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くも膜下出血後の生活|手術と入院期間、治療後のリハビリを詳しく解説 「くも膜下出血の手術や入院について詳しく知りたい」 「くも膜下出血の後の生活はどのように送ればいい?」 このような悩みを抱えている方はいませんか? くも膜下出血は生活習慣病などが原因となり、突然発症する怖い病気です。大切なご家族が突然くも膜下出血になる可能性もゼロではありません。 具体的にどんな治療方法があり、入院期間はどのくらいなのか、治療後のリハビリの方法など気になる方もいることでしょう。 そこで今回は、くも膜下出血後の生活についてリハビリの方法を詳しく解説していきます。 くも膜下出血とは? くも膜下出血は、動脈瘤の破裂または頭部外傷などによって、くも膜と脳を取り囲む軟膜との間の、くも膜下腔と呼ばれる部位に出血が起こることで発症します。 発症すると重い頭痛を訴えますが、今までにないような頭痛を訴えて救急外来を受診した患者のうち、最終的にくも膜下出血を発症するのはわずか 10 %程度です。 関連する症状には、首の痛み、吐き気や嘔吐、羞明-しゅうめい-(異常に眩しさを感じること)などがあります。 くも膜下出血の手術について くも膜下出血の治療の一つとして手術を選択する場合があり、影響を受けた血管を修復し、動脈瘤が再び破裂するのを防ぐための手術を行います。 主に、「開頭クリッピング術」と「コイル塞栓術」と呼ばれる 2 種類の手術があります。 クリッピングとコイルのどちらを使用するかは、動脈瘤の大きさ、位置、形状などによって異なります。 コイルは、クリッピングよりも発作などの短期的な合併症のリスクが低いため、しばしば好まれる手術ですが、クリッピングよりも長期的な利点があるかは不明です。 ①血管内治療 : コイル塞栓術 血管内治療では、カテーテルと呼ばれる細い管を足や鼠径部の動脈に挿入し、血管を通って脳の動脈瘤に導きます。 次に、小さなプラチナコイルをチューブに通して動脈瘤に挿入し、動脈瘤がコイルで満たされると、再び破裂したりするのを防ぐことが可能になります。 ②開頭手術 : クリッピング クリッピングは開頭術とも呼ばれ、頭部に切り込みを入れ、動脈瘤の位置を特定します。そして、小さな金属製のクリップを動脈瘤の基部に取り付け、動脈瘤を密閉します。 時間が経つにつれて、クリップが配置された場所に沿って血管の内側の層が再生し、動脈瘤が永久に密閉され、再び破裂するのを防ぐことができます。 くも膜下出血の入院期間や費用は? 入院期間や費用に関しては、受ける治療内容や重症度によって左右されます。 治療内容に関しては手術以外にも保存治療もあります。また、コイルによる手術を受けた人は、クリッピング手術を受けた人よりも早く退院し、全体的な回復時間も短くなる可能性があります。 費用に関しては 3 割負担で 50〜70 万円程度と考えていいでしょう。手術内容や保険の内容によって以下のように異なります。 ・血管内コイル塞栓術:19〜55 万円 ・開頭クリッピング術:22〜65 万円 さらに、これらの種類の手術が緊急治療として行われる場合、入院期間は、受ける手術の種類よりも症状の重症度に大きく依存します。 どちらの治療を受けている場合でも、合併症を避けるために、しばらくの間注意深く監視する必要があり、基本的には、2 週間から 2 ヶ月程度は入院する必要があります。 くも膜下出血後の生活について くも膜下出血から元の生活に戻るまでの時間は、その重症度によって異なり、手や足の感覚の喪失や言語理解の問題(失語症)などの後遺症があるかどうかにも影響します。 重大な後遺症を残さないためにも早期のリハビリが必要 くも膜下出血後は少なからず後遺症が残るため、早期のリハビリが大切になります。 早期のリハビリ介入によって、くも膜下出血後の脳血管痙攣や再出血の頻度と重症度は軽減され、初期のリハビリテーションがいかに大切なのかわかります。 くも膜下出血のリハビリ方法 それでは具体的なリハビリ方法について以下の 3 つのステップに分けて説明したいと思います。 ①急性期 ②回復期 ③維持期 それぞれ詳しく説明していきます。 ①急性期リハビリ(治療後~14 日程度):廃用症候群の予防など 急性期には、身体の様々な機能がしにくくなり、褥瘡や足の血栓、感染症などさまざまな合併症が起こります。 また、ベッド上で動かず寝たきり状態になることで、筋肉が萎縮し衰え、関節が硬くなり運動機能が低下してしまうことを“廃用症候群”と言います。 この廃用症候群を予防するため、以下のようなリハビリを行います。 膝伸ばし運動 : 座った状態で片足の膝をゆっくり伸ばし、10 秒間保つ。 足の筋力運動 : 椅子に座り、背筋を伸ばして片足をゆっくり上げて下ろす 肩の上げ下げ運動 : 両肩を耳につけるイメージで、あげて下に落とす運動 手足の関節を動かす : 座った状態で手や足の関節を曲げて伸ばす 基本的には、座った状態でできる運動を行います。 ②回復期リハビリ: 日常生活動作の自立 急性期を脱し、病態や血圧が安定してきたら、症状の程度に応じて様々な回復期のリハビリに移りましょう。 日常生活を行う上で必要な基本動作が行えるよう運動機能を改善します。 基本動作の自立 : 寝返りをうつ、自力で座る、立つ 歩行訓練 : バランスを保つ、車いすへの移動、杖や歩行器などを用いた歩行練習 応用動作の訓練 : 手芸や工作、その他の作業 日常動作 : 食事やトイレ、着替え、入浴動作 さらに、食事ができるように嚥下機能を改善することも必要になります。 口の訓練 : 発声や舌・口・のどの筋肉を動かす運動 顔や首周りの訓練 : 首回りや肩の筋肉を動かす運動 間接的な嚥下訓練 : 水を含ませて凍らせた綿棒で喉の奥を刺激するなど 直接的な嚥下訓練 : ゼリーや水などの食物を用いる飲み込みの練習 そして、高次機能の改善としては以下のような特殊な訓練を行います。 ・風船、積木などの物を用いた訓練 ・繰り返し動作の練習 ・行動の順序を確認する練習 日常生活の動作に適応するためのリハビリを行っていきます。 ③維持期のリハビリ : デイサービス 維持期は、回復期で得た運動機能などを損なわないように機能を維持するために行うリハビリです。 ・生活の中の日常動作 ・散歩や軽い運動 維持期は生活期とも言われ、日常生活の中で取り戻した運動機能を低下させないように気をつける必要があります。 例えば、食事や着替え、入浴などはなるべく自分で行い、定期的に散歩やストレッチなどを行いましょう。 日帰りでリハビリなどの施設に通う、デイサービスなどもあります。ぜひ活用しましょう。 まとめ・くも膜下出血後の生活にはリハビリが欠かせない いかがでしたでしょうか。 今回は、くも膜下出血の手術後の生活について詳しく解説しました。くも膜下出血には大きく 2 種類の手術がありますが、重症度や治療内容によって入院期間や費用も異なります。 入院期間を短くして早く元の生活に戻るために欠かせないのが、入院時点で行う早期のリハビリです。完全に元の生活に戻るにはどうしても長期間かかり、なかなか根気強く続けるのが難しいかもしれませんが、続けることが大切です。 今回の記事がご参考になれば幸いです。 No.098 監修:医師 坂本貞範
最終更新日:2023.06.30 -
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脳梗塞が女性に多い理由!脳梗塞を発症しやすい年代と発症確率とは 近年では、わが国でも生活習慣病などに関連した、脳梗塞に関する情報が注目されております。 また、昨今においては、男女間の性差に関連する医療研究が広く実施されるようになってきました。その中で、脳卒中の約3分の2の発症割合を占める脳梗塞についても、男女の性差での違いを認める疾患であることが分かりつつあります。 中でも、女性が脳梗塞に罹患するリスクが存在すると言われており、その原因として高血圧、糖尿病、脂質異常症などの危険因子が指摘されています。 今回は、脳梗塞の発症原因や脳梗塞になりやすい年代と発症確率、女性に脳梗塞が多い理由などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 脳梗塞の発症原因は? 脳梗塞の患者では、普段から高血圧を始めとする生活習慣病を発症している方が多く、これらの疾患は血管の動脈硬化性変化を進行させるので、脳梗塞を招くリスクが高くなると言えますし、近年の脂質異常症や糖尿病の増加に伴って、最近ではアテローム血栓性梗塞が増えてきています。 また、高齢化にともない心房細動という不整脈を抱えた患者さんが増加しているため、心原性脳塞栓症も徐々に増えています。 脳梗塞を発症させる原因として挙げられるものは以下で脳梗塞の原因として忘れてはいけない要素です。 脳梗塞発症原因 ・加齢 ・食生活の欧米化に伴うメタボリック症候群 ・過剰な塩分摂取 ・慢性的な運動不足 ・糖尿病 ・脂質異常症 ・喫煙歴 ・大量飲酒 ・日々の過剰なストレス 加齢に伴ってラクナ梗塞の原因である動脈硬化、あるいはアテローム血栓性脳梗塞の原因である生活習慣病は徐々に進行して、脳梗塞を発症しやすい状況に陥ると考えられます。 したがって、動脈硬化や生活習慣病、心房細動などを抱える高齢者は特に注意が必要です。 脳梗塞になりやすい年代とその発症確率は? 脳梗塞は、一般的に高齢者に発症することが多い疾患であり、初発の発症例では 65 歳以上が全体の 9 割を占め、本疾患は中年以降から高齢層にかけて罹患しやすい病気というイメージがありますが、30 〜 40 歳代の若年者に発症する若年性脳梗塞も存在します。 厚生労働省の発表データによれば、1996 年時点で国内に約 170 万人に及んで存在した脳血管疾患を発症した患者数は、2017 年時点でおよそ 110 万人程度まで減少傾向を示しており、脳梗塞で病院や診療所を受診したのはおよそ15万人程度と言われています。 具体的に、年齢別の内訳としては、 0〜14 歳が 100 人 15〜34 歳が 300 人 35 〜 64 歳が 1 万 4000 人 65 歳以上が 13 万 5000 人 75 歳以上が 10 万 6000 人 という状況です。 つまり、脳梗塞を発症する患者数は特に 75 歳以上の方で全体の7割以上を占めています。 女性に脳梗塞が多いのは、なぜなのか? 脳梗塞は男性に多い病気と考えられる傾向があります。 しかし、実は女性の死亡原因の第三位に位置づけられている疾患であり、女性の脳梗塞は増加傾向であり、かつ重症化しやすいことが知られています。 一般的に、脳梗塞は男性に発症数が多い一方で、女性の方が少ないと言われていますが、女性の脳梗塞患者は男性に比べて高齢で発症するケースが多い特徴があり、生命予後も不良になる傾向が認められると指摘されています。 脳梗塞を男女差の面から考えると、一般的に患者数は男性の方が多いです。 女性の持つ危険因子とは ところが、女性には妊娠、経口避妊薬の使用、ホルモン補充療法など特有の脳梗塞を発症する危険因子が背景に存在すると伝えられています。 脳梗塞を代表とする脳心血管疾患における最大の発症要因ともいえる高血圧に関連して、通常約 50 歳前後までは女性よりも男性の方が高血圧の平均数値が高い傾向を認めますが、その後の年代以上では高血圧の有病率に性差はほぼありません。 この理由としては、女性が閉経した後に女性ホルモンであるエストロゲンなどの働きが低下することによって、女性の高齢時における高血圧の発症原因に繋がっていると考えられます。 女性ホルモン「エストロゲン」との関係性 特に、エストロゲンは血管や骨などの状態を維持する機能を有するホルモンであり、おおむね女性が 50 歳前後の更年期に入ると急激にエストロゲンの分泌量が減少して、これまで適正範囲に機能していた保護作用などが効果を示さなくなっていきます。 また、30 歳前後における若年女性の収縮期の血圧は、平均すると同年代の男性層よりも約 10mm Hg 程度低い値であることが知られていますが、女性は男性よりも高血圧の影響が強く出現する傾向がありますので、若い年代の時期から高血圧予防に努めることが重要です。 さらに、動脈硬化の進行を促進する大きな要因である脂質異常症に関しても、若年時には男性の発症率が女性より高いことが判明していますが、年齢を重ねるごとにその発症率において性差が認められなくなります。 その背景には、女性特有のエストロゲンの影響だけでなく、男性だけでなく女性も喫煙習慣、脂肪分のリッチな食事スタイル、糖類を大量に含む飲食物を多く摂取するなど、近年よく見られる生活習慣病が直接的な原因になっていると思われます。 脳梗塞と不整脈 さらに、中年期から高年齢層にかけての女性は男性に比べて不整脈を発症しやすいと言われており、特に不整脈の中でも心房細動は脳梗塞の発症リスクを 5 倍程度に上昇させることが指摘されています。 不整脈のひとつである心房細動は、心原性脳塞栓症における大きな発症危険因子として認識されており、脳梗塞を引き起こす患者さんの約 70 %の割合で合併していると指摘されています。心房細動の頻度は、一般的に男性が女性の約 3 倍高いという報告が見受けられます ところが、心原性脳塞栓症を続発しやすいという観点でみると女性の方が男性よりも発症率が高い傾向にあると言われています。 その他の危険因子 その他にも、偏頭痛、心房細動、うつ病、感情的なストレスは、女性に多い脳梗塞の危険因子となります。 そして、特に女性で妊娠を契機に妊娠高血圧症候群が認められる際には、その後高血圧を発症するリスクが約 4 倍、そして脳梗塞に罹患するリスクが約 2 倍に上昇すると言われています。 また、閉経後の女性に対して女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンを投与するホルモン代替治療は、骨密度を上昇させて骨折の危険を減らす利点がある一方で、脳梗塞の発症リスク因子になりますので十分に注意する必要があります。 したがって、女性が脳梗塞を発症した場合には、女性ホルモンの補充療法の有無を確認することが重要であるとともに、すでに投与されている際にはその中止も検討すべきであると言われています。 まとめ・脳梗塞が女性に多い理由と脳梗塞を発症しやすい年代と発症確率について 今回は、脳梗塞の発症原因や脳梗塞になりやすい年代と発症確率、女性に脳梗塞が多い理由などについて詳しく解説してきました。 脳梗塞の年代別発症率では、高齢者を中心に発症しやすいことが分かっており、その発症原因は色々考えられますが、良くない不規則な生活習慣の積み重ねが発症につながるケースは決して少なくありませんし、女性にも脳梗塞を発症するリスク因子が存在します。 特に、女性はエストロゲンの保護や生活習慣病という観点から、加齢に伴って閉経後など脳血管系疾患の影響が強く出て脳梗塞を発症するリスクがあります。 したがって、普段から食生活に気をつけて定期的に運動を実践するなどの予防策を若年期から意識しておきましょう。 脳梗塞の後遺症は取り返しのつかないものですので、元気なうちに対策を講じて、あらかじめ脳梗塞の危険因子を知っておくことが重要なポイントです。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 禁煙や体重管理、運動など生活習慣の改善によって、脳梗塞を引き起こさないようにすることが大切です。 No.S100 監修:医師 加藤 秀一 引用文献 1)松山 友美, 佐竹 真理恵:女性ホルモン補充療法中に脳梗塞を発症した3症例.脳卒中. 2013 年 35 巻 4 号 p. 301-305 DOI https://doi.org/10.3995/jstroke.35.301 ▼以下もご覧になりませんか 脳梗塞は遺伝するのか!?食生活にも関係か?【食事療法でリスクを回避する方法】
最終更新日:2024.03.22 -
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女性のくも膜下出血は男性の2倍のリスク!今日から始める本気の予防策について 「女性の方がくも膜下出血になりやすいってほんと?」 「女性がくも膜下出血にならないための予防策について知りたい」 女性は、動脈瘤性くも膜下出血の発生の危険因子として認識されています。 そこで今回は、女性に「くも膜下出血」が多い理由や予防策について説明しますので、ぜひ参考にされてください。 くも膜下出血|女性は男性の2倍もの危険性! 女性は、くも膜下出血の発生の危険因子として認識されています。 日本におけるくも膜下出血は、【男性:女性= 1 : 2 】で、女性に多くみられ、男性では 50 歳代がピークですが、女性の場合は 50 〜 70 代に多く、ピークは 70 歳後半となります。 では、なぜ女性に多いのでしょうか。いくつか要因を見ていきましょう。 出産や女性ホルモンの変化は、くも膜下出血の発症リスクを高める 動脈瘤性くも膜下出血 の発生率は、男性よりも女性の方が 50 % 高くなっています。 このような性別の差が考えられる理由には、女性特有の出産の繰り返し、ホルモン要因などが考えられます。 出産を繰り返すと、くも膜下出血のリスクが増加します。これは、おそらく妊娠による高血圧と分娩中の血管の緊張によるもので、血管が弱くなり、動脈瘤の形成につながる可能性があるためです。 また、女性ホルモンの血中レベルはくも膜下出血のリスクに影響を与える可能性があります。 女性ホルモンであるエストロゲンには、くも膜下出血の原因となる動脈硬化を抑える作用があると言われていますが、特に 50 歳以上の女性においてエストロゲンが減少します。 したがって、女性ホルモンが減少する閉経後の高齢女性のリスクが高くなります。 女性はストレスを感じやすい また、女性の方がストレスを感じやすく、特に高齢になると女性ホルモンの分泌量の変化によって、気持ちが不安定になりがちです。 ストレスを溜め込んでしまうと、くも膜下出血のリスクとなります。 くも膜下出血、その他の危険因子は? くも膜下出血 (SAH) は誰にでも発生する可能性がありますが、最も一般的に 40 歳から 60 歳の間の人々に影響を及ぼします。 ただし、女性では 70 歳台でリスクが高まります。 くも膜下出血の可能性を高めるリスク要因には、次のようなものがあります。 くも膜下出血発症リスクを高める危険性 ・脳または体の他の場所にある未破裂の動脈瘤 ・以前に破裂した脳動脈瘤の病歴 ・喫煙 ・高血圧 ・線維筋性異形成(FMD)などの結合組織状態 ・多発性嚢胞腎の病歴 ・過度のアルコール飲酒歴 ・ワーファリンなどの血液希釈剤の使用 ・動脈瘤の家族歴 最も気をつけなければならないのが高血圧です。高血圧を誘発するものも原因となり得ます。 男性も必見!今日からできる、くも膜下出血の予防! では、そんな危険因子に立ち向かう予防策について、考えていきましょう。 主に生活習慣の改善を行うことで、そのリスクを抑えることができます。それぞれ詳しく説明していきましょう。 禁煙する 喫煙は高血圧の直接的な原因ではありませんが、くも膜下出血のリスクを大幅に高めます。 特に、女性は喫煙に対して男性よりも深刻な影響を受けやすくなっています。 喫煙は高血圧と同様に、動脈を狭くし、喫煙者で血圧が高いと動脈が急速に狭くなり、将来くも膜下出血になるリスクが劇的に高まります。 血圧コントロール 男女問わずに高血圧の方は、血圧コントロールを行いましょう。 高血圧の方は正常な方に比べ、くも膜下出血の発症リスクが 2~3 倍も高くなります。 ストレスケア 意外と知られていないのがストレスです。ストレスは血管を傷つけてしまい、くも膜下出血の原因となり得ます。 リフレッシュしてストレス発散するなどし、日頃からストレスを溜めないように工夫しましょう。 定期的に運動する 定期的な運動をすることで、心臓と血管を良好な状態に保ち、血圧を下げます。定期的な運動は体重を減らすのに役立ち、血圧を下げるのにも役立ちます。 成人は、毎週少なくとも 1 ~ 2 時間程度の有酸素運動 (サイクリングや早歩きなど) を行う必要があります。 身体活動には、スポーツからウォーキング、ガーデニングまで、あらゆるものが含まれます。運動にはリフレッシュ効果があるので、ストレスケアにも効果的です。 カフェインを減らす コーヒーを 1 日 4 杯以上飲むと、血圧が上昇する可能性があります。 コーヒー、紅茶、またはコーラや一部のエナジードリンクなど、カフェインが豊富な飲み物が好きな場合は、量を減らすことを検討してください。 バランスの取れた食事の一部としてお茶やコーヒーを飲むことは問題ありませんが、適度に飲むことが重要です。 まとめ・くも膜下出血|女性は男性の2倍のリスク!今日からしたい本気の予防策! いかがでしたでしょうか? くも膜下出血は、男性よりも女性の方がおこりやすく、これには女性ホルモンが関与していると考えられています。また、女性は出産やストレスを抱えやすく、喫煙に対しても影響を受けやすいため、日頃から対策することが大切です。 その他、動脈瘤や高血圧などの他の健康状態や生活習慣も関与しているため女性はもちろんの事、男性も注意していただきたい思います。 くも膜下出血予防するためには、生活習慣の改善が重要です。禁煙や血圧コントロールはもちろん、ストレスケア、定期的な運動、コーヒーをはじめとしたカフェインの摂取量に注意しすることが大切です。 そのためにも日ごろから生活習慣の見直しや改善、定期的な健康診断を受けて、ご自身の健康管理に努めてください。 今回の記事を参考にしていただき、症状や予防策に関して知っていただければ幸いです。 No.S097 監修:医師 加藤 秀一 ▼こちらも参考にされませんか くも膜下出血の原因と症状!予後とその生存率 について
最終更新日:2024.03.29 -
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くも膜下出血の前兆?首の後ろの痛みを伴う激しい頭痛は危険です! 「首の後ろの痛みを伴う頭痛がある場合、くも膜下出血の可能性がある!」というのは本当でしょうか? くも膜下出血は、脳を覆う薄い組織との間の領域で起こる出血です。この領域は、くも膜下腔と呼ばれます。くも膜下出血は、緊急を要する病気であり、発症後の迅速な診察と治療が必要な病気です。 この病気は、突然起こる「激しい頭痛」で気づくことが多いですが、「首の痛みを伴う頭痛」など、くも膜下出血の危険なサインにも注意が必要です。 そこで今回は、「くも膜下出血の前兆」や、頭痛が起こる場所のなかでも首の痛みを伴う場合の対処についてご説明します。ぜひご参考にしてください。 くも膜下出血の前兆 くも膜下出血は、くも膜下腔(くも膜と脳を取り囲む軟膜との間の領域) への出血です。症状としては、急速に発症する「重度の頭痛」、「嘔吐」「意識レベルの低下」、また「発熱のあるときに発作」が含まれる場合があります。 前兆から発症まで くも膜下出血の典型的な症状は、頭を蹴られたような、今までに経験したことのないような激しい頭痛で、数秒から数分かけて発症します。この頭痛は、しばしば後頭部に向かって起こり、吐き気や嘔吐が伴う場合もあります。 首の凝りや首の痛みを伴う頭痛も比較的一般的であり、首の痛みや、肩こりは「くも膜下出血の前兆」として現れます。 前兆|症状 ・急に起こる重度の頭痛 ・吐き気、嘔吐 ・意識レベル低下 ・発作(発熱時) ・首の痛みや、肩こり、などの違和感 前兆から発症までどのような症状を伴うのか、詳しくみていきましょう。 首の痛みを伴う頭痛がある時は、くも膜下出血を疑う 首のこりや、首の痛みを伴う頭痛は「くも膜下出血」に比較的一般的な症状ではありますが、鑑別すべき病気もあります。 例えば、「くも膜下出血」で起こる頭痛や肩こりは「髄膜炎」の症状に似ており、区別する必要があります。また、約 3 分の 1 の人は特徴的な頭痛以外の症状がない場合もあります。 通常、髄膜炎にはある発熱や発疹はくも膜下出血には見られません。 ただ錯乱、意識レベル低下または昏睡などの重篤な症状も首のこわばりや、その他の髄膜炎の兆候と同様に、存在する可能性があります。 同じ症状でも区別が必要 ・くも膜下出血:頭痛、肩こり、こわばり、錯乱、意識レベル低下、昏睡 ・髄膜炎:頭痛、肩こり、こわばり、錯乱、意識レベル低下、昏睡、+発熱や発疹 髄膜炎との区別にはMRI検査が重要 症状だけでは区別が難しい場合もあり、その場合は、病院で詳しく調べる必要があります。 MRI検査では、脳内の出血を検出でき、血管に染料を注入して動脈と静脈をより詳細に表示し (造影MRI検査)、血流を強調して調べることもできます。 CT検査でもわからない時にくも膜下出血の徴候を見つけることができます。 首の痛みを伴う頭痛がある時の対処法は? 首の痛みを伴う頭痛がある場合は、くも膜下出血の前兆である可能性が高いため、急に頭を動かしたり、以下のような行動は避けましょう。 これらの行動はくも膜下出血を誘発する恐れがあります。 くも膜下出血を誘発しかねない ・くしゃみ ・強い咳 ・過度な運動 病院へ行くべき危険な兆候は? くも膜下出血の症状は状況によって緊急度は異なる場合もあります。 雷鳴のような頭痛がある他に、特に以下のような症状がある場合は大変危険です。すぐに最寄りの病院に行きましょう。 病院へ行くべき兆候 ・意識と注意力の低下 ・吐き気と嘔吐 ・混乱や過敏性 ・めまい ・明るい光で目が過敏になる ・首と肩の筋肉痛 ・体の一部のしびれ ・発作 ・複視、盲点、片目の一時的な視力低下など、視力の変化 頸部硬直は、くも膜下出血の最初の発症から 6 時間後に現れます。瞳孔の散大と対光反射の消失は、頭蓋内圧の上昇による脳ヘルニアを反映している可能性があります。 眼が下方および外側を向いており、同じ側のまぶたを持ち上げることができない場合は、動眼神経の異常があり、後交通動脈からの出血を示している可能性があります。 発作がある場合、脳動静脈奇形などの病気が隠れている可能性もあります。 入院して安静にすることも大切 時には、入院して安静にして、リスクとなる血圧などの管理を徹底しましょう。自然に首の痛みを伴う頭痛は良くなるケースもありますが、血圧が高いとくも膜下出血のリスクとなり得るため、血圧管理を徹底します。 くも膜下出血のよくあるQ&A 最後に、首の痛みを伴う場合のくも膜下出血に関するよくある質問についてQ&Aでまとめました。 Q,くも膜下出血で首が痛くなるのはなぜ? A,頭の中に出血があることで、頭の中の圧力が上がり、これによって脳が圧迫されて痛みが出ます。 Q,首の痛みがある場合、どのように他の病気と区別しますか? A,他に原因がないのに、首の凝りと激しい頭痛を経験した場合、くも膜下出血の兆候である可能性があります。 CT検査は、脳の周りの血液とそれに続く可能性のある問題を検出できます。さらに、出血の原因を明らかにするために造影剤を用いてより詳しく検査できます。 さらに、MRI検査は、頭の内部の詳細な画像をとることができ、出血やその他の血管の問題を特定するのに役立ちます。 まとめ・激しい頭痛!くも膜下出血の前兆?首の後ろの痛みを伴う頭痛は危険! くも膜下出血は非常に危険であり、長期的な回復は発生する可能性のある合併症に依存します。特に、突然の首の痛みを伴う頭痛は、くも膜下出血を発症する前兆とも捉えられます。 くも膜下出血は、緊急を要する病気であり、発症後の迅速な診察と治療が必要です。この病気の前兆や典型的な症状、そして対処法について知っておくことが重要です。 首の痛みや、肩こりなどで違和感がある場合は、くも膜下出血を疑うべきなのですが、同じような症状で髄膜炎といった他の病気と区別も必要です。 そのためにはMRIや、CT検査が大切な役割を果たし、病院で詳しい検査や治療が必要です。症状が進行する場合や特定の兆候が見られる場合は、すぐに病院を受診することが大切です。 単なる肩こりや首の痛みなら自然に治るケースもありますが治らない場合は、くも膜下出血の可能性があります。首の痛みを伴う頭痛に関する質問や疑問には、ぜひ医療機関を受診し、ご相談ください。 今回の記事を参考にして、改めて前兆や対策に関して学んでおきましょう。 ご参考になれば幸いです。 No.097 監修:医師 坂本貞範 ▼くも膜下出血について更に詳しい内容は以下も参考にして頂けます くも膜下出血とは|その原因と治療、怖い再発について
最終更新日:2024.04.24 -
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くも膜下出血の原因と症状!予後とその生存率 について くも膜下出血 は、脳の周囲の空間に出血が起こることで引き起こされる生命を脅かす注意が必要な病気です。 そこで、今回はくも膜下出血の予後や生存率について詳しく解説していきます。 くも膜下出血の発症による高い死亡率 くも膜下出血は、破裂した動脈瘤、AVM(脳動静脈奇形)、または頭部外傷によって引き起こされる怖い病気です。ここ数十年間にわたって、くも膜下出血の予後は改善傾向にありますが、依然として高い死亡率のある病気とされています。 くも膜下出血の原因や症状は? くも膜下腔は、脳と頭蓋骨の間の領域であり、脳脊髄液で満たされ、脳を保護する浮遊クッションとして機能しています。 脳動脈瘤の破裂などにより、動脈壁が破裂し、脳のくも膜下腔に血液が放出されると、脳の内層を刺激し、脳への圧力を高め、脳細胞を損傷させてしまいます。 「くも膜下出血」の症状 ・激しい頭痛、突然の発症 ・吐き気と嘔吐 ・斜頸 ・光に対する過敏症(羞明) ・かすみ目または複視 ・意識の喪失 ・発作 くも膜下出血は病気以外、交通事故などによって、脳が頭蓋骨内で前後に衝突し、衝撃で血管が引き裂かれることでも、くも膜下出血は起こります。 くも膜下出血の生存率や平均余命について くも膜下出血の5年生存率は55%前後とされていますが生存率は年々改善しています。 くも膜下出血発症後の生存率は、その重症度と診断および治療の速さによって異なります。 一般に、未治療のくも膜下出血の 1 年死亡率は最大 65%もあり、これは治療を受けていない くも膜下出血患者の最大 65%が発症から 1 年以内に死亡したことを意味します。 ただし、適切な診断と治療を受ければ、1 年死亡率は約 18%まで下がります。 くも膜下出血の予後や見通しについて くも膜下出血の予後は非常に変わりやすく、初期のくも膜下出血の症状の重症度やおよびその他の合併症や損傷の有無に大きく依存します。 具体的な予後に関してですが、病院にたどり着いた人の中で以下のようなデータもあります。 ・3の1は病院で死亡する ・3 分の1は障害を待って生活する ・3 分の1が通常の機能に戻る このように、元の日常生活に戻るのはわずか30%程度となっています。 くも膜下出血の予後を左右する要因はある? くも膜下出血の予後は、次のようなさまざまな要因に左右されます。 くも膜下出血の予後要因 ・年齢 ・出血の場所と量 ・発症から治療までの時間 ・合併症 高齢で症状が重くなると、予後が悪化する可能性があります。 また、くも膜下出血が起こった部位や障害の程度によって、ある程度予後に影響を受けると考えられています。重度の外傷性くも膜下出血の人は、2倍の死亡リスクがあります。 くも膜下出血の予後を左右する可能性のある合併症は以下のとおりです。 くも膜下出血の予後を左右する合併症 ・発作 ・血管痙攣(脳の血管が狭くなり、血流が遮断される場合) ・最初の治療後に再び出血する ・水頭症(脳内の液体の蓄積) ・頭蓋内圧の上昇 ・脳ヘルニア ・脳梗塞(虚血性脳梗塞) 引き起こされる合併症により、予後を左右することもあります。 くも膜下出血の予後を改善するには? 患者が退院した後、重度のくも膜下出血発症後の個別化されたリハビリテーション療法を提供する施設で治療が継続される場合があります。 リハビリテーションを専門とする医師が、理学療法、作業療法、言語療法を含むリハビリ計画を立てます。 くも膜下出血後の患者が直面する一般的な問題には、身体的制限、思考や記憶の困難などがあります。 これは治療により時間の経過とともに消える可能性があり、 回復プロセスは長く、障害のレベルを理解し患者が機能を回復するには、数週間~数か月、または数年かかる場合があります。 くも膜下出血の再出血を予防する方法はある? くも膜下出血の大部分は、頭部外傷、または破裂した脳動脈瘤によるものです。 したがって、くも膜下出血の発生や再発を予防する最善の方法は、これら 2 つの状況のリスク要因を管理することです。 まず、頭部外傷を防ぐために、自転車やバイクに乗るとき、またはリスクの高いスポーツをするときは、常に安全を心がけてください。 転倒しやすい場合は、理学療法士または作業療法士と協力して、転倒を防ぐために自宅環境も整えましょう。 また、脳動脈瘤を発症するリスクを下げたり、既存の動脈瘤が破裂するのを防いだりするために、以下のような予防策があります。 クモ膜下出血の予防策 ・高血圧を管理する ・喫煙をやめる ・過度に重いものを持ち上げない(激しい運動やいきみは、動脈瘤の破裂を引き起こす可能性があります。) ・定期的に適度に運動する ・バランスの取れた食事を食べる 日頃から脳動脈瘤の発症リスクを下げたり予防をするなどして、リスク要因を管理することがとても大切です。 まとめ・くも膜下出血の原因と症状!予後とその生存率 について いかがでしたでしょうか? くも膜下出血は、依然として予後の悪い病気であり、早期の診断と治療次第では、重度の後遺症を残してしまいます。 早期の適切な治療を受けて、リハビリを行えば予後を改善できることがわかっているため、今回の記事を参考にして、改めて予後や改善策に関して学んでおきましょう。ご参考になれば幸いです。 No.S096 監修:医師 加藤 秀一 ▼以下の「くも膜下出血」の記事も参考にされませんか くも膜下出血とは?その症状と後遺症を医師が徹底解説!
最終更新日:2024.03.28 -
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脳梗塞患者の家族が看護で注意すべきポイントをご説明します 「脳梗塞患者の家族は、どうやって看護したらいいのか?」 「脳梗塞の看護のポイントについて知りたい」 家族や親戚が脳梗塞になってしまった場合は、どのように看護すればいいのか不安な方は多くいるのではないでしょうか。脳梗塞は早期に治療を受けても、後遺症が残る場合があり、治療だけでなく入院中からの看護計画や介入が大切です。 そこで、今回は脳梗塞の症状や看護のポイントについて「急性期」「回復期」「慢性期」に分けて説明しますので、ぜひ参考にされてください。 脳梗塞とは?症状や治療について 脳梗塞は、脳に栄養を供給する1 つ、または複数の血管における脳循環が障害されることで、脳の機能にさまざまな異常をもたらします。 脳には機能別にいくつかの部位が分けられていますが、傷害される部位によって、以下のような症状が現れます。 ・前頭葉障害 人格や性格変化 頭頂葉障害 ・体が動かなくなる 後頭葉障害 視野の半分が目が見えなくなる(同名半盲) 側頭葉障害 学習、記憶障害 そのほかにも以下のような症状が現れます。 その他の症状 ・めまいまたは突然の激しい頭痛 ・視覚障害(バランスの喪失、片麻痺) ・構音障害(話すのが難しい) ・感覚の障害 ・うつ病、その他の心理的問題 脳梗塞後、血液の循環が正常に戻るのが早ければ早いほど、完全に回復する可能性が高くなります。しかし、脳梗塞を生き延びた人の約半数は、永久に障害が残り、数週間、数か月、または数年以内に再発します。 したがって脳梗塞は治療する上で看護やリハビリもまた重要なのです。 脳梗塞の看護のポイントについて それでは、脳梗塞患者の看護のポイントについて説明したいと思います。 脳梗塞患者は、多くの場合入院による治療が必要であり、ICUなどの集中治療室で看護師によるケアが必要になります。これは、脳梗塞の症状が急速に変化する可能性があり、悪化を防ぐために迅速な介入が必要になるためです。 さらに、脳梗塞の治療は長期化するケースも多いため、看護師は、身体的および心理社会的にも患者のケアを行います。 それでは具体的に看護のポイントを3つの段階に分けて説明していきます。 ①急性期の看護のポイント 脳梗塞を発症した急性期は全身状態が特に悪く、急変するリスクが高いため、それに応じた看護計画が大切です。 急性期には、脳梗塞が拡大したり、再出血が起こったりと悪化する可能性が高いです。 発症後数時間以内は、脳の機能が4.5時間以内に血栓溶解療法と呼ばれる治療が可能ですが、これらの急性期の治療による脳浮腫などの合併症を予防することも大切になります。 主に急性期にチェックするポイントは以下です。 急性期のチェックポイント ・意識レベル(応答性、話す能力、見当識の変化など) ・呼吸と循環の管理 ・血圧管理 ・体温管理 ・排尿管理 ・皮膚の状態 ・出血管理 特にt-PAによる血栓療法による脳浮腫や脳の血管の圧力の増加によって、意識障害をきたしやすいため、意識レベルおよび呼吸、循環動態のチェックが大切です。 意識レベルはJCS、GCSを用い、開眼の有無、言語機能、運動機能などを確認し、そのほかにも血圧の管理や脱水状態の有無を確認します。 ②回復期のポイント 急性期の後の回復期には、主に引き続き全身管理を行いながら、日常生活動作を取り戻すための看護を行っていきます。 患者の日常活動における機能障害に関する看護評価を行います。 ・感覚と知覚(痛みと温度の認識が低下しているため) ・栄養機能 : 嚥下、栄養と水分補給の状態 ・皮膚の状態、褥瘡対策 ・排尿機能 ・運動機能(上肢および下肢の動き) ・精神状態 (記憶、注意力、知覚、感情、発話/言語など) 1.栄養機能管理 栄養補助に関しては、咳や、口の片側に食物が溜まってないか、または液体を飲み込むときの逆流がないか観察します。 また、言語聴覚士に相談して、飲み込む機能の評価をしてもらった上で、患者に少量の小さな食物や水分を摂取するように促しましょう。必要に応じて、チューブを介した腸栄養の準備をします。 2.排尿管理 腸の筋肉の制御が失われている間は、排尿管理自分で行えないため、無菌のカテーテル挿入を行います。 また、十分な水分摂取量(1日2〜3L)を与えて、規則正しい時間(朝食後)にトイレをするようにしましょう。 3.皮膚の状態と褥瘡管理 皮膚悪い兆候を頻繁に評価します。 皮膚を清潔で乾燥した状態に保ち、健康で乾燥した皮膚をやさしくマッサージし、十分な栄養を維持します。 また、褥瘡を防ぐために、1日に数回2時間ごとに位置を変更します。 4.運動機能の改善 意識が回復したら積極的なリハビリテーションプログラムを開始することになります。 リハビリでは、関節の可動性を維持し、運動機能を回復し、麻痺した四肢の拘縮を予防し、神経筋系のさらなる悪化を防ぎます。 看護の面では、リハビリ中の患者のサポートを行いましょう。長時間のリハビリではなく、複数回の短時間のリハビリを計画します。 また、運動中の肺塞栓や過剰な心臓負荷の徴候 (息切れ、胸の痛み、チアノーゼ、脈拍数の増加など) を観察します。 ③慢性期の看護のポイント 慢性期はいよいよ退院に向けての準備を行います。全身管理に加え、主に以下の点を重視して取り組みましょう。 ・退院後の日常生活の支援 ・心理的なケア 慢性期では、患者の健康の維持だけでなく、患者家族が対処するための問題や課題を主に支えます。患者、および家族を巻き込んで、自宅で患者が達成可能な目標を計画します。 心理的な問題は通常、時間の経過とともに改善することを家族に説明し、不安を和らげるために感情的なサポートと理解を提供しましょう。 脳梗塞の看護のよくある質問 脳梗塞の看護に関するよくある質問についてQ&Aでまとめました。 脳梗塞の看護を行う上での疑問をまとめましたので参考にされてください。 Q.脳梗塞のあとなぜ血圧が上がるのですか? A,脳梗塞では、脳の血流が低下し、脳が浮腫んでしまいます。このむくんだ状態によって、脳の血管が圧迫されると結果的に血圧が高くなってしまいます。 Q.脳梗塞の時はベッド上での安静が必要? A,脳梗塞直後は、ベッド上での安静が基本です。これは頭を上げたり、立ち上がると血圧が下がり全身状態が悪くなるため、基本的には安静にします。 Q. どのくらいで退院できますか? A,患者によって異なりますが、平均的にみて、2-3ヶ月以内に退院するケースが多くなっています。 まとめ・脳梗塞患者の家族が、看護で注意すべきポイントとは 脳梗塞は適切な治療とリハビリを行えば、治る病気ですが、後遺症が残ることがあり、退院後の日常生活でも継続的なケアが必要になることがあります。 そこで、重要なのが入院中からの適切な看護ケアです。脳梗塞の看護のポイントは、急性期〜慢性期にかけて異なるため、段階に応じた患者対応が必要になります。 脳梗塞から早く仕事復帰するためには、入院期間中の早い段階からのリハビリと共に看護ケアを適切に行うことが不可欠です。 以上、ご参考になれば幸いです。 No.S098 監修:医師 加藤 秀一 ▼脳梗塞の治療に関しては、こちらをご参照ください。 脳梗塞の後遺症を改善するリハビリの方法と期間の目安が知りたい
最終更新日:2024.03.22 -
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くも膜下出血とは?その症状と後遺症を医師が徹底解説! くも膜下出血は、突然の激しい頭痛が特徴的であり、今まで感じた中で最悪の頭痛だと言う人もいます。 そして、後遺症がどのくらいで治るのか気になる方もいるかと思います。 そこで今回は、くも膜下出血の症状、後遺症について説明しますので、ぜひ参考にされてください。 くも膜下出血とは? くも膜下出血とは、脳の血管 (脳動脈瘤) の破裂によって引き起こされる非常に深刻な状態であり、脳と周囲の膜との間の空間(くも膜下腔)に出血があり、致命的になる可能性があります。 脳動脈瘤が破裂すると、脳への血液供給が低下することで、脳の正常な機能が損なわれてしまいます。 脳動脈瘤が発生する理由は正確にはわかっていませんが、次のような特定の危険因子が関与していることがわかっています。 発症の危険 ・喫煙 ・高血圧 ・過度のアルコール摂取 ・頭部外傷 喫煙や高血圧は動脈硬化のリスクを高め、脳の動脈瘤や破裂を引き起こします。 また、重度の頭部外傷はくも膜下出血を引き起こす可能性がありますが、これは外傷性くも膜下出血として知られる病気です。 くも膜下出血は前兆なく突然起こる病気ですが、血圧の急激な変動や頭痛や吐き気、意識レベルの低下など特徴的な前兆があることがわかっています。 また、咳や、重いものを持ち上げる、性行為などの肉体的な激しい行動や緊張をきっかけにくも膜下出血が発生することがあります。 くも膜下出血の症状 くも膜下出血の主な症状は次のとおりです。 くも膜下出血の症状例 ・今まで経験したことのない突然の激しい頭痛 ・極度の疲労感や気分不良 ・睡眠の問題 ・感覚や運動障害 ・光に対する過敏症(羞明) ・かすみ目、または複視 ・脳梗塞のような症状(ろれつが回らない、体の片側の麻痺など) ・意識消失、または痙攣 くも膜下出血の後に頭痛が起こることがよくありますが、時間の経過とともに緩和する傾向があります。 また、最初の数か月間は、極度の疲労を感じるのが普通であり、買い物に行くなどの簡単な作業でも、疲れを感じることがあります。また、不眠症や睡眠不足を訴える場合もあります。 さらに、手足の動きが悪くなったり、感覚がなくなったり、視覚や嗅覚、味覚に変化が現れる方もいます。 しかし、これらの変化は通常一時的なものであり、脳の腫れが引くにつれて通常、数か月かけて徐々に改善するため、治ったと勘違いしてしまう危険性があります。 くも膜下出血の治療や合併症は? くも膜下出血が疑われる人は、病院でCT検査を行い、脳の周囲に出血の兆候がないか確認して治療を行います。 通常、短期的な合併症を防ぐために薬が投与され、出血源を修復する治療が行われることがあります。 また、くも膜下出血は、治療を行う際に以下のような短期的および長期的な合併症を引き起こす可能性があります。 くも膜下出血の合併症 ・水頭症 ・出血 深刻な併症には、動脈瘤の再出血や、脳への血液供給の減少によって引き起こされる脳の損傷によるさまざまな機能低下があるため、合併症を起こさない治療が大切です。 くも膜下出血の後遺症にはどんなものがある? くも膜下出血は、適切な治療を早期に受けても後遺症が残る場合があります。 一般的に多くみられる後遺症 くも膜下出血は治療後の回復も、時間がかかるものであり、次のような後遺症が発生するのが一般的です。 くも膜下出血の後遺症 1.運動麻痺 右か左の手足が動かしづらくなる 2.感覚障害 痺れや脱力感 3.嚥下障害 物が飲み込みづらい 4.視野障害 半分の空間がうまく認識できない 5.高次脳機能障害 言葉がうまく話せない、理解がうまくできないなどの失語症、注意・集中ができない 6.認知や行動の障害 物事をうまく実行できない、最近の出来事を直ぐ忘れてしまう その他にみられる後遺症 そのほかにも次のような後遺症が現れることもあります。 くも膜下出血、後遺症 ・歩行不安定、尿便失禁 ・てんかん繰り返す発作 ・記憶などの認知機能障害 ・うつ病などの気分の変化 特に、認知機能障害はくも膜下出血の一般的な後遺症であり、ほとんどの人がある程度影響を受けます。 記憶の問題に関しては、発症前の記憶は通常影響を受けませんが、新しい情報や事実を思い出すのが難しくなります。 気分や思考にみられる後遺症 また、以下のような気分や思考の問題も現れます。 1.うつ病 気分が落ち込み、希望がなく、人生を楽しむことができない 2.不安障害 何か恐ろしいことが起こるのではないかという絶え間ない不安と恐怖感 3. 心的外傷後ストレス障害 (PTSD) 人は悪夢やフラッシュバックを通じて以前の外傷的出来事を追体験することが多く、孤立感、過敏性、罪悪感を経験することがある。 このような後遺症は、長期化するケースも稀ではなく、治療後のリハビリなどが重要になります。 くも膜下出血の後遺症を残さないための予防やリハビリについて くも膜下出血から回復するのにかかる時間は、その重症度によって異なります。 特に出血の部位は、手足の感覚の喪失や言語理解の問題(失語症)などの後遺症にも関連します。 治療後のリハビリ計画 そこで、治療後は急性期〜回復期にかけて理学療法士の下で実施されるリハビリ計画は、影響を受けた手足の感覚と動きを回復するのに役立ちます。 ・リハビリ専門医 脳損傷による機能回復を専門とする医師 ・理学療法士 エクササイズやマッサージなどの特定の技術の専門家 ・言語療法士 コミュニケーションの問題を認識し、治療を支援する専門家 ・作業療法士 着替えなどの日常生活で発生する可能性のある問題を特定する専門家 上記のようなさまざまな職種が関わっています。 くも膜下出血再発リスクを減らす予防法 また、治療後にくも膜下出血の再発リスクを減らすためにできることがいくつかあります。 再発リスクを減らすために ・禁煙や飲酒制限 ・定期的な運動 ・健康的な食事(減量など) まずは、喫煙や過度の飲酒などの生活習慣を改めましょう。 毎日同じ時間に起きて寝るという日課を設定して、定期的な運動も行いましょう。また、リラクゼーションの時間も取っておく必要があります。 くも膜下出血によくあるQ&A 最後にくも膜下出血に関するよくある質問についてまとめました。 後遺症がどのくらいで治るのか、仕事復帰の目安などについて解説します。 Q.くも膜下出血に特徴的な前兆はありますか? A.くも膜下出血に特徴的な前兆としては、血圧の乱高下があります。激しく上昇、下降する場合は可能性が高いです。また脳梗塞などと同じように頭痛や吐き気などの前兆が現れることもあります。 Q.後遺症を残さずに仕事復帰はできますか? A.くも膜下出血で後遺症なく仕事復帰できるのは、3~4割程度といわれています。完全に後遺症を残さないためにはリハビリが大切になります。 まとめ・くも膜下出血とは?その症状と後遺症について!医師が徹底解説! いかがでしたでしょうか? くも膜下出血は、突然起こると思われがちですが、血圧の変動や頭痛など特徴的な前兆があるため、少しでも不調があれば病院を受診することが大切です。 くも膜下出血は、突然におこる激しい頭痛が特徴的です。後遺症が残ることもあります。そのため、適切な治療や、リハビリのプランが重要になります。 喫煙や、高血圧といった危険因子を管理し、健康的な生活習慣を心がけることが再発を予防するポイントです。 また、後遺症の程度によっては、仕事復帰に時間がかかる場合もありますが、治療後のリハビリは再発リスクを低減させて、回復を早めるためにも大切ですので医療機関の指導の下、前向きお取組みされることをお勧めします。 いずれにしましても、くも膜下出血で後遺症を残さないためには早期治療、そしてリハビリが大切です。 今回の記事を参考にして症状や、後遺症などについて少しでも参考になれば幸いです。 No.094 監修:医師 坂本貞範 ▼くも膜下出血、以下の記事も参考にされませんか くも膜下出血の前兆?首の後ろの痛みを伴う激しい頭痛は危険!
最終更新日:2024.04.24 -
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脳梗塞になりやすい人とは?再発予防で注意しておくべきことについて 脳梗塞とは、脳の血管が血栓などで詰まり血流が悪くなることで、脳血管が細くなって脳細胞に障害が起こって様々な症状を呈する病気です。 高齢者が寝たきりになる原因の多くを占める脳梗塞は、初期段階での早期治療を行うと共に発症予防することが非常に重要なポイントであると言われています。 今回は、脳梗塞になりやすい人はどんな人なのか、脳梗塞の発症予防、あるいは再発を予防するための方法などの情報を詳しく解説していきます。 脳梗塞になりやすい人とは 脳梗塞は、いわゆる危険因子を持った方に起こりやすく発症しやすい方は存在します。その危険因子にはいくつかの要素があり、脳梗塞の主な危険因子は3つあり、「高血圧」「糖尿病」「心房細動」があげられます。 1,高血圧 脳梗塞は脳の血管が詰まることが原因で起こり、その原因疾患でもっとも多いのは高血圧であると考えられています。 一般的には、最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、あるいは最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上であれば、「高血圧症」と診断されることからも、最高収縮期血圧が140mmHg以上を上回ったら脳梗塞の発症リスクが高くなります。 2,糖尿病 また近年では、糖尿病の増加に伴って、「アテローム血栓性脳梗塞」の発症数が増えてきており、血糖値が高い状態が続くと血液中に多量に存在するブドウ糖が血管の壁を傷つけることで、動脈硬化が悪化することとなり、脳梗塞などの病気の発症リスクが高くなります。 3,心房細動 さらに、心臓の中にできた血液の塊が時に遊離して、不幸にも脳の動脈の方に流れていってしまうことで脳の血管が詰まってしまう状態、つまり閉塞してしまうことが原因で起こる脳梗塞のことを、「心原性脳塞栓症」と呼んでいます。 心房細動と呼ばれる不整脈を有する場合には、心房内に血栓を形成し、その心房内の血栓は血流に乗って全身へ飛ばされる恐れがあるため、脳梗塞の発症リスクも上昇します。 脳梗塞の発症予防方法は? 脳梗塞を発症させる危険因子の有無をチェックして、ひとつでも危険因子が見つかった人は、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」などで脳梗塞の発症予防に努める必要があります。 脳梗塞の発症予防 ・食事療法 ・運動療法 ・薬物療法 高血圧を制御して脳血管障害の発症を予防する 高血圧症は日本において約4000万人以上にも及ぶ国民が罹患しているといわれており、「高血圧を制御することによって脳血管障害の発症を抑制する」ことが大いに期待されています。 普段から高血圧を指摘されている方では「塩分を控える」「適正体重となるように日々の食生活で腹八分目にする」「なるべく歩くようにする」などの工夫が必要であるとともに、血圧降下作用のあるカリウムやカルシウムなどのミネラルを積極的に摂取することが重要となります。 高血圧を予防するためにできること ・塩分を控える ・規則正しい食生活 ・適正体重となるように日々の食生活で腹八分目にする ・なるべく歩くようにする ・日ごろから運動を心がける ・カリウムやカルシウムなどのミネラルを積極的に摂取する ・禁煙 ・ストレスの排除 また、普段から規則正しい食生活、運動をするようにして、ストレスや喫煙習慣など生活スタイルに注意して、糖尿病にならないように心掛けましょう。 脳梗塞を引き起こしやすいと考えられている危険な不整脈として認識される心房細動があると、毎年約5%の方に脳梗塞が発症すると指摘されているので、日常生活で動悸を自覚するなどの症状が出現した際には、心臓専門の医療機関で詳しく調べてもらいましょう。 脳梗塞を引き起こしやすい兆候に注意 ・心房細動:生命を脅かす危険性 ・心房細動:動悸、脱力感、息苦しさ、胸の不快感 ※自覚したら心臓専門の医療機関を速やかに受診する 脳梗塞は約3割が再発する可能性!再発予防について 最近、脳ドックを受診する方が増えて「無症候性脳梗塞」が見つかる頻度が増えてきており、この隠れ脳梗塞が発見されたのち数年以内に3割の人が再び脳梗塞の発作を起こすと言われていますので、脳梗塞に一度かかったら再発する危険性があると考えておくべきでしょう。 脳梗塞を発症した方においては、再発を予防するための薬剤を飲む必要があって、通常では「ラクナ梗塞」や、「アテローム血栓症」に対しては動脈のように血流がとても速い血管のなかで血栓がつくられるのを防ぐため、「抗血小板薬」が有用となります。 ご注意頂きたいのは、症状が悪化していない、調子が良いからと勝手に自己判断で薬剤服用をやめてしまう方がおられますが、基本的には脳梗塞を再発するための予防薬は継続する必要があります。 また、心臓が原因で起こる脳塞栓の場合には、心臓の中に出来る血液の塊そのものが血管の中に出来る血栓とは性質が異なっているために、その再発予防には通常では「ワーファリン」という薬を使用します。 この薬を飲んでいる方は、定期的に血液検査でプロトロンビン時間(PT-INR)を測定して、薬効を評価しておく必要がありますし、ワーファリンを服用している際には、薬の効果に影響を与えますので、納豆や青汁などを食べてはいけません。 脳梗塞の再発予防にために ・脳ドックで「無症候性脳梗塞」が見つかると3年以内に脳梗塞を発症しやすい ・脳梗塞の再発予防に「抗血小板薬」が有用となる ・脳梗塞の予防薬を自己判断で中断してはならない ・脳梗塞の予防として心臓内でできる血液の塊を防ぐ「ワーファリン」の服用時には納豆や青汁を摂取しないこと まとめ・脳梗塞になりやすい人とは?発症や再発予防で注意しておくべきこと 今回は脳梗塞になりやすい人はどんな人なのか、脳梗塞を発症予防、あるいは再発を予防するための方法などについて詳しく解説してきました。 脳梗塞は突然に起こる病気であり、かかってからしまったと後悔しても手遅れですので、健常人でも普段から脳梗塞を予防しておく方法を知って身に付けておくことが重要です。 脳梗塞の原因となる高血圧や糖尿病は動脈硬化を進展させますので、脳梗塞の発症や再発を予防するために、高血圧や糖尿病を罹患している場合には疾病の治療を行うとともに、常日頃の生活習慣を見直すことも重要な観点となります。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.093 監修:医師 坂本貞範 引用文献 脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省) ▼こちらも併せてご参照ください。 脳梗塞は治るのか!?治療方法や入院期間、費用を徹底解説!
最終更新日:2024.03.22 -
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脳梗塞の前兆を逃さないために!初期症状をチェックリストはこちらです! 脳梗塞は脳の血管が細くなり、血液が固まった血栓と言われるもので脳の血管が詰まり、血液の流れが止まってしまうことで起きる怖い病気です。 大きな脳梗塞だと呂律が回らなくなったり、体の片側に力が入らなくなったりする運動障害や、言葉が分からなくなる失語症などの症状が前兆として起こることがあります。 そういった重篤な症状になると、ほとんどの場合で早急に医療機関を受診することとなりますが、中には症状が軽かったりして、その症状も自然に治ったりすることがあるため、それが「前兆だとも気が付かないケース」があります。 そこで本記事では、そのような前兆を見逃さないために以下に脳梗塞を判定するためのチェックリストを設けました。一つでもチェック☑が当てはまるようであれば、今すぐ医療機関を受診し、ご相談されることをお勧めします。 今回は、脳梗塞の起き方から、それぞれの症状、軽い脳梗塞とも言われる一過性脳虚血発作、脳梗塞の前兆と治療について詳しく解説していきます。ぜひ参考にされてください。 脳梗塞のメカニズムは? まずは脳梗塞の起き方についてです。脳梗塞は大きく分けて次の3つに分類されます。 ①動脈硬化によるアテローム血栓性脳梗塞 アテローム血栓性脳梗塞は高血圧、高脂血症、糖尿病という所謂生活習慣病に伴い、血管壁にコレステロールが溜まる「動脈硬化」という病態が主な原因です。 予防のためには、食事や運動に気を付けることや薬物治療を通して「動脈硬化の進行」を抑えることが最も重要です。 ②心臓から流れてきた大きな血栓による心原性脳塞栓症 心原性脳塞栓症は心房細動といった不整脈などの心疾患が原因で心臓内に血栓が生成され、それが血流に乗って脳血管に運ばれることで引き起こされます。 予防には心疾患の早期発見・治療が重要となります。 ③高血圧により穿通枝という比較的細い血管が詰まるラクナ梗塞 ラクナ梗塞は「高血圧」が主因とされ、予防のためには血圧の管理が重要となってきます。 このように脳梗塞は生活習慣を主として様々な原因で引き起こされるため、リスク因子の発見や対処といった予防が重要となってきます。 脳梗塞の前兆を知るために 脳梗塞の主な前兆、症状としては下記のようなものが突然現れることが特徴的です。複数の症状が現れたり、1つだけであったりもします。 以下は、万一に備えていただくために「脳梗塞の前兆を症状で判別いただくためのチェックリスト」です。一つであっても当てはまるものがあれば要注意です。 【重要】脳梗塞の前兆を逃さないための症状チェック ※ 一つでも当てはまるようなら、すぐに病院にご相談ください 運動障害 ☐ 片半身が動かしにくくなる ☐ 片側の顔に力が入らない ☐ 箸や鉛筆が持てない ☐ 片足を引きずってしまう ☐ 呂律が回らない 言語障害 ☐ 言葉が出てこない ☐ 言葉の意味がわからない ☐ 相手に話が伝わらない 感覚障害 ☐ 片半身が痺れる ☐ 触られてもわからない 視覚障害 ☐ものが二重に見える ☐ 視野が狭くなる ☐ 目の前が真っ暗になる 平衡感覚障害 ☐ 体が傾く ☐ まっすぐ歩けない 前兆があっても大丈夫と自己判断することは危険です 上記のような症状が急に現れると驚かれ、多くの方は医療機関を受診されると思います。 しかし、中にはすぐに良くなってしまうことがあります。 その場合、「気のせいか」「まあいいか」と自己判断で治った、大事ないと意図的に良い方に考えて医療機関を受診されない方が一定数いらっしゃいます。 実際、2週間も症状が続いたにも関わらず、その後ようやく医療機関を受診した方もおられました。 実際、厚生労働省の研究班の調査では症状が続いていれば8割の方が医療機関を受診すると答えたのに対して、症状が自然に改善した場合は、治った、大丈夫だろうと、5割程度しか受診しないと答えています。 大丈夫だろう…は極めて危険です! 症状が一時的であって、その後治まった場合でも、再度同様の症状を起こし、今度は一生涯の症状となることがあるからです。 一過性の脳梗塞症状のことを一過性脳虚血発作と言い、脳梗塞の前兆と考えられております。 前兆は体からのサインです!上記のチェックリストに、一つでもチェック☑があるようなら、早急に医療機関で相談してください。 軽い脳梗塞?一過性脳虚血発作とは 一過性脳虚血発作は文字通り、一時的に脳梗塞のような症状が出現し、時間経過とともに(多くは30分程度)自然に改善するような病態です。分かりやすく地震に例えると余震であり、本震の前兆、前触れとして真剣に向き合うべき事柄なのです。 つまり、数日以内に「本格的な脳梗塞を起こす可能性」があるため、「脳梗塞の前兆」とも言われております。症状が良くなったからもう良い、疲れが出たからだろうと考えていると、足元を掬われる可能性があります。 実際、一過性脳虚血発作患者の約15%が90日以内に脳梗塞をきたすとされ、一過性脳虚血発作患者には脳梗塞の予防が重要です。 特に脳梗塞に至りかねない、リスクが高いとされる項目は以下の通りです。ご自身や、身の回りの方が該当するなら、更なる注意が必要です。 脳梗塞のリスクが高くなる条件 ・年齢(60歳以上) ・血圧(140/90mmHg以上) ・臨床症状(片麻痺、言語障害) ・症状の持続時間(10分以上) ・糖尿病 リスクが高い方は入院したり、お薬を開始したりすることがあります。 その時に用いるのがアスピリンやクロピドグレルといった血液を固まりにくくするお薬です。 そういったお薬を用いたり、高血圧・高脂血症・糖尿病といった疾患へ生活習慣の介入や薬物治療を行ったりすることで再度の一過性脳虚血発作や脳梗塞を予防していくこととなります。 前兆を感じたら、どこに相談したら良いのか? 上記のような前兆が現れたり、症状に心当たりがあった場合、脳神経内科・脳血管内科・脳外科など、脳を専門としている病院にご相談ください。診療科名は病院によって異なることもあるため、詳しくは病院のホームページや、電話などでお問い合わせをすると良いでしょう。 特に発症したばかりの脳梗塞を疑う場合の治療は一刻を争うことが多く、ためらわず救急車を呼ぶ必要があります。 症状を感じたら、自覚したら!脳専門病院にご相談ください ・脳神経内科 ・脳血管内科 ・脳外科 まとめ・脳梗塞の前兆を逃さないために!初期症状をチェックリストはこちらです! いかがでしたでしょうか。 脳梗塞の前兆からそれぞれの症状、軽い脳梗塞とも言われる一過性脳虚血発作、脳梗塞の治療についてご紹介させていただきました。 前兆となる症状が現れた自己で判断されることなく、専門院をご受診ください。 高血圧・高脂血症・糖尿病といったリスクのある方は特に、チェックリストに当てはまるような症状、それ以外にも違和感をお感じになられたら医療機関に至急ご相談されることをおすすめします。 以上、ご参考になれば幸いです。 No.S092 監修:医師 加藤 秀一 ▼脳梗塞の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳梗塞の新たな治療法として注目を浴びています ▼以下もご覧になりませんか 脳梗塞になりやすい人とは?発症や再発予防で注意しておくべきこと
最終更新日:2024.03.29 -
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脳梗塞は治るのか!?治療方法や入院期間、費用を徹底解説! 「脳梗塞って治る見込みはあるのかな・・・」 「脳梗塞になったら、どのくらい入院するのか知りたい。」 脳梗塞は日本の死因第 4 位に入るとても怖い病気です。 脳梗塞になってしまった場合、治る見込みがあるのか?!と、不安なお気持ちになられる方は多くおられることでしょう。脳梗塞を発症した時に最も大切なことは、いかに「早い段階で治療を受けるか」ということになります。尚、年齢や障害の部位、程度によって受ける治療や入院期間が異なります。 そこで、今回は脳梗塞の治る見込みや、具体的な治療方法、そして気になる入院期間や費用についても記した保存版的内容になりました。参考にしていただければ幸いです。 脳梗塞は治すことはできても後遺症が残る危険性が高い病気です 結論から言うと表題で記した通り、脳梗塞は治すことができても発症後、早期に治療を受けないと、重篤な後遺症が残ってしまう場合があります。 脳梗塞とは、脳の血管が詰まることで脳細胞が壊死し、脳機能が低下してしまう病気であり、主に以下の3つの種類に分けられます。 ・アテローム血栓性脳梗塞 : 首や脳などのより太い血管が詰まることで起こる ・ラクナ梗塞 : 比較的小さな血管が詰まり、緩やかに症状が現れる ・心原性脳梗塞 : 心臓の血栓の一部が血流により脳に運ばれ、血栓を作る いずれも高血圧や脂質異常症、高血糖などの生活習慣病による動脈硬化が主な原因となり、後遺症としては、片麻痺やしびれなどの感覚障害のほか、記憶や注意力の低下などとして現れます。 脳梗塞を治すにはまず、脳内の正常な血流を回復するために急性期の治療を行い、その後、リハビリ治療によって、後遺症などの二次的影響を治すことになります。 損傷した脳組織を治療によって元に戻すことは不可能ですが、リハビリテーションによって、損傷した部分を補うことを目指すことになります。 脳梗塞の検査は? 脳梗塞に対して早期に治療介入する上で重要になるのが検査です。 脳梗塞を診断するためだけでなく、他の考えられる原因を除外する必要があるため非常に大切です。 ・身体検査 : 心臓の音や血圧を測ったり、神経学的診察を行います。 ・血液検査 : 血液が凝固する速さ、血糖値、感染症の有無を調べます。 ・CT検査 : 脳内出血、虚血性脳梗塞、腫瘍などを調ます。 ・MRI検査 : 虚血性脳梗塞や脳出血によって損傷した脳組織を検出します。 ・頸動脈超音波検査 : 頸動脈の脂肪沈着物 (プラーク) の蓄積と血流が示されます。 ・脳血管造影検査 : 脳と首の動脈を詳細に調べます。 ・心エコー検査 : 心臓から脳に移動して脳梗塞を引き起こした可能性のある心臓内の血栓の原因を見つけます。 これらの検査を行うことで診断を確定することが可能となり、適切な治療へと導くことができる大切な治療プロセスになります。 脳梗塞の急性期(病状が表れた時期)の治療について それでは、実際にどのような治療を行うのか詳しく見ていきましょう。主に3つの治療に加え、薬物療法もおこなっていくことが基本となります。 ①血栓溶解療法(t-PA治療) 虚血性の脳梗塞の場合は、血栓を溶かして脳への血流を回復させるアルテプラーゼと呼ばれる薬を注射することで治療できます。 このアルテプラーゼは、脳卒中の発生後できるだけ早く、確実に 4 . 5 時間以内に開始すると最も効果的です。4 ~ 5 時間以上経過した場合は、薬が出血性脳梗塞による出血を悪化させる可能性があるため、利用できません。 ②血管内治療(血栓回収療法) 重度の虚血性脳梗塞の場合は、血栓回収療法と呼ばれる血管内のカテーテル治療によって治療できます。 局所麻酔下または全身麻酔下でカテーテルを動脈に挿入し、小さなデバイスを、カテーテルを通して脳の動脈に挿入します。このデバイスを使用して血栓を除去することで、脳への血流が回復します。 血栓溶解療法同様に、脳梗塞後できるだけ早く開始すると最も効果的です。 ③抗血栓療法(内服治療) 血管の閉塞を治す急性期治療に加え、再発予防として、内服による治療も同時に行います。 1.抗血小板薬(アスピリン/クロピドグレル) アスピリンは抗血小板薬であり、新しく血栓が形成される可能性を減らすことができます。また、クロピドグレルなど、他の抗血小板薬も同時に併用する場合があります。 2.抗凝固剤(ワーファリンなど) 将来、新たな血栓ができるリスクを軽減するために、抗凝固薬を投与されることがあります。ワルファリン、ダビガトランなど、長期間使用できる抗凝固薬があります。 脳梗塞のリハビリについて 急性期治療の後は、できる限り多くの機能を回復するようリハビリに努めることが大切です。それが自立した生活を取り戻すことに繋がるからです。 リハビリには主に急性期、回復期、生活期の 3 つの段階があり、年齢、全体的な健康状態、および脳梗塞による障害の程度に基づいて、リハビリ内容を医師が決定します。 退院後は、同じ病院はもちろんですが、利便性を考慮して自宅の近くなど、別のリハビリ施設で、リハビリを続けることもできます。 リハビリは患者の状態に応じて以下のようなチームで行われるます。 ・医師(脳外科、脳神経内科、精神科など) ・理学療法士 ・看護師 ・栄養士 ・理学療法士 ・作業療法士 ・言語聴覚士 ・ソーシャルワーカー 発症後48時間以内の早期にリハビリを開始することで、脳梗塞による治療後の後遺症を軽減することがわかっています。 脳梗塞の入院期間と費用はどのくらい? 脳梗塞の一般的な入院期間は 78 日前後であり、数ヶ月入院する必要があります。がん患者では、平均在日日数は 30 日前後なので、入院期間は一般的な病気に比べ長いことが分かります。 費用に関してですが、脳梗塞の入院でかかる費用は平均 50 万円前後と言われています。 ただし、受ける治療内容によってもちろん異なりますし、入院期間が伸びてしまうと追加の費用がかかります。 ・平均的な入院期間:78 日 ・費用:50 万円前後(健康保険-3割負担の場合)※高額療養費制度の活用で更に安価になります) ※上記は、治療内容、症状、入金機期間によって変動します 入院期間が伸びてしまう要因としては主に障害部位や重症度があり、詳しく見ていきましょう。 1.障害部位や重症度 脳梗塞の入院期間は、まず障害されている脳の部位や範囲によって異なります。 軽症の場合は、2 週間程度で退院できる場合もありますが、重症度が高くなると、リハビリ期間も長くなるため、入院期間が長くなり、費用も高くなってしまいます。 2.高齢者 年齢が高くなると、急性期治療後のリハビリが長期化するケースも稀ではありません。 令和元年の厚生労働省による平均入院日数調査によると 27. 6 日となっていますが、75歳以上の後期高齢者になると、40 日を超える場合もあります。 脳梗塞の治療や入院に関するよくある質問 最後に、脳梗塞に関するよくある質問についてです。治療期間やリハビリ、仕事復帰の目安などについてまとめていますので、ぜひ参考にされてください。 Q.脳梗塞の治療後、仕事復帰はどのくらいでできる? A.仕事復帰までの期間は、患者それぞれによって異なりますが、基本的には3ヶ月後に退院できるケースが多いようですが、退院してすぐに復帰できるわけではありません。 多くの場合、発症から半年または1年後を目途に復帰できるケースが多いようです。 Q.脳梗塞を早く治すにはどうしたらいいですか? A.脳梗塞を早く治すには、何といっても早期治療が大切です。ただし、早期治療後にすぐに治るというわけではなく、リハビリなど日常生活に戻るには個人差があるのが実情です。 発症後 3ヶ月過ぎると、治りづらくなるため、できるだけ早くリハビリに取り組むことが、早く治すことにつながります。 まとめ・脳梗塞は治るのか!?治療方法や入院期間、費用を徹底解説! いかがでしたでしょうか。 脳梗塞は早期の治療開始が大切で、適切なリハビリを行うことで克服できる病気です。 ただし、一刻も早い治療と適切な対処が必要です。遅れれば後遺症が重くなる可能性があり、日常生活にも大きな影響を及ぼしかねません。 脳梗塞は、入院期間の長い病気ではありますが、早い段階からの適切治療と、リハビリを行うことで社会、仕事復帰することも十分に可能です。 費用的にも健康保険や高額療養費制度を用いれば最小の負担で治療に取り組むことが可能です。 この記事では、脳梗塞は治るのか!?治療方法や入院期間、費用を解説として、詳しくまとめましたので参考にしていただければ幸いです。 No.091 監修:医師 坂本貞範 脳卒中・脳梗塞 ▼脳梗塞の後遺症|脳卒中の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳梗塞の新たな治療法として注目を浴びています ▼こちらの参考されませんか 脳梗塞は女性に多いその理由!脳梗塞を発症しやすい年代と発症確率について
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若年性脳梗塞の実際|要注意「まだ若いから」との油断は禁物です 脳梗塞という病気を聞いたり、知ってはいても高齢者の病気だと思っている方も多いのではないでしょうか?確かに年を取るにつれて脳梗塞の発症率は上昇します。 しかし、若年層、若い人であっても脳梗塞を発症する場合があることをご存知でしょうか。この記事では、20~30代といった若い世代でも起こりうる「脳梗塞」について解説いたします。 脳梗塞とは? そもそも脳梗塞とは、どのような病気なのでしょうか。脳梗塞とは「脳卒中」と言われる病気のひとつで、脳の血管が障害を受けることによって起こる病気の一つです。 脳卒中には脳梗塞以外にも、脳出血、くも膜下出血があります。その中でも脳梗塞は、脳に酸素や栄養を届ける動脈が詰まってしまうことで脳への血流が途絶し、脳の機能に傷害が起こる病気です。 脳梗塞の症状とは? 脳は、場所によって、さまざまな機能を分担していています。脳梗塞になって血流が途絶してしまうと、その部分の機能に障害が起こるということになります。 脳梗塞は、脳の障害を起こす部位によって症状が様々に異なります。 例えば、 ・右手を動かす脳の部位が脳梗塞になれば、右手が動かなくなります ・片方の目から入ってきた情報を処理する部分が脳梗塞になれば、片方の目が見えなくなってしまいます 他にも、脳は感覚や感情、さらには生命維持のために不可欠な様々な機能を担っています。脳梗塞は様々な症状が起こる上に、場合によっては命に関わってくることもあります。 脳梗塞が起こる原因とは? 脳梗塞は、主に3種類に分類されています。 1.アテローム血栓型脳梗塞 1つ目のアテローム血栓型脳梗塞は、脳に酸素や栄養を届ける動脈が動脈硬化などによってだんだんと狭くなり、ついに血流が途絶したときに起こります。 そもそも動脈硬化が起こると血管は硬くなるだけではなく、血管の壁の中に粥腫(じゅくしゅ)と呼ばれるコレステロールの塊が蓄積してきます。 血管と粥腫の間は内膜と呼ばれる薄い膜で隔たれていますが、何らかの原因で内膜が破綻すると粥腫が血液に触れます。すると血管を修復しようとして血液が凝固します。 もともと狭い血管内で血液が固まりますので血液の流れが完全に途絶してしまい脳梗塞になってしまうのです。大きな血管が詰まると、非常に広い範囲の脳が脳梗塞となってしまい命に関わるような重篤な症状となる事もあります。 2.ラクナ梗塞 2つ目のラクナ梗塞は、脳に酸素や栄養を届ける動脈の血管の中でも末端の非常に細い動脈に起こる血流の途絶によって起こります。 小さい範囲の脳梗塞のため、症状がない場合もありますが、非常に重要な部分に酸素や栄養を届ける動脈が詰まってしまうと、重篤な状態となってしまうこともあります。 3.心原性脳塞栓症 3つ目の脳梗塞の原因である心原性脳塞栓症は、脳以外の血管に原因がある脳梗塞です。種々の病気によって、足や心臓の中で血栓という血の塊ができてしまうことがあります。 この血栓が、ある時その場所から剥がれ落ちて血流に乗って脳に届き、血管に詰まってしまいます。血栓のサイズによって症状は様々となります。多くの場合、心房細動という不整脈に伴って心臓内に血栓ができます。 また、普通心臓内では静脈で全身から帰ってきた血液(静脈血)と、肺から帰ってきて全身に送る血液(動脈血)は混ざらないように分かれています。 しかし、先天性の病気で心臓に穴が空くなどして、静脈血が動脈血に混じってしまう人がいます。このような人の場合、足の静脈でできた血の塊が動脈に入り込み、脳へ飛んでしまう事があります。これを奇異性塞栓と言います。 脳梗塞の治療方法とは? 脳梗塞の治療は、発症後なるべく早い時間に血流を再開させることが重要となります。 血液が届かなくなった脳の細胞は時間が経つにつれ、どんどんと壊死してしまいます。血流が途絶した時間が長くなれば、壊死している範囲が広がってしまいます。 血流を早期に回復させることができたら、最小限の壊死でとどめることができますので、後遺症を減らす事ができます。 特に有効とされているのが、血栓を溶かす治療です。しかし出血などの合併症があるため、発症4時間30分以内にしか使用できず、なるべく早く病院を受診する必要があります。 他には、血管内治療と言って、カテーテルという細い管を血管の中に通し、脳の中にまで届かせて血栓を吸い取って血流を再開させる治療も行います。 若年性脳梗塞とは? 脳梗塞の中でも、若年に起こる脳梗塞を特別に若年性脳梗塞と言います。 どのような特徴があるのでしょうか。 若年性脳梗塞とはどのようなものなの? 若年性脳梗塞は、特に国際的に決まった定義はありませんが、日本では国立循環器病センターが50歳以下における脳梗塞と区分しており、その辺りの年齢より若い人に起こるものを若年性脳梗塞と言います。 若年性脳梗塞はどのような原因で起こるの? 若年とはいえ、原因は高齢者に起こる脳梗塞と同様に、動脈硬化によるものが多いです。動脈硬化の原因としては、以下のようなものが挙げられます。 動脈硬化の原因:いずれも生活習慣の乱れから起こるものと言えます。 ・喫煙 ・過度の飲酒 ・糖尿 ・高血圧 ・高コレステロール血症 また、前述の奇異性脳塞栓はどの年代でも起こりえますが、動脈硬化の割合が高齢者より少ない分、若年性脳梗塞においては奇異性脳梗塞の割合が高くなる傾向があります。 つまり、危険因子を持ち合わせると、20代であっても脳梗塞が起こる可能性は十分にあり得るのです。 若年性脳梗塞を予防するためにできること では、若年性脳梗塞を予防するためにはどのような事に気をつければ良いのでしょうか。 生活習慣の見直し 若年性脳梗塞を予防するためには動脈硬化を予防する事が最も重要です。 その為には生活習慣を整えることが必要とされています。 予防方法の例 ・バランスの取れた食事を意識する ・適度な運動をする ・十分な睡眠をとる ・喫煙、飲酒量の見直し ・ストレスを溜めない 塩分の高い食事や栄養が偏った食事、不規則な生活リズム、運動不足は動脈硬化を悪化させます。 さらに、喫煙や飲酒も問題となりますので、禁煙や飲酒量の調整も必要です。 また、ストレスも動脈硬化の原因となります。ストレスを感じていることが多い場合には、ストレス解消を意識することも重要となります。 検診の受診 高血圧や糖尿病、高コレステロール血症は自覚症状がほとんどないため、検診を受けて診断を受け、適切に治療を受ける必要があります。 また、奇異性脳塞栓の原因となる心臓の異常は、検診の心電図で発見されることもあります。 早期に脳梗塞の原因となる芽を見つけ、脳梗塞を発症する前に治療を開始することで脳梗塞を起こさないように対策をしましょう。 まとめ・若年性脳梗塞の実際|要注意「まだ若いから」との油断は禁物です この記事では、若年層、20代でも起こりうる若年性脳梗塞について解説しました。 若年性脳梗塞は、高齢者の脳梗塞に比べて「奇異性脳塞栓」といった特殊な脳梗塞が多いという特徴がありますが、やはり生活習慣病の結果として起こる場合が多くを占めます。 脳梗塞を起こすと、様々な症状が起こります。そして、後遺症を残してしまうことも少なくありません。 普段の生活習慣を改めた上で、医療機関での検診を活用し、若い頃から脳梗塞にならないように気をつけていきましょう。 ご参考になれば幸いです。 No.S091 監修:医師 加藤 秀一 ▼合わせて読みたい「脳梗塞」の記事 脳梗塞の原因と種類!知っておきたい合併症と治療について ▼脳梗塞の後遺症|脳卒中の最新、幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脳梗塞の新たな治療法として注目を浴びています
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くも膜下出血|その症状と原因、怖い再発について解説します 「くも膜下出血」は、脳と、くも膜の間に出血した血が溜ることをいいます。尚、くも膜とは、脳の周りを保護している3層の膜(硬膜、くも膜、軟膜)の一つです。 「脳」に関する病気は、死亡を伴う、命を落とす危険性が高いため、とても怖いものです。その意味で「くも膜下出血」も脳に関わる怖い病気の一つです。 ちなみに、この疾患は中年期40代以降から、発症リスクが高まるほか、男性よりも女性に多く発症しています。特に、喫煙や飲酒といった習慣がある場合や、高血圧の場合は、発症するリスク、その確率が高くなるとされています。 くも膜下出血が起こると激しい頭痛がおこるほか、死亡に至らずとも重い後遺症が残る可能性が高いことが知られていますが、実際には具体的なことは「よく知らない!」という人も少なくないのではないでしょうか。 そこで今回は、くも膜下出血の症状や原因、治療方法などの概要に合わせて、再発予防の観点からも、その注意点を紹介してまいりましょう。 くも膜下出血の症状 くも膜下出血を発症した際の症状で、代表的なものとして挙げられるのが「頭痛」です。くも膜下出血に場合、痛みは徐々に訪れるのではなく、数秒でピークに達するのが特徴です。 症状としては、これまでに経験したことがないような激しい頭痛で、大げさではなく「ハンマーで思いっきり叩かれたような痛み」が突然起こるという具合に例えられています。脳内での出血量が少ないと痛みも少ないのですが、出血量が多くなると痛みも強なりく、意識障害を引き起こすケースも少なくありません。 また、くも膜下出血によって脳が圧迫されると脳細胞が破壊されてしうことで「麻痺やしびれ、言語障害などの後遺症」が残るケースは珍しくありません。 そこで、これまで体験したことのない激しい痛みが突然、頭に覚えた場合は、大至急、救急車の手配など緊急で医療機関の受診が必要であることを忘れてはなりません。意識がある状態で病院に到着することが生死を分けると言います。 ぜひ前兆や初期症状を見逃すことなく対応下さい。 くも膜下出血の特徴 ・急激な頭痛 ・経験したことのない激しい痛み ・意識障害が起こる可能性も ・後遺症つぉいて「麻痺やしびれ、言語障害」が起こる可能性がある くも膜下出血の原因 くも膜下出血は、「激しい頭痛に見舞われる」「後遺症が残る」など、危険で怖い病気の一つです。くも膜下出血の原因は、脳動脈にできる瘤(こぶ:脳動脈瘤/のうどうみゃくりゅう)にあります。 血管には、膜が薄く弱い部位あります。その弱い部位が強い血流を受けると膨らんで瘤ができてしまいます。その瘤に、高い血圧がかかるなどした場合に破裂してしまうのが「くも膜下出血」です。 脳動脈瘤は血流が強くなる部分、血管が分岐している箇所などにできやすいのが特徴です。 くも膜下出血の治療 くも膜下出血の治療法は、原因となる脳動脈瘤が再び破裂しないように、頭痛や後遺症が発症するのを防ぐことが目的になります。ただし、脳動脈瘤を小さくしたり、脳動脈瘤を消したり、無くしたりする方法は無いことから、脳動脈瘤へ血液が流れないようにする手術的治療が行われます。 脳動脈瘤へ血液が行かないようにする手術方法として代表的なものの一つは、開頭して行う手術で動脈本管と動脈瘤がつながっている部分(ネック)を専用のクリップで挟む「ネック・クリッピング」という治療法です。 また、二つ目に、脳動脈瘤のなかに血液が入らないようにするために、開頭をせずに血管を使ってカテーテルを動脈瘤まで進め、破裂した部位にプラチナ製のコイルを詰める方法があり「コイル塞栓術」という治療方法になります。 いずれの治療法であっても必要なのは術後の経過観察です。定期的な診察を受けることが大切です。 くも膜下出血の治療(手術) ・ネック・クリッピング(開頭) ・コイル塞栓術(血管から) くも膜下出血が危険で怖い理由は「再発」です くも膜下出血が起こった際に適切な治療が行われても安心してはいけません。くも膜下出血は、非常に恐ろしく危険な病気だと呼ばれるのは、「命にかかわる病気であること」、そして何よりも「再発率の高さ」が挙げられます。 その「再発には前兆」があります。そこで再発を防ぐために気を付けて欲しいことを記しました。 くも膜下出血を発症した場合、治療を受けることは当然ですが、それに満足しないでください。その後、再発しないように気をつけることが重要なテーマになります。くも膜下出血の再発を防ぐためには、その前兆を知っておき、常日ごろから注意するという意識が大切です。 今回は、「くも膜下出血の再発の前兆」と題して既に発症し、治療をうけたものの再発に注意すべき人に向けて、覚えておいて欲しい点を解説しました。また、併せて発症後の後遺症に対してもご説明してまいります。 1.くも膜下出血の再発の前兆、初期症状「動眼神経麻痺」とは くも膜下出血の再発の前兆、初期症状として代表的な症状が目に現れます。それが動眼神経麻痺」です。動眼神経麻痺とは、片方の瞼が開かなくなって、両目で物を見ようとすると物が2つに見えるようになる状態をいいます。 動眼神経麻痺は、大きくなった動脈瘤が動眼神経を圧迫するために起こります。そのため、「動眼神経麻痺になってしまうと動脈瘤が大きくなっている可能性があるります。 この動脈瘤が破裂してしまうと、くも膜下出血が再発してしまう可能性があるいため、この症状を忘れないでくださいす。また、大きくなった動脈瘤は動眼神経だけではなく、「視神経を圧迫」することもあります。 そうなると視力が低下したり視野が欠けたりするケースもあるのでそのような症状に気が付いたときは、何よりも早く病院で脳外科、脳神経外科などの医療機関を受診し、治療を受けてください。 動眼神経麻痺の特徴 ・両目でモノを見るとモノが二つに見える ・視力の低下 ・視野が欠ける 2.くも膜下出血の再発の前兆、初期症状「頭痛」に注意 動眼神経麻痺のほかにも、くも膜下出血の再発の前兆、初期症状として「頭痛」があります。視野の乱れと共に起こることがあり、くも膜下出血が再発する兆候として頭痛も疑って欲しいと思います。 その症状を感じた場合は、すでに少量の出血が生じている可能性が高いため、早急に治療すべきとの意識を持ってください。この際に「軽い頭痛」についてご注意ください。 初期症状として頭痛の程度はそれぞれで、例えば「軽い頭痛」の場合、「くも膜下出血」の再発の前兆とは考えずに見過ごしてしまいかねないことがあります。軽い頭痛であっても異常を感じたら念のため病院へ向かいましょう。 受診する際には、過去の既往症として「くも膜下出血を発症した」という情報を与えなければなりません。そうで無い場合、単なる風邪などと診断されてしまうケースが少なくないからです。 ついては、過去に「くも膜下出血」を発症したことがあるなら、重い軽いに、関わらず頭痛がある場合には明確に「過去、くも膜下出血を患った」という情報を伝えるようにすることが大切です。 その他にも症状を感じたなら、「いつもと違う」「初めての痛み」などと、症状の内容を詳しく医師に伝えるよう努めてください。 くも膜下出血の再発の前兆 ・動眼神経麻痺 ・めまい ・視力低下 ・頭痛(症状は様々、軽い場合も要注意) くも膜下出血の再発を防ぐのは定期的な検査 ここまで「くも膜下出血の再発防止」のために、知っておきたい前兆について記してまいりましたが、再発防止には定期的に検査を受けることが非常に重要です。 くも膜下出血の原因となる動脈瘤を検査で発見することができれば、動脈瘤が破裂してしまう前に処置することができるからです。くも膜下出血を発症して10年くらい経過してから治療した動脈瘤が再び大きくなったり、新しい動脈瘤ができて破裂したりする可能性もあります。 一度検査して問題なかったからと安心や、油断をせずに定期的に検査を受けるようにしましょう。 再発を防ぐために ・定期的な検査を受け続けることが何より大切 まとめ・くも膜下出血とは|その原因と治療、怖い再発について くも膜下出血の特徴について簡単に分かりやすいようにご紹介しました。発症時にハンマーやバットで突然殴られたような激しい頭痛に見舞われること。再発率が非常に高いため、くも膜下出血を経験したなら再発防止にも力を入れる必要があること等をご説明しました。 また、くも膜下出血は、危険です。死亡を免れても後遺症が残る可能性が高いとても怖い病気です。ここで記したような症状を感じたらすぐに病院の脳外科や、脳神経外科等の専門医療機関を受診してください。 手術による方法としては「ネック・クリッピング」や、「コイル塞栓術」というものがあります。 また、治療後であっても再発率は高いため、くも膜下出血の前兆を知っておくことは大切です。早期に対処すれば再発を防ぐ可能性が高まります。何度も申しますが何か頭に違和感を感じたら迷わず医療機関を頼りましょう。 ただ、くも膜下出血が早期に発見され、適切な処置を受けた場合でも麻痺や痺れといった障害が残る可能性が高いのが現実です。 障害については治療後、リハビリに励むことで改善を目指せますが慢性期に移行すると機能の回復は困難となり、最終的に身体を動かせなくなってしまいかねません。 そんな、くも膜下出血の後遺症でお困りの方へ再生医療の可能性を伝えることができればと考えています。興味があれば以下のリンクをクリックして下さい。 以上、くも膜下出血とは、その原因と治療、怖い再発について、記させていただきました。ご参考にしていただければ幸いです。 No.S053 監修:医師 加藤 秀一 ▼ 再生医療で脳卒中の治療する 脳卒中(脳梗塞、脳内出血)は、再生医療による幹細胞治療で復活を目指せます ▼こちらも参照されませんか くも膜下出血"女性は男性の2倍ものリスク!今日からしたい本気の予防策!
最終更新日:2024.03.28