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膝関節が痛い時に疑われる病気とその注意、治療について
膝関節が痛い!そんな時に疑われる病気と注意点、その治療について解説します
日常の生活で、階段の昇り降りや、立ったり、座ったり、ふとした時に膝に痛みや、違和感を自覚したことはありませんか?
そんな時、その痛みに不安を感じはするものの、それ以外の状態で痛くなければ、「大丈夫だろうと・・・」医療機関を受診することなく放置しがちです。
いや、お待ちください!膝の痛みを放置すると重大な病気に繋がることがあります。
膝の痛みからくる疾患も早期発見、早期治療が大切。けして放置してはなりません!痛みは、身体のサインです!
そこで、ふとした時などに、膝に痛みを感じたときに疑われる病気について解説してまいりましょう。
膝関節の痛みや違和感を感じる場面
・階段の上り降り
・立つとき
・座るとき
・起床時のこわばり
私たちが膝を曲げ伸ばしするということを医学的に表現すると「脛骨の上を大腿骨が前後になめらかに転がっている状態」だとお考え下さい。これらの骨の表面には弾力性に富み、膝のスムーズな動きをサポートするための「軟骨」という、やわらかいクッションで覆われています。
そして、もう一つ大腿骨と脛骨の間に位置する半月板と呼ばれる部分があり、この部位は膝関節にかかる物理的な衝撃を吸収するというクッションの役割を果たしてくれています。
膝関節に痛みを感じるということは、これらの部分で何か問題が起きていると考えて良いでしょう。
そこで、膝に関する正しい知識を知っていただき、日々の適切なケアを継続すれば痛いといった「疼痛症状」を緩和させることが可能なことをお伝えできればと思います。
今回は、膝に痛みを感じた際に「どういった病気が疑われる?」のか」、そして膝の痛みを自覚するようになった場に「どのような対応策」があるのか?という2つの観点から解説してまいります。
膝が痛む場合、どのような病気が疑われるのか
通常、膝に痛みを生じさせる代表的な病気には「変形性膝関節症」と言われるものが最も多くみられます。
その他、運動などのスポーツ障害として「半月板損傷」や、「前十字靱帯損傷等」などが知られています。また、一部に「関節リウマチ」という場合もあります。
それ以外、膝の障害には以下のように多岐にわたる疾患があるため、自覚する症状によって自分で判断するのは難しいとお考え下さい。
膝が痛む場合、違和感がある場合は初期の段階、早めの受診をお勧めします。
「膝が痛む」ときに多い疾患
・変形性膝関節症
・関節リウマチ
・膝骨壊死症ほか
・半月板損傷
・前十字靱帯損傷等
・後十字靱帯損傷
・内側・外側々副靱帯損傷
・離断性骨軟骨炎
・関節ネズミ
・オスグッド病
・軟骨損傷ほか
変形性膝関節症について
変形性膝関節症は、加齢によって発症することが多い病気です。原因の多くは、年齢を重ねるごとに軟骨が少しずつ摩耗し、半月板が損傷、炎症が起こり、関節の変形がみられるようにもなります。
変形性膝関節症の初期段階では「座った状態から立ち上がる瞬間」や、「歩行を開始する時」などに膝に痛みを感じます。ただ、休息すれば自然と症状が改善する傾向にあります。
ところが、病状が進行すると正座をすることが難しくなり、階段を昇り降りすることが困難にもなります。さらに悪化すると安静にしている時でさえも膝の痛みがとれないようになります。
最終的に膝関節の変形が顕著になると歩行することが出来なくなってしまう進行性がある怖い病気です。
「変形性膝関節症」について知っておきたいこと
・進行する怖い病気です
・初期は立ち上がる瞬間や、歩行の開始時に膝に痛みを感じる
・そのうち正座ができない、階段を上り下りが困難となる
・末期では安静時も膝が痛み、膝関節の変形が顕著になると歩行も困難になる
本疾患における原因としては、加齢に伴って膝の関節内にある「軟骨組織が老化」することのみならず、肥満体形であることや、元々の遺伝的素因、そして膝関節周囲における骨折、病変や半月板損傷を始めとした外傷などの後遺症として発症することも往々にしてあります。
変形性膝関節症の発症原因
・加齢で軟骨組織が老化する
・肥満体形で膝への負担が大きい
・遺伝的素因
・膝関節周囲の骨折の後遺症
・病変や半月板損傷外傷などの後遺症
変形性膝関節症は進行性の病気で元の状態に回復させることが困難な病気です。
いかに現状の状態を維持できるかといったことが治療の主眼となり、保存療法を中心としたリハビリが有効な治療法となります。
注意すべきは最終的に手術が必要になることです。それが「人工関節」という選択です。そうならないためにも、上記に記したような膝への痛みや、違和感を感じたら、早めに病院等にて診察を受けることです。万一、変形性膝関節症であった場合は、リハビリ等にて進行を、可能な限り遅らせるような取組みが可能です。
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関節リウマチ
膠原病という自己免疫が関連した病気で膝関節のみならず手指、手関節、肘関節などを中心に身体のあらゆる関節で炎症が引き起こされる病気です。
関節リウマチを引き起こす要因としては未だに明確なことは判明していませんが、どうやら生体の自然免疫システムが発症に深く関係していると言われており、病状が悪化するメカニズムは最近の医学研究などによって少しずつ明らかになってきています。
本疾患における初期症状としては、関節自体に炎症が起こることに伴って関節部の腫れが認められ、それが膝部分で発症すると膝の関節に痛みが出現することになります。
さらに病状が進行してしまうと関節を構成している骨や軟骨などが破壊されることによって関節が変形して屈曲拘縮や関節脱臼など日常生活に多大に支障をきたすことに繋がっていまいります。
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膝骨壊死症
骨壊死の特徴として、急な痛みがあります。変形性膝関節症にように病気が進行することで徐々に痛みが進行していくものとは違って骨壊死は、急に、突然に!痛みが発症する場合が多いと報告されています。
原因としては、軟骨の土台になっている軟骨下骨に微小骨折が生じて骨の壊死が発症していくと推測されています。夜間など寝ている時や、体を動かしていないのに膝の痛みがある場合に膝骨壊死(大腿骨内顆骨壊死、脛骨内顆骨壊死)が考えられます。
半月板損傷、前十字靱帯損傷等
これらの損傷は、比較的若い世代で起こることが多く、運動や、スポーツによって強い力を受けたときに生じる外傷によって膝に痛みがみられる場合に疑われます。
半月板損傷などは、年をとって弱くなった半月板に力が掛かると損傷することもあります。この場合は、日常の軽い怪我、転んだりした場合にも起こるため、年齢を重ねた場合は転倒や、つまずきに注意すべきでしょう。
半月板損傷や前十字靱帯損傷、軟骨損傷などでは膝が伸びないロッキングと言われる症状が出ることがあったり、膝が痛みと共に、曲がらなくなったり、走れなくなる場合があります。
また、前十字靭帯損傷には完全断裂や部分断裂、弛緩といった症状があります。
前十字靭帯は、膝関節の脛骨と大腿骨を繋いでいる靱帯で、この部分に強い力が加わることで断裂や伸びてしまったりして損傷が起こります。
この症状はスポーツや運動を行うことで発症することが多く、サッカーやラグビー、バレーボール、バスケットボール、スキーやスノボード。柔道や空手などの格闘技等、激しいぶつかり合いやジャンプしたり、急な捻りが起こったり、転倒が起こることで損傷することが多く見られます。
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変形性膝関節症の治療
膝関節痛の原因が「変形性膝関節症」の場合には、日常生活において、膝の周囲の筋肉、特に「ふとももの筋肉(大腿四頭筋)」を鍛えて、出来る限り「正座」の姿勢を取らないように心がけましょう。
また、肥満気味と指摘されれば減量が必要です。食生活を見直し、運動習慣を持つようにし、ダイエットに努めて下さい。また膝を極力冷やさずに血行を良好に保つ、そして毎日のトイレでは和式は避けて洋式トイレを使用する。また生活様式を畳などの和式から、机と椅子を用いた洋式に変更するように認識しておきましょう。
変形性ひざ関節症で注意したいこと
・正座を行わない
・肥満気味であれば食生活の見直し、運動でダイエットに取組む
・膝を冷やさないこと(冷房に注意、サポーターなどで保護も有効)
・洋式トイレを利用し、和式トイレは避ける
・畳の和式から、椅子とテーブルといった洋式に生活を変更する
変形性膝関節症の治療は、膝関節の痛みが軽度であれば鎮痛剤を内服するあるいは湿布などの外用薬を貼付する、あるいは膝関節内にヒアルロン酸を注射する処置を実施することがあります。
それに並行して保存療法(リハビリテーション)を行います。大腿四頭筋を強化するリハビリ訓練を受け、関節可動域を改善させるための理学療法を実践する、膝を温める物理療法を試みる、あるいは膝関節にかかる負担を補助するための足底板や膝専用装具を作成するなどの工夫策を組み合わせることになります。
これらの保存的な治療でも症状が改善しない場合には関節内視鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などを中心とした手術治療を考慮することになります。
変形性ひざ膝関節症の治療
・鎮痛剤
・ヒアルロン注射
・保存療法(リハビリ)大腿四頭筋を強化する
・理学療法で可動域を改善する
・膝の装具(サポーター等)
・足底版
手術による場合
・関節内視鏡手術
・高位脛骨骨切り術
・人工膝関節置換術
▼合わせて視聴したい
治療を行っても、一向に良くならないことはありませんか?
https://youtu.be/o2ASEGbQ-R8?si=RlJCPeTjsyi2sDV8
こちらの動画では、変形性膝関節症と間違われやすい膝関節周辺の疾患5選をご紹介しています。是非ご覧ください。
関節リウマチ疾患の治療
膝関節の疼痛症状のみならず発熱や体重減少などの全身症状を合併することも多いため、病状の活動性が盛んな際には絶対的安静も必要になるでしょう。
本疾患の病状進行度は患者さん自身の日常生活の習慣と密接に関与していると考えられているため、周囲のサポート環境がリウマチ患者さんに日常生活指導を実践して生活習慣を改善させることで膝関節の痛みなどを代表とする症状を軽減させる効果が期待できます。
普段の食生活においてはタンパク質やビタミン成分、そして微量ミネラル元素などを中心にバランスに優れた食事内容を摂取することをお勧めしますし、体重が増加し過ぎて肥満にならないように心がけることが重要な観点となります。
関節リウマチに対する薬物療法としては、抗リウマチ薬や生物製剤を用いた免疫療法、ならびに原疾患に伴う炎症所見や痛みを緩和させる非ステロイド系鎮痛消炎剤などを用いた対症療法が主流となります。
膝関節における屈曲制限などを含めた機能障害の重症度によっては、その機能を回復させることを主目的として滑膜切除術や人工膝関節置換術などの手術療法を検討するケースも考えられます。
関節リウマチの治療
・生活習慣の改善
・タンパク質、ビタミン成分、ミネラルなどバランスの良い食生活
・体重管理
・抗リウマチ薬、生物製剤を用いた免疫療法
・炎症所見や痛みを緩和させる非ステロイド系鎮痛消炎剤
手術
・滑膜切除術
・人工膝関節置換術
前十字靭帯損傷の治療について
損傷が起こった場合は、リハビリを中心とした運動療法を中心に理学療法、装具療法等の保存療法を行います。それでも症状が改善しない場合は、手術療法を検討することになります。
手術療法には、関節鏡視下にて行う低侵襲の手術であるため、術後の回復も早く、スポーツの場合では競技への復帰、また社会への復帰も早く見込めます。
ただし、注意点としては、靭帯損傷で適切な治療を行わないままに運動や、スポーツを継続すると半月板等、周囲の軟骨を損傷することとなりかねません。そうなると変形性膝関節症に移行しかねない危険性があります。
前十字靭帯損傷の治療
・保存療法(リハビリ)
・装具(サポーター等)
手術
・関節鏡視下手術
まとめ・膝関節が痛い!そんな時に疑われる病気と注意点、その治療について
膝関節痛を来す病気として代表的なものは変形性膝関節症や、半月板損傷、前十字靱帯損傷、関節リウマチが挙げられます。
これらの関節疾患に罹患した場合には、疼痛症状の度合い、病状の進行度、日常生活における支障度などにはそれぞれ個人差があるので、個々のケースに応じて状態を評価して綿密な治療計画を立案する必要があります。
これらの病気に対する治療や予防に関しては、まずは膝関節を含めて自分の身体の状態を適切に知ることが重要です。その詳細な症状や具体的な治療法、薬剤効果などを本人や家族自身が十分に向き合って理解することが重要な視点となります。
上記、どんな症状であっても初期の治療が非常に大切です。
治りきらないまま放置したり、運動を行うのは危険であることをご理解いただければ幸いです。
膝に痛みや違和感などがあって心配であれば、最寄りの整形外科クリニックや専門病院などの医療機関を受診して相談されることを検討しましょう。けして放置しないでください。
以上、関節の痛み!そんな時、どういった病気が疑われるのかについて記載しました。今回の記事、情報が少しでも参考になれば幸いです。
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2022.04.18