前十字靭帯断裂、全治までの期間はどのくらい?入院期間とリハビリについて解説
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前十字靭帯断裂はいつ治る?全治まではどのくらい?入院期間とリハビリについて
スポーツ選手の大きな怪我としてよく耳にする「前十字靭帯断裂」。受傷された場合、全治がいつになるのか気になる方も多いのではないでしょうか。特にスポーツなどで復帰までの時間が心配な方もおられることでしょう。
そこで今回は、前十字靱帯断裂の入院期間やリハビリ、手術の費用について解説しながら、全治をしてスポーツ復帰ができるまでの期間を紹介いたします。
前十字靱帯断裂が全治後、スポーツ復帰まで 8 〜 10 カ月
前十字靱帯の断裂または損傷の全治は 8 カ月〜10 カ月とされています。
これは、前十字靱帯断裂後に手術をしてからリハビリを終えてスポーツ復帰をするまでの目安です。ただ、日常生活が問題なく送れるようになるだけなら術後約 1 カ月程度です。
前十字靭帯を損傷してしまうと自然に修復することは、ほとんど期待できないため、手術をしない場合は全治することがありません。そのため、手術をしない場合は損傷した状態のまま生活を送ることになります。
前十字靱帯損傷で損傷部分が少なく、症状があまり見られなければ、手術をしなくても通常の日常生活を送ることが可能な場合もあります。
しかし、本来、前十字靱帯が担っている膝を安定させる機能が低下してしまうため、膝にかかる負担が大きくなってしまいます。その結果、膝にある半月板などの別の組織を傷めたり、老後に関節の変形を生じたりする可能性が高くなります。
前十字靱帯断裂後の入院期間と手術の費用
前十字靭帯断裂後は断裂した靱帯を体の腱(けん)と呼ばれる部分を移植する手術を行います。
このような手術を前十字靱帯再建術と呼び、関節鏡(かんせつきょう)を使用して行います。関節鏡を使用した手術では、数ミリほどの穴からカメラを侵入させて手術を行うため傷口が小さくて、入院期間が短くなります。
詳しい入院期間と手術にかかる費用は以下の通りです。
手術後の入院期間
入院期間は短い場合で手術後 4 〜 7 日間を目安に退院することができます。
これは小さな傷ですむ内視鏡を使った手術だからですが、まだ普通に全体重をかけて歩けないので、松葉杖が使った状態で退院することになります。
しっかり歩けるようになり、日常生活が普通に送れるようになるまで、約1ヶ月を程度入院する場合もあります。しかし、前十字靱帯断裂は学生など若い年代に多いため、学校や仕事を1ヶ月も休むことは生活に大きな支障を及ぼします。
そのため、短い期間で退院をして、通院しながらリハビリや競技復帰を目指す場合が多いです。
手術に必要な費用
手術や入院にかかる費用は、手術の方法や入院期間、入院中の治療内容などによって異なります。目安として手術・入院費などを含めて 25 万円〜 50 万円ほど必要になることが多いです。
病院によって幅があるので、入院前におおよその目安を確認しておきましょう。早めに退院する場合でも、リハビリの継続は必要です。
特に全治してスポーツ競技に復帰できるまでは、8 カ月程度が目安になるため、それまではリハビリなどの費用が必要になります。
前十字靱帯断裂後のリハビリ
前十字靱帯再建術後のリハビリについて解説するとともに、手術をしない場合に必要なリハビリについても紹介します。
手術後のリハビリ・スケジュール
手術直後からスポーツ復帰までの流れを時系列で紹介します。
手術からの時期 |
リハビリ内容 |
手術直後 |
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1 週間 |
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2 〜 3 週間 |
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4 〜 6 週間 |
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3 カ月 |
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4 カ月 |
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6 カ月 |
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8 カ月 |
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術後は移植した腱を保護しながらのリハビリが必要になります。腱が負担に耐えられるようになるまでは 3 カ月ほどかかるため、それまではあまり無理な運動は避けます。
3 カ月以降ジョギングやジャンプなどのスポーツ動作を開始して、8 カ月以降のスポーツ競技復帰を目指します。
また、前十字靭帯断裂はスポーツでのジャンプや切り返しといった動作で発生しやすいため、それらの動作時に膝が内側に入らないようにするなど、再発を予防するための動作を習得することも重要です。
手術をしない場合もリハビリが大切
前十字靱帯損傷が一部分でも、手術をしなければ全治は難しいですが、老後のことを考えると膝にかかる負担をできるだけ減らすことが大切です。
前十字靱帯損傷の影響で、膝の力が抜けたように急に曲がる「膝くずれ」や膝の不安定さが生じるため、対策として太ももの前の筋力を強化します。
椅子に座って膝をゆっくり曲げ伸ばしたり、膝を伸ばした状態で膝の下にタオルを引いて押しつぶす運動をしたりして筋力トレーニングをしましょう。
前十字靱帯断裂は、正しい治療で全治させて復帰を目指そう
前十字靭帯断裂を全治させるには手術をする必要があります。
そして手術後に正しい順序でリハビリをすることで、再発のリスクを減らして、スポーツなどに復帰をすることが可能になります。しっかり医師や理学療法士などの専門スタッフから指導を受けながら、正しい治療で全治を目指しましょう。
以上、前十字靭帯断裂による全治までの期間についてと、その後の入院期間、リハビリについて記させて頂きました。参考になれば幸いです。
No.S090
監修:医師 加藤 秀一
当院の再生医療は、靭帯損傷をはじめスポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています