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- 腱板損傷・断裂
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
肩の痛みや可動域の制限が続くと、「腱板断裂なのか、それとも五十肩なのか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違いは、肩の腱(筋肉と骨をつなぐ繊維状の組織)が損傷しているかどうかにあります。しかし、いずれも肩の痛みや可動域の制限といった共通の症状を伴うため、見た目だけでは判別できず自己判断は難しいのが現実です。適切に対処するためには、それぞれの原因や治療法の正しい理解が必要です。 この記事では、腱板断裂と五十肩(四十肩)の特徴や診断方法、治療の選択肢についてわかりやすく解説します。長引く肩の痛みにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩の痛みでお悩みの方や再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違いを原因・症状等の観点で解説 腱板断裂は肩の筋肉(腱板)が損傷・断裂する疾患であるのに対し、五十肩(四十肩)は肩関節周囲の炎症によって関節が硬くなる疾患です。 それぞれの違いを簡潔にまとめると以下です。 項目 腱板断裂 五十肩(四十肩) 名称 腱板断裂 肩関節周囲炎 原因 加齢による腱の変性、外傷、反復動作による負荷 肩関節周囲の組織の炎症 原因 肩の動作時の痛み、夜間痛、運動痛 肩の動作時の痛み、可動域の制限 可動域の制限 ある程度腕は上がる 全方向で制限される 筋力の低下 あり 二次的にあり 自然治癒 難しい 可能 腱板断裂とは 名称 腱板断裂 原因 加齢による腱の変性、外傷、反復動作による負荷 主な症状 肩の動作時の痛み、夜間痛、運動痛 可動域の制限 ある程度腕は上がるが、特定の角度で引っかかりや痛みが強くなる 筋力の低下 断裂した腱の機能が失われるため、腕を上げるなどの動作で明らかに筋力が低下する 自然治癒 自然治癒は困難で、放置すると悪化するリスクがある 腱板断裂は、肩の腱板の損傷により発症します。主な原因は加齢による腱の脆弱化に加え、転倒やスポーツによる外傷などです。腱が損傷することで肩の筋力が低下し、腕が上がりにくくなるといった可動域の制限が見られます。 腱板が完全に断裂した場合、自然治癒は非常に難しく、放置すると断裂部が拡大したり、肩関節の機能がさらに悪化したりする可能性があります。(文献1) 五十肩(四十肩)とは(肩関節周囲炎) 項目 五十肩(四十肩) 名称 肩関節周囲炎 原因 滑液包や関節包など肩関節周囲の組織の炎症 主な症状 肩の動作時の痛み、可動域の制限 可動域の制限 痛みと拘縮により肩の可動域が全方向で著しく制限される 筋力の低下 肩を動かせない結果として筋力の低下が起こる 自然治癒 時間がかかるが自然に改善していく傾向がある 五十肩(四十肩)は、肩関節周辺の組織に炎症が起こることで、肩の痛みや可動域制限が生じる疾患です。「四十肩・五十肩」は通称であり、正式な診断名は「肩関節周囲炎」です。 関節包が全体的に硬くなることで、腕を上に上げる・ひねる・背中に回すといったあらゆる方向への動作が困難になります。 自然に改善する傾向がありますが、個人差が大きく数カ月で軽快する方もいれば、2年以上症状が続くこともあります。(文献2) 【関連記事】 腕を上げると肩が痛いのは五十肩(四十肩)?原因や治し方を解説 四十肩・五十肩とは?違いは?医師が徹底解説 腱板断裂と五十肩(四十肩)の疑いがあるときにやってはいけないこと 腱板断裂と五十肩(四十肩)の疑いがあるときは、以下の動作は避けましょう。 高い位置にある荷物を持ち上げたり降ろしたりする動作 首の後ろ側で腕を動かすような姿勢 上半身の筋力を使って重い物を持ち上げる動き 肩を後ろに引いた状態で行う腕の上方向への運動 とくに注意したいのが、肩を大きく動かしたり、無理な体勢で力を入れたりする動きです。たとえば腕を頭より高く上げる動作や、後方にねじるような姿勢は、肩の可動域を超える力が加わり、損傷の悪化を招く恐れがあります。 日常生活では悪化を招く動作を無意識に行うことがあるため、肩に痛みを感じているときは、動作全体を丁寧に見直すことが重要です。 腱板断裂と五十肩(四十肩)のどちらか診断する方法 腱板断裂と五十肩(四十肩)は、いずれも肩に痛みや動かしにくさが出る疾患ですが、原因や治療法は異なります。以下では主な診断方法について解説します。 身体診察 画像診察(X線・MRI・超音波検査) 身体診察 肩の痛みや動かしにくさを感じる際、まず行われるのが身体診察です。身体診察とは、肩の可動域や、腕を上げる際の筋力、痛みの種類などを詳しく確認する診察方法です。 自力で腕を上げようとすると痛くて上がらないものの、他人が支えるとある程度腕が上がる場合は五十肩(四十肩)の可能性が考えられます。 一方で特定の方向へ腕を上げる際に明らかに筋力が低下し、腕を保持できない症状が見られると腱板断裂が疑われます。 画像診察(X線・MRI・超音波検査) 身体診察で疾患が疑われた場合、より確定的な診断のために画像診察が行われます。主な検査方法は以下の通りです。 検査項目 特徴・診断できること X線(レントゲン)検査 骨の状態を確認するのに有効。腱板断裂では、断裂が進行すると骨の変形や骨棘が見られることがあるが、五十肩では骨に異常はない場合が多い。 MRI検査 腱や筋肉など軟部組織の状態を詳細に映し出す。腱板断裂の有無、大きさ、損傷度を正確に診断し、五十肩と鑑別するのに最も有効。 超音波(エコー)検査 リアルタイムで腱の動きや断裂を簡便に確認可能。腱の炎症や水腫も把握でき、初期診断や経過観察に適している。 これらの画像検査結果を総合的に判断して腱板断裂か五十肩(四十肩)かを診断し、適切な治療方針を決定します。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の治療方法 腱板断裂と五十肩(四十肩)は、原因や重症度によって治療法が異なります。ここでは、代表的な保存療法と手術療法について詳しく解説します。 保存療法 手術療法 保存療法 腱板断裂や五十肩(四十肩)の治療は、症状が軽度な場合や日常生活に大きな支障がない場合には、保存療法が第一選択となります。炎症の抑制や可動域の改善を目的として、以下のような療法が用いられます。 消炎鎮痛薬の内服・湿布 注射治療(ヒアルロン酸、ステロイド) 温熱療法や電気治療 リハビリテーション(可動域訓練・筋力強化) 保存療法は五十肩の自然治癒が見込まれるケースや、腱板断裂が小さく筋力の低下が軽微な場合に有効です。 手術療法 保存療法で十分な効果が得られない場合や、症状が重度で日常生活に著しい支障をきたす場合には、手術療法が検討されます。 とくに腱板断裂では、断裂の大きさや筋肉の変性の有無などにより手術適応が判断されます。 術式名 特徴・内容 鏡視下腱板修復術 小さな切開を伴う内視鏡手術。断裂した腱板をもとの位置に縫い付ける。回復が早く、合併症のリスクが少ない。 腱板移植術 広範囲の腱板断裂で縫合が難しい場合に、他部位の筋膜を移植して補強する手術。 リバース型人工関節置換術 重度の腱板断裂によって肩の安定性が失われている場合に、人工関節で可動性と機能を回復する手術。 五十肩(四十肩)では、強い癒着や拘縮が残り保存療法で改善が見られない場合に限り、関節包を切り離す手術が行われることもありますが、そのケースは非常に稀です。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の予後と回復期間 腱板断裂と五十肩(四十肩)は、予後や回復期間にも違いがあります。 五十肩は自然治癒が期待でき、保存療法で数カ月〜1年程度で改善するケースが多いのに対し、腱板断裂は損傷の程度や治療内容によって回復期間が大きく異なります。 以下の表で主な違いをまとめました。 項目 腱板断裂 五十肩(四十肩) 予後 断裂が残ると筋力低下や痛みが残る場合がある 多くは自然に治癒する 回復期間 保存療法:数カ月〜(断裂は残存) 手術療法:数カ月〜1年程度 保存療法:数カ月〜1年程度 五十肩(四十肩)では、最終的に症状が改善するケースが多く見られます。一方腱板断裂の場合、断裂の度合いに応じた治療選択が、その後の肩の状態を左右する重要なポイントとなります。 腱板断裂や五十肩の症状や後遺症にお悩みなら再生医療もご検討ください 腱板断裂や五十肩の症状が長引いている、または回復に不安を感じている方は、新たな選択肢として再生医療も検討してみてください。 再生医療は、患者様自身の脂肪から取り出した幹細胞や血液を利用する治療法で、手術や入院を必要としないのが特徴です。 当院「リペアセルクリニック」では再生医療に精通した医師が、患者様の状態に応じて個別に治療方針をご提案いたします。再生医療について詳しくは、以下をご覧ください。 腱板断裂と五十肩(四十肩)の違いを理解して適切に対処しましょう 腱板断裂と五十肩(四十肩)は、似たような肩の痛みを伴いますが、原因や症状、治療法が大きく異なるため、正確な診断と適切な対処が重要です。安易に自己判断せず、専門医による身体診察や画像診断を通じて自身の症状の正しい把握から始めましょう。 症状が長引いたり、改善が見られなかったりする場合には、再生医療の選択肢もあります。当院「リペアセルクリニック」では、再生医療に関する専門的な知識と経験をもとに、患者様の状態に応じた個別の治療プランをご提案いたします。 長引く肩の痛みや機能の低下でお悩みの方は、お気軽にリペアセルクリニックへご相談ください。 (文献1) 腱板断裂(けんばんだんれつ)|独立行政法人国立病院機構 霞ヶ浦医療センター (文献2) 五十肩(ごじゅうかた)|独立行政法人国立病院機構 霞ヶ浦医療センター
2022.06.10 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
腱板断裂(腱板損傷)とは、肩の関節を安定させるための筋肉(腱板)が傷ついたり、腱組織が断裂して切れていたりする病気です。 腱板は、肩のなかで最も損傷を受ける部位であり、腱板が損傷すると腕の力が入らなくなり、とくに腕を上げようとしたときに痛みを引き起こします。 また、夜に激しく痛み、眠れなくなる経験をした方もいるのではないでしょうか。 本記事では、肩に激しい痛みを起こす腱板断裂(腱板損傷)において、やってはいけないことや先端医療による治療について詳しく解説します。 日常生活の動作が原因となることもあるため、どのような動作を避けて安静を保つと良いのか、この記事を参考に取り入れてみてください。 また、腱板断裂や肩の痛みに対して、つらい痛みからの解放されたいという方は、再生医療も選択肢の一つです。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 腕が思うように動かない、動かす時に痛みがある 手術を避けたい 今後悪化するのが怖い 長期の入院やリハビリができない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 実際に当院(リペアセルクリニック)の治療を受けた方の症例については、以下の動画でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/cweMZTxZFg8?si=cRpZSys8ihe_a0al 辛い肩の痛みから解放されるためにも、ぜひ当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないこと4つ 腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないことは、以下の4つです。 頭上へ重いモノを持ち上げる・下す動作 首の後ろで腕を動かす動作 上半身の力を使って重いものを持ち上げる動作 肩を後方に回した位置で行う上運動 腱板損傷直後は基本的に、肩周囲の安静を保つべきです。通常は三角巾を用いて、腕の動きを最小限にするように配慮します。 安静は急性期における対処法ですが、急性期が過ぎた後も、できる限り避けた方が良い動作があります。 肩を後方に回した位置で行う運動腱板損傷後に避けるべき動作を紹介しますので、一つずつチェックしながら症状を悪化させないようにしていきましょう。 頭上へ重いモノを持ち上げる・下す動作 腱板損傷を発症した後、とくに発症初期は以下のような動作や運動は控えたほうが良いでしょう。 頭上に手を持っていく動作 頭上へ重いモノを持ち上げる動作(重い荷物を上げたり、高所から下すような動作) また、ボールを投げるような動きや、ジムでバーベルを頭の上に持ち上げるなどのウェイトトレーニングは、しばらく行わないようにします。 これらの動きは、肩に過度のストレスを与えるだけでなく、損傷した部位にさらなる傷害と痛みを引き起こす可能性があるのです。 したがって、腱板損傷後は「オーバーヘッドでボールを投げること」「重いボールを上半身の力に頼って投げること」「水泳のクロールや背泳のように、頭上に右手を持ってきて力を入れて引き下げる」ようなストロークを避ける必要があります。 首の後ろで腕を動かす動作 バーベルやバーなどを、頭や首の後ろで上下させる運動も避けるべき動作のひとつです。 この運動は、腱板に過度の負担をかけ、さらなる肩の問題や慢性的な痛みを引き起こす危険性があります。この動作の問題は、肩の「外旋(骨を外側にねじるような運動)」にあります。 頭や首の後ろで上下させる運動では、肩をしっかりと外旋させる必要がありますが、これは肩にとって非常に負担のかかるポジションです。 この動きをすると、関節を構成する組織をさらに損傷してしまい、治癒までの時間が非常に長くなりかねません。 上半身の力を使って重いものを持ち上げる動作 上半身の力を使って重いものを持ち上げる動作も非常にリスク高く、別名アップライトローと呼ばれる動作です。 アップライトローはジムでよく見かけるエクササイズのひとつですが、このエクササイズのメカニズムを見れば、なぜこの動作が腱板損傷後に避けるべき動作であるか、理解できるでしょう。 アップライトローは、上半身を起こした状態で肩を開き、両手に持ったバーベルなどの重りを首元まで引き上げ、持ち上げる動作です。 このエクササイズの問題は、腕を置かなければならない位置にあります。この位置は「内旋」と呼ばれ、アップライトローをするために腕を挙上させると、腱板が肩の骨に挟まれます。これは腱板損傷を引き起こす原因となる動作そのものでもあります。 肩を後方に回した位置で行う上運動 肩を後方に回した位置で行う上運動で避けるべき運動としては、ベンチディップスとも呼ばれるエクササイズが該当します。 具体的には、椅子などに両手をついた状態で腰を座面よりも低い位置まで落とし、肩を後方に回した状態で、主に二の腕に相当する上腕三頭筋に負荷をかける運動です。 ベンチディップスは、腰を落としすぎて上腕が肩と平行な位置以上になってしまうと、肩関節に過度な負荷がかかります。 肘を開きすぎても閉じすぎても、上腕三頭筋に負荷がかかるため、腱板損傷後には避けるべき動作のひとつです。 より詳しく腱板断裂について知りたい方は以下の記事も参考にしてください。 腱板断裂(腱板損傷)が改善しない場合は再生医療 腱板損傷は、時間が経てば肩の炎症は徐々に落ち着きますが、放置すると悪化する恐れがあり、最悪の場合、完全断裂のリスクがあります。 症状が改善されなければ、手術が必要になることも考えなければなりません。 しかし、近年では身体への負担が大きい手術を回避でき、入院や長期間のリハビリが不要の「再生医療」といわれる先端医療で、損傷した腱板の再生を期待できます。 一般的な腱板損傷の手術では「再断裂」や「関節拘縮」のリスクがありますが、再生医療ではそうした後遺症の可能性について軽減できる点がメリットです。 リペアセルクリニックが提供している再生医療は幹細胞治療と呼ばれるもので、注射だけの日帰り治療で腱板の再生が期待できる治療方法を採用。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 長期間の入院はできない方 身体への負担を出来る限り抑えたい方 症状に再生医療が適応するかどうか、まずは当院(リペアセルクリニック)の 無料電話カウンセリング でご相談ください。 まとめ|腱板断裂(腱板損傷)でやってはいけないことに注意して負担を減らそう! 本記事では、腱板損傷後に避けるべき動作、やってはいけないこと4つをご説明しました。 腱板損傷後は、時間が経てば肩の炎症は徐々に落ち着いていきます。 外傷後や症状がなかなか改善しない場合は、どうしても手術を検討しなければなりません。 しかし腱板断裂手術に伴う主なリスクとしては、以下のようなものがあります。 術後の再断裂 関節拘縮(肩が動きにくくなる状態) 「手術しか選択肢がないと言われた」「今の痛みが本当に治るのか不安」という方は、手術を避けられる再生医療も検討しましょう。 当院(リペアセルクリニック)では、腱板損傷をはじめとする肩に関する病気にお悩みの方を対象に無料相談を実施していますので、ぜひご相談ください。 腱板断裂(腱板損傷)やってはいけないことのよくある質問 腱板断裂(腱板損傷)やってはいけないことに関するよくある質問と回答は、以下のとおりです。 腱板断裂(腱板損傷)を放置するとどうなる? 腱板断裂(腱板損傷)はどれくらいで治る? 腱板断裂(腱板損傷)を放置するとどうなる? 放置した場合、肩の機能が低下し、別の病気に移行する可能性があります。腱板断裂を放置しても自然に治ることは期待できず、治療やリハビリが欠かせません。 放置をして、症状が進行すると手術による修復が難しいだけでなく、人工関節手術を検討する可能性もあります。 以下の記事で、腱板断裂を放置するリスクなどについて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。 腱板断裂(腱板損傷)はどれくらいで治る? 損傷の程度によって異なりますが、日常生活できるまでは2〜3カ月が目安です。 肩周囲に多くの負担をかけるスポーツや重労働の場合は、6カ月を目安としてください。 治療方法によっても回復期間は変わるため、専門医と相談しながら適切な対応が重要です。
2022.06.09 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
ある日突然起こった、肩の激痛に悩んでいませんか。また、「なぜ自分がこのような痛みに襲われたのか」「この辛さはいつまで続くのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。 突発的な肩の痛みは、「石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)」の可能性があります。 石灰沈着性腱板炎は、肩の腱板にカルシウムが沈着することで激しい痛みを引き起こす疾患です。40〜50代の女性に多く見られ、夜間の激痛や肩の動かしにくさに悩まされる方も少なくありません。 本記事では、石灰沈着性腱板炎の原因やメカニズム、症状について詳しく解説します。また、石灰沈着性腱板炎の治療法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩の痛みについて気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 石灰沈着性腱板炎とは 石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)は、肩の腱板内にリン酸カルシウム結晶が沈着し、炎症を引き起こすことで激痛が生じる疾患です。(文献1) 石灰沈着性腱板炎は40〜50代の女性に多く見られる傾向があります。 「五十肩(肩関節周囲炎)」と症状が似ていますが、別の病気です。石灰沈着性腱板炎はより激しい痛みを特徴とし、突発的に発症するケースが多いです。 石灰の沈着は体のさまざまな部位で起こることがありますが、肩の腱板に生じた場合は「石灰沈着性腱板炎」と呼ばれます。 石灰沈着性腱板炎の原因|石灰ができる理由とメカニズム 石灰沈着性腱板炎の原因は単一ではなく、複合的な要因が関係していると考えられています。 ここでは、石灰沈着性腱板炎の原因やメカニズムについて、以下の順序で体系的に解説します。 石灰沈着性腱板炎の原因は「不明」とされている 加齢による腱の変性が関係している可能性 肩の酷使や血行不良との関連性 体質・遺伝・代謝異常の影響 石灰沈着から痛みが起こるメカニズム 石灰沈着性腱板炎の原因は「不明」とされている 現状の医学的見解として、石灰沈着性腱板炎の原因ははっきりと解明されていません。なぜ特定の人にだけ石灰が沈着するのか、明確な答えは出ていないのが現状です。(文献2) 疫学的な傾向としては、40〜50代の女性に多いことや、糖尿病との関連性が指摘されていますが、いずれも現時点ではっきりとした裏付けはありません。 ただし、一般的には「加齢」や「肩の酷使」など、いくつかの要因が関係していると考えられています。 次項からは、一般的に言及されている「主な要因」を解説します。 加齢による腱の変性が関係している可能性 石灰沈着性腱板炎の発症には、加齢に伴う腱板の変化が関与している可能性があると考えられています。 加齢とともに腱板周囲の血流が低下すると、酸素や栄養が届きにくくなり、古くなった組織の入れ替えや、日常動作で生じる小さなダメージの修復が進みにくくなります。 このような変化が起こると、石灰が沈着しやすい環境が生じる可能性があるのです。 また、石灰沈着性腱板炎は40〜50代の女性に多いことが疫学的に報告されており、閉経に伴うエストロゲンなどの女性ホルモンバランスの変化が、腱の代謝や修復過程に影響を与えている可能性も示唆されています。 女性ホルモンの分泌量が低下すると、組織の柔軟性や修復力に変化が生じることが知られており、こうした変化が「石灰沈着の起こりやすさに関与しているのではないか」と考えられています。 肩の酷使や血行不良との関連性 石灰沈着性腱板炎の発症には、肩の酷使や腱板周囲の血行不良が関与している可能性が指摘されています。 腱板は血流が比較的乏しい組織です。長時間の同じ姿勢や、肩に負担のかかる動作の繰り返しで、組織への酸素や栄養の供給が不足しやすくなります。 血流が低下すると、腱板組織の代謝や修復機能が十分に働かず、低酸素状態から石灰が沈着しやすい環境が生まれると考えられています。 また、デスクワークによる猫背姿勢や、腕を高く上げる動作(オーバーヘッド動作)を繰り返すと、腱板に対する負担となります。 こうした慢性的な負荷が組織の微細な損傷を引き起こし、結果として石灰沈着が起こりやすくなる可能性が示唆されています。 体質・遺伝・代謝異常の影響 石灰沈着性腱板炎は、体質や遺伝的な要因、体内の代謝の違いが関係している可能性も指摘されています。 とくに、糖尿病や甲状腺の病気などの内分泌疾患がある方は、石灰沈着がみられる割合が高いとする報告があります。(文献2) また、とくに思い当たる原因がないのに発症した場合、生まれつきの体質や遺伝的な素因が関与している可能性も否定できません。 ある研究では、糖尿病のある人は、糖尿病のない人と比べて、肩に石灰沈着がみられる割合が高いことが報告されています。(文献3) ただし、これらはいずれも発症に関わる可能性が示唆されている要因であり、遺伝や代謝異常だけで発症が決まるわけではありません。 石灰沈着から痛みが起こるメカニズム 石灰沈着性腱板炎の痛みは、石灰が沈着・変化していく過程と深く関係しています。 石灰沈着は一般的に、以下の段階を経て進行すると考えられています。 段階 石灰の状態 主な特徴 痛みの出やすさ 形成期 ミルク状〜やや硬い状態 腱板内に石灰が沈着し始める ほとんどないことが多い 静止期 練り歯磨き状〜石膏状 石灰の大きさが安定し、変化が少ない 軽い痛み、または無症状 吸収期 柔らかく崩れやすい状態 体が石灰を異物として認識し、吸収が始まる 強い痛みが出やすい 修復期 石灰が消失・減少 炎症が落ち着き、腱の修復が進む 痛みは徐々に軽減 (文献2) なお、石灰沈着性腱板炎の特徴として、強い痛みが生じやすいのは「吸収期」です。 吸収期には、体が沈着した石灰を異物として認識し、免疫反応によって石灰を分解・吸収しようとします。この過程で炎症反応が強く起こり、炎症性物質が放出されるため、突然の激しい肩の痛みや夜間痛が生じると考えられています。 石灰沈着性腱板炎の原因になり得る食べ物はある? 現時点の医学的知見では、特定の食べ物が石灰沈着性腱板炎の直接的な原因になるという証拠はありません。 よくある誤解として、「カルシウムを多く摂ると肩に石灰が沈着するのではないか」という心配がありますが、食事から摂取したカルシウムはそのまま腱板に沈着するわけではありません。 一方で、間接的な影響として注意すべき点もあります。 糖尿病や脂質異常症などの代謝性疾患がある場合、石灰沈着性腱板炎の発症リスクが高まる可能性が示唆されています。そのため、高カロリー・高糖質な食事を過剰に続けると、結果的にリスクにつながる可能性も否定できません。 また、水分不足にも注意が必要です。適切な水分補給は血流や代謝を保つ上で欠かせず、脱水状態が続くと、腱板への栄養供給に影響を及ぼす可能性があります。 石灰沈着性腱板炎の予防や全身の健康維持のためにも、バランスの取れた食事と十分な水分摂取を心がけましょう。 石灰沈着性腱板炎の症状|痛みはいつまで続く? 石灰沈着性腱板炎の主な症状は、突然起こる肩の強い痛みです。とくに夜間や安静時に痛みが出やすく、痛みで眠れなくなることもあります。 痛みの強さや続く期間は、発症からの時期によって異なります。 時期 目安となる期間 症状・痛みの特徴 急性期 数日〜数週間 ・突然の激しい痛み ・安静にしていても痛む 亜急性期 数週間〜数カ月 ・痛みが徐々に軽減 ・動かしたときに違和感が残る 慢性期 6カ月以降 ・動作時の鈍い痛み ・腕を上げる、後ろに回す動作がつらい 多くの場合、強い痛みは数週間で落ち着き、その後は動作時の痛みや違和感が続く傾向があります。 ただし、痛みの持続期間や程度には個人差があるため、強い痛みが続く場合は医療機関を受診しましょう。 石灰沈着性腱板炎の治療法 石灰沈着性腱板炎は多くの場合、主に以下4つの治療法が用いられます。 薬物療法 理学療法(リハビリ) 注射療法 手術療法 ここからは、石灰沈着性腱板炎の治療法について解説していきます。 薬物療法 石灰沈着性腱板炎の薬物療法では、炎症や痛みの緩和を目的に、以下の薬を処方します。 薬ごとの種類や特徴は以下のとおりです。 薬の種類 詳細 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) ・薬物療法の第一選択肢 ・炎症を抑え痛みを和らげる効果が期待できる ・ロキソニンやボルタレン、湿布などが該当する ・痛みが軽度なら内服薬、重い場合は外用薬が適用されるケースが多い 鎮痛剤 非ステロイド性抗炎症薬は、痛みがある場合に処方される ステロイド薬 ・炎症を抑える強めの薬 ・肩への局所麻酔するケースもある ・長期使用は腱を弱める可能性があるため要注意 理学療法(リハビリ) 薬物療法で痛みに十分対処した後、中等度または重度の症例では、可動域を回復させるために理学療法(リハビリ)を行います。 リハビリの種類 詳細 ストレッチ ・肩の可動をスムーズにするため実施 ・実施しないと肩の動きの制限や痛みが発生しやすい 筋肉トレーニング ・肩周辺の関節や筋肉強化が目的 ・関節の安定につながり再発予防が期待できる 運動療法 ・ボールやタオル、ゴムバンドなどを使った運動 ・日常生活の動作をスムーズにさせるために実施 手術をしない場合は、肩の動きを回復するための穏やかなリハビリを行います。具体的には、振り子のように腕をわずかに振るリハビリがよく行われます。 石灰沈着性腱板炎のリハビリについては、以下の記事で具体的な方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。 注射療法 石灰沈着性腱板炎の注射療法は、薬物療法や理学療法で改善されなかった場合に検討される治療法です。直接肩へ注射する治療法のため、高い効果が期待できる反面、長期的な使用には注意が必要です。 注射の種類 詳細 ステロイド注射 ・痛みに対する強めの薬 ・即効性はあるがステロイド薬同様、長期使用する上で注意が必要 ヒアルロン酸注射 ・肩の関節の可動域をスムーズにしたいケースで行う なお、局所への注射だけでなく、急性期にミルク状のリン酸カルシウムを吸引するケースもあります。肩に局所麻酔を施した後に腱板まで針を刺し、固まる前のリン酸カルシウムを手動で吸引し、除去できます。 針を正しい位置に誘導するために、超音波で確認しながら行うケースもある治療法です。 手術療法 薬物療法や理学療法などで石灰沈着性腱板炎の改善が見られない場合は、手術療法が検討されます。とくに、慢性期で日常生活に支障をきたすほどの痛みが続いている方は、手術が必要です。 石灰沈着性腱板炎の手術では、関節鏡手術(小さなカメラを関節内に入れて行う手術)を実施します。身体への負担が比較的少なく、術後1週間程度で日常生活の基本動作が可能になるケースが多いです。 ただし、完全な回復にはリハビリが必要であり、痛みの程度や回復力には個人差があるため、3カ月以上かかる場合もあります。 手術も再発も避けたい方へ「再生医療」という選択肢 再生医療は、手術を伴わない治療法として選択する患者様もいます。 保存療法や薬物療法で改善が見られない場合は手術が必要になることもあり、手術跡や身体への負担を気にされる方も少なくありません。 一方、石灰沈着性腱板炎の再生医療においては、患者様自身の脂肪由来の幹細胞を用いて、組織の修復を促す治療を行います。手術のように大きな切開を必要としないため、体への負担が比較的少ない点が特徴です。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩の痛みについて気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 まとめ|石灰沈着性腱板炎の原因を把握して適切な治療を受けよう 本記事では、石灰沈着性腱板炎の症状や原因、治療法などを解説しました。 石灰沈着性腱板炎は腱板断裂や五十肩とも症状が似ているため、十分に認識されていない方もいます。 「肩の痛みがなかなか治らない」「肩の痛みの原因を知りたい」など、肩の痛みにお悩みの方は、無理をせず医療機関を受診しましょう。 治療法としては、薬物療法や手術の他に再生医療という選択肢もあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療に関する情報の提供や簡易オンライン診断を行っております。肩の痛みでお悩みの方は、ぜひご登録ください。 石灰沈着性腱板炎に関するよくある質問 石灰沈着性腱板炎がコーヒーと関係するのは本当? 石灰沈着性腱板炎とコーヒーは、直接的な因果関係について証明されているわけではありません。 しかし、不規則な食生活が間接的に石灰沈着性腱板炎の原因になり得る可能性も示唆されています。 過剰摂取は避けましょう。 石灰沈着性腱板炎になった場合は仕事を休むべき? 石灰沈着性腱板炎になった場合に、激しい痛みが伴うのであれば仕事を休むのがおすすめです。 とくに、肩を使う動きの多い肉体労働をしている方は、症状を悪化させてしまう可能性があるため注意してください。 また、治療法や個人の回復力にもよりますが、2〜3カ月の休業が伴うケースがあります。 長期休業になるため、医師の診断書をもとに休業補償を受けられるか、会社に確認しておきましょう。 石灰沈着性腱板炎はどのくらいで治る? 石灰沈着性腱板炎は多くの場合、薬物療法で改善します。 ただし、薬物療法や注射療法を実施して、約3カ月で改善する方もいれば、4年経過しても痛みが残ったケースもあります。(文献4) なかには、痛み止めの内服により2週間程度で改善される方もいるため、治療期間は人によって異なると把握しておきましょう。 参考文献 (文献1) 「石灰沈着性腱板炎(石灰性腱炎)」|日本整形外科学会 (文献2) Calcific Tendinitis of the Rotator Cuff: A Review|J Clin Diagn Res. (文献3) Increased risk of shoulder calcific tendinopathy in diabetes mellitus: A nationwide, population-based, matched cohort study|Int J Clin Pract (文献4) Calcifying subacromial syndrome--clinical and ultrasound outcome of non-surgical therapy|Z Orthop Ihre Grenzgeb
2022.06.06 -
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
腕を上げたときに肩が痛む原因は、五十肩(四十肩)だけではありません。 肩腱板損傷やインピンジメント症候群など、さまざまな疾患が関係している可能性があります。 しかし、その中でも特に中高年層に多く見られ、日常生活に影響を与えるのが五十肩(四十肩)です。 本記事では、腕を上げると肩が痛くなる原因のうち、特に五十肩に焦点を当て、症状の進行段階や治療方法について詳しく解説していきます。 適切なケアを知り、症状の改善を目指しましょう。 腕を上げると肩が痛い原因 腕を上げたときに肩が痛む原因には、大きく3つの疾患が考えられます。 「肩腱板損傷」「インピンジメント症候群」「五十肩(四十肩)」の3つです。 いずれも肩関節の構造や使い方に関連しており、特に加齢や繰り返しの動作によって発症しやすい特徴があります。 肩腱板損傷 肩腱板とは、肩のインナーマッスルである「棘上筋」「棘下筋」「小円筋」「肩甲下筋」の4つの筋肉で構成される組織のことです。 これらの筋肉が肩関節を安定させ、スムーズな動きを可能にしています。 しかし、加齢やスポーツ、重いものを持つ動作の繰り返しによって肩腱板が損傷すると、腕を上げる際に痛みを感じるようになります。 特に、「腕を上げようとすると肩の奥にズキッとした痛みが走る」「腕を動かすときに引っかかる感じがする」といった症状が特徴的です。 初期段階では痛みが軽度でも、進行すると夜寝ている間に肩が痛んだり腕が上がらなくなることもあります。 肩腱板損傷について詳しくは、以下の記事もご覧ください。 インピンジメント症候群 インピンジメント症候群は、肩を上げる動作を繰り返すことで、肩の骨(肩峰)と腱板・滑液包が衝突し、炎症を起こす疾患です。 スポーツや仕事で頻繁に腕を使う人に多く発症しますが、加齢によって肩関節周囲の筋肉や腱が弱くなったり、摩耗したりすることで発症するケースもあります。 特に、40代以降では肩のクッションの役割を果たす滑液包がすり減りやすくなるため、インピンジメント症候群を引き起こすリスクが高まります。 「肩を上げると痛みが出る」「肩がゴリゴリ鳴る」「ある角度で痛みが強くなる」といった症状がある場合は、早めに対処することが重要です。 放置すると肩の可動域が狭くなり、五十肩と同じように動かしづらくなることもあります。 インピンジメント症候群について詳しくは、以下の記事もご覧ください。 五十肩(四十肩) 五十肩(四十肩)は、肩関節の周りに炎症が起こり、腕を上げる動作や後ろに回す動作が痛みで制限される疾患です。 主に40代〜50代以降の人に発症しやすいことから、このように呼ばれています。 「腕を上げると肩が痛い」「一定の角度以上に腕が上がらない」「夜間痛がひどく、眠れないことがある」といった症状が特徴的です。 発症の原因は明確には分かっていませんが、加齢に伴う関節や腱の変性、炎症が関与していると考えられています。 次の章では、五十肩がなぜ痛みを引き起こすのか、詳しく解説していきます。 五十肩(四十肩)の正式名称である「肩関節周囲炎」は腕を上げるとなぜ痛い? 五十肩(四十肩)は、正式には「肩関節周囲炎」と呼ばれ、肩の関節を構成する組織(腱板、関節包、靭帯など)に炎症が起こることで発症します。 腕を上げたときに痛みを感じるのは、関節の可動域が制限されたり、炎症によって肩の動きがスムーズにいかなくなったりするためです。 一般的に五十肩(四十肩)は、「肩関節周囲炎」と言われることが多いのですが、詳細には以下も含まれます。 五十肩(四十肩)の正式な病名 病名 影響を受ける部位 症状 肩関節周囲炎 肩関節の周囲全体 肩関節周囲の炎症により痛みや可動域制限が起こる 腱板炎 腱板(肩のインナーマッスル) 腱板が炎症を起こし、腕を上げると痛みを感じる 上腕二頭筋長頭腱炎 上腕二頭筋の腱 腕を前に上げたり、ものを持ち上げると痛みが走る 腱板疎部炎 肩前方の腱板疎部 肩を回す動きで痛みが強くなる 五十肩(四十肩)の原因|加齢による変化と炎症の関係 五十肩(四十肩)の主な原因は、加齢による肩関節周囲の組織の変性(劣化)と考えられています。 年齢を重ねるにつれて、関節を構成する腱板や靭帯、関節包が硬くなり、炎症を起こしやすくなるためです。 具体的には、以下のような変化が五十肩の発症に影響しています。 関節包の硬化:肩関節を包む関節包が加齢とともに弾力を失い、動かすと痛みを感じるようになる。 血流の低下:加齢により肩周囲の血流が悪くなり、修復能力が低下し、炎症が長引きやすい。 腱板の変性:腱板のコラーゲン繊維がもろくなり、小さな負荷でも炎症が起こりやすくなる。 また、普段から肩を動かす機会が少ないと、関節の柔軟性が低下しやすく、五十肩のリスクが高まることも分かっています。 そのため、肩を適度に動かし、柔軟性を維持することが予防にもつながります。 以下の記事も参考にしてください。 五十肩(四十肩)の症状を3段階のステップごとに解説 五十肩(四十肩)は「炎症期」「拘縮期」「回復期」の3段階で症状が変動していくと考えられており、最初は強い炎症に伴う痛み症状を認めたのちに肩関節の拘縮症状が引き起こされ、次第にその拘縮具合も軽快していくとされています。 それぞれの段階で症状が異なり、適切な対処法を知ることが早期回復のポイントになります。 炎症期(初期) 炎症期は、五十肩の最初の段階で、強い痛みが特徴です。 期間:約2週間〜数ヶ月(個人差あり) 主な症状 痛みが強くなる(特に夜間に激しくなる) 動かすと鋭い痛みが走る(特に腕を上げる・後ろに回す動作) 安静時にもズキズキ痛むことがある 対処法 肩の安静を保つ(無理に動かさない) 痛みを和らげるために消炎鎮痛剤を使用(湿布や飲み薬) アイシング(冷やす)や温めるケアを行う(炎症が強い場合は冷やす) 夜間痛がひどい場合は医師に相談し、痛み止めや注射を検討 拘縮期(中期) 炎症が落ち着くものの、肩の動きが極端に制限される時期です。 期間:約数ヶ月〜1年 主な症状 痛みは減るが、可動域が狭くなる 肩が固まり、動かしづらい 腕を上げたり、背中に手を回す動作が困難 日常生活に支障が出る(服の着脱、髪を結ぶなど) 対処法 無理のない範囲でストレッチ(可動域を広げるため) リハビリを始める(痛みが少ない範囲で軽い運動) 肩を温めることで血流を促進し、回復をサポート 回復期(後期) 肩の動きが少しずつ回復し、日常生活が楽になる時期です。 期間:約半年〜1年以上(症状の程度による) 主な症状 痛みはほとんどなくなる 可動域が広がり、肩の動きが回復 腕を上げたり、後ろに回す動作がスムーズになる 対処法 積極的にストレッチやリハビリを行う 日常生活の動作の中で肩を意識的に動かす 軽い筋力トレーニングで再発予防をする 五十肩(四十肩)おすすめの治療方法 五十肩(四十肩)は放置しても自然に回復することが多いですが、症状が長引いたり、生活に支障をきたすこともあります。 痛みや可動域の制限を改善し、スムーズな回復を促すためには、薬物療法・リハビリ・ストレッチ・手術など、症状に合わせた治療が重要です。 薬物療法|痛みを和らげるための鎮痛剤や注射治療 肩関節部の強い痛みによって夜も眠れない、ほとんど肩を動かせない状態と判断された場合には、その強い炎症を鎮めるために消炎鎮痛剤などの薬物を服用することをおすすめすることになります。 具体的には、炎症を抑える作用があるステロイドを主に肩関節内に関節注射として投与する、あるいは副作用がそれほど強くない非ステロイド系の消炎鎮痛剤を飲み薬として投薬することが多いです。 リハビリ・ストレッチ|肩の可動域を広げるトレーニング 肩の炎症がある程度治まり、痛みが和らいできた段階では、可動域の制限が残ることがあります。 このようなときには、硬くなった肩の動きを改善するために、ストレッチや運動療法(リハビリ)が必要です。 おすすめのリハビリ・ストレッチ 振り子運動 肩にかかる負担を最小限にしつつ、滑らかな動きを促す基本的な体操。 方法:痛みのない方の手で机などに体を支え、上半身を前に傾けます。痛む側の腕を自然に垂らし、前後・左右にゆっくりと揺らすように動かします。 テーブルスライド 肩を前方に伸ばす可動域を広げるストレッチ。 方法:椅子に座ってテーブルに両手を置き、腕を伸ばした状態で前に滑らせながら、上半身を倒します。肩の前面が伸びているのを意識しましょう。 クロスボディストレッチ 肩の後ろ側の柔軟性を高める運動。 方法:立ったまま、痛みのある腕を反対側の肩方向へ横に伸ばします。もう片方の手で肘を軽く押さえながら、胸に近づけるように引き寄せます。 手術|関節鏡手術の適応とは? リハビリや薬物療法を続けても、肩の動きが十分に回復せず、慢性的な痛みが解消しない場合には、「関節鏡下授動術」という手術が選択肢に入ります。 この手術では、関節内部をカメラで確認しながら、癒着して硬くなった関節包を電気メスなどで丁寧に剥離します。 肩の可動域が悪くなる原因のひとつは、炎症によって関節包が厚く固まることです。 この癒着を解除することで、術後には肩の動きが大きく改善することが期待できます。 まとめ|五十肩は適切な治療とリハビリで改善できる! 五十肩(四十肩)は、加齢や肩関節の組織に起こる炎症が原因となり、腕を動かす際に痛みが出たり、動かしづらくなることがあります。 とくに腕を上げる、肩を水平に保つといった動きが難しくなり、洗濯物を干す動作や、背中のファスナーを閉めるといった日常の動作に支障が出るケースも多いです。 ただし、早期に医療機関を受診し、炎症を抑える治療や可動域を広げるリハビリを続けることで、徐々に痛みが和らぎ、日常生活の動作が楽になる人も多くいます。 肩の動きに違和感や痛みを感じたときは、放置せず、悪化を防ぐためにも早めの対応が大切です。 五十肩(四十肩)の治療方法には、再生医療という選択肢もあります。 再生医療について詳しくは、以下をご覧ください。
2022.05.25 -
- ひざ関節
- 脊椎
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- 肘関節
- 手部
- 足部
「MRI検査って結果が出るまでの時間はどのくらいなのか」 「時間がかかるなら予定を組みたいから事前に知っておきたい」 人間ドックでも使用する機会が増えてきたMRI検査ですが、人によっては所要時間以前に検査を受けることが難しい場合があります。 本記事ではMRI検査でできる内容や、注意点について解説します。MRIを用いた検査を予定している人で、本記事で記したMRI検査の注意事項に当てはまる人は、検査の前に担当の医師に申告するための準備ができるので、ぜひ参考にしてください。 MRI検査とは MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)検査とは、強力な磁場を発生させるトンネルのような装置の中で、身体の内部の断面をさまざまな方向から撮影する検査です。 MRI検査は、ベッドに横たわり検査が始まるとベッドが自動で動いてトンネルのような装置の中に入っていきます。磁場が発生するときは工事現場のような大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓をして検査を行う場合もあります。 工事現場の音 80〜85デジベル MRI検査の音 120デシベル程度 MRI検査でわかること MRI検査は、全身の疾患について調べられますが、以下の部位における高い検査能力が特徴的です。 四肢(両手、両足) 関節軟部組織 脊椎 脳 膝 肩 子宮 卵巣 血管 など 骨や、その周辺にある軟骨の状況も精査できるほか、脳を含む頭部や骨盤内の臓器などを検査する際に使われます。 MRI検査とCT検査との違い MRI検査と同じように身体の内部を撮影する検査として「CT検査」があります。MRI検査と同様にトンネルに入って行うもので装置の見た目も似通っているのですが、大きな違いがあります。 それは「CT検査は放射線を使った検査」「MRI検査は磁場と電波を使った検査」の違いです。放射線を使わないMRI検査の方が身体への負担が少ないと考えられます。検査の原理や得意な部位の違いは以下の表でまとめました。 検査原理 得意な部位 MRI検査 磁場と電波 整形外科の主な症状 腱板損傷、腱板断裂、関節損傷、靭帯損傷、半月板損傷、頸椎症、胸椎・腰椎ヘルニア、頸椎ヘルニア、脊髄腫瘍、骨軟部腫瘍、その他 脊髄、関節、脳、骨盤腔内臓器 ※関節軟部組織の描出が得意 CT検査 放射線 骨、脳、肺、腹部 MRI検査の結果が出るまでの所要時間 MRI検査の所要時間は20~45分です。似ている検査方法のCT検査は10~15分なので、比較すると少し長い時間がかかります。身体を動かすと画質が落ちてしまうため、検査中はなるべく身体を動かさないことが重要です。 また、MRI検査の結果が出るまでの期間は、検査当日すぐに出る場合もあれば、7~10日間ほどかかる場合もあります。医療機関によって変わるため事前にご確認ください。 MRI検査当日の所要時間:20〜45分 MRI検査の結果が出るまでの期間:当日または7〜10日 MRI検査の全体的な流れ MRI検査の当日は以下の流れで検査が行われています。 受付しつつ注意事項の確認 問診完了後、検査着にお着替え 検査室に移動しMRI検査の実施 MRI検査終了後、来院時の服にお着替え お会計 MRI検査の結果は郵送でお知らせするケースが大半ですが、必ず担当医に「どのような方法で検査方法が知らされるのか」を確認しておきましょう。 MRI検査の注意点 MRI検査は、強力な磁石と電磁波を使用するので、MRIの検査室内には金属類の持ち込みを一切禁止しています。たとえば金属類が該当し、ファスナーやチャック、金属製のボタンなどが付いた服装では検査できません。 また、女性の方はホック付きのブラジャーも着用できない可能性があるため注意が必要です。その他、バッグはもちろん、携帯電話や腕時計、財布などの貴重品、身に付けているアクセサリーを含めた金属類はすべて取り外してもらうのが必須です。ヘアピンなども忘れがちですので注意してください。 医療機関では、MRI検査で検査着に着替える場合が多いため、なるべく金属が付いておらず着替えやすい服装で来院するとスムーズに検査を受けられます。 金属が付いていなくても発熱系素材の下着なども注意が必要です。 インプラントも素材によっては難しい場合があるので、入れ歯も外してもらう必要があります。 身につけてはいけないものや注意が必要なもの一覧 MRI検査当日は、以下の服装やアクセサリー類などを身につけて来院される場合は注意が必要です。 MRI検査時に注意が必要なもの一覧 身に着けてはいけないもの、注意が必要なもの ファスナー、金属ボタンのついた衣類 メイク、マニキュア(アイシャドウ、マスカラ、ネイルアートに注意) 入れ歯、(インプラントは事前相談が必要です) 腕時計、メガネ、へアピンなどのアクセサリー類 コンタクトレンズ(事前相談が必要です) コルセット系の下着、ホックが付いた下着・衣類 金属のついている服や下着 発熱保温機能付の衣料(ヒートテック等) など 体内にペースメーカーなどを埋め込んでいる人 MRI検査は、強力な磁石や電波を使うため、火傷などの事故が起こらないよう十分に気を付けなければなりません。人によっては、身体の状態や状況によってMRI検査を受けるのが難しいと判断されるケースがあります。 以下の事項に当てはまる人は、MRI検査を受けられない場合があるため注意が必要です。 体内に金属(インプラント、ペースメーカーなど)を埋め込んでいる人 手術などで体内に金属、プレートやボルトを埋め込んでいる人は、MRI検査で使用する磁石と金属が反応して検査画像の乱れや火傷の原因となる可能性があります。 金属を体内に埋め込んだ症歴がある場合は、検査を受ける前に必ず申告し「MRI検査が可能であるか」を確認しておきましょう。治療を受けた病院で、金属の種類を事前に確認を求められるケースもあります。 体内に金属類を埋め込んでいる人で注意が必要なケース一覧 心臓ペースメーカー 骨折で体内に金属が入っている 脳動脈クリップ 血管ステント挿入 人工内耳、人工中耳 脳深部刺激装置 入れ墨、アートメイク リフトアップを金糸で行った場合・ 妊娠中、または妊娠の可能性 金属片が飛び散る職場での勤務 閉所恐怖症 ※上記でもチタンを用いたら、検査を受けられる場合もあります 刺青やアートメイクをしている人 刺青やタトゥーで検査ができないケースについて不思議に思う人も少なくないでしょう。実は刺青やタトゥーの色素に鉄などの金属が含まれている場合があり、MRI検査の強力な磁石と反応すると火傷を引き起こす可能性があるからです。 アートメイクの場合も、使用される金属の量はわずかですが、ごくまれに刺青と同様に検査画像が乱れてしまいます。火傷を引き起こす可能性もあるため、同じく注意が必要となります。たとえばマグネットネイルやミラーネイルなども変色の恐れがあるので注意しましょう。 刺青やアートメイクをしている人は、MRI検査を受ける前に必ず担当医師へ申告しましょう。 閉所恐怖症/狭いところが苦手な人 MRI検査は、狭いトンネルのような空間で行われるため、狭いところが苦手な人や閉所恐怖症の人は事前に申し出るのをおすすめします。MRI検査の検査時間は、長いと40分ほど必要になるため、閉所恐怖症の人は注意が必要です。 狭いところが苦手なのを事前に伝えておけば、医療機関によってはMRI機器の明るさを調整したりできる場合があります。検査機関によっては、オープン型のMRIを使用できるので事前に確認しておきましょう。 また、我慢できない場合は検査員に知らせるためのスイッチがあるので、気持ちを楽にしてお受けください。MRI検査について不安な点があれば、たとえ些細なことであっても検査を行う前に医療機関へ相談しましょう。 メイクやコンタクトレンズを着用をしている人 MRI検査を受ける際は、通常のメイクであっても注意が必要です。メイクをしたままMRI検査を受けるのは大きなリスクが伴います。 アイシャドーやマスカラ、アイラインなどの化粧品は、種類によって金属が含まれている場合があるため、検査画像の乱れや火傷を引き起こす恐れがあります。 正しく検査を終えられるように、MRI検査が始まる前までにメイクを落としておきましょう。 コンタクトレンズ(とくにカラーコンタクトレンズ)も注意が必要です。コンタクトレンズには鉄成分が含まれている場合があるため、コンタクトレンズをつけたままMRI検査を受けると検査画像への影響や火傷の危険があります。 コンタクトレンズを使用している人はMRI検査の前に外しておくか、検査の日は眼鏡をかけて来院し、検査中は眼鏡を外すような対応を行うのが無難です。 その他食事などにおける注意事項 MRI検査で腹部や骨盤の検査をする人は「食事の制限はしておくべきか」気になる人も多いでしょう。腹部や骨盤のMRI検査では、約6時間前までに食事を済ませてもらうよう案内しています。 水の摂取に関しては、MRI検査の直前までは問題ありません。とくに骨盤のMRI検査を受ける人は、来院の1時間前までに排尿を済ませておいてもらう必要があります。仮に来院1時間を過ぎたタイミングで排尿された場合は、300ml程度の水を摂取してから検査を受けましょう。 まとめ・MRI検査と検査を受ける際の注意点を把握しておこう MRI検査の造影剤は、被ばくの危険性がないため、CT検査よりも身体に負担の少ない検査であると言われています。しかし、体内に金属を埋め込んでいる人や刺青をしている人は危険が伴うため検査が受けられない場合があることを把握しておきましょう。 メイクをしたままやコンタクトレンズを付けたままの状態でMRI検査を受けるのも大きなリスクが伴います。必ずMRI検査を受ける前に注意事項を確認しておきましょう。
2022.04.18 -
- 腱板損傷・断裂
- 肩関節
「腱板断裂の手術後の再断裂の原因って何」 「腱板が再断裂しないか不安」 このような不安を抱える方は多いでしょう。 腱板断裂は断裂の範囲や手術後の負荷などによって再断裂する可能性があります。日常生活から再断裂を予防する意識が大切です。 本記事では、腱板が再断裂する原因や再断裂する確率、再断裂後の治療法について詳しく解説します。 腱板の再断裂を予防する方法も紹介しますので、腱板断裂の手術後の方や再断裂の不安がある方は、ぜひ最後までご覧ください。 腱板が再断裂する3つの原因 腱板が再断裂する主な原因は以下の3つです。 断裂が広範囲 加齢による影響 手術後の過負荷 順番に見ていきましょう。 断裂が広範囲 腱板の断裂が広範囲に及んでいる場合、修復した腱板が再び切れてしまうリスクが高まります。一般的に、断裂範囲が5㎝以上のものを「広範囲断裂」と呼びます。 広範囲断裂では、修復難易度が上がり、手術後の再断裂率が50%に達するという報告もあります。(文献1) また、断裂部分の筋肉に「脂肪変性」という、筋肉が脂肪に置き換わってしまう状態が強く現れると、腱板全体の強度が低下し、再断裂しやすい傾向が認められます。 とくに、肩を外側に回す際に重要な役割を果たす棘下筋の脂肪変性が進行しているケースでは、再断裂のリスクがより高まるとされています。 加齢による影響 年齢を重ねることも、腱板再断裂の一因となる場合があります。 加齢に伴い、腱板組織そのものの修復能力が徐々に低下するため、手術で修復しても治癒に時間がかかったり、強度が十分に回復しなかったりするケースも少なくありません。 さらに、高齢の方は栄養状態が低下している場合があり、これも再断裂リスクを高める要因です。ある研究では、手術前の栄養状態が低いと、再断裂のリスクが約5.6倍に上昇するという報告がなされています。(文献2) 良好な栄養状態を保つことは、腱板の修復を助ける大切なポイントであると考えられます。 手術後の過負荷 腱板の手術を受けた後、肩に過度な負荷がかかることも再断裂を引き起こす原因の1つです。 手術によって腱板は修復されますが、すぐに元の健康な状態に戻るわけではありません。とくに手術後間もない時期は、修復した部分の縫合がまだ不安定な状態にあります。 この時期にリハビリテーションで無理をしたり、日常生活で肩を使いすぎたりすると、修復部分の治癒が妨げられ、再断裂につながる可能性が高まります。 腱板が再断裂する確率【なりやすい時期も紹介】 腱板の手術後、修復した腱板が再び断裂してしまうケースは、一定の確率で起こります。 手術後の再断裂率は約16%であり、断裂が広範囲だった場合、再断裂率は50%にのぼるという報告も見られます。(文献1) 再断裂が起こりやすいのは、手術を受けてから間もない期間です。修復された腱板の強度がまだ十分でない手術後6カ月間は、とくに注意が必要な期間と言えるでしょう。 リハビリテーションの期間の目安としては、日常生活への復帰であれば手術後2〜3カ月程度、スポーツや重労働といった肩へより大きな負担がかかる活動への復帰は、6カ月程度が1つの目安とされています。 もちろん、これは個々の状態や断裂の程度によって異なります。このリハビリテーション期間中は、修復した腱板に過度なストレスをかけないよう、医師や理学療法士の指導をしっかりと守り、焦らず慎重に肩をいたわる生活を心がけることが大切になります。 腱板の再断裂で見られる症状 腱板が再断裂してしまうと以下のような症状が現れます。 肩の痛みと可動域制限 肩の筋力低下 肩を動かしたときの異音 どれも初回の腱板断裂時と似たような症状です。初めて腱板断裂になったときと同様の症状を感じたら、病院受診を検討してみましょう。 肩の痛みと可動域制限 再断裂が起こると、肩の痛みが再び現れる場合があります。この痛みは以下の3種類に分けられるのが特徴です。 安静時痛:じっとしているときもズキズキと続く痛み 運動時痛:肩を動かしたときに鋭く走る痛み 夜間痛:夜間に強くなる痛み とくに夜間痛は、再断裂した側の肩を下にして寝ていると圧迫されて痛みが強くなり、睡眠を妨げることも少なくありません。 運動時の痛みは、腕を高く持ち上げようとしたり、後ろに回したりする動作で顕著になります。このような痛みによって、肩を動かせる範囲(可動域)が狭くなり、生活の中で不便を感じる場面が増える傾向が見られます。 肩の筋力低下 腱板は肩関節を安定させ、腕を動かす重要な筋肉群です。再断裂すると、肩や腕の筋力が弱まり、日常生活で力が入らないと感じるようになります。 具体的には、以下のようなケースが起こりえます。 物を持ち上げようとしても力が入らない 腕を上げた状態でキープするのが難しい 腕全体に力が入らない脱力感を覚える このような筋力低下は、腱板そのものが断裂してうまく力を伝えられなくなるだけでなく、断裂によって肩関節の安定性が損なわれることも要因の1つです。 関節が不安定になると、周囲の筋肉が正常に機能しにくくなり、結果として肩全体の力の低下につながるのです。 肩を動かしたときの異音 腱板が再断裂すると、肩を動かした際に「ゴリゴリ」「ポキポキ」あるいは「ジョリジョリ」といった異音を感じるケースがあります。これらの音は、医学的には轢音(れきおん)と呼ばれます。 この異音が発生する主な原因は、断裂してしまった腱板の断端やささくれた部分が、肩を動かすことによって関節内の骨や組織と擦れ合ったり、引っかかったりするためです。 とくに腕を上げ下げしたり、回したりするような動作の際に、肩の奥で何かが擦れるような、あるいは引っかかるような感触と共に音が聞こえます。 ただし、肩の関節は複雑な構造をしており、異音が発生する原因は腱板断裂だけではありません。 そのため、音がするからと言って必ずしも再断裂を意味するわけではないのですが、他の症状と共に異音が気になる場合は、専門医へ相談しましょう。 腱板が再断裂した際の治療方法 腱板が再断裂した際は以下の治療法が用いられます。 保存療法 手術療法 再生医療 治療方法を知ることで不安の軽減につながります。 保存療法 一般的に、外傷によって腱板断裂を認めた際には、三角巾で数週間安静を保ちます。断裂部そのものが完全に修復治癒する場合はないものの、約7割は症状が軽快すると考えられているのが一般的です。 仮に腱板断裂に加えて肩関節周囲炎を合併し、強い夜間痛を認めた場合には、炎症を抑制する副腎皮質ホルモンと鎮痛作用を有する麻酔剤を肩峰下滑液包に局所的に注射して症状推移を経過観察します。 断裂部以外の健常に残っている腱板機能を活性化させることが重要となります。このような腱板機能をリハビリ訓練する手段は有効と考えられるでしょう。 また、ストレッチ運動で腱板断裂の完全な治癒は期待できませんが、関節の可動域を良好にする、あるいは腱板周囲の筋肉群の緊張を和らげて肩の痛みを軽減させる効果が期待できます。 手術療法 保存療法で肩の痛みや動きが改善しない場合、関節鏡視下手術や直視下手術を検討します。関節鏡視下手術は身体への負担が軽く術後の痛みも少ないですが、断裂が大きい場合は直視下手術が選ばれる場合もあります。 腱板断裂は治療後に再断裂する可能性があり、縫合した糸と組織の摩擦が原因です。再断裂すると損傷が広がり修復は難しく、再手術の精神的負担も大きいため、術後の再発予防は重要になります。 手術方法に関わらず、再断裂を防ぐには術後約1カ月の患部固定が不可欠です。装具で固定するため、日常生活は大きく制限されます。長期固定で肩が固まる関節拘縮が起こりやすいため、防ぐには数カ月のリハビリ継続が大切です。 再生医療 腱板の再断裂に対して再生医療も選択肢の1つです。再生医療は、ご自身から採取した幹細胞を患部に注射する治療法であり、入院が不要です。 糸で縫い合わせる治療ではなく、注射による治療のため再断裂のリスクが少なくなります。また、長期間の固定を必要としないため日常生活への影響も最小限で済みます。 腱板断裂の治療において、再断裂のリスクを抑えたい場合は、再生医療も検討してみましょう。 こちらの動画でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。 https://www.youtube.com/watch?v=bKupVfsXpHM 腱板断裂(再断裂)を予防する方法 腱板が断裂するのを予防するには以下の方法があげられます。 手術前の栄養状態を改善する 日常生活で肩に負荷をかけないようにする 専門家指導のもと正しいリハビリをおこなう 難しいことではないので、1つずつ意識していきましょう。 手術前の栄養状態を改善する 手術を受ける前から、体の状態を整えておくことは、スムーズな回復と再断裂リスクの低減につながります。とくに高齢の方の場合、手術前の栄養状態が良好であるほど、手術後の再断裂リスクが低下するという報告もあります。(文献2) 私たちの体は、食べたものから作られています。腱や筋肉といった組織の修復には、タンパク質をはじめ、ビタミン、ミネラルなど、さまざまな栄養素が不可欠なものです。 手術に向けて、日頃から主食・主菜・副菜のそろった栄養バランスの整った食事を心がけ、体に十分な栄養を補給しておくことが大切です。栄養状態を良好に保つことは、手術に備え、回復力を高めるための重要な準備と言えるでしょう。 日常生活で肩に負荷をかけないようにする 腱板断裂は、肩への繰り返しの負担や、一度に大きな負荷がかかることで発生しやすい状態にあります。そのため、初回の断裂予防はもちろん、手術後の再断裂を防ぐためにも、日常生活での肩への配慮が欠かせません。 具体的には、重い物を持つ動作は、肩関節や腱板に大きな負担を強いるため、できる限り避けるべきです。また、腕を急に高く上げる、手を体の後ろに回して物を取る、といった動作も、修復した腱板に予期せぬストレスを与える可能性があります。 日常生活の中で、肩に負荷をかけすぎないよう意識し、無理のない動作を心がけることが予防の第一歩となります。 専門家指導のもと正しいリハビリをおこなう 手術後のリハビリテーションは、肩の機能回復と再断裂予防のために非常に大切になります。 しかし、焦って頑張りすぎたり、自己流で過度なトレーニングをおこなったりすると、修復途中の腱板に負担がかかり、かえって再断裂のリスクを高めてしまう場合も少なくありません。 リハビリは、手術後の時期や肩の状態に合わせて慎重に段階を踏んで進める必要があり、リハビリの内容は以下のように多岐にわたります。 可動域を広げる練習 筋力を回復させるトレーニング 肩の安定性を高める運動 医師や理学療法士といった専門家は、個々の回復状態を評価し、リハビリプログラムを計画・指導してくれます。 その指示にしっかりと従い、正しい方法でリハビリに取り組むことが、回復への着実な方法であり、再断裂を防ぐためのポイントです。 腱板の再断裂の原因を理解して予防しよう 腱板の再断裂は、約16%の確率で発生します。その原因として、広範囲の断裂、加齢による腱板組織の機能低下、手術後の過度な負荷などが挙げられ、とくに広範囲に断裂が及んでいる場合、再断裂率は約50%に達することもあるのです。 再断裂が起こると、肩の痛み、可動域の制限、筋力低下といった、腱板断裂時と同様の症状が現れます。 腱板の再断裂を防ぐためには、専門家の指導に基づいたリハビリと、日常生活で手術した側の肩に負担をかけすぎないように注意が必要です。 万が一、腱板が再断裂してしまった場合、保存療法や手術療法が主な治療法となります。しかし近年では、再生医療も選択肢の1つとして考えられるようになりました。 腱板の再断裂は予防可能なので、原因をよく理解し、再断裂を招かないよう注意深く生活しましょう。 参考文献 (文献1) 北原 博之, 矢部 嘉浩, 乗松 崇宏, 安達 信二, 瀬良 敬祐「鏡視下腱板修復術後の再断裂の検討」整形外科と災害外科 59巻 4号 pp713~716 2010年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/nishiseisai/59/4/59_4_713/_article/-char/ja/ (最終アクセス:2025年5月14日) (文献2) 設楽仁「高齢者における肩腱板断裂手術後の再断裂:術前の栄養状態が鍵〜手術前の栄養状態が低いと、再断裂リスクがおよそ 5.6 倍〜」Journal of Bone and Joint Surgery 2024年 https://www.med.gunma-u.ac.jp/wp-content/uploads/2024/09/press_R060905.pd (最終アクセス:2025年5月14日)
2022.04.14 -
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「痛み止めにステロイド注射を使う効果は?」 「痛み止めのステロイド注射はどんな副作用があるの?」 ステロイドは、変形性膝関節症や変形性股関節症を始め、各種関節症の保存療法(薬物療法)で、痛み止めとして使われているメジャーな薬です。 ステロイドは痛み止めの薬として効果を発揮します。ただ、ステロイドの副作用が気になり、怖いと感じる方もおられるはずです。 今回は関節症の痛み止めに使われる機会が多いステロイド注射の効果、副作用などをご説明いたします。 最後まで読んでいただければ、ステロイド注射を使うメリットとデメリットを理解できるので、治療を受けるべきか迷われている方は参考にしてみてください。 \痛みを抑えるだけでなく、関節そのものにアプローチする選択肢/ ステロイド注射は痛みを和らげる治療であり、関節のすり減った軟骨や損傷した組織を修復する治療ではありません。 そのため、症状や進行度によっては、関節そのものに働きかける再生医療も検討しましょう。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 ステロイド注射を受けても、効果が一時的で痛みがすぐに再発してしまう ステロイド注射の回数が増え、副作用が心配 痛み止めだけでなく、関節の炎症や損傷そのものにアプローチした治療を受けたい >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 再生医療は、損傷した関節組織に対して炎症の抑制や組織修復をサポートし、痛みの軽減や関節機能の改善を目指す治療法です。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs 「ステロイド注射を続けるべきか悩んでいる」「できれば手術以外の方法を検討したい」という方は、一度当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 関節症に痛み止めのステロイド注射を使う効果は2つ 関節症に痛み止めのステロイド薬(ステロイド注射)を使う効果を2つ解説します。 ・鎮痛効果 ・抗炎症作用 鎮痛効果 ステロイド薬を使うメリットには、鎮痛効果による痛みの緩和があげられます。 各種関節症の発症初期には、保存療法(薬物療法)がおこなわれるケースが一般的です。 ステロイド注射は痛みを緩和させる目的で、以下のようなときに使います。 ・生活を送るときの不自由さを減らすため ・運動療法による治療効果を高めるため とくに運動療法を行うときに痛みがあると、痛む部位を守ろうとするあまり、ほかの筋肉や組織に力が入りがちです。結果としてほかの部位まで痛める可能性もあります。 保存療法を有効に進めるためにも、ステロイド注射で痛みを減らす必要があるのです。 抗炎症作用 ステロイド薬には、炎症(痛みの原因)を和らげる抗炎症作用があります。 痛みの原因物質の産生を抑えられると、鎮痛(痛みを抑える)効果が期待できるのです。 各種関節症の保存療法では、初期の段階ではステロイド注射で痛みを緩和しながら炎症を防ぎ、リハビリなどの運動療法における効果を上げる目的で使います。 痛み止めのステロイド注射に関する副作用 ステロイドに悪いイメージがあるのは、副作用があると聞いたからではないでしょうか。 実際に、ステロイド注射の副作用のひとつに「骨が脆くなる」点があげられます。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療を行えない場合があるのです。 以下で、副作用における一例をまとめています。 【ステロイドの副作用】 ・ステロイド注射を長期間、あるいは短期間に多く投与された場合 →股関節の「大腿骨頭」、肩関節の「上腕骨頭」、 「膝関節」の骨への血流が阻害され、骨の組織が壊死する危険性がある ・短期的に大量に使ったり、長期的に使ったりした場合 →骨の代謝やホルモンの産生に影響を与える ・長期的に使うと骨を脆くする危険性がある →「大腿骨骨頭壊死」「上腕骨頭壊死」「膝関節骨壊死」 といった困難な症状を招く可能性もある 【骨粗鬆症のリスク】 ・ステロイド注射は短期間に多くの投与、あるいは長期間使うと、 骨やホルモンの代謝に影響を与えかねない 【感染症になりやすい】 ・ステロイド注射は免疫を抑制するため、 長期間、関節内に投与を行うと「化膿性関節炎」になる危険性がある ・関節炎になった場合、抗生物質の内服による治療や、 重症化した場合は、関節内の洗浄が必要になる しかし、ステロイド注射は、変形性膝関節症や変形性股関節症、肩の関節症などの痛みに対して鎮痛、消炎(炎症をとりさること)の改善効果が得られます。 デメリットを過大評価すると使うのをためらってしまいがちです。 先にステロイド注射を使うデメリットを知っておくと、ステロイド治療に対する判断の一助となり、医師の診断や意見を理解する上でも役立ちます。 医療機関などで医師の管理のもと、適切にステロイド治療を行えると、必要以上に怖がる必要はなくなるはずです。 【長期使用はNG】痛み止めのステロイド注射は根本治療にならない ステロイド注射は、関節症の痛みで困っている場合に高い鎮痛効果が期待できます。 ただ、副作用があるステロイド注射を長期間、継続して使うのはおすすめできません。短期間でも大量に使うのは避けましょう。 また、ステロイド治療は、骨の変形や軟骨のすり減りなど、関節の状態を修復する効果はありません。病気の進行を止めるなど、根本的な治療を目的としていないのです。 たとえば、変形性関節症は進行する病気です。変形性関節症の人がステロイド治療を行っても、最終的には手術が必要となる可能性があります。 関節症におけるステロイドでの治療方法について 関節症でのステロイド治療は、内服薬と注射があります。 症状や状態にもよりますが、内服薬で痛みに対する効果が感じにくくなった場合に、関節内にステロイド薬を直接注射する流れが一般的です。 ステロイド薬を関節に注射すると、抗炎症作用により痛みを改善します。ただ、何度も申しますが、長期的な使用や短期の大量投与は、副作用のリスクがあるので避けましょう。 また、関節症の症状が進行するとステロイドの効果が減少して、外科的治療として手術の選択を迫られるかもしれません。 しかし、近年はステロイド注射以外にも、手術や入院を避けられる再生医療の治療方法もあります。 再生医療の幹細胞治療では、膝や股関節、肩などの治療において、自身の幹細胞を培養して関節注射を行う流れです。 まとめ|関節症のステロイド注射は痛み止めに効果がある ステロイド薬は、内服や痛む関節に直接注射する方法で使います。鎮痛効果と抗炎症作用により、痛みを緩和させる効果があります。 ただし、ステロイド注射はメリットがある反面、副作用もあるので注意が必要です。短期的な大量投与や、長期的なステロイド治療は避けるべきです。 ステロイド注射は問題のある部位を修復できないので、根本的な解決はできません。 ただ、医療機関などで医師の管理下で治療するなら、必要以上に怖がる必要はないでしょう。ステロイドの特性を知った上で、治療に使っていただければと思います。 また、関節症に関わる治療のひとつとして、再生医療もあります。 ステロイド治療以外で、根本的な治療を探している方は、一度当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 痛み止めのステロイド注射に関するQ&A 痛み止めのステロイド注射に関して、質問と答えをまとめています。 Q.関節症における痛み止めのステロイド注射は保険適用ですか? A.はい、一般的には保険適用になります。 ただし、症状や治療方法によっても変わる可能性があるので、詳細は医療機関でご確認ください。
2022.04.01 -
- ひざ関節
- 脊椎
- 股関節
- 肩関節
- 肘関節
- 手部
レントゲン検査やCT検査で股関節の痛みや違和感の原因が特定できない場合、MRI検査が必要となるケースがあります。 MRI検査では、レントゲンやCTでは映し出せない神経や筋肉の異常を詳しく調べられるからです。 本記事では、股関節に異常がないかを調べるMRI検査について詳しく解説します。 MRI検査で発見できる病名・疾患や、MRIの撮り方も紹介しているので、股関節の痛みや違和感に悩み詳しい検査を検討されている方は参考にしてみてください。 MRIを含む股関節を調べる画像検査3種【費用相場】 股関節の異常を調べるときに実施される画像検査は、主に以下の3種類です。 レントゲン検査 CT検査(Computed Tomography) MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) 検査の内容や費用をそれぞれ見ていきましょう。 1)レントゲン検査 レントゲン検査は、多くの方にとってなじみのある放射線の一種であるエックス線を用いた検査方法です。短時間で簡単におこなえますし、苦痛もほとんどないため、まずはレントゲンを撮る病院が多いかと思います。 レントゲン検査は、骨の状態、部分を詳しく見るのに適しています。 たとえば骨折や、骨の変形などがその代表です。しかし、筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織は撮影できません。 最近はデジタル化の影響で線量が格段に少なくなっているため通常の検査であれば問題はありません。ただ、放射線を用いる検査ですので、何度も繰り返して検索をおこなうなどの場合は被曝の可能性については気になるところです。 【検査費用の目安】 検査費用:600〜2,000円 ※撮影枚数2枚で3割負担の料金を想定 2)CT検査(Computed Tomography) CT検査は、レントゲンと同じエックス線を用います。 このエックス線をあらゆる方向から照射することで、体の輪切りした画像撮影が可能になります。レントゲンと違って体の内部まで輪切りにした状態で確認ができます。 輪切り画像を重ね合わせて他の断面の画像を構築したり、三次元(3D)の立体画像で確認したりできる検査です。 レントゲン検査よりもさらに詳しく骨の状態を評価できますが、レントゲンと同じく筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織については判断しにくい特徴があります。 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜15,000円 ※3割負担の料金を想定 3)MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) MRI検査とは、大きな磁石(磁場)を利用して体の内部を画像化する検査です。 レントゲン検査や、CT検査ではわからない筋肉や神経などの柔らかい組織を写し出す作業を得意としています。また、何より放射線を使用しないため被曝もなく、患者さんの人体に無害な検査という点で優れています。ただ、装置自体が大きく、とても高価なため、大学病院をはじめとした一部の施設にしか配置されていません。 また、誰でもできる訳ではありません。仕組みとして非常に強力な磁石を用いた装置なので、体内に金属があると検査できない場合があります。 MRI検査の注意点はこちら▼ 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜17,000円 ※3割負担の料金を想定 股関節のMRI検査でわかる主な3つの病名 ここでは、MRI検査で発見できる主な股関節の疾患を3つ紹介します。 ・変形性股関節症 ・関節リウマチ ・大腿骨頭壊死 順番に見ていきましょう。 変形性股関節症 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨がすり減って、骨が変形する疾患です。変形性股関節症を発症し、症状が進行すると股関節に痛みが生じます。 また、股関節の可動域が制限されるようになり、立ち上がる動作や靴下をはく動作などに支障をきたすようになります。 変形性股関節症の詳細はこちら▼ なお、変形性股関節症の治療には、人間の自然治癒力を活用した「再生医療」が有効です。 幹細胞を股関節に注射すれば、すり減った軟骨が再生されます。徐々に痛みが軽減し、手術を回避できる可能性が高まります。 期待できる治療効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にご相談ください。 関節リウマチ 関節リウマチとは、免疫システムの異常により、炎症を起こし痛みや腫れが生じる疾患です。股関節で発症した場合、リウマチ性股関節症と呼ばれます。 症状が進行または慢性化すると、関節が変形したり、こわばり・痛みによって日常生活に支障をきたしたりします。 また、炎症による発熱や、免疫システムのエラーによる臓器障害なども発生する可能性があるので、視野を広げた治療アプローチが必要です。 関節リウマチの詳細はこちら▼ 大腿骨頭壊死 大腿骨頭壊死は、股関節を形成する骨の一部である大腿骨頭への血流が低下して骨組織が壊死する疾患です。原因が不明な場合は「特発性大腿骨頭壊死」と呼ばれ、難病に指定されています。 症状が軽度で壊死の範囲が狭い場合は、経過観察も可能です。 しかし、壊死範囲が広く、症状が著しく進行している場合は、骨切り術や人工股関節置換術の手術が視野に入ってきます。 大腿骨頭壊死の詳細はこちら▼ 股関節を調べるときのMRIの撮り方 股関節を調べるときのMRIの撮り方を以下の表にまとめました。検査の流れを把握しておきたい方は参考にしてみてください。 流れ 検査内容 1.磁性体の装飾品を外す 磁場を発生させるMRIの故障の原因となるため、アクセサリーや時計などの金属類は事前に外しておく 2.検査着に着替える 必須ではないが安全性を考慮して推奨されている(参考1) 3.ヘッドホンや耳栓を装着する 検査中に騒音が発生するため、専用のアイテムで耳をふさぐ 4.ベッドに横たわる 指示に従って体勢を整える。撮影部位を固定する必要があるため患部によって多少体勢が変わる 5.検査開始 トンネル型の機械に入って検査を受ける。検査時間は撮影部位や撮影方法にもよるが、20〜45分 検査結果は、早くて当日中に出ます。詳細な分析を要する場合は、7〜10日ほどかかります。 MRI検査の全体像を解説した記事はこちら▼ まとめ|股関節に異常を感じたらMRI検査を検討しよう MRI検査は、レントゲン検査やCT検査ではわからない筋肉や神経などの組織の異常を詳細に映し出せます。 原因がはっきりわからない痛みや違和感が股関節に現れたら、MRI検査を受けて病名や疾患名を調べると良いでしょう。 早期に原因がわかれば、適切な治療を開始して早い回復を目指せます。 変形性股関節症を含む膝の痛みに対する根本的治療には「再生医療」を推奨します。再生医療は、人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、すり減った膝軟骨の再生を図ります。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 股関節のMRI検査に関するよくある質問 最後に股関節のMRI検査に関するよくある質問と回答をまとめます。 MRIの画像に映る白い影は何ですか? MRI画像に映る白い影の原因は、以下のように複数考えられます。 ・小出血 ・骨髄の浮腫 ・組織や骨の損傷 ・レントゲンには映らないような微小な骨折 医師の話を聞いて、白い影の正確な原因を確認しましょう。 股関節のMRI検査で異常なしでも痛みが生じるのはなぜですか? 小さな組織の損傷は、MRIに映らない場合もあります。そのため、実際には損傷が起きていても、検査結果では「異常なし」と診断されるケースもゼロではありません。 また、股関節の靭帯が緩んで、痛みを伴う場合もあります。靭帯の緩みはMRIでは確認が難しく、検査では異常が見つからないケースもあります。 【参考文献】 参考1:http://fms.kopas.co.jp/fmdb/JJMRM/27/4/230.pdf
2022.03.30 -
- 腱板損傷・断裂
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
「肩こりだと思っていたのに、なかなか治らない」「これって何かの病気?」といった肩の悩みに不安を感じていませんか? 肩の痛みは、筋肉の疲労や姿勢のくずれ、加齢などが原因となることが多い一方で、内臓の病気やがんなど、見逃してはならない病気のサインとして現れる場合があります。 とくに、痛みが数週間続く、夜間や安静時に強まる、しびれや体重減少をともなう症状があるなら注意が必要です。 本記事では、肩の痛みに関係する病気や、見逃しやすい症状の特徴、受診の目安についてわかりやすく解説します。 肩の違和感に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。 \肩の痛みの根本改善を目指す「再生医療」とは/ 再生医療は、患者さまの細胞や血液を用いて自然治癒力を向上させることで、肩の痛みの原因となっている腱板・組織の再生・修復を促す治療法です。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 肩の痛みを根本的に治療したい 薬物療法やリハビリを続けているが改善がみられない 手術は避けたいが、このまま放置するのも不安 >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 当院(リペアセルクリニック)では、肩の痛みに対する再生医療について無料カウンセリングを実施しておりますので、痛みに悩まされている方は一度ご相談ください。 まずは肩の治療について無料相談! 肩の痛みは重大な病気のサインかも 肩の痛みは、単なる筋肉の疲労や姿勢の悪さが原因と思われがちですが、重大な病気のサインかもしれません。 ここでは、左右の肩に分けて注意すべき病気について解説します。 左肩だけ痛い場合の病気 右肩だけ痛い場合の病気 左肩だけ痛い場合の病気 左肩だけに痛みやこりが続くときは、単なる筋肉の疲れだけでなく、内臓や心臓の病気が関係している可能性があります。 とくに、心臓の異常による痛みは左肩や左腕にも広がることがあり、狭心症や心筋梗塞では胸の痛みと一緒に痛みを感じるケースがあるのです。 また、胃や膵臓などの病気でも、背中から左肩にかけて痛みが広がる関連痛として現れることがあります。 右肩だけ痛い場合の病気 右肩だけに痛みがある場合、肩や首まわりの筋肉や関節に原因がある可能性があります。 とくに、首の骨や椎間板が変化して神経を刺激すると、肩を動かすよりも首を動かしたときに痛みが強まることがあり、変形性頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアなどが代表的な疾患です。 一方で、首や肩を動かしても痛みが変わらず、じっとしていても痛みが続くような場合は、内臓の病気が関係している可能性もあります。 たとえば、胆のう炎や胆石症などの胆のうの病気、肺炎・肺がん・気胸といった肺の病気では、右肩に関連痛として現れるケースがあるのです。 神経や関節のトラブルによる慢性的な肩の痛みでお悩みの方は、当院(リペアセルクリニック)にご相談ください。 まずは肩の治療について無料相談! 肩の痛みの原因として疑われる病気・ケガ 以下では、肩の痛みの原因として疑われる病気やケガについて、原因・検査・治療の観点から詳しく解説します。 肩関節周囲炎 肩峰下インピンジメント症候群 腱板断裂 石灰沈着性腱板炎 翼状肩甲骨(翼状肩甲) 反復性肩関節脱臼 肩の痛みは、「単なる肩こり」として片付けられがちですが、実は深刻な病気が隠れている可能性もあります。 とくに、痛みが長引く、夜間痛がある、腕の動きに制限が出る場合は注意が必要です。 いわゆる五十肩の「肩関節周囲炎」 肩関節周囲炎は、一般に「四十肩」「五十肩」と呼ばれ、肩の関節やその周囲の組織に炎症が起こることで痛みや動きの制限が出る病気です。 とくに、40~50代以降に多く見られ、肩を動かすたびにズキッとした痛みが走ったり、腕を上げにくくなったりします。 原因 ・加齢による組織の変化 ・過度な肩の使用 ・長期間の不動 ・糖尿病などの基礎疾患 検査 ・問診・身体診察 ・X線 ・超音波検査 ・MRI検査 治療 ・消炎鎮痛剤やステロイド注射 ・ストレッチや運動療法 ・温熱療法や理学療法 肩関節周囲炎は、明確な原因を特定できないことも多いですが、加齢や肩の使いすぎ、糖尿病などが背景にあるケースが少なくありません。 治療は手術を伴わない保存療法が中心で、痛みをコントロールしつつ、可動域を回復させるリハビリが重要です。 五十肩(四十肩)の原因や治し方については、以下の記事も参考にしてみてください。 肩が上がらなくなる「肩峰下インピンジメント症候群」 肩峰下インピンジメント症候群は、肩を動かしたときに腱板(けんばん)や肩峰下滑液包(かつえきほう)が肩峰(けんぽう)とぶつかり、炎症や痛みが生じる病気です。 とくに、腕を横から持ち上げていく途中の角度で痛みが強くなりやすく、スポーツや家事・仕事など、日常生活の動作に支障をきたす恐れがあります。 原因 ・肩の使いすぎ ・筋力低下や肩関節の不安定性 ・加齢による腱板の弱化・肩峰の形状異常 検査 ・問診・視診 ・Neerテスト ・Hawkinsテスト ・X線検査 ・超音波・MRI検査 治療 ・安静と負担軽減・消炎鎮痛剤や外用薬 ・ストレッチと筋力強化のリハビリ ・ステロイド注射・関節鏡手術 治療は基本的に保存療法から始め、痛みの強さや回復状況に応じてリハビリや注射、さらには関節鏡手術が選択されるケースがあります。 適切な運動と肩のケアによって、症状の改善と再発予防を目指すことが重要です。 右肩に好発する「腱板断裂」 腱板断裂(けんばんだんれつ)は、肩関節を支えている筋肉の腱(腱板)が部分的、あるいは完全に切れてしまう病気です。 とくに中高年に多くみられ、肩の痛みや腕が上げにくくなる症状が現れます。 放置すると肩の機能が低下し、日常生活の動作に大きな支障をきたす場合もあるため注意が必要です。 原因 ・加齢による腱板の変性 ・肩の使いすぎによる摩耗 ・転倒や強い外力による損傷 ・重い物を持ち上げたときの過負荷 検査 ・ドロップアームテスト ・ペインフルアークサイン ・X線検査 ・超音波検査 ・MRI検査 治療 ・保存療法(安静と痛みの管理・リハビリなど) ・手術療法(腱板修復術・人工関節置換術など) 腱板断裂の主な原因は、加齢による腱板の劣化と、スポーツや事故による外傷です。 診断では、問診と視診に加え、断裂の有無や程度を正確に評価するための画像検査が欠かせません。 治療は断裂の状態や年齢、日常生活の負担を考慮して選択され、軽症では保存療法、重症では関節鏡手術などが検討されます。 なお近年では、手術に代わる新たな選択肢として「再生医療」もあります。 再生医療は患者さまご自身の細胞を用いて損傷した腱板の再生を促すため、メスを使わず注射だけで治療が完了し、入院や長期のリハビリも必要ありません。 以下では、実際に当院の治療を受けられた方の症例を紹介しています。 https://youtu.be/cweMZTxZFg8?si=p3xAj6CCpIJBGSdM 「手術を勧められているが、できれば避けたい」「仕事を休めないので入院せずに治療したい」とお悩みの方は、再生医療専門の当院(リペアセルクリニック)に一度ご相談ください。 まずは肩の治療について無料相談! 腱板が再断裂する原因や治療方法については、以下の記事で詳しく解説しています。 40〜50歳代の女性に多い「石灰沈着性腱板炎」 石灰沈着性腱板炎(せっかいちんちゃくせいけんばんえん)は、肩の腱板にリン酸カルシウム(石灰)が沈着し、炎症を起こして強い痛みを生じる病気です。 40〜50代の女性に多くみられ、夜間に突然、肩が動かせないほどの激しい痛みが出る場合があります。 原因 ・腱板の血流低下による石灰化 ・肩の使いすぎによる負担 ・体質 ・遺伝的要因 検査 ・問診・身体診察 ・X線検査 ・超音波検査 ・MRI 治療 ・保存療法(安静・ステロイド注射など) ・手術療法(超音波ガイド下洗浄療法・関節鏡視下手術) 画像検査で石灰の存在や位置を確認してから、まずは保存療法で炎症を抑制します。 改善が見られない重症例では、洗浄療法や関節鏡による石灰の除去が必要になるケースもあります。 肩甲骨の内側縁が浮き上がる「翼状肩甲骨(翼状肩甲)」 翼状肩甲骨(よくじょうけんこうこつ)は、肩甲骨が本来の位置にうまく固定されず、背中側へ浮き上がるように突出している状態です。 後ろから見ると、肩甲骨が翼のように浮き出て見えることから名づけられています。 肩や腕が動かしにくくなったり、痛みが出たり、力が入りにくくなったりするのが特徴です。 原因 ・長胸神経、副神経、肩甲背神経の麻痺 ・筋力低下や筋萎縮 ・手術や外傷後の影響 検査 ・視診・触診 ・壁押しテスト ・筋力評価、筋電図 ・MRI、超音波検査 治療 ・保存療法(リハビリ・電気刺激療法など) ・手術療法(神経移行術・肩甲骨固定術など) 翼状肩甲骨の原因は、主に神経の麻痺による筋力の低下です。 軽症の場合はリハビリ中心の保存療法が行われますが、重症では手術が検討されます。 肩関節に脱臼癖がついた「反復性肩関節脱臼」 反復性肩関節脱臼(はんぷくせいけんかんせつだっきゅう)は、一度肩関節が脱臼したあとに、軽い衝撃や日常の何気ない動作でも、繰り返し脱臼してしまう状態を指します。 とくに、若い世代のスポーツ選手に多く、肩の「外れそうな感じ」といった不安定感や痛みを伴うのが特徴です。 原因 ・初回脱臼による関節唇の損傷 ・スポーツや転倒による外傷 ・関節弛緩性や骨の形態異常 ・肩周囲の筋力不足 検査 ・問診・不安試験 ・X線検査 ・MRI ・CT 治療 ・保存療法(筋力強化のリハビリ・装具による関節保護など) ・手術療法(バンカート修復術・ラタジェ手術など) 反復性肩関節脱臼は、最初の脱臼で関節唇や靱帯が損傷することで、肩の安定性が損なわれて再発しやすくなります。 軽症の場合は保存療法を優先しますが、脱臼を繰り返す場合には、関節の安定性を回復させる手術が必要です。 肩の痛みとがんの関係性 肩の痛みは、肩関節や筋肉・腱のトラブルが主な原因ですが、「がん」が関わっているケースもあります。 がんは周囲の組織を壊しながら進行する性質があり、その過程で痛みが生じる場合があるのです。 肩に近い骨や脊髄にがんができた場合だけでなく、肺や肝臓、すい臓など横隔膜周囲の内臓にがんが生じたときにも、関連痛として肩の痛みが出る可能性があります。 では、以下で詳しく見ていきましょう。 肩や首にできるがん 肩や首のまわりにがんができると、肩の症状として直接痛みが現れる場合があります。 とくに、注意したいのが「骨腫瘍」と「脊髄腫瘍」です。 骨腫瘍は、上腕骨・肩甲骨・鎖骨などの肩の周辺や首の骨(頚椎)にがんができ、肩の痛みを引き起こすことがあります。 骨にできるがんの多くは、内臓に発生したがんが転移したものですが、骨腫瘍は痛みの原因になるだけでなく、骨折を招いたり、腫瘍が神経を圧迫してさらに強い痛みにつながったりするのです。 脊髄腫瘍は首の脊髄にがんができる病気で、神経そのものに発生するケースと内臓のがんが転移するケースがあります。 腫瘍が大きくなると、肩の痛みに加えて手足のしびれや筋力の低下などの神経症状が現れることもあるため、早めの受診が必要です。 内臓にできるがん 内臓にできる肺がん・肝臓がん・すい臓がんなどが原因で、肩に痛みが出る場合もあります。 胸膜や横隔膜まわりの内臓が傷つくと、刺激が関連痛として肩に伝わることがあるのです。 とくに、腹痛・吐き気・下痢といった内臓症状や急激な体重減少、食欲の低下、原因不明の発熱が続くときは要注意です。 肩の痛みに加えて、全身の異常も感じられる場合には、整形外科だけでなく内科の受診も検討しましょう。 肩の痛みで病院を受診すべきタイミングは? 肩の痛みが首や背中、腕に広がる場合や、激しい外傷を受けた後は早期受診が必須です。 肩の痛みが単なる筋肉疲労や肩こりではなく、神経や内臓、骨に関わる疾患が原因の可能性があります。 とくに、しびれ・筋力低下・発熱・体重減少などを伴う場合や、安静時や夜間に悪化するケースでは注意が必要です。 決して自己判断せず、早めに医療機関で適切な診断を受けましょう。 再生医療|肩の痛みに対する治療選択肢 肩の痛みには、「再生医療」という治療法も選択肢になります。 再生医療は、手術を避けたい方や、日常生活への影響をできるだけ抑えたい方に適した治療法です。 https://youtu.be/NeS1bk2i5Gs 身体への負担が少なく、入院の必要がないため、治療後すぐに普段の生活に戻れます。 再生医療には、「幹細胞治療」と「PRP療法」の2つの代表的な方法があり、どちらも注射や点滴によって、肩関節や腱の損傷部位へ直接アプローチできるのが特徴です。 ただし、肩の痛みに再生医療が向いているかどうかは、症状や状態によって異なります。 「自分の肩の痛みに再生医療は使えるの?」「手術との違いが知りたい」など、疑問がある方は、まずはお電話でご相談ください。 まずは肩の治療について無料相談! 肩の痛みを改善・予防するセルフケア方法 ここでは、肩の痛みの改善・予防に役立つセルフケア方法をご紹介します。 ストレッチ ↳背筋を伸ばすストレッチ ↳肩を上げるストレッチ ↳肩を回すストレッチ 入浴 肩の痛みは日常的な動作や姿勢が影響している場合が多いため、普段からのセルフケアがとても重要ですので、ぜひ参考にしてください。 ストレッチ 肩の筋肉を柔軟に保ち、肩の痛みを予防するにはストレッチが有効です。以下のストレッチを実践してみましょう。 背筋を伸ばすストレッチ 同じ姿勢が続いたときは、背筋を伸ばして姿勢を整えるストレッチをこまめに行うことが大切です。手順は次のとおりです。 1.立った状態で、背筋をまっすぐ伸ばす 2.両手のひらを天井に向けて持ち上げ、肘は軽く曲げて力を抜く 3.胸を大きく開くイメージで、肘をゆっくり後ろに引く 4.肩の力は抜いたまま、へそのあたりに軽く力を入れる 5.その姿勢を保ちながら、何度かゆっくり深呼吸を行う 背中から胸まわりが気持ちよく伸びている感覚を意識しながら、デスクワークや立ち仕事の合間に取り入れてみましょう。 肩を上げるストレッチ 普段あまり肩を大きく動かさない人は、肩を持ち上げる動きが不足しがちです。肩まわりをしっかり伸ばすストレッチは、次の手順で行います。 1.安定した壁に向かって立ち、両手を伸ばして、手のひらを壁につける(手の幅は肩幅、肘は伸ばす) 2.頭を前に倒し、両腕のあいだに頭を入れる 3.そのまま頭をゆっくり前方へ押し込む 4.肩から首にかけて伸びている感覚を意識しながら、深く呼吸を続ける 5.肩〜首がもっとも伸びていると感じる位置で、約30秒静止する 肩から首のラインが心地よく伸びる程度を目安に、無理のない範囲で毎日続けるのがポイントです。 肩を回すストレッチ 肩を外側に開くストレッチは、肩関節まわりの柔軟性を保つのに役立ちます。左右それぞれ、次のように行います。 1.安定した壁のそばで立ち、右肘を体の側面につけたまま90度に曲げる 2.右肘を体につけた状態のまま、右手のひらを壁につける 3.右肘と右手の位置を保ったまま、上半身をゆっくり左側にねじる 4.右肩が外側に開き、肩の前側が伸びている感覚を意識する 5.右肩が最も気持ちよく伸びている位置で、約30秒静止する 6.反対側も同じ手順で行い、左肩も同様に伸ばす 肩の前側〜胸のあたりが心地よく伸びる範囲で行い、肩を無理にひねらないよう注意してください。 入浴 肩の痛みを和らげる方法として、入浴は非常に効果的です。 とくに、38〜40℃程度のぬるめのお湯にゆっくり浸かると、血行が促進され、緊張した筋肉がやわらぎやすくなります。 半身浴で肩までお湯に浸かれば、全身を温めつつ肩まわりの疲れもほぐせるでしょう。 長めに浸かることでリラックス効果も高まり、疲労回復にもつながります。 入浴後は、筋肉が柔らかくなっているタイミングを活かして、肩甲骨や腕をやさしく伸ばすストレッチを取り入れるとより効果的です。 温浴と軽い運動を組み合わせることで、肩の痛みの予防や改善が期待できます。 まとめ|肩の痛みから考えられる病気を理解して適切な治療や検査を受けよう 肩の痛みは、筋肉のこりや加齢による変化だけでなく、首・背骨・内臓の病気が隠れているケースもあり、原因によって対処法が大きく異なります。 肩の痛みに加えて、しびれ・発熱・体重減少など全身症状をともなう場合には、早めの受診が重要です。 また、手術を避けたい方や長期の通院が難しい方には、幹細胞治療やPRP療法といった再生医療という選択肢もあります。 肩の再生医療の仕組みや実際の症例については、以下の動画でも詳しく解説しています。 肩の痛みの原因を正しく見極め、自分に合った方法で早期改善を目指しましょう。 「自分の肩の痛みは再生医療の対象になるのか?」「手術を勧められているが他の方法はあるのか?」とお悩みは、当院(リペアセルクリニック)の無料電話相談で専門スタッフにご相談ください。
2022.03.16 -
- インピンジメント症候群
- 肩関節
「肩の骨が出っ張っている」 「骨に関する病気?」 鏡で肩を見たときに片側の骨が出っ張っていたり、硬いふくらみを触れたりすると、関節のずれや脱臼を心配する方は少なくありません。 肩の出っ張りは、骨格の特徴や肩関節・靱帯の変化によって目立つことがあります。スポーツ歴などによる関節損傷や脱臼後の変化が関係している場合もあるため、状態に応じた確認や治療が必要です。 本記事では、現役医師が肩の骨の出っ張りについて詳しく解説します。原因や治し方についても紹介し、記事の最後にはよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩の骨の出っ張りについて気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩の骨の出っ張りについて 肩の骨の出っ張りとは、鎖骨や肩甲骨の一部が皮膚の表面から目立って見える状態を指します。肩の上部には鎖骨と肩甲骨をつなぐ肩鎖関節があり、この関節の位置関係や周囲組織の変化によって骨の見え方が変わることがあります。 転倒やスポーツで肩に強い衝撃が加わると肩鎖関節を支える靱帯が損傷し、鎖骨の端が浮き上がったように見えることがあり、左右差として気づくことが多く、押すと沈むのが特徴です。 体型や筋肉量の変化によって骨が目立つだけのケースもありますが、外傷後に出現した場合や形の変化が続く場合は、整形外科で原因を確認することが大切です。 肩の骨が出っ張る原因 原因 詳細 肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう) 転倒やスポーツ外傷などで鎖骨と肩甲骨をつなぐ肩鎖関節の靱帯が損傷し、鎖骨の端が上方へ突出する状態 インピンジメント症候群 肩を動かす際に腱や滑液包が肩峰と上腕骨の間で挟まれ、炎症や機能障害が起こることで肩の骨が目立つ状態 腱板断裂(けんばんだんれつ) 肩関節を安定させる腱板が損傷・断裂し、関節バランスが崩れることで肩の輪郭が変化する状態 巻き肩・猫背による肩甲骨の位置異常 姿勢不良により肩甲骨が外側へ広がり、鎖骨や肩峰の位置関係が変化して骨が突出して見える状態 変形性肩関節症(へんけいせいかたかんせつしょう) 関節軟骨の摩耗や加齢変化によって関節周囲の骨に骨棘が形成され、肩の骨の形が変化する状態 鎖骨遠位端骨折・変形治癒 鎖骨骨折後に骨の位置がわずかにずれたまま癒合し、鎖骨の端が出っ張って見える状態 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩) 肩関節周囲の炎症や筋肉バランスの変化により肩甲骨や関節の位置が変化し、骨の突出が目立つ状態 肩の骨が出っ張って見える原因は、関節の位置変化・骨折後の変形・筋肉や靱帯の損傷など多岐にわたります。 とくに多いのは肩鎖関節脱臼や腱板損傷など肩関節周囲の障害で、関節のバランスが崩れることで鎖骨の端が上方に浮き上がって見えることがあります。 また、巻き肩や猫背などの姿勢の乱れで肩甲骨の位置が変化すると骨が突出しているように見えることがあり、関節の変形や骨折後の治癒過程によって骨の形状が変わることも特徴です。 肩鎖関節脱臼(けんさかんせつだっきゅう) 肩鎖関節脱臼とは、鎖骨と肩甲骨をつなぐ肩鎖関節に強い力が加わり、関節を支える靱帯が損傷して関節がずれる外傷です。 転倒による直接の衝撃やスポーツ中の衝突などをきっかけに発生することがあります。また、関節がずれると鎖骨の外側端が上方へ持ち上がり、肩の上部に骨が突出して見える場合があります。 関節周囲の腫れや腕の動かしにくさがみられることもあり、損傷の程度は軽度から重度までさまざまです。そのため、状態に応じて固定やリハビリなどの保存療法、または手術療法を含めた適切な評価と治療方針の検討が欠かせません。 インピンジメント症候群 インピンジメント症候群とは、肩関節を動かす際に肩峰と腱板の間で腱や滑液包が挟まれ、炎症や機能障害が生じる状態です。腕を上げる動作(肩の挙上)で起こりやすく、肩の内部で引っかかるような違和感がみられることがあります。 野球・テニス・バレーボールなど腕を頭上に繰り返し上げるスポーツでは肩への負担が蓄積しやすく、姿勢の乱れや肩周囲の筋力バランスの変化も発症の要因です。 以下の記事では、インピンジメント症候群について詳しく解説しています。 【関連記事】 インピンジメント症候群とは|原因や治療法をわかりやすく解説 野球肩|インピンジメント症候群の具体的なリハビリとストレッチの方法とは 腱板断裂(けんばんだんれつ) 項目 内容 症状の特徴 腕を上げにくい、肩に力が入りにくい、腕を動かした際の違和感などの変化 起こりやすい原因 加齢による腱の変性、肩の使いすぎ、転倒や衝突などの外傷 見た目の変化 肩関節の安定性低下による関節バランスの変化、肩の骨が目立つ状態 主な検査 診察による可動域評価、レントゲン検査、MRIなどによる腱板損傷の確認 主な治療法 安静や薬剤などの保存療法、リハビリテーション、状態に応じた手術療法 (文献1)(文献2) 腱板断裂は、肩関節を安定させる腱板が損傷・断裂することで起こる肩の障害です。加齢による腱の変化や肩の使いすぎ、転倒などの外傷が原因となることがあります。 腱板が損傷すると肩関節の安定性が低下し、腕を上げにくい・肩に力が入りにくいといった変化がみられるほか、関節のバランスが崩れることで骨が目立って見える場合もあります。 以下の記事では、腱板断裂について詳しく解説しています。 【関連記事】 【医師監修】腱板断裂とは|原因・治療法・セルフチェックで知る症状のサインについて解説 肩腱板断裂の症状を医師が解説|夜間痛・有痛弧・力が入らないの見分け方 巻き肩・猫背による肩甲骨の位置異常 項目 内容 状態の特徴 姿勢の崩れによる肩甲骨の位置変化、肩甲骨の運動異常 主な原因 巻き肩や猫背などの姿勢不良、長時間のスマートフォン操作やデスクワーク 見た目の変化 肩甲骨の内側が浮き上がる翼状肩甲、肩や背中の骨が突出して見える状態 関連する影響 肩甲骨の動きの乱れによる肩関節への負担増加、肩の機能低下 (文献3)(文献4) 巻き肩や猫背などの姿勢が続くと、肩甲骨の位置や動きが乱れ、肩甲骨の運動異常が起こることがあります。 長時間のスマートフォン操作やデスクワークで肩が前方へ引き出される姿勢が続くと、胸側の筋肉が縮み、背中側の筋肉が弱くなることで肩甲骨の位置が変化します。 肩甲骨の内側が浮き上がる翼状肩甲がみられると肩や背中の骨が目立って見えるため、姿勢の改善と肩甲骨周囲の筋力調整が大切です。 変形性肩関節症(へんけいせいかたかんせつしょう) 変形性肩関節症とは、肩関節の表面を覆う軟骨が加齢や長年の負担によってすり減り、関節の形や動きに変化が生じる疾患です。軟骨が減少すると、骨同士が直接接触しやすくなり、関節の変形や機能低下につながることがあります。 中高年に多くみられますが、過去の脱臼・骨折などの外傷やスポーツ・仕事による繰り返し動作が発症の要因になる場合もあります。 進行すると可動域が制限されて腕を上げる・後ろへ回すといった動作が難しくなるほか、骨棘による骨の変化で出っ張りとして気づく場合もあるため、医療機関への受診が大切です。 鎖骨遠位端骨折・変形治癒 項目 内容 状態の特徴 鎖骨の外側(肩に近い部分)が折れる外傷 主な原因 転倒による肩の打撲、スポーツ中の衝突など強い外力 見た目の変化 骨折後の変形治癒による鎖骨の段差やふくらみ、肩上部の骨の突出 気づくきっかけ 肩の形の変化、肩外側の骨の突出、肩の動きでの違和感 (文献5) 鎖骨遠位端骨折は、鎖骨の肩に近い部分に起こる骨折です。転倒による肩への衝撃やスポーツ中の衝突などで発生することがあります。 骨折した鎖骨は自然に癒合することが多いものの、骨の位置がずれたまま治ると「変形治癒」となり、鎖骨の段差やふくらみとして残ることがあります。 肩の上部に骨が出ているように見えることがありますが、日常生活への影響が少ない場合も多く、形の変化や動きの違和感が続く際は整形外科での評価が必要です。 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩) 肩関節周囲炎は、肩関節周囲の腱・靱帯・関節包などに炎症が起こる状態で、一般に四十肩・五十肩と呼ばれています。 主に40〜60歳頃に多くみられ、加齢による関節周囲組織の変化が発症に関係すると考えられています。炎症が起こると肩関節の可動域が低下し、腕を上げる・後ろへ回すといった動作が難しくなることがあります。 以下の記事では、肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)について詳しく解説していきます。 【関連記事】 【医師監修】四十肩と五十肩の違いとは?原因や治療法を詳しく解説 五十肩(四十肩)の治し方を経過別に解説!適切なストレッチの一例も 肩の骨の出っ張りがみられる場合の注意点 注意点 詳細 外傷後や見た目の変化が続く場合は医療機関を受診する 転倒や衝突などの外傷後に肩の骨の突出や左右差が続く場合、関節脱臼や骨折などの可能性の確認 腫れや動かしにくさなどの変化に注意する 肩周囲の腫れ、腕の可動域の低下、関節の違和感など関節や腱の障害を示す可能性 運動やスポーツ復帰は段階的に行う 肩関節への負担増加による状態悪化予防、筋力や可動域の回復を確認しながらの段階的な運動再開 肩の骨が出っ張って見える場合、骨格の特徴や姿勢の影響で問題のないケースもあります。一方、外傷や関節の損傷が背景にみられることもあります。そのため、見た目の変化だけで自己判断するのは避け、必要に応じて医療機関を受診しましょう。 転倒や衝突後に骨の突出が目立つ場合は、関節脱臼や骨折の可能性があります。腕の動きにくさや肩周囲の腫れ、違和感を伴う場合は、関節や筋肉のトラブルが進行している可能性があります。 外傷後や見た目の変化が続く場合は医療機関を受診する 外傷後に肩の骨の出っ張りがみられる場合、鎖骨骨折や肩鎖関節脱臼が関係している可能性があります。肩鎖関節脱臼では靱帯の損傷によって関節がずれ、鎖骨の外側端が皮膚を押し上げるように突出して見えるのも特徴です。 損傷の程度によって治療方針は異なり、固定などの保存療法が選択される場合もあれば、手術が検討されるケースもあります。外見の変化だけでの判断は難しいため、画像検査で関節や骨の状態を確認することが重要です。 腫れや動かしにくさなどの変化に注意する 肩の骨の出っ張りに加えて腫れや動かしにくさがみられる場合、肩鎖関節や周囲の靱帯が損傷している可能性があります。 肩鎖関節の外傷では関節周囲に腫れが生じ、靱帯の損傷によって肩関節の安定性が低下することで腕を上げる動作や可動域に影響が出ることがあります。 腫れや可動域の制限がある状態で無理に肩を動かすと、関節への負担が増すことがあります。こうした変化が続く場合は肩の状態を確認し、適切な安静や治療につなげることが大切です。 運動やスポーツ復帰は段階的に行う 項目 内容 注意する理由 関節や靱帯が十分に回復していない状態での運動再開による肩関節への過度な負担 リハビリの基本 可動域回復 → 筋力強化 → スポーツ動作練習という段階的なリハビリ過程 回復への影響 関節の安定性回復、肩周囲筋の協調運動の改善 予防の観点 関節の不安定性や再受傷リスクの低減 復帰の方法 練習時間・運動強度・動作回数を段階的に増やす負荷調整 (文献6)(文献7) 肩の外傷や関節障害がある状態で急に運動を再開すると、関節や靱帯に大きな負担がかかることがあります。そのため肩のリハビリでは、可動域の回復→筋力強化→スポーツ動作へと段階的に進める方法が一般的です。 この過程を経ることで肩関節の安定性や筋肉の協調的な動きが回復しやすくなります。また、練習時間や運動強度を少しずつ増やすことで肩の状態を確認しながら復帰でき、再受傷の予防にもつながります。 肩の骨の出っ張りの治し方(治療法) 治し方(治療法) 詳細 保存療法(安静・固定・薬剤・注射) 肩関節への負担軽減のための安静や固定、薬剤や注射による炎症や関節周囲症状の改善を目的とした治療 リハビリテーション(運動療法・理学療法) 肩関節の可動域回復や筋力強化、肩甲骨周囲の筋肉バランス改善を目的とした運動療法・理学療法 手術療法(関節や靱帯の修復) 関節脱臼や靱帯損傷、腱板断裂など構造的な障害に対する関節や靱帯の修復を目的とした外科的治療 再生医療 患者自身の細胞や血液成分を利用し、損傷した腱や靱帯など組織の修復を促すことを目的とした治療 肩の骨の出っ張りは原因によって対処法が異なるため、医療機関で原因を確認した上で適切な治療を受けることが大切です。 軽度の場合は、安静・固定・薬剤・注射などの保存療法で対応することが一般的です。関節への負担を抑えながら、可動域の改善や筋力回復を目的としたリハビリテーションを行います。 関節脱臼や腱板断裂など構造的な損傷が大きい場合は手術療法が検討され、状態によっては再生医療が選択肢となることもあります。 保存療法(安静・固定・薬剤・注射) 保存療法 詳細 安静 肩関節の過度な動作を控えることによる関節・靱帯への負担軽減、損傷組織の回復環境の維持 固定 三角巾などによる肩関節の固定、関節の動き抑制による靱帯や周囲組織の修復促進 薬剤 消炎鎮痛薬などによる関節や腱の炎症の抑制、関節機能の改善を目的とした治療 注射 局所注射による関節周囲の炎症軽減、症状の緩和と関節状態の安定化 (文献8)(文献9) 保存療法は、肩関節や靱帯への負担を減らしながら組織の回復を促す治療です。安静や固定によって肩の動きを抑え、損傷した組織が回復しやすい環境を整えます。 薬剤や局所注射は関節や腱の炎症を抑える目的で用いられ、肩の状態を落ち着かせる効果が期待されます。肩の外傷や関節障害では初期治療として選択されることが多く、手術と比較して身体への負担が小さい点が特徴です。 リハビリテーション(運動療法・理学療法) リハビリ内容 詳細 可動域訓練 ストレッチや関節運動による肩関節可動域の維持・改善、関節の硬さの軽減 筋力強化 腱板や肩甲骨周囲筋の強化による肩関節の安定性向上 動作訓練 日常生活動作やスポーツ動作への段階的な機能回復訓練 再発予防 筋力バランスや動作の改善による肩関節への負担軽減、再受傷・慢性化の予防 (文献10)(文献11) リハビリテーションは、肩関節の機能回復を目的として行われる治療です。安静期間が続くと肩関節の動きが制限されやすいため、ストレッチや関節運動で可動域の回復を図ります。 腱板や肩甲骨周囲の筋肉を強化して関節の安定性を高め、日常生活やスポーツ動作に近い運動へ、段階的に進めていきます。さらに筋力や動作バランスが改善することで、再受傷や慢性化の予防にもつながります。 以下の記事では、腱板損傷に効果的なリハビリ方法について詳しく解説しています。 手術療法(関節や靱帯の修復) 項目 詳細 手術の目的 関節のずれの整復、損傷した靱帯の修復・再建による肩関節の安定性回復 手術が検討される場合 関節脱臼の程度が大きい場合、保存療法で改善がみられない場合 期待される効果 肩関節の力学的バランスの改善、日常生活動作やスポーツ動作の機能回復 予防の観点 関節の慢性的な不安定性や関節変形の進行予防 注意点 手術適応の慎重な判断、術後リハビリによる段階的な機能回復 (文献12)(文献13) 手術療法は、肩鎖関節脱臼などで関節のずれが大きい場合や、保存療法で十分な改善が得られない場合に検討される治療です。 関節を本来の位置へ整復し、損傷した靱帯を修復・再建することで肩関節の安定性回復を目指します。これにより日常生活動作やスポーツ動作の改善が期待されます。ただし、すべての症例で手術が必要となるわけではなく、状態に応じた適応判断が大切です。 以下の記事では、肩腱板断裂の手術方法と入院期間を詳しく解説します。 再生医療 項目 詳細 治療の特徴 患者自身の細胞や血液成分を利用した組織修復・再生を目的とする治療 対象となる可能性 腱板損傷や肩関節周囲組織の障害など腱・靱帯・軟骨の損傷 期待される作用 成長因子の分泌や細胞分化による組織修復環境の改善 検討される場面 保存療法やリハビリ、手術など従来治療で改善が十分でない場合 注意点 研究段階の領域を含む治療、適応判断や効果評価に医師による専門的評価が必要 (文献14) 再生医療とは、患者自身の細胞や血液成分などを利用し、損傷した組織の修復や再生を促すことを目的とした治療法です。 整形外科領域では、腱や靱帯、軟骨などの回復を助ける可能性のある治療として注目されており、肩の障害では腱板損傷などを対象とした研究も進んでいます。(文献15) 従来の治療で十分な改善が得られない場合に、治療選択肢として検討されることがあります。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 肩の骨の出っ張りは放置せず医療機関を受診しよう 肩の骨の出っ張りは、姿勢や骨格の特徴による場合もありますが、肩鎖関節脱臼や腱板損傷などが関係しているケースもあります。 外見の変化だけで原因を判断することは難しく、自己判断で様子を見るだけでは適切な対応につながらないことがあります。とくに外傷をきっかけに肩の形が変わった場合や、腕を動かした際の違和感や動かしにくさが続く場合は注意が必要です。 整形外科での診察や画像検査で骨・関節・靱帯の状態を早めに把握することが、状態に応じた治療やリハビリを進める上で大切です。 肩の骨の出っ張りについてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、肩の骨の出っ張りの症状に応じて、再生医療を治療選択肢のひとつとして提案させていただきます。 肩鎖関節の変化や肩周囲組織の障害が関係している場合、脂肪由来の幹細胞の「分化能」や血小板に含まれる成長因子の働きを活かした再生医療が治療の選択肢として検討されることがあります。 ご質問やご相談は、「LINE」や「メール」、「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 肩の骨の出っ張りに関するよくある質問 肩の骨の出っ張りは自然に元に戻りますか? 肩の骨の出っ張りは原因によって異なり、姿勢の影響や軽い炎症であれば安静やリハビリによって改善することがあります。 一方、肩鎖関節脱臼や骨折後の変形など骨の位置や形が変化している場合は、出っ張りが残ることもあります。外傷後に出っ張りが続く場合は、整形外科での評価が大切です。 肩の骨の出っ張りが生まれつきあるのですが大丈夫でしょうか? 肩の骨の出っ張りが生まれつきある場合、骨の形や鎖骨の位置など体の個人差によることがあります。違和感や動かしにくさがなく左右差も大きくなければ、身体の特徴として経過観察となることも少なくありません。 ただし、外傷後に目立つようになった場合や左右差が大きい場合は、肩鎖関節脱臼や骨折などが関係している可能性もあるため、整形外科での評価が必要です。 肩の骨の出っ張りが気になる場合は何科を受診すれば良いですか? 肩の骨の出っ張りが気になる場合は、整形外科の受診が勧められます。問診や触診に加えてレントゲンやMRIなどの検査で、骨・関節・靱帯・腱の状態を確認します。 転倒やスポーツ後に出っ張りが目立つ場合は、肩鎖関節脱臼や骨折の可能性もあるため早めの受診が必要です。強い違和感や変形がある場合は、救急外来での診察が検討されます。 参考文献 (文献1) Rotator Cuff Tear|Cleveland Clinic logo (文献2) Rotator Cuff Tears|Orthoinfo (文献3) Association between kyphosis and subacromial impingement syndrome: LOHAS study|ScienceDirect (文献4) Scapular (Shoulder Blade) Disorders|OrthoInfo (文献5) Clavicle Fracture (Broken Collarbone)|OrthoInfo (文献6) Acromioclavicular Joint Injuries: Effective Rehabilitation|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献7) Rehabilitation and Return to Play of the Athlete after an Upper Extremity Injury|ScienceDirect (文献8) Acromioclavicular joint separation: Controversies and treatment algorithm | Published in Orthopedic Reviews (文献9) Nonoperative Management of Traumatic Acromioclavicular Joint Injury: A Clinical Commentary with Clinical Practice Considerations | IJSPT (文献10) Current trends in rehabilitation of rotator cuff injuries|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献11) Rotator Cuff and Shoulder Conditioning Program|OrthoInfo (文献12) Acromioclavicular joint separation: Controversies and treatment algorithm|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献13) Current Concepts in Management of Acromioclavicular Joint Injury|MDPI (文献14) Advances in Stem Cell Therapies for Rotator Cuff Injuries|NIH National Library of Medicine National Center for Biotechnology Information (文献15) Global research hotspots of stem cell therapy for rotator cuff injuries: A bibliometric and visualized analysis |ScienceDirect
2022.02.25 -
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「人工関節の手術は痛みをなくすために必要なのはわかるけれど、合併症や後遺症が心配でなかなか踏み切れない……」そのような不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 肩の人工関節置換術は、つらい痛みを和らげ、生活の質を取り戻す有効な方法です。 しかし一方で、手術には特有のデメリットやリスクがあるのも事実です。 本記事では、肩人工関節の手術に伴う代表的な7つのデメリットを整理して解説します。 それぞれのリスクの特徴や発生しやすい条件、予防の工夫についても触れますので、正しくリスクを理解し、後悔のない治療選択につなげましょう。 当院リペアセルクリニックの公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。肩の痛みや人工関節について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 肩の人工関節の7つのデメリット・リスク 肩人工関節手術は、痛みを軽減し生活の質を取り戻す有効な方法ですが、肩は可動域が広く、膝や股関節とは異なるリスクを抱えやすい部位です。 そのため、手術を受ける前に想定される合併症を理解しておくことが大切です。 ここでは代表的な7つのリスクを紹介します。 感染症や血栓症といった生命に関わるものから、脱臼や可動域制限、再手術の必要性といった長期的に影響するものまで、それぞれ確認していきましょう。 なお、人工関節とは何か詳しく知りたい方には、以下の記事が参考になります。あわせてご覧ください。 感染症リスク 肩の人工関節手術で最も注意すべき合併症の一つが感染症です。 人工関節は体内に異物を入れるため、いったん細菌が侵入すると自然には治りにくく、再手術が必要になることもあります。 感染症には大きく2つのタイプがあります。手術後すぐに起こる「早期感染」と、数年後に発症する「遅発感染」です。 早期感染では発熱や患部の強い痛み、腫れなどがみられ、遅発感染では軽い痛みや動かしにくさが長く続く形で現れることがあります。 感染症リスクを高める要因としては以下が知られています。 糖尿病 関節リウマチ 免疫抑制剤を使用している 肥満 喫煙習慣 これらの条件がある方は、感染の危険性が高まるため、手術前に十分な準備や対策を行うことが重要です。 感染症にかかった場合の治療は、まず抗菌薬による点滴が行われます。症状が強い場合や感染が広がっている場合には、人工関節を入れ替える再手術が必要になることもあります。 予防策としては、手術前に虫歯や皮膚炎などの感染源を治療しておくこと、手術時には抗菌薬を予防的に投与することが有効とされています。 また、清潔な環境での手術操作と手術後の適切なリハビリ管理も重要です。 血栓症の危険性 肩人工関節の手術では、血栓症も重要なリスクの一つです。血栓症とは、血管の中に血のかたまり(血栓)ができて血流を妨げる状態を指します。 とくに脚の深い血管にできる深部静脈血栓症(DVT)と、血栓が肺に飛んで血管を詰まらせる肺塞栓症は、命に関わることもある合併症です。 症状としては、脚の腫れや赤み、強い痛みが現れる場合があります。 肺塞栓症では、急な息切れ、胸の痛み、めまいなどが起こり、緊急対応が必要になります。 リスクを高める要因には次のようなものがあります。 高齢 肥満 がんなどの悪性疾患 血栓症の既往歴 長時間の手術や手術後の安静 手術後の体調に異変を感じた場合は、すぐに医療スタッフに伝えましょう。 脱臼リスクと動作制限 肩は体の関節の中でも最も動きの幅が広い構造を持っています。 そのため、人工関節に置き換えると、特定の動作で脱臼が起こりやすくなる特徴があります。 注意が必要なのは、次のような動作です。 背中に手を回す(帯を結ぶ、ポケットに手を入れるなど) 腕を大きく上げる(洗濯物を干す、高い場所に物を取るなど) 手を体の内側に大きくひねる動作 これらは人工関節に強い負担をかけ、脱臼のリスクを高めるとされています。 予防のためには、手術後のリハビリで正しい動かし方を学ぶことが欠かせません。 一度脱臼すると再発しやすい傾向があるため、手術後は慎重な管理で脱臼を防ぎましょう。 生活の中では脱臼しやすい姿勢を避けたり、無理に腕を伸ばさない工夫も必要です。 理学療法士による生活指導も受けて、動作の工夫を取り入れてください。 摩耗・ゆるみによる再置換の可能性 人工関節は一度入れれば一生使えるわけではありません。 時間の経過とともに摩耗や「ゆるみ」が起こり、再手術(再置換)が必要になる場合があります。 人工関節の摩耗は、金属やポリエチレンといった部品同士が繰り返し擦れ合うことで進行します。 その結果、関節の安定性が低下し、痛みや腫れ、動かしにくさが再び現れてきます。 また、摩耗によって生じた微細な粉が骨を刺激し、骨が少しずつ体に吸収されて弱くなることで、人工関節がゆるみやすくなります。 再置換が必要となる主な兆候は以下の通りです。 関節の痛みが再発する 肩を動かしたときに違和感や異常な音がある X線検査でインプラントの位置がずれている 再置換手術は、初回の手術よりも難易度が高く、合併症のリスクも大きくなります。 人工関節の寿命は一般的に15〜20年程度とされますが、患者様の年齢や生活スタイルによって大きく変わります。 若い方や活動量が多い方は、再置換の可能性が高まるため、長期的な視点で手術を検討しましょう。 神経損傷と機能障害のリスク 肩人工関節手術では、周囲を走行する重要な神経を傷つけてしまう可能性があります。神経は細く繊細で、一度損傷すると回復が難しい場合があるため、とても注意が必要です。 代表的な神経損傷には次のようなものがあります。 神経 働き・役割 腋窩神経(えきかしんけい) 三角筋を通っており、損傷すると腕を横に持ち上げる(外転)動作ができなくなります。 筋皮神経(きんぴしんけい) 上腕二頭筋を通り、肘を曲げる力が弱くなるほか、前腕の外側の感覚が鈍くなることがあります。 これらの神経は肩関節のすぐ近くを通っているため、人工関節の設置や手術器具の操作中に影響を受けやすい位置にあります。 神経損傷が起こると、日常生活の質に大きな影響を与えます。 このため、手術を担当する医師が肩の解剖を熟知していること、また術後の神経症状を見逃さずに早期対応する体制が整っていることがとても重要です。 可動域制限による生活動作の困難 肩人工関節手術の後、多くの患者様が直面する課題の一つが可動域の制限です。 とくにリバース型人工関節では、肩の構造を反転させて安定性を高めるため、どうしても動かせる範囲が狭くなります。 代表的に制限されやすい動きは以下の通りです。 動作 難しくなる動き・事例 屈曲(前に腕を上げる) 洗濯物を干す、高い棚に手を伸ばすといった動作が難しくなる。 外転(横に腕を広げる) 荷物を持ち上げる、体操で両手を広げるといった動きに制限が出る。 内旋(腕を内側にひねる) 背中に手を回す動作が困難となる。 外旋(腕を外にひねる) 洗髪や髪を後ろで束ねる動作がしにくくなる。 研究報告では、リバース型人工関節は痛みの改善や安定性の向上に有効である一方、背中に手を回す動作(内旋)や頭上動作の制限が残ることが多いと示されています。(文献1) このため、術後にはどの動きが難しくなるのかを事前に理解し、理学療法士と一緒に日常生活に適した代替動作を学ぶことが重要です。 たとえば、衣服の着脱では前開きの服を選ぶ、入浴では入浴補助具を活用するなど、生活を工夫することで制限の影響を軽減できます。 再手術が必要になる可能性 肩人工関節は、痛みを和らげ生活の質を改善する有効な治療法ですが、一度の手術で一生使えるとは限りません。 感染、脱臼、摩耗・ゆるみなどの問題が生じると、再手術(再置換や再固定)が必要になる場合があります。 再手術は初回の手術に比べて難易度が高く、以下の課題があります。 骨の欠損や変形:人工関節の取り外しにより骨がさらに損なわれ、固定が難しくなる。 合併症の増加:感染や神経損傷、血栓症などのリスクが高まる。 回復期間の延長:リハビリが長引き、日常生活への復帰に時間がかかる。 とくに高齢者の場合、再手術時には体力や合併症の影響が大きくなるため、初回手術の段階で将来の再手術の可能性を念頭に置いて計画を立てることが大切です。 肩の人工関節の種類別デメリット|従来型とリバース型 肩人工関節には、大きく分けて「アナトミカル型(従来型)」と「リバース型」の2種類があります。 それぞれの構造や適応が異なるため、発生しやすいデメリットにも違いがあります。以下の通りです。 アナトミカル型(従来型) リバース型 特徴 自然に近い動きを再現しやすい 若年層や活動性の高い患者にも用いられる 腱板損傷があっても施術可能 脱臼リスクあり デメリット 腱板が損傷している場合は安定性が低い 脱臼リスクが比較的高い 可動域制限が生じやすい 負荷をかける動作で脱臼リスクがある 主な適応 腱板が保たれている場合に適応 腱板断裂性関節症、高齢者 このように、肩の人工関節はどちらを選ぶかで将来の生活に与える影響が変わります。 担当医と十分に相談し、自分の症状や生活スタイルに合った方法を選択することが重要です。 肩の人工関節手術の概要とポイント 肩人工関節手術は、保存療法で改善が得られない患者様に行われる治療法です。 損傷した関節を人工関節に置き換えることで、痛みを和らげ、生活の質を高めることを目的としています。 手術は全身麻酔で行われ、入院は一般的に2〜4週間程度です。術後はリハビリを通じて徐々に可動域と筋力を回復させていきます。 肩の人工関節手術の適応疾患別リスク 肩人工関節手術は、基礎疾患によって手術後のリスクや経過が異なります。主な疾患ごとの特徴を以下の表にまとめました。 疾患名 手術が適切と判断される特徴 主なリスク・注意点 変形性肩関節症 関節のすり減りによる痛み・可動域制限 高齢者では感染や血栓症リスクが高い 関節リウマチ 炎症で関節が破壊される 免疫抑制薬の影響で感染リスクが上昇 腱板断裂性関節症 腱板が損傷し肩を動かせない リバース型が多く、可動域制限や脱臼が残りやすい 上腕骨頭壊死 骨への血流障害で壊死が進行 若年者でも起こり、再手術の可能性が比較的高い 疾患ごとのリスクを理解しておくことで、手術後の生活に備えられます。 変形性肩関節症のリスクについては、以下の記事で詳細に解説しておりますので、気になる方はご確認ください。 肩の人工関節手術の入院期間と回復までの流れ 肩人工関節手術は、入院から退院後のリハビリまで一定の流れがあります。以下の表に一般的な目安をまとめました。 時期 主な内容 ポイント 手術当日〜翌日 全身麻酔で手術、安静 痛み止めや感染予防の管理が行われる 1週目 基本的なリハビリ開始 医師や理学療法士の指導で可動域訓練を少しずつ開始 2〜3週目 入院リハビリ 日常生活に必要な動作(更衣・洗面など)の練習 退院後(1〜3カ月) 外来リハビリ中心 洗濯物を干す・棚に手を伸ばすなど生活動作を徐々に回復 半年以降 社会生活復帰 家事・趣味・軽いスポーツが可能となる例もある 入院は平均で2〜3週間程度ですが、年齢や合併症によって延びることもあります。完全な回復には半年ほどかかるケースもあるため、焦らず段階的にリハビリを続けることが大切です。 肩の人工関節手術にかかる費用目安 手術費用については、自己負担3割の場合、おおむね50万〜60万円前後が一つの目安になります。 例として、ある病院では人工肩関節置換術(入院8日)で約56万円と案内されています。 医療機関や入院日数、個室利用などで上下しますが、総医療費が200万〜250万円に達するケースもあり、その場合の3割負担は約60万〜75万円もあります。 ただし、高額療養費制度を併用すれば自己負担は月ごとの上限額までに抑えられる仕組みです。 以下は、肩の人工関節手術で費用が掛かる項目についてまとめたものです。 費用項目 概要 確認ポイント 手術料・麻酔料 人工関節本体を含む外科手技と麻酔管理の費用 保険適用範囲、インプラントの種類、術式の違い 入院費 病室・投薬・処置・検査などの入院管理費 入院日数、個室か大部屋か、食事療養費の扱い リハビリ費 急性期から外来期までの理学療法費 入院中の頻度、退院後の通院回数と期間 術後外来・投薬 創部チェック、画像検査、疼痛コントロール 通院間隔、画像検査の種類と回数 装具・消耗品 スリング、保護材、創部ケア用品 自費分の有無、交換頻度 公的制度 高額療養費制度、限度額適用認定証、医療費控除 手続き方法、自己負担上限、対象外費用の確認 費用を抑えるには、公的制度の活用が鍵となります。高額療養費制度などを活用して、人工関節手術の費用を抑えましょう。 肩疾患の人工関節に再生医療は適用される? 再生医療は、すでに人工関節を入れた肩には適用されません。しかし、人工関節手術を行う前の段階であれば、症状や画像所見、生活背景などを総合して、手術前の選択肢として検討されることがあります。 再生医療は、患者様自身から採取・培養した幹細胞を患部に投与する治療法です。入院や手術を行わずに受けられます。ただし、対象疾患や期待できる経過には個人差があり、医師の評価が前提となります。 以下は、当院リペアセルクリニックで行った肩腱板断裂に対する再生医療の症例です。左肩の痛みに悩む70代の男性が再生医療により症状が改善した事例を紹介しているので、参考までにご覧ください。 患者様の状態によって、再生医療の実施可否、治療計画、想定される経過、リスクなどが異なります。 詳細については、当院リペアセルクリニックまでご相談ください。 まとめ|肩人工関節のデメリットを理解して後悔のない治療選択を 肩に人工関節を入れるかどうかの判断は、リスクの理解から始まります。 本記事では、感染症・血栓症・脱臼・摩耗やゆるみ・神経損傷・可動域制限・再手術の7点を軸に整理しました。 人工肩関節置換術後に変形性肩関節症などの合併症が起こるリスクは、患者様の年齢や基礎疾患、手術方法、術後の過ごし方によって変わります。 また、使用する人工関節が従来型かリバース型かによって、術後に残る機能制限や日常生活での注意点も異なります。 人工肩関節置換術後の入院はおおむね2〜3週間が目安で、外来リハビリを経て数カ月かけて生活を整える流れになります。 費用は複数の項目で構成されるため、高額療養費制度などの公的支援も視野に入れて、見積もりの内訳を早めに確認しましょう。 迷いが残るときは、専門医に相談して診察を受けるのが一番の解決策です。 手術を避けたいとお考えの場合は再生医療の選択肢もあるので、お悩みの方はぜひ当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。 リペアセルクリニックでは再生医療に精通した医師が、患者様の状態に応じて個別に治療方針を提案いたします。 参考文献 (文献1) 肩関節リバース型人工関節置換術後の可動域と機能評価|日本リハビリテーション医学会誌
2021.12.20 -
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再生医療の分野で注目されている「PRP療法」と「APS療法」。 どちらも自身の血液を使って行う治療法ですが、目的や仕組みに違いがあります。 本記事では、PRPとAPSの特徴や違い、治療の流れをわかりやすく解説します。 膝などの慢性的な痛みに悩む方や、手術以外の選択肢を探している方は、再生医療という新たな可能性を知るきっかけにしてみてください。 PRP療法とAPS療法の違い|再生医療としての特徴 再生医療とは、怪我や病気によって低下あるいは喪失した生体機能を、細胞や組織の働きを利用して回復を目指す医療分野です。 人為的に加工や培養して作製した細胞や組織などを用いて人体に元来備わっている「自己修復力」を引き出すアプローチとして、可能性が広がりつつあります。 中でも、PRP療法やAPS療法は、患者様自身の血液成分を活用する「自己由来」の再生医療とされ、とくに関節の痛みに関する治療の選択肢のひとつです。 どちらの療法も、血液中に含まれる「血小板」が関係しています。 血小板は止血の働きだけでなく、ケガをしたときに損傷部位の修復に関与する「成長因子」を含んでいるとされます。 PRP療法やAPS療法は、この成長因子を利用した治療法です。 PRP療法は、血小板が多く含まれる血漿(多血小板血漿=Platelet Rich Plasma)を注入する方法です。 一方、APS療法(Autologous Protein Solution)は、PRPをさらに加工・濃縮したもので、炎症に関与するタンパク質や関節の状態に関わる因子に注目した治療法として研究が進められています。 PRP療法とAPS療法とは?それぞれの特徴を解説 PRP療法(Platelet Rich Plasma療法)とAPS療法(Autologous Protein Solution療法)は、どちらも患者様自身の血液を利用して行われる再生医療の一種です。 主に関節の不調や慢性疼痛のケアを目的に導入されるケースがあります。 PRP療法では、採取した自己血液を遠心分離して血小板を濃縮し、それを処置部位に注入する方法が用いられます。 血小板には「成長因子」と呼ばれる物質が含まれているとされており、この成分には組織の修復や細胞の活性化などを促す働きがある可能性が報告されています。 そのため、ケガや関節の違和感に対して使用されることがあります。 APS療法は、PRPをさらに専用の装置で処理し、抗炎症性タンパク質や成長因子などを高濃度に含むとされる成分を抽出した自己タンパク溶液を用いる方法です。 こうした成分の働きにより、関節の炎症性因子に対するアプローチが期待される場面もあります。 なお、どちらの治療も自己血液をもとにしているため、異物による免疫反応のリスクは比較的少ないとされます。 ただし、症状の改善には個人差があり、すべての人に同じような効果が得られるわけではないため、実施の際は医師による十分な説明を受けることが大切です。 PRP療法とAPS療法の比較 項目 PRP療法 APS療法 抽出方法 血小板を多く含む血漿を抽出 PRPをさらに遠心分離・処理して特定タンパク質を濃縮 主な成分 血小板由来の成長因子を含む 成長因子と抗炎症性サイトカインを含む 期待される作用 組織修復や細胞増殖に関与する 炎症を抑える働きがあるとされる成分が含まれる 主な対象 関節・腱・靭帯の損傷など 変形性膝関節症など慢性的な関節の痛み 治療の特徴 自己治癒力を高め傷ついた組織にアプローチ 痛みの緩和を目的とする治療法 抗炎症・鎮痛を重視 痛みの緩和を目的とする治療法 使用する血液量 一般に10〜20ml前後 約50〜60ml程度 手技 採血後、専用機器で処理し注射 採血後、さらに濃縮処理し注射 自己多血小板血漿、注入療法とも呼ばれるPRP療法については馴染みが薄い治療法に感じられるかもしれません。しかし、海外においては10年以上の使用実績がある方法です。 PRP療法は、ご自身の血液を採取し、遠心分離機を用いて血小板を多く含む部分(PRP)を抽出・濃縮し、損傷した部位に使用する治療法です。血小板に含まれる成分が、もともと体に備わっている修復の過程に関与するとされています。 一方、APS治療は、同じく採取した血液を特殊な専用装置で処理し、炎症に関与する物質に着目して特定のタンパク質(抗炎症性サイトカインなど)を選択的に濃縮・抽出したものを用いる治療法です。関節などの炎症に対して使用されることがあります。 APS療法で期待できる効果と治療法 APS療法は、患者自身の血液から抽出したタンパク質濃縮液(Autologous Protein Solution)を患部に注射することで、関節まわりの環境を整えることを目的とした再生医療の一つです。 ここでは、変形性膝関節症に対してAPS療法で期待できる効果や実際の治療法などについて紹介します。 ご注意頂きたいのは、APS療法は再生医療ではありますが、関節の軟骨を修復して再生させるのが目的ではありません。 自己の血液から抗炎症成分のみを濃縮して抽出したあと、関節内に注射することで、膝痛の症状緩和に焦点を当てた特化的治療です。 膝の変形性関節症では、疾患が進行することによって「半月板の損傷」や、「靭帯のゆるみ」など膝関節のバランスが崩れることで軟骨がすり減り、膝関節が変形して発症します。 また、変形性膝関節症では膝関節部における変形度の進行に伴って、軟骨がすり減り、半月板が擦り減って傷み、さらには滑膜炎など炎症が起きて膝部に水が溜まることがあります。 従来、治療としては繰り返し鎮痛剤を内服することや、ヒアルロン酸を関節内に注入するなどが代表的な治療法でした。 しかし、鎮痛剤を飲み続ける是非や、ヒアルロン酸の効果が期待できなくなった変形性膝関節症の患者様の中には、このAPS治療によって症状の改善を示すケースがあることが分かってきたのです。 一般的にAPS治療では、投与してからおよそ1週間から1か月程度で患部組織の修復が起こり始めて、だいたい治療してから約2週間から3ヶ月前後までには一定の効果が期待できると言われています。 海外のAPS治療に関する報告例では、APSを一回注射するだけで、最大約24ヶ月間にもわたって痛みに対する改善効果が継続するとの実例も紹介されていました。 ただし、これは一例で実際の治療効果や症状が改善する持続期間に関しては、患者様の疾患の程度、条件によって様々、個人差があり変化することをご理解ください。 また、このAPS治療は、PRPと同じく、患者様自身の血液を活用して生成するために、通常ではアレルギー反応や免疫学的な拒絶反応は出現しないと考えられている点も良い面でのポイントです。 ヒアルロン酸の効果が感じられない方は以下の記事も参考にしてください。 APS治療の手順 1)まず約50~60mlの血液を採取 2)厚生労働省が認めている特殊な技術で処理し、血小板成分を濃縮したPRPを抽出 3)精製されたPRP物質をさらに濃縮してAPSを抽出 こうして抽出した後、痛みを自覚されている関節部位に超音波エコー画像を見ながらAPS成分を注射して投与する まとめ|PRP療法・APS療法は血液成分を活用した治療法 PRP療法(自己多血小板血漿注入療法)は、患者様自身の血液中に含まれる血小板を活用、APS治療は患者様自身の血液中に含まれる抗炎症性物質を活用した治療法です。 これらの治療を受けた当日は、入浴や飲酒・喫煙・激しい運動やマッサージなどは出来る限り回避するように意識しましょう。 治療後の行動については、くれぐれも十分に主治医と相談してください。 費用は、それぞれの対象医療施設や治療適応となる患部箇所などによって異なりますので、この治療法をもっと知りたい方は私どもほか、専門の外来へお問い合わせされることをおすすめします。 このPRP・APS療法のほかにも再生医療として、当院「リペアセルクリニック」が推進する「幹細胞治療」という治療法も存在します。 いずれにせよ関節に問題があって、「後は手術しかないと」と言われた方は再生医療をご検討されてはいかがでしょうか。 再生医療をご検討の際は、当院「リペアセルクリニック」へお気軽にお問い合わせください。
2021.10.20







