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BAD(脳梗塞)ってなんだろう? 一般的な脳梗塞と何が違うのかな? この記事を読んでいるあなたは、BAD(脳梗塞)という耳慣れない病気を聞き、とまどっているのではないでしょうか。 「今後どうなるのか知りたい」と思っているかもしれません。 BAD(脳梗塞)はラクナ梗塞の特徴を持ちながら、アテローム性病変が原因で起こる、近年注目されているタイプの脳梗塞です。 本記事では、BAD(脳梗塞)の症状やラクナ梗塞との違い、予後について詳しく説明します。記事を最後まで読めば、病気について一通りの知識が得られ、今度の見通しを立てやすくなるでしょう。 BADとは「脳の細い血管の分岐部が詰まり進行しやすい脳梗塞」 BADとは、「Branch atheromatous disease」の頭文字を取ったもので、脳梗塞の一種です。コレステロールや脂などが溜まってできた「アテロームプラーク」と呼ばれるこぶが、脳の血管が詰まるために起こります。(文献1) BAD(脳梗塞)がよく起こる場所は、脳の主幹動脈からの穿通枝分岐部(太い血管から小さな枝状の血管がわかれる部分)です。英語をそのまま日本語に直すと「分岐アテローム性疾患」となりますが、日本語での病名が付けられていないため「ビーエーディー」と呼ばれています。 また、BAD(脳梗塞)は、脳梗塞を含む「急性虚血性脳卒中」全体の約10〜15%を占めるという報告があります。(文献2) 当院「リペアセルクリニック」では、BAD(脳梗塞)後の治療として再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。壊れた脳細胞を幹細胞治療で修復し、後遺症の回復やリハビリ効果の向上が期待できます。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」から気軽にお問い合わせください。 BAD(脳梗塞)の症状 BADであらわれる症状の多くは、脳の細い血管が詰まって起こる「ラクナ梗塞」と同じです。代表的な症状を、以下に紹介します。(文献3) 構音障害:ことばの障害 感覚障害:感覚の鈍さやしびれ 運動片麻痺:片方の手足に力が入らなくなる しかし、BAD(脳梗塞)の最大の特徴は、運動片麻痺が進行性に悪化しやすいことです。数日間は、脳梗塞が拡大したり麻痺が進行したりしやすく、後遺症が出やすい傾向もあります。 また、初期症状としてTIA(一過性脳虚血発作)が起こるケースもあります。 脳梗塞の症状や原因など、包括的な解説を見たい方は「脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説」をご覧ください。 BAD(脳梗塞)の原因 BAD(脳梗塞)の原因は、動脈硬化の過程で血管内にできた「アテロームプラーク」です。 アテロームプラークとは、血管の膜に血液中の悪玉コレステロールが入り込んでできたものです。血管を細くして脳への酸素供給を妨げたり、破裂して血小板による血栓生成を引き起こし、脳の血管を詰まらせたりします。 アテロームプラークの危険因子は、以下のとおりです。(文献1) 年齢 性別 喫煙 高血圧 糖尿病 脂質異常症 これらの危険因子を減らすためには、生活習慣の改善が重要です。 具体的には、塩分を控える、運動や食事に気を付けて肥満を防ぐなどが有効です。アテロームプラークを作りにくい生活を心がけ、BAD(脳梗塞)の予防につとめましょう。 脳梗塞の原因については、以下の記事で詳しく説明しています。 BAD(脳梗塞)とラクナ梗塞との違い BAD(脳梗塞)とラクナ梗塞は症状が似ているものの、梗塞する場所や原因が異なります。おもな違いは、以下のとおりです。(文献3)(文献4) BAD(脳梗塞) ラクナ梗塞 梗塞する場所 穿通枝の根元 1本の穿通枝 梗塞の範囲 やや広い 狭い おもな梗塞の原因 アテロームプラーク(動脈硬化も原因) 高血圧による動脈硬化 梗塞の大きさ 15mm以上 15mm未満 特徴 進行しやすいが、比較的再発は少ない 比較的再発しやすい 血管が詰まり脳細胞の機能が失われることは共通しますが、細かな内容が違うといえるでしょう。 BAD(脳梗塞)の診断基準 BAD(脳梗塞)かどうかは、MRIの画像で診断します。(文献5) 細かな基準は梗塞した部分によって異なり、以下とされています。 中大脳動脈(MCA)穿通枝:拡散強調画像で3または4以上の横断面を含む直径15 mm以上の梗塞があること 椎骨脳底動脈穿通枝:脳橋腹面に達し、分枝動脈の主幹動脈の狭窄や閉塞がないこと しかし、「病因不明」と分類されたり、状況によってはラクナ梗塞と診断されたりするケースもあります。 BAD(脳梗塞)の治療 BAD(脳梗塞)は、一般的な脳梗塞の治療法であるt-PA療法の効果が得にくいケースが多く、抗血小板薬がよく使用されます。また、複数の治療薬を併用するケースもあります。 治療効果があらわれにくいケースもあり、BAD(脳梗塞)へ有効性の高い治療法は、今後の研究が待たれる内容です。 一般的な脳梗塞の治療法については、以下の記事で詳しく紹介しています。 BAD(脳梗塞)の予後やリハビリ BAD(脳梗塞)は命を失うケースが少ない反面、運動機能に麻痺が残りやすい特徴があります。 また、病変部位別に神経症状が悪化する確率は以下であったという報告もされています。(文献6) 橋傍正中動脈領域:43.6% レンズ核線条体動脈領域: 30.1% 「運動機能に関する予後は、脳卒中患者における機能障害につかわれる評価(FMA)で予測できる」「高血圧の合併があると神経症状が悪化しやすい」などの報告もあります。 BAD(脳梗塞)は麻痺が残りやすいため、多くの場合で継続的なリハビリが必要となります。 後遺症の改善のために、リハビリを継続的におこないましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、BAD(脳梗塞)の予後改善やリハビリの効果アップに効果が期待できる再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。 理学療法士、柔道整復師、鍼灸師、トレーナーによるチーム体制を取っており、再生医療と並行したリハビリも可能です。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」から気軽にお問い合わせください。 まとめ|BAD(脳梗塞)を疑われる場合は受診しよう 本記事では、BAD(脳梗塞)の症状や予後・ラクナ梗塞との違いについて詳しく説明しました。 BAD(脳梗塞)は、ラクナ梗塞に似た症状を示す脳梗塞の一種です。梗塞の部位や大きさはラクナ梗塞と異なり、進行性に症状が悪化しやすい傾向があります。 後遺症が出た場合は、退院後も症状に応じたリハビリをおこないましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、BAD(脳梗塞)をはじめとする脳梗塞に対して再生医療(幹細胞治療)を提供しています。 再生医療(幹細胞治療)は、失われた脳細胞を修復し、後遺症の改善やリハビリ効果の向上が期待できる治療法です。 早くから治療を始めた方が効果を得やすいため、気になる場合は気軽にご相談ください。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。 BAD(脳梗塞)に関するよくある質問 BAD(脳梗塞)の読み方は? BADは「ビーエーディー」と読むのが一般的です。悪いという英語の「Bad」ではないため、「バッド」という読みではありません。 BAD(脳梗塞)にならないためにできることは何? BAD(脳梗塞)を防ぐには、動脈硬化の原因となる以下の病気の予防・治療につとめることが大切です。 高血圧 糖尿病 脂質異常症 喫煙や肥満、塩分の摂りすぎや運動不足も動脈硬化のリスク因子です。毎日の生活のなかで、できることから少しずつ気を付けてみましょう。 脳梗塞を防ぐ方法については、以下の記事もぜひ参考にしてください。 参考文献 (文献1) 北川一夫,Branch Atheromatous Disease の病態と治療,脳卒中 31:550–553,2009https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/31/6/31_6_550/_pdf (文献2) Duan H, Yun HJ, Geng X, Ding Y. Branch atheromatous disease and treatment. Brain Circ. 2022 Dec 6;8(4):169-171. doi: 10.4103/bc.bc_56_22. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10167853/ (文献3) 山本康正,Branch atheromatous disease の概念・病態・治療,臨床神経 2014;54:289-297https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/054040289.pdf (文献4) 星野晴彦ら,Branch atheromatous disease における進行性脳梗塞の頻度と急性期転帰,脳卒中 33:37–44,2011https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/33/1/33_1_37/_pdf (文献5) Deguchi I, Takahashi S. Pathophysiology and Optimal Treatment of Intracranial Branch Atheromatous Disease. J Atheroscler Thromb. 2023 Jul 1;30(7):701-709. doi: 10.5551/jat.RV22003. Epub 2023 May 13.https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10322737/ (文献6) 徳田和宏ら,Branch Atheromatous Disease の急性期運動機能予後に関連する要因の検討,理学療法学 第 47 巻第 2 号https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/47/2/47_11643/_pdf
2025.02.07 -
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症状はないのに 健康診断で「軽い脳梗塞の症状がある」と言われて不安になっていませんか。 自覚症状がなくピンとこないかもしれませんが、無症状性脳梗塞とも呼ばれ、将来的に重篤な脳梗塞を引き起こすリスクもあります。 早急に大きな治療の必要はありませんが、放置すると重い脳梗塞や認知症のリスクを高める可能性があります。 今は大丈夫でも将来どうなるのだろうか不安だったり、急に倒れたり麻痺が出たりしないか心配な方に知っていただきたいのが、再生医療という最先端の医療です。 当院「リペアセルクリニック」は、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を提供しており、患者さまの将来の健康を守るためのサポートに力を入れています。 \リペアセルクリニック坂本理事長のコメント/ 再生医療は軽微な脳卒中に効果が期待できますが、一定期間が経過している場合も同様です。 脳梗塞の症状に関する再生医療についてよく聞かれるのが、発症してすぐに治療しないと効かないでしょう?というものです。 その答えとして、もちろん早期の方が効果は高いですが、10年以上経過した方でも驚くべき改善を認める例はたくさんあります。 「今はまだ大丈夫」ではなく、今からの予防や対策将来の健康につながります。 現在リペアセルクリニックでは、再生医療や脳卒中の症例について詳しく解説しているガイドブックをLINEにて配布していますので、もしもの時に備えてご活用ください。 ▼再生医療による脳梗塞の改善事例を無料で公開中! 症状が軽い脳梗塞は「無症候性脳梗塞」と呼ばれる 脳梗塞の中でも、比較的症状が軽い場合は「無症候性脳梗塞」に分類されます。 無症候性脳梗塞は、症状があらわれないまたは非常に軽微なものにとどまることが特徴です。 そのため患者自身が脳梗塞に気づかず、健康診断やCT・MRIなどの検査で偶然発見されることも多いです。 無症候性脳梗塞は早急な手術は必須ではないものの、将来的に重篤な脳梗塞を引き起こすリスクが高まります。早期の発見と治療により、悪化のリスクを大幅に低減できるでしょう。 無症候性脳梗塞の多くは「ラクナ梗塞」 脳梗塞は、主に以下の3種類に分類されます。この中でも、無症候性脳梗塞の主な原因となるのが「ラクナ梗塞」です。 脳梗塞の種類 特徴 原因 ラクナ梗塞 小さな血管が詰まる 高血圧・動脈硬化 心原性脳梗塞 心臓から血栓が飛び血管が詰まる 心房細動・心疾患 アテローム血栓性脳梗塞 コレステロールが沈着し大きな血管が詰まる 高脂血症・動脈硬化 無症候性脳梗塞の大部分を占めるラクナ梗塞は、比較的軽度な症状が特徴です。 ただし、放置すると脳梗塞の再発や悪化のリスクがあります。診断を受けた際は早期に適切な治療を受けましょう。 脳梗塞の原因と種類について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 また、 ラクナ梗塞と診断された方、脳梗塞の再発や悪化が心配な方は当院の公式LINEにご登録ください。 脳梗塞の種類や治療法、予防策など、役立つ情報をLINE限定で配信しています。 ▼脳梗塞に効果が期待できる再生医療のガイドブックを配信中 >>【無料】公式LINEはこちら ほとんどは「検査」によって見つかる 無症候性脳梗塞は、自覚症状がほとんどなく、検査によって発見されることが一般的です。 そのため、定期的な健康診断やMR・CTなどの画像検査を受けることが早期発見のポイントとなります。 無症候性脳梗塞は、発見が遅れるほど治療が難しくなる可能性があります。 定期的な検査を行い、早期発見を心がけましょう。 無症候性脳梗塞は「早期発見」で治る 無症候性脳梗塞は、速やかに適切な治療を受けることが大切です。 血流が途絶えていた部分が回復して脳機能が正常に戻り、後遺症を残さずに治癒できる可能性があります。 また、無症候性脳梗塞のような軽症の場合、入院期間は約1カ月前後であることが多いです。 脳梗塞の範囲が狭く、早期に発見された場合は、さらに短期間での改善が見込まれます。 ただし、治療には悪化防止のため定期的な通院が必要です。こまめの受診を怠らないようにしましょう。 軽い脳梗塞の3つの前兆・前触れ 脳梗塞の初期症状は、軽度であっても見逃がさないことが早期発見のポイントとなります。 以下の3つの症状は、脳梗塞の前兆としてあらわれることが多い症状です。 脳梗塞の前兆 症状例 備考 言語障害 上手に会話できない 他の人の話が理解できない 繰り返される場合は注意が必要である 顔面麻痺 片側の顔が垂れさがる 笑うと左右が不自然に非対称になる 突然症状があらわれた場合は脳梗塞の疑いがある 腕の麻痺 片方の腕や手が突然力を失う しびれを感じる 一時的な症状でも脳梗塞の前兆である可能性が高い これらの症状があらわれたら、自覚症状が軽い場合でも速やかに受診しましょう。 症状軽い脳梗塞が起こる4つの原因 症状が軽い脳梗塞の原因として、以下の4つがあげられます。(文献1) 高血圧症 コレステロール症 糖尿病 心房細動 上記の疾患の治療を医師の指示どおり受けることで、無症候性脳梗塞の予防につながります。該当する方は、まずは持病の改善に努めましょう。 1.高血圧症 高血圧症は、脳梗塞の比較的多い原因のひとつです。 血圧が高い状態が続くと、脳の血管が収縮して血流が滞ります。 この状態が続くと血栓が発生しやすくなり、脳梗塞を引き起こす可能性が高まります。 そのため、治療により血圧を正常値までコントロールすることが大切です。 高血圧を予防または治療するためには、減塩や運動習慣の改善、病院での適切な治療が必要です。 2.コレステロール症 コレステロール値が高い状態が続くと、血管が硬くなる「動脈硬化」を進行させて脳梗塞のリスクが高まります。(文献2) とくに悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高い場合、血管内に脂肪の塊が形成されやすくなります。 血管が詰まり脳梗塞の原因となるため、コレステロールを減らす治療が必要です。 脂肪分の高い食生活の改善や定期的な運動、必要に応じて薬物治療を受けることで、脳梗塞の予防につながります。 3.糖尿病 血糖値が高い状態が長期間続くと血管にダメージを与え、血液がドロドロになりやすくなります。 高血糖状態が血栓形成のリスクを高め、脳梗塞を引き起こす原因となります。 そのため、糖尿病の治療を確実に行うことが脳梗塞の予防につながるのです。 糖尿病をコントロールするには、食事療法や運動、血糖値を安定させるための薬物治療に専念しましょう。 4.心房細動 心房細動は、心臓のリズムが乱れることで心房が不規則に収縮する病気です。 心房細動により血液が滞ることで、血栓が形成されやすくなります。 形成された血栓が脳に到達すると、脳梗塞になる可能性も考えられるでしょう。 心房細動をはじめとする心臓の病気からくる脳梗塞は「心原性脳梗塞」と呼ばれています。 専門医の指導のもと心房細動を治療することが、心原性脳梗塞の予防につながります。 症状軽い脳梗塞こそ早めの治療が大切!3つの予防・対策法 軽度の脳梗塞のうちにできる予防策は、以下の3つです。 食事や運動の改善 禁煙 抗凝固薬の使用 専門医の指示のもとで、適切な治療を受けて悪化を防ぎましょう。 1.食事・運動の改善 不健康な食生活や運動習慣がないことは、高血圧や高コレステロール血症の原因となり、脳梗塞の発症リスクを上げる可能性があります。 そのため、食事や運動の改善は脳梗塞の予防に効果的と言えるでしょう。 以下のような工夫をして、生活習慣の改善を心がけてみてください。 野菜を中心とした食事を意識する ウォーキングやストレッチを日常生活に取り入れる 脳梗塞の予防に大切な食事のポイントについて詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 2.禁煙 タバコは脳の病気に限らず、全身に悪影響を及ぼします。 喫煙は脳梗塞のリスクを著しく高める要因のひとつです。タバコの煙が血管を収縮させ、脳梗塞のリスクを高めます。 そのため、禁煙は脳梗塞の予防に効果的です。 自力での禁煙が難しい方は、禁煙外来のような専門機関を活用する方法もあります。 脳梗塞を防ぐためにも、タバコを止めるようにしましょう。 3.抗凝固薬の使用 医師の判断によっては、脳梗塞の再発防止の目的で抗凝固薬が使用される場合があります。 抗凝固薬は血液をサラサラにし、血栓による血管の狭窄を予防できます。 そのため抗凝固薬が処方された方は、医師の指示に従い正しく服用することが大切です。 なお、副作用や個人の体調に応じて使用方法が異なります。 抗凝固薬で副作用があらわれた場合は必ず医師に相談しましょう。 ▼LINEでしか見られない情報を配信中 >>公式LINE限定で脳卒中の症例や再生医療の情報を配信中! すぐに受診すべき脳梗塞の症状は「FAST」 脳梗塞の初期症状は「FAST」で覚えましょう。 「FAST」は、以下の4つの要素です。 F(Face: 顔) 顔面麻痺 A(Arm: 腕) 腕の麻痺 S(Speech: 言葉) 言語障害 T(Time: 時間) 発症時刻 脳梗塞の治療は「時間」が重要です。迅速な処置でその後の経過を大きく左右します。 FASTの症状があらわれたら、すぐに受診しましょう。 脳梗塞の前兆について詳しく知りたい方は、下記のコラムを参考にしていただけますと幸いです。 まとめ|脳梗塞は症状軽いうちに適切な検査・治療をしましょう 無症候性脳梗塞のような軽い脳梗塞は、無症状であったとしても後々悪化するリスクがあります。 早めの段階で適切な検査や治療を受けることで、脳梗塞のリスクが低減できるでしょう。 症状が軽いからと侮らずに、定期的な検査や受診を行うようにしてください。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 最先端医療として効果が期待できる再生医療について、今ならLINE限定で無料のガイドブックを提供していますので、この機会により脳梗塞について詳しく知りましょう。 ▼LINE限定のガイドブックを無料でプレゼント! >>【無料】公式LINE限定の再生医療ガイドブックはこちら 症状軽い脳梗塞についてよくある質問 症状軽い脳梗塞は入院になりますか? 医師の判断により、発症の程度や合併症の有無を加味して入院を促される場合もあります。 とくに心房細動のような脳梗塞の引き金となる病気を持つ方の場合、予防もかねて入院が推奨されるケースがあるでしょう。 一方、症状が非常に軽い場合や基礎疾患がない場合は、通院による治療が選ばれる場合があります。 いずれにしても、医師の判断に従いましょう。 脳梗塞の治療法について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただけますと幸いです。 症状軽い脳梗塞を放置するとどうなりますか? 緊急の手術や治療は必須ではないものの、軽い脳梗塞の放置で、将来的に脳血管障害の進行や脳梗塞の再発、さらには認知症になるリスクが高まります。 そのため、脳梗塞が軽度の段階で早期発見と生活習慣の改善が大切です。 日常の習慣を見直し、医師の指導のもとで定期的な治療・検査を受けましょう。 参考文献一覧 (文献1) 四條克倫.脳卒中ガイドライン 2021(改訂 2023). 日大医誌 82 (6): 325–332 (2023) ,p325-33 (文献2) 有屋田 健一. 動脈硬化(どうみゃくこうか). e-ヘルスネット(厚生労働省)2024.7.18. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-082.html,2024.12.26.
2025.01.24 -
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「陳旧性脳梗塞(ちんきゅうせいのうこうそく)と言われたけど、手術や治療は必要ないの?」「後遺症が出ないか心配......。」 陳旧性脳梗塞という病名が聞き慣れず、治療の必要性や再発リスクについて不安になる方も多いのではないでしょうか。 陳旧性脳梗塞とは「脳梗塞の痕」です。くも膜下出血や急性の脳梗塞のように早急の治療を行うことは少ないものの、再発するリスクが高いため、定期通院が必要となる場合もあります。 本記事では、陳旧性脳梗塞について詳しく解説します。本記事を参考に、陳旧性脳梗塞の診断後も再発予防に努めて健康寿命を延ばしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 気になる方は、当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 陳旧性脳梗塞とは「脳梗塞になった痕」 陳旧性脳梗塞とは、いわゆる「脳梗塞」が起こった痕跡が脳内にある状態です。 脳梗塞が起こった部位の血管が詰まると、血流が止まります。その結果、脳細胞がダメージを受けて意識障害や麻痺など重篤な症状があらわれるのです。 適切な治療や時間の経過によって血流は回復する可能性もありますが、ダメージを受けた部分は脳内に痕跡として残ります。この状態が画像検査によって確認されるものが「陳旧性脳梗塞」です。 陳旧性脳梗塞は無症状のまま気づかれないケースもあり、健康診断や別の病気の検査中に偶然発見される場合があります。無症状であっても脳梗塞の再発リスクがあるため、注意が必要です。 定期的な検査や予防に努めることで、再発のリスクを低減できるでしょう。 脳梗塞の症状や原因など、包括的な解説は「脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説」をご覧ください。 陳旧性脳梗塞はCTとMRIでわかる 陳旧性脳梗塞は、画像診断技術で過去に脳梗塞を発症した痕跡を確認できます。とくにCTやMRIといった画像検査では、陳旧性脳梗塞の有無や程度が把握できるため、定期的な検査が大切です。 どちらにも特徴があり、両方の画像検査を受けることで正確に陳旧性脳梗塞があるかどうかがわかります。 本章で違いを把握し、定期的な検査を受けるようにしましょう。 MRI MRI(磁気共鳴画像)では、磁場と電波を利用して撮影します。脳内の詳細な構造がわかり、CTでは見逃されやすい小さな病変も検出可能です。 とくに、陳旧性脳梗塞による脳の損傷やその周辺の変化を高解像度で観察できる点が特徴です。MRIは、陳旧性脳梗塞の診断には欠かせないツールと言えるでしょう。 ただし、MRI検査ができる方には制限があります。 体内に金属が埋め込まれている 閉所恐怖症である 上記に該当する方はMRI診断を受けられないため、必ず医師に申し出ましょう。 CT CT(コンピュータ断層撮影)は、主にX線を使用して脳の断面を撮影する検査方法です。検査時間が10〜30分前後と比較的短く、高齢者や緊急性の高い状況ではすぐに診断できる手段として活用されています。 陳旧性脳梗塞の痕跡がCT画像に写ることがあるものの、新しい脳梗塞や小さな病変はCTで見つけにくい場合があります。そのため、MRIと併用で使用される場合が多いです。 陳旧性脳梗塞の主な原因は生活習慣病!今からできる予防法3選 陳旧性脳梗塞の主な原因は生活習慣病です。 基礎疾患の治療はもちろんのこと、以下3つの方法で生活習慣病や脳梗塞の予防ができます。 禁煙 減塩食や低脂質食 こまめの水分補給 上記を参考にして、今から陳旧性脳梗塞の予防を心がけましょう。 禁煙する 喫煙は脳梗塞の大きなリスク要因のひとつであるため、禁煙してリスクを低減することが大切です。 タバコの煙に含まれる有害物質には血管を傷つけ、血管が硬くなる「動脈硬化」の悪化や血管を狭める作用があります。また、喫煙は血の塊を作りやすい作用があるため、脳梗塞のリスクを高めるのです。 自力での禁煙が難しい方は、専門医に相談の上で禁煙外来の受診を考えましょう。 減塩食・低脂質食を心がける 塩分の過剰摂取は血圧を上昇させ、高血圧や脳梗塞のリスクを高めます。また、高脂質の食事は血中のコレステロール値を上げ、血管内に脂の塊を作る要因です。 脂質の高い食事を繰り返すことで、動脈硬化を進行させ脳梗塞のリスクが高まります。脳梗塞を予防するためには、減塩を意識した食事や脂質を控えた食事を心がけることが大切です。 今から予防できる食生活の改善方法の一例として、以下のような方法があります。 カリウムが豊富な食材(バナナやホウレン草など)を取り入れる 減塩タイプの調味料に切り替える 蒸す・ゆでるなど油の使わない方法で調理する 脂質の少ない食材(鶏ささみや白身魚など)を取り入れる 食事の改善が脳梗塞の予防につながります。今から食生活を見直してみてください。 こまめに水分補給をする 脱水症状は血液を濃縮させ、血栓ができやすい状態を作ります。そのため、こまめな水分補給を行うことで、血液の循環を促進して血栓の予防につながります。 とくに高齢者や糖尿病の方は脱水になりやすいため、意識的に水分を摂りましょう。 水分補給のポイントは、一日を通して少量ずつ水を飲むことです。飲み物としては水や無糖のお茶を選ぶようにしましょう。 陳旧性脳梗塞における病院での治療法 陳旧性脳梗塞の診断を受けた後は、以下のような脳梗塞の再発予防のための治療を行う場合があります。 定期的な検査 抗凝固薬の使用 リハビリ 専門医の指導のもと、適切な治療を受けて脳梗塞の再発予防に努めましょう。 1. 定期的な検査 陳旧性脳梗塞は、無症状であっても新たな脳梗塞や脳出血を引き起こすリスクを伴います。そのため、定期的な検査を受けて脳の状態を確認することが予防のポイントです。 継続して再発がないか定期的に検査することで、新しい症状やリスク因子を早期に発見・治療を行えます。 医師の指示があった際は、定期的な検査を怠らないように注意が必要です。 2. 抗凝固薬の使用 血管が再び詰まるのを防ぐために、必要に応じて抗凝固薬が処方されることがあります。 抗凝固薬は血液を固まりにくくして血栓の形成を防ぎ、脳梗塞の再発リスクを低減する効果が期待できます。 ただし、抗凝固薬の使用により副作用が出るリスクも否定できません。そのため、治療は医師の指示に基づいて行われ、副作用の有無を確認しながら調整される場合が多いです。 抗凝固薬が処方された際は用法を守って服用し、副作用があらわれたら早めに医師へ相談するようにしましょう。 3. リハビリ 陳旧性脳梗塞の後遺症が残っている場合、以下のようなリハビリが必要となります。 リハビリの方法 内容 運動療法 麻痺した部分を動かせるようになるための訓練 言語療法 発症前のように会話ができるようになるための訓練 作業療法 日常生活で必要な行動をひとりで行えるようになるための訓練 リハビリをつづけることで、後遺症を最小限に抑えられることが期待されます。 脳梗塞の後遺症を改善するリハビリについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしていただければ幸いです。 まとめ|陳旧性脳梗塞後は病院の治療や検査で再発予防しましょう 陳旧性脳梗塞は過去に発症した脳梗塞の痕跡であることを解説しました。 無症状であっても脳梗塞の再発は伴うため、予防に努めることが大切です。 専門医の指導のもと、定期的な検査や適切な治療・生活習慣の見直しで脳梗塞の再発を予防しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 気になる方は、当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 メール相談 オンラインカウンセリング 陳旧性脳梗塞についてよくある質問 脳梗塞でも長生きできますか? 脳梗塞を経験しても、適切な治療と予防を行うことで、健康寿命を延ばすことが期待できます。 とくに早期の治療や定期的なリハビリの継続により、症状が改善するケースが多いです。 脳梗塞の診断を受けた後は定期的な通院とリハビリを欠かせないようにしましょう。 また、脳梗塞と似ている脳の病気として、くも膜下出血が知られています。 くも膜下出血の10年後の生存率について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 再検査や大きな治療は必要ですか? 陳旧性脳梗塞そのものに対して手術などの大きな治療が行われることは少ないものの、再発予防のために定期的な通院が大切です。 脳の状態を継続的に確認することで、新たにできた脳梗塞を早めに発見・治療ができます。 また、生活習慣病の治療も脳梗塞の再発防止に重要です。 生活習慣病を患っている方は、持病の治療に専念して脳梗塞の予防に努めましょう。
2025.01.24 -
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目の奥の痛みを感じてインターネットで検索すると「脳梗塞の前兆で目の奥が痛むことがある」という情報を見かけることもあるかもしれません。 一般的な眼精疲労の症状なのか、重大な病気の前兆なのか見分けがつかず、不安になる人もいるでしょう。 結論からいえば、ごく稀に脳梗塞をはじめとする脳の病気の初期症状として目の奥の痛みが出る場合があります。 ただし、ほとんどの場合は目の病気が原因です。目を休めて痛みが緩和される場合は、眼精疲労やドライアイなどの目の病気の可能性が高いと考えられるでしょう。 本記事では、脳梗塞からくる目の症状や、目の病気との見分け方について解説します。 本記事を参考に、目の奥の痛みの原因から適切な対処をとれるようになりましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、人体にもともとある「幹細胞」を利用した再生医療により、脳梗塞の治療が可能です。 メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 「我慢できないほど目の奥が痛い」ときは脳梗塞の疑いもある 目の奥が痛む原因の多くは目の病気からくるものですが、我慢できないほどの痛みの場合は脳梗塞の疑いも否定できません。 本章では、一過性脳虚血発作(TIA)と脳梗塞の初期症状としてあらわれる目の症状について解説します。 脳梗塞の症状や原因など、包括的な解説を見たい方は「脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説」をご覧ください。 目の奥の痛みは脳梗塞の「一過性脳虚血発作(TIA)」の可能性 目の奥の痛みが脳梗塞の初期症状としてあらわれる場合、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があります。 一過性脳虚血発作(TIA)とは、脳の血流が一時的に止まる状態です。一定時間脳梗塞のような手足のしびれやろれつが回らないなどの症状が続いたあと、多くは24時間以内に回復することが特徴です。(文献1) TIAは「脳梗塞の前兆」とも言われており、症状が回復しても早期に脳梗塞に移行するリスクが高いといわれています。 目の奥の痛みとともに手足のしびれや見えにくさも同時にある場合、一時的なものであっても脳神経外科や眼科での検査をおすすめします。 脳梗塞の原因と種類を詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 脳梗塞が疑われる目の症状 脳梗塞が疑われる目の症状は、目の奥の痛みだけではありません。以下のような目の症状も、脳梗塞の初期症状としてあらわれる可能性があります。 症状 特徴 複視 物が二重に見える 視野欠損症 視界の一部が見えなくなる状態。 飛蚊症と間違われやすい 眼瞼下垂 瞼が垂れ下がってくる 視力障害 視界が白くぼやける 脳梗塞の前兆を詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 脳梗塞と眼の病気の見分け方は「しびれ・麻痺があるか」 目の奥の痛みが脳梗塞によるものか、目の病気によるものかを判断するには「しびれや麻痺などの症状の有無」の確認が大切です。 脳梗塞の初期症状として、麻痺やろれつが回らないなどが脳梗塞の初期症状としてあげられます。一方で症状が軽度かつ痛みが目のみである場合は、眼精疲労やドライアイなど眼科の病気である可能性が高いです。 麻痺や言語障害がある場合は早急に救急車を呼び、軽い目の痛みのみの場合は眼科を受診しましょう。 目の奥が痛いのは「眼の病気」が多い! 目の奥が痛む原因は、脳梗塞より目の病気による場合が多いです。 代表的な目の病気として以下3つがあげられます。 眼精疲労 ドライアイ 視神経炎 特徴を詳しく知り、症状がつらい場合は眼科の受診も検討しましょう。 1:眼精疲労 眼精疲労は、目を酷使することで痛みやかすみなどを感じる症状です。眼精疲労でも目の奥が痛くなる可能性があります。 主に長時間のパソコンやスマートフォンの長時間使用が原因であるとされています。コンピュータを使用する50%以上が眼精疲労になる報告もあり、近年増えている病気です。(文献2) 眼精疲労かもしれないと感じた方は、こまめに画面から目を離して休めるようにしましょう。 2:ドライアイ ドライアイは涙の分泌不足や涙の質が原因で、目の表面が乾き痛みや不快感を伴う病気です。 原因はさまざまですが、以下がドライアイになる一因としてあげられます。 部屋の湿度が低い エアコンやストーブの使用 パソコンやスマートフォンの長時間使用 とくにパソコンやスマートフォンの使用によりまばたきの回数が減り、ドライアイになるリスクがあります。 ドライアイが疑われる場合は、意識的にまばたきの回数を増やす、加湿するなど対策を行って目の乾燥を防ぎましょう。 セルフケアにて症状が改善しない場合は、眼科を受診してみてください。 3:視神経炎 視神経炎は、目の神経の炎症により目の奥に痛みや視覚の異常があらわれる病気です。 自己免疫疾患の症状のひとつとしてあらわれる場合が多く、目を動かしたときに強い痛みを感じる場合もあります。(文献2) 視神経炎はセルフケアでは治りにくく、病院での治療が必要です。視神経炎が疑われる場合は、早期に眼科で検査を受けるようにしましょう。 目の奥が痛いときに効果的な対処法3選 目の奥が痛いときに効果的な対処法として、以下の3つがあります。 目を閉じて休める 目を温める 症状に合った目薬を使用する 「麻痺」や「言語障害」など、脳梗塞の症状がない目の奥の痛みの場合は、本章で紹介する方法を試してみてください。 1:目を閉じて休める 目の使いすぎによる眼精疲労やドライアイが原因である場合は、目を閉じて休めると、痛みの軽減が期待できるでしょう。 仕事などでどうしても画面を長時間見なければならない方は、1時間ごとに数分間目を閉じてこまめに休めると効果的です。 とくに長時間パソコンを使うデスクワーカーや普段スマホを使用する方は、意識してこまめに目を閉じて休めましょう。 目を閉じて休めても改善が見られない場合は、眼科の受診を検討してください。 2:目を温める 眼精疲労やドライアイが原因で目の痛みが表れている場合は、以下のような方法で目を温めてみてください。 蒸しタオルを目元にのせる ホットアイマスクを使用する 入浴時に温かいシャワーを目元に優しく当てる 目を温めると血行が促進され、目の筋肉が緩むため目の痛みの緩和が期待できるためおすすめです。 ただし、目が充血している場合は炎症が起こっている可能性があります。温めると悪化するリスクがあるため、充血時は冷やして様子を見ましょう。 3:症状に合った目薬を使用する 目の奥の痛みの原因がわかっている場合は、症状に合った目薬を使用してみても良いかもしれません。 たとえば、眼精疲労が原因であれば疲れ目に効果のある成分が含まれた目薬を、ドライアイの場合は潤い成分が含まれた目薬が効果的です。市販の目薬もあるため、ドラッグストアで探してみてください。 ただし、症状に適した目薬がわからなかったり、市販の目薬を数日使用しても改善されなかったりする場合は、眼科を受診するようにしてください。 まとめ|目の奥が痛い症状から脳梗塞を早期発見しましょう 目の奥の痛みが激しい、手足の麻痺やろれつが回らないなどいつもと違う症状があると脳梗塞の疑いがあります。目の奥の痛み以外の症状に目を向けて、脳梗塞の疑いがある場合は早めに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、人体にもともとある「幹細胞」を利用した再生医療により、脳梗塞の後遺症や再発予防に効果が期待できる治療を行っています。 メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 目の奥が痛い症状についてよくある質問 頭痛でも目の奥が痛くなりますか? 以下の頭痛により目の奥が痛くなる可能性があります。 片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 上記は、目の周囲の神経に異常をきたして頭や目の痛みが生じている可能性があります。頭痛と目の奥の痛みが頻繁に続く場合は一度頭痛専門外来に相談してみると良いでしょう。 頭が痛いときの対処法について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。 目の奥が痛い症状が出る危険な病気はありますか? 脳梗塞以外にも、以下のような重篤な病気の前兆として目の奥が痛い症状があらわれる可能性があります。 くも膜下出血 脳出血 急性閉塞性緑内障 脳腫瘍 など 脳梗塞と同様、上記の病気は目の奥の痛みに加えて視力低下や意識障害などの症状を伴う場合が多いです。 激しい目の奥の痛みが続いたり、他の症状も伴う場合は医療機関で検査を受けるようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の治療を行っています。詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。 参考文献一覧 文献1 Levy, D. E. (1988). How transient are transient ischemic attacks? Neurology, 38(5), 674. 文献2 Sheppard, A.L., & Wolffsohn, J.S. (2018). Digital eye strain: prevalence, measurement and amelioration. BMJ Open Ophthalmology, 3.
2025.01.24 -
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こめかみの痛みが続き「脳梗塞だったらどうしよう……」と悩んでいませんか。 こめかみは脳にも近い部位であり、大きな病気なのではないかと不安になりますよね。 結論、こめかみが痛いだけであれば、脳梗塞の可能性は低く、偏頭痛や緊張性頭痛といった「一時性頭痛」である可能性が高いです。 ただし、会話ができない症状や手足のしびれも伴う場合は、脳梗塞の可能性も否定できません。こめかみの痛み以外の症状もみられる場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 本記事では、こめかみの痛みや原因、脳梗塞の関係性や受診のサインについて詳しく解説します。 記事を参考に、自分のこめかみの痛みが脳梗塞の症状なのかを見極め、受診すべきかどうか検討しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。可能です。 メール相談またはオンラインカウンセリング にて無料相談を受け付けています。気になる方はお気軽にご相談ください。 こめかみが痛いだけなら脳梗塞の可能性は少ない こめかみが痛む原因の多くは、偏頭痛や緊張型頭痛などの「一次性頭痛」と呼ばれるものです。 脳梗塞による頭痛(二次性頭痛)が発生する場合手足のしびれやろれつが回らないなど他の症状もあらわれることが多くあります。 よって「こめかみが痛い」のみの症状の場合は脳梗塞を強く疑う必要はありません。 ただし症状の程度や頻度によっては注意が必要です。 普段よりも激しい頭痛の場合は、脳梗塞の可能性も否定できないため、すぐに受診するようにしてください。 脳梗塞の症状や原因など、包括的な解説を見たい方は「脳梗塞とは|症状・原因・治療法を現役医師が解説」をご覧ください。 また、脳梗塞の前兆について詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしていただけると幸いです。 こめかみが痛くなる主な原因3つ こめかみが痛くなる主な原因は、以下の3つです。(文献1) 偏頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 頭痛のタイプによって原因が異なるため、それぞれの症状や特徴を知り、自分の頭痛が上記にあてはまるかどうか確認してみてください。 1:ズキズキ痛む「偏頭痛」 偏頭痛の特徴は、頭の片側が脈に合わせて「ズキズキ」と痛む症状です。 偏頭痛の一因として、以下があげられます。 ストレス 睡眠不足 ホルモンバランスの乱れ など 光や音などが刺激となり、脳血管が急激に拡張することで周辺の神経を刺激して痛みが起こります。痛みの悪化により吐き気が伴う場合も考えられるでしょう。 また、偏頭痛が脳血管疾患の中でも頻度の高い症状です(文献2)。 こめかみがズキズキするタイプの方は、まずは安静にして様子を見るようにしましょう。 痛みが強い場合は鎮痛剤の使用で改善も期待できます。 2:ギューッと痛む「緊張型頭痛」 こめかみがギューッと締め付けられるような痛みの場合は「緊張型頭痛」が考えられます。 緊張型頭痛は肩や首の筋肉が凝り固まって血流が悪くなることで引き起こされます。 とくに現代はパソコンやスマートフォンの長時間使用で緊張性頭痛が誘発されるケースが多く見られます。 長時間下を向いたり、パソコン作業をする姿勢が悪かったりすると緊張型頭痛が起こる原因になりかねません。 頭痛と一緒に肩や首のコリも感じる方は、ストレッチやマッサージなどを定期的に行いましょう。 3:激しい痛みが繰り返される「群発頭痛」 こめかみ目の奥に我慢できないほど強い痛みが繰り返される場合は「群発頭痛」の疑いがあります。 群発頭痛は、数週間から数カ月にわたり毎日同じ時間帯に繰り返し生じる特徴的な頭痛です。 また、以下の症状を伴うケースも多く見られます。(文献3 ) 目の充血 鼻づまり 発汗 まぶたの腫れ など 群発頭痛の原因は明確になっていませんが、脳神経や血管の異常が原因との諸説もあります。(文献1) セルフケアのみでの改善は困難なため、群発頭痛の可能性がある場合は、早めに専門医を受診して適切な治療を受けましょう。 こめかみの痛みだけじゃない!脳梗塞の可能性がある症状 こめかみの痛みが脳梗塞のサインである場合、以下のような他の症状を伴うことが多いです。 手足のしびれ ふらつき ろれつが回らない 嘔吐 目が見えにくい 顔の片側が動かしにくい など 偏頭痛のような一次性頭痛は神経や筋肉の異常が原因で起こります。 一方で二次性頭痛は脳梗塞のような他の病気が原因で引き起こされます。 一時性頭痛と二次性頭痛の違いや見分け方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。 【要チェック】脳梗塞になりやすい人の特徴 脳梗塞になりやすい人の特徴として、以下6つがあげられます。 1.血圧高い人 2.血糖値が高い人 3.コレステロール・中性脂肪が高い人 4.心臓の病気を持っている人 5.腎臓の病気を持っている人 6.肥満体質の人 上記が引き金となり、脳梗塞にかかるリスクがあります。 該当する方は、脳梗塞のリスクがあることを理解して、治療に専念しましょう。 1:血圧が高い人 高血圧は脳梗塞を引き起こしやすい要素の1つです。 血圧が高いと血管が傷つき、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。 できた血栓が脳血管を詰まらせると、脳梗塞を引き起こすリスクがあります。 血圧の上昇を防ぐためには、以下のような基本的な生活習慣の見直しが大切です。 塩分控えめの食事を摂る 定期的な運動を行う 飲酒や喫煙を控える これらを日常で心がけると、血圧が正常値に近づき、脳梗塞のリスクの低減も期待できます。 高血圧症の治療を行っている場合は、専門医の指示のもとで適切な治療を継続しましょう。 2:血糖値が高い人 生活習慣病のひとつである「糖尿病」も脳梗塞のリスクを高めます。 血糖値が高い状態が続くと、血管が硬くなり(動脈硬化)、血流が妨げられます。 その結果脳梗塞のリスクが上がるため、糖尿病の方は血糖値の改善が大切です。 主に血液検査の項目にある「HbA1c」により治療の可否を判断する場合が多いです。 「HbA1c」の目標値は以下のとおりです。(文献4) HbA1cの目標 HbA1c(%) 血糖値の正常化 6.0未満 合併症予防 7.0未満 治療が困難な場合 8.0未満 血糖値を正常に保つためには生活習慣を整えるほか、専門医の指示に従って治療薬を継続することが大切です。 3:コレステロール・中性脂肪が高い人 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と中性脂肪(TG)の数値が高い人も注意が必要です。 血液中のコレステロールや中性脂肪が増加すると、血管内に脂質が蓄積され、血管が詰まりやすくなります。その結果、脳梗塞になる可能性も否定できません。 とくに以下の脳梗塞がコレステロール・中性脂肪の高値が原因となり、引き起こされます。(文献5) 脳梗塞の種類 詳細 アテローム血栓性脳梗塞 大きな脳血管が詰まる ラクナ梗塞 細い脳血管が詰まる 健康診断でコレステロールの数値を指摘された場合は、食生活の改善や定期的な運動を行いましょう。 4:心臓の病気を持っている人 心房細動や心筋梗塞などの心臓の病気を持っている人も、脳梗塞のリスクが高いといえます。 心臓の病気により、通常は一定のリズムで動いている心臓が不規則になると、血栓ができやすくなります。 この血栓が脳血管に詰まることで脳梗塞を引き起こすのです。 心臓の病気が原因で起こる「心原性脳梗塞」は、脳梗塞の中でも最も重症と言われています。そのため、早期の心臓病の治療や予防が大切です。 専門医により適切な治療を行えば、脳梗塞になるリスクを半数以上減らせることがわかっています。心臓の病気の治療中の方は、定期的な受診と治療を怠らないようにしましょう。 5:腎臓の病気を持っている人 慢性腎臓病(CKD)の人は、脳梗塞のリスクが高くなります。(文献6) 腎臓の機能が低下すると血圧コントロールや老廃物の排出ができなくなり、血管に負担がかかります。そのため、動脈硬化が進行し、脳梗塞のリスクを高めるのです。 腎機能の指標となる数値(糸球体ろ過率:GFR)の低下やタンパク質尿の存在も脳卒中の発症リスクを高める要因です。 腎臓病と診断された方は、専門医の指示で塩分控えめの食事や血圧管理など悪化を防ぎましょう。 6:肥満体質の人 肥満は前述した高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こす一因です。 生活習慣病のリスクが上がることで、間接的に脳梗塞のリスクを高める可能性があります。 肥満には以下2種類のタイプがあります。(文献7) 肥満のタイプ 詳細 内臓脂肪型肥満(リンゴ型) 腹部に脂肪が蓄積 皮下脂肪型(ナシ型) 体の下半身(お尻や太ももなど)に脂肪が蓄積 とくに内臓脂肪型肥満の方は生活習慣病になりやすいため、注意が必要です。 肥満気味の方は無理のない範囲で食生活や運動の改善を心がけてみてください。 このほか、もやもや病でも脳梗塞のリスクがあります。詳しく知りたい方は、下記のコラムを参照してください。 【脳梗塞以外】こめかみが痛むときに考えられる危険な病気 こめかみの痛みが生じる脳疾患は、脳梗塞だけではありません。以下の脳疾患によりこめかみの痛みが生じる場合もあります。 脳疾患 頭痛の特徴 くも膜下出血 今までに経験したことがないほどの激しい痛み 脳腫瘍 弱い頭痛から激しい頭痛へ移行 側頭動脂炎 こめかみの激しい痛みで、押すと圧痛がある 急性硬膜下出血 何かにぶつかったような激しい痛み 上記の脳疾患も、脳梗塞と同様に意識障害や麻痺など他の症状を伴う場合があります。 「ただの頭痛だから」と侮らずにいつもと違う感じがしたらすぐに受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の後遺症や再発予防として再生医療を提供しています。詳しく知りたい方は、下記のぺージをご覧ください。 こめかみが痛いときにできる5つのセルフケア こめかみが痛い症状を軽減するためには、原因に応じた適切なセルフケアが効果的です。 具体的な方法は以下のとおりです。 頭痛の種類 セルフケア 偏頭痛 1.ズキズキする部分を冷やす 2.暗室で横になって休む 緊張型頭痛 3.首や肩のこりも感じたら温める 4.定期的な運動をする 5.スマホの使用を控える 偏頭痛や緊張型頭痛といった一時性頭痛は、これらのセルフケアによって改善が期待できます。こめかみの痛みで悩んでいる方は、本章で解説している方法を実践してみてください。 1:【偏頭痛】ズキズキする部分を冷やす 偏頭痛の場合は、痛みがあるこめかみの部分を冷やすと改善する可能性があります。そのため、患部を冷やすことで広がった血管が収縮し、頭痛の緩和が期待できます。(文献1) 片頭痛の方は保冷剤や氷をタオルで包み、患部に数分間当ててみてください。 ただし、長時間冷やし続けると凍傷のリスクもあるため注意が必要です。 「冷やし過ぎた」と感じた場合は、一旦保冷剤を皮膚から離して休ませましょう。 2:【偏頭痛】暗室で横になって休む 偏頭痛は、光や音に敏感になっている状態です。そのため、暗室で横になりゆっくり休むようにしましょう。(文献1) 暗室で休むときが難しい場合は、以下の方法で光や音を遮ることもおすすめです。 遮光カーテン アイマスク 耳栓 など スマホやパソコン、テレビなどのブルーライトも偏頭痛を悪化させる一因です。頭痛が治まるまで、スマホの使用も避けるようにしましょう。 3:【緊張型頭痛】首や肩のこりも感じたら温める 首や肩の筋肉が緊張して凝り固まり、血行が悪化すると緊張型頭痛が引き起こされます。 そのため、温めることで筋肉をほぐすと、血行と頭痛の改善が期待できるでしょう。 緊張型頭痛の方の場合は、以下の方法で首や肩を温めると効果的です。 蒸しタオルを凝っている部分にあてる 湯船にゆっくりつかる など 首や肩の凝りとともに頭痛も解消される可能性があるため、ぜひ実践してみてください。 4:【緊張型頭痛】定期的な運動をする 緊張型頭痛になる一因として、運動不足も考えられます。思い当たる方は、日常的に軽い運動を取り入れてみましょう。 体を動かすことで血行が良くなり、頭痛の緩和が期待できます。 また、運動は継続が大切です。1時間ランニングするなどはハードルが高くなり、途中でやめてしまう可能性があります。 ウォーキングやストレッチなど、手軽で始めやすい運動がおすすめです。 無理のない範囲で、運動を習慣化しましょう。 5:【緊張型頭痛】スマホの使用を控える 長時間にわたるスマホの使用は、猫背やうつむき姿勢が続くため肩こりや頭痛の原因になります。 また、ブルーライトを浴びることで目の疲れや頭痛の悪化も考えられます。 こまめに画面から目を離して目を休ませることが大切です。 さらに、猫背の自覚がある方はスマホを使用する際に姿勢を正すように気をつけましょう。 また、頭の痛みはツボ押しでも改善されることが期待できます。詳細を知りたい方は下記のコラムも参考にしてください。 こめかみが痛いとき受診すべきサイン こめかみが痛いときに以下の症状がある場合は、すぐに受診しましょう。 手足のしびれ めまい ろれつが回らない 今までにない激しい頭痛 上記の症状は脳梗塞の初期症状として知られています。 脳梗塞の場合は治療が早いほどその後経過が良好となり、後遺症のリスクも下げられます。 また、群発性頭痛の場合も病院での治療が効果的です。群発頭痛の場合も早めに受診するようにしましょう。 脳梗塞の前兆は以下の記事でも解説しています。こめかみの痛みで脳梗塞かどうか不安な方はあわせてチェックしてみてください。 まとめ|こめかみが痛い症状と不安から解放されましょう こめかみの痛みのみの場合は、脳梗塞であるリスクは低いと考えられます。 しかし、手足のしびれやろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、脳梗塞の可能性があるため迷わずすぐ受診するようにしてください。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の後遺症改善や再発予防治療を行っています。 もしすでに違和感があるなら、悩まず当院のメール相談もしくはオンラインカウンセリング にてお気軽にご相談ください。 こめかみの痛みで脳梗塞を疑うときによくある質問 脳梗塞の前触れ症状は? 脳梗塞の症状は突然あらわれることが多いため、以下のような前兆症状に注意が必要です。(文献8) めまい 激しい頭痛 ろれつが回らない症状 手足のしびれ ふらつき など 脳梗塞の早期発見・早期治療はその後の経過を大きく左右するため、些細な変化も見逃さないようにしてください。 脳梗塞の前兆のチェックリストを詳しく見たい方は、下記のコラムを参考にしてください。 脳梗塞になる前に予防できることは? 脳梗塞の危険因子となる高血圧や糖尿病などを改善・予防するためには、生活習慣の改善が大切です。 以下のように生活習慣を改善すると、脳梗塞の予防につながります。 塩分や糖分を控えめにした食事 禁煙 適度な運動 飲酒 など ひとつでもできそうなことを、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。 脳梗塞の予防について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただけますと幸いです。 右のこめかみだけが痛むのはなぜですか? 片側のこめかみだけが痛む場合は、片頭痛の可能性が高いと考えられます。 片頭痛は片側のみの頭痛であることが多く、めまいや吐き気を伴うこともしばしばあります。 光や音に過敏に反応して悪化するケースもあるため、片側だけの頭痛の場合は暗室でゆっくり休みましょう。 片頭痛の原因としてはストレスや不眠、ホルモンバランスの乱れなどの生活習慣も考えられます。 片頭痛でお悩みの方は、一度自分の生活習慣を見直してみると良いでしょう。 (参考文献一覧) 文献1 日本脳神経学会 日本頭痛学会 日本神経治療学会 頭痛の診療ガイドライン2021., 医学医院, 2021p473 文献2 竹島多賀夫.片頭痛と睡眠. 神経治療 Vol. 39 No. 4(2022), p564-568 文献3 群発頭痛. 日本頭痛学会. https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_kaisetu_04.html, 2024.12.18. 文献4 日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2024,南江堂, 2024.p27-35 文献5 北川 一夫,脂質異常症と脳卒中.慢性腎臓病(CKD)と脳卒中 . 脳卒中36: 144–146, 2014, 文献6 勝又 俊弥.慢性腎臓病(CKD)と脳卒中 . 脳卒中 36 巻 2 号(2014:3), p120-124 文献7 肥満と健康e-ヘルスネット,2019.12.17,https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html.2024.12.18 文献8 脳血管障害・脳卒中,2023.4.26.7,https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html,.2024.12.18
2025.01.24 -
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「閃輝暗点から脳梗塞に進展する確率を知りたい。」 「閃輝暗点が出たらどうしたら良いのだろう?」 この記事を読んでいるあなたは、「閃輝暗点」と脳梗塞の関係について、不安に思っているのではないでしょうか。 「受診の目安や受診先を知りたい」と思っているかもしれません。 結論として、閃輝暗点が脳梗塞の前兆となる可能性はあります。過度に恐れる必要はありませんが、脳梗塞であった場合のリスクを考えて受診をおすすめします。 本記事では、閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率や、脳梗塞の場合の症状やサインなどを現役医師が詳しく解説しています。記事を最後までご覧いただくことで閃輝暗点と脳梗塞の関係を理解し、適切な対処ができるようになるでしょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 閃輝暗点と脳梗塞について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 閃輝暗点とは?脳梗塞との関係性 項目 閃輝暗点とは 脳梗塞との関係性 症状の特徴 ジグザグ・キラキラした光や模様が視界に現れ、一時的に見えにくくなる 脳の視覚野の血流低下や血管攣縮で似た症状が現れることがある 持続時間 数十分以内で自然に消失 持続する場合や他症状を伴う場合は脳梗塞やTIAの可能性 よくみられる原因 片頭痛の前兆 脳血管の障害や一時的な脳の血流障害 注意すべきサイン 中高年で頭痛を伴わず初発・繰り返すケース 麻痺や言語障害、視覚異常など他の神経症状が同時に出現 リスクが高まる条件 前兆を伴う片頭痛がある45歳未満女性 片頭痛に喫煙・経口避妊薬を併用すると脳梗塞リスクが7〜9倍に上昇 おすすめの対応 症状や経過の記録、心配な場合は脳神経外科受診 初発や異常を感じた場合はMRIやCTによる早期精密検査 閃輝暗点とは、視界にギザギザした光やチカチカした模様が現れ、数分から30分程度続く一過性の視覚異常です。多くの場合は片頭痛の前兆として生じますが、脳の血流障害が原因となることもあり注意が必要です。 閃輝暗点の初期症状や治療法など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】閃輝暗点とは|放置によるリスクから初期症状・治療法まで詳しく解説」をご覧ください。 脳梗塞では、血流が障害されることで視覚異常が起こることがあります。片頭痛に伴う閃輝暗点と、脳梗塞に関連する視覚症状は、症状の経過や見え方に違いがあるため、区別することが大切です。 とくに初めて経験した場合や、これまでと異なる症状が出た場合には、速やかに医療機関を受診し、必要に応じて検査を受けることが推奨されます。 閃輝暗点の見え方については「【医師監修】閃輝暗点の見え方について解説|片目だけ・初めての症状は危険?」をご覧ください。 閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率は低い 閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率は高くありません。 多くの場合は片頭痛に関連した現象であり、直接脳梗塞に結びつくことは少ないとされています。しかし、これまでの研究では脳梗塞の前兆として閃輝暗点が出現した例も報告されています。 とくに40歳以上の方や、高血圧・糖尿病・不整脈といった生活習慣病を有する場合には注意が必要です。症状の頻度が急に増えたり、見え方がこれまでと異なったりする場合は、一過性脳虚血発作(TIA)など脳血管障害のサインである可能性も考えられます。 脳梗塞は早期に発見し適切な治療を受けることで、進行や悪化を防げるケースもあります。不安を感じた際には、速やかに脳神経外科などを受診しましょう。 以下の記事では、脳梗塞の前兆について詳しく解説しています。 【症状例】閃輝暗点から脳梗塞を発症した2つのケース 発症ケース 詳細 ケース1. 閃輝暗点から片頭痛になり脳梗塞を発症する 閃輝暗点が片頭痛の前兆として発生し、通常は数十分で消失。片頭痛の後に手足のしびれや脱力感が加わり、脳の後頭葉で脳梗塞が診断された例。片頭痛による血管の収縮が血栓を作り脳梗塞へ進展する可能性 ケース2. 頭痛のない閃輝暗点から脳梗塞を発症する 頭痛を伴わない閃輝暗点が突然起き、視野の一部欠損や見え方の異常が続く。脳の後頭葉に脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)が発生し血流障害による症状。自己判断が難しく受診による画像診断が必要 閃輝暗点から脳梗塞になる際は、片頭痛発作の後になるパターンと頭痛なしで脳梗塞になるパターンがあり、症状や経過によって背景にある病態は異なります。 片頭痛に続いて脳梗塞が発症するケースでは、血管の収縮や血栓形成が関与すると考えられています。一方、頭痛を伴わない閃輝暗点は一過性脳虚血発作(TIA)の前兆で、見逃すと脳梗塞につながる危険があります。いずれの場合も自己判断は難しく、早期の受診と検査が重要です。 ケース1. 閃輝暗点から片頭痛になり脳梗塞を発症する 年齢・条件 脳梗塞発症リスクの増加 45歳未満の前兆のある片頭痛女性 脳梗塞リスクが2倍 50歳未満の前兆のある片頭痛女性(年12回以上の発作がある場合) 脳梗塞リスクが2~10倍 閃輝暗点とは、視界にギザギザした光が現れ数十分でおさまる、片頭痛の前兆です。片頭痛は、脳梗塞のリスクを増加させる可能性があります。 また、喫煙する人や経口避妊薬を服用している人は、脳梗塞の発症リスクが7〜9倍になると報告されています。 若年者で脳梗塞は稀です。しかし、閃輝暗点を伴う片頭痛がある人ではリスクが2倍以上に高まります。 以下の記事では、片頭痛を含む頭痛の危険性について詳しく解説しています。 ケース2. 頭痛のない閃輝暗点から脳梗塞を発症する 項目 内容 頭痛を伴わない閃輝暗点 脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の前兆の可能性 発症の特徴 突然の視覚異常が数分~数十分で回復するが脳血管異常のサイン 発生部位 視覚情報を処理する脳の後頭葉 主な症状 視野欠損や視界の異常 自己判断の難しさ 脳梗塞かどうかの判断が困難 受診の推奨 初めての症状や異常な経過時は脳神経外科または内科での検査が必要 閃輝暗点は、視界にギザギザやチカチカした光が現れる一過性の視覚異常で、多くは片頭痛の前兆として起こります。 頭痛を伴わない閃輝暗点の中には脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)の前兆として現れることもあります。TIAは数分から数十分で自然に回復するものの、将来的に脳梗塞へ進展するリスクが高い病気です。 脳の部位である後頭葉は、視野を司る部位であり、血流障害が生じると視野の欠損、視覚異常などが起こります。 頭痛を伴わない閃輝暗点は脳梗塞の兆候の可能性があるため、自己判断せず医療機関を受診することが重要です。 脳梗塞のサインとして現れる視覚異常の特徴 視覚異常の特徴 詳細 片側だけが見えにくくなる(半盲) 脳の後頭葉や視覚路の障害による、左右どちらかの視野が欠ける状態 視界の一部が欠ける(視野欠損) 視界の一部分が見えなくなり、日常生活に支障をきたす視覚障害 物が二重に見える(複視) 脳神経の障害により物が二重に見える状態。両眼で見ると二重に見えることが特徴 急に視力が落ちる・かすむ 突然の視力低下やぼやけ、ピントが合わない状態 目の奥が我慢できないほど痛む 脳や神経の異常による強い眼球奥の痛み。頭痛や吐き気を伴うこともある 脳梗塞のサインとして、半盲、視野欠損、複視、急な視力低下やかすみ、強い眼痛などの視覚異常が現れることがあります。 これらは脳の後頭葉や視覚に関わる神経の異常による症状であり、脳梗塞の前兆の可能性もあります。症状が突然出たり繰り返す場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。 片側だけが見えにくくなる(半盲) 項目 内容 半盲とは 両目の同じ側の視野が欠ける状態 発症の原因 脳梗塞による視放線や後頭葉の血流障害 欠損視野の左右 右脳障害で左視野欠損、左脳障害で右視野欠損 日常生活での影響 欠けた視野に気づきにくく、壁にぶつかるなど支障 注意点 視野欠損の多くは脳梗塞起因、中年以降はとくに注意 半盲は、視野の半分が突然見えなくなる視覚障害です。右側または左側の視野全体が欠け、真っ黒に見える、あるいは見えない壁があるように感じることが特徴です。 原因は、視覚情報を処理する後頭葉や視放線といった経路が、脳梗塞によって障害されることです。閃輝暗点が光のジグザグや一部の欠けとして現れるのに対し、半盲は広範囲が失われる点で異なります。 自身では気づきにくく、物にぶつかる、文字の一部が読めないなど日常生活に支障をきたします。半盲は脳梗塞の重要なサインであり、出現した際には速やかに医療機関で診察とMRIなどの検査を受けることが重要です。 視界の一部が欠ける(視野欠損) 項目 内容 見え方の特徴 視界の片側一部が見えなくなる、文字の一部が欠ける、かすかに光が見えるが全体的に欠損感あり 日常生活での気づき 通路や道で片側から人や柱にぶつかる、読書や画面で文字の一部が突然見えなくなる 原因 脳梗塞による後頭葉や視覚伝導路の損傷で視覚情報が脳に届かなくなること 自覚症状 視野の一部が黒く抜けたように感じることがあり、症状が固定する場合もある 注意点 目の問題ではなく脳の障害によるもので、早期受診が重要 視野欠損とは、視野の一部が欠けて見えなくなる状態で、閃輝暗点と異なり光を伴わず見えない、ぼやけるといった症状が持続するのが特徴です。 脳梗塞による後頭葉や視覚経路の障害で起こり、片側の視野が欠ける、文字が読めない、黒く抜けたように見えるなどの症状として現れます。 日常では、人や柱に片側からぶつかることで気づかれることもあり、一部は回復するものの固定して残る場合もあります。目の異常ではなく脳の障害による重要なサインであり、脳梗塞の可能性があるため、早期の受診とMRI検査などによる確認が必要です。 物が二重に見える(複視) 複視とは物が二重に見える症状で、脳幹の血流障害により眼球を動かす神経が障害され、左右の目が協調して動かなくなることで起こります。 動眼神経の障害で目の動きやまぶたに異常が生じ、複視は脳梗塞のほか脳腫瘍・動脈瘤・頭部外傷でも起こります。突然の複視は脳卒中の重要なサインのひとつであり、片目が動かしにくい、二重に見えるといった症状が現れた場合は、速やかに医療機関で検査を受けることが重要です。 急に視力が落ちる・かすむ 項目 内容 原因 脳への血流遮断による後頭葉や視覚経路の障害 急な視力低下・かすみ 片側眼または両眼での急激な視力低下やぼやけ 一過性黒内障 片眼の視野がカーテンのように暗くなる、一時的な血流遮断による症状 後頭葉梗塞の影響 右脳後頭葉障害による両眼の左側視野欠損(同名半盲)、視界の欠損や薄暗さ 閃輝暗点との違い 閃輝暗点は光や模様の視覚異常、こちらは直接的な視力低下や視野欠損を伴う症状 急な視力低下やかすみは、脳梗塞による視覚野や視覚経路の血流障害で起こる重要なサインです。代表的なものに一過性黒内障があり、片目だけ突然暗くなり、カーテンが下りるように視野が遮られます。 これは頚動脈の血栓による一時的な血流遮断が原因です。また、後頭葉の梗塞では両眼の同じ側に視野欠損(半盲)が生じ、視界が欠けたり全体が薄暗く見えることがあります。 閃輝暗点が光や模様を伴う一過性の現象であるのに対し、これらは直接的な視力低下や持続する視野障害が特徴です。こうした症状が現れた場合は、脳梗塞の可能性を考慮し、速やかな受診と検査が必要です。 目の奥が我慢できないほど痛む 目の奥の激しい痛みは、多くの場合は眼精疲労やドライアイ、緑内障発作、群発頭痛など目や頭の病気が原因です。しかし、まれに脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)、さらには脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血といった脳血管障害の前兆として現れることがあります。 とくに突然の強い痛みに加えて視力低下、視野の欠損、物が二重に見えるなどの症状を伴う場合、あるいはしびれ・麻痺・言語障害が一緒に出る場合は注意が必要です。 これらは脳卒中の緊急サインであり、速やかな受診、場合によっては救急要請が推奨されます。 以下の記事では、目の奥の痛みと脳梗塞の関係性を詳しく解説しています。 【脳梗塞?】閃輝暗点が起きたときの受診の目安 受診の目安 詳細 身体の麻痺・しびれ、視覚異常、言語障害の有無をチェック 手足の麻痺やしびれ、視覚の変化、言葉がうまく話せない症状の有無の確認 「初めて」「頻度・性質・持続時間が変わった」ときは要注意 閃輝暗点が初発の場合や、症状の頻度・強さ・持続時間に変化があった場合は早めの受診推奨 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として現れますが、稀に脳梗塞のサインの可能性もあります。そのため、ただの片頭痛と自己判断せず、受診の目安を知っておくことが大切です。 とくに手足の麻痺やしびれ、視覚異常、言葉が出にくいなどの神経症状を伴う場合、また初めて症状が出たときや頻度・性質・持続時間に変化がある場合は注意が必要です。受診の目安は示されていますが、少しでも異変を感じた場合は早めの受診が重要です。 身体の麻痺・しびれ、視覚異常、言語障害の有無をチェック 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として現れる一時的な視覚症状ですが、稀に脳梗塞などの脳血流障害の前兆として発症します。 脳梗塞では視覚異常に加えて片側の手足の麻痺やしびれ、言葉が出にくい、理解が難しいといった言語障害を伴うことが多く、これらは血流が途絶えた部位の機能障害を反映する重大な兆候です。そのため閃輝暗点が起きたときには、麻痺やしびれ、普段と異なる視覚障害、言葉のもつれや認知障害がないかを確認することが重要です。 こうした症状を伴う場合は脳梗塞の可能性が高いため救急受診が必要であり、視覚症状のみであっても頻度や性質が変化する際には早めに医療機関を受診することが重要です。 「初めて」「頻度・性質・持続時間が変わった」ときは要注意 閃輝暗点は多くの場合、片頭痛の前兆として一過性に現れますが、初めて症状が出た場合には脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)など脳の血流障害による可能性もあります。とくに40歳以降で初発の場合は、医療機関で検査を受けることが推奨されます。 また、以前から閃輝暗点がある方でも、出現頻度が急に増えたり、見え方がこれまでと異なったり、症状が長引く場合には注意が必要です。こうした変化は単なる片頭痛の前兆ではなく、脳の血管異常を示す可能性があります。 閃輝暗点は多くが一過性ですが、脳梗塞の早期サインと重なることもあるため、自己判断せず、異変を感じた際には早急に医療機関を受診しましょう。 【脳梗塞?】閃輝暗点が起きたときの対処法 対処法 詳細 眼科ではなく脳神経外科を受診する 閃輝暗点は脳が原因の症状のため、眼科ではなく脳神経外科の受診が必要 脳梗塞を見逃さないためにCTやMRI検査を受ける 脳神経外科で問診・診察後、頭部CTやMRIで脳梗塞の有無を詳しく確認 脳梗塞と診断された場合は血栓回収療法を受ける 脳梗塞診断後は血栓を取り除く治療(血栓回収療法)などを早期に開始することで重症化予防が可能 閃輝暗点は多くの場合片頭痛の前兆ですが、稀に脳梗塞のサインとして発症します。とくに手足の麻痺やしびれ、言葉のもつれなど他の神経症状を伴う場合は、自己判断せず速やかに受診することが重要です。 眼の病気と思って眼科に行く方もいますが、原因は脳にあるため脳神経外科を受診する必要があります。診察後には頭部CTやMRIで脳梗塞の有無を詳しく確認し、脳梗塞と診断された場合は血栓回収療法など早期治療を開始することで重症化を防止できます。 眼科ではなく脳神経外科を受診する 閃輝暗点は一見すると目の病気のように感じられますが、実際には脳の血流異常や神経の働きの異常が関与していることが少なくありません。 脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)が背景にあり、正確な診断のためには脳を専門とする脳神経外科や神経内科の受診が必要です。眼科は緑内障や網膜剥離など目そのものの疾患を対象とする診療科であり、脳の異常を十分に評価することは困難です。 一方、脳神経外科や神経内科ではCTやMRIといった画像検査によって脳の血管や神経の状態を詳細に確認でき、脳梗塞の早期発見や適切な治療につながります。とくに初めて症状が出現した場合や経過がこれまでと異なる場合、さらに麻痺や言語障害を伴う場合には、速やかに医療機関を受診することが重要です。 脳梗塞を見逃さないためにCTやMRI検査を受ける 項目 内容 脳出血の除外 急な症状発症時にCTで脳出血の有無を迅速確認、治療方針決定に必須 初期脳梗塞の検出 MRIの拡散強調画像(DWI)で小さな梗塞や見落としやすい領域も高精度で把握 血栓位置・血流状態の把握 CTAやMRAで血栓の位置や範囲を特定し、適切な血栓回収療法やt-PA投与の判断につなげる 診断精度の向上・誤診防止 症状だけでは片頭痛等との区別困難なため、画像検査で脳以外の原因との鑑別を可能に 脳梗塞の診断にはCTやMRIが欠かせません。CTは脳出血の有無を迅速に確認でき、治療方針の決定に直結します。MRIは発症直後のごく小さな梗塞も捉えられ、とくに後頭葉など見落としやすい部位の診断に有用です。 CTAやMRAで血管の詰まりを把握でき、血栓回収療法など治療の適応判断に役立ちます。症状だけでは片頭痛などとの区別が難しいため、画像検査による早期評価がより正確な診断につながる可能性があります。 以下の記事では、MRI検査について詳しく解説しています。 脳梗塞と診断された場合は血栓回収療法を受ける 項目 内容 血栓回収療法の目的 詰まった血栓を機械的に取り除き、血流を再開させる治療 脳細胞の壊死防止 血流遮断による脳細胞の死滅進行を抑え、後遺症の軽減を図る 高い再開通率 カテーテル使用で約90%の再開通率 治療可能時間の拡大 発症から最大24時間まで治療可能な場合があり、発症から時間が経過していても治療を受けられる可能性がある 後遺症リスク軽減と社会復帰支援 早期治療により麻痺や言語障害の後遺症を減らし、生活や社会復帰の支援を促進 脳梗塞は、血栓によって脳の血管が詰まり、神経細胞に酸素や栄養が届かなくなることで急速に壊死が進行し、重い後遺症や生命の危険を招く疾患です。血栓回収療法は、カテーテルを用いて血栓を直接除去し血流を再開させる治療であり、高い再開通率が報告されています。 脳梗塞では、発症から最大24時間まで適応可能な場合があり、発症時刻が不明なケースや発症から4.5時間を超えた患者にも治療の選択肢が広がっています。早期に血流を再開することで脳細胞の壊死を最小限に抑え、後遺症を軽減し社会復帰や自立につなげられるため、速やかな血栓回収療法は命と生活の質を守る上で極めて重要です。 以下の記事では、脳梗塞の治療や後遺症について詳しく解説しています。 脳梗塞の予防策 予防策 詳細 高血圧を防ぐ 定期的な血圧測定と記録、減塩や適度な運動による生活習慣改善 片頭痛をコントロールする 医師の診断と薬物療法、ストレス管理や規則正しい生活習慣の維持 定期健診を受ける 健康状態の把握と早期発見のための血圧、血糖、脂質検査の継続 脳梗塞の予防には、高血圧の管理、片頭痛のコントロール、定期健診の受診が重要です。高血圧は定期的な測定と記録、減塩や運動による生活習慣改善で防ぐことができます。 片頭痛は医師の診断による薬物療法や、ストレス管理、規則正しい生活でコントロールが可能です。定期健診では血圧・血糖・脂質を継続的に確認し、生活習慣病の早期発見につなげます。閃輝暗点が直接脳梗塞を起こすことは稀ですが、脳梗塞は誰にでも起こり得るため、日頃から予防策を実践することが大切です。 高血圧を防ぐ 項目 内容 脳卒中リスクの最重要因子 高血圧は脳梗塞や脳出血の主な原因であり、血圧上昇に伴いリスクも直線的に増加する 血圧の持続的上昇の影響 収縮期・拡張期ともに高い状態が続くと血管がダメージを受け、脳卒中の発症率が上昇する 血管負担軽減と動脈硬化抑制効果 血圧を下げることで血管への負担を軽減し、動脈硬化の進行を遅らせることで予防効果を発揮 脳卒中リスクの明確な低下 収縮期血圧が10mmHg下がると脳卒中リスクが約40%減少し、5mmHg低下でもリスク低下が確認されている 早期管理の重要性 高血圧の早期発症や長期持続はリスク増大と降圧薬の必要性増加につながり、早期対応が必須 発症率抑制の可能性 高血圧を完全予防できれば、脳卒中の発症率を約半分に減少させる可能性がある (文献1)(文献2) 高血圧は脳梗塞をはじめとする脳卒中の最大のリスク因子であり、血圧を下げることで動脈硬化の進行を抑え、脳卒中の発症率を減少させることが期待できます。 収縮期血圧を10 mmHg下げると脳卒中リスクが約40%低下することが報告されています。(文献1) さらには日常的な降圧で発症率を半減させる可能性もあるため、生活習慣の改善や定期測定による早期管理が極めて重要です。 以下の記事では、脳梗塞の発症予防について詳しく解説しています。 片頭痛をコントロールする 片頭痛に関連する可能性のある要因 内容 空腹 食事を抜くことや長時間の空腹状態 運動 激しい運動や身体活動 月経周期 ホルモン変化に伴う周期的な影響 天候の変化 気圧や温度の変化 光・におい・音・温度差 強い光、特定のにおい、大きな音、温度差 睡眠の乱れ(寝不足・寝すぎ) 不規則な睡眠や過不足による影響 食べ物(チョコレート・ナッツ・ワインなど) 特定の食材が誘因となる場合がある ストレス(感じる・解放される) 精神的緊張や解放後の反応 片頭痛の誘発要因として、空腹による血糖値の低下、急激な運動による身体的負担、月経周期に伴うホルモン変動、天候の変化や光・におい・音・温度差などの環境刺激、睡眠の乱れ(寝不足・過剰睡眠)、特定の食品(チョコレート・ナッツ・ワインなど)、ストレスの蓄積や解放といった要素が挙げられます。 さらに、閃輝暗点などの前兆のある片頭痛を持つ女性においては、脳梗塞の発症リスクが約2倍とされ、喫煙や経口避妊薬の併用、高頻度の発作(年12回以上)などが重なると、そのリスクはさらに上昇します。(文献3) 前兆のある片頭痛の場合は、頭痛としての対処だけでなく専門医に相談し、脳卒中のリスクを踏まえた全身的な管理を行うことが重要です。 以下の記事では、頭痛の対処法について詳しく解説しています。 定期健診を受ける 脳梗塞は、高血圧・糖尿病・脂質異常症・不整脈(心房細動)などの生活習慣病が主な原因です。これらは自覚症状が現れにくく、気づかないうちに進行して脳の血管に負担をかけ、脳梗塞を引き起こす可能性があります。 定期健診では血圧・血糖値・コレステロール値・心電図を確認でき、脳梗塞のリスク因子を早期に発見し、生活習慣の改善や薬でコントロールすることで将来の発症リスクを大きく下げられます。 また、健診で医師に相談することで、自分の体質や生活習慣に合わせた予防方法を取り入れられる点も大きなメリットです。 閃輝暗点から脳梗塞に進展する確率は低いが医療機関での受診が重要 閃輝暗点から脳梗塞に至る確率は低いとされていますが、その症状が問題ないものなのかを自身で判断することは困難です。 脳梗塞だった場合、治療が遅れると症状が悪化するリスクが高まるため、不安な閃輝暗点が現れた際は早めに脳神経外科を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞後の治療として再生医療(幹細胞治療)を行っています。再生医療は、脳梗塞によってダメージを受けた脳細胞の修復や麻痺の改善、リハビリ効果の向上などに効果が期待できます。 再生医療へのご質問・ご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。気になる点がありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。 閃輝暗点と脳梗塞の確率に関するよくある質問 閃輝暗点から脳梗塞になる原因はスマホですか? 閃輝暗点は脳の血流低下が原因で起こるため、スマホが直接的に閃輝暗点や脳梗塞を起こす可能性は低いと考えられます。 しかし、以下のようなパターンでは、スマホの使用が閃輝暗点や脳梗塞へ間接的に影響する可能性があります。(文献4) スマホの光から片頭痛発作が起こり、脳梗塞になる 疲れているときにスマホを操作し、片頭痛発作から脳梗塞になる 悪い姿勢でのスマホ操作が続き、脳を含めた全身の血流が低下する 操作姿勢やタイミング、使用時間などを見直し、適切なスマホ使用を心がけましょう。 閃輝暗点を放置するとどうなりますか? 閃輝暗点が片頭痛の前兆だった場合、その後頭痛発作が起きると考えられます。 また、閃輝暗点が脳梗塞の前兆だった場合は、しびれ、言葉が出なくなるなどの症状が出る可能性もあります。閃輝暗点が脳梗塞に移行するかどうかを自分で判断するのは困難です。不安を感じる場合には、医療機関を受診することが望まれます。 頭痛がない閃輝暗点は危険ですか? 頭痛が伴わない閃輝暗点が出現した場合、片頭痛以外の異常が起きている可能性があります。 閃輝暗点が脳梗塞の前兆である可能性は否定できません。脳梗塞は早期対応によって予後が大きく左右されます。頭痛を伴わない閃輝暗点が見られた場合は、脳梗塞の前兆を確認するために医療機関への受診が推奨されます。 脳梗塞の後遺症が出た場合はどうすれば良いでしょうか? 脳梗塞の後遺症には、早期からのリハビリと多職種による支援が重要です。理学療法での機能回復、作業療法での日常動作支援、言語療法でのコミュニケーション回復に加え、心理的なサポートも効果的です。入院後も外来や訪問でリハビリを続けることで、機能の維持・向上につながります。 また、自己管理を取り入れることで生活の質や自立性は高められますが、リハビリは自己流ではなく、医師の指導のもとで行うことが不可欠です。医師と連携し、自分に合ったプランを進めることで、より適切で効果的な回復が期待できます。 以下の記事では、脳梗塞の後遺症について詳しく解説しています。 参照文献 (文献1) 脳卒中の1次,2次予防と血圧管理|シンポジウム (文献2) 脳血管障害・脳卒中|厚生労働省 (文献3) 性差を勘案した片頭痛診療|(日本頭痛学会誌,50:135―139,2023) (文献4) 頭痛の診療ガイドライン2021|日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会
2025.01.24 -
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肝硬変と診断を受けてから、どのような食事をとったら良いのかお悩みではないでしょうか。 医師から食事指導を受けたものの、具体的にどの食品をどの程度制限すれば良いのか、また、美味しい食事を楽しめるのか不安に感じている方もいるでしょう。 肝硬変の方は、健康な人に比べて食事の制限が多くなります。しかし、栄養バランスを意識してメニューを工夫すると、治療中でも美味しく食事を楽しみながら、必要な栄養を摂取できるでしょう。 本記事では、肝硬変の食事で気をつけるべきポイントとおすすめの献立を紹介します。 ぜひこの記事を参考に、無理なく続けられる食事の工夫を行い、健康を守るための食生活を取り入れていきましょう。 肝硬変の人が気をつけるべき食事|食べてはいけないもの3選 肝硬変の人が控えるべき食品は以下の3つです。 塩分が多い食事 刺激物や硬い食品 高タンパクな食事 これらの摂取を控えて、日々の食生活に気を配りましょう。肝硬変の方は、普段から肝臓への負担を減らす意識を持つことが大切です。 塩分が多い食事 腹水やむくみがある肝硬変の人は塩分摂取量の目安として、1日5〜7gに抑えることが推奨されます。(文献1) 腹水とは、お腹の中にタンパク質を含んだ液が大量に貯留した状態です。(文献2) 肝臓の機能が低下すると、血液中のアルブミンが減少し、水分が血管外へ漏れ出して腹水やむくみが生じます。塩分を摂りすぎると体内の水分がさらに増え、症状を悪化させる要因となります。そのため、肝硬変の人は塩分を控えることが重要です。 とくに以下のような食品は塩分が多いため、注意が必要です。(文献3) インスタント食品(カップめんやインスタントラーメンなど) 梅干し 漬物 塩分を適切にコントロールし、腹水やむくみの悪化予防に努めましょう。 肝硬変の腹水の予後や治療方法を知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 刺激物・硬い食品 肝硬変の患者は、食道静脈瘤のリスクがあるため、刺激物や硬い食品の摂取を控えることが重要です。(文献4) 食道静脈瘤とは、門脈圧亢進症(肝臓に流れ込む門脈の血圧が高くなる状態)によって生じる食道の血管のこぶであり、破裂すると大量出血を引き起こす可能性があります。(文献5) 食道は食べ物の通り道になっているため、その表面上にある膨らんだ血管に尖ったものや硬いものが当たると、破裂する可能性があるため注意が必要です。 たとえば、せんべいや小魚のおやつ、ナッツ、骨のある魚、フランスパンなどは硬いので適しません。また、香辛料の多いカレーやコーヒーも刺激が強いため控えた方が良いでしょう。 逆に好ましい食品は、茶碗蒸しや麺類(うどんやそうめんなど)、お米、プリン、ヨーグルトなどの消化しやすい柔らかい食べ物です。調理する際には柔らかく仕上げるように工夫してみてください。 高タンパクな食事 肝硬変の方は、タンパク質の過剰摂取に注意が必要です。 基本的に、肝硬変の方は健康な方よりもタンパク質を多めに摂取することが推奨されています。推奨されるタンパク質の1日摂取量は以下のとおりです。(文献8)(文献9) 対象 推奨されるタンパク質の1日摂取量目安 健康な方 男性:約0.95~1.0g/kg 女性:約0.93~0.99g/kg 肝硬変の方(蛋白不耐症がない場合) 1.0〜1.5g/kg タンパク質が不足すると栄養状態の悪化につながるため、過不足がない摂取量を心がける必要があります。 ただし、肝硬変の方は摂取のしすぎにも注意が必要です。 タンパク質は体に必要な栄養素ですが、消化・分解される過程で毒素のひとつ「アンモニア」を発生させます。健康な肝臓であれば無毒化されますが、肝機能が低下すると処理が追いつかず、体内にアンモニアが蓄積してしまいます。 血液中のアンモニア濃度が上昇し、脳にまで達すると神経症状を引き起こす「肝性脳症」の原因になります。 そのため、タンパク質の過剰摂取には注意が必要です。(文献6)とくに動物性タンパク質の摂りすぎには注意しましょう。 以下のような食品はタンパク質を多く含むため、摂取量を調整することをおすすめします。(文献7) 卵類 豚肉類 乳製品 肝硬変と同様、肝臓に中性脂肪が溜まる「脂肪肝」も食事の見直しが大切です。脂肪肝の食事の注意点を知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 肝硬変の食事でおすすめの献立例 肝硬変では栄養バランスを整えつつ、肝臓に負担をかけない食事を摂ることが重要です。塩分やタンパク質を控えながらも、必要な栄養素を効率よく摂取できる献立を紹介します。 【朝食】 パン 野菜スープ 果物・サラダ カフェオレ 野菜や果物を取り入れることでビタミンや食物繊維が摂取でき、腸内環境を整えられます。腸内環境を整えるとアンモニアの産生を抑制できるため肝硬変の方におすすめです。肝性脳症を合併している方は、カフェオレに入れる牛乳の量を少なめにしましょう。 【昼食】 うどん 果物 ヨーグルト 消化が良いうどんを主食にすることで消化管への刺激を抑え、食道静脈瘤のリスクを低減できます。そのため、うどんのような柔らかい食材がおすすめです。塩分を控えるため、うどんのつゆは薄味にして出汁を活用すると良いでしょう。 【夕食】 ごはん 豆腐ハンバーグ 根菜汁 生野菜 主菜に植物性タンパク質を含む豆腐ハンバーグを取り入れると、食物繊維を多く摂取でき、アンモニアの蓄積を抑えられます。(文献10)主菜はなるべく、動物性タンパク質の代わりに植物性タンパク質を用いると良いでしょう。 合併症がある場合は、医師と相談しながら食事内容を調整しましょう。 肝硬変の食事療法の注意点 肝硬変の患者は、食事の摂り方にも注意が必要です。栄養素や食品に加え、以下の食事の取り方をするよう意識しましょう。 1日3回規則正しく食べる 高タンパク食や高カロリー食は避ける 満腹まで食べない(腹八分目を意識する) よく噛んで食べる 食べてからすぐにお風呂に入らない 深夜には高脂肪食品の摂取を避ける これらの食事のポイントも意識すると、肝硬変の悪化防止につながります。今まで注意していなかった方は、今日から気をつけましょう。 肝硬変では食事の見直しに合わせて、専門医の治療をしっかり受けることが大切です。肝硬変の治療について詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 まとめ|肝硬変は食事を工夫して悪化を防ごう 肝硬変では肝機能が低下している分、食事内容や摂取方法に注意しなければなりません。普段の食事内容の工夫が合併症を予防することにつながります。 合併症を改善・予防する上で食事療法は非常に重要です。医師や栄養士とも相談しながら、ご自身のライフスタイルに合った食事の工夫を行ってみてください。この記事がご参考になれば幸いです。 当院「リペアセルクリニック」では、肝臓疾患に対する治療として再生医療を行っております。再生医療について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。 肝硬変の食事についてよくある質問 肝硬変の食事で生ものは食べられますか? 肝硬変の方は、生ものの摂取は控えましょう。 肝硬変は肝機能が低下している状態です。そのため、解毒能力が弱まり、食中毒のリスクが高まります。健康な人なら食品に含まれる細菌やウイルスは肝臓で解毒されますが、肝硬変の方はこの機能が低下し、感染症にかかりやすくなるのです。 とくに、生の魚介類には「ビブリオ・バルニフィカス」と呼ばれる細菌が含まれることがあり、重篤な感染症を引き起こす可能性があります。(文献11) お寿司や刺身などの生魚は避けて、加熱調理した食品を摂取するようにしましょう。 肝硬変で食事がとれないときの対処法はありますか? 肝硬変の患者が食事をとれない場合は、栄養不足を防ぐために以下のような対策を取りましょう。 消化の良い食品を摂取する(お粥、スープ、豆腐、ヨーグルトなど) 少量ずつ複数回に分けて食べる(1日5~6回程度に分ける) 食欲が低下した場合は栄養補助食品を活用する 医師の処方に基づきBCAA(分岐鎖アミノ酸)製剤を取り入れる 食事から十分な栄養を摂れない場合、医師の指導のもとで栄養補助食品を活用するのもひとつの手です。エネルギーが補給できるドリンクタイプの栄養補助食品を取り入れると、食欲がなくても無理なく栄養を摂取できるでしょう。 参考文献 (文献1) 日本消化器病学会・日本肝臓学会「肝硬変診療ガイドライン 2020(改訂第 3 版)」2020年発行 https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/kankouhen2020_re.pdf (最終アクセス:2025年3月26日) (文献2) MSDマニュアル「腹水」, MSDマニュアル家庭版,2023年1月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/04-%E8%82%9D%E8%87%93%E3%81%A8%E8%83%86%E5%9A%A2%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%82%9D%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6%E3%81%A8%E5%BE%B4%E5%80%99/%E8%85%B9%E6%B0%B4 (最終アクセス:2025年3月26日) (文献3) 消費者庁「栄養成分表示を使って、あなたも食塩摂取量を減らせる」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/food_labeling_cms206_20191126_09.pdf (最終アクセス:2025年3月26日) (文献4) MSDマニュアル「肝硬変」, MSDマニュアルプロフェッショナル版,2022年1月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/02-%E8%82%9D%E8%83%86%E9%81%93%E7%96%BE%E6%82%A3/%E7%B7%9A%E7%B6%AD%E5%8C%96%E3%81%A8%E8%82%9D%E7%A1%AC%E5%A4%89/%E8%82%9D%E7%A1%AC%E5%A4%89L (最終アクセス:2025年3月26日) (文献5) MSDマニュアル「静脈瘤」, MSDマニュアルプロフェッショナル版,2023年5月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/01-%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E5%87%BA%E8%A1%80/%E9%9D%99%E8%84%88%E7%98%A4 (最終アクセス:2025年3月26日) (文献6) MSDマニュアル「肝性脳症」, MSDマニュアル家庭版,2023年1月 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/04-%E8%82%9D%E8%87%93%E3%81%A8%E8%83%86%E5%9A%A2%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%82%9D%E7%96%BE%E6%82%A3%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6%E3%81%A8%E5%BE%B4%E5%80%99/%E8%82%9D%E6%80%A7%E8%84%B3%E7%97%87 (最終アクセス:2025年3月26日) (文献7) 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」から出典,2023年発行 https://fooddb.mext.go.jp/index.pl (最終アクセス:2025年3月26日) (文献8) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」2019年12月発行, https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf (最終アクセス:2025年3月26日) (文献9) 日本消化器病学会・日本肝臓学会「追補内容のお知らせ 『肝硬変診療ガイドライン』(2020 年 11 月)」2022 年 3 月 18 日更新,https://www.jsh.or.jp/lib/files/medical/guidelines/jsh_guidlines/kankouhen2020_AR_v2.pdf?utm_source=chatgpt.com (最終アクセス:2025年3月26日) (文献10) 渡辺 明治.「9.肝硬変合併症とその対策3)肝性脳症」『日本内科学会雑誌』80巻(10号), p1625-p1630 1991年発行 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika1913/80/10/80_10_1625/_pdf (最終アクセス:2025年3月26日) (文献11) 厚生労働省「ビブリオ・バルニフィカスに関するQ&A」食品の安全に関するQ&A, 2016年11月9日 https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/060531-1.html#top (最終アクセス:2025年3月26日)
2024.06.18 -
- 幹細胞治療
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減圧症の治し方と後遺症に対する最新の治療法を医師が解説 減圧症とは、高圧環境下で血中や組織中に溶解していた窒素などの空気が、急激な減圧により気泡化して起こる疾患です。潜水からの急浮上に伴うものが代表的であるため、「潜水病」と呼ばれることもあります。 軽い関節痛や痒み・発疹などの軽症から、脳障害や脊髄損傷をきたして死に至る重症まで症状は多様です。 本記事では発症直後の応急処置や再圧治療について解説します。後遺症に対する最新治療としての再生医療の可能性についてもご説明していきます。 減圧症の応急処置 回復体位 recovery position 減圧症をきたした際、専門的な治療ができる医療機関へ搬送を待つ間にできる応急処置をご紹介します。 もし患者さんに意識がなく、呼吸が止まっている状態であれば、速やかに胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸といった心肺蘇生を行う必要があります。AEDが準備できるのであれば速やかに装着しましょう。 脳の障害をきたすこともある減圧症では、脳圧をあげないために頭を下げる体勢は厳禁です。意識があれば仰向けで休ませましょう。 意識がなく、呼吸のみある状態であれば回復体位(上図)をとります。舌の付け根が喉を塞いだり嘔吐物で窒息をしたりしないために、下顎を突き出して横を向くような体勢にします。 呼吸の有無に関わらず必要なのが高濃度の酸素投与です。酸素には組織の窒素の洗い出し効果があるためです。設備があれば一刻も早く開始してください。 意識があれば水分補給を行いましょう。もし医療系の資格を持つ人がいて器材があれば点滴を行います。また、体を冷やしすぎないように保温に努めてください。 意識がなく、呼吸が止まっている状態 胸骨圧迫(心臓マッサージ)や人工呼吸で心肺蘇生する 意識がなく、呼吸のみある状態 回復体位をとる(上図参照) 意識がある場合 仰向けで休ませる 水分補給を行う 器材があれば点滴を行う(医療資格保持者がいる場合) 注意点 設備があれば呼吸の有無に関わらず高濃度の酸素を投与する 頭を下げる体勢は厳禁 体を冷やさないように保温する なお、再度潜水をして症状軽減をはかる「ふかし」は絶対に行ってはいけません。 ふかしは、空気を使用するため、酸素投与と比較しても窒素の洗い出し効果の効率が悪いためです。再度浮上した時に症状が再燃したり、場合によっては増悪したりするリスクがあります。 減圧症の治療 治療の原則は「再圧治療」です。 再圧治療とは 治療を受ける人は、専用の治療タンク内に入ります タンク内の気圧は水中でかかるくらい高い圧まで上がります その中で患者さんは純酸素を吸入します 高い気圧により気泡は圧縮され、再度血液や組織中に溶け込みます その結果、血流の回復が期待できる治療法です さらに高濃度酸素を投与することで、組織へ効率よく酸素が運ばれてきます。 組織に酸素が届くと、窒素が洗い出されます。窒素は肺へ集まり、体外へ排出されるのです。 一定時間、高い気圧をかけたら、その後はゆっくり減圧行います。こうすることで、再度気泡ができることを防ぎます。 高い気圧をかける時間や減圧については、世界的に標準治療として使用されている「米海軍酸素再圧治療表6」に従って行うことが原則です。 初回で可能な限り症状をなくしてしまうことが重要であるため、経過を見ながら治療時間の調整が行われます。それでも症状が残ってしまった場合は、症状の回復の可能性があるのであれば複数回の再圧治療を行うこともあるのです。 減圧症の後遺症 減圧症により脳や脊髄の障害が起こっても、早期に適切な治療が行われれば症状の消失が期待できます。しかしながら、治療が遅れたり適切な治療がなされなかったりすると後遺症を残す可能性があります。 後遺症の症状は障害部位により多様です。以下に代表的な後遺症をお示しします。 内耳障害 聴覚と平衡感覚に関わる第Ⅷ脳神経の障害です 基本的には適切な治療で改善します。 減圧症と気づかずに治療が遅れると耳鳴りやふらつきが残ります 対麻痺 主に下肢の両側に左右対称に起こる運動麻痺です 脊髄の障害による後遺症です。 膀胱直腸障害 脊髄の障害により、排尿や排便のコントロールが困難になります 尿がうまく出なくなったり、失禁を起こしたりします 感覚障害 脊髄および脳の障害いずれでも起こる後遺症です 痺れたり、感覚がわからなくなったりします 脳障害の後遺症として起こる場合は障害部位と反対側に認められます。 一方、脊髄の障害の場合は障害された部位より下に両側に起こることが一般的です。 片麻痺 脳の障害により起こります。 対麻痺と異なり、片側の手足の運動麻痺です。 これらの後遺症によりダイビングへの復帰が出来なくなるだけでなく、導尿が必要になったり車椅子生活を余儀なくされたりするケースもあるのです。 このような場合にはリハビリを行い、少しでも生活しやすくなるように工夫するより他にありません。 また、急性期の症状は回復して残らずとも、のちに骨壊死を起こすことがあります。減圧症により骨の循環障害が起こることで骨の一部が壊死してしまうのです。 もっとも多いのは大腿骨頭壊死です。発症直後は無症状ですが、徐々に骨頭が潰れていくため股関節痛が起こります。最終的には関節が破壊され、歩行が困難になってしまいます。 骨壊死が起こってしまうと症状の進行を止めることはできず、生活に支障が出れば手術が必要になるのです。 減圧症(潜水病)の後遺症は治せるのか?再生医療の可能性について 現在、最新の治療である幹細胞治療がさまざまな分野で注目を浴びています。減圧症の後遺症についても同様のことが言えるでしょう。 幹細胞治療は、「間葉系幹細胞」と呼ばれる色々な細胞に変化できる万能細胞の特性を活かした治療法です。幹細胞を採取して培養を行い、障害部位に投与することで組織の再生を促します。 一般的に回復しないとされていた脳卒中や脊髄損傷により傷ついた神経や、従来手術しかないと考えられてきた変形した関節の治療などが対象です。そのため減圧症の後遺症についても、幹細胞治療が役に立つ可能性があるでしょう。 ▼脊髄損傷に対する幹細胞治療についてはこちらの動画をご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE まとめ・減圧症の治し方と後遺症に対する最新の治療法とは!医師が解説! 減圧症発症後の各段階での治療について解説をしました。 減圧症の後遺症は後の生活に大きな支障を及ぼします。まずは起こさないことが一番です。 不幸にして発症してしまった場合でも、速やかな治療により後遺症が残る可能性を抑えることができます。応急処置のための酸素の準備・心肺蘇生法の習得・搬送先の把握なども、潜水をする上で重要な準備と言えるでしょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下も潜水病に関する情報を記載しています 減圧症による脳障害|症状と後遺症、治療法について 参考文献 鈴木 信哉:潜水による障害,再圧治療. 高圧酸素治療法入門第6版. 日本高気圧環境・潜水医学会. 2017; 147-174. 小濱正博. レジデントノート 8(5): 667-674, 2006. 小島泰史, 鈴木信哉, 新関祐美, 小島朗子, 川口宏好, 柳下和慶. 日本渡航医学会誌 13(1): 27-31, 2019. 梅村武寛, 堂籠博. 日本医事新報 (5120): 40-41, 2022. 工藤大介. 日本医事新報 (5062): 78-79, 2021.
2024.01.22 -
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橋出血はどんな初期症状が出るのだろう。 橋出血になったら、助かるのかな。 この記事を読んでいるあなたは、聞きなれない「橋出血」という病気について不安を抱いているのではないでしょうか。「これからどうなるのだろう」と、心配しているかもしれません。 橋出血とは、脳の中心部にある「橋(きょう)」という部分からの出血で、脳出血全体の5〜10%を占めます。初期症状として意識障害や頭痛が出るケースが多く、状態によっては助からないケースも珍しくありません。 本記事では、橋出血の初期症状や死亡率、予防法を詳しく解説します。記事を最後まで読めば、橋出血の全容がわかり、リハビリや再出血予防を含む今後の見通しをたてられるでしょう。 橋出血の初期症状は「意識障害や頭痛」 橋出血を含む脳出血は、突然脳の血管が破れて発症し、前兆や予兆がないケースも珍しくありません。しかし、初期症状がわかれば早期治療が可能となり、出血の拡大を予防できます。 橋出血の初期症状は、以下のとおりです。 なん何となく受け答えが悪い(意識障害) 強い頭痛が続く 手足がうまく動かせない 身体の片方だけ感覚が鈍い このような症状がある場合は、救急車の利用も考慮に入れ、できるだけ早く医療機関を受診してください。 また、当院リペアセルクリニックでは、脳梗塞や脳出血といった「脳卒中」の治療法の1つとして再生医療をおこなっています。「メール」や「オンラインカウンセリング」によるご相談も可能です。橋出血の治療法に興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。 橋出血における2つの症状 出血の部位や大きさによって異なりますが、橋出血の症状は「瞳孔の変化」と「四肢の麻痺」が特徴的です。また、意識障害、視覚障害、言語障害、呼吸障害などのさまざまな症状が出るケースもあります。 本章では、橋出血の特徴的な症状である瞳孔の変化と四肢の麻痺について、解説します。 瞳孔の変化 瞳孔とは、目の真ん中にある「黒目」のさらに中心にある黒い部分です。瞳孔のはたらきは、目の中に入る光の量の調整です。まぶしいときは光の取り込み量を減らすために縮小し、暗いときは取り込み量を増やすために拡大します。 脳の奥にある「橋」には、瞳孔の大きさを調整するための神経が通っています。そのため、橋出血によりこの神経が影響を受けると、瞳孔が極端に収縮するのです。両側瞳孔の高度縮小はpinpoint pupilともよばれ、橋出血に特徴的な所見です。 四肢の麻痺 橋には、四肢の運動機能を担う神経も通っています。橋からの出血がその部分を巻き込んだ場合、運動機能の調節ができなくなり、手足の麻痺があらわれます。広い範囲で出血が起こった場合は、片側だけでなく、四肢の麻痺となるでしょう。 ただし、出血量が少なければ、「片側の麻痺に留まる」「運動は保たれて感覚のみ麻痺する」などの場合もあります。片側に麻痺が出る際は、機能が失われた脳の反対側の手足に症状が出るケースが一般的です。 脳内における「橋」の役割については、以下の記事で詳しく説明しています。橋出血について詳しく知りたい方はあわせてチェックしていただければ幸いです。 橋出血の治療は「保存療法がメイン」 橋出血の治療は、原因となる血圧を下げる「血圧コントロール」「脳のむくみ予防の点滴」などの「保存療法」が基本です。 脳のほかの部位で出血したときは、血腫(出血によって生じた血の塊)を取り除く手術をするケースがあります。しかし、脳の深部にあり、正常な組織を傷つける可能性が高いため、基本的に橋出血の手術はおこなわれません。 また、身体を動かしても問題のない状態になり次第、日常生活に戻るためのリハビリもおこないます。 橋出血の治療法は、以下の記事で詳しく説明しています。 橋出血の死亡率は約50% 橋出血の死亡率は、約50%です。(文献1) 入院時の意識レベルが低い、出血が多いなどの場合は死亡率が高く、予後も不良です。場合によっては出血してから数時間で命を落とすケースもあります。 出血の範囲が小さく、量も少ない場合の予後は比較的良好で、退院後は自宅での生活に戻れる方もいます。しかし、運動麻痺や感覚麻痺などの後遺症が出る方も多いのが現実です。自宅での生活が難しければ、回復期リハビリテーション病院や病棟に移動してリハビリを続けるケースもあります。 当院「リペアセルクリニック」が取り扱う再生医療は、リハビリと併用すると身体機能の回復効果を高められます。「メール」や「オンラインカウンセリング」によるご相談も可能です。興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。 橋出血の予後については、以下の記事も参考にしてください。 橋出血の予防には血圧コントロールが大切 橋出血のみならず、脳出血の最も多い原因は高血圧です。高血圧は一般的な病気であり、多くの人が指摘されたことがあるのではないでしょうか。 高血圧は、ほかの生活習慣病と同じく、食事、運動が基本的な治療です。とくに塩分の摂りすぎには注意した方が良いでしょう。 血圧が高い状態が続いている場合は、投薬治療が必要な場合もあるため、医師に相談してください。 脳出血が再発すると、今回無事だった部位もダメージを受け、さらに後遺症が重くなる可能性も考えられます。再発を防ぐために、できる限りの対策をおこないましょう。 まとめ|橋出血の初期症状があらわれたらすぐに受診を 本記事では、橋出血の初期症状やその後あらわれる症状、死亡率などを詳しく解説しました。 橋出血の初期症状は、意識障害や頭痛などです。脳出血はいきなり起こるため、予兆や前兆がないケースもありますが、初期症状を知っておくことで早めの受診が可能になるでしょう。 また、意識がない、出血量が多いなどの場合の死亡率は高く、助からないケースも珍しくありません。高血圧は橋出血のリスクを高めるため、減塩や運動などの生活習慣にも気をつけましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。壊れた脳細胞の再生ができれば、リハビリの効果を高める、再発防止などの効果が期待できるでしょう。 再生医療へのご質問・ご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。気になる点がありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。 橋出血の初期症状に関するよくある質問 橋出血の症状が出た人におこなうリハビリは何? 橋出血後に姿勢の保持が難しい、歩行時のふらつきなどの「運動失調」という後遺症が出た場合、以下のようなリハビリをおこないます。 フレンケル体操 重り負荷での運動 弾性緊縛帯 固有受容性神経筋促通手技(proprioceptive neuromuscular facilitation:PNF) 橋出血後のリハビリについては、以下の記事で詳しく説明しています。 橋出血を予防する方法は何? 橋出血はほかの脳出血と同様に、「高血圧」によって起こるケースが多くみられます。完全な予防は困難ですが、適正な血圧の維持がリスクの低下につながるでしょう。 具体的な方法は、以下のとおりです。 生活習慣の見直し:減塩・適度な運動・健康的な食生活・禁煙 適切な薬物治療:処方された薬の正しい服用 橋出血の予防・再発予防のために、血圧が高い方は早めに治療を受けるようにしましょう。 脳出血を防ぐ方法は、以下の記事もぜひ参考にしてください。 参照文献 文献1 Behrouz R. Prognostic factors in pontine haemorrhage: A systematic review. Eur Stroke J. 2018 Jun;3(2):101-109. doi: 10.1177/2396987317752729. Epub 2018 Jan 8. PMID: 31008342; PMCID: PMC6460408.
2023.09.18 -
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橋出血(きょうしゅっけつ:英語名「pontine hemorrhage」)は、脳卒中の中でも、とくに生命予後の悪い疾患の1つです。 脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など、脳の血管が詰まったり破れたりする病気を総称して「脳卒中」と呼びます。 「脳卒中の症状ではないから大丈夫」と安心し、症状の発見が遅れると、重症を患う恐れがあります。 脳卒中の1つ「橋出血」の重症例では、意識・呼吸障害、四肢麻痺などをきたし、急激な経過で死に至るケースもあるのです。 本記事では、橋出血の症状・原因や治療について詳しく解説をしていきます。 橋出血とは 橋出血とは脳出血の1つで、5〜10%が橋出血に該当するといわれています。 突然脳の血管が破裂する症状なので、橋出血が発症すると以下の症状が起こります。 意識障害が起きる 頭痛が続く 手足の動きや感覚が鈍い など 血栓や動脈硬化で起こる脳梗塞を含め、脳の病態は複数あるので、早急に医療機関で受診しましょう。 なお、橋出血の疑いがすでにある方はとくに、以下の記事で初期症状や診断方法などを詳しくまとめました。 予後についても解説しているので、ぜひあわせてご覧ください。 橋出血の「橋」は脳幹における構造物 橋出血が起こる「橋」とは、脳の一部分である「脳幹」の1つです。 上にある中脳、下にある延髄と共に「脳幹」の構成をしています。 脳幹には、以下4つの構造物があります。 神経伝達路 神経の中継(分岐地点) 自律神経反射中枢 脳幹網様体 それぞれ構造の役割とともに、橋出血による症状について見ていきましょう。 ①神経伝達路としての役割と橋出血の症状 脳幹には神経線維の束が通っており、以下の役割を果たしています。 ・大脳から運動神経の伝達 ・大脳へ感覚神経の伝達 ・脳幹の真後ろにある小脳との連絡経路 橋出血は神経の伝導路が障害されるため、運動麻痺や感覚障害が起こるのです。 運動麻痺は出血の部位にもよりますが、重症例では両方の手・足ともに動かなくなる四肢麻痺をきたすケースもあります。 四肢麻痺と顔の麻痺まで加わる特殊な形に「閉じ込め症候群」があります。 意識や感覚は保たれますが、まばたきと一部の目の動き以外の運動がすべてできません。 看護・介護を行う人とのコミュニケーションは、眼の動きのみで行うのです。 他にも橋出血が発症すると幾つかの運動失調が起こります。 以下の記事では橋出血による運動失調の種類を詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。 ②神経の分岐・中継地点の役割と橋出血の症状 脳幹には、脳から直接伸びる末梢神経である脳神経核をはじめ、神経回路の分岐点や中継地点になる複数の神経核(神経細胞体の塊)があります。 橋出血が発症する「橋」にも、以下4つの脳神経核があります。 三叉神経;主に顔面の感覚を伝える 外転神経;眼球の運動の一部を支配する 顔面神経;表情筋など顔面の運動に関わる 内耳神経;聴覚や平衡感覚を司る 橋出血で障害を受けた際の症状は以下の通りです。 ・顔の感覚や運動の障害 ・眼球運動の障害 ・聴力障害 とくに三叉神経や顔面神経は舌の動きや感覚などにも関わる神経です。 橋出血が起こると飲み込み障害とも呼ばれる「嚥下(えんげ)障害」も起こる可能性があるので注意しましょう。 ③自律神経中枢の役割と橋出血の症状 自律神経は生命維持の上で必要な動作を調整する神経です。 意識せずとも呼吸をし、心拍数をコントロールしています。 明るさに応じて瞳孔の大きさを調節しているように、自律神経は、脳幹に中枢があるのです。 橋には呼吸の中枢があるため、橋出血の患者様は呼吸障害が多くみられます。 橋出血では瞳孔の異常も多く、瞳孔の縮小や瞳孔を開く交感神経の障害もあるためです。 ④脳幹網様体の役割と橋出血の症状 脳幹の中心から背中側には「網様体」と呼ばれる神経線維の束と神経細胞体が合わさった構造物があります。 網様体の役割は主に以下3つです。 脳幹内の自律神経中枢と連絡し、生命維持機能を果たす 筋肉の緊張をコントロールする 大脳へ刺激を与えて意識を保つ 重症の橋出血だけでなく、網様体の障害でも呼吸・循環障害をきたします。 網様体の損傷により、「意識障害」の症例もあり、重症例では急激な経過で昏睡状態に陥っているケースもあるため、注意が必要です。 橋の網様体には眼球の運動の中枢もあるので、出血部位や程度により、さまざまな眼の動きの異常が認められます。 代表的な症例は、眼の動きがまったくできず、真ん中で固定される眼球の正中固定位が挙げられます。 眼球が真下に急に動き、ゆっくり真ん中に戻ってくる「眼球浮き運動」が認められるケースもあるので注意しましょう。 なお、橋出血を含め脳卒中は、手術しなくても治療できる時代です。 詳しくは以下のページをご覧ください。 橋出血が起こる2つの原因とそれぞれの治療法 橋出血の原因として、高血圧と血管奇形の2つが挙げられます。 原因により治療法が異なるので、それぞれ解説していきます。 高血圧で起こる橋出血と治療 橋出血の最大の原因は高血圧です。 橋への栄養動脈が、高い圧により破綻してしまいます。 橋は小さい中に重要な構造物が詰まっているところなので、出血が一気に広がり損傷が起こると、短時間で致命的になるので要注意です。 損傷を受けた脳幹の回復は難しく、手術は基本的には行いません。 可能な限り血圧を下げ、呼吸や循環などの生命維持のサポートをするのが治療の中心です。 血管奇形で起こる橋出血と治療 高血圧性の橋出血よりも若い方に多いのが、脳の血管奇形(赤あざ)によるものです。 代表的なものに「海綿状血管腫」と呼ばれる血管の塊があります。 生まれつき静脈の成分が拡張した場合によくみられ、発症場所や大きさなどは人によって異なります。 海綿状血管腫を持っている一部の患者様は、局所的な出血を起こすケースが大半です。 出血は少量で、重篤になりにくい反面、何度も繰り返すリスクがあります。 出血が落ち着いているときに手術が考慮されるケースもあるので注意してください。 橋出血についてよくあるQ&A Q , 橋出血の検査はどのようなものがありますか? A , 橋出血に限らず疑わしい症状があれば、CT撮影をします。 脳は灰色に映りますが、出血がある部分は白くなります。 なお、血管奇形の診断にはMRI も有用です。 近年では脳ドックなどにより症状がないまま発見されるものも多くあります。 Q , 海綿状血管腫は必ず手術が必要ですか? A , 症状のない海綿状血管腫が出血を起こすのは、年間で1,000人中4〜6人程度です。 手術の合併症リスクの方が高く、全員におすすめできません。 ただし、一度出血を起こすと、2年以内の再出血リスクが高くなります。手術のメリットとリスクを比較しつつ、手術ができない場合は、放射線治療が考慮されるケースもあります。 橋出血の後遺症や予後について、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。 まとめ・橋出血の症状を理解して適切に治療しよう! 橋出血は、重症例では命にかかわりかねない恐ろしい病気の1つです。 「橋」と呼ばれる部位でもあるため、神経伝達や自律神経においての重要な役割を果たしています。 高血圧は重症の橋出血のリスクになるため、しっかりと治療を受けるのがおすすめです。 症状を見つけるタイミングも当然早い方が良いので、少しでも不安に感じた方は医療機関でのカウンセリングを検討しましょう。 ▼以下もご参考下さい <参考文献> 東登志夫. 日本臨牀. 72 (増刊号7): 364-368, 2014. 古谷一英. 日本臨牀. 72 (増刊号7): 369-372, 2014. 茂木陽介, 川俣貴一. 日本臨牀. 80(増刊号2): 320-324, 2022. 医学書院 標準解剖学 第1版 メディックメディア 病気がみえるvol7. 脳・神経 第1版 中外医学社 イラスト解剖学 第7版 脳卒中診療ガイドライン2021
2023.08.14 -
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橋出血の後遺症と予後予測|回復の見通しについて医師が解説 橋出血は非常に致死率の高い病気です。 かつて脳卒中は、日本人の死因の1位でした。しかし、医療技術が進歩するにつれて、脳卒中による死者数は徐々に減少しています。2022年においては死因の第4位でした。 橋出血は、その中でもいまだに生存率が低いとされており、発症すると半分近くの方が亡くなるという報告もあります。 本記事では、致命的になることの多い橋出血の予後の予測、また後遺症の回復について、解説をしていきます。 橋出血が重症化しやすいのはなぜか? 橋出血の最大の原因は高血圧です。高い血圧がかかり続けると、血管が急に破れてしまうことがあります。 血管をホース、血圧を水の勢いと考えてみてください。高血圧による脳出血は、勢いよく水を出しているホースが途中で破れてしまった状態と同じです。破れたところから、水はさらに激しく飛び散るでしょう。 脳は柔らかい組織で、一度出血すると簡単に止血できず、機能が急激に失われていきます。橋は意識や生命維持のための機能のコントロールを行う場所です。そのため、橋出血は死に直結することも少なくありません。 橋出血の生命予後に関わる症状とは? 重症の橋出血で起こる症状には次のようなものがあります。これらの症状は、橋出血において生命予後不良であることを示すものです。 発症早期の高度の意識障害 橋を含む脳幹は大脳へ刺激を与え、意識を保ちます。橋出血によりその刺激ができなくなると、昏睡状態など、高度の意識障害を認めます。 四肢麻痺 橋は大脳からの運動の伝達経路です。大脳の損傷でも麻痺は起こりますが、基本的には片麻痺(左右どちらかのみの麻痺)です。橋の広い範囲の出血では、運動神経が一気に障害されるので、四肢麻痺を呈します。 除脳硬直 意識障害下に、痛み刺激を加えると、手足が強く緊張して伸びたような姿勢になります。橋を含む脳幹のダメージにより、筋肉の緊張をコントロールすることができなくなるからです。 眼球正中位固定 橋には眼球の動きを司る部分があります。この障害により、目が真ん中から動かなくなります。 対光反射の消失 対光反射とは、瞳孔に光を当てた時、瞳孔の大きさが小さくなることです。この反射の中枢の「動眼神経」は橋の上の中脳にあります。橋出血の範囲が広いと中脳まで影響がおよび、対光反射は消失します。 失調性呼吸 脳幹の呼吸中枢が障害されるために起こる不規則な呼吸です。リズムも、一回ごとの呼吸の量も、バラバラで、呼吸が止まる直前の状態と考えられます。 中枢性過高熱 体温の調節中枢は脳幹のすぐ上にある間脳の視床下部というところです。広範な橋出血により、間脳までダメージが広がると、高い熱が出ます。 後遺症の治療について 重症にならず命が助かっても、出血で脳が傷つくと、後遺症が残ってしまうケースもあります。 例えば、神経の伝達経路の損傷による片麻痺、感覚障害などです。 橋は小脳という動作のコントロールに重要な部分と密接に関連しているため、運動失調によりふらついたり、動作がスムーズにいかなくなったりする方もいます。 また、物を飲み込む力が弱くなる嚥下障害も、頻度の高い後遺症です。飲み込みに関わる神経の多くは、橋をはじめとする脳幹から、顔・頸などに直接のびているからです。 後遺症のために、すぐに自宅に帰ることができなくなる方も多くいらっしゃいます。そのような場合に行うのが、リハビリテーションです。 急性期(発症直後の体の状態が安定しない時期)からリハビリが始まりますが、それだけでは不充分なことも多いです。そのため、患者さんの多くは、急性期がすぎると回復期病院(病棟)に移動し、集中的にリハビリを受けることになります。 リハビリの種類 理学療法・作業療法・言語聴覚療法の3種類があります。 理学療法 作業療法 言語聴覚療法 理学療法は、基本的な動作能力の回復を目指すリハビリです。 作業療法は日常生活に必要な作業の訓練を行います。同じリハビリでも、理学療法は立つ・歩くなどの基本的な動作、作業療法は着替え・入浴など応用的な動作が主体です。それぞれ、理学療法士・作業療法士という専門のスタッフがいます。 言語聴覚療法の担当は、言語聴覚士というスタッフです。構音障害などコミュニケーションの障害に対してリハビリを行います。また、橋出血に多い嚥下障害へのアプローチも行います。 リハビリの目標と後遺症の回復の見通しについて リハビリの最終的な目標は、個人個人の後遺症の具合、また退院後の生活環境を踏まえて決定していきます。そして、機能予後、つまり後遺症の回復見通しを勘案しながら、リハビリテーション計画を考えます。 では、回復の見通しはどのように立てるのでしょうか。 脳卒中全般で、発症時の重症度、画像の所見、入院時の日常生活動作(ADL)など、初期の評価からの機能予測についての研究が複数行われています。 また、急性期の回復の具合から、最終的な回復の見通しを立てる方法も模索されています。その中で、最初の1ヶ月での回復具合が大きいほど、最終的に自立した生活につながりやすいことが示されているのです。状態が許せば、早いうちから積極的なリハビリを行なうことは、回復につなげるために非常に重要です。 麻痺が回復するのは発症後どのくらいまでか 一般的に麻痺の回復は、3〜6ヶ月程度までと言われています。そのため、発症して早いうちから、集中的にリハビリに取り組むことが重要です。 この期間を過ぎてしまっても、リハビリを続ける意味がないわけではありません。麻痺の無い側でうまく補ったり、補助具を使ったりする訓練ができます。 まとめ・橋出血の後遺症と予後予測|回復の見通しについて医師が解説 橋出血は現在の医療の進歩をもってしても、いまだに生命予後の悪い病気です。 また、後遺症も残りやすく、回復には時間がかかります。早いうちにリハビリに集中的に取り組むことで、麻痺などの後遺症が軽くなる可能性がありますので、諦めないことが大切です。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下もご参考ください 橋出血による運動失調の種類とリハビリプログラム 〈参考文献〉 奥田佳延 他. Neurosurg Emerg 13:63-71,2008. 木村紳一郎 他. 脳卒中の外科. 39: 262-266, 2011. 東登志夫. 日本臨牀. 72 (増刊号7): 364-368, 2014. 古谷一英. 日本臨牀. 72 (増刊号7): 369-372, 2014. 佐藤栄志. 日本臨牀. 72 (増刊号7): 373-375, 2014. 厚生労働省.令和4年(2022)人口動態統計月報年計の概況. 結果の概要. (閲覧2023年6月28日). 脳卒中診療ガイドライン2021
2023.08.03 -
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「視床出血の症状や後遺症は何があるの?」 「視床出血のリハビリ方法は?」 視床出血は、脳の中でも脳内ネットワークの中心となる視床で起こる出血です。 脳の中心である視床に出血が起きると、片麻痺や感覚障害、また運動失調の原因にもなります。 この記事では、視床出血で運動失調が起こる理由を始め、特徴や治療方法、リハビリなどを解説します。 再生医療の可能性も解説するので、視床出血後の症状に悩まれている方はぜひ参考にしてみてください。 視床出血とは【脳の視床で起こる出血】 視床出血は、脳卒中と総称される脳出血・脳梗塞・クモ膜下出血の中でも、脳の中の視床で起こる出血です。 主な原因は高血圧で、脳出血の中では、被殻(ひかく)出血の次に視床出血の頻度が高いとされています。(文献1) 視床と被殻は隣にあり、視床出血は脳室とも隣接しています。視床出血と被殻出血は、脳室にまで出血が広がるかどうかが違いのひとつです。 また、視床出血は、重症度によってI〜IIIに分類されます。 その中でも、脳室穿破(せんぱ:脳室と呼ばれる脳脊髄液がある部分まで出血が及んでいるか)の有無で「無=a」「有=b」とさらに細かく分類できるのがポイントです。 視床に限局しているものをⅠ、内包に進展したものをⅡ、視床下部または中脳に進展したものをⅢとしています。 簡単に述べると、出血が大きくなるほど、数字も大きくなるようなイメージで良いでしょう。 視床出血による症状 視床は、脳内ネットワークの中心になる場所で、感覚神経をはじめ、さまざまな神経線維がここを経由しています。 視床出血によって、以下のようにさまざまな症状が起こるのが特徴です(文献2) 片麻痺 瞳孔径の縮小 顔面神経麻痺(病変と反対側に起こる) 知覚障害 病変側への共同偏視 外転神経麻痺 半盲 嘔吐 運動失調 など 他にも、視床出血では失語症や半側空間無視、注意障害などの高次脳機能障害が起こる場合もあります。(文献3) また、他の脳卒中と同じように症状が出たばかりの急性期には、視床出血が原因となり、嚥下障害(食べ物の飲み込み運動に支障が出る)が起こる可能性もあるでしょう。(文献4) 嚥下運動は、大脳から脳幹に至るまでの複雑なネットワークによって成り立っているからです。 視床出血による運動失調が起こる理由 運動失調とは、動作や姿勢保持などの協調運動に起こる障害です。 運動麻痺がないときもあれば、軽症の運動麻痺があるケースも含まれます。 視床出血で失調症状がでるのは、小脳の運動機能調節に重要な経路に小脳や視床、大脳皮質、橋があるためです。 上記のいずれかが障害されても、小脳性運動失調を生じるのです。 また、視床出血によって、深部感覚が障害されるのも原因のひとつと考えられています。 【失調と麻痺の違いとは?】 失調と麻痺の違いは、筋力の低下があるかどうかです。 視床出血による運動失調だと、意識障害や片麻痺を伴う場合が多い傾向にあります。協調運動障害や不随意運動、感覚障害が認められる場合は少ないとされています。 つまり、運動失調の症状があっても、四肢の麻痺によるものなのか判別がつきにくいと考えられるのです。(文献5) 視床出血の種類と特徴 運動失調の種類には、以下のようなものがあります。 視床出血の失調症状では、四肢の失調症状や歩行の異常が認められます。 視床出血の治療方法 視床出血が起こったときの治療は、血圧を下げるのが中心となります。視床は脳の深部にあるため、手術適応にはなりにくいのです。 また、視床出血によって、水頭症と呼ばれる脳室に脳脊髄液がたまる症状になってしまう場合があります。 水頭症を放置しておくと、脳ヘルニア(脳の一部が頭蓋骨の外側に飛び出してしまう状態)になる危険性があるのです。 呼吸障害などが起こり生命に関わるため、シャント術の手術を行い、余分な髄液を脳室から腹腔にまで流します。 視床出血後のリハビリについて【後遺症が出る場合】 視床出血では、発症後から感覚障害があった場合、感覚障害の症状が残ったり、逆に半身の痛み(視床痛)が出現したりします。 運動失調が残る場合を始め、出血が大きいときは、片麻痺の後遺症が出る可能性もあるでしょう。 視床出血後、ある程度落ち着いた段階で、作業療法や理学療法などのリハビリを行います。 作業療法 理学療法 作業療法 作業療法では、麻痺している上肢(肩口から先の手)を積極的に使い、日常生活への復帰を目標とします。 たとえば、麻痺側の手を中心に動かして、食事に必要なお箸の使い方などを訓練する流れです。 リハビリは毎日続けて行うと、身体機能をサポートする働きかけにつながります。 理学療法 理学療法では、以下のように、日常生活を送る上で必要な動作の練習をします。 重り負荷 弾性包帯による圧迫 フレンケル体操 立ち上がりや立位時の荷重負荷練習 視覚誘導 視床出血後には片麻痺が出て、運動障害と運動失調症状が同時に起こる場合もあるでしょう。 そのため、視床出血後のリハビリの一つとして、免荷式(めんかしき)トレッドミルの機械を使い、歩行のリハビリを行います。 上記の方法は、体を上から吊るしてハーネスで体を支えると、足にかかる体重を調整できて、バランス感覚を鍛える働きかけにつながります。(文献7) 視床出血に関するリハビリについては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。 まとめ|視床出血による運動失調はリハビリと再生医療の治療法もある 視床は脳内ネットワークの中心で、視床出血が起こると運動失調などの症状が出る場合もあります。 視床出血は後遺症が残ってしまう可能性が高い疾患です。 ただ、当院ではリハビリに再生医療を組み合わせて、脳神経細胞の修復や身体機能の改善への取り組みを行っています。 また、関連する内容として、当院の患者様で視床出血後に左半身の麻痺があり、膝の強直における幹細胞治療の実績もあります。 脳卒中後の後遺症に対しての再生医療にご興味がある方は、ぜひ一度当院へご相談ください。 参考文献 文献1 加齢の面からみた脳出血の部位 文献2 脳出血部位と症状 (CM Fisher)|秋田大学 大学院医学系研究科 文献3 原著視床出血の高次脳機能障害 文献4 急性期脳出血における摂食・嚥下障害の検討 文献5 運動失調を主徴とした左視床出血の1例 文献6 神経メカニズムから捉える失調症状 文献7 運動失調に対するアプローチ
2023.07.27