハビリなどをすべて含めて判断すべきだと考えます。 安全性は、総合的に判断 専門医(経験、知見、習熟度) 術前の全身管理 術後の対応、フォロー リハビリ計画 人工関節の手術|危険性について 人工関節置換術は、疼痛症状を緩和して関節の機能の回復を望める手術である一方、関節以外の他手術と同様に一般的なリスクとして、全身麻酔に伴う合併症や、深部静脈血栓症および肺塞栓症の発症、あるいは輸血に関する問題点などがあります。 また、人工物や手術部分の感染、患部周辺の血管や骨組織、神経などの二次的な損傷、あるいは手術中における予測不能なことがが引き起こされる懸念も考えられます。 そして、人工関節手術の術直後においては傷口の疼痛が非常に強いことが懸念されており、関節部の機能回復を阻害するのみならず、手術を受けた患者さんの満足度とも直接的に関連すると言われています。 他にも心配なのは、人工関節の耐久性です。人工物ですので永久に使えるものではないからです。いつまで使えるかということに関しては、患者さん自身の生活背景などの使い方にもよりますが概ね15年前後であると考えられています。 人生100歳時代の現代、耐久性という面から、将来に人工関節を入れかえるため、再手術の可能性があることを知っておくべきです。その際は、年齢的にも術式的にも、あらゆる面で最初より、難しさがが増す可能性があります。 従来、人工関節置換術は、およそ60歳以上の高齢者を中心に適応がある手術とされてきましたが、近年では個々の価値観やクオリティ・オブ・ライフ/QOL(*)が尊重される時代となり、2回目の手術を勘案して50歳前後でもより快適な人生を過ごすために本手術を選択される方もいらっしゃいます。 (*)QOL/生活の質や人生の質などのこと 治療を受ける患者さんの肉体的なことはもちろん、精神的なことや社会的、そして経済的など、すべてを含んだ生活の質を指す言葉です。 今回の場合では手術そのものや、その後の副作用などでリハビリを行っても手術前と同じようには生活できなくなる危険性あります。 そのことを理解した上で手術の利点と危険性に関して医師とよく相談し、リハビリも含めた治療内容全般にわたって理解するようにしましょう。そして、家族や周りの理解や、協力を得られるよう相談し、慎重に決定されることをお勧めします。 最後に手術を選択した場合の入院期間について、概ね1か月は最低必要で、年齢的なものや、術後の状態により2か月~必要な場合もあるため、日程的な融通が必要な手術です。 今回は、人工関節への置換手術について不安を感じておられる方への術前のアドバイスとして記してまいりましたが、治療法としては、「再生医療」という先端医療分野があることも知っておきましょう。 その特徴は、手術も入院も不要という治療方法で自分の自己治癒力を引き出す最先端医療です。興味がある方は、お問い合わせください。いずれにしましても先生と話し合って、聞きたいことを聞き、納得して進んでください。 まとめ・人工関節の手術で知っておくべき安全性と危険性 股関節や膝関節は、下半身の体重を支えながら日常生活で立つ、歩くなどの基本的動作を実践するうえで極めて重要な関節です。肩関節や肘関節が障害を受けると荷物が持てないなど非常に支障をきたして日常生活が大変不便になります。 その意味でも日々の健康を保ち快適な暮らしを送り続けるためにも、関節に負担の少ない優しい生活を過ごすように意識しましょう。 仮に関節症の疾患で、人工関節置換術を勧められた場合は、選択肢としてこちらの記事で記したような将来の再手術の可能性、手術そのものの危険性や、入院期間が長くなるといった手術であること知ったうえで臨んでください。 リスクは、どのような手術であっても伴うものです。ただ、上手くいけば関節の痛みが緩和されて、関節の機能が元通りに再生されるのみならず、普段の歩き方や、身体のバランスを整備することが可能な治療法です。 これからの時代、健康寿命を延伸して自分らしい快適な生活を営むためにも、関節疾患は、放置することなく、治療方法について整形外科の専門医もしくは専門院を受診して相談されるこをお勧めします。 安全性 術式としては確立 多様な部位に対応 素材の進歩 危険性/リスクを理解 クオリティ オブ ライフ 専門医の相談、納得感 家族の理解、支え 人工関節の耐久性 → 年齢から再手術の可能性を念頭に 長期入院 → 1か月~2か月 リハビリ → 長期計画 手術としての危険性(合併症、その他) 手術部位の疼痛 以上、人工関節手術に関する安全性と危険性について記しました。今回の記事、情報が少しでも参考になれば幸いです。
2021.12.20 -
- 股関節
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変形性股関節症|股関節の負担が大きな「立ち上がり動作」で注意したいこと 変形性股関節症を発症すると、軟骨のすり減りや骨の変形を防ぐため、できるだけ股関節に負担を掛けないようにする必要があります。 特に、変形性股関節症の日常生活で気をつけて欲しい動作として、「立ち上がり動作」があります。今回は、変形性股関節症を発症した場合に、なぜ「立ち上がり動作に気をつけるべきなのか」について、その理由を解説します。 変形性股関節症とは 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨が「すり減り」、骨の変形によって「股関節の隙間」が減ることで、骨同士が直接すれ合うことで痛みを感じる病気です。 軟骨のすり減りや、骨が変形するような股関節の摩耗は、多くの場合、加齢が中心ですが、実はそれ以外にも日常動作や、激しいスポーツでの負担が原因となっている場合があります。 いずれの理由であっても一旦、軟骨のすり減りや、骨が変形し、組織が損傷してしまうと元通りの状態に治すのは、非常に難しくなります。 変形性股関節症を発症後の「立ち上がり動作」は、股関節の屈曲による負担がかかる上、体重もかかってしまうため、「股関節にとっては大きな負担」になりやすい動作となります。 そのため、変形性股関節症は、可能な限り股関節に負担がかからないように過ごすことを意識し、進行を遅らせる努力が必要になります。 その意味で立ち上がり動作には特に特に気をつけなければなりません。変形性股関節症で股関節の負担に関わる「立ち上がり動作」で気を付けたいことを記してまいります 立ち上がり動作しだいで症状が悪化しかねない 変形性股関節症は、股関節を使用することで症状が進む病気です。しかも、立ち上がり動作は股関節に大きな負担がかかる動作です。股関節は、歩くときにはもちろん、立っているだけでも負担がかかります。 前傾した姿勢や、しゃがみこんだ姿勢から立つような「立ち上がり動作」をするときには、大きな動きをしていないつもりでも自分自身の体重そのものが股関節に負荷を与えることになるため、どうしても痛みを伴います。 立ち上がり動作を繰り返すと痛みが出る 初期の変形性股関節症では、痛みを感じない場合が多くあります。 初期のころは、痛みがないだけに不用意に股関節に負荷をかけがちとなり、注意が必要です。股関節への負担が日常的に続くと軟骨のすり減りが進むことになります。股関節の摩耗や疲弊が進むと期せずして歩行時、立ち上がり時に徐々に痛みが出るようになります。 このように変形性股関節症を発症後、頻繁に「立ち上がり動作」を繰り返すと、関節の摩耗や疲弊が進み、症状が進行して痛みを強く感じるようになります。さらに症状が進行すると安静にしていても痛みを感じたり、就寝時にも痛みで目が覚め、眠れなくなってしまうこともあります。 股関節以外(腰や膝)にも負担がかかります 注意したいのは、変形性股関節症の人が「立ち上がり動作」を行うと、どうしても股関節をかばってしまうため腰や、膝にも負担がかかり、時間とともに「腰の痛み」や、「膝の痛み」に繋がる可能性があります。 負担の少ない「立ち上がり動作」をするために 変形性股関節症を発症した場合でも、できるだけ症状の進行は抑えたいものです。そのためには、日常の過ごし方はがとても大切になります。 生活様式を洋式に変える 立ち上がり動作が股関節に負担になる…とはいっても、症状によっては、まだ痛みが少なく、痛みなしに立ち上がることができる場合があるかもしれません。それでも症状は徐々に進行していきます。 注意が必要とはいえ、日常生活で立ち上がり動作を一切しないことは難しいと思います。そのようなときには、生活自体を変更してく必要性があります。 例えば床に布団を敷くことはやめてベッドにする。トイレが和式であるなら洋式に変更する。畳に座っているなら椅子にする。食事もテーブルで行う。玄関には椅子を置くなど、生活様式そのものを徹底して、洋風に変えたり、しゃがむ動作を無くしていく工夫が大切です。 そうすることで、変形性股関節症であっても日常生活上で立ち上がる動作を減らすことが可能になります。 生活様式を変える/生活を洋風にするイメージ 布団をやめてベットにする トイレを和式から洋式にする 畳から椅子にする 低いテーブルから、椅子に座って使うテーブルにする その他 筋肉をつけるようにする 変形性股関節症で、強い痛みを感じるようになると、ますます歩くことが億劫になり、そうなると股関節周辺の筋力も低下してきます。そもそも股関節は筋肉によってサポートされているため、筋力の低下は、変形性股関節症を悪化させる原因になります。 そのため、負担の少ない適度な運動をおこない、筋力をつける意識を持つことが必要です。 変形性股関節症で立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなる? 立ち上がり動作とは、例えば下記ような日常の動作のことを指します。どれも日常生活でおこなうことが多い動作です。変形性股関節症の人が、このような立ち上がり動作を繰り返し続けるとどうなるのでしょうか。 無理していると 落ちている物を拾う 椅子から立ち上がる トイレに行く 靴ひも結ぶ 靴下を履く・・・ 歩くのも困難になりかねない 変形性股関節症は、初期の場合は痛みを感じない場合もありますが、軟骨のすり減りが進み股関節の隙間がなくなってくると、骨同士が直接こすれあうようになり痛みが出始めます。 股関節は歩く際にも使用されるため、症状の進んだ変形性膝関節症の人は歩くことすら難しくなる可能性があります。 進行すると杖や車いすに移動を頼るようになる 杖を使うことで股関節への負担を軽減することができるため、より早い段階で杖を使うと症状の進行を抑えることができます。 しかし、徐々に変形性股関節症が進むと、歩き始めや歩行時にも痛みを感じるようになり、最終的には歩くことが困難となり、車いすに移動を頼ることになってしまう可能性があります。 変形性股関節症の治療に「再生医療」という選択肢 これまでの変形性股関節症は、損傷した軟骨や骨の変形は二度と元に戻らないため、最終的な治療として今ある関節を人工関節に置換える手術を行うしかありませんでした。 しかし、外科的な手術には抵抗がある、療養期間が長くなることから仕事が忙しいなどの理由で手術を躊躇する。その他、さまざまな理由から手術を受けることができないという人もいます。 また、人工関節を入れる手術をしても、人工関節のメンテナンスのための通院や、最も憂慮すべきは、人工関節の経年劣化による再手術の必要性があるということです。 そこで紹介するのが、「再生医療」です。再生医療とは、自分自身の「幹細胞」や「血小板」を用いて、股関節の修復を促す新しい治療方法です。 自己脂肪由来・幹細胞治療 幹細胞には、さまざまな細胞に変化する能力があり、皮膚や筋肉のほか、軟骨や骨にも変化できる細胞です。この幹細胞の能力を利用して軟骨や骨の変形の修復を促し、痛みの改善を目指すのが、「自己脂肪由来・幹細胞治療」という再生医療です。 PRP療法・再生医療 血液に含まれる血小板にも、組織を修復する能力があります。自分の血液を採取し、血小板を濃縮させたものを損傷した部位へ注入することで、関節組織の修復や再生を促し、痛みの改善を目指すのがPRP再生医療です。 再生医療は、副作用のリスクが少なく、メリットが多い 自己脂肪由来・幹細胞治療、PRP再生医療は、どちらの治療方法も、自分自身の細胞や血液を用いるため、拒絶反応や、アレルギーなどの副作用の心配が少なく、安全性が高く治療期間も短いという特徴があります。 さらに、手術よりも身体的な負担が少なく、手術の時間が取れない、高齢で手術をする体力がない人でも受けられるというメリットがあります。 まとめ・変形性股関節症|股関節の負担が大きい立ち上がり動作に注意 変形性股関節症の人が気をつけるべき「立ち上がり動作」についてご紹介しました。立ち上がり動作は、日常生活をする上で、どうしても必要な動作ですが股関節に負担のかからない方法で動作をおこなう工夫をするなどして、変形性股関節症の進行を遅らせるように意識しましょう。 しかし、工夫して進行を遅らせることは可能であっても、残念ながら症状そのものの進行を止めることはできません。いつしか痛みが強くなり、最終的には安静にしていても痛みを感じるようになるばかりか、移動を車椅子に頼らざるを得なくなることは希ではありません。 このように日常生活に支障をきたすような場合、手術によって人工関節に置換える治療法もありますが近年は、手術を避けて再生医療を選択することも可能になりました。 以上、変形性股関節症を発症した場合は、立ち上がり動作をはじめ、股関節に負担をかけない意識で生活しましょう。もちろん早期に整形外科をはじめ、病院等にて専門的な治療をお受けになること強くお勧め致します。 尚、既に治療をはじめておられ、その治療では効果を感じづらい、手術を受ける時間がない、できるだけ副作用の心配がない治療を受けたい。そもそも手術は嫌だ!という場合は、「再生医療」も選択肢のひとつとして検討されることをオススメします。 https://youtu.be/isSkwxfHrbI?si=-Q71vVuG9D6rlNPe ▶こちらの動画も是非ご覧ください。 ▼ 再生医療で変形性股関節症を治療する 変形性股関節症は、再生医療により手術・入院を避けて改善することが可能です ▼話題/以下もご覧ください 変形性股関節症|農業で発症、やめる!やめない?悪化させないために
2021.12.17