-
- 動作時の痛み
- 半月板損傷
- ひざ関節
- 靭帯損傷
スノーボード、スキーなど冬のスポーツで多い膝の怪我について解説 冬のウィンタースポーツ!シーズンになるとスキーやスノーボードを楽しみにしていらっしゃる方も多いと思います。 ただ、これらのスポーツは、スピードが出るために転倒や、衝突の危険性があるスポーツですので怪我のリスクについては、十分に知っておく必要があります。 本記事ではウィンタースポーツで起こりやすいスポーツ外傷、ウインタースポーツで起こりやすい膝の怪我に焦点を当てて解説していきます。 冬のスポーツ!膝の怪我で多いのは前十字靭帯損傷と半月板損傷 スキーやスノーボードなどのウィンタースポーツにおいては、膝の損傷、捻挫といった怪我が多く見られます。これは滑走中に膝を捻ってしまったり、ジャンプからの着地、転倒時に大きな負担がかかってしまうためです。 膝の怪我の中で最も頻度が多いのが、「前十字靭帯損傷」「半月板損傷」です。 そこで、これら起こりやすい怪我について詳しく見ていきましょう。 前十字靭帯とは ・膝の関節の中にある靭帯のうちの一つ ・膝関節を安定化させる ・前十字靭帯は膝の捻りと前後方向のぐらつきを抑えている 前十字靭帯損傷の症状 受傷直後は激しい痛みのため、その場から動けなくなることが多いです。その際に「ぶちっ」という筋肉が切れるような音が聞こえることもあります。 受傷直後に動けていた方でも、約70%に関節内血腫(関節内に血がたまる)が生じるとされており、時間が経過するとともに、痛みや腫れが強くなり、動くことが出来なくなっていきます。。 2~3週間後には腫れや痛みは軽減されることが多いですが、下記のような症状が継続してみられることがあります。 前十字靭帯損傷の症状 ・膝の不安定感 ・膝が外れる感じがする ・膝に力が入らない ・膝がすぐ腫れてしまう ・膝が伸びない ・正座ができない 膝を使う動作、特にスポーツ競技中などの様々な動作で症状が出ます。 診断 医師による診察や、レントゲン検査で骨折の有無を確認します。MRI検査が靭帯の評価(靭帯の形状や靭帯の走行など)に有用です。 治療 前十字靭帯損傷の治療法には、保存療法と手術療法の2種類があります。それぞれについてみていきましょう。 保存療法 大腿四頭筋などの筋力訓練を行ったり、必要に応じて装具を作成して日常生活やスポーツ活動への復帰を目指します。 しかし、この場合は靭帯が完治したわけではなく、日常生活で膝が安定せず、痛みが続く場合もあります。症状が残る場合は、半月板の損傷などの二次損傷を起こすリスクが高くなります。以前はスポーツをしない場合は、保存療法を選択する場合も多かったですが、現在では膝の老化の進行を早める可能性があり、若年者でも手術を勧められることが多くなっています。 手術療法 靭帯は自然に修復されることはなく、再建術が行われます。再建術は膝の後内側にある屈筋腱を移植する自家移植が一般的に行われます。手術後はリハビリが必須となりますが、術後10~12か月後に元のスポーツに復帰できることが多いです。 前十字靱帯損傷を放置すると、膝が安定性を失い、膝崩れといいガクッと崩れ落ちてしまったり、膝があらゆる方向に捻じれやすくなります。前十字靱帯損傷によって膝が安定しない状態が続くと、クッションの役割をしている半月板や、関節軟骨に負荷が多くかかってしまいます。その結果、半月板損傷など二次的な障害が生じることがあります。 半月板損傷とは 半月板とは膝関節の大腿骨と脛骨の間にある線維軟骨のことです。内側と外側にそれぞれにあり、膝にかかる衝撃を吸収する働きがあります。 症状 症状としては膝の曲げ伸ばしが困難になることが挙げられます。また、動かそうとしたときに激しい痛みを伴うこともあります。重症の場合には、膝に水(関節液)が溜まり腫れてしまったり、激痛を伴って関節が動かせなくなる「ロッキング」という症状が現れ、歩行困難になることもあります。 検査 医師による診察やMRIが行われます。また、状況に応じて、関節の中に内視鏡を入れて調べる、関節鏡検査を行う場合もあります。 治療法 半月板損傷の主な治療法には、保存治療と手術療法の2種類があります。 保存療法 サポーターなどで患部を固定し、抗炎症薬などの薬物療法やリハビリなどを行います。保存療法を行っても痛みや、ロッキングなどの症状が続く場合には手術を行います。 手術療法 断裂部位の幅が 1 cm以上と大きい場合や、保存療法を行っても症状が持続する場合は手術療法が検討されます。手術法には、損傷した部分を切り取る切除術と、損傷した部分を縫い合わせる縫合術の2種類があり、関節鏡を使った鏡視下手術を行います。 切除術の場合は、半月板を取り除くことで膝軟骨の消耗が進んでしまうことがあるため、近年では縫合術が選択されることもあります。ただし、損傷した半月板の状態によって縫合が難しいと判断された場合は切除術を行います。 手術後はリハビリが必須であり、スポーツへ復帰できるタイミングは、半月板切除術で約3ヵ月、半月板縫合術で約6ヵ月程度とされています。 まとめ・スノーボード、スキーなど冬のスポーツで多い膝の怪我について解説 スキーや、スノーボードを行う際にはプロテクターを着用するようにしましょう。これにより、怪我のリスクが格段に下がります。また自分の実力に見合った楽しみ方をすることも重要です。 治療後はケガをした時と同じ動作を続けると、再び膝を損傷する可能性があるため、スポーツの際などは特に注意が必要です。また、股関節や足首など下肢全体の関節が柔軟だと、膝へかかる負担が軽減されやすくなり、再発予防にもつながります。 下肢の筋力トレーニングも必須です。特に大腿四頭筋とハムストリングスを強化することが重要です。普段からストレッチや筋トレを習慣づけ、運動する際には、準備運動や整理運動をしっかり行うようにして、体全体の柔軟性を保つようにしましょう。 スキーやスノーボードを行う際は、怪我のリスクについても備えておくことが重要です。膝の怪我は日常生活にも影響が出ることが多いので、安全にスポーツを楽しみましょう。この記事がご参考になれば幸いです。 ▼以下もご参考にしてください 膝の痛みを引き起こすスポーツ上の慢性障害について
公開日:2024.11.06 -
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
- ひざ関節
半月板損傷の治療と効果的なリハビリテーション 半月板という組織は、繊維軟骨でできていてCの型、まさに半月状の形をした組織です。部位は、膝関節の大腿骨と脛骨の間にあり、膝の内側と外側の場所に存在しています。 この半月板は、膝の滑らかな動きを可能にするほか、膝を安定させて荷重を分散させたり、物理的な外力による衝撃を吸収する機能を果たしています。 このような役割を持つ半月板が事故や、スポーツなどの激しい動きなどによって損傷し、万一慢性化すると将来的に変形性膝関節症を引き起こす懸念があります。 そのため本疾患に対しては、「リハビリテーション」を視野に入れながら適切に治療を行うことが重要になります。今回は、半月板損傷を慢性化させず、早く治すためのリハビリテーションについて詳しく解説していきます。 半月板損傷とは 膝の障害というと年配者のイメージがありますが若年者であっても過度な運動などによってスポーツ傷害を引き起こすリスクが危惧されており、その中でも特に頻繁に認められる疾患が半月板損傷と言っても過言ではありません。 半月板損傷は、スポーツの際に起きる怪我から発症するのみならず、加齢に伴う場合が多いのも事実です。傷つきやすくなっている半月板組織にわずかな外力が負担となって、加重されることにより、損傷し断裂を起こす症例も存在します。 半月板が損傷すると膝部に疼痛が生じて運動時や、膝を屈曲・伸展する場合に膝に引っかかり感を覚えることがあり、ひどいケースでは激痛のために歩行できなくなる、もしくは関節内部で強い炎症を引き起こして水が溜まり、膝部分が明らかに腫脹することもあります。 半月板損傷を発症した際の主な治療手段としては、「保存治療」と「手術療法」が挙げられ、特に前者では安静を保持して抗炎症薬などの薬物を内服する、あるいはリハビリテーションを実践することになります。 半月板損傷の手術後のリハビリテーションについて 半月板損傷も、治療や症状によってリハビリテーションの方法が異なります。手術による治療を行った後のリハビリテーションについても事前に確認しておきましょう。 半月板縫合術における術後のリハビリテーション 半月板縫合術による施術の場合、損傷の程度や部位によってリハビリテーションにおけるスケジュールが異なりますので注意してください。 縫合箇所が再び断裂してしまうことを防ぐため、2週間程度は松葉杖での生活になるでしょう。また、膝の曲げ伸ばしにも制限があるため、激しい運動はできません。 術後6週程度から、軽めのジョギング等の運動が可能になります。スポーツなどへの復帰は10週程度で段階を経て行っていくのが一般的です。 ただし、重症のケースや経過によってはスポーツへの復帰が半年前後かかる場合もあります。術後の経過や回復に応じて臨機応変に対応していくことがポイントになります。 半月板切除における術後のリハビリテーション 半月板切除による施術の場合、ほとんどは術後すぐに体重をかけることが可能です。2週間程度で軽めのジョギング、1ヶ月前後でスポーツへの復帰が可能になります。 手術前のリハビリテーション 術後、スムーズに回復・リハビリテーションを行っていくためにも手術を行う前からリハビリに取り組んでおくことが望ましいでしょう。 あらかじめ松葉杖の使い方や、術後に行う予定のリハビリテーションを理解しておくことで、スムーズな術後のリハビリテーションへと移行することができるでしょう。 また、術後すぐに動けない場合は、足首周りや股関節周りなど、他の箇所の関節機能を低下させないためにも手術前のリハビリは重要です。 https://youtu.be/0pKuIuYNqcA?si=1b3hWw7PRlZ0KXpS 半月板損傷の早期治療|早く治すためのリハビリテーションの3ステップ ここからはより具体的に半月板損傷を早く治すためのリハビリテーションについてお話を進めて参ります。 運動器リハビリテーションの分野では、通常であれば患者さんの運動能力や生活機能を回復させて、そのレベルを維持するために、原因疾患の治療と並行して個々における生活の実態を把握しつつ、綿密な治療計画を立案して実践します。。 個々のケースによって半月板の損傷度や状態が異なるために、実際にリハビリテーションを実践するタイミングは様々です。ただ基本的なメニューは、ほとんど変わりませんので担当の理学療法士ともよく相談しながら進めていきましょう。 1)リハビリ最初の1ステップ 最初の段階では、関節可動域の訓練を行うことが多く、膝関節の曲げ伸ばしができる角度を改善するためにリハビリテーションを行います。 半月板損傷を発症すると、通常であれば膝の曲げ伸ばし動作が困難になって日常生活に多大な支障が生じますので、徐々に曲げ伸ばしできる範囲を回復させるために可動域を増やすことを目標にした理学的な訓練を実施します。 特に股関節や足関節が固まるなど拘縮すると、膝関節に代償されて膝に負荷が集中してしまい、半月板損傷を抱えた膝の部位に更に重い負担がかかってしまいます。 そのため、半月板損傷を早く治すためには「膝関節のみならず、股関節や足関節もリハビリテーション」を行うことをお勧めします。 2)リハビリ次の2ステップ 次の段階として、関節の可動域を増やしたり、維持する訓練や、股関節あるいは足関節のリハビリに慣れてきたら、並行して膝周辺の筋力そのものを増強して膝関節を支えやすいよう補助できるようなトレーニングを取り入れていきます。 半月板が損傷している状況では、膝周りにあるほかの構造物で半月板を代理して体を支えなければなりません。半月板損傷が再発しないように防止するための観点からも膝周辺の筋力を強化することで膝を安定化させて身体を支えられるようにすることは非常に大切です。 3)リハビリ最終の3ステップ そして、後半戦に入ると本来の膝領域におけるバランス感覚を取り戻すためのリハビリテーションとして「バランストレーニング」を行っていくことになります。 半月板は、膝関節を安定させる機能を有しており、半月板が損傷することで膝が不安定となり、身体を支えることができず怪我を引き起こす危険性もありますのでバランスを取り戻すための理学療法は重要なトレーニングのひとつでと考えられます。 リハビリテーション治療の最終段階になってくると、いよいよ実践的なスポーツ競技や運動動作に復帰することを見据えて行う「アスレチック・リハビリテーション」を実践する運びになります。 このリハビリテーション・プログラムでは、筋力がある程度、元のレベルに回復して、膝関節の可動域を一定以上に獲得でき、膝関節の痛みもほとんど自覚しない状態になった場合に本格的なスポーツ能力を得るために準備する理学療法となります。 ジョギングに取り組み、ひざ痛が悪化しないかを確認して特に問題を認めないようであれば、梯子を用いたラダートレーニング、両脚ジャンプなどの動作を取り入れて、最終段階では復帰したい競技に応じて特有の動きがスムーズに出来るようにリハビリを実践することになります。 まとめ・半月板損傷を早く治す!効果的なリハビリテーションの3ステップ 今回は、半月板損傷とはどのような病気なのか、半月板損傷を早く治すためのリハビリテーションを3つのステップに分けて詳しく解説してきました。 半月板という組織は、膝関節の内部にある軟骨様の構造物であって、その軟骨部に負荷がかかる外からの物理的な力を和らげるための重要な役割を有しており、もし半月板を損傷した場合には、その受傷度合いに応じて個々に治療期間やリハビリテーションの内容が異なるため、具体的な内容は個別に決めなければなりません。 半月板のような軟骨組織は、完全に治癒するまでかなり時間を要します。身体機能をカバー出来るよう、患部はもちろん身体の状況を判断しながら計画的に取り組む治療がリハビリテーションです。 重要なことは、決して無理をせずにトレーナーや理学療法士と相談して適切なプログラムを行うことです。 ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する 再生医療なら半月板損傷は、手術せずに改善できます ▼以下もご参考下さい 半月板損傷|ヒアルロン酸注射による治療の限界
公開日:2024.11.06 -
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- ひざ関節
- 膝の慢性障害
- 靭帯損傷
膝の病気や痛みをかかえている方のなかには、定期的に膝へヒアルロン酸注射している方が多くいます。 しかし「最初は注射をすれば膝の痛みがひいたのに最近は効かなくなってきた」「効かないのは失敗が原因?」と感じた経験もあるでしょう。 そこで今回はヒアルロン酸注射をしていて、効かないと感じたり失敗を疑っている方に向けて、ヒアルロン酸の効果を解説します。 膝のヒアルロン酸注射が効かなくなる原因と、効果が乏しいときの対処法も紹介するので、最後までご覧ください。 膝にヒアルロン酸注射をしても効かないのは失敗が原因なの? 膝のヒアルロン酸注射が効かず、失敗を心配する方もいるかも知れませんが、病気の進行や膝の変形が重度になると効果が薄くなります。 ヒアルロン酸注射自体の問題や治療の失敗などではなく、膝自体に炎症がある場合、ヒアルロン酸注射が、効かないケースも多くあります。 膝に感染があるときは、ヒアルロン酸注射自体が余計に症状を悪化させてしまう症例もあるので注意が必要です。 変形性膝関節症は、年齢を重ねると進行する病気なので、誰でも変形が強くなっていく可能性はあります。 しかし体重が重かったり、もともと運動習慣がなかったりする方は、変形が進行する原因になるとも言われているので注意しましょう。 膝の変形性関節症における重症度や膝の組織を評価するために、レントゲン検査やMRI検査など、画像検査が行われます。 MRI検査では、膝の軟骨や靭帯、半月板が傷ついていないかも診断できるため、治療方法の選択をするためにも重要な検査です。 MRI検査が重要な理由は、以下の記事で詳しくまとめました。 そもそもヒアルロン酸注射とは 「膝のヒアルロン酸注射が効かないのは失敗が原因なの?」と不安に感じる方に向けて、ヒアルロン酸注射の概要を解説していきます。 ヒアルロン酸注射の効き目を感じず失敗と捉える前に、まずは注射として期待できる効果の概要を見ていきましょう。 ヒアルロン酸注射は初期症状におすすめ ヒアルロン酸は、膝の変形性関節症における初期症状におすすめの治療方法です。 ・ヒアルロン酸注射のみで完結する軽度な治療 ・軟骨保護のような炎症緩和 など 上記のような治療目的で使用されるのがヒアルロン酸注射です。 そもそもヒアルロン酸は水分をたくさん含む物質で、主に関節の内部を満たしている液体成分を補充する目的で注射します。 膝にヒアルロン酸を注射すれば、動きをよくする潤滑油のような役割になるのです。 膝以外にも眼の乾燥としてヒアルロン酸の目薬を行います。 目に潤いを与えるためヒアルロン酸が用いられるように、短時間で効果を得たい場合に提供される治療方法としてヒアルロン酸が活用されているのです。 ヒアルロン酸注射は根本的な治療にはならない いろいろな用途に用いられるヒアルロン酸ですが「変形性膝関節症」で、膝関節の動きを滑らかにするため注射している方もいるでしょう。 注射治療になるので手術のような日常生活の支障を気にする必要もありません。 しかしヒアルロン酸注射は、液体成分なので体内に吸収されてしまいます。 持続期間は約1〜2週間程度と言われているため、時間経過とともに「注射の効果がない」「失敗した」と感じてしまうでしょう。 膝の関節にはヒアルロン酸をたくさん含んでいる滑液で満たされています。 滑液が膝の滑らかな動きを保つのに重要な役割を担っています。 しかし、年齢を重ねたり外傷や他の疾患があったりすると、滑液の中のヒアルロン酸の量が減ってしまうのです。 ヒアルロン酸の量が減ってくると、膝を滑らかに動かすのが難しくなり、結果として膝にある骨や軟骨がこすれて痛みを感じてしまいます。 ヒアルロン酸注射をしただけでは一時的な治療になり「痛みを感じにくい状態」である持続期間が切れた際「効果がない」と捉えてしまいがちなのです。 以下の記事では、ヒアルロン酸注射の有効性と限界について詳しくまとめているので、あわせてご覧ください。 膝のヒアルロン酸注射が効かなくなった場合の対処法 ヒアルロン酸注射は、はじめは効いても徐々に効かなくなるケースがあります。 ヒアルロン酸注射以外の治療法を併用していくことも大切です。 ここからは膝のヒアルロン酸注射が効かなくなった場合の対処法として挙げられる治療法などを解説します。 適度な運動 膝のヒアルロン酸注射を必要とする代表的な症例である「膝変形性関節症」には、病院に受診しなくても自分自身で行える治療があります。 たとえば体重が重い方は、体重を減量するための運動も治療として重要な方法です。 専門的な治療を施すのであれば、運動療法を実施するのをおすすめします。 規則正しい有酸素運動や筋力トレーニング、関節可動域運動を実施して継続していくのが大事です。 膝をサポーターで保護し、テーピングを実施するのも推奨されています。 膝の負担を減らしながらできる運動については、以下の記事に詳しくまとめているので、ぜひ役立ててください。 ステロイド薬の投与 膝に炎症がある場合、ヒアルロン酸の注射ではなくステロイド薬を膝に注射する治療法もあります。 ステロイド薬の投与だけでなく、炎症を抑えるための薬を飲む治療法をしつつ、数カ月のリハビリなど保存療法を進めていく治療法も挙げられます。 人工関節を用いた手術 重症になった場合や注射が効かない状態が続くと手術が必要なケースもあります。 手術では関節の代用部品である「人工関節」を関節の代わりに埋め込む治療を実施します。 皮膚を切って開く必要があるため、全身麻酔で手術が行われます。 手術は傷口が感染しないか、麻酔によるアレルギーなどがないかを診るためにも入院が必須です。 入院自体は数日〜数週間ですが、もともとの歩行状態に戻るためには数カ月膝のリハビリが必要です。 人工関節を使った手術で知っておくべき項目については、以下の記事でまとめているので、あわせてご覧ください。 手術(人工関節)を避ける再生医療の選択肢 最近では手術の代わりに「PRP療法」や、「幹細胞治療」と呼ばれる新しい先端治療を選択できるようになってきました。 PRP療法は、患者様の血液から抽出した「血小板血漿(PRP)」を傷んでいる部位に注射する治療法です。 一方で「幹細胞治療」は、少しの脂肪を採取し、幹細胞を抽出して数千から億の単位まで培養し、増やした細胞を患部に注射で投与します。 どちらも患者様の自然治癒力を高めて治療するもので手術や入院の必要はありません。どちらも副作用はほとんどなく、患者様の身体にかかる負担が少ない治療法です。 詳しくは、お問い合わせください。 まとめ・膝のヒアルロン酸注射が効かなくて失敗を疑う前に診療を! 膝へのヒアルロン酸注射は膝の動きを滑らかにするために有用な治療法です。 最初効果があっても、治療の過程で「効かなくなった」「失敗した」と感じる可能性があります。 治療の失敗やヒアルロン酸注射自体の問題ではなく、膝の状態が良くない恐れも考えられます。 効果が乏しいのにもかかわらず、漫然と注射を重ねるのは良くないでしょう。 現在では再生医療(幹細胞治療、PRP療法)といった先端医療も考慮できます。 ヒアルロン酸の注射の効果が以前に比して減ったように感じている場合、専門家に相談し、適切な治療に切り替えを検討してはいかがでしょうか。 再生医療は、先端医療であるため厚生労働省から認められている限られたクリニックでしか受けられない治療法です。 手術も入院も避けられる身体にやさしい治療法なので、気になった方は気軽にお問い合わせください。 膝のヒアルロン酸注射でよくある質問 Q.ヒアルロン酸注射に副作用はないの? A.ヒアルロン酸注射による副作用は「まったくない」とは断言できません。 ヒアルロン酸注射をしたあと、起こる可能性がある副作用は以下の通りです。 ・内出血 ・むくみや腫れ ・かゆみ ・チンダル現象 ・血管閉塞 など 上記のような副作用が起こっても、時間経過とともに回復するケースが大半です。 ただし、副作用は放置せずヒアルロン酸注射をした医療機関で専門的なケアをしてもらうのをおすすめします。 Q.何度も打ち続けるとどうなるの? A.ヒアルロン酸注射を何度も打ち続けると、ヒアルロン酸の吸収力が低下する可能性があります。 ヒアルロン酸は膝を含めた関節部分の潤滑油として働いているので、補充する目的で注射治療を施します。 しかし、初めてヒアルロン酸注射をした方は、複数回注射をしている方より吸収が早い傾向にあるので、次第に「失敗した」と捉えてしまうでしょう。 あくまで一時的な治療になるので、膝の痛みが続く方は別の治療法を検討しましょう。 Q.痛みを感じる場合失敗を疑うべき? A.ヒアルロン酸注射は、膝に注射を刺す痛みになりますが、血管注射とは異なります。 注射針を刺した後にヒアルロン酸を注入するので、人によっては痛いと感じる方もいます。 ヒアルロン酸注射をする前に麻酔テープやクリームを塗る方法もあるので、少しでも心配な方は事前に相談しておきましょう。 とくに変形性膝関節症が重度な方は、関節に注射針を刺すのが困難なケースもあります。 副作用として痛みを感じる可能性もあるので、我慢せず医師に相談するのをおすすめします。 ▼以下もご参照ください
公開日:2024.11.06 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 関節リウマチ
- 膝の慢性障害
- 靭帯損傷
膝の水が溜まって痛みがある。 溜まっている膝の水を、できるなら自分で抜きたい。 膝に溜まった水が気になり、抜く方法を知りたいと考えていませんか。しかし、膝の水を抜くのは癖になってしまうという話を聞いて、不安になっている方もいるかもしれません。 膝の水が溜まる原因は、炎症反応が起こっているためです。病院では、注射器を使用して膝の水を抜きます。 また、セルフケアではストレッチやマッサージで膝の水を抜く方法もあります。しかし、誤ったセルフケアは痛みや炎症の悪化につながるため、症状が強い場合は病院で適切に処置してもらった方が良いでしょう。 本記事では、病院やセルフケアで膝の水を抜く方法を詳しく解説しています。皆様が納得できる膝の水を抜いて痛みを緩和する方法の選択に役立てれば幸いです。 病院で膝の水を抜く方法 膝の水を抜く方法のひとつとして、病院での処置をイメージする方も多いでしょう。 本章では、病院での処置や注意点について解説します。本章を参考に膝の水を抜くかどうかを検討してください。 処置には注射器を使う 病院では主に整形外科にて、注射針を関節に刺して膝の水を抜く「関節穿刺」を行う場合があります。(文献1) 膝の水の正体は「滑液(かつえき)」です。滑液が膝に溜まることで関節を圧迫し、膝の痛みを悪化させる可能性があります。そのため、膝の水を抜くと症状の緩和が期待できます。 膝の水を抜く際、注射針を刺した直後以外に激しい痛みを伴うケースは稀です。ただし人によっては痛みが気になる方もいるため、処置後に違和感がある場合は、担当の医師に相談しましょう。 症状に応じてヒアルロン酸を注入する 膝の水を抜いた後や変形性膝関節症では、症状を和らげる目的でヒアルロン酸を注入することがあります。通常、週に1度あるいは数週間に1度の頻度でヒアルロン酸を注入し、効果がみられれば継続します。 病院でのヒアルロン酸の注入は保険適応になるケースが多いため、治療費を抑えられるメリットも期待できるでしょう。 ヒアルロン酸の注入は一時的に痛みや炎症を抑える効果がありますが、持続的ではないため定期的な通院が必要です。 また、根本的な原因疾患の治療でないため、医師の指示に従いリハビリや運動療法など根本的な原因を改善する治療と並行しましょう。 病院で膝の水を抜いた直後は安静にする 病院で膝の水を抜いた直後は、安静にして過ごすように指導されます。処置を行った当日は、以下の2点は行わないように注意しましょう。 激しい運動 入浴 また、処置の後には以下の合併症のリスクがあります。 合併症 症状 感染症 注射部位の腫れや熱感、痛みが長時間続く、または症状の悪化 出血 注射部位を圧迫しても止血しない 上記のような症状があらわれたら、早めに受診するようにしましょう。 膝の水を抜いた後の注意点について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。 自分で膝の水を抜く方法 病院で処置してもらう以外にも、自分でストレッチやマッサージを行って膝の水を抜くことも可能です。 本章では、セルフケアで膝の水を抜く方法と注意点を解説します。 「できるなら自分で膝の水を抜きたい」という方は、本章を参考に、ストレッチやマッサージを行ってみましょう。 膝の水を抜くストレッチ・マッサージ 膝の水を抜くために効果的なストレッチ・マッサージとして、以下の4つがあげられます。 ストレッチ 足上げ運動 1. 仰向けになり、両足を伸ばす 2. 左右の足を交互にゆっくりと上げるたり降ろしたりを繰り返す パテラセッティング(膝の前側の筋肉を鍛える) 1. 床に足を伸ばして座る 2. 片側の膝下に丸めたタオルやクッションを置く 3. クッション・タオルを膝下で床に押し付ける 4. 3〜5秒経ったら力を抜き、再度3.を行う 5. 数回行ったら左右の足を交換し、2.~4.を同様に繰り返す マッサージ 膝下のほぐし 1. 片側の膝下に両手で親指を添える 2. 強めの力で押し、前後左右に動かす 3. 反対側の足も同様に1.2.を行う 太もものほぐし 1. 椅子に座る 2. 片側の外ももに手のひらを添え、押しながらゆっくり回す 3. 反対側の足も同様に1を行う 4. 両足の前ももに手のひらを添え、足の付け根から膝上まで強い力でほぐす すべて自宅で手軽にできます。無理のない範囲で、上記のストレッチやマッサージを行ってみましょう。 痛みや違和感がある場合は無理に動かさない 痛みや違和感があるときは、炎症が起こっているサインです。むやみに触ると悪化する可能性があるため、ストレッチやマッサージなどのセルフケアはおすすめできません。無理に動かさず、早めに医療機関へ行きましょう。 マッサージやストレッチは血の巡りをよくする効果が期待できますが、誤った方法で無理に行うと、症状が悪化する恐れもあります。 また、痛みを感じるときは、膝に負担をかけないよう歩行や荷物の持ち運びなどの動作にも注意しましょう。 膝の水が溜まる原因は「炎症による関節液の過剰分泌」 膝の水が溜まる原因は、炎症反応によって「関節液」が余分に分泌されるためです。 関節液は、関節がスムーズに動くための潤滑油のような役割をしています。関節液は常につくられながら吸収され、一定量になるよう調整されています。 しかし、なんらかの疾患によって炎症が起こると、いつもより早いペースで関節液がつくられ、膝の水が溜まります。(文献2) 膝に水が溜まる原因の病気は、以下のとおりです。 半月板損傷 変形性関節症 靭帯損傷 痛風、偽痛風 関節リウマチ 骨折 感染や外傷 これらの病気になると膝に水が溜まりやすくなります。膝の水を根本的に改善するには、水を抜く処置をして痛みを緩和しつつ、原因となる病気を治療することが大切です。 まとめ|膝の水を抜くなら医療機関に相談しよう 今回の記事では膝の水を抜く方法やセルフケアを中心に解説しました。 症状が出現した際に、自己判断で放置したり誤ったセルフケアを行ったりすると、悪化する可能性があります。膝の水を適切な方法で抜きたい場合は、医療機関に相談しましょう。 また、当院「リペアセルクリニック」では、人体に元々ある幹細胞を活用した「再生医療」による膝の痛みや変形性膝関節症の治療が可能です。 「メール相談」や「オンラインカウンセリング」も実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 膝の水に関してよくある質問 膝の水を抜くと癖になりませんか? 膝の水を何度も抜くのが原因で、癖になるわけではありません。 膝の水を抜いても再び溜まってしまうのは、関節に炎症が起こっている根本的な原因の病気が改善されていないためです。 原因の病気として、半月板損傷や変形性関節症などが知られています。痛みを和らげるためには、原因の病気の治療をしながら膝の水を抜くことも大切です。 膝の水は自然に抜けますか? 稀に自然治癒する場合もあります。長期期間放置しても、必ず自然治癒するわけではありません。 放置すると関節が固まって動きにくくなった「拘縮状態」に陥るリスクもあります。 拘縮状態になると膝の曲げ伸ばしが辛くなり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。そのため、1カ月以上膝の水の溜まりを放置するのはおすすめできません。 膝の水を自然に抜けるまで長期間待たずに、早めに受診するようにしましょう。 参考文献一覧 文献1 水原寛康. 関節穿刺. 医学書院 医療情報サービス. 2024年10月18日. 文献2 斉藤 聖二,関節痛(炎):診断と治療の進歩1.関節の構造と関節痛(炎)の原因, 日本内科学会雑誌, 1994年, 第83巻, 第11号, p1871-1875
公開日:2024.11.06 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
半月板損傷の手術!メリットと、デメリットについて解説 半月板損傷は、激しく走ったり、ジャンプをしたりするアスリートの膝にとって、つきものであるとも言える外傷です。また加齢などによって組織がもろくなる高齢者にも起こります。 治療のためには、手術が必要となることがありますが手術には、メリットとデメリットが存在します。 この記事では膝の半月板について概要をご説明した上で手術が必要な場合、手術を受ける場合のメリットとデメリットもご説明します。 納得して治療をお受けいただくための一助になればと記しました。半月板損傷に治療に対してご参考にして頂ければ幸いです。 半月板損傷について わたしたちの膝には、膝の内側に大きい内側半月板、膝の外側に外側半月板という2つの半月板が存在します。この半月板は上から見るとアルファベットの「C」の型をしています。 材質的なイメージはゴムのように、衝撃に対するクッションとして膝関節に起こる衝撃吸収材として機能しています。 そのほかにも膝の半月板には、接触する面の形状が異なっている脛骨と大腿骨の接触面積が増加し、互いにフィットしやすくなります。そのために、膝関節がより安定するようになり、正しい荷重配分する役割を担っています。 また、半月板は大腿骨と脛骨の間にあるため、両方の骨と骨が直接こすれ合うのを防いでいます。半月板の損傷は、スポーツをされる人にとって、起こりがちな症状ですので注意が必要です。 急に体をひねったり、曲げたり、衝突やジャンプを繰り返していると、半月板の負担が増して損傷する危険性が高くなります。 また、高齢者にとって半月板は加齢とともに弱くなり、損傷したり、断裂しやすくなります。事実、半月板の断裂は、老化現象として普通に起こりうることです。 半月板が損傷すると、膝を曲げたり、伸ばしたりする動作が不安定になり、痛みや腫れが生じて膝が動かなくなったりすることがあります。 半月板損傷の手術 半月板を損傷しても、手術が必要な人もいれば、そうでない人もいます。 その判断は、保存的治療での状況に加え、どのような損傷を受けているのか(損傷の大きさ、部位)、また受傷した方の年齢、活動レベル、ライフスタイルなどをもとに検討します。同時に靭帯損傷の有無や臨床症状も考慮されます。 関節鏡下 半月板手術の種類 半月板損傷に対する手術は、一般的に関節鏡を用いて行われます。その手術は大きく分けて2種類があります。 まずは損傷された軟骨の断裂した部分を縫い合わせ、自然治癒するように修復する半月板修復術(ラスピング、縫合術)です。しかし、損傷のタイプや、損傷部位への血液供給の関係で、修復可能な事例は多くはありません。 もうひとつは、損傷した軟骨を切除し、損傷を受けていない半月板組織を残す、半月板切除術、あるいは半月板部分切除術です。 半月板損傷の手術の種類 1)半月板修復術(縫合術、ラスピング) 2)半月板切除術、部分切除術 https://youtu.be/qH46jDFK9Mc?si=hBwHXPr4IxFpdBZ8 痛みを軽減または、ほぼ取り除ける可能性があります。その結果、リハビリを経てスポーツやその他の活動に復帰できる可能性が高まります。 半月板を外科的に修正することで関節損傷のリスクが軽減される、また損傷部位からの関節炎の発症を防ぐ、または遅らせることも期待できます。 半月板の手術には、切除術と、修復術の二つの種類があります。 半月板損傷、手術の種類 1)切除術 ・文字通り半月板で損傷している部分を切除し取り除く手術 ・損傷部位の縫合が難しい場合に行われ、多くの場合がこちらが選択される 2)縫合術 ・半月板の損傷部位を縫合する手術 ・切除と比べ半月板の温存が可能 ・縫合が可能ならこちらが選ばれる ・注意:再断裂という可能性が高い ・注意:その際は再度手術が必要 手術のメリット それでは、膝半月板手術のメリットをご説明します。 メリット:「変形性関節症への進行を遅らせ、人工膝関節置換術を減らせる」 手術を行うメリットについて、実例から検証された結果についてご説明します。 これによると平均74ヶ月の追跡調査において、半月板を切除する手術群では40%、保存的治療を行った群では27%が人工膝関節置換術を必要としました。 しかし、半月板修復(ラスピング、縫合術)群では人工膝関節全置換術を必要とするほど進行した人はいませんでした。更に変形性関節症の進行を遅らせる可能性がありました。 事例 2020年に「American Journal of Sports Medicine」に掲載された論文で外傷により半月板を損傷した45人のうち、保存的治療を受けた15人、半月板切除術を受けた15人、半月板修復術(ラスピング、縫合術)を受けた15人を観察。 事例(平均74ヶ月の追跡調査) ・保存的治療群:15人 ・半月板切除術群:15人 ・半月板修復術群(ラスピング、縫合術):15人 上記について「人工膝関節置換術」を必要とした割合 ・保存的治療群: 27% ・半月板切除術群:40% ・半月板修復群 :進行しなかった。変形性関節症の進行を遅らせる可能性が高い また2019年に「American Journal of Sports Medicine」に掲載された研究では、半月板修復術、半月板切除術、および保存的治療結果を比較した過去の論文を、科学的手法を用いて厳格に検証するメタアナリシスが実施されました。 この論文では、半月板修復術を受けた229人、半月板切除術を受けた74人、手術を行わずに保存的治療を行った41人が対象となっています。 10年後のフォローアップでは 変形性関節症へ進行率 ・半月板修復群では53.0% ・半月板切除群では99.3% ・非手術群では95.1% 人工膝関節置換術の実施率 ・半月板修復術群33.5% ・半月板切除術群51.5% ・非手術群45.5%でした。 対象者 ・半月板修復術を受けた229人 ・半月板切除術を受けた74人 ・手術を行わずに保存的治療を行った41人 10年後のフォローアップでは、半月板修復群では53.0%、半月板切除群では99.3%、非手術群では95.1%に変形性関節症の進行が認められました。また人工膝関節置換術の実施率は、半月板修復術群33.5%、半月板切除術群51.5%、非手術群45.5%でした。 このことから、半月板修復術が非手術群や半月板切除術より、関節損傷や関節炎のリスクを低減することが期待できます。できる限り半月板の完全性を維持することで、より長期的に大きなメリットを得られることが期待できます。 結果より 半月板修復術は、非手術群や半月板切除術より、関節損傷や関節炎のリスクの低減できる可能性 半月板の完全性を維持すれば、長期的に大きなメリットを得られる可能性 半月板手術のデメリット 過去数十年の間に、半月板をできるだけ多く保存することの重要性が明らかになってきました。 先に説明したように、半月板は膝への衝撃を吸収するために非常に重要な役割を担っています。半月板が破壊されると、関節軟骨の接触圧が増加するため、変形性膝関節症の進行が早まる可能性があります。 加齢などによる変性に起因する内側半月板損傷に対し、関節鏡下半月板切除術と保存的治療の臨床的・放射線学的結果を比較した研究があります。 この研究では、146人の患者(半月板切除術群、90人、保存療法群、56人)を評価対象としています。治療後、すべての臨床結果は両群で有意に改善されましたが、変形性膝関節症は、半月板切除群で有意に進行していました。 先に紹介した外傷による半月板損傷に対する治療結果の論文も含め、変性に起因する半月板損傷半月板損傷であっても半月板切除術は、変形性膝関節症をきたすデメリットがあります。 半月板損傷の手術:デメリット 切除術 ・変形性膝関節症へ進行する可能性 ・人工関節への再手術の可能性がある ・ 縫合術 ・半月板を温存できる ・変形性膝関節症へ進行を遅らせる ・再断裂の可能性があり、再手術(切除術の可能性が高い)が必要 まとめ・半月板損傷の二つの手術!そのメリットと、デメリット 半月板損傷に対する手術のメリットと、デメリットをご説明しました。 ほんの数十年前までは、一般的に半月板損傷後は、半月板を完全に切除していましたが、最近は残された半月板を温存すること、できる限り半月板を修復することが一般的です。 半月板損傷の結果手術が必要だと判断された場合は、しっかりと担当医と相談し、メリット・デメリットを理解して手術に臨まれることをお勧めいたします。 手術を受けたがそれでも改善されないなら、再生医療という最新の医療を考慮することが可能です。特に幹細胞治療は、ご自身の脂肪から幹細胞を抽出し培養、患部に投与することで膝の状態を大きく改善できる可能性があります。 手術の経過が思わしくない、手術をしたくないという場合を含め興味があればいつでもご相談ください。 ▼ 再生医療の幹細胞治療が膝の治療を変える! 膝の治療の新たな選択肢、再生医療で手術せずに症状を改善できます ▼以下もご参照下さい 膝半月板損傷の治療法と手術のリスクを徹底解説
公開日:2024.11.06 -
- ひざ関節
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 関節リウマチ
- 靭帯損傷
- 膝部、その他疾患
膝関節は、大腿骨、脛骨および腓骨、また膝蓋骨などが組み合わさって作られています。日常生活で安定して自由な伸展運動などがスムーズに実行できるよう半月板や複数個の靭帯などを始めとする周囲の構造物が補助しています。 これらの膝を形成している組織が「スポーツなどの外傷」、あるいは「加齢」や「自己免疫異常」などの要因に伴って異常をきたして損傷が起こると、膝の裏の部位で疼痛(痛み)が生じることに繋がります。 【膝の裏が痛い原因の代表例】 ・スポーツなどの外傷 ・加齢 ・自己免疫異常 そこで、「膝の裏が痛い原因、考えられる病気と対策」と題して解説してまいります。 膝の裏が痛いときに考えられる9つの病気 膝の裏が痛む際に原因として考えられる膝疾患には、「変形性膝関節症」や「関節リウマチ」の他、膝部位に存在する「靱帯の損傷」などがあります。 膝の裏が痛い場合に考えられる疾患 ・変形性膝関節症 ・半月板損傷 ・ベーカー嚢腫(のうしゅ) ・関節リウマチ ・靭帯の損傷(事故や、スポーツなど) 以下でそれぞれ詳しく解説していきます。 変形性膝関節症 中高年の女性によくみられます。 関節の軟骨がすり減り、膝の内側や膝の裏からふくらはぎにかけて痛くなり正座もしにくくなります。変形が進行してひどくなるとO脚になり、いよいよ歩行困難になると人工関節の手術となります。 膝の関節が硬くなり、膝を伸ばすときに裏が痛くなったりします。 膝の屈伸の時に『ミシミシ』『ゴリゴリ』とした音が鳴る時もあります。 膝に水が溜まると、膝の裏から太ももの前側にかけて全体的に痛くなります。(文献1) ▶変形性膝関節症についてこちらもご参考にされてください。 半月板損傷 膝関節のクッションの役目があり、スポーツや怪我、加齢に伴って断裂などの損傷が生じます。 膝が伸びなくなるロッキングを起こしたり、正座やしゃがんだり、立ったりするときに膝の裏側が痛くなります。 ベーカー嚢腫 何らかの原因で膝関節が炎症を起こし、増えた関節液が膝の裏の滑液包に流入し袋状のコブになったものを言います。ゴルフボールぐらいの大きさにボッコリ腫れることもあり、大きくなると膝の裏が突っ張った状態になります。 放置していて腫れが治ることもありますが、痛みが強いときは、針で水を抜くこともあります。 変形性膝関節症、半月板損傷、関節リウマチ、化膿性関節炎などが原因とされています。(文献2) ▶ベーカー嚢腫についてこちらでも詳しく解説していますのでよろしければご覧ください。 関節リウマチ 関節リウマチの患者数は、現時点でおおむね80万人と言われており、その発症原因は自己免疫系統の異常とされていて、自分自身の軟骨組織や骨成分を攻撃し、破壊することとなり、関節部位に炎症を引き起こします。(文献3) 特に膝裏部に疼痛症状を認めると考えられます。この病気を発症しやすい年齢は、30代~50代前後の中年齢層で、性別に関しては男性よりも女性で発症率が高いことが指摘されています。 初期の段階では、手足における特に手指部の関節領域が左右対称に腫れる以外にも、倦怠感や、食欲不振など自覚症状が合併することも懸念されています。 関節リウマチの特徴 ・原因:自己免疫系統の異常 ・年齢:30代~50代前後 ・性別:女性の発症率が高い 靭帯損傷 膝関節には4つの靱帯が存在して重要な役割を担っています。 そのうち膝の左右両側にあるのが内側側副靱帯、外側側副靱帯で、前後部位には前十字靱帯、後十字靱帯が走行しています。 例えば、交通事故に遭う、もしくはスポーツ活動中に怪我を負うなど、受傷を引き起こすことによって大きな物理的衝撃が膝関節に負荷となってかかると、膝の靱帯部に強い損傷や断裂などが起こり、膝の裏側が痛むことが考えられます。 特に後十字靱帯の損傷の場合、膝裏を伸ばすとピキッとした痛みが出ることが多くみられます。(文献4) 通常の場合、内側側副靱帯と前十字靱帯が外力によって損傷を受けやすいと言われていますが、受傷してから3週間前後の発症してまだ間もない頃には膝痛と膝の伸展運動がしにくいなどといったサインが認められます。 受傷後1か月程度、しばらく経過した段階では、膝関節内部に血腫が貯留して腫れの所見が目立つこともありますし、損傷部位によっては膝関節の不安定さが少しずつ顕著化してくることもあります。 膝の裏側の筋肉の損傷 膝の裏には膝窩筋があり、身体が硬かったり無理な運動や動きで筋肉や腱が損傷します。 損傷すると次のような症状が出ます。(文献5) ・しゃがむと痛い ・しゃがんで立つと膝の裏が痛い ・膝を伸ばすとふくらはぎや太ももの裏が痛い ・膝を曲げると膝の裏が痛い ・階段上り下りの時に膝の裏からふくらはぎが痛い 腰椎ヘルニア・坐骨神経痛 太ももの後ろからふくらはぎにかけて痛みがある場合は、腰椎ヘルニアや坐骨神経痛も考えられます。 痺れやズキズキした痛みを感じることもあります。安静時に痛みがあるのも特徴です。 リンパによる膝の裏の痛みや腫れ 同じ姿勢で長時間いたり、肥満や食事の偏りでリンパの流れが悪くなり膝の裏に痛みや腫れが生じます。 リンパ管には体の老廃物を運ぶ役目があり、リンパ節でその老廃物が処理されます。リンパ管の流れが悪くなることで、リンパ節が腫れて痛くなります。 反張膝 太ももの前と後ろの筋肉のバランスが悪かったり、大腿四頭筋や腸腰筋、前脛骨筋の筋力の低下で起こります。 そのため膝が後ろに飛び出るような形に曲がるため、膝の裏が痛くなるのです。 膝の裏が痛いときの治療法 前章では、主に膝裏が痛む代表疾患に関して触れてまいりました。 ここからはそれぞれの疾患について対処法や治療法を解説していきます。 変形性膝関節症の治療法は幹細胞やPRPによる再生医療 初期の頃は、ヒアルロン酸注射やリハビリ、内服で様子を見ます。 変形が進むと、骨切り術や人工関節置換術などが行われます。最近では幹細胞やPRPによる再生医療も行われていて新しい治療の選択肢として注目されています。 半月板損傷の治療法は手術か再生医療 日常生活に支障が出たり、スポーツ復帰を目指す場合は関節鏡による手術が行われます。断裂部を切除や縫合して治療します。 こちらも新しい選択肢として再生医療が注目されています。 ベーカー嚢腫の治療法は水を抜くか自然に治す 自然に治ることもありますが、膝の裏の腫れや突っ張りや違和感がある時には水を抜くこともあります。 関節リウマチは病勢進行を可能な限り抑制 関節リウマチに対する治療について、近年では特に目覚ましく進歩しています。 早期に適切な治療を行えば関節の変形も抑えられて、痛みも生活する上で特に困らない程度にもなります。 関節リウマチの病勢進行を可能な限り抑制して、症状を少しでも改善させるためには普段から関節に大きな負荷をかけないように認識しながら対策を講じることが重要な観点となります。 例えば、携帯電話を操作するときに片手ではなく、両手を使って動作すると、手首の関節にも優しい姿勢になりますし、デスクワークするときに両腕部分を机やクッションなどで支えるように対策すると関節にかかる負担を軽減させることが期待できます。 膝の靭帯損傷の治療法は手術治療 膝の靭帯損傷については、急激にストップするような動作をした際、あるいは方向を突然転換するときに膝を強く捻ることによって発症します。 一般的に、外側側副靱帯や内側側副靱帯は、膝が左右に動くのを制御しています。前十字靱帯は膝から足側の部分が前方に突出しないようにストップをかける役割を担っており、後十字靱帯でも前十字靭帯と協調して膝が安定的に可動するように機能しています。 これらの靱帯組織が仮に断裂して受傷してしまうと、膝の安定性が減り、下半身における踏み込み動作や切り返しの作業が難しく実施できなくなるのみならず半月板損傷など合併する場合もあります。 内側側副靭帯損傷の場合には手術せずに治療するケースが多く、後十字靭帯が損傷を受けたケースでは、ほとんどの症例で手術治療が適応となります。 膝受傷して靱帯を損傷した直後は、迅速にアイシング(冷却)を行ってから患部を固定し、患部に極力負担が掛からないように免荷処置をしましょう。 症状によっては、手術治療を検討する場合もあります。その際は、術後に理学療法士やトレーナーなど専門職と相談しながら状況に応じて適切なストレッチやリハビリテーションを実践して、筋力を鍛えて早期復帰できるように努めることになります。 特に、膝の再受傷や二次的な外傷を回避するために、体幹を鍛える、柔らかいボールなどを膝下で転がすように動かす、あるいは座位の状態になって膝を伸展させる、そして大腿部の筋を鍛えることなどが主なリハビリ療法の内容となります。 膝の裏が痛い場合のストレッチの仕方 膝の裏をストレッチしたりマッサージを行うことで、筋肉の柔軟性を持たせ血流促進にもつながります。 ふくらはぎの筋肉と太ももの後ろの筋肉を中心にストレッチやマッサージの仕方を紹介しています。注意点として、ストレッチによる痛みを感じたときには、直ちにかかりつけの医師との相談をお勧めします。 https://youtu.be/WQZfXd6s1iA 膝の裏が痛いときにとるべき行動 結論、膝の裏が痛いときは早めに医師へ相談するべきです。 膝の裏が痛い原因(病気)はさまざまで、比較的軽度なものから、自身では気づけない思いもよらぬ重度なものまで存在します。 また、「そのうち治るだろう」「大した症状ではないだろう」と自身で判断し、膝の痛みを放置してしまうと歩行や日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。最悪の場合には歩くことが次第に困難となり、後に治療したとしても後遺症が残ってしまう可能性もあります。 膝の裏の痛みを軽視せずに最寄りの医療機関に受診するか、リペアセルクリニックに気軽にご相談ください。 まとめ|膝裏の痛みが長引くときは迷わず治療を 今回は、膝の裏が痛い原因で考えられる病気と対策について詳しく解説してきました。 膝裏部が痛む原因としては、主に変形性膝関節症、関節リウマチや、膝靱帯損傷などが考えられます。 関節リウマチについては薬剤の治療成績が著しく向上していますし、初期段階できちんと診断して的確な治療を実践すれば治癒が期待できる病気になってきました。膝靱帯損傷した際には早期的にアイシング(冷却)して患部固定で症状緩和に繋がります。 このような対処策を自分なりに実践しても症状が軽快しない際や膝裏部の疼痛症状がひどくて悪化するような際には、早期的に整形外科など専門医を受診するように心がけましょう。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 参考文献 文献1^ Øiestad BE, Juhl CB, Culvenor AG, Berg B, Thorlund JB. Knee extensor muscle weakness is arisk factor for the development of knee osteoarthritis: an updated systematic review and metaanalysis including 46 819 men and women. Br J Sports Med. 2022 Mar;56(6):349-355. doi:10.1136/bjsports-2021-104861. Epub 2021 Dec 16. PMID: 34916210. 文献2^ Abate M, Di Carlo L, Di Iorio A, Salini V. Baker's Cyst with Knee Osteoarthritis:Clinical and Therapeutic Implications. Med Princ Pract. 2021;30(6):585-591. doi:10.1159/000518792. Epub 2021 Aug 2. PMID: 34348320; PMCID: PMC8739941. 文献3^ Maderbacher G, Greimel F, Schaumburger J, Grifka J, Baier C. Kniegelenk bei rheumatoiderArthritis – aktuelle orthopädisch-chirurgische Therapieoptionen [The knee joint in rheumatoidarthritis-current orthopaedic surgical treatment options]. Z Rheumatol. 2018 Dec;77(10):882-888.German. doi: 10.1007/s00393-018-0534-2. PMID: 30194490. 文献4^ Schüttler KF, Ziring E, Ruchholtz S, Efe T. Verletzungen des hinteren Kreuzbands [Posteriorcruciate ligament injuries]. Unfallchirurg. 2017 Jan;120(1):55-68. German. doi: 10.1007/s00113-016-0292-z. Erratum in: Unfallchirurg. 2017 Jun;120(6):530. doi: 10.1007/s00113-017-0353-y. PMID: 28058447. 文献5^ Covey DC. Injuries of the posterolateral corner of the knee. J Bone Joint Surg Am. 2001Jan;83(1):106-18. doi: 10.2106/00004623-200101000-00015. PMID: 11205847.
公開日:2024.10.07 -
- ひざ関節
- 膝に赤みや腫れ
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
膝が腫れているときに考えられる病気とは 日常生活において両足を揃えて左右を比較してみた際に両膝の大きさや形が異なっているのに気づいたことはありませんか。 また、膝が腫れてその部分に発赤所見や熱成分を認める、そして膝が急に痛みを覚えてよくよく見てみると腫脹がひどくなっているという経験をした方も少なからずいらっしゃるでしょう。 膝という人体組織は、太ももに位置する大腿骨、足のすねに存在している脛骨や腓骨、そしてお皿と呼ばれる膝蓋骨などの筋骨格系に関するパーツが組み合わさって出来ています。 膝は普段の生活を送る、もしくは運動を実行する際などに膝を曲げ伸ばしを行う動きを司り、上半身などの体重を支える重要な役割を有していますので、その膝が腫れて痛くなると、どうしても日常生活に支障をきたすことに繋がっていきます。 そこで今回、「膝が腫れているときに疑うべき病気」と題し、それらに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 膝が腫れているときに考えられる病気とは 変形性膝関節症 膝が腫れて痛む有名な病気としては「変形性膝関節症」が挙げられます。 変形性膝関節症は、加齢や遺伝的要因、もしくは肥満による重量増加が引き金になる膝関節への過度な負担によって関節部の炎症や変形を生じさせて、膝の痛みや腫れなどが引き起こされる病気と認識されています。 この疾患では、ひざ部分における関節軟骨が摩擦や摩耗などですり減ることによって膝部位に強い痛みが長期に渡って自覚される病気であり、年齢を重ねれば重ねるほど病状が進行して安静時にも痛みが緩和されずに歩行することすら困難になる進行性のある病気です。 変形性膝関節症の直接的な原因は、先にあげた加齢、肥満以外にも、O脚、閉経してからの女性ホルモンの変動などが挙げられるほか、日常生活において布団の上げ下ろしなど、膝の曲げ伸ばしを頻繁に行う行為や、正座を長時間保持するなどといった動作を日常的に行うことによってひざに負担がかかる場合に起こりやすくなります。 半月板損傷 膝の腫れを伴う症状として、「半月板損傷」も疑われます。半月板は膝関節の中にある三日月の形をした軟骨組織です。膝の内と外に2枚あって、走る、歩く、跳ねるなどの動きからくる負荷を和らげるクッションとしての役割があり、膝の安定性に欠かせない存在です。 半月板損傷の原因は、スポーツや事故などで急激な負荷や、強い衝撃、無理な動きがあった場合に傷つくことがあります。これが「半月板損傷」といわれるものです。また加齢によって組織がもろくなって起こる場合は先天的に症状を持っている場合があります。 https://youtu.be/uQlymyi0eSI?si=UANk-RDBKTR9dmKH 関節リウマチ 次に、膝が腫れやすい代表疾患として「関節リウマチ」があります。「関節リウマチ」という病気は、自己免疫の異常が原因となって関節部位で炎症が引き起こされて、その結果として膝の腫れや強い痛みを自覚するものです。 この疾患では、軟骨や骨組織が「免疫異常」によって攻撃されることで関節部が破壊され、変形し、健常な関節機能が喪失する病気であることが知られており、その罹患患者数は我が国で80万人程度存在すると伝えられています。 一般的に、女性に多く発症し、発症年齢としては30代~50代前後という、若年から中年層がメインです。初期段階では手足の指の関節が左右対称性に腫れあがり、それ以外にも発熱や倦怠感など全身症状を自覚することもがあります。 以前は関節リウマチに対する治療薬も限定的でありましたが、最近では生物学的製剤などの薬品開発が進歩しているため、できるだけ早期から治療に入いることができれば炎症所見を改善させて膝関節の機能の回復を見込めるようになりました。それによって日常生活内のQOLが向上することが期待することができます。 痛風 次に、膝関節部が腫脹を認める疾患として、「痛風」が考えられます。 生体内で尿酸成分が過剰に貯留されると、膝関節を始めとする関節部位に尿酸の結晶がたまることで、その部分に炎症を引き起こして腫れを生じます。 尿酸と呼ばれる成分はビールや甲殻類などに多く含まれる「プリン体」が体内で分解されて形成されるものです。この尿酸の血液中における濃度が高値である状態が慢性的に継続すると、関節内で結晶化してしまい、この結晶化した尿酸を白血球が破壊処理する反応に伴って炎症を引き起こすと考えられています。 昨今の医療技術の進歩によって良好な薬剤も開発されており、的確な治療を実施すれば健康な生活を送ることができますが、痛風状態を放置すると関節部の激痛を引き起こして膝の腫れをきたすなどを繰り返し、全身的に痛風結節と呼ぶ「こぶ」が表れ運動機能障害が起こるほか、最終的には腎不全にまで進行する可能性があるため、放置することなく、十分に手当することが大切になります。 痛風の原因となる尿酸値は、食事に大きな影響を受けるため、カロリーの高い食事や、アルコールの採りすぎなどに注意が必要です。食生活全般にわたり見直し、改善を行いましょう。 また、肥満を防ぐ意味でも、代謝を整える意味でも適度なスポーツは有効です、ただ激しいスポーツは逆効果になることもありますので注意が必要です。 その他 その他にも、膝靭帯損傷、血友病、オスグッド・シュラッター病などが考えられます。また、日常生活に関する習慣性によって膝が腫れる場合も考えられています。 普段から立ち仕事が多かったり、スポーツで膝への負担が多い場合、膝の痛みや、腫れを発症することがありますので、適当なタイミングで休憩するよう気を付けましょう。 その際に、ストレッチや体操などを少しであっても挟むなど、工夫することで膝を定期的にケアするよう心がてください。 最後に肥満状態は、膝に大きな負担をかけています。肥満による体重増加は、膝の腫れを悪化させる大きな要素と考えられていますので、年齢を重ねても健全で安定した膝の良好な状態を維持するためにも適正体重を保つように注意しましょう。 まとめ・膝が腫れているときに考えられる病気とは 今回は膝が腫れているときに考えられる病気について詳しく解説してきました。膝の腫れをきたす原因の多くのは、関節疾患や骨の病気、外傷など様々です。 ふと膝が腫れていることを自覚した際には、かかりつけ医など医療機関を受診し、担当医に症状出現前後のイベントや出来事はあったか、そして普段からスポーツを活発に実践しているかどうか、あるいは膝に負担がかかりやすい仕事や、習慣、スタイルを送っていないかなどを詳細に伝えてください。 また、急激に膝部分に激しい痛みを覚えて、腫れを認める場合、そして日常動作をする際やスポーツ運動時に膝が腫れて痛みが悪化するようなケースでは、「無理に膝を動かさずに安静を保つ」ように努めて早期に専門医を受診することが重要です。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療で膝の治療を行えることを知っていますか?! 膝の痛みなどの悩みに対する新たな選択肢、再生医療について ▼以下も参考にされませんか 膝に水が溜まる症状を放置しないでください!原因と治療法
公開日:2024.11.06 -
- ひざ関節
- 膝の外側の痛み
- 半月板損傷
膝の半月板損傷の治療法と手術のリスクを解説 膝の半月板とは、膝関節の太ももの骨(大腿骨)とスネの骨(脛骨)の間にある、「C型」や「O型」をした線維の軟骨からなり、内側と外側の両方に存在します。 この半月板があることで上半身の負荷や、動作時の衝撃から膝を守ることができ、更に関節をスムーズに動かすことが可能となる大切な存在です。その半月板が損傷した場合の治療法と万一、手術を選択した場合のリスクについてご説明いたします。 ひざ半月板損傷の治療、保存療法と手術療法について まずは、ひざの半月板損傷について、この半月板を治療するには、「保存療法」と「手術療法」の2つがあります。保存療法では抗炎症薬の投与や、リハビリ テーションを行うことで症状が落ち着くことがあります。 しかし、保存療法を用いた治療で改善がみられない場合や、症状が顕著で日常生活に支障がでる場合には手術が適応となります。 実は、半月板には、約10~20%しか血が通っていません。そのため、一度損傷してしまうと自然に治癒することが非常に困難なのです。結果として再発防止や、スポーツ活動への復帰を考慮して保存療法ではなく、手術を選択される方もおられます。 手術療法としては、傷ついた箇所を縫い合わせる「縫合術」と、傷ついた箇所を切り取る「切除術」の2種類があり、手術方法は、関節鏡を使った関節鏡視下手術(かんせつきょうしかしゅじゅつ)という手法で行われます。 手術療法 1)縫合術:傷ついた箇所を縫い合わせる 2)切除術:傷ついた箇所を切り取る ※縫合術も切除術も、どちらも手術なので合併症等、それなりのリスクは存在します ※どちらの術式を選択するか「半月板の損傷レベル」、「損傷の程度」を診断の上、適切な方を選択します また、スポーツ選手が復帰を目指した場合などは、リハビリ期間を含めて、そのスポーツの種類や、大会の時期などに復帰に合わせて治療方法を変えるケースもあります。 各手術療法とそのリスクについて 半月板損傷の手術療法のリスクについて解説いたします 内視鏡術の概要 画像上で半月板に損傷がみられても、症状として痛みの程度や、動作による支障があまり出ていなければ、投薬し、安静にすることで症状が軽くなる可能性を考えます。 しかし、症状が長引くか、良くなっても再発する場合は、関節鏡を使用した内視鏡手術を行います。手術は、腰椎麻酔で行うことが多く、内視鏡手術中は意識があり、モニターに膝の画像が映し出され、希望するなら説明を聞きながら手術を受けることも可能です。 また、半月板を修復する際には、同時に損傷を受けやすい前十字靭帯、内側側副靭帯も損傷していないかをチェックしていきます。 縫合術 半月板は、安定した生活動作やスポーツによるパフォーマンス維持のためにも、可能な限り切除術ではなく、縫合術で行い半月板を温存する方向で進めていきます。また若年者の場合も可能な限り切除術ではなく縫合術を行うようにします。 半月板が中心で裂けるように損傷しているケースでは、縫合術の適応となります。損傷の度合いや形態を観察し、損傷箇所の激しいところを優先的に処置したあとで、血液の流れを考慮しながら、組織の状態が良好な部分は最大限に活かす方向で縫合していきます。 縫合術の方法としては、膝の外側に3cmほど切開をつくり、縫合専用の器具を使用して半月板に糸を数本通し、膝の関節の外側で結びつけて縫合していきます。 このケースでは糸を膝関節の外側に通して縫合していますが、損傷箇所によっては関節の中だけで処置を終え、手術跡を作らずに済む方法もあります。 縫合手術が可能な損傷とは、半月板の辺縁部に損傷が起こる「辺縁縦断裂」になります。辺縁部は血流のあるエリアで、辺縁にそって断裂し、スポーツ外傷で起こることが多くみられます。 また、手術をすれば必ず痛みが取れるということはありません。せっかく手術をしても、痛みが取れない、手術前よりも痛くなった、という声はよく効かれます。そういう「リスク」も必ず含まれています。 > リスクを回避する再生医療という選択肢 縫合術の術後の注意 関節軟骨にかかる負担は少なくて済みますが、入院は2週間ほど必要で、術後2週間は足を床につけてはならず荷重してはいけません。術後は固定具を装着して膝を伸ばした状態を保つようにします。 術後から2週間ほど経過観察をした上で屈曲練習を開始して行きます。そして3週間目からは90°まで屈曲し、4週間目からは120°までと段階的にリハビリを行うようにします。半月板が癒合するには6週間ほど時間が必要なため、スポーツ復帰は術後3カ月が経ってからになります。 切除術 切除術は、断裂している部分に血行がないことや、断裂箇所が縫合しても改善されないほど損傷が大きいときに適応されます。損傷範囲が広い場合は、断裂している部分を専用器具で切り取り、除去します。 また、半月板の辺縁部分では血行があるため基本的には縫合術で対応しますが、断裂部分の繊維が不揃いになっているときには、切除しながら辺縁部を整えるようにします。 この処置を行うことで、傷んだ半月板が膝関節部の軟骨と摩擦することがなくなり、軟骨の損傷をも防ぐことができます。 しかし、半月板は関節の機能としてなくてはならないものです。取り除くことで半月板の機能を低下させるというリスク!デメリットがあるため、可能な限り温存させる方向で必要最低限の切除にとどめた手術を行います。 また手術をした患側の足には、血栓が形成されやすいリスクがあるため、その予防に靴下を着用します。手術内容によっては、固定の為の装具を着ける場合もあります。 縫合が可能な辺縁部と切除する部分の両方が損傷している場合は、縫合術と切除術を組み合わせて手術していきます。 また、生まれつき半月板が「C型」ではなく「円板状」になっている円板状半月板の人が半月板を損傷した場合は、通常の「C型」に近づけるように手術を行います。 切除術もまた縫合術と同じく、手術をすれば必ず痛みが取れるという訳ではありません。手術をした数割の人は痛みが取れない、余計に痛くなったということもあり得ます。 > そこで!「手術を回避する」再生医療という選択肢 切除術の術後 切除術のあとは、関節軟骨へのストレスが大きくなり、関節軟骨の変形が進行して膝関節症になることがあります。また、1~2ヶ月間は水が溜まりやすくむくみが生じるリスクがあります。 ただ、日常生活への復帰は縫合術に比べて早く、術後翌日からは歩行が可能になり、膝の曲げ伸ばしにも特に制限はありません。入院は術前から術後の観察までを含め、だいたい4日間ほどで退院できます。スポーツの復帰は、術後から約1~2ヶ月後となります。 手術には合併症というリスクが存在 手術後は、以下のようなリスクが存在するため、術後には注意して観察が必要となります。 1.感染リスク 半月板手術での術後感染の確率は、全体の術後感染症のなかでも低い方になり、予防として抗生物質の投与を行います 2.静脈血栓塞栓症(肺血栓塞栓症)リスク 半月板の手術だけに起こるリスクではありませんが、下肢の手術や脊椎の手術、骨折などにより発症しやすくなります 3.しびれが発生するリスク 手術の過程で下肢への血流を遮断するため、術後に下肢のしびれが発生することがあります。術後数日で改善することがほとんどです 再生医療という新たな選択肢 このように半月板損傷の手術には、「縫合術・切除術ともにリスクを伴う」ことがわかりました。ところが、なんと幹細胞を用いた再生医療では、これらのリスクを負うことなく治療を受けることができるのです。 縫合術のリスクと比較して 例えば縫合術の場合、実は縫い合わせた半月板が再断裂する可能性があり、縫合術をして4年後に再断裂をする確率は30%と言われています。これは縫合をしても半月板がしっかりとくっついていない為に発生します。 ところが幹細胞治療では、断裂した半月板を接着剤で留めるように修復しますので、日常生活だけでなくスポーツに復帰することも可能です。 また縫合術を受けると2週間は足に体重をかけられなかったり、4週間ほどの松葉杖生活を強いられることになりますが、再生医療では治療を受けたその日に歩いて帰ることができます。 切除術のリスクと比較して 切除術の場合では半月板の一部を取り除きますので、関節のクッションがなくなるのと同じです。すると数年後には関節軟骨がすり減って、変形性膝関節症になる方が多いです。 実際に切除術を行なった10年後には、一般の方の場合で30%、スポーツをしている場合では70%もの方が変形性膝関節症へと移行しています。 さらに切除術をすると切った部分から再び断裂が生じることもあり、術後数週間が経過した頃より再び膝の痛みを訴えることがあります。 ところが幹細胞治療であれば半月板をそのまま温存できますので、クッションがなくなる心配がありません。これにより将来、変形性膝関節症になるリスクを大きく減らすことができます。もちろん再断裂のリスクもありません。 幹細胞治療は手術を受けた後でも有効! 切除術で半月板を切り取ってしまうと、切り取った半月板が元に戻ることはありません。後戻りができない治療を受ける前に、再生医療を検討する価値は十分にあると言えます。 そして術後の再断裂の予防にも幹細胞治療は有効です。縫合術を受けたけれどもスポーツ復帰をした後に再断裂しないか心配になる方も多いかと思いますが、縫合術を受けた後に幹細胞治療を行えば、お互いの治療が相乗効果となり、より強固に半月板が修復されることが期待できます。 また切除術を受けた後、断面に新たな亀裂が生じ痛みが再発する場合もよくあります。しかし、多くのケースで「手術は成功しています。しばらく様子を見ましょう。」と言われるでしょう。 幹細胞治療は、再発した術後の痛みの原因となっている、新たな半月板損傷の治療としても有効です。 https://youtu.be/XvBHOHYYGd8?si=UMKs505wcfpN8nDY ▼ 半月板損傷を再生医療で治療する方法があります 再生医療なら半月板損傷は、手術せず、入院せず改善を目指せます ロッキングの場合は緊急手術が必要となることも 早急に手術が必要なケースは、痛みにプラスして半月板の引っかかりがあり、膝を動かせないなど、にロックがかかったようになる症状(ロッキング)の場合です。 ロッキングとは、傷ついた半月板が関節の中で挟まってしまい、膝をスムーズに伸ばせなかったり、曲げられずに、膝の動作に制限がある症状のことをいいます。 この場合は、膝が伸ばせないので歩行が困難となります。そのまま放置しておくと膝が拘縮を起こしてしまい、2度と膝をまっすぐ伸ばせない状態となることもあります。 ロッキングで異常をきたした場合には、すぐに病院やクリニックにかかることをお勧めいたします。 以上、膝半月板損傷の治療法と、手術のリスクについて解説いたしました。参考にしていただければ幸いです。 ▼以下もご参考にしてください 半月板損傷の手術!損傷のタイプで異なる手術の種類について
公開日:2024.11.06 -
- ひざ関節
- 動作時の痛み
- 変形性膝関節症
- 半月板損傷
- 靭帯損傷
膝関節が痛い!そんな時に疑われる病気と注意点、その治療について解説します 日常の生活で、階段の昇り降りや、立ったり、座ったり、ふとした時に膝に痛みや、違和感を自覚したことはありませんか? そんな時、その痛みに不安を感じはするものの、それ以外の状態で痛くなければ、「大丈夫だろうと・・・」医療機関を受診することなく放置しがちです。 いや、お待ちください!膝の痛みを放置すると重大な病気に繋がることがあります。 膝の痛みからくる疾患も早期発見、早期治療が大切。けして放置してはなりません!痛みは、身体のサインです! そこで、ふとした時などに、膝に痛みを感じたときに疑われる病気について解説してまいりましょう。 膝関節の痛みや違和感を感じる場面 ・階段の上り降り ・立つとき ・座るとき ・起床時のこわばり 私たちが膝を曲げ伸ばしするということを医学的に表現すると「脛骨の上を大腿骨が前後になめらかに転がっている状態」だとお考え下さい。これらの骨の表面には弾力性に富み、膝のスムーズな動きをサポートするための「軟骨」という、やわらかいクッションで覆われています。 そして、もう一つ大腿骨と脛骨の間に位置する半月板と呼ばれる部分があり、この部位は膝関節にかかる物理的な衝撃を吸収するというクッションの役割を果たしてくれています。 膝関節に痛みを感じるということは、これらの部分で何か問題が起きていると考えて良いでしょう。 そこで、膝に関する正しい知識を知っていただき、日々の適切なケアを継続すれば痛いといった「疼痛症状」を緩和させることが可能なことをお伝えできればと思います。 今回は、膝に痛みを感じた際に「どういった病気が疑われる?」のか」、そして膝の痛みを自覚するようになった場に「どのような対応策」があるのか?という2つの観点から解説してまいります。 膝が痛む場合、どのような病気が疑われるのか 通常、膝に痛みを生じさせる代表的な病気には「変形性膝関節症」と言われるものが最も多くみられます。 その他、運動などのスポーツ障害として「半月板損傷」や、「前十字靱帯損傷等」などが知られています。また、一部に「関節リウマチ」という場合もあります。 それ以外、膝の障害には以下のように多岐にわたる疾患があるため、自覚する症状によって自分で判断するのは難しいとお考え下さい。 膝が痛む場合、違和感がある場合は初期の段階、早めの受診をお勧めします。 「膝が痛む」ときに多い疾患 ・変形性膝関節症 ・関節リウマチ ・膝骨壊死症ほか ・半月板損傷 ・前十字靱帯損傷等 ・後十字靱帯損傷 ・内側・外側々副靱帯損傷 ・離断性骨軟骨炎 ・関節ネズミ ・オスグッド病 ・軟骨損傷ほか 変形性膝関節症について 変形性膝関節症は、加齢によって発症することが多い病気です。原因の多くは、年齢を重ねるごとに軟骨が少しずつ摩耗し、半月板が損傷、炎症が起こり、関節の変形がみられるようにもなります。 変形性膝関節症の初期段階では「座った状態から立ち上がる瞬間」や、「歩行を開始する時」などに膝に痛みを感じます。ただ、休息すれば自然と症状が改善する傾向にあります。 ところが、病状が進行すると正座をすることが難しくなり、階段を昇り降りすることが困難にもなります。さらに悪化すると安静にしている時でさえも膝の痛みがとれないようになります。 最終的に膝関節の変形が顕著になると歩行することが出来なくなってしまう進行性がある怖い病気です。 「変形性膝関節症」について知っておきたいこと ・進行する怖い病気です ・初期は立ち上がる瞬間や、歩行の開始時に膝に痛みを感じる ・そのうち正座ができない、階段を上り下りが困難となる ・末期では安静時も膝が痛み、膝関節の変形が顕著になると歩行も困難になる 本疾患における原因としては、加齢に伴って膝の関節内にある「軟骨組織が老化」することのみならず、肥満体形であることや、元々の遺伝的素因、そして膝関節周囲における骨折、病変や半月板損傷を始めとした外傷などの後遺症として発症することも往々にしてあります。 変形性膝関節症の発症原因 ・加齢で軟骨組織が老化する ・肥満体形で膝への負担が大きい ・遺伝的素因 ・膝関節周囲の骨折の後遺症 ・病変や半月板損傷外傷などの後遺症 変形性膝関節症は進行性の病気で元の状態に回復させることが困難な病気です。 いかに現状の状態を維持できるかといったことが治療の主眼となり、保存療法を中心としたリハビリが有効な治療法となります。 注意すべきは最終的に手術が必要になることです。それが「人工関節」という選択です。そうならないためにも、上記に記したような膝への痛みや、違和感を感じたら、早めに病院等にて診察を受けることです。万一、変形性膝関節症であった場合は、リハビリ等にて進行を、可能な限り遅らせるような取組みが可能です。 関連記事 変形性膝関節症の人がしてはいけない仕事とその理由 関節リウマチ 膠原病という自己免疫が関連した病気で膝関節のみならず手指、手関節、肘関節などを中心に身体のあらゆる関節で炎症が引き起こされる病気です。 関節リウマチを引き起こす要因としては未だに明確なことは判明していませんが、どうやら生体の自然免疫システムが発症に深く関係していると言われており、病状が悪化するメカニズムは最近の医学研究などによって少しずつ明らかになってきています。 本疾患における初期症状としては、関節自体に炎症が起こることに伴って関節部の腫れが認められ、それが膝部分で発症すると膝の関節に痛みが出現することになります。 さらに病状が進行してしまうと関節を構成している骨や軟骨などが破壊されることによって関節が変形して屈曲拘縮や関節脱臼など日常生活に多大に支障をきたすことに繋がっていまいります。 ▼合わせて読みたい 関節リウマチ放置してはいけない!初期症状と治療法 膝骨壊死症 骨壊死の特徴として、急な痛みがあります。変形性膝関節症にように病気が進行することで徐々に痛みが進行していくものとは違って骨壊死は、急に、突然に!痛みが発症する場合が多いと報告されています。 原因としては、軟骨の土台になっている軟骨下骨に微小骨折が生じて骨の壊死が発症していくと推測されています。夜間など寝ている時や、体を動かしていないのに膝の痛みがある場合に膝骨壊死(大腿骨内顆骨壊死、脛骨内顆骨壊死)が考えられます。 半月板損傷、前十字靱帯損傷等 これらの損傷は、比較的若い世代で起こることが多く、運動や、スポーツによって強い力を受けたときに生じる外傷によって膝に痛みがみられる場合に疑われます。 半月板損傷などは、年をとって弱くなった半月板に力が掛かると損傷することもあります。この場合は、日常の軽い怪我、転んだりした場合にも起こるため、年齢を重ねた場合は転倒や、つまずきに注意すべきでしょう。 半月板損傷や前十字靱帯損傷、軟骨損傷などでは膝が伸びないロッキングと言われる症状が出ることがあったり、膝が痛みと共に、曲がらなくなったり、走れなくなる場合があります。 また、前十字靭帯損傷には完全断裂や部分断裂、弛緩といった症状があります。 前十字靭帯は、膝関節の脛骨と大腿骨を繋いでいる靱帯で、この部分に強い力が加わることで断裂や伸びてしまったりして損傷が起こります。 この症状はスポーツや運動を行うことで発症することが多く、サッカーやラグビー、バレーボール、バスケットボール、スキーやスノボード。柔道や空手などの格闘技等、激しいぶつかり合いやジャンプしたり、急な捻りが起こったり、転倒が起こることで損傷することが多く見られます。 ▼こちらも合わせてご覧ください 半月板損傷は自然には治らない/その症状と治療法 変形性膝関節症の治療 膝関節痛の原因が「変形性膝関節症」の場合には、日常生活において、膝の周囲の筋肉、特に「ふとももの筋肉(大腿四頭筋)」を鍛えて、出来る限り「正座」の姿勢を取らないように心がけましょう。 また、肥満気味と指摘されれば減量が必要です。食生活を見直し、運動習慣を持つようにし、ダイエットに努めて下さい。また膝を極力冷やさずに血行を良好に保つ、そして毎日のトイレでは和式は避けて洋式トイレを使用する。また生活様式を畳などの和式から、机と椅子を用いた洋式に変更するように認識しておきましょう。 変形性ひざ関節症で注意したいこと ・正座を行わない ・肥満気味であれば食生活の見直し、運動でダイエットに取組む ・膝を冷やさないこと(冷房に注意、サポーターなどで保護も有効) ・洋式トイレを利用し、和式トイレは避ける ・畳の和式から、椅子とテーブルといった洋式に生活を変更する 変形性膝関節症の治療は、膝関節の痛みが軽度であれば鎮痛剤を内服するあるいは湿布などの外用薬を貼付する、あるいは膝関節内にヒアルロン酸を注射する処置を実施することがあります。 それに並行して保存療法(リハビリテーション)を行います。大腿四頭筋を強化するリハビリ訓練を受け、関節可動域を改善させるための理学療法を実践する、膝を温める物理療法を試みる、あるいは膝関節にかかる負担を補助するための足底板や膝専用装具を作成するなどの工夫策を組み合わせることになります。 これらの保存的な治療でも症状が改善しない場合には関節内視鏡手術、高位脛骨骨切り術、人工膝関節置換術などを中心とした手術治療を考慮することになります。 変形性ひざ膝関節症の治療 ・鎮痛剤 ・ヒアルロン注射 ・保存療法(リハビリ)大腿四頭筋を強化する ・理学療法で可動域を改善する ・膝の装具(サポーター等) ・足底版 手術による場合 ・関節内視鏡手術 ・高位脛骨骨切り術 ・人工膝関節置換術 ▼合わせて視聴したい 治療を行っても、一向に良くならないことはありませんか? https://youtu.be/o2ASEGbQ-R8?si=RlJCPeTjsyi2sDV8 こちらの動画では、変形性膝関節症と間違われやすい膝関節周辺の疾患5選をご紹介しています。是非ご覧ください。 関節リウマチ疾患の治療 膝関節の疼痛症状のみならず発熱や体重減少などの全身症状を合併することも多いため、病状の活動性が盛んな際には絶対的安静も必要になるでしょう。 本疾患の病状進行度は患者さん自身の日常生活の習慣と密接に関与していると考えられているため、周囲のサポート環境がリウマチ患者さんに日常生活指導を実践して生活習慣を改善させることで膝関節の痛みなどを代表とする症状を軽減させる効果が期待できます。 普段の食生活においてはタンパク質やビタミン成分、そして微量ミネラル元素などを中心にバランスに優れた食事内容を摂取することをお勧めしますし、体重が増加し過ぎて肥満にならないように心がけることが重要な観点となります。 関節リウマチに対する薬物療法としては、抗リウマチ薬や生物製剤を用いた免疫療法、ならびに原疾患に伴う炎症所見や痛みを緩和させる非ステロイド系鎮痛消炎剤などを用いた対症療法が主流となります。 膝関節における屈曲制限などを含めた機能障害の重症度によっては、その機能を回復させることを主目的として滑膜切除術や人工膝関節置換術などの手術療法を検討するケースも考えられます。 関節リウマチの治療 ・生活習慣の改善 ・タンパク質、ビタミン成分、ミネラルなどバランスの良い食生活 ・体重管理 ・抗リウマチ薬、生物製剤を用いた免疫療法 ・炎症所見や痛みを緩和させる非ステロイド系鎮痛消炎剤 手術 ・滑膜切除術 ・人工膝関節置換術 前十字靭帯損傷の治療について 損傷が起こった場合は、リハビリを中心とした運動療法を中心に理学療法、装具療法等の保存療法を行います。それでも症状が改善しない場合は、手術療法を検討することになります。 手術療法には、関節鏡視下にて行う低侵襲の手術であるため、術後の回復も早く、スポーツの場合では競技への復帰、また社会への復帰も早く見込めます。 ただし、注意点としては、靭帯損傷で適切な治療を行わないままに運動や、スポーツを継続すると半月板等、周囲の軟骨を損傷することとなりかねません。そうなると変形性膝関節症に移行しかねない危険性があります。 前十字靭帯損傷の治療 ・保存療法(リハビリ) ・装具(サポーター等) 手術 ・関節鏡視下手術 まとめ・膝関節が痛い!そんな時に疑われる病気と注意点、その治療について 膝関節痛を来す病気として代表的なものは変形性膝関節症や、半月板損傷、前十字靱帯損傷、関節リウマチが挙げられます。 これらの関節疾患に罹患した場合には、疼痛症状の度合い、病状の進行度、日常生活における支障度などにはそれぞれ個人差があるので、個々のケースに応じて状態を評価して綿密な治療計画を立案する必要があります。 これらの病気に対する治療や予防に関しては、まずは膝関節を含めて自分の身体の状態を適切に知ることが重要です。その詳細な症状や具体的な治療法、薬剤効果などを本人や家族自身が十分に向き合って理解することが重要な視点となります。 上記、どんな症状であっても初期の治療が非常に大切です。 治りきらないまま放置したり、運動を行うのは危険であることをご理解いただければ幸いです。 膝に痛みや違和感などがあって心配であれば、最寄りの整形外科クリニックや専門病院などの医療機関を受診して相談されることを検討しましょう。けして放置しないでください。 以上、関節の痛み!そんな時、どういった病気が疑われるのかについて記載しました。今回の記事、情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療で膝の関節症を治療する 膝に起こる各種関節の問題を再生医療の幹細胞治療で手術せずに症状を改善する ▼以下もご参考にしてください 膝の病気!鵞足炎と変形性膝関節症についてと、その違いを解説!
公開日:2024.11.06 -
- 半月板損傷
- 膝の外側の痛み
- ひざ関節
半月板損傷|ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について 半月板組織は、膝関節内部の内側(内側半月板と呼ばれる)と外側(外側半月板と呼ばれる)にひとつずつ存在しています。 半月板は主に大腿骨と脛骨などで形成される関節面に介在して膝関節の動きをスムーズにし、膝関節において屈曲伸展などあらゆる動きで膝関節を安定化させる役割を有しています。 更に、運動を行った場合、ジャンプなど、強度の外的なストレス、物理的な衝撃をできるだけ分散させるクッションのような機能を果たすなど大切な役割を担っています。 半月板の機能 ・膝関節なスムーズな動きをアシスト ・膝関節の安定性の確保 ・膝関節への衝撃を分散(クッション的な機能) したがって、これらの重要な役割を担っている半月板が、仮にスポーツ活動や日常動作などによって損傷してしまうと膝関節部の痛みや関節の可動域の制限といった症状が現れます。 半月板が損傷した初期にはその部分の安静を保ち、患部に対してヒアルロン酸注射による治療を実施することが主流になっていますが、このヒアルロン酸による注射投与について様々な理由で限界があることが知られています。 今回は、「半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の有効性や限界点」などについて順番に解説していきます。 1.半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の有効性 半月板損傷は、ジャンプをした際の着地や、ストップやターンを繰り返すような膝に大きく負担がかかる動作でバランスを崩した際などに起こりやすく、そんな場合、同時に側副靱帯や前十字靱帯など周囲組織の損傷を合併するケースも見受けられます。 半月板を損傷した場合には、多くの場合で対症療法にて様子を観察をし、保存的治療を行うことで症状が軽快すると考えられています。 半月板が断裂した程度が軽症の部類であれば、サポーターなどの装具やテーピングなどの補助器具による補強、あるいは疼痛軽減を目的として鎮痛剤などの投薬治療や運動器によるリハビリテーションを実践します。 スポーツや運動などで半月板を損傷したケースの初期では、患部の局所的な安静を保って関節部に注射を使って関節液を吸引、局所麻酔剤やヒアルロン酸注射による療法が主流となっています。 従来、抗炎症作用を狙って患部にステロイド注射を頻回に行っていた時代がありました。このステロイドは魔法の薬と呼ばれ炎症を抑制できるのですが、その逆の面もあり、様々な副作用に注意が必要です。 特に、最近では半月板を損傷した後にヒアルロン酸ナトリウム(商品名アルツなど)を関節内に注入する注射療法が一定の効果を示すと考えられています。 実は、膝関節軟骨の一成分でもあるヒアルロン酸物質は、水分の保有率が高いことが知られており、関節軟骨組織や半月板そのものが損傷した際に関節内部において潤滑油のような働きをして関節部の可動性を改善させると伝えられています。 ヒアルロン酸注射は、屈曲伸展などの関節可動域を拡大するのみならず、関節痛や腫れの改善にもある程度の効果が期待できるようです。 このヒアルロン酸による方法は、もともと高齢者における変形性膝関節症の治療用として開発され、普及してきたものですが、最近では外傷を起こしやすいスポーツ選手にもこのヒアルロン酸療法が使用されるようになりました。 実際にスポーツ選手における円板状半月板形成的切除術後のスポーツ復帰を考察した文献によると、術後3~6ヵ月で関節水腫を合併する症例が見られましたがヒアルロン酸の関節内注入と2~3週間の運動制限によって症状は消失したと報告されています。 ヒアルロン酸ナトリウムは、軟骨細胞に対する増殖作用や軟骨基質産生を促進する作用が報告されており、線維性軟骨からなる半月板組織にも好影響を与えることが予測されています。 2.半月板損傷に対するヒアルロン酸注射による治療の限界 前章でも説明した通り、ヒアルロン酸というのは関節の内部を満たしている関節内溶液の主成分とも言われるものです。このヒアルロン酸には、関節部の軟骨を保護して関節内部や滑膜周囲組織の炎症を軽減させる効果や、軟骨そのものの破壊を防止する機能があると伝えられています。 半月板損傷でヒアルロン酸注射を行う場合には、軟骨の主成分であるヒアルロン酸物質を関節内に注射を用いて直接、注入することになります。 この注射治療は、まずは1週間に1回のペースで開始して5週程度連続して実施することが多く、次の段階では、間隔を少しずつ空けていき、約2週間に1回のペースで注射を5回~10回前後継続して行います。 これらの治療を施行しても関節の疼痛が軽快しなければ、また元通り、週に1回にタイミングを調整しながら、概ね3か月程度様子を観察し、それでも著効しないケースでは根治的な手術治療を考慮することになります。 仮に半月板組織が損傷すると、損傷部位の炎症の広がることによって関節液が増えることになり、関節液内部のヒアルロン酸成分が分解されてしまうことで関節内のヒアルロン酸濃度が減少します。そのため内包液の粘度や弾力性が低下することに繋がります。 このような場合に、患部にヒアルロン酸を注射すると、関節液の粘り気や弾力度合いが一時的に回復する結果、膝関節の疼痛も改善するという治療効果が起こります。 しかし、気を付けて欲しい点として、「ヒアルロン酸の注射で得られる効果はあくまで短期的」であり、必ずしも長期間に渡って改善効果が続かないというものです。 1回のヒアルロン酸注射で期待できる効果(持続期間)は、長く見積もってもせいぜい1~2週間程度と言われています。ただ、長期間立て続けに繰り返しヒアルロン酸注射を実施した場合には、痛みを軽減する効果は徐々に減弱して、耐性が付いてくると効果も薄れてくることになります。 このことは、ヒアルロン酸自体が膝関節に悪影響を及ぼしているからではなく、注射によって一時的に症状が改善して痛みが緩和されることで日常生活において膝を酷使してしまい、関節機能を悪化させるといった原因が重なり、組織損傷のスピードを助長させてしまうからです。 また、ヒアルロン酸を半月板損傷部に注射して、痛みが薄れても、その部分の軟骨が自動的に再生するわけではないことも知っておくべきです。 このようにヒアルロン酸注射はあくまで緊急的にその場をしのぐ対症療法であり、根本的な解決にならないことは十分に認識して実践するようにしてください。 ヒアルロン酸注射の限界 ・ヒアルロン酸注射(治療)で得られる効果は短期的 ・症状の改善効果は一時的となる ・長期に投与すると耐性が付き効果が薄れる ・痛みが薄れても軟骨が再生するわけではない(根本的解決にはならない) まとめ・ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について 半月板損傷において、膝の痛みを和らげて軽快させる治療法として期待され、広く普及しているのが「ヒアルロン酸注射」です。 この療法は、注射をするだけ、治療時間そのものの短さも魅力的な要素であり、膝関節内部の潤滑油のような役割を果たしているヒアルロン酸自体を補充することによって軟骨組織を保護して半月板周囲の痛みを軽減させることで炎症の抑制に繋げることができるといた一定の効果を示しています。 しかし、ヒアルロン酸成分は時間が経って代謝の過程で分解されて体外に排出されると、その効果は失われますので、症状改善効果はあくまで一時的なものであることを念頭に置いておきましょう。 ヒアルロン酸注射による療法は単純な注射治療になりますので、忙しい日常生活を大幅に制限することはありませんが、ヒアルロン酸注射のみで根本的な治療は達成できないことを知っていただければと思います。 今回は、ヒアルロン酸注射の有効性と、その限界について記しました。 記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 半月板損傷|不可能といわれた軟骨を再生する再生医療 再生医療なら半月板損傷は、手術、入院をせずに軟骨を再生、症状の改善ができます ▼以下もご参考に! 半月板損傷は放置禁止|進行で重症化の恐れ!その症状と治療法
公開日:2024.11.06 -
- ひざ関節
- 半月板損傷
半月板の亀裂、組織が欠損する半月板損傷、その症状、痛みの原因と治療法 半月板というのは膝関節に位置する大腿骨と脛骨間に存在する線維軟骨を意味します。 一般的には、膝部分の内側と外側のそれぞれに存在し、主には膝にかかる荷重や負担を分散して物理的な衝撃を吸収する役割を有しています。 半月板損傷という病気は、膝関節内にある半月板に亀裂が生じる、あるいは組織が欠損する状態であり、若年者から高齢者まで発症し、慢性化すると変形性膝関節症を引き起こすことが懸念される病気です。本疾患に罹患した際には進行しないように早期に医療機関を受診し、適切に治療することが重要となります。 今回は、そのような半月板損傷という病気の原因、症状、検査、治療などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 1.半月板損傷、膝が痛む原因 近年、積極的にスポーツに取り組む人とそうでない人の二極化傾向が指摘される背景があり、通常の運動不足に伴う運動能力の低下のみならず、過度なエクササイズによって「スポーツ傷害」を引き起こしかねない、どちらにもリスクが存在するようになりました。 一般的に、スポーツや運動による膝の外傷には、大きく分類すると骨折、靱帯損傷、半月板損傷、軟骨損傷がメジャーな疾患となっていますが、このうち最も頻繁にみられるのが半月板損傷と言っても過言ではありません。 また、半月板損傷は運動時の怪我から発症する場合だけでなく、加齢により傷つきやすくなっている半月板組織に僅かな外力が加重されて損傷し変性断裂が引き起こされるケースが存在します。 外傷による半月板損傷では、急なターンなどスポーツ中に膝部を傷めて膝前十字靱帯の断裂に合併して引き起こされることもありますし、特に外側半月板損傷は内側に比べて発症率は少ないと言われているものの若年者でよく罹患すると考えられています。 外傷とはまったく関係なく発症するタイプには生まれつき半月組織が大きく分厚いのが特徴的な円板状半月の症例で半月板損傷を認める場合もあります。 2.半月板損傷の症状 半月板が仮に損傷すると膝部に強い痛みが生じて運動する際や膝を屈曲伸展するときに膝に引っかかり感を覚えることがありますし、症状が進行した場合には膝に関節液が貯留して急激に膝が曲げ伸ばしできなくなるロッキングという状態に陥ります。 万が一、半月板が損傷すると激痛のために歩行できなくなることも経験されますし、関節の内部で強い炎症を惹起して水が溜まって膝部分が顕著に腫れあがる、あるいは膝内部の関節区域で出血が引き起こされて血液が貯留することも考えられます。 3.半月板損傷の検査 仮に本疾患が疑われる際には医療機関で整形外科の医師などが用手的に半月板部分に外的ストレスをかけることで、痛み症状などを再現させる診察が施行されることも多いです。 理学的所見などに基づいて積極的に半月板損傷を疑うときには、追加で半月板損傷に伴う関節症変化の有無を評価できるレントゲン検査を始めとする画像検査が実践されます。 また、核磁気共鳴装置を用いて行うMRI検査の場合は、半月板そのものが撮影されないレントゲン写真とは異なって、半月板自体を写し出せるので半月板損傷の診断率が非常に高く有用であると考えられています。 MRI検査を施行することによって半月板に縦断裂や水平断裂、横断裂、弁状断裂を始めとしてどのような組織損傷が起こっているか把握することができますし、半月板の変性状態を推察することにも貢献します。 4.半月板損傷の治療 半月板損傷に対する主な治療策としては、大まかに言うと保存治療と手術療法があります。保存療法とは、一般的に安静を保持する、抗炎症薬などの薬物を内服する、リハビリテーションなどを行うことを意味します。 仮に、これらの保存療法を実践してみても、膝部の痛み、引っかかり感、ロッキングなどの症状が継続して認められる場合には手術療法を検討します。 手術療法には、半月板のなかで損傷した部分を切り取る切除術、ならびに損傷した部分を上手い具合に縫い合わせる縫合術のふたつのタイプが挙げられ、通常では関節鏡を駆使した鏡視下手術を施行することが主流です。 実際には、半月板手術例のうち約9割は切除術が選択されていますが、この方法では膝関節の衝撃を吸収して膝関節の安定性を保持する役割を持つ半月板の機能そのものが失われるため、将来的に変形性膝関節症へ進行するリスクが高率であることが指摘されています。 したがって、特に近年では可能な限り縫合術を選んで半月板を出来る限り温存するという考え方がメジャーとなっています。 まとめ・半月板の亀裂、組織が欠損する半月板損傷、その症状、痛みの原因と治療法 今回は半月板損傷とはいったいどのような病気なのか、また本疾患の原因、症状、検査、治療などについて詳しく解説してきました。 半月板という組織は膝関節の内部に存在している軟骨様の構造物であり、内側と外側に各々ひとつずつあり、主な役割としては関節に加わる体重の負荷を分散させて関節部を安定に保つ働きを担っています。 半月板には、軟骨部に荷重される物理的なストレスを軽減させる重要な役割があるために現在では手術療法を選択した際には出来る限り半月板を温存して残す治療方法が重要視されています。 以上、半月板損傷とは、その原因と症状、治療法についてご説明させていただきました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 ▼ 再生医療の幹細胞治療で半月版損傷を治療する 半月板損傷の新たな選択肢、再生医療の幹細胞治療で手術せず、入院も不要で症状をする ▼以下もご覧になりませんか 半月板損傷を早く治す!効果的なリハビリテーションの3つのステップ
公開日:2024.10.07 -
- ひざ関節
- 半月板損傷
半月板損傷と診断された場合、生活ではどのような点に注意すべきか知りたい方はいませんか。 半月板には、膝関節を滑らかに動かすための重要な役割があります。日常生活で半月板に負担がかかるような動作を行っていると、さらに症状が悪化する恐れもあるでしょう。 この記事では、半月板損傷後の生活でやってはいけないことや、具体的な治療法について解説します。 生活上の注意点について意識しておくことで、半月板の負担が軽減され、よりスムーズに治療を進められるでしょう。 >> 半月板損傷でやってはいけないことをすぐに知りたい方はこちら そもそも半月板損傷とは 半月板とは、太もも側の大腿骨と、すね側の脛骨の間に存在する軟骨でできた板のような組織です。アルファベットのC型のような特徴的な形状をしており、膝関節の内側と外側に1つずつ存在します。 膝には、以下のような関節を構成する組織があり、半月板は、それらを安定させる役割があります。 ・軟骨 ・靭帯 ・筋肉 ・腱 それ以外にも半月板は膝関節のクッションとして作用し、膝の荷重や衝撃などを軽減したり、膝の動きを滑らかにしたりする働きもあるのです。 このように、半月板は膝を構成する大切なパーツですが、急激な衝撃や過度な負荷がかかることで損傷する場合があります。 ここでは、半月板損傷の症状や原因について解説します。 半月板損傷の症状 半月板損傷のおもな症状は、以下のとおりです。 ・膝の痛み ・腫れ ・引っかかり感 ・関節がズレる感覚 ・動作時の関節の音 ・膝の曲げ伸ばしの困難さ(ロッキング) 人は歩くだけでも体重の5倍もの負担が膝関節にかかるといわれています。そのような負荷や強い衝撃を受け続けると、半月板の損傷につながります。 半月板は一度損傷すると自然治癒することはほとんどないため、治療が必要です。上記の症状が悪化すると、日常生活に支障をきたす恐れもあるでしょう。 また、半月板損傷は症状によって5つのタイプに分けられます。 1. 縦断裂 2. 横断裂 3. 円盤状断裂 4. フラップ状断裂 5. 水平断裂 詳しく知りたい方は以下の記事で解説していますので、興味がある方はぜひこちらもご覧ください。 半月板損傷の原因 半月板損傷で痛みが起こる原因は、大きく「筋収縮」と「炎症」の2種類に分類されます。 それぞれの原因によって起こる痛みのメカニズムは、以下のとおりです。 このように、痛みの原因は半月板だけというわけではなく、別の影響も関係しています。 半月板損傷でやってはいけないこと4つ 半月板損傷でやってはいけないこととして、以下の4つがあげられます。 ・急に方向転換をする ・階段の昇り降りをする ・立ちっぱなしや歩行を長時間行う ・正座や和式トイレの利用などの膝に負担がかかる姿勢をする ここでは、それぞれについて詳しく解説します。 1.急に方向転換をする 急な方向転換は膝を捻るような力が加わるため、半月板への負担がかかりやすく、痛みの悪化につながります。 方向転換する際は、ゆっくりと行うようにしましょう。 また方向転換に関わらず、どのような動作でも性急に行わないように注意することが大切です。 2.階段の昇り降りをする 階段の昇り降りの動作は膝関節にかかる負担が高く、頻繁に行うと症状が悪化する恐れがあります。 半月板損傷の方は階段の使用はなるべく控え、エレベーターやエスカレーターなどを活用しましょう。 階段を昇り降りしなければいけない場合は、手すりや杖の使用がおすすめです。 3.立ちっぱなしや歩行を長時間行う 長時間の立ちっぱなしや歩行も膝の負担がかかりやすいため、できるだけ避けましょう。 長時間立ったり歩いたりする必要がある場合は、以下のような対策をして膝への負担軽減を図ることが大切です。 ・杖を使用する ・途中で休憩する ・膝サポーターを装着する 4.正座や和式トイレの利用などの膝に負担がかかる姿勢をする 正座や和式トイレなどは膝を大きく曲げる必要があり、半月板や関節に負担がかかります。 とくに和室や古い建物で生活している方は、このような膝を大きく曲げるような動作が多い傾向にあります。 膝の負担を軽減するには、イスを中心とした生活に切り替える、洋式トイレに改修するなどの工夫が必要です。 【注意】半月板損傷を放置するリスク 半月板損傷によって半月板としての機能が損なわれている状態を放置すると、その間に軟骨に大きな負担がかかります。結果的に軟骨がすり減り、「変形性膝関節症」を発症する可能性があります。 変形性膝関節症が進行した場合、人工膝関節置換術(膝関節を人工物に入れ替える手術)を行わなければいけないケースもあるでしょう。 半月板損傷が発症した場合は放置せずに治療を行い、回復に専念することが大切です。 半月板損傷を発症したら早期に医療機関に受診し、適切な治療を受けましょう。 変形性膝関節症と半月板損傷の違いや症状について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。 半月板損傷の治療方法 半月板損傷の治療法としては、おもに以下があげられます。 ・保存療法 ・手術療法 ・再生医療 ここでは、それぞれの治療方法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法ではリハビリを中心に行い、必要に応じて膝にたまった水を抜く、潤滑性と抗炎症作用が期待できるヒアルロン注射をするなどの対応をします。 痛みや炎症がある場合は鎮痛剤や炎症剤などの薬物を用います。 このような保存療法でも痛みが強く、改善の見込みが薄い場合は、手術療法を検討する必要があるでしょう。 手術療法 手術療法では、膝の状態にあわせて以下の術式が行われます。 ・縫合術:断裂した半月板を縫い合わせる手術 ・切除術:断裂した半月板を取り除く手術法 ただし、これらの手術を行った場合でも、将来的に変形性膝関節症を発症するリスクがあります。そのため、手術後もリハビリや薬物療法などの保存療法は欠かせません。 手術をする場合は入院も必要となり、とくにスポーツをされている方は、復帰までに時間がかかる可能性があります。 半月板損傷の手術のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しています。手術についてさらに情報を知りたい方は、ぜひこちらも記事もご覧ください。 再生医療 これまで半月板損傷の根本的治療には手術が必要でしたが、「再生医療」という新しい選択肢も生まれています。 再生医療の1つに、自身の脂肪から採取・抽出し培養で増やした「幹細胞」を膝に直接注射する方法があります。幹細胞とは、傷ついた半月板を修復させ、痛みや炎症を抑える効果が期待できる細胞です。 自分自身の脂肪から培養する細胞なので、アレルギーや副作用のリスクが低く、患者さんの身体への負担が少ないのが特徴です。 また、外科的な手術に比べて治癒までの期間が短い傾向にもあります。 入院する必要がなく、手術を受けずに治療できるため、とくにスポーツ選手にとっては大きなメリットといえるでしょう。 身体にメスを入れずに済み、パフォーマンスを極力落とさずに治療を受けられます。 まとめ|半月板損傷のやってはいけないことを避けて症状改善を目指そう 半月板損傷は膝の半月板と呼ばれる軟骨が傷ついている状態のことで、痛みや炎症などの症状が現れます。 半月板損傷は自然治癒が期待できず、放置すると症状が進行し、日常生活に支障をきたす恐れがあります。 そのため、発症後は早期からの治療が重要です。 おもな治療法には保存療法や手術療法があり、新しい選択肢として再生医療もあります。 半月板損傷を発症したら、まずは医療機関へ受診し、その方の症状にあった治療を受けましょう。 半月板損傷に関するよくある質問 ここでは、半月板損傷に関してよくある質問に対してお答えしています。半月板損傷に関して疑問がある方は、ぜひこちらも参考にしてみてください。 半月板損傷を早く治す方法はありますか? 半月板損傷を早く治す方法としては、再生医療があげられます。前述したように、再生医療は自身の細胞や組織を活用し、傷ついた部位の再生を図る治療法です。 入院や手術をする必要がないので、身体に負荷をかけず、効率的に治療を進められるのがメリットです。 半月板損傷に対して効果的な治療をさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
公開日:2024.11.10