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膝が痛い時に疑われる病気を一覧表で解説|立ったり座ったりがつらい方は要チェック
日常の生活で、階段の上り降りや、立ったり、座ったりした際に、膝に痛みや、違和感を覚えたことはありませんか?
その痛みが一時的なもので、普段痛みがなければ「大丈夫だろう…」と、医療機関を受診することなく放置しがちです。
しかし、膝の痛みを放置すると重大な病気に繋がることがあります。
膝の痛みからくる疾患は早期発見、早期治療が大切です。決して放置してはなりません。
この記事では、立ったり座ったりする動作で膝に痛みを感じたときに疑われる病気について解説します。
膝が痛む病気の症状と考えられる原因
膝の痛みは多くの人が経験する悩みであり、その原因はさまざまです。
膝は歩行や立ったり座ったりなどの動作を支える重要な関節のため、何らかの不具合が生じると日常生活に大きな影響を与えます。
階段の上り降り
立つとき
座るとき
起床時のこわばり
膝の痛みの原因は、筋肉の疲労や運動不足などの一時的な要因から、関節の炎症や変形などの慢性的な病気まで多岐にわたります。
膝が痛む場合は、どのような動作で痛みが生じるのか、痛みの部位はどこかなどを観察することが大切です。
原因に応じて適切に対処することで、膝の痛みを軽減することができます。
ここでは、立ったり座ったりすると膝が痛い原因や、膝の痛みが続くときの病気の可能性をチェックポイントで解説します。
立ったり座ったりすると膝が痛い原因は?
立ったり座ったりすると膝が痛い原因としては、変形性膝関節症や半月板損傷などの疾患の可能性が考えられます。
膝は脛骨の上を大腿骨が滑らかに転がる仕組みになっており、骨の表面は軟骨というクッションで覆われています。
また、大腿骨と脛骨の間には衝撃を吸収する半月板があり、痛みを感じる場合は軟骨や半月板などに異常が生じているのかもしれません。
膝の痛みが続くのは病気のサイン?チェックポイント
膝の痛みが長期間続く場合、単なる疲労や軽いケガではなく、病気のサインである可能性があります。
特に、膝の痛みが1週間以上改善しない場合や、痛みが徐々に悪化している場合は注意が必要です。
以下の項目のうち、2つ以上当てはまる場合は病気の可能性が高いと考えられます。
痛みの種類
□ 1週間以上、膝の痛みが続いている
□ 安静時でも痛みがある
□ 夜間や寝ている間に痛みを感じる
□ ズキズキ・チクチク・ジンジンとした痛みがある
□ 階段の昇り降りで強く痛む
腫れやこわばり
□ 膝が腫れている、熱を持っている
□ 朝起きた時に膝がこわばる
□ 膝の動きがスムーズではなく、ぎこちない
動作時の異常
□ 立ち上がる時や座る時に痛みを感じる
□ 歩くと痛みが増す
□ しゃがむのがつらい
□ 正座ができない
□ 膝が抜けるような感覚がある(ぐらつく)
見た目の変化
□ 膝の変形が進んでいる
□ 左右の膝の形が違う
□ 膝の皮膚が赤くなっている
発熱や体調の異常
□ 膝の痛みとともに発熱がある
□ 全身の関節が痛む
□ 体重が急に減少している
上記に2つ以上該当する場合は、医療機関の受診をおすすめします。
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膝が痛い時に疑われる病気一覧
膝の痛みの原因にはさまざまな病気が関係している可能性があります。
以下の表では、膝の痛みと関連する主な疾患を一覧にまとめました。
※気になる疾患名はクリック・タップすると詳細がご覧になれます。(一部除く)
膝が痛むときに多い疾患
症状
変形性膝関節症
加齢や関節の負担により膝の軟骨がすり減り、痛みや腫れが生じる
関節リウマチ
免疫異常により関節に炎症が起こり、こわばりや痛みが慢性化する
膝骨壊死症
突然の膝の激痛が特徴で、血流障害により骨組織が壊死する
半月板損傷・靭帯損傷
スポーツや怪我により膝のクッションである半月板や靭帯が損傷する
前十字靱帯損傷
急な方向転換やジャンプで靭帯が断裂し、膝が不安定になる
後十字靭帯損傷
強い衝撃で靭帯が損傷し、膝がぐらつくことがある
内側・外側副靭帯損傷
外部からの強い力で膝の内外側の靭帯が損傷する
離断性骨軟骨炎
関節内の骨や軟骨が剥がれることで痛みや運動制限が生じる
関節ネズミ
関節内に遊離した骨片が挟まり、突然の激痛やロッキング(膝が引っかかる感じ)が起こる
オスグッド病
成長期の子供に多く、膝の前部が腫れて痛む
軟骨損傷
膝軟骨が傷つくことで炎症や痛みが発生する
膝に痛みを生じさせる代表的な病気には「変形性膝関節症」と言われるものが最も多くみられます。
その他、運動などのスポーツ障害として「半月板損傷」や、「前十字靱帯損傷等」などが知られています。
それ以外にも、膝の障害には多岐にわたる疾患があるため、自覚する症状によって自分で判断するのは難しいとお考え下さい。
膝が痛む場合、違和感がある場合は初期の段階、早めの受診をおすすめします。
変形性膝関節症
本疾患における原因として以下のものがあります。
加齢で軟骨組織が老化する
肥満体形で膝への負担が大きい
遺伝的素因
膝関節周囲の骨折の後遺症
病変や半月板損傷外傷などの後遺症
変形性膝関節症は進行性の病気で元の状態に回復させることが困難な病気です。
いかに現状の状態を維持できるかといったことが治療の主眼となり、保存療法を中心としたリハビリが有効な治療法となります。
注意すべきは最終的に手術が必要になることです。それが「人工関節」という選択です。
そうならないためにも、上記に記したような膝への痛みや、違和感を感じたら、早めに病院等にて診察を受けるましょう。
万一、変形性膝関節症であった場合は、リハビリ等にて進行を、可能な限り遅らせるような取組みが可能です。
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関節リウマチ
膠原病という自己免疫が関連した病気で、膝関節のみならず手指、手関節、肘関節などを中心に身体のあらゆる関節で炎症が引き起こされる病気です。
関節リウマチを引き起こす要因としては未だに明確なことは判明していませんが、どうやら生体の自然免疫システムが発症に深く関係していると言われており、病状が悪化するメカニズムは最近の医学研究などによって少しずつ明らかになってきています。
本疾患における初期症状としては、関節自体に炎症が起こることに伴って関節部の腫れが認められ、それが膝部分で発症すると膝の関節に痛みが出現することになります。
さらに病状が進行してしまうと、関節を構成している骨や軟骨などが破壊されることによって関節が変形し、屈曲拘縮や関節脱臼など日常生活に多大な支障をきたすことに繋がってしまいます。
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膝骨壊死症
骨壊死の特徴として、急な痛みがあります。
変形性膝関節症のように病気が進行することで徐々に痛みが進行していくものとは違って骨壊死は、ある日突然痛みが発症する場合が多いと報告されています。
原因としては、軟骨の土台になっている軟骨下骨に微小骨折が生じて骨の壊死が発症していくと推測されています。
夜間など寝ている時や、体を動かしていないのに膝の痛みがある場合に膝骨壊死(大腿骨内顆骨壊死、脛骨内顆骨壊死)が考えられます。
半月板損傷・前十字靱帯損傷等
半月板損傷・前十字靭帯損傷は、比較的若い世代に多く見られる膝の傷害です。
主にスポーツや激しい運動中の外傷により発生しますが、半月板は加齢により弱くなるため、高齢者では転倒などの軽微な怪我でも損傷する可能性があります。
これらの損傷では「ロッキング」と呼ばれる膝が伸びない症状や、痛みを伴う膝の曲がりにくさ、走行困難などの症状が現れることがあります。
前十字靭帯は脛骨と大腿骨を繋ぐ重要な靭帯で、完全断裂、部分断裂、弛緩などの損傷パターンがあります。
スポーツ中の激しい接触や急な方向転換、ジャンプ着地、転倒を伴う動きで特に発症リスクが高まります。
年齢を問わず、適切な準備運動とフォームの意識が予防に重要です。
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膝の痛みを和らげる治療法
膝の痛みを軽減するための治療法は、原因となる病気や症状の進行度によって異なります。
変形性膝関節症や関節リウマチ、半月板損傷などの主な治療には保存療法(リハビリ・薬物療法)と手術療法の2つの選択肢があります。
早期の段階では、生活習慣の見直しや運動療法、サポーターの使用などが有効ですが、症状が悪化すると薬物療法や注射治療、さらには手術が必要になることもあります。
膝の痛みに対してご自身でできる対応としては、以下のものがあります。
安静・アイシング:発症直後や炎症がある場合は安静にして膝を冷やす
薬物療法:痛みや炎症を和らげるための鎮痛剤・湿布など
装具療法:サポーター・足底板などで負担軽減・膝の安定性を高める
これらで痛みが引かない場合や、痛みが強いときは医療機関を受診しましょう。
この章では、膝の痛みを和らげるための治療法について、疾患ごとに詳しく解説していきます。
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変形性膝関節症の治療
こちらの動画では、変形性膝関節症と間違われやすい膝関節周辺の疾患5選をご紹介しています。是非ご覧ください。
治療方法として以下のものがあります。
鎮痛剤
ヒアルロン注射
保存療法(リハビリ)大腿四頭筋を強化する
理学療法で可動域を改善する
膝の装具(サポーター等)
足底版
膝関節痛の原因が「変形性膝関節症」の場合には、日常生活において、膝の周囲の筋肉、特に「ふとももの筋肉(大腿四頭筋)」を鍛えて、出来る限り「正座」の姿勢を取らないように心がけましょう。
変形性膝関節症の治療は、膝関節の痛みが軽度であれば鎮痛剤を内服するあるいは湿布などの外用薬を貼付する、あるいは膝関節内にヒアルロン酸を注射する処置を実施することがあります。
それに並行して保存療法(リハビリテーション)を行います。
大腿四頭筋を強化するリハビリ訓練を受け、関節可動域を改善させるための理学療法を実践、膝を温める物理療法を試みる、あるいは膝関節にかかる負担を補助するための足底板や膝専用装具を作成するなどの工夫策を組み合わせることになります。
これらの保存的な治療でも症状が改善しない場合には関節内視鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などを中心とした手術治療を考慮することになります。
関節リウマチ疾患の治療
関節リウマチ疾患の治療方法としては、以下のものがあります。
生活習慣の改善
タンパク質、ビタミン成分、ミネラルなどバランスの良い食生活
体重管理
抗リウマチ薬、生物製剤を用いた免疫療法
炎症所見や痛みを緩和させる非ステロイド系鎮痛消炎剤
手術による治療(滑膜切除術・人工膝関節置換術
発熱や体重減少などの全身症状を伴うことも多く、症状が活発な時期は絶対安静が必要です。
薬物療法では免疫療法や対症療法が中心となり、膝関節の機能障害が重度の場合は手術療法も検討します。
また、症状を軽減させるためには、食生活や運動習慣などの生活習慣の改善も重要です。
前十字靭帯損傷の治療
前十字靭帯損傷の治療方法としては、以下のものがあります。
保存療法(リハビリ)
装具(サポーター等)
手術
関節鏡視下手術
損傷が起こった場合は、リハビリを中心とした運動療法を中心に理学療法、装具療法等の保存療法を行います。
それでも症状が改善しない場合は、手術療法を検討することになります。
手術療法には、関節鏡視下にて行う低侵襲の手術であるため、術後の回復も早く、スポーツの場合では競技への復帰、また社会への復帰も早く見込めます。
ただし、注意点としては、靭帯損傷で適切な治療を行わないままに運動や、スポーツを継続すると半月板等、周囲の軟骨を損傷することとなりかねません。
そうなると変形性膝関節症に移行しかねない危険性があります。
まとめ|膝の痛みが示す病気の可能性と早期受診の重要性
膝関節痛の代表的な原因には変形性膝関節症、半月板損傷、前十字靱帯損傷、関節リウマチなどがあります。
これらの疾患は個人差が大きいため、症状の程度や日常生活への影響に応じた個別の治療計画が必要です。
適切な治療のためには、自身の身体状態を正しく理解し、症状や治療法について十分に理解することが重要です。
どのような症状でも早期治療が非常に重要で、痛みを放置したまま運動を続けることは症状を悪化させる恐れがあります。
膝に痛みや違和感がある場合は、迷わず整形外科クリニックや専門病院を受診して専門家に相談しましょう。
膝の痛みに対して再生医療をご検討の際は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にご相談ください。
2022.04.18