-
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
腰に小さな痛みや違和感があり、「ぎっくり腰なのではないか」と不安を覚えていませんか? ぎっくり腰は、歩けなくなるほど痛いと言われることも多く、できれば悪化させたくないと考えている人もいるでしょう。 結論、「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」は、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 この記事では、ぎっくり腰になりそうなときの対処法や、病院を受診したほうが良いケースを解説します。 ぎっくり腰の不安の解消や、症状の緩和にお役立てください。 ぎっくり腰の前兆は「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」 ぎっくり腰の前兆については、明らかなものがないと言われています。 しかし、以下のようなタイミングで「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」があれば、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 重いものを持ち上げたとき 座ったり歩いたりしているとき 前かがみになったとき 咳やくしゃみをしたとき 寝ているとき 身体を起こしたとき 前兆を見過ごしてしまうと、症状が悪化してぎっくり腰になってしまうかもしれません。 ぎっくり腰を未然に防ぐためにも、次の章で解説する対処法を試してみましょう。 【前兆】ぎっくり腰になりそうなときの対処法4つ 腰に違和感があり、ぎっくり腰になりそうなときには、以下4つの対処法を試してみてください。 無理な姿勢を避ける 痛みがある場合は冷やす 身体を軽く動かす ストレスを解消する 各対処法について、ぎっくり腰の原因とともに詳しく解説していきます。 無理な姿勢を避ける ぎっくり腰になりそうなときは、無理な姿勢を避けましょう。 ぎっくり腰の正式名称は「急性腰痛症」といい、腰や背骨を支える組織に傷が付いて痛みを引き起こすと言われています。 腰や背骨を支える組織は、椎間板、椎間関節、骨膜、筋肉・筋膜、靭帯、血管などさまざまで、どの部分に原因があるかは感覚だけではわかりません。 そのため、まずは無理な姿勢を避けて、腰周りに負担をかけないことが大切です。 痛みがある場合は冷やす ぎっくり腰の前兆である「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」を通り越して、すでに痛みがある場合は、湿布や氷枕などで患部を冷やしましょう。 痛みの原因は腰周りの組織の炎症であるため、冷やすことで症状の改善に効果があると言われています。 ただ、冷やしすぎると皮膚を刺激し、かえって痛みが悪化してしまうおそれがあるため注意しましょう。 身体を軽く動かす ストレッチなどで身体を軽く動かすのも、ぎっくり腰になりそうなときの対処法として有効だと言われています。 ぎっくり腰の症状は、安静にしすぎると治りが遅くなる可能性があるためです。 ストレッチで腰周りにある筋肉の緊張をほぐし、血行が促進されたり可動域が広がったりすることで、腰椎への負担を減らせます。 痛みがない、または痛みが引いたら、無理のない範囲で身体を動かしてみましょう。 また、マッサージの良否は症状によって異なるため、自己判断で実施せず医師に相談してください。 ストレスを解消する ぎっくり腰になりそうなときは、ストレスを解消することも大切です。 ストレスは筋肉の緊張や血流の悪化を引き起こすため、ぎっくり腰の原因のひとつだと考えられています。 すべてのストレスを解消することは難しいかもしれませんが、十分な睡眠や休息を取るなど、リフレッシュできるよう心がけてみてください。 ぎっくり腰になると「耐えられないほどの激痛」が走ることも 前兆を放置し、ぎっくり腰になってしまうと「耐えられないほどの激痛」が走ることもあります。 正式名称である「急性腰痛症」という文字のとおり、急激に発症するのが、ぎっくり腰の怖いところです。 重いものを持ち上げたときや、前かがみになったときなどのタイミングで腰に激痛が走った場合、ぎっくり腰の可能性が高いでしょう。 ぎっくり腰の症状や原因については、以下の記事でも解説しているので、あわせてご覧ください。 ぎっくり腰ではない?病院を受診したほうが良い3つのケース ぎっくり腰やその前兆のような症状が出ており、以下のような状態の場合は、一度病院を受診してください。 痛みが2週間以上続いている・しびれがある 高齢である 発熱がある 「ぎっくり腰かと思いきや、骨折や他の病気だった」という可能性があります。 それぞれの症状について、詳しく解説します。 痛みが2週間以上続いている・しびれがある 腰周りの痛みが2週間以上続いている、またはしびれがある場合は、以下の病気が隠れている疑いがあります。 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう) そのままにしておくと痛みが長引いたり、手術が必要になったりするおそれがあるため、早めに病院を受診することが大切です。 高齢である 高齢でぎっくり腰のような痛みがある場合、「圧迫骨折」で背中の骨が折れている可能性があります。 高齢者は「骨粗しょう症」の人が多く、骨が折れやすいためです。 骨折が原因で寝たきりになってしまうこともあるため、ただのぎっくり腰だと自己判断せず、一度背中や腰の状態を診てもらいましょう。 発熱がある 腰の痛みに加えて発熱がある場合に考えられるのは、細菌やウイルスへの感染です。 脊椎が細菌に感染する「化膿性脊椎炎(かのうせいせきついえん)」の可能性もあります。 感染は抗生物質などの薬で治療する必要があるため、発熱がある場合は病院を受診しましょう。 そのまま入院となるような、重大な病気が隠れているケースもあります。 以下の記事では、ぎっくり腰で病院を受診する目安に加えて、病院に行く前の応急処置を紹介しています。 まとめ|ぎっくり腰の前兆は4つの対処法で乗り切ろう 「なんとなく腰が痛くなりそうな違和感」は、ぎっくり腰の前兆の可能性があります。 重いものを持ち上げたときや前かがみになったとき、咳やくしゃみをしたときなど、前兆が現れるタイミングはさまざまです。 ぎっくり腰になりそうなときには、無理な姿勢を避けるなど、この記事で解説した4つの対処法で乗り切りましょう。 2週間以上続く痛み・しびれ・高齢者・発熱を伴うなどの場合は、ぎっくり腰ではない病気が隠れているおそれがあるため、一度病院を受診してみてください。 当院「リペアセルクリニック」では、腰痛治療の選択肢として再生医療を提供しています。 ぎっくり腰の前兆についてよくある質問 ぎっくり腰の前兆を感じたらどうしたらいいですか? ぎっくり腰の前兆に有効な対処法は、「無理な姿勢を避ける」「身体を軽く動かす」「ストレスを解消する」です。 痛みがある場合は、まず患部を冷やし、腰回りの組織の炎症を抑えましょう。 ぎっくり腰になりそうなときにやってはいけないことは? 重い物を持ち上げたり、痛みがあるのに無理に動いたりと、腰に負担がかかることは避けましょう。 症状が悪化し、激痛が走るぎっくり腰になってしまうおそれがあります。
2022.06.06 -
- ひざ関節
- 脊椎
- 股関節
- 肩関節
- 肘関節
- 手部
- 足部
「MRI検査って結果が出るまでの時間はどのくらいなのか」 「時間がかかるなら予定を組みたいから事前に知っておきたい」 人間ドックでも使用する機会が増えてきたMRI検査ですが、人によっては所要時間以前に検査を受けることが難しい場合があります。 本記事ではMRI検査でできる内容や、注意点について解説します。MRIを用いた検査を予定している人で、本記事で記したMRI検査の注意事項に当てはまる人は、検査の前に担当の医師に申告するための準備ができるので、ぜひ参考にしてください。 MRI検査とは MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)検査とは、強力な磁場を発生させるトンネルのような装置の中で、身体の内部の断面をさまざまな方向から撮影する検査です。 MRI検査は、ベッドに横たわり検査が始まるとベッドが自動で動いてトンネルのような装置の中に入っていきます。磁場が発生するときは工事現場のような大きな音がするため、ヘッドホンや耳栓をして検査を行う場合もあります。 工事現場の音 80〜85デジベル MRI検査の音 120デシベル程度 MRI検査でわかること MRI検査は、全身の疾患について調べられますが、以下の部位における高い検査能力が特徴的です。 四肢(両手、両足) 関節軟部組織 脊椎 脳 膝 肩 子宮 卵巣 血管 など 骨や、その周辺にある軟骨の状況も精査できるほか、脳を含む頭部や骨盤内の臓器などを検査する際に使われます。 MRI検査とCT検査との違い MRI検査と同じように身体の内部を撮影する検査として「CT検査」があります。MRI検査と同様にトンネルに入って行うもので装置の見た目も似通っているのですが、大きな違いがあります。 それは「CT検査は放射線を使った検査」「MRI検査は磁場と電波を使った検査」の違いです。放射線を使わないMRI検査の方が身体への負担が少ないと考えられます。検査の原理や得意な部位の違いは以下の表でまとめました。 検査原理 得意な部位 MRI検査 磁場と電波 整形外科の主な症状 腱板損傷、腱板断裂、関節損傷、靭帯損傷、半月板損傷、頸椎症、胸椎・腰椎ヘルニア、頸椎ヘルニア、脊髄腫瘍、骨軟部腫瘍、その他 脊髄、関節、脳、骨盤腔内臓器 ※関節軟部組織の描出が得意 CT検査 放射線 骨、脳、肺、腹部 MRI検査の結果が出るまでの所要時間 MRI検査の所要時間は20~45分です。似ている検査方法のCT検査は10~15分なので、比較すると少し長い時間がかかります。身体を動かすと画質が落ちてしまうため、検査中はなるべく身体を動かさないことが重要です。 また、MRI検査の結果が出るまでの期間は、検査当日すぐに出る場合もあれば、7~10日間ほどかかる場合もあります。医療機関によって変わるため事前にご確認ください。 MRI検査当日の所要時間:20〜45分 MRI検査の結果が出るまでの期間:当日または7〜10日 MRI検査の全体的な流れ MRI検査の当日は以下の流れで検査が行われています。 受付しつつ注意事項の確認 問診完了後、検査着にお着替え 検査室に移動しMRI検査の実施 MRI検査終了後、来院時の服にお着替え お会計 MRI検査の結果は郵送でお知らせするケースが大半ですが、必ず担当医に「どのような方法で検査方法が知らされるのか」を確認しておきましょう。 MRI検査の注意点 MRI検査は、強力な磁石と電磁波を使用するので、MRIの検査室内には金属類の持ち込みを一切禁止しています。たとえば金属類が該当し、ファスナーやチャック、金属製のボタンなどが付いた服装では検査できません。 また、女性の方はホック付きのブラジャーも着用できない可能性があるため注意が必要です。その他、バッグはもちろん、携帯電話や腕時計、財布などの貴重品、身に付けているアクセサリーを含めた金属類はすべて取り外してもらうのが必須です。ヘアピンなども忘れがちですので注意してください。 医療機関では、MRI検査で検査着に着替える場合が多いため、なるべく金属が付いておらず着替えやすい服装で来院するとスムーズに検査を受けられます。 金属が付いていなくても発熱系素材の下着なども注意が必要です。 インプラントも素材によっては難しい場合があるので、入れ歯も外してもらう必要があります。 身につけてはいけないものや注意が必要なもの一覧 MRI検査当日は、以下の服装やアクセサリー類などを身につけて来院される場合は注意が必要です。 MRI検査時に注意が必要なもの一覧 身に着けてはいけないもの、注意が必要なもの ファスナー、金属ボタンのついた衣類 メイク、マニキュア(アイシャドウ、マスカラ、ネイルアートに注意) 入れ歯、(インプラントは事前相談が必要です) 腕時計、メガネ、へアピンなどのアクセサリー類 コンタクトレンズ(事前相談が必要です) コルセット系の下着、ホックが付いた下着・衣類 金属のついている服や下着 発熱保温機能付の衣料(ヒートテック等) など 体内にペースメーカーなどを埋め込んでいる人 MRI検査は、強力な磁石や電波を使うため、火傷などの事故が起こらないよう十分に気を付けなければなりません。人によっては、身体の状態や状況によってMRI検査を受けるのが難しいと判断されるケースがあります。 以下の事項に当てはまる人は、MRI検査を受けられない場合があるため注意が必要です。 体内に金属(インプラント、ペースメーカーなど)を埋め込んでいる人 手術などで体内に金属、プレートやボルトを埋め込んでいる人は、MRI検査で使用する磁石と金属が反応して検査画像の乱れや火傷の原因となる可能性があります。 金属を体内に埋め込んだ症歴がある場合は、検査を受ける前に必ず申告し「MRI検査が可能であるか」を確認しておきましょう。治療を受けた病院で、金属の種類を事前に確認を求められるケースもあります。 体内に金属類を埋め込んでいる人で注意が必要なケース一覧 心臓ペースメーカー 骨折で体内に金属が入っている 脳動脈クリップ 血管ステント挿入 人工内耳、人工中耳 脳深部刺激装置 入れ墨、アートメイク リフトアップを金糸で行った場合・ 妊娠中、または妊娠の可能性 金属片が飛び散る職場での勤務 閉所恐怖症 ※上記でもチタンを用いたら、検査を受けられる場合もあります 刺青やアートメイクをしている人 刺青やタトゥーで検査ができないケースについて不思議に思う人も少なくないでしょう。実は刺青やタトゥーの色素に鉄などの金属が含まれている場合があり、MRI検査の強力な磁石と反応すると火傷を引き起こす可能性があるからです。 アートメイクの場合も、使用される金属の量はわずかですが、ごくまれに刺青と同様に検査画像が乱れてしまいます。火傷を引き起こす可能性もあるため、同じく注意が必要となります。たとえばマグネットネイルやミラーネイルなども変色の恐れがあるので注意しましょう。 刺青やアートメイクをしている人は、MRI検査を受ける前に必ず担当医師へ申告しましょう。 閉所恐怖症/狭いところが苦手な人 MRI検査は、狭いトンネルのような空間で行われるため、狭いところが苦手な人や閉所恐怖症の人は事前に申し出るのをおすすめします。MRI検査の検査時間は、長いと40分ほど必要になるため、閉所恐怖症の人は注意が必要です。 狭いところが苦手なのを事前に伝えておけば、医療機関によってはMRI機器の明るさを調整したりできる場合があります。検査機関によっては、オープン型のMRIを使用できるので事前に確認しておきましょう。 また、我慢できない場合は検査員に知らせるためのスイッチがあるので、気持ちを楽にしてお受けください。MRI検査について不安な点があれば、たとえ些細なことであっても検査を行う前に医療機関へ相談しましょう。 メイクやコンタクトレンズを着用をしている人 MRI検査を受ける際は、通常のメイクであっても注意が必要です。メイクをしたままMRI検査を受けるのは大きなリスクが伴います。 アイシャドーやマスカラ、アイラインなどの化粧品は、種類によって金属が含まれている場合があるため、検査画像の乱れや火傷を引き起こす恐れがあります。 正しく検査を終えられるように、MRI検査が始まる前までにメイクを落としておきましょう。 コンタクトレンズ(とくにカラーコンタクトレンズ)も注意が必要です。コンタクトレンズには鉄成分が含まれている場合があるため、コンタクトレンズをつけたままMRI検査を受けると検査画像への影響や火傷の危険があります。 コンタクトレンズを使用している人はMRI検査の前に外しておくか、検査の日は眼鏡をかけて来院し、検査中は眼鏡を外すような対応を行うのが無難です。 その他食事などにおける注意事項 MRI検査で腹部や骨盤の検査をする人は「食事の制限はしておくべきか」気になる人も多いでしょう。腹部や骨盤のMRI検査では、約6時間前までに食事を済ませてもらうよう案内しています。 水の摂取に関しては、MRI検査の直前までは問題ありません。とくに骨盤のMRI検査を受ける人は、来院の1時間前までに排尿を済ませておいてもらう必要があります。仮に来院1時間を過ぎたタイミングで排尿された場合は、300ml程度の水を摂取してから検査を受けましょう。 まとめ・MRI検査と検査を受ける際の注意点を把握しておこう MRI検査の造影剤は、被ばくの危険性がないため、CT検査よりも身体に負担の少ない検査であると言われています。しかし、体内に金属を埋め込んでいる人や刺青をしている人は危険が伴うため検査が受けられない場合があることを把握しておきましょう。 メイクをしたままやコンタクトレンズを付けたままの状態でMRI検査を受けるのも大きなリスクが伴います。必ずMRI検査を受ける前に注意事項を確認しておきましょう。
2022.04.18 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
- 腰部脊柱管狭窄症
- 脊椎、その他疾患
「坐骨神経痛で死ぬほど痛い」と感じる場合の治療法や対処法について知りたいという方は多いのではないでしょうか。 坐骨神経痛は、薬物療法やリハビリなどの手術を行わない保存療法で症状が緩和する可能性があります。 「死ぬほど痛い」と感じるほど重症の坐骨神経痛は、適切な治療を受けないと歩行困難になる可能性もあるため、まずは電話でご相談ください。 また、今までは手術によって痛みやしびれを取る治療が一般的とされてきましたが、近年では神経損傷を改善する可能性がある治療法として再生医療が注目されています。 「坐骨神経痛が死ぬほど痛いからなんとかしたい」という方は、どんな些細なことでもお気軽にご質問くださいね! ▼まずは電話で無料相談 >>今すぐ電話してみる 坐骨神経痛の辛い痛みを和らげる7つの治療法 坐骨神経痛の辛い痛みを和らげるための治療法は主に以下の7つです。 痛みを緩和する薬物療法 神経ブロック療法 筋肉をほぐす理学療法とリハビリ 認知行動療法 装具療法 重度の場合に行われる手術療法 再生医療 自分にあった症状に合わせて、治療法も検討していきましょう。 痛みを緩和する薬物療法 坐骨神経痛の痛みに対して、まず試される治療法が薬物療法です。痛み止めや炎症を抑える薬を服用することで、辛い症状を和らげる効果が期待できます。 最初は市販の痛み止めから始め、症状が重い場合は医師が処方する鎮痛剤や抗炎症薬を使用するケースもあります。 薬には副作用のリスクもあるため、自己判断での服用は避けて必ず医師に相談しましょう。 ▼神経損傷の治療に再生医療が注目 >>【無料】公式LINE限定の再生医療ガイドブックを見てみる 神経ブロック療法 痛みの原因となっている神経に直接アプローチするのが神経ブロック療法です。 局所麻酔薬を注射して、痛みを伝える神経の働きを一時的に抑制します。 神経ブロック療法は、比較的即効性があり重度の痛みにも効果を期待できるのが特徴です。 また、効果の持続時間には個人差があり、数時間から数カ月以上継続する方もいます。(文献1) 筋肉をほぐす理学療法とリハビリ 理学療法により、坐骨神経周辺の筋肉をほぐし血行を改善するのも、坐骨神経痛に効果が期待できます。 理学療法を受ける場合は、専門家の指導のもとストレッチや運動療法を行います。温熱療法やマッサージなども組み合わせることで、こわばった筋肉がリラックスし痛みの軽減につながるでしょう。 また、リハビリでは痛みの少ない範囲で軽い運動から始め、徐々に負荷を上げていく段階的なプログラムを実施します。 自宅でも医師や理学療法士の指導のもと、簡単なストレッチや運動を続けることで、より早い回復が期待できます。 認知行動療法 認知行動療法とは、物事の考え方・捉え方や行動に働きかけてストレスを軽減する治療法です。 専門家との定期的な面談を通じて、痛みと上手に付き合うコツを学びます。また、リラックス法や呼吸法なども取り入れるとより効果的です。 継続的な取り組みが必要ですが、痛みへの不安が軽減されることで生活の質の向上も期待できます。 装具療法 坐骨神経痛が辛いときは、腰椎を安定させて痛みを和らげるために、コルセットなどの装具を使用することがあります。 ただし、長期の装着は体力低下を引き起こす可能性があるため、医師に相談しながら、使用期間は1カ月程度を目安に調整しましょう。 装具の使用で痛みが改善したら、徐々に体を動かし筋力の回復を目指すのがおすすめです。 重度の場合に行われる手術療法 保存的治療で改善が見られない重症例では、神経を圧迫している椎間板や骨を取り除き、症状の改善を目指す手術療法が検討されます。 近年は、内視鏡手術など身体への負担が少ない手術方法も発達してきており、比較的早い段階で退院や日常生活への復帰ができる傾向があります。 ただし、手術にはリスクも伴うため慎重な判断が必要ですので、医師と十分に相談し手術の必要性を見極めましょう。 再生医療 再生医療とは、患者さま自身の細胞を利用して損傷した組織の再生・修復を促進する治療法のことです。 患者さま自身の細胞を使うため、拒絶反応やアレルギー反応などの副作用リスクが少ない点も魅力の一つといえるでしょう。 手術せずに損傷した坐骨神経の症状改善に期待できる新たな選択肢として再生医療が注目されています。 「坐骨神経が死ぬほど痛くて日常生活もままならない」という方は、ぜひ再生医療による治療をご検討ください。 当院の公式LINEでは、坐骨神経痛の痛み症状が改善できる可能性がある再生医療の治療法についてご覧いただけます。 ▼LINEでしか見られない限定情報を配信中 >>【公式LINE限定】再生医療に関する情報を見てみる そもそも坐骨神経痛とは?辛い3つの症状 坐骨神経痛とは、体の中で最も太い神経である坐骨神経に沿って痛みが走る症状です。 主な症状としては以下3つが挙げられます。 腰から足先にかけての鋭い激痛やしびれ お尻から脚にかけての持続的な痛み 座位や歩行で悪化する下半身の違和感や麻痺感 人によって症状は異なりますが「死ぬほど痛い」と表現されるケースもあり、日常生活に支障をきたすほどの痛みもあります。 本章では、坐骨神経痛の主な症状を解説します。 腰から足先にかけての鋭い激痛やしびれ 坐骨神経に沿って走る電気が走るような鋭い痛みは、最も特徴的な症状の1つです。 突然襲ってくる激痛は、まるで雷に打たれたかのような衝撃を伴います。多くの方が「今まで経験したことのない痛さ」と表現するほどです。 さらに、痛みの強さは時間帯や動作によって変化し、夜間に悪化する場合もあります。 もしも我慢できないほどの痛みに襲われたら、すぐに医療機関での受診をおすすめします。 お尻から脚にかけての持続的な痛み 坐骨神経痛特有の「ズキズキ」「ジンジン」した痛みは長時間続くのが特徴です。 お尻から太ももの裏側、ふくらはぎにかけて痛みが持続し、座る姿勢がとくにつらくなります。 また、痛みで姿勢が崩れてさらに症状が悪化する可能性もあるため、早期の段階で適切な治療を受けて慢性化を防ぎましょう。 座位や歩行で悪化する下半身の違和感や麻痺感 座っているときや歩行時に増す「違和感や麻痺感」も見逃せない重要な症状です。 たとえば長時間の座位で痺れが強くなったり、歩行時にふらつきを感じたりする場合もあります。 また、日常生活での何気ない動作が困難になり、仕事や家事に支障も出てきます。そのため、症状の進行を防ぐためにも、早めの対策と生活習慣の見直しが重要です。 坐骨神経痛の主な原因3選! 坐骨神経痛の代表的な原因は以下の3つが挙げられます。 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 加齢や筋力低下 主な原因を理解してから適切な治療法を選択できます。 ここでは症状との関連性や予防法を含めて詳しく解説します。 椎間板ヘルニア 椎間板ヘルニアとは「加齢」や「日常的に腰部に負担をかける」ことにより、クッション役である椎間板が飛び出し神経を圧迫する症状です。 デスクワークが多い30〜50代の方が発症しやすく、座っているだけでも激痛に襲われるケースもあります。 早期発見・早期治療が重要であり、適切な治療を受ければ多くの方が症状改善を実感できます。 また、腰椎椎間板ヘルニアの詳しい症状や重症度が気になる方は以下の記事もチェックしてみてください。 脊柱管狭窄症 脊柱管狭窄症は、年齢とともに脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される症状です。 とくに50代以降の方に多く見られ、立ち仕事や長時間の歩行で症状が悪化します。 また、前かがみで痛みが和らぎ、背筋を伸ばすと痛みが強くなるのが特徴です。 しかし、多くの場合が適切な治療と生活習慣の改善で症状をコントロールできます。 脊柱管狭窄症で注意すべきポイントや、症状と治療法については以下の記事も参考にしてみてください。 加齢や筋力低下 加齢による筋力低下も坐骨神経痛の原因の1つです。 腰回りの筋肉が衰えると、背骨を支える力が弱まり神経への負担が増加するため、日常生活での些細な動作で激痛が走ることもあります。 しかし、正しい運動習慣と筋力トレーニングの継続で症状の改善や予防が期待できます。 また、加齢や筋力低下で気になる症状があれば「メール」や「オンラインカウンセリング」でのご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。 坐骨神経痛の予防法とセルフケア 坐骨神経痛の痛みは日々のケアで和らげることができます。 ここでは、痛みに悩まされている方にも効果的な3つの予防方法をご紹介します。 日常的にできる簡単なストレッチ 正しい姿勢を保つための意識づけ 適度な運動で筋力を強化する 継続的に行うと辛い症状の改善や予防に期待できるでしょう。 日常的にできる簡単なストレッチ 朝晩5分から始められるストレッチで、硬くなった筋肉をほぐしていきます。 とくに効果的なのが、仰向けで行う膝抱えストレッチです。 背中を床につけ、片膝を胸に向かってゆっくり引き寄せます 反対側の足はまっすぐ伸ばしたまま30秒キープ 左右2セットずつ行うのがおすすめです。 無理のない範囲で継続していると、徐々に筋肉の柔軟性が高まり痛みの予防につながります。 正しい姿勢を保つための意識づけ 猫背やストレートネックは坐骨神経痛の原因になりやすいため要注意です。 デスクワークが多い方は背筋を伸ばし、足裏を床につけた姿勢を心がけましょう。 長時間同じ姿勢も避けたいポイントですので、1時間に1回は立ち上がって軽く体を動かすことをおすすめします。 正しい姿勢を保っていれば、神経への負担が軽減され痛みの予防に効果的です。 適度な運動で筋力を強化する 急激な運動は逆効果ですが、適度な運動は予防にも効果的です。 ウォーキングや水中歩行から始めるのがおすすめで、とくに体幹を鍛えると腰への負担が軽減されます。 まずは1日10分からでもOKですので、徐々に時間を延ばして体を強化していきましょう。 まとめ|死ぬほど痛い坐骨神経痛は適切な治療法で改善しよう 坐骨神経痛の痛みは確かに辛いものですが、適切な治療とケアで改善に期待できます。まずは専門医に相談し、あなたに合った効果的な治療を検討してみてください。 治療には薬物療法や神経ブロック、リハビリなど症状に合わせて選択できます。 本記事を参考に簡単なセルフケアも取り入れつつ、日常的に予防も意識してみてください。 近年の治療では、手術をしない新たな選択肢として「再生医療」が注目されています。 痛みでできなかったことが再びできるようになる可能性がある再生医療について「どのような治療を行うか」ぜひお問い合わせください。 ▼まずは電話で無料相談 >>今すぐ電話してみる 坐骨神経痛が死ぬほど痛いときによくある質問 Q:坐骨神経痛と間違える病気はありますか? 坐骨神経痛に似た症状に「梨状筋症候群」や「変形性股関節症」があげられます。 いずれも神経損傷や関節軟骨がすり減ってしまい従来の治療では元に戻らないと言われています。 しかし、近年では損傷した神経や関節軟骨に対して再生医療による治療も選択肢の一つです。 今まで元に戻らないとされていた神経や組織の改善が期待できる治療法なので、この機会にぜひ知っておきましょう。 ▼神経損傷の治療に再生医療が注目 >>【無料】公式LINE限定の再生医療ガイドブックを見てみる Q:坐骨神経痛でやってはいけないことは何ですか? 坐骨神経痛の症状を悪化させないために、主に以下の動作が挙げられます。 長時間の同じ姿勢 無理な運動 重いものを持ち上げる とくに急激な動きや、ねじる動作は症状を悪化させる原因となります。 また、坐骨神経痛でやってはいけないことについては、以下の記事でさらに詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 日本ペインクリニック学会_第Ⅰ章 ペインクリニックにおける神経ブロック
2022.04.13 -
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
「頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことはある?」 「頚椎椎間板ヘルニアの予防で注意したいポイントは?」 頚椎椎間板ヘルニアを始め、頚椎疾患は、日常診療のなかでも多い病気のひとつです。頚椎疾患自体は、30~50代前後の中年層に患者数が多い傾向にあります。 ときには訳もなく発症するケースがあるものの、多くは日常生活で悪い姿勢のまま作業をしたり、首に負担のかかりやすい運動(スポーツ)をしたりすると起きやすくなります。 また、頭の重さは5~6Kgほどです。要はボーリングの球が首に乗っている様子をイメージしてみてください。いかに首への負担がかかっているのか、ご理解いただけるでしょう。 そのため、日常生活において大きな衝撃がないときでも、ほんの数センチ頭が傾くだけで、首に負担がかかってしまうのです。 今回は頚椎椎間板ヘルニアを患った方が、日常生活においてやってはいけないことを解説します。最後までお読みいただければ、注意点や予防法を理解できるはずです。 先に主要ページに飛びたい方は、頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つの項目を参考にしてみてください。 頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアについて 頚椎椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が本来の正常な位置から逸脱し、後方・背中側に向けて突出してしまう病気をいいます。 ちなみに「椎間板(ついかんばん)」とは、脊椎(せきつい)領域において、骨と骨の間にあるクッションの役割を担っている軟骨のことです。 首の骨は「頚椎(けいつい)」と呼ばれ、7つの骨で構成されています。 特に、頭側に位置する上位頚椎椎間板ヘルニアは、加齢にともなう下位頚椎の変形などにより、上位頚椎に負荷がかかって引き起こされるのが一般的です。 若年者から中年層にかけて幅広く発症し、多くは悪い姿勢でのデスクワークが原因で起こる傾向にあります。 あるいは頚部に重い負担や、大きな衝撃がかかる以下のようなスポーツで発症する可能性もあるでしょう。 ・ラグビー、アメフト ・柔道 ・レスリング、ほか格闘技など ・スキー、スノーボードなど(ウインタースポーツ) また、頚椎椎間板ヘルニアになったときにあらわれる症状は、以下のとおりです。 ・首や肩、腕にかけて広範囲に痛みやしびれが出てくる ・食事中に箸が持ちづらくなる ・服を着るときにボタンがかけづらくなる ・歩くときに足がもつれる 医療機関などで頚椎椎間板ヘルニアの患者さんを診療するときは、手足の感覚や筋力が通常より低下していないかを確かめます。 あるいは四肢の腱(けん)反射異常などを観察したうえで、MRI検査(核磁気共鳴装置)で画像を確認し、脊髄の圧迫状態を確認します。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つ【予防法も解説】 前項で触れた通り、頚椎椎間板ヘルニアという病気は、スポーツなどが契機となって発症しやすい傾向にあります。 頚部のしびれや痛みなどの症状がみられる場合には、運動を一旦中止し、医療機関の受診を検討しなければなりません。 以下では、日常生活で注意するためにも、頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと5つをご紹介いたします。動画の解説もあわせてご確認をいただけるとうれしいです。 https://www.youtube.com/watch?v=xbxEK7kz0y0 ・スポーツでの違和感は放置しない ・姿勢が良くないまま過ごさない ・体重管理をせず体に負担をかけない ・自転車・バイクなどに乗って負担をかけない ・喫煙を習慣化しない スポーツでの違和感は放置しない アメリカンフットボールやラグビー、格闘技系など、激しいコンタクトを要求されるスポーツ選手は特に注意が必要です。 また、体操選手などは、体に対して急激で強い外力が頻繁に加わる動作をおこない、長時間同じような動作を反復するので頚椎椎間板ヘルニアを発症するリスクがあります。 とくに年齢を重ねると椎間板が劣化しやすいため、激しい動きがある種目は行わないようにするか、可能な限りリスクに注意して行うなどの対策を取ってみてください。 ほかにも、症状が軽度な場合に「この程度なら大丈夫」と自己判断して放置し、治療をしないままスポーツや生活を続けるのは避けましょう。 頚椎椎間板ヘルニアは自然に良くならないので、違和感を放置すると症状を悪化させる原因に繋がりかねません。 首に痛みや違和感があるときは、早めに医療機関で診察を受けて、医師から適切な判断を仰いでみてください。 姿勢が良くないまま過ごさない 頚椎椎間板ヘルニアを引き起こしやすい例としては、日常的な姿勢の悪さがあげられます。 たとえば、腰の部分が反ってしまう「そり腰」を始め、腹部に体幹を支える力が入っていない状態の「猫背」が代表例です。 頚椎椎間板ヘルニアの発症防止や、発症後に症状を悪化させないためにも、日常生活で背筋を伸ばすなど「正しい姿勢を意識する」ことが大切です。 以下では、姿勢が崩れていないかの確認方法を解説いたします。 【姿勢の確認方法】 まずは、大きな鏡の前で自身の姿勢を確認しましょう。 もしくは自然に壁の後ろに立ち、かかとを壁に付ける形で確認します。 その際、お尻・肩・頭は、壁に軽くついているかを始め、背中は手のひら1枚分ほどの隙間があるかも確かめましょう。 準備が整ったら、姿勢が悪いときに当てはまる以下のポイントをチェックします。 ・お尻、肩、頭が壁につかない部分がある ・頭の後頭部がつかない(頚椎に負担がかかっている) 姿勢の悪さに気づいたときは、背筋を伸ばすなど、日頃から正しい姿勢を意識するように注意しましょう。 正しい姿勢を知って維持したい方は、正しい歩き方を含めて解説している以下の記事も参考になります。 体重管理をせず体に負担をかけない 平均的な体重の成人は、上半身の重さが全体重の6割ほどといわれています。 体重が重い肥満傾向の場合は、そのぶん頚椎椎間板にかかる負荷が大きくなります。 身長に対して過剰な体重にならないためにも、適度な運動や食生活の見直しをおこない、体重を管理することが大切です。 自転車・バイクなどに乗って負担をかけない すでに頚椎症の疑いや症状がある場合は、自転車やバイク、自動車などに乗るのは控えるほうが良いでしょう。 特に自転車やバイクの転倒時には、急激に首に力が入ってしまいます。リスクを避けるためになるべく運転を控えましょう。 それでも自転車に乗る場合は、停止時はすぐに地面に足が着くようサドルを調整し、無理のない走行を心がけます。 また、自動車でほかの人に運転してもらう場合は、乗る前に事情を説明しておき、安全運転をお願いしましょう。 乗り物に乗るときは、以下の点にご注意ください。 【自転車・バイク・自動車などに乗るときの注意点】 ・発進や停止するときは、首に大きな負担がかかる点を意識する ・急発進や急ブレーキも、首に大きな負担がかかるので避ける 乗り物以外では、重い荷物を持ち上げるなど、首に負担がかかる動作は控えてみてください。 どうしても持ち上げる必要があるときは、腰を曲げてかがむのではなく、膝を折ってかがめば首にかかる負担を減らして持ち上げやすくなります。 正しい姿勢を意識しながら、何らかの動作が必要なときは、首に負担がかからないようご注意ください。 喫煙を習慣化しない 何より注意すべきは喫煙です。喫煙は、全身の毛細血管の血流を悪化させて、椎間板の劣化が起こりやすくなると考えられています。 頚椎椎間板ヘルニアを患っているにも関わらず、喫煙習慣があるのなら、なるべくタバコを吸わないようにしましょう。 もしくは大幅に減らすなど、できる限り禁煙するといった努力を心がけてみてください。 ご存知のように、タバコは万病のもとといわれるため、この機会に禁煙されてはいかがでしょうか。 最近は電子タバコなどもあり、切り替えながら少しずつでも減らしていければベストですね。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと【まとめ】 ・激しいスポーツを避ける(それ以外のスポーツも要注意) ・重い荷物を持つなどの重労働は避ける ・腰を曲げてお辞儀するようにかがまない(首に負担がかかる) ・猫背、そり腰を避ける(正しい姿勢を知る) ・太らないこと、体重の増加に注意する ・自転車やバイク、自動車の急発進や急停止などに注意する ・スマホを悪い姿勢で見ない(首への負担を意識する) ・禁煙が望ましい 【頚椎椎間板ヘルニアの予防法】 ・正しい姿勢を知って維持する ・腹部で体幹を支えるように意識して姿勢を正す 頚椎椎間板ヘルニアを予防するには、ストレッチ方法を知っておくのもおすすめです。詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。 まとめ|頚椎椎間板ヘルニアは姿勢を意識して負担を減らそう 椎間板が劣化する原因は、加齢などを含めてさまざまです。 頚椎椎間板ヘルニアになる要因やリスクを避けるために、以下のポイントを押さえておきましょう。 ・肥満 ・喫煙習慣 ・悪い姿勢 ・激しいスポーツ活動 など 普段の生活における環境要因(乗り物の運転など)を始め、頚椎椎間板ヘルニアの予防は正しい姿勢を知ることが第一です。 ほかにも、正しい姿勢で散歩したり、泳ぐのが好きな方はスイミングを取り入れたりするなど、持続的に無理のない範囲で運動する習慣を持つことも大切です。 現在、頚椎椎間板ヘルニアの治療中で、本記事をお読みいただいている方は、無理をなされないよう気をつけてお過ごしください。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことを知る上で、少しでも参考になれば幸いです。 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことに関するQ&A 頚椎椎間板ヘルニアでやってはいけないことに関して、よくある質問と答えをご紹介いたします。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの治療法は? A.頚椎椎間板ヘルニアでは「保存的治療」もしくは「外科的治療」を行います。 保存的治療において、主な治療方法は以下の3つです。 ・薬物治療:鎮痛薬の内服、神経ブロックなど(安静保持を含む) ・牽引治療:頚椎カラー装具で首を固定、首の牽引治療など ・理学療法:マッケンジー法、首のエクササイズなど ただ、保存的治療では顕著な症状改善を見込めず、手や足の筋力低下が続いて悪化するケースもあるかもしれません。 もしくは、スムーズに歩けないなどの歩行障害、尿失禁を始めとする排尿障害を合併する場合には、外科的治療(手術)を検討するケースもあります。 頚椎椎間板ヘルニアの治療法における詳細は、以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの初期症状は? A.初期症状は、主に以下の3つがあげられます。 ・首の痛み(最初期の症状) ・片方の腕や手の痛み、痺れ ・両手の痺れ、感覚障害 進行すると症状が悪化する可能性があります。少しでも違和感があるときは、早い段階で医療機関を受診してみてください。 頚椎椎間板ヘルニアにおける初期症状の詳細は、以下の記事も参考になります。 Q.頚椎椎間板ヘルニアの入院期間・休業期間はどのくらい? A.手術を受けた場合、入院期間の目安は、リハビリなどを含めて10~14日ほどです。休業期間の目安は、2~3週間ほどになります。 頚椎椎間板ヘルニアの入院期間や休業期間の詳細を知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 Q.頚椎椎間板ヘルニアのリハビリ方法は? A.患者さまの状態や生活習慣に応じて、運動療法や物理療法などを行います。 また、専門家からセルフケアの方法や動作に関するアドバイスも受けられます。 リハビリの目的などを含めて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
2022.04.04 -
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レントゲン検査やCT検査で股関節の痛みや違和感の原因が特定できない場合、MRI検査が必要となるケースがあります。 MRI検査では、レントゲンやCTでは映し出せない神経や筋肉の異常を詳しく調べられるからです。 本記事では、股関節に異常がないかを調べるMRI検査について詳しく解説します。 MRI検査で発見できる病名・疾患や、MRIの撮り方も紹介しているので、股関節の痛みや違和感に悩み詳しい検査を検討されている方は参考にしてみてください。 MRIを含む股関節を調べる画像検査3種【費用相場】 股関節の異常を調べるときに実施される画像検査は、主に以下の3種類です。 レントゲン検査 CT検査(Computed Tomography) MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) 検査の内容や費用をそれぞれ見ていきましょう。 1)レントゲン検査 レントゲン検査は、多くの方にとってなじみのある放射線の一種であるエックス線を用いた検査方法です。短時間で簡単におこなえますし、苦痛もほとんどないため、まずはレントゲンを撮る病院が多いかと思います。 レントゲン検査は、骨の状態、部分を詳しく見るのに適しています。 たとえば骨折や、骨の変形などがその代表です。しかし、筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織は撮影できません。 最近はデジタル化の影響で線量が格段に少なくなっているため通常の検査であれば問題はありません。ただ、放射線を用いる検査ですので、何度も繰り返して検索をおこなうなどの場合は被曝の可能性については気になるところです。 【検査費用の目安】 検査費用:600〜2,000円 ※撮影枚数2枚で3割負担の料金を想定 2)CT検査(Computed Tomography) CT検査は、レントゲンと同じエックス線を用います。 このエックス線をあらゆる方向から照射することで、体の輪切りした画像撮影が可能になります。レントゲンと違って体の内部まで輪切りにした状態で確認ができます。 輪切り画像を重ね合わせて他の断面の画像を構築したり、三次元(3D)の立体画像で確認したりできる検査です。 レントゲン検査よりもさらに詳しく骨の状態を評価できますが、レントゲンと同じく筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織については判断しにくい特徴があります。 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜15,000円 ※3割負担の料金を想定 3)MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) MRI検査とは、大きな磁石(磁場)を利用して体の内部を画像化する検査です。 レントゲン検査や、CT検査ではわからない筋肉や神経などの柔らかい組織を写し出す作業を得意としています。また、何より放射線を使用しないため被曝もなく、患者さんの人体に無害な検査という点で優れています。ただ、装置自体が大きく、とても高価なため、大学病院をはじめとした一部の施設にしか配置されていません。 また、誰でもできる訳ではありません。仕組みとして非常に強力な磁石を用いた装置なので、体内に金属があると検査できない場合があります。 MRI検査の注意点はこちら▼ 【検査費用の目安】 検査費用:5,000〜17,000円 ※3割負担の料金を想定 股関節のMRI検査でわかる主な3つの病名 ここでは、MRI検査で発見できる主な股関節の疾患を3つ紹介します。 ・変形性股関節症 ・関節リウマチ ・大腿骨頭壊死 順番に見ていきましょう。 変形性股関節症 変形性股関節症とは、股関節にある軟骨がすり減って、骨が変形する疾患です。変形性股関節症を発症し、症状が進行すると股関節に痛みが生じます。 また、股関節の可動域が制限されるようになり、立ち上がる動作や靴下をはく動作などに支障をきたすようになります。 変形性股関節症の詳細はこちら▼ なお、変形性股関節症の治療には、人間の自然治癒力を活用した「再生医療」が有効です。 幹細胞を股関節に注射すれば、すり減った軟骨が再生されます。徐々に痛みが軽減し、手術を回避できる可能性が高まります。 期待できる治療効果が知りたい方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にご相談ください。 関節リウマチ 関節リウマチとは、免疫システムの異常により、炎症を起こし痛みや腫れが生じる疾患です。股関節で発症した場合、リウマチ性股関節症と呼ばれます。 症状が進行または慢性化すると、関節が変形したり、こわばり・痛みによって日常生活に支障をきたしたりします。 また、炎症による発熱や、免疫システムのエラーによる臓器障害なども発生する可能性があるので、視野を広げた治療アプローチが必要です。 関節リウマチの詳細はこちら▼ 大腿骨頭壊死 大腿骨頭壊死は、股関節を形成する骨の一部である大腿骨頭への血流が低下して骨組織が壊死する疾患です。原因が不明な場合は「特発性大腿骨頭壊死」と呼ばれ、難病に指定されています。 症状が軽度で壊死の範囲が狭い場合は、経過観察も可能です。 しかし、壊死範囲が広く、症状が著しく進行している場合は、骨切り術や人工股関節置換術の手術が視野に入ってきます。 大腿骨頭壊死の詳細はこちら▼ 股関節を調べるときのMRIの撮り方 股関節を調べるときのMRIの撮り方を以下の表にまとめました。検査の流れを把握しておきたい方は参考にしてみてください。 流れ 検査内容 1.磁性体の装飾品を外す 磁場を発生させるMRIの故障の原因となるため、アクセサリーや時計などの金属類は事前に外しておく 2.検査着に着替える 必須ではないが安全性を考慮して推奨されている(参考1) 3.ヘッドホンや耳栓を装着する 検査中に騒音が発生するため、専用のアイテムで耳をふさぐ 4.ベッドに横たわる 指示に従って体勢を整える。撮影部位を固定する必要があるため患部によって多少体勢が変わる 5.検査開始 トンネル型の機械に入って検査を受ける。検査時間は撮影部位や撮影方法にもよるが、20〜45分 検査結果は、早くて当日中に出ます。詳細な分析を要する場合は、7〜10日ほどかかります。 MRI検査の全体像を解説した記事はこちら▼ まとめ|股関節に異常を感じたらMRI検査を検討しよう MRI検査は、レントゲン検査やCT検査ではわからない筋肉や神経などの組織の異常を詳細に映し出せます。 原因がはっきりわからない痛みや違和感が股関節に現れたら、MRI検査を受けて病名や疾患名を調べると良いでしょう。 早期に原因がわかれば、適切な治療を開始して早い回復を目指せます。 変形性股関節症を含む膝の痛みに対する根本的治療には「再生医療」を推奨します。再生医療は、人間の自然治癒力を活用した最新の医療技術で、すり減った膝軟骨の再生を図ります。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 股関節のMRI検査に関するよくある質問 最後に股関節のMRI検査に関するよくある質問と回答をまとめます。 MRIの画像に映る白い影は何ですか? MRI画像に映る白い影の原因は、以下のように複数考えられます。 ・小出血 ・骨髄の浮腫 ・組織や骨の損傷 ・レントゲンには映らないような微小な骨折 医師の話を聞いて、白い影の正確な原因を確認しましょう。 股関節のMRI検査で異常なしでも痛みが生じるのはなぜですか? 小さな組織の損傷は、MRIに映らない場合もあります。そのため、実際には損傷が起きていても、検査結果では「異常なし」と診断されるケースもゼロではありません。 また、股関節の靭帯が緩んで、痛みを伴う場合もあります。靭帯の緩みはMRIでは確認が難しく、検査では異常が見つからないケースもあります。 【参考文献】 参考1:http://fms.kopas.co.jp/fmdb/JJMRM/27/4/230.pdf
2022.03.30 -
- 脊髄損傷
- 脊椎
脊髄損傷を負ったあと「リハビリでどこまで回復できるのか?」「効果的なトレーニング方法は?」とお悩みの方もいるのではないでしょうか? リハビリは早期に始めるほど効果が高く、適切なトレーニングを継続すれば日常生活の質向上が期待できます。 本記事では、脊髄損傷におけるリハビリやトレーニングについて詳しく解説します。リハビリの回復見込みや注意点も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。 脊髄損傷のリハビリ内容【主な部位へのアプローチポイント】 さっそく、脊髄損傷のリハビリ内容を解説します。脊髄損傷におけるリハビリでは以下の訓練や療法がよくおこなわれます。 可動域訓練 筋力トレーニング 歩行訓練 電気刺激 順番に見ていきましょう。 可動域訓練|全身へのアプローチが可能 脊髄損傷後のリハビリでは、早期から関節の可動域訓練を行います。 脊髄を損傷すると「正常な筋肉」「麻痺がある筋肉」「筋力低下した筋肉」が混在します。その結果、筋肉のバランスが崩れることで拘縮(こうしゅく:関節が固くなり動きが制限される状態)が発生しやすくなるため、早期の訓練開始が重要です。 下部頸髄損傷による拘縮では、肘・膝・足の関節が屈曲位で固定されるだけでなく、全身の柔軟性が低下します。 拘縮が進行すると、座位の維持や寝返り、起き上がり、移乗(車椅子への移動など)にも支障が出るため、可動域訓練は全身の機能維持において欠かせない訓練といえます。 筋力トレーニング|上肢・下肢の筋力強化に有効 脊髄損傷のリハビリを目的とした筋力トレーニングは、麻痺を負った筋肉とのバランスを整えるほか、残存した機能を活用して日常生活を送るために欠かせない取り組みです。 たとえば、呼吸筋を鍛える「バルサルバ法」(バルサルバ手技とは異なる)は、呼吸機能の回復に有効であり、生活の質(QOL)の向上につながります。このトレーニングは、息を止めて腹部に力を入れることで呼吸筋を鍛える方法で、推奨時間は30秒未満です。 適切な筋力トレーニングを継続すれば、上肢・下肢の筋力を維持・向上させ、日常動作の改善を図れます。 歩行訓練|下肢の機能回復に有効 歩行訓練を早期から実施すると、歩行機能の向上だけでなく、身体機能も高まります。 脊髄損傷のリハビリでは「吊り上げ式免荷歩行」がよく採用されます。 これはジャケットを装着して体を上方へ牽引し、体重負荷を軽減しながら安全に歩行訓練をする方法です。 吊り上げ式免荷歩行を実施するメリットは以下の4つです。 早い段階から歩行練習ができる 身体の一部を支え負担を軽減できる 転倒のリスクを減らし安全に訓練できる 歩く動作に近い運動ができ意欲が向上する この方法により、安全性を保ちながら下肢の機能回復を促進します。 電気刺激|指先への細やかなアプローチも可能 機能的電気刺激(FES:functional electric stimulation)では、電気刺激により、麻痺を起こした筋肉を動かすことで身体機能の回復を図るリハビリ手法です。 具体的には、体の表面に装着もしくは体内に埋め込んだ電極から電気信号を送り筋肉を収縮させる方法です。 電気刺激により、歩行や起立動作などの日常生活動作の改善に加え、高位脊髄損傷者では人工呼吸器が不用になった報告があります。動作の向上は脊髄損傷を負った方にとって、リハビリ意欲の向上につながるでしょう。 電気刺激は、手指や手首の動作改善にも有効であり、握力の向上や指先の細かな動作の回復を促します。これにより、食事や着替え、筆記といった日常生活動作の自立支援にも貢献します。 再生医療|脊髄損傷の後遺症に対する新たな治療法 従来の治療法は主にリハビリで、症状が悪化すれば手術を受けるのが一般的でした。 しかし近年、幹細胞を用いた「再生医療」が新たな選択肢として注目されています。 幹細胞には損傷した組織を修復する働きがあり、筋力の回復や歩行の安定、感覚の改善などが期待されています。 点滴や患部に直接注射することで幹細胞が体内に投与され、血液を介して脊髄へ届けられる仕組みです。 再生医療は、手術のように傷跡が残る心配がなく、体への負担が少ない点も大きなメリットです。 「再生医療に興味があるけど具体的なイメージがつかめなくて不安…」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお気軽にお問い合わせください。 脊髄損傷におけるリハビリの回復見込みは? 脊髄損傷後のリハビリによる回復の見込みは、損傷の程度や種類によって異なります。 脊髄損傷は、大きく分けて以下の2つに分類されます。 分類 症状 完全麻痺 脊髄の神経伝達が完全に断たれた状態で、運動機能や感覚が完全に失われた状態 不全麻痺 脊髄の神経伝達が部分的に残っており、運動機能や感覚の一部が残っている状態 一般的に、完全麻痺の場合、失われた機能の完全な回復は難しいとされています。一方で、不全麻痺の場合は、早期にリハビリを開始して適切な治療を継続すれば、機能回復が期待できます。 リハビリだけでなく、脊髄損傷の後遺症には、再生医療という選択肢もあります。 幹細胞を採取・培養する再生医療は、自己再生能力を持つ幹細胞を利用して、損傷した組織の修復を目指す治療法です。 詳しい治療法については、下記のページをご覧ください。 脊髄損傷のリハビリに関する2つの注意点 脊髄損傷におけるリハビリ時の注意点を2つ解説します。 受傷後すぐは廃用症候群の発症に注意する 脊髄ショックのリスクも念頭に置いておく これらの点を理解した上で、安全なリハビリに取り組みましょう。 受傷後すぐは廃用症候群の発症に注意する 受傷直後は、安静にする必要があるため、ベッド上で過ごす時間が長くなります。 そこで注意したいのが、廃用症候群の発症です。 廃用症候群とは、安静状態が長時間続くことで起こる心身機能のトラブルや疾患の総称です。 たとえば、以下のような症状が現れます。 床ずれ 関節拘縮 尿路結石 起立性低血圧 睡眠覚醒リズム障害 褥瘡(じょくそう:長時間同じ姿勢により身体が圧迫されて皮膚や組織が損傷する状態)を防ぐためには、こまめに体位を変え、圧を分散させるマットやクッションを活用することが必要です。 脊髄ショックのリスクも念頭に置いておく 脊髄損傷のリハビリを進める際には、脊髄ショックのリスクを考慮する必要があります。 脊髄ショックとは、脊髄に損傷を受けた際に、損傷部位だけでなく脊髄全体に影響が及ぶ現象です。 脊髄と脳の連絡が絶たれることで発生し、運動や感覚が麻痺するだけでなく、脊髄反射が完全に消失する特徴があります。 脊髄ショックは通常、1日から2日で急性期を抜けますが、重症の場合は数日から長くて数週間続きます。 その間、体を動かすことができず、安静にして過ごさなくてはなりません。また、回復後も症状が重い場合は、予後が厳しくなる可能性が高くなります。 リハビリを開始する際には、脊髄ショックの発生を念頭に置き、医師の指示に従いながら慎重に治療を進める姿勢が大切です。 まとめ|脊髄損傷におけるリハビリのトレーニングで機能回復を目指そう 脊髄損傷は、体の中枢にある神経が損傷することです。脊髄を損傷すると、損傷した部位や程度により違いがあるものの麻痺が発生します。 損傷する脊髄レベルが高いほど重症度も高くなり、頸髄が横断される形で損傷する完全麻痺では、体を動かせなくなったり、感覚が感じ取れなくなったりします。 脊髄損傷後の主な治療法はリハビリです。リハビリでは、回復・残存した神経機能を日常生活に結び付けるため、体位変換・可動域訓練・筋力トレーニング・歩行訓練・電気刺激などに取り組みます。 また、リハビリで思ったような効果がみられない場合は、「再生医療」も選択肢としてご検討ください。 再生医療は、これまで困難とされていた脊髄の損傷修復や再生を目指す治療法です。 無料のメール相談・オンラインカウンセリングも受け付けていますので「再生医療で脊髄損傷をどうやって治療するの?」と気になる方は当院「リペアセルクリニック」にお気軽にお問い合わせください。
2022.03.28 -
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障がい者スポーツ|脊髄損傷の方が行えるスポーツとクラス分けを解説 毎年4000〜5000人が受傷するという脊髄損傷。 事故や転落・転倒などで脊髄を損傷すると「動かせない、感じない」といった麻痺が出現します。脊髄損傷後は、日常生活への復帰を目指して、残存する機能を使いリハビリに取り組みます。 リハビリでは日常生活動作を練習をしたり、運動に取り組んだりします。その中でスポーツにやりがいを見出し、競技として取り組むことになった場合のことについてお話します。 障がい者スポーツとして取り組む場合は、各人、残存する機能には個人差があるため、運動に取り組む際には公平性を保つため「クラス分け」が行われます。 そこで今回の記事では、脊髄損傷者がスポーツを行う際のクラス分けについて解説します。 脊髄損傷者とスポーツ 脊髄を損傷すると、損傷部より下に麻痺が発生します。麻痺は「筋肉を全く動かせない」「感覚が全くわからない」といった完全麻痺や、一部の運動・感覚機能を残した不全麻痺に分けられます。 脊椎損傷、麻痺の程度について 完全麻痺 筋肉を全く動かせない 感覚が全く分からない 不全麻痺 一部、運動、感覚機能がある 脊髄損傷後に取り組むのがリハビリです。リハビリでは残存した機能を使い、寝返りや歩行練習などを行うことで社会復帰を目指します。退院後は、リハビリや生きがいを目的に単なる運動ではなく、スポーツに取り組まれる方もいらっしゃいます。 運動は脊髄損傷者にとって、日常生活動作の向上だけでなく、充実した生活にもつながる大切なものです。また、運動と言っても個人での歩行練習から、スポーツ競技までさまざまです。 中でも他者と競い合うスポーツにおいては、公平に競技に取り組むことを目的に「クラス分け」が行われます。 代表的なスポーツ(各クラスを分けて競技する)の一例 陸上 ツインバスケットボール 水泳 車椅子マラソン ボート ウィルチェアーラグビー ボッチャ アーチェリー 車椅子サッカー その他 運動レベルのクラス分け 脊髄損傷者など障がい者が運動に取り組むにあたり実施されるのが「クラス分け(Classification)」と言われるものです。 脊髄損傷でも完全麻痺か不全麻痺によって残存する機能が違うように、同じ病気・怪我・事故にあっても、障がいの程度は人によって様々です。クラス分けは、障害があっても、できる限り公平に運動やスポーツに取り組めることを目的にしてグループ分けが実施されます。 クラス分けの種類 クラス分けの規則は、競技や大会によって違います。「国際クラス分け基準/IPC Classification Code」から分けられる「パラリンピック」や、独自の規則を設けている国内の競技大会・リハビリ施設での運動大会などさまざまです。 また、競技種目によってクラス分けの規則が変わることがありますが目的は同じで公平さの確保です。 誰でも競技に参加できるのか パラリンピックのような国際的な大会に参加するには、最小の障がい基準(Minimam Disability Criteria/MDC)をクリアしていることが条件になります。この基準を満たさない場合は、国際大会に参加することはできません。 日本国内の競技大会や地域のスポーツ大会であれば、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳をお持ちであれば、出場することができます。 どんな人が参加しているのか 脊髄を損傷した場合、筋力低下により意図的に筋肉を動かせなかったり、関節可動域に制限がかかったりするなどの障がいがある方です。他の疾患では、脳疾患からアテトーゼがある方、手足の一部か全てが欠損している方など、さまざまな障がいのある方が参加されます。 クラス分けの流れ スポーツ大会に参加し、記録を認めてもらえるのは、事前にクラス分けを受けた「クラスを持った方」です。このクラスを持っていなければ大会に出場しても記録が公認されることがありません。従って、出場前にクラス分けを受ける必要があります。 クラス分けは身体機能・技術から評価され、グループ分けされます。さらに、クラスが適切なのかどうかを出場した競技から観察されます。 身体機能評価では、筋力・可動域検査・バランス力などの検査が実施されます。技術評価では、出場予定の種目に取り組み、どの程度のパフォーマンスやスキルが発揮できるのか見られます。 クラス分けの 3 つのプロセス 1)身体機能評価/Physical Assessment 問診や筋力、関節可動域、バランスなどの各種検査を実施。参加資格の有無を判定する 2)技術評価/Technical Assessment 大会前に競技試技を行い選手のパフォーマンスや競技スキルを評価。適切なグループ(参加クラス)を割り当てる 3)競技観察/Observation Assessment クラス分けを実施した大会の一番最初の出場種目(First Appearance)を観察し、上記1)2)で判断した参加クラスが適切であるかを確認する クラス分けを実施する人 パラリンピックや国内での競技大会のように記録が認められる場合、「クラシファイヤー/Classifier」と呼ばれる専門の資格を持った人によりクラス分けされます。クラシファイヤーとは、クラス分けを行うために必要な知識や技術を学び、資格を取得した者をいいます。 このクラシファイヤーは、国際大会でクラス分けを行える World Para Athleticsによって公認された「国際クラシファイヤー」と、国内の大会でクラス分けを行える日本パラ陸上競技連盟公認の「国内クラシファイヤー」の2種類があります。 国際クラスファイヤーと国内クラスファイヤーの2種類あります。また、陸上競技ではクラシファイヤーの有資格者2~3 名で組織された パネルと呼ぶ単位で一人の選手に対するクラス分けを行っています。 クラス分けを理解しよう クラス分けの記号について、4桁のアルファベットと数字から構成されます。 例)T33Nの場合 クラス分け記号の見方 1)競技種目:T > 走競技や跳躍競技 2)障がいの種類:30番台 > 脳性の麻痺がある立位競技者と車椅子や投てき台を使用する競技者 3)障害の程度:3 4)クラスステータス:N > (New)これまでクラス分けをされたことがなく、新たにクラス分けをされる者 1)競技種目 左から競技種目・障がいの種類・障がいの程度・クラス・ステータスの順に配置されます。 T(Track):走競技や跳躍競技 F(Field):投てき競技 2)障がいの種類 10番台:視覚障がいのある競技者 20番台:知的障がいのある競技者 30番台:脳性の麻痺がある立位競技者と車椅子や投てき台を使用する競技者 40番台:低身長・脚長差・切断(義足不使用)・関節可動域制限・筋力低下のある競技者 50番台:脚長差・切断・関節可動域制限・筋力低下があり車椅子や投てき台を使用する競技者 60番台:足の切断から義足を装着する競技者 3)障がいの程度 0〜9の数字が割り当てられ、数字が小さいほど障がいの程度は重たくなる 4)クラス・ステータス N(New)これまでクラス分けをされたことがなく、新たにクラス分けをされる者 R(Review)クラス分けをされたが、再びクラス分けを必要とする者 C(Confirmed)クラスが確定された者 まとめ・障がい者スポーツ|脊髄損傷の方が行えるスポーツとクラス分け 脊髄損傷から麻痺が残っても、生活に支障がでる程度は人によって違います。たとえ、重度の障がいが残ったとしても、残存する機能を把握、活かすことでスポーツ活動をされている方はいらっしゃいます。 スポーツに取り組む際には、同じ程度の障がいがあるグループに分けるクラス分けが行われます。クラス分けは、国際的な大会・国内や地域の大会によって規則が変わりますが、どれも参加者が公平に競技に取り組めることを目的に実施されています。 このように障害者スポーツは、障害の程度や状況に応じて競技の規則や、実施方法を変更したり、用具等を使うことで障害を補えるよう工夫されたスポーツであることからアダプテッド・スポーツとも言われます。 初めは、医学上のリハビリテーションを目的として発展してまいりました。 今ではパラリンピックを頂点として大きな隆盛を遂げるなど、障害のある人であってもクラスを分けることで、障がい者同士が競い合い、生きる目標や生きがいを創造することに活かせれば良いと考えます。 このように、たとえ脊髄損傷であってもクラス分けが存在することでスポーツへ参加する道があります。この仕組みを利用すれば単にリハビリに留まらない活き活きとした目標ある人生を過ごすことが可能ではないでしょうか。 以上、脊髄損傷、障がい者スポーツのクラス分けについて記させて頂きました。これからも障がい者スポーツを応援してまいりたいと考えています。 ▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています
2022.03.25 -
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脊髄損傷!再生医療が画期的な治療法と言われる訳とは! 脊髄損傷の患者様は、日本に15万人ほどおられ、毎年4000〜5000人が受傷していると言われています。脊髄を損傷する原因は、交通事故・高所からの転落・スポーツでの事故・平地での転倒などさまざまです。 脊髄を損傷すると、手足の運動や感覚が麻痺するなど、身体機能に大きな影響をもたらす可能性が高いものの、これまで損傷した脊髄を再生させたり、麻痺を回復させたりするような効果的な治療法はありませんでした。 しかし、再生医療という新たな医療分野の出現によって損傷した脊髄を再生させ、体の機能を取り戻す、回復するといった画期的な方法が登場しました。この医療は、これまでは難しかった症状を手術や入院をせずに回復に向かわせる奇跡的ともいえる手法と言われています。 この記事では、これまでの脊髄損傷の治療法と、新たな治療法である再生医療での治療法をわかりやすく解説します。 脊髄損傷とは 脊髄とは脳から骨盤にかけて出ている神経で、脳と体の各部位を連結させる通信経路の役割があります。脊髄が損傷すると、体の機能に大きな影響を与えるため、脊椎(頚椎・胸椎・腰椎・仙骨)が形成する脊柱管に守られるようにして体の各部位へ分岐します。 脊髄損傷はあらゆる年齢に発生しますが、特に20歳と59歳に発生頻度が高まるとされてきました。しかし、近年の調査では70代に最も多く発生することがわかっています。これは、加齢とともに転倒リスクが上がるためと考えられます。 脊髄損傷は、完全麻痺と不全麻痺に分けられます。完全麻痺は、脊髄が完全に離断されると発生し、手足の感覚がわからない、全く動かなせないといった状態で、不全麻痺は、運動機能や感覚麻痺が一部だけ残っている状態です。残存する機能は、損傷部位や程度により変わります。 脊髄を損傷の特徴として、高い位置で損傷するほど重症度が高くなります。一般的に、上位頚髄の損傷では、自分で呼吸ができなくなり、呼吸器を必要とする重篤な麻痺を生じることがあります。また、胸髄の損傷では頚髄損傷と比較して、完全麻痺の可能性が高まります。 脊髄損傷のこれまでの治療法 脊髄を損傷すると、損傷部位の安静を確保し、手術によって脱臼・骨折した脊椎を安定させます。その後、残存した機能を活かしてリハビリテーションに取り組みますが、受傷時に負った麻痺がそのまま残ってしまうのが現状です。 急性期の治療 損傷時は、脊椎をギプスや装具で固定して安静を図ります。特に、重症化しやすい頚椎の固定は強く推奨されているほか、頭蓋骨の牽引や手術により神経を圧迫している原因を除去します。 また、頚髄や上部胸髄損傷により自発呼吸が機能しなくなった際には呼吸確保が実施されます。 脊髄損傷をしてすぐは、ベッド上で安静にすることが多く、褥瘡(床ずれ)などさまざまな合併症に気をつけます。 脊髄損傷による合併症 褥瘡 筋力の低下 関節可動域の低下 呼吸器疾患 尿路感染症 起立性低血圧 慢性期の治療 脊髄損傷後に残存した機能を活かし、日常生活を送れるようにリハビリテーションが行われます。リハビリでは、筋力トレーニングや関節可動域訓練など、日常に即した訓練が実施されます。 また、寝返りの練習により床ずれを防止したり、排泄の練習をしたりと、個人の状態に合わせた訓練に取り組み社会復帰を目指します。 再生医療が画期的な治療法と言われる訳 これまでは脊髄を損傷すると、手術により神経を圧迫している骨片を取り除き、リハビリによって社会復帰を目指してきました。しかし、手術やリハビリでは損傷した神経を再生させたり、麻痺を回復させる効果はなく、損傷した神経に対し有効な治療法がないのがこれまでの現状でした。 さらに、手足の麻痺や感覚が戻るかどうかは個人差があり、損傷した部位によっては寝たきりや車椅子での生活を余儀なくされるケースもありました。そんな中、最新医療である再生医療の出現によって、損傷した神経の再生が期待できるようになったのです。 再生医療とは 再生医療とは人間が持つ自己修復力を高める最新医療で、脊髄損傷に対しては体内に存在する幹細胞が使われます。幹細胞が持つさまざまな組織に分化(変化)する特徴を活かして、損傷した神経の修復・再生が期待されます。 幹細胞を使った治療法とは 脊髄へ使われる幹細胞は、骨髄由来の幹細胞か脂肪由来の幹細胞です。 骨髄由来幹細胞は、神経に分化しやすいとされていますが、培養しにくい上に感染リスクがあります。それに対して、脂肪由来幹細胞は、採取・培養しやすく、感染リスクもほとんどありません。 脂肪由来の幹細胞は、骨髄由来の幹細胞と比べてより多くの細胞を投与できることから高い治療効果が期待されます。最近の研究では、脂肪由来の幹細胞治療の方が治療成績は高いことがわかっています。 https://www.youtube.com/watch?v=5HxbCexwwbE&list=PLQULGKT43nrHrfZCbQFYRZniIR5S2Aq3J 脊髄への投与方法 脊髄損傷への幹細胞の投与方法は、点滴と硬膜内注射の2種類があります。点滴では、血管へ幹細胞を投与し、血液を介して脊髄へ届けます。硬膜内注射では、腰あたりから脊髄のある硬膜内に直接投与します。または、両者を掛け合わせて効果を高める場合もあります。 点滴では脊髄に幹細胞が到達するまでに数が少なくなってしまいますが、損傷部位へ直接投与する方法では、幹細胞の数を減らすことなく確実に患部へ届けられるため、点滴と比べて神経の再生力が高いです。 ただし、硬膜内へ直接投与する方法は国内でも限られた医療機関でしか行われていません。硬膜内注射を検討される場合、受診予定の医療機関へ問い合わせてみると良いでしょう。 まとめ・脊髄損傷!再生医療が画期的な治療法と言われる訳とは?! 脊髄損傷は、大きな事故や転落だけでなく平坦な道で転んでも発生する疾患です。脊髄神経が損傷されると、手足を動かせなくなったり感覚を感じとれなくなったりと、これまで通りの生活を送れなくなる場合があります。 急性期には、脊椎を固定し安静にするほか、手術で骨のかけらを取り除きます。ただ、慢性期にリハビリに取り組んだとしても、一度傷んだ神経が元通りになることはなく、これまで効果的な治療法はありませんでした。 しかし、最新の治療法である再生医療では、損傷した神経の修復や再生が期待できるようになりました。再生医療は、これまで効果的な治療法が存在しなかった脊髄損傷に対して、大きな可能性が広がる治療として注目されています。 以上、脊髄損傷の画期的な治療法と言われる再生医療について記させていただきました。参考になれば幸いです。 ▼ 脊髄損傷の再生医療|最新の幹細胞治療は、以下をご覧下さい 再生医療は、脊髄損傷の新たな治療法として注目を浴びています また、再生医療については下記のサイトでも発信しておりますので、合わせてご確認ください。 再生医療とは?実例やメリット・デメリット、研究ができる大学の学部も紹介
2022.03.02 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
頚椎すべり症とはどんな疾患なのか、どのような症状が現れるのか知りたい方はいませんか。 頚椎すべり症は首の痛みだけでなく、手足のしびれや感覚障害などの神経症状が生じる恐れもあります。症状が進行すると日常生活にも支障をきたすため、早期からの治療が重要です。 この記事では、頚椎すべり症の症状や生活で避けるべきこと、治療法についてご紹介します。どのような疾患なのかを知ることで、発症時の早期からの適切な対処につながるでしょう。 頚椎すべり症とは 頚椎すべり症とは、頚椎(首部分の背骨)が前後にずれてしまう状態のことです。 背骨は「椎体(ついたい)」と呼ばれる骨がつながってできており、それがなんらかの原因でずれることで発症します。頚椎すべり症を発症すると、首の痛みやしびれなどのさまざま原因が現れるのが特徴です。 ここでは、頚椎すべり症の症状や原因について詳しく解説します。 頚椎すべり症の症状 頚椎すべり症は神経が圧迫される可能性があるため、首の痛みや肩こりだけでなく、しびれや感覚障害などの症状が現れることがあります。発症時の初期症状としては、まず腰痛や下肢の痛みなどが出現するケースが多いです。 下肢に現れる症状としては、歩くときのふらつきや間欠性跛行(かんけつせいはこう)があげられます。 間欠性跛行とは、歩き続けると下肢の痛みやしびれが強くなる症状で、休憩すると軽快するのが特徴です。これらに加えて腕や指のしびれを伴うこともあり、生活では以下のような影響が現れます。 指の動きがぎこちなくなる ボタンがうまく止められなくなる 字が書きづらくなる このような症状はゆっくり出現し、徐々に悪化することが一般的です。また、頚椎は脳へとつながる血管の通り道にもなっています。 そのため、すべり症で首の骨がずれると、血管を強く圧迫して頭痛が現れることもあります。慢性的な頭痛や症状の悪化がみられた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 頚椎すべり症の原因 頚椎すべり症の原因としては、加齢や長期間の首へのストレスなどがあげられます。これらの原因によって、椎体の間にあるクッションの役割を持った「椎間板(ついかんばん)」が変性を起こし、骨がずれやすくなります。 また、頚椎周囲の靭帯や筋肉のゆるみによって、骨を固定できずに発症することもあるでしょう。とくに普段から姿勢が悪く、首に慢性的な負担がかかっている方や高齢者は、頚椎すべり症には十分に注意する必要があります。 頚椎すべり症の種類 腰椎すべり症は大きく分けて2種類あり、「分離すべり症」と「変性すべり症」があります。 それぞれの背骨をつなげている場所が分離した状態を、分離すべり症と呼びます。椎体の間にある椎間板が老化し、変性したことが原因で発症したものが変性すべり症です。 変性すべり症は分離すべり症と比較して、中年以降の女性にみられやすいことから、女性ホルモンが関係していると考えられています。どちらの種類も神経が圧迫されやすくなるため、出現する症状には大きな差はないとされています。 頚椎すべり症の診断方法 頚椎すべり症の診断では、まずは問診を行い、その後レントゲン撮影にて以下のような状態を確認します。 骨の変形の程度 姿勢の状態 靱帯骨化の有無 さらにMRI検査を行い、神経の状態も確認します。頚椎を前後に曲げた状態で撮影を行うことで、不安定性の程度も診断可能です。似たような症状が現れる疾患として、「椎間板ヘルニア」や「脊髄腫瘍」なども考えられるため、これらとの鑑別も重要となります。 椎間板ヘルニアは、腰椎に起こりやすい疾患の1つです。腰椎椎間板ヘルニアについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。 頚椎すべり症の治療法 頚椎すべり症の治療では、おもに「保存療法」と「手術療法」の2種類があげられます。ここでは、それぞれの治療法について詳しく解説します。 保存療法 保存療法では、頚椎すべり症の症状に応じてさまざまな治療が行われます。たとえば、首の痛みや肩こりなどの症状に対して行われる治療は、以下のとおりです。 温熱療法 マッサージ 電気治療 鍼灸治療 牽引療法 これらに加えて、消炎鎮痛剤やブロック注射などの薬物療法によって痛み、しびれの症状軽減を図ります。リハビリでストレッチや首まわりの筋力訓練などを行うことも有効とされています。このように、強い痛みが出ていない段階であれば、保存治療を継続します。 手術療法 保存療法を行っても症状が軽減されず、日常生活に支障をきたしている場合は、手術による治療が検討されます。とくに痛みが強く、手足の神経症状が出現している場合は早めの手術が望まれます。 代表的な手術は、骨同士をボルトで固定する「固定術」です。この手術法では、顕微鏡や内視鏡を使ってできるだけ身体の負担を少なくしながら行い、手術後の早期離床を図ります。手術後は 安静やコルセットなどによる保護が必要となりますが、多くの場合は翌日から歩行ができます。 すべり症による症状が強くない場合は、内視鏡を用いて神経の圧迫をとる低侵襲の手術が選択されるケースもあります。 頚椎すべり症でやってはいけないこと 頚椎すべり症でやってはいけないこととして、仕事で常に首を曲げ続ける、同じ体勢で長時間首に負荷をかけ続けるなどがあげられます。 そのような生活を送っている方は、出来るだけ避けて首に負担をかけないように心がけてください。日常的に姿勢を正すように意識することで、首の負担軽減につながります。 例として、首を10度下に傾けると頚椎の負荷が2倍になるとされています。そのため、デスクワークやパソコンを長時間する場合は、仕事でもこまめに休憩をとりましょう。またスマホはうつむきながら見ることが多く、首に負担をかける原因となるため、長時間の使用には注意が必要です。 [首の痛み] まとめ|頚椎すべり症による痛みを感じたら早めに受診しよう 頚椎すべり症は首の骨がずれることで生じる疾患で、発症すると痛みをはじめとした症状が現れます。歩きにくさや手足のしびれ、感覚障害などの症状が強く出ている場合は、早めに専門医に診てもらうことをおすすめします。 また、普段の生活で避けるべきポイントをおさえて、症状の悪化防止に努めることも大切です。ぜひ今回の記事を参考にして、頚椎すべり症に対する早めの対応を心がけましょう。 頚椎すべり症に関するよくある質問 ここでは、頚椎すべり症に関するよくある質問についてお答えします。頚椎すべり症に関して疑問に感じているものがあれば、ぜひこちらも参考にしてみてください。 Q.首の骨のずれにおすすめのストレッチは? A.頚椎すべり症におすすめのストレッチとしては、以下のとおりです。 背中全体の筋肉を伸ばすストレッチです。 太もも前面についている「大腿四頭筋」を伸ばすストレッチです。大腿四頭筋は骨盤にもついているため、硬くなると背骨全体の歪みにつながる恐れがあります。 Q.首の骨のずれは自分で治せる? A.首の骨のずれは、自分で治すことはおすすめできません。無理に治そうとすると、かえって首に負担をかけてしまい、症状の悪化につながります。神経を傷つけてしまうと、取り返しのつかない事態になることもあります。 決して自己判断で対処するのではなく、必ず医療機関に受診し、医師に相談しましょう。
2021.11.30 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
腰椎椎間板ヘルニアはどうやったら早く治るの? 早く治すためには何を避けるべき? このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか? 腰椎椎間板ヘルニアを発症している、あるいは再発が予測されるときは、「やってはいけないこと」を理解し、それを避けるのが大切です。 そしてきちんとした保存療法を実施すれば、治療期間を縮められるかもしれません。 本記事では腰椎椎間板ヘルニアの治療中にやってはいけないことを、医師の視点から解説します。 【予備知識】腰椎椎間板ヘルニアとは 腰椎椎間板ヘルニアとは、腰に過度な負担がかかり、神経が圧迫される病気です。 腰椎とは腰にある背骨のこと。 腰椎には5つの椎間板があり、上半身の重さを支えています。 これがあることで、腰を回したり、伸ばしたりできます。 しかし腰椎椎間板ヘルニアを発症している状態では、椎間板は本来の位置を保てません。 背中側にずれて、神経を圧迫します。 その結果、痺れや痛みなどの神経症状が現れます。 腰椎椎間板ヘルニアの治療では、手術はあまり用いられません。医師の指示のもと、腰をいたわりながら過ごす保存療法が、多くの場合選ばれます。 腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと 腰椎椎間板ヘルニアの治療中にやってはいけないことは、大きく分けて4つあります。 腰に負担をかける動作 喫煙 飲酒 スポーツ・アクティビティ全般 それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。 腰に負担をかける動作 では、腰への負担をかけてしまうような動作とはどのようなものでしょうか。 なんとなく、腰に負担がかかる場面を思い起こすことができますね。 重いものを持ったり、中腰の体勢を続けていたりしたときに腰が痛んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。 1966年に日常生活での動作と腰にかかる負担に関して報告がされています。 この報告によると、立ったまま前かがみになると、ただ立っているときと比べて約1.5倍の圧が腰にかかることがわかりました。 さらに中腰で20㎏のものを持とうとすると、ただ立っているときの2倍以上の負担が腰にかかることも知られています。 1999年には、新しい計測機器を用いて腰の負荷をさらに正確に測定した報告がされています。 その報告によると、座っているときの腰の負担は、立っているときとほとんど変わりがない衝撃の内容でした。 しかも、中腰の場合での腰の負荷は立っているときの2倍。 さらに中腰で20㎏のものを持っているときの腰の負荷は実に4.5倍にもなることがわかりました。 重いものを持ち上げるときに注意したいのは、その姿勢です。 膝を折り、しゃがんだ状態で足を延ばして持ち上げることで、腰の負荷を2/3程度まで減少させることができたと報告されています。 これらの報告から、腰部への過度な荷重がかかる場面は、中腰になっているときであることがわかりました。 また重い荷物を持つ際には、お辞儀するように上体を前に折った体勢をとると腰の負担が増えてしまうことが科学的に判明されています。 腰椎椎間板ヘルニアと診断された方は、ぜひこのような科学的根拠に基づいて、腰に負担をかけないよう、注意して動作を行うようにしてください。 立っているときと比較して 腰への負担 座っている状態 立っているときとほぼ同等 中腰になっているとき 2倍 中腰で20㎏の持つと(重い荷物を持つ想定) 4.5倍 上記のように腰に負担を与えないためには、姿勢や、重いモノを持ち上げるなどでは、やり方をよく研究するのが大切であることがわかります。 喫煙 また、喫煙も避けるようにしましょう。タバコを吸うと、腰椎椎間板ヘルニアの治療に支障が出ます。 喫煙すると、ニコチンによって毛細血管が収縮し血流が悪化します。 すると、椎間板に対して十分な栄養が供給できません。 したがって椎間板自身の回復力が低下します。 さらに非喫煙者が腰椎椎間板ヘルニアを発症した場合、喫煙者よりも痛みの程度が低く、痛み止めの内服量も少ない傾向にあります。 したがって禁煙すれば、治療中の苦痛を和らげられるでしょう。 なお腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第3版によれば、喫煙者は非喫煙者よりも1.27倍大きい腰椎椎間板ヘルニアの発症リスクを抱えているとのこと。 完治してからも、再発を防ぐため、禁煙するのがのぞましいといえます。 飲酒 腰椎椎間板ヘルニアの治療中は、飲酒も控えるようにしましょう。 過度の飲酒は筋肉をゆるませ、腰の姿勢を悪くして、腰椎に負担をかけます。 その状態が長く続くと、椎間板が圧迫されるため、完治が遅れるでしょう。 さらに炎症も起こりやすくなるため、腰周りの痛みが激しくなります。 治療を早め、症状を和らげるためにも、飲酒は控えるようにしましょう。 また、いわゆる「飲みの席」はできるだけ避けましょう。 この場は飲酒のみならず喫煙も伴いやすく、腰椎椎間板ヘルニアの治療を妨げる大きな要因になりがちです。 スポーツ・アクティビティ全般 スポーツやアクティビティ全般も、基本的には控えるようにしましょう。 走る、ジャンプする、中腰になるなどの運動は、椎間板に大きな衝撃を与えます。 腰を強く伸ばす、ひねる動作も、椎間板に負担を与えます。 そのような動きがあるスポーツやアクティビティは基本的に避けましょう。 ただし腰椎椎間板ヘルニアの治療では、運動不足も好ましくないとされています。 腰に負担がかからないストレッチや体幹を鍛えるトレーニングは、むしろ積極的におこなうべきです。 腰椎を動かすストレッチ 腰椎の治療では、適切なストレッチをおこなうのが重要です。 ストレッチによって腰回りの動きが改善され、椎間板に対する負担を軽減できるでしょう。 たとえば以下のようなストレッチが効果的です。 1.仰向けになって、肩幅に足を開く 2.臀部を床につけたまま、左足を右足側に倒す 3.10秒ほどの、その姿勢を維持する 4.2を左右逆でおこなう 2から4を1セットとして、5セットほどおこないます。このようなストレッチをおこない、椎間板にかかる負担を軽減しましょう。 ただし症状が重い場合は、ストレッチ自体が逆効果です。安静にすべきか、ストレッチを実施すべきか、医師の指示を仰ぐと良いでしょう。 まとめ・腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないこと 今回は腰椎椎間板ヘルニアとは何か、腰椎椎間板ヘルニアと診断された患者さんが日常生活で気を付けるべき注意点をお伝えしました。 やってはいけません 中腰での動作は避ける 重いものを持つときには膝を曲げて持つ 姿勢をよくする 喫煙者は、禁煙する 上記に気を付けて、腰椎椎間板ヘルニアにならない!悪化させないような生活を送りましょう。
2021.11.23 -
- 腰椎椎間板ヘルニア
- 脊椎
腰痛の発症率は非常に高く、多くの方が頭を抱える症状です。皆さんも一度は腰痛に悩まされた経験があるのではないでしょうか 多くの腰痛は時間の経過と共に症状が改善する傾向にありますが、腰椎椎間板ヘルニアを伴っている場合は、強い痛みで生活に支障をきたす恐れもあります。もし、現在発症中の腰痛が腰椎椎間板ヘルニアだったら…と不安に思う読者の方もいらっしゃるでしょう。 そこで本記事では、腰椎椎間板ヘルニアの原因・症状から痛みを和らげる方法まで紹介しています。すでに腰椎椎間板ヘルニアを患っている方にも有益な情報を紹介しているのでぜひ最後までご覧ください。 >>椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法をすぐに知りたい方はここをタップ<< 腰椎椎間板ヘルニアとは https://youtu.be/F3CM8DYgSVU?feature=shared 背骨は頸椎(首の骨)が7個・胸椎(胸の骨)が12個・腰椎(腰の骨)が5個に分かれて、それぞれ1つずつ骨が積み重なったように構成されています。 そして、1つずつの骨と骨のあいだには椎間板が存在します。椎間板は、多くの水分を含んだゼリー状の髄核、その周りを取り囲む線維輪により二重構造となっており、腰にかかる負担を和らげるクッションのような役割があります。 腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎の椎間板に負担がかかり、椎間板の中にある髄核という組織が外に飛び出して神経にぶつかった状態です。 ヘルニアとは身体の組織の一部が、本来あるべき、正しい位置からはみ出した状態をいいます。なぜ、本来とは関係ない場所にはみ出るのでしょうか? そこで今回は、「腰椎椎間板ヘルニアが生じる原因・症状と痛みを和らげる方法」について詳しく解説します。 【タイプ別】腰椎椎間板ヘルニアの症状 腰椎椎間板ヘルニアの主な症状は、お尻・足の痛みはもちろん、しびれ、力を入れにくい、動かしにくいなどの症状があります。痛み・しびれは下半身のどの場所にも出ますが、その中でもお尻から太ももの裏側の痛みは坐骨神経痛と呼ばれ、代表的な症状です。 また、神経が強く押されている場合は、おしっこ・お通じなどが出にくい、または漏れてしまう場合もあります。 椎間板ヘルニアは下記の2つのタイプに分かれ、圧迫される神経によって症状が変わります。 神経根型 馬尾型 神経根型 神経根型は、背骨に対して縦に走っている神経ではなく、そこから左右へ枝分かれして伸びている神経根という場所を圧迫しています。症状として、腰・片足の痛みなどがありますが、危険度は高くありません。 馬尾型 馬尾型は、背骨に対して縦に走っている神経を圧迫します。 症状として、お尻・足全体への痛みがあるだけでなく、そのまま放置すると尿漏れなどの排尿障害が生じる、場合によっては歩けなくなり、寝たきりになる可能性があるなど「馬尾型は神経根型」よりも危険性が高くなります。 腰椎椎間板ヘルニアの原因 腰椎椎間板ヘルニアは下記のようにさまざまの原因で生じます。 年齢 体にある組織の多くは、年齢とともに劣化します。椎間板もその中の1つです。 椎間板は体重を支えるため、身体の中で最も負担のかかる組織です。しかし、ほとんど血管がなく栄養が届きにくい仕組みになっています。そのせいもあり、なんと10歳代後半から劣化が始まり、徐々に、みずみずしさが失われてクッション機能を果せなくなっていきます。 姿勢の悪さ 普段の姿勢が反り腰・猫背の人は、一般的な姿勢より、体重が腰にかかりやすくなります。そのため、長期間そのような姿勢でいると椎間板への負荷が大きくなり、ヘルニアの原因になる場合があります。 また、意外かもしれませんが、腰への負担は立っているよりも座っているときの方が大きくなります。車の長時間の運転、デスクワークなど、長時間座るような生活をしている人は注意が必要です。 定期的に立つ、歩く、屈伸をおこなうなどで姿勢を変化させることが必要です。 喫煙 ご存知でしょうか!喫煙と椎間板ヘルニアには関係があります。 年齢のところで解説したように、椎間板には血管がありません。そのため、周囲の毛細血管から必要な栄養分をもらっています。しかし、喫煙者はタバコの影響から毛細血管の血流が悪くなり、椎間板の回復が遅く劣化しやすい状態に近づきます。 腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる2つの方法 腰椎椎間板ヘルニアは、どれだけ腰に負担をかけないで過ごせるかが大切です。痛みを和らげる方法としては下記のようなものがあります。 インナーマッスルを鍛える 腰や下半身のストレッチをおこなう それぞれ詳細に解説いたします。 インナーマッスルを鍛える 腰椎椎間板ヘルニアには、腰への負担が少ない筋肉トレーニングが有効です。身体の深部に存在するインナーマッスル強化を中心におこないます。 インナーマッスルは、腰を安定させて腰椎をゆがまさない役割があるため、腰の負担が減り症状の改善が期待できます。 本項目では、幅広い年齢層でも実践できる3つのドローインをご紹介します。 立位のドローイン 1.直立(立った状態)の姿勢をとります 2.胸を張った状態で肩幅を目安に足を開きます 3.息を吐きった状態にして、浅い呼吸を繰り返します(お腹の空気を意識する) 4.30秒程度継続してから呼吸を通常通りに戻します ※無理のない程度に、上記の動作を3セット実施しましょう。 座位のドローイン 椅子を準備し、背もたれに触れない程度に浅く腰掛けます 両足裏がしっかりと床に接地した状態にします 胸を張った状態で、両足を腰幅程度に開きます 息を吐きった状態にして、浅い呼吸を繰り返します(お腹の空気を意識する) 30秒程度継続してから呼吸を通常通りに戻します ※無理のない程度に、上記の動作を3セット実施しましょう。 仰向けのドローイン 仰向けの姿勢で寝そべり、両膝を立てます 息を吐きった状態にして、浅い呼吸を繰り返します(お腹の空気を意識する) 30秒程度継続してから呼吸を通常通りに戻します ※無理のない程度に、上記の動作を3セット実施しましょう。 腰や下半身のストレッチをおこなう 硬くなっている筋肉をストレッチで柔らかくすることにより、ヘルニアの症状を軽減できます。 また、腰だけでなく、股関節や足などの下半身と体幹を中心にストレッチすると筋肉に柔軟性が得られるため、腰への負担が相対的に軽減されます。 ヘルニアの症状軽減に期待できる「寝ながら簡単に実践できるストレッチ」を2つご紹介します。 膝を抱えるストレッチ 仰向けに寝そべります 両膝を胸につけるように両手で抱え込みます 背中から腰までを伸ばした状態で20秒程度体勢をキープします ※無理のない程度に、複数回繰り返し実施しましょう。 うつ伏せストレッチ うつ伏せの状態で寝そべります 顔が乗るように両腕を組み、リラックスした状態で3分程度深呼吸を行います 胸の下に柔らかなもの(クッション等)を入れ、さらに3分程度深呼吸を行います 両肘を立て、上体を軽く持ち上げた状態でさらに3分程度深呼吸を行います 腰が痛気持ちいいところまで上体を徐々に上げ、状態を10秒程度キープします ※息を止めず無理のない程度に、複数回繰り返し実施しましょう。 姿勢に気を付ける 座った姿勢は腰に負担がかかるため、長時間座らないようにするのが重要です。休憩時間には気分転換にストレッチをする、また周囲を歩いて気分転換をおこないましょう。 また、座るときの姿勢も腰のあたりにクッションを入れる、背もたれの角度を調整できる椅子を選ぶなど、自分にとって負担が少ない姿勢を見つけることが重要です。 まとめ|腰椎椎間板ヘルニアの痛みと上手に付き合おう 腰椎椎間板ヘルニアの80〜85%は症状が良くなるといわれています。しかし、場合によっては強い痛み・しびれに長い間、悩まされている人もいます。 腰椎椎間板ヘルニアは、腰の椎間板内の髄核が神経に影響を与えている状態です。 主な症状は腰や足の痛み・しびれ・力を入れにくさなどがあります。また、症状には「神経根型」と「馬尾型」の二つのタイプがあります。馬尾型は危険度が高いため、本記事のチェック項目に当てはまる場合は早急に医療機関を受診しましょう。 原因は年齢・姿勢・喫煙などがあり、その対策を簡単に説明しました。痛みを和らげるためには、適切な姿勢の維持や筋肉トレーニング、ストレッチが重要です。 座ったり立ったりする時間を意図的に取り入れて、腰に負担がかからないように心がけましょう。適度な運動や正しい姿勢の習慣化がヘルニア予防にも役立ちます。 日常生活での注意や適切な対処法を実践することで、腰椎椎間板ヘルニアによる痛みや不快感を軽減し、快適な生活を送れます。ただし、1週間程度経過したのに関わらず症状が全く改善されない場合は、そのまま放置することなく専門医を受診しましょう。 【腰痛でお悩みの方はお気軽にご相談ください】 メール相談はこちら: https://fuelcells.org/mail/ オンライン相談はこちら: https://fuelcells.org/online-counseling/
2021.11.23 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
腰痛の中でも、ぎっくり腰の痛みは特別です。ある日突然、何の前触れもなく「グキッ!」という感じで急激な痛みに襲われます。 まさに秒速、たった1秒くらいで急激な痛みが襲うので、ドイツ語では、ぎっくり腰のことを魔女の一撃(Hexenschuss ヘクセンシュース)というほどです。 この記事では、ぎっくり腰かどうかを判断できる症状チェックリストを公開しています。ぎっくり腰を早く治して日常生活を快適に送るためにも、症状や原因、対処法を把握しておきましょう。 なお、腰痛は決して軽視できる症状ではありません。ぎっくり腰だと思い込んでいたところ、重大な病気が隠れていたケースもあります。「なにかおかしい」と感じたら、迷わず医療機関を受診しましょう。 ぎっくり腰の症状チェックリスト ぎっくり腰は突然発症します。以下は、ぎっくり腰の症状を判別いただくためのチェックリストを準備いたしましたので、ぜひご活用ください。 該当する項目が多いほどぎっくり腰の可能性が高いです。 ◻︎腰に突然電気が走るような急激な痛みを感じた ◻︎物を持ち上げたときに腰が痛くなった ◻︎咳やくしゃみをしたときに腰が痛くなった ◻︎前かがみになったときに腰が痛くなった ◻︎腰が痛くて動けない ◻︎痛みがなかなか引かない ◻︎ずっと同じ姿勢でいるのがつらい ◻︎体勢や姿勢を変えると症状が悪化、もしくは改善する ◻︎腰の痛みで歩くのがつらい ◻︎しびれが出てくる ◻︎過去にぎっくり腰になったことがある ◻︎姿勢が悪い、中腰の姿勢が多い ◻︎日常的に重い荷物を運ぶことが多い ◻︎デスクワークが多い ◻︎運動不足である ◻︎不規則な生活習慣をしている ◻︎子どもを抱っこすることが多い ◻︎ストレスが多い 該当する項目が多いほどぎっくり腰の可能性が高いため、心配な方は医療機関へ早めに受診することが大切です。 なおチェック項目に該当しているものの、病院に行こうか迷っている方は、下記の記事もぜひご覧ください。 ぎっくり腰の原因 前提として、ぎっくり腰は原因を特定できません。ぎっくり腰は、大きく分けて次の3つの原因によって引き起こされると考えられます。 筋肉疲労が蓄積している 骨格が歪んでいる 日常生活での動作・姿勢によるもの ぎっくり腰は、一説に50人に1人は経験するとまでいわれているほど日常的に起こりえる病なので注意が必要です。 筋肉疲労が蓄積している 本来であれば、筋肉疲労は自然と回復するメカニズムになっています。 ただし、以下のことを続けていくと、日常生活のなかで筋肉疲労が蓄積され、ぎっくり腰を引き起こす可能性が高まります。 日頃から筋肉疲労を蓄積するような生活を送っている方は、日常生活を改善するよう心がけましょう。運動不足や長時間同じ姿勢でいることが多い方は、たまにストレッチや体操をするだけでも効果的です。 骨格が歪んでいる 骨格の歪みも、ぎっくり腰を引き起こす原因のひとつです。身体のバランスを取ろうとした瞬間、周辺の筋肉への負担が大きくなることによってぎっくり腰が発症します。 骨格の歪みは、立ちっぱなしや座りっぱなしなど長時間の同じ姿勢でいることによって起こります。同じ姿勢でいると、同じ骨や筋肉を使い続けることになり、次第に身体の柔軟性が失われ、骨格の歪みが生じるのです。 日常生活での動作・姿勢によるもの ぎっくり腰は、日常のちょっとした動作や姿勢によって起きることもあります。 単に身をかがめた(あいさつでのお辞儀など) 後ろを振り向いた 咳をした 掃除機をかける前に体を少し折り曲げた 子どもを抱っこした 正座の姿勢から立ちあがろうとした ぎっくり腰は誰でも発症する可能性があります。ぎっくり腰を防ぐには、日頃からスクワットやプランクなど体幹を鍛えるトレーニングが有効です。 ぎっくり腰の放置や自己診断は危険 ぎっくり腰と一言でいっても、その痛み方や症状はさまざまです。典型的には、急に発症して激しい痛みを伴いますが、最初は軽い痛みだったのに、数時間から数日かけて徐々に痛みが強まり、最終的には身動きが取れなくなる場合もあります。 また、重い物を持つなどの明確なきっかけがないにもかかわらず、激痛になる非典型的なぎっくり腰もあります。 多くの場合、ぎっくり腰は2週間程度で自然に治ります。しかし、ぎっくり腰だと思い込んでいたら、実は病院で治療が必要なほどの重い病気だったといったケースもあります。 たとえば、ぎっくり腰だと思い込んでいたところ、内科系の病気である「多発性骨髄腫」という血液の悪性腫瘍により腰椎が圧迫骨折を起こしていたケースがあります。また、泌尿器科系の病気が腰痛の原因となることもあり、前立腺癌が腰椎に転移して腰痛を引き起こしていた例もあります。 さらに、仮にぎっくり腰だったとしても、適切な治療をせず自己流で治療を試みると、かえって痛みが慢性化してしまうこともあります。 そのため、ぎっくり腰を発症した場合は自己診断せず、医師の正確な診断を受けることが重要です。「なにかおかしい」と感じたら、迷わず医療機関で専門家に相談しましょう。 ぎっくり腰の対処法と治療法 ぎっくり腰は、まずは冷やすと効果的だといわれています。しかし、冷やしすぎると皮膚を刺激し、症状が悪化してしまう恐れがあります。 また痛みに耐えられない場合は、鎮痛剤を服用して問題ありません。しかし、鎮痛剤を飲み過ぎると、胃炎や胃潰瘍などの胃腸障害を起こす可能性がありますので、過量服用や空腹時の服用は避け、たくさんの水で飲むことが大切です。 とくに、過去に胃潰瘍をなったことがある方は、鎮痛剤を飲むときにガスターなどの制酸剤を一緒に飲む必要があるかもしれません。 また、鎮痛消炎剤としてモーラステープなどの貼り薬も、「単なる貼り薬だから大丈夫」と侮ってはいけません。副作用として、光線過敏症や皮膚のかぶれなどが起きることがあります。 なお、発症した当日は、入浴を控えましょう。腰に炎症が起きている状態で温めるのは厳禁です。マッサージの可否についても、控えたほうが良いでしょう。 ぎっくり腰の具体的な対処法や治療法については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。 まとめ|ぎっくり腰のセルフチェックをして医療機関の受診を検討しよう ぎっくり腰の正確な発症メカニズムや原因は、詳しく解明されていない現状です。ぎっくり腰により激痛で動けず苦しんでいる多くの方のためにも、今後の研究が待たれるところです。 ぎっくり腰を発症した場合は、重症化させないためにも、自己判断せず、医療機関を受診し、指導を受けましょう。 また、腰痛になった場合は下記の記事も参考になるので、ぜひ読んでみてください。 ぎっくり腰に関するよくある質問 ぎっくり腰を早く治すための食生活はありますか? ぎっくり腰を早く直すために、いろいろな栄養素を挙げて、特定の食べ物を勧められることがあります。ただし、ぎっくり腰を確実に治せるものはありません。 正しい食生活も大切ですが、ぎっくり腰に確実に悪いアルコールを避けるほうが大切です。 アルコールを摂取すると、ビタミンBやミネラル、微量元素などが欠乏し、組織修復を妨げるばかりか、炎症を悪化させて、治りが遅くなります。 また、日頃からアルコールを多飲している方はぎっくり腰になりやすく、予防する上でも良くありません。「酒は百薬の長」などというのは、真っ赤な嘘です。ぎっくり腰の予防などについて、詳しくはこちらをご覧ください 仕事でぎっくり腰になったら労災が認められますか? 仕事中にぎっくり腰が起きた場合であっても、労災が認められないことが多いようです。厚生労働省のリーフレットには、次のように書いてあります。 「災害性の原因による腰痛」の労災認定要件①腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたと明らかに認められること②腰に作用した力が腰痛を発症させ、または腰痛の既往症・基礎疾患を著しく悪化させたと医学的に認められること(厚生労働省「腰痛の労災認定」) 「災害性の原因によらない腰痛」の労災認定要件突発的な出来事が原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、作業の状態や作業時間からみて、仕事が原因で発症したと認められるもの(厚生労働省「腰痛の労災認定」) 労災で認められるには、ぎっくり腰が業務に起因すること、それが業務遂行中であることが必要です。仕事中のぎっくり腰でも、業務とは関連性の乏しい理由で発症した場合は、労災に認定される可能性は低いでしょう。 ただし、労災がもらえなくても傷病手当金をもらうことは可能です。ぎっくり腰が起きた日に病院を受診しておけば、発症日の証明になります。ぎっくり腰が起きた日のうちに、病院を受診しておくと良いでしょう。ただし、痛みを我慢して仕事を続けるのは避けましょう。 ぎっくり腰は安静にした方が良いですか? ぎっくり腰は安静が必要ですが、長すぎる安静は回復するのを遅らせる可能性があります。安静にすべき期間は状態によって異なりますが、痛みが引いた時点で適度に動いたほうが安静を続けるより回復が早いといわれています。 痛みを避けるためには、無理のない楽な姿勢を意識した日常生活を送ることが大切です。組織の炎症を悪化させることもなく、組織の修復を助けてくれます。 なお、面倒だからといって、変な姿勢で何かを行わないようにしましょう。かがむ、腰を折る、腰を曲げるなどの姿勢は要注意です。膝を使うことを意識してください。
2021.11.17